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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】チャックテーブル
(51)【国際特許分類】
   B24B 41/06 20120101AFI20240625BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240625BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240625BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B24B41/06 L
H01L21/304 622H
H01L21/68 P
B24B7/04 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020067449
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021160067
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 徹雄
(72)【発明者】
【氏名】山下 真司
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-092412(JP,A)
【文献】特開2011-040637(JP,A)
【文献】特開平04-152512(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105374732(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B41/00-51/00
B24B7/00-7/08
B24B37/30
H01L21/304
H01L21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリエンテーションフラットを有するウェーハの被研削面となる上面と相似形になるように該オリエンテーションフラットに対応して欠けた直線状の欠け部を形成した保持面を備え、該保持面の円弧状の外周の中心を環状の研削砥石が通過可能であり、該保持面の円弧状の外周の中心とウェーハの中心とを一致させ、かつ、該保持面とウェーハとの形を一致させ該保持面に保持されたウェーハの中心から外周に至る円弧状の砥石軌跡において該保持面の中心を軸に回転するウェーハを研削する研削加工に用いるチャックテーブルであって、
該保持面を有するポーラス部と、該保持面を露出させ該ポーラス部を収容する枠体と、を備え、
該砥石軌跡は、該保持面の円弧状の外周を通る際の該保持面での長さと該枠体の上面での長さとの比と、該保持面の直線状の欠け部を通る際の該保持面での長さと該枠体の上面での長さとの比とが均一になるように該枠体が形成されたチャックテーブル。
【請求項2】
オリエンテーションフラットを有するウェーハの被研削面となる上面と相似形になるように該オリエンテーションフラットに対応して欠けた直線状の欠け部を形成した保持面を備え、該保持面の円弧状の外周の中心を環状の研削砥石が通過可能であり、該保持面の円弧状の外周の中心とウェーハの中心とを一致させ、かつ、該保持面とウェーハとの形を一致させ該保持面に保持されたウェーハの中心から外周に至る円弧状の砥石軌跡において該保持面の中心を軸に回転するウェーハを研削する研削加工に用いるチャックテーブルであって、
該保持面を有するポーラス部と、該保持面を露出させ該ポーラス部を収容する枠体と、を備え、
該砥石軌跡は、
該保持面が保持する予定のウェーハの該オリエンテーションフラット以外の円弧状の外周を通る際の長さと、該保持面の円弧状の外周を通る際の該保持面での長さと該枠体の上面での長さとを合わせた長さとの第2の比と、該保持面が保持する予定のウェーハの該オリエンテーションフラットを通る際の長さと、該保持面の直線状の欠け部を通る際の該保持面での長さと該枠体の上面での長さとを合わせた長さとの第2の比とが均一になるように該枠体が形成されたチャックテーブル。
【請求項3】
該欠け部の一方の端を通過する該砥石軌跡において該比が成立する該枠体の外周位置と、該欠け部の他方の端を通過する該砥石軌跡において該比が成立する該枠体の外周位置と、を結ぶ直線を該枠体の外周の辺とする請求項1記載のチャックテーブル。
【請求項4】
該保持する予定のウェーハの該オリエンテーションフラットの一方の端を通過する該砥石軌跡において該第2の比が成立する該枠体の外周位置と、該保持する予定のウェーハの該オリエンテーションフラットの他方の端を通過する該砥石軌跡において該第2の比が成立する該枠体の外周位置と、を結ぶ直線を該枠体の外周の辺とする請求項2記載のチャックテーブル。
【請求項5】
前記保持面は、ウェーハの被研削面となる上面と同一形状で同一の大きさである請求項1、2、3、または4記載のチャックテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリエンテーションフラットを有するウェーハを保持するチャックテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハを環状の砥石で研削する研削装置は、ウェーハをチャックテーブルの吸引力が伝達される保持面で吸引保持している。図8に示す従来のチャックテーブル37(例えば、特許文献1参照)は、露出面である上面を保持面372とする円板のポーラス部370と、保持面372を露出してポーラス部370を収容する枠体373とで構成されている。
【0003】
そして、保持面372はウェーハ80に形成された結晶方位を示すオリエンテーションフラット805に対応してウェーハ80と同じ形状をしている。つまり、ポーラス部370の外周は、オリエンテーションフラット805に対応してフラットに欠けていて、これに対して、枠体373の外周は円なので、ポーラス部370の外周が欠けたところに対応する枠体373の上面は、枠体373のその他の上面よりも広くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-134275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような特許文献1に開示されているような従来のチャックテーブル37の上面、即ち、保持面372及び枠体373の上面を、回転する研削砥石の下面で研削することによって、研削砥石の下面に平行なチャックテーブル37の上面を形成するセルフグラインドを行っている。
【0006】
セルフグラインド後の保持面372にウェーハ80を吸引保持させ研削砥石でウェーハ80を研削すると、ウェーハ80の中心とウェーハ80のオリエンテーションフラット805とを通る砥石軌跡R376の長さが、オリエンテーションフラット805を通らない砥石軌跡R377の長さに比べて短くなることから、オリエンテーションフラット805を通る砥石軌跡エリアにおいて、ウェーハ80を研削砥石が保持面372に向かって押すウェーハ80に掛かる研削圧力が増えて研削砥石がウェーハ80をより研削することで、研削後のウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分の厚みが他の部分よりも薄くなるという問題がある。
【0007】
したがって、オリエンテーションフラット805を有するウェーハ80を研削砥石で研削する際にウェーハ80を吸引保持するチャックテーブルにおいては、ウェーハ80を均一な厚みに研削することができるようにするという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、オリエンテーションフラットを有するウェーハの被研削面となる上面と相似形になるように該オリエンテーションフラットに対応して欠けた直線状の欠け部を形成した保持面を備え、該保持面の円弧状の外周の中心を環状の研削砥石が通過可能であり、該保持面の円弧状の外周の中心とウェーハの中心とを一致させ、かつ、該保持面とウェーハとの形を一致させ該保持面に保持されたウェーハの中心から外周に至る円弧状の砥石軌跡において該保持面の中心を軸に回転するウェーハを研削する研削加工に用いるチャックテーブルであって、該保持面を有するポーラス部と、該保持面を露出させ該ポーラス部を収容する枠体と、を備え、該砥石軌跡は、該保持面の円弧状の外周を通る際の該保持面での長さと該枠体の上面での長さとの比と、該保持面の直線状の欠け部を通る際の該保持面での長さと該枠体の上面での長さとの比とが均一になるように該枠体が形成されたチャックテーブルである。
【0009】
また、上記課題を解決するための本発明は、オリエンテーションフラットを有するウェーハの被研削面となる上面と相似形になるように該オリエンテーションフラットに対応して欠けた直線状の欠け部を形成した保持面を備え、該保持面の円弧状の外周の中心を環状の研削砥石が通過可能であり、該保持面の円弧状の外周の中心とウェーハの中心とを一致させ、かつ、該保持面とウェーハとの形を一致させ該保持面に保持されたウェーハの中心から外周に至る円弧状の砥石軌跡において該保持面の中心を軸に回転するウェーハを研削する研削加工に用いるチャックテーブルであって、該保持面を有するポーラス部と、該保持面を露出させ該ポーラス部を収容する枠体と、を備え、該砥石軌跡は、該保持面が保持する予定のウェーハの該オリエンテーションフラット以外の円弧状の外周を通る際の長さと、該保持面の円弧状の外周を通る際の該保持面での長さと該枠体の上面での長さとを合わせた長さとの第2の比と、該保持面が保持する予定のウェーハの該オリエンテーションフラットを通る際の長さと、該保持面の直線状の欠け部を通る際の該保持面での長さと該枠体の上面での長さとを合わせた長さとの第2の比とが均一になるように該枠体が形成されたチャックテーブルである。
【0010】
該欠け部の一方の端を通過する該砥石軌跡において該比が成立する該枠体の外周位置と、該欠け部の他方の端を通過する該砥石軌跡において該比が成立する該枠体の外周位置と、を結ぶ直線を該枠体の外周の辺とするとよい。
【0011】
該保持する予定のウェーハの該オリエンテーションフラットの一方の端を通過する該砥石軌跡において該第2の比が成立する該枠体の外周位置と、該保持する予定のウェーハの該オリエンテーションフラットの他方の端を通過する該砥石軌跡において該第2の比が成立する該枠体の外周位置と、を結ぶ直線を該枠体の外周の辺とするとよい。
【0012】
本発明に係るチャックテーブルの保持面は、例えば、ウェーハの被研削面となる上面と同一形状で同一の大きさである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るチャックテーブルは、オリエンテーションフラットを有するウェーハの被研削面となる上面と相似形(例えば、合同)になるようにオリエンテーションフラットに対応して欠けた直線状の欠け部を形成した保持面を備え、保持面の円弧状の外周の中心を環状の研削砥石が通過可能であり、保持面の円弧状の外周の中心とウェーハの中心とを一致させ、かつ、保持面とウェーハとの形を一致させ保持面に保持されたウェーハの中心から外周に至る円弧状の砥石軌跡においてウェーハを研削する研削加工に用いるチャックテーブルであって、保持面を有するポーラス部と、保持面を露出させポーラス部を収容する枠体と、を備え、砥石軌跡は、保持面での長さと枠体の上面での長さとの比が均一になるように枠体が形成されていることで、保持面に保持されたウェーハのオリエンテーションフラットを通る砥石軌跡エリアにおいても、ウェーハに掛かる研削圧力が増加してしまうことが無くなり、研削後のウェーハを均一な厚みにすることが可能となる。
【0014】
また、本発明に係るチャックテーブルは、オリエンテーションフラットを有するウェーハの被研削面となる上面と相似形になるようにオリエンテーションフラットに対応して欠けた直線状の欠け部を形成した保持面を備え、保持面の円弧状の外周の中心を環状の研削砥石が通過可能であり、保持面の円弧状の外周の中心とウェーハの中心とを一致させ、かつ、保持面とウェーハとの形を一致させ保持面に保持されたウェーハの中心から外周に至る円弧状の砥石軌跡においてウェーハを研削する研削加工に用いるチャックテーブルであって、保持面を有するポーラス部と、保持面を露出させポーラス部を収容する枠体と、を備え、砥石軌跡は、保持面が保持する予定のウェーハの上面での長さと、チャックテーブルの上面となる保持面での長さと枠体の上面での長さとを合わせた長さと、の第2の比が均一になるように枠体が形成されていることで、保持面に保持されたウェーハのオリエンテーションフラットを通る砥石軌跡エリアにおいても、ウェーハに掛かる研削圧力が増加してしまうことが無くなり、研削後のウェーハを均一な厚みにすることが可能となる。
【0015】
また、本発明に係るチャックテーブルは、オリエンテーションフラットを有するウェーハの被研削面となる上面と相似形(例えば、合同)になるようにオリエンテーションフラットに対応して欠けた直線状の欠け部を形成した保持面を備え、保持面の円弧状の外周の中心を環状の研削砥石が通過可能であり、保持面の円弧状の外周の中心とウェーハの中心とを一致させ、かつ、保持面とウェーハとの形を一致させ保持面に保持されたウェーハの中心から外周に至る円弧状の砥石軌跡においてウェーハを研削する研削加工に用いるチャックテーブルであって、保持面を有するポーラス部と、保持面を露出させポーラス部を収容する枠体と、を備え、該保持面の円弧状の外周を通る際の砥石軌跡の保持面での長さと枠体の上面での長さとの比を用いて、欠け部の一方の端を通過する砥石軌跡において比が成立する枠体の外周位置と、欠け部の他方の端を通過する砥石軌跡において比が成立する枠体の外周位置と、を結ぶ直線を枠体の外周の辺とすることで、保持面に保持されたウェーハのオリエンテーションフラットを通る砥石軌跡エリアにおいても、ウェーハに掛かる研削圧力が増加することが無くなり、研削後のウェーハを均一な厚みにすることが可能となる。
【0016】
また、本発明に係るチャックテーブルは、オリエンテーションフラットを有するウェーハの被研削面となる上面と相似形になるようにオリエンテーションフラットに対応して欠けた直線状の欠け部を形成した保持面を備え、保持面の円弧状の外周の中心を環状の研削砥石が通過可能であり、保持面の円弧状の外周の中心とウェーハの中心とを一致させ、かつ、保持面とウェーハとの形を一致させ保持面に保持されたウェーハの中心から外周に至る円弧状の砥石軌跡においてウェーハを研削する研削加工に用いるチャックテーブルであって、保持面を有するポーラス部と、保持面を露出させポーラス部を収容する枠体と、を備え、保持面の円弧状の外周を通る際の砥石軌跡の保持面が保持する予定のウェーハの上面での長さと、砥石軌跡のチャックテーブルの上面となる保持面での長さと枠体の上面での長さとを合わせた長さと、の第2の比を用いて、保持する予定のウェーハのオリエンテーションフラットの一方の端を通過する砥石軌跡において第2の比が成立する枠体の外周位置と、保持する予定のウェーハのオリエンテーションフラットの他方の端を通過する砥石軌跡において第2の比が成立する枠体の外周位置と、を結ぶ直線を枠体の外周の辺とすることで、保持面に保持されたウェーハのオリエンテーションフラットを通る砥石軌跡エリアにおいても、ウェーハに掛かる研削圧力が増加することが無くなり、研削後のウェーハを均一な厚みにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1のチャックテーブルを備える研削装置の一例を示す斜視図である。
図2】実施形態1のチャックテーブルを示す分解斜視図である。
図3】実施形態1のチャックテーブルを示す斜視図である。
図4】保持面の円弧状の外周を通る際の砥石軌跡の保持面が保持予定のウェーハの上面での長さと、砥石軌跡のチャックテーブルの保持面での長さと枠体の上面での長さとを合わせた長さと、の第2の比を用いて、保持予定のウェーハのオリエンテーションフラットの一方の端を通過する砥石軌跡において第2の比が成立する枠体の外周位置と、保持予定のウェーハのオリエンテーションフラットの他方の端を通過する砥石軌跡において第2の比が成立する枠体の外周位置と、を結ぶ直線を枠体の外周の辺とする実施形態1のチャックテーブルを説明する平面図である。
図5】実施形態1のチャックテーブルの改良前のチャックテーブルを説明する平面図である。
図6】実施形態1のチャックテーブル、実施形態2のチャックテーブル、実施形態3のチャックテーブル、及び実施形態4のチャックテーブルのそれぞれの枠体の外周の辺を説明するための平面図である。
図7】実施形態1のチャックテーブル、実施形態2のチャックテーブル、実施形態3のチャックテーブル、及び実施形態4のチャックテーブルのそれぞれの枠体の外周の辺を説明するための図6の一部を拡大した平面図である。
図8】ウェーハを保持する従来のチャックテーブルを説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示す研削装置1は、研削手段16によって本発明に係る実施形態1のチャックテーブル3に保持されたウェーハ80を研削する装置である。研削装置1のベース10上の前方(-Y方向側)は、チャックテーブル3に対してウェーハ80の搬入出が行われる領域である搬入出領域100となっており、ベース10上の後方(+Y方向側)は、研削手段16によってチャックテーブル3上に保持されたウェーハ80の研削加工が行われる領域である研削領域101となっている。
なお、本発明に係る加工装置は、研削手段として粗研削手段と仕上げ研削手段との2軸備え、回転するターンテーブルでウェーハ80を保持したチャックテーブル3を各研削手段の下方に位置付ける構成となっていてもよい。
【0019】
図1に示すウェーハ80は、本実施形態においては、シリコン母材等からなる略円形の半導体ウェーハであり、図1においては下方を向いているウェーハ80の表面801は、複数のデバイスが形成されており、図示しない保護テープが貼着されて保護されている。ウェーハ80の上側を向いている裏面、即ち上面802は、研削加工が施される被研削面802となる。なお、ウェーハ80はシリコン以外にガリウムヒ素、サファイア、窒化ガリウム、樹脂、セラミックス、又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよい。
ウェーハ80には、図1に示すように、外周部分に結晶方位を示すマークである直線のオリエンテーションフラット805が外周の一部を、外周の接線方向に平行にフラットに切欠くことで形成されている。
【0020】
研削装置1のベース10の正面側(-Y方向側)には、複数のウェーハ80を棚状に収容可能なカセットを載置する第1のカセットステージ150及び第2のカセットステージ151が設けられており、第1のカセットステージ150には複数の加工前のウェーハ80が棚状に収容される第1のカセット21が載置され、第2のカセットステージ151には複数の加工後のウェーハ80が棚状に収容される第2のカセット22が載置される。
【0021】
第1のカセット21の+Y方向側の開口の後方には、第1のカセット21から加工前のウェーハ80を搬出するとともに加工後のウェーハ80を第2のカセット22に搬入するロボット155が配設されている。ロボット155に隣接する位置には、仮置きテーブル152が設けられており、仮置きテーブル152に仮置きされた研削加工前のウェーハ80は、図1に示す撮像手段153によって撮像され、形成された撮像画像を元にオリエンテーションフラット805の位置、及びウェーハ80の中心位置が研削装置1の図示しない制御手段によって認識される。
【0022】
仮置きテーブル152と隣接する位置には、ウェーハ80を保持した状態で旋回するローディングアーム154が配置されている。ローディングアーム154は、仮置きテーブル152においてオリエンテーションフラット805の位置が把握されたウェーハ80を保持し、近傍に位置づけられたチャックテーブル3へ搬送する。ローディングアーム154の隣には、加工後のウェーハ80を保持した状態で旋回するアンローディングアーム157が設けられている。アンローディングアーム157と近接する位置には、アンローディングアーム157により搬送された加工後のウェーハ80を洗浄する枚葉式の洗浄手段156が配置されている。洗浄手段156により洗浄・乾燥されたウェーハ80は、ロボット155により第2のカセット22に搬入される。
【0023】
研削領域101の後方(+Y方向側)には、コラム12が立設されており、コラム12の-Y方向側の前面には研削手段16とチャックテーブル3とを相対的に保持面302に垂直なZ軸方向(鉛直方向)に研削送りする研削送り手段17が配設されている。研削送り手段17は、Z軸方向の軸心を有するボールネジ170と、ボールネジ170と平行に配設された一対のガイドレール171と、ボールネジ170の上端に連結しボールネジ170を回動させるモータ172と、内部のナットがボールネジ170に螺合し側部がガイドレール171に摺接する昇降板173と、昇降板173に連結され研削手段16を保持するホルダ174とを備えており、モータ172がボールネジ170を回動させると、これに伴い昇降板173がガイドレール171にガイドされてZ軸方向に往復移動し、ホルダ174に保持された研削手段16がZ軸方向に研削送りされる。
【0024】
チャックテーブル3に保持されたウェーハ80を研削加工する研削手段16は、軸方向がZ軸方向である回転軸160と、回転軸160を回転可能に支持するハウジング161と、回転軸160を回転駆動するモータ162と、回転軸160の下端に接続された円環状のマウント163と、マウント163の下面に着脱可能に装着された研削ホイール164とを備える。
【0025】
研削ホイール164は、ホイール基台165と、ホイール基台165の底面に環状に配設された略直方体形状の複数の研削砥石166とを備える。研削砥石166は、例えば、所定のバインダー等で研削砥粒等が固着されて成形されている。本実施形態において、研削ホイール164は、研削砥石166間に所定の隙間を設けたセグメント配列のものとなっているが、一本の環状の輪である研削砥石を備えるコンテニュアス配列のものであってもよい。
【0026】
回転軸160の内部には、研削水の通り道となる図示しない流路が回転軸160の軸方向(Z軸方向)に貫通して形成されている。この流路はマウント163を通り、ホイール基台165の底面において研削砥石166に向かって研削水を噴出できるように開口している。
【0027】
ウェーハ80を研削する際の高さ位置まで下降した研削ホイール164の近傍となる位置には、例えば、研削中においてウェーハ80の厚さを接触式にて測定する厚さ測定手段54が配設されている。
【0028】
研削装置1は、本発明に係るチャックテーブル3を備えている。以下、チャックテーブル3を実施形態1のチャックテーブル3とする。そして、ウェーハ80の研削加工に用いられる図1に示すチャックテーブル3の構造を、図2の分解斜視図を用いて説明する。
【0029】
チャックテーブル3は、板状のポーラス部30と、ポーラス部30の保持面302を露出させポーラス部30を収容する枠体31とを備えている。
【0030】
ポーラス部30は、例えば、ポーラスセラミックス、ポーラスメタル、多孔質ポリテトラフルオロエチレン、又はポーラスカーボン等で構成されており、その外形が円形のポーラス板の外周部分を外周の接線方向に平行に直線的に一部切欠いた形状となっている。そして、ポーラス部30の上面であり、枠体31から露出する露出面は、オリエンテーションフラット805を有するウェーハ80の被研削面802と相似形、即ち、例えば、ウェーハ80と同一形状でウェーハ80よりも僅かに小さく(又は、大きく)なるようにオリエンテーションフラット805に対応して欠けた欠け部303を形成した保持面302となる。または、例えば、ポーラス部30の上面であり、枠体31から露出する露出面は、オリエンテーションフラット805を有するウェーハ80の被研削面802と相似形のうち、特に同一形状で同一の大きさ、即ち、合同になるようにオリエンテーションフラット805に対応して欠けた欠け部303を形成した保持面302となってもよい。
【0031】
そして、保持面302の外周は、円弧状の外周304と、直線状の欠け部303とで構成される。また、セルフグラインドを行うことにより、保持面302は、保持面302の中心3022を頂点とし肉眼では判断できない程度の極めてなだらかな円錐斜面となっている。
【0032】
保持面302の中心3022は、保持面302の外周のうち円弧状の外周304から等距離にある保持面302上の一点(中心)である。即ち、保持面302の中心3022とは、仮に保持面302に欠け部303が形成されておらず、保持面302が真円である場合における円中心である。
【0033】
枠体31は、例えば、ステンレス合金、アルミニウム合金、やチタン合金等、又はセラミックスで構成されており、外形が平面視円形に形成されている枠体基部311と、枠体基部311の上面の外周側の領域に所定の高さで立設する環状壁312とを備えている。そして、環状壁312の上面を、枠体31の上面とする。
【0034】
環状壁312の内側の領域はポーラス部30が収容される凹部315となっている。そして、凹部315にポーラス部30が嵌合可能となっている。
枠体基部311には、周方向に一定の間隔をおいて複数(例えば45度間隔で8つ)のボルト挿通穴3112が厚み方向(Z軸方向)に向かって貫通形成されている。
【0035】
枠体31の環状壁312のポーラス部30の欠け部303に対応する部分の壁厚みは、その他の部分よりも厚く形成されている。また、枠体31の該欠け部303に対応する部分の上面は、環状壁312が一部切り欠かれて段差が設けられており、枠体31の円弧状の外周に対応する円弧状上面313と同じ高さにある欠け部対応上面314と、欠け部対応上面314よりも一段低い段差面316とを備えている。
【0036】
図2に示すように、枠体31の凹部315の底面(枠体基部311の上面)には、枠体基部311の中心を中心とするように形成された1本の円環状の吸引溝3154と、枠体基部311の中心に重なる吸引孔3155とが形成されている。なお、枠体31の凹部315に形成される吸引溝は、本実施形態に限定されるものではなく、凹部315の底面の中心を中心とする同心円状の複数の円環状の吸引溝3154から、周方向に均等に吸引溝3154同士を連結するように放射状に延びる連結溝がさらに形成されていてもよい。
円環状の吸引溝3154の底には、周方向に均等間隔を空けて吸引溝3154を図示しない真空発生装置等の吸引源に連通する吸引孔3157が、Z軸方向に貫通形成されている。また、枠体31の中心に貫通形成された吸引孔3155も、図示しない吸引源に連通している。
【0037】
図2に示すポーラス部30が枠体31の凹部315に嵌め込まれ、図示しない接着剤等によって両部材が接着され、図1、3に示すチャックテーブル3になった状態で、チャックテーブル3は、図1に示す研削装置1のベース10内に位置する図示しないテーブルベースの上面に形成されたねじ穴とボルト挿通穴3112とを重ね合わせて、ボルト挿通穴3112を通した固定ボルトをテーブルベースのねじ穴に螺合させ締め付けることにより、研削装置1に配設された状態になる。
【0038】
図1に示すように、チャックテーブル3は、テーブルベースの下方にスピンドル及びモータ等からなるチャックテーブル回転手段52が連結されており、チャックテーブル回転手段52によりZ軸方向の回転軸回りに回転可能となっている。
また、チャックテーブル3は、例えば、図示しない傾き調整手段によって研削砥石166の下面に対する保持面302の傾きを調整可能となっている。傾き調整手段は、例えば、テーブルベースの底面に周方向に等間隔空けて2つ以上設けられている。即ち、例えば該周方向に120度間隔で、2つの傾き調整手段と、テーブルベースを固定する図示しない支持柱とが配設されている。2つの傾き調整手段は、例えば、電動シリンダやエアシリンダ等である。
【0039】
研削装置1において、チャックテーブル3は、カバー50によって周囲から囲まれており、カバー50及びカバー50に連結された蛇腹カバー500の下方に配設された図示しないテーブル移動手段によって、ベース10上をY軸方向に往復移動可能となっている。図示しないテーブル移動手段は、電動スライダーをY軸方向に直動させるボールネジ機構等である。
【0040】
図1に示す研削装置1において、ウェーハ80をチャックテーブル3で吸引保持した状態で研削する場合においては、保持面302に形成された欠け部303とウェーハ80のオリエンテーションフラット805とが合わせられ、かつ、ウェーハ80の中心と保持面302の中心3022(保持面302の円弧状の外周304の中心3022)とが合致した状態で、チャックテーブル3がウェーハ80を吸引保持する。また、セルフグラインドにより極めてなだらかな円錐斜面となっている保持面302が研削砥石166の下面である研削面に対して平行になるように、図示しない傾き調整手段によってチャックテーブル3の傾きが調整されることで、円錐斜面である保持面302にならって吸引保持されているウェーハ80の被研削面802が、研削砥石166の研削面に対して平行になる。そして、図示しないテーブル移動手段がチャックテーブル3を+Y方向に移動させ、ウェーハ80を保持したチャックテーブル3が、研削手段16の研削ホイール164の回転中心が保持面302の円弧状の外周304の中心3022、即ち、ウェーハ80の回転中心に対して所定距離だけ水平方向にずれ、図4に示すように、回転する研削砥石166の砥石軌跡R1が回転するチャックテーブル3の回転中心3022を通過可能にウェーハ80が位置づけられる。そして、保持面302とウェーハ80との形を一致させ保持面302に保持されたウェーハ80の中心から外周に至る円弧状の砥石軌跡R1等においてウェーハ80を研削する。なお、図4に示す例においては、保持面302は、ウェーハ80の被研削面802と相似形であり、被研削面802よりも僅かに小さい大きさとなっているが、保持面302がウェーハ80の被研削面802と同一形状で同一の大きさ、即ち、合同であってもよい。
なお、本実施形態においては、例えば、図1に示す研削砥石166の内周側の内刃の砥石軌跡を図4に示す砥石軌跡R1とする。
【0041】
本実施形態1の図3、4に示すチャックテーブル3において、図4に示す保持面302の円弧状の外周304を通る際の研削砥石166の砥石軌跡R1の保持面302での長さを長さL1とする。また、砥石軌跡R1の枠体31の円弧状上面313での長さを長さL2とする。また、砥石軌跡R1の保持面302が保持する予定の破線で示すウェーハ80の上面である被研削面802での長さを長さLw1とする。そして、該長さLw1と、該長さL1と該長さL2とを合わせた長さ(L1+L2)との第2の比=長さLw1:長さ(L1+L2)を用いて、図3に示すチャックテーブル3の枠体31の環状壁312のポーラス部30の欠け部303に対応する部分の壁厚み、即ち、該対応する部分の欠け部対応上面314の内周の辺3144と、外周の辺3145とが設定されている。
【0042】
即ち、実施形態1のチャックテーブル3は、図4に示すように、保持面302が保持する予定の破線で示すウェーハ80の被研削面802の中心から外周に至る円弧状の砥石軌跡のうち、保持面302が保持する予定のウェーハ80のオリエンテーションフラット805の一方の端8051(図4においては、-X方向側の端)を通過する砥石軌跡R2において、砥石軌跡R2の保持面302での長さを長さL3とし、砥石軌跡R2の枠体31の上面での長さをL4とし、保持面302が保持する予定のウェーハ80の被研削面802での砥石軌跡R2の長さを長さLw2とした場合に、長さLw2:長さ(L3+L4)=長さLw1:長さ(L1+L2)が成立する枠体31の外周位置3146と、保持面302が保持する予定のウェーハ80のオリエンテーションフラット805の他方の端8052(図4においては、+X方向側の端)を通過する砥石軌跡R3において、砥石軌跡R3の保持面302での長さを長さL5とし、砥石軌跡R3の枠体31の上面での長さをL6とし、保持面302が保持する予定のウェーハ80の被研削面802での砥石軌跡R3の長さを長さLw3とした場合に、長さLw3:長さ(L5+L6)=長さLw1:長さ(L1+L2)が成立する枠体31の外周位置3147と、を結ぶ直線を枠体31の外周の辺3145としている。例えば、欠け部対応上面314のY軸方向における幅は、-X方向側から+X方向側に向かって徐々に短くなっている。即ち、欠け部対応上面314の内周の辺3144は、凹部315に嵌合されたポーラス部30の直線状の欠け部303と平行であるが、外周の辺3145は欠け部303と平行となっていない。
【0043】
本発明の発明者は、ウェーハ80のオリエンテーションフラット805を通る砥石軌跡エリアにおいても、ウェーハ80に掛かる研削圧力が他よりも増加してしまうことが無いようにするために、まず、図5に示すように、枠体31の環状壁312のポーラス部30の欠け部303に対応する部分の上面を、環状壁312が一部切り欠かれて段差を設け、枠体31の円弧状の外周に対応する円弧状上面313と同じ高さにある欠け部対応上面3958と、欠け部対応上面3958よりも一段低い段差面とを備えるチャックテーブル395、即ち、本発明に係るチャックテーブル3の改良前の段階のチャックテーブルであるチャックテーブル395を作成した。改良する前の実験段階における該チャックテーブル395においては、本発明に係るチャックテーブル3とは異なり、欠け部対応上面3958の幅が一定で、枠体31の上面の全周においてその幅が一定となっている。即ち、本発明に係るチャックテーブル3を改良する前の実験段階における該チャックテーブル395は、図8に示すチャックテーブル37の枠体373のポーラス部370の欠け部375に対応する部分の上面よりも、面積の狭い欠け部対応上面3958を備えており、破線で示す保持する予定のウェーハ80は、保持された状態においてオリエンテーションフラット805と欠け部対応上面3958の内周の辺及び外周の辺が平行となる。その他の構成は、本発明に係るチャックテーブル3と同様となっている。
【0044】
この改良前の図5に示すチャックテーブル395をセルフグラインドした後の保持面3956は、欠け部303を通る砥石軌跡エリアの保持面3956の高さH(図6参照)が、図6に示すように他のエリアより低くなる。図6は、本発明に係るチャックテーブル3、改良前のチャックテーブル395、及び図に示すチャックテーブル37について、ウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対する各枠体の対応する部分を平面視で示すとともに、各保持面をセルフグラインドした場合の各保持面の高さを正面視で示した説明図である。なお、図6では、図5に示すチャックテーブル395のb1-b2線断面を示しており、平面視で示すチャックテーブル395の枠体31のウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分の外周の辺を二点鎖線で示している。図6に示すように、図8に示すチャックテーブル37をセルフグラインドした後の保持面372は、図8に示す欠け部375を通る砥石軌跡エリアの保持面372の高さHが、略一定であり平坦面となっている。なお、図6では、図8に示すチャックテーブル37のb1-b2線断面を示しており、平面視で示すチャックテーブル37の枠体373のウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分の外周の辺を破線で示している。
【0045】
そのため、該セルフグラインド後の図5、6に示すチャックテーブル395の保持面3956で保持したウェーハ80を研削すると、ウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分が、図1に示す研削砥石166の下面に対してより低くなった状態で研削が行われるため、研削後のウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分の厚みが、他の部分よりも薄くなる量を図8に示すチャックテーブル37を用いた場合よりも小さくする事ができる。即ち、より研削後のウェーハ80の平坦度を高めることができる。しかし、依然として、研削後のウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分の厚みが、他の部分よりも薄くなる傾向はある。
【0046】
即ち、例えば図5に示す-X方向側から+X方向側に向かって複数の砥石軌跡R90の長さが欠け部対応上面3958の幅が一定であることで長くなっていくことに伴って、欠け部303を通る砥石軌跡エリアの保持面3956のセルフグラインド後の高さHが十分に下がらず、ウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分の保持面3956が-X方向側から+X方向側に向かっていく途中で平坦になってしまうためである。これが、依然として、研削後のウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分の厚みが、他の部分よりも薄くなる傾向(より、多く削られる傾向)を生み出していると考えられる。
【0047】
これに対して、図4図6に示す本実施形態1のチャックテーブル3をセルフグラインドした後の保持面302は、欠け部303を通る砥石軌跡エリアの保持面302の高さHが、図6に示すように他のエリアより低くなる。なお、図6は、図4に示すチャックテーブル3のb1-b2線断面を示している。さらに、欠け部303を通る砥石軌跡エリアの保持面302の、即ち、保持面302のウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分の高さHが、図6にチャックテーブル395のセルフグラインド後の保持面3956と比較可能に示すように、-X方向側から+X方向側に向かっていく途中で平坦とならない。これは、図4に示す保持面302に保持する予定のウェーハ80のオリエンテーションフラット805の一方の端8051(図4においては、-X方向側の端)を通過する砥石軌跡R2において第2の比である長さLw1:長さ(L1+L2)=長さLw2:長さ(L3+L4)が成立する枠体31の外周位置3146と、保持面302に保持する予定のウェーハ80のオリエンテーションフラット805の他方の端8052(図4においては、+X方向側の端)を通過する砥石軌跡R3において第2の比である長さLw1:長さ(L1+L2)=長さLw3:長さ(L5+L6)が成立する枠体31の外周位置3147と、を結ぶ直線を枠体31の外周の辺3145としているためである。そして、該セルフグラインド後のチャックテーブル3の保持面302で保持したウェーハ80を研削すると、ウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分が、図1に示す研削砥石166の下面に対してより低くなった状態で研削が行われるため、研削後のウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分の厚みが、他の部分よりも薄くなる量を図8に示すチャックテーブル37や図5に示すチャックテーブル395を用いた場合よりも小さくする事ができる。即ち、研削後のウェーハ80の平坦度を、チャックテーブル395等を用いた場合よりもさらに高めることができる。
【0048】
上記のように本実施形態1のチャックテーブル3は、保持面302を有するポーラス部30と、保持面302を露出させポーラス部30を収容する枠体31と、を備え、保持面302の円弧状の外周304を通る際の砥石軌跡の保持面302が保持する予定のウェーハ80の上面である被研削面802の長さと、砥石軌跡のチャックテーブル3の上面となる保持面302での長さと枠体31の上面での長さとを合わせた長さと、の第2の比を用いて、保持する予定のウェーハ80のオリエンテーションフラット805の一方の端8051を通過する砥石軌跡において第2の比が成立する枠体31の外周位置3146と、保持する予定のウェーハ80のオリエンテーションフラット805の他方の端8052を通過する砥石軌跡において第2の比が成立する枠体31の外周位置3147と、を結ぶ直線を枠体31の外周の辺3145とすることで、オリエンテーションフラット805を通る砥石軌跡エリアにおいても、ウェーハ80に掛かる研削圧力が増加することが無くなり、研削後のウェーハ80を均一な厚みにすることが可能となる。
なお、本発明に係るチャックテーブル3は、例えば、保持面302の円弧状の外周304の半径を74mmとしている。また、枠体31の円弧状の外周の半径を84mmとし、保持面302の円弧状の外周304の半径(74mm)との差を10mmとしている。また、ウェーハ80の半径は、例えば、75mmである。
【0049】
本発明に係るチャックテーブルは、上記実施形態1のチャックテーブル3に限定されるものではなく、以下に説明する図6図7に一部を示す実施形態2のチャックテーブル38、実施形態3のチャックテーブル33、実施形態4のチャックテーブル34であってもよい。
【0050】
実施形態2のチャックテーブル38の実施形態1のチャックテーブル3との相違点を、以下に説明する。なお、以下に説明する相違点以外の構成は、実施形態1のチャックテーブル3と実施形態2のチャックテーブル38とで同じである。図6においては、実施形態1のチャックテーブル3との相違点である実施形態2のチャックテーブル38の欠け部対応上面314の外周の辺381を重点的に示している。
実施形態2のチャックテーブル38は、図4に示すオリエンテーションフラット805を有するウェーハ80の被研削面と合同になるようにオリエンテーションフラット805に対応して欠けた欠け部303を形成した保持面302を備え、保持面302の円弧状の外周304の中心3022を環状の研削砥石166が通過可能であり、保持面302の円弧状の外周304の中心3022とウェーハ80の中心とを一致させ、かつ、保持面302とウェーハ80との形を一致させ保持面302に保持されたウェーハ80の中心(即ち、保持面302の中心3022)から外周に至る円弧状の砥石軌跡においてウェーハ80を研削する研削加工に用いられ、保持面302を有するポーラス部30と、保持面302を露出させポーラス部30を収容する枠体31と、を備え、砥石軌跡は、保持面302での長さと枠体31の上面での長さとの比が均一になるように枠体31が形成されたチャックテーブルである。より具体的には、チャックテーブル38は、図4に示す砥石軌跡R1の保持面302での長さL1と枠体31の円弧状上面313での長さL2との比と、例えば直線状の欠け部303を通過する図6に示す砥石軌跡R32の保持面302での長さL31と枠体31の上面(欠け部対応上面314)での長さL32の比と、例えば図6に示す砥石軌跡R33の保持面302での長さL33と枠体31の欠け部対応上面314での長さL34の比とが均一になるように枠体31が形成されている。即ち、図4に示す長さL1:図4に示す長さL2=長さL31:長さL32=長さL33:長さL34が成立する。
【0051】
実施形態2のチャックテーブル38の枠体31の欠け部対応上面314のY軸方向における幅は、-X方向側から+X方向側に向かって徐々に短くなっている。そして、チャックテーブル38の枠体31の欠け部対応上面314の外周の辺381は、図6図7に示すように、実施形態1のチャックテーブル3の外周の辺3145と近似している。なお、図7においては、図6に示すb2線の近傍を拡大して示している。
【0052】
そして、本実施形態2のチャックテーブル38をセルフグラインドした後の保持面302で保持したウェーハ80(例えば、保持面302と合同である被研削面802を備えるウェーハ80)を研削すると、実施形態1のチャックテーブル3の場合と略同様に、ウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分が、図1に示す研削砥石166の下面に対してより低くなった状態で研削が行われるため、研削後のウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分の厚みが他の部分よりも薄くなる量を、図8に示すチャックテーブル37や図5に示すチャックテーブル395を用いた場合よりも小さくする事ができる。即ち、研削後のウェーハ80の平坦度をチャックテーブル395等よりもさらに高めることができる。
【0053】
このように、本実施形態2のチャックテーブル38は、オリエンテーションフラット805を通る砥石軌跡エリアにおいても、ウェーハ80に掛かる研削圧力が増加してしまうことが無くなり、研削後のウェーハ80を均一な厚みにすることが可能となった。
【0054】
実施形態3のチャックテーブル33の実施形態1のチャックテーブル3との相違点を、以下に説明する。なお、以下に説明する相違点以外の構成は、実施形態1のチャックテーブル3と実施形態3のチャックテーブル33とで同じである。図6においては、実施形態1のチャックテーブル3との相違点である実施形態3のチャックテーブル33の欠け部対応上面314の外周の辺334を重点的に示している。
実施形態3のチャックテーブル33は、図4に示すオリエンテーションフラット805を有するウェーハ80の被研削面と同じ形になるようにオリエンテーションフラット805に対応して欠けた欠け部303を形成した保持面302を備え、保持面302の円弧状の外周304の中心3022を環状の研削砥石166が通過可能であり、保持面302の円弧状の外周304の中心3022とウェーハ80の中心とを一致させ、かつ、保持面302とウェーハ80との形を一致させ保持面302に保持されたウェーハ80の中心(即ち、保持面302の中心3022)から外周に至る円弧状の砥石軌跡においてウェーハ80を研削する研削加工に用いられ、保持面302を有するポーラス部30と、保持面302を露出させポーラス部30を収容する枠体31と、を備え、砥石軌跡は、保持面302が保持する予定のウェーハ80(例えば、被研削面802が保持面302と合同のウェーハ80)の被研削面802での長さと、チャックテーブル33の上面となる保持面302での長さと枠体31の上面での長さとを合わせた長さと、の第2の比が均一になるように枠体31が形成されている。
【0055】
チャックテーブル33においては、図4に示す砥石軌跡R1の保持面302で保持する予定のウェーハ80の被研削面802での長さLw1と、保持面302の円弧状の外周304を通る際の研削砥石166の砥石軌跡R1の保持面302での長さL1と砥石軌跡R1の枠体31の円弧状上面313での長さL2と合わせた長さ(L1+L2)との第2の比=長さLw1:長さ(L1+L2)である。
そして、例えば直線状の欠け部303の一方の端3031を通過する図6に示す砥石軌跡R35の保持面302で保持する予定のウェーハ80の被研削面802での長さLw4(図6には不図示)と、砥石軌跡R35の保持面302での長さL38と枠体31の上面での長さL39の長さとを合わせた長さ(L38+L39)との第2の比=長さLw4:長さ(L38+L39)=長さLw1:長さ(L1+L2)が成立し、かつ、例えば直線状の欠け部303を通過する図6に示す砥石軌跡R34の保持面302で保持する予定のウェーハ80の被研削面802での長さLw5(図6には不図示)と、砥石軌跡R34の保持面302での長さL35と枠体31の上面での長さL36の長さとを合わせた長さ(L35+L36)との第2の比=長さLw5:長さ(L35+L36)=長さLw1:長さ(L1+L2)が成立する。
【0056】
実施形態3のチャックテーブル33の枠体31の欠け部対応上面314のY軸方向における幅は、-X方向側から+X方向側に向かって徐々に短くなっている。そして、チャックテーブル33の枠体31の欠け部対応上面314の外周の辺334は、図6図7に示すように実施形態1のチャックテーブル3の外周の辺3145と非常に近似する。
【0057】
本実施形態3のチャックテーブル38をセルフグラインドした後の保持面302で保持したウェーハ80を研削すると、実施形態1のチャックテーブル3の場合と略同様に、ウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分が、図1に示す研削砥石166の下面に対してより低くなった状態で研削が行われるため、研削後のウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分の厚みが他の部分よりも薄くなる量を、図8に示すチャックテーブル37や図5に示すチャックテーブル395を用いた場合よりも小さくできる。即ち、研削後のウェーハ80の平坦度をチャックテーブル395等よりもさらに高めることができる。
【0058】
このように、本実施形態3のチャックテーブル33は、オリエンテーションフラット805を通る砥石軌跡エリアにおいても、ウェーハ80に掛かる研削圧力が増加してしまうことが無くなり、研削後のウェーハ80を均一な厚みにすることが可能となった。
【0059】
実施形態4のチャックテーブル34の実施形態1のチャックテーブル3との相違点を、以下に説明する。なお、以下に説明する相違点以外の構成は、実施形態1のチャックテーブル3と実施形態4のチャックテーブル34とで同じである。図6においては、実施形態1のチャックテーブル3との相違点である実施形態4のチャックテーブル34の欠け部対応上面314の外周の辺346を重点的に示している。
実施形態4のチャックテーブル34は、図4に示すオリエンテーションフラット805を有するウェーハ80の被研削面と相似形になるようにオリエンテーションフラット805に対応して欠けた欠け部303を形成した保持面302を備え、保持面302の円弧状の外周304の中心3022を環状の研削砥石166が通過可能であり、保持面302の円弧状の外周304の中心3022とウェーハ80の中心とを一致させ、かつ、保持面302とウェーハ80との形を一致させ保持面302に保持されたウェーハ80の中心から外周に至る円弧状の砥石軌跡においてウェーハ80を研削する研削加工に用いられ、保持面302を有するポーラス部30と、保持面302を露出させポーラス部30を収容する枠体31と、を備え、保持面302の円弧状の外周304を通る際の砥石軌跡の保持面302での長さと枠体31の上面での長さとの比を用いて、欠け部303の一方の端3031を通過する砥石軌跡において該比が成立する枠体31の外周位置3146と、欠け部303の他方の端3032を通過する砥石軌跡において該比が成立する枠体31の外周位置3147と、を結ぶ直線を枠体31の外周の辺346とするものである。
【0060】
具体的には、図4に示す保持面302の円弧状の外周304を通る際の研削砥石166の砥石軌跡R1の長さL1と砥石軌跡R1の枠体31の円弧状上面313での長さL2との比=長さL1:長さL2を用いて、図3に示すチャックテーブル3の枠体31の環状壁312のポーラス部30の欠け部303に対応する部分の壁厚み、即ち、該対応する部分の欠け部対応上面314の内周の辺3144と、外周の辺346とが設定されている。
【0061】
即ち、実施形態4のチャックテーブル34は、図6に示すように、ポーラス部30の直線状の欠け部303の一方の端3031(図6においては、-X方向側の端)を通過する砥石軌跡R35において、砥石軌跡R35の保持面302での長さL38:砥石軌跡R2の枠体31の上面での長さL39=長さL1:長さL2が成立する枠体31の外周位置3148と、欠け部303の他方の端3032(図6においては、+X方向側の端)を通過する砥石軌跡R38において、砥石軌跡R38の保持面302での長さL40:砥石軌跡R38の枠体31の上面での長さL41=長さL1:長さL2が成立する枠体31の外周位置3149と、を結ぶ直線を枠体31の外周の辺346としている。
【0062】
チャックテーブル34の枠体31の欠け部対応上面314のY軸方向における幅は、-X方向側から+X方向側に向かって徐々に短くなっている。そして、チャックテーブル34の枠体31の欠け部対応上面314の外周の辺346は、実施形態1のチャックテーブル3の外周の辺3145と近似し、また、実施形態2のチャックテーブル38の外周の辺381と非常に近似している。
【0063】
本実施形態4のチャックテーブル34をセルフグラインドした後の保持面302で保持したウェーハ80を研削すると、実施形態1のチャックテーブル3の場合と略同様に、ウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分が、図1に示す研削砥石166の下面に対してより低くなった状態で研削が行われるため、研削後のウェーハ80のオリエンテーションフラット805に対応する部分の厚みが、他の部分よりも薄くなる量を図8に示すチャックテーブル37や図5に示すチャックテーブル395を用いた場合よりも小さくする事ができる。即ち、研削後のウェーハ80の平坦度をチャックテーブル395等よりもさらに高めることができる。
【0064】
このように、本実施形態4のチャックテーブル34は、オリエンテーションフラット805を通る砥石軌跡エリアにおいても、ウェーハ80に掛かる研削圧力が増加してしまうことが無くなり、研削後のウェーハ80を均一な厚みにすることが可能となった。
【0065】
本発明に係るチャックテーブル3は上記実施形態1のチャックテーブル3、実施形態2のチャックテーブル38、実施形態3のチャックテーブル33、及び実施形態4のチャックテーブル34に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また、添付図面に図示されている研削装置1の各構成の形状等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0066】
80:ウェーハ 801:ウェーハの表面 802:ウェーハの被研削面 805:オリエンテーションフラット
1:研削装置 10:ベース 12:コラム
150:第1のカセットステージ 151:第2のカセットステージ
21:第1のカセット 22:第2のカセット
155:ロボット 152:仮置きテーブル 153:撮像手段
154:ローディングアーム 157:アンローディングアーム 156:洗浄手段
17:研削送り手段 16:研削手段 166:研削砥石 54:厚さ測定手段
3:実施形態1のチャックテーブル
30:ポーラス部 302:保持面 3022:保持面の中心 303:欠け部 304:円弧状の外周
31:枠体
311:枠体基部 3112:ボルト挿通穴 312:環状壁 313:円弧状上面 314:欠け部対応上面
315:凹部 3154:吸引溝 3155:吸引孔
52:チャックテーブル回転手段 50:カバー 500:蛇腹カバー
38:実施形態2のチャックテーブル 33:実施形態3のチャックテーブル
34:実施形態4のチャックテーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8