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特許7509128情報処理装置、情報処理システム、利用者端末、プログラム、及び情報処理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、利用者端末、プログラム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/131 20220101AFI20240625BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240625BHJP
   G06F 9/48 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H04L67/131
G06F3/0481
G06F9/48 370
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021213218
(22)【出願日】2021-12-27
(65)【公開番号】P2023097071
(43)【公開日】2023-07-07
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】菊地 英敏
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-039731(JP,A)
【文献】特開2002-197376(JP,A)
【文献】特開2020-191573(JP,A)
【文献】特開2018-106697(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0017736(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/131
G06F 3/0481
G06F 9/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が操作する利用者端末と通信可能に接続された情報処理装置であって、
第1の仮想空間から呼び出し可能な第2の仮想空間を前記利用者端末に表示させるための仮想空間データを前記利用者端末に送信する送信手段と、
前記第2の仮想空間の特定のオブジェクトである表示装置を模したオブジェクト、に対する前記利用者の操作に基づき、オブジェクトと対応付けられた連携先装置であるオンラインストレージから、前記オンラインストレージに保存されているファイルの情報を取得する取得手段と、
前記オンラインストレージから取得した前記ファイルの情報前記第2の仮想空間に表示されている前記表示装置を模したオブジェクト上に表示させる処理を行う処理手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記連携先装置は、現実空間にあり、ネットワークを介して前記情報処理装置と通信可能に接続されている
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得手段は、権限のある前記利用者の操作に基づき、前記特定のオブジェクトと対応付けられた連携先装置から、前記特定のオブジェクトに対する操作に応答するための情報を受信する
請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記第2の仮想空間に表示された前記特定のオブジェクトと、前記特定のオブジェクトに対応する現実空間のデバイスとに、前記連携先装置から取得した前記情報を同期させて表示出力する
請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理手段は、前記第2の仮想空間の前記特定のオブジェクトを操作できる前記利用者の権限の切り替えを、前記第2の仮想空間に対する前記利用者の操作に基づいて受け付ける
請求項1乃至の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記利用者端末の表示制御手段は、前記利用者の属性情報に基づき前記第2の仮想空間の見え方を可変にする
請求項1乃至の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記送信手段は、前記利用者に権限がある場合、前記利用者が前記第1の仮想空間から前記第2の仮想空間を読み出し可能となる前記仮想空間データを前記利用者端末に送信する
請求項1乃至の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記利用者端末の表示制御手段は、前記連携先装置に記憶されている前記利用者がアクセス可能な1つ以上の前記情報から、前記利用者が前記特定のオブジェクトに対する操作に応答するための情報を選択する画面を表示する
請求項1乃至の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第2の仮想空間は3次元で表現された動画又は静止画である
請求項1乃至の何れか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第2の仮想空間は3次元で表現された360度の動画又は静止画である
請求項記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第2の仮想空間の特定のオブジェクトである表示装置は、IWB(Interactive White Board)であることを特徴とする
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項12】
情報処理装置と、利用者が操作する利用者端末とが、通信可能に接続された情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
第1の仮想空間から呼び出し可能な第2の仮想空間を前記利用者端末に表示させるための仮想空間データを前記利用者端末に送信する送信手段と、
前記第2の仮想空間の特定のオブジェクトである表示装置を模したオブジェクト、に対する前記利用者の操作に基づき、オブジェクトと対応付けられた連携先装置であるオンラインストレージから、前記オンラインストレージに保存されているファイルの情報を取得する取得手段と、
前記オンラインストレージから取得した前記ファイルの情報前記第2の仮想空間に表示されている前記表示装置を模したオブジェクト上に表示させる処理を行う処理手段と、
を有し、
前記利用者端末は、
取得した前記仮想空間データに基づいて前記第2の仮想空間を表示する表示制御手段と、
前記特定のオブジェクトに対する前記利用者の操作を受け付ける操作受付手段と、
を有する情報処理システム。
【請求項13】
前記表示制御手段は、前記利用者の属性情報に基づき前記第2の仮想空間の見え方を可変にする
請求項12記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記表示制御手段は、前記連携先装置に記憶されている前記利用者がアクセス可能な1つ以上の前記情報から、前記利用者が前記特定のオブジェクトに対する操作に応答するための情報を選択する画面を表示する
請求項12又は13記載の情報処理システム。
【請求項15】
情報処理装置と通信可能に接続され、利用者が操作する利用者端末であって、
第1の仮想空間から呼び出し可能な第2の仮想空間を表示するための仮想空間データを前記情報処理装置から取得する通信手段と、
前記情報処理装置から取得した前記仮想空間データに基づいて前記第2の仮想空間を表示する表示制御手段と、
前記第2の仮想空間の特定のオブジェクトに対する前記利用者の操作を受け付ける操作受付手段と、
を有し、
前記第2の仮想空間の特定のオブジェクトである表示装置を模したオブジェクト、に対する前記利用者の操作に基づき、前記情報処理装置に、オブジェクトと対応付けられた連携先装置であるオンラインストレージから、前記オンラインストレージに保存されているファイルの情報を取得させることと、前記情報処理装置に、前記オンラインストレージから取得した前記ファイルの情報を、前記第2の仮想空間に表示されている前記表示装置を模したオブジェクト上に表示させる処理を行わせることと
を特徴とする利用者端末。
【請求項16】
前記表示制御手段は、前記利用者の属性情報に基づき前記第2の仮想空間の見え方を可変にする
請求項15記載の利用者端末。
【請求項17】
前記表示制御手段は、前記連携先装置に記憶されている前記利用者がアクセス可能な1つ以上の前記情報から、前記利用者が前記特定のオブジェクトに対する操作に応答するための情報を選択する画面を表示する
請求項15又は16記載の利用者端末。
【請求項18】
利用者が操作する利用者端末と通信可能に接続された情報処理装置に、
第1の仮想空間から呼び出し可能な第2の仮想空間を前記利用者端末に表示させるための仮想空間データを前記利用者端末に送信する送信手順、
前記第2の仮想空間の特定のオブジェクトである表示装置を模したオブジェクト、に対する前記利用者の操作に基づき、オブジェクトと対応付けられた連携先装置であるオンラインストレージから、前記オンラインストレージに保存されているファイルの情報を取得する取得手順、
前記オンラインストレージから取得した前記ファイルの情報前記第2の仮想空間に表示されている前記表示装置を模したオブジェクト上に表示させる処理を行う処理手順、
を実行させるためのプログラム。
【請求項19】
情報処理装置と、利用者が操作する利用者端末とが、通信可能に接続された情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
前記情報処理装置が、第1の仮想空間から呼び出し可能な第2の仮想空間を前記利用者端末に表示させるための仮想空間データを前記利用者端末に送信する送信ステップと、
前記利用者端末が、取得した前記仮想空間データに基づいて前記第2の仮想空間を表示する表示制御ステップと、
前記利用者端末が、前記第2の仮想空間の特定のオブジェクトに対する前記利用者の操作を受け付ける操作受付ステップと、
前記情報処理装置が、前記第2の仮想空間の特定のオブジェクトである表示装置を模したオブジェクト、に対する前記利用者の操作に基づき、オブジェクトと対応付けられた連携先装置であるオンラインストレージから、前記オンラインストレージに保存されているファイルの情報を取得する取得ステップと、
前記オンラインストレージから取得した前記ファイルの情報前記第2の仮想空間に表示されている前記表示装置を模したオブジェクト上に表示させる処理を行う処理ステップと、
を実行する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置、情報処理システム、利用者端末、プログラム、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータグラフィック技術を基盤とする仮想空間は、さまざまな分野で用いられ始めた。従来、仮想空間内でビジネスを行う技術がある(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、現実のビジネスでは、対面・非対面(リモートワークなど)を問わず、例えば業務上あるいは顧客との打ち合わせ、接客等において、事前に共有した資料以外の手持ち情報をその場で共有するということが日常的に生じることがある。また、接客においては、最初は非対面で情報を伝え、その後対面の形式をとることもあるが、非対面で見聞きしたものとは異なる印象を受けたという反応が、来訪者から出ることも少なくない。
こうした実態に対し、従来技術の仮想空間は、現実の打ち合わせや接客等、各種の業務を遂行する場としては十分ではなかった。従来技術の仮想空間は、現実の打ち合わせや接客等、各種の業務を遂行する場(実際に業務を行うビジネスの場)として十分でなかった。
【0004】
本開示は、利用者がそのような現実空間で行う業務に、より対応可能な仮想空間を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、利用者が操作する利用者端末と通信可能に接続された情報処理装置であって、第1の仮想空間から呼び出し可能な第2の仮想空間を前記利用者端末に表示させるための仮想空間データを前記利用者端末に送信する送信手段と、前記第2の仮想空間の特定のオブジェクトである表示装置を模したオブジェクト、に対する前記利用者の操作に基づき、オブジェクトと対応付けられた連携先装置であるオンラインストレージから、前記オンラインストレージに保存されているファイルの情報を取得する取得手段と、前記オンラインストレージから取得した前記ファイルの情報前記第2の仮想空間に表示されている前記表示装置を模したオブジェクト上に表示させる処理を行う処理手段と、を有する情報処理装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、利用者が現実空間で行う業務に、より対応可能な仮想空間を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。
図2】本実施形態に係るコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図3】本実施形態に係る情報処理システムの一例の機能構成図である。
図4】利用者情報の一例の構成図である。
図5】対応情報の一例の構成図である。
図6】第1の仮想空間の一例のイメージ図である。
図7】第2の仮想空間の一例のイメージ図である。
図8】第3の仮想空間の一例のイメージ図である。
図9】オブジェクト情報の一例の構成図である。
図10】連携先情報の一例の構成図である。
図11】本実施形態に係る情報処理システムにおいて仮想空間を表示する処理の一例を示したシーケンス図である。
図12】本実施形態に係る情報処理装置において仮想空間を表示する処理の一例を示したフローチャート図である。
図13】本実施形態に係る情報処理システムにおいて第2の仮想空間のオブジェクトへの操作を受け付けた場合の処理の一例を示したシーケンス図である。
図14】本実施形態に係る情報処理装置において第2の仮想空間のオブジェクトへの操作を受け付けた場合の処理の一例を示したフローチャート図である。
図15】第2の仮想空間のオブジェクトによる表示出力の一例のイメージ図である。
図16】第2の仮想空間のオブジェクトによる表示出力の一例のイメージ図である。
図17】第2の仮想空間のオブジェクトによる表示出力の一例のイメージ図である。
図18】第2の仮想空間のオブジェクトによる表示出力の一例のイメージ図である。
図19】利用者情報の一例の構成図である。
図20】対応情報の一例の構成図である。
図21】第1の仮想空間の一例のイメージ図である。
図22】第2の仮想空間の一例のイメージ図である。
図23】本実施形態に係る情報処理システムにおいて仮想空間を表示する処理の一例を示したシーケンス図である。
図24】利用者情報の一例の構成図である。
図25】オブジェクト情報の一例の構成図である。
図26】第1の仮想空間の一例のイメージ図である。
図27】第2の仮想空間の一例のイメージ図である。
図28】本実施形態に係る情報処理装置において仮想空間を表示する処理の一例を示したフローチャート図である。
図29】連携先情報の一例の構成図である。
図30】オブジェクト操作権限の切り替えについて説明する一例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0009】
[第1の実施形態]
<システム構成>
図1は本実施形態に係る情報処理システムの一例の構成図である。図1の情報処理システム1は、情報処理装置10、1台以上の利用者端末12、及び1台以上の連携先装置14を有し、ネットワーク18を介して通信を行う。ネットワーク18はインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0010】
利用者端末12は、利用者が操作する情報処理端末である。利用者は情報処理システム1の利用シーンによって異なる。例えば従業員等による打ち合わせに利用する場合、利用者は従業員である。例えば住宅展示場等において接客に利用する場合、利用者は営業担当者及び見学者である。また、例えば美術館又は博物館等において同伴での回遊に利用する場合、利用者は案内担当者及び見学者である。利用者端末12は、PC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、又はPDA(Personal Digital Assistant)等である。
【0011】
情報処理装置10は、後述の第1の仮想空間、第2の仮想空間、及び第3の仮想空間などの仮想空間を利用者端末12に表示させるための処理を行う。情報処理装置10は仮想空間において利用者から受け付けた操作に基づき、連携先装置14と連携して後述の処理を行う。情報処理装置10はPC又はワークステーション等である。情報処理装置10はサーバ装置、ASP(Application Service Provider)、又はクラウドコンピューティングにより実現してもよい。
【0012】
連携先装置14は、情報処理装置10と連携して後述の処理を行う。例えば連携先装置14は、PC、オンラインストレージ、セットトップボックス、MFP(Multifunction Peripheral/Product/Printer)、PJ(Projector:プロジェクタ)、又はIWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)である。セットトップボックスは、サイネージ又はプロジェクションマッピング用のデータを配信する装置である。MFPは、ファクス機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及びコピー機能などの複数の機能を実現した複合機である。
【0013】
図1に示す情報処理システム1の構成は一例である。例えば情報処理装置10の機能の少なくとも一部は、利用者端末12又は連携先装置14に設けるようにしてもよい。利用者端末12の機能の少なくとも一部は、情報処理装置10又は連携先装置14に設けるようにしてもよい。
【0014】
<ハードウェア構成>
《コンピュータ》
図1の情報処理装置10は、例えば図2に示すようなハードウェア構成のコンピュータ500により実現される。また、図1の利用者端末12及び連携先装置14はPCである場合、例えば図2に示すハードウェア構成のコンピュータ500により実現される。図2は本実施形態に係るコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
【0015】
コンピュータ500は、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、データバス510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0016】
CPU501は、プログラムに従ってコンピュータ500全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。
【0017】
ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウインドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。ディスプレイ506は、例えばHMD(Head Mounted Display)又はHUD(Head Up Display)装置であってもよい。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインタフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ等である。
【0018】
ネットワークI/F509はネットワーク18を利用してデータ通信をするためのインタフェースである。データバス510は、CPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0019】
キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-R等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0020】
なお、図2に示したハードウェア構成は一例であり、図2に示した構成要素を全て含む必要はなく、または、図2に示した構成要素以外を含むものであってもよい。図1の利用者端末12及び連携先装置14がPC以外である場合のハードウェア構成図は、様々であるため、図示を省略する。
【0021】
<機能構成>
本実施形態に係る情報処理システム1は例えば図3に示すような機能構成により実現される。図3は本実施形態に係る情報処理システムの一例の機能構成図である。なお、図3の機能構成図は本実施形態の説明に不要な構成について適宜省略している。情報処理装置10、利用者端末12、及び連携先装置14A及び14Bは、OS及びアプリケーション等のプログラムを実行することにより、例えば図3の機能構成を実現する。なお、以下の説明では連携先装置14A及び14Bを連携先装置14と総称する場合がある。
【0022】
利用者端末12は、通信部70、操作受付部72、及び表示制御部74を有する構成である。通信部70は情報処理装置10と通信を行う。操作受付部72は利用者からの操作を受け付け、操作に応じた各種処理を行う。表示制御部74は、情報処理装置10から受信した仮想空間データに基づき、後述の第1の仮想空間、第2の仮想空間、及び第3の仮想空間などの仮想空間を表示する。
【0023】
連携先装置14Aは、後述の第2の仮想空間にある特定のオブジェクトと対応付けられており、対応付けられた特定のオブジェクトに対する利用者の操作に基づき、後述するような情報を情報処理装置10に提供する。連携先装置14Aは、後述するような情報を情報処理装置10に提供できればよく、例えばオンラインストレージ、セットトップボックス、カメラなどである。セットトップボックスはコンテンツ管理装置の一例である。連携先装置14Aはクラウドストレージであってもよい。
【0024】
連携先装置14Aは通信部80及び情報提供部82を有する構成である。通信部80は情報処理装置10と通信を行う。情報提供部82は後述するような情報を情報処理装置10に提供する。
【0025】
連携先装置14Bは、連携先装置14Aと同様、後述の第2の仮想空間にある特定のオブジェクトと対応付けられており、対応付けられた特定のオブジェクトに対する利用者の操作に基づき、後述するような情報を情報処理装置10に提供する。また、連携先装置14Bは対応付けられた特定のオブジェクトと同様な機能を有する現実空間の装置の一例であって、第2の仮想空間にある特定のオブジェクトと同期した例えば表示出力又は音出力などの各種処理を行う。連携先装置14Bは、例えばIWB、PJ、PCなどである。連携先装置14Bは現実空間のデバイスの一例である。
【0026】
連携先装置14Bは通信部80、情報提供部82、及び情報表示部84を有する構成である。通信部80は情報処理装置10と通信を行う。情報提供部82は後述するような情報を情報処理装置10に提供する。また、情報表示部84は第2の仮想空間にある特定のオブジェクトと同期した表示出力又は音出力などを行う。
【0027】
また、情報処理装置10は、通信部20、認証部22、処理部24、及び記憶部26を有する構成である。通信部20は送信部30及び取得部32を有する。処理部24は、仮想空間制御部40、オブジェクト制御部42、及び連携先装置管理部44を有する。記憶部26は、利用者情報記憶部50、対応情報記憶部52、第1の仮想空間データ記憶部54、第2の仮想空間データ記憶部56、第3の仮想空間データ記憶部58、オブジェクト情報記憶部60、及び連携先情報記憶部62を有する。
【0028】
通信部20は、利用者端末12、連携先装置14A、及び連携先装置14Bとの通信を制御する。通信部20の送信部30は、情報又はデータなどを利用者端末12、連携先装置14A、及び連携先装置14Bに送信する。例えば送信部30は仮想空間を表示させるための仮想空間データを利用者端末12に送信する。
【0029】
また、取得部32は、情報又はデータなどを利用者端末12、連携先装置14A、及び連携先装置14Bから受信する。例えば取得部32は後述の第1の仮想空間及び第2の仮想空間にある特定のオブジェクトに対する利用者の操作の内容を利用者端末12から受信する。また、取得部32は第2の仮想空間にある特定のオブジェクトと対応付けられた連携先装置14A及び14Bから、利用者の操作に応答するための情報を受信する。
【0030】
認証部22は利用者端末12からのログイン要求を受け付け、認証処理を行う。処理部24は、後述の第1の仮想空間、第2の仮想空間、及び第3の仮想空間などの仮想空間に関する各種処理を行う。仮想空間制御部40は、利用者端末12に表示させる後述の第1の仮想空間、第2の仮想空間、及び第3の仮想空間などの仮想空間の制御を行う。
【0031】
オブジェクト制御部42は、後述の第1の仮想空間及び第2の仮想空間などの仮想空間にあるオブジェクトの制御を行う。連携先装置管理部44は、後述の第2の仮想空間などの仮想空間にある特定のオブジェクトと連携先装置14A又は14Bとを対応付けて管理する。
【0032】
記憶部26の利用者情報記憶部50は、例えば図4に示す利用者情報を記憶する。図4は利用者情報の一例の構成図である。図4の利用者情報は項目としてユーザ、接続先仮想空間を有している。項目「ユーザ」は利用者端末12を操作する利用者の識別情報の一例であって、利用者のアカウント、利用者の所属先である企業などのアカウント、利用者のメールアドレス等である。項目「接続先仮想空間」は項目「ユーザ」により識別される利用者と対応付けられた仮想空間の識別情報の一例である。情報処理装置10は図4の利用者情報に基づき、利用者に応じた仮想空間を特定して、利用者端末12に表示させることができる。
【0033】
また、対応情報記憶部52は、例えば図5に示す対応情報を記憶する。図5は対応情報の一例の構成図である。図5(A)の対応情報は項目として接続先仮想空間、及び対応する第2の仮想空間を有している。項目「接続先仮想空間」は利用者端末12の利用者と対応付けられた第1の仮想空間又は第3の仮想空間の識別情報の一例である。項目「対応する第2の仮想空間」は項目「接続先仮想空間」により識別される仮想空間から呼び出し可能な第2の仮想空間の識別情報の一例である。図5(A)の例では接続先仮想空間「仮想空間B」の項目「対応する第2の仮想空間」に第2の仮想空間が設定されておらず、接続先仮想空間「仮想空間B」から呼び出し可能な(遷移可能な)第2の仮想空間が無い。この場合、接続先仮想空間「仮想空間B」は後述の第3の仮想空間となる。
【0034】
図5(B)の対応情報は項目として第1の仮想空間、対応する第2の仮想空間、及び対応する第3の仮想空間を有している。項目「第1の仮想空間」は利用者端末12に表示する第1の仮想空間の識別情報の一例である。項目「対応する第2の仮想空間」は項目「第1の仮想空間」により識別される仮想空間から呼び出し可能な第2の仮想空間の識別情報の一例である。項目「対応する第3の仮想空間」は項目「第1の仮想空間」により識別される仮想空間から呼び出し可能な第3の仮想空間の識別情報の一例である。
【0035】
例えば図5(B)の例では第1の仮想空間「仮想空間A」の項目「対応する第2の仮想空間」に「仮想空間A'」が設定されており、項目「対応する第3の仮想空間」に第3の仮想空間が設定されてない。したがって、第1の仮想空間「仮想空間A」から呼び出し可能な仮想空間は、第2の仮想空間となる。
【0036】
例えば図5(B)の例では第1の仮想空間「仮想空間B」の項目「対応する第2の仮想空間」に第2の仮想空間が設定されておらず、項目「対応する第3の仮想空間」に「仮想空間b」が設定されている。したがって、第1の仮想空間「仮想空間B」から呼び出し可能な仮想空間は、第3の仮想空間となる。
【0037】
図6は第1の仮想空間の一例のイメージ図である。図6は2次元で表現された第1の仮想空間の例である。第1の仮想空間は3次元で表現されてもよい。図6の第1の仮想空間は利用者端末12からログイン中の利用者のアイコン1000が表示されている。ログイン中の利用者は利用者端末12を操作することで、アイコン1000を移動させることができる。例えば複数人の利用者がログイン中である場合、情報処理装置10はアイコン1000が重なった利用者にチャット機能等を提供してもよい。
【0038】
また、第1の仮想空間は、ログイン中の利用者の第2の仮想空間への入口(第2の仮想空間を呼び出すための仕組み)が設けられている。第2の仮想空間への入口は、例えばアイコン、領域、図形、マークなどで表される。例えば図6の第1の仮想空間では、第2の仮想空間の入口の一例を表現した複数のオブジェクト1002a~1002cが表示されている。利用者は第2の仮想空間への入口に自身のアイコン1000を近付ける又は重ねるなどの操作を行うことにより、第2の仮想空間を利用者端末12に表示させることができる。
【0039】
図7は第2の仮想空間の一例のイメージ図である。図7の第2の仮想空間は3次元で表現された360度の動画又は静止画である。第2の仮想空間は、例えば第1の仮想空間の少なくとも一部を3次元で表現する。図7の第2の仮想空間は、1つ以上のオブジェクト1100a~1100cが表示されている。本実施形態では、1つ以上のオブジェクト1100a~1100cには、連携先装置14と対応付けられた特定のオブジェクト1100aが含まれるとして説明する。
【0040】
例えば連携先装置14と対応付けられた特定のオブジェクト1100aは第2の仮想空間において利用者(又は利用者のアバター)からの操作を受け付け、対応付けられた連携先装置14から取得した情報を特定のオブジェクト1100aに表示させる。連携先装置14は現実空間においてクラウド等から情報を取得して利用する形態の連携先装置14であってもよいし、自身が保存している情報を利用する形態の連携先装置14であってもよい。例えば特定のオブジェクト1100aは、対応付けられている連携先装置14が表示している画像を同期して表示出力してもよい。連携先装置14が表示している画像は、オンラインストレージのファイル一覧、開かれたファイルの画像、サイネージの画像、プロジェクションマッピングの画像等である。また、特定のオブジェクト1100aと対応付けられた連携先装置14は、特定のオブジェクト1100aが表示する画像を同期して表示出力してもよい。
【0041】
図8は第3の仮想空間の一例のイメージ図である。図8は2次元で表現された第3の仮想空間の例である。第3の仮想空間は3次元で表示されてもよい。図8の第3の仮想空間は利用者端末12からログイン中の利用者のアイコン1000が表示されている。ログイン中の利用者は利用者端末12を操作することで、アイコン1000を移動させることができる。例えば複数人の利用者がログイン中である場合、情報処理装置10はアイコン1000が重なった利用者にチャット機能を提供してもよい。図8の第3の仮想空間は、図7の第2の仮想空間に示したような連携先装置14と対応付けられた特定のオブジェクト1100aが含まれていない。
【0042】
図9はオブジェクト情報の一例の構成図である。図9のオブジェクト情報は、項目として接続先仮想空間、配置オブジェクト、及びオブジェクト操作時のイベントを有する。項目「接続先仮想空間」は接続先仮想空間の識別情報の一例である。項目「配置オブジェクト」は項目「接続先仮想空間」により識別される仮想空間に配置されたオブジェクトの識別情報の一例である。例えば図6の例ではオブジェクト1002a~1002cの識別情報となる。項目「オブジェクト操作時のイベント」は項目「配置オブジェクト」により識別される第1の仮想空間のオブジェクトに対する利用者の操作を受け付けた場合に、実行するイベントが設定されている。
【0043】
例えばオブジェクト操作時のイベントが「第2の仮想空間の呼び出し」であれば、利用者は項目「配置オブジェクト」で識別されるオブジェクトを操作することで、第2の仮想空間の呼び出しを行うことができる。図6のオブジェクト1002aが図9に示した配置オブジェクトBであれば、情報処理装置10はオブジェクト1002aに自身のアイコン1000を近付ける又は重ねる利用者の操作により、第2の仮想空間を呼び出すイベントを実行する。
【0044】
図10は連携先情報の一例の構成図である。図10の連携先情報は、項目として第2の仮想空間、オブジェクト、及び連携先情報を有する。項目「第2の仮想空間」は第2の仮想空間の識別情報の一例である。項目「オブジェクト」は項目「第2の仮想空間」により識別される仮想空間に配置されたオブジェクトの識別情報の一例である。項目「連携先情報」は項目「オブジェクト」により識別される第2の仮想空間のオブジェクトと対応付けられた連携先装置14の識別情報の一例である。連携先装置14の識別情報は、現実空間の連携先装置14へのリンク、連携先装置14で実行されるアプリ等へのリンクであってもよい。また、連携先装置14の識別情報は、連携先装置14又はアプリ等を呼び出すAPI(Application Programming Interface)であってもよい。項目「連携先情報」が設定されていない第2の仮想空間のオブジェクトは、現実空間の連携先装置14と対応付けられていない。
【0045】
<処理>
本実施形態に係る情報処理システム1の処理手順について説明する。図11は本実施形態に係る情報処理システムにおいて仮想空間を表示する処理の一例を示したシーケンス図である。なお、以下では対応情報が図5(A)の例を説明する。
【0046】
ステップS10において、利用者端末12は利用者「UserA」からログインの操作を受け付ける。利用者端末12の通信部70は利用者「UserA」のログイン要求を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の認証部22は利用者「UserA」の認証処理を行う。認証に成功すると、処理部24の仮想空間制御部40は図4の利用者情報に基づき、利用者「UserA」の接続先仮想空間「仮想空間A」を特定する。ステップS12において、情報処理装置10の送信部30は、第2の仮想空間を呼び出し可能な第1の仮想空間の一例である仮想空間「仮想空間A」の仮想空間データを利用者「UserA」の利用者端末12に送信する。
【0047】
仮想空間「仮想空間A」の仮想空間データを受信した利用者「UserA」の利用者端末12の表示制御部74は図6に示したような第1の仮想空間を表示する。利用者「UserA」は利用者端末12を操作し、図9のオブジェクト情報の配置オブジェクトBに対応する例えば第1の仮想空間の特定のオブジェクト1002aにアイコン1000を近付ける。
【0048】
ステップS14において、利用者端末12の通信部70は利用者「UserA」による第1の仮想空間の特定のオブジェクト1002aに対する操作の内容を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の取得部32は利用者「UserA」による第1の仮想空間の特定のオブジェクト1002aに対する操作の内容を受信する。
【0049】
処理部24のオブジェクト制御部42は図9のオブジェクト情報に基づき、第1の仮想空間の特定のオブジェクト1002aが第2の空間を呼び出すオブジェクトであると判定する。また、処理部24の仮想空間制御部40は、図5(A)の対応情報に基づき、利用者「UserA」の接続先仮想空間「仮想空間A」に対応する第2の仮想空間「仮想空間A'」を特定する。ステップS16において、情報処理装置10の送信部30は、特定した第2の仮想空間「仮想空間A'」の仮想空間データを利用者「UserA」の利用者端末12に送信する。利用者「UserA」の利用者端末12の表示制御部74は、受信した第2の仮想空間「仮想空間A'」の仮想空間データを例えば図7のように表示できる。
【0050】
ステップS20において、利用者端末12は利用者「UserB」からログインの操作を受け付ける。利用者端末12の通信部70は利用者「UserB」のログイン要求を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の認証部22は利用者「UserB」の認証処理を行う。認証に成功すると、処理部24の仮想空間制御部40は図4の利用者情報に基づき、利用者「UserB」の接続先仮想空間「仮想空間B」を特定する。仮想空間Bは第3の仮想空間である。ステップS22において、情報処理装置10の送信部30は、第2の仮想空間を呼び出すことのできない第3の仮想空間の一例である仮想空間「仮想空間B」の仮想空間データを利用者「UserB」の利用者端末12に送信する。
【0051】
仮想空間「仮想空間B」の仮想空間データを受信した利用者「UserB」の利用者端末12の表示制御部74は、例えば図8に示したような第3の仮想空間「仮想空間B」を表示する。したがって、利用者「UserB」は利用者「UserA」と同様にログインしたとしても、第2の仮想空間を呼び出すことのできる第1の仮想空間を表示することができず、第2の仮想空間を呼び出すことができない。
【0052】
図12は本実施形態に係る情報処理装置において仮想空間を表示する処理の一例を示したフローチャート図である。
【0053】
ステップS30において、情報処理装置10の取得部32は利用者端末12から利用者によるログイン要求を受信する。ステップS32において、認証部22はログイン要求を受け付けた利用者の認証処理を行う。認証に成功すると、ステップS34において処理部24の仮想空間制御部40は図4の利用者情報に基づき、認証に成功した利用者の接続先仮想空間を特定する。
【0054】
ステップS36において、情報処理装置10の送信部30は、認証に成功した利用者の利用者端末12に、特定した接続先仮想空間の仮想空間データを送信する。ステップS38において、オブジェクト制御部42は接続先仮想空間にあるオブジェクトに対する操作の内容を利用者端末12から受信したか否かを判定する。
【0055】
接続先仮想空間にあるオブジェクトに対する操作の内容を利用者端末12から受信したと判定すると、オブジェクト制御部42はステップS40の処理を行う。ステップS40において、オブジェクト制御部42は図9のオブジェクト情報に基づき、利用者からの操作を受け付けたオブジェクトが、第2の空間を呼び出すオブジェクトであるか否かを判定する。
【0056】
利用者からの操作を受け付けたオブジェクトが第2の空間を呼び出すオブジェクトであれば、仮想空間制御部40はステップS42の処理を行う。ステップS42において、仮想空間制御部40は図5(A)の対応情報に基づき、利用者の接続先仮想空間に対応する第2の仮想空間を特定する。情報処理装置10の送信部30は、特定した第2の仮想空間の仮想空間データを利用者の利用者端末12に送信し、ステップS44の処理に進む。
【0057】
なお、ステップS38において接続先仮想空間にあるオブジェクトに対する操作の内容を利用者端末12から受信していないと判定した場合、及び、ステップS40において利用者からの操作を受け付けたオブジェクトが第2の空間を呼び出すオブジェクトでないと判定した場合、仮想空間制御部40はステップS44の処理に進む。
【0058】
ステップS44において、仮想空間制御部40は仮想空間の表示の終了の操作の内容を利用者端末12から受信したか否かを判定する。仮想空間の表示の終了の操作の内容を利用者端末12から受信するまで、情報処理装置10はステップS38~S44の処理を繰り返す。
【0059】
図12のフローチャートの処理によれば、第2の仮想空間を呼び出すオブジェクトに対する操作を利用者から受け付けた場合に、例えば図7の第2の仮想空間を利用者端末12に表示させることができる。また、図12のフローチャートの処理によれば、第2の仮想空間を呼び出すオブジェクト以外に対する操作を利用者から受け付けた場合に、例えば図6の第1の仮想空間を利用者端末12に表示させ続けることができる。
【0060】
図13は本実施形態に係る情報処理システムにおいて第2の仮想空間のオブジェクトへの操作を受け付けた場合の処理の一例を示したシーケンス図である。ここでは、利用者端末12を操作する利用者が「UserA」である例を説明する。また、ここでは第2の仮想空間が「仮想空間A'」である。
【0061】
ステップS50において、利用者端末12は第2の仮想空間の特定のオブジェクト「AA」に対する操作を受け付ける。利用者端末12の通信部70は第2の仮想空間の特定のオブジェクト「AA」に対する利用者の操作の内容を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の取得部32は第2の仮想空間の特定のオブジェクト「AA」に対する利用者の操作の内容を受信する。
【0062】
ステップS52において、処理部24の連携先装置管理部44は図10の連携先情報に基づき、操作を受け付けた第2の仮想空間の特定のオブジェクト「AA」の連携先情報を特定する。例えば図10の連携先情報の場合、連携先装置管理部44はオブジェクト「AA」に対応する連携先情報「https://○○○」を特定する。連携先装置管理部44は特定した連携先情報の連携先装置14Aに、利用者のオブジェクト「AA」に対する操作に応答するための情報の取得を要求する。
【0063】
ステップS54において、連携先装置14Aは要求された情報を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の取得部32は、利用者のオブジェクト「AA」に対する操作に応答するための情報を受信する。
【0064】
ステップS56において、情報処理装置10の仮想空間制御部40は連携先装置14Aから受信した情報に基づき、利用者のオブジェクト「AA」に対する操作に応答するための処理を行う。
【0065】
例えば利用者のオブジェクト「AA」に対する操作が連携先装置14Aに保存されているファイルの表示の操作であれば、仮想空間制御部40は第2の仮想空間のオブジェクト「AA」に連携先装置14Aに保存されているファイルの情報を表示させる処理を行う。このように、利用者端末12を操作する利用者は、第2の仮想空間の特定のオブジェクト「AA」を操作することで、オブジェクト「AA」と対応付けられた連携先装置14Aに保存されているファイルの情報を第2の仮想空間の特定のオブジェクト「AA」に表示させることができる。
【0066】
ステップS60において、利用者端末12は第2の仮想空間の特定のオブジェクト「AB」に対する操作を受け付ける。利用者端末12の通信部70は第2の仮想空間の特定のオブジェクト「AB」に対する利用者の操作の内容を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の取得部32は第2の仮想空間の特定のオブジェクト「AB」に対する利用者の操作の内容を受信する。
【0067】
ステップS62において、処理部24の連携先装置管理部44は図10の連携先情報に基づき、操作を受け付けた第2の仮想空間の特定のオブジェクト「AB」の連携先情報を特定する。例えば図10の連携先情報の場合、連携先装置管理部44はオブジェクト「AB」に対応する連携先情報「https://×××」を特定する。連携先装置管理部44は特定した連携先情報の連携先装置14Bに、利用者のオブジェクト「AB」に対する操作に応答するための情報の取得を要求する。
【0068】
ステップS64において、連携先装置14Bは要求された情報を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の取得部32は、利用者のオブジェクト「AB」に対する操作に応答するための情報を受信する。
【0069】
ステップS66において、情報処理装置10の仮想空間制御部40は連携先装置14Bから受信した情報に基づき、利用者のオブジェクト「AB」に対する操作に応答するための処理を行う。
【0070】
例えば利用者のオブジェクト「AB」に対する操作が連携先装置14Bのサイネージ又はプロジェクションマッピング用のデータの表示の操作であれば、仮想空間制御部40は連携先装置14Bのサイネージ又はプロジェクションマッピング用のデータを第2の仮想空間のオブジェクト「AB」に表示させる処理を行う。このように、利用者端末12を操作する利用者は、第2の仮想空間の特定のオブジェクト「AB」を操作することで、オブジェクト「AB」と対応付けられた連携先装置14Bのサイネージ又はプロジェクションマッピング用のデータを第2の仮想空間の特定のオブジェクト「AB」に表示させることができる。
【0071】
図14は本実施形態に係る情報処理装置において第2の仮想空間のオブジェクトへの操作を受け付けた場合の処理の一例を示したフローチャート図である。
【0072】
ステップS70において、情報処理装置10の取得部32は第2の仮想空間の特定のオブジェクトに対する利用者の操作の内容を受信する。ステップS72において、処理部24の連携先装置管理部44は例えば図10の連携先情報に基づき、操作を受け付けた第2の仮想空間の特定のオブジェクトの連携先情報を特定する。
【0073】
ステップS74において、連携先装置管理部44は特定した連携先情報の連携先装置14に、利用者のオブジェクトに対する操作に応答するための情報の取得を要求する。情報処理装置10の取得部32は、ステップS76において、利用者のオブジェクトに対する操作に応答するための情報を連携先装置14から受信する。
【0074】
ステップS78において、情報処理装置10の仮想空間制御部40は連携先装置14から受信した情報に基づき、利用者による情報の選択があるか否かを判定する。例えば連携先装置14から受信した情報がファイルの一覧であって、利用者によるファイルの選択が必要であれば、利用者による情報の選択があると判定する。
【0075】
利用者による情報の選択があると判定すると、仮想空間制御部40はステップS80において、連携先装置14から受信した情報に基づき、利用者による情報の選択を受け付ける画像を、利用者端末12に表示させ、利用者による情報の選択を受け付ける。なお、利用者による情報の選択がないと判定すると、仮想空間制御部40はステップS80の処理をスキップする。
【0076】
ステップS82において、仮想空間制御部40は利用者のオブジェクトに対する操作に応答するための処理を行う。利用者による情報の選択があった場合、仮想空間制御部40は利用者に選択された情報に基づき、利用者のオブジェクトに対する操作に応答するための処理を行う。また、利用者による情報の選択が無かった場合、仮想空間制御部40は連携先装置14から受信した情報に基づき、利用者のオブジェクトに対する操作に応答するための処理を行う。
【0077】
ここでは、具体例について説明する。利用者は例えば図7の第2の仮想空間にあるIWBを模した特定のオブジェクト1100aに対して、現実空間にあるIWBと同様な機能を使用するための特定の操作を行うことができる。特性の操作は、例えば現実空間にあるIWBのICカードリーダ部にICカードをタッチして認証を行う機能を第2の仮想空間で行う操作、現実空間にあるIWBとオンラインストレージとを連携させる機能を第2の仮想空間で行う操作など、である。
【0078】
利用者端末12の利用者は、例えば図7の第2の仮想空間にあるIWBを模した特定のオブジェクト1100aに対して特定の操作を行うことで、現実空間にあるIWBを操作するのと同様なプロセスで、現実空間にあるIWBと同様な機能を利用できる。
【0079】
図7の第2の仮想空間にあるIWBを模した特定のオブジェクト1100aは、利用者から受け付けた特定の操作に基づき、オンラインストレージにログインし、オンラインストレージに保存されているファイルの一覧を例えば図15に示すように表示できる。図15は第2の仮想空間のオブジェクトによる表示出力の一例のイメージ図である。図15に示したように、第2の仮想空間にあるIWBを模した特定のオブジェクト1100aは、連携先装置14の一例であるオンラインストレージに保存されたファイルの一覧を、利用者の特定の操作に基づいて表示できる。
【0080】
また、図7の第2の仮想空間にあるIWBを模した特定のオブジェクト1100aは利用者から受け付けた特定の操作に基づき、図15のファイルの一覧から選択されたファイルの内容を、例えば図16に示すように表示できる。図16は第2の仮想空間のオブジェクトによる表示出力の一例のイメージ図である。図16に示したように、第2の仮想空間にあるIWBを模した特定のオブジェクト1100aは、例えば連携先装置14の一例であるオンラインストレージに保存されたファイルの内容を、利用者の特定の操作に基づいて表示できる。
【0081】
第2の仮想空間にあるIWBを模した特定のオブジェクト1100aによれば、仮想空間であっても、利用者がプレゼンテーションや資料共有などを行うことができる。第2の仮想空間にあるIWBを模した特定のオブジェクトの表示と、現実空間にあるIWBの表示とを同期させることで、本実施形態は人材教育などでも利用できる。したがって、本実施形態によれば、実際に業務を行うビジネスの場として十分な仮想空間を提供できる。
【0082】
また、第2の仮想空間にある特定のオブジェクト1100は、例えば図17に示すようなプロジェクタを模したものであってもよい。図17は第2の仮想空間のオブジェクトによる表示出力の一例のイメージ図である。図17に示したように、第2の仮想空間にあるプロジェクタを模した特定のオブジェクト1100は、例えば連携先装置14の一例であるプロジェクタが投影している画像を、投影画面を模したオブジェクト1106に表示できる。
【0083】
さらに、第2の仮想空間にある特定のオブジェクト1100は、例えば図18に示すようなプロジェクションマッピングなどの投影画面を模したオブジェクト1106であってもよい。図18は、第2の仮想空間のオブジェクトによる表示出力の一例のイメージ図である。図18に示したように、第2の仮想空間にあるプロジェクションマッピングなどの投影画面を模したオブジェクト1106は、連携先装置14の一例のセットトップボックスが配信するプロジェクションマッピングの画像を、投影画面を模したオブジェクト1106に表示できる。
【0084】
従来技術の仮想空間は、現実の打ち合わせや接客等、各種の業務を遂行する場としては十分ではなかった。本実施形態によれば、利用者が現実空間で行う業務を遂行する場(現実の打ち合わせや接客等、各種の業務を遂行する場)に、より対応可能な仮想空間を提供できる。
【0085】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、利用者の属性情報を反映させた第2の仮想空間を利用者端末12に表示させる。第2の実施形態は第1の実施形態と一部を除いて同様であり、適宜説明を省略する。
【0086】
第2の実施形態において、記憶部26の利用者情報記憶部50は、例えば図19に示す利用者情報を記憶する。図19は利用者情報の一例の構成図である。図19の利用者情報は項目としてユーザ、接続先仮想空間、及び属性情報を有している。項目「ユーザ」及び項目「接続先仮想空間」は図4の利用者情報と同様である。項目「属性情報」は利用者の属性情報である。図19では利用者の属性情報の一例として、身長、性別、目線情報、及び嗜好を示している。目線情報は、空間での基準の位置を示す情報、仰角などの角度情報などである。
【0087】
また、第2の実施形態において、記憶部26の対応情報記憶部52は例えば図20に示す対応情報を記憶する。図20は対応情報の一例の構成図である。図20の対応情報は項目として第1の仮想空間、及び対応する第2の仮想空間を有している。項目「第1の仮想空間」は、利用者端末12の利用者と対応付けられた第1の仮想空間の識別情報の一例である。項目「対応する第2の仮想空間」は項目「第1の仮想空間」により識別される仮想空間から呼び出し可能な第2の仮想空間の識別情報の一例である。
【0088】
ここでは、図21に示すような第1の仮想空間、及び図22に示すような第2の仮想空間の例を説明する。図21は第1の仮想空間の一例のイメージ図である。図22は第2の仮想空間の一例のイメージ図である。
【0089】
図21の第1の仮想空間は、住宅展示場の第1の仮想空間の例である。利用者は営業担当者及び見学者となる。第1の仮想空間には、ログイン中の利用者のアイコン1000が表示されている。ログイン中の利用者は利用者端末12を操作することで、アイコン1000を移動させることができる。
【0090】
また、第1の仮想空間は、図6の第1の仮想空間と同様、ログイン中の利用者の第2の仮想空間への入口(第2の仮想空間を呼び出すための仕組み)が設けられている。例えば図21の第1の仮想空間では、第2の仮想空間の入口の一例を表現したオブジェクト1002が表示されている。利用者は第2の仮想空間への入口に自身のアイコン1000を近付ける又は重ねるなどの操作を行うことにより、自身の属性情報が反映された例えば図22の第2の仮想空間を利用者端末12に表示させることができる。住宅展示場の第1の仮想空間の場合、見学者の属性情報は、例えば見学の予約時に事前に登録してもらうようにしてもよい。また、見学者の属性情報は、例えば設置したカメラが撮影した映像から必要な属性情報を取得するようにしてもよい。
【0091】
図22は例えば図19の利用者情報の項目「属性情報」のうち、身長が反映された第2の仮想空間の例である。図22(A)は背の高い人の目線で見た第2の仮想空間の例を示している。図22(B)は背の低い人の目線で見た第2の仮想空間の例を示している。
【0092】
住宅展示場の第2の仮想空間では、天井の高さ、バルコニーの広さなど、見学者の身長により印象が異なる場合がある。そこで、本実施形態に係る第2の仮想空間では、見学者の身長により異なる見え方が反映された図22(A)及び図22(B)のような第2の仮想空間を再現する。
【0093】
図23は本実施形態に係る情報処理システムにおいて仮想空間を表示する処理の一例を示したシーケンス図である。ステップS100において、利用者端末12は利用者「UserA」からログインの操作を受け付ける。利用者端末12の通信部70は利用者「UserA」のログイン要求を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の認証部22は利用者「UserA」の認証処理を行う。認証に成功すると、処理部24の仮想空間制御部40は図19の利用者情報に基づき、利用者「UserA」に応じた接続先仮想空間として「仮想空間A」を特定する。ステップS102において、情報処理装置10の送信部30は、特定した接続先仮想空間「仮想空間A」を、第2の仮想空間を呼び出し可能な第1の仮想空間の仮想空間データとして、利用者「UserA」の利用者端末12に送信する。
【0094】
仮想空間「仮想空間A」の仮想空間データを受信した利用者「UserA」の利用者端末12の表示制御部74は図21に示したような第1の仮想空間を表示する。利用者「UserA」は利用者端末12を操作し、オブジェクト1002などの第2の仮想空間への入口に自身のアイコン1000を近付ける又は重ねるなどの操作を行う。
【0095】
ステップS104において、利用者端末12の通信部70は利用者「UserA」による第1の仮想空間の特定のオブジェクト1002に対する操作の内容を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の取得部32は利用者「UserA」による第1の仮想空間の特定のオブジェクト1002に対する操作の内容を受信する。
【0096】
処理部24のオブジェクト制御部42は図20の対応情報に基づき、利用者「UserA」の第1の仮想空間「仮想空間A」に対応する第2の仮想空間「仮想空間A'」を特定する。仮想空間制御部40は、例えば利用者「UserA」の見え方に関係する身長や目線情報などの属性情報を例えば図19の利用者情報から取得し、特定した利用者「UserA」の第2の仮想空間「仮想空間A'」に反映させる。利用者「UserA」は背の高い利用者の例であるため、属性情報を反映させた第2の仮想空間「仮想空間A'」は図22(A)に示すようなイメージとなる。
【0097】
そして、ステップS106において、情報処理装置10の送信部30は、利用者「UserA」の属性情報を反映させた第2の仮想空間「仮想空間A'」の仮想空間データを利用者「UserA」の利用者端末12に送信する。したがって、利用者「UserA」の利用者端末12の表示制御部74は、利用者「UserA」の属性情報を反映させた図22(A)の第2の仮想空間「仮想空間A'」を表示できる。
【0098】
ステップS110において、利用者端末12は利用者「UserB」からログインの操作を受け付ける。利用者端末12の通信部70は利用者「UserB」のログイン要求を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の認証部22は利用者「UserB」の認証処理を行う。認証に成功すると、処理部24の仮想空間制御部40は図19の利用者情報に基づき、利用者「UserB」に応じた接続先仮想空間として「仮想空間A」を特定する。ステップS112において、情報処理装置10の送信部30は、特定した接続先仮想空間「仮想空間A」を、第2の仮想空間を呼び出し可能な第1の仮想空間の仮想空間データとして、利用者「UserB」の利用者端末12に送信する。
【0099】
仮想空間「仮想空間A」の仮想空間データを受信した利用者「UserB」の利用者端末12の表示制御部74は図21に示したような第1の仮想空間を表示する。利用者「UserB」は利用者端末12を操作し、オブジェクト1002などの第2の仮想空間への入口に自身のアイコン1000を近付ける又は重ねるなどの操作を行う。
【0100】
ステップS114において、利用者端末12の通信部70は利用者「UserB」による第1の仮想空間の特定のオブジェクト1002に対する操作の内容を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10の取得部32は利用者「UserB」による第1の仮想空間の特定のオブジェクト1002に対する操作の内容を受信する。
【0101】
処理部24のオブジェクト制御部42は図20の対応情報に基づき、利用者「UserB」の第1の仮想空間「仮想空間A」に対応する第2の仮想空間「仮想空間A'」を特定する。仮想空間制御部40は、例えば利用者「UserB」の見え方に関係する身長や目線情報などの属性情報を例えば図19の利用者情報から取得し、特定した利用者「UserB」の第2の仮想空間「仮想空間A'」に反映させる。利用者「UserB」は背の低い利用者の例であるため、属性情報を反映させた第2の仮想空間「仮想空間A'」は図22(B)に示すようなイメージとなる。
【0102】
そして、ステップS116において、情報処理装置10の送信部30は、利用者「UserB」の属性情報を反映させた第2の仮想空間「仮想空間A'」の仮想空間データを利用者「UserB」の利用者端末12に送信する。したがって、利用者「UserB」の利用者端末12の表示制御部74は、利用者「UserB」の属性情報を反映させた図22(B)の第2の仮想空間「仮想空間A'」を表示できる。
【0103】
本実施形態によれば、住宅展示場などの営業担当者が見学者を接客する接客現場で行う業務であって、家具の配置やキッチン台の高さによる見え方の違いなど見学者にとってより現実感のある体験を提供したい業務に、より対応可能な仮想空間を提供できる。
【0104】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、第1の仮想空間の特定のオブジェクト1002にオブジェクト操作権限を設けることで、第1の仮想空間から第2の仮想空間を呼び出せる利用者を選択している。なお、第3の実施形態は第1及び第2の実施形態と一部を除いて同様であり、適宜説明を省略する。
【0105】
第3の実施形態において、記憶部26の利用者情報記憶部50は、例えば図24に示す利用者情報を記憶する。図24は利用者情報の一例の構成図である。図24の利用者情報は項目としてユーザ、接続先仮想空間、及び属性情報を有している。図24の利用者情報は属性情報に権限が含まれていることが、図19の利用者情報と異なる。なお、項目「属性情報」に含まれる権限は、項目「ユーザ」により特定される利用者の権限(従業員、来訪者など)を示している。
【0106】
また、第3の実施形態において、記憶部26のオブジェクト情報記憶部60は例えば図25に示すオブジェクト情報を記憶する。図25は、オブジェクト情報の一例の構成図である。図25のオブジェクト情報は、項目として第1の仮想空間、配置オブジェクト、オブジェクト操作時のイベント、及びオブジェクト操作権限を有する。
【0107】
項目「第1の仮想空間」は、第1の仮想空間の識別情報の一例である。項目「配置オブジェクト」は項目「第1の仮想空間」により識別される仮想空間に配置されたオブジェクト1002の識別情報の一例である。項目「オブジェクト操作時のイベント」は項目「配置オブジェクト」により識別される第1の仮想空間のオブジェクト1002に対して、権限のある利用者からの操作を受け付けた場合に、実行するイベントが設定されている。項目「オブジェクト操作権限」は項目「配置オブジェクト」により識別される第1の仮想空間のオブジェクト1002を操作できる利用者の権限を示している。
【0108】
例えばオブジェクト操作権限が「フリー」であれば、全ての権限の利用者が第1の仮想空間のオブジェクト1002を操作できる。また、例えばオブジェクト操作権限が「従業員」であれば、権限が「従業員」の利用者が第1の仮想空間のオブジェクト1002を操作できる。図24の利用者情報及び図25のオブジェクト情報によれば、例えば誰でも操作できる第1の仮想空間のオブジェクト1002、及び従業員しか操作できない第1の仮想空間のオブジェクト1002などを、第1の仮想空間に配置できる。
【0109】
ここでは、図26に示すような第1の仮想空間、及び図27に示すような第2の仮想空間の例を説明する。図26は第1の仮想空間の一例のイメージ図である。図27は第2の仮想空間の一例のイメージ図である。
【0110】
図26の第1の仮想空間は、美術館又は博物館等において案内担当者及び見学者が同伴での回遊に利用するような例えば学芸用途の第1の仮想空間の例である。利用者は案内担当者及び見学者となる。第1の仮想空間には、ログイン中の利用者のアイコン1000が表示されている。ログイン中の利用者は利用者端末12を操作することで、アイコン1000を移動させることができる。
【0111】
また、第1の仮想空間は、権限のある利用者の第2の仮想空間への入口(第2の仮想空間を呼び出すための仕組み)が設けられている。例えば図26の第1の仮想空間では、第2の仮想空間の入口の一例を表現したオブジェクト1002a~1002dが表示されている。それぞれのオブジェクト1002a~1002dは、図25のオブジェクト情報に示したようにオブジェクト操作権限が設定されている。
【0112】
したがって、権限のある利用者は第2の仮想空間への入口に自身のアイコン1000を近付ける又は重ねるなどの操作を行うことにより、自身の属性情報が反映された例えば図27の第2の仮想空間を利用者端末12に表示させることができる。また、権限のない利用者は第2の仮想空間への入口に自身のアイコン1000を近付ける又は重ねるなどの操作を行っても、例えば図27の第2の仮想空間を利用者端末12に表示させることができない。
【0113】
例えば図25のオブジェクト情報の例では、配置オブジェクトDを図26の第1の仮想空間の「事務室」の特定のオブジェクト1002dとすることで、来訪者がオブジェクト1002dを操作して事務室の第2の仮想空間を呼び出すことを防いでいる。従業員はオブジェクト1002dを操作して事務室の第2の仮想空間を呼び出すことができる。
【0114】
図27図26の第1の仮想空間から読み出された第2の仮想空間の例である。図25のオブジェクト情報の例では、配置オブジェクトA~Cを図26の第1の仮想空間の「受付」の特定のオブジェクト1002a、「展示室」の特定のオブジェクト1002b、及び「ショップ」の特定のオブジェクト1002cとする。図25のオブジェクト情報の例では、配置オブジェクトDを図26の第1の仮想空間の「事務室」の特定のオブジェクト1002dとする。
【0115】
図27(A)は図26の第1の仮想空間の「受付」の特定のオブジェクト1002aを操作することで呼び出す受付の第2の仮想空間の例である。また、図27(B)は図26の第1の仮想空間の「ショップ」の特定のオブジェクト1002cを操作することで呼び出すショップの第2の仮想空間の例である。
【0116】
また、図27(C)は図26の第1の仮想空間の「展示室」の特定のオブジェクト1002bを操作することで呼び出した、背の高い人の利用者の属性情報を反映させた展示室の第2の仮想空間の例である。図27(D)は図26の第1の仮想空間の「展示室」の特定のオブジェクト1002bを操作することで呼び出した、背の低い人の利用者の属性情報を反映させた展示室の第2の仮想空間の例である。
【0117】
図28は本実施形態に係る情報処理装置において仮想空間を表示する処理の一例を示したフローチャート図である。
【0118】
ステップS200において、情報処理装置10の取得部32は利用者端末12から利用者によるログイン要求を受信する。ステップS202において、認証部22はログイン要求を受け付けた利用者の認証処理を行う。認証に成功すると、処理部24の仮想空間制御部40はステップS204において、図24の利用者情報に基づき、認証に成功した利用者の接続先仮想空間を特定する。
【0119】
ステップS206において、情報処理装置10の送信部30は、認証に成功した利用者の利用者端末12に、特定した接続先仮想空間の仮想空間データを送信する。ステップS208において、オブジェクト制御部42は接続先仮想空間にあるオブジェクト1002に対する操作の内容を利用者端末12から受信したか否かを判定する。
【0120】
接続先仮想空間にあるオブジェクト1002に対する操作の内容を利用者端末12から受信したと判定すると、オブジェクト制御部42はステップS210の処理を行う。オブジェクト制御部42は例えば図24の利用者情報の属性情報に含まれる権限と図25のオブジェクト情報のオブジェクト操作権限とを参照する。オブジェクト制御部42は例えば図24の利用者情報の属性情報に含まれる権限と図25のオブジェクト情報のオブジェクト操作権限とに基づき、利用者のオブジェクト操作権限の有無を判定する。
【0121】
利用者のオブジェクト操作権限があれば、仮想空間制御部40はステップS212の処理を行う。ステップS212において、仮想空間制御部40は利用者からの操作を受け付けたオブジェクト1002が第2の空間を呼び出すオブジェクト1002であれば、接続先仮想空間に対応する第2の仮想空間の仮想空間データを特定する。仮想空間制御部40は特定した第2の仮想空間の仮想空間データに利用者の属性情報を反映させる。仮想空間制御部40は属性情報を反映させた第2の仮想空間の仮想空間データを利用者の利用者端末12に送信してステップS214の処理に進む。
【0122】
なお、ステップS208において接続先仮想空間にあるオブジェクト1002に対する操作の内容を利用者端末12から受信していないと判定した場合、及び、ステップS210において利用者のオブジェクト操作権限がないと判定した場合、仮想空間制御部40はステップS214の処理に進む。
【0123】
ステップS214において、仮想空間制御部40は仮想空間の表示の終了の操作の内容を利用者端末12から受信したか否かを判定する。仮想空間の表示の終了の操作の内容を利用者端末12から受信するまで、情報処理装置10はステップS208~S214の処理を繰り返す。
【0124】
図28のフローチャートの処理によれば、第2の仮想空間を呼び出すオブジェクト1002に対する操作をオブジェクト操作権限のある利用者から受け付けた場合に、例えば図27の第2の仮想空間を利用者端末12に表示するように制御することができる。図28のフローチャートの処理によれば、第2の仮想空間を呼び出すオブジェクト1002に対する操作をオブジェクト操作権限のない利用者から受け付けた場合に、例えば図27の第2の仮想空間を利用者端末12に表示しないように制御することができる。
【0125】
[他の実施形態]
本実施形態の他の例として、上述の情報処理システム1は、第2の仮想空間において利用者の操作を受け付ける特定のオブジェクト1100のオブジェクト操作権限を、例えば図29の連携先情報のように事前に登録できるようにしてもよい。図29は連携先情報の一例の構成図である。
【0126】
図29の連携先情報は、項目として第2の仮想空間、オブジェクト、連携先情報、及びオブジェクト操作権限を有する。図29の連携先情報は、図10の連携先情報に項目「オブジェクト操作権限」を追加した構成である。項目「オブジェクト操作権限」は項目「オブジェクト」により識別される特定のオブジェクト1100の操作権限を有する利用者の権限を表している。
【0127】
例えば項目「オブジェクト操作権限」が「管理者」であれば、項目「オブジェクト」により識別される特定のオブジェクト1100は、権限が「管理者」の利用者により操作可能となる。なお、連携先情報の項目「オブジェクト管理権限」は、例えば図30に示した第2の仮想空間のように、オブジェクト操作権限の切り替えボタン1104を設けるようにしてもよい。
【0128】
図30はオブジェクト操作権限の切り替えについて説明する一例の図である。例えばオブジェクト操作権限の切り替えボタン1104は、権限「管理者」の利用者が特定のオブジェクト1100aのオブジェクト操作権限を有する状態と、権限「管理者」以外の利用者が特定のオブジェクト1100aのオブジェクト操作権限を有する状態と、の切り替えを受け付ける。
【0129】
また、本実施形態の他の例として、上述の情報処理システム1は、第1の仮想空間から第2の仮想空間を呼び出す例を説明したが、項目「ユーザ」により識別される利用者と対応付けて第2の仮想空間を接続先仮想空間として設定してもよい。項目「ユーザ」により識別される利用者と対応付けて第2の仮想空間を接続先仮想空間として設定しておくことで本実施形態の情報処理システム1は、認証に成功した利用者の利用者端末12に第1の仮想空間を表示することなく、利用者の接続先仮想空間として設定されている第2の仮想空間を表示できる。なお、本実施形態で説明した仮想空間における「事務室」の特定のオブジェクト1002dなどへの権限「管理者」を第1の実施形態で示したオフィススペース内で区切られた「部門」ごとの規制を設ける場合の「従業員」権限(部門別、社員職制別など)、あるいは第2の実施形態で示した住宅展示場の住宅展示スペースと区切られた「バックオフィス」への「営業担当者」権限などにも適用できる。
【0130】
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0131】
実施例に記載された装置群は本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。本実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、及び、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【符号の説明】
【0132】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
12 利用者端末
14、14A、14B 連携先装置
18 ネットワーク
20 通信部
22 認証部
24 処理部
26 記憶部
30 送信部
32 取得部
40 仮想空間制御部
42 オブジェクト制御部
44 連携先装置管理部
50 利用者情報記憶部
52 対応情報記憶部
54 第1の仮想空間データ記憶部
56 第2の仮想空間データ記憶部
58 第3の仮想空間データ記憶部
60 オブジェクト情報記憶部
62 連携先情報記憶部
70 通信部
72 操作受付部
74 表示制御部
80 通信部
82 情報提供部
84 情報表示部
1000 アイコン
1002、1002a~1002d オブジェクト
1100 オブジェクト
1104 切り替えボタン
1106 オブジェクト
【先行技術文献】
【特許文献】
【0133】
【文献】特開2011-216073号公報
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