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  • 特許-鉛蓄電池ラック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-21
(45)【発行日】2024-07-01
(54)【発明の名称】鉛蓄電池ラック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/209 20210101AFI20240624BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20240624BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20240624BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240624BHJP
   H01M 10/12 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/289
H01M50/293
H01M50/291
H01M10/12 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020198755
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086632
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005382
【氏名又は名称】古河電池株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀人
(72)【発明者】
【氏名】新垣 雅進
(72)【発明者】
【氏名】田中 彰
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-170558(JP,A)
【文献】実開昭56-065566(JP,U)
【文献】特開2015-118800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 10/12
H05K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鉛蓄電池を収容する鉛蓄電池ラックであって、
奥行方向の両端側に設けられる柱を有し、横方向に並んで配される複数の支柱部と、
前記複数の支柱部の間に、縦方向に複数設けられる複数の底板と、
前記複数の底板のそれぞれの上面に前記横方向に並んで複数設けられ、奥行方向に延在するガイドと、
前記底板の上面の複数の前記ガイドの間に配され、前記奥行方向に並んで複数設けられる鉛蓄電池と、
前記奥行方向に並ぶ複数の前記鉛蓄電池の間に配され、前記ガイド間の溝又は前記鉛蓄電池に着脱可能なスペーサと、
を備える、鉛蓄電池ラック。
【請求項2】
前記ガイドは、金属又は熱伝導性の樹脂からなる、請求項1に記載の鉛蓄電池ラック。
【請求項3】
前記スペーサは、前記鉛蓄電池に嵌合する嵌合部と、把持可能な把持部とを有する、請求項1又は2に記載の鉛蓄電池ラック。
【請求項4】
前記鉛蓄電池がバイポーラ型鉛蓄電池である、請求項1から3のいずれか一項に記載の鉛蓄電池ラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛蓄電池ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の鉛蓄電池を収容する鉛蓄電池ラックとしては、例えば、複数の鉛蓄電池が横方向に複数収容されるユニット電池を、前面を揃えて縦方向や横方向に並べて相互に固定したものが用いられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-202942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の鉛蓄電池ラックでは、電極が上面にある鉛蓄電池や縦長な鉛蓄電池を設置する場合、安定性がないことから適用が困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、電極が上面にある鉛蓄電池や縦長な鉛蓄電池を安定して収容することができる、鉛蓄電池ラックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、複数の鉛蓄電池を収容する鉛蓄電池ラックであって、奥行方向の両端側に設けられる柱を有し、横方向に並んで配される複数の支柱部と、上記複数の支柱部の間に、縦方向に複数設けられる複数の底板と、上記複数の底板のそれぞれの上面に上記横方向に並んで複数設けられ、奥行方向に延在するガイドと、上記底板の上面の複数の上記ガイドの間に配され、上記奥行方向に並んで複数設けられる鉛蓄電池と、上記奥行方向に並ぶ複数の上記鉛蓄電池の間に配され、上記ガイド間の溝又は上記鉛蓄電池に着脱可能なスペーサと、を備える、鉛蓄電池ラックが提供される。
【発明の効果】
【0007】
(1)本発明の一態様によれば、複数の鉛蓄電池を収容する鉛蓄電池ラックであって、奥行方向の両端側に設けられる柱を有し、横方向に並んで配される複数の支柱部と、複数の支柱部の間に、縦方向に複数設けられる複数の底板と、複数の底板のそれぞれの上面に横方向に並んで複数設けられ、奥行方向に延在するガイドと、底板の上面の複数のガイドの間に配され、奥行方向に並んで複数設けられる鉛蓄電池と、奥行方向に並ぶ複数の鉛蓄電池の間に配され、ガイド間の溝又は鉛蓄電池に着脱可能なスペーサと、を備える、鉛蓄電池ラックが提供される。
(1)の構成によれば、電極が上面にある鉛蓄電池や縦長な鉛蓄電池であっても、ガイドによって安定して収容することができる。また、鉛蓄電池同士は、ガイドやスペーサによって離れて設置されるため、鉛蓄電池の排熱効率を高めることができる。
【0008】
(2)上記(1)の構成において、ガイドは、金属又は熱伝導性の樹脂からなる。
上記(2)の構成によれば、鉛蓄電池の排熱効率を高めることができる。
(3)上記(1)又は(2)の構成において、スペーサは、鉛蓄電池に嵌合する嵌合部と、把持可能な把持部とを有する。
上記(3)の構成によれば、鉛蓄電池を鉛蓄電池ラックに設置する際や鉛蓄電池ラックから取り出す際の鉛蓄電池の出し入れの作業が容易となる。
(4)上記(1)から(3)の構成において、蓄電池がバイポーラ型鉛蓄電池である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る鉛蓄電池ラックを示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る鉛蓄電池ラックを示す側面図である。
図3】バイポーラ型鉛蓄電池を設置する手順を示す説明図である。
図4】スペーサの変形例を示す平面図である。
図5】変形例のスペーサをバイポーラ型鉛蓄電池に取り付ける様子を示す説明図である。
図6】変形例のスペーサを用いた鉛蓄電池ラックを示す一部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の一例を示したものである。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
【0011】
鉛蓄電池ラック1は、図1及び図2に示すように、一対の支柱部2と、複数の底板3と、複数のガイド4と、複数のバイポーラ型鉛蓄電池5と、複数のスペーサ6と、チャネルベース7とを備える。なお、以下の説明では、鉛蓄電池ラック1を設置した状態において、鉛直方向に平行な方向(図1における前後方向、図2における上下方向)を縦方向とし、水平方向に平行且つ互いに直交する方向を横方向(図1,2における左右方向)及び奥行方向(図1における上下方向、図2における前後方向)とする。
【0012】
一対の支柱部2は、図1及び図2に示すように、一対の柱20と、梁21とをそれぞれ有する。また、一対の支柱部2は、横方向に並んで設けられる。一対の柱20は、縦方向に延在する支柱であり、奥行方向に並んで設けられる。梁21は、一対の柱20の間に設けられ、奥行方向に延在する部材である。梁21の奥行方向の両端は、一対の柱20にそれぞれ固定される。なお、梁21は、縦方向に複数設けられてもよい。なお、支柱部2の柱20は、少なくとも奥行方向の両端側に設けられればよく、支柱部2に奥行方向に並ぶ3つ以上の柱20が設けられてもよい。また、図1及び図2に示す例では、支柱部2は2つ設けられるとしたが、横方向に3つ以上設けられてもよい。
【0013】
複数の底板3は、方形の板以上の部材であり、支柱部2の間に、縦方向に所定の間隔で並んで設けられる。複数の底板3は、4つの支柱部2に溶接や他の固定手段によって固定される。
複数のガイド4は、奥行方向に延在する長方体の部材であり、複数の底板3のそれぞれの上面に横方向に並んで複数設けられる。底板3上で隣接するガイド4同士は、鉛蓄電池5が横方向に倒れることなく間を通過できるように、所定の距離だけ離れて設けられる。ガイド4の材質は特に限定されないが、バイポーラ型鉛蓄電池5の放熱性を向上させる観点から、熱伝導性を有することが好ましく、鉄等の金属又は熱伝導性を有する樹脂であることが好ましい。また、複数のガイド4は、後述するように、バイポーラ型鉛蓄電池5やスペーサ6が横方向に倒れないように支持するものであるため、ガイド4同士の間にこのような効果が得られる溝が形成されるものであれば、寸法や形状は特に限定されない。
【0014】
複数のバイポーラ型鉛蓄電池5は、正極端子50及び負極端子51が縦方向(バイポーラ型鉛蓄電池5の縦方向の上面)に配置される。複数のバイポーラ型鉛蓄電池5は、底板3の上面の複数のガイド4の間に配され、奥行方向に並んで複数設けられる。本実施形態に係るバイポーラ型鉛蓄電池5の外形は、電極が設けられた上面から視て矩形状の形状を有する縦長の形状を有する。このような形状のバイポーラ型鉛蓄電池5は、上面から視て長辺に平行な方向が奥行方向となるように設けられる。
【0015】
複数のスペーサ6は、少なくとも奥行方向に並ぶ複数のバイポーラ型鉛蓄電池5の間に配される部材である。図1及び図2に示す例では、バイポーラ型鉛蓄電池5の間だけでなく、奥行方向に並ぶバイポーラ型鉛蓄電池5の奥行方向の両端側にもそれぞれ設けられる。スペーサ6は、横方向に隣り合うガイド4の間、つまり複数のガイド4によって形成される溝に倣った形状を有する。このため、スペーサ6は、ガイド4間の溝に着脱可能となる(つまり、着脱可能な形状を有する)。スペーサ6は、ガイド4と同様に放熱性の観点から、鉄等の金属又は熱伝導性を有する樹脂であることが好ましい。また、スペーサ6が樹脂製である場合、底板3やガイド4との摩擦が小さくなるため、後述するようにバイポーラ型鉛蓄電池5の設置が容易となる。さらに、スペーサ6には、排熱効率を高めるために通気口が設けられてもよい。
チャネルベース7は、一対の支柱部2を支持する部材であり、柱20の下端が固定される。
【0016】
このような鉛蓄電池ラック1に鉛蓄電池5を設置する場合、図3に示すように、横方向に隣り合うガイド4の間に、スペーサ6と鉛蓄電池5を順に奥行方向に入れていく。この際、スペーサ6とバイポーラ型鉛蓄電池5を底板3上で摺動させながら移動させることで、バイポーラ型鉛蓄電池5の設置を簡便に行うことができる。
また、交換や撤去のために鉛畜電池ラック1からバイポーラ型鉛蓄電池5を取り出す場合には、図3で説明した手順と逆の手順で行うことができる。
【0017】
なお、本実施形態では、スペーサ6がガイド4間の溝に着脱可能な形状を有するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。図4図6に示すようなスペーサ6が用いられてもよい。図4に示すスペーサ6は、バイポーラ形鉛蓄電池5に嵌合する環状の部位である嵌合部60と、把持可能な環状の把持部61とを有する。このスペーサ6は、バイポーラ形鉛蓄電池5に着脱可能なものであり、図5に示すように、環状の嵌合部60をバイポーラ型鉛蓄電池5に嵌合させることで、バイポーラ型鉛蓄電池5に取り付けることができる。また、把持部61は、上記実施形態のスペーサ6と同様な役割を果たすものであり、奥行方向に並ぶバイポーラ型鉛蓄電池5の間に配される。図6には、このスペーサ6を用いてバイポーラ型鉛蓄電池5を設置した状態を示す。このようなスペーサ6は、バイポーラ型鉛蓄電池5に取り付けることで、スペーサ6とバイポーラ型鉛蓄電池5とを一体にして取り扱うことができる。また、把持可能な把持部61を有するため、バイポーラ型鉛蓄電池5を鉛蓄電池ラック1に設置する際や鉛蓄電池ラック1から取り出す際のバイポーラ型鉛蓄電池5の出し入れの作業が容易となる。なお、把持部61は、環状の把持手段としたこの例に限らず、把持可能な手段であれば、凹凸や棒状の部材を有するような他の形状であってもよい。
【0018】
本実施形態に係る鉛蓄電池ラック1によれば、電極が上面にある鉛蓄電池や縦長な鉛蓄電池であっても、ガイド4によって安定して収容することができる。また、バイポーラ型鉛蓄電池5同士は、ガイド4やスペーサ6によって離れて設置されるため、バイポーラ型鉛蓄電池5の排熱効率を高めることができる。
【0019】
なお、本実施形態では、バイポーラ型鉛蓄電池5の場合について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。他の一般的な鉛蓄電池の場合であっても、本実施形態の場合と同様に適用できる。しかしながら、本発明は、本実施形態のようなバイポーラ型鉛蓄電池5の場合であると、極めて有効なものである。
【符号の説明】
【0020】
1 鉛蓄電池ラック
2 支柱部
20 柱
21 梁
3 底板
4 ガイド
5 バイポーラ型鉛蓄電池
50 正極端子
51 負極端子
6 スペーサ
60 嵌合部
61 把持部
7 チャネルベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6