(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】データ処理装置、画像読取装置、画像形成装置及びデータ処理方法
(51)【国際特許分類】
G06T 1/60 20060101AFI20240625BHJP
H04L 7/00 20060101ALI20240625BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G06T1/60 450E
H04L7/00 830
H04N1/00 L
(21)【出願番号】P 2019224017
(22)【出願日】2019-12-11
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】佐々 朋紘
(72)【発明者】
【氏名】塚原 元
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-114988(JP,A)
【文献】特開2010-016905(JP,A)
【文献】特開平06-103375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/60
H04L 7/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から、処理対象データと外部クロックを受信し、前記処理対象データに対する所定のデータ処理を実行するデータ処理装置であって、
前記外部クロックとは別系統のクロックであって、前記外部クロックよりも低インピーダンスのクロックによる動作で前記データ処理の実行を制御するデータ処理制御手段と、
前記データ処理制御手段の動作に用いられる内部クロックを前記外部クロックから生成するPLL回路を含む内部クロック生成手段と、
を備え、
前記データ処理制御手段は、
前記内部クロック生成手段から供給されるPLLロック信号及び前記外部クロックとは別系統の低インピーダンスのクロックであるOSC供給クロックと、に基づいて、前記外部クロックの状態を検知した結果の通知をするクロック状態検知部と、
前記通知が前記外部クロックの異常を示すものであるとき、前記外部クロックの異常に起因して生じた前記処理対象データに係る異常を補正する異常補正部と、を含む、ことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記低インピーダンスのクロックは、前記データ処理制御手段を構成する回路が形成される回路基板と同一の回路基板上で生成される、請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記処理対象データの処理単位はライン単位であって、
前記異常補正部は、前記処理対象データをライン単位で補正する、請求項1又は2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記処理対象データは、前記処理単位を規定する同期信号を含む、請求項3に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
LVDS方式によって伝送される前記処理対象データを受信するLVDSレシーバを備え、
前記LVDSレシーバにより受信された前記処理対象データに対して所定のデータ処理を実行する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記異常補正部は、前記外部クロックが異常であるときの処理単位である異常処理単位に対応する処理対象データに対して、当該異常であるときの処理単位に連続する処理単位であって前記外部クロックが正常であるときの処理単位である正常処理単位に対応する処理対象データに基づいて、前記異常処理単位に対応する処理対象データを補正する補正データを生成する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記異常補正部は、前記異常処理単位と時系列的に連続する過去の処理単位に対応する、正常な処理対象データに基づいて、前記異常処理単位に対応する処理対象データを補正する補正データを生成する、請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記異常補正部は、前記異常処理単位と時系列的に連続する過去の処理単位に対応する正常な処理対象データと、前記異常処理単位と時系列的に連続する未来の処理単位に対応する正常な処理対象データと、を平均化したデータに基づいて、前記異常処理単位に対応する処理対象データを補正する補正データを生成する、請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記処理対象データは画像データである、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
外部から受信するデータ信号に含まれる処理対象データに対し、当該データ信号に含まれる外部クロックを用いて、前記処理対象データに対する所定のデータ処理を実行するデータ処理手段を備えるデータ処理装置におけるデータ処理方法であって、
前記データ処理装置が
前記外部クロックとは別系統のクロックであって、前記外部クロックよりも低インピーダンスのクロックによる動作で前記データ処理の実行を制御するデータ処理制御手段と、
前記データ処理制御手段の動作に用いられる内部クロックを前記外部クロックから生成するPLL回路を含む内部クロック生成手段と、
を備え、
前記データ処理制御手段が、
前記内部クロック生成手段から供給されるPLLロック信号及び前記外部クロックとは別系統の低インピーダンスのクロックであるOSC供給クロックと、に基づいて、前記外部クロックの状態を検知し、
当該外部クロックの異常を検知したときは、当該外部クロックの異常が検知された期間に受信された前記処理対象データを破棄する、ことを特徴とするデータ処理方法。
【請求項11】
光学的に読み取った画像データをクロック信号と共に送信するデータ取得装置と、前記データ取得装置から前記画像データと前記クロック信号を受信して、当該クロック信号を用いて前記画像データに対する所定のデータ処理を実行するデータ処理装置と、を有する画像読取装置であって、
前記データ処理装置は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のデータ処理装置であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項12】
外部から入力された処理対象データに対して所定のデータ処理を実行するデータ処理装置によって処理されたデータを用いて記録媒体に画像を形成して出力する画像形成装置であって、
前記データ処理装置は、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のデータ処理装置であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、画像読取装置、画像形成装置及びデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
伝送路を介して外部の装置から受け取った処理対象データに対し、所定のデータ処理を実行するデータ処理装置が知られている。当該データ処理装置は、様々な機器に搭載される。例えば、プリンタスキャナなどの画像読取機器にも上記のデータ処理装置は搭載されていて、イメージセンサ等を備える画像読取部が読み取ったデータを、伝送路を介して受け取り、これを画像データとして出力するための所定のデータ処理を行う。
【0003】
データ処理装置では、例えば画像読取部からシリアル伝送路を介してデータとともにクロック信号や、処理単位を示す同期信号を受け取る。伝送中において静電気などのノイズの影響で同期信号に異常が生ずると、正常なデータ処理をできなくなる。そこで、従来のデータ処理装置では、伝送中に外因によって同期信号に異常が生じたときは、異常となった処理単位のデータを破棄し、残りの正常なデータを処理対象として後段の装置に出力し、後段の装置における処理を安定させていた(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、シリアル伝送路を介して受信されるクロックが安定していることを前提としている。したがって、同期信号に異常が発生した場合であってライン同期の場合、異常が発生したラインを破棄する。したがって、シリアル伝送クロックがノイズの影響で異常にあったとき(PLLロック信号が外れたとき)には、データ処理を行うときに用いられるクロック(後段クロック)が生成できなくなってしまう。後段クロックが生成できなくなると、データ処理の異常を検知する異常検知回路の誤動作によって、異常が発生したラインを破棄する動作が正常に行われなくなり、出力されるデータへの悪影響を抑制できなくなる、という課題がある。
【0005】
本発明は、外部から受信した信号に基づくデータ処理を行うとき、ノイズが重畳したデータを受信してもデータ処理への悪影響を抑制できるデータ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、外部から、処理対象データと外部クロックを受信し、前記処理対象データに対する所定のデータ処理を実行するデータ処理装置であって、前記外部クロックとは別系統のクロックであって、前記外部クロックよりも低インピーダンスのクロックによる動作で前記データ処理の実行を制御するデータ処理制御手段と、前記データ処理制御手段の動作に用いられる内部クロックを前記外部クロックから生成するPLL回路を含む内部クロック生成手段と、を備え、前記データ処理制御手段は、前記内部クロック生成手段から供給されるPLLロック信号及び前記外部クロックとは別系統の低インピーダンスのクロックであるOSC供給クロックと、に基づいて、前記外部クロックの状態を検知した結果の通知をするクロック状態検知部と、前記通知が前記外部クロックの異常を示すものであるとき、前記外部クロックの異常に起因して生じた前記処理対象データに係る異常を補正する異常補正部と、を含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外部から受信した信号に基づくデータ処理を行うとき、ノイズが重畳したデータを受信してもデータ処理への悪影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るデータ処理装置を含むデータ処理システムの例を示す構成図。
【
図2】本発明に係るデータ処理装置の実施形態を示す構成図。
【
図3】本発明に係るデータ処理装置の別の実施形態を示す構成図。
【
図4】本発明に係るデータ処理装置のさらに別の実施形態を示す構成図。
【
図5】本発明に係るデータ処理装置のさらに別の実施形態を示す構成図。
【
図6】上記データ処理装置の実施形態における処理対象データのライト動作とリード動作の正常時の例を示すタイミングチャート。
【
図7】上記データ処理装置の実施形態における処理対象データのライト動作とリード動作の異常時の例を示すタイミングチャート。
【
図8】上記ライト動作とリード動作による処理後のデータの様子を模式的に示す図。
【
図9】本発明に係るデータ処理装置のさらに別の実施形態を示す構成図。
【
図10】上記データ処理装置の実施形態における処理対象データのライト動作とリード動作の正常時の例を示すタイミングチャート。
【
図11】上記データ処理装置の実施形態における処理対象データのライト動作とリード動作の異常時の例を示すタイミングチャート。
【
図12】本発明に係る画像読取装置の実施形態を示す構成図。
【
図13】本発明に係る画像形成装置の実施形態を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[データ処理装置の実施形態]
本発明に係るデータ処理装置は、処理対象データに対して所定のデータ処理を行う装置に搭載されるものである。例えば、記憶媒体に形成されている画像を光学的に読みとって画像データを生成するスキャナなどの画像読取装置に搭載される場合は、画像読取部と画像処理部との間などに配置される。また、記録媒体に画像を形成する画像形成装置に搭載される場合は、形成対象の画像データを外部装置から受け取るデータ入力部と、画像形成部との間などに配置される。
【0010】
[データ処理システムの全体構成]
本発明に係るデータ処理装置の実施形態であるデータ処理制御装置10を適用可能なデータ処理システム1の概略的な構成について説明する。
図1に示すように、データ処理システム1は、データ処理制御装置10と、データ取得装置20と、データ出力装置30と、伝送路40と、を含むシステムである。
【0011】
データ取得装置20は、データ取得部21と信号送信部22を備えていて、例えば、スキャナであれば、画像読取部に相当するデータ取得部21が取得した処理対象データを、信号送信部22がデータ信号にしてデータ処理制御装置10に伝送する。データ処理制御装置10は処理対象データを所定の形式にしてデータ出力装置30に渡す。データ出力装置30では、処理対象データから画像データを生成して出力する。
【0012】
例えば、データ処理システム1が画像形成装置であれば、データ出力装置30は画像形成処理を実行して記録媒体に画像を形成して排出する画像形成部に相当する。
【0013】
伝送路40は、データ取得装置20からデータ処理制御装置10へデータ信号やクロック信号を伝送するための複数の信号線を束にしたケーブル(ハーネスとも言う)により構成される。伝送路40における伝送インピーダンスは一般的に高くなりやすく、伝送途中のデータ信号等に対してノイズが重畳されやすい。そこで、外部ノイズの影響を抑制するような工夫をケーブルに施すこともするが、突発的に生ずる静電気等で生ずるノイズの影響を完全に排除することは困難である。そこで、データ処理制御装置10では、受信したデータ信号に対するノイズ対策を講じることとした。なお、伝送路40においてデータ信号をノイズの影響を受ける確率は、伝送路40を構成する信号線が長ければ長いほど高まる。
【0014】
データ処理制御装置10は、外部の装置(
図1ではデータ取得装置20)から処理対象データと共に伝送されてくるクロック信号(外部クロック)の異常を検知する構成を備える。そして、外部クロックの異常を検知したときには、後段の装置(
図1ではデータ出力装置30)に対し出力する処理対象データを可能な限り正常な態様で出力できるように、所定のデータ処理を実行する構成を備える。例えば、異常になったデータを正常なデータで補完するような処理(補正処理とも言う)を行い、正常なデータで構成された処理対象データをデータ出力装置30に対して出力するように制御できる。
【0015】
データ処理制御装置10は、所定のデータ処理を実行する機能を備える回路基板と同一の回路基板に搭載されるOSC(electronic oscillator)120が生成したクロックを用いて、外部クロックの異常を検知するように構成されている。このOSC120は、データ処理制御装置10が備えるデータ処理制御手段(データ処理制御部)を構成する回路が形成される回路基板と同一の基板上であって、データ処理制御部の近傍に配置される。
【0016】
したがって、OSC120からデータ処理制御部に内部クロックを供給するための信号線の伝送路長は、伝送路40と比較して短いので、OSC120から供給されるクロックは、外部から得るクロック(外部クロック)よりもインピーダンスが低いクロックである。したがって、データ処理制御部が動作に用いるクロック(内部クロック)は、外部クロックより低いインピーダンスになるから、外部クロックに比較して静電気などのノイズの影響を受けにくい。すなわち、データ処理制御装置10における内部クロック(OSC供給クロック)は、外部クロックが異常になっても、異常にならない別系統のクロックと言える。
【0017】
データ処理制御装置10のように、外部クロックの異常を検知して所定のデータ処理制御するデータ処理制御手段の動作クロックとして、低インピーダンスのOSC供給クロックを用いると、異常になった処理対象データを補正する回路の動作を継続することができる。つまり、データ処理制御装置10は、データ取得装置20から伝送されるデータ信号がノイズの影響を受けとしても、ノイズ影響の区間のデータ(異常データ)を補正して後段の装置に出力できるので、出力データに対するノイズの悪影響を抑制できる。
【0018】
[データ処理制御装置10の第一実施形態]
次に、本発明に係るデータ処理装置の第一実施形態であるデータ処理制御装置10の構成について、
図2を用いて説明する。
図2に示すようにデータ処理制御装置10は、データ取得装置20からのデータ信号を受信する受信部101と、データ受信処理部102と、データ書出部103と、データ記憶部104と、データ読出部105と、ロック外れ検知部106と、データ読出信号生成部107と、を備えている。
【0019】
受信部101は、データ処理部111と、クロック処理部112と、を備えるデータ受信手段である。データ処理部111は、データ取得装置20から送信されたデータ信号に含まれる処理対象データを後段回路に引き渡す。また、クロック処理部112は、データ取得装置20から送信されたデータ信号に含まれるクロック信号(外部クロック)を後段回路に引き渡す。なお、「後段回路」とは、データ受信処理部102及びデータ書出部103であって、これらが処理対象データに対する所定のデータ処理を実行するデータ処理手段を構成する。
【0020】
データ受信処理部102は、クロック処理部112から渡された後段クロックを用いて、データ処理部111から渡されたデータを所定単位に分割する処理を行い、これをデータ書出部103に渡す処理を行う。ここで、「所定単位」とは、例えば、処理対象データが画像データであれば、一定の「画素単位」や「ライン単位」のように画素を基準とした単位や、当該データに基づいて形成される画像の長さを基準とした単位、などである。また、所定単位に分割されたデータとは、処理対象データが画像データであって、所定単位が「ライン単位」であるとき、一つの画像(面)を構成する複数のライン画像に分割した「ラインデータ」である。
【0021】
データ書出部103は、クロック処理部112からの後段クロックに基づいて、所定単位間隔でデータ書出側同期信号を生成し、このデータ書出側同期信号に基づいて、データ受信処理部102から渡された処理対象データを順次、データ記憶部104に書き出す。また、データ書出部103は、生成したデータ書出側同期信号をデータ読出信号生成部107に渡す。
【0022】
データ記憶部104は、渡された処理対象データを順次記憶する。そして、データ記憶部104に記憶された処理対象データは、データ読出側同期信号に基づいてデータ読出部105に引き渡されて、データ出力装置30へと出力される。
【0023】
データ読出部105は、データ読出側同期信号に基づいて、データ記憶部104からデータを読み出してデータ出力装置30に、読み出したデータを渡す。
【0024】
ロック外れ検知部106は、OSC120から供給される「OSC供給クロック」に基づいて動作し、クロック処理部112から渡された外部クロックに関するロック信号の「ロック外れ」を検知する。ロック外れ検知部106は、検知結果(ロック外れ検知信号)をデータ読出信号生成部107に渡す。ロック外れ検知部106は、クロック状態検知部に相当する。
【0025】
データ読出信号生成部107は、データ読出側同期信号を生成し、データ読出部105に渡す。データ読出側同期信号は、データ書出部103から渡されたデータ書出側同期信号を、低インピーダンスの水晶発振器(OSC120)の出力クロック(OSC供給クロック)で同期化して生成した同期信号である。データ読出信号生成部107がデータ読出側同期信号をデータ読出部105に渡す期間は、ロック外れ検知部106から渡されるロック外れ検知信号における「ロック外れ期間」に該当しない期間である。
【0026】
図2に示すように、外部クロックの異常を検出して所定のデータ処理を実行するデータ処理制御手段を構成するロック外れ検知部106、データ読出信号生成部107、データ読出部105は、いずれも低インピーダンスのOSC供給クロックで動作する回路である。したがって、すなわち、本実施形態に係るデータ処理制御手段は、静電気などによるノイズの影響を受けずに動作できる。
【0027】
ロック外れ検知部106において、外部クロックのロックが外れていると判定されたときは、それを通知するようにロック外れ検知信号が出力される。また、データ読出信号生成部107において、ロック外れ検知信号に基づいてラインメモリ:リード側同期信号のマスク信号が生成される。このマスク信号において「ロック外れ期間」となっているときのタイミングでは、外部クロックがノイズの影響を受けていることになる。すなわち、この期間に対応する処理対象データは異常データになっている可能性がある。そこで、異常データの可能性がある処理対象データはデータ出力装置30に出力させないようにするために、データ記憶部104からの読み出しが行われないように処理をする。
【0028】
これによって、処理対象のデータが例えば画像データであれば、異常が発生している画像を破棄することができ、出力される画像へのノイズの影響を抑制することができる。
【0029】
なお、OSC120は、水晶発振器が例示されるが、これに限定するものではない。例えば、水晶振動子と発振セルの組み合わせや、クロックバッファなどの構成を用いてもよい。
【0030】
以上のとおり、本実施形態に係るデータ処理制御装置10は、外部クロックに比較して低インピーダンスのクロックを用いて動作するロック外れ検知部106からロック外れ検知信号が出力される。また、データ読出信号生成部107において、ロック外れ検知信号に基づいてラインメモリ:リード側同期信号のマスク信号が生成される。このマスク信号が「外部クロックがロックされている(処理対象データはノイズの影響を受けていない)」ことを示すものであるときは、処理対象データをデータ記憶部104から読み出すためのデータ読出同期信号をONにする。
【0031】
一方、マスク信号が「外部クロックがロックされていない(処理対象データはノイズの影響を受けて異常になっている可能性がある)」ことを示すものであるときは、処理対象データをデータ記憶部104から読み出すためのデータ読出同期信号をOFFにする。このように、データ記憶部104からのデータ読出処理を制御することで、異常データの出力を抑制することができる。
【0032】
[データ処理制御装置10の第二実施形態]
次に、本発明に係るデータ処理装置の第二実施形態であるデータ処理制御装置10aの構成について、
図3を用いて説明する。
図3に示すようにデータ処理制御装置10aは、すでに説明をしたデータ処理制御装置10と同様の構成を多く備えている。以下、データ処理制御装置10と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を割愛する。データ処理制御装置10aは、データ処理制御装置10と異なる構成として、受信部101a及びPLLロック外れ検知部106aを備えているので、これらに関し、主に説明する。
【0033】
受信部101aは、S/P処理部111aと、PLL部112a、とを備えている。S/P処理部111aは、すでに説明をしたデータ処理制御装置10と同様に、信号送信部22から送信されたデータ信号に含まれるデータを後段回路に引き渡す。また、PLL部112aは、すでに説明をしたクロック処理部112と同様に、信号送信部22から送信されたデータ信号に含まれるクロック(外部クロック)から内部クロックを生成し、これを後段クロックとして後段回路に引き渡す。したがって、PLL部112aは、内部クロック生成手段を構成する。
【0034】
データ取得装置20が備えるデータ取得部21(
図1参照)がイメージセンサであって、多ビットデータを出力するデータ取得手段である場合、例えば、RGBそれぞれで10ビットのデータを出力する場合、伝送路40において伝送されるデータは30ビットのデータ信号となる。これをデータ処理制御装置10aに送信する必要があり、受信部101aは、30ビットのデータ信号を受信する必要がある。
【0035】
30ビットのデータ信号をパラレル伝送方式で送信する場合の伝送路40は、信号線ケーブル(ハーネス)の本数が多くなり、コストが増加することになる。これを抑制するために、多ビットデータの伝送にはシリアル伝送方式が用いられる。シリアル伝送方式の場合、信号送信部22において、データをパラレルからシリアルに変換して送信するので、受信部101aでは、S/P処理部111aにおいてシリアルデータをパラレルデータに変換し、そのデータを後段の回路に引き渡す。
【0036】
また、シリアルデータに含まれて送信されてくるクロックを用いて、PLL部112aが後段クロックを生成し、後段回路に渡す。すなわち、後段クロックはデータ取得装置20からの外部クロックに基づいてPLL部112aで生成される。また、PLL部112aは信号送信部22から受信した外部クロックがロックされている場合にはロック信号をPLLロック外れ検知部106aに渡す。
【0037】
ロック外れ検知部106aは、PLL部112aからPLLロック信号と、OSC120から供給される「OSC供給クロック」とに基づいて、PLLロック信号の「ロック外れ」を検知する。ロック外れ検知部106は、検知結果を示す「ロック外れ検知信号」をデータ読出信号生成部107に渡す。ロック外れ検知部106aは、クロック状態検知部に相当する。
【0038】
データ読出信号生成部107は、「ロック外れ検知信号」に基づいてラインメモリ:リード側同期信号のマスク信号を生成する。マスク信号はロック外れ期間であることを示すものであり、データ読出側同期信号を制御するための信号である。
【0039】
ロック外れ検知部106aは、外部クロックよりも低インピーダンスであるOSC供給クロックに基づいて動作をする。したがって、PLLロック外れ検知部106aにおけるPLLロック信号の判定動作は、外部クロックがノイズの影響を受けていたとしても、これに左右されずに行われる。また、データ読出信号生成部107についても同様である。したがって、外部クロックと共に伝送されてくるデータに異常データが含まれている可能性がある部分をデータ出力装置30に出力せず、正常なデータのみを出力するように制御する。これによって、処理対象データが画像データであれば、出力画像に対するノイズの影響を軽減することができる。
【0040】
[データ処理制御装置10の第三実施形態]
次に、本発明に係るデータ処理装置の第三実施形態であるデータ処理制御装置10bの構成について、
図4を用いて説明する。データ処理制御装置10bの説明においても、すでに説明をしたデータ処理制御装置10及びデータ処理制御装置10aと同様の構成については、詳細な説明を省略する。そして、異なる構成である、データ書出部103b、データ記憶部104b、ラインデータ読出部105b、及びデータ読出信号生成部107bについて、主に説明する。
【0041】
データ書出部103bは、データ受信処理部102においてライン単位に分割された分割データをデータ記憶部104bが備える第一ラインメモリ1041又は第二ラインメモリ1042に書き出す。
【0042】
データ記憶部104bは、第一ラインメモリ1041と、第二ラインメモリ1042と、を備えている。データ記憶部104bは、データ書出部103bから渡される分割データを、第一ラインメモリ1041と第二ラインメモリ1042に交互に記憶する。
【0043】
ラインデータ読出部105bは、データ読出信号生成部107bからのデータ読出側同期信号(ラインデータ読出側同期信号)に基づいて、第一ラインメモリ1041及び第二ラインメモリ1042からデータを読み出して、データ出力装置30に読み出したデータを渡す。
【0044】
データ読出信号生成部107bは、データ書出側同期信号をOSC供給クロックで同期させた同期信号であるラインデータ読出側同期信号をラインデータ読出部105bに渡す。データ読出信号生成部107bがラインデータ読出側同期信号をラインデータ読出部105bに渡す期間は、データ読出信号生成部107bで生成されるラインメモリ:リード側同期信号のマスク信号において、「ロック外れ期間」に該当しない期間である。
【0045】
以上のように、データ処理制御装置10bでは、データ受信処理部102において「ライン単位」でデータを分割し、この「ラインデータ」をデータ書出部103がデータ記憶部104bに書き出して記憶されたラインデータをラインデータ読出部105bが読み出す。単に、ラインデータの書き出し・読み出しをする動作であれば、ラインデータを書き出し開始から、ラインデータを読み出すタイミングを遅らせることで実現可能である。
【0046】
しかし、書き出している途中のラインデータにノイズの影響があって異常なデータを含む場合には、第一ラインメモリ1041又は第二ラインメモリ1042に書き込まれてしまった異常データを読み出してしまい、これを回避することができなくなってしまう。
【0047】
そこで、異常データが発生したラインメモリからのデータ読み出しを回避するために、ラインメモリを2ラインの構成(第一ラインメモリ1041及び第二ラインメモリ1042)とする。そして、書き出しが完了したラインを1ライン分遅れたタイミングにて読み出す。その上で、すでに書き出したデータに異常がある場合には、読み出す処理を行わないようにし、異常が発生したラインデータを破棄する。
【0048】
データ処理制御装置10bは、低インピーダンスのクロックを用いて外部クロックの異常検知し、かつ、処理対象データの保持単位(分割単位)をライン単位とする。これによって、信号送信部22から送信されてきたデータの異常が含まれている可能性が高い場合、破棄するデータをライン単位とすることができる。その結果、処理対象データが画像データであれば、出力画像に対するノイズの影響を軽減する処理を簡易にすることができる。
【0049】
[データ処理制御装置10の第四実施形態]
次に、本発明に係るデータ処理装置の第四実施形態であるデータ処理制御装置10cについて、
図5を用いて説明する。データ処理制御装置10cにおいても、すでに説明をしたデータ処理制御装置10、データ処理制御装置10a及びデータ処理制御装置10bと同様の構成を多く備えている。データ処理制御装置10b等と大きく異なる構成として、LVDS(Low voltage differential signaling)レシーバ101cと、データ書出部103cと、を備えている。以下、これらについて、主に説明する。
【0050】
データ取得部21がイメージセンサであって、CCD(Charge Coupled Device)/AFE(Analog Front End)を画像読取素子に用いた場合、信号送信部22から送信されるデータ信号に含まれるデータには、1ライン分の開始を示す同期信号が含まれてくる。この同期信号を用いることで、データ書出部103cのデータ書出動作と、ラインデータ読出部105bのラインデータ読出動作を実行することができる。
【0051】
また、LVDSレシーバ101cは、LVDS方式によるデータ伝送に対応する受信回路である。LVDS方式は、二本の伝送路40を使用する差動信号システムであり、二つの異なる電圧を送信し、受信側で両者を比較する方式である。LVDS方式を用いることによって、EMI(Electro-magnetic Interference)の低減が可能である。
【0052】
[正常時のリード動作とライト動作の流れ]
次に、データ処理制御装置10等が備えるデータ書出部103等により、処理対象データのデータ記憶部104等への書き込む動作と、データ読出部105等により、処理対象データをデータ記憶部104等からの読み出す動作について説明する。なお、以下の説明において、「書き込む動作」を「ライト動作」とし、「読み出す動作」を「リード動作」とする。
図3は、処理対象データの伝送時にノイズが影響を与えなかった正常時のライト動作とリード動作の様子を示すタイミングチャートである。
【0053】
また、以下、本明細書において、タイミングチャートを用いて「所定のデータ処理」(ライト動作とリード動作)を説明するときは、データ処理制御装置10cの構成を前提にする。なお、すでに説明をしたデータ処理制御装置10、10a、10bの構成であっても、動作の流れは概ね同様である。例えば、データ記憶部104bはラインメモリであって、データ記憶部104はメモリ方式を限定していない、という差異があるが、いずれにおいても、受信部101(LVDSレシーバ101c)で生成される後段クロックに基づいて生成されるデータ書出側同期信号に基づいて、ライト動作が実行される。また、OSC120からのクロック(OSC供給クロック)と同期化することでデータ書出側同期信号から生成されるデータ読出側同期信号に基づいてリード動作が実行される。
【0054】
すでに述べたように、
図6は、データ取得装置20から受信したデータ信号にノイズが重畳していない場合のライト動作とリード動作の例である。
【0055】
図6(a)は、LVDSレシーバ101cにおいて、所定の時間連続して正常に受信されたデータ信号に含まれる処理対象データを例示している。
【0056】
図6(b)は、LVDSレシーバ101cのPLL部112cから出力された後段クロックに基づいて、データ書出部103cで生成されるデータ書出側同期信号を例示している。
【0057】
図6(c1)は、LVDSレシーバ101cのPLL部112cから出力されるPLLロック信号を例示している。このPLLロック信号は、外部クロックのロックが外れていない(ノイズの影響を受けていない)ときには「H」のまま出力される。
【0058】
また、
図6(c2)は、PLLロック外れ検知部106aから出力されるロック外れ検知信号を例示している。このロック外れ検知信号は、PLLロック信号の立ち下がりを検知して「H」を出力する信号である。外部クロックのロックが外れていない(ノイズの影響を受けていない)ときには「L」のまま出力される。
【0059】
図6(d)は、データ読出信号生成部107bにおいて、ロック外れ検知信号に基づいて生成される「ラインメモリ:リード側同期信号のマスク信号」を例示している。
図6の例では、受信したデータ信号に異常が発生していないので、ロック外れ検知信号は「ロック外れ」になることはない。この場合、「ラインメモリ:リード側同期信号のマスク信号」は、「L」のまま出力される。
【0060】
図6(e)は、データ読出信号生成部107bにおいて、データ書出側同期信号をOSC供給クロックで同期化して生成され、ラインデータ読出部105bに渡されるデータ読出側同期信号を例示している。
【0061】
図6(f)は、データ書出同期信号によるデータ記憶部104bへのライト動作のタイミングを例示している。ここで、処理対象データはデータ受信処理部102において所定の間隔で分割されているので、この分割単位での書き込み動作となる。データ書出側同期信号が「A」に相当する区間のデータは「データA」として第一ラインメモリ1041に書き込まれる。データ書出側同期信号が「B」に相当する区間のデータは「データB」として第二ラインメモリ1042に書き込まれる。このライト動作は交互に行われる。
【0062】
図6(g)は、データ読出信号生成部107bにおいて生成されるラインメモリ切替信号を例示している。ラインメモリ切替信号は、OSC供給クロックに同期化したデータ書出側同期信号から生成されるデータ読出側同期信号に同期して反転するライト選択信号とリード選択信号から構成されている。ラインデータ読出部105bは、ラインメモリ切替信号に基づいて第一ラインメモリ1041と第二ラインメモリ1042に対するリード動作を交互に切り替える。
【0063】
ロック外れ状態になっているとき、PLLロック信号はネゲートする。
図6の例では、ロック外れ状態は生じていないので、PLLロック信号はアサートされたままになっている。この場合、PLLロック外れ検知部106aから出力されるロック外れ検知信号(
図6(c2))は、ネゲートしたままとなる。また、データ読出信号生成部107bで生成されるラインメモリ:リード側同期信号のマスク信号(
図6(d))は「ロック外れ無し」を示すものである。
【0064】
データ書出部103cは、まず、データ書出側同期信号を基準として、第一ラインメモリ1041に「データA」を書き出す。続いて、データ読出信号生成部107bがデータ書出側同期信号をOSC供給クロックに同期化させたデータ読出信号によって、ラインデータ読出部105bが第一ラインメモリ1041から「データA」を読み出す。このとき同時に、データ書出部103がデータ書出側同期信号を基準として第二ラインメモリ1042に「データB」を書き出す。続いて、データ書出部103cが、データ書出側同期信号を基準として、第一ラインメモリ1041に「データC」を書き出し、同時にラインデータ読出部105bが第二ラインメモリ1042から「データB」を読み出す。
【0065】
以上のように、所定の単位に分割された外部入力データは、交互に第一ラインメモリ1041と第二ラインメモリ1042へライト動作によって書き込まれ、ラインデータ読出部105bによる交互のリード動作によって読み出され、後段のデータ出力装置30へ、正常な順番で出力される。
【0066】
[異常時のリード動作とライト動作の流れ]
次に、本実施形態に係る「ライト動作」と「リード動作」について、外部から受信したデータにノイズの影響などがあり、異常処理が発生する場合を例示する。
【0067】
図7では、データ取得装置20から受信したデータ信号に含まれる処理対象データの区間Bと区間Cを区別する同期信号がノイズの影響を受けて異常になったものとする。この場合、区間Bの「データB」と区間Cの「データC」がともに異常データになっている可能性がある。
【0068】
この場合、PLLロック信号(PLL:ロック信号)の一部が「L」になり、データBとデータCに相当するラインデータでPLL部112aのロック外れが発生していて、この場合(異常データ範囲)の処理対象データを補正する必要がある。そこで、本実施形態においては、異常画像範囲の画像データを補正するために、PLL部112aのロックはずれが発生しているラインでデータ書出側同期信号(ラインメモリ:ライト側同期信号)を内部で生成する。そして、データ読出側同期信号のマスク信号(ラインメモリ:リード側同期信号のマスク信号)をアサートする。
【0069】
そして、データ読出側書出同期信号のマスク信号の反転信号とデータ読出側信号(ラインメモリ:リード側同期信号)の論理積(AND演算の結果)を「ラインメモリ:リード側同期信号(ラインメモリ切り替え用)」として生成する。
【0070】
本実施形態では「ラインメモリ:リード側同期信号(ラインメモリ切り替え用)」を切り替えないことで、PLLロック外れが発生している期間において、前ラインの正常なデータを読み出し続ける。
【0071】
ここで「前ラインの正常なデータ」とは、時系列的に連続する処理単位に分割されている分割処理対象データにおいて、一つ前の過去のタイミングでの処理単位に相当する正常なデータを意味する。
【0072】
本実施形態において、「ラインメモリ:リード側同期信号のマスク信号」は、PLLロック信号から立ち下がりエッジ検出でアサートし、「ラインメモリ:リード側同期信号(ラインメモリ切り替え用)」がアサートしているときのPLLロック信号をメモリ書出側のクロックで同期化した信号をモニタし、PLLロック信号をメモリ書込側のクロックで同期化した信号でネゲートする。
【0073】
以上のような所定のデータ処理を実行することにより、本実施形態に係るデータ処理制御装置10等では、処理対象データ(ラインデータ)にノイズの影響が発生する処理単位に対し、データを補正する処理を実行することができる。ここでの補正処理は、1ライン前の正常な処理対象データを用いて異常区間を置き換える処理である。
【0074】
すなわち、本実施形態に係るデータ処理制御装置10dにおいて、データ書出部103b、データ記憶部104b、ラインデータ読出部105b、ロック外れ検知部106a、データ読出信号生成部107bによって、異常補正部が構成される。
【0075】
つまり、本実施形態に係るデータ処理制御装置10等では、外部からの同期信号がロック外れのタイミングと重なってしまい消失したときでも、ラインメモリへの書き出し、読み出しが行えなくなることを抑制する。その一例として、異常となった区間の処理対象データを正常な処理対象データで補完できるように補正データを生成する。この生成処理を実行する回路の動作クロックは、外部クロックよりもインピーダンスが低くてノイズの影響を受けにくい内部クロックとすることで、ノイズの影響が発生しても補正データの生成することができる。
【0076】
[PLLロック外れ時の画像データ処理例]
図8は、
図7に例示したライト動作とリード動作の結果として出力されるデータ(画像データ)の様子を模式的に示したものである。
【0077】
画像データの処理単位はライン単位であり、複数ラインに異常画像が含まれる場合について説明する。
図8(a)は、ラインメモリの入力データであるが、区間Bと区間CのデータがPLL信号のロック外れ期間になっているので、異常データとなっている。
【0078】
図7のタイミングチャートで例示したリード動作によって出力される画像データの例を
図8(b)に例示する。
図8(b)に示すように、区間Aの正常データの次は、異常画像となる区間Bなので、この場合は、一つ前の区間(区間A)の正常データ(データA)を用いて、区間Bを補完する。このように、ロック外れ期間のデータは欠損しており復元することはできないが、全体のライン数は変わらないように処理対象データを補正できるので、出力データの質への悪影響を抑制できる。
【0079】
[データ処理制御装置10の第五実施形態]
次に、本発明に係るデータ処理装置の第五実施形態であるデータ処理制御装置10dについて、
図9を用いて説明する。データ処理制御装置10dにおいても、すでに説明をしたデータ処理制御装置10、データ処理制御装置10a、データ処理制御装置10b及びデータ処理制御装置10cと同様の構成を多く備えている。データ処理制御装置10c等と大きく異なる構成として、データ記憶部104dにおいてラインメモリが4ラインに増えている点が挙げられる。また、データ処理制御装置10dは、画像データ生成部108を更に備えている。
【0080】
データ処理制御装置10dは、PLLロック外れが発生した異常ラインのデータについて、前後のラインデータから補正データを生成することができる。
【0081】
データ処理制御装置10dは、PLLロック外れ検知部106aが出力する検知信号において、ロックされていることを示すとき、ラインメモリ(データ記憶部104d)のデータをそのまま使用する。
【0082】
PLLロック外れ検知部106aの検知結果がアンロックであることを示すときには、画像データ生成部108を制御することにより、異常が発生したラインデータを前後の正常なラインデータから生成して、置き換える制御を行う。
【0083】
異常が発生した区間に相当するラインデータは、「異常処理単位に対応する処理対象データ」とする。また、異常が発生していない(正常な)区間に相当するラインデータは、「正常処理単位に対応する処理対象データ」とする。そして「「ラインデータの前後」とは、時系列的に連続している処理単位において、ある処理単位(ある区間)を起点とした場合、1つ過去の処理単位と一つ未来の処理単位を意味する。
【0084】
[第五実施形態に係る正常時のリード動作とライト動作の流れ]
次に、第五実施形態に係るデータ処理制御装置10dにおける「ライト動作」と「リード動作」について
図10及び
図11を用いて説明する。
図10に例示するタイミングチャートは、外部から受信したデータにノイズの影響などがなく正常処理を行う場合を例示している。
【0085】
図10に示すように、「PLL:ロック信号」(PLLロック信号)が外れない場合、外部から入力される処理対象データ(例えば、画像データ)は正常である。この場合「ラインメモリ:ライト側同期信号」(データ書出側同期信号)を基準として、ラインデータのラインメモリに対してライト動作をする。
【0086】
また、「ラインメモリ:ライト側同期信号」によって、ラインメモリの書き込み先の選択(ライト選択)を切り替えて、4ラインあるラインメモリに順番にライト動作を実行する。
【0087】
また、「ラインメモリ:リード側同期信号」(データ読出側同期信号)を基準として、ラインメモリに対してリード動作をする。これによって、ラインデータが読み出される。
【0088】
また、「ラインメモリ:リード側同期信号」によって、ラインメモリの読み出し元の選択(リード選択)を切り替えて、4ラインあるラインメモリに対して順番にリード動作をする。
【0089】
ラインメモリライト(ライト動作)がなされてから、2ライン遅延後に、ラインメモリリード(リード動作)を実行することによって、処理対象データ(例えば画像データ)を出力する。
【0090】
[第五実施形態に係る異常時のリード動作とライト動作の流れ]
次に、第五実施形態に係るデータ処理制御装置10dにおける異常時の「ライト動作」と「リード動作」
図11を用いて説明する。
図11に例示するタイミングチャートは、外部から受信したデータにノイズの影響などを受けて異常処理が生ずる場合を例示している。
【0091】
図11では、「PLL:ロック信号」が一部でも、「L」になっているデータCの区間(ラインデータC)のタイミングにおいて、PLL回路を含むPLL部112aのロックはずれが発生している状態を示している。この場合、ラインデータCに当たる画像が異常画像となる可能性がある。
【0092】
この場合、データ処理制御装置10は、異常画像範囲の画像データを補正するために、PLL部112aのロックはずれが発生しているライン(ラインC)において、「ラインメモリ:ライト側同期信号」を内部で生成する。そして、「ラインメモリ:リード側同期信号のマスク信号」をアサートする。そして、「ラインメモリ:リード側同期信号のマスク信号」の反転信号と「ラインメモリ:リード側同期信号」の論理積(AND演算の結果)を「ラインメモリ:リード側同期信号(ラインメモリ切り替え用)」として生成する。
【0093】
また、「ラインメモリ:リード側同期信号(ラインメモリ切り替え用)」を切り替えないことで、PLLロック外れが発生している期間において、前ラインの正常なデータを読み出し続ける。
【0094】
そして、「ラインメモリ:リード側同期信号のマスク信号」は、「PLL:ロック信号」の立ち下がりのエッジ検出においてアサートし、「ラインメモリ:リード側同期信号(ラインメモリ切り替え用)」アサート時の「PLL:ロック信号」をラインメモリリード側のクロックで同期化した信号をモニタする。また、「PLL:ロック信号」をラインメモリリード側のクロックで同期化した信号でネゲートする。
【0095】
「画像データエラーフラグ」は読み出すデータが異常データで有ることを示すフラグであり画像データ生成部108で使用される。PLLロック外れから、2ライン遅延後に出力後に読み出されるデータが異常画像であるため、画像データエラーフラグもタイミングを合わせて出力させる。
【0096】
「画像データエラーフラグ」がアサートされている場合には、画像データ生成部108の出力に切り替える制御をする。
【0097】
図10に示すように、本実施形態に係るデータ処理制御装置10dは、ラインデータの補正を行う方法として、異常発生ラインの前後のデータを平均化したデータで置き換える。
図10では、1ライン内(1処理単位の期間内)での異常発生の場合を説明しているが、複数ライン(複数の処理単位に及ぶ期間内)において異常が発生する場合には、ラインメモリを増やすことで対応することが可能である。
【0098】
以上のようにリード動作とライト動作を行うことで、データ処理制御装置10dは、簡潔な補正方法により、異常データの影響を軽減させることができる。
【0099】
上記のライト動作とリード動作の説明は、四つのラインメモリを備えるデータ処理制御装置10dに基づくものである。上述したとおり、他の実施形態(データ処理制御装置10、10a、10b、10c)においても概ね同様の動作が可能である。
【0100】
[画像読取装置の実施形態]
次に、本発明に係る画像読取装置の実施形態について、
図7を用いて説明をする。
図7は、本実施形態に係るスキャナ装置200の構成例を示す断面図である。スキャナ装置200は、ディジタル複写機、ディジタル複合機、ファクシミリ装置等の画像形成装置に搭載される装置、または単体の装置であって、前述したデータ取得装置20と伝送路40とデータ処理制御装置10と、を少なくとも備えている。
【0101】
スキャナ装置200は、上面に原稿を載置するコンタクトガラス203を備えている。さらに、このスキャナ装置200は、原稿露光用の光源214及び第一反射ミラー209からなる第一キャリッジ211と、第二反射ミラー207及び第三反射ミラー208からなる第二キャリッジ206を備えている。また、このスキャナ装置200は、第三反射ミラー208で反射された光を、撮像素子213の受光領域上に結像させるためのレンズユニット212を備えている。
【0102】
さらに、このスキャナ装置200は、読み取り光学系等による各種の歪みを補正するために用いる基準白板等の基準濃度を有する基準部材204と、シートスルー読取用スリット205も備えている。この基準部材204は、光源214によって照明可能であり、原稿照明位置となるコンタクトガラス203及びシートスルー読取用スリット205とは、異なる位置に設けられている。
【0103】
撮像素子213は、コンタクトガラス203上に載置された原稿又はシートスルー読取用スリット205を通過する原稿と、基準部材204のいずれからの反射光も入射光とすることができる。
【0104】
スキャナ装置200の上部には、ADF200が搭載されており、このADF215をコンタクトガラス203に対して開閉できるようにヒンジ等を介して連結している。ADF215は、複数枚の原稿からなる原稿束210を載置可能な原稿載置台としての原稿トレイ201を備えている。また、このADF215は、原稿トレイ201に載置された原稿束210から原稿を1枚ずつ分離して、シートスルー読取用スリット205へ向けて自動給送する、給送ローラ202を含む分離・給送手段も備えている。
【0105】
ここで、上記の構成を備えるスキャナ装置200において、コンタクトガラス203上に載置された原稿の画像面をスキャン(走査)して、原稿の画像を読み取るスキャンモードの動作について説明する。
【0106】
スキャンモードの時には、第一キャリッジ211および第二キャリッジ206がステッピングモータによって、矢印A方向(副走査方向)に移動して原稿を走査する。このとき、コンタクトガラス203から撮像素子213の受光領域までの光路長を一定に維持するために、第二キャリッジ206は第一キャリッジ211の1/2の速度で移動する。
【0107】
同時に、コンタクトガラス203上にセットされた原稿の下面である画像面が、第一キャリッジ211の光源214によって照明(露光)される。すると、その画像面からの反射光が、第一キャリッジ211の第一反射ミラー209、第二キャリッジ206の第二反射ミラー207及び第三反射ミラー208によって順次反射される。そして、第三反射ミラー208による反射光束が、レンズユニット212によって集束され、撮像素子213の受光領域上に結像される。
【0108】
撮像素子213によって一ライン分ずつの各画素の受光量を光電変換したアナログの電気信号を出力する。その電気信号をディジタル信号に変換してそのゲインを調整し、原稿の画像を読み取った画像データを出力する。画像データはケーブルハーネス216を介して、すでに説明をしたデータ処理制御装置10等を含む基板217へと送信される。ケーブルハーネス216が長い場合には、伝送インピーダンスが高くなるので、ノイズの影響を受けやすくなる。
【0109】
次に、ADF215によって原稿を自動給送して、その移動する原稿の画像を読み取るシートスルーモードの動作について説明する。
【0110】
このシートスルーモードの時には、第一キャリッジ211および第二キャリッジ206が、シートスルー読取用スリット205の下側へ移動して停止する。その後、原稿トレイ201上に載置された原稿束210の最下位の原稿から順次、給送ローラ202によって矢印B方向(副走査方向)へ自動給送され、シートスルー読取用スリット205の位置を通過する際に、その原稿が走査される。
【0111】
このとき、自動給送される原稿の下面(画像面)が第一キャリッジ211の光源214によって照明される。すると、その画像面からの反射光が、第一キャリッジ211の第一反射ミラー209、第二キャリッジ206の第二反射ミラー207及び第三反射ミラー208によって順次反射される。そして、第三反射ミラー208による反射光束が、レンズユニット212よって集束され、撮像素子213上に結像される。
【0112】
撮像素子213によって一ライン分ずつの各画素の受光量を光電変換したアナログの電気信号を出力する。その電気信号をディジタル信号に変換してそのゲインを調整し、原稿の画像を読み取った画像データを出力する。画像データはケーブルハーネス216を介して、すでに説明をしたデータ処理制御装置10等を含む基板217へと送信される。このようにして画像の読み取りが完了した原稿は、排出口に排出される。
【0113】
なお、スキャンモード時又はシートスルーモード時の画像読み取り前に、点灯された光源214によって照明される、基準部材204からの反射光による画像を撮像素子213によって読み取る。そして、その1ライン分の画像データの各画素のレベルが均一な所定のレベルになるように、撮像素子213内でシェーディング補正用データを生成して記憶する。その後、原稿の画像を読み取る際には、撮像素子213が読み取った画像データに対して、先に記憶したシェーディング補正用データに基づいて、シェーディング補正を行なう。また、ADF215に搬送ベルトを備えている場合には、スキャンモードであっても、ADF215によって原稿をコンタクトガラス203上の読み取り位置に自動給送して、その原稿の画像を読み取ることもできる。
【0114】
[画像形成装置の実施形態]
次に、本発明に係る画像形成装置の実施形態について、
図8を用いて説明をする。
図8は、本実施形態に係るMFP(Multi-Function Peripheral)300の構成例を示す断面図である。MFP300は、前述したデータ取得装置20と伝送路40とデータ処理制御装置10と、を少なくとも備えている。
【0115】
MFP300は、上記にて説明をしたスキャナ装置200と、給紙部302と、画像形成部303とを備えている。給紙部302は、用紙サイズの異なる記録紙を収納する給紙カセット321,322と、給紙カセット321,322に収納された記録紙を画像形成部303の画像形成位置まで搬送する各種ローラからなる給紙手段323とを有している。画像形成部303は、露光装置331と、感光体ドラム332と、現像装置333と、転写ベルト334と、定着装置335とを備えている。
【0116】
画像形成部303は、ADF215内部の画像読取部により読み取られた原稿の画像データに基づいて、露光装置331により感光体ドラム332を露光して感光体ドラム332に潜像を形成し、現像装置333により感光体ドラム332に異なる色のトナーを供給して現像するようになっている。
【0117】
そして、画像形成部303は、転写ベルト334により感光体ドラム332に現像された像を給紙部302から供給された記録紙に転写した後、定着装置335により記録紙に転写されたトナー画像のトナーを溶融して、記録紙にカラー画像を定着するようになっている。
【0118】
MFP300は、スキャナ装置200において読み取られた画像データを画像形成部303において処理をし、記録媒体に画像を形成して排出する機能を備える。したがって、MFP300にも、上記にて説明をしたデータ処理制御装置10を適用することができ、それによって、良好な画像を得ることが可能となる。
【0119】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0120】
1 :データ処理システム
10、10a、10b、10c、10d :データ処理制御装置
20 :データ取得装置
21 :データ取得部
22 :信号送信部
30 :データ出力装置
40 :伝送路
101、101a :受信部
101c :LVDSレシーバ
102 :データ受信処理部
103、103b、103c :データ書出部
104、104b、104d :データ記憶部
105、105b :ラインデータ読出部
106、106a :検知部
107、107b :データ読出信号生成部
108 :画像データ生成部
111 :データ処理部
111a :S/P処理部
112 :クロック処理部
112a、112c :PLL部
200 :スキャナ装置
201 :原稿トレイ
202 :給送ローラ
203 :コンタクトガラス
204 :基準部材
205 :シートスルー読取用スリット
206 :第二キャリッジ
207 :第二反射ミラー
208 :第三反射ミラー
209 :第一反射ミラー
210 :原稿束
211 :第一キャリッジ
212 :レンズユニット
213 :撮像素子
214 :光源
216 :ケーブルハーネス
217 :基板
300 :MFP
302 :給紙部
303 :画像形成部
321、322 :給紙カセット
323 :給紙手段
331 :露光装置
332 :感光体ドラム
333 :現像装置
334 :転写ベルト
335 :定着装置
1041 :第一ラインメモリ
1042 :第二ラインメモリ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0121】