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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 7/00 20060101AFI20240625BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240625BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20240625BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20240625BHJP
   B24B 47/04 20060101ALI20240625BHJP
   B23Q 7/08 20060101ALI20240625BHJP
   B23Q 7/03 20060101ALI20240625BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B24B7/00 A
H01L21/68 A
B24B7/04 A
B24B41/06 A
B24B47/04
B23Q7/08 B
B23Q7/03 A
B23Q7/04 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020126287
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2022023378
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】山中 聡
(72)【発明者】
【氏名】万波 秀年
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-008876(JP,A)
【文献】特開2014-065126(JP,A)
【文献】特開2017-112227(JP,A)
【文献】特開2009-253225(JP,A)
【文献】特開2016-068155(JP,A)
【文献】特開平01-205438(JP,A)
【文献】特開2020-055080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 7/00 - 7/30
B24B 41/06
B24B 47/04
B23Q 7/00 - 7/18
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面によって板状ワークを保持する保持手段と、該保持面に保持された板状ワークを加工する加工手段と、上下方向に隙間をあけて複数の板状ワークを収容する棚を備えたカセットを載置するためのカセットステージと、該カセットから取り出された板状ワークを仮置きするための仮置き手段と、該仮置き手段に仮置きされた板状ワークを該保持面に搬送する搬送手段とを少なくとも備える加工装置であって、
該保持手段は、該保持面を複数備え、
該仮置き手段は、
エアを介して板状ワークの下面を非接触で支持するために、上面に開口されたエアを噴出するエア噴射孔を有し、該カセットから該搬送手段の受取位置に延在するエアスライダと、
該エアを介して該エアスライダの該上面に非接触で支持された板状ワークを、該エアスライダの延在方向に移動させるスライダ移動手段と、
該スライダ移動手段によって移動される板状ワークを、該搬送手段の該受取位置で停止させる停止手段と、を備え、該保持面の数に対応した枚数の板状ワークを仮置き可能であって、
該搬送手段は、複数の板状ワークを同時に保持する保持部と、該保持部を該仮置き手段から該保持手段へ移動させる移動手段とを備え、
該移動手段による該保持部の一度の動作で、該仮置き手段に仮置きされた複数の板状ワークを受け取り、該保持面に搬送する、
加工装置。
【請求項2】
該スライダ移動手段は、該エアスライダの上面に非接触で支持された板状ワークの一方の縁を該受取位置に向かって押す押し機構を備え、
該停止手段は、該受取位置に移動した板状ワークの他方の縁に接触するストッパを備える、
請求項記載の加工装置。
【請求項3】
該エア噴射孔は、
エアが板状ワークの移動方向に流れるように、該エアスライダの該上面に垂直な方向から移動方向に傾けられて形成された、該スライダ移動手段としての順エア噴射孔と、
該順エア噴射孔から噴射されたエアの流れに対向するエアの流れを形成するように、該順エア噴射孔の傾きに対向する傾きを有する、該停止手段としての逆エア噴射孔と、を備え、
該仮置き手段は、該順エア噴射孔から噴射されたエアの流れと該逆エア噴射孔から噴射されたエアの流れとによって、該受取位置において非接触で板状ワークを支持する、
請求項記載の加工装置。
【請求項4】
該仮置き手段は、
板状ワークの両側下面を各々支持する第1レールおよび第2レールからなる第1レーンと、
該第1レーンに並列に配置され、該第1レーンと同様に板状ワークの両側下面を各々支持する第3レールおよび第4レールからなる第2レーンと、
該第1レーンおよび該第2レーンの幅を同時に調整可能な幅変更手段とを備え、
該幅変更手段は、
該第2レールに形成される第1雌ネジと、
該第3レールに該第1雌ネジと同じネジピッチで形成される第2雌ネジと、
該第4レールに該第1雌ネジおよび該第2雌ネジのネジピッチの倍のネジピッチで形成される第3雌ネジと、
該第1雌ネジおよび該第2雌ネジに螺合する第1雄ネジ、および、該第3雌ネジに螺合する第2雄ネジを備えるシャフトと、
該シャフトを回転させる回転手段と、を備え、
該幅変更手段は、該シャフトを回転させることによって、該第1レーンおよび該第2レーンの幅を同時に広げたり狭めたりすることを可能とする、
請求項記載の加工装置。
【請求項5】
保持面によって板状ワークを保持する保持手段と、該保持面に保持された板状ワークを加工する加工手段と、上下方向に隙間をあけて複数の板状ワークを収容する棚を備えたカセットを載置するためのカセットステージと、該カセットから取り出された板状ワークを仮置きするための仮置き手段と、該仮置き手段に仮置きされた板状ワークを該保持面に搬送する搬送手段とを少なくとも備える加工装置であって、
該保持手段は、該保持面を複数備え、
該仮置き手段は、
無端ベルトと、
該無端ベルトを回転させる回転機構と、
該無端ベルトの上面に載置された板状ワークが該搬送手段の受取位置に到達したことを検知する先端センサと、を備え、該保持面の数に対応した枚数の板状ワークを仮置き可能であって、
該搬送手段は、複数の板状ワークを同時に保持する保持部と、該保持部を該仮置き手段から該保持手段へ移動させる移動手段と、を備え、
該移動手段による該保持部の一度の動作で、該仮置き手段に仮置きされた複数の板状ワークを受け取り、該保持面に搬送する、
加工装置。
【請求項6】
該カセットから取り出され該無端ベルトに載置された板状ワークを検知する検知センサと、
板状ワークの大きさ(長さおよび幅)を設定する大きさ設定部と、
該回転機構によって該無端ベルトを所定の回転速度で回転させる速度設定部と、
該大きさ設定部によって大きさが設定された板状ワークが、該速度設定部によって設定された速度で移動した際に、該検知センサが該板状ワークの一方の縁を検知してから他方の縁を検知するまでの時間を測定する時間測定部と、
該速度設定部によって設定された該無端ベルトの回転速度と該時間測定部によって測定された時間とから、板状ワークの大きさを算出する大きさ算出部と、
該大きさ設定部によって設定された板状ワークの大きさよりも、該大きさ算出部によって算出された板状ワークの大きさが小さいときに、該無端ベルトの回転に不具合があると判断する判断部と、をさらに備える、
請求項記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
板状ワークをチャックテーブルの保持面によって保持し、板状ワークの上面を研削砥石によって研削する研削装置では、たとえば特許文献1に開示のように、保持面によって、複数の板状ワークを保持することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-55080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保持面によって複数の板状ワークを保持する際には、搬送手段によって、板状ワークが、一枚ずつ、複数回にわたって、保持面に搬送される。
【0005】
そのため、研削加工にかかる研削加工時間よりも、研削後の板状ワークを保持面から搬出すること、および、その後に保持面に新たな板状ワークを搬入することにかかる搬送時間の方が長くなる。このため、研削手段に待ち時間が生じている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、研削手段の待ち時間を短縮して、研削装置における生産性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の加工装置(本加工装置)は、保持面によって板状ワークを保持する保持手段と、該保持面に保持された板状ワークを加工する加工手段と、上下方向に隙間をあけて複数の板状ワークを収容する棚を備えたカセットを載置するためのカセットステージと、該カセットから取り出された板状ワークを仮置きするための仮置き手段と、該仮置き手段に仮置きされた板状ワークを該保持面に搬送する搬送手段とを少なくとも備える加工装置であって、該保持手段は、該保持面を複数備え、該仮置き手段は、エアを介して板状ワークの下面を非接触で支持するために、上面に開口されたエアを噴出するエア噴射孔を有し、該カセットから該搬送手段の受取位置に延在するエアスライダと、該エアを介して該エアスライダの該上面に非接触で支持された板状ワークを、該エアスライダの延在方向に移動させるスライダ移動手段と、該スライダ移動手段によって移動される板状ワークを、該搬送手段の該受取位置で停止させる停止手段と、を備え、該保持面の数に対応した枚数の板状ワークを仮置き可能であって、該搬送手段は、複数の板状ワークを同時に保持する保持部と、該保持部を該仮置き手段から該保持手段へ移動させる移動手段とを備え、該移動手段による該保持部の一度の動作で、該仮置き手段に仮置きされた複数の板状ワークを受け取り、該保持面に搬送する。
【0009】
この場合、該スライダ移動手段は、該エアスライダの上面に非接触で支持された板状ワークの一方の縁を該受取位置に向かって押す押し機構を備えてもよく、該停止手段は、該受取位置に移動した板状ワークの他方の縁に接触するストッパを備えてもよい。
【0010】
あるいは、該エア噴射孔は、エアが板状ワークの移動方向に流れるように、該エアスライダの該上面に垂直な方向から移動方向に傾けられて形成された、該スライダ移動手段としての順エア噴射孔と、該順エア噴射孔から噴射されたエアの流れに対向するエアの流れを形成するように、該順エア噴射孔の傾きに対向する傾きを有する、該停止手段としての逆エア噴射孔と、を備えてもよく、該仮置き手段は、該順エア噴射孔から噴射されたエアの流れと該逆エア噴射孔から噴射されたエアの流れとによって、該受取位置において非接触で板状ワークを支持してもよい。
【0011】
あるいは、該仮置き手段は、板状ワークの両側下面を各々支持する第1レールおよび第2レールからなる第1レーンと、該第1レーンに並列に配置され、該第1レーンと同様に板状ワークの両側下面を各々支持する第3レールおよび第4レールからなる第2レーンと、該第1レーンおよび該第2レーンの幅を同時に調整可能な幅変更手段とを備えてもよく、該幅変更手段は、該第2レールに形成される第1雌ネジと、該第3レールに該第1雌ネジと同じネジピッチで形成される第2雌ネジと、該第4レールに該第1雌ネジおよび該第2雌ネジのネジピッチの倍のネジピッチで形成される第3雌ネジと、該第1雌ネジおよび該第2雌ネジに螺合する第1雄ネジ、および、該第3雌ネジに螺合する第2雄ネジを備えるシャフトと、該シャフトを回転させる回転手段と、を備えてもよく、該幅変更手段は、該シャフトを回転させることによって、該第1レーンおよび該第2レーンの幅を同時に広げたり狭めたりすることを可能とするように構成されていてもよい。
【0012】
また、他の本加工装置は保持面によって板状ワークを保持する保持手段と、該保持面に保持された板状ワークを加工する加工手段と、上下方向に隙間をあけて複数の板状ワークを収容する棚を備えたカセットを載置するためのカセットステージと、該カセットから取り出された板状ワークを仮置きするための仮置き手段と、該仮置き手段に仮置きされた板状ワークを該保持面に搬送する搬送手段とを少なくとも備える加工装置であって、該保持手段は、該保持面を複数備え、該仮置き手段は、無端ベルトと、該無端ベルトを回転させる回転機構と、該無端ベルトの上面に載置された板状ワークが該搬送手段の受取位置に到達したことを検知する先端センサと、を備え、該保持面の数に対応した枚数の板状ワークを仮置き可能であって、該搬送手段は、複数の板状ワークを同時に保持する保持部と、該保持部を該仮置き手段から該保持手段へ移動させる移動手段と、を備え、該移動手段による該保持部の一度の動作で、該仮置き手段に仮置きされた複数の板状ワークを受け取り、該保持面に搬送する。
【0013】
この場合、本加工装置は、該カセットから取り出され該無端ベルトに載置された板状ワークを検知する検知センサと、板状ワークの大きさ(長さおよび幅)を設定する大きさ設定部と、該回転機構によって該無端ベルトを所定の回転速度で回転させる速度設定部と、該大きさ設定部によって大きさが設定された板状ワークが、該速度設定部によって設定された速度で移動した際に、該検知センサが該板状ワークの一方の縁を検知してから他方の縁を検知するまでの時間を測定する時間測定部と、該速度設定部によって設定された該無端ベルトの回転速度と該時間測定部によって測定された時間とから、板状ワークの大きさを算出する大きさ算出部と、該大きさ設定部によって設定された板状ワークの大きさよりも、該大きさ算出部によって算出された板状ワークの大きさが小さいときに、該無端ベルトの回転に不具合があると判断する判断部と、をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本加工装置では、搬送手段は、移動手段による保持部の一度の動作で、仮置き手段に仮置きされた複数の板状ワークを受け取り、保持面に搬送する。すなわち、本加工装置では、仮置き手段に仮り置きされている複数の板状ワークを、1回の搬送動作で保持面に搬送することができる。したがって、保持面に複数の板状ワークを搬送するための搬送時間を短縮することが可能である。これにより、本加工装置では、加工手段の待ち時間を短縮することができる。したがって、加工装置は、高い生産性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態にかかる加工装置の構成を示す斜視図である。
図2】仮置き手段の位置を示す斜視図である。
図3】搬送手段の構成を示す斜視図である。
図4】カセット搬送機構の構成を示す斜視図である。
図5】仮置き手段の構成を示す斜視図である。
図6図6(a)は、第2レールに形成される第1雌ネジを示す断面図であり、図6(b)は、第4レールに形成される第3雌ネジの構成を示す断面図である。
図7図7(a)は、第1案内レールの構成を示す斜視図であり、図7(b)は、第1案内レールの構成を示す説明図である。
図8】第1案内レール上を板状ワークが移動する様子を示す説明図である。
図9】第1レール上を板状ワークが移動する様子を示す説明図である。
図10】第1レール上において板状ワークが停止する様子を示す説明図である。
図11】第1ベルト移動手段の構成を示す斜視図である。
図12】第2ベルト移動手段の構成を示す斜視図である。
図13】仮置き手段の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、本実施形態にかかる加工装置1は、粗研削部10、仕上げ研削部30および制御部7を備え、制御部7による制御によって、粗研削部10および仕上げ研削部30により、四角形の板状ワーク2を研削加工するものである。
【0017】
加工装置1は、第1の装置ベース3と、第1の装置ベース3の後方(+Y方向側)に配置された第2の装置ベース5とを有している。第1の装置ベース3上では、板状ワーク2の搬出入等が行われる。第2の装置ベース5上では、粗研削部10または仕上げ研削部30によって、板状ワーク2が加工される。
【0018】
第1の装置ベース3の正面側(-Y方向側)には、カセットステージ40およびストッカー50が設けられている。カセットステージ40には、加工前の板状ワーク2が収容されているカセット41が載置されている。ストッカー50には、加工前の板状ワーク2が収容されている同様のカセット41が、複数、載置されることが可能である。
【0019】
カセット41は、上下方向に隙間をあけて複数の板状ワーク2を収容する棚を備えている。各棚に一枚ずつ、板状ワーク2が収容されている。
【0020】
カセット41は、+Y方向側を向く開口を有している。この開口の+Y方向側には、ロボット155が配設されている。ロボット155は、加工後の板状ワーク2を、図示しない加工済みワーク収容用のカセットに搬入(収納)する。
【0021】
また、ロボット155は、カセット41から加工前の板状ワーク2を取り出して、図2に示す仮置き手段200に載置する。仮置き手段200は、図1に示すように、カセットステージ40の+Y方向側の、破線によって示す仮置き空間190に備えられている。仮置き手段200は、カセット41から取り出された板状ワーク2を仮置きするために用いられる。
【0022】
また、図1に示すように、仮置き空間190の+Y方向側における第2の装置ベース5上には、粗研削部10および仕上げ研削部30が配置されている。
【0023】
粗研削部10は、板状ワーク2を保持するための第1チャックテーブル13を備えている。第1チャックテーブル13は、板状ワーク2を保持するための保持手段の一例であり、板状ワーク2を吸引保持する2つの第1保持面12を備えている。各第1保持面12は、図示しない吸引源に連通されて、1枚の板状ワーク2を吸引保持することが可能である。したがって、本実施形態では、第1チャックテーブル13は、2つの第1保持面12によって、2枚の板状ワーク2を同時に保持することが可能である。
【0024】
第1チャックテーブル13は、第1保持面12によって板状ワーク2を吸引保持した状態で、第1保持面12の中心を通りZ軸方向に延在する中心軸を中心として、回転可能である。
【0025】
また、第2の装置ベース5上の後方(+Y方向側)には、第1のコラム14が立設されている。そして、粗研削部10は、第1のコラム14の前面に、板状ワーク2を粗研削する粗研削手段15、および、粗研削手段15を研削送りする粗研削送り手段11を備えている。
【0026】
粗研削手段15は、第1保持面12に保持された板状ワーク2を加工する加工手段の一例であり、粗研削砥石18を有する粗研削ホイール17を備えている。粗研削砥石18は、加工具の一例であり、比較的大きな砥粒を含む砥石である。
【0027】
さらに、粗研削部10は、第1チャックテーブル13の第1保持面12に保持された板状ワーク2の厚みを測定するための第1ハイトゲージ19を備えている。
【0028】
粗研削部10では、粗研削手段15のスピンドル16の回転により回転される粗研削砥石18によって、第1チャックテーブル13の第1保持面12に保持された板状ワーク2が粗研削される。
【0029】
仕上げ研削部30は、板状ワーク2を保持するための第2チャックテーブル33を備えている。第2チャックテーブル33は、板状ワーク2を保持するための保持手段の一例であり、板状ワーク2を吸引保持する2つの第2保持面32を備えている。各第2保持面32は、図示しない吸引源に連通されて、1枚の板状ワーク2を吸引保持することが可能である。したがって、本実施形態では、第2チャックテーブル33は、2つの第2保持面32によって、2枚の板状ワーク2を同時に保持することが可能である。
【0030】
第2チャックテーブル33は、第2保持面32によって板状ワーク2を吸引保持した状態で、第2保持面32の中心を通りZ軸方向に延在する中心軸を中心として、回転可能である。
【0031】
また、第2の装置ベース5上の後方では、第1のコラム14に隣接するように、第2のコラム34が立設されている。そして、仕上げ研削部30は、第2のコラム34の前面に、板状ワーク2を仕上げ研削する仕上げ研削手段35、および、仕上げ研削手段35を研削送りする仕上げ研削送り手段31を備えている。
【0032】
仕上げ研削手段35は、第2保持面32に保持された板状ワーク2を加工する加工手段の一例であり、仕上げ研削砥石38を有する仕上げ研削ホイール37を備えている。仕上げ研削砥石38は、加工具の一例であり、比較的に小さな砥粒を含む砥石である。
【0033】
さらに、仕上げ研削部30は、第2チャックテーブル33の第2保持面32に保持された板状ワーク2の厚みを測定するための第2ハイトゲージ39を備えている。
【0034】
仕上げ研削部30では、仕上げ研削手段35のスピンドル36の回転により回転される仕上げ研削砥石38によって、第2チャックテーブル33の第2保持面32に保持された板状ワーク2が仕上げ研削される。
【0035】
また、第2の装置ベース5上の粗研削部10と仕上げ研削部30との間における、図1において破線によって示す搬送空間170には、粗研削部10用および仕上げ研削部30用の、2台の搬送手段100(図3参照)が備えられている。
【0036】
図3には、粗研削部10用の搬送手段100を示している。粗研削部10用の搬送手段100は、Y軸方向に延びる筐体板101における-X方向側の面に、複数の板状ワーク2を同時に保持する保持部140、および、保持部140を移動させる移動手段110を備えている。
【0037】
移動手段110は、保持部140をZ軸方向に移動させるためのZ軸移動機構130、ならびに、保持部140およびZ軸移動機構130をY軸方向に移動させるためのY軸移動機構120を備えている。
【0038】
Y軸移動機構120は、Y軸方向に延びる一対のガイドレール123、ガイドレール123に載置されたY軸テーブル124、ガイドレール123と平行に延びるボールネジ125、および、ボールネジ125を回転させる駆動モータ126を含んでいる。
【0039】
一対のガイドレール123は、Y軸方向に平行に、筐体板101の前面に配置されている。Y軸テーブル124は、一対のガイドレール123上に、これらのガイドレール123に沿ってスライド可能に設置されている。Y軸テーブル124上には、Z軸移動機構130および保持部140が取り付けられている。
【0040】
ボールネジ125は、Y軸テーブル124に設けられたナット部(図示せず)に螺合されている。駆動モータ126は、ボールネジ125の一端部に連結されており、ボールネジ125を回転駆動する。ボールネジ125が回転駆動されることで、Y軸テーブル124、Z軸移動機構130および保持部140が、ガイドレール123に沿って、Y軸方向に移動する。
【0041】
Z軸移動機構130は、取付板134、Z軸方向に延びるガイドレール131、ガイドレール131上に載置されたZ軸テーブル132、ガイドレール131と平行に延びるボールネジ133、ボールネジ133を回転させる駆動モータ135、および、保持部140を支持するアーム137を備えている。
【0042】
取付板134は、Y軸テーブル124の側面に配置されている。ガイドレール131は、Z軸方向に平行に、取付板134に配置されている。Z軸テーブル132は、ガイドレール131上に、ガイドレール131に沿ってスライド可能に設置されている。Z軸テーブル132上には、アーム137が取り付けられている。
【0043】
ボールネジ133は、Z軸テーブル132に設けられたナット部(図示せず)に螺合されている。駆動モータ135は、ボールネジ133の一端部に連結されており、ボールネジ133を回転駆動する。ボールネジ133が回転駆動されることで、Z軸テーブル132、アーム137、および、アーム137に支持された保持部140が、ガイドレール131に沿って、Z軸方向に移動する。
【0044】
アーム137は、Z軸テーブル132に取り付けられており、X軸方向に沿って延びている。
【0045】
保持部140は、アーム137の先端に支持されている。保持部140は、アーム137を挟むように設けられた一対の保持板141、および、保持板141に2つずつ備えられた吸引パッド142を有している。吸引パッド142は、図示しない吸引源に連通されることにより、板状ワーク2を吸引保持することが可能である。このように、保持部140は、1枚の保持板141に複数の吸引パッド142を備えているため、複数の板状ワーク2を同時に保持することが可能である。
【0046】
粗研削部10用の搬送手段100では、複数の板状ワーク2を保持している保持部140を、移動手段110によって、仮置き手段200から第1チャックテーブル13へ移動させる。すなわち、この搬送手段100は、仮置き手段200に仮置きされた2枚の板状ワーク2を、保持部140によって同時に保持し、粗研削部10の第1チャックテーブル13の2つの第1保持面12に搬送および載置する。
このように、搬送手段100では、移動手段110による保持部140の一度の動作で、仮置き手段200に仮置きされた複数の板状ワーク2を受け取り、第1保持面12に搬送する。
【0047】
また、粗研削部10用の搬送手段100は、粗研削後、第1チャックテーブル13における2つの第1保持面12上の2枚の板状ワーク2を、保持部140によって同時に保持し、図1に示す中継手段152の中継テーブル154に載置する。
【0048】
中継テーブル154は、粗研削部10によって粗研削された板状ワーク2を、仕上げ研削部30に移動させるために用いられる。中継テーブル154は、2枚の板状ワーク2を載置できるように構成されている。中継手段152は、さらに、中継テーブル154をX軸方向に移動させるための移動手段153を有している。
【0049】
搬送手段100によって板状ワーク2が中継手段152の中継テーブル154に載置される際には、中継手段152は、移動手段153によって、中継テーブル154を、-X方向側の粗研削位置(図1に示されている中継テーブル154の位置)に配置しておく。
【0050】
粗研削後の板状ワーク2が中継手段152の中継テーブル154に載置された後、中継手段152は、移動手段153によって、中継テーブル154を、-X方向側の粗研削位置から、+X方向側の仕上げ研削位置に移動させる。
【0051】
また、搬送空間170には、粗研削部10用の搬送手段100の+X方向側に、仕上げ研削部30用の搬送手段100も配置されている。仕上げ研削部30用の搬送手段100は、図3に示した粗研削部10用の搬送手段100の構成において、筐体板101の+X方向側の面に、保持部140、および、搬送手段100(Z軸移動機構130およびY軸移動機構120)を有するように構成されている。
【0052】
仕上げ研削部30用の搬送手段100は、+X方向側の仕上げ研削位置にある中継テーブル154に仮置きされた2枚の板状ワーク2を、保持部140によって同時に保持し、仕上げ研削部30の第2チャックテーブル33における2つの第2保持面32に搬送および載置する。
【0053】
また、仕上げ研削部30用の搬送手段100は、仕上げ研削後、第2チャックテーブル33における2つの第2保持面32上の2枚の板状ワーク2を、保持部140によって同時に保持し、図1に示す洗浄手段156のスピンナテーブル157に搬送する。
【0054】
洗浄手段156は、板状ワーク2を洗浄するスピンナ洗浄ユニットである。洗浄手段156は、板状ワーク2を保持するスピンナテーブル157、および、スピンナテーブル157に向けて洗浄水および乾燥エアを噴射するノズル158を備えている。スピンナテーブル157は、2枚の板状ワーク2を同時に保持できるように構成されている。
【0055】
洗浄手段156では、板状ワーク2を保持したスピンナテーブル157が回転するとともに、板状ワーク2に向けて洗浄水が噴射されて、板状ワーク2がスピンナ洗浄される。その後、板状ワーク2に乾燥エアが吹き付けられて、板状ワーク2が乾燥される。
【0056】
洗浄手段156によって洗浄された板状ワーク2は、ロボット155により、加工済みワーク収容用のカセットに搬入される。
【0057】
また、図1に示すように、ストッカー50は、直方体状のテーブル51、および、テーブル51とカセット41との間に介在されるアダプタプレート52を備えている。カセット41は、このアダプタプレート52の上面に載置される。
【0058】
また、テーブル51上には、各アダプタプレート52に対応する3つのプレート支持部511が設けられている。アダプタプレート52は、テーブル51上において、これら3つのプレート支持部511によって位置決めされる。
【0059】
また、加工装置1には、図1に示すように、ロボット155の上部に、破線によって示すカセット搬送空間180が設けられている。このカセット搬送空間180には、ストッカー50に載置されたカセット41をカセットステージ40に搬送するための、図4に示すカセット搬送機構60が備えられている。
【0060】
カセット搬送機構60は、カセット41を載せたアダプタプレート52を支持する支持機構70と、支持機構70をストッカー50とカセットステージ40との間で移動させる移動機構62と、を備えている。
【0061】
移動機構62は、カセット搬送機構60のX軸方向に延びる筐体板61の前面(-Y方向側の面)に設けられている。移動機構62は、支持機構70をX軸方向に移動させるX軸移動機構63、および支持機構70をZ軸方向に移動させるZ軸移動機構64を備えている。
【0062】
カセット搬送機構60は、テーブル51のアダプタプレート52上に配置されているカセット41を、支持機構70によってアダプタプレート52ごと支持し、移動機構62によってカセットステージ40に搬送するように構成されている。
【0063】
ここで、上述した仮置き手段200の構成について説明する。仮置き手段200は、第1チャックテーブル13(第2チャックテーブル33)の有する第1保持面12(第2保持面32)の数に対応した枚数の板状ワーク2を仮置き可能なように構成されている。したがって、本実施形態では、仮置き手段200には、2枚の板状ワーク2を仮置きすることが可能である。
【0064】
図5に示すように、仮置き手段200は、基台201、第1レーン211および第2レーン215を含む仮置きレーン部210、第1レーン211および第2レーン215の幅を調整するための幅変更手段220、仮置きレーン部210のX軸方向における位置を調整する位置調整手段230、および、仮置きレーン部210に板状ワーク2を案内する案内レーン250を備えている。
【0065】
位置調整手段230は、幅変更手段220および仮置きレーン部210を支持しており、これらのX軸方向における位置を調整する。
【0066】
位置調整手段230は、X軸方向に延びる一対のガイドレール231、ガイドレール231に載置されたX軸テーブル234、ガイドレール231と平行に延びるボールネジ232、および、ボールネジ232を回転させる駆動モータ233を含んでいる。
【0067】
一対のガイドレール231は、X軸方向に平行に、基台201上に配置されている。X軸テーブル234は、一対のガイドレール231上に、これらのガイドレール231に沿ってスライド可能に設置されている。X軸テーブル234上には、幅変更手段220および仮置きレーン部210が配置されている。
【0068】
ボールネジ232は、X軸テーブル234に設けられたナット部(図示せず)に螺合されている。駆動モータ233は、ボールネジ232の一端部に連結されており、ボールネジ232を回転駆動する。ボールネジ232が回転駆動されることで、X軸テーブル234、幅変更手段220および仮置きレーン部210が、ガイドレール231に沿って、X軸方向に移動する。これにより、幅変更手段220および仮置きレーン部210におけるX軸方向での位置を調整することができる。
【0069】
仮置きレーン部210における+Y方向側は、搬送手段100(図3参照)の受取位置、すなわち、第1チャックテーブル13に搬送するための板状ワーク2を搬送手段100が受け取る位置に配置されている。仮置きレーン部210は、第1レーン211および第2レーン215を備えている。第1レーン211は、板状ワーク2の両側下面を各々支持する第1レール212および第2レール213を有している。これら第1レール212および第2レール213は、Y軸方向に沿って延びている。
【0070】
第2レーン215は、第1レーン211と並列に配置されている。第2レーン215は、第1レーン211と同様に、板状ワーク2の両側下面を各々支持する第3レール216および第4レール217を有している。これら第3レール216および第4レール217は、Y軸方向に沿って延びている。
また、本実施形態では、第2レーン215の第3レール216は、第1レーン211の第2レール213に隣接している。
【0071】
幅変更手段220は、第1レーン211および第2レーン215の幅を同時に調整可能なように構成されている。幅変更手段220は、位置調整手段230のX軸テーブル234の上面に取り付けられた基台229を有している。幅変更手段220は、さらに、基台229上に、X軸方向に延びる一対のガイドレール221を備えている。
【0072】
一対のガイドレール221は、X軸方向に平行に、基台201上に配置されている。この一対のガイドレール221上に、第1レーン211の第2レール213、ならびに、第2レーン215の第3レール216および第4レール217が、ガイドレール221に沿ってスライド可能に設置されている。
なお、第1レール212は、基台229上に固定されている。
【0073】
さらに、幅変更手段220は、図6(a)および図6(b)に示すように、第2レール213に形成される第1雌ネジ241と、第3レール216に形成される第2雌ネジ242と、第4レール217に形成される第3雌ネジ243とを含んでいる。
【0074】
図6(a)に示すように、第3レール216の第1雌ネジ241および第2レール213の第2雌ネジ242は、同じネジピッチP1を有している。また、図6(b)に示すように、第4レール217の第3雌ネジ243は、ネジピッチP1の倍のネジピッチP2を有している(P2=2×P1)。
【0075】
また、図5に示すように、幅変更手段220は、ガイドレール221と平行に延びるシャフト222を有している。シャフト222は、第2レール213の第1雌ネジ241および第3レール216の第2雌ネジ242に螺合するネジピッチP1を有する第1雄ネジ225、ならびに、第4レール217の第3雌ネジ243に螺合するネジピッチP2を有する第2雄ネジ226を備えている。
【0076】
シャフト222は、第1雄ネジ225を第2レール213の第1雌ネジ241および第3レール216の第2雌ネジ242に螺合させるとともに、第2雄ネジ226を第4レール217の第3雌ネジ243に螺合させた状態で、ガイドレール221と平行に延びている。
【0077】
また、幅変更手段220は、基台229上に固定された、シャフト222の末端を回転可能に支持するシャフト支持部224、および、シャフト222の先端に取り付けられた、シャフト222を回転させる駆動モータ233を備えている。駆動モータ233は、回転手段の一例である。
【0078】
幅変更手段220は、駆動モータ233によってシャフト222を回転させることによって、第1レーン211および第2レーン215の幅を、同時に、広げたり狭めたりすることを可能とする。
【0079】
すなわち、第2レール213の第1雌ネジ241および第3レール216の第2雌ネジ242は、たとえば、シャフト222が時計回りに回転する場合、第2レール213および第3レール216がガイドレール221に沿って-X方向に移動するように、シャフト222の第1雄ネジ225に螺合されている。
【0080】
また、第4レール217の第3雌ネジ243も、シャフト222が時計回りに回転する場合、第4レール217がガイドレール221に沿って-X方向に移動するように、シャフト222の第2雄ネジ226に螺合されている。ここで、第4レールの第3雌ネジ243は、第1雌ネジ241および第2雌ネジ242のネジピッチP1の倍のネジピッチP2を有している。このため、シャフト222における時計回りの回転に伴う第4レール217の移動距離は、第2レール213および第3レール216の倍の距離となる。
【0081】
したがって、シャフト222が時計回りに回転すると、第2レール213が-X方向に移動するため、この第2レール213と固定されている第1レール212との間の距離である第1レーン211の幅が広がる。
【0082】
なお、シャフト222における時計回りの回転に伴って、第2レール213に隣接している第3レール216が、第2レール213と同じ距離だけ-X方向に移動する。このため、第2レール213の移動が阻害されることはない。また、第4レール217は、第3レール216の倍の距離を移動する。このため、第3レール216と第4レール217との間の距離である第2レーン215の幅も、第1レーン211と同様に広がる。
【0083】
また、シャフト222を反時計回りに回転させることにより、第2レール213および第3レール216が+X方向に移動するとともに、第4レール217が、第2レール213および第3レール216の倍の距離を移動する。このため、第1レーン211および第2レーン215の幅が、同様に狭められる。
【0084】
このようにして、幅変更手段220では、シャフト222を回転させることによって、第1レーン211および第2レーン215の幅を、板状ワーク2の幅に合わせて、広げたり狭めたりすることが可能となっている。
なお、板状ワーク2の大きさ(長さおよび幅)を設定(取得)する大きさ設定部を備えていてもよい。
【0085】
案内レーン250は、カセット41の+Y方向側に位置している(図2参照)。案内レーン250は、図5に示すように、板状ワーク2の両側下面を各々支持する第1案内レール251および第2案内レール252を有している。これら第1案内レール251および第2案内レール252は、Y軸方向に沿って延びている。案内レーン250の幅である第1案内レール251と第2案内レール252との間の距離は、第1レーン211および第2レーン215の幅と同様となるように構成されている。
【0086】
本実施形態では、位置調整手段230は、仮置きレーン部210における第1レーン211および第2レーン215のいずれかが、案内レーン250と整合する(すなわち、Y軸方向に沿って案内レーン250と並ぶ)ように、仮置きレーン部210のX軸方向における位置を調整する。
【0087】
ここで、仮置き手段200におけるレールの構造について説明する。仮置き手段200における第1レール212、第2レール213、第3レール216、第4レール217、第1案内レール251および第2案内レール252は、雌ネジの有無およびピッチを除いて、同様の構成を有している。そこで、これらのレールの構造について、第1案内レール251を例に説明する。
【0088】
図7(a)に示すように、第1案内レール251は、略L字状の断面を有しており、板状ワーク2の側端部を支持するための段部260を有している。そして、図7(a)および図7(b)に示すように、この段部260の上面には、第1エア噴射孔261が開口されている。第1エア噴射孔261は、エア源270に連通されて、エアを噴出することが可能なように構成されている。第1案内レール251によって支持される板状ワーク2は、第1エア噴射孔261から噴出されるエアにより、段部260から浮いた状態となる。したがって、第1案内レール251は、エアを介して板状ワーク2の下面を非接触で支持するように構成されている。
【0089】
したがって、第1案内レール251および第2案内レール252を含む案内レーン250と、第1レール212および第2レール213を含む第1レーン211および第3レール216および第4レール217を含む第2レーン215とは、エアを介して板状ワーク2の下面を非接触で支持するために、上面に開口されたエアを噴出する第1エア噴射孔261を有し、カセット41から搬送手段100の受取位置に延在するエアスライダとして機能する。
【0090】
また、図5に示すように、案内レーン250における第1案内レール251と第2案内レール252との間には、押し機構253が設けられている。
【0091】
押し機構253は、エアを介して第1案内レール251および第2案内レール252の段部260の上面に非接触で支持された板状ワーク2の一方の縁(-Y方向側の縁)を、搬送手段100の受取位置を含む仮置きレーン部210に向かって、+Y方向に向けて押すように構成されている。
【0092】
押し機構253によって押されることにより、板状ワーク2は、案内レーン250、および、案内レーン250に整合している第1レーン211あるいは第2レーン215上を、エアによって浮いた状態で、+Y方向に向かって、搬送手段100の受取位置にまで移動する。
【0093】
この押し機構253は、エアを介して第1案内レール251および第2案内レール252の段部260の上面に非接触で支持された板状ワーク2を、案内レーン250の延在方向に移動させるスライダ移動手段の一例である。
【0094】
また、図5に示すように、第1レーン211および第2レーン215における+Y方向側の端部には、ストッパ214が設けられている。ストッパ214は、搬送手段100の受取位置にある仮置きレーン部210の+Y方向側に移動した板状ワーク2の他方の縁(+Y方向側の縁)に接触するように構成されている。これにより、ストッパ214は、+Y方向に向かって移動している板状ワーク2を、仮置きレーン部210(第1レーン211あるいは第2レーン215)における搬送手段100の受取位置で停止させる。
【0095】
このストッパ214は、スライダ移動手段としての押し機構253によって移動される板状ワーク2を、搬送手段100の受取位置で停止させる停止手段の一例である。
【0096】
本実施形態における加工動作では、まず、制御部7が、仮置き手段200の幅変更手段220を制御して、加工される板状ワーク2の幅に合わせて、第1レーン211および第2レーン215の幅を変更する。また、制御部7は、案内レーン250の幅も、同様に変更する。
【0097】
次に、制御部7が、仮置き手段200の位置調整手段230を制御することにより、仮置きレーン部210における第1レーン211を、案内レーン250と整合させる。また、制御部7は、仮置き手段200における各レールの第1エア噴射孔261をエア源270に連通させて、第1エア噴射孔261からエアを噴射させる。
【0098】
さらに、制御部7は、図1に示したロボット155を制御して、カセット41から加工前の板状ワーク2を取り出して、図5に示した仮置き手段200の案内レーン250上(第1案内レール251および第2案内レール252上)に載置する。板状ワーク2は、案内レーン250の-Y方向側に、エアによって浮いた状態で支持される。
【0099】
制御部7は、押し機構253を制御して、案内レーン250に支持されている板状ワーク2を、+Y方向に向けて押し、+Y方向に向かって移動させる。移動されている板状ワーク2は、第1レーン211におけるストッパ214に接触して停止する。このようにして、第1レーン211が、搬送手段100の受取位置において、板状ワーク2を支持する。
【0100】
その後、制御部7は、幅変更手段220を制御することにより、仮置きレーン部210における第2レーン215を案内レーン250と整合させる。その後、制御部7は、ロボット155および押し機構253を制御して、上述と同様に、第2レーン215によって、もう1つの板状ワーク2を支持する。
このようにして、仮置き手段200の仮置きレーン部210における搬送手段100の受取位置に、2枚の板状ワーク2が支持される。
【0101】
次に、制御部7は、図3に示した粗研削部10用の搬送手段100を制御して、仮置き手段200の仮置きレーン部210における搬送手段100の受取位置に仮置きされた2枚の板状ワーク2を、保持部140によって同時に保持し、図1に示した粗研削部10の第1チャックテーブル13の2つの第1保持面12に搬送および載置する。その後、制御部7は、粗研削部10を制御して、板状ワーク2に対する粗研削を実施する。
【0102】
さらに、制御部7は、粗研削部10用の搬送手段100を制御して、粗研削された板状ワーク2を中継手段152に搬送し、仕上げ研削部30用の搬送手段100を制御して、2枚の板状ワーク2を、仕上げ研削部30の第2チャックテーブル33の2つの第2保持面32に搬送および載置する。その後、制御部7は、仕上げ研削部30を制御して、板状ワーク2に対する仕上げ研削を実施する。
【0103】
次に、制御部7は、仕上げ研削部30用の搬送手段100を制御して、仕上げ研削された2枚の板状ワーク2を、洗浄手段156に同時に搬送する。さらに、制御部7は、洗浄手段156を制御して、2枚の板状ワーク2を、洗浄手段156によって同時に洗浄する。その後、制御部7は、ロボット155を制御して、洗浄された板状ワーク2を、加工済みワーク収容用のカセットに搬入する。
【0104】
以上のように、本実施形態では、搬送手段100は、移動手段110による保持部140の一度の動作で、仮置き手段200に仮置きされた複数の板状ワーク2を受け取り、粗研削部10の第1保持面12に搬送する。すなわち、本実施形態では、仮置き手段200に仮り置きされている複数の板状ワーク2を、1回の搬送動作で第1保持面12に搬送することができる。したがって、第1保持面12に複数の板状ワーク2を搬送するための搬送時間を短縮することが可能である。
【0105】
これにより、本実施形態では、粗研削部10の待ち時間を短縮することができる。したがって、加工装置1の生産性を高めることが可能である。
【0106】
また、本実施形態では、仮置き手段200において、仮置きレーン部210の第1レーン211および第2レーン215と案内レーン250とが、エアを介して板状ワーク2の下面を非接触で支持するエアスライダとして機能する。そして、案内レーン250に載置された板状ワーク2を、非接触で、搬送手段100の受取位置を含む仮置きレーン部210に移動させ、仮置きレーン部210によって非接触で支持することが可能である。
【0107】
このように、本実施形態では、板状ワーク2を、非接触で仮置きレーン部210に移動させて支持するため、板状ワーク2の下面を傷付けることを抑制することができる。
【0108】
また、本実施形態では、仮置き手段200の幅変更手段220によって、第1レーン211および第2レーン215の幅を、加工される板状ワーク2の幅に合わせて、任意に変更することが可能である。したがって、本実施形態では、加工される板状ワーク2が変更された場合でも、変更後の板状ワーク2の幅に対応するように、第1レーン211および第2レーン215の幅を素早く変更することができる。
【0109】
なお、本実施形態の仮置き手段200は、板状ワーク2を案内レーン250の延在方向に移動させるスライダ移動手段の一例として、押し機構253を有している。また、仮置き手段200は、押し機構253によって移動される板状ワーク2を搬送手段100の受取位置で停止させる停止手段の一例として、ストッパ214を備えている。
【0110】
これに関し、仮置き手段200は、押し機構253およびストッパ214を備えなくてもよい。この場合、たとえば、仮置き手段200における第1レール212、第2レール213、第3レール216、第4レール217、第1案内レール251および第2案内レール252が、図5に示した第1エア噴射孔261とは異なる形状のエア噴射孔を有している。
【0111】
これに関し、案内レーン250の第1案内レール251(および第2案内レール252)は、その段部260に、図8に示すように、第2エア噴射孔262を有している。第2エア噴射孔262は、板状ワーク2の移動方向である+Y方向にエアが流れるように、第1案内レール251の段部260の上面に垂直な方向から、移動方向である+Y方向に傾けられて形成されている。第2エア噴射孔262は、スライダ移動手段としての順エア噴射孔の一例である。
【0112】
案内レーン250上(第1案内レール251および第2案内レール252上)に載置された板状ワーク2は、図8に矢印301によって示すように第2エア噴射孔262から噴射されるエアによって、矢印302によって示すように、浮いた状態で+Y方向に移動される。このように、第2エア噴射孔262は、板状ワーク2を案内レーン250の延在方向に移動させるスライダ移動手段として機能する。
【0113】
また、仮置きレーン部210の第1レール212(第2レール213、第3レール216および第4レール217)は、その段部260の-Y方向側に、図9に示すように、第1案内レール251と同様の第2エア噴射孔262を備えている。さらに、第1レール212は、その段部260の+Y方向側に、第3エア噴射孔263を有している。第1レール212における第3エア噴射孔263の形成位置は、搬送手段100の受取位置に含まれている。
【0114】
第3エア噴射孔263は、第2エア噴射孔262から噴射されたエアの流れに対向するエアの流れを形成するように、第2エア噴射孔262の傾きに対向する傾きを有するように、-Y方向に傾けられて形成されている。第3エア噴射孔263は、停止手段としての逆エア噴射孔の一例である。
【0115】
案内レーン250から移動されてきた板状ワーク2は、図9に示すように、第1保持面12に形成されている第1エア噴射孔261から噴射されるエアにより、第1レール212の段部260の上面において、浮いた状態で+Y方向に移動される。そして、板状ワーク2は、第1レール212の+Y方向側に到達すると、図10に示すように、第2エア噴射孔262および第3エア噴射孔263の双方から噴射されるエアを受ける。
【0116】
第2エア噴射孔262から噴射されるエアは、矢印301によって示すように、+Y方向の成分を有している。一方、第3エア噴射孔263から噴射されるエアは、矢印303によって示すように、-Y方向の成分を有している。このため、第1レール212の+Y方向側において、第2エア噴射孔262および第3エア噴射孔263の双方から噴射されるエアを受けた板状ワーク2は、この位置で停止する。
【0117】
このように、この構成では、仮置き手段200は、第2エア噴射孔262から噴射されたエアの流れと第3エア噴射孔263から噴射されたエアの流れとによって、搬送手段100の受取位置である第3エア噴射孔263の形成位置において、非接触で板状ワーク2を支持する。
【0118】
この構成では、仮置き手段200に、図5に示した押し機構253およびストッパ214を設ける必要がない。このため、仮置き手段200のコストを低減することができる。また、板状ワーク2を移動および停止させるために、板状ワーク2に部材を接触させる必要がない。このため、板状ワーク2が損傷することを、より効果的に抑制することができる。
【0119】
また、本実施形態では、仮置き手段200における第1レール212、第2レール213、第3レール216、第4レール217、第1案内レール251および第2案内レール252に、板状ワーク2を支持するために、第1エア噴射孔261,第2エア噴射孔262あるいは第3エア噴射孔263が形成されている。
【0120】
これに関し、仮置き手段200は、これらのエア噴射孔を各レールに有することに代えて、図11に示すような第1ベルト移動手段400、および、図12に示すような、第2ベルト移動手段420を備えてもよい。
【0121】
第1ベルト移動手段400は、案内レーン250、第1レーン211および第2レーン215のそれぞれのレールの間に設けられており、各レーンにおいて板状ワーク2を移動させるために設けられている。
【0122】
図11に示す第1ベルト移動手段400は、第1レーン211および第2レーン215のレールの間に備えられる。第1ベルト移動手段400は、無端ベルト401と、無端ベルト401を回転させる回転機構402と、を備えている。
【0123】
回転機構402は、無端ベルト401における-Y方向側の端部に設けられた従動ローラ403、無端ベルト401における+Y方向側の端部に設けられた駆動ローラ404、駆動ローラ404を駆動するモータ405、および、モータ405の回転角度を検出するエンコーダ407を備えている。
【0124】
無端ベルト401は、その内周面に接触するように設けられた従動ローラ403および駆動ローラ404に架橋されている。また、無端ベルト401は、その上面に板状ワーク2が載置されるように構成されている。
【0125】
このような構成を有する第1ベルト移動手段400では、案内レーン250から搬送されてきた板状ワーク2が、無端ベルト401の上面における-Y方向側の端部に載置される。この状態で、モータ405によって駆動ローラ404が回転されることにより、無端ベルト401が、駆動ローラ404および従動ローラ403を回転軸として回転する。これにより、無端ベルト401の上面に載置された板状ワーク2が、矢印310によって示すように、-Y方向側に搬送される。
【0126】
また、第1ベルト移動手段400は、図11に示すように、先端センサ410を備えている。先端センサ410は、無端ベルト401の上面に載置された板状ワーク2の先端(+Y方向側の端部)が、無端ベルト401(第1レーン211および第2レーン215)の+Y方向側の端部に到達したことを検知する。これにより、先端センサ410は、板状ワーク2が、搬送手段100の受取位置に到達したことを検知する。
【0127】
たとえば、制御部7は、板状ワーク2を搬送手段100の受取位置に運ぶために、モータ405によって、板状ワーク2を載せた無端ベルト401を回転させる。制御部7は、板状ワーク2の先端が無端ベルト401の+Y方向側の端部に到達したことを先端センサ410が検知したときに、板状ワーク2が受取位置に到達したと判断して、モータ405の駆動を停止して、無端ベルト401の回転を停止する。
【0128】
また、図12に示す第2ベルト移動手段420は、案内レーン250のレールの間に備えられる。第2ベルト移動手段420は、先端センサ410と同様に、無端ベルト401および回転機構402を備えている。第2ベルト移動手段420においては、図1に示したロボット155によってカセット41から取り出された板状ワーク2が、無端ベルト401の上面における-Y方向側に載置される。この状態で、モータ405によって駆動ローラ404が回転されることにより、無端ベルト401が、駆動ローラ404および従動ローラ403を回転軸として回転する。これにより、無端ベルト401の上面に載置された板状ワーク2が、矢印310によって示すように、+Y方向側に、第1レーン211あるいは第2レーン215に向けて搬送される。
【0129】
また、第2ベルト移動手段420は、図12に示すように、板状ワーク2を検知する検知センサ421を備えている。検知センサ421は、カセット41から取り出され無端ベルト401に載置された板状ワーク2を検知する。具体的には、検知センサ421は、無端ベルト401によって+Y方向に向けて搬送されている板状ワーク2の一方の縁(一方の端部)および他方の縁(他方の端部)を検知する。
【0130】
また、第2ベルト移動手段420は、板状ワーク2の大きさ(長さおよび幅)を設定(取得)する大きさ設定部427、および、無端ベルト401の回転速度を設定(制御)する速度設定部425を備えている。
【0131】
大きさ設定部427は、たとえば制御部7(図1参照)からの情報に基づいて、カセット41から取り出されて無端ベルト401上に載置されているカセット41の大きさを取得する。速度設定部425は、たとえば制御部7からの指示に基づいて、無端ベルト401の回転速度を制御する。すなわち、速度設定部425は、回転機構402によって、無端ベルト401を所定の回転速度で回転させる。
【0132】
さらに、第2ベルト移動手段420は、検知センサ421に接続された時間測定部423、板状ワーク2の大きさを算出する大きさ算出部429、および、不具合の有無を判断する判断部431を備えている。
【0133】
時間測定部423は、大きさ設定部427によって大きさが設定され、無端ベルト401に載置された板状ワーク2が、速度設定部425によって設定された速度で移動した際に、検知センサ421が板状ワーク2の一方の縁を検知してから他方の縁を検知するまでの時間を測定する。
【0134】
大きさ算出部429は、速度設定部425によって設定された無端ベルト401の回転速度と、時間測定部423によって測定された時間とから、無端ベルト401上に載置されて移動されている板状ワーク2の大きさを算出する。
【0135】
判断部431は、大きさ設定部427によって設定(取得)された板状ワーク2の大きさと、大きさ算出部429によって算出された板状ワーク2の大きさとを比較する。判断部431は、大きさ設定部427によって設定された板状ワーク2の大きさよりも、大きさ算出部429によって算出された板状ワーク2の大きさが小さいときに、無端ベルト401の回転に不具合があると判断する。
【0136】
これに関し、無端ベルト401は、弛みが発生することによって正常に回転しないことがある。上記の構成では、判断部431によって、無端ベルト401が正常に回転しているか否かを確認することができる。
【0137】
なお、判断部431は、大きさ設定部427によって設定された板状ワーク2の大きさと、大きさ算出部429によって算出された板状ワーク2の大きさとが、互いに異なるとき(前者が後者よりもが小さいとき、および、前者が後者よりも大きいとき)に、無端ベルト401の回転に不具合があると判断してもよい。
【0138】
また、図11に示した第1ベルト移動手段400に、図12に示した検知センサ421、時間測定部423、速度設定部425、大きさ設定部427、大きさ算出部429および判断部431が設けられてもよい。この場合、第1ベルト移動手段400によって移動されている板状ワーク2を用いて、第1ベルト移動手段400の無端ベルト401の回転に不具合があるか否かを判断することが可能となる。
【0139】
また、図12に示した第2ベルト移動手段420を用いる場合、ロボット155の代わりに、第2ベルト移動手段420の無端ベルト401によって、カセット41から板状ワーク2を取り出してもよい。この構成では、無端ベルト401の-Y方向側の端部を、カセット41に収容されている板状ワーク2の下に進入させて、この端部によって板状ワーク2の下面を支持する。この状態で無端ベルト401を回転させることにより、カセット41に収容されている板状ワーク2が、カセット41から引き出される。
【0140】
また、本実施形態にかかる加工装置1は、図5に示した仮置き手段200に代えて、図13に示すような仮置き手段500を備えていてもよい。この仮置き手段500は、仮置き手段200の構成において、仮置きレーン部210に、第1レーン211および第2レーン215に加えて、第3レーン205を有する構成を有している。
なお、仮置き手段500も、図5に示した案内レーン250を有している。図13では、案内レーン250の図示を省略している。
【0141】
第3レーン205は、第1レーン211の+X方向側に、第1レーン211に隣接するように配置されている。第3レーン205は、板状ワーク2の両側下面を各々支持する第5レール206および第6レール207を有している。これら第5レール206および第6レール207は、Y軸方向に沿って延びている。
また、第3レーン205の第5レール206は、第1レーン211の第1レール212に隣接している。
【0142】
また、この構成では、幅変更手段220の一対のガイドレール221上に、第1レーン211の第1レール212および第2レール213、第2レーン215の第3レール216および第4レール217、ならびに、第3レーン205の第5レール206および第6レール207が、ガイドレール221に沿ってスライド可能に設置されている。
つまり、第1レーン211の幅を変更するために第1レール212の移動方向と同一方向に第3レーン205を移動させるとともに第3レーン205の幅を変更する。また、第1レーン211の幅を変更するために第2レール213の移動方向と同一方向に第2レーン215を移動させるとともに第2レーン215の幅を変更する。
【0143】
したがって、第1レール212の移動方向に反する方向に第2レール213を移動してシャフト222を回転させると、第1レーン211、第2レーン215、および第3レーン205の幅が、同時に変更される。
【0144】
さらに、この構成では、第2レール213に第1雌ネジ241が形成され、第3レール216に第2雌ネジ242が形成され、第4レール217に第3雌ネジ243が形成されている。上述したように、第2レール213の第1雌ネジ241および第3レール216の第2雌ネジ242は、ネジピッチP1を有している(図6(a)参照)。一方、第4レール217の第3雌ネジ243は、この構成では、ネジピッチP1の3倍のネジピッチP3を有している(P3=3×P1)。
【0145】
また、この構成では、第1レール212に第1逆雌ネジ245が形成され、第5レール206に第2逆雌ネジ246が形成され、第6レール207に第3逆雌ネジ247が形成されている。第1レール212の第1逆雌ネジ245および第5レール206の第2逆雌ネジ246は、ネジピッチP1を有している。第6レール207の第3逆雌ネジ247は、ネジピッチP1の3倍のネジピッチP3を有している。なお、第1逆雌ネジ245、第2逆雌ネジ246、および第3逆雌ネジ247は、第1雌ネジ241とは逆向きの雌ネジである。
【0146】
また、この構成でも、シャフト222は、第2レール213の第1雌ネジ241および第3レール216の第2雌ネジ242に螺合するネジピッチP1を有する第1雄ネジ225、ならびに、第4レール217の第3雌ネジ243に螺合するネジピッチP3を有する第2雄ネジ226を備えている。さらに、シャフト222は、第1レール212の第1逆雌ネジ245および第5レール206の第2逆雌ネジ246に螺合するネジピッチP1の第1逆雄ネジ227と、第6レール207の第3逆雌ネジ247に螺合するネジピッチP3の第2逆雄ネジ228とを有している。
【0147】
シャフト222は、第1雄ネジ225を第2レール213の第1雌ネジ241および第3レール216の第2雌ネジ242に螺合させ、第2雄ネジ226を第4レール217の第3雌ネジ243に螺合させ、第1逆雄ネジ227を第1レール212の第1逆雌ネジ245および第5レール206の第2逆雌ネジ246に螺合させ、第2逆雄ネジ228を第6レール207の第3逆雌ネジ247に螺合させた状態で、ガイドレール221と平行に延びている。
【0148】
この構成では、第2レール213の第1雌ネジ241および第3レール216の第2雌ネジ242は、たとえば、シャフト222が時計回りに回転する場合、第2レール213および第3レール216がガイドレール221に沿って-X方向に移動するように、シャフト222の第1雄ネジ225に螺合されている。
【0149】
また、第4レール217の第3雌ネジ243も、シャフト222が時計回りに回転する場合、第4レール217がガイドレール221に沿って-X方向に移動するように、シャフト222の第2雄ネジ226に螺合されている。ここで、第4レール217の第3雌ネジ243は、第1雌ネジ241および第2雌ネジ242のネジピッチP1の3倍のネジピッチP3を有している。このため、シャフト222における時計回りの回転に伴う第4レール217の移動距離は、第2レール213および第3レール216の3倍の距離となる。
【0150】
また、第1レール212の第1逆雌ネジ245および第5レール206の第2逆雌ネジ246は、シャフト222が時計回りに回転する場合、第1レール212および第5レール206がガイドレール221に沿って+X方向に移動するように、シャフト222の第1逆雄ネジ227に螺合されている。
【0151】
したがって、シャフト222が時計回りに回転すると、第2レール213が-X方向に移動する一方、第1レール212が+X方向に移動する。このため、これら第2レール213と第1レール212との間の距離である第1レーン211の幅が広がる。また、第4レール217は、-X方向に、第3レール216の3倍の距離を移動する。このため、第3レール216と第4レール217との間の距離である第2レーン215の幅も、第1レーン211と同様に広がる。
【0152】
さらに、この構成では、第6レール207の第3逆雌ネジ247も、シャフト222が時計回りに回転する場合、第6レール207がガイドレール221に沿って+X方向に移動するように、シャフト222の第2逆雄ネジ228に螺合されている。ここで、第6レール207の第3逆雌ネジ247は、ネジピッチP1の3倍のネジピッチP3を有している。このため、シャフト222の時計回りの回転に伴う第6レール207の+X方向への移動距離は、第1レール212および第5レール206の3倍の距離となる。
このため、シャフト222における時計回りの回転に伴って、第6レール207が、+X方向に、第5レール206の3倍の距離を移動する。したがって、この第6レール207と第5レール206との間の距離である第3レーン205の幅が、第1レーン211と同様に広がる。
【0153】
また、シャフト222を反時計回りに回転させることにより、第2レール213および第3レール216が+X方向に移動するとともに、第4レール217が、第2レール213および第3レール216の3倍の距離を+X方向に移動する。さらに、第1レール212および第5レール206が-X方向に移動するとともに、第6レール207が、第1レール212および第5レール206の3倍の距離を-X方向に移動する。このため、第1レーン211、第2レーン215および第3レーン205の幅が、同様に狭められる。
【0154】
このようにして、この構成においても、シャフト222を回転させることによって、第1レーン211、第2レーン215および第3レーン205の幅を、板状ワーク2の幅に合わせて、広げたり狭めたりすることが可能となっている。
【符号の説明】
【0155】
1:加工装置,2:板状ワーク,
3:第1の装置ベース,5:第2の装置ベース,7:制御部,
10:粗研削部,11:粗研削送り手段,12:第1保持面,
13:第1チャックテーブル,15:粗研削手段,18:粗研削砥石,
30:仕上げ研削部,31:仕上げ研削送り手段,32:第2保持面,
33:第2チャックテーブル,35:仕上げ研削手段,38:仕上げ研削砥石,
40:カセットステージ,41:カセット,
180:カセット搬送空間,60:カセット搬送機構,
61:筐体板,62:移動機構,70:支持機構,
170:搬送空間,100:搬送手段,101:筐体板,110:移動手段,
120:Y軸移動機構,130:Z軸移動機構,
140:保持部,141:保持板,142:吸引パッド,
152:中継手段,153:移動手段,154:中継テーブル,
155:ロボット,
190:仮置き空間,200:仮置き手段,
201:基台,210:仮置きレーン部,
211:第1レーン,212:第1レール,213:第2レール,
214:ストッパ,253:押し機構,
215:第2レーン,216:第3レール,217:第4レール,
205:第3レーン,206:第5レール,207:第6レール,
250:案内レーン,251:第1案内レール,252:第2案内レール,
260:段部,
225:第1雄ネジ,226:第2雄ネジ,
227:第1逆雄ネジ,228:第2逆雄ネジ,
220:幅変更手段,221:ガイドレール,222:シャフト,
241:第1雌ネジ,242:第2雌ネジ,243:第3雌ネジ,
245:第1逆雌ネジ,246:第2逆雌ネジ,247:第3逆雌ネジ
P1~3:ネジピッチ,
229:基台,230:位置調整手段,
261:第1エア噴射孔,262:第2エア噴射孔,263:第3エア噴射孔,
270:エア源,
400:第1ベルト移動手段,401:無端ベルト,
402:回転機構,403:従動ローラ,404:駆動ローラ,
405:モータ,407:エンコーダ,410:先端センサ,
420:第2ベルト移動手段,421:検知センサ,
423:時間測定部,425:速度設定部,427:設定部,
429:算出部,431:判断部,
500:仮置き手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13