(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
G01B11/02 H
(21)【出願番号】P 2020171433
(22)【出願日】2020-10-09
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】井上 孔佑
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-165564(JP,A)
【文献】特開2012-166347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
B41J 11/42-11/46
B41J 2/01
B65H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体が搬送される搬送面と、
前記搬送面と平行な検出光を出射する投光部と、前記検出光を受光する受光部とを有する検出手段と、
前記受光部による前記検出光の受光結果に基づいて、前記搬送面における前記記録媒体の高さ位置を検出する制御手段と、
前記検出光の一部を一定量遮光する遮光手段と
を備え、
前記遮光手段は、
前記検出光の上部の一部を一定量遮光し、
前記受光部は、
前記受光部の受光面における前記検出光の最高受光位置および最低受光位置の各々を検知可能であり、
前記制御手段は、
前記受光部による前記検出光の受光結果に基づいて、前記検出光の屈折量を算出する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記遮光手段は、
前記検出光の遮光高さ位置を調整可能な構成を有し、
前記制御手段は、
前記遮光高さ位置が調整される毎に、
前記受光部において前記検出光が照射される高さ位置における、前記検出光の屈折量を算出可能である
ことを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
算出された前記検出光の屈折量に応じて、前記受光部における前記検出光の基準高さ位置を補正する
ことを特徴とする請求項
1または
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記検出光の光路上の温度調整を行う温調手段をさらに備え、
前記制御手段は、
算出された前記検出光の屈折量に応じて、前記温調手段の駆動制御を行う
ことを特徴とする請求項
1から
3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
算出された前記検出光の屈折量に応じて、前記画像形成装置が有する熱源の可動レベルを制御する
ことを特徴とする請求項
1から
4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
主走査方向の異なる位置に設けられた複数の前記遮光手段を備える
ことを特徴とする請求項
1から
5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記遮光手段は、
主走査方向に移動可能である
ことを特徴とする請求項
1から
5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
記録媒体の主走査方向のサイズに応じて、前記検出光の屈折量を算出し、算出された屈折量に応じて、前記受光部における前記検出光の基準高さ位置を補正する
ことを特徴とする請求項
6または
7に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、インクジェットヘッドよりも上流に、レーザ光を投光する投光部と、レーザ光を受光する受光部とを配置し、受光部によるレーザ光の受光量が所定の閾値を超えた場合に、用紙の浮きの発生を検出する技術に関し、検出高さ可変機構により、記録媒体を搬送している状態の検出高さを、記録媒体の厚みに応じて調整する技術が開示されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、インクジェットヘッドよりも上流に、レーザ光を投光する投光部と、レーザ光を受光する受光部とを配置し、受光部によるレーザ光の受光量が所定の閾値を超えた場合に、用紙の浮きの発生を検出する技術に関し、送風ファンにより、半円筒状の溝内に空気を送風することにより、半円筒状の溝内を通過する検出光の光軸周辺の空気温度を略一定に保つ技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2の技術では、環境温度の変化によりレーザ光の屈折が発生することで用紙の浮きに関わらずセンサの受光状態が変わってしまい、用紙の浮き量を高精度に検出できない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、一実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体が搬送される搬送面と、搬送面と平行な検出光を出射する投光部と、検出光を受光する受光部とを有する検出手段と、受光部による検出光の受光結果に基づいて、搬送面における記録媒体の高さ位置を検出する制御手段と、検出光の一部を一定量遮光する遮光手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態によれば、検出光を受光することによって記録媒体の浮きを検出する画像形成装置において、環境温度の変化による検出光の屈折の発生を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図
【
図2】一実施形態に係る画像形成装置が備えるインクジェット記録モジュールの構成を示す図
【
図3】一実施形態に係る画像形成装置が備える検出手段の構成の一例を示す図
【
図4】従来の画像形成装置による搬送用紙の高さ位置の検出方法を説明するための図
【
図5】一実施形態に係る画像形成装置による搬送用紙の高さ位置の検出方法を説明するための図
【
図6】一実施形態に係る画像形成装置が備える遮光部材の構成の一例を示す図
【
図7】一実施形態に係る画像形成装置による、所定のリファレンス高さ位置の補正例を示す図
【
図8】一実施形態に係る画像形成装置が備える温調手段の一例を示す図
【
図9】一実施形態に係る画像形成装置が備える制御部による処理の手順の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0009】
(画像形成装置200の全体構成)
図1は、一実施形態に係る画像形成装置200の全体構成を示す図である。
図1に示す画像形成装置200は、オンデマンド方式のライン走査型インクジェット記録装置である。
【0010】
図1に示すように、一実施形態に係る画像形成装置200は、画像形成部210、給紙部220、レジスト調整部230、乾燥部240、記録媒体反転部250、および排紙部290を備える。
【0011】
給紙部220は、給紙スタック221に積載された記録媒体Wを、エアー分離部222によって1枚ずつピックアップし、レジスト調整部230へ送出する。
【0012】
レジスト調整部230は、給紙部220から送出された記録媒体Wに対し、レジストローラ対231によって、傾きの補正を行う。そして、レジスト調整部230は、傾きの補正が行われた後の記録媒体Wを、画像形成部210へ送出する。
【0013】
画像形成部210は、レジスト調整部230から送出された記録媒体Wの先端を、円筒形状のドラム10(「搬送手段」の一例)の表面に設けられた記録媒体グリッパ11によって挟んだ状態で、ドラム10が回転することにより、当該記録媒体Wを、ヘッドモジュール28K~28Pの各々に対向する位置へ搬送する。画像形成部210では、円筒形状のドラム10表面に沿って、インクジェット方式によりインクを吐出する記録ヘッドユニットであるヘッドモジュール28K~28Pが、所定のインク色を充填した状態で放射状に角度をもって配置されている。画像形成部210は、ヘッドモジュール28K~28Pの各々が、ドラム10の表面に保持された記録媒体Wの表面に対して、インク(液体)を吐出することにより、記録媒体Wの表面に画像を形成する。そして、画像形成部210は、画像が形成された後の記録媒体Wを、乾燥部240へ送出する。
【0014】
乾燥部240は、乾燥ユニット241の下側を記録媒体Wが通過することにより、記録媒体Wを乾燥させる。そして、乾燥部240は、乾燥された後の記録媒体Wを、排紙部290へ送出する。但し、乾燥部240は、両面印刷の場合には、乾燥された後の記録媒体Wを、記録媒体反転部250へ送出する。
【0015】
記録媒体反転部250は、乾燥部240から送出された記録媒体Wを、記録媒体反転機構251によって反転し、反転搬送部252によって、画像形成部210へ送出する。画像形成部210の内部に設けられたレジストローラ253は、記録媒体反転部250から送出された記録媒体Wの傾きを補正し、ドラム10へ搬送する。
【0016】
排紙部290は、乾燥部240から送出された複数の記録媒体Wが、互いに揃えられた状態で積載される。
【0017】
(インクジェット記録モジュール20の構成)
一実施形態に係る画像形成装置200(画像形成部210)が備えるインクジェット記録モジュール20の構成を示す図である。
【0018】
図2に示すように、インクジェット記録モジュール20は、駆動制御基板21、ケーブル22、およびインクジェット記録ヘッド23を備える。
【0019】
駆動制御基板21は、駆動制御部25、駆動波形生成部26、および記憶手段24が搭載されている。
【0020】
ケーブル22は、駆動制御基板21に接続される駆動制御基板コネクタ27と、インクジェット記録ヘッド23に接続されるヘッド側コネクタ28とを有する。ケーブル22は、駆動制御基板21と、インクジェット記録ヘッド23との間で、アナログ信号およびデジタル信号を伝送する。
【0021】
インクジェット記録ヘッド23は、残留振動検知モジュール23A、ヘッド基板23B、ヘッド内インクタンク23C、ヘッド駆動IC基板23D、および剛性プレート23Eを有する。なお、本実施形態の画像形成装置200は、オンデマンド方式のライン走査型インクジェット記録装置であるため、インクジェット記録モジュール20では、複数のインクジェット記録ヘッド23が、記録媒体Wの搬送方向と直交する方向(すなわち、記録媒体Wの幅方向)に並べて設けられている。但し、本発明は、ライン走査型インクジェット記録装置への適用に限らず、その他の方式を用いた記録装置(例えば、インクジェット記録ヘッドが、主走査方向に移動しながら、記録媒体の表面に画像を形成するシリアル走査型プリンタ)にも適用可能である。
【0022】
(検出手段30の構成)
図3は、一実施形態に係る画像形成装置200が備える検出手段30および制御装置50の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、検出手段30は、投光部31および受光部32を有する。投光部31および受光部32は、記録媒体Wが搬送される搬送面12を間に挟んで、互いに対向して配置されている。
【0023】
投光部31は、搬送面12と平行なレーザ光31A(「検出光」の一例)を、記録媒体Wの幅方向に出射する。なお、投光部31は、搬送面12と完全なる平行なレーザ光31Aに限らず、搬送面12と略平行な(すなわち、僅かに傾斜した)レーザ光31Aを出射してもよい。レーザ光31Aの回折等の特性により、レーザ光31Aを搬送面12と略平行にするほうが、検知バラつきを抑制できる場合がある。
【0024】
受光部32は、投光部31から出射されたレーザ光31Aを受光し、レーザ光31Aの受光量に応じた電圧値を出力する。なお、受光部32は、当該受光部32の受光面における、レーザ光31Aの最高受光位置および最低受光位置の各々を検知可能である。
【0025】
制御装置50は、「制御手段」の一例である。制御装置50は、受光部32によるレーザ光31Aの受光結果に基づいて、搬送面12における記録媒体Wの高さ位置を検出することができる。具体的には、搬送面12における記録媒体Wの高さ位置が高くなるにつれて、記録媒体Wによるレーザ光31Aの下部の遮光量が多くなるため、受光部32におけるレーザ光31Aの最低受光位置が高くなる。このため、制御装置50は、受光部32におけるレーザ光31Aの最低受光位置を、記録媒体Wの高さ位置として検出することができる。また、制御装置50は、記録媒体Wの高さ位置が、所定の高さ閾値を超えた場合、記録媒体Wに浮きが発生したものとして、例えば、記録媒体Wの搬送動作を停止させる等の所定の制御を行うことができる。
【0026】
なお、制御装置50の各機能は、コンピュータが制御装置50用のプログラムを実行することによって実現することが可能である。また、制御装置50の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、制御装置50の各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0027】
また、
図3に示す例では、投光部31と受光部32とを互いに対向して配置しているが、これに限らない。例えば、投光部31と受光部32とを搬送面12の一方の側方に配置し、搬送面12の他方の側方に反射手段を配置することにより、反射手段によって反射されたレーザ光31Aを、受光部32によって受光するようにしてもよい。
【0028】
(従来の画像形成装置による搬送用紙Wの高さ位置の検出方法)
図4は、従来の画像形成装置による搬送用紙Wの高さ位置の検出方法を説明するための図である。
図4(a)は、レーザ光91Aの光路上に環境温度の温度分布が生じていない場合を示す。
図4(b)は、レーザ光91Aの光路上に環境温度の温度分布が生じている場合を示す。
【0029】
図4に示すように、従来の画像形成装置は、投光部91から受光部92に向けて、平行なレーザ光91Aを出射する。そして、
図4に示すように、従来の画像形成装置は、レーザ光91Aの下部が、記録媒体Wによって遮光されることにより、受光部92におけるレーザ光91Aの最低受光位置が上方に変化する。従来の画像形成装置は、受光部92におけるレーザ光91Aの最低受光位置に基づいて、記録媒体Wの高さ位置を検出することができる。
【0030】
ここで、
図4(b)に示すように、レーザ光91Aの光路上に環境温度の温度分布が生じている場合、レーザ光91Aが低温側である上方に屈折して進行する。この場合、
図4(b)に示すように、受光部92におけるレーザ光91Aの最低受光位置が、高さ位置H1から高さ位置H1'へ上方にズレてしまい、従来の画像形成装置は、記録媒体Wの高さ位置を正確に検出することが困難である。
【0031】
(一実施形態に係る画像形成装置200による搬送用紙Wの高さ位置の検出方法)
図5は、一実施形態に係る画像形成装置200による搬送用紙Wの高さ位置の検出方法を説明するための図である。
図5(a)は、レーザ光31Aの光路上に環境温度の温度分布が生じていない場合を示す。
図5(b)は、レーザ光31Aの光路上に環境温度の温度分布が生じている場合を示す。
【0032】
図5に示すように、一実施形態に係る画像形成装置200は、投光部31から受光部32に向けて、平行なレーザ光31Aを出射する。そして、一実施形態に係る画像形成装置200は、レーザ光31Aの下部が、記録媒体Wによって遮光されることにより、受光部32におけるレーザ光31Aの最低受光位置が上方に変化する。一実施形態に係る画像形成装置200は、受光部32におけるレーザ光31Aの最低受光位置に基づいて、記録媒体Wの高さ位置を検出することができる。
【0033】
ここで、
図5に示すように、一実施形態に係る画像形成装置200は、投光部31から出射されたレーザ光31Aの光路上に、当該レーザ光31Aの上部を遮光する遮光部材40を備える。遮光部材40は、「遮光手段」の一例である。遮光部材40は、搬送用紙Wの浮き状態に依らず、レーザ光31Aの遮光量が常に一定となるように配置される。
【0034】
図5(a)に示すように、搬送面12上の環境温度が一定の場合、レーザ光31Aは、屈折することなく進行する。このため、受光部32において、遮光部材40によって上部の一部が遮光されたレーザ光31Aの最高受光位置は、所定のリファレンス高さ位置H1となる。また、受光部32において、記録媒体Wによって下部の一部が遮光されたレーザ光31Aの最低受光位置は、記録媒体Wによる遮光量に応じた高さ位置H2となる。これにより、一実施形態に係る画像形成装置200は、記録媒体Wの高さ位置を検出することができる。なお、記録媒体Wによってレーザ光31Aの下部の一部が遮光されない場合、受光部32において、レーザ光31Aの最低受光位置は、所定の高さ位置H3となる。
【0035】
一方、
図5(b)に示すように、搬送面12上の環境温度が一定ではない場合(すなわち、温度分布が生じている場合)、レーザ光31Aは、低温側である上方に屈折して進行する。このため、受光部32において、遮光部材40によって上部の一部が遮光されたレーザ光31Aの最高受光位置は、所定のリファレンス高さ位置H1よりも高い、高さ位置H0となる。
【0036】
これにより、一実施形態に係る画像形成装置200の制御装置50は、搬送面12上の環境温度が一定でないことにより、レーザ光31Aが上方に屈折して進行したことを検出することができる。
【0037】
また、制御装置50は、レーザ光31Aが上方に屈折して進行したことを検出することにより、記録媒体Wの高さ位置を正確に検出できない状態にあると判断することができる。この場合、制御装置50は、例えば、記録媒体Wの搬送動作を停止させる等の所定の制御を行うことができる。
【0038】
また、制御装置50は、受光部32におけるレーザ光31Aの最高受光位置に基づいて、レーザ光31Aの屈折量を検出することができる。
【0039】
(遮光部材40の構成の一例)
図6は、一実施形態に係る画像形成装置200が備える遮光部材40の構成の一例を示す図である。
図6は、遮光部材40を記録媒体Wの搬送方向と直交する方向から視た図である。
図6に示す遮光部材40は、画像形成装置200において、記録媒体Wの搬送方向に移動可能に設けられる。
【0040】
遮光部材40は、常にレーザ光31Aを遮光する必要はない。例えば、遮光部材40は、任意の間隔でレーザ光31Aを遮光する構成を有してもよい。また、例えば、遮光部材40は、レーザ光31Aの遮光高さ位置を調整可能な構成を有してもよい。
【0041】
例えば、
図6に示す例では、遮光部材40は、記録媒体Wの搬送方向へ移動するにつれて、レーザ光31Aの遮光高さ位置が徐々に高くなる形状を有する。
【0042】
図6に示す例において、遮光部材40-1は、時刻T1のときの、記録媒体Wの搬送方向における遮光部材40の位置を表している。
図6に示すように、遮光部材40-1によるレーザ光31Aの遮光高さ位置は、遮光高さ位置Aである。
【0043】
図6に示す例において、遮光部材40-2は、時刻T2のときの、記録媒体Wの搬送方向における遮光部材40の位置を表している。
図6に示すように、遮光部材40-2によるレーザ光31Aの遮光高さ位置は、遮光高さ位置Aよりも高い、遮光高さ位置Bである。
【0044】
一実施形態に係る画像形成装置200は、
図6に示すように、遮光高さ位置を調整可能な遮光部材40を有することにより、遮光高さ位置Aと遮光高さ位置Bとで、レーザ光31Aの屈折量が異なる場合であっても、遮光高さ位置および遮光高さ位置Bの各々について、レーザ光31Aの屈折量を検出することができる。
【0045】
(所定のリファレンス高さ位置H1の補正例)
一実施形態に係る画像形成装置200による、所定のリファレンス高さ位置H1の補正例を示す図である。例えば、
図7に例示するように、受光部32によるレーザ光31Aの最高受光位置が、所定のリファレンス高さ位置H1(2mmまたは4mm)よりも、常に1mm高くなる場合(すなわち、常にレーザ光31Aが上方に1mm分屈折している場合)、画像形成装置200の制御装置50は、所定のリファレンス高さ位置H1を、1mm高い値(3mmまたは5mm)に補正してもよい。
【0046】
なお、所定のリファレンス高さ位置H1の補正量は、所定のリファレンス高さ位置H1の変化量と同量であってもよく、異なる量であってもよい。例えば、画像形成装置200の制御装置50は、所定のリファレンス高さ位置H1の変化量に対し、予め評価等によって求められた係数を用いて、所定のリファレンス高さ位置H1の補正量を算出してもよい。例えば、所定のリファレンス高さ位置H1の変化量が1mmの場合、所定のリファレンス高さ位置H1の補正量を0.5mmとしてもよい。
【0047】
このように、一実施形態に係る画像形成装置200は、所定のリファレンス高さ位置H1を補正することにより、記録媒体Wの高さ位置の検出精度を高めることができる。
【0048】
なお、画像形成装置200は、
図6に例示するように、遮光高さ位置を調整可能な遮光部材40を有する場合、当該遮光部材40の遮光高さ位置毎に、レーザ光31Aの屈折量に応じて、所定のリファレンス高さ位置H1の補正量を算出してもよい。
【0049】
(温調手段の一例)
図8は、一実施形態に係る画像形成装置200が備える温調手段の一例を示す図である。
図8に示す例では、一実施形態に係る画像形成装置200は、温調手段の一例として、複数のFAN60を備える。
【0050】
画像形成装置200の制御装置50は、レーザ光31Aの光路上に環境温度の温度分布が生じている場合、レーザ光31Aの屈折量に応じて、複数のFAN60の可動レベルの制御(例えば、送風量の制御等)を行うことにより、当該温度分布を解消させることができる。
【0051】
なお、制御装置50は、レーザ光31Aの光路上に環境温度の温度分布が生じていない場合、複数のFAN60の駆動を停止したり、複数のFAN60の送風量を少なくしたりすることができる。これにより、制御装置50は、消費電力増加、送風量が多いことによる各種影響(例えば、搬送への影響、装置内ミスト分散、等)等を抑制することができる。
【0052】
(制御装置50による処理の手順の一例)
一実施形態に係る画像形成装置200が備える制御装置50による処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図9は、制御装置50が、一定のレーザ光31Aの屈折を検出した場合に、印刷モードを切り替えることにより、各種熱源の稼働率を抑える処理の手順の一例を示す。
【0053】
まず、制御装置50は、状態Aであるか否かを判断する(ステップS901)。状態Aは、レーザ光31Aの屈折量が小さい状態である。
【0054】
ステップS901において、状態Aであると判断された場合(ステップS901:Yes)、制御装置50は、印刷モードを「通常印刷モード」に切り替える(ステップS902)。そして、制御装置50は、ステップS907へ処理を進める。
【0055】
一方、ステップS901において、状態Aではないと判断された場合(ステップS901:No)、制御装置50は、状態Bであるか否かを判断する(ステップS903)。状態Bは、レーザ光31Aの屈折量が中程度の状態である。
【0056】
ステップS903において、状態Bであると判断された場合(ステップS903:Yes)、制御装置50は、印刷モードを「低生産印刷モード」に切り替える(ステップS904)。そして、制御装置50は、ステップS907へ処理を進める。
【0057】
一方、ステップS903において、状態Bではないと判断された場合(ステップS903:No)、制御装置50は、状態Cであるか否かを判断する(ステップS905)。状態Cは、レーザ光31Aの屈折量が大きい状態である。
【0058】
ステップS905において、状態Cであると判断された場合(ステップS905:Yes)、制御装置50は、印刷を停止する(ステップS906)。そして、制御装置50は、
図9に示す一連の処理を終了する。
【0059】
一方、ステップS905において、状態Cではないと判断された場合(ステップS905:No)、制御装置50は、ステップS901へ処理を戻す。
【0060】
ステップS907では、制御装置50は、印刷JOBが終了したか否かを判断する。
【0061】
ステップS907において、印刷JOBが終了していないと判断された場合(ステップS907:No)、制御装置50は、ステップS901へ処理を戻す。
【0062】
一方、ステップS907において、印刷JOBが終了したと判断された場合(ステップS907:No)、制御装置50は、
図9に示す一連の処理を終了する。
【0063】
このように、一実施形態に係る画像形成装置200は、一定のレーザ光31Aの屈折を検出した場合に、印刷モードを切り替えることによって、熱源の稼働率を抑制することができる。これにより、一実施形態に係る画像形成装置200は、装置を完全に停止することなく、レーザ光31Aの光路上の温度分布を安定化することができる。
【0064】
なお、レーザ光31Aの屈折は、熱源から発せられた熱により、レーザ光31Aの光路上の温度分布が一様でない場合に発生する。熱源としては、例えば、「記録媒体に吐出されたインクの水分を蒸発させるための乾燥部」、「インクを吐出するための機構(インクジェット記録モジュール)」等が挙げられる。熱源の発熱量は、印刷速度によって変化する。したがって、一実施形態に係る画像形成装置200は、レーザ光31Aの光路上の温度分布が一様でない場合に、印刷モードを切り替えて、熱源の印刷速度および発熱量を抑制することにより、レーザ光31Aの光路上の温度分布を安定化することができる。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0066】
例えば、一実施形態に係る画像形成装置200は、主走査方向の異なる位置に設けられた複数の遮光部材40を備えてもよい。または、一実施形態に係る画像形成装置200において、遮光部材40は、主走査方向に移動可能であってもよい。
【0067】
これらの場合、画像形成装置200は、レーザ光31Aの光路上における、主操作方向における複数の区間の各々において、環境温度の影響によるレーザ光31Aの屈折量を検出することができる。
【0068】
また、これらの場合、画像形成装置200の制御装置50は、記録媒体Wの主走査方向のサイズに応じた位置の遮光部材40で遮光されたレーザ光31Aの屈折量を算出し、算出された屈折量に応じて、受光部32におけるレーザ光31Aの基準高さ位置を補正してもよい。これにより、画像形成装置200は、記録媒体Wの主走査方向のサイズに応じた、受光部32におけるレーザ光31Aの基準高さ位置の適切な補正を行うことができる。
【符号の説明】
【0069】
12 搬送面
20 インクジェット記録モジュール
30 検出手段
31 投光部
31A レーザ光
32 受光部
40 遮光部材
50 制御装置
60 FAN
200 画像形成装置
210 画像形成部
220 給紙部
230 レジスト調整部
240 乾燥部
250 記録媒体反転部
290 排紙部
W 記録媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【文献】特許第6076848号公報
【文献】特許第5444079号公報