(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 65/28 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
C08G65/28
(21)【出願番号】P 2020167506
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2019182575
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 亮
(72)【発明者】
【氏名】谷口 翔平
(72)【発明者】
【氏名】光成 和貴
(72)【発明者】
【氏名】手島 樂
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-154673(JP,A)
【文献】特開2011-162780(JP,A)
【文献】特開2005-162782(JP,A)
【文献】特開2001-122957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/00- 67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応装置において、環状エーテル及び/又はその誘導体並びにヒドロキシ基を一つ有するアルコールを、酸触媒の存在下で開環重合反応によりポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法であって、
前記酸触媒が、固体酸触媒であり、
ヒドロキシ基を一つ有するアルコールの量が、環状エーテル及びその誘導体の合計量に対して、
0.005mol%以上10mol%以下であるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
【請求項2】
前記環状エーテル及び/又はその誘導体並びにヒドロキシ基を一つ有するアルコールが、前記反応装置へ連続的に供給される請求項1に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
【請求項3】
前記ヒドロキシ基を一つ有するアルコールが、炭素数1~12の脂肪族アルコールである請求項1又は2に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
【請求項4】
更にカルボン酸無水物を存在させて開環重合反応を行う請求項1乃至
3のいずれか1項に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
【請求項5】
前記カルボン酸無水物の量が、環状エーテル及びその誘導体の合計量に対して、3mol%以上50mol%以下である請求項
4に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の方法によって得られたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを、エステル交換触媒存在下でエステル交換反応によりポリアルキレンエーテルグリコールとするポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法に関する。詳しくは環状エーテルをアルコールと酸触媒の存在下で開環重合し、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシアルキレンエーテルグリコールは一般式HO-[(CH2)nO]m-H(mは2以上の整数、nは1以上の整数を表す。)で表される両末端に水酸基を有する直鎖状のポリエーテルグリコールであり、一般的に環状エーテルの開環重合により製造される。中でも、特にテトラヒドロフラン(以下、「THF」と称する場合がある)の開環重合反応により得られるポリテトラメチレンエーテルグリコールのジエステル体(以下、「PTME」と称する場合がある)をエステル交換することで得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、「PTMG」と称する場合がある)は、水酸基を両末端に持つ直鎖状のポリエーテルグリコールであり、一般式HO-[(CH2)4O]n-H(nは2以上の整数を表す。)で表され、伸縮性や弾力性が要求されるウレタン系樹脂や弾性繊維の原料として有用に用いられる。
【0003】
PTMGの製法としては、例えば、シリカ-アルミナなどの複合金属酸化物からなる固体酸触媒と無水酢酸の存在下で、THFを開環重合させてポリオキシテトラメチレングリコールジエステルを製造し、次いで、アルカリ触媒存在下で加水分解もしくは低級アルコールとエステル交換してPTMGとすることが知られている(特許文献1)。
【0004】
尚、ポリオキシテトラメチレングリコールの着色原因の一つとして、無水酢酸中に含まれるケテン二量体(以下、ジケテンとする)が影響するとし、ジケテン濃度が10ppm以下の無水酢酸を使用すれば、着色が抑制できるとしている(特許文献2)。
【0005】
又、無水酢酸等のカルボン酸無水物に対して特定量のカルボン酸を存在させることにより製造されたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの色相が優れるとしている(特許文献3)。
【0006】
更に、THFと他の環状エーテルを固体酸触媒の存在下で開環重合反応を行い、THFと他の環状エーテル中に含有する炭素数1~5のケトン類と炭素数1~5のアルコール類の濃度の合計が600重量ppm以下とすることが開示され、それにより製造されたポリエーテルポリオールは着色が改善されるとしている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平4-306228号公報
【文献】特開2001-226480号公報
【文献】特開2015-13917号公報
【文献】特開2011-162780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1乃至4に記載の従来の方法ではポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色を抑えることは不十分であった。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的は色相に優れたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、反応装置において、環状エーテル及び/又はその誘導体並びにヒドロキシ基を一つ有するアルコールを、酸触媒の存在下で開環重合反応によりポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造するにあたり、ヒドロキシ基を一つ有するアルコールの量を環状エーテル及びその誘導体の合計量に対して特定範囲とすることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明の要旨は、以下の[1]~[7]に存する。
[1] 反応装置において、環状エーテル及び/又はその誘導体並びにヒドロキシ基を一つ有するアルコールを、酸触媒の存在下で開環重合反応によりポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法であって、ヒドロキシ基を一つ有するアルコールの量が、環状エーテル及びその誘導体の合計量に対して、0.002mol%以上10mol%以下であるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
[2] 前記環状エーテル及び/又はその誘導体並びにヒドロキシ基を一つ有するアルコールが、前記反応装置へ連続的に供給される[1]に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
[3] 前記ヒドロキシ基を一つ有するアルコールが、炭素数1~12の脂肪族アルコールである[1]又は[2]に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
[4] 前記酸触媒が、固体酸触媒である[1]乃至[3]のいずれかに記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
[5] 更にカルボン酸無水物を存在させて前記開環重合反応を行う[1]乃至[4]のいずれかに記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
[6] 前記カルボン酸無水物の量が、環状エーテル及びその誘導体の合計量に対して、3mol%以上50mol%以下である[5]に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
[7] [1]乃至[6]のいずれかに記載の方法によって得られたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを、エステル交換触媒存在下でエステル交換反応によりポリアルキレンエーテルグリコールとするポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、環状エーテル及び/又はその誘導体の開環重合反応において、特定濃度のヒドロキシ基を一つ有するアルコールを存在させることで、色相に優れたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造することができる。特に環状エーテル及び/又はその誘導体としてTHFを選択し、酸触媒として固体酸触媒とし、無水酢酸等のカルボン酸無水物を更に存在させて開環重合反応することによりポリテトラメチレンエーテルグリコールジエステルを製造することでその効果は顕著となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0014】
<環状エーテル及びその誘導体>
本発明の製法において、開環重合反応の原料となる環状エーテル及びその誘導体は特に限定されないが、環状エーテルを構成する炭素原子数として、通常2~10であり、好ましくは3~7であり、より好ましくは3~5である。具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロピラン、オキセパン、1,4-ジオキサンなどが挙げられる。これらの中でもTHFが反応性や製造物の工業的需要の点から好ましい。また、環状の炭化水素の一部がアルキル基、ハロゲン原子などで置換された環状エーテルの誘導体も使用することができる。具体的に環状エーテルがTHFの場合は、3-メチルテトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフランなどが挙げられる。これら環状エーテル及び/又はその誘導体は1種又は2種以上を混合して用いてもよいが、1種類で使用することが好ましい。
THFは、例えば従来公知の製法で得られる。具体的には、原料ブタジエン、酢酸、及び酸素を反応させることにより、ブタジエンのアセトキシ化反応を行って中間体であるジアセトキシブテンを得、このジアセトキシブテンを水添、加水分解することで得られる1,4-ブタンジオールを環化脱水してTHFを得る方法;マレイン酸、コハク酸、無水マレイン酸及び/又はフマル酸を原料として用い、これらの原料を水素化して得られる1,4-ブタンジオールを環化脱水してTHFを得る方法;アセチレンを原料として用い、このアセチレンとホルムアルデヒド水溶液とを接触させてブチンジオールを得、このブチンジオールを水素化して得られる1,4-ブタンジオールを環化脱水してTHFを得る方法;プロピレンの酸化を経由して得られる1,4-ブタンジオールを環化脱水してTHFを得る方法;発酵法により得たコハク酸を水添して得られる1,4-ブタンジオールを環化脱水してTHFを得る方法;糖などのバイオマスから直接発酵により得た1,4-ブタンジオールを環化脱水して得るTHFを方法;バイオマス由来のフルフラールからフランを経由してTHFを得る方法などが挙げられる。
また、THF以外の他の環状エーテル、その誘導体も、例えば従来公知の製法で得られる。
【0015】
<ヒドロキシ基を一つ有するアルコール>
本発明における開環重合反応時に存在するアルコールは、ヒドロキシ基を一つ有するアルコールであり、たとえば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、エチルヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、2-プロパノール、2-ブタノール、2-ペンタノール、2-ヘキサノール、2-メチル-2-プロパノール、2-メチル-2-ブタノール等の脂肪族アルコール、フェノール等の芳香族アルコールが挙げられる。これらの中でも、製造されたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの色相を抑制できる観点から、炭素数1~12の脂肪族アルコールが好ましく、炭素数2~8の脂肪族アルコールがより好ましく、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールがさらに好ましい。ヒドロキシ基を一つ有するアルコールは、1種類を用いても、複数種を組み合わせてもよい。尚、ヒドロキシ基を一つ有するアルコールは、開環重合反応の前工程から開環重合反応に持ち込まれたものであっても、開環重合反応に使用される原料中に含まれるものであっても構わない。
【0016】
<酸触媒>
本発明の製造方法に用いる酸触媒としては、環状エーテル及び/又はその誘導体を開環重合反応が可能である酸触媒であれば特に限定されないが、重合反応液から触媒の回収容易性の観点で、通常固体状の形状である固体酸触媒が好ましく、ルイス酸性を有する固体酸触媒がより好ましい。又、固体酸触媒としては、金属酸化物からなる固体酸触媒が好適に使用される。金属としては、好ましくは長周期型周期表(以下、単に「周期表」と称する場合がある)の第3族、第4族、第13族又は第14族に属する金属元素からなる金属酸化物、もしくは、これらの金属元素を含む複合酸化物が用いられる。具体的には酸化イットリウム、チタニア、ジルコニア、アルミナ、シリカなどの金属酸化物;またはジルコニアシリカ、ハフニアシリカ、シリカアルミナ、チタニアシリカ、チタニアジルコニアのような複合酸化物が好ましい。また、これらの複合酸化物にさらに他の金属元素を含有する複合酸化物を用いてもよい。
【0017】
本発明の固体酸触媒を調製する方法としては、例えば、周期表の第3族、第4族、第13族もしくは第14族に属する金属元素から選ばれる1種類以上の金属の塩またはそのアルコキシドを含有する混合溶液に、必要により酸、アルカリ、又は水を添加することにより固体酸触媒前駆体として、沈澱物またはゲルを得るが、具体的には共沈殿法、ゾル-ゲル法、混練法、含浸法などが挙げられる。実際には、適当な担体上に金属塩及び/又は金属アルコキシドを担持させ、固相状態(実質的に水を含まない状態)においてアルカリやアミン等の塩基性物質を接触させる過程を経て固体酸触媒前駆体を得る方法が好ましく用いられる。
【0018】
このようにして得られた固体酸触媒前駆体は、必要に応じてろ過、洗浄、乾燥を行った後、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、空気あるいは希釈酸素ガス等の酸化性ガス雰囲気下で焼成し、所望の(複合)酸化物を得ることができる。加熱焼成温度としては通常600℃~1150℃、好ましくは700℃~1000℃の温度で行われる。上記温度範囲で焼成することにより活性、安定性に優れた固体酸触媒を得ることができる。
【0019】
開環重合反応に用いる酸触媒の使用量は、反応形式が固定床であるか懸濁床であるかによって、あるいは連続反応であるか回分反応であるかによって異なるが、懸濁床連続反応の場合には、通常、反応系の全化合物に対して0.001重量%~50重量%、好ましくは0.01重量%~30重量%、特に好ましくは0.1重量%~20重量%である。また、懸濁床回分反応の場合には、通常、反応系の全化合物に対して0.001重量%~40重量%、好ましくは0.01重量%~30重量%、特に好ましくは0.1重量%~20重量%である。
【0020】
<ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法>
本発明の製造方法では、反応装置において、環状エーテル及び/又はその誘導体並びにヒドロキシ基を一つ有するアルコールを、酸触媒の存在下で開環重合反応によりポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造するが、ヒドロキシ基を一つ有するアルコール量が、環状エーテル及びその誘導体の合計量に対して、0.002mol%以上10mol%以下である。前記範囲内とすることにより、色相に優れたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造することができる。該ヒドロキシ基を一つ有するアルコール量の下限は好ましくは0.003mol%、より好ましくは0.005mol%である。又、上限は好ましくは8mol%、より好ましくは5mol%、さらに好ましくは1mol%である。尚、ヒドロキシ基を一つ有するアルコール量が少なすぎると、得られるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色抑制という本発明の効果が得られない場合がある。また、ヒドロキシ基を一つ有するアルコール量が多すぎると、環状エーテル及び/又はその誘導体の開環重合反応を阻害し、開環重合速度が低下する場合がある。
尚、前記環状エーテル及びその誘導体の合計量とは、後述する回分方式、連続方式、回分-連続方式等の開環重合反応の反応方式にかかわらず、開環重合反応のために反応装置に供給される環状エーテル及びその誘導体の総量であり、同じく、前記ヒドロキシ基を一つ有するアルコール量とは、後述する回分方式、連続方式、回分-連続方式等の開環重合反応の形態にかかわらず、開環重合反応のために反応装置に供給されるヒドロキシ基を一つ有するアルコールの量である。
【0021】
環状エーテル及びその誘導体の合計量に対するヒドロキシ基を一つ有するアルコールの量を制御する方法としては、公知の方法であれば特に限定されないが、環状エーテル及びその誘導体と、ヒドロキシ基を一つ有するアルコールを特定割合で混合した混合液として反応装置に供給する方法や、環状エーテル及びその誘導体と、ヒドロキシ基を一つ有するアルコールをそれぞれ別々に特定割合で反応装置に供給する方法が挙げられるが、反応装置内でのヒドロキシ基を一つ有するアルコールの混合性の観点で、環状エーテル及びその誘導体と、ヒドロキシ基を一つ有するアルコールを特定割合で混合した混合液として反応装置に供給する方法が好ましい。
【0022】
環状エーテル及びその誘導体の合計量に対するヒドロキシ基を一つ有するアルコールの量を特定範囲とすることで、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色が抑制される詳細な機構は不明であるが、以下の様に推測する。
環状エーテル及びその誘導体や、場合によりカルボン酸無水物中に含まれる不純物であるアルデヒド、ケトンおよびオレフィン等の不飽和化合物が、酸触媒の酸点と反応することにより、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルとは分離が困難な着色物となっていると推測される。
そして、開環重合反応時にヒドロキシ基を一つ有するアルコールが特定量存在することで、以下の作用が得られたと考えられる。
(1)ヒドロキシ基を一つ有するアルコールにより、酸触媒の酸点と前記不飽和化合物との反応を阻害することにより、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色が抑制される。
(2)酸触媒の酸点と反応した不飽和化合物の成長(重合)が、ヒドロキシ基を一つ有するアルコールにより抑制され、結果としてポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色が抑制される。
なお、ヒドロキシ基を複数持つアルコールはヒドロキシ基を一つ有するアルコールとは相違し、酸触媒の酸点上で脱水縮合する場合があり、重合物の形成により触媒活性点を被覆し、劣化を進める可能性がある。
【0023】
本発明の方法により製造されたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルは加水分解反応やエステル交換反応を行う等の公知の方法でポリアルキレンエーテルグリコールに変換することができる。
例えば、反応装置において、環状エーテルとしてTHF、ヒドロキシ基を一つ有するアルコールとしてブタノールを使用、酸触媒の存在下、開環重合反応させると、PTMEが得られる。該PTMEは、例えば、炭素数1~4の脂肪族アルコールと混合し、エステル交換触媒存在下でアルコリシス反応によりエステル交換を行うことで、PTMGを得ることができる。
【0024】
本発明において開環重合反応を行う反応装置は特に限定されないが、槽型、塔型等一般に用いられるものが使用される。
また、開環重合反応の反応方式として、環状エーテル及び/又はその誘導体、ヒドロキシ基を一つ有するアルコール、酸触媒をそれぞれ一定量測り取り、それぞれを反応装置に仕込んで重合させる方法(回分方式)、環状エーテル及び/又はその誘導体、ヒドロキシ基を一つ有するアルコール及び酸触媒がそれぞれ反装置器内で一定量存在するように連続的に反応装置に供給して重合する(連続方式)、又は、環状エーテル及び/又はその誘導体、ヒドロキシ基を一つ有するアルコール、酸触媒それぞれ一定量を初期に反応装置に仕込んで重合を開始し、それぞれの残量を反応装置に連続的に供給しながら重合する(回分-連続方式)が挙げられる。中でも、反応装置内のヒドロキシ基を一つ有するアルコール濃度を一定に保てる観点から、反応装置に連続的に供給しながら重合する、連続方式又は回分―連続方式が好ましい。
【0025】
本発明の製法における開環重合反応の温度は、公知の範囲であれば限定されないが、通常30℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上であり、一方上限は通常65℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは55℃以下である。上記範囲内であれば、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色抑制の効果がより高くなる。開環重合反応の温度が上記上限温度を超えると、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色が悪化するなどの品質低下を引き起こす場合がある。また、開環重合反応温度が前記下限温度未満では、収率低下による生産性が悪化するだけでなく、環状エーテル等の未反応原料を回収するコストが増大する傾向にある。なお、本発明における開環重合反応の温度とは、反応装置内の反応液温を意味する。
【0026】
本発明の製法における開環重合反応の圧力は、反応系が液相を保持できるような圧力であればよく、通常常圧~10MPa、好ましくは常圧~5MPaの圧力の範囲から選択される。開環重合反応の時間はポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの収率、経済性の観点から通常0.1時間~20時間、好ましくは0.5時間~15時間の範囲である。ここでいう時間とは、回分方式においては、開環重合反応の温度まで上昇した時点から開環重合反応が終了して冷却を開始するまでの時間を意味し、連続方式においては、反応装置中での重合反応液の滞留時間のことを意味する。
【0027】
本発明の製造方法では必要に応じて、反応装置の後段に、反応液から未反応環状エーテル及び/又はその誘導体、ヒドロキシ基を一つ有するアルコール等の未反応原料の分離回収工程、製造されたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの回収、及び回収されたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの加水分解工程、並びに酸触媒の再生工程等を加えてよい。回分方式の場合、開環重合反応終了後、先ず酸触媒と反応液を濾過分別し、反応液より、未反応原料を溜去することで、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのみを容易に得ることができる。更に、反応後の酸触媒はよく洗浄後、付着した有機物を燃焼することにより容易に活性を回復することができる。
【0028】
本発明の製造方法において、未反応原料の分離回収工程を加える場合は、気液分離装置や気液接触装置を用いる等公知の方法であれば特に限定されないが、気液接触装置にポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを含む反応液を供給し、未反応原料を分離回収する工程が含まれることが好ましい。また、これら未反応原料の分離回収工程は一種又は複数を組み合わせてもよい。
尚、気液接触装置とは、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを含む反応液に対して不活性ガスを接触させる工程にて使用される装置を意味する。
【0029】
本発明で用いてもよい気液接触装置は特に限定されないが、気体連続相中に液体を分散させる形式の気液接触装置として充填塔、スプレー塔、スクラバー、濡壁塔等;液体連続相中に気体を分散させる形式の気液接触装置として気泡塔、段塔、気泡攪拌槽等が挙げられ、単独又は複数で用いてもよい。中でも、液体/気体の比が小さく滞留時間が短くでき、重合物の加熱劣化を避けることができるため、気体連続相中に液体を分散させる形式の気液接触装置が好ましい。より好ましくは、気液接触面積が大きくできる充填塔、スプレー塔、スクラバーであり、特に制御が容易な充填塔が工業的に有利な傾向にある。上記充填塔における充填物は、ラシヒリングやポールリングに代表される不規則充填物でも規則充填物でもよい。
【0030】
気液接触装置に用いる不活性ガスとしては、窒素、アルゴン及び二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも一種が含まれることが好ましく、これらの中で、窒素がより好ましく用いられる。
【0031】
仕込み液量に対する通気ガスの仕込み体積比は、塔内温度及び塔内段数によって変化するが、通常10~100の体積比が用いられる。過大な体積比は、通気ガスの損失につながるので不利である。塔段数は、滞留時間に依存するが、5段~30段で好適に実施される。
【0032】
本発明の製造方法において、気液接触装置を用いる場合、圧力は通常10kPa~200kPa、好ましくは20kPa~100kPa、処理温度は100℃~200℃、好ましくは140℃~180℃で運転される。上記処理温度が低すぎると、残存する未反応原料の十分な分離が行えない傾向にあり、高すぎるとカルボン酸無水物の分解が起こりやすくなり、分解生成物由来の着色がより顕在化しやすくなる傾向がある。また、処理時間は好ましくは10分~240分、より好ましくは15分~180分、特に好ましくは30分~120分である。処理時間が短すぎると未反応原料が十分に分離されない傾向があり、長すぎるとカルボン酸無水物の分解が進行し、分解生成物由来の着色が顕在化しやすい傾向となる。
【0033】
このような気液接触装置の内部の材質としては特に限定されず、公知の材質が使用できるが、例えば、SUS製、ハステロイ(商標名)、チタン、ガラス等が挙げられ、中でも、耐腐食性の観点から好ましくは、SUS又はハステロイ(商標名)が好ましく用いられる。より具体的にはSUS304、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS317L、SUS329J4L等が挙げられる。
【0034】
<カルボン酸無水物>
本発明の製法において、助剤(重合反応開始剤)として更にカルボン酸無水物を開環重合反応に存在させることが好ましい。カルボン酸無水物を存在させることにより環状エーテル及び/又はその誘導体の開環重合反応を促進させることが可能となる。カルボン酸無水物としては、通常炭素数2~12、好ましくは炭素数2~8の脂肪族又は芳香族カルボン酸から誘導されるカルボン酸無水物が挙げられる。カルボン酸無水物の原料となるカルボン酸はモノカルボン酸であるのが好ましいが、ポリカルボン酸を用いてもよい。上記カルボン酸の具体例として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、マレイン酸、コハク酸等の脂肪族カルボン酸;安息香酸、フタル酸、ナフタリン酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。これらの中でも価格や入手のしやすさから脂肪族カルボン酸から誘導されるカルボン酸無水物を用いるのが好ましく、反応性や製造物の需給の観点から無水酢酸が好ましく用いられる。
【0035】
カルボン酸無水物の量としては、特に限定されないが、環状エーテル及びその誘導体の合計量に対して通常3mol%以上50mol%いかであり、下限は好ましくは7mol%、より好ましくは10mol%であり、一方上限は、好ましくは40mol%、より好ましくは30mol%、更に好ましくは25mol%である。上記範囲内であれば、製造されたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色抑制効果がより高くなる。カルボン酸無水物量が多すぎると、開環重合反応時や開環重合反応後の加熱工程において、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルにカルボン酸無水物由来の着色が起こる可能性がある。また、カルボン酸無水物が少なすぎると、目的とする平均分子量のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造することが困難となる場合がある。
【0036】
<ポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法>
本発明の製法により製造されたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルは加水分解反応やエステル交換反応を行うことによりポリアルキレンエーテルグリコールに変換することができる。
例えば、環状エーテルとしてTHFを使用する場合には、PTMEが得られる。該PTMEを炭素数1~4の脂肪族アルコールと混合し、エステル交換触媒存在下でアルコリシス反応によりエステル交換を行うことで、PTMGを得ることができる。
【0037】
エステル交換触媒としては、加水分解反応又はエステル交換反応に使用されている公知のものであれば特に限定されないが、通常はリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム等のアルカリ金属アルコキシドが用いられ、中でも、ナトリウム、カリウムのアルコキシドが好ましく用いられる。具体的には、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシド等が挙げられる。汎用性が高く安価であることから、ナトリウムメトキシドがより好ましい。
上記、加水分解反応又はエステル交換反応は通常、常圧または加圧下で行うことができ、圧力は通常0.1MPa~2.0MPa、好ましくは1.0MPa~1.5MPaである。また、加水分解反応又はエステル交換反応における反応温度は通常60℃~180℃の範囲で行われる。
【0038】
<ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの分子量>
本発明の製造方法により、数平均分子量(Mn)が200~80,000、好ましくは200~40,000程度の低~中分子量のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを得ることができる。特に数平均分子量が300~1300、好ましくは500~1,200のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する際にその効果は顕著である。
【0039】
又、上記ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルから得られるポリアルキレンエーテルグリコールは、弾性繊維、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、コーティング材などの用途に使用することができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<重量平均分子量・数平均分子量>
ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの数平均分子量(Mn)は、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのテトラヒドロフラン溶液を調製後、GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC-8220」(カラム:TSKgelSuperHZM-N(4本)〕を用いて測定した。GPCのキャリブレーションには、英国POLYMERLABORATORIES社のPOLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキットを使用した。
【0041】
<ハーゼン色数>
本発明で得られるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色の程度は、ハーゼン色数米国公衆衛生協会の規格に規定されているハーゼン色数(APHA値)で表した。ハーゼン色数はキシダ化学社製APHA色数標準液(N0.500)を希釈して調製した標準液を使用し、JISK0071-1に準じて比色して求めた。色差計は日本電色工業株式会社製測色色差計ZE-2000を使用し、セル厚み:10mmの条件で測定した。尚、ハーゼン色数は小さいほど色相が良好であることを示す。ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルが衣料等の弾性繊維の原料、塗料、コーティング剤の原料等の用途に好適になるという観点から、ハーゼン色数(APHA値)は、25以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましく、15以下であることさらに好ましい。
【0042】
<開環重合反応触媒>
本実施例の開環重合反応で使用した触媒は以下のようにして調製した。27.2%硝酸ジルコニア水溶液にCARiACTQ-15(登録商標)(富士シリシア化学(株)製 シリカ担体)を含浸し乾燥処理を実施し、乾燥処理物とした。その後、該乾燥処理物を重炭酸アンモニウム水溶液で中和・洗浄を行った後、更に乾燥、次いで900℃で焼成処理を実施し、固体酸触媒を得た。該固体酸触媒は以下「酸触媒A」と称する。
【0043】
<比較例1>
撹拌装置を備え付けた0.52LのSUS316製流通反応装置(重合反応温度47℃、滞留時間6時間)に酸触媒Aを32g投入した。無水酢酸をTHFに対して8mol%、酢酸をTHFに対して2mol%となるように調製して、原料タンクに投入した。この原料タンクの溶液を毎時87mLの流量で連続的に該流通反応装置へフィードし、適宜、THFの転化率が一定となる様に酸触媒Aを追加した。流通反応開始後1900時間、酸触媒AのTHFの一時反応消費速度に基づいた比活性が0.7のときの重合反応液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した結果、得られたPTMEの数平均分子量は963、THF転化率は42mol%であった。この重合反応液を、撹拌子を備えたガラス製丸底フラスコに100g入れて、500cc/minの流量で窒素をバブリングさせながら、常圧下でバス温170℃にて2時間加熱して未反応溶媒を留去し、PTMEを得た。比色分析を行い、得られたPTMEのAPHAを測定した結果、APHA値は30であった。
本発明においてTHF転化率とは、反応に供されたTHFのモル数と反応後に残ったTHFのモル数の差を、反応に供されたTHFのモル数で除した値に、100を乗じることにより計算される。
【0044】
<比較例2>
撹拌装置を備え付けた1LのSUS316製反応器にTHFを350g、無水酢酸を150g、酢酸を16.6g加えた。この時、無水酢酸はTHFに対して30mol%、酢酸はTHFに対して3mol%であった。次いで、該反応器に、酸触媒Aを25g投入した後に加熱を開始し、10分で50℃まで内温を上昇し、その温度を保持した。6時間後の重合反応液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した結果、得られたPTMEの数平均分子量は554、THF転化率は45.6mol%であった。この重合反応液を、撹拌子を備えたガラス製丸底フラスコに100g入れて、500cc/minの流量で窒素をバブリングさせながら、減圧下でバス温120℃にて2時間加熱して未反応溶媒を留去し、PTMEを得た。比色分析を行い、得られたPTMEのAPHAを測定した結果、APHA値は37であった。
【0045】
<実施例1>
原料タンクに、THFに対して0.01mol%のブタノールを加えた以外は比較例1と同様に重合反応を行った。2100時間、酸触媒Aの比活性が0.7のときの重合反応液から得られたPTMEの数平均分子量は880、THF転化率は42mol%であった。この重合反応液を、撹拌子を備えたガラス製丸底フラスコに100g入れて、500cc/minの流量で窒素をバブリングさせながら、常圧下でバス温170℃にて2時間加熱して未反応溶媒を留去し、PTMEを得た。比色分析を行い、得られたPTMEのAPHAを測定した結果、APHA値は10であった。
【0046】
<実施例2>
撹拌装置を備え付けた1LのSUS316製反応器にTHFを330g、無水酢酸を150g、酢酸を16.6g、ブタノールを0.035g加えた。この時、無水酢酸はTHFに対して30mol%、酢酸はTHFに対して3mol%、ブタノールはTHFに対して0.01mol%であった。次いで、該反応器に、酸触媒Aを25g投入した後に加熱を開始し、10分で50℃まで内温を上昇した後に、予めTHF20gにブタノールを0.002g加えた溶液を4g/hrで反応器内に連続的に供給した。尚、50℃に昇温後は、その温度を保持した。50℃に昇温後、6時間後の重合反応液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した結果、得られたPTMEの数平均分子量は523、THF転化率は45.3mol%であった。この重合反応液を、撹拌子を備えたガラス製丸底フラスコに100g入れて、500cc/minの流量で窒素をバブリングさせながら、減圧下でバス温120℃にて2時間加熱して未反応溶媒を留去し、PTMEを得た。比色分析を行い、得られたPTMEのAPHAを測定した結果、APHA値は16であった。
【0047】
<実施例3>
撹拌装置を備え付けた1LのSUS316製反応器にブタノールを0.0025mol%含むTHF組成物を720g、無水酢酸を80g加えた。この時、無水酢酸はTHFに対して8mol%であった。次いで、該反応器に、酸触媒Aを25g投入した後に加熱を開始し、10分で40℃まで内温を上昇した。尚、40℃に昇温後は、その温度を保持した。40℃に昇温後、6時間後の重合反応液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した結果、得られたPTMEの数平均分子量は1610、THF転化率は47.6mol%であった。この重合反応液を、撹拌子を備えたガラス製丸底フラスコに100g入れて、500cc/minの流量で窒素をバブリングさせながら、減圧下でバス温120℃にて2時間加熱して未反応溶媒を留去し、PTMEを得た。比色分析を行い、得られたPTMEのAPHAを測定した結果、APHA値は12であった。
【0048】
<比較例3>
原料タンクに、THFに対して11.0mol%のブタノールを加えた以外は比較例1と同様に重合反応、測定を行った。その結果を表1に示した。
【0049】
<実施例4>
原料タンクに、THFに対して2.0mol%のブタノールを加えた以外は比較例1と同様に重合反応、測定を行った。その結果を表1に示した。
【0050】
【0051】
実施例1~実施例4の結果より、ブタノールなどのヒドロキシ基を1つ有するアルコールを本発明の規定範囲内の量で用いることで、THF転化率を十分に保持しつつ、得られるPTMEの着色が抑制されていることがわかった。
また比較例1~比較例3の結果より、アルコール量が本発明規定の範囲より少ないとPTMEの着色が見られた。また、本発明の規定範囲を超えるアルコールを添加すると、得られるPTMEの着色が抑制されていることがわかったが、THF転化率が著しく低下した。