(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】基材表面内に形成された凹部を充填するための周期的堆積方法および装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20240625BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240625BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20240625BHJP
C23C 16/50 20060101ALI20240625BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/31 C
C23C16/455
C23C16/50
C23C16/42
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020023281
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2023-01-31
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ゼチェン・リュウ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヤミ・ポレ
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-533218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0203197(US,A1)
【文献】特開2018-186178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/312-21/32
H01L 21/365
H01L 21/469-21/475
H01L 21/86
C23C 16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面内に形成された凹部を充填する方法であって、
前記基材を反応チャンバに提供するステップと、
第一の圧力で前記基材に第一のパルス時間で第一の反応物質を導入して、第一の活性種を形成するステップであって、前記第一の活性種は前記凹部の表面の第一の部分を修飾する、ステップと、
前記基材に第二のパルス時間で第二の反応物質を導入するステップであって、前記第二の反応物質は、前記凹部の前記表面の第二の部分と反応して、前記凹部の前記第二の部分上に化学吸着材料を形成する、ステップと、
第二の圧力で前記基材に第三のパルス時間で第三の反応物質を導入して、第二の活性種を形成するステップであって、前記第二の活性種が前記化学吸着材料と反応して堆積材料を形成する、ステップとを含
み、
前記第二の圧力が、前記第一の圧力よりも高い、方法。
【請求項2】
前記第一のパルス時間が、前記第三のパルス時間より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一のパルス時間が、3秒~20秒である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第三のパルス時間が、0.2秒~3秒である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
堆積サイクルは、第一の反応物質を導入するステップ、第二の反応物質を導入するステップ、および第三の反応物質を導入するステップを含み、前記堆積サイクルが繰り返されて前記凹部を充填する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第二の反応物質を導入するステップの後に、前記反応チャンバをパージするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第一の反応物質は窒素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第一の反応物質は、窒素、He、Ne、Ar、Kr、Xe、C
xN
yH
z、NH
3およびN
2H
4のうちの一つまたは複数を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
前記第二の反応物質はシリコンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第二の反応物質が、シランアミン、シロキサンアミンおよびシラザンアミンのうちの一つまたは複数を含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記第三の反応物質が酸素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第三の反応物質が、水、過酸化水素、酸素分子およびオゾンのうちの一つまたは複数を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
第一の反応物質を導入するステップの間に異方性プラズマが形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第三の反応物質を導入するステップの間に等方性プラズマが形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記反応チャンバ内の基材の支持体の温度が450℃未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
電極に印加されて前記第二の活性種を形成する電力が、50W~1kWである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
基材の表面内に形成される凹部を充填する方法であって、前記方法が一つまたは複数の堆積サイクルを含み、各堆積サイクルが、
前記基材に第一のパルス時間で第一の反応物質を導入して、第一の活性種を形成し、前記凹部の表面の第一の部分に異方性プラズマを提供するステップと、
前記基材に第二のパルス時間で第二の反応物質を導入するステップであって、第二の反応物質は、前記表面の第二の部分と反応して、前記第二の部分上に化学吸着材料を形成する、ステップと、
前記基材に第三のパルス時間で第三の反応物質を導入して、第二の活性種を形成し、前記第二の部分に等方性プラズマを提供するステップであって、前記第三の反応物質が前記化学吸着材料と反応して、堆積材料を形成する、ステップと、を含み、
前記基材の支持体の温度が、75℃~450℃であり、
前記第一のパルス時間が、前記第三のパルス時間より大きい、方法。
【請求項18】
半導体処理装置であって、
凹部が形成された表面を含む基材を収容するための一つまたは複数の反応チャンバと、
第一のバルブを介して前記反応チャンバの一つとガス連通している第一の反応物質のための第一の供給源と、
第二のバルブを介して前記反応チャンバの一つとガス連通している第二の反応物質のための第二の供給源と、
第三のバルブを介して前記反応チャンバの一つとガス連通している第三の反応物質のための第三の供給源と、
前記第一のバルブ、前記第二のバルブ、および前記第三のバルブに動作可能に接続されたコントローラであって、
第一の圧力で前記基材に第一のパルス時間で前記第一の反応物質を導入して、前記凹部の表面の第一の部分に異方性プラズマを提供し、
前記基材に第二のパルス時間で前記第二の反応物質を導入し、
第二の圧力で前記基材に第三のパルス時間で前記第三の反応物質を導入して、前記凹部の表面の第二の部分に等方性プラズマを提供することを制御するように構成およびプログラムされたコントローラと、を含み、
前記第一のパルス時間が前記第三のパルス時間より大きい、半導体処理装置。
【請求項19】
前記一つまたは複数の反応チャンバの少なくとも一つが、直接プラズマ原子層堆積反応チャンバを含む、
請求項18に記載の半導体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概ね、電子デバイスを製造するための方法および装置に関する。より具体的には、本開示は、電子デバイスの製造中に基材の表面内に形成される一つまたは複数の凹部を充填するための方法および装置、ならびに方法および/または装置を使用して形成された構造に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)などの電子デバイスの製造中、ギャップ、トレンチ、またはフィン間の領域などの凹部は、基材の表面上に作成されうる。凹部を充填することは、特定の用途に応じてさまざまな形態をとることができる。
【0003】
典型的な凹部充填プロセスは、凹部内のボイド形成を含む欠点にさらされる場合がある。凹部を完全に充填する前に、再充填材料が凹部の上部付近に収縮部を形成する場合、ボイドが形成されうる。このようなボイドは、IC上でのデバイスのデバイス絶縁分離およびICの全体的な構造的完全性を損なう可能性がある。残念なことに、凹部充填中のボイドの形成を防止することは、凹部のサイズを制約する可能性があり、それはデバイスのデバイス充填密度を制限する可能性がある。
【0004】
凹部の深さを減少させることおよび/または凹部の側壁に傾斜をつけることにより、凹部の開口部が凹部の底部よりも上部でより広くなるように、ボイド形成を軽減することができる。凹部の深さを減少させることにおけるトレードオフは、デバイス絶縁分離の有効性を減少させる可能性があり、一方、傾斜をつけた側壁を有する凹部のより大きな上部開口部は、追加のICの面積を使い果たす可能性がある。こうした問題は、デバイス寸法を縮小しようとするときには問題がますます発生する可能性がある。したがって、凹部を充填するための改善された方法および装置が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示のさまざまな実施形態は、基材の表面上のトレンチまたはフィン間の領域などの凹部を充填する方法に関する。本開示のさまざまな実施形態が従来の方法の欠点に対処する方法は、以下により詳細に議論されるが、一般的に、本開示のさまざまな実施形態は、高アスペクト比の凹部を誘電材料などの所望の材料でシームレスに充填するのに適した、改善された方法および装置を提供する。下記により詳細に説明するように、例示的な方法は、凹部の底部領域に対して凹部の上部に材料の堆積を初めに阻害し、凹部のシームレスな充填を促進することができる。さらに、本開示の実施例は、材料の低温堆積を可能にし、これは下層および/または周囲の材料の酸化を軽減させうる。さらに、凹部充填材料の品質を改善するために実施されることがよくある堆積材料の後処理アニーリングなしに、高品質の堆積材料を凹部内に形成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一つの実施形態によると、基材表面内に形成された凹部の充填方法は、反応チャンバに基材を提供するステップと、第一の圧力で基材に第一のパルス時間、第一の活性種を形成するために第一の反応物質を導入するステップであって、第一の活性種は凹部の表面の第一の部分(例、上部)を修飾する、導入するステップと、第二の反応物質を基材に第二のパルス時間導入するステップであって、第二の反応物質は、第二の部分に化学吸着材料を形成するために凹部の表面の第二の部分(例、底部)と反応する、導入するステップと、第二の圧力で基材に第三のパルス時間、第二の活性種を形成するために第三の反応物質を導入するステップであって、第二の活性種は化学吸着材料と反応して堆積材料を形成する、導入するステップと、を含む。例示的態様によれば、第一のパルス時間は、第三のパルス時間よりも大きい。さらなる態様によれば、第二の圧力は第一の圧力よりも高い。さらなる例によれば、異方性プラズマは、第一の反応物質を導入するステップの間に形成されうる。なおさらなる例によれば、等方性プラズマは、第三の反応物質を導入するステップの間に形成されうる。なおさらなる例によれば、基材温度(または基材支持体温度)は、基材および/または凹部表面の任意の酸化を軽減するために、比較的低くてもよい(例えば、450℃未満、約75℃~約450℃、または約250℃~約350℃)。
【0007】
さらなる実施形態によれば、本明細書に記載される方法など、例えば、改善されたまたは少なくとも代替的な凹部充填方法を提供するための半導体処理装置が提供される。本開示の少なくとも一つの実施形態によれば、半導体処理装置は、その中に形成された凹部を有する表面を含む基材を収容するための一つまたは複数の反応チャンバ、第一のバルブを介して反応チャンバの一つとガス連通している第一の反応物質のための第一の供給源、第二のバルブを介して反応チャンバの一つとガス連通している第二の反応物質のための第二の供給源、第三のバルブを介して反応チャンバの一つとガス連通している第三の反応物質のための第三の供給源、および第一、第二、第三のガスバルブと動作可能に接続され、制御するように構成およびプログラムされたコントローラを含み、第一の圧力で基材に第一のパルス時間、第一の反応物質を導入して、例えば凹部の表面の第一の部分に(または凹部の表面に)異方性プラズマを提供し、基材に第二のパルス時間、第二の反応物質を導入し、および第二の圧力で基材に第三のパルス時間、第三の反応物質を導入して、例えば凹部の表面の第二の部分に(または凹部の表面に)等方性プラズマを提供する。例示的態様によれば、第一のパルス時間は、第三のパルス時間よりも大きい。さらなる態様によれば、第二の圧力は第一の圧力よりも高い。なおさらなる例によれば、コントローラまたは別のコントローラは、基材温度(または基材支持体温度)を約75℃~約450℃、または約250℃~約350℃に制御するように構成されうる。一つまたは複数の反応チャンバの少なくとも一つは、直接プラズマ原子層堆積反応チャンバを含みうる。追加的にまたは代替的に、半導体処理装置は、一つまたは複数の反応チャンバのうち少なくとも一つに流体連結された遠隔プラズマユニットを含むことができる。
【0008】
本開示のなおさらなる例示的実施形態によれば、半導体構造は、本明細書に記載の方法および/または装置を使用して形成されうる。
【0009】
先行技術を超えて達成される本発明および利点を要約する目的で、本発明のある特定の目的および利点が本明細書において上記に説明される。当然のことながら、必ずしもこうした目的または利点のすべてが本発明の任意の特定の実施形態によって達成されなくてもよいことが理解されるべきである。それ故に、例えば本明細書に教授または示唆するような一利点または一群の利点を達成または最適化する様態で、本明細書で教授または示唆されうるような他の目的または利点を必ずしも達成することを必要とせずに、本発明が具体化または実行されてもよいことを当業者は認識するであろう。当業者には、これらのおよび他の実施形態は、図面を参照して、以下のある特定の実施形態の詳細な説明から容易に明らかとなり、本発明は、開示されるいかなる特定の実施形態にも限定されない。
【0010】
本開示の例示的な実施形態のより完全な理解は、以下の例示的な図面に関連して考慮される場合、発明を実施するための形態および特許請求の範囲を参照することによって得られることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の少なくとも一つの実施形態による、凹部を充填するための方法を図示する。
【
図2】本開示の少なくとも一つの実施形態による、充填された凹部を図示する。
【
図3】
図3Aは、本開示の少なくとも一つの実施形態による、凹部を充填するために適切なPEALD(プラズマ強化原子層堆積)装置の概略図を図示する。
図3Bは、本開示の少なくとも一つの実施形態による、使用可能なフローパスシステム(FPS)を用いる前駆体供給システムの概略図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
当然のことながら、図内の要素は、単純化および明瞭化のために図示されており、必ずしも実寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの幾つかの寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【0013】
ある特定の実施形態および実施例を以下に開示するが、それらは、本発明が具体的に開示する本発明の実施形態および/または用途、ならびにその明白な変更および均等物を超えて拡大することは、当業者により理解されるであろう。それ故に、開示される本発明の範囲は、以下に説明される特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0014】
本開示の例示的な実施形態は、トレンチ、ビア、および/または基材の表面上のフィン間の領域などの凹部を充填するために使用されうる。特定の例として、例示的な方法は、メモリ回路および/または論理回路などの電子デバイスの製造におけるシャロートレンチアイソレーション(STI)用途に使用できる。
【0015】
凹部を充填する従来的なプラズマ強化化学蒸着など従来的な技術を使用することで、低品質の膜(例えば、比較的高い(例えば、ウェット)エッチング速度)、シーム形成、および/またはボイド形成が生じうる。凹部内で堆積材料内に形成されるシームおよびボイドは、いくつかの点で問題となる可能性がある。例えば、STIに使用される凹部に堆積材料内に形成されたシームおよび/またはボイドは、望ましくない寄生電流をもたらす可能性がある。さらに、ボイドおよびシームは、化学機械研磨およびエッチングなど、その後のプロセス中に問題を生じる場合がある。
【0016】
最近では、プラズマ強化原子層堆積(PEALD)技術が、材料を凹部へとよりコンフォーマルに堆積させるように開発されてきた。しかし、PEALDを使用して凹部を充填する技術、特に0.5%希釈HF溶液で比較的低い(例えば、約4.5nm/分未満)ウェットエッチング速度(例えば、約1.8のウェットエッチング速度比)を示す酸化シリコンなどの高品質な誘電材料で高アスペクト比(例えば、15または30さえも超えるアスペクト比)の凹部をシームレスに充填する技術は、現在まで挑戦的であった。さらに、リエントラント凹部(凹部の底部領域の凹部の直径よりも小さい開口部直径を有する凹部)を充填することは、典型的なPEALD技術を使用しても困難なことが証明されている。
【0017】
本明細書に記載の例示的な方法および装置は、基材の表面上の高アスペクト比の凹部において、誘電材料などの材料を堆積するために使用されうる。以下でより詳細に論じるように、材料は、堆積材料のシームおよび/またはボイド形成を軽減または防止する方法で堆積しうる。さらに、材料のアニーリングなどのさらなる後処理を必要とすることなく、高品質な材料を堆積させるために、方法および装置を使用することができる。
【0018】
本明細書で使用される基材という用語は、形成するのに使用することができる、または上にデバイス、回路、もしくは膜を形成することができる、任意の下地材料または材料を指すことができる。基材は、バルク材料、例えばシリコン(例えば、単結晶シリコン)を含んでもよく、バルク材料の上を覆う一つまたは複数の層を含んでもよい。さらに、基材は、凹部、ラインおよび基材の層の少なくとも一部分の中またはその上に形成されるものなど、さまざまな形態を含みうる。
【0019】
本明細書で使用する用語、原子層堆積(ALD)は、堆積サイクル、典型的には複数の連続堆積サイクルがプロセスチャンバ内で行われる蒸着プロセスを指すことができる。一般的に、各サイクルの間、前駆体は、堆積表面(例えば、以前のALDサイクルから以前に堆積した材料または他の材料を含みうる、基材表面)に化学吸着され、追加の前駆体と容易に反応しない材料の単分子層またはサブ単分子層を形成する(すなわち、自己制御反応)。その後、一部の事例では、化学吸着した前駆体を堆積表面上で所望の材料に変換するのに使用するために、反応物質(例えば、別の前駆体または反応ガス)をその後プロセスチャンバ内に導入することができる。反応物質は、前駆体とさらに反応することができる。さらに、各サイクル中にパージステップを利用して、化学吸着した前駆体の変換後に、過剰な前駆体をプロセスチャンバから除去する、ならびに/または過剰の反応物質および/もしくは反応副生成物をプロセスチャンバから除去することができる。さらに、本明細書で使用される原子層堆積という用語は、関連する用語、例えば、化学蒸着原子層堆積、原子層エピタキシー(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)、ガス供給源MBE、または有機金属MBE、ならびに前駆体、反応性ガス、およびパージ(例えば、不活性キャリア)ガスの交互パルスで実施される場合の化学ビームエピタキシー等、により示されるプロセスを含むことも意味する。反応物質および前駆体という用語は、交換可能に使用することができる。
【0020】
ここで図を参照すると、
図1は本開示の少なくとも一つの実施形態による方法100を示す。方法100は、例えば、構造(例えば、電子デバイスの製造中に形成された構造)の製造中に作成される、ギャップまたは特徴と呼ばれることがある、一つまたは複数の凹部を充填するのに使用することができる。凹部の上部の開口部は、例えば、100または40または20nm未満の幅であってもよく、凹部の深さは40、100、200、500、2000または5000nmより大きくてもよい。凹部のアスペクト比は、例えば、約5:1から約30:1またはさらには約250:1の範囲でありうる。
【0021】
方法100は、ALDプロセスなどの環状堆積プロセスであってもよい。図示した例では、方法100は、反応チャンバ内に基材を提供するステップ(ステップ102)と、第一の反応物質を導入するステップ(ステップ104)と、第二の反応物質を導入するステップ(ステップ106)と、第三の反応物質を導入するステップ(ステップ108)と、を含む。
【0022】
反応チャンバに基材を提供するステップ102は、方法100にしたがって処理するために反応チャンバに基材を提供することを含む。一例として、基材は、シリコンの層、またはシリコンを含み、その中に形成された少なくとも一つの凹部を有する層を含むことができる。
【0023】
ステップ102の間、基材は、例えば、基材ヒーターおよび/または放射のまたは他のヒーターを使用して、後続の処理に対して望ましい温度にすることができる。ステップ102~108の間の温度は、450℃未満であってもよく、または約75℃~約450℃または約250℃~約350℃の範囲であってもよい。ステップ102~108の間の反応チャンバ内の圧力は、約2Torr~約20Torrまたは約3Torr~約9Torrでありうる。下記にさらに詳細に説明するように、ステップ104~108の間の反応チャンバ内の圧力は、変更して(例えば、プラズマ条件を操作するために)、基材の表面内の一つまたは複数の凹部のシームレスな充填を容易にすることができる。しかし、本開示の他の実施例によれば、反応チャンバ内の圧力は、ステップ104~108の間に実質的に一定(例えば、約10パーセント以内)のままでありうる。
【0024】
ステップ104の間に、第一の反応物質が反応チャンバ内に導入される。第一のパルス時間、基材の表面に供給される第一の活性種を形成するために、第一の反応物質を使用することができる。第一の活性種は、凹部の表面の第一の部分を修飾するために使用されうる。例えば、第一の活性種は、凹部の表面の第一の部分(例えば、上部領域)上の他の活性/反応部位を不動態化するために使用できるが、凹部の表面の第二の部分(例えば、底部領域)上の活性部位は、不動態化しないか、より少ない程度に不動態化する。結果として、凹部の表面の第一の部分上の堆積材料のサイクルごとの成長は、凹部の表面の第二の部分上の堆積材料のサイクルごとの成長と比較して、減少させることができる。
【0025】
ステップ104の間の反応チャンバ内の動作圧力は、凹部の表面に異方性プラズマを提供するように望ましく制御されうる。例えば、反応チャンバ内の圧力は、約2~約8または約3~約6Torrであってもよい。異方性プラズマ条件は、凹部の表面の第二の部分と比較して、凹部の表面の第一の部分上の反応部位のより大きな不動態化を可能にする。ステップ104の間のプラズマ電力は、約100W~約1kWまたは約200W~約400Wの範囲でありうる。プラズマは、直接または遠隔プラズマを使用して形成されうる。ステップ104の間のプラズマのパルス時間および/またはプラズマオンの時間は、約3秒~約20秒または約8秒~約15秒の範囲でありうる。
【0026】
本開示の実施例によれば、第一の反応物質は、窒素または窒素を含むガスを含むことができる。さらなる例によれば、第一の反応物質は、窒素、He、Ne、Ar、Kr、Xe、CxNyHz(x、y、およびzが整数である)、NH3およびN2H4のうちの一つまたは複数を含みうる。
【0027】
ステップ104は、パージサブステップを含みうる。パージサブステップの間、例えば、パージガスのパルス注入および/または排気系により生成された真空により、反応スペース/基材表面から過剰な反応物質および反応副生成物がある場合には、それらを除去してもよい。パージガスは、任意の不活性ガス、例えば、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、および/またはヘリウム(He)などでありうるが、これらに限定されない。一つの段階は、パージ(すなわち、パージガスパルス)または他の反応物質除去ステップが介在する場合、一般に別の段階の直後に続くと考えられる。パージサブステップの間のパージガスの流量は、約500sccm~約4500sccm、または約2000sccm~約4000sccmの範囲でありうる。パージサブステップの間のガスフローの時間は、約0.1秒~約2秒または約0.2秒~約1秒の範囲でありうる。
【0028】
ステップ106の間に、第二の反応物質が反応チャンバ内に導入される。第二の反応物質は、凹部の表面の第二の部分と反応して、凹部の表面の第二の部分上に化学吸着材料を形成することができる。上述のように、ステップ104を使用して、凹部の表面の第一の部分上での第二の反応物質の化学吸着を抑制することができる。
【0029】
ステップ106の間の反応チャンバ内の圧力は、ステップ102、104、および108のいずれかの間の反応チャンバ内の圧力と同じであってもよく、またはそれと類似していてもよい。一例として、ステップ106の間の反応チャンバ内の圧力は、約2Torr~約20Torrまたは約3Torr~約10Torrであってもよい。ステップ106のパルス時間は、約0.1秒~約5秒または約0.5秒~約4秒の範囲でありうる。
【0030】
第二の反応物質は、例えば、シリコンを含みうる。一例として、第二の反応物質は、シランアミン、シロキサンアミンおよびシラザンアミンのうちの一つまたは複数を含みうる。特定の例として、第二の反応物質は、例えばALOHA(登録商標)SAM.24の名称でAir Liquide(フランス国パリ)により販売されている、N,N,N’,N’‐テトラエチルシランジアミンなどのシランジアミンであるか、またはこれを含みうる。
【0031】
ステップ104と同様に、ステップ106はパージサブステップを含むことができる。パージ下サブステップ中、過剰な反応物質および反応副生成物があれば、例えば上述のように、基材表面から除去することができる。ステップ106下でのパージサブステップは、ステップ108の間に第三の反応物質の導入とともに生じうる、任意の不必要なCVD反応を軽減するのに特に望ましい場合がある。パージサブステップの間のパージガスの流量は、約500sccm~約4500sccm、または約2000sccm~約4000sccmの範囲でありうる。パージサブステップの間のガスフローの時間は、約0.5秒~約5秒または約1秒~約3秒の範囲でありうる。
【0032】
ステップ108の間に、第三の反応物質が反応チャンバ内に導入される。このステップ中、第二の圧力で基材への第三のパルス時間で第二の活性種を生成することができる。第二の活性種は、化学吸着材料と反応して堆積材料を形成することができる。第二の活性種は、望ましくは等方性プラズマ条件を使用して形成され、第二の活性種が化学吸着材料と効率的に反応するのを促進しうる。第二の活性種は、例えば、化学吸着材料と反応して、化学吸着材料からリガンドを除去して、それによって堆積材料を形成してもよい。
【0033】
凹部の表面の第二の部分と比較して、凹部の表面の第一の部分上への化学吸着材料の堆積が少ないため、堆積材料は、凹部の表面の第一の部分と比較して、凹部の表面の第二の部分上に優先的に堆積することができる。
【0034】
ステップ108の間の反応チャンバ内の圧力は、ステップ104の間の反応チャンバ内の圧力と同じであってもよく、またはそれより高くてもよい。ステップ108の間の高圧は、等方性プラズマの形成を促進しうる。さらに、高圧では、基材に衝突するエネルギー性陽イオンは、弱化される可能性があり、その結果、そうでなければシーム形成に寄与する可能性があるいかなる電荷蓄積も減少または最小化されうる。膜の品質に関して、ステップ108での高圧は、比較的低品質の膜をもたらしうる。しかし、ステップ104はこれを克服することができ、より高品質の膜をもたらす。方法100が異なる圧力での動作ステップを含む場合、道床圧力コントローラを使用して反応チャンバ内の圧力を制御することが望ましい場合がある。逆に、反応チャンバ内の圧力が同じままである場合(例えば、約10パーセント以内)、スロットルバルブを使用して反応チャンバ内の圧力を制御してもよい。
【0035】
ステップ108の間の反応チャンバ内の動作圧力は、凹部の表面に等方性プラズマを提供するように望ましく制御されうる。例えば、反応チャンバ内の圧力は、約3~約20または約4~約10Torrであってもよい。ステップ108の間のプラズマ電力は、約50W~約1kWまたは約100W~約500Wの範囲でありうる。プラズマは、直接または遠隔プラズマを使用して形成されうる。ステップ108の間のプラズマのパルス時間および/またはプラズマオンの時間は、約0.2秒~約3秒または約0.5秒~約2秒の範囲でありうる。ステップ108のパルス時間は、ステップ104のパルス時間より少ない場合がある。
【0036】
本開示の実施例によれば、第三の反応物質は、オキシダントまたは酸素を含むガスを含むことができる。さらなる例によれば、第三の反応物質は、水、過酸化水素、酸素分子およびオゾンのうちの一つまたは複数を含むことができる。
【0037】
ステップ108は、パージサブステップを含みうる。パージサブステップの間のパージガスの流量は、約500sccm~約4500sccm、または約2000sccm~約4000sccmの範囲でありうる。パージサブステップの間のガスフローの時間は、約0.1秒~約2秒または約0.2秒~約1秒の範囲でありうる。
【0038】
方法100は、ステップ104の後で繰り返されうる反復するステップ106および108を含むループ112を随意に含むことができる。例えば、方法100は、ステップ104、その後ステップ106および108の組み合わせを、二回以上、例えば三回以上繰り返すことを含みうる。
【0039】
図2(a)および2(b)は、例示的な方法(例えば、方法100)にしたがっておよび/または本明細書に記述される装置を使用して形成される構造200を図示する。構造200は、基材202、その中に形成される凹部204、堆積材料206を含む。凹部204が堆積材料206で充填される場合、堆積材料206で目に見えるボイドまたはシームが観察されないように、堆積材料206はボイドレスおよび/またはシームレスであってもよい。一例として、堆積材料206は、酸化シリコン(SiO
x)などの誘電または絶縁材料を含みうる。加えて、堆積材料206、例えば、SiO
xは、例えば、0.5%希釈HF溶液で10、8、6、またはさらに4nm/分未満のウェットエッチング速度を有する、比較的高品質であってもよい。
【0040】
図2(a)に示すように、堆積材料206の最初の堆積は、凹部204の上部領域と比較して凹部204の下部領域または領域208でより多くてもよい。これにより、
図2(b)に示すように、凹部204は底部領域208から実質的に上方に充填され、凹部204をシームレスに充填することができる。
【0041】
図3Aおよび
図3Bは、本開示の例示的実施形態による半導体処理装置30を図示する。半導体処理装置30は、その中に形成された凹部を有する表面を含む基材を収容する一つまたは複数の反応チャンバ3、第一のバルブ31を介して反応チャンバの一つとガス連通する第一の反応物質のための第一の供給源21、第二のバルブ32を介して反応チャンバの一つとガス連通する第二の反応物質のための第二の供給源22、第三のバルブ33を介して反応チャンバの一つとガス連通する第三の反応物質のための第三の供給源25、第四のバルブ34を介して反応チャンバの一つとガス連通する任意の第四の供給源26(例えば、パージまたはキャリアガスのための)、ならびに第一、第二、第三、および任意に第四のガスバルブと動作可能に接続され、制御するよう構成およびプログラムされたコントローラ27を含み、基材に第一のパルス時間、第一の反応物質を導入し、基材に第二のパルス時間、第二の反応物質を導入し、および基材に第三のパルス時間、第三の反応物質を導入する。例示的態様によれば、第一のパルス時間が第三のパルス時間よりも大きくなるように、コントローラは構成される。さらなる態様によれば、異方性プラズマは、第一の反応物質を導入するステップの間に提供される。等方性プラズマは、第三の反応物質を導入するステップの間に、凹部/基材表面に提供されうる。第四のガスは、第一、第二および/または第三の反応物質のいずれかと共に導入することができ、および/または本明細書に記載のパージガスとして使用することができる。図示しないが、半導体処理装置30は、半導体処理装置上で典型的に見られるもののように、追加的な供給源および追加的な構成要素を含みうる。
【0042】
必要に応じて、半導体処理装置30は、基材、第一、第二、および第三の反応物質のうちの一つまたは複数の温度を上昇させることにより反応を活性化するためのヒーターを備える。周期的またはALDプロセスを実施するために特に設計された例示的単一ウェーハ反応器が、ASM International NV(オランダ国アルメレ)からPulsar(登録商標)、Emerald(登録商標)、Dragon(登録商標)およびEagle(登録商標)の商品名で市販されている。ALDプロセスを実施するために特に設計された例示的なバッチALD反応器はまた、ASM International NV からA400(商標)およびA412(商標)の商品名で市販されている。
【0043】
半導体処理装置30は、第一、第二、および/または第三の反応物質のプラズマを生成するように構成され、および配置されるコントローラと動作可能に接続する無線周波数源を備えることができる。プラズマ増強原子層堆積(PEALD)は、ASM International NV(オランダ国アルメレ)から入手可能なEagle(登録商標)XP8 PEALD反応器内で実施することができ、この装置は一つまたは複数の反応物質を活性化するためのプラズマ源を備える。
【0044】
プラズマを用いたプロセスサイクルは、本開示の少なくとも一部の実施形態で使用可能な、望ましくは本明細書に記載のシーケンスを実施するようにプログラムされた制御と併せて、半導体処理装置30を用いて実施されてもよい。
図3Aに図示された装置において、反応チャンバ3の内部11(反応領域)に一対の導電性平板電極4、2を互いに平行に対向させて設け、一方の側に電源20からRFパワー(例えば、13.56MHzまたは27MHz)を印加し、他方の側12を電気的に接地することにより、プラズマが電極間で励起される。
【0045】
下部ステージ2(下部電極)には温度調節器を設けることができ、その上に配置された基材1の温度は、比較的一定の温度に保持されうる。上部電極4はシャワープレートとしても機能することができ、反応物質ガス(および希ガスなどの任意に不活性ガス)ならびに/またはパージガスはそれぞれガスライン41~44を通って、およびシャワープレート4を通って反応チャンバ3に導入されうる。
【0046】
さらに、反応チャンバ3内には、排気ライン7を有する円形ダクト13が設けられており、これを通って反応チャンバ3の内部11内のガスが排気される。さらに、例えば、反応チャンバ3の下方に配置された搬送チャンバ5には、搬送チャンバ5の内部16(移送区域)を介して反応チャンバ3の内部11内にシールガスを導入するためのシールガスライン24が設けられている。反応区域と搬送区域とを分離するための分離プレート14が設けられている(ウェーハを搬送チャンバ5に搬入および搬送チャンバ5から搬出するのに通過するゲートバルブはこの図から省略されている)。搬送チャンバには排気ライン6も設けられている。いくつかの実施形態では、多元素膜の堆積および表面処理(例えば、ステップ104~108)は、同じ反応空間内で行われるため、基材を空気または他の酸素含有雰囲気に曝すことなく全てのステップを連続的に実施することができる。いくつかの実施形態では、例えば、供給源21、22、25、および/または26のうちの一つまたは複数から、ガスを励起させるために遠隔プラズマユニットを使用することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、
図3Aに示す装置において、
図3Bに図示する不活性ガスの流れと前駆体または反応物質ガスの流れとを切り替えるシステムを用いて、反応チャンバの圧力を実質的に変動させることなく前駆体または反応物質ガスをパルス状に導入することができる。
図3Bは、本開示の実施形態によるフローパスシステム(FPS)を用いる前駆体供給システムを図示する(黒いバルブはバルブが閉じていることを示す)。
図3Bの(a)に示すように、前駆体を反応チャンバ(図示せず)に供給する場合、まず、キャリアガス、例えばAr(またはHe)がバルブbおよびcを有するガスラインを通って流れ、そしてボトル(貯留部)20に入る。キャリアガスは、ボトル20内の蒸気圧に応じた量の前駆体ガスを運びながらボトル20から流出し、バルブfおよびeを有するガスラインを通って流れ、そして前駆体と共に反応チャンバに供給される。この場合、バルブaおよびdは閉じられている。キャリアガス(例えば、希ガス)のみを反応チャンバに供給する場合、
図3Bの(b)に示すように、キャリアガスはボトル20を迂回しながらバルブを有するガスラインを通って流れる。この場合、バルブb、c、d、e、およびfは閉じられている。反応物質には、キャリアガスの支援が提供されてもよい。
【0048】
堆積のためのプラズマは、例えば、堆積サイクルを通して連続的に流れるガス中で、in situで生成されてもよい。他の実施形態では、プラズマは遠隔で生成され、反応チャンバに提供されてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、デュアルチャンバ反応器(互いに近接して配置されたウェーハを処理するための二つの区域または区画)を使用することができ、反応物質ガスおよび希ガスなどの不活性ガスを共有ラインを介して供給することができるのに対して、前駆体ガスは非共有ラインを介して供給されうる。
【0050】
装置は、本明細書に記載される堆積プロセスを実施するようにプログラムされた、またはそうでなければ構成された、コントローラ27などの一つまたは複数のコントローラを含むことができる。コントローラは、さまざまな電源、加熱システム、ポンプ、ロボット、およびガスフローコントローラまたは反応器のバルブと通信することができる。
【0051】
本明細書に記載される構成および/または方法は本質的に例示的であり、これらの特定の実施形態または実施例は、数多くの変形が可能であるので、限定的な意味で考えられるべきではないことが理解されるべきである。本明細書に記載される特定のルーチンまたは方法は、任意の数の加工方策のうちの一つまたは複数を表す場合がある。したがって、例示されたさまざまな動作は、例示される逐次で実施されてもよく、他の逐次で実施されてもよく、または場合によっては省略されてもよい。
【0052】
本開示の主題は、本明細書で開示されるさまざまなプロセス、システム、および構成、ならびに他の特徴、機能、動作および/または特性の、全ての新規かつ自明でない組み合わせおよび部分的組み合わせ、ならびにその任意のおよび全ての均等物を含む。