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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】電源切り替え装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/693 20060101AFI20240625BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20240625BHJP
   H03K 19/0175 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H03K17/693 D
H02J1/00 304E
H03K19/0175 250
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020079549
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021175132
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 哲矢
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-174607(JP,A)
【文献】特開2002-315182(JP,A)
【文献】特開2004-72231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J1/00-1/16
H02H7/20
H03K17/687-17/695
H03K19/0175-19/0185
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電源の何れかを選択するための選択信号が入力される信号入力端子と、
前記選択信号に基づいて、電源出力ノードに接続される電源を替える電源切り替え回路と、
前記信号入力端子に第1の抵抗素子を介して接続され、前記信号入力端子がオープンである場合に、オン状態となることにより前記信号入力端子の電位を所定の電位に固定するスイッチと、
前記選択信号の電位が前記所定の電位と異なる場合に、前記選択信号に応じて選択された電源からの電力の供給を受けて動作する、前記電源出力ノードに接続された内部回路の動作状態を示す状態信号に基づいて前記スイッチをオフ状態に制御し、前記信号入力端子がオープンである場合に前記スイッチをオン状態に制御するスイッチ制御回路と、
を含む電源切り替え装置。
【請求項2】
前記スイッチ制御回路は、前記状態信号によって示される前記内部回路の動作状態が安定状態を示す場合に前記スイッチをオフ状態に制御する
請求項1に記載の電源切り替え装置。
【請求項3】
前記スイッチ制御回路は、前記選択信号に応じて電位が変化する中間ノードの電位が一方の入力端に入力され、前記状態信号が他方の入力端に入力され、出力端が前記スイッチの制御端子に接続された論理回路を含む
請求項1または請求項2に記載の電源切り替え装置。
【請求項4】
一端が前記中間ノードに接続され、他端が前記所定の電位に接続された第2の抵抗素子を更に含む
請求項3に記載の電源切り替え装置。
【請求項5】
前記所定の電位がグランドレベルであり、
前記状態信号の電位は、前記内部回路の動作状態が安定状態となるまではグランドレベルであり、前記内部回路の動作状態が安定状態となった場合にグランドレベルよりも高いレベルとなり、
前記論理回路がNAND回路を含み
前記スイッチがnチャネル型のトランジスタである
請求項3または請求項4に記載に電源切り替え装置。
【請求項6】
前記所定の電位がグランドレベルよりも高いレベルであり、
前記状態信号の電位は、前記内部回路の動作状態が安定状態となるまではグランドレベルであり、前記内部回路の動作状態が安定状態となった場合にグランドレベルよりも高いレベルとなり、
前記論理回路がNOR回路を含み、
前記スイッチがpチャネル型のトランジスタである
請求項3または請求項4に記載に電源切り替え装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源切り替え装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入力端子に接続されたプルアップ抵抗またはプルダウン抵抗に流れる電流を抑制する技術として以下の技術が知られている。例えば特許文献1には、入力端子からの入力をプルアップ又はプルダウンするプルアップ/プルダウン回路を内蔵した半導体装置が記載されている。この半導体装置は、プルアップ/プルダウン回路と高電位電源又は低電位電源との電気的接続をオンまたはオフのいずれかの状態にするスイッチと、入力端子から入力される入力信号の論理レベルが、高電位電源又は低電位電源によって供給される信号の論理レベルと逆の論理レベルである場合には、スイッチ回路がオフ状態になるように制御するスイッチ制御回路と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-72231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の電源のうち使用する電源を切り替える電源切り替え装置は、複数の電源の何れかを選択するための選択信号が入力される信号入力端子を有する。電源切り替え装置においては、選択信号が入力されず、信号入力端子がオープンになる場合がある。この場合、信号入力端子の電位が不定となり、電源の選択動作が不安定となるおそれがある。そこで、選択信号が入力されない場合に、プルダウン抵抗またはプルアップ抵抗を用いて信号入力端子の電位を所定の電位に固定することが行われている。しかしながら、信号入力端子にプルダウン抵抗またはプルアップ抵抗を接続すると、プルダウンまたはプルアップする固定電位とは異なる電位の選択信号の入力時に、信号入力端子を介してプルダウン抵抗またはプルアップ抵抗にリーク電流が流れるピンリークが発生し、電力消費量が増大する。
【0005】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、信号入力端子のプルダウンまたはプルアップに伴う電流リーク(ピンリーク)を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電源切り替え装置は、複数の電源の何れかを選択するための選択信号が入力される信号入力端子と、前記選択信号に基づいて、電源出力ノードに接続される電源を替える電源切り替え回路と、前記信号入力端子に第1の抵抗素子を介して接続され、前記選択信号の入力がない場合に、オン状態となることにより前記信号入力端子の電位を所定の電位に固定するスイッチと、前記選択信号の電位が前記所定の電位と異なる場合に、前記選択信号に応じて選択された電源からの電力の供給を受けて動作する回路の動作状態を示す状態信号に基づいて前記スイッチをオフ状態に制御し、前記選択信号の入力がない場合に前記スイッチをオン状態に制御するスイッチ制御回路と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、信号入力端子のプルダウンまたはプルアップに伴う電流リーク(ピンリーク)を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電源切り替え装置の構成の一例を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る電源切り替え装置の動作の一例を示すタイムチャートである。
図3】本発明の第2の実施形態に係る電源切り替え装置の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電源切り替え装置10の構成の一例を示す図である。電源切り替え装置10は、信号入力端子11に入力される選択信号PSELに基づいて、複数の電源を選択的に電源出力ノードn1に接続する機能を有する。複数の電源のうちの1つは、例えば、第1の電源入力端子12に接続された外部電源装置(図示ぜず)であり、複数の電源のうちの他の1つは、例えば、第2の電源入力端子13に接続された整流器(図示せず)である。電源切り替え装置10は、信号入力端子11、抵抗素子R1、スイッチ20、スイッチ制御回路30及び電源切り替え回路40を備える。
【0011】
信号入力端子11には、複数の電源の何れかを選択するための選択信号PSELが入力される。本実施形態において、選択信号PSELの電位が電源レベル(ハイレベル)である場合、第1の電源入力端子12に接続される外部電源装置(図示せず)が選択される。選択信号PSELの電位がグランドレベル(ローレベル)である場合、第2の電源入力端子13に接続される整流器(図示せず)が選択される。
【0012】
抵抗素子R1は、信号入力端子11をプルダウンするプルダウン抵抗として機能するものであり、一端が信号入力端子11に接続され、他端がスイッチ20に接続されている。抵抗素子R1は、本発明における第1の抵抗素子の一例である。
【0013】
スイッチ20は、例えば、nチャネル型のトランジスタN1によって構成される。トランジスタN1は、ドレインが抵抗素子R1の他端に接続され、ソースがグランドラインに接続され、ゲートがスイッチ制御回路30を構成するNAND回路31の出力端に接続されている。すなわち、スイッチ20は、抵抗素子R1を介して信号入力端子11に接続されており、オン状態となることにより信号入力端子11の電位をグランドレベルに固定する。
【0014】
電源切り替え装置10は、NOT回路51、52を直列に接続して構成されるバッファ回路50を有する。バッファ回路50の入力端(NOT回路51の入力端)は信号入力端子11に接続されている。バッファ回路50の出力端(NOT回路52の出力端)は、中間ノードn2に接続されている。NOT回路51、52の電源入力端は、第1の電源入力端子12に接続された第1の電源入力ノードn3に接続されている。バッファ回路50は、信号入力端子11に入力される選択信号PSELの電位が電源レベル(ハイレベル)の場合、第1の電源入力端子12に接続される外部電源装置(図示せず)から供給される電源電圧Vextの電位と同じ電位(ハイレベル)の出力信号を中間ノードn2に出力する。一方、バッファ回路50は、信号入力端子11に入力される選択信号PSELの電位がグランドレベル(ローレベル)の場合、グランドレベル(ローレベル)の出力信号を中間ノードn2に出力する。
【0015】
中間ノードn2には、抵抗素子R2の一端が接続されている。抵抗素子R2の他端は、グランドラインに接続されている。抵抗素子R2は、本発明における第2の抵抗素子の一例である。
【0016】
電源切り替え回路40は、NOT回路41、42、pチャネル型のトランジスタP1~P6、nチャネル型のトランジスタN2、N3及び抵抗素子R3~R6を含んで構成されている。NOT回路41は入力端が中間ノードn2に接続され、出力端がトランジスタP1のゲートに接続され、電源入力端が第1の電源入力ノードn3に接続されている。NOT回路42は入力端が中間ノードn2に接続され、出力端がトランジスタP2のゲートに接続され、電源入力端が電源出力ノードn1に接続されている。トランジスタP1は、ソースが第1の電源入力ノードn3に接続され、ドレインがトランジスタP2のドレインに接続されている。トランジスタP2のソースは電源出力ノードn1に接続されている。
【0017】
抵抗素子R3は、一端が第2の電源入力ノードn4に接続され、他端がトランジスタN2のドレイン及びトランジスタP5のゲートに接続されている。トランジスタN2は、ソースがグランドラインに接続され、ゲートが中間ノードn2に接続されている。トランジスタP5は、ソースが第2の電源入力ノードn4に接続され、ドレインが抵抗素子R4の一端及びトランジスタP3のゲートに接続されている。抵抗素子R4の他端はグランドラインに接続されている。トランジスタP3は、ソースが第2の電源入力ノードn4に接続され、ドレインがトランジスタP4のドレインに接続されている。
【0018】
抵抗素子R5は、一端が電源出力ノードn1に接続され、他端がトランジスタN3のドレイン及びトランジスタP6のゲートに接続されている。トランジスタN3は、ソースがグランドラインに接続され、ゲートが中間ノードn2に接続されている。トランジスタP6は、ソースが電源出力ノードn1に接続され、ドレインが抵抗素子R6の一端及びトランジスタP4のゲートに接続されている。抵抗素子R6の他端はグランドラインに接続されている。トランジスタP4は、ソースが電源出力ノードn1に接続され、ドレインがトランジスタP3のドレインに接続されている。
【0019】
電源切り替え回路40は、選択信号PSELに基づいて、電源出力ノードn1に接続される電源を替える。例えば、選択信号PSELによって第1の電源入力端子12に接続される外部電源装置(図示せず)が選択された場合、第1の電源入力ノードn3が電源出力ノードn1に接続される。この場合、第1の電源入力端子12に入力される外部電源装置からの電源電圧Vextが電源出力ノードn1に接続された電源出力端子14から出力電圧Voutとして出力される。一方、選択信号PSELによって第2の電源入力端子13に接続される整流器が選択された場合、第2の電源入力ノードn4が電源出力ノードn1に接続される。この場合、第2の電源入力端子13に入力される整流器からの電源電圧Vrecが電源出力端子14から出力電圧Voutとして出力される。
【0020】
電源出力端子14には、図示しない内部回路が接続されている。内部回路は、電源出力端子14から出力される出力電圧Voutの供給を受けて動作する。スイッチ制御回路30には、この内部回路の動作状態を示す状態信号POCが入力される。本実施形態において、状態信号POCの電位は、内部回路の動作状態が安定状態となるまではグランドレベル(ローレベル)であり、内部回路の動作状態が安定状態となった場合に出力電圧Voutの電位(ハイレベル)となる。内部回路は、例えば、出力電圧Voutの電位とは異なる電位の内部電圧を生成するレギュレータであってもよく、内部電圧の電位が所定のレベルに達して安定した場合に、状態信号POCの電位がハイレベルとなってもよい。内部回路及び電源切り替え装置10は、同一の半導体基板に搭載されていてもよい。
【0021】
スイッチ制御回路30は、状態信号POCに基づいてスイッチ20を制御する。スイッチ制御回路30は、NAND回路31を含んで構成されている。NAND回路31は、一方の入力端が中間ノードn2に接続され、他方の入力端が、状態信号POCが入力される信号入力端子15に接続され、出力端がスイッチ20の制御端子であるトランジスタN1のゲートに接続され、電源入力端が第1の電源入力ノードn3に接続されている。なお、NAND回路31は、本発明における論理回路の一例である。
【0022】
スイッチ制御回路30は、選択信号PSELの電位が電源レベル(ハイレベル)であり且つ状態信号POCの電位が電源レベル(ハイレベル)の場合にグランドレベル(ローレベル)の信号を出力する。この場合、スイッチ20を構成するトランジスタN1はオフ状態となる。一方、スイッチ制御回路30は、選択信号PSEL及び状態信号POCの電位が上記以外の組み合わせとなる場合、電源レベル(ハイレベル)の信号を出力する。この場合、スイッチ20を構成するトランジスタN1はオン状態となる。
【0023】
なお、電源切り替え装置10を構成する各トランジスタN1~N3、P1~P6としてMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)を用いることができるが、これに限定されるものではなく、例えばバイポーラトランジスタを用いることが可能である。
【0024】
以下において以下の第1~第5の各ケースにおける、電源切り替え装置10の動作について説明する。
【0025】
[1]Vext:印加、Vrec:印加、PSEL:ハイレベル
第1のケースは、第1の電源入力端子12に外部電源装置(図示せず)からの電源電圧Vextが入力され、第2の電源入力端子13に整流器(図示せず)からの電源電圧Vrecが入力され、信号入力端子11に電源レベル(ハイレベル)の選択信号PSELが入力されるケースである。なお、初期状態において、内部回路は停止しており、状態信号POCの電位はグランドレベル(ローレベル)であるものとする。従って、初期状態において、NAND回路31の出力信号の電位は電源レベル(ハイレベル)であり、トランジスタN1はオン状態である。トランジスタN1がオン状態となることで、抵抗素子R1には電流が流れる。すなわち、初期状態において、信号入力端子11に電流が流れ込むピンリークが発生する。
【0026】
第1のケースでは、信号入力端子11に電源レベル(ハイレベル)の選択信号PSELが入力されるので、中間ノードn2の電位は電源レベル(ハイレベル)となる。これにより、NOT回路41、42の出力信号はグランドレベル(ローレベル)となり、トランジスタP1及びP2がオン状態となる。また、トランジスタN2、N3がオン状態、トランジスタP5、P6がオン状態となるので、トランジスタP3、P4がオフ状態となる。これにより、電源出力ノードn1は、第1の電源入力ノードn3に接続され、第2の電源入力ノードn4からは切り離される。すなわち、電源出力ノードn1は、第1の電源入力端子12に接続された外部電源装置(図示せず)に接続され、外部電源装置からの電源電圧Vextが、電源出力端子14から出力電圧Voutとして出力される。
【0027】
出力電圧Voutの供給を受けて動作する内部回路(図示せず)の動作状態が安定すると、状態信号POCの電位が電源レベル(ハイレベル)となる。これにより、NAND回路31の出力信号の電位がグランドレベル(ローレベル)に遷移する。これにより、トランジスタN1がオフ状態となり、信号入力端子11におけるピンリークが解消される。
【0028】
図2は、第1のケースにおける電源切り替え装置10の動作の一例を示すタイムチャートである。図2に示すように、時刻t1において、出力電圧Voutが内部回路(図示せず)に供給され、時刻t2において、内部回路の動作状態が安定し、状態信号POCの電位が電源レベル(ハイレベル)となる。時刻t1からt2までの期間、NAND回路31の出力信号の電位は電源レベル(ハイレベル)となり、この期間において、抵抗素子R1にリーク電流が流れるが、時刻t2以降において、NAND回路31の出力信号の電位はグランドレベル(ローレベル)となり、リーク電流(信号入力端子11におけるピンリーク)が解消する。時刻t1から時刻t2までの期間は比較的短いので、この期間における電力消費量はわずかである。
【0029】
[2]Vext:印加、Vrec:印加、PSEL:ローレベル
第2のケースは、第1の電源入力端子12に外部電源装置(図示せず)からの電源電圧Vextが入力され、第2の電源入力端子13に整流器(図示せず)からの電源電圧Vrecが入力され、信号入力端子11にグランドレベル(ローレベル)の選択信号PSELが入力されるケースである。なお、初期状態において、内部回路は停止しており、状態信号POCの電位はグランドレベル(ローレベル)であるものとする。従って、初期状態において、NAND回路31の出力信号の電位は電源レベル(ハイレベル)であり、トランジスタN1はオン状態である。第2のケースでは、選択信号PSELの電位はグランドレベル(ローレベル)であるので、トランジスタN1がオン状態であっても、抵抗素子R1にはリーク電流は流れない。すなわち、第2のケースにおいて、信号入力端子11におけるピンリークは発生しない。
【0030】
第2のケースでは、信号入力端子11にグランドレベル(ハイレベル)の選択信号PSELが入力されるので、中間ノードn2の電位はグランドレベル(ローレベル)となる。これにより、NOT回路41、42の出力信号は電源レベル(ハイレベル)となり、トランジスタP1及びP2がオフ状態となる。また、トランジスタN2、N3がオフ状態、トランジスタP5、P6がオフ状態となるので、トランジスタP3、P4がオン状態となる。これにより、電源出力ノードn1は、第2の電源入力ノードn4に接続され、第1の電源入力ノードn3からは切り離される。すなわち、電源出力ノードn1は、第2の電源入力端子13に接続された整流器(図示せず)に接続され、整流器からの電源電圧Vrecが、電源出力端子14から出力電圧Voutとして出力される。
【0031】
出力電圧Voutの供給を受けて動作する内部回路(図示せず)の動作状態が安定すると、状態信号POCの電位が電源レベル(ハイレベル)となるが、中間ノードn2の電位はグランドレベル(ローレベル)であるので、NAND回路31の出力信号の電位はグランドレベル(ローレベル)を維持する。従って、トランジスタN1はオン状態を維持する。選択信号PSELの電位はグランドレベル(ローレベル)であるので、トランジスタN1がオン状態であっても、抵抗素子R1にはリーク電流は流れない。
【0032】
[3]Vext:印加、Vrec:印加、PSEL:オープン
第3のケースは、第1の電源入力端子12に外部電源装置(図示せず)からの電源電圧Vextが入力され、第2の電源入力端子13に整流器(図示せず)からの電源電圧Vrecが入力され、信号入力端子11がオープンとされる(選択信号PSELが入力されない)ケースである。なお、初期状態において、内部回路は停止しており、状態信号POCの電位はグランドレベル(ローレベル)であるものとする。従って、初期状態において、NAND回路31の出力信号の電位は電源レベル(ハイレベル)であり、トランジスタN1はオン状態である。第3のケースでは、信号入力端子11はオープンであるので、トランジスタN1がオン状態であっても、抵抗素子R1にはリーク電流は流れない。
【0033】
第3のケースでは、トランジスタN1がオン状態となり、信号入力端子11の電位は、プルダウン抵抗として機能する抵抗素子R1によってグランドレベル(ローレベル)に固定される。これにより、第2のケースと同様、電源出力ノードn1は、第2の電源入力端子13に接続された整流器(図示せず)に接続され、整流器からの電源電圧Vrecが、電源出力端子14から出力電圧Voutとして出力される。
【0034】
出力電圧Voutの供給を受けて動作する内部回路(図示せず)の動作状態が安定すると、状態信号POCの電位が電源レベル(ハイレベル)となるが、中間ノードn2の電位はグランドレベル(ローレベル)であるので、NAND回路31の出力信号の電位はグランドレベル(ローレベル)を維持する。従って、トランジスタN1はオン状態を維持する。信号入力端子11はオープンであるので、トランジスタN1がオン状態であっても、抵抗素子R1にはリーク電流は流れない。すなわち、信号入力端子11におけるピンリークは発生しない。
【0035】
[4]Vext:オープン、Vrec:印加、PSEL:ローレベル
第4のケースは、第1の電源入力端子12がオープン(電源電圧Vextが入力されない)、第2の電源入力端子13に整流器(図示せず)からの電源電圧Vrecが入力され、信号入力端子11にグランドレベル(ローレベル)の選択信号PSELが入力されるケースである。第4のケースでは、NAND回路31への電源供給がないので、NAND回路31はトランジスタN1を駆動することができない。従って、トランジスN1はオフ状態を維持する。また、NOT回路51、52への電源供給もなされない。
【0036】
第4のケースでは、中間ノードn2の電位は抵抗素子R2によってグランドレベル(ローレベル)に固定される。これにより、第2のケースと同様、電源出力ノードn1は、第2の電源入力端子13に接続された整流器(図示せず)に接続され、整流器からの電源電圧Vrecが電源出力端子14から出力電圧Voutとして出力される。第4のケースでは、トランジスN1はオフ状態を維持するので、抵抗素子R1にリーク電流が流れることはない。すなわち、信号入力端子11におけるピンリークは発生しない。
【0037】
[5]Vext:オープン、Vrec:印加、PSEL:オープン
第5のケースは、第1の電源入力端子12がオープン(電源電圧Vextが入力されない)、第2の電源入力端子13に整流器(図示せず)からの電源電圧Vrecが入力され、信号入力端子11がオープンとされる(選択信号PSELが入力されない)ケースである。第5のケースでは、第4のケースと同様、中間ノードn2の電位は抵抗素子R2よってグランドレベル(ローレベル)に固定される。これにより、第2のケースと同様、電源出力ノードn1は、第2の電源入力端子13に接続された整流器(図示せず)に接続され、整流器からの電源電圧Vrecが、電源出力端子14から出力電圧Voutとして出力される。第5のケースにおいては、第4のケースと同様、トランジスN1はオフ状態を維持するので、抵抗素子R1にリーク電流が流れることはない。すなわち、信号入力端子11におけるピンリークは発生しない。
【0038】
以上のように、本発明の実施形態に係る電源切り替え装置10は、複数の電源の何れかを選択するための選択信号PSELが入力される信号入力端子11と、選択信号PSELに基づいて、電源出力ノードn1に接続される電源を替える電源切り替え回路40と、信号入力端子11に抵抗素子R1を介して接続され、オン状態となることにより信号入力端子11の電位をグランドレベルに固定するスイッチ20と、を備える。また、電源切り替え装置10は、スイッチ制御回路30を備える。スイッチ制御回路30は、選択信号PSELの電位がグランドレベルよりも高い電源レベル(ハイレベル)となる場合に、状態信号POCに基づいてスイッチ20をオフ状態に制御する。また、スイッチ制御回路30は、選択信号PSELの入力がない場合には、スイッチ20をオン状態に制御する。
【0039】
本発明の第1の実施形態に係る電源切り替え装置10によれば、選択信号PSELによって複数の電源のうち使用する電源を切り替えることが可能である。また、選択信号PSELが入力されない場合、すなわち信号入力端子11がオープンとされる場合であっても、スイッチ制御回路30によってスイッチ20がオン状態とされ、プルダウン抵抗として機能する抵抗素子R1によって信号入力端子11の電位はグランドレベルに固定される。これにより、電源切り替え回路42における電源の選択動作が不安定となることを防止できる。
【0040】
また、信号入力端子11に電源レベル(ハイレベル)の選択信号PSELが入力される場合、プルダウン抵抗として機能する抵抗素子R1に一時的にリーク電流が流れるものの、スイッチ制御回路30は状態信号POCに基づいてスイッチ20をオフ状態に制御するので、抵抗素子R1にリーク電流が流れ続けることを防止できる。すなわち、本発明の第1の実施形態に係る電源切り替え装置10によれば、信号入力端子11のプルダウンに伴う電流リーク(ピンリーク)を抑制することが可能である。また、スイッチ制御回路30は、内部回路の状態が安定状態となった場合にスイッチ20をオフ状態に制御するので、適切なタイミングでスイッチ20をオフ状態に移行させることができる。
【0041】
[第2の実施形態]
図3は、本発明の第2の実施形態に係る電源切り替え装置10Aの構成の一例を示す図である。上記した第1の実施形態に係る電源切り替え装置10は、プルダウン抵抗として機能する抵抗素子R1によって、選択信号PSELの入力がない場合に、信号入力端子11の電位をグランドレベルに固定するものであった。これに対して、第2の実施形態に係る電源切り替え装置10Aは、プルアップ抵抗として機能する抵抗素子R1によって、選択信号PSELの入力がない場合に、信号入力端子11の電位を電源レベルに固定する。
【0042】
電源切り替え装置10Aにおいて、スイッチ20はpチャネル型のトランジスタP7によって構成されている。トランジスタP7は、ソースが第1の電源入力ノードn3に接続され、ドレインが抵抗素子R1の一端に接続されている。抵抗素子R1の他端は、信号入力端子11に接続されている。
【0043】
電源切り替え装置10Aにおいて、スイッチ制御回路30は、NOR回路32及びNOT回路33を含んで構成されている。NOT回路33の入力端は、状態信号POCが入力される信号入力端子15に接続されている。NOT回路33の出力端は、NOR回路32の一方の入力端に接続されている。NOR回路32は、他方の入力端が中間ノードn2に接続され、出力端がスイッチ20の制御端子であるトランジスタP7のゲートに接続されている。NOR回路32及びNOT回路33の電源入力端は、第1の電源入力ノードn3に接続されている。抵抗素子R2は、一端が第1の電源入力ノードn3に接続され、他端が中間ノードn2に接続されている。電源切り替え装置10Aにおける上記以外の構成は、第1の実施形態に係る電源切り替え装置10と同じである。
【0044】
第2の実施形態に係る電源切り替え装置10Aによれば、第1の実施形態に係る電源切り替え装置10と同様、選択信号PSELの電位が電源レベル(ハイレベル)の場合、電源出力ノードn1は、第1の電源入力端子12に接続された外部電源装置(図示せず)に接続され、外部電源装置からの電源電圧Vextが、電源出力端子14から出力電圧Voutとして出力される。選択信号PSELの電位が電源レベル(ハイレベル)である場合、トランジスタP1がオン状態であっても、抵抗素子R1にはリーク電流は流れない。
【0045】
選択信号PSELの電位がグランドレベル(ローレベル)の場合、初期状態において、NOR回路32の出力信号の電位はグランドレベル(ローレベル)となり、トランジスタP7はオン状態となる。トランジスタP7がオン状態となることで、抵抗素子R1にはリーク電流が流れる。すなわち、信号入力端子11から電流が流出するピンリークが発生する。選択信号PSELの電位がグランドレベル(ローレベル)の場合、電源出力ノードn1は、第2の電源入力端子13に接続された整流器(図示せず)に接続され、整流器からの電源電圧Vrecが、電源出力端子14から出力電圧Voutとして出力される。
【0046】
出力電圧Voutの供給を受けて動作する内部回路(図示せず)の動作状態が安定すると、状態信号POCの電位が電源レベル(ハイレベル)となる。これにより、NOR回路32の出力信号の電位が電源レベル(ハイレベル)に遷移する。これにより、トランジスタP7がオフ状態となり、信号入力端子11におけるピンリークが解消される。
【0047】
信号入力端子11がオープンである場合(選択信号PSELが入力されない場合)、トランジスタP7はオン状態となり、信号入力端子11の電位は、プルアップ抵抗として機能する抵抗素子R1によって電源レベル(ハイレベル)に固定される。これにより、第1のケースと同様、電源出力ノードn1は、第1の電源入力端子12に接続された外部電源装置(図示せず)に接続され、外部電源装置からの電源電圧Vextが、電源出力端子14から出力電圧Voutとして出力される。
【0048】
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る電源切り替え装置10Aによれば、第1の実施形態に係る電源切り替え装置10と同様、選択信号PSELによって複数の電源のうち使用する電源を切り替えることが可能である。また、選択信号PSELが入力されない場合、すなわち信号入力端子11がオープンとなる場合であっても、スイッチ制御回路30によってスイッチ20がオン状態とされ、プルアップ抵抗として機能する抵抗素子R1によって信号入力端子11の電位は電源レベル(Vext)に固定されるので、電源切り替え回路40における電源の選択動作が不安定となることを防止できる。
【0049】
また、信号入力端子11にグランドレベル(ローレベル)の選択信号PSELが入力される場合、プルアップ抵抗として機能する抵抗素子R1に一時的にリーク電流が流れるものの、スイッチ制御回路30は、状態信号POCに基づいてスイッチ20をオフ状態に制御するので、抵抗素子R1にリーク電流が流れ続けることを防止できる。すなわち、本発明の第2の実施形態に係る電源切り替え装置10によれば、信号入力端子11のプルアップに伴う電流リーク(ピンリーク)を抑制することが可能である。
【0050】
なお、以上の説明では、2つの電源を選択的に使用する場合を例示したが、3つ以上の電源を選択的に使用するように電源切り替え装置を構成することも可能である。また、電源切り替え装置に接続される電源として、外部電源装置及び整流器を例示したが、これらに限定されるものではなく、本発明に係る電源切り替え装置に接続される電源として、あらゆる電源を適用することが可能である。
【0051】
また、状態信号POCによって動作状態が示される内部回路としてレギュレータを例示したが、これに限定されるもではなく、状態信号POCによって動作状態が示される内部回路として、あらゆる回路を適用することができる。また、状態信号POCによって示される内部回路の動作状態が安定状態である場合に、スイッチ20をオフ状態に制御する場合を例示したが、これに限定されるものではなく、状態態信号POCによって示される内部回路の動作状態が安定状態以外の特定の状態になった場合に、スイッチ20をオフ状態に制御してもよい。
【0052】
また、スイッチ制御回路30を構成する論理回路としてNAND回路31及びNOR回路32を例示したが、これらに限定されるものではない。状態信号POCによって示される内部回路の状態に対する論理値の割り当ては、任意に定めることが可能であり、論理値の割り当てに応じてスイッチ制御回路30を構成する論理回路が適宜構成される。
【符号の説明】
【0053】
10、10A 電源切り替え装置
11 信号入力端子
12 第1の電源入力端子
13 第2の電源入力端子
14 電源出力端子
20 スイッチ
30 スイッチ制御回路
31 NAND回路
32 NOR回路
40 電源切り替え回路
50 バッファ回路
PSEL 選択信号
POC 状態信号
PSEL 選択信号
N1~N3、P1~P7 トランジスタ
R1~R6 抵抗素子
n1 電源出力ノード
n2 中間ノード
n3 第1の電源入力ノード
n4 第2の電源入力ノード
図1
図2
図3