(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 21/00 20060101AFI20240625BHJP
B41J 2/52 20060101ALI20240625BHJP
B41J 3/60 20060101ALI20240625BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B41J21/00 Z
B41J2/52
B41J3/60
B41J2/01 103
(21)【出願番号】P 2020108192
(22)【出願日】2020-06-23
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】阿南 大介
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-006349(JP,A)
【文献】特開2019-101326(JP,A)
【文献】特開2010-212745(JP,A)
【文献】特開2011-183803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 21/00 - 21/18
B41J 2/52 - 2/525
B41J 2/01 - 2/215
B41J 29/00 - 29/70
B41J 3/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像データに基づいて第1の面に第1の画像が形成された記録媒体の端部位置または前記第1の画像の形成位置のうち少なくともいずれかの情報に基づき、前記第1の画像が形成された後の前記記録媒体の搬送経路上の位置である位置情報を生成する位置情報生成部と、
前記記録媒体の前記第1の面とは異なる第2の面に形成する第2の画像の形成位置を前記位置情報に基づいて補正して第2の画像データを生成する画像位置補正部と、
前記記録媒体に液体を吐出する複数のノズルと、
前記複数のノズルごとに濃度ムラを補正する情報を有するスクリーンデータを生成する濃度ムラ補正部と、
前記スクリーンデータに基づいて、前記形成位置を補正された前記第2の画像データの画素値を小値化するスクリーン処理を施すスクリーン処理部と、を備
え、
前記スクリーン処理部は、
前記スクリーンデータを用いることで、前記形成位置を補正された前記第2の画像データの各部の位置と、前記複数のノズルのそれぞれのノズル位置に応じた前記濃度ムラを補正する情報とを対応付けたうえで、前記スクリーン処理を施す、
画像処理装置。
【請求項2】
第1の画像データに基づいて第1の面に第1の画像が形成された記録媒体の端部位置または前記第1の画像の形成位置のうち少なくともいずれかの情報に基づき、前記第1の画像が形成された後の前記記録媒体の搬送経路上の位置である位置情報を生成し、
前記記録媒体の前記第1の面とは異なる第2の面に形成する第2の画像の形成位置を前記位置情報に基づいて補正して第2の画像データを生成し、
前記記録媒体に液体を吐出する複数のノズルごとに濃度ムラを補正する情報を有するスクリーンデータを生成し、
前記スクリーンデータに基づいて、前記形成位置を補正された前記第2の画像データの各部の位置と、前記複数のノズルのそれぞれのノズル位置に応じた前記濃度ムラを補正する情報とを対応付けたうえで、前記形成位置を補正された前記第2の画像データの画素値を小値化するスクリーン処理を施す、
画像処理方法。
【請求項3】
コンピュータに、
第1の画像データに基づいて第1の面に第1の画像が形成された記録媒体の端部位置または前記第1の画像の形成位置のうち少なくともいずれかの情報に基づき、前記第1の画像が形成された後の前記記録媒体の搬送経路上の位置である位置情報を生成する処理と、
前記記録媒体の前記第1の面とは異なる第2の面に形成する第2の画像の形成位置を前記位置情報に基づいて補正して第2の画像データを生成する処理と、
前記記録媒体に液体を吐出する複数のノズルごとに濃度ムラを補正する情報を有するスクリーンデータを生成する処理と、
前記スクリーンデータに基づいて、前記形成位置を補正された前記第2の画像データの各部の位置と、前記複数のノズルのそれぞれのノズル位置に応じた前記濃度ムラを補正する情報とを対応付けたうえで、前記形成位置を補正された前記第2の画像データの画素値を小値化するスクリーン処理を施す処理と、を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置において、第1の面に画像が形成された記録媒体の第2の面に更に画像を形成する場合、第1の面の画像形成位置に合わせて第2の面の画像を形成する処理が行われる。例えば、特許文献1では、第2の面に対する画像の形成位置の補正を高速かつ簡便に実現するため、階調処理(スクリーン処理)を行った後に、画像の形成位置の補正を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、画像の形成に際して、ユーザ等により濃度ムラ補正の指示が行われる場合がある。濃度ムラ補正は、画像形成用の液体を記録媒体に吐出する複数のノズルごとに、例えばスクリーン処理において実施される。この場合、特許文献1の技術では、画像の形成位置の補正によって、複数のノズルごとの濃度ムラ補正が機能しなくなり、第2の面に形成された画像に濃度ムラが発生してしまう場合がある。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、第2の面の画像の形成位置の補正と濃度ムラ補正とを両立させることができる画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1の画像データに基づいて第1の面に第1の画像が形成された記録媒体の端部位置または前記第1の画像の形成位置のうち少なくともいずれかの情報に基づき、前記第1の画像が形成された後の前記記録媒体の搬送経路上の位置である位置情報を生成する位置情報生成部と、前記記録媒体の前記第1の面とは異なる第2の面に形成する第2の画像の形成位置を前記位置情報に基づいて補正して第2の画像データを生成する画像位置補正部と、前記記録媒体に液体を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルごとに濃度ムラを補正する情報を有するスクリーンデータを生成する濃度ムラ補正部と、前記スクリーンデータに基づいて、前記形成位置を補正された前記第2の画像データの画素値を小値化するスクリーン処理を施すスクリーン処理部と、を備え、前記スクリーン処理部は、前記スクリーンデータを用いることで、前記形成位置を補正された前記第2の画像データの各部の位置と、前記複数のノズルのそれぞれのノズル位置に応じた前記濃度ムラを補正する情報とを対応付けたうえで、前記スクリーン処理を施す。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第2の面の画像の形成位置の補正と濃度ムラ補正とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる画像処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる内部コントローラのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる内部コントローラのCPU及びプリントサーバのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかる画像処理装置による画像形成位置の補正の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる画像処理装置による濃度ムラの補正の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる画像処理装置による印刷結果の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態の画像処理システムによる画像処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかる画像処理装置による画像処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図9】
図9は、比較例にかかる画像処理装置のCPU及びプリントサーバのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、比較例にかかる画像処理装置による印刷結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
以下、発明を実施するための最良の形態を、図面に従って説明する。
【0009】
(画像処理システムの構成例)
図1は、実施形態にかかる画像処理システム1の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、画像処理システム1は、画像処理装置10及びプリントサーバ(DFE:Digital Front End)700を備える。
【0010】
プリントサーバ700は、外部プリンタコントローラとして機能する。プリントサーバ700は、画像処理装置10に接続されており、ユーザによる印刷設定に応じて画像処理を行った後に、画像データの展開処理であるRIP(Raster Image Processor)処理を行って、画像処理装置10に転送する。
【0011】
画像処理装置10は、例えばインクジェット式プリンタ等として構成され、給紙部100、画像形成部200、乾燥部300、搬送路321,322、用紙反転部400、排紙部500、及び内部コントローラ(Base CTL)600を備える。画像処理装置10は、給紙部100から給紙される記録媒体としての用紙Pに対し、画像形成部200で画像形成用の液体としてのインクにより画像を形成する。用紙Pに形成される画像には、文字、図形、写真等の様々なものが含まれ得る。また、画像処理装置10は、用紙P上に付着したインクを乾燥部300において乾燥させた後、用紙Pを排紙部500から排紙する。
【0012】
給紙部100は、給紙トレイ110、給送装置120、及びレジストローラ対130を備える。
【0013】
給紙トレイ110には複数の用紙Pが積載される。給送装置120は、ローラまたはコロを用い、あるいはエア吸引を利用して、給紙トレイ110から用紙Pを1枚ずつ分離して送り出す。レジストローラ対130は、搬送路321を移動して用紙Pを画像形成部200へ送り込む。
【0014】
給紙部100では、給送装置120により給紙トレイ110から送り出された用紙Pの先端がレジストローラ対130に到達した後、レジストローラ対130を所定のタイミングで駆動させる。これにより、用紙Pは画像形成部200へ給紙される。
【0015】
画像形成部200は、受け取り胴201、用紙担持ドラム210、インク吐出部220、スキャナ231,232、受け渡し胴202、及び用紙センサ203を備える。
【0016】
受け取り胴201は、給紙された用紙Pを受け取る。受け取り胴201の表面には用紙グリッパが設けられている。給紙部100から画像形成部200へ搬送されてきた用紙Pは、受け取り胴201の用紙グリッパによって先端が把持され、受け取り胴201の表面移動に伴って搬送される。受け取り胴201により搬送された用紙Pは、用紙担持ドラム210との対向位置で用紙担持ドラム210へ受け渡される。
【0017】
搬送部として機能する用紙担持ドラム210は、受け取り胴201によって搬送された用紙Pを外周面に担持して搬送する。
【0018】
具体的には、用紙担持ドラム210の表面には、用紙グリッパが設けられており、用紙Pの先端が用紙グリッパによって把持される。また、用紙担持ドラム210の表面には、複数の吸引孔が分散して形成されており、各吸引孔には吸引装置211によって用紙担持ドラム210の内側へ向かう吸い込み気流が発生する。
【0019】
受け取り胴201から用紙担持ドラム210へ受け渡された用紙Pは、用紙グリッパによって先端が把持されるとともに、吸い込み気流によって用紙担持ドラム210の表面に吸着されて、用紙担持ドラム210の表面移動に伴って搬送される。
【0020】
インク吐出部220は、用紙担持ドラム210に担持された用紙Pに向けてインクを吐出する。
【0021】
具体的には、インク吐出部220は、例えばC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクを吐出して画像を形成するラインヘッドであり、インクごとに個別の液体吐出ヘッド220C,220M,220Y,220Kを備える。個別の液体吐出ヘッド220C,220M,220Y,220Kは、各色のインクを吐出する複数のノズルを備える。
【0022】
ただし必要に応じて、インク吐出部220に、白色、金色、銀色などの特殊なインクを吐出する液体吐出ヘッドを設けたり、表面コート液などの画像を構成しない液体を吐出する液体吐出ヘッドを設けたりしてもよい。これらの液体吐出ヘッドにも複数のノズルが設けられる。
【0023】
インク吐出部220の液体吐出ヘッド220C,220M,220Y,220Kは、画像データに応じた駆動信号により、それぞれ吐出動作を制御される。用紙担持ドラム210に担持された用紙Pがインク吐出部220との対向領域を通過する際に、液体吐出ヘッド220C,220M,220Y,220Kから各色インクが吐出され、当該画像情報に応じた画像が形成される。
【0024】
ラインスキャナである2台のスキャナ231,232は、インク吐出部220に対して用紙Pの搬送方向下流側に設けられている。2台のスキャナ231,232は、後述する濃度ムラ検出用チャートを読み取る。
【0025】
画像形成部200は、用紙担持ドラム210の表面に用紙Pの先端が用紙グリッパで把持されつつ吸引吸着搬送されている状態で、インク吐出部220により所定の画像を印刷する。所定の画像が濃度ムラ検出用チャートである場合には、印刷直後に2台のスキャナ231,232によって濃度ムラ検出用チャートの読み取りを行う。
【0026】
なお、
図1の例では、2台のスキャナ231,232を配置するようにしたが、これに限るものではなく、搬送方向における読み取り範囲を確保できれば、1台のスキャナでもよいし、3台以上のスキャナを組み合わせてもよい。
【0027】
受け渡し胴202は、用紙担持ドラム210によって搬送された用紙Pを受け取る。受け渡し胴202の表面には用紙グリッパが設けられている。用紙担持ドラム210から搬送されてきた用紙Pは、受け渡し胴202の用紙グリッパによって先端が把持され、受け渡し胴202の表面移動に伴って搬送される。受け渡し胴202により搬送された用紙Pは、搬送路321を移動して乾燥部300へ受け渡される。
【0028】
用紙センサ203は搬送路322上の用紙Pを検出する。後述するように、用紙Pは、画像が印刷済みの第1の面を上方に向けて、用紙センサ203の下方の搬送路322上を搬送される。用紙センサ203は、例えば用紙Pの端部である四隅の少なくとも1つの位置を検出し、用紙Pの検出した端部位置の情報を内部コントローラ600へと送信する。
【0029】
ただし、用紙センサ203が、用紙Pの第1の面に印刷された画像を読み取って、画像の形成位置の情報を内部コントローラ600に送信してもよい。用紙Pの第1の面に印刷された画像に位置検出用マークが含まれる場合には、用紙センサ203が、読み取った画像から位置検出用マークの位置情報を含む画像の形成位置情報を内部コントローラ600に送信してもよい。
【0030】
乾燥部300は、乾燥機構310及び搬送機構320を備える。
【0031】
乾燥機構310は、画像形成部200で用紙P上に付着させたインクを乾燥させる。つまり、画像形成部200から搬送されてきた用紙Pが乾燥機構310を通過する際、用紙P上のインクに乾燥処理が施される。これにより、インク中の水分等の液分が蒸発し、用紙P上にインクが固着するとともに、用紙Pのカールが抑制される。
【0032】
搬送機構320は、画像形成部200から搬送されてくる用紙Pを、乾燥機構310を通過させつつ搬送路321によって搬送し、排紙部500へと受け渡す。また、ユーザによる印刷設定に、用紙Pの第1の面と第2の面との両方に対する印刷処理の指示が含まれていた場合には、搬送機構320は、用紙反転部400において、搬送路321と並走する搬送路322に用紙Pを受け渡す。
【0033】
この場合、用紙Pは、印刷済みの第1の面を上方に向けて、搬送路321における搬送方向とは反対の方向に搬送路322上を搬送されていき、画像形成部200において、第2の面に対する画像形成処理を施される。このように、本明細書では、用紙Pの両面に印刷処理を行う場合、最初に印刷処理が行われる面を第1の面とし、次に印刷処理が行われる面を第2の面と呼ぶ。
【0034】
なお、第1の面に対する画像の印刷時、乾燥処理による熱の影響、及びインクの硬化に伴う応力発生の影響で、用紙Pが伸縮する場合がある。このため、伸縮した用紙Pの第2の面に印刷処理を施すときは、第1の面と第2の面との見当合わせが行われる。
【0035】
上述のように、用紙センサ203は、例えば搬送路322上を搬送される用紙Pの四隅のうち少なくとも1つの位置を検出する。内部コントローラ600は、用紙センサ203からの位置情報に基づいて、第2の面の画像形成に用いる画像データの倍率および位置等を補正する。これにより、第1の面の画像形成位置に見当合わせがされた状態で、第2の面の所望の位置に画像を印刷することができる。
【0036】
排紙部500は、排紙トレイ510を備える。排紙トレイ510には複数の用紙Pが積載される。排紙部500は、乾燥部300から搬送されてくる用紙Pを、排紙トレイ510上に順次積み重ねて保持する。
【0037】
内部コントローラ600は、プリントサーバ700に接続され、プリントサーバ700から転送された画像データに基づき、ユーザの印刷設定に応じて画像処理装置10に印刷処理を実行させる。このように、内部コントローラ600は、画像処理装置10における給紙部100、画像形成部200、乾燥部300、搬送路321,322、用紙反転部400、及び排紙部500の各部を制御し、画像処理装置10における各部の管理を行う。
【0038】
図2は、実施形態にかかる内部コントローラ600のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2に示すように、画像処理装置10の内部コントローラ600は、CPU(Central Processing Unit)601、ROM(Read Only Memory)602、RAM(Random Access Memory)603、記憶装置604、及びインタフェース(I/F)605を備えるコンピュータ等として構成される。
【0039】
CPU601は、RAM603を作業領域として使用し、例えばROM602等に格納されているプログラムを実行する。
【0040】
また、CPU601は、ユーザからの指示に濃度ムラ補正が含まれていた場合には、画像処理装置10の各部を制御して濃度ムラ検出用チャートを印刷させ、スキャナ231,232に濃度ムラ検出用チャートを読み取らせ、濃度ムラ検出用チャートの読み取り結果に基づいて印刷画像の濃度ムラ補正を行う。
【0041】
また、CPU601は、ユーザからの指示に用紙Pの第1の面と第2の面との両方に対する印刷処理、つまり両面印刷処理が含まれていた場合には、第1の面に画像が印刷された用紙Pの端部位置等を用紙センサ203に検出させ、用紙Pの端部位置の情報に基づいて第2の面への画像の形成位置を補正する。
【0042】
記憶装置604は、例えばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等であり、補助記憶領域として使用される。記憶装置604には、スクリーンデータ及び濃度ムラ検出用チャート等の設定情報が格納されている。スクリーンデータ等の情報は、例えばCPU601がプログラムを読み出して実行する際に使用される。
【0043】
I/F605は、内部コントローラ600とプリントサーバ700との通信を可能にする。
【0044】
図3は、実施形態にかかる内部コントローラ600のCPU601及びプリントサーバ700のソフトウェア構成を示すブロック図である。
図3に示すように、プリントサーバ700はRIP処理部710を備える。
【0045】
RIP処理部710は、ベクトルデータである画像データをラスタデータに変換するRIP処理を行う。ただし、画像処理装置10の内部コントローラ600が、RIP処理の一部または全部を行ってもよい。RIP処理後の画像データは、プリントサーバ700から内部コントローラ600のCPU601へと送信される。
【0046】
内部コントローラ600のCPU601は、色変換処理部610、画像位置補正部620、スクリーン処理部630、位置情報生成部640、及び濃度ムラ補正部650を備える。
【0047】
色変換処理部610は、RGBデータからCMYKデータへの変換、またはCMYKデータからRGBデータへの変換等のデバイスに依存するプロファイル等に基づいた色変換を行う。
【0048】
画像位置補正部620は、例えば用紙Pの端部位置を基準とする座標データに基づいて、画像データの位置、サイズ、及び歪みの少なくともいずれかを補正する。
【0049】
このとき、画像位置補正部620は、用紙Pの第1の面の画像形成に使用される画像データに対しては、プリントサーバ700からユーザによる印刷指示等と共に送信され、内部コントローラ600が取得した用紙情報に含まれる座標データに基づいて補正を行う。
【0050】
また、画像位置補正部620は、用紙Pの第2の面の画像形成に使用される画像データに対しては、例えば用紙センサ203から送信されたリアルタイムの座標データに基づいて補正を行う。
【0051】
用紙センサ203からの座標データは、後述の位置情報生成部640による射影変換パラメータの生成に用いられ、画像位置補正部620は、射影変換パラメータを用い、射影変換処理によって画像データを補正する。射影変換パラメータには、画像データの位置、サイズ、及び歪みの少なくともいずれかの補正パラメータを含む。
【0052】
なお、画像データの位置補正を行う際、画像位置補正部620は、1画素単位で逐次処理するのではなく、色ごとのプレーン単位で処理するなど用紙Pの片面全体に対して並列処理を行ってもよい。これにより、画像データの位置補正を高速に行うことができる。
【0053】
スクリーン処理部630は、画像データの画素値を小値化するスクリーン処理を行う。スクリーン処理は、階調処理または中間調処理とも呼ばれ、m階調のデータをn階調のデータに変換する処理である。ここで、m>nである。
【0054】
このとき、スクリーン処理部630は、内部コントローラ600の記憶装置604に格納されているスクリーンデータに基づいてスクリーン処理を行う。スクリーンデータは、m階調データからn階調データにデータを変換する場合の閾値の情報を含む。
【0055】
また、スクリーン処理部630は、ユーザからの指示に濃度ムラ補正指示が含まれていた場合には、後述の濃度ムラ補正部650が生成したスクリーンデータに基づいてスクリーン処理を行う。濃度ムラ補正部650が生成したスクリーンデータでは、スキャナ231,232による濃度ムラ検出用チャートの読み取り結果に基づいて、例えば液体を吐出する全ノズルの濃度ムラが補正されている。
【0056】
なお、スクリーン処理を行う際、スクリーン処理部630は、1画素単位で逐次処理するのではなく、用紙Pの片面全体の各画素に対して並列処理を行ってもよい。これにより、画像データのスクリーン処理を高速に行うことができる。
【0057】
位置情報生成部640は、用紙センサ203から送信された用紙Pの四隅のうちの例えば左上の一隅の座標データを基準の座標データとして、第1の面への画像形成後の用紙についての位置情報としての射影変換パラメータを生成する。射影変換パラメータは、第2の面に画像を形成する際、第1の面に形成された画像に第2の面の画像の形成位置を合わせるためのパラメータであって、例えば画像データの位置、サイズ、及び歪みの少なくともいずれかを補正する情報を含む。
【0058】
なお、用紙センサ203が、読み取り結果として用紙Pの第1の面に印刷された画像の形成位置の情報を取得していた場合には、位置情報生成部640は、第1の面の画像の形成位置に基づいて、用紙Pの左上の一隅の座標データを算出し、射影変換パラメータを生成してもよい。
【0059】
また、用紙センサ203が、読み取り結果として取得した画像の形成位置の情報に位置検出用マークの位置情報が含まれていた場合には、位置情報生成部640は、位置検出用マークの位置に基づいて、用紙Pの左上の一隅の座標データを算出し、射影変換パラメータを生成してもよい。
【0060】
濃度ムラ補正部650は、スキャナ231,232による濃度ムラ検出用チャートの読み取り結果を取得して、例えば液体吐出ヘッド220C,220M,220Y,220K間の濃度ムラを1ノズル単位で補正したスクリーンデータを生成する。
【0061】
(画像処理装置の機能例)
次に、
図4~
図6を用いて、実施形態の画像処理装置10の機能例について説明する。
【0062】
まずは、
図4を用いて、実施形態の画像処理装置10による画像の形成位置の補正例について詳細に説明する。
図4は、実施形態にかかる画像処理装置10による画像形成位置の補正の一例を示す図である。
【0063】
用紙Pの第1の面および第2の面の両方に対する印刷指示を受けると、画像処理装置10は、プリントサーバ700を介して、ユーザから第1の面と第2の面との見当合わせに必要な情報を含む用紙情報、第1の面の画像データ、及び第2の面の画像データを取得する。
【0064】
図4に示すように、画像処理装置10は、例えば第1の面の印刷および乾燥が終了した用紙Pの端部位置である四隅の位置を用紙センサ203に読み取らせる。このとき、用紙センサ203は、用紙Pの第1の面側から用紙Pの四隅の位置を読み取る。
【0065】
位置情報生成部640は、用紙センサ203による用紙Pの四隅の読み取り結果を取得して、用紙Pの四隅のうち、例えば用紙Pの搬送方向における第1の面の左上の一隅の座標データを算出する。このときの第1の面の座標データは、第1の面への印刷および乾燥が終了した後のリアルタイムデータである。位置情報生成部640は、この第1の面に関するリアルタイムデータを第1の面の基準の座標データとする。
【0066】
また、位置情報生成部640は、ユーザからの用紙情報を参照して、用紙Pの搬送方向における第2の面の左上の一隅の座標データを取得する。このときの第2の面の座標データは、用紙Pのいずれの面にも印刷がなされる前の初期データである。位置情報生成部640は、この第2の面に関する初期データを第2の面の基準の座標データとする。
【0067】
また、位置情報生成部640は、印刷および乾燥が終了した後の用紙Pの第1の面の基準の座標データに、初期データである第2の面の基準の座標データが重なり合うように、第2の面の画像データを射影変換するために必要な射影変換パラメータを算出する。
【0068】
画像位置補正部620は、射影変換パラメータを用いて、第2の面の画像データを射影変換する。これにより、印刷および乾燥が終了した後の用紙Pの第1の面の画像形成位置と一致するように、第2の面の画像データの位置が補正される。
【0069】
画像位置補正部620は、射影変換により位置補正された画像データをスクリーン処理部630に出力する。射影変換により位置補正された画像データは、個々の液体吐出ヘッド220C,220M,220Y,220Kが備える複数のノズル221に対して所定の位置関係に固定され、例えばこの後に行われるスクリーン処理においてもこれらの位置関係が維持される。
【0070】
次に、
図5を用いて、実施形態の画像処理装置10による濃度ムラの補正例について詳細に説明する。
図5は、実施形態にかかる画像処理装置10による濃度ムラの補正の一例を示す図である。
【0071】
図5(a)に示すように、仮に以下に説明する濃度ムラの補正前に印刷を行った場合、液体吐出ヘッド220C,220M,220Y,220Kごと、またはノズル221ごとに印刷特性が異なるために濃度ムラが発生する場合がある。ここで、濃度ムラとは印刷された画像にインクの濃い部分と薄い部分とが生じてしまい、一様な印刷画像となっていないことを指す。
【0072】
図5(b)に示すように、例えば印刷指示に際してユーザから濃度ムラ補正指示が出されると、画像処理装置10は、例えば用紙Pへの印刷処理に先駆けて、内部コントローラ600の記憶装置604に格納されている濃度ムラ検出用チャート651の印刷を実施する。印刷された濃度ムラ検出用チャート651は、例えばスキャナ231,232で読み取られる。
【0073】
濃度ムラ補正部650は、スキャナ231,232による濃度ムラ検出用チャート651の読み取り結果を取得する。また、濃度ムラ補正部650は、濃度ムラ検出用チャート651の読み取り結果から、ノズル221ごとの濃度値を抽出する。また、濃度ムラ補正部650は、ノズル221ごとの濃度値に基づいて、目標となる印刷特性に合わせた濃度ムラの補正値をノズル221ごとに算出し、対応するノズル221に割り当てる。
【0074】
図5(c)に示すように、上記補正値に基づいて濃度ムラ補正が実施されると、濃度のばらつきが抑制された印刷処理を施すことができる。
【0075】
次に、
図6を用いて、実施形態の画像処理装置10による印刷結果の例について説明する。
図6は、実施形態にかかる画像処理装置10による印刷結果の一例を示す図である。
【0076】
図6に示すように、ユーザから濃度ムラ補正指示を含む両面印刷指示を取得した場合、画像処理装置10においては、第2の面の印刷に用いる画像データについて、画像位置補正部620が位置補正を行った後、スクリーン処理部630が濃度ムラ補正を含めたスクリーン処理を実施する。
【0077】
具体的には、画像位置補正部620は、用紙センサ203からの情報に基づいて位置情報生成部640が生成した射影変換パラメータを用い、第2の面の印刷用の画像データの位置を補正する。
図6の例では、画像データは位置補正によって右寄りに移動されている。
【0078】
スクリーン処理部630は、濃度ムラ検出用チャートの読み取り結果に基づいて濃度ムラ補正部650が生成したノズル221ごとの濃度ムラの補正情報を含むスクリーンデータを用いて、第2の面の印刷用の画像データにスクリーン処理を施す。
【0079】
このとき、画像データの各部の位置と、ノズル221位置に応じた補正情報とが対応付けられる。ここで、画像データは既に位置補正済みであるので、スクリーン処理によって対応付けられた画像データとノズル221の位置とは印刷時まで維持される。
【0080】
(画像処理システムのシーケンス例)
次に、
図7を用いて、実施形態の画像処理システム1による画像処理のシーケンス例について説明する。
図7は、実施形態の画像処理システム1による画像処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【0081】
図7に示すように、ユーザは、例えば印刷指示(ステップS107)の前に濃度ムラ補正指示(ステップS101)を行うことができる。ただし、濃度ムラ補正は印刷処理に必須の処理ではない。プリントサーバ700は、ユーザからの濃度ムラ補正指示を取得し、画像処理装置10の内部コントローラ600に転送する(ステップS201)。
【0082】
内部コントローラ600は、濃度ムラ補正指示を受信すると、例えば内部コントローラ600が備える記憶装置604に格納されている濃度ムラ検出用チャートを印刷する(ステップS301)。
【0083】
内部コントローラ600は、濃度ムラ検出用チャートを印刷すると、画像処理装置10のスキャナ231,232に濃度ムラ検出用チャートの読み取り依頼を送信する(ステップS302)。
【0084】
スキャナ231,232は、内部コントローラ600からの指示にしたがって、印刷済みの濃度ムラ検出用チャートを読み取って、ノズルごとの濃度情報を含む読み取り結果を内部コントローラ600に送信する(ステップS303)。濃度ムラ検出用チャートの読み取り結果は、例えば内部コントローラ600の記憶装置604に格納される。
【0085】
内部コントローラ600は、CPU601の機能構成である濃度ムラ補正部650に濃度ムラ補正依頼を発行する(ステップS304)。濃度ムラ補正部650は、例えばノズルごとに濃度ムラ補正処理をするためのスクリーンデータを生成する(ステップS305)。濃度ムラ補正部650は、生成したスクリーンデータを、例えば内部コントローラ600の記憶装置604に格納する(ステップS306)。
【0086】
続いて、ユーザは、例えば用紙Pの第1の面および第2の面の両面を印刷するための印刷指示を行う(ステップS107)。ユーザからの印刷指示には用紙Pに関する用紙情報が含まれる。用紙情報には、例えば用紙Pの第1の面と第2の面との見当合わせを行うのに必要な情報が含まれている。プリントサーバ700は、ユーザからの印刷指示を取得し、画像処理装置10の内部コントローラ600に転送する(ステップS207)。
【0087】
内部コントローラ600は、用紙Pの両面の印刷指示を受信すると、印刷指示に含まれる用紙情報に基づいて、例えば用紙Pの左上端部を基準とする座標データを算出する(ステップS307)。また、内部コントローラ600は、CPU601の機能構成であるスクリーン処理部630に、濃度ムラ補正部650が生成したスクリーンデータを渡してスクリーン処理依頼を発行する(ステップS308)。
【0088】
スクリーン処理部630は、濃度ムラ補正用のスクリーンデータを用いて、第1の面の印刷用の画像データに対してスクリーン処理を行う(ステップS309)。また、スクリーン処理部630は、スクリーン処理が施され、ノズルごとの濃度ムラ補正がされた画像データを内部コントローラ600に渡す(ステップS310)。
【0089】
これにより、内部コントローラ600が受け取った画像データに基づいて、用紙Pの第1の面に対する印刷処理が行われる。
【0090】
内部コントローラ600は、第1の面に画像が形成され、用紙Pの乾燥処理が終了すると、用紙Pの第1の面側からの読み取り依頼を用紙センサ203に送信する(ステップS311)。用紙センサ203は、例えば用紙Pの四隅の位置を読み取って、リアルタイムの座標データを内部コントローラ600に送信する(ステップS312)。
【0091】
内部コントローラ600は、用紙Pの端部座標、リアルタイム座標、及びスクリーンデータをCPU601に渡して、第2の面の印刷用の画像データの生成依頼を発行する(ステップS313)。
【0092】
ここで、用紙Pの端部座標は、上述のステップS307で、用紙情報に基づいて算出された用紙Pの左上端部を基準とする座標データである。リアルタイム座標は、上述のステップS312で用紙センサ203が読み取った用紙Pのリアルタイムの座標データである。スクリーンデータは、上述のステップS305で、ノズルごとに濃度ムラ補正処理をするために濃度ムラ補正部650が生成したスクリーンデータである。
【0093】
CPU601の機能構成である位置情報生成部640は、内部コントローラ600から受け取った用紙Pの端部座標、及びリアルタイム座標に基づいて、射影変換パラメータを生成する(ステップS314)。
【0094】
CPU601の機能構成である画像位置補正部620は、位置情報生成部640が生成した射影変換パラメータを用いて第2の面の印刷用の画像データを射影変換し、画像データの位置補正を行う。また、CPU601の機能構成であるスクリーン処理部630は、内部コントローラ600から受け取ったスクリーンデータを用いて、ノズルごとの濃度ムラ補正を含むスクリーン処理を画像データに対して行う(ステップS315)。
【0095】
以上のように位置補正が施され、その後に濃度ムラ補正を含むスクリーン処理が施された第2の面の印刷用の画像データは、CPU601から内部コントローラ600へと渡される(ステップS316)。
【0096】
これにより、内部コントローラ600が受け取った画像データに基づいて、用紙Pの第2の面に対する印刷処理が行われる。
【0097】
以上により、実施形態の画像処理システム1による画像処理シーケンスが終了する。
【0098】
(画像処理装置の画像処理の例)
次に、
図8を用いて、実施形態の画像処理装置10による画像処理の例について説明する。
図8は、実施形態にかかる画像処理装置10による画像処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0099】
図8に示すように、画像処理装置10の濃度ムラ補正部650は、ユーザから濃度ムラ補正指示があった場合には(ステップS501:Yes)、ノズルごとの濃度ムラを補正するスクリーンデータを生成する(ステップS502)。スクリーンデータには、ノズルごとの濃度ムラの補正が可能なm階調データからn階調データへの変換処理の閾値の情報が含まれる。
【0100】
濃度ムラ補正部650は、ユーザから濃度ムラ補正指示がなかった場合には(ステップS501:No)、m階調データからn階調データへの変換処理の閾値を含むスクリーンデータを生成する(ステップS503)。ただし、スクリーンデータには、ノズルごとの濃度ムラを補正する情報は含まれない。
【0101】
スクリーン処理部630は、濃度ムラ補正部650が生成したスクリーンデータを用いて、第1の面への印刷用の画像データであって、色変換処理部610による色変換処理後の画像データにスクリーン処理をする(ステップS504)。
【0102】
画像処理装置10の内部コントローラ600は、画像処理装置10の各部を制御して、スクリーン処理後の画像データに基づき、第1の面に画像形成処理を行い、用紙Pを乾燥させる(ステップS505)。
【0103】
ユーザから第2の面への印刷指示がなかった場合には(ステップS506:No)、画像処理装置10は処理を終了する。
【0104】
ユーザから第2の面への印刷指示があった場合には(ステップS506:Yes)、画像処理装置10の位置情報生成部640は、第1の面の画像形成位置に第2の面の画像の見当合わせを行うための射影変換パラメータを生成する(ステップS507)。射影変換パラメータは、画像データの位置、サイズ、及び歪み等の補正情報を含む。
【0105】
画像位置補正部620は、位置情報生成部640が生成した射影変換パラメータを用いて、第2の面への印刷用の画像データであって、色変換処理部610による色変換処理後の画像データを射影変換し、画像データの位置を補正する(ステップS508)。
【0106】
スクリーン処理部630は、濃度ムラ補正部650が生成したスクリーンデータを用いて、第2の面への印刷用の画像データであって、画像位置補正部620によって位置補正された画像データにスクリーン処理をする(ステップS509)。このとき、ユーザから濃度ムラ補正指示があった場合には(ステップS501:Yes)、ノズルごとの濃度ムラの補正情報を含むスクリーンデータが使用される。ユーザから濃度ムラ補正指示がなかった場合には(ステップS501:No)、ノズルごとの濃度ムラの補正情報を含めずに生成されたスクリーンデータが使用される。
【0107】
画像処理装置10の内部コントローラ600は、画像処理装置10の各部を制御して、スクリーン処理後の画像データに基づき、第2の面に画像形成処理を行い、用紙Pを乾燥させる(ステップS510)。
【0108】
以上により、実施形態の画像処理装置10による画像処理が終了する。
【0109】
(比較例)
以下に、比較例としての特許文献1の構成と、実施形態の画像処理装置10の構成とを対比させながら説明する。
【0110】
画像処理装置においては、用紙の両面に画像を印刷する際、用紙の表裏の見当を合わせる処理が行われる。用紙の表面に印刷をして乾燥すると、乾燥処理によって用紙が伸縮する。このため、乾燥処理後の用紙の表面の画像または用紙の搬送方向における先端部等をセンサにより検出して、検出結果に基づき用紙の裏面の画像データの倍率および位置等を補正する。これにより、用紙の裏面に印刷される画像を、用紙の表面の画像の位置に一致させ、用紙の表裏面の見当合わせを実現することができる。
【0111】
図9は、比較例にかかる画像処理装置のCPU及びプリントサーバのソフトウェア構成を示すブロック図である。
図9に示すように、比較例としての特許文献1の技術では、両面印刷における表裏の見当合わせを精度よく行うために、インクが熱定着された用紙のサイズの変動情報に基づいて、スクリーン処理後に位置補正を行う。
【0112】
特許文献1の技術では、スクリーン処理の前に画像サイズを補正することで、画像サイズの補正によってスクリーンパターンに乱れが生じることを抑制できる。また、スクリーン処理の後に画像データの位置補正を行うため、位置補正の処理をする画像データ量が少なくなり、位置補正処理の高速化と処理負荷の低減とを図ることができる。
【0113】
しかしながら、特許文献1の技術では、例えばノズルごとの濃度ムラ補正処理を行おうとすると不具合が生じうる。
【0114】
図10は、比較例にかかる画像処理装置による印刷結果の一例を示す図である。
図10に示すように、特許文献1の技術では、スクリーン処理時に濃度ムラ補正を行うこととすると、1ノズル単位で濃度ムラ補正を行ったとしても、その後の位置補正によって画像データとノズルとの位置関係がずれてしまう。このため、濃度ムラ補正が機能せず、用紙の裏面の印刷時に濃度ムラが発生してしまう恐れがある。
【0115】
実施形態の画像処理装置10によれば、第2の面に印刷する画像の形成位置を射影変換パラメータに基づいて補正して第2の面の画像データを生成し、形成位置を補正された画像データの画素値を小値化するスクリーン処理を施す。これにより、スクリーン処理にノズルごとの濃度ムラ補正を含めることで、画像データとノズル位置との対応付けを維持したまま、第2の面への印刷処理をすることができる。よって、第2の面の画像の形成位置の補正と濃度ムラ補正とを両立させることができる。
【0116】
実施形態の画像処理装置10によれば、濃度ムラを補正するための情報を有するスクリーンデータを生成し、そのスクリーンデータに基づいて、第2の面の画像データに対してスクリーン処理を施す。これにより、濃度ムラを補正するための情報をスクリーン処理時に用いることができる。よって、ユーザからの濃度ムラ補正指示を実施することができる。
【0117】
実施形態の画像処理装置10によれば、スクリーンデータに複数のノズルごとに濃度ムラを補正する情報を格納する。これにより、1ノズル単位での濃度ムラ補正が可能となる。
【0118】
なお、上述の実施形態の画像処理装置10が第2の面に印刷処理を施す場合の画像データの位置補正および濃度ムラ補正に関する機能は、例えば特許文献2のように、複数台の画像処理装置を用いて印刷処理を行う場合等にも適用可能である。
【0119】
すなわち、第1の画像処理装置で第1の面に印刷処理を施した後、第2の画像処理装置で第2の面に印刷処理を施す場合に、上述の実施形態の画像処理装置10による画像データの位置補正および濃度ムラ補正に関する機能を適用することができる。
【0120】
[その他の実施形態]
上述の実施形態の画像処理装置10は、CPU601、ROM602、及びRAM603等を備えるコンピュータとして構成されていることとした。しかし、画像処理装置の機能の一部または全部が、専用のASIC(Application Specific Integrated Circuit)により実現されてもよい。
【0121】
上述の実施形態の画像処理装置10が実施するプログラムは、例えばコンピュータでの読み取りが可能なように記録媒体等に格納されて提供されることができる。記録媒体は、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。あるいは、画像処理装置10が実施するプログラムは、ネットワークに置かれたサーバ等からダウンロード可能であってもよい。
【符号の説明】
【0122】
1 画像処理システム
10 画像処理装置
203 用紙センサ
220C,220M,220Y,220K 液体吐出ヘッド
221 ノズル
231,232 スキャナ
600 内部コントローラ
610 色変換処理部
620 画像位置補正部
630 スクリーン処理部
640 位置情報生成部
650 濃度ムラ補正部
700 プリントサーバ
P 用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0123】
【文献】特開2010-212745号公報
【文献】特開2012-061698号公報