(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】距離計測装置及び距離計測方法
(51)【国際特許分類】
G01S 17/89 20200101AFI20240625BHJP
G01S 7/4915 20200101ALI20240625BHJP
【FI】
G01S17/89
G01S7/4915
(21)【出願番号】P 2020051799
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏昌
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-095234(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181250(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/126377(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/170568(WO,A1)
【文献】特開2017-083243(JP,A)
【文献】特開2019-215260(JP,A)
【文献】特開平11-101637(JP,A)
【文献】特開2016-099233(JP,A)
【文献】国際公開第2019/078366(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S17/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス光を発光させ被写体に向けて照射する光源部と、
前記被写体からの反射光を受光して位相信号を取得する撮像部と、
読み出し期間において前記位相信号が前記撮像部から読み出され、読み出された位相信号を格納する格納部と、
前記位相信号から距離を導出する計算部と、
を備え、
前記位相信号は、分割された複数の蓄積時間毎に前記撮像部に蓄積された電荷量に基づく信号であり、
前記光源部を発光させて前記撮像部で前記位相信号を取得し、取得した前記位相信号の前記格納部への格納を複数回繰り返し、複数回の前記位相信号の大きさを所定の閾値と比較し、比較結果に応じて前記計算部で
複数の方式を切り替えて前記距離を導出し、
前記複数の方式は、
複数回の前記位相信号を積算した信号から前記距離を導出する第1の方式と、
複数回の位相信号のそれぞれにより導出された複数回の距離値を平均して前記距離を導出する第2の方式と、
を含む
距離計測装置。
【請求項2】
前記所定の閾値は、前記複数の方式の測距精度に応じて決められる
請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項3】
前記光源部の発光期間は、前記読み出し期間より短い期間である
請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項4】
前記計算部は、複数回の位相信号を積算した信号から前記距離を導出する
請求項1に記載の距離計測装置。
【請求項5】
前記計算部は、複数回の位相信号のそれぞれで距離値を導出し、導出された複数回の距離値を平均することで前記距離を導出する
請求項1又は2に記載の距離計測装置。
【請求項6】
前記計算部は、位相信号の大きさが前記所定の閾値より小さい場合、前記第1の方式により前記距離を導出する
請求項1から5のいずれか1項に記載の距離計測装置。
【請求項7】
前記計算部は、位相信号の大きさが前記所定の閾値より大きい場合、前記第2の方式により前記距離を導出する
請求項1から5のいずれか1項に記載の距離計測装置。
【請求項8】
前記距離計測装置は、前記撮像部の画素ごとに前記複数の方式から前記距離の導出に用いる方式を選定する
請求項1から7のいずれか1項に記載の距離計測装置。
【請求項9】
前記距離計測装置は、第1の距離を測定するための駆動条件と前記第1の距離より短い第2の距離を測定するための駆動条件とを異ならせ、前記第2の距離の測定では前記第1の距離の測定と比較して、位相信号取得の繰り返し回数を少なく、さらに、前記蓄積時間を短くする
請求項1から7のいずれか1項に記載の距離計測装置。
【請求項10】
パルス光を発光させ被写体に向けて照射する照射ステップと、
前記被写体からの反射光を受光して位相信号を撮像部で取得する取得ステップと、
読み出し期間において前記位相信号が前記撮像部から読み出され、読み出された位相信号が格納部に格納される格納ステップと、
前記位相信号から距離を導出する計算ステップと、
を含み、
前記位相信号は、分割された複数の時間毎に前記撮像部に蓄積された電荷量に基づく信号であり、
前記照射ステップでパルス光を発光させて前記取得ステップで前記位相信号を取得し、取得した前記位相信号の前記格納ステップでの前記格納部への格納を複数回繰り返し、複数回の前記位相信号の大きさを所定の閾値と比較し、比較結果に応じて前記計算ステップで複数の方式を切り替えて前記距離を導出し、
前記複数の方式は、
複数回の前記位相信号を積算した信号から前記距離を導出する第1の方式と、
複数回の位相信号のそれぞれにより導出された複数回の距離値を平均して前記距離を導出する第2の方式と、
を含む
距離計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離計測装置及び距離計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元センサの一つに、強度変調した参照光を投射し、被写体で反射してセンサに戻ってくるまでの時間を検出して距離を求める、いわゆる“TOF(Time of Flight)センサ”が既に知られており、種々ある3次元センシング方式の中でもその高速性の原理的優位性から、昨今さまざまな用途への開発が進められている。TOFセンサを使用した場合、反射率の高い物体が近距離にある場合は、受光信号が飽和し、正しい測定が困難である。また、反射率の低い物体が遠距離にある場合は、受光信号が小さく、測定精度が著しく劣化する。このため、信号のダイナミックレンジを広く確保することが望まれている。
【0003】
特許文献1には、光飛行型測距装置において、基本露光期間を複数のサブ露光期間に分割し、1つの画素から長時間露光の測距値と短時間露光の測距値との両方を取得することが記載されている。これにより、特許文献1によれば、信号のダイナミックレンジを拡張できるとされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、太陽光などの外光ノイズが存在する場合に、長時間露光及び短時間露光のいずれにおいても蓄積される電荷が飽和しやすく、物体までの距離を高精度に測定することが困難になる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、外光ノイズが存在する場合に物体までの距離を高精度に測定できる距離計測装置及び距離計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の1つの側面にかかる距離計測装置は、パルス光を発光させ被写体に向けて照射する光源部と、前記被写体からの反射光を受光して電気信号に変換し、前記電気信号を時間的に分割して複数の時間毎の位相信号を取得する撮像部と、前記位相信号を格納する格納部と、前記位相信号から、照射光と反射光との時間差を導出し、前記時間差から距離を導出する計算部とを備え、前記光源部を発光させて前記撮像部で前記位相信号を取得し、取得した前記位相信号の前記格納部への格納を複数回繰り返し、複数回の位相信号から前記計算部で距離を導出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外光ノイズが存在する場合に物体までの距離を高精度に測定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる距離測定装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態における変調信号、タイミング信号、照射光、反射光の関係を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態における画素の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態における正弦波変調方式の測距原理を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態におけるパルス変調方式の測距原理を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる距離測定装置のダイナミックレンジを示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態における画素の駆動方式を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態における画素の駆動方式を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態における距離演算部の構成例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態におけるダイナミックレンジ拡大の効果を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態における光源のピーク光量と連続発光時間との関係を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態における距離演算部の他の構成例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態における物体距離と測距精度との関係を示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態における距離演算方式の切り替えに関わる制御フローを示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態の変形例における駆動方式を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
実施形態にかかる距離測定装置は、強度変調した参照光を投射し、被写体で反射してセンサに戻ってくるまでの時間を検出して距離を求める、いわゆる“TOF(Time of Flight)センサ”である。TOFセンサは、3次元センサの1つであり、種々ある3次元センシング方式の中でもその高速性の原理的優位性から、昨今さまざまな用途への開発が進められている。
【0010】
TOFセンサを用いて屋外等の広視野範囲での測定をする場合、測定対象の存在する距離や照射光に対する反射率は様々であり、また、太陽光などの外光ノイズも存在する。様々な環境に対して適用性の高い3次元センサを提供するためには、測定対象の距離や反射率、さらには外光条件によらず、高精度な測定が実現される必要がある。
【0011】
しかし、TOFセンサを使用した場合、一般に、反射率の高い物体が近距離にある場合は、受光信号が飽和し、正しい測定が困難である。また、反射率の低い物体が遠距離にある場合は、受光信号が小さく、測定精度が著しく劣化する。いわゆるセンサのダイナミックレンジにより測定対象と測定可能距離が定まる。ダイナミックレンジが狭いと、広視野範囲で様々な物体を高精度に測定することが困難になる。また、太陽光などの外光ノイズが存在する場合、外光成分が増えるほど測定精度が悪くなる可能性がある。
【0012】
そこで、本実施形態では、距離測定装置において、光源の発光期間を位相信号の読み出し期間より短くし、さらに位相信号の取得と格納を複数回繰り返し、複数回の位相信号から距離を導出することで、外光条件によらない高精度な測定の実現を図る。
【0013】
具体的には、距離測定装置1は、
図1に示すように構成され得る。
図1は、距離測定装置1の概略構成を示す図である。距離測定装置1は、TOF方式を用いて、測定対象物2までの距離を測定する。
【0014】
距離測定装置1は、投光部(光源部)10、受光センサー(撮像部)11、タイミング制御部(位相信号格納部)12、及び距離演算部13を有する。
【0015】
投光部10は、測定対象物2に向けてパルス光を発光する。投光部10は、光源21、光源22、駆動回路23、及び駆動回路24を有している。駆動回路23は、光源21を駆動可能であり、駆動回路24は、光源22を駆動可能である。タイミング制御部12から変調信号が入力されると、駆動回路23は、変調信号に応じた電流を光源21に流し、駆動回路24は、変調信号に応じた電流を光源22に流す。これに応じて、変調された光が光源21、光源22のそれぞれから測定対象物2に向けて照射される。
【0016】
受光センサー11は、複数の画素を有する。受光センサー11は、複数の画素が2次元的に配列されたエリアセンサーであってもよい。各画素は、蓄積部A及び蓄積部Bを有している。蓄積部A及び蓄積部Bは、互いに独立して電荷蓄積動作を行うように構成されている。蓄積部A及び蓄積部Bは、それぞれ、受光した光に応じて光電変換で発生した電荷を蓄積する。各画素は、測定対象物2から反射された変調光を受光する。各画素は、タイミング制御部12からのタイミング信号A、タイミング信号Bに従って、電荷蓄積動作を行う。
【0017】
具体的には、受光センサー11は、タイミング信号Aがアクティブレベル(例えば、Hレベル)の期間において、各画素の蓄積部Aに電荷を蓄積させ、タイミング信号Bがアクティブレベル(例えば、Hレベル)の期間において、各画素の蓄積部Bに電荷を蓄積させる(
図2参照)。
【0018】
タイミング制御部12は、変調信号のパルスを繰り返し生成して投光部10へ出力する。それとともに、タイミング制御部12は、タイミング信号Aのパルスを繰り返し生成して受光センサー11の蓄積部Aへ出力し、タイミング信号Bのパルスを繰り返し生成して受光センサー11の蓄積部Bへ出力する。これにより、各画素の蓄積部A及び蓄積部Bに、それぞれ、電荷がどんどん蓄積されていく。所定の回数(所定のパルス数)で蓄積部A及び蓄積部Bの各電荷蓄積動作が繰り返された後、タイミング制御部12は、変調信号、タイミング信号A、タイミング信号Bの出力をストップさせ、受光データ出力指示信号を受光センサー11へ出力し、距離演算指示信号を距離演算部13へ出力する。
【0019】
受光センサー11は、タイミング制御部12から受光データ出力指示信号が入力されると、各画素の蓄積部A、蓄積部Bに蓄積された電荷量を電圧に変換し受光信号A、受光信号Bを生成し、受光信号A、受光信号BをAD変換して受光データA、受光データBを生成する。受光センサー11は、受光データA、受光データBを順次に距離演算部13へ出力する。
【0020】
距離演算部13は、距離演算指示信号に応じて、受光データA、受光データBを用いて各画素における距離データを算出し、距離画像を生成する。
【0021】
次に、距離測定装置1の動作について
図2を用いて説明する。
図2は、距離測定装置1の動作を示す波形図である。
【0022】
図2に示す変調信号がタイミング制御部12から投光部10へ供給されると、投光部10は、照射光Leを測定対象物2に向けて照射する。
図2では、照射光Leの光波形の位相は、変調信号波形の位相からの遅れはないものとして示している。
【0023】
照射光Leが測定対象物2で反射されると、反射光Lrが受光センサー11で受光される。
図2に示す反射光Lrの光波形の形は、照射光Leの光波形の形とほぼ同じであり、波形の周期及びデューティ比が略均等である。デューティ比は、例えば、略50%である。反射光Lrの光波形は、照射光Leの光波形より位相が時間τに相当する分遅れた波形になっている。反射光Lrの光波形は、照射光Leの照射タイミングから時間τ遅れて受光センサー11に反射光Lrが入射されることを示している。この時間τは、光が投光部10から出射され、測定対象物2に当たって反射し受光センサー11に戻ってくるまでの時間であり、測定対象物2までの距離によって変わる。つまり、時間τが分かれば、光の速度Cを用いて次の数式1によって測定対象物2までの距離Dを求めることができる。
D=τ×C/2・・・数式1
【0024】
このとき、タイミング信号AがHレベルの期間に受光センサー11の各画素の蓄積部Aが電荷蓄積動作を行い、タイミング信号BがHレベルの期間に受光センサー11の各画素の蓄積部Bが電荷蓄積動作を行う。タイミング信号Aは、照射光Leとほぼ同じタイミングでHレベルを維持し、パルス時間幅Tw後にHレベルからLレベルに遷移する。タイミング信号Bは、タイミング信号AがLレベルになるのとほぼ同時にLレベルからHレベルに遷移し、その遷移タイミングからパルス時間幅Tw経過後にHレベルからLレベルに遷移する。
【0025】
タイミング信号AがHレベルを維持する期間が蓄積部Aの電荷蓄積期間なので、
図2にハッチングで示す期間において蓄積部Aが反射光Lrに応じた電荷量Aを蓄積する。同様に、タイミング信号BがHレベルを維持する期間が蓄積部Bの電荷蓄積期間なので、
図2にハッチングで示す期間T
Bにおいて蓄積部Bが反射光Lrに応じた電荷量Bを蓄積する。ここで、時間τが0≦τ≦Twの範囲であれば次の数式2に示す関係が成り立つ。
τ/Tw=B/(A+B)・・・数式2
【0026】
数式1及び数式2により、測定対象物2までの距離Dは、蓄積部Aによる反射光Lrの蓄積電荷量A、蓄積部Bによる反射光Lrの蓄積電荷量Bから次の数式3によって求めることができる。
D=B/(A+B)×Tw×C/2・・・数式3
【0027】
次に、受光センサー11の画素の構成について
図3を用いて説明する。
図3は、画素の構成を示す図である。
【0028】
受光センサー11の一画素は、
図3に示すように、PD(Photodiode)103と、2個の変調スイッチ104a,104bと、2個の蓄積部A,Bとを有する。2個の変調スイッチ104a,104bは、例えばMOSトランジスタやトランスファゲート等のMOS型のデバイス、CCD構造のデバイス等である。2個の蓄積容量A,Bは、例えばMOS、CCD、MIM(Metal Insulator Metal)等の容量素子、配線、PN接合の寄生容量等である。
【0029】
TOF方式の受光センサー11は、1画素ごとに、電荷を2箇所に振り分ける画素構造になっている。この画素構造は、例えば1度の受光期間に、0°の位相成分と180°の位相成分とに信号を振り分けることを可能にするためである。原理的には、一画素ごとに、3箇所以上に振り分ける画素構造にして、1度の受光で3以上の位相成分に振り分けることも可能ではあるが、振分け箇所を増やすと画素領域の内、電荷蓄積領域またはそれに付属する構造体が占める割合が大きくなることで、1画素ごとの受光面積が小さくなりやすく、十分な感度が得られなくなる可能性が生じる。このため、振分け箇所の数を不用意に増やすことは得策ではない。
【0030】
次に、TOF法式で用いられる正弦波変調方式とパルス変調方式の測距原理について説明する。
【0031】
正弦波変調方式とは、受信光を3つ以上に時間的に分割して検出した各信号を用いて、反射光の遅れ時間Tdを位相差角の演算で取得する方法である。例として、4位相式の正弦波変調方式について
図4を用いて説明する。
図4は、正弦波変調方式の測距原理を示す図である。
図4に示すように、正弦波変調方式のための1フレーム期間のうち、前半のサブフレーム期間が、0°,180°の位相信号を取得するためのフレーム期間であり、後半のサブフレーム期間が、90°,270°の位相信号を取得するためのフレーム期間である。
【0032】
reset信号による各画素のリセットが完了した後、照射光が測定対象物に向けて周期的に照射され反射光が周期的に返ってくる。このとき、前半のサブフレーム期間では、画素の変調スイッチ104a,104bを転送信号TX1(0°)とそれから180°ずれた転送信号TX2(180°)とで交互に所定回数オンさせる。その後、「read out」信号により、時間的に0°,180°の位相に対応し蓄積された電荷量に応じた信号(A0,A180)が読み出されて取得される。
【0033】
後半のサブフレーム期間では、画素の変調スイッチ104a,104bを転送信号TX1(90°)とそれから180°ずれた転送信号TX2(270°)とで交互に所定回数オンさせる。その後、「read out」信号により、時間的に90°,270°の位相に対応し蓄積された電荷量に応じた信号(A90,A270)が読み出されて取得される。
【0034】
時間的に0°、90°,180°、270°の4つの位相に分割した信号(A0,A90,A180,A270)が取得されると、次の数式4を使って位相差角Φが求められる。
Φ=Arctan{(A90-A270)/(A0-A180)}・・・数式4
【0035】
数式4の位相差角Φを使って、照射光に対する反射光の遅延Tdが、次の数式5から求められ得る。
Td=Φ/2π×T・・・数式5
【0036】
数式5において、発光パルス幅をT0とすると、T=2T0である。
【0037】
位相差の演算方法から、正弦波変調方式において測距性能を高める理想的な光源波形はsin波形である。1画素に対し2箇所の電荷振分け先を持つ画素構造のTOFイメージセンサを用いた場合、最低2回の露光が必要になる。
【0038】
パルス変調方式とは、反射光信号を2つ以上に時間的に分割して検出した各信号を用いて、照射光に対する反射光の遅れ時間Tdを求める方法である。例として、2位相式のパルス変調方式について
図5を用いて説明する。
図5は、パルス変調方式の測距原理を示す図である。
【0039】
図5に示すように、パルス変調方式のための1フレーム期間は、0°,180°の位相信号を取得するためのフレーム期間である。
【0040】
reset信号による各画素のリセットが完了した後、照射光が測定対象物に向けて周期的に照射され反射光が周期的に返ってくる。このとき、1フレーム期間では、画素の変調スイッチ104a,104bを転送信号TX1(0°)とそれから180°ずれた転送信号TX2(180°)とで交互に所定回数オンさせる。その後、「read out」信号により、時間的に0°,180°の位相に対応し蓄積された電荷量に応じた信号(A0,A180)が読み出されて取得される。
【0041】
時間的に0°、180°の2つの位相に分割した信号(B0,B180)が取得されると、次の数式6を使って、照射光に対する反射光の遅延Td’を求めることが出来る。
Td’={B180/(B0+B180)}×T1・・・数式6
【0042】
数式6において、T1は、発光パルス幅である。
【0043】
位相差の演算方法から、パルス変調方式において測距性能を高める理想的な光源波形は矩形波形である。
【0044】
次に、距離測定装置のダイナミックレンジについて
図6を用いて説明する。
図6は、距離測定装置のダイナミックレンジを示す図である。
図6では、縦軸が測距精度の小ささ(測距値のばらつきの大きさ)を示し、横軸が信号の大きさを示す。
【0045】
TOF方式での距離測定装置での測距に際して、反射率の高い物体が近距離にある場合や、太陽光等の強い環境光が存在していると蓄積部が飽和してしまうことがある。この場合、適切な受光信号が得られずに、正しい測定が困難になる。一方で、反射率の低い物体が遠距離にある場合は、受光信号が小さく、測定精度が著しく劣化する。
【0046】
図6に実線で示す曲線は、外光ノイズが存在しない理想的な条件(高SN条件)での受光センサーの信号量と測距精度との関係を示したものである。目標の測距精度を満たすためには、Amp1~Amp2の信号量を得ることが求められる。ここでの信号量は、例えば、√{(A
90-A
270)
2+(A
0-A
180)
2}などの受光信号の大きさを示すものであればよい。
【0047】
図6に点線で示す曲線は、強い外光ノイズが存在する条件(低SN条件)での受光センサーの信号量と測距精度との関係を示したものである。実線で示す曲線と同じ信号量が得られている場合でも、測距精度が劣化し、目標の測距精度を満たす範囲が狭まる傾向にある。これは、外光ノイズで測距精度が劣化し得ることを示しており、この問題を抑制するためには、外光ノイズに対して、信号量が強い条件を満たしておくことが望まれる。
【0048】
すなわち、屋外等の広視野範囲での測定をする場合、測定対象の存在する距離や照射光に対する反射率は様々であり、また、太陽光などの外光ノイズも存在することがある。様々な環境に対して適用性の高い距離測定装置を提供するためには、測定対象の距離や反射率、さらには外光条件によらず、高精度な測定の実現が望まれる。
【0049】
それに対して、本実施形態の距離測定装置1は、
図7、
図8に示すような、画素の駆動を行う。
図7、
図8は、画素の駆動方式を説明する図である。
【0050】
図7に示す基本の駆動方式では、1フレーム期間の前半のサブフレーム期間は、蓄積期間0-180_P、読み出し期間0-180_RO、リセット期間RSを順に含み、後半のサブフレーム期間は、蓄積期間90-270_P、読み出し期間90-270_RO、リセット期間RS、測距演算期間CAを順に含む。蓄積期間0-180_Pでは、0°,180°の位相信号(A
0,A
180)が繰り返し蓄積される(
図4参照)。蓄積期間90-270_Pでは、90°,270°の位相信号(A
90,A
270)が繰り返し蓄積される(
図4参照)。
【0051】
一方、
図7に示す本実施形態の駆動方式では、基本の駆動方式に対して、蓄積期間及び読み出し期間をそれぞれ複数に分割する。すなわち、1フレーム期間の前半のサブフレーム期間は、複数の蓄積期間0-180_P1~0-180_P5、複数の読み出し期間0-180_RO1~0-180_RO5、リセット期間RSを順に含み、後半のサブフレーム期間は、複数の蓄積期間90-270_P1~90-270_P5、複数の読み出し期間90-270_RO1~90-270_RO5、リセット期間RS、測距演算期間CAを順に含む。
【0052】
前半のサブフレーム期間では、蓄積期間0-180_P及び読み出し期間0-180_ROのペアを1セットとして、このセットを数回~数十回繰り返しを行い、その後、画素がリセットされる。
図7では、5回のセット(0-180_P1,0-180_RO1),(0-180_P2,0-180_RO2),・・・(0-180_P5,0-180_RO5)を行う場合が例示されている。
【0053】
後半のサブフレーム期間では、蓄積期間90-270_P及び読み出し期間90-270_ROのペアを1セットとして、このセットを数回~数十回繰り返しを行い、その後、画素画リセットされ、各信号の取得結果から、距離計算を行い、測距値を出力する。
図7では、5回のセット(90-270_P1,90-270_RO1),(90-270_P2,90-270_RO2),・・・(90-270_P5,90-270_RO5)を行う場合が例示されている。
【0054】
図8(a)に示す1フレーム期間のうち、
図8(b)に示す1つの蓄積期間(例えば、0-180_P2)では、投光部10から測定対象物2へ向けて発光パルス群での発光が行われ照射光として出射されている。また、TOF方式の測距原理に基づき、発光パルスに同期して、各位相の信号蓄積が行われている。例えば、蓄積期間0-180_P2では、0°の信号蓄積と180°の信号蓄積とが交互に繰り返し行われている。
図8では簡略化して示しているが、例えば、発光パルス群のパルス数は、数十~数百万回程度であってもよい。0°の信号蓄積のタイミングは、照射光のタイミングに対応している。発光パルス群での発光が行われた後の非発光期間において、蓄積された位相信号の読み出しが行われる。すなわち、非発光期間は、1つの読み出し期間(例えば、0-180_RO2)に対応している。
【0055】
次に、距離演算部13の構成例について
図9を用いて説明する。
図9は、距離演算部13の構成例を示す図である。
【0056】
距離演算部13は、メモリ131及び計算部132を有する。メモリ群131は、本実施形態の駆動方式における蓄積期間の分割数に応じた数のメモリを有する。
図9では、
図7、
図8の駆動方式に対応して5個のメモリ1311~1315を有する構成が例示されている。
【0057】
距離測定装置1では、発光パルス群ごとに逐次受光センサー11から距離演算部13へ位相信号の読み出しを行い、その信号値をメモリ1311~1315に格納する。例えば、蓄積期間0-180_P1の位相信号の信号値がP1信号メモリ1311に格納され、蓄積期間0-180_P2の位相信号の信号値がP2信号メモリ1312に格納され、・・・蓄積期間0-180_P5の位相信号の信号値がP5信号メモリ1315に格納される。
【0058】
計算部132では、各メモリ1311~1315に格納された信号値を積算し、積算された値から距離演算を行う。
【0059】
例えば、発光パルス群P1による0°の位相信号をA0P1、発光パルス群P2による0°の位相信号をA0P2、発光パルス群P3による0°の位相信号をA0P3、発光パルス群P4による0°の位相信号をA0P4、発光パルス群P5による0°の位相信号をA0P5としたとき、最終的に距離演算に用いる積算信号A0は、次の数式7により求める。
A0=A0P1+A0P2+A0P3+A0P4+A0P5・・・数式7
【0060】
同様に、発光パルス群P1による180°の位相信号をA180P1、発光パルス群P2による180°の位相信号をA180P2、発光パルス群P3による180°の位相信号をA180P3、発光パルス群P4による180°の位相信号をA180P4、発光パルス群P5による180°の位相信号をA180P5としたとき、最終的に距離演算に用いる積算信号A180は、次の数式8により求める。
A180=A180P1+A180P2+A180P3+A180P4+A180P5・・・数式8
【0061】
他の位相信号についても同様の処理を行い、数式4、数式5を用いて、照射光に対する反射光の遅延Tdを計算する。
【0062】
すなわち、
図7、
図8に示すような駆動方式により、発光パルス群ごとに逐次位相信号の読み出しを行い、数式7、数式8に示すような複数回の位相信号の積算値から距離演算をすることで、
図10に示すように、ダイナミックレンジを広げることができる。
図10は、本実施形態のダイナミックレンジ拡大の効果を示す図である。ここでは、N回(Nは任意の2以上の整数)の発光パルス群において、逐次位相信号の読み出しを行った場合を示している。
【0063】
基本駆動方式によれば、
図6に示すように、目標精度を満たすために、Amp1の信号量が必要であるが、本実施形態の駆動方式を用いた場合、
図10に示すように、N回の積算信号でAmp1の信号量を満たせばよく、1パルス群当たりの信号の大きさはAmp1/Nの大きさでよい。一方で、飽和上限については、1パルス群当たりの信号の大きさがAmp2まで測定可能となる。これより、ダイナミックレンジをN倍に拡大することができることがわかる。
【0064】
すなわち、本実施形態では、基本駆動方式のように長時間の連続発光を行わずに、比較的短時間の発光を断続的に行うことで、高いピーク光量での発光を行う。これにより、外光ノイズが存在する条件であっても、高SN条件を実現することができる。
【0065】
図11は、光源のピーク光量と連続発光時間の関係を示した一例である。発光時間を長時間にするほど、主に熱的な影響により、ピーク光量は低下してしまう。これにより、基本駆動方式のように長時間連続発光をしても所望の受光信号量を得られず、目標精度が得られないということがある。例えば、
図10に示した1パルス群当たりの信号の大きさがAmp1/Nの物体を測定対象とした場合、Nパルス群を連続発光した場合、積算される受光信号の大きさが、時間に比例せず、Amp1に到達しない。
【0066】
これに対し、本実施形態の駆動方式では、位相信号蓄積期間での短時間発光の後に、信号の読み出し期間での非発光期間を設けることで、熱的な影響を抑制し、高ピークな発光での測定を行う。これにより、1パルス群当たりの信号の大きさがAmp1/Nの物体に対するN回の積算信号でAmp1の信号量を満たすことができる。
【0067】
短時間の発光を断続的に行うことは、外光ノイズに対するSNを高めるうえでも望ましい。高いピークでの発光ができることから、
図6の点線の曲線や
図10の点線の曲線に示されるような低SN条件での精度劣化を抑制することができ、ダイナミックレンジの拡大を実現できる。
【0068】
1パルス群の連続発光時間は、
図11に示すような光源の特性に基づき、目標の光量低下を満たす時間を選択することで効率的な条件を求めることができる。例えば、光量低下が10%以内の連続発光時間を用いることが望ましい。また、パルス群の発光時間を信号の読み出し期間での非発光期間より短くすることで、熱的な影響及び光量低下を抑制することができる。
【0069】
次に、距離演算部13の他の構成例について
図12を用いて説明する。
図12は、距離演算部13の他の構成例を示す図である。
【0070】
図12に示す距離演算部13では、
図9に示す構成に対して、計算部132の構成が異なる。計算部132は、本実施形態の駆動方式における蓄積期間の分割数に応じた数(
図12では、5個)の測距計算部1321~1325と、平均計算部1326とを有する。
【0071】
距離測定装置1では、発光パルス群ごとに逐次受光センサー11から距離演算部13へ位相信号の読み出しを行い、その信号値をメモリ1311~1315に格納する。メモリ群131における複数のメモリ1311~1315と計算部132における複数の測距計算部1321~1325とは、互いに対応している。
【0072】
計算部132では、各測距計算部1321~1325が対応するメモリ1311~1315に格納された位相信号の信号値からそれぞれの距離算出を行う。
図9に示す計算部132の距離演算の方法と異なり、各パルス群から得られた位相信号を積算しない。さらに、平均計算部1326では、各パルス群から得られたそれぞれの算出距離の平均距離を算出し、この結果を距離画像として出力する。平均距離の算出では、N個のパルス群から位相信号が得られた場合、算術平均により統計的に、1/√(N)に精度が改善され得る。
【0073】
例えば、距離演算方式による測距精度を比較すると、
図13に示すようになる。
図13は、距離演算方式による測距精度の比較を示す図である。
【0074】
図13に点線で示す曲線は、各パルス群から得られた位相信号を積算して一回の距離演算を行ったときの測距精度を示し、
図9に示す計算部132の距離演算の方法に対応している。
図13に実線で示す曲線は、各パルス群から得られたそれぞれの算出距離の平均距離を算出した時の測距精度を示し、
図13に示す計算部132の距離演算の方法に対応している。
図13に示す構成を用いることで、物体距離が比較的近距離である場合、すなわち、受光信号の量が多い場合に、
図9に示す構成より、高精度な測定を行うことができる。
【0075】
図13に示されるように、物体距離が比較的近距離である場合、すなわち、受光信号の量が多い場合は、各パルス群から得られたそれぞれの算出距離の平均距離から距離値を求めた方が高精度となる。一方で、物体距離が比較的遠距離である場合、すなわち、受光信号の量が少ない場合は、各パルス群から得られた位相信号を積算して一回の距離演算から距離値を求めた方が高精度となる。
図13の点線の曲線と実線の曲線との交点を境に、距離演算方式を切り替えることで、測定距離全域にわたって高精度な測定をすることが可能となる。
【0076】
例えば、距離演算方式の切り替えは、
図14に示すように行われ得る。
図14は、距離演算方式の切り替えに関わる制御フローを示す。
【0077】
距離測定装置1は、
図8に示したタイミングチャートに基づき、発光パルス群(P1~N)での位相信号蓄積を行う(S1)。距離測定装置1は、発光パルス群(P1~N)の何れかの発光パルス群を選定し、そのパルス群で得られた位相信号から信号量の大きさを求める(S2)。例えば、発光パルス群P2を選定した場合、位相信号は、A0P2,A90P2,A180P2,A270P2となり、信号量の大きさは、例えば、次の数式9を用いて求められる。
Amp=√{(A90P2-A270P2) 2 + (A0P2-A180P2) 2}・・・数式9
【0078】
距離測定装置1は、距離演算方式の判定を行う(S3)。閾値となる信号量の大きさAmpthを定めておき、Ampthを上回っているか否かで距離演算方式の判定を行う。すなわち、距離測定装置1は、Amp>Ampthの場合、各パルス群から得られたそれぞれの距離値の平均距離から距離値を求める。また、Amp<=Ampthの場合、各パルス群から得られた位相信号を積算して距離値求める。
図13の点線の曲線と実線の曲線との交点での信号量の大きさを予め求めておくことで、最適な距離演算方式の判定を行うことができる。
【0079】
距離測定装置1は、選定した距離演算方式を使い、距離計算及び距離画像出力を実施する(S4)。測定を終了しない場合は、S1の処理に戻り、一連の処理を繰り返し実施する。
【0080】
このような処理フローを受光センサーの各画素個別に実施することで、測定視野範囲及び、測定距離全域にわたって高精度な測定をすることが可能となる。
【0081】
なお、S2で発光パルス群の選定をするが、何れを選定しても最適な距離演算方式の判定を行うために、各発光パルス群の点灯時間は同じであることが望ましい。
【0082】
以上のように、本実施形態では、距離測定装置1において、光源の発光期間を位相信号の読み出し期間より短くし、さらに位相信号の取得と格納を複数回繰り返し、複数回の位相信号から距離を導出する。これにより、外光条件によらない高精度な距離測定を実現できる。
【0083】
また、本実施形態では、距離測定装置1において、複数回の位相信号を積算した信号から距離を導出可能である。これにより、ダイナミックレンジを広げることができる。
【0084】
また、本実施形態では、距離測定装置1において、複数回の位相信号それぞれで距離を導出し、さらに、それら複数回の距離値を平均することで距離を導出することが可能である。これにより、受光信号の量が多い条件で高精度な測定を実現できる。
【0085】
また、本実施形態では、距離測定装置1において、位相信号の大きさが所定の値以下である場合、複数回の位相信号を積算した信号から距離を導出することが可能である。これにより、受光信号の量に応じて最適な距離導出ができ、高精度な測定を実現できる。
【0086】
また、本実施形態では、距離測定装置1において、位相信号の大きさが所定の値以上である場合、複数回の位相信号それぞれで距離を導出し、さらに、それら複数回の距離値を平均することで距離を導出することが可能である。これにより、受光信号の量に応じて最適な距離導出ができ、高精度な測定を実現できる。
【0087】
また、本実施形態では、距離測定装置1において、撮像部の画素ごとに距離導出式を選定することが可能である。これにより、測定視野範囲全域にわたって高精度な測定を実現できる。
【0088】
なお、距離測定装置1では、発光パルス群ごとに逐次位相信号の読み出しを行い、複数回の位相信号の積算値から距離演算をすることで、ダイナミックレンジを広げることができる。一方で、屋外等の広視野範囲での測定をする場合、測定対象の存在する距離や照射光に対する反射率は様々である。実施形態の駆動方式では飽和上限は拡大することができないため、近距離側を測定できない場合もある。
【0089】
この場合、
図15に示すように、遠距離測定と近距離測定で、発光パルス群の繰り返し回数、信号蓄積時間を異ならせることで、近距離側の測定も可能となる。
図15では、遠距離測定の信号蓄積時間をINTtL、近距離測定の信号蓄積時間をINTtSとしている。また、図示していないが、遠距離測定の各発光パルス群の信号蓄積時間を何れもINTtLである。
【0090】
近距離測定では、信号飽和を防ぐために信号蓄積時間を遠距離測定時より短くする。(INTtL>INTtS)遠距離測定で信号飽和により測定不可となった画素は、近距離測定での位相信号取得を実施し、距離演算をすることで、測距値が得られる。また、近距離測定の発光パルス群の繰り返し回数は、測定時間への影響を抑えるために、遠距離測定時より少なくすることが望ましい。
【0091】
このような駆動方式を用いることで、距離ダイナミックレンジの広い距離測定装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 距離計測装置
10 投光部
11 受光センサー
13 距離演算部
131 メモリ群
132 計算部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】