(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】半導体装置及びセルフテスト方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20240625BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240625BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G01R31/28 V
H01L27/04 T
(21)【出願番号】P 2020143889
(22)【出願日】2020-08-27
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 健一
(72)【発明者】
【氏名】佐賀 崇史
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-002377(JP,A)
【文献】特開平10-285012(JP,A)
【文献】特開2009-162633(JP,A)
【文献】特開2005-216353(JP,A)
【文献】特開2016-091576(JP,A)
【文献】特開2010-054367(JP,A)
【文献】特開2021-060328(JP,A)
【文献】特開2017-174980(JP,A)
【文献】特開2010-197364(JP,A)
【文献】特開2012-222178(JP,A)
【文献】特開2000-055989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/28-31/3193、
H01L 27/04、
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の回路と、
前記検査対象の回路に電気的に接続されたセルフテスト回路と、
を備え、
前記検査対象の回路は、
テスト対象回路と、
前記テスト対象回路と前記セルフテスト回路との間に電気的に接続され、駆動能力の異なる複数のスイッチを含みテストパターンを供給可能なスイッチ群と、
前記テスト対象回路と前記セルフテスト回路との間に電気的に接続された保持回路と、
を有し、
前記スイッチ群は、前記テスト対象回路に第1の駆動能力又は第2の駆動能力でテストパターンを供給可能であり、
前記保持回路は、前記テスト対象回路における伝送路のレベルに応じた値を保持し、
前記セルフテスト回路は、前記保持回路で保持された値を期待値と比較して判定し、
前記スイッチ群は、
前記第1の駆動能力で第1のレベルにプルアップ可能である第1のスイッチと、
前記第1の駆動能力で第2のレベルにプルダウン可能である第2のスイッチと、
前記第2の駆動能力で前記第1のレベルにプルアップ可能である第3のスイッチと、
前記第2の駆動能力で前記第2のレベルにプルダウン可能である第4のスイッチと、
を有し、
前記検査対象の回路は、出力回路であり、
前記テスト対象回路は、出力端子と出力バッファとを含み、
前記第3のスイッチ及び前記第4のスイッチのそれぞれの一端は、前記出力回路における前記出力バッファ及び出力端子の間の第1のノードに電気的に接続され、
前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチは、前記出力バッファの一部が兼用され、
前記保持回路のデータ入力ノードは、第2のノードに電気的に接続されている
半導体装置。
【請求項2】
前記検査対象の回路に近接して配された第2の検査対象の回路をさらに備え、
前記第2の検査対象の回路は、
第2のテスト対象回路と、
前記第2のテスト対象回路と前記セルフテスト回路との間に電気的に接続され、駆動能力の異なる複数のスイッチを含む第2のスイッチ群と、
前記第2のテスト対象回路と前記セルフテスト回路との間に電気的に接続された第2の保持回路と、
を有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記スイッチ群は、前記テスト対象回路に第1の駆動能力又は第2の駆動能力でテストパターンを供給可能であり、
前記保持回路は、前記テスト対象回路における伝送路のレベルに応じた値を保持し、
前記第2のスイッチ群は、前記第2のテスト対象回路に前記第1の駆動能力又は前記第2の駆動能力でテストパターンを供給可能であり、
前記第2の保持回路は、前記第2のテスト対象回路における伝送路のレベルに応じた値を保持し、
前記セルフテスト回路は、前記スイッチ群が前記テスト対象回路にテストパターンを供給せずに前記第2のスイッチ群が前記第2のテスト対象回路に前記第1の駆動能力又は前記第2の駆動能力でテストパターンを供給した状態で、前記保持回路で保持された値を期待値と比較して判定する
請求項
2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記セルフテスト回路は、前記半導体装置の起動タイミング又は指定されたタイミングにおいて、前記スイッチ群が前記テスト対象回路に前記第1の駆動能力又は前記第2の駆動能力でテストパターンを供給した場合に前記保持回路で保持された値を期待値と比較して判定する
請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項5】
検査対象の回路と、
前記検査対象の回路に電気的に接続されたセルフテスト回路と、
を備え、
前記検査対象の回路は、
テスト対象回路と、
前記テスト対象回路と前記セルフテスト回路との間に電気的に接続され、駆動能力の異なる複数のスイッチを含みテストパターンを供給可能なスイッチ群と、
前記テスト対象回路と前記セルフテスト回路との間に電気的に接続された保持回路と、
を有し、
前記スイッチ群は、前記テスト対象回路に第1の駆動能力又は第2の駆動能力でテストパターンを供給可能であり、
前記保持回路は、前記テスト対象回路における伝送路のレベルに応じた値を保持し、
前記セルフテスト回路は、前記保持回路で保持された値を期待値と比較して判定し、
前記セルフテスト回路は、前記スイッチ群が前記テスト対象回路に前記第1の駆動能力又は前記第2の駆動能力でテストパターンを供給した場合、前記保持回路で保持された値が所定の値に維持される時間のクロック数をカウントし、カウントされた値を期待値と比較して判定する
半導体装置。
【請求項6】
回路ブロックにおける検査対象の回路のセルフテスト方法であって、
前記検査対象の回路におけるテスト対象回路に第1の駆動能力及び第2の駆動能力でテストパターンを供給するステップと、
前記テスト対象回路における伝送路のレベルに応じた値を
保持回路で保持する保持ステップと、
前記保持回路で保持された値が所定の値に維持される時間のクロック数をカウントするカウントステップと、
前記
カウントされた値を期待値と比較して判定する判定ステップと、
を備えたセルフテスト方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、半導体装置及びセルフテスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路が搭載された半導体装置では、回路に外部コントローラを電気的に接続してバウンダリスキャンを行うことで、回路を検査することがある。この場合、半導体装置の動作を停止させて、半導体装置に外部コントローラを電気的に接続して回路を検査することになる。このため、半導体装置の動作を行いながら回路を検査することが困難である。
【0003】
一方、検査対象の回路に加えてセルフテスト回路を半導体装置に搭載すれば、回路の動作を行いながら、その動作のアイドリング期間等にセルフテスト回路を動作させて回路の検査(セルフテスト)を行うことが期待できる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6072437号公報
【文献】特許第6182329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、単に、検査対象の回路にテストパターンを入力し、そのレスポンスの値を取り出し、その値が期待値と同じか比較し判定するだけでは、故障の有無及びその状態が正確に判定できない可能性があり、回路状態をアナログ的にテストすることが望まれる。
【0006】
本発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであって、回路状態をアナログ的にテストできる半導体装置及びセルフテスト方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の1つの側面にかかる半導体装置は、検査対象の回路と、前記検査対象の回路に電気的に接続されたセルフテスト回路とを備え、前記検査対象の回路は、テスト対象回路と、前記テスト対象回路と前記セルフテスト回路との間に電気的に接続され、駆動能力の異なる複数のスイッチを含みテストパターンを供給可能なスイッチ群と、前記テスト対象回路と前記セルフテスト回路との間に電気的に接続された保持回路とを有し、前記スイッチ群は、前記テスト対象回路に第1の駆動能力又は第2の駆動能力でテストパターンを供給可能であり、前記保持回路は、前記テスト対象回路における伝送路のレベルに応じた値を保持し、前記セルフテスト回路は、前記保持回路で保持された値を期待値と比較して判定し、前記スイッチ群は、前記第1の駆動能力で第1のレベルにプルアップ可能である第1のスイッチと、前記第1の駆動能力で第2のレベルにプルダウン可能である第2のスイッチと、前記第2の駆動能力で前記第1のレベルにプルアップ可能である第3のスイッチと、前記第2の駆動能力で前記第2のレベルにプルダウン可能である第4のスイッチとを有し、前記検査対象の回路は、出力回路であり、前記テスト対象回路は、出力端子と出力バッファとを含み、前記第3のスイッチ及び前記第4のスイッチのそれぞれの一端は、前記出力回路における前記出力バッファ及び出力端子の間の第1のノードに電気的に接続され、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチは、前記出力バッファの一部が兼用され、前記保持回路のデータ入力ノードは、第2のノードに電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回路状態をアナログ的にテストすることが可能であり、端子の状態などの回路状態について故障の有無及びその状態が正確に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(A)は、実施形態に係る半導体装置の概略構成を示す図である。
図1(B)は、実施形態に係る半導体装置の故障の例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態における回路ブロック及びセルフテスト回路の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態における検査対象の回路(入力回路)の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態における回路ブロック及びセルフテスト回路の概略動作を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態における入力回路に対するセルフテスト動作を示す波形図である。
【
図6】
図6は、実施形態における入力回路に対する他のセルフテスト動作を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態における入力回路に対する他のセルフテスト動作を示す波形図である。
【
図8】
図8は、実施形態の第1の変形例における検査対象の回路(出力回路)の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態の第2の変形例における隣接して配される複数の入力回路に対するセルフテスト動作を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態の第3の変形例における隣接して配される複数の入力回路)の構成を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態の第3の変形例における入力回路に対するセルフテスト動作を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、半導体装置の実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行うものとして、重複する説明は適宜省略する。
【0011】
(実施形態)
実施形態に係る半導体装置は、回路ブロックに加えてセルフテスト回路が搭載されており、回路ブロックの動作を行いながら、その動作のアイドリング期間等にセルフテスト回路を動作させセルフテストを行うことができる。
【0012】
セルフテストによる検査対象が回路ブロックにおける入力回路及び出力回路である場合、半導体装置において、単に、回路ブロックにテストパターンを入力し、そのレスポンスの値を取り出し、そのデータが期待値と同じか比較し判定するだけでは、故障の有無及びその状態が正確に判定できない可能性がある。例えば、端子の状態を見る場合に、取得される値が論理レベルとして同じであっても端子の状態としては様々な状態が考えられる。このため、回路動作をアナログ的に変化させながら行い回路状態を検査するようなアナログ的なテストが望まれる。
【0013】
そこで、本実施形態では、半導体装置において、検査対象の回路内におけるテスト対象回路とセルフテスト回路との間にスイッチ群と保持回路とを設け、スイッチ群が駆動能力の異なる複数のスイッチを含むようにすることで、回路状態のアナログ的なテストの実現を図る。なお、セルフテスト動作はアナログ的なテストを行うが、検査対象の回路は、アナログ回路であってもディジタル回路であってもよい。
【0014】
具体的には、検査対象の回路内に、セルフテスト回路からテスト対象回路への入力インタフェースとして、駆動能力の異なる複数のスイッチを含むスイッチ群を設ける。テスト対象回路からセルフテスト回路への出力インタフェースとして、保持回路を設ける。スイッチ群は、テスト対象回路に第1の駆動能力又は第2の駆動能力でテストパターンを供給可能である。セルフテスト回路は、第1の駆動能力を有するスイッチと第2の駆動能力を有するスイッチとを順次にオン・オフさせるテストパターンをスイッチ群へ供給する。これにより、テスト対象回路における端子に対する電荷の充電速度及び/又は放電速度を変えるなど、回路動作をアナログ的に変化させるテストパターンを供給できる。保持回路は、テスト対象回路における伝送路のレベルに応じた値を保持する。保持回路は、第1の駆動能力で供給されたテストパターンに対する伝送路のレベルに応じた値を保持し、第2の駆動能力で供給されたテストパターンに対する伝送路のレベルに応じた値を保持する。これにより、回路動作をアナログ的に変化させた複数のテスト条件に対する複数のレスポンスの値を取得できる。セルフテスト回路は、複数のレスポンスの値のそれぞれを期待値と比較する。例えば、セルフテスト回路は、第1の駆動能力で供給されたテストパターンに対する比較結果と第2の駆動能力で供給されたテストパターンに対する比較結果との組み合わせなどに応じて、端子の状態などの回路状態について故障の有無及びその状態を判定できる。これにより、テスト対象回路の回路状態をアナログ的にテストすることで故障の有無及びその状態が正確に判定できる。
【0015】
より具体的には、半導体装置1は、
図1に示すように構成され得る。
図1は、半導体装置1の概略構成を示す図である。
【0016】
半導体装置1は、回路ブロック2及びセルフテスト回路5を有する。回路ブロック2は、検査対象の回路として、複数の入力回路3-1~3-k(kは2以上の整数)、及び複数の出力回路4-1~4-kを有する。なお、本実施形態では、検査対象の回路が入力回路及び出力回路である場合のセルフテストについて説明するが、検査対象の回路は入力回路3及び出力回路4に限定されない。本実施形態のように、検査対象の回路を入力回路3や出力回路4とした場合は、半導体装置1の前段の半導体装置の出力端子の状態や後段の半導体装置の入力端子の状態も含めて、アナログ的にテストを行うことで故障の有無及びその状態が正確に判定可能である。また、
図1(B)には、以下のような故障の例が示されている。入力回路3-1においては、前段の半導体装置の出力端子に接続されていないオープンの故障状態を表している。また、入力回路3-2および入力回路3-3においては、隣接する端子間が抵抗成分を介してショートした故障状態を表し、出力回路4-3においては、容量成分を介してグランド電位にショートした(過剰な容量成分が接続された)故障状態を表している。さらに、出力回路4-1においては、電源電位(Vdd)にショートした故障状態を表し、出力回路4-2においては、グランド電位にショートした故障状態を表している。
【0017】
回路ブロック2及びセルフテスト回路5は、例えば、
図2に示すように構成され得る。
図2は、回路ブロック2及びセルフテスト回路5の構成を示す図である。回路ブロック2は、主機能回路21、及び複数のセレクタ22-1~22-kをさらに有する。
図2では、k=2の場合の構成を例示している。回路ブロック2内では、複数の入力回路3-1,3-2及び複数の出力回路4-1,4-2の間に主機能回路21及び複数のセレクタ22-1,22-2が電気的に接続される。入力回路3-1,3-2は、入力端子TMin-1,TMin-2を有する。出力回路4-1,4-2は、出力端子TMout-1,TMout-2を有する。
【0018】
セルフテスト回路5は、複数の入力回路3-1,3-2と複数のセレクタ22-1,22-2及び複数の出力回路4-1,4-2との間に電気的に接続される。これにより、セルフテスト回路5は、各回路ブロック2の各入力回路3へテストパターンを供給し、そのレスポンスとして各入力回路3から入力回路3における伝送路のレベルに応じた値を取得する。セルフテスト回路5は、取得された値を期待値と比較し、比較結果に応じて故障の有無及びその状態を判定する。セルフテスト回路5は、判定結果を出力回路4-1,4-2経由で外部に出力し得る。
【0019】
セルフテスト回路5は、制御回路51、判定回路52、期待値記憶回路53、比較回路54を有する。制御回路51は、入力回路3-1,3-2、判定回路52、期待値記憶回路53、比較回路54、セレクタ22-1、セレクタ22-2、出力回路4-1,4-2の間に電気的に接続されている。判定回路52は、比較回路54及び制御回路51の間に電気的に接続されている。期待値記憶回路53は、制御回路51及び比較回路54の間に電気的に接続されている。比較回路54は、入力回路3-1,3-2、制御回路51、判定回路52、期待値記憶回路53、出力回路4-1,4-2の間に電気的に接続されている。セレクタ55は、制御回路51及び主機能回路21と出力回路4-1との間に電気的に接続されている。セレクタ56は、制御回路51及び主機能回路21と出力回路4-2との間に電気的に接続されている。
【0020】
検査対象の回路が入力回路3である場合、入力回路3は、
図3に示すように構成され得る。
図3は、検査対象の回路としての入力回路3の構成を示す図である。
【0021】
入力回路3は、テスト対象回路31、スイッチ群32、及び保持回路33を有する。スイッチ群32は、テスト対象回路31とセルフテスト回路5との間に電気的に接続され、セルフテスト回路5からテスト対象回路31への入力インタフェースとして機能する。保持回路33は、テスト対象回路31とセルフテスト回路5との間に電気的に接続され、テスト対象回路31からセルフテスト回路5への出力インタフェースとして機能する。
【0022】
テスト対象回路31は、セルフテスト回路5によりセルフテストされる対象となる回路である。テスト対象回路31は、入力端子TMin、アナログスイッチ311、入力バッファ312を有する。入力端子TMinは、グランド電位との間に寄生容量313を有する。アナログスイッチ311は、入力端子TMinとノードNB(第1のノード)との間に電気的に接続されている。アナログスイッチ311は、アクティブレベルの制御信号ASを受けた際に入力端子TMinとノードNBとを電気的に接続し、ノンアクティブレベルの制御信号ASを受けた際に入力端子TMinとノードNBとを電気的に遮断する。ノードNBには、スイッチ群32が電気的に接続されている。入力バッファ312は、ノードNBとノードNC(第2のノード)との間に電気的に接続されている。ノードNCは、入力バッファ312を間にしてノードNBと反対側に配されたノードであり、出力ノードNoutに電気的に接続されている。ノードNCには、保持回路33が電気的に接続されている。
【0023】
スイッチ群32は、テスト対象回路31に第1の駆動能力又は第2の駆動能力でテストパターンを供給可能である。第1の駆動能力は、第2の駆動能力より高い駆動能力である。スイッチ群32は、複数のスイッチ321~324を有する。複数のスイッチ321~324のうち、スイッチ321,322は、第1の駆動能力を有し、スイッチ323,324は、第2の駆動能力を有する。
【0024】
スイッチ321は、一端がノードNBに電気的に接続され、他端が電源電位に電気的に接続されている。スイッチ321は、第1の駆動能力でノードNBをHレベルにプルアップ可能であり、例えば、PMOSトランジスタPM1を含む。PMOSトランジスタPM1は、ソースが電源電位に電気的に接続され、ドレインがノードNBに電気的に接続され、ゲートで制御信号Eを受ける。PMOSトランジスタPM1は、第1の駆動能力に対応したディメンジョンD1(=W1/(L1),W1:チャネル幅、L1:チャネル長)を有する。スイッチ321は、アクティブレベル(例えば、Lレベル)の制御信号Eを制御ノード(ゲート)で受けた際に、第1の駆動能力でノードNBをHレベルにプルアップする。
【0025】
スイッチ322は、一端がノードNBに電気的に接続され、他端がグランド電位に電気的に接続されている。スイッチ322は、第1の駆動能力でノードNBをLレベルにプルダウン可能であり、例えば、NMOSトランジスタNM1を含む。NMOSトランジスタNM1は、ソースがグランド電位に電気的に接続され、ドレインがノードNBに電気的に接続され、ゲートで制御信号Gを受ける。NMOSトランジスタNM1は、第1の駆動能力に対応したディメンジョンD11(=W11/(L11),W11:チャネル幅、L11:チャネル長)を有する。スイッチ322は、アクティブレベル(例えば、Hレベル)の制御信号Gを制御ノード(ゲート)で受けた際に、第1の駆動能力でノードNBをLレベルにプルダウンする。
【0026】
スイッチ323は、一端がノードNBに電気的に接続され、他端が電源電位に電気的に接続されている。スイッチ323は、第2の駆動能力(<第1の駆動能力)でノードNBをHレベルにプルアップ可能であり、例えば、PMOSトランジスタPM2を含む。PMOSトランジスタPM2は、ソースが電源電位に電気的に接続され、ドレインがノードNBに電気的に接続され、ゲートで制御信号Fを受ける。PMOSトランジスタPM2は、第2の駆動能力に対応したディメンジョンD2(=W2/(L2)<D1,W2:チャネル幅、L2:チャネル長)を有する。スイッチ323は、アクティブレベル(例えば、Lレベル)の制御信号Fを制御ノード(ゲート)で受けた際に、第2の駆動能力でノードNBをHレベルにプルアップする。
【0027】
スイッチ324は、一端がノードNBとの間に電気的に接続され、他端がグランド電位に電気的に接続されている。スイッチ324は、第2の駆動能力でノードNBをLレベルにプルダウン可能であり、例えば、NMOSトランジスタNM2を含む。NMOSトランジスタNM2は、ソースがグランド電位に電気的に接続され、ドレインがノードNBに電気的に接続され、ゲートで制御信号Hを受ける。NMOSトランジスタNM2は、第2の駆動能力に対応したディメンジョンD12(=W12/(L12)<D11,W12:チャネル幅、L12:チャネル長)を有する。スイッチ324は、アクティブレベル(例えば、Hレベル)の制御信号Hを制御ノード(ゲート)で受けた際に、第2の駆動能力でノードNBをLレベルにプルダウンする。
【0028】
保持回路33は、テスト対象回路31における伝送路のレベルに応じた値を保持し、ノードNcのレベルに応じた値を保持する。保持回路33は、フリップフロップ331を有する。フリップフロップ331は、データ入力ノードDIがノードNcに電気的に接続され、クロック入力ノードCKにクロック信号Iが供給され、リセット端子RSにリセット信号Jが供給され、出力端子QOから出力値Dが出力される。
【0029】
図2に示すセルフテスト回路5は、
図4に示すように、制御回路51からセレクタ22-1,22-2へ供給する制御信号testにより、半導体装置1の動作モードを制御する。
図4は、回路ブロック2及びセルフテスト回路5の概略動作を示す図である。
【0030】
セルフテスト回路5は、
図4に示すように、制御信号testをLレベルとすることで、半導体装置1の動作モードを主機能回路モードに制御する。主機能回路モードにおいて、制御回路51は、Lレベルの制御信号testをセレクタ22-1,22-2のセレクトノードへ供給する。回路ブロック2の入力回路3-1,3-2は、入力端子TMin-1,TMin-2を介して受けた信号に応じて信号C1,C2を主機能回路21へ供給する。主機能回路21は、信号K0-1,K0-2をセレクタ22-1,22-2の入力ノード“0”へ供給する。セレクタ22-1,22-2は、制御信号testがLレベルであることに応じて入力ノード“0”を選択し、信号K0-1,K0-2を出力回路4-1,4-2へ供給する。出力回路4-1,4-2は、信号K0-1,K0-2に対して論理レベルが反転された信号を出力端子TMout-1,TMout-2から出力する。
【0031】
なお、セルフテスト回路5は、制御信号AS*をアクティブレベルに固定する。セルフテスト回路5は、制御信号E*,F*,G*,H*をノンアクティブレベルに固定し、スイッチ群32の各スイッチ321~324をオフ固定にしておく。
【0032】
セルフテスト回路5は、
図4に示すように、制御信号testをHレベルとすることで、半導体装置1の動作モードをセルフテストモードに制御する。セルフテストモードにおいて、制御回路51は、Hレベルの制御信号testをセレクタ22-1,22-2のセレクトノードへ供給する。セルフテスト回路5は、セルフテスト動作を行う。
【0033】
例えば、制御回路51は、アクティブレベルの制御信号AS*の信号を入力回路3のテスト対象回路31へ供給するとともに、制御信号E*,F*,G*,H*の信号をテストパターンとして入力回路3のスイッチ群32へ供給する。
図4に示す制御信号E*,F*,G*,H*がいずれもノンアクティブにされるテストパターンは、端子TMの電位Aを「HiZ」状態にするテストパターンである。制御信号E*,G*が選択的にアクティブレベルにされるテストパターンは、それぞれ、端子TMの電位Aを第1の駆動能力で「StrongH」、「StrongL」状態に駆動するテストパターンである。制御信号F*,H*が選択的にアクティブレベルにされるテストパターンは、それぞれ、端子TMの電位Aを第2の駆動能力で「WeakH」、「WeakL」状態に駆動するテストパターンである。
【0034】
図2に示す比較回路54は、それぞれ、入力回路3-1,3-2からレスポンスの値D1,D2を受けると、期待値記憶回路53から期待値(Expected value)EVを取得する。比較回路54は、値D1,D2と期待値EVとの比較結果を判定回路52へ供給する。判定回路52は、第1の駆動能力で供給されたテストパターンに対するレスポンスの値D1,D2の比較結果と第2の駆動能力で供給されたテストパターンに対するレスポンスの値D1,D2の比較結果との組み合わせなどに応じて、入力回路3-1,3-2における端子の状態などの回路状態について故障の有無及びその状態を判定できる。
【0035】
あるいは、制御回路51は、カウンタを有し、所定の制御信号(例えば、E*,F*,G*,H*のいずれか)の信号がノンアクティブレベルからアクティブレベルへの変化タイミングを起点にアクティブレベルのカウント開始信号startを発行し、カウンタによるクロック数のカウント動作を開始する。比較回路54は、入力回路3-1,3-2からレスポンスの値D1,D2を受けると、期待値記憶回路53から遷移予定の値を期待値EVとして取得し、値D1,D2が期待値EVと一致するとアクティブレベルのカウント停止信号compareを発行して制御回路51へ供給する。制御回路51は、アクティブレベルのカウント停止信号compareを受けると、カウンタによるクロック数のカウント動作を停止し、そのカウント数を判定回路52へ供給する。判定回路52は、カウント数を受けると、期待値記憶回路53からカウント数の期待値EV’を取得する。判定回路52は、カウント数と期待値EV’とを比較し、比較結果に応じて、入力回路3-1,3-2における端子の状態などの回路状態について故障の有無及びその状態を判定できる。
【0036】
判定回路52は、判定結果Judgementを制御回路51へ供給する。制御回路51は、判定結果Judgementに応じた信号K1-1,K1-2をセレクタ22-1,22-2の入力ノード“1”へ供給する。セレクタ22-1,22-2は、制御信号testがHレベルであることに応じて入力ノード“1”を選択し、信号K1-1,K1-2を出力回路4-1,4-2へ供給する。出力回路4-1,4-2は、信号K1-1,K1-2に対して論理レベルが反転された信号を出力端子TMout-1,TMout-2から出力する。
【0037】
セルフテスト動作における制御信号E,F,G,Hは、
図5に示すようなテストパターンであってもよい。
図5は、入力回路3に対するセルフテスト動作を示す波形図である。制御信号E,Fは、ローアクティブの信号であり、制御信号G,Hは、ハイアクティブの信号である。
図5に示すセルフテスト動作においては、外部から入力端子TMinへの信号の入力が行われない。
【0038】
例えば、入力端子TMinの電位Aの状態が正常である場合、次のような動作が行われる。入力端子TMinは、グランド電位との間に寄生容量313(
図3参照)を有し、その電位Aの状態がオープン状態であれば正常である。
図5では、正常である場合におけるノードN
B、ノードN
Cの電位がそれぞれ「B(A open)」「C(A open)」と表記されている。
【0039】
タイミングt1より前のタイミングにおいて、制御信号AS(
図3参照)はアクティブレベルに維持される。また、制御信号E,Fは、ノンアクティブレベル(Hレベル)に維持され、制御信号G,Hは、ノンアクティブレベル(Lレベル)に維持される。
【0040】
タイミングt1~t2の期間において、制御信号Eは選択的にアクティブレベル(Lレベル)に維持され、スイッチ群32におけるスイッチ321が選択的にオン状態に維持される。これにより、第1の駆動能力でノードNBがプルアップされ、入力端子TMinの寄生容量313に電荷が充電され、ノードNB、ノードNCの電位B,CがそれぞれHレベルになる。
【0041】
タイミングt2~t3の期間において、制御信号Gは選択的にアクティブレベル(Hレベル)に維持され、スイッチ群32におけるスイッチ322が選択的にオン状態に維持される。これにより、第1の駆動能力でノードNBがプルダウンされ、入力端子TMinの寄生容量313の電荷が放電され、ノードNB、ノードNCの電位B,CがそれぞれLレベルになる。
【0042】
タイミングt3~t4の期間において、制御信号Fは選択的にアクティブレベル(Lレベル)に維持され、スイッチ群32におけるスイッチ323が選択的にオン状態に維持される。これにより、第2の駆動能力(<第1の駆動能力)でノードNBがプルアップされ、入力端子TMinの寄生容量313に電荷が充電され、ノードNB、ノードNCの電位B,CがそれぞれHレベルになる。
【0043】
タイミングt4~t5の期間において、制御信号Hは選択的にアクティブレベル(Hレベル)に維持され、スイッチ群32におけるスイッチ324が選択的にオン状態に維持される。これにより、第2の駆動能力でノードNBがプルダウンされ、入力端子TMinの寄生容量313の電荷が放電され、ノードNB、ノードNCの電位B,CがそれぞれLレベルになる。
【0044】
タイミングt5~t6の期間において、スイッチ群32の各スイッチ321~324がオフ状態に維持され、点線部分11で示されるようにノードNBの電位BがLレベルに維持され、ノードNCの電位CがLレベルに維持される。
【0045】
タイミングt6~t7の期間において、制御信号Eは選択的にアクティブレベル(Lレベル)に維持され、スイッチ群32におけるスイッチ321が選択的にオン状態に維持される。これにより、第1の駆動能力でノードNBがプルアップされ、ノードNBの電位Bが急峻にLレベルからHレベルへ立ち上がり、入力端子TMinの寄生容量313に電荷が充電される。ノードNCの電位CがHレベルになる。
【0046】
タイミングt7~t8の期間において、スイッチ群32の各スイッチ321~324がオフ状態に維持され、入力端子TMinの寄生容量313から若干電荷が放電され、ノードNBの電位Bが点線部分12で示されるようにHレベルから若干下がったレベル(準Hレベルと呼ぶことにする)になる。準Hレベルは入力バッファ312の閾値VHより高いため、ノードNCの電位CはHレベルになり維持される。
【0047】
タイミングt8~t9の期間において、制御信号Fは選択的にアクティブレベル(Lレベル)に維持され、スイッチ群32におけるスイッチ323が選択的にオン状態に維持される。これにより、第2の駆動能力(<第1の駆動能力)でノードNBがプルアップされ、ノードNBの電位Bが準HレベルからHレベルへ引き戻され、入力端子TMinの寄生容量313に電荷が充電される。ノードNCの電位Cは、Hレベルに維持される。
【0048】
タイミングt9~t10の期間において、スイッチ群32の各スイッチ321~324がオフ状態に維持され、入力端子TMinの寄生容量313から若干電荷が放電され、ノードNBの電位Bが点線部分13で示されるように準Hレベルになる。準Hレベルは入力バッファ312の閾値VHより高いため、ノードNCの電位CはHレベルになり維持される。
【0049】
タイミングt10~t11の期間において、制御信号Gは選択的にアクティブレベル(Hレベル)に維持され、スイッチ群32におけるスイッチ322が選択的にオン状態に維持される。これにより、第1の駆動能力でノードNBのレベルがプルダウンされ、ノードNBの電位Bが急峻に準HレベルからLレベルへ立ち下がり、入力端子TMinの寄生容量313の電荷が放電される。ノードNCの電位CはLレベルになる。
【0050】
タイミングt11~t12の期間において、スイッチ群32の各スイッチ321~324がオフ状態に維持され、入力端子TMinの寄生容量313の電荷が十分に放電されているため、ノードNB、ノードNCの電位CがそれぞれLレベルに維持される。
【0051】
タイミングt12~t13の期間において、制御信号Hは選択的にアクティブレベル(Hレベル)に維持され、スイッチ群32におけるスイッチ324が選択的にオン状態に維持される。これにより、第2の駆動能力でノードNBがプルダウンされ、ノードNB、ノードNCの電位B,CがそれぞれLレベルに維持される。
【0052】
また、入力端子TMinの電位Aの状態が、Lレベル又はグランド電位に相当する論理レベル「0」にスタックされた故障状態の場合、正常な場合と次の点で異なる動作が行われる。
図5では、論理レベル「0」にスタックされた故障状態におけるノードN
B、ノードN
Cの電位がそれぞれ「B(A stack-at0)」「C(A stack-at0)」と表記されている。
【0053】
タイミングt1~t13の期間において、入力端子TMinの電位Aの状態がLレベルにスタックされており、入力端子TMinへ供給される電荷がLレベルへ排出されるため、ノードNB、ノードNCの電位B,CがそれぞれLレベルに維持される。
【0054】
また、入力端子TMinの電位Aの状態が、Hレベル又は電源電位に相当する論理レベル「1」にスタックされた故障状態の場合、正常な場合と次の点で異なる動作が行われる。
図5では、論理レベル「1」にスタックされた故障状態におけるノードN
B、ノードN
Cの電位がそれぞれ「B(A stack-at1)」「C(A stack-at1)」と表記されている。
【0055】
タイミングt1~t13の期間において、入力端子TMinの電位Aの状態がHレベルにスタックされており、入力端子TMinへHレベルから電荷が供給され続けるため、ノードNB、ノードNCの電位B,CがそれぞれHレベルに維持される。
【0056】
また、入力端子TMinの電位Aの状態が、プルアップ抵抗成分を介してHレベル又は電源電位にショートした故障状態の場合、正常な場合と次の点で異なる動作が行われる。
図5では、プルアップ抵抗成分を介してHレベル又は電源電位にショートした故障状態におけるノードN
B、ノードN
Cの電位がそれぞれ「B(A pull-up)」「C(A pull-up)」と表記されている。
【0057】
タイミングt5において、スイッチ324がオフすると、タイミングt5~t6の期間において、入力端子TMinの電位Aがプルアップ抵抗成分により急峻にLレベルからHレベルへプルアップされ、ノードNBの電位Bが急峻にLレベルからHレベルへ引き上げられる。これに応じて、ノードNCの電位CがそれぞれLレベルからHレベルへ遷移し、Hレベルに維持される。
【0058】
タイミングt7~t8の期間において、スイッチ群32の各スイッチ321~324がオフ状態に維持されても、入力端子TMinの電位AがHレベルへプルアップされているので、ノードNB、ノードNCの電位B,CがそれぞれHレベルに維持される。
【0059】
タイミングt9~t10の期間において、スイッチ群32の各スイッチ321~324がオフ状態に維持されても、入力端子TMinの電位AがHレベルへプルアップされているので、ノードNB、ノードNCの電位B,CがそれぞれHレベルに維持される。
【0060】
タイミングt11において、スイッチ322がオフすると、タイミングt11~t12の期間において、入力端子TMinの電位Aが急峻にLレベルからHレベルへプルアップされ、ノードNBの電位Bが急峻にLレベルからHレベルへ引き上げられる。これに応じて、ノードNCの電位CがそれぞれLレベルからHレベルへ遷移し、Hレベルに維持される。
【0061】
次に、入力端子TMinの電位Aの状態が、プルダウン抵抗成分を介してLレベル又はグランド電位にショートした故障状態の場合、正常な場合と次の点で異なる動作が行われる。
図5では、プルダウン抵抗成分を介してLレベル又はグランド電位にショートした故障状態におけるノードN
B、ノードN
Cの電位がそれぞれ「B(A pull-down)」「C(A pull-down)」と表記されている。
【0062】
タイミングt3~t4の期間において、制御信号Fは選択的にアクティブレベル(Lレベル)に維持され、スイッチ群32におけるスイッチ323が選択的にオン状態に維持される。これにより、第2の駆動能力(<第1の駆動能力)でノードNBがプルアップされるが、入力端子TMinの電位Aがプルダウン抵抗成分を介してLレベルにプルダウンされているため、ノードNBの電位が準Hレベルになる。準Hレベルは入力バッファ312の閾値VHより高いため、ノードNCの電位CはHレベルになり維持される。
【0063】
タイミングt7~t8の期間において、スイッチ群32の各スイッチ321~324がオフ状態に維持されると、入力端子TMinの電位Aがプルダウン抵抗成分によりLレベルへプルダウンされるので、ノードNBの電位Bが急峻にHレベルからLレベルへ引き下げられる。これに応じて、ノードNCの電位CがそれぞれHレベルからLレベルへ遷移し、Lレベルに維持される。
【0064】
タイミングt8~t9の期間において、制御信号Fは選択的にアクティブレベル(Lレベル)に維持され、スイッチ群32におけるスイッチ323が選択的にオン状態に維持される。これにより、第2の駆動能力(<第1の駆動能力)でノードNBがプルアップされるが、入力端子TMinの電位Aがプルダウン抵抗成分を介してLレベルにプルダウンされているため、ノードNBの電位Bが準Hレベルになる。準Hレベルはバッファ312の閾値VHより高いため、ノードNCの電位CはHレベルになり維持される。
【0065】
タイミングt9~t10の期間において、スイッチ群32の各スイッチ321~324がオフ状態に維持されると、入力端子TMinの電位Aがプルダウン抵抗成分によりLレベルへプルダウンされるので、ノードNBの電位Bが急峻に準HレベルからLレベルへ引き下げられる。これに応じて、ノードNCの電位CがそれぞれHレベルからLレベルへ遷移し、Lレベルに維持される。
【0066】
例えば、t1~t5のテストパターンは、制御信号E,G,F,Hを順次に相補的にアクティブレベルに切り替えるテストパターンであり、そのレスポンスの値Dを(D_E,D_G,D_F,D_H)と表すことにする。このテストパターンは、HレベルへのプルアップとLレベルへのプルダウンとを交互に切り替えながらその駆動能力を第1の駆動能力(E,G)とより低い第2の駆動能力(F,H)とを順次に切り替えるテストパターンである。保持回路33は、ノードNCの電位Cに応じた値Dを、t2~t5のそれぞれの直前に保持してセルフテスト回路5へ供給してもよい。
【0067】
t1~t5のテストパターンに対して、セルフテスト回路5は、正常の場合「C(A open)に対応した期待値EVとして、(EV_E,EV_G,EV_F,EV_H)=(Hレベル,Lレベル,Hレベル,Lレベル)を有している。セルフテスト回路5は、保持回路33からレスポンス(D_E,D_G,D_F,D_H)=(Lレベル,Lレベル,Lレベル,Lレベル)を受けた場合、制御信号E,Fに対する値が期待値と異なっていることから、入力端子TMinの電位Aの状態が「stack-at0」であると判定する。セルフテスト回路5は、保持回路33からレスポンス(D_E,D_G,D_F,D_H)=(Hレベル,Hレベル,Hレベル,Hレベル)を受けた場合、制御信号G,Hに対する値が期待値と異なっていることから、入力端子TMinの電位Aの状態が「stack-at1」であると判定する。セルフテスト回路5は、保持回路33からレスポンス(D_E,D_G,D_F,D_H)=(Hレベル,Lレベル,Hレベル,Lレベル)を受けた場合、各値が期待値と一致していることから、入力端子TMinの電位Aの状態が、正常、「pull-up」状態、「pull-down」状態のいずれかであると判定する。
【0068】
なお、プルアップ抵抗成分・プルダウン抵抗成分の抵抗値が比較的高い場合、入力端子TMinの電位Aの状態が、正常、「pull-up」状態、「pull-down」状態のいずれであるかは、次のt5~t13のテストパターンに対するレスポンスを見ることで判別可能である。
【0069】
t5~t13のテストパターンは、いずれのスイッチもオフされる休止期間を間に入れながら制御信号E,F,G,Hを順次に相補的にアクティブレベルに切り替えるテストパターンであり、そのレスポンスを(D_OFF1,D_E,D_OFF2,D_F,D_OFF3,D_G,D_OFF4,D_H)と表すことにする。このテストパターンは、第1の駆動能力(E,G)とより低い第2の駆動能力(F,H)とを交互に切り替えながらHレベルへのプルアップとLレベルへのプルダウンとを順次に切り替えるテストパターンである。保持回路33は、ノードNCの電位Cに応じた値を、t6~t13のそれぞれの直前に保持してセルフテスト回路5へ供給してもよい。
【0070】
t5~t13のテストパターンに対して、セルフテスト回路5は、正常の場合「C(A open)に対応した期待値EVとして、(EV_OFF1,EV_E,EV_OFF2,EV_F,EV_OFF3,EV_G,EV_OFF4,EV_H)=(Lレベル,Hレベル,Hレベル,Hレベル,Hレベル,Lレベル,Lレベル,Lレベル)を有している。セルフテスト回路5は、保持回路33からレスポンス(D_OFF1,D_E,D_OFF2,D_F,D_OFF3,D_G,D_OFF4,D_H)=(Hレベル,Hレベル,Hレベル,Hレベル,Hレベル,Lレベル,Hレベル,Lレベル)を受けた場合、t5~t6の休止期間に対する値(D_OFF1)、t11~t12の休止期間に対する値(D_OFF4)が期待値と異なっていることから、入力端子TMinの電位Aの状態が「pull-up」状態であると判定する。セルフテスト回路5は、保持回路33からレスポンス(D_OFF1,D_E,D_OFF2,D_F,D_OFF3,D_G,D_OFF4,D_H)=(Lレベル,Hレベル,Lレベル,Hレベル,Lレベル,Lレベル,Lレベル,Lレベル)を受けた場合、t7~t8の休止期間に対する値(D_OFF2)、t9~t10の休止期間に対する値(D_OFF3)が期待値と異なっていることから、入力端子TMinの電位Aの状態が「pull-down」状態であると判定する。
【0071】
あるいは、プルアップ抵抗成分・プルダウン抵抗成分の抵抗値が比較的低い場合、入力端子TMinの電位Aの状態が、正常、「pull-up」状態、「pull-down」状態のいずれであるかは、
図6に示すようなテストパターンに対するレスポンスを見ることで判別可能である。入力端子TMinが比較的に低い抵抗値でプルアップ又はプルダウンされている場合は、トランジスタ駆動能力の違いにより、遅延時間に違いが生じやすい。この違いを検出する事により、入力端子TMinの電位Aの状態を判別する。
図6は、入力回路3に対する他のセルフテスト動作を示す図である。制御信号E,Fは、ローアクティブの信号であり、制御信号G,Hは、ハイアクティブの信号である。
図6に示すセルフテスト動作においては、外部から入力端子TMinへの信号の入力が行われない。
【0072】
まず、
図6で「B(A open)」「C(A open)」「D(A open)」と表記された正常である場合、次のような動作が行われる。
【0073】
タイミングt21より前のタイミングにおいて、制御信号AS(
図3参照)はアクティブレベルにして維持される。制御信号E,Fは、ノンアクティブレベル(Hレベル)に維持され、制御信号G,Hは、ノンアクティブレベル(Lレベル)に維持される。
【0074】
タイミングt21において、制御信号Eは、選択的にアクティブレベル(Lレベル)にされ、スイッチ群32におけるスイッチ321が選択的にオン状態になる。これにより、ノードNBが第1の駆動能力でプルアップされた状態になる。これにより、入力端子TMinの寄生容量313に電荷が充電され始める。
【0075】
タイミングt22になると、ノードNBの電位Bが入力バッファ312の閾値VHを超えるので、ノードNCの電位CがLレベルからHレベルに遷移する。
【0076】
それに応じて、タイミングt23において、保持回路33(フリップフロップ331)の出力値DがLレベルからHレベルに遷移する。
【0077】
タイミングt25において、制御信号Eがノンアクティブレベル(Hレベル)にされ、制御信号Gが選択的にアクティブレベル(Hレベル)にされ、スイッチ322が選択的にオン状態になる。これにより、ノードNBのレベルが第1の駆動能力でプルダウンされた状態になる。これにより、入力端子TMinの寄生容量313から電荷が放電され始める。
【0078】
タイミングt26になると、ノードNBの電位Bが入力バッファ312の閾値VLを下回るので、ノードNCの電位CがHレベルからLレベルに遷移する。
【0079】
それに応じて、タイミングt27において、保持回路33(フリップフロップ331)の出力値DがHレベルからLレベルに遷移する。
【0080】
タイミングt28において、制御信号Gがノンアクティブレベル(Lレベル)にされ、制御信号Fが選択的にアクティブレベル(Lレベル)にされ、スイッチ群32におけるスイッチ323が選択的にオン状態になる。これにより、ノードNBの電位Bが第2の駆動能力でプルアップされた状態になる。これにより、第2の駆動能力(<第1の駆動能力)で、入力端子TMinの寄生容量313に電荷が徐々に充電され始める。
【0081】
タイミングt31において、ノードNBの電位Bが入力バッファ312の閾値VHを超えるので、ノードNCの電位CがLレベルからHレベルに遷移する。
【0082】
それに応じて、タイミングt32において、保持回路33(フリップフロップ331)の出力値DがLレベルからHレベルに遷移する。
【0083】
タイミングt34において、制御信号Fがノンアクティブレベル(Hレベル)にされ、制御信号Hが選択的にアクティブレベル(Hレベル)にされ、スイッチ群32におけるスイッチ324が選択的にオン状態になる。これにより、ノードNBの電位Bが第2の駆動能力でプルダウンされた状態になる。これにより、第2の駆動能力(<第1の駆動能力)で、入力端子TMinの寄生容量313から電荷が徐々に放電され始める。
【0084】
タイミングt35になると、ノードNBの電位Bが入力バッファ312の閾値VLを下回るので、ノードNCの電位がHレベルからLレベルに遷移する。
【0085】
それに応じて、タイミングt36において、保持回路33(フリップフロップ331)の出力値DがHレベルからLレベルに遷移する。
【0086】
タイミングt37において、制御信号Hがノンアクティブレベル(Lレベル)にされ、スイッチ群32における各スイッチ321~324がいずれもオフ状態になる。
【0087】
次に、入力端子TMinの電位Aの状態が、プルダウン抵抗成分を介してLレベル又はグランド電位にショートした故障状態の場合、
図6に「B(A pull-down)」「C(A pull-down)」「D(A pull-down)」の波形で示されるように、正常な場合と次の点で異なる動作が行われる。
【0088】
タイミングt28において、制御信号Gがノンアクティブレベル(Lレベル)にされ、制御信号Fが選択的にアクティブレベル(Lレベル)にされ、スイッチ群32におけるスイッチ323が選択的にオン状態になる。これにより、ノードNBの電位Bが第2の駆動能力でプルアップされた状態になるが、入力端子TMinの電位Aがプルダウン抵抗成分を介してLレベルにプルダウンされているため、正常な場合「B(A open)」に比べて、ゆるやかな充電速度で入力端子TMinの寄生容量313に電荷が充電され始める。
【0089】
入力端子TMinへの電荷の充電速度が正常な場合「B(A open)」に比べてゆるやかであるため、タイミングt31になってもノードNBの電位Bが入力バッファ312の閾値VHを超えず、ノードNCの電位CがLレベルに維持される。それに応じて、タイミングt32になっても保持回路33(フリップフロップ331)の出力値DがLレベルに維持される。
【0090】
さらに、タイミングt34になってもノードNBの電位Bが入力バッファ312の閾値VHを超えず、ノードNCの電位CがLレベルに維持される。それに応じて、タイミングt36になっても保持回路33(フリップフロップ331)の出力値DがLレベルに維持される。
【0091】
タイミングt34において、制御信号Fがノンアクティブレベル(Hレベル)にされ、制御信号Hが選択的にアクティブレベル(Hレベル)にされ、スイッチ群32におけるスイッチ324が選択的にオン状態になる。これにより、ノードNBの電位Bが第2の駆動能力でプルダウンされた状態になる。これにより、入力端子TMinの寄生容量313から電荷が徐々に放電され始める。
【0092】
タイミングt37において、制御信号Hがノンアクティブレベル(Lレベル)にされ、スイッチ群32における各スイッチ321~324がいずれもオフ状態になる。
【0093】
すなわち、セルフテスト回路5は、「D(A pull-down)」の波形における一点鎖線で囲った部分にHレベルの波形が現れないことから、入力端子TMinの電位Aの状態が「pull-down」の故障状態であると判別できる。
【0094】
次に、入力端子TMinの電位Aの状態が、プルアップ抵抗成分を介してHレベル又は電源電位にショートした故障状態の場合、
図6に「B(A pull-up)」「C(A pull-up)」「D(A pull-up)」の波形で示されるように、正常な場合と次の点で異なる動作が行われる。
【0095】
タイミングt28において、制御信号Gがノンアクティブレベル(Lレベル)にされ、制御信号Fが選択的にアクティブレベル(Lレベル)にされ、スイッチ群32におけるスイッチ323が選択的にオン状態になる。これにより、ノードNBの電位Bが第2の駆動能力でプルアップされた状態になるが、入力端子TMinの電位Aがプルアップ抵抗成分を介してHレベルにプルアップされているため、正常な場合「B(A open)」に比べて、急峻な充電速度で入力端子TMinの寄生容量313に電荷が充電され始める。
【0096】
入力端子TMinへの電荷の充電速度が正常な場合「B(A open)」に比べて急峻であるため、タイミングt29になると、ノードNBの電位Bが入力バッファ312の閾値VHを超え、ノードNCの電位CがLレベルからHレベルに遷移する。すなわち、正常な場合「B(A open)」のタイミングt31より早いタイミングt29でノードNCの電位CがLレベルからHレベルに遷移する。
【0097】
それに応じて、タイミングt30において、保持回路33(フリップフロップ331)の出力値DがLレベルからHレベルに遷移する。
【0098】
タイミングt34において、制御信号Fがノンアクティブレベル(Hレベル)にされ、制御信号Hが選択的にアクティブレベル(Hレベル)にされ、スイッチ群32におけるスイッチ324が選択的にオン状態になる。これにより、ノードNBの電位Bが第2の駆動能力でプルダウンされた状態になるが、入力端子TMinの電位Aがプルアップ抵抗成分を介してHレベルにプルアップされているため、正常な場合「B(A open)」に比べて、ゆるやかな放電速度で入力端子TMinの寄生容量313から電荷が放電され始める。
【0099】
入力端子TMinからの電荷の放電速度が正常な場合「B(A open)」に比べてゆるやかであるため、タイミングt35になってもノードNBの電位Bが入力バッファ312の閾値VLを下回らず、ノードNCの電位CがHレベルに維持される。それに応じて、タイミングt36になっても保持回路33(フリップフロップ331)の出力値DがHレベルに維持される。
【0100】
さらに、タイミングt37になってもノードNBの電位Bが入力バッファ312の閾値VLを下回らず、ノードNCの電位CがHレベルに維持される。また、保持回路33(フリップフロップ331)の出力値DがHレベルに維持される。
【0101】
タイミングt37において、制御信号Hがノンアクティブレベル(Lレベル)にされ、スイッチ群32における各スイッチ321~324がいずれもオフ状態になる。
【0102】
すなわち、セルフテスト回路5は、「D(A pull-up)」の波形における一点鎖線で囲った部分にLレベルの波形が現れないことから、入力端子TMinの電位Aの状態が「pull-up」の故障状態であると判別できる。
【0103】
あるいは、プルアップ抵抗成分・プルダウン抵抗成分の抵抗値が比較的低い場合、入力端子TMinの電位Aの状態が、正常、「pull-up」状態、「pull-down」状態のいずれであるかは、
図7に示すようにテストパターンに対する遷移時間を見ることで判別可能である。入力端子TMinが比較的低い抵抗値でプルアップ又はプルダウンされている場合は、トランジスタ駆動能力の違いにより、波形の遷移時間に違いが生じやすい。セルフテスト回路5は、遷移時間の違いを検出する事により、入力端子TMinの電位Aの状態を判別する。
【0104】
図7では、入力回路3に対する他のセルフテスト動作を示す図であり、
図6に示すノードN
Bの電位Bの波形における立ち上がり遷移を保持回路33の出力値Dのレベルの遷移により間接的に把握して、波形の立ち上がり遷移時間をテストする場合を例示している。
図7では、制御信号E~Hについて
図6と同様の波形が示され、電位B、電位Cの波形は図示が省略されているが
図6と同様であり、タイミングの部材番号は
図6と同じt21~t37が用いられている。なお、波形の立ち下がり遷移時間のテストも、波形の立ち上がり遷移時間のテストと同様に行うことができる。
図7に示すセルフテスト動作においては、外部から入力端子TMinへの信号の入力が行われない。
【0105】
まず、
図7で「D(A open)」と表記された正常である場合、次のような動作が行われる。
【0106】
タイミングt21において、セルフテスト回路5は、制御信号Eを選択的にアクティブレベル(Lレベル)にするとともに、カウント開始信号startをアクティブにしてカウンタによるクロック数のカウント動作をスタートさせる。すなわち、入力端子TMinの電位Aをスイッチ321により第1の駆動能力でHレベルにプルアップしながら、ノードNBの電位Bの波形の立ち上がり遷移時間の計測を開始する。
【0107】
タイミングt23において、セルフテスト回路5は、保持回路33の出力値DがLレベルからHレベルへ遷移したことに応じて、カウント停止信号compareをアクティブにしてカウンタによるカウント動作を停止し、カウンタのカウント数=0x01を保持する。すなわち、入力端子TMinの電位Aをスイッチ321により第1の駆動能力でHレベルにプルアップしながら、ノードNBの電位Bの波形の立ち上がり遷移時間の計測を終了し、計測結果(立ち上がり遷移時間=1クロック)を得る。
【0108】
タイミングt24において、セルフテスト回路5は、カウンタのカウント数0x01が期待値0x01と一致しているので、判定信号Judgementをアクティブにして出力する。セルフテスト回路5は、カウンタのカウント数をリセットする。
【0109】
タイミングt28において、セルフテスト回路5は、制御信号Fを選択的にアクティブレベル(Lレベル)にするとともに、カウント開始信号startをアクティブにしてカウンタによるクロック数のカウント動作をスタートさせる。すなわち、入力端子TMinの電位Aをスイッチ323により第2の駆動能力(<第1の駆動能力)でHレベルにプルアップしながら、ノードNBの電位Bの波形の立ち上がり遷移時間の計測を開始する。
【0110】
タイミングt32において、セルフテスト回路5は、保持回路33の出力値DがLレベルからHレベルへ遷移したことに応じて、カウント停止信号compareをアクティブにしてカウンタによるカウント動作を停止し、カウンタのカウント数=0x07を保持する。すなわち、入力端子TMinの電位Aをスイッチ321により第2の駆動能力でHレベルにプルアップしながら、ノードNBの電位Bの波形の立ち上がり遷移時間の計測を終了し、計測結果(立ち上がり遷移時間=7クロック)を得る。
【0111】
タイミングt33において、セルフテスト回路5は、カウンタのカウント数0x07が期待値0x07と一致しているので、判定信号Judgementをアクティブにして出力する。セルフテスト回路5は、カウンタのカウント数をリセットする。
【0112】
次に、入力端子TMinの電位Aの状態が、プルダウン抵抗成分を介してLレベル又はグランド電位にショートした故障状態の場合、
図7に「D(A pull-down)」の波形で示されるように、正常な場合と次の点で異なる動作が行われる。
【0113】
タイミングt28において、セルフテスト回路5は、制御信号Fを選択的にアクティブレベル(Lレベル)にするとともに、カウント開始信号startをアクティブにしてカウンタによるクロック数のカウント動作をスタートさせる。すなわち、入力端子TMinの電位Aをスイッチ323により第2の駆動能力(<第1の駆動能力)でHレベルにプルアップしながら、ノードNBの電位Bの波形の立ち上がり遷移時間の計測を開始する。
【0114】
タイミングt34において、セルフテスト回路5は、制御信号Fをアクティブレベルに維持する期間が終了することに応じて、カウント停止信号compareをアクティブにしてカウンタによるカウント動作を停止し、カウンタのカウント数=0x0Eを保持する。すなわち、入力端子TMinの電位Aをスイッチ324により第2の駆動能力でHレベルにプルアップしながら、ノードNBの電位Bの波形の立ち上がり遷移時間の計測を終了し、計測結果(立ち上がり遷移時間=15クロック)を得る。
【0115】
タイミングt34において、セルフテスト回路5は、カウンタのカウント数0x0Eが期待値0x07と一致しないので、判定信号Judgementをノンアクティブに維持して出力する。セルフテスト回路5は、カウンタのカウント数をリセットする。
【0116】
すなわち、制御信号Fがアクティブレベルに維持される期間(タイミングt28~t34の期間)内にアクティブな判定信号Judgementが出力されないことで、故障が発生したことが示される。
【0117】
なお、セルフテスト回路5は、タイミングt34において、カウンタのカウント数0x0Eが期待値0x07より大きいことに応じて、「pull-down」状態であることを示す判定信号Judgement(例えば、3クロック期間でHレベル、Lレベル、Hレベルとなるパターン)を出力してもよい。
【0118】
次に、入力端子TMinの電位Aの状態が、プルアップ抵抗成分を介してHレベル又は電源電位にショートした故障状態の場合、
図7に「D(A pull-up)」の波形で示されるように、正常な場合と次の点で異なる動作が行われる。
【0119】
タイミングt28において、セルフテスト回路5は、制御信号Fを選択的にアクティブレベル(Lレベル)にするとともに、カウント開始信号startをアクティブにしてカウンタによるクロック数のカウント動作をスタートさせる。すなわち、入力端子TMinの電位Aをスイッチ323により第2の駆動能力(<第1の駆動能力)でHレベルにプルアップしながら、ノードNBの電位Bの波形の立ち上がり遷移時間の計測を開始する。
【0120】
タイミングt30において、セルフテスト回路5は、保持回路33の出力値DがLレベルからHレベルへ遷移したことに応じて、カウント停止信号compareをアクティブにしてカウンタによるカウント動作を停止し、カウンタのカウント数=0x05を保持する。すなわち、入力端子TMinの電位Aをスイッチ321により第2の駆動能力でHレベルにプルアップしながら、ノードNBの電位Bの波形の立ち上がり遷移時間の計測を終了し、計測結果(立ち上がり遷移時間=5クロック)を得る。
【0121】
タイミングt38において、セルフテスト回路5は、カウンタのカウント数0x05が期待値0x07と一致しないので、判定信号Judgementをノンアクティブに維持して出力する。セルフテスト回路5は、カウンタのカウント数をリセットする。
【0122】
すなわち、制御信号Fがアクティブレベルに維持される期間(タイミングt28~t34の期間)内にアクティブな判定信号Judgementが出力されないことで、故障が発生したことが示される。
【0123】
なお、セルフテスト回路5は、タイミングt38において、カウンタのカウント数0x05が期待値0x07より小さいことに応じて、「pull-up」状態であることを示す判定信号Judgement(例えば、5クロック期間でHレベル、Lレベル、Hレベル、Lレベル、Hレベルとなるパターン)を出力してもよい。
【0124】
なお、セルフテスト回路5は、クロック数の期待値を複数として、判定対象の値がある幅の範囲内であれば一致信号を出力して故障なしと判定することもできる。例えば、タイミングt28~t32の期間について、正常な場合のクロック数が0x07であるが、期待値が0x06,0x07,0x08とされてもよい。この場合、クロック数が0x06~0x08の範囲内であれば、故障なしと判定される。
図7の例では、「D(A pull-donw)」の場合に、タイミングt28~t34のクロック数0x0Eが0x06~0x08の範囲を大きい側に外れているので、「pull-donw」の故障状態であると判別され得る。「D(A pull-up)」の場合に、タイミングt28~t30のクロック数0x05が0x06~0x08の範囲を小さい側に外れているので、「pull-up」の故障状態がそれぞれ判別され得る。
【0125】
以上のように、本実施形態では、半導体装置1において、入力回路3内におけるテスト対象回路31とセルフテスト回路5との間にスイッチ群32と保持回路33とを設ける。スイッチ群32は、駆動能力の異なる複数のスイッチ321~324を含む。セルフテスト回路5は、第1の駆動能力を有するスイッチ321,322と第2の駆動能力を有するスイッチ323,324とを順次にオン・オフさせるテストパターンをスイッチ群32へ供給する。これにより、テスト対象回路31における端子に対する電荷の充電速度及び/又は放電速度を変えるなど、テスト対象回路31にその回路動作をアナログ的に変化させるテストパターンを供給できる。また、セルフテスト回路5は、第1の駆動能力で供給されたテストパターンに対する比較結果と第2の駆動能力で供給されたテストパターンに対する比較結果との組み合わせなどに応じて、端子の状態などの回路状態について故障の有無及びその状態を判定できる。したがって、入力回路3の回路状態をアナログ的にテストできる。
【0126】
なお、セルフテスト回路5は、入力回路3にノンアクティブレベルの制御信号ASを供給してアナログスイッチ311をオフ状態に維持しながら、
図5~
図7に示すセルフテスト動作を行ってもよい。これにより、セルフテスト回路5は、アナログスイッチ311をオン状態に維持した場合のテスト結果とアナログスイッチ311をオフ状態に維持した場合のテスト結果とを比較することで、故障が入力回路3内の端子TMinの状態に起因するのか否かを判定できる。また、セルフテスト回路5は、入力回路3内の端子TMinの状態のテストに代えて、入力回路3内のノードN
B及び入力バッファ312の状態のテストを行うことができる。また、アナログスイッチ311をオフ状態に維持するテストを行わない場合、各入力回路3は、アナログスイッチ311が省略された構成であってもよい。
【0127】
各入力回路3は、入力バッファ312が省略された構成であってもよい。この場合、
図5~
図7に示すセルフテスト動作において、入力回路3内のノードN
Bの電位Bが保持回路33(フリップフロップ331)で保持され、セルフテスト回路5は、その値Dを取得して期待値と比較して判定を行ってもよい。
【0128】
セルフテスト回路5は、半導体装置1の起動タイミングにおいて、セルフテスト動作を行ってもよいし、指定されたタイミングにおいて、セルフテスト動作を行ってもよい。指定されたタイミングは、例えば、回路ブロック2のアイドリング状態が所定時間以上継続したことなどに応じて、半導体装置1により、動作モードを主機能回路モードからセルフテストモードに切り替えることを指示する制御信号が供給されるタイミングである。
【0129】
また、本実施形態では、回路ブロックの主機能回路動作のアイドリング期間等にセルフテストを行う場合を例に説明したが、外部のMPU(micro Processor Unit)から、動作モードを主機能回路モードからセルフテストモードに切り替える制御信号が入力されるタイミングでセルフテストを行うように構成してもよい。さらに、本実施形態では、セルフテストの判定結果を出力回路4経由で外部に出力する場合を例に説明したが、MPUに出力するように構成してもよい。
【0130】
(実施形態の第1の変形例)
また、検査対象の回路が出力回路4である場合、出力回路4は、
図8に示すように構成され得る。
図8は、実施形態の第1の変形例における検査対象の回路としての出力回路4の構成を示す図である。
【0131】
出力回路4は、テスト対象回路41、スイッチ群42、及び保持回路43を有する。スイッチ群42は、テスト対象回路41とセルフテスト回路5との間に電気的に接続され、セルフテスト回路5からの入力インタフェースとして機能する。保持回路43は、テスト対象回路41とセルフテスト回路5との間に電気的に接続され、セルフテスト回路5への出力インタフェースとして機能する。テスト対象回路41は、出力端子TMout、アナログスイッチ411、出力バッファ412を有する。出力端子TMoutは、グランド電位との間に寄生容量413を有する。アナログスイッチ411は、出力端子TMoutとノードNB’ (第1のノード)との間に電気的に接続され、制御信号AS’に応じてオン・オフする。出力バッファ412は、ノードNB’に電気的に接続されている。
【0132】
スイッチ群42は、その一部が出力バッファ412の一部と兼用されている。スイッチ群42は、複数のスイッチ421~424を有し、スイッチ421,422が第1の駆動能力を有し、スイッチ423,424が第2の駆動能力(<第1の駆動能力)を有する。
【0133】
例えば、スイッチ421,422,423,424は、それぞれ、PMOSトランジスタPM11、NMOSトランジスタNM11、PMOSトランジスタPM12、NMOSトランジスタNM12を含む。出力バッファ412は、PMOSトランジスタPM11、NMOSトランジスタNM11、PMOSトランジスタPM21、NMOSトランジスタNM21を含む。すなわち、PMOSトランジスタPM11及びNMOSトランジスタNM11がスイッチ群42と出力バッファ412とで兼用されている。
【0134】
出力バッファ412において、PMOSトランジスタPM21及びNMOSトランジスタNM21は、インバータ接続され、ゲートが入力ノードNinに共通接続され、ドレインがノードN
B’に共通接続されている。入力ノードNinには、セレクタ22(
図2参照)の出力ノードに電気的に接続されている。
【0135】
出力バッファ412及びスイッチ群42において、PMOSトランジスタPM11は、PMOSトランジスタPM21のソースと電源電位との間に電気的に接続され、ゲートで制御信号E’を受ける。NMOSトランジスタNM11は、NMOSトランジスタNM21のソースとグランド電位との間に電気的に接続され、ゲートで制御信号G’を受ける。PMOSトランジスタPM11及びNMOSトランジスタNM11は、それぞれ、第1の駆動能力に対応したディメンジョンD1,D11を有する。
【0136】
スイッチ群42において、PMOSトランジスタPM12は、ノードNB’と電源電位との間に電気的に接続され、ゲートで制御信号F’を受ける。NMOSトランジスタNM12は、ノードNB’とグランド電位との間に電気的に接続され、ゲートで制御信号H’を受ける。PMOSトランジスタPM12及びNMOSトランジスタNM12は、それぞれ、第2の駆動能力に対応したディメンジョンD2(<D1),D12(<D11)を有する。
【0137】
保持回路43において、バッファ432は、バッファ312(
図3参照)と同様に動作し、ノードN
B’の電位Bが閾値V
Hをより低いレベルから超えると、その出力がLレベルからHレベルへ遷移し、ノードN
B’の電位Bが閾値V
Lをより高いレベルから下回ると、その出力がHレベルからLレベルへ遷移する。フリップフロップ431は、フリップフロップ331(
図3参照)と同様である。
【0138】
図2に示すセルフテスト回路5は、セルフテストモードにおいて、制御回路51から、アクティブレベルの制御信号AS1’の信号を出力回路4のスイッチ群42へ供給するとともに、制御信号E*’,F*’,G*’,H*’の信号をテストパターンとして出力回路4のスイッチ群42へ供給する。セルフテスト回路5は、テストパターンに対して、
図8に示す保持回路43からレスポンスの値を受け、レスポンスの値を期待値と比較し、比較結果に応じて、出力回路4における端子の状態などの回路状態について故障の有無及びその状態を判定できる。例えば、セルフテスト回路5は、出力回路4に対しても、
図5~
図7に示すようなセルフテスト動作を行うことができる。
図5~
図7に示す制御信号E,F,G,Hは、
図8に示すE’,F’,G’,H’に対応している。
【0139】
入力回路3に対する
図5~
図7のセルフテスト動作においては入力回路3への信号の入力がなされないが、出力回路4に対する
図5~
図7のセルフテスト動作では、セルフテスト回路5は、出力回路4へ入力される信号Kについても制御を行う。すなわち、セルフテスト回路5は、出力回路4については、主機能回路モードとセルフテストモードとそれぞれ状況に合わせて制御信号E’,G’と信号Kとを適切に制御する。
【0140】
セルフテスト回路5は、主機能回路モードにおいて、制御信号E’をLレベル、制御信号G’をHレベルとするとき、信号Kを主機能回路21(
図2参照)からの信号入力とする。セルフテスト回路5は、セルフテストモードにおいて、制御信号E’をアクティブレベル(Lレベル)にするときは信号KをLレベルにし、制御信号G’をアクティブレベル(Hレベル)にするときは信号KをHレベルにする。セルフテスト回路5は、セルフテストモードにおいて、制御信号F’をアクティブレベル(Lレベル)にするか制御信号H’をアクティブレベル(Hレベル)にするとき、ハイインピーダンスとなるように制御信号E’をHレベル、制御信号G’をLレベルとし、信号Kを任意のレベル(don’t care)とする。
【0141】
なお、セルフテスト回路5は、出力回路4にノンアクティブレベルの制御信号AS’を供給してアナログスイッチ411をオフ状態に維持しながら、
図5~
図7に示すセルフテスト動作を行ってもよい。これにより、セルフテスト回路5は、アナログスイッチ411をオン状態に維持した場合のテスト結果とアナログスイッチ411をオフ状態に維持した場合のテスト結果とを比較することで、故障が出力回路4内の端子TMoutの状態に起因するのか否かを判定できる。また、セルフテスト回路5は、出力回路4内の端子TMoutの状態のテストに代えて、出力回路4内のノードN
B’及び出力バッファ412の状態のテストを行うことができる。また、アナログスイッチ411をオフ状態に維持するテストを行わない場合、各出力回路4は、アナログスイッチ411が省略された構成であってもよい。
【0142】
各出力回路4は、出力バッファ412におけるPMOSトランジスタPM21、NMOSトランジスタNM21が省略されて構成であってもよく、さらに、保持回路43におけるバッファ432が省略された構成であってもよい。この場合、セルフテスト回路5は、
図5~
図7に示すセルフテスト動作において、出力回路4内のノードN
B’の電位Bが保持回路43(フリップフロップ431)で保持された値Dを期待値と比較して判定を行ってもよい。
【0143】
(実施形態の第2の変形例)
あるいは、セルフテスト回路5は、
図9に示すように、隣接して配される複数の入力回路間の状態についてのテストを行ってもよい。
図9は、実施形態の第2の変形例における隣接して配される複数の入力回路に対するセルフテスト動作を示す図である。
【0144】
例えば、回路ブロック2における複数の入力回路3-1~3-3が隣接して配されている場合、セルフテスト回路5は、複数の入力回路3-1~3-3に順次にテストパターンE,F,G,Hを供給し、そのレスポンスDを取得する。
【0145】
図9(a)に示すセルフテスト動作では、セルフテスト回路5は、制御信号E1,F1,G1,H1の少なくともいずれかがアクティブレベルになるテストパターンを入力回路3-1のスイッチ群32へ供給する。それとともに、セルフテスト回路5は、ノンアクティブレベルに維持された制御信号E2,F2,G2,H2を入力回路3-2のスイッチ群32へ供給し、ノンアクティブレベルに維持された制御信号E3,F3,G3,H3を入力回路3-3のスイッチ群32へ供給する。入力回路3-1のスイッチ群32の各スイッチ321~324は、テストパターンに応じてオン・オフし、他の入力回路3-2,3-3のスイッチ群32の各スイッチ321~324は、いずれもオフ固定である。
【0146】
このとき、入力回路3-1,3-2の入力端子TMin間でショートしていなければ、セルフテスト回路5は、テストパターンに応じたレスポンスの値Dを、入力回路3-1の保持回路33から受けるが、他の入力回路3-2,3-3の保持回路33からは受けないはずである。
【0147】
しかし、
図9(a)に点線の矢印で示すように、入力回路3-1の入力端子TMinと入力回路3-2の入力端子TMinとがショートしていると、そのショートの経路を介してテストパターンが入力回路3-2へ伝達される。セルフテスト回路5は、レスポンスの値D1,D2,D3をそれぞれ期待値EVと比較する。セルフテスト回路5は、レスポンスの値D2が期待値EVと一致せず、テストパターンを供給していない入力回路3-2からもレスポンスの値D1と同じレスポンスが得られるため、入力回路3-1の入力端子TMinと入力回路3-2の入力端子TMinとがショートしていると判定する。
【0148】
図9(b)に示すセルフテスト動作では、セルフテスト回路5は、制御信号E2,F2,G2,H2の少なくともいずれかがアクティブレベルになるテストパターンを入力回路3-2のスイッチ群32へ供給する。それとともに、セルフテスト回路5は、ノンアクティブレベルに維持された制御信号E1,F1,G1,H1を入力回路3-1のスイッチ群32へ供給し、ノンアクティブレベルに維持された制御信号E3,F3,G3,H3を入力回路3-3のスイッチ群32へ供給する。入力回路3-2のスイッチ群32の各スイッチ321~324は、テストパターンに応じてオン・オフし、他の入力回路3-1,3-3のスイッチ群32の各スイッチ321~324は、いずれもオフ固定である。
【0149】
このとき、入力回路3-1,3-2の入力端子TMin間でショートしていなければ、セルフテスト回路5は、テストパターンに応じたレスポンスの値Dを、入力回路3-2の保持回路33から受けるが、他の入力回路3-1,3-3の保持回路33からは受けないはずである。
【0150】
しかし、
図9(b)に点線の矢印で示すように、入力回路3-1の入力端子TMinと入力回路3-2の入力端子TMinとがショートしていると、そのショートの経路を介してテストパターンが入力回路3-1へ伝達される。セルフテスト回路5は、レスポンスの値D1,D2,D3をそれぞれ期待値EVと比較する。セルフテスト回路5は、レスポンスの値D1が期待値EVと一致せず、テストパターンを供給していない入力回路3-1からもレスポンスの値D2と同じレスポンスが得られるため、入力回路3-1の入力端子TMinと入力回路3-2の入力端子TMinとがショートしていると判定する。
【0151】
図9(c)に示すセルフテスト動作では、セルフテスト回路5は、制御信号E3,F3,G3,H3の少なくともいずれかがアクティブレベルになるテストパターンを入力回路3-3のスイッチ群32へ供給する。それとともに、セルフテスト回路5は、ノンアクティブレベルに維持された制御信号E1,F1,G1,H1を入力回路3-1のスイッチ群32へ供給し、ノンアクティブレベルに維持された制御信号E2,F2,G2,H2を入力回路3-2のスイッチ群32へ供給する。入力回路3-3のスイッチ群32の各スイッチ321~324は、テストパターンに応じてオン・オフし、他の入力回路3-1,3-2のスイッチ群32の各スイッチ321~324は、いずれもオフ固定である。
【0152】
このとき、入力回路3-2,3-3の入力端子TMin間でショートしていなければ、セルフテスト回路5は、テストパターンに応じたレスポンスの値Dを、入力回路3-3の保持回路33から受けるが、他の入力回路3-1,3-2の保持回路33からは受けないはずである。
【0153】
図9(c)に示すように、入力回路3-2の入力端子TMinと入力回路3-3の入力端子TMinとがショートしていないため、テストパターンが入力回路3-2へ伝達されない。セルフテスト回路5は、レスポンスの値D1,D2,D3をそれぞれ期待値EVと比較する。セルフテスト回路5は、レスポンスの値D3が期待値EVと一致すれば、テストパターンを供給していない入力回路からは期待するレスポンスが得られており、入力回路3-2,3-3の入力端子TMin間がショートしていないと判定する。
【0154】
すなわち、
図9(a)~
図9(c)に示すケースでは、セルフテスト回路5は、セルフテスト動作により、入力回路3-1,3-2の入力端子TMin間でショートの故障が発生していると判定できる。
【0155】
このように、セルフテスト回路5は、互いに隣接して配される複数の検査対象の回路(例えば、複数の入力回路3)のうち1つの検査対象の回路にテストパターンを供給し他の検査対象の回路にテストパターンを供給しない状態で複数の検査対象の回路からのレスポンスを見ることで、隣接する端子間等の隣接する検査対象回路間の状態についてテストすることができる。
【0156】
(実施形態の第3の変形例)
あるいは、検査対象の回路は、
図10に示すように、より中間的なレベルについてテスト可能であってもよい。
図10は、実施形態の第3の変形例における構成を示す図であり、検査対象の回路が入力回路3である場合が例示されている。入力回路3は、コンパレータ34、コンパレータ35、及びアナログスイッチ36を有する。コンパレータ34は、非反転入力ノード(+)が参照電圧V
LLに電気的に接続され、反転入力ノード(-)がアナログスイッチ36を介してノードN
Bに電気的に接続されている。参照電圧V
LLは、入力バッファ312のLレベルの閾値V
Lとグランド電位との間のレベルを有する。コンパレータ34は、ノードN
Bの電位Bが参照電圧V
LLを下回った場合にHレベルの比較結果C-1を出力し、ノードN
Bの電位Bが参照電圧V
LLを超えた場合にLレベルの比較結果C-1を出力する。
【0157】
コンパレータ35は、非反転入力ノード(+)がアナログスイッチ36を介してノードNBに電気的に接続され、反転入力ノード(-)が参照電圧VHHに電気的に接続されている。参照電圧VHHは、入力バッファ312のHレベルの閾値VHと電源電位との間のレベルを有する。コンパレータ34は、ノードNBの電位Bが参照電圧VHHを超えた場合にHレベルの比較結果C-2を出力し、ノードNBの電位Bが参照電圧VHHを下回った場合にLレベルの比較結果C-2を出力する。
【0158】
アナログスイッチ36は、ノードNBとコンパレータ34,35との間に電気的に接続されている。アナログスイッチ36は、アクティブレベルの制御信号AS2を受けた際にノードNBとコンパレータ34,35とを電気的に接続し、ノンアクティブレベルの制御信号AS2を受けた際にノードNBとコンパレータ34,35とを電気的に遮断する。
【0159】
また、プルアップ抵抗成分・プルダウン抵抗成分の抵抗値が比較的低い場合、入力端子TMinの電位Aの状態が、正常、「pull-up」状態、「pull-down」状態のいずれであるかは、
図11に示すようなテストパターンに対するレスポンスを見ることで判別可能である。
図11では、制御信号E~Hについて
図6と同様の波形が示され、電位B、電位Cの波形は
図6と同様であり、タイミングの部材番号は
図6と同じt21~t37が用いられている。なお、波形の立ち下がり遷移時間のテストも、波形の立ち上がり遷移時間のテストと同様に行うことができる。
図11に示すセルフテスト動作においては、外部から入力端子TMinへの信号の入力が行われない。
【0160】
まず、
図11で「B(A open)」「C(A open)」「C-1(A open)」「C-2(A open)」と表記された正常である場合、次の点で
図6と異なる動作が行われる。
【0161】
タイミングt21より前のタイミングにおいて、制御信号AS,AS2はアクティブレベルにして維持される。制御信号E,Fは、ノンアクティブレベル(Hレベル)に維持され、制御信号G,Hは、ノンアクティブレベル(Lレベル)に維持される。
【0162】
タイミングt41において、ノードNBの電位Bが参照電圧VHHを超えるので、コンパレータ35の比較結果C-2がLレベルからHレベルに遷移する。
【0163】
タイミングt42において、ノードNBの電位Bが参照電圧VHHを下回るので、コンパレータ35の比較結果C-2がHレベルからLレベルに遷移する。
【0164】
タイミングt43において、ノードNBの電位Bが参照電圧VLLを下回るので、コンパレータ34の比較結果C-1がLレベルからHレベルに遷移する。
【0165】
タイミングt45において、ノードNBの電位Bが参照電圧VLLを超えるので、コンパレータ34の比較結果C-1がHレベルからLレベルに遷移する。
【0166】
タイミングt50において、ノードNBの電位Bが参照電圧VLLを下回るので、コンパレータ34の比較結果C-1がLレベルからHレベルに遷移する。
【0167】
次に、入力端子TMinの電位Aの状態が、プルダウン抵抗成分を介してLレベル又はグランド電位にショートした故障状態の場合、
図11に「C(A pull-down)」「C-1(A pull-down)」「C-2(A pull-down)」の波形で示されるように、正常な場合と次の点で異なる動作が行われる。
【0168】
タイミングt28において、ゆるやかな充電速度で入力端子TMinの寄生容量313に電荷が充電され始め、タイミングt45になってもノードNBの電位Bが参照電圧VLLを超えず、コンパレータ34の比較結果C-1がHレベルに維持される。
【0169】
タイミングt45より遅いタイミングt46において、ノードNBの電位Bが参照電圧VLLを超えるので、コンパレータ34の比較結果C-1がHレベルからLレベルに遷移する。
【0170】
タイミングt50より早いタイミングt49において、ノードNBの電位Bが参照電圧VLLを下回るので、コンパレータ34の比較結果C-1がLレベルからHレベルに遷移する。
【0171】
すなわち、セルフテスト回路5は、「C(A pull-down)」の波形における一点鎖線で囲った部分にHレベルの波形が現れないことと「C-1(A pull-down)」の波形における一点鎖線で囲った部分にHレベルの波形が現れていることとから、入力端子TMinの電位Aの状態が「pull-down」の故障状態であると判別できる。
【0172】
また、セルフテスト回路5は、「C-1(A pull-down)」の波形における一点鎖線で囲った部分にHレベルの波形の時間幅を見ることで、プルアップ抵抗成分の抵抗値がどの程度低いのかという追加情報を得ることができる。
【0173】
次に、入力端子TMinの電位Aの状態が、プルアップ抵抗成分を介してHレベル又は電源電位にショートした故障状態の場合、
図11に「C(A pull-up)」「C-1(A pull-up)」「C-2(A pull-up)」の波形で示されるように、正常な場合と次の点で異なる動作が行われる。
【0174】
タイミングt28において、制御信号Gがノンアクティブレベル(Lレベル)にされ、制御信号Fが選択的にアクティブレベル(Lレベル)にされ、スイッチ群32におけるスイッチ323が選択的にオン状態になる。これにより、正常な場合「B(A open)に比べて、急峻な充電速度で入力端子TMinの寄生容量313に電荷が充電され始める。
【0175】
入力端子TMinへの電荷の充電速度が正常な場合「B(A open)に比べて急峻であるため、タイミングt45より早いタイミングt44において、ノードNBの電位Bが参照電圧VLLを超える。これに応じて、コンパレータ34の比較結果C-1がHレベルからLレベルに遷移する。
【0176】
タイミングt47において、ノードNBの電位Bが参照電圧VHHを超えるので、コンパレータ35の比較結果C-2がLレベルからHレベルに遷移する。
【0177】
タイミングt34において、緩やかな放電速度で入力端子TMinの寄生容量313から電荷が放電され始め、タイミングt48において、ノードNBの電位Bが参照電圧VHHを下回るので、コンパレータ35の比較結果C-2がHレベルからLレベルに遷移する。
【0178】
入力端子TMinからの電荷の放電速度が正常な場合「B(A open)」に比べてゆるやかであるため、タイミングt50になってもノードNBの電位Bが参照電圧VLLを下回らず、コンパレータ34の比較結果C-1がLレベルに維持される。
【0179】
すなわち、セルフテスト回路5は、「C(A pull-up)」の波形における一点鎖線で囲った部分にHレベルの波形が現れないことと、「C-1(A pull-up)」の波形における一点鎖線で囲った部分にHレベルの波形が現れてないことと、「C-2(A pull-up)」の波形における一点鎖線で囲った部分にHレベルの波形が現れることとから、入力端子TMinの電位Aの状態が「pull-up」の故障状態であると判別できる。
【0180】
また、セルフテスト回路5は、「C-2(A pull-up)」の波形における一点鎖線で囲った部分にHレベルの波形の時間幅を見ることで、プルアップ抵抗成分の抵抗値がどの程度低いのかという追加情報を得ることができる。
【0181】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0182】
1 半導体装置
2,2-1~2-N 回路ブロック
3,3-1~3-k 入力回路
4,4-1~4-k 出力回路
5 セルフテスト回路
31,41 テスト対象回路
32,42 スイッチ群
33,43 保持回路
34,35 コンパレータ
321~324,421~424 スイッチ