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特許7509068フルオロカルボン酸含有モノマー、フルオロカルボン酸含有ポリマー、レジスト材料及びパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】フルオロカルボン酸含有モノマー、フルオロカルボン酸含有ポリマー、レジスト材料及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 20/22 20060101AFI20240625BHJP
   C07C 69/653 20060101ALI20240625BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240625BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20240625BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20240625BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
C08F20/22
C07C69/653 CSP
G03F7/004 503A
G03F7/039 601
G03F7/038 601
G03F7/20 521
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021054608
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2021175791
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2020079676
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠山 潤
(72)【発明者】
【氏名】福島 将大
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-029802(JP,A)
【文献】特開2012-009866(JP,A)
【文献】特開2009-074085(JP,A)
【文献】国際公開第2011/115217(WO,A1)
【文献】特開2020-046662(JP,A)
【文献】特開2018-060069(JP,A)
【文献】特開2015-189840(JP,A)
【文献】特開2009-019199(JP,A)
【文献】特開2006-308647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
C07C 69/653
G03F 7/004
G03F 7/039
G03F 7/038
G03F 7/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(A)で表されるフルオロカルボン酸含有モノマー。
【化1】
(式中、RAは、水素原子又はメチル基である。
1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の飽和ヒドロカルビル基である。また、R1とR2とが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
1は、単結合である。)
【請求項2】
下記式(A1)で表される繰り返し単位を含み、酸不安定基を有する繰り返し単位を含まないフルオロカルボン酸含有ポリマー。
【化2】
(式中、RAは、水素原子又はメチル基である。
1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1~10の飽和ヒドロカルビル基である。また、R1とR2とが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
1は、単結合である。)
【請求項3】
更に、下記式(B)で表される繰り返し単位及び下記式(C)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種を含む請求項2記載のフルオロカルボン酸含有ポリマー。
【化3】
(式中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
nは、1又は2である。
2Aは、単結合、-O-、-C(=O)-O-又は-C(=O)-NH-である。
2Bは、炭素数1~12の(n+1)価の飽和炭化水素基又は(n+1)価の芳香族炭化水素基であり、これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部がエステル結合又はエーテル結合で置換されていてもよい。
3は、単結合、-O-、-C(=O)-O-X31-X32-又は-C(=O)-NH-X31-X32-であり、X31は、単結合又は炭素数1~4のアルカンジイル基であり、X32は、単結合、エステル結合、エーテル結合又はスルホンアミド結合である。
3は、単結合、エステル結合又は炭素数1~12の飽和ヒドロカルビレン基であり、その水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよく、その炭素原子の一部がエステル結合又はエーテル結合で置換されていてもよい。
4は、水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はジフルオロメチル基である。R3とR4とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、該環の中にエーテル結合、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を含んでいてもよい。
5は、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1~20のヒドロカルビル基であり、その炭素原子の一部がエステル結合又はエーテル結合で置換されていてもよい。)
【請求項4】
請求項2又は3記載のフルオロカルボン酸含有ポリマー及びベースポリマーを含むレジスト材料。
【請求項5】
前記フルオロカルボン酸含有ポリマーを、ベースポリマー100質量部に対し、0.001~20質量部含む請求項4記載のレジスト材料。
【請求項6】
更に、スルホン酸、イミド酸又はメチド酸を発生する酸発生剤を含む請求項4又は5記載のレジスト材料。
【請求項7】
更に、有機溶剤を含む請求項4~6のいずれか1項記載のレジスト材料。
【請求項8】
前記ベースポリマーが、下記式(a1)で表される繰り返し単位又は下記式(a2)で表される繰り返し単位を含むものである請求項4~7のいずれか1項記載のレジスト材料。
【化4】
(式中、RBは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
11及びR12は、それぞれ独立に、酸不安定基である。
13は、フッ素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1~5の飽和ヒドロカルビル基又は炭素数1~5の飽和ヒドロカルビルオキシ基である。
1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1種を含む炭素数1~12の連結基である。
2は、単結合又はエステル結合である。
aは、0~4の整数である。)
【請求項9】
化学増幅ポジ型レジスト材料である請求項8記載のレジスト材料。
【請求項10】
前記ベースポリマーが、酸不安定基を含まないものである請求項4~7のいずれか1項記載のレジスト材料。
【請求項11】
化学増幅ネガ型レジスト材料である請求項10記載のレジスト材料。
【請求項12】
前記ベースポリマーが、下記式(f1)~(f3)のいずれかで表される繰り返し単位を含む請求項4~11のいずれか1項記載のレジスト材料。
【化5】
(式中、RBは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
1は、単結合、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基若しくはこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基、又は-O-Z11-、-C(=O)-O-Z11-若しくは-C(=O)-NH-Z11-である。Z11は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
2は、単結合、-Z21-C(=O)-O-、-Z21-O-又は-Z21-O-C(=O)-である。Z21は、炭素数1~12の飽和ヒドロカルビレン基であり、カルボニル基、エステル結合又はエーテル結合を含んでいてもよい。
3は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、-O-Z31-、-C(=O)-O-Z31-又は-C(=O)-NH-Z31-である。Z31は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
21~R28は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。また、R23及びR24又はR26及びR27が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成していてもよい。
HFは、水素原子又はトリフルオロメチル基である。
-は、非求核性対向イオンである。)
【請求項13】
更に、界面活性剤を含む請求項4~12のいずれか1項記載のレジスト材料。
【請求項14】
請求項4~13のいずれか1項記載のレジスト材料を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、前記露光したレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程とを含むパターン形成方法。
【請求項15】
前記高エネルギー線が、波長193nmのArFエキシマレーザー光又は波長248nmのKrFエキシマレーザー光である請求項14記載のパターン形成方法。
【請求項16】
前記高エネルギー線が、電子線又は波長3~15nmの極端紫外線である請求項14記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロカルボン酸含有モノマー、フルオロカルボン酸含有ポリマー、レジスト材料及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が急速に進んでいる。特に、スマートフォンの普及によるロジックメモリー市場の拡大が微細化を牽引している。最先端の微細化技術としては、ArF液浸リソグラフィーのダブルパターニングによる10nmノードのデバイスの量産が行われており、次世代には同じくダブルパターニングによる7nmノードの量産準備が進行中である。次次世代の5nmノードとしては、極端紫外線(EUV)リソグラフィーが候補に挙がっている。
【0003】
EUVリソグラフィーは、MoとSiの合計80層のマスクブランクス中に含まれる欠陥が転写されるという問題、光の強度の低下が少なく、露光中の破損のおそれがない高透過率かつ高強度ペリクルがないため露光機中のパーティクルがマスクに付着するという問題等を有しており、欠陥低減が急務である。また、EUVリソグラフィーにおいては、これまでのArF液浸リソグラフィーによって形成されるパターン寸法の半分以下が形成されるため、欠陥が発生する確率が高まり、より高度な欠陥制御が必要である。
【0004】
ここで、ArF液浸リソグラフィー用レジスト材料において、レジスト膜の表面に配向して撥水性を向上させるフッ素原子含有ポリマーの添加剤が提案されている(特許文献1)。これは、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFA)基を有しており、レジスト膜表面のアルカリ現像液溶解性が向上し、レジスト表面に発生するブリッジ欠陥を低減させる効果がある。
【0005】
フッ素原子含有アルキル基や酸不安定基で置換されたフルオロカルボン酸構造を有する繰り返し単位を含むフッ素原子含有ポリマーが添加されたArF液浸リソグラフィー用レジスト材料が提案されている。これも、レジスト材料を塗布した後、レジスト膜表面に配向する。フッ素原子含有アルキル基で置換されたフルオロカルボン酸の場合は、アルカリ現像液中に一部脱離反応が進行してカルボキシ基となってアルカリ現像液への溶解性が向上し、酸不安定基で置換されたフルオロカルボン酸の場合は、酸触媒による脱保護反応によってカルボキシ基となってアルカリ現像液への溶解性が向上する。
【0006】
さらに、HFA基を有する繰り返し単位と芳香族基を有する剛直な繰り返し単位とを含むポリマーを添加すると、EUV露光中にレジスト膜から発生するアウトガスを低減することができることが示されている(特許文献2、3)。レジスト膜表面の改質によって、パターン欠陥の低減やアウトガス発生の抑制の可能性が示されている。
【0007】
ここで、特定のフルオロカルボン酸構造を有する繰り返し単位を含むベースポリマーを用いたネガ型レジスト材料やポジ型レジスト材料が提案されている(特許文献4、5)。フルオロカルボン酸のアルカリ現像液への溶解速度は非常に早く、これを有する繰り返し単位をネガ型レジスト材料やポジ型レジスト材料のベースポリマー中に加えると、アルカリ現像液への溶解性のコントロールが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2007-297590号公報
【文献】特開2014-67014号公報
【文献】特開2014-67012号公報
【文献】特許第5446144号公報
【文献】特許第5577572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
酸を触媒とする化学増幅レジスト材料において、ラインパターンのナノブリッジやパターン倒れを低減させることが可能で、かつ感度も向上させることができるレジスト材料の開発が望まれている。
【0010】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、ポジ型レジスト材料においてもネガ型レジスト材料においても、高感度かつナノブリッジやパターン倒れが起こりにくいレジスト材料、及びこれを用いるパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、特定のフルオロカルボン酸構造を有するモノマー(以下、フルオロカルボン酸含有モノマーともいう。)に由来する繰り返し単位を含むポリマー(以下、フルオロカルボン酸含有ポリマーともいう。)をレジスト材料に添加することによって、ナノブリッジやパターン倒れの発生を防止してプロセスマージンが広く、ラインパターンのエッジラフネス(LWR)やホールパターンの寸法均一性(CDU)に優れるレジスト材料を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明は、下記フルオロカルボン酸含有モノマー、フルオロカルボン酸含有ポリマー、レジスト材料及びパターン形成方法を提供する。
1.下記式(A)で表されるフルオロカルボン酸含有モノマー。
【化1】
(式中、RAは、水素原子又はメチル基である。
1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の飽和ヒドロカルビル基、炭素数2~8の不飽和脂肪族ヒドロカルビル基、置換されていてもよい炭素数6~10のアリール基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数4~10の1価の基であるが、R1が炭素数1~4のアルキル基の場合は、R2は水素原子以外の基である。また、R1とR2とが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
1は、単結合、フェニレン基、ナフタレンジイル基又は-C(=O)-O-X11-である。X11は、炭素数1~10の飽和ヒドロカルビレン基又はフェニレン基である。)
2.下記式(A1)で表される繰り返し単位を含み、酸不安定基を有する繰り返し単位を含まないフルオロカルボン酸含有ポリマー。
【化2】
(式中、RAは、水素原子又はメチル基である。
1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の飽和ヒドロカルビル基、炭素数2~8の不飽和脂肪族ヒドロカルビル基、置換されていてもよい炭素数6~10のアリール基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数4~10の1価の基であるが、R1が炭素数1~4のアルキル基の場合は、R2は水素原子以外の基である。また、R1とR2とが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
1は、単結合、フェニレン基、ナフタレンジイル基又は-C(=O)-O-X11-である。X11は、炭素数1~10の飽和ヒドロカルビレン基又はフェニレン基である。)
3.更に、下記式(B)で表される繰り返し単位及び下記式(C)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種を含む2のフルオロカルボン酸含有ポリマー。
【化3】
(式中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
nは、1又は2である。
2Aは、単結合、-O-、-C(=O)-O-又は-C(=O)-NH-である。
2Bは、炭素数1~12の(n+1)価の飽和炭化水素基又は(n+1)価の芳香族炭化水素基であり、これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部がエステル結合又はエーテル結合で置換されていてもよい。
3は、単結合、-O-、-C(=O)-O-X31-X32-又は-C(=O)-NH-X31-X32-であり、X31は、単結合又は炭素数1~4のアルカンジイル基であり、X32は、単結合、エステル結合、エーテル結合又はスルホンアミド結合である。
3は、単結合、エステル結合又は炭素数1~12の飽和ヒドロカルビレン基であり、その水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよく、その炭素原子の一部がエステル結合又はエーテル結合で置換されていてもよい。
4は、水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はジフルオロメチル基である。R3とR4とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、該環の中にエーテル結合、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を含んでいてもよい。
5は、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1~20のヒドロカルビル基であり、その炭素原子の一部がエステル結合又はエーテル結合で置換されていてもよい。)
4.2又は3のフルオロカルボン酸含有ポリマー及びベースポリマーを含むレジスト材料。
5.前記フルオロカルボン酸含有ポリマーを、ベースポリマー100質量部に対し、0.001~20質量部含む4のレジスト材料。
6.更に、スルホン酸、イミド酸又はメチド酸を発生する酸発生剤を含む4又は5のレジスト材料。
7.更に、有機溶剤を含む4~6のいずれかのレジスト材料。
8.前記ベースポリマーが、下記式(a1)で表される繰り返し単位又は下記式(a2)で表される繰り返し単位を含むものである4~7のいずれかのレジスト材料。
【化4】
(式中、RBは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
11及びR12は、それぞれ独立に、酸不安定基である。
13は、フッ素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1~5の飽和ヒドロカルビル基又は炭素数1~5の飽和ヒドロカルビルオキシ基である。
1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1種を含む炭素数1~12の連結基である。
2は、単結合又はエステル結合である。
aは、0~4の整数である。)
9.化学増幅ポジ型レジスト材料である8のレジスト材料。
10.前記ベースポリマーが、酸不安定基を含まないものである4~7のいずれかのレジスト材料。
11.化学増幅ネガ型レジスト材料である10のレジスト材料。
12.前記ベースポリマーが、下記式(f1)~(f3)のいずれかで表される繰り返し単位を含む4~11のいずれかのレジスト材料。
【化5】
(式中、RBは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。
1は、単結合、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基若しくはこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基、又は-O-Z11-、-C(=O)-O-Z11-若しくは-C(=O)-NH-Z11-である。Z11は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
2は、単結合、-Z21-C(=O)-O-、-Z21-O-又は-Z21-O-C(=O)-である。Z21は、炭素数1~12の飽和ヒドロカルビレン基であり、カルボニル基、エステル結合又はエーテル結合を含んでいてもよい。
3は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、-O-Z31-、-C(=O)-O-Z31-又は-C(=O)-NH-Z31-である。Z31は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。
21~R28は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。また、R23及びR24又はR26及びR27が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成していてもよい。
HFは、水素原子又はトリフルオロメチル基である。
-は、非求核性対向イオンである。)
13.更に、界面活性剤を含む4~12のいずれかのレジスト材料。
14.4~13のいずれかのレジスト材料を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、前記露光したレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程とを含むパターン形成方法。
15.前記高エネルギー線が、波長193nmのArFエキシマレーザー光又は波長248nmのKrFエキシマレーザー光である14のパターン形成方法。
16.前記高エネルギー線が、電子線(EB)又は波長3~15nmのEUVである14のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0013】
式(A)で表される化合物は、フルオロカルボン酸を有する重合性二重結合を有する化合物である。これを重合して得られるフルオロカルボン酸含有ポリマーは、カルボキシ基の水素原子を塩基不安定基や酸不安定基で置換した場合よりもアルカリ現像液への溶解性が非常に高い。このポリマーとベースポリマーとを含むレジスト材料は、レジスト膜を形成した後、その表面に前記フルオロカルボン酸含有ポリマーが配向する。これによって、レジスト膜表面のアルカリ現像液への溶解性が向上し、パターン形成後のブリッジ欠陥やパターン倒れが低減され、LWRやCDUを向上させることができる。さらに、アルカリ現像液への溶解性が向上すること及びフッ素原子によるEUVの吸収が増加する効果によって、感度が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[フルオロカルボン酸含有モノマー]
本発明のフルオロカルボン酸含有モノマーは、下記式(A)で表される。
【化6】
【0015】
式(A)中、RAは、水素原子又はメチル基である。
【0016】
式(A)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の飽和ヒドロカルビル基、炭素数2~8の不飽和脂肪族ヒドロカルビル基、置換されていてもよい炭素数6~10のアリール基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数4~10の1価の基であるが、R1が炭素数1~4のアルキル基の場合は、R2は水素原子以外の基である。また、R1とR2とが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。
【0017】
1及びR2で表される炭素数1~10の飽和ヒドロカルビル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等の炭素数1~10のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の炭素数3~10の環式飽和ヒドロカルビル基が挙げられる。
【0018】
1及びR2で表される炭素数2~8の不飽和脂肪族ヒドロカルビル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等の炭素数2~8のアルキニル基;シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等の炭素数3~8の環式不飽和脂肪族ヒドロカルビル基が挙げられる
【0019】
1及びR2で表される炭素数6~10のアリール基の具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、sec-ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。また、前記アリール基は、その水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、置換基としては、炭素数1~5の飽和ヒドロカルビルオキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0020】
式(A)中、X1は、単結合、フェニレン基、ナフタレンジイル基又は-C(=O)-O-X11-である。X11は、炭素数1~10の飽和ヒドロカルビレン基又はフェニレン基である。X11で表される炭素数1~10の飽和ヒドロカルビレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メタンジイル基、エタン-1,1-ジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-2,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、1,1-ジメチルエタン-1,2-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、2-メチルブタン-1,2-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基等のアルカンジイル基;シクロプロパン-1,1-ジイル基、シクロプロパン-1,2-ジイル基、シクロブタン-1,1-ジイル基、シクロブタン-1,2-ジイル基、シクロブタン-1,3-ジイル基、シクロペンタン-1,1-ジイル基、シクロペンタン-1,2-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘキサン-1,1-ジイル基、シクロヘキサン-1,2-ジイル基、シクロヘキサン-1,3-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基等のシクロアルカンジイル基;ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等の多環式飽和ヒドロカルビレン基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。
【0021】
式(A)で表されるフルオロカルボン酸含有モノマーの具体例としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは前記と同じである。
【化7】
【0022】
【化8】
【0023】
[フルオロカルボン酸含有ポリマー]
本発明のフルオロカルボン酸含有ポリマーは、式(A)で表されるモノマーを重合することによって得られるものであり、下記式(A1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位Aともいう。)を含むものである。ただし、本発明のフルオロカルボン酸含有ポリマーは、酸不安定基を有する繰り返し単位を含まない。
【化9】
(式中、RA、X1、R1及びR2は、前記と同じ。)
【0024】
前記フルオロカルボン酸含有ポリマーは、更に、下記式(B)で表されるα-トリフルオロメチルアルコール基を有する繰り返し単位(以下、繰り返し単位Bともいう。)及び下記式(C)で表されるフルオロアルキル基を有する繰り返し単位(以下、繰り返し単位Cともいう。)から選ばれる少なくとも1種を含んでもよい。繰り返し単位B及びCから選ばれる少なくとも1種を含むことで、レジスト膜形成後のフルオロカルボン酸含有ポリマーのレジスト膜表面への配向性の効率が高まる。
【化10】
【0025】
式(B)及び(C)中、RAは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。式(B)中、nは、1又は2である。
【0026】
式(B)中、X2Aは、単結合、-O-、-C(=O)-O-又は-C(=O)-NH-である。X2Bは、炭素数1~12の(n+1)価の飽和炭化水素基又は(n+1)価の芳香族炭化水素基であり、これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子又はヒドロキシ基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部がエステル結合又はエーテル結合で置換されていてもよい。
【0027】
2Bで表される(n+1)価の飽和炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1-プロピルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン、メチルノルボルナン、エチルノルボルナン、メチルアダマンタン、エチルアダマンタン、テトラヒドロジシクロペンタジエン等の飽和炭化水素から(n+1)個の水素原子が脱離して得られる基が挙げられる。X2Bで表される(n+1)価の芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1-プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素から(n+1)個の水素原子が脱離して得られる基が挙げられる。
【0028】
式(B)中、R3は、単結合、エステル結合又は炭素数1~12の飽和ヒドロカルビレン基であり、その水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよく、その炭素原子の一部がエステル結合又はエーテル結合で置換されていてもよい。
【0029】
式(B)中、R4は、水素原子、フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はジフルオロメチル基である。R3とR4とは、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、該環の中にエーテル結合、フッ素原子又はトリフルオロメチル基を含んでいてもよい。
【0030】
式(C)中、X3は、単結合、-O-、-C(=O)-O-X31-X32-又は-C(=O)-NH-X31-X32-であり、X31は、単結合又は炭素数1~4のアルカンジイル基であり、X32は、単結合、エステル結合、エーテル結合又はスルホンアミド結合である。X31で表されるアルカンジイル基としては、X11で表されるアルカンジイル基として例示したもののうち、炭素数1~4のものが挙げられる。
【0031】
式(C)中、R5は、少なくとも1個のフッ素原子で置換された炭素数1~20のヒドロカルビル基であり、その炭素原子の一部がエステル結合又はエーテル結合で置換されていてもよい。
【0032】
繰り返し単位Bを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは前記と同じである。
【化11】
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】
【化15】
【0037】
【化16】
【0038】
繰り返し単位Cを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RAは前記と同じである。
【化17】
【0039】
【化18】
【0040】
【化19】
【0041】
【化20】
【0042】
繰り返し単位A、B及びCの含有比率は、0<A≦1.0、0≦B<1.0、0≦C<1.0、0≦B+C<1.0が好ましく、0.05≦A≦0.9、0≦B≦0.95、0≦C≦0.95、0.1≦B+C≦0.95がより好ましく、0.1≦A≦0.8、0≦B≦0.8、0≦C≦0.8、0.2≦B+C≦0.9が更に好ましい。また、前記フルオロカルボン酸含有ポリマーは、本発明の効果を損なわない限り、酸不安定基を有する繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を含んでもよいが、含まない(すなわち、A+B+C=1である)ことが好ましい。
【0043】
前記フルオロカルボン酸含有ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1,000~1,000,000が好ましく、2,000~100,000がより好ましい。また、その分子量分布(Mw/Mn)は、1.0~3.0が好ましい。なお、Mw及びMnは、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
【0044】
[レジスト材料]
本発明のレジスト材料は、前記フルオロカルボン酸含有ポリマー及びベースポリマーを含むものである。前記フルオロカルボン酸含有ポリマーは、レジスト膜の表面に配向することで、レジスト膜表面のアルカリ現像液への溶解性を向上させる。これによってパターンのブリッジ欠陥やパターン倒れを防ぐことができる。
【0045】
本発明のレジスト材料中、前記フルオロカルボン酸含有ポリマーの含有量は、後述するベースポリマー100質量部に対し、感度と酸拡散抑制効果の点から0.001~20質量部が好ましく、0.01~10質量部がより好ましい。
【0046】
[ベースポリマー]
本発明のレジスト材料に含まれるベースポリマーは、ポジ型レジスト材料の場合、酸不安定基を含む繰り返し単位を含む。酸不安定基を含む繰り返し単位としては、下記式(a1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位a1ともいう。)又は下記式(a2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位a2ともいう。)が好ましい。
【化21】
【0047】
式(a1)及び(a2)中、RBは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R11及びR12は、それぞれ独立に、酸不安定基である。R13は、フッ素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1~5の飽和ヒドロカルビル基又は炭素数1~5の飽和ヒドロカルビルオキシ基である。Y1は、単結合、フェニレン基若しくはナフチレン基、又はエステル結合及びラクトン環から選ばれる少なくとも1種を含む炭素数1~12の連結基である。Y2は、単結合又はエステル結合である。aは、0~4の整数である。
【0048】
繰り返し単位a1を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RB及びR11は、前記と同じである。
【化22】
【0049】
繰り返し単位a2を与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RB及びR12は、前記と同じである。
【化23】
【0050】
式(a1)及び(a2)中、R11及びR12で表される酸不安定基としては、例えば、特開2013-80033号公報、特開2013-83821号公報に記載のものが挙げられる。
【0051】
典型的には、前記酸不安定基としては、下記式(AL-1)~(AL-3)で表されるものが挙げられる。
【化24】
(式中、破線は、結合手である。)
【0052】
式(AL-1)及び(AL-2)中、RL1及びRL2は、それぞれ独立に、炭素数1~40のヒドロカルビル基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記ヒドロカルビル基としては、炭素数1~40の飽和ヒドロカルビル基が好ましく、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基がより好ましい。
【0053】
式(AL-1)中、bは、0~10の整数であり、1~5の整数が好ましい。
【0054】
式(AL-2)中、RL3及びRL4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~20のヒドロカルビル基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記ヒドロカルビル基としては、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基が好ましい。また、RL2、RL3及びRL4のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3~20の環を形成してもよい。前記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0055】
式(AL-3)中、RL5、RL6及びRL7は、それぞれ独立に、炭素数1~20のヒドロカルビル基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記ヒドロカルビル基としては、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基が好ましい。また、RL5、RL6及びRL7のいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3~20の環を形成してもよい。前記環としては、炭素数4~16の環が好ましく、特に脂環が好ましい。
【0056】
前記ベースポリマーは、密着性基としてフェノール性ヒドロキシ基を含む繰り返し単位bを含んでもよい。繰り返し単位bを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RBは、前記と同じである。
【化25】
【0057】
前記ベースポリマーは、更に、他の密着性基として、フェノール性ヒドロキシ基以外のヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、シアノ基又はカルボキシ基を含む繰り返し単位cを含んでもよい。繰り返し単位cを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RBは、前記と同じである。
【化26】
【0058】
【化27】
【0059】
【化28】
【0060】
【化29】
【0061】
【化30】
【0062】
【化31】
【0063】
【化32】
【0064】
【化33】
【0065】
【化34】
【0066】
前記ベースポリマーは、インデン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン又はこれらの誘導体に由来する繰り返し単位dを含んでもよい。繰り返し単位dを与えるモノマーとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化35】
【0067】
前記ベースポリマーは、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、メチレンインダン、ビニルピリジン又はビニルカルバゾールに由来する繰り返し単位eを含んでもよい。
【0068】
前記ベースポリマーは、重合性不飽和結合を含むオニウム塩に由来する繰り返し単位fを含んでもよい。好ましい繰り返し単位fとしては、下記式(f1)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f1ともいう。)、下記式(f2)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f2ともいう。)及び下記式(f3)で表される繰り返し単位(以下、繰り返し単位f3ともいう。)が挙げられる。なお、繰り返し単位f1~f3は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【化36】
【0069】
式(f1)~(f3)中、RBは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。Z1は、単結合、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基若しくはこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基、又は-O-Z11-、-C(=O)-O-Z11-若しくは-C(=O)-NH-Z11-である。Z11は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、ナフチレン基又はこれらを組み合わせて得られる炭素数7~18の基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。Z2は、単結合、-Z21-C(=O)-O-、-Z21-O-又は-Z21-O-C(=O)-である。Z21は、炭素数1~12の飽和ヒドロカルビレン基であり、カルボニル基、エステル結合又はエーテル結合を含んでいてもよい。Z3は、単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、-O-Z31-、-C(=O)-O-Z31-又は-C(=O)-NH-Z31-である。Z31は、炭素数1~6の脂肪族ヒドロカルビレン基、フェニレン基、フッ素化フェニレン基、又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニレン基であり、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。なお、Z11及びZ31で表される脂肪族ヒドロカルビレン基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。Z21で表される飽和ヒドロカルビレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0070】
式(f1)~(f3)中、R21~R28は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、後述する式(1-1)及び(1-2)中のR101~R105の説明において例示するものと同様のものが挙げられる。
【0071】
また、R23及びR24又はR26及びR27が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成していてもよい。このとき、前記環としては、後述する式(1-1)の説明においてR101とR102とが互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に形成し得る環として例示するものと同様のものが挙げられる。
【0072】
式(f2)中、RHFは、水素原子又はトリフルオロメチル基である。
【0073】
式(f1)中、M-は、非求核性対向イオンである。前記非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン、トリフレートイオン、1,1,1-トリフルオロエタンスルホネートイオン、ノナフルオロブタンスルホネートイオン等のフルオロアルキルスルホネートイオン、トシレートイオン、ベンゼンスルホネートイオン、4-フルオロベンゼンスルホネートイオン、1,2,3,4,5-ペンタフルオロベンゼンスルホネートイオン等のアリールスルホネートイオン、メシレートイオン、ブタンスルホネートイオン等のアルキルスルホネートイオン、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミドイオン等のイミドイオン、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチドイオン、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドイオン等のメチドイオンが挙げられる。
【0074】
前記非求核性対向イオンとしては、更に、下記式(f1-1)で表されるα位がフッ素原子で置換されたスルホン酸イオン、下記式(f1-2)で表されるα位がフッ素原子で置換され、β位がトリフルオロメチル基で置換されたスルホン酸イオン等が挙げられる。
【化37】
【0075】
式(f1-1)中、R31は、水素原子又は炭素数1~20のヒドロカルビル基であり、該ヒドロカルビル基は、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、ラクトン環又はフッ素原子を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、後述する式(1A')中のR111で表されるヒドロカルビル基として例示するものと同様のものが挙げられる。
【0076】
式(f1-2)中、R32は、水素原子、炭素数1~30のヒドロカルビル基又は炭素数2~30のヒドロカルビルカルボニル基であり、該ヒドロカルビル基及びヒドロカルビルカルボニル基は、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基又はラクトン環を含んでいてもよい。前記ヒドロカルビル基及びヒドロカルビルカルボニル基のヒドロカルビル部は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、後述する式(1A')中のR111で表されるヒドロカルビル基として例示するものと同様のものが挙げられる。
【0077】
繰り返し単位f1を与えるモノマーのカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RBは、前記と同じである。
【化38】
【0078】
繰り返し単位f2又f3を与えるモノマーのカチオンとしては、後述する式(1-1)で表されるスルホニウム塩のカチオンとして例示するものと同様のものが挙げられる。
【0079】
繰り返し単位f2を与えるモノマーのアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RBは、前記と同じである。
【化39】
【0080】
【化40】
【0081】
繰り返し単位f3を与えるモノマーのアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、RBは、前記と同じである。
【化41】
【0082】
【化42】
【0083】
【化43】
【0084】
ポリマー主鎖に酸発生剤を結合させることによって酸拡散を小さくし、酸拡散のぼけによる解像性の低下を防止できる。また、酸発生剤が均一に分散することによってLWRやCDUが改善される。なお、繰り返し単位fを含むベースポリマー(すなわち、ポリマーバウンド型酸発生剤)を用いる場合、後述する添加型酸発生剤の配合を省略し得る。
【0085】
ポジ型レジスト材料用のベースポリマーは、酸不安定基を含む繰り返し単位a1又はa2を必須とする。この場合、繰り返し単位a1、a2、b、c、d、e及びfの含有比率は、0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0<a1+a2<1.0、0≦b≦0.9、0≦c≦0.9、0≦d≦0.8、0≦e≦0.8及び0≦f≦0.5が好ましく、0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0.1≦a1+a2≦0.9、0≦b≦0.8、0≦c≦0.8、0≦d≦0.7、0≦e≦0.7及び0≦f≦0.4がより好ましく、0≦a1≦0.8、0≦a2≦0.8、0.1≦a1+a2≦0.8、0≦b≦0.75、0≦c≦0.75、0≦d≦0.6、0≦e≦0.6及び0≦f≦0.3が更に好ましい。なお、繰り返し単位fが繰り返し単位f1~f3から選ばれる少なくとも1種である場合、f=f1+f2+f3である。また、a1+a2+b+c+d+e+f=1.0である。
【0086】
一方、ネガ型レジスト材料用のベースポリマーは、酸不安定基は必ずしも必要ではない。このようなベースポリマーとしては、繰り返し単位bを含み、必要に応じて更に繰り返し単位c、d、e及び/又はfを含むものが挙げられる。これらの繰り返し単位の含有比率は、0<b≦1.0、0≦c≦0.9、0≦d≦0.8、0≦e≦0.8及び0≦f≦0.5が好ましく、0.2≦b≦1.0、0≦c≦0.8、0≦d≦0.7、0≦e≦0.7及び0≦f≦0.4がより好ましく、0.3≦b≦1.0、0≦c≦0.75、0≦d≦0.6、0≦e≦0.6及び0≦f≦0.3が更に好ましい。なお、繰り返し単位fが繰り返し単位f1~f3から選ばれる少なくとも1種である場合、f=f1+f2+f3である。また、b+c+d+e+f=1.0である。
【0087】
前記ベースポリマーを合成するには、例えば、前述した繰り返し単位を与えるモノマーを、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加えて加熱し、重合を行えばよい。
【0088】
重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、THF、ジエチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。重合開始剤としては、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が挙げられる。重合時の温度は、好ましくは50~80℃である。反応時間は、好ましくは2~100時間、より好ましくは5~20時間である。
【0089】
ヒドロキシ基を含むモノマーを共重合する場合、重合時にヒドロキシ基をエトキシエトキシ基等の酸によって脱保護しやすいアセタール基で置換しておいて重合後に弱酸と水によって脱保護を行ってもよいし、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基等で置換しておいて重合後にアルカリ加水分解を行ってもよい。
【0090】
ヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンを共重合する場合は、ヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンのかわりにアセトキシスチレンやアセトキシビニルナフタレンを用い、重合後前記アルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してヒドロキシスチレンやヒドロキシビニルナフタレンにしてもよい。
【0091】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また、反応温度は、好ましくは-20~100℃、より好ましくは0~60℃である。反応時間は、好ましくは0.2~100時間、より好ましくは0.5~20時間である。
【0092】
前記ベースポリマーは、そのMwが、好ましくは1,000~500,000、より好ましくは2,000~30,000である。Mwが前記範囲であれば、レジスト膜の耐熱性やアルカリ現像液への溶解性が良好である。
【0093】
また、前記ベースポリマーにおいてMw/Mnが広い場合は、低分子量や高分子量のポリマーが存在するため、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。パターンルールが微細化するに従って、MwやMw/Mnの影響が大きくなりやすいことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、前記ベースポリマーのMw/Mnは、1.0~2.0、特に1.0~1.5と狭分散であることが好ましい。
【0094】
前記ベースポリマーは、組成比率、Mw、Mw/Mnが異なる2つ以上のポリマーを含んでもよい。
【0095】
[酸発生剤]
本発明のレジスト材料は、強酸を発生する酸発生剤(以下、添加型酸発生剤ともいう。)を含んでもよい。ここでいう強酸とは、化学増幅ポジ型レジスト材料の場合はベースポリマーの酸不安定基の脱保護反応を起こすのに十分な酸性度を有している化合物を意味し、化学増幅ネガ型レジスト材料の場合は酸による極性変化反応又は架橋反応を起こすのに十分な酸性度を有している化合物を意味する。このような酸発生剤を含むことで、本発明のレジスト材料が、化学増幅ポジ型レジスト材料又は化学増幅ネガ型レジスト材料として機能することができる。
【0096】
前記酸発生剤としては、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)が挙げられる。光酸発生剤としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいかなるものでも構わないが、スルホン酸、イミド酸又はメチド酸を発生するものが好ましい。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N-スルホニルオキシイミド、オキシム-O-スルホネート型酸発生剤等がある。光酸発生剤の具体例としては、特開2008-111103号公報の段落[0122]~[0142]に記載されているものが挙げられる。
【0097】
また、光酸発生剤として、下記式(1-1)で表されるスルホニウム塩や、下記式(1-2)で表されるヨードニウム塩も好適に使用できる。
【化44】
【0098】
式(1-1)及び(1-2)中、R101~R105は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。
【0099】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0100】
101~R105で表される炭素数1~20のヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等の炭素数1~20のアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の炭素数3~20の環式飽和ヒドロカルビル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等の炭素数2~20のアルキニル基;シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等の炭素数3~20の環式不飽和脂肪族ヒドロカルビル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、sec-ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、n-プロピルナフチル基、イソプロピルナフチル基、n-ブチルナフチル基、イソブチルナフチル基、sec-ブチルナフチル基、tert-ブチルナフチル基等の炭素数6~20のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7~20のアラルキル基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。
【0101】
また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート基、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0102】
また、R101及びR102が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。このとき、前記環としては、以下に示す構造のものが好ましい。
【化45】
(式中、破線は、R103との結合手である。)
【0103】
式(1-1)で表されるスルホニウム塩のカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化46】
【0104】
【化47】
【0105】
【化48】
【0106】
【化49】
【0107】
【化50】
【0108】
【化51】
【0109】
【化52】
【0110】
【化53】
【0111】
【化54】
【0112】
【化55】
【0113】
【化56】
【0114】
【化57】
【0115】
【化58】
【0116】
【化59】
【0117】
式(1-2)で表されるヨードニウム塩のカチオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化60】
【0118】
【化61】
【0119】
式(1-1)及び(1-2)中、Xa-は、下記式(1A)~(1D)から選ばれるアニオンである。
【化62】
【0120】
式(1A)中、Rfaは、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、後述する式(1A')中のR111で表されるヒドロカルビル基として例示するものと同様のものが挙げられる。
【0121】
式(1A)で表されるアニオンとしては、下記式(1A')で表されるものが好ましい。
【化63】
【0122】
式(1A')中、RHFは、水素原子又はトリフルオロメチル基であり、好ましくはトリフルオロメチル基である。R111は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~38のヒドロカルビル基である。前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が好ましく、酸素原子がより好ましい。前記ヒドロカルビル基としては、微細パターン形成において高い解像度を得る点から、特に炭素数6~30であるものが好ましい。
【0123】
111で表されるヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、イコサニル基等の炭素数1~38のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、1-アダマンチルメチル基、ノルボルニル基、ノルボルニルメチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、テトラシクロドデカニルメチル基、ジシクロヘキシルメチル基等の炭素数3~38の環式飽和ヒドロカルビル基;アリル基、3-シクロヘキセニル基等の炭素数2~38の不飽和脂肪族ヒドロカルビル基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等の炭素数6~38のアリール基;ベンジル基、ジフェニルメチル基等の炭素数7~38のアラルキル基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。
【0124】
また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート基、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。ヘテロ原子を含むヒドロカルビル基としては、テトラヒドロフリル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メチルチオメチル基、アセトアミドメチル基、トリフルオロエチル基、(2-メトキシエトキシ)メチル基、アセトキシメチル基、2-カルボキシ-1-シクロヘキシル基、2-オキソプロピル基、4-オキソ-1-アダマンチル基、3-オキソシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0125】
式(1A')で表されるアニオンを含むスルホニウム塩の合成に関しては、特開2007-145797号公報、特開2008-106045号公報、特開2009-7327号公報、特開2009-258695号公報等に詳しい。また、特開2010-215608号公報、特開2012-41320号公報、特開2012-106986号公報、特開2012-153644号公報等に記載のスルホニウム塩も好適に用いられる。
【0126】
式(1A)で表されるアニオンとしては、特開2018-197853号公報の式(1A)で表されるアニオンとして例示されたものと同様のものが挙げられる。
【0127】
式(1B)中、Rfb1及びRfb2は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(1A')中のR111で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。Rfb1及びRfb2として好ましくは、フッ素原子又は炭素数1~4の直鎖状フッ素化アルキル基である。また、Rfb1とRfb2とは、互いに結合してこれらが結合する基(-CF2-SO2-N--SO2-CF2-)と共に環を形成してもよく、このとき、Rfb1とRfb2とが互いに結合して得られる基は、フッ素化エチレン基又はフッ素化プロピレン基であることが好ましい。
【0128】
式(1C)中、Rfc1、Rfc2及びRfc3は、それぞれ独立に、フッ素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(1A')中のR111で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。Rfc1、Rfc2及びRfc3として好ましくは、フッ素原子又は炭素数1~4の直鎖状フッ素化アルキル基である。また、Rfc1とRfc2とは、互いに結合してこれらが結合する基(-CF2-SO2-C--SO2-CF2-)と共に環を形成してもよく、このとき、Rfc1とRfc2とが互いに結合して得られる基は、フッ素化エチレン基又はフッ素化プロピレン基であることが好ましい。
【0129】
式(1D)中、Rfdは、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(1A')中のR111で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0130】
式(1D)で表されるアニオンを含むスルホニウム塩の合成に関しては、特開2010-215608号公報及び特開2014-133723号公報に詳しい。
【0131】
式(1D)で表されるアニオンとしては、特開2018-197853号公報の式(1D)で表されるアニオンとして例示されたものと同様のものが挙げられる。
【0132】
なお、式(1D)で表されるアニオンを含む光酸発生剤は、スルホ基のα位にフッ素原子を有していないが、β位に2つのトリフルオロメチル基を有していることに起因して、ベースポリマー中の酸不安定基を切断するのに十分な酸性度を有している。そのため、光酸発生剤として使用することができる。
【0133】
光酸発生剤として、下記式(2)で表されるものも好適に使用できる。
【化64】
【0134】
式(2)中、R201及びR202は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30のヒドロカルビル基である。R203は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~30のヒドロカルビレン基である。また、R201、R202及びR203のうちのいずれか2つが、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。このとき、前記環としては、式(1-1)の説明においてR101とR102とが互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に形成し得る環として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0135】
201及びR202で表されるヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基等の炭素数1~30のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、オキサノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、アダマンチル基等の炭素数3~30の環式飽和ヒドロカルビル基;フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、sec-ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、n-プロピルナフチル基、イソプロピルナフチル基、n-ブチルナフチル基、イソブチルナフチル基、sec-ブチルナフチル基、tert-ブチルナフチル基、アントラセニル基等の炭素数6~30のアリール基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート基、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。
【0136】
203で表されるヒドロカルビレン基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メタンジイル基、エタン-1,1-ジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、ウンデカン-1,11-ジイル基、ドデカン-1,12-ジイル基、トリデカン-1,13-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基、ペンタデカン-1,15-ジイル基、ヘキサデカン-1,16-ジイル基、ヘプタデカン-1,17-ジイル基等の炭素数1~30のアルカンジイル基;シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基等の炭素数3~30の環式飽和ヒドロカルビレン基;フェニレン基、メチルフェニレン基、エチルフェニレン基、n-プロピルフェニレン基、イソプロピルフェニレン基、n-ブチルフェニレン基、イソブチルフェニレン基、sec-ブチルフェニレン基、tert-ブチルフェニレン基、ナフチレン基、メチルナフチレン基、エチルナフチレン基、n-プロピルナフチレン基、イソプロピルナフチレン基、n-ブチルナフチレン基、イソブチルナフチレン基、sec-ブチルナフチレン基、tert-ブチルナフチレン基等の炭素数6~30のアリーレン基;これらを組み合わせて得られる基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、又はこれらの基の炭素原子の一部が、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート基、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。前記ヘテロ原子としては、酸素原子が好ましい。
【0137】
式(2)中、LAは、単結合、エーテル結合、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビレン基である。前記ヒドロカルビレン基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、R203で表されるヒドロカルビレン基として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0138】
式(2)中、XA、XB、XC及びXDは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。ただし、XA、XB、XC及びXDのうち少なくとも1つは、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。
【0139】
式(2)中、dは、0~3の整数である。
【0140】
式(2)で表される光酸発生剤としては、下記式(2')で表されるものが好ましい。
【化65】
【0141】
式(2')中、LAは、前記と同じ。RHFは、水素原子又はトリフルオロメチル基であり、好ましくはトリフルオロメチル基である。R301、R302及びR303は、それぞれ独立に、水素原子又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(1A')中のR111で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。x及びyは、それぞれ独立に、0~5の整数であり、zは、0~4の整数である。
【0142】
式(2)で表される光酸発生剤としては、特開2017-026980号公報の式(2)で表される光酸発生剤として例示されたものと同様のものが挙げられる。
【0143】
前記光酸発生剤のうち、式(1A')又は(1D)で表されるアニオンを含むものは、酸拡散が小さく、かつ溶剤への溶解性にも優れており、特に好ましい。また、式(2')で表されるものは、酸拡散が極めて小さく、特に好ましい。
【0144】
前記光酸発生剤として、ヨウ素原子又は臭素原子で置換された芳香環を有するアニオンを含むスルホニウム塩又はヨードニウム塩を用いることもできる。このような塩としては、下記式(3-1)又は(3-2)で表されるものが挙げられる。
【化66】
【0145】
式(3-1)及び(3-2)中、pは、1≦p≦3を満たす整数である。q及びrは、1≦q≦5、0≦r≦3及び1≦q+r≦5を満たす整数である。qは、1≦q≦3を満たす整数が好ましく、2又は3がより好ましい。rは、0≦r≦2を満たす整数が好ましい。
【0146】
式(3-1)及び(3-2)中、XBIは、ヨウ素原子又は臭素原子であり、p及び/又はqが2以上のとき、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0147】
式(3-1)及び(3-2)中、L1は、単結合、エーテル結合若しくはエステル結合、又はエーテル結合若しくはエステル結合を含んでいてもよい炭素数1~6の飽和ヒドロカルビレン基である。前記飽和ヒドロカルビレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
【0148】
式(3-1)及び(3-2)中、L2は、pが1のときは単結合又は炭素数1~20の2価の連結基であり、pが2又は3のときは炭素数1~20の(p+1)価の連結基であり、該連結基は酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含んでいてもよい。
【0149】
式(3-1)及び(3-2)中、R401は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはアミノ基、若しくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヒドロキシ基、アミノ基若しくはエーテル結合を含んでいてもよい、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビル基、炭素数1~20の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~20の飽和ヒドロカルビルカルボニル基、炭素数2~20の飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基、炭素数2~20の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基若しくは炭素数1~20の飽和ヒドロカルビルスルホニルオキシ基、又は-N(R401A)(R401B)、-N(R401C)-C(=O)-R401D若しくは-N(R401C)-C(=O)-O-R401Dである。R401A及びR401Bは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基である。R401Cは、水素原子又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基であり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニル基又は炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基を含んでいてもよい。R401Dは、炭素数1~16の脂肪族ヒドロカルビル基、炭素数6~14のアリール基又は炭素数7~15のアラルキル基であり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニル基又は炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基を含んでいてもよい。前記脂肪族ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。前記飽和ヒドロカルビル基、飽和ヒドロカルビルオキシ基、飽和ヒドロカルビルオキシカルボニル基、飽和ヒドロカルビルカルボニル基及び飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。p及び/又はrが2以上のとき、各R401は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0150】
これらのうち、R401としては、ヒドロキシ基、-N(R401C)-C(=O)-R401D、-N(R401C)-C(=O)-O-R401D、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基等が好ましい。
【0151】
式(3-1)及び(3-2)中、Rf1~Rf4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であるが、これらのうち少なくとも1つはフッ素原子又はトリフルオロメチル基である。また、Rf1とRf2とが合わさってカルボニル基を形成してもよい。特に、Rf3及びRf4がともにフッ素原子であることが好ましい。
【0152】
式(3-1)及び(3-2)中、R402~R406は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、式(1-1)及び(1-2)の説明においてR101~R105で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メルカプト基、スルトン基、スルホン基又はスルホニウム塩含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部が、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、アミド結合、カーボネート基又はスルホン酸エステル結合で置換されていてもよい。また、R402及びR403が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。このとき、前記環としては、式(1-1)の説明においてR101とR102とが互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に形成し得る環として例示したものと同様のものが挙げられる。
【0153】
式(3-1)で表されるスルホニウム塩のカチオンとしては、式(1-1)で表されるスルホニウム塩のカチオンとして例示したものと同様のものが挙げられる。また、式(3-2)で表されるヨードニウム塩のカチオンとしては、式(1-2)で表されるヨードニウム塩のカチオンとして例示したものと同様のものが挙げられる。
【0154】
式(3-1)又は(3-2)で表されるオニウム塩のアニオンとしては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。なお、下記式中、XBIは前記と同じである。
【化67】
【0155】
【化68】
【0156】
【化69】
【0157】
【化70】
【0158】
【化71】
【0159】
【化72】
【0160】
【化73】
【0161】
【化74】
【0162】
【化75】
【0163】
【化76】
【0164】
【化77】
【0165】
【化78】
【0166】
【化79】
【0167】
【化80】
【0168】
【化81】
【0169】
【化82】
【0170】
【化83】
【0171】
【化84】
【0172】
【化85】
【0173】
【化86】
【0174】
【化87】
【0175】
【化88】
【0176】
【化89】
【0177】
本発明のレジスト材料中、添加型酸発生剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.1~50質量部が好ましく、1~40質量部がより好ましい。本発明のレジスト材料は、前記ベースポリマーが繰り返し単位fを含むことで、及び/又は添加型酸発生剤を含むことで、化学増幅レジスト材料として機能することができる。
【0178】
[有機溶剤]
本発明のレジスト材料は、有機溶剤を含んでもよい。前記有機溶剤は、前述した各成分及び後述する各成分が溶解可能なものであれば、特に限定されない。前記有機溶剤としては、特開2008-111103号公報の段落[0144]~[0145]に記載の、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル-2-n-ペンチルケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノtert-ブチルエーテルアセテート等のエステル類;γ-ブチロラクトン等のラクトン類等が挙げられる。
【0179】
本発明のレジスト材料中、前記有機溶剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、100~10,000質量部が好ましく、200~8,000質量部がより好ましい。前記有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0180】
[その他の成分]
前述した成分に加えて、クエンチャー、界面活性剤、溶解阻止剤、架橋剤等を目的に応じて適宜組み合わせて配合してポジ型レジスト材料及びネガ型レジスト材料を構成することによって、露光部では前記ベースポリマーが触媒反応により現像液に対する溶解速度が加速されるので、極めて高感度のポジ型レジスト材料及びネガ型レジスト材料とすることができる。この場合、レジスト膜の溶解コントラスト及び解像性が高く、露光余裕度があり、プロセス適応性に優れ、露光後のパターン形状が良好でありながら、特に酸拡散を抑制できることから粗密寸法差が小さく、これらのことから実用性が高く、超LSI用レジスト材料として非常に有効なものとすることができる。
【0181】
前記クエンチャーとしては、従来型の塩基性化合物が挙げられる。従来型の塩基性化合物としては、第1級、第2級、第3級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられる。特に、特開2008-111103号公報の段落[0146]~[0164]に記載の第1級、第2級、第3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル結合、エステル結合、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル結合を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報に記載のカーバメート基を有する化合物等が好ましい。このような塩基性化合物を添加することによって、例えば、レジスト膜中での酸の拡散速度を更に抑制したり、形状を補正したりすることができる。
【0182】
前記クエンチャーとして、特開2020-027297号公報に記載されたヨウ素原子で置換された芳香族基を有するアミン化合物を使用することもできる。これは、EUVの吸収が大きいため増感効果があり、分子量が大きいため酸拡散制御効果が高い。
【0183】
前記クエンチャーとして、特開2008-158339号公報に記載のα位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸の、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩が挙げられる。α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸又はメチド酸は、カルボン酸エステルの酸不安定基を脱保護させるのに必要であるが、α位がフッ素化されていないオニウム塩との塩交換によってα位がフッ素化されていないスルホン酸又はカルボン酸が放出される。α位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸は脱保護反応を起こさないため、クエンチャーとして機能する。
【0184】
このようなクエンチャーとしては、例えば、下記式(4)で表される化合物(α位がフッ素化されていないスルホン酸のオニウム塩)及び下記式(5)で表される化合物(カルボン酸のオニウム塩)が挙げられる。
【化90】
【0185】
式(4)中、R501は、水素原子又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基であるが、スルホ基のα位の炭素原子に結合する水素原子が、フッ素原子又はフルオロアルキル基で置換されたものを除く。
【0186】
前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、ノルボルニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基等の環式飽和ヒドロカルビル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;シクロヘキセニル基等の環式不飽和脂肪族ヒドロカルビル基;フェニル基、ナフチル基、アルキルフェニル基(2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、4-エチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-n-ブチルフェニル基等)、ジアルキルフェニル基(2,4-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリイソプロピルフェニル基等)、アルキルナフチル基(メチルナフチル基、エチルナフチル基等)、ジアルキルナフチル基(ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等)等のアリール基;チエニル基等のヘテロアリール基;ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0187】
また、これらの基の水素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子含有基で置換されていてもよく、その結果、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、スルホン酸エステル結合、カーボネート結合、ラクトン環、スルトン環、カルボン酸無水物、ハロアルキル基等を含んでいてもよい。ヘテロ原子を含むヒドロカルビル基としては、4-ヒドロキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、2-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-tert-ブトキシフェニル基、3-tert-ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;メトキシナフチル基、エトキシナフチル基、n-プロポキシナフチル基、n-ブトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基;ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基;2-フェニル-2-オキソエチル基、2-(1-ナフチル)-2-オキソエチル基、2-(2-ナフチル)-2-オキソエチル基等の2-アリール-2-オキソエチル基等のアリールオキソアルキル基等が挙げられる。
【0188】
式(5)中、R502は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~40のヒドロカルビル基である。R502で表されるヒドロカルビル基としては、R501で表されるヒドロカルビル基として例示したものと同様のものが挙げられる。また、その他の具体例として、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロ-1-メチル-1-ヒドロキシエチル基、2,2,2-トリフルオロ-1-(トリフルオロメチル)-1-ヒドロキシエチル基等の含フッ素アルキル基;ペンタフルオロフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基等の含フッ素アリール基等も挙げられる。
【0189】
式(4)及び(5)中、Mq+は、オニウムカチオンである。前記オニウムカチオンとしては、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン又はアンモニウムカチオンが好ましく、スルホニウムカチオン又はヨードニウムカチオンがより好ましい。前記スルホニウムカチオンとしては、式(1-1)で表されるスルホニウム塩のカチオンとして例示したものと同様のものが挙げられる。また、前記ヨードニウムカチオンとしては、式(1-2)で表されるヨードニウム塩のカチオンとして例示したものと同様のものが挙げられる。
【0190】
クエンチャーとして、下記式(6)で表されるヨウ素化ベンゼン環含有カルボン酸のスルホニウム塩も好適に使用できる。
【化91】
【0191】
式(6)中、R601は、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、若しくは水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されていてもよい、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビルオキシ基、炭素数2~6の飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基若しくは炭素数1~4の飽和ヒドロカルビルスルホニルオキシ基、又は-N(R601A)-C(=O)-R601B若しくは-N(R601A)-C(=O)-O-R601Bである。R601Aは、水素原子又は炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基である。R601Bは、炭素数1~6の飽和ヒドロカルビル基又は炭素数2~8の不飽和脂肪族ヒドロカルビル基である。
【0192】
式(6)中、x'は、1~5の整数である。y'は、0~3の整数である。z'は、1~3の整数である。L11は、単結合又は炭素数1~20の(z'+1)価の連結基であり、エーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、スルトン環、ラクタム環、カーボネート基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基及びカルボキシ基から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。前記飽和ヒドロカルビル基、飽和ヒドロカルビルオキシ基、飽和ヒドロカルビルカルボニルオキシ基及び飽和ヒドロカルビルスルホニルオキシ基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。y'及び/又はz'が2以上のとき、各R601は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0193】
式(6)中、R602、R603及びR604は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1~20のヒドロカルビル基である。前記ヒドロカルビル基は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。その具体例としては、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基等が挙げられる。また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、オキソ基、シアノ基、ニトロ基、スルトン基、スルホン基又はスルホニウム塩含有基で置換されていてもよく、これらの基の炭素原子の一部が、エーテル結合、エステル結合、カルボニル基、アミド結合、カーボネート基又はスルホン酸エステル結合で置換されていてもよい。また、R602及びR603が、互いに結合してこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよい。
【0194】
式(6)で表される化合物の具体例としては、特開2017-219836号公報に記載されたものが挙げられる。これも高吸収で増感効果が高く、酸拡散制御効果も高い。
【0195】
前記クエンチャーとして、更に、特開2008-239918号公報に記載のポリマー型のクエンチャーが挙げられる。これは、レジスト膜表面に配向することによってレジストパターンの矩形性を高める。ポリマー型クエンチャーは、液浸露光用の保護膜を適用したときのパターンの膜減りやパターントップのラウンディングを防止する効果もある。
【0196】
本発明のレジスト材料がクエンチャーを含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~5質量部が好ましく、0~4質量部がより好ましい。前記クエンチャーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0197】
前記界面活性剤としては、特開2008-111103号公報の段落[0165]~[0166]に記載されたものが挙げられる。界面活性剤を添加することによって、レジスト材料の塗布性を一層向上あるいは制御することができる。本発明のレジスト材料が前記界面活性剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.0001~10質量部が好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0198】
本発明のレジスト材料がポジ型である場合は、溶解阻止剤を配合することによって、露光部と未露光部との溶解速度の差を一層大きくすることができ、解像度を一層向上させることができる。前記溶解阻止剤としては、分子量が好ましくは100~1,000、より好ましくは150~800で、かつ分子内にフェノール性ヒドロキシ基を2つ以上含む化合物の該フェノール性ヒドロキシ基の水素原子を酸不安定基によって全体として0~100モル%の割合で置換した化合物、又は分子内にカルボキシ基を含む化合物の該カルボキシ基の水素原子を酸不安定基によって全体として平均50~100モル%の割合で置換した化合物が挙げられる。具体的には、ビスフェノールA、トリスフェノール、フェノールフタレイン、クレゾールノボラック、ナフタレンカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、コール酸のヒドロキシ基、カルボキシ基の水素原子を酸不安定基で置換した化合物等が挙げられ、例えば、特開2008-122932号公報の段落[0155]~[0178]に記載されている。
【0199】
本発明のレジスト材料がポジ型レジスト材料であって前記溶解阻止剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~50質量部が好ましく、5~40質量部がより好ましい。前記溶解阻止剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0200】
一方、本発明のレジスト材料がネガ型である場合は、架橋剤を添加することによって、露光部の溶解速度を低下させることによりネガティブパターンを得ることができる。前記架橋剤としては、メチロール基、アルコキシメチル基及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換された、エポキシ化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルオキシ基等の二重結合を含む化合物等が挙げられる。これらは、添加剤として用いてもよいが、ポリマー側鎖にペンダント基として導入してもよい。また、ヒドロキシ基を含む化合物も架橋剤として用いることができる。
【0201】
前記エポキシ化合物としては、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0202】
前記メラミン化合物としては、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1~6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1~6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0203】
グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0204】
グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。ウレア化合物としてはテトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレア等が挙げられる。
【0205】
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
【0206】
アジド化合物としては、1,1'-ビフェニル-4,4'-ビスアジド、4,4'-メチリデンビスアジド、4,4'-オキシビスアジド等が挙げられる。
【0207】
アルケニルオキシ基を含む化合物としては、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2-プロパンジオールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
【0208】
本発明のレジスト材料がネガ型レジスト材料であって架橋剤を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0.1~50質量部が好ましく、1~40質量部がより好ましい。前記架橋剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0209】
本発明のレジスト材料には、アセチレンアルコール類を配合することもできる。前記アセチレンアルコール類としては、特開2008-122932号公報の段落[0179]~[0182]に記載されたものが挙げられる。本発明のレジスト材料がアセチレンアルコール類を含む場合、その含有量は、ベースポリマー100質量部に対し、0~5質量部が好ましい。前記アセチレンアルコール類は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0210】
[パターン形成方法]
本発明のレジスト材料を種々の集積回路製造に用いる場合は、公知のリソグラフィー技術を適用することができる。例えば、パターン形成方法としては、前述したレジスト材料を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を高エネルギー線で露光する工程と、露光したレジスト膜を、現像液を用いて現像する工程とを含む方法が挙げられる。
【0211】
まず、本発明のレジスト材料を、集積回路製造用の基板(Si、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等)あるいはマスク回路製造用の基板(Cr、CrO、CrON、MoSi2、SiO2等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.01~2μmとなるように塗布する。これをホットプレート上で、好ましくは60~150℃、10秒~30分間、より好ましくは80~120℃、30秒~20分間プリベークし、レジスト膜を形成する。
【0212】
次いで、高エネルギー線を用いて、前記レジスト膜を露光する。前記高エネルギー線としては、紫外線、遠紫外線、EB、波長3~15nmのEUV、X線、軟X線、エキシマレーザー光、γ線、シンクロトロン放射線等が挙げられる。前記高エネルギー線として紫外線、遠紫外線、EUV、X線、軟X線、エキシマレーザー光、γ線、シンクロトロン放射線等を用いる場合は、直接又は目的のパターンを形成するためのマスクを用いて、露光量が好ましくは1~200mJ/cm2程度、より好ましくは10~100mJ/cm2程度となるように照射する。高エネルギー線としてEBを用いる場合は、露光量が好ましくは0.1~100μC/cm2程度、より好ましくは0.5~50μC/cm2程度で直接又は目的のパターンを形成するためのマスクを用いて描画する。なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でもKrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、EB、EUV、X線、軟X線、γ線、シンクロトロン放射線による微細パターニングに好適であり、特にEB又はEUVによる微細パターニングに好適である。
【0213】
露光後、ホットプレート上又はオーブン中で、好ましくは60~150℃、10秒~30分間、より好ましくは80~120℃、30秒~20分間ポストエクスポージャベーク(PEB)を行ってもよい。
【0214】
露光後又はPEB後、0.1~10質量%、好ましくは2~5質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ水溶液の現像液を用い、3秒~3分間、好ましくは5秒~2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により露光したレジスト膜を現像することで、目的のパターンが形成される。ポジ型レジスト材料の場合は、光を照射した部分は現像液に溶解し、露光されなかった部分は溶解せず、基板上に目的のポジ型のパターンが形成される。ネガ型レジスト材料の場合は、ポジ型レジスト材料の場合とは逆であり、すなわち光を照射した部分は現像液に不溶化し、露光されなかった部分は溶解する。
【0215】
酸不安定基を有するベースポリマーを含むポジ型レジスト材料を用いて、有機溶剤現像によってネガティブパターンを得るネガティブ現像を行うこともできる。このときに用いる現像液としては、2-オクタノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸ブテニル、酢酸イソペンチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、ギ酸イソペンチル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸ペンチル、乳酸イソペンチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、3-フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2-フェニルエチル等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0216】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3~10のアルコール、炭素数8~12のエーテル化合物、炭素数6~12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0217】
具体的に、炭素数3~10のアルコールとしては、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1-ブチルアルコール、2-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、tert-ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-3-ペンタノール、シクロペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-エチル-1-ブタノール、2-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-3-ペンタノール、シクロヘキサノール、1-オクタノール等が挙げられる。
【0218】
炭素数8~12のエーテル化合物としては、ジ-n-ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ-sec-ブチルエーテル、ジ-n-ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ-sec-ペンチルエーテル、ジ-tert-ペンチルエーテル、ジ-n-ヘキシルエーテル等が挙げられる。
【0219】
炭素数6~12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン等が挙げられる。炭素数6~12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等が挙げられる。炭素数6~12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチン等が挙げられる。
【0220】
芳香族系の溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、メシチレン等が挙げられる。
【0221】
リンスを行うことによってレジストパターンの倒れや欠陥の発生を低減させることができる。また、リンスは必ずしも必須ではなく、リンスを行わないことによって溶剤の使用量を削減することができる。
【0222】
現像後のホールパターンやトレンチパターンを、サーマルフロー、RELACS技術又はDSA技術でシュリンクすることもできる。ホールパターン上にシュリンク剤を塗布し、ベーク中のレジスト膜からの酸触媒の拡散によってレジスト膜の表面でシュリンク剤の架橋が起こり、シュリンク剤がホールパターンの側壁に付着する。ベーク温度は、好ましくは70~180℃、より好ましくは80~170℃であり、ベーク時間は、好ましくは10~300秒であり、余分なシュリンク剤を除去し、ホールパターンを縮小させる。
【実施例
【0223】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
【0224】
[1]モノマーの合成
[実施例1-1]モノマーM-1の合成
【化92】
【0225】
(1)中間体In-1の合成
窒素雰囲気下、反応容器中で、金属亜鉛(82.4g)をTHF(400mL)に懸濁させ、反応容器内の温度(以下、内部温度という。)が50℃になるまで加熱した。その後、1,2-ジブロモエタン(4.7g)を添加し、1時間加熱還流した。内部温度が40℃になるまで冷却し、クロロトリメチルシラン(1.6g)を添加して内部温度40℃で30分間攪拌した後、THF(100mL)で希釈した。その後、ブロモジフルオロ酢酸エチル(243.9g)、アセトン(83.6g)及びTHF(100mL)からなる溶液を内部温度40~55℃の範囲で滴下した。滴下後、内部温度55℃で30分間熟成した。反応系を冷却し、20質量%塩酸(367.5g)を滴下して反応を停止した。その後、ジイソプロピルエーテル1,000mLで抽出し、通常の水系後処理(aqueous work-up)をし、溶剤を留去した後、蒸留精製(沸点77℃/1,500Pa)を行って、In-1を無色透明の油状物として得た(収量163.3g、収率72%)。
【0226】
(2)中間体In-2の合成
窒素雰囲気下、反応容器中で、In-1(155.0g)、トリエチルアミン(149.4g)、ジメチルアミノピリジン(10.0g)及びアセトニトリル(450g)からなる溶液に、メタクリル酸クロリド(128.6g)を内部温度20℃以下で滴下した。内部温度50℃で12時間熟成した後、反応液を氷冷し、飽和重曹水(200mL)を滴下して反応を停止した。ヘキサン(200mL)及びトルエン(100mL)で抽出し、通常の水系後処理(aqueous work-up)をし、溶剤を留去した後、蒸留精製(沸点62℃/100Pa)を行って、In-2を無色透明の油状物として得た(収量202.2g、収率89%)。
【0227】
(3)モノマーM-1の合成
窒素雰囲気下、反応容器中で、In-2(200.3g)を1,4-ジオキサン(600g)に溶解し、室温で25質量%水酸化ナトリウム水溶液(133.4g)を滴下した。滴下後、室温で3時間熟成した後、トルエン(300mL)及び水(300mL)を加えて分液し、水層を分取した。分取した水層をトルエン(150mL)で2回洗浄した。洗浄後の水層に20質量%塩酸(158.9g)を滴下した。酢酸エチル(600mL)で抽出し、通常の水系後処理(aqueous work-up)をし、溶剤を留去した後、ヘキサンで再結晶することで、M-1を白色結晶として得た(収量143.2g、収率85%)。
【0228】
M-1のIRスペクトルデータ及び核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)の結果を、以下に示す。
IR(D-ATR): ν= 3356, 3190, 3006, 2955, 2655, 2537, 1765, 1699, 1636, 1464, 1412, 1392, 1381, 1375, 1348, 1317, 1275, 1253, 1218, 1202, 1167, 1136, 1065, 1021, 953, 884, 815, 756, 710, 667, 652, 580, 522 cm-1.
1H-NMR(600MHz in DMSO-d6): δ= 5.99(1H, s), 5.68(1H, s), 1.80(3H, s), 1.63(6H, d) ppm.
【0229】
[実施例1-2]モノマーM-2の合成
【化93】
【0230】
アセトンのかわりにシクロペンタノンを用いた以外は実施例1-1と同様の方法で、M-2を白色結晶として得た(3工程の収率42%)。
【0231】
[2]フルオロカルボン酸含有ポリマーの合成
ポリマーの合成に用いたモノマーM-3~M-10、cM-1及びcM-2の構造を、以下に示す。
【化94】
【0232】
【化95】
【0233】
[実施例2-1]ポリマーFP-1の合成
2Lフラスコに、M-1(4.4g)、メタクリル酸3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル(10.0g)及び溶剤としてTHF(40g)を添加した。この反応容器を窒素雰囲気下-70℃まで冷却し、減圧脱気及び窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温した後、重合開始剤としてAIBN(1.2g)を加え、60℃まで昇温し、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール(1L)中に加え、析出した白色固体を濾別した。得られた白色固体を60℃で減圧乾燥し、ポリマーFP-1を得た。FP-1の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化96】
【0234】
[実施例2-2]ポリマーFP-2の合成
2Lフラスコに、M-2(5.0g)、メタクリル酸1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(9.0g)及び溶剤としてTHF(40g)を添加した。この反応容器を窒素雰囲気下-70℃まで冷却し、減圧脱気及び窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温した後、重合開始剤としてAIBN(1.2g)を加え、60℃まで昇温し、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール(1L)中に加え、析出した白色固体を濾別した。得られた白色固体を60℃で減圧乾燥し、ポリマーFP-2を得た。FP-2の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化97】
【0235】
[実施例2-3]ポリマーFP-3の合成
2Lフラスコに、M-1(4.4g)、M-3(5.9g)、メタクリル酸1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(3.0g)及び溶剤としてTHF(40g)を添加した。この反応容器を窒素雰囲気下-70℃まで冷却し、減圧脱気及び窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温した後、重合開始剤としてAIBN(1.2g)を加え、60℃まで昇温し、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール(1L)中に加え、析出した白色固体を濾別した。得られた白色固体を60℃で減圧乾燥し、ポリマーFP-3を得た。FP-3の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化98】
【0236】
[実施例2-4]ポリマーFP-4の合成
2Lフラスコに、M-1(3.3g)、M-4(10.0g)、メタクリル酸1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(4.5g)及び溶剤としてTHF(40g)を添加した。この反応容器を窒素雰囲気下-70℃まで冷却し、減圧脱気及び窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温した後、重合開始剤としてAIBN(1.2g)を加え、60℃まで昇温し、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール(1L)中に加え、析出した白色固体を濾別した。得られた白色固体を60℃で減圧乾燥し、ポリマーFP-4を得た。FP-4の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化99】
【0237】
[実施例2-5]ポリマーFP-5の合成
2Lフラスコに、M-1(3.3g)、M-5(8.7g)、メタクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(3.5g)及び溶剤としてTHF(40g)を添加した。この反応容器を窒素雰囲気下-70℃まで冷却し、減圧脱気及び窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温した後、重合開始剤としてAIBN(1.2g)を加え、60℃まで昇温し、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール(1L)中に加え、析出した白色固体を濾別した。得られた白色固体を60℃で減圧乾燥し、ポリマーFP-5を得た。FP-5の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化100】
【0238】
[実施例2-6]ポリマーFP-6の合成
2Lフラスコに、M-1(3.3g)、M-6(6.0g)、メタクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(3.5g)及び溶剤としてTHF(40g)を添加した。この反応容器を窒素雰囲気下-70℃まで冷却し、減圧脱気及び窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温した後、重合開始剤としてAIBN(1.2g)を加え、60℃まで昇温し、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール(1L)中に加え、析出した白色固体を濾別した。得られた白色固体を60℃で減圧乾燥し、ポリマーFP-6を得た。FP-6の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化101】
【0239】
[実施例2-7]ポリマーFP-7の合成
2Lフラスコに、M-1(3.3g)、M-7(10.3g)及び溶剤としてTHF(40g)を添加した。この反応容器を窒素雰囲気下-70℃まで冷却し、減圧脱気及び窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温した後、重合開始剤としてAIBN(1.2g)を加え、60℃まで昇温し、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール(1L)中に加え、析出した白色固体を濾別した。得られた白色固体を60℃で減圧乾燥し、ポリマーFP-7を得た。FP-7の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化102】
【0240】
[実施例2-8]ポリマーFP-8の合成
2Lフラスコに、M-1(3.3g)、M-8(16.7g)及び溶剤としてTHF(40g)を添加した。この反応容器を窒素雰囲気下-70℃まで冷却し、減圧脱気及び窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温した後、重合開始剤としてAIBN(1.2g)を加え、60℃まで昇温し、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール(1L)中に加え、析出した白色固体を濾別した。得られた白色固体を60℃で減圧乾燥し、ポリマーFP-8を得た。FP-8の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化103】
【0241】
[実施例2-9]ポリマーFP-9の合成
2Lフラスコに、M-1(4.4g)、M-9(3.9g)、メタクリル酸1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(4.5g)及び溶剤としてTHF(40g)を添加した。この反応容器を窒素雰囲気下-70℃まで冷却し、減圧脱気及び窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温した後、重合開始剤としてAIBN(1.2g)を加え、60℃まで昇温し、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール(1L)中に加え、析出した白色固体を濾別した。得られた白色固体を60℃で減圧乾燥し、ポリマーFP-9を得た。FP-9の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化104】
【0242】
[実施例2-10]ポリマーFP-10の合成
2Lフラスコに、M-1(4.4g)、M-10(4.9g)、メタクリル酸1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(4.5g)及び溶剤としてTHF(40g)を添加した。この反応容器を窒素雰囲気下-70℃まで冷却し、減圧脱気及び窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温した後、重合開始剤としてAIBN(1.2g)を加え、60℃まで昇温し、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール(1L)中に加え、析出した白色固体を濾別した。得られた白色固体を60℃で減圧乾燥し、ポリマーFP-10を得た。FP-10の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化105】
【0243】
[実施例2-11]ポリマーFP-11の合成
2Lフラスコに、M-1(6.7g)、メタクリル酸1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチル(8.6g)及び溶剤としてTHF(40g)を添加した。この反応容器を窒素雰囲気下-70℃まで冷却し、減圧脱気及び窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温した後、重合開始剤としてAIBN(1.2g)を加え、60℃まで昇温し、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール(1L)中に加え、析出した白色固体を濾別した。得られた白色固体を60℃で減圧乾燥し、ポリマーFP-11を得た。FP-11の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化106】
【0244】
[実施例2-12]ポリマーFP-12の合成
2Lフラスコに、M-1(4.4g)、ペンタフルオロスチレン(5.8g)、メタクリル酸1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(4.5g)及び溶剤としてTHF(40g)を添加した。この反応容器を窒素雰囲気下-70℃まで冷却し、減圧脱気及び窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温した後、重合開始剤としてAIBN(1.2g)を加え、60℃まで昇温し、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール(1L)中に加え、析出した白色固体を濾別した。得られた白色固体を60℃で減圧乾燥し、ポリマーFP-12を得た。FP-12の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化107】
【0245】
[実施例2-13]ポリマーFP-13の合成
2Lフラスコに、M-1(4.4g)、メタクリル酸ペンタフルオロフェニルエステル(7.6g)、メタクリル酸1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(4.5g)及び溶剤としてTHF(40g)を添加した。この反応容器を窒素雰囲気下-70℃まで冷却し、減圧脱気及び窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温した後、重合開始剤としてAIBN(1.2g)を加え、60℃まで昇温し、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール(1L)中に加え、析出した白色固体を濾別した。得られた白色固体を60℃で減圧乾燥し、ポリマーFP-13を得た。FP-13の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化108】
【0246】
[比較例1-1]比較ポリマーcFP-1の合成
2Lフラスコに、M-4(17.5g)、メタクリル酸1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(4.5g)及び溶剤としてTHF(40g)を添加した。この反応容器を窒素雰囲気下-70℃まで冷却し、減圧脱気及び窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温した後、重合開始剤としてAIBN(1.2g)を加え、60℃まで昇温し、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール(1L)中に加え、析出した白色固体を濾別した。得られた白色固体を60℃で減圧乾燥し、比較ポリマーcFP-1を得た。cFP-1の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化109】
【0247】
[比較例1-2]比較ポリマーcFP-2の合成
2Lフラスコに、メタクリル酸(1.3g)、M-4(10.0g)、メタクリル酸1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(4.5g)及び溶剤としてTHF(40g)を添加した。この反応容器を窒素雰囲気下-70℃まで冷却し、減圧脱気及び窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温した後、重合開始剤としてAIBN(1.2g)を加え、60℃まで昇温し、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール(1L)中に加え、析出した白色固体を濾別した。得られた白色固体を60℃で減圧乾燥し、比較ポリマーcFP-2を得た。cFP-2の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化110】
【0248】
[比較例1-3]比較ポリマーcFP-3の合成
メタクリル酸のかわりにcM-1を用いた以外は、比較例1-2と同様の方法で、比較ポリマーcFP-3を合成した。cFP-3の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化111】
【0249】
[比較例1-4]比較ポリマーcFP-4の合成
メタクリル酸のかわりにcM-2を用いた以外は、比較例1-2と同様の方法で、比較ポリマーcFP-4を合成した。cFP-4の組成は13C-NMR及び1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPCにより確認した。
【化112】
【0250】
[3]ベースポリマーの合成
[合成例1、2]ベースポリマーBP-1、BP-2の合成
各モノマーを組み合わせて、溶剤であるTHF中で共重合反応を行い、反応溶液をメタノールに入れ、析出した固体をヘキサンで繰り返し洗浄した後、単離し、乾燥して、以下に示す組成のベースポリマー(BP-1、BP-2)を得た。得られたベースポリマーの組成は1H-NMRにより、Mw及びMw/MnはGPC(溶剤:THF、標準:ポリスチレン)により確認した。
【0251】
【化113】
【0252】
[4]レジスト材料の調製及びその評価
[実施例3-1~3-17、比較例2-1~2-6]
(1)レジスト材料の調製
界面活性剤としてオムノバ社製Polyfox PF-636を100ppm溶解させた溶剤に、表1に示す組成で各成分を溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してレジスト材料を調製した。実施例3-1~3-14、3-16、3-17及び比較例2-1~2-5のレジスト材料はポジ型であり、実施例3-15及び比較例2-6のレジスト材料はネガ型である。
【0253】
表1中、各成分は、以下のとおりである。
・有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
DAA(ジアセトンアルコール)
【0254】
・酸発生剤:PAG-1~PAG-4
【化114】
【0255】
・クエンチャー:Q-1~Q-4
【化115】
【0256】
(2)EUVリソグラフィー評価
表1に示す各レジスト材料を、信越化学工業(株)製ケイ素含有スピンオンハードマスクSHB-A940(ケイ素の含有量が43質量%)を膜厚20nmで形成したSi基板上にスピンコートし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間プリベークして膜厚40nmのレジスト膜を作製した。ASML社製EUVスキャナーNXE3300(NA0.33、σ0.9、90度ダイポール照明)を用いて、ポジ型レジスト膜には18nmラインアンドスペース(LS)1:1のパターンを露光し、ネガ型レジスト膜には22nmLS1:1のパターンを露光し、ホットプレート上で表1に記載の温度で60秒間PEBを行い、2.38質量%TMAH水溶液で30秒間現像を行って、実施例3-1~3-14、3-16、3-17及び比較例2-1~2-5では寸法18nmのLSパターンを、実施例3-15及び比較例2-6では寸法22nmのLSパターンを得た。
(株)日立ハイテクノロジーズ製の測長SEM(CG5000)を用いて、LSパターンが1:1で形成されるときの露光量を測定してこれを感度とし、このときのLWRを測定した。また、露光量が少ない領域でライン間が糸引き状のブリッジが発生しない最も太いラインの寸法から、露光量が多い領域でラインが倒れてしまわない最も細いラインの寸法を引いた数値をウィンドウとした。結果を表1に併記する。
【0257】
【表1】
【0258】
表1に示したように、特定のフルオロカルボン酸含有ポリマーを添加したレジスト材料は、高感度でLWRが小さく、ウィンドウが広い結果となった。