(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】液中微粒子計測システム、液中微粒子計測方法および中空糸脱気モジュール
(51)【国際特許分類】
G01N 15/06 20240101AFI20240625BHJP
B01D 61/00 20060101ALI20240625BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20240625BHJP
B01D 63/02 20060101ALI20240625BHJP
B01D 69/00 20060101ALI20240625BHJP
B01D 69/02 20060101ALI20240625BHJP
B01D 71/26 20060101ALI20240625BHJP
B01D 71/32 20060101ALI20240625BHJP
B01D 71/36 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G01N15/06 E
B01D61/00
B01D63/00 500
B01D63/02
B01D69/00
B01D69/02
B01D71/26
B01D71/32
B01D71/36
(21)【出願番号】P 2023538763
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2022039121
(87)【国際公開番号】W WO2023074528
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】P 2021174569
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】川島 和保
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明
(72)【発明者】
【氏名】大井 和美
(72)【発明者】
【氏名】小山 真奈
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-168765(JP,A)
【文献】特開2008-073641(JP,A)
【文献】特開平08-150302(JP,A)
【文献】特開2004-016905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/06
B01D 61/00
B01D 63/00
B01D 63/02
B01D 69/00
B01D 69/02
B01D 71/26
B01D 71/32
B01D 71/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液中微粒子計、及び、微粒子の計測を行う液の供給元と該液中微粒子計の液導入口との間の流路に接続された少なくとも一つの中空糸脱気モジュール、を有する液中微粒子計測システムであって、
前記中空糸脱気モジュールは、
密閉容器と、
前記密閉容器内に配置され
、2本以上のチューブを結束して構成されるチューブユニットと、
前記密閉容器の液導入口に該密閉容器の内外を貫通して配置され、且つ、前記密閉容器と係合する第一コネクタ部と、
前記密閉容器の液排出口に該密閉容器の内外を貫通して配置され、且つ、前記密閉容器と係合する第二コネクタ部と、
を有し、
前記チューブ又は前記チューブユニットの一端部が、前記第一コネクタ部に気密に接続されており、
前記チューブ又は前記チューブユニットの他端部が、前記第二コネクタ部に気密に接続されており、
前記チューブが、アモルファスフロロポリマーで構成され
、
前記チューブユニットは、複数のチューブと、複数のチューブの一方側の端部及び他方側の端部をそれぞれ結束する一対の結束部を備え、
前記結束部は、それぞれ、複数のチューブのそれぞれの端部に外嵌された外筒と、複数のチューブのそれぞれの端部と外筒との間に充填された封止部とを備え、
複数のチューブのそれぞれの端部が互いに離間している、
液中微粒子計測システム。
【請求項2】
前記第一コネクタ部または前記第二コネクタ部が、テトラフルオロエチレン及びパーフルオロ2,2-ジメチル-1,3-ジオキソールをコモノマーとする共重合体を含んでなる非晶質フッ素樹脂、四フッ化エチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂から選択される1種又は複数種で構成され
、
封止部は、複数のチューブのそれぞれの内部空間には充填されておらず、複数のチューブの間と、複数のチューブと外筒の間と、に充填されており、封止部の素材がフッ素樹脂、ポリプロピレン、シリコーン、ポリイミドまたはポリアミドである、請求項1記載の液中微粒子計測システム。
【請求項3】
前記チューブの接液面の表面粗さRaが0.25μm以下であり、かつ、気体透過係数が5×10
-6〔cm
3・cm/cm
2・sec・cmHg〕~1×10
-9〔cm
3・cm/cm
2・sec・cmHg〕の範囲である、請求項1記載の液中微粒子計測システム。
【請求項4】
前記第一コネクタ部は、第一貫通流路が形成された第一コネクタ部本体と、第一貫通流路の軸線方向に関して第一コネクタ部本体の一端部に設けられ、液の供給元側の流路が接続される第一凹部と、第一コネクタ部本体の他端部に設けられ、チューブユニットの一端部が接続される第二凹部と、第一コネクタ部本体の外周部に設けられた係合部と、を有する、請求項1記載の液中微粒子計測システム。
【請求項5】
前記第一コネクタ部は、
第一コネクタ部本体と密閉容器との間に配置された第一シール部、
第二凹部内に配置された第二シール部、及び、第一コネクタ部本体の他端部に設けられた切り欠き部と、当該切り欠き部に配置された環状の第三シール部、からなる群から選ばれる少なくとも1つのシール部を有する、請求項4記載の液中微粒子計測システム。
【請求項6】
前記第二コネクタ部は、第二貫通流路が形成された第二コネクタ部本体と、第二貫通流路の軸線方向に関して第二コネクタ部本体の一端部に設けられ、液中微粒子計の液導入口に接続する流路が接続される第一凹部と、第二コネクタ部本体の他端部に設けられ、チューブユニットの一端部が接続される第二凹部と、第二コネクタ部本体の外周部に設けられた係合部と、を有する、請求項1記載の液中微粒子計測システム。
【請求項7】
前記第二コネクタ部は、
第二コネクタ部本体と密閉容器との間に配置された第一シール部、
第二凹部内に配置された第二シール部、及び、第二コネクタ部本体の他端部に設けられた切り欠き部と、当該切り欠き部に配置された環状の第三シール部、からなる群から選ばれる少なくとも1つのシール部を有する、請求項6記載の液中微粒子計測システム。
【請求項8】
前記アモルファスフロロポリマーが、テトラフルオロエチレン及びパーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソールをコモノマーとする共重合体を含んでなる非晶質フッ素樹脂である、請求項1記載の液中微粒子計測システム。
【請求項9】
前記請求項1~8の何れか一項に記載の液中微粒子計測システムを用いて、液中の微粒子を計測することを特徴とする、液中微粒子計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液中微粒子計測システムおよびそれを用いた液中微粒子計測方法、該システムに用いる中空糸脱気モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体業界や関連する材料業界等では、水や薬液等の液の清浄度管理に、光(レーザー光)の散乱方式を採用する液中微粒子計が、幅広く使用されている。特に、近年、半導体業界では、素子の微細化に伴い30nm以下、さらには10nmオーダーの粒径の微粒子の管理が要求されている。しかし、そのような粒径の微粒子を液中微粒子計で測定すると、液中の溶存酸素等による気泡も微粒子と同様に光を散乱するため微粒子として計測されてしまう、誤計測(誤カウント)の問題が生じる。
【0003】
特許文献1には、被測定液体を、複数本が結束されたPFAチューブユニットを用いて脱気する中空糸脱気モジュールと、脱気された被測定液体の液中微粒子を計測する液中微粒子計測手段とを備えた液中微粒子計測システムが記載されている。しかしながら、この装置に用いるPFAチューブは、平滑性が優れるが脱気性能が低下するという問題があった。この接液面の平滑性と脱気性能とは背反する関係にあり、接液面の平滑性が低下すると微粒子残留を起こすことから、優れた平滑性を担保するために、チューブの有効長を長くする必要があった。
【0004】
また、特許文献1では、平滑性を内面の粗さRt(粗さ曲線の最大断面高さであり、評価長さにおいて、輪郭曲線の山高さzpの最大値と谷深さzvの最大値との和)0.4μm以下の範囲と定義しているものの、当該Rt値はピーク値を利用するため、キズやごみ、測定ノイズなどの外乱の影響を受けやすいといった問題があり、必ずしも、当該範囲で優れた平滑性を担保できるわけではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明が解決しようとする課題は、液中微粒子計測システムに用いる中空糸脱気モジュールであって、接液面との平滑性と脱気性能に伴に優れる中空糸脱気モジュールを提供することにある。さらに、本発明が解決しようとする課題は、このような中空糸脱気モジュールを用いて、被測定液体から気泡を効率よく取り除きつつ、かつ、接液面での微粒子残留を抑制することによって、誤計測(誤カウント)を抑制することが可能な、液中微粒子計測システムおよびそれを用いた液中微粒子計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、テトラフルオロエチレン及びパーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソールをコモノマーとする共重合体を含んでなる非晶質フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリメチルペンテンを素材とするチューブを用いた中空糸脱気モジュールが上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、〔1〕液中微粒子計、及び、微粒子の計測を行う液の供給元と該液中微粒子計の液導入口との間の流路に接続された少なくとも一つの中空糸脱気モジュール、を有する液中微粒子計測システムであって、
前記中空糸脱気モジュールは、
密閉容器と、
前記密閉容器内に配置され、1本のチューブまたは2本以上のチューブを結束して構成されるチューブユニットと、
前記密閉容器の液導入口に該密閉容器の内外を貫通して配置され、且つ、前記密閉容器と係合する第一コネクタ部と、
前記密閉容器の液排出口に該密閉容器の内外を貫通して配置され、且つ、前記密閉容器と係合する第二コネクタ部と、
を有し、
前記チューブ又は前記チューブユニットの一端部が、前記第一コネクタ部に気密に接続されており、
前記チューブ又は前記チューブユニットの他端部が、前記第二コネクタ部に気密に接続されており、
前記チューブが、アモルファスフロロポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルペンテンから選択される1種又は複数種で構成される、液中微粒子計測システムに関する。
【0009】
また本発明は、〔2〕前記第一コネクタ部または前記第二コネクタ部が、テトラフルオロエチレン及びパーフルオロ2,2-ジメチル-1,3-ジオキソールをコモノマーとする共重合体を含んでなる非晶質フッ素樹脂、四フッ化エチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂から選択される1種又は複数種で構成される、上記〔1〕に記載の液中微粒子計測システムに関する。
【0010】
また本発明は、〔3〕前記チューブの接液面の表面粗さRaが0.25μm以下であり、かつ、気体透過係数が5×10-6〔cm3・cm/cm2・sec・cmHg〕~1×10-9〔cm3・cm/cm2・sec・cmHg〕の範囲である、上記〔1〕または〔2〕に記載の液中微粒子計測システムに関する。
【0011】
また本発明は、〔4〕前記第一コネクタ部は、第一貫通流路が形成された第一コネクタ部本体と、第一貫通流路の軸線方向に関して第一コネクタ部本体の一端部に設けられ、液の供給元側の流路が接続される第一凹部と、第一コネクタ部本体の他端部に設けられ、チューブユニットの一端部が接続される第二凹部と、第一コネクタ部本体の外周部に設けられた係合部と、を有する、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の液中微粒子計測システムに関する。
【0012】
また本発明は、〔5〕前記第一コネクタ部は、
第一コネクタ部本体と密閉容器との間に配置された第一シール部、
第二凹部内に配置された第二シール部、及び、第一コネクタ部本体の他端部に設けられた切り欠き部と、当該切り欠き部に配置された環状の第三シール部、からなる群から選ばれる少なくとも1つのシール部を有する、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の液中微粒子計測システムに関する。
【0013】
また本発明は、〔6〕前記第二コネクタ部は、第二貫通流路が形成された第二コネクタ部本体と、第二貫通流路の軸線方向に関して第二コネクタ部本体の一端部に設けられ、液中微粒子計の液導入口に接続する流路が接続される第一凹部と、第二コネクタ部本体の他端部に設けられ、チューブユニットの一端部が接続される第二凹部と、第二コネクタ部本体の外周部に設けられた係合部と、を有する、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の液中微粒子計測システムに関する。
【0014】
また本発明は、〔7〕前記第二コネクタ部は、
第二コネクタ部本体と密閉容器との間に配置された第一シール部、
第二凹部内に配置された第二シール部、及び、第二コネクタ部本体の他端部に設けられた切り欠き部と、当該切り欠き部に配置された環状の第三シール部、からなる群から選ばれる少なくとも1つのシール部を有する、上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の液中微粒子計測システムに関する。
【0015】
また本発明は、〔8〕前記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の液中微粒子計測システムを用いて、液中の微粒子を計測することを特徴とする、液中微粒子計測方法に関する。
【0016】
さらに本発明は、〔9〕液中微粒子計測システムに用いる中空糸脱気モジュールであって、
密閉容器と、
前記密閉容器内に配置され、1本のチューブまたは2本以上のチューブを結束して構成されるチューブユニットと、
前記密閉容器の液導入口に該密閉容器の内外を貫通して配置され、且つ、前記密閉容器と係合する第一コネクタ部と、
前記密閉容器の液排出口に該密閉容器の内外を貫通して配置され、且つ、前記密閉容器と係合する第二コネクタ部と、
を有し、
前記チューブ又は前記チューブユニットの一端部が、前記第一コネクタ部に気密に接続されており、
前記チューブ又は前記チューブユニットの他端部が、前記第二コネクタ部に気密に接続されており、
前記チューブが、アモルファスフロロポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルペンテンから選択される1種又は複数種で構成される、中空糸脱気モジュールに関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、液中微粒子計測システムに用いる中空糸脱気モジュールであって、接液面との平滑性と脱気性能に伴に優れる中空糸脱気モジュールを提供することができる。さらに、本発明によれば、このような中空糸脱気モジュールを用いて、被測定液体から気泡を効率よく取り除きつつ、かつ、接液面での微粒子残留を抑制することによって、誤計測(誤カウント)を抑制することが可能な、液中微粒子計測システムおよびそれを用いた液中微粒子計測方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の液中微粒子計測システムの一例を示す概念図である。
【
図2】
図2は、本発明の中空糸脱気モジュールの一例を示す概略断面図である。
【
図3】
図3(a)は、
図2の第一コネクタ部の構成を示す拡大断面図であり、
図3(b)は、
図2の第二コネクタ部の構成を示す拡大断面図である。
【
図4】
図4は、本発明で用いるチューブユニットの一例を示す概略斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、
図3(a)の第一コネクタ部の変形例を示す概略断面図であり、
図5(b)は、部分拡大断面図である。
【
図6】
図6(a)は、
図3(b)の第二コネクタ部の変形例を示す概略断面図であり、
図6(b)は、部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の液中微粒子計測システムの一例を示す概念図である。本発明の液中微粒子計測システム1は、液中微粒子計2、及び、微粒子の計測を行う液の供給元3と該液中微粒子計の液導入口との間の流路(4a、4b)に接続された少なくとも一つの中空糸脱気モジュール5を有する。
【0020】
本発明で用いる液中微粒子計は、公知のものでよく、例えば、液に光を照射し、その光エネルギーの散乱や減少を検出することにより液中に含まれる微粒子の数をカウントする方式(光散乱方式)のものが挙げられる。
【0021】
本発明で用いる中空糸脱気モジュール5は、微粒子の計測を行う液の供給元3と該液中微粒子計2の液導入口との間の流路に接続される。また、中空糸脱気モジュール5には、微粒子の計測を行う液を脱気できるよう、脱気用の配管6aを介して吸引ポンプ6が接続されている。
【0022】
図2は、中空糸脱気モジュールの一例を示す概略断面図である。
図2に示すように、中空糸脱気モジュール5は、密閉容器9と、密閉容器9内に配置され、複数のチューブ7を結束して構成されるチューブユニット8と、密閉容器9の液導入口9cに密閉容器9の内外を貫通して配置され、且つ、密閉容器9と係合する第一コネクタ部13と、密閉容器9の液排出口9dに密閉容器9の内外を貫通して配置され、且つ、密閉容器9と係合する第二コネクタ部14と、を有している。中空糸脱気モジュール5は、複数のチューブ7により、密閉容器9内が、複数のチューブ7のそれぞれの内部空間(第一領域)と、複数のチューブ7の外側の空間(第二領域)と、に分けられている。第一領域は、液体が供給される領域であり、第二領域は吸気される領域である。そして、中空糸脱気モジュール5は、複数のチューブ7のそれぞれの内部空間(第一領域)に液体が供給されるとともに、複数のチューブ7の外側の空間(第二領域)から吸気されることで、液体を脱気する構造を有する。
【0023】
また、複数のチューブ7が両端部において結束されたチューブユニット8の断面は、各チューブが細密充填構造(ハチの巣状)を採用するものであることが好ましい。さらに、チューブユニット8の断面は、六角形をしていることがより好ましい。なお、チューブユニットの断面が六角形をしているとは、外側に配置された複数のチューブの中心を線で結んだ際(想像線)に、六角形をしていることを指す。従って、断面が六角形の場合のチューブ総数は、1/4×{3(2n+1)2+1}本で表される数であってよい。但し、式中、nは自然数であって、下限は1であり、上限は規定されないが、好ましくは6である。
【0024】
なお、上記実施形態では、チューブユニットを構成するチューブの数が複数本であるものとして説明したが、チューブユニットを構成するチューブの数は1本としてもよい。
【0025】
チューブ7は、気体を透過するが液体を透過しないチューブ状の膜である。本発明において使用するチューブ7の素材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEとも称する)、アモルファスフロロポリマー、ポリメチルペンテン(以下、PMPとも称する)から選択される1種又は複数種が挙げられる。アモルファスフロロポリマー(以下、「テフロン(登録商標)AF」とも称する)は、より詳しくは、テトラフルオロエチレン及びパーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソールをコモノマーとする共重合体を含んでなる非晶質フッ素樹脂であってよい。これらは樹脂本来の平滑さを保ち、かつ気泡や気体の透過も良好であるため、有効長をより短くできる。このため、チューブ内での微粒子の滞留を抑制することができ、高精度の測定が可能となる。
【0026】
さらに、チューブがアモルファスフロロポリマーを素材とする場合、チューブ内径は0.015mm以上、1.0mm以下の範囲であることが好ましい。また、チューブ有効長は0.01m以上、1.5m以下の範囲であることが好ましい。更に、チューブユニットを構成するチューブの数が1本で、チューブ内径が0.8mm以上、1.0mm以下の範囲がより好ましく、また、チューブユニットを構成するチューブの数が2本以上、30本以下の範囲で、チューブ内径が0.045±0.03mm以上、0.68±0.03mm以下の範囲がより好ましい。
【0027】
また、チューブがPTFEを素材とする場合、チューブユニットを構成するチューブの数が10本以上、20本以下の範囲で、チューブ内径が0.4mm以上、0.6mm以下の範囲で、有効長1m以上、2m以下の範囲であることが好ましい。また、チューブがPMPを素材とする場合、チューブユニットを構成するチューブの数が1本で、チューブ内径が0.1mm以上、0.2mm以下の範囲で、有効長0.01m以上、1.5m以下の範囲であることが好ましい。
【0028】
本発明に用いるチューブの被測定液体との接触面、すなわちチューブの接液面の算術平均粗さRaは、0.25μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましく、0.07μm以下であることが更に好ましく、0.02μm以下であることが特に好ましい。本発明に用いるチューブは、上記素材を用いることで、このような優れた平滑性を有するため、外乱の影響等による誤計測(誤カウント)を抑制でき、好ましい。なお、算術平均粗さRaは、ISO4287:1997に準拠し、基準長さを200μmとし、本発明に用いるチューブの被測定液体との接触面を任意に10本を選択して測定した値の数平均値とする。
また、本発明に用いるチューブの気体透過係数は、5×10-6〔cm3・cm/cm2・sec・cmHg〕以上、1×10-9〔cm3・cm/cm2・sec・cmHg〕以下の範囲であるのが好ましい。
【0029】
チューブユニット8は、複数のチューブ7の両端部が結束されて構成されていてもよい。つまり、チューブユニット8は、複数のチューブ7と、複数のチューブ7の一方側の端部及び他方側の端部をそれぞれ結束する一対の結束部10a、10bと、を備えていてもよい。なお、一対の結束部10a、10bは、密閉容器9に取り付けられる部位であってもよい。
【0030】
結束部10a、10bは、それぞれ、複数のチューブ7のそれぞれの端部に外嵌された外筒11a、11bと、複数のチューブ7のそれぞれの端部と外筒11a、11bとの間に充填された封止部12a、12bと、を備える構成であってよい。
【0031】
外筒11a、11bは、略円筒状に形成されて、結束部10a、10bの最外層を成す。外筒11a、11bは、密閉容器9に取り付けられる部位である。外筒11a、11bの素材としては、例えば、PTFE、アモルファスフロロポリマー、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、PFAとも称する)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、FEPとも称する)、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(以下、ETFEとも称する)、ポリクロロトリフルオロエチレン(以下、PCTFEとも称する)、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFとも称する)等のフッ素樹脂、PMP、ポリプロピレン(以下、PPとも称する)等のオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。外筒11a、11bは、チューブ7の素材と同じものを採用することが好ましい。
【0032】
封止部12a、12bは、複数のチューブ7の端部と外筒11a、11bとの間に充填されて、複数のチューブ7の端部を結束するとともに複数のチューブ7の端部と外筒11a、11bとの間を封止する。つまり、封止部12a、12bは、複数のチューブ7のそれぞれの内部空間には充填されておらず、複数のチューブ7の間と、複数のチューブ7と外筒11a、11bとの間と、に充填されている(
図4参照)。このため、封止部12a、12bの端面からは、複数のチューブ7のそれぞれの内部空間のみが開放されている。封止部12a、12bの素材としては、外筒11a、11bで例示したいものと同様のものを用いることができる。例えば、PTFE、アモルファスフロロポリマー、PMP、PFA、FEP、ETFE、ポリクロロトリフルオロエチレン(以下、PCTFEとも称する)、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFとも称する)等のフッ素樹脂、ポリプロピレン(以下、PPとも称する)、シリコーン、ポリイミド、ポリアミドなどが挙げられる。チューブ7の素材と同じものを採用することが好ましい。
【0033】
本実施形態では、チューブユニット8(又はチューブ7)は、その一端部8aが密閉容器9の液導入口9cに配置された第一コネクタ部13に気密に接続され、チューブユニット8(又はチューブ7)の他端部8bが、前記密閉容器9の液排出口9dに配置された第二コネクタ部14に気密に接続される。このような構造とすることで、密閉容器9と第一コネクタ部13、第二コネクタ部14との間の気密性を維持することができると共に、チューブユニット8(又はチューブ7)と第一コネクタ部13、第二コネクタ部14との間の高い気密性を長期間維持することができる。また、供給元と該液中微粒子計の液導入口との間の流路が密閉容器に直接接続されている構成と比較した場合、優れた気密性を実現することでき、加えて、第一、第二コネクタ部の設計の自由度が高く、更なる気密性の向上を容易に実現することができる。
【0034】
以下、
図2に基づき、密閉容器9の一実施形態について説明する。密閉容器9は、容器本体9aと、蓋部9bとを備える。
容器本体9aは、チューブユニット8が収容される部位である。容器本体9aは、一方の端面に開口を有する円筒状の容器である。蓋部9bは、容器本体9aに気密に接合されて容器本体9aの開口を塞ぐ蓋である。容器本体9aに対する蓋部9bの接合は、例えば、溶着、螺合、嵌合等により行うことができる。なお、製造上の問題が無ければ、密閉容器9は、容器本体9aと蓋部9bとに分けられておらず、一体的に形成されていてもよい。
【0035】
本実施形態では、蓋部9bには、第一コネクタ部13及び第二コネクタ部14が気密に接合されている。第一コネクタ部13には、蓋部9b(密閉容器9)の内外を貫通する第一貫通流路15が形成されており、第二コネクタ部14には、蓋部9b(密閉容器9)の内外を貫通する第二貫通流路16が形成されている。蓋部9bに対する第一コネクタ部13及び第二コネクタ部14の接合は、例えば、溶着、螺合、嵌合等により行うことができる。
【0036】
第一コネクタ部13は、
図3(a)に示すように、第一貫通流路15が形成された第一コネクタ部本体131と、第一貫通流路15の軸線方向に関して第一コネクタ部本体131の一端部131aに設けられ、液の供給元3側の流路4aが接続される第一凹部132と、第一コネクタ部本体131の他端部131bに設けられ、チューブユニット8の一端部8aが接続される第二凹部133と、第一コネクタ部本体131の外周部に設けられた係合部134と、を有している。
また、第二コネクタ部14は、
図3(b)に示すように、第二貫通流路16が形成された第二コネクタ部本体141と、第二貫通流路16の軸線方向に関して第二コネクタ部本体141の一端部141aに設けられ、液中微粒子計2の液導入口側の流路4bが接続される第三凹部142と、第二コネクタ部本体141の他端部141bに設けられ、チューブユニット8の他端部8bが接続される第四凹部143と、第二コネクタ部本体141の外周部に設けられた係合部144とを有している。
【0037】
第一コネクタ部13の第一凹部132には流路4aが挿入されており、これらが接合されることにより、流路4aと第一貫通流路15とが連通される。この構造により、芯ズレを防ぐことができ、流路閉塞や圧力損失増加を防ぐことができる。また、第一コネクタ部13の第二凹部133には、チューブユニット8の一端部8aが結束部10aと共に挿入されており、第一コネクタ部本体131とチューブユニット8の一方の結束部10aとが気密に接合されることにより、第一コネクタ部13とチューブユニット8とが気密に接続される。この構造により、芯ズレを防ぐことができ、流路閉塞や圧力損失増加を防ぐことができる。またこれにより、複数のチューブ7のそれぞれの内部空間と流路4aとが第一貫通流路15を介して連通される。係合部134は、例えば、チューブユニット8の一方の結束部10aと密閉容器9との間に配置された段付き部である。この段付き部は、例えば円筒状を有する第一コネクタ部本体131の軸線方向一端側の拡径部と、他端側の縮径部との間に形成されていてもよい。第一コネクタ部13の上記構成により、第一コネクタ部13と密閉容器9との間の気密性をより向上することができる。流路4aに対する第一コネクタ部13の接合は、例えば、溶着、螺合、嵌合等により行うことができる。また、チューブユニット8の一方の結束部10aに対する第一コネクタ部13の接合は、例えば、溶着、螺合、嵌合等により行うことができる。
【0038】
第二コネクタ部14の第三凹部142には流路4bが挿入されており、これらが接合されることにより、流路4bと第二貫通流路16とが連通される。この構造により、芯ズレを防ぐことができ、流路閉塞や圧力損失増加を防ぐことができる。また、第二コネクタ部14の第四凹部143には、チューブユニット8の他端部8bが結束部10bと共に挿入されており、第二コネクタ部本体141とチューブユニット8の他方の結束部10bとが気密に接合されることにより、第二コネクタ部14とチューブユニット8とが気密に接続される。この構造により、芯ズレを防ぐことができ、流路閉塞や圧力損失増加を防ぐことができる。またこれにより、複数のチューブ7のそれぞれの内部空間と流路4bとが第二貫通流路16を介して連通される。係合部144は、例えば、チューブユニット8の他方の結束部10bと密閉容器9との間に配置された段付き部である。この段付き部は、例えば円筒状を有する第二コネクタ部本体141の軸線方向一端側の縮径部と、他端側の拡径部との間に形成されていてもよい。第二コネクタ部14の上記構成により、第二コネクタ部14と密閉容器9との間の気密性をより向上することができる。流路4bに対する第二コネクタ部14の接合は、例えば、溶着、螺合、嵌合等により行うことができる。また、チューブユニット8の他方の結束部10bに対する第二コネクタ部14の接合は、例えば、溶着、螺合、嵌合等により行うことができる。
【0039】
第一コネクタ部13は、テトラフルオロエチレン及びパーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソールをコモノマーとする共重合体を含んでなる非晶質フッ素樹脂、四フッ化エチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂から選択される1種又は複数種で構成されるのが好ましい。同様に、第二コネクタ部14は、テトラフルオロエチレン及びパーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソールをコモノマーとする共重合体を含んでなる非晶質フッ素樹脂、四フッ化エチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂から選択される1種又は複数種で構成されるのが好ましい。
第一コネクタ部13、第二コネクタ部14は、チューブ7の素材と同じものを採用することが好ましく、さらに、結束部10a、10bを構成する外筒11a、11b、及び/又は、封止部12a、12bの素材も同じものとすることがより好ましい。前記各部の素材を同じものとすることで線膨張係数を揃えることで密着性、気密性が向上するだけでなく、さらに、該第二凹部133に、該結束部10aが挿入される構造、または、第二凹部143に、該結束部10bが挿入される構造であることと相まって、例えば、気温変化や圧力変化により素材に膨張や収縮などの変形が生じても互いに追従して接合面に隙間が生じることを防ぎ、それにより気泡が滞留することを防ぐなど、外乱の影響等による誤計測(誤カウント)を抑制できるため好ましい。
【0040】
容器本体9aには、吸気口20が形成されていてよい。吸気口20は、密閉容器9内における複数のチューブ7の外側の空間から吸気するために、容器本体9aに形成された開口である。吸気口20には、密閉容器9内における複数のチューブ7の外側の空間と連通される配管6aが接合されていてよい。このため、配管6aに吸引ポンプ6を接続し、吸引ポンプ6により吸気口20から吸気することで、密閉容器9内における複数のチューブ7の外側の空間を減圧できる。吸気口20に対する配管6aの接合は、例えば、溶着、螺合、嵌合等により行うことができる。
【0041】
このように構成される中空糸脱気モジュール5を用いて液体を脱気する場合は、配管6aに接続された吸引ポンプ6により密閉容器9内における複数のチューブ7の外側の空間を吸気しながら、流路4aに液体を供給するとともに、流路4bから液体を排出する。すると、流路4aに供給された液体は、第一コネクタ部13を介して複数のチューブ7のそれぞれの内部空間に供給される。このとき、密閉容器9内における複数のチューブ7の外側の空間は減圧された状態となっているため、液体が複数のチューブ7のそれぞれの内部空間を通過する際に、液体の溶存気体及び気泡が、複数のチューブ7のそれぞれを透過して、密閉容器9内における複数のチューブ7の外側の空間に引き込まれる。これにより、液体の脱気が行われる。そして、脱気された液体は、第二コネクタ部14を介して流路4bに排出される。
【0042】
流路4a、4bはチューブであってよい。流路4a、4bは、テトラフルオロエチレン及びパーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソールをコモノマーとする共重合体を含んでなる非晶質フッ素樹脂、四フッ化エチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂から選択される1種又は複数種で構成されるのが好ましい。流路4a、4bはチューブ7の素材と同じものを採用することが好ましい。素材を同じにすることで線膨張係数を揃えることができ、さらに、該第一凹部132に該流路4aが、また、第三凹部142に該流路4bが、挿入される構造であることから、例えば、気温変化や圧力変化といった素材に膨張や収縮などの変形が生じても、互いに追従して接合面に隙間が生じることを防ぎ、それにより気泡が滞留することを防ぐなど、外乱の影響等による誤計測(誤カウント)を抑制できるため好ましい。
【0043】
また、複数のチューブ7のそれぞれの端部が互いに離間している場合、複数のチューブ7のそれぞれの端部が封止部12a、12bで覆われた状態となる。これにより、複数のチューブ7のそれぞれの端部の界面から流体が漏れ出すのを抑制することができる。
【0044】
そして、本実施形態に係る中空糸脱気モジュール5では、吸気口20から吸気しながら液導入口9cの第一貫通流路15に液体を供給するとともに液排出口9dの第二貫通流路16から液体を排出することで、第一貫通流路15に供給された液体は、複数のチューブ7を通過する際に脱気されて、第二貫通流路16から排出される。そして、上記のチューブユニット8を備えるため、複数のチューブ7の結束強度が向上する。これにより、中空糸脱気モジュール5の耐久性を向上できるとともに、第一貫通流路15に供給された液体が複数のチューブ7の外側の空間に漏れ出すのを抑制できる。
【0045】
本発明の液中微粒子計測システムの動作を
図1に基づき説明する。
液中微粒子計測システム1には、微粒子の計測を行う液(被測定液体)が、その供給元3から供給されるように構成されている。このような構成とすることにより、供給元3から液中微粒子計測システム1に、被測定液体が供給される。
【0046】
被測定液体としては、特に限定されないが、例えば、有機溶媒や、イオン交換水、純水、超純水等の水や、これらの水に酸、アルカリ、オゾン、界面活性剤、有機溶剤等を溶解させた機能性を付与した液体、超臨界水(圧力22.1MPa以上、かつ温度374℃以上のもの。二酸化炭素を加えて、表面張力を極限まで低くした純水や、それを薬品とセットで用いてもよい)等が挙げられる。例えば、液晶パネルの製造装置の洗浄用に供給される液体や、シリコンウェハなどの半導体ウェハ製造装置の洗浄用もしくは加工切断用に供給される液体、好ましくは超純水であってよい。
【0047】
前記供給元3の上流側の構成は被測定液体の供給源である限り特に限定されないが、液の流れる配管から分岐させて、液の一部に対して微粒子の計測を行えるよう接続されていたり、貯留部に接続されていたり、また、高圧洗浄機等の加圧装置に接続されていてもよく、例えば、3MPa以上、20MPa以下といった高圧化された液体(高圧液体)が供給されるようになっていてもよい。
【0048】
本発明の液中微粒子計測システム1は、供給元3から被測定液体の流路4aを介して、中空糸脱気モジュール5の第一コネクタ部13と接続するよう構成されている。このような構成とすることにより、供給元3から供給された被測定液体が、流路4aを流れて、第一コネクタ部13から中空糸脱気モジュール5内に供給される。
【0049】
中空糸脱気モジュールの密閉容器9には、脱気用の配管を介して真空ポンプ等の減圧ポンプが接続されるよう構成されている。これにより、減圧ポンプを駆動して、密閉容器9内(第二領域)から気体を密閉容器9外に送り出すことにより内圧を低下させて、チューブ7の接液面(第一領域)から被測定液体中の気泡や被測定液体中に溶存する気体が脱気される。
【0050】
本発明の液中微粒子計測システム1は、中空糸脱気モジュール5の第二コネクタ部14から被測定液体の流路4bを介して、液中微粒子計2と接続するように構成されている。液中微粒子計2は、液中微粒子計2の液供給口から供給された被測定液体に光を照射し、その光エネルギーの散乱や減少を検出することにより液中に含まれる微粒子の数をカウントするように構成されており、供給された被測定液体に含まれる微粒子の数を計測して表示部に表示するようになっている。これにより中空糸脱気モジュール5で脱気された被測定液体は、第二コネクタ部14から流路4bを介して、液中微粒子計2に送出されて、被測定液体に含まれる微粒子の数が計測される。本発明に用いる液中微粒子計2の定格流量は特に限定されないが、11mL/min以下であることが好ましく、さらに、10.5mL/min以下であることがより好ましく、そして、9.5mL/min以上であることが好ましい。
【0051】
液中微粒子計2は、その液排出口から流路4cを介して、システム系外に被測定液体が送り出されるように構成されている。液中微粒子計2の液排出口から排出された被測定液体は、流路4cの途中に接続された送液ポンプにより、システムの下流側から吸引することによって、システム内を被測定液体が流れるように構成されていてもよい。送液ポンプに替えて、または送液ポンプと伴に、該液排出口の下流側に、さらに流路4cを介して、流量調整装置や圧力調整装置を接続して、流量や圧力を調整することもできる。液排出口から排出された被測定液体は、再び供給元の下流側に接続することもできるが、ドレインに廃棄されるようになっていてもよい。
【0052】
本発明の液中微粒子計測システム1は、例えば、液晶パネルの製造装置の洗浄用に供給される液体や、シリコンウェハなどの半導体ウェハ製造装置の洗浄用もしくは加工切断用に供給される液体、好ましくは超純水の中に含まれるパーティクルの数を計測する場合に用いることができる。
【0053】
図5(a)は、
図3(a)の第一コネクタ部13の変形例を示す概略断面図であり、
図5(b)は、部分拡大断面図である。
図5(a)及び
図5(b)に示すように、第一コネクタ部23は、第一貫通流路15が形成された第一コネクタ部本体231と、第一貫通流路15の軸線方向に関して第一コネクタ部本体231の一端部231aに設けられ、液の供給元3側の流路4aが接続される第一凹部232と、第一コネクタ部本体231の他端部231bに設けられ、チューブユニット8の一端部8aが接続される第二凹部233と、第一コネクタ部本体231の外周部に設けられた係合部234と、を有している。
【0054】
第一コネクタ部23は、第一コネクタ部本体231と密閉容器9との間に配置されたOリングなどの第一シール部235を有していてもよい。第一シール部235がOリングで構成される場合、Oリングは第一コネクタ部本体231に形成された環状の溝部等に配置されるのが好ましい。第一シール部235の配置位置は、特に制限されないが、例えば蓋部9bの上方に設けることができる。これにより、第一コネクタ部23と密閉容器9との間の気密性を更に向上することができる。Oリングの素材としては公知のものであればよく、例えば、ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、水素化ニトリルゴムなどのゴム、フッ素樹脂などが挙げられる。
【0055】
また、第一コネクタ部23は、第二凹部233内に配置された第二シール部236を有していてもよい。第二シール部236は、例えばフェラルで構成することができる。この場合、例えば、第二凹部233に雌ネジ部、結束部10aを構成する外筒11aに雄ネジ部がそれぞれ設けられ、第二凹部233と外筒11aとで形成される螺合構造を有しているのが好ましい。上記フェラル及び螺合構造により、強固な接合が実現されると共に、第二シール部236の変形によって高い気密性が得られる。
更に、第一コネクタ部23は、第一コネクタ部本体231の他端部231bに設けられた切り欠き部237と、当該切り欠き部237に配置された環状の第三シール部238とを有していてもよい。切り欠き部237の形態は、特に制限されないが、例えばC面取りであり、環状に形成されるのが好ましい。第三シール部238は、特に制限されず、接着剤などのエポキシ系樹脂や、PFAなどのフッ素樹脂をはじめとする樹脂材料で構成されてもよく、或いは、溶接金属などの金属で構成されてもよい。
上記のような構成により、第一コネクタ部23とチューブユニット8との間の接合性、気密性を更に向上することができる。
【0056】
また、第一コネクタ部23が、上記第一シール部、第二シール部、第三シール部のうちの一又は複数を有していてもよい。これにより、第一コネクタ部23と密閉容器9との間の接合性、気密性、及び、第一コネクタ部とチューブユニット8との間の接合性、気密性を更に向上することができる。
【0057】
図6(a)は、
図3(b)の第二コネクタ部14の変形例を示す概略断面図であり、
図6(b)は、部分拡大断面図である。
図6(a)及び
図6(b)に示すように、第二コネクタ部24は、第二貫通流路16が形成された第二コネクタ部本体241と、第二貫通流路16の軸線方向に関して第二コネクタ部本体241の一端部21aに設けられ、液中微粒子計の液導入口に接続する流路4bが接続される第一凹部242と、第二コネクタ部本体241の他端部241bに設けられ、チューブユニット8の一端部8bが接続される第二凹部243と、第二コネクタ部本体241の外周部に設けられた係合部244と、を有している。
【0058】
第二コネクタ部24は、第二コネクタ部本体241と密閉容器9との間に配置されたOリングなどの第一シール部245を有していてもよい。第一シール部245がOリングで構成される場合、Oリングは第二コネクタ部本体241に形成された環状の溝部等に配置されるのが好ましい。第一シール部245の配置位置は、特に制限されないが、例えば蓋部9bの上方に設けることができる。これにより、第二コネクタ部24と密閉容器9との間の気密性を更に向上することができる。
【0059】
また、第二コネクタ部24は、第二凹部243内に配置された第二シール部246を有していてもよい。第二シール部246は、例えばフェラルで構成することができる。この場合、例えば、第二凹部243に雌ネジ部、結束部10bを構成する外筒11bに雄ネジ部がそれぞれ設けられ、第二凹部243と外筒11bとで形成される螺合構造を有しているのが好ましい。上記フェラル及び螺合構造により、強固な接合が実現されると共に、第二シール部246の変形によって高い気密性が得られる。
更に、第二コネクタ部24は、第二コネクタ部本体241の他端部241bに設けられた切り欠き部247と、切り欠き部247に配置された環状の第三シール部248とを有していてもよい。切り欠き部247の形態は、特に制限されないが、例えばC面取りであり、環状に形成されるのが好ましい。第三シール部248は、特に制限されず、接着剤などのエポキシ系樹脂や、PFAなどのフッ素樹脂をはじめとする樹脂材料で構成されてもよく、或いは、溶接金属などの金属で構成されてもよい。
上記のような構成により、第二コネクタ部24とチューブユニット8との間の接合性、気密性を更に向上することができる。
【0060】
また、第一コネクタ部23と同様に、第二コネクタ部24が、上記第一シール部、第二シール部、第三シール部のうちの一又は複数を有していてもよい。これにより、第二コネクタ部と密閉容器9との間の接合性、気密性、及び、第二コネクタ部とチューブユニット8との間の接合性、気密性を更に向上することができる。
【符号の説明】
【0061】
1・・・液中微粒子計測システム
2・・・液中微粒子計(パーティクルカウンター)
3・・・液体(被測定液体)の供給元
4a、4b、4c・・・流路
5・・・中空糸脱気モジュール
6・・・吸引ポンプ
6a・・・脱気用の配管
7・・・チューブ
8・・・チューブユニット
9・・・密閉容器
9a・・・容器本体
9b・・・蓋部
9c・・・液導入口
9d・・・液排出口
10a、10b・・・結束部
11a、11b・・・外筒
12a、12b・・・封止部
13、23・・・第一コネクタ部
14・・・第二コネクタ部
15・・・第一貫通流路
16・・・第二貫通流路
20・・・吸気口
131・・・第一コネクタ部本体
131a・・・一端部
131b・・・他端部
132・・・第一凹部
133・・・第二凹部
134・・・係合部
141・・・第二コネクタ部本体
141a・・・一端部
141b・・・他端部
142・・・第三凹部
143・・・第四凹部
144・・・係合部
231・・・第一コネクタ部本体
231a・・・一端部
231b・・・他端部
232・・・第一凹部
233・・・第二凹部
234・・・係合部
235・・・第一シール部
236・・・第二シール部
237・・・切り欠き部
238・・・第三シール部
241・・・第二コネクタ部本体
241a・・・一端部
241b・・・他端部
242・・・第一凹部
243・・・第二凹部
244・・・係合部
245・・・第一シール部
246・・・第二シール部
247・・・切り欠き部
248・・・第三シール部