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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】DC-DCコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
H02M3/155 P
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020172147
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2022063751
(43)【公開日】2022-04-22
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板坂 直哉
(72)【発明者】
【氏名】古谷 仁
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-012698(JP,A)
【文献】特開2007-252185(JP,A)
【文献】特開2004-208382(JP,A)
【文献】特開2009-303384(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0026256(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0256535(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00 - 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に接続されるインダクタと、
前記インダクタにそれぞれ接続される第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子から前記インダクタへ流れる電流の大きさを検出する電流センス回路と、
前記電流センス回路によりブランキング時間の後に検出された電流の大きさに基づいて前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子の動作を制御するPWM信号を出力するPWM変換回路と、
第1の負荷状態又は前記第1の負荷状態より前記インダクタから前記負荷への出力電流が少ない第2の負荷状態を検出する軽負荷検出回路と、
前記ブランキング時間を前記PWM変換回路に設定するブランキング時間設定回路と
を具備し、
前記ブランキング時間設定回路は、前記軽負荷検出回路により前記第2の負荷状態が検出されたとき、前記第1の負荷状態が検出されたときに設定する前記ブランキング時間より短い前記ブランキング時間を設定する、
DC-DCコンバータ。
【請求項2】
前記ブランキング時間設定回路は、
キャパシタと、
前記キャパシタに定電流を供給する第1の電流源と、
前記キャパシタに前記軽負荷検出回路により前記第2の負荷状態が検出されたときに前記キャパシタに定電流を供給する第2の電流源と、
前記キャパシタの充電電圧が参照電圧を超えたときに前記ブランキング時間を設定するブランキング信号のレベルを変更するコンパレータと
を有する、請求項1に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項3】
前記軽負荷検出回路は、前記第2のスイッチング素子がオン状態の期間に、前記インダクタから前記第2のスイッチング素子へ流れる電流の大きさに応じた電圧が所定の電圧を超えたか否かに基づいて、前記第1の負荷状態又は前記第2の負荷状態を検出する、請求項1又は請求項2に記載のDC-DCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、DC-DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、同期整流方式のDC-DCコンバータとして、スイッチング素子を一定周波数で動作するPWM(Pulse Width Modulation)方式のDC-DCコンバータが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-014482号公報
【文献】特開2018-152984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、PWM方式のDC-DCコンバータにおいては、軽負荷時に、スイッチング周期ごとに出力コンデンサに蓄積される過多電力量が増大することに起因して、出力電圧を制御するためにパルススキップが発生する場合があった。パルススキップが発生すると、電磁妨害(Electromagnetic Interference,EMI)を生じる場合がある。
【0005】
本発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであって、PWM方式のスイッチングにおいて、軽負荷時のパルススキップの発生を抑制することができる同期整流方式のDC-DCコンバータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態に係るDC-DCコンバータは、インダクタと、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子と、電流センス回路と、PWM変換回路と、軽負荷検出回路と、ブランキング時間設定回路とを備える。前記インダクタは、負荷に接続される。前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子は、前記インダクタにそれぞれ接続される。前記電流センス回路は、前記第1のスイッチング素子から前記インダクタへ流れる電流の大きさを検出する。前記PWM変換回路は、前記電流センス回路によりブランキング時間の後に検出された電流の大きさに基づいて前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子の動作を制御するPWM信号を出力する。前記軽負荷検出回路は、第1の負荷状態又は前記第1の負荷状態より前記インダクタから前記負荷への出力電流が少ない第2の負荷状態を検出する。前記ブランキング時間設定回路は、前記ブランキング時間を前記PWM変換回路に設定する。前記ブランキング時間設定回路は、前記軽負荷検出回路により前記第2の負荷状態が検出されたとき、前記第1の負荷状態が検出されたときに設定する前記ブランキング時間より短い前記ブランキング時間を設定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、PWM方式のスイッチングにおいて、軽負荷時のパルススキップの発生を抑制することができる同期整流方式のDC-DCコンバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るDC-DCコンバータの構成の一例を示す図である。
図2図2は、図1の電流センス回路の構成の一例を示す図である。
図3図3は、図1のPWM変換回路の構成の一例を示す図である。
図4図4は、図1のブランキング時間設定回路の構成の一例を示す図である。
図5図5は、図1の軽負荷検出回路の構成の一例を示す図である。
図6図6は、図1のDC-DCコンバータにおける、連続モード及び軽負荷モードの各モードでの各信号の動作波形の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係るDC-DCコンバータに動作状態に応じてブランキング時間を設定するブランキング時間設定回路が搭載されない場合に関する、スイッチングトランジスタのオン時間と出力電流との関係を説明するための図である。
図8図8は、実施形態に係るDC-DCコンバータに動作状態に応じてブランキング時間を設定するブランキング時間設定回路が搭載されない場合に関する、軽負荷モード時のスイッチングトランジスタのオン時間について説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係るDC-DCコンバータに動作状態に応じてブランキング時間を設定するブランキング時間設定回路が搭載されない場合に関する、軽負荷モード時のスイッチングトランジスタのオン時間について説明するための図である。
図10図10は、実施形態に係るDC-DCコンバータに関する、軽負荷モード時のスイッチングトランジスタのオン時間について説明するための図である。
図11図11は、実施形態に係るDC-DCコンバータに関する、軽負荷モード時のスイッチングトランジスタのオン時間について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、DC-DCコンバータの実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行うものとして、重複する説明は適宜省略する。なお、以下の実施形態において、「接続」とは、「電気的な接続」を意味するとする。
【0010】
図1は、実施形態に係るDC-DCコンバータ1の構成の一例を示す図である。DC-DCコンバータ1は、電源10から入力端子VINに供給される入力電圧を用いて、負荷30に必要な電圧を供給するように構成される回路である。
【0011】
電源10は、DC-DCコンバータ1の入力端子VINに入力電圧を供給するための外部電源である。電源10の一端は、DC-DCコンバータ1の制御回路20の端子VDD及び端子VPINに接続される。電源10の他の一端は、グランド電位に接続される。また、電源10には、キャパシタCINが、並列に接続される。キャパシタCINは、電源10から供給される電荷を蓄える容量素子である。
【0012】
負荷30は、DC-DCコンバータ1の出力端子VOUTからの出力電圧を用いて動作する回路である。負荷30としては、任意の回路素子又は回路構成が適宜利用可能である。負荷30の一端は、DC-DCコンバータ1のインダクタLの一端、ESR抵抗RESRの一端及び抵抗RB1の一端に接続される。負荷30の他の一端は、グランド電位に接続される。以下の説明においては、負荷30は、少なくとも2つの動作状態を有するとする。一例として、負荷30は、駆動状態と、駆動状態より消費電力が小さい待機状態とを有する。ここで、駆動状態は、第1の負荷状態の一例である。また、待機状態は、第2の負荷状態(軽負荷状態)の一例である。
【0013】
DC-DCコンバータ1は、図1に示すように、制御回路20を有する。制御回路20は、PMOSパワートランジスタMP及びNMOSパワートランジスタMNを交互に導通制御することにより、端子VPINから入力される入力電圧を用いて負荷30に電力供給を行う際、出力電圧を所定電圧値に維持する制御を行う。制御回路20の端子GND及び端子PGNDは、それぞれグランド電位に接続される。制御回路20は、図1に示すように、レギュレータ回路21、電流センス回路22、クロック発振回路(OSC)23、PWM(Pulse Width Modulation)変換回路24、ロジック回路25、Pchドライバ回路26、Nchドライバ回路27、ブランキング時間設定回路28、軽負荷検出回路29、PMOSパワートランジスタMP及びNMOSパワートランジスタMNを有する。
【0014】
レギュレータ回路21は、制御回路20の内部回路へ定電圧を供給する電源回路である。レギュレータ回路21は、端子VDDから供給される入力電圧を用いて制御回路20の内部回路へ定電圧VREGを出力する。レギュレータ回路21の一端は、端子VDDに接続される。
【0015】
電流センス回路22は、ハイサイドのPMOSパワートランジスタMPがオン状態のときに流れる電流を検出する。換言すれば、PMOSパワートランジスタMPからインダクタLへ流れる電流の大きさを検出する。電流センス回路22は、検出した電流に応じたSENSE信号をPWM変換回路24へ出力する。図2は、図1の電流センス回路22の構成の一例を示す図である。電流センス回路22は、図2に示すように、アンプAMP及び抵抗RSNSを有する。アンプAMPは、反転入力端子(-)と非反転入力端子(+)との間の電位差に応じた増幅結果(SENSE信号)を出力する比較増幅回路である。アンプAMPの反転入力端子(-)は、PMOSパワートランジスタMPのソースに接続される。アンプAMPの非反転入力端子(+)は、端子VPINに接続される。アンプAMPの出力端子は、PWM変換回路24の加算器242に接続される(図3参照)。抵抗RSNSの一端は、アンプAMPの反転入力端子(-)と、PMOSパワートランジスタMPのソースとの間に接続される。抵抗RSNSの他の一端は、アンプAMPの非反転入力端子(+)と、端子VPINとの間に接続される。
【0016】
クロック発振回路23は、DC-DCコンバータ1のPWM周期、すなわちスイッチング周波数に対応した周波数のクロック(CK)信号を出力する。クロック発振回路23は、PWM変換回路24のフリップフロップ回路FFのセット端子(S)に接続される(図3参照)。
【0017】
PWM変換回路24は、電流センス回路22によりブランキング時間の後に検出された電流の大きさに基づいてPMOSパワートランジスタMP及びNMOSパワートランジスタMNの動作を制御するPWM信号を出力する。具体的には、PWM変換回路24は、SENSE信号、端子FBの端子電圧に応じた信号及びブランキング(BLNK)信号に基づいて、CK信号に同期して、DC-DCコンバータ1の電流モード制御を実行する。DC-DCコンバータ1の電流モードは、負荷30への出力電流が小さい軽負荷モードと、軽負荷モードより負荷30への出力電流が大きい連続モードとを含む。ここで、軽負荷モードは、上述した負荷30の待機状態(軽負荷状態)に対応する。同様に、連続モードは、上述した負荷30の駆動状態に対応する。図3は、図1のPWM変換回路24の構成の一例を示す図である。PWM変換回路24は、図3に示すように、スロープ補償回路241、加算器242、参照電圧源VREF_A、キャパシタC、抵抗R、エラーアンプError_AMP、PWMコンパレータPWM_COMP、論理積ゲート回路AND及びフリップフロップ回路FFを有する。
【0018】
スロープ補償回路241は、鋸波などのスロープ補償信号を出力する。スロープ補償回路241は、加算器242に接続される。加算器242は、サブハーモニック発振を防止するため、電流センス回路22からのSENSE信号にスロープ補償回路241からのスロープ補償信号を加算し、加算後の信号をPWMコンパレータPWM_COMPへ出力する。加算器242は、電流センス回路22のアンプAMPの出力端子、スロープ補償回路241の出力端子及びPWMコンパレータPWM_COMPの反転入力端子(-)に接続される。
【0019】
参照電圧源VREF_Aは、エラーアンプError_AMPの非反転入力端子(+)に入力される電位(参照電圧)を発生する電圧源である。参照電圧源VREF_Aは、正側の一端がエラーアンプError_AMPの非反転入力端子(+)に接続され、負側の一端がグランド電位に接続される。
【0020】
エラーアンプError_AMPは、反転入力端子(-)と非反転入力端子(+)との間の電位差に応じた増幅結果を出力する比較増幅回路である。エラーアンプError_AMPの反転入力端子(-)は、制御回路20の端子FBに接続される。エラーアンプError_AMPの非反転入力端子(+)は、参照電圧源VREF_Aの正側の一端に接続される。エラーアンプError_AMPの出力端子は、PWMコンパレータPWM_COMPの非反転入力端子(+)に接続される。
【0021】
位相補償として働くキャパシタC及び抵抗Rは、エラーアンプError_AMPの反転入力端子(-)と、出力端子との間に接続される。キャパシタCの一端は、制御回路20の端子FBと、エラーアンプError_AMPの反転入力端子(-)との間に接続される。キャパシタCの他の一端は、抵抗Rの一端に接続される。抵抗Rの他の一端は、エラーアンプError_AMPの出力端子と、PWMコンパレータPWM_COMPの非反転入力端子(+)との間に接続される。
【0022】
PWMコンパレータPWM_COMPは、反転入力端子(-)と非反転入力端子(+)との間の電位差に応じた比較結果を出力する差動増幅回路(比較回路)である。PWMコンパレータPWM_COMPの反転入力端子(-)は、加算器242の出力端子に接続される。PWMコンパレータPWM_COMPの非反転入力端子(+)は、エラーアンプError_AMPの出力端子及び抵抗Rに接続される。PWMコンパレータPWM_COMPの出力端子は、論理積ゲート回路ANDの2つの入力端子のうちの一方に接続される。
【0023】
論理積ゲート回路ANDは、2つの入力端子のうちの一方へ入力された、PWMコンパレータPWM_COMPからの比較結果と、ブランキング時間設定回路28からのブランキング(BLNK)信号との論理積を出力する。論理積ゲート回路ANDの一方の入力端子は、PWMコンパレータPWM_COMPの出力端子に接続される。論理積ゲート回路ANDの他の一方の入力端子は、ブランキング時間設定回路28のコンパレータCOMPの出力端子及び否定論理和ゲート回路NORの2つの入力端子のうちの一方に接続される(図4参照)。論理積ゲート回路ANDの出力端子は、フリップフロップ回路FFのリセット端子(R)に接続される。
【0024】
フリップフロップ回路FFは、RS(リセット-セット)型のフリップフロップ回路である。フリップフロップ回路FFのセット端子(S)は、所定周期で発振するクロック発振回路23からのCK信号によりトリガされる。フリップフロップ回路FFは、論理積ゲート回路ANDからの論理積と、クロック発振回路23からのCK信号とに応じたPWM信号をロジック回路25へ出力する。フリップフロップ回路FFのセット端子(S)は、クロック発振回路23の出力端子に接続される。フリップフロップ回路FFのリセット端子(R)は、論理積ゲート回路ANDの出力端子に接続される。フリップフロップ回路FFの出力端子(QB)は、ロジック回路25に接続される。
【0025】
ロジック回路25は、フリップフロップ回路FFの出力端子(QB)からのPWM信号に応じたH_PLS信号をPchドライバ回路26へ出力する。同様に、ロジック回路25は、PWM信号に応じたL_PLS信号をNchドライバ回路27へ出力する。ロジック回路25は、フリップフロップ回路FFの出力端子(QB)、Pchドライバ回路26、Nchドライバ回路27及びブランキング時間設定回路28のNMOSトランジスタMN1のゲートに接続される。
【0026】
Pchドライバ回路26は、ロジック回路25からのH_PLS信号に応じたH_DRV信号をPMOSパワートランジスタMPのゲートへ出力する。Pchドライバ回路26は、ロジック回路25、ブランキング時間設定回路28のNMOSトランジスタMN1のゲート(図4参照)及びPMOSパワートランジスタMPのゲートに接続される。
【0027】
Nchドライバ回路27は、ロジック回路25からのL_PLS信号に応じたL_DRV信号を、NMOSパワートランジスタMNのゲート及び軽負荷検出回路29のNMOSトランジスタMDETのゲートへ出力する。Nchドライバ回路27は、ロジック回路25、NMOSパワートランジスタNPのゲート及び軽負荷検出回路29のNMOSトランジスタMDETのゲート(図5参照)に接続される。
【0028】
ブランキング時間設定回路28は、軽負荷検出回路29からの負荷30の動作状態(DC-DCコンバータ1の電流モード)に応じたL_load信号に基づいて、ブランキング時間を設定する回路である。具体的には、電流センス回路22により検出した電流に応じたSENSE信号をフィルタするブランキング時間を設定し、ブランキング時間を示すブランキング信号BLNKをPWM変換回路24に供給する。一例として、ブランキング時間設定回路28は、軽負荷モードでの動作時に、連続モードでの動作時より小さいブランキング時間を設定するように構成される。換言すれば、ブランキング時間設定回路28は、軽負荷検出回路29により軽負荷状態が検出されたとき、連続モードに対応する負荷30の駆動状態が検出されたときに設定するブランキング時間より短いブランキング時間を設定する。図4は、図1のブランキング時間設定回路28の構成の一例を示す図である。ブランキング時間設定回路28は、図4に示すように、電流源I、電流源I、NMOSトランジスタMN1、PMOSトランジスタMP1、キャパシタC、参照電圧源VREF2、コンパレータCOMP、否定論理和ゲート回路NOR及び否定論理和ゲート回路NORを有する。
【0029】
電流源Iは、レギュレータ回路21からの定電圧VREGを用いて定電流Ibias1を発生する。電流源Iは、キャパシタCに定電流Ibias1を供給する。電流源Iは、一端がレギュレータ回路21の出力端子に接続され、他の一端がNMOSトランジスタMN1及びPMOSトランジスタMP1の各ドレイン、キャパシタCの一端及びコンパレータCOMPの非反転入力端子(+)に接続される。電流源Iは、レギュレータ回路21からの定電圧VREGを用いて定電流Ibias2を発生する。電流源Iは、軽負荷検出回路29により軽負荷状態が検出されたときにキャパシタCに定電流Ibias2を供給する。電流源Iは、一端がレギュレータ回路21の出力端子に接続され、他の一端がPMOSトランジスタMP1のソースに接続される。ここで、電流源Iは、第1の電流源の一例である。また、電流源Iは、第2の電流源の一例である。
【0030】
NMOSトランジスタMN1のゲートは、ロジック回路25に接続される。NMOSトランジスタMN1のソースは、グランド電位に接続される。NMOSトランジスタMN1のドレインは、電流源Iの出力端子、PMOSトランジスタMP1のドレイン、キャパシタCの一端及びコンパレータCOMPの非反転入力端子(+)に接続される。PMOSトランジスタMP1のゲートは、否定論理和ゲート回路NORの出力端子及び否定論理和ゲート回路NORの2つの入力端子のうちの一方に接続される。PMOSトランジスタMP1のソースは、電流源Iの出力端子に接続される。PMOSトランジスタMP1のドレインは、電流源Iの出力端子、NMOSトランジスタMN1のドレイン、キャパシタCの一端及びコンパレータCOMPの非反転入力端子(+)に接続される。キャパシタCの一端は、NMOSトランジスタMN1及びPMOSトランジスタMP1の各ドレイン、電流源Iの出力端子及びコンパレータCOMPの非反転入力端子(+)に接続される。キャパシタCの他の一端は、グランド電位に接続される。
【0031】
参照電圧源VREF2は、コンパレータCOMPの反転入力端子(-)に入力される参照電圧を発生する電圧源である。参照電圧源VREF2は、正側の一端がコンパレータCOMPの反転入力端子(-)に接続され、負側の一端がグランド電位に接続される。コンパレータCOMPは、キャパシタCの充電電圧が参照電圧を超えたときにブランキング信号BLNKのレベルを変更する。コンパレータCOMPは、反転入力端子(-)と非反転入力端子(+)との間の電位差に応じた比較結果を出力する差動増幅回路(比較回路)である。コンパレータCOMPの反転入力端子(-)は、参照電圧源VREF2の正側の一端に接続される。コンパレータCOMPの非反転入力端子(+)は、電流源Iの出力端子、NMOSトランジスタMN1及びPMOSトランジスタMP1の各ドレイン及びキャパシタCの一端に接続される。コンパレータCOMPの出力端子は、否定論理和ゲート回路NORの2つの入力端子のうちの一方及びPWM変換回路24の論理積ゲート回路ANDの2つの入力端子のうちの一方に接続される(図3参照)。
【0032】
否定論理和ゲート回路NORは、2つの入力端子へ入力された、コンパレータCOMPからの比較結果と、否定論理和ゲート回路NORからの否定論理和との否定論理和を出力する。否定論理和ゲート回路NORの2つの入力端子のうちの一方は、コンパレータCOMPの出力端子及びPWM変換回路24の論理積ゲート回路ANDの2つの入力端子のうちの一方に接続される。否定論理和ゲート回路NORの2つの入力端子のうちの他の一方は、否定論理和ゲート回路NORの出力端子及びPMOSトランジスタMP1のゲートに接続される。否定論理和ゲート回路NORの出力端子は、否定論理和ゲート回路NORの2つの入力端子のうちの一方に接続される。否定論理和ゲート回路NORは、2つの入力端子へ入力された、軽負荷検出回路29からのL_load信号と、否定論理和ゲート回路NORからの否定論理和との否定論理和を出力する。否定論理和ゲート回路NORの2つの入力端子のうちの一方は、否定論理和ゲート回路NORの出力端子に接続される。否定論理和ゲート回路NORの2つの入力端子のうちの他の一方は、軽負荷検出回路29のコンパレータCOMPの出力端子に接続される(図5参照)。否定論理和ゲート回路NORの出力端子は、否定論理和ゲート回路NORの2つの入力端子のうちの他の一方及びPMOSトランジスタMP1のゲートに接続される。
【0033】
軽負荷検出回路29は、負荷30の動作状態(DC-DCコンバータ1の電流モード)を検出する回路である。具体的には、軽負荷検出回路29は、制御回路20の端子LXの端子電圧に基づいて、連続モードに対応する負荷30の状態又は当該負荷30の状態よりインダクタLから負荷30への出力電流が少ない軽負荷状態を検出するように構成される。軽負荷検出回路29は、検出した負荷30の動作状態に応じたL_load信号をブランキング時間設定回路28へ出力する。具体的には、NMOSパワートランジスタMNがオン状態の期間に、インダクタLからNMOSパワートランジスタMNへ流れる電流の大きさに応じた電圧が所定の電圧(参照電圧源VREF1による参照電圧)を超えたか否かに基づいて軽負荷状態を検出する。図5は、図1の軽負荷検出回路29の構成の一例を示す図である。軽負荷検出回路29は、図5に示すように、NMOSトランジスタMDET、抵抗RDET、参照電圧源VREF1及びコンパレータCOMPを有する。
【0034】
NMOSトランジスタMDETのゲートは、Nchドライバ回路27及びNMOSパワートランジスタMNのゲートに接続される。NMOSトランジスタMDETのソースは、抵抗RDETの一端及びコンパレータCOMPの非反転入力端子(+)に接続される。NMOSトランジスタMDETのドレインは、PMOSパワートランジスタMP及びNMOSパワートランジスタMNの各ドレイン及び制御回路20の端子LXに接続される。抵抗RDETの一端は、NMOSトランジスタMDETのソース及びコンパレータCOMPの非反転入力端子(+)に接続される。抵抗RDETの他の一端は、制御回路20の端子PGND及びNMOSパワートランジスタMNのソースに接続される。
【0035】
参照電圧源VREF1は、コンパレータCOMPの反転入力端子(-)に入力される参照電圧を発生する電圧源である。参照電圧源VREF1は、正側の一端がコンパレータCOMPの反転入力端子(-)に接続され、負側の一端がグランド電位に接続される。コンパレータCOMPは、反転入力端子(-)と非反転入力端子(+)との間の電位差に応じた比較結果(L_load信号)を出力する差動増幅回路(比較回路)である。コンパレータCOMPの反転入力端子(-)は、参照電圧源VREF1の正側の一端に接続される。コンパレータCOMPの非反転入力端子(+)は、NMOSトランジスタMDETのソース及び抵抗RDETの一端に接続される。コンパレータCOMPの出力端子は、ブランキング時間設定回路28の否定論理和ゲート回路NORの2つの入力端子のうちの一方に接続される。
【0036】
PMOSパワートランジスタMPのゲートは、Pchドライバ回路26に接続される。PMOSパワートランジスタMPのソースは、電流センス回路22のアンプAMPの反転入力端子(-)及び抵抗RSNSの一端に接続される(図2参照)。PMOSパワートランジスタMPのドレインは、軽負荷検出回路29のNMOSトランジスタMDETのドレイン、NMOSパワートランジスタMNのドレイン及び制御回路20の端子LXに接続される。NMOSパワートランジスタMNのゲートは、Nchドライバ回路27及び軽負荷検出回路29のNMOSトランジスタMDETのゲートに接続される(図5参照)。NMOSパワートランジスタMNのソースは、軽負荷検出回路29の抵抗RDETの他の一端及び制御回路20の端子PGNDに接続される。NMOSパワートランジスタMNのドレインは、PMOSパワートランジスタMPのドレイン、軽負荷検出回路29のNMOSトランジスタMDETのドレイン及び制御回路20の端子LXに接続される。つまり、PMOSパワートランジスタMP及びNMOSパワートランジスタMNの各ドレインは、インダクタLに接続される。
【0037】
DC-DCコンバータ1は、図1に示すように、インダクタL、ESR抵抗RESR、キャパシタCOUT、抵抗RB1及び抵抗RB2をさらに有する。インダクタLは、電力を蓄積し、蓄積された電力を制御回路20の端子LX側又は負荷30側に放出するチョークコイルである。インダクタLの一端は、制御回路20の端子LXに接続される。インダクタLの他の一端は、ESR抵抗RESRのあるキャパシタCOUTの一端、抵抗RB1の一端及び負荷30の一端に接続される。ESR抵抗RESRのあるキャパシタCOUTは、インダクタLを介して、制御回路20の端子LXから供給される電荷を蓄える容量素子である。抵抗RB1の一端は、インダクタLの他の一端、ESR抵抗RESRのあるキャパシタCOUTの一端及び負荷30の一端に接続される。抵抗RB1の他の一端は、抵抗RB2を介して、グランド電位に接続される。抵抗RB1及び抵抗RB2の間は、制御回路20の端子FBに接続される。
【0038】
ここで、図面を参照しつつ、実施形態に係るDC-DCコンバータ1の動作の一例について説明する。図6は、図1のDC-DCコンバータ1における、連続モード及び軽負荷モードの各モードでの各信号の動作波形の一例を示す図である。
【0039】
[PWM変換回路の動作]
PWM変換回路24のフリップフロップ回路FFのセット端子(S)は、クロック発振回路23からのCK信号がHighレベル(以下、「H」と記載する。)になることに従い「H」になる。また、PWM変換回路24の出力信号(PWM信号)は、フリップフロップ回路FFのセット端子(S)が「H」になることに従い「H」になる。
【0040】
PWMコンパレータPWM_COMPの反転入力端子(-)には、加算器242により電流センス回路22からのSENSE信号にスロープ補償信号を加算した信号が入力される。ここで、電流センス回路22から出力されるSENSE信号は、ハイサイドのPMOSパワートランジスタMPがオン状態のときに流れる電流をアンプAMPで増幅した信号である。PWMコンパレータPWM_COMPの非反転入力端子(+)には、端子FBの端子電圧をエラーアンプError_AMPで増幅した信号が入力される。ここで、端子FBの端子電圧は、DC-DCコンバータ1の出力電圧を、抵抗RB1及び抵抗RB2により分圧してフィードバックした電圧である。PWMコンパレータPWM_COMPの出力信号は、反転入力端子(-)の電位が非反転入力端子(+)より大きいとき「H」となる。
【0041】
論理積ゲート回路ANDは、ブランキング時間設定回路28から出力されるBLNK信号でPWMコンパレータPWM_COMPの出力をフィルタする。つまり、BLNK信号が「H」のときのみ、PWMコンパレータPWM_COMPの出力信号がフリップフロップ回路FFのリセット端子(R)に入力される。BLNK信号が「H」、かつ、PWMコンパレータPWM_COMPの出力信号が「H」のとき、フリップフロップ回路FFのリセット端子(R)が「H」になり、PWM信号は、Lowレベル(以下、「L」と記載する。)になる。
【0042】
[ロジック回路、Pchドライバ回路及びNchドライバ回路の動作]
PWM変換回路24から出力されるPWM信号が「H」になると、ロジック回路25の出力信号(H_PLS信号及びL_PLS信号)は、ともに「L」になる。Pchドライバ回路26の出力信号(H_DRV信号)は、H_PLS信号が「H」から「L」になってからデッドタイムの期間P24だけ経過した後に、「H」(端子VPINの端子電圧)から「L」(PMOSパワートランジスタMPのオン電圧)に変化する。また、Nchドライバ回路27の出力信号(L_DRV信号)は、L_PLS信号が「H」から「L」になってすぐに、「H」(NMOSパワートランジスタMNのオン電圧)から「L」(グランド電位)に変化する。
【0043】
一方で、PWM信号が「L」になると、ロジック回路25の出力信号(H_PLS信号及びL_PLS信号)は、ともに「H」になる。Pchドライバ回路26の出力信号(H_DRV信号)は、H_PLS信号が「L」から「H」になって「L」(PMOSパワートランジスタMPのオン電圧)から「H」(端子VPINの端子電圧)に変化する。また、Nchドライバ回路27の出力信号(L_DRV信号)は、L_PLS信号が「L」から「H」になってからデッドタイムの期間P24だけ経過した後に、「L」(グランド電位)から「H」(NMOSパワートランジスタMNのオン電圧)に変化する。
【0044】
[軽負荷検出回路及びブランキング時間設定回路の動作]
<連続モードでの動作時>
連続モードでの動作時、インダクタLを流れる電流は、制御回路20の端子LXからDC-DCコンバータ1の出力端子VOUTへ向かう方向に常に流れる。端子LXの端子電圧は、NMOSパワートランジスタMNがオン状態のときに負の値をとる。このとき、軽負荷検出回路29の抵抗RDETのNMOSトランジスタMDET側の端の電位は負である。したがって、軽負荷検出回路29のコンパレータCOMPの非反転入力端子(+)の電位は、参照電圧源VREF1による反転入力端子(-)の電位(参照電圧)以下であるから、コンパレータCOMPの出力信号(L_load信号)は「L」である。このL_load信号が「L」の状態が継続されるため、ブランキング時間設定回路28の否定論理和ゲート回路NORの出力信号は、「H」の状態を継続する。つまり、ブランキング時間設定回路28のPMOSトランジスタMP1は、オフ状態を継続する。ロジック回路25から出力されるH_PLS信号が「H」から「L」になると、NMOSトランジスタMN1がオフ状態になるため、キャパシタCは、電流源Iからの定電流Ibias1により充電される。
【0045】
その後、キャパシタCの充電電圧が参照電圧源VREF2の参照電圧になると、コンパレータCOMPの出力信号(BLNK信号)は「H」になる。このように、H_PLS信号が「H」から「L」になってからBLNK信号が「H」になるまでの時間が、ブランキング時間である。PMOSパワートランジスタMPはオフ状態からオン状態になるとき、サージ電流が発生する。このような中、上述のように、ブランキング時間においては、電流センス回路22からのSENSE信号は、論理積ゲート回路ANDによりフィルタされる。つまり、実施形態に係るPWM変換回路の動作において、ブランキング時間内に発生したサージ電流は、検出されない。
【0046】
<軽負荷モードでの動作時>
軽負荷モードでの動作時、PMOSパワートランジスタMPがオン状態のとき、インダクタLを流れる電流は、端子LXから出力端子VOUTへ向かう方向に流れる。一方で、NMOSパワートランジスタMNがオン状態の期間では、インダクタLを流れる電流は、オン状態になった直後に端子LXから出力端子VOUTへ向かう方向に流れた後、出力端子VOUTから端子LXへ向かう方向、すなわち反対方向に流れるようになる。
【0047】
NMOSパワートランジスタMNのドレインからグランド方向にドレイン電流が流れると、NMOSパワートランジスタMNのオン抵抗により端子LXの端子電圧が正方向に上昇する。このとき、軽負荷検出回路29のNMOSトランジスタMDETがオンしているので、抵抗RDETに電流が流れてコンパレータCOMPの非反転入力端子(+)の電位が上昇する。コンパレータCOMPの非反転入力端子(+)の電位が参照電圧源VREF1の参照電圧を超えると、コンパレータCOMPの出力信号(L_load信号)が「H」になる。L_load信号が「H」になると、ブランキング時間設定回路28の否定論理和ゲート回路NORの出力は「L」にラッチされて、PMOSトランジスタMP1がオン状態になる。ロジック回路25から出力されるH_PLS信号が「H」から「L」になると、NMOSトランジスタMN1はオフ状態になり、キャパシタCは、定電流Ibias1及び定電流Ibias2により充電される。
【0048】
その後、キャパシタCの充電電圧が参照電圧源VREF2の参照電圧に到達すると、コンパレータCOMPの出力(BLNK信号)は「H」になる。このとき、否定論理和ゲート回路NORの出力が「L」となり、NMOSパワートランジスタMNがオフ状態になっていることからL_load信号が「L」となるので、否定論理和ゲート回路NORの出力は、「L」から「H」になる。したがって、PMOSトランジスタMP1がオフ状態になるので、キャパシタCの充電電流は、定電流Ibias1のみとなる。
【0049】
このように、軽負荷モード時のブランキング時間におけるキャパシタCの充電電流が連続モード時の充電電流より大きい。つまり、実施形態に係るDC-DCコンバータ1によれば、軽負荷モード時のブランキング時間を、連続モード時のブランキング時間より短くすることができる。
【0050】
図7は、実施形態に係るDC-DCコンバータ1に、動作状態に応じてブランキング時間を設定するブランキング時間設定回路28が搭載されない場合に関する、スイッチングトランジスタ(PMOSパワートランジスタMP)のオン時間Tonと出力電流Ioutとの関係を説明するための図である。図7に例示するグラフにおいて、縦軸はオン時間Ton[ns]であり、横軸は出力電流Iout[mA]である。図8及び図9は、実施形態に係るDC-DCコンバータ1に、動作状態に応じてブランキング時間を設定するブランキング時間設定回路28が搭載されない場合に関する、軽負荷モード時のスイッチングトランジスタ(PMOSパワートランジスタMP)のオン時間について説明するための図である。動作状態に応じてブランキング時間を設定するブランキング時間設定回路28が搭載されない場合、図7に示すように、出力電流Ioutがおおよそ50mA以下、すなわち軽負荷のとき、オン時間Tonは、適切なオン時間Ton_appの91.7nsより大きくなる。これは、図8に示すように、インダクタLを流れる電流が負(端子LXから出力端子VOUTへ向かう方向)であるとき、デッドタイムの期間P14において端子Lxの電圧波形が「H」になり、デッドタイムの期間P14においてもPMOSパワートランジスタMPがオン状態になるためである。ここで、デッドタイムの期間P14は、L_DRV信号が「L」になってからH_DRV信号が「L」になるまでの期間である。このような中、動作状態に応じてブランキング時間を設定するブランキング時間設定回路28が搭載されない場合には、ブランキング時間P11の後の時点TOFFまでオフ状態にならない。つまり、図8に示すように、サージ電流によるノイズNを被検出とするためのブランキング時間P11中にPWMコンパレータPWM_COMPの反転入力端子(-)の端子電圧がアンプError_AMPの出力電圧を超えてから、H_DRV信号によりオフ状態になるまでの期間P12だけ、実際のオン時間が長くなる。換言すれば、PMOSパワートランジスタMPが実際にオン状態となる期間P13は、期間P14と、H_DRV信号によりオン状態となる期間T15との合計の期間である。図9に示す例では、オン状態となる期間T13は、67.1nsである。これにより、軽負荷時に、スイッチング周期ごとに出力コンデンサに蓄積される過多電力量が増大し、出力電圧を制御するために端子LXの電圧波形にパルススキップが発生する場合があった。パルススキップが発生すると、電磁妨害(EMI)を生じる場合がある。
【0051】
一方で、上述したように、実施形態に係るDC-DCコンバータ1は、動作状態に応じてブランキング時間を設定するブランキング時間設定回路28を搭載する。図10及び図11は、実施形態に係るDC-DCコンバータ1に関する、軽負荷モード時のスイッチングトランジスタ(PMOSパワートランジスタMP)のオン時間について説明するための図である。図10に示すように、デッドタイムの期間P24において、端子Lxの電圧波形が「H」になり、PMOSパワートランジスタMPがオン状態になることは、図8に示す場合と同様である。また、PMOSパワートランジスタMPが実際にオン状態となる期間P23が期間P24と、H_DRV信号によりオン状態となる期間T25との合計の期間であることも、図8に示す場合と同様である。このような中、実施形態に係るブランキング時間設定回路28は、軽負荷検出回路29により軽負荷が検出されたとき(L_load信号が「H」のとき)、BLNK信号を出力するまでの時間、すなわちキャパシタCの充電時間を連続モードのときより短くする。このため、図10に示すように、軽負荷モード時のブランキング時間P21は、連続モード時のブランキング時間P11より短くなる。これにより、PWMコンパレータPWM_COMPの反転入力端子(-)の端子電圧がアンプError_AMPの出力電圧を超えた時点TOFFで、PMOSパワートランジスタMPをオフ状態にすることができる。図11に示す例では、オン状態となる期間T23は、47.2nsであり、図9に示す期間T13(67.1ns)より約20ns短い。これにより、軽負荷時においても適切なオン時間となるため、端子LXの電圧波形にパルススキップが発生しなくなる。したがって、電磁妨害(EMI)の発生を抑制することができる。
【0052】
以上説明したように、実施形態に係るDC-DCコンバータ1は、インダクタL、PMOSパワートランジスタMP、NMOSパワートランジスタMN、電流センス回路22、PWM変換回路24、軽負荷検出回路29及びブランキング時間設定回路28を備える。ここで、PMOSパワートランジスタMPは、第1のスイッチング素子の一例である。また、NMOSパワートランジスタMNは、第2のスイッチング素子の一例である。インダクタLは、負荷30に接続される。PMOSパワートランジスタMP及びNMOSパワートランジスタMNは、それぞれインダクタLに接続される。電流センス回路22は、PMOSパワートランジスタMPからインダクタLへ流れる電流の大きさを検出する。PWM変換回路24は、電流センス回路22によりブランキング時間の後に検出された電流の大きさに基づいてPMOSパワートランジスタMP及びNMOSパワートランジスタMNの動作を制御するPWM信号を出力する。軽負荷検出回路29は、連続モードに対応する負荷30の駆動状態(第1の負荷状態)又は当該負荷30の状態よりインダクタLから負荷30への出力電流が少ない軽負荷状態(第2の負荷状態)を検出する。ブランキング時間設定回路28は、ブランキング時間をPWM変換回路24に設定する。また、ブランキング時間設定回路28は、軽負荷検出回路29により軽負荷状態が検出されたとき、連続モードに対応する負荷30の駆動状態が検出されたときに設定するブランキング時間より短いブランキング時間を設定する。換言すれば、ブランキング時間設定回路28は、軽負荷状態が検出されたとき、ブランキング時間を短縮する。
【0053】
この構成によれば、ブランキング時間を制御することにより、軽負荷モード時であっても、PMOSパワートランジスタMPのオン時間を適正に制御することができる。換言すれば、実施形態に係る同期整流方式のDC-DCコンバータ1によれば、PWM方式のスイッチングにおいて、軽負荷時のパルススキップの発生を抑制することができる。
【0054】
なお、実施形態は、軽負荷が検出されたときにキャパシタCへの充電電流を定電流Ibias1から定電流Ibias1と定電流Ibias2との合計に増加するブランキング時間設定回路28を例示するが、これに限らない。別の一例として、ブランキング時間設定回路28は、軽負荷の程度に応じた大きさの充電電流を発生するように構成される。軽負荷の程度としては、例えばインダクタLを流れる電流(<0mA)の大きさが利用可能である。この構成によれば、ブランキング時間の長さを軽負荷の程度に応じて連続的に設定できるため、PMOSパワートランジスタMPのオン時間をより適正に制御することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 DC-DCコンバータ
10 電源
20 制御回路
21 レギュレータ回路
22 電流センス回路
23 クロック発振回路
24 PWM変換回路
25 ロジック回路
26 Pchドライバ回路
27 Nchドライバ回路
28 ブランキング時間設定回路
29 軽負荷検出回路
30 負荷
IN,COUT キャパシタ
FB,GND,LX,PGND,VDD,VPIN 端子
インダクタ
MN NMOSパワートランジスタ
MP PMOSパワートランジスタ
B1,RB2,RESR 抵抗
IN 入力端子
OUT 出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11