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特許7509703磁歪式トルクセンサ及び磁歪式トルクセンサ用磁性リングの厚さの設計方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】磁歪式トルクセンサ及び磁歪式トルクセンサ用磁性リングの厚さの設計方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
G01L3/10 301J
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021013906
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022117292
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2023-09-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 晃之
(72)【発明者】
【氏名】杉山 雄太
(72)【発明者】
【氏名】金 一銘
(72)【発明者】
【氏名】福田 晃大
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-112451(JP,A)
【文献】特開平11-326080(JP,A)
【文献】特開平1-94230(JP,A)
【文献】特開平2-66417(JP,A)
【文献】特開昭63-223536(JP,A)
【文献】特開昭57-100330(JP,A)
【文献】特開2002-39876(JP,A)
【文献】特開昭51-3259(JP,A)
【文献】特開昭62-203032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00-3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロム鋼またはクロムモリブデン鋼からなる磁歪材の周囲に設けられた検出コイルと、
前記検出コイルの周囲を覆うように設けられた磁性リングと、
前記検出コイルを50kHz以上333kHz以下の励磁周波数で交流励磁するための駆動部と、を備え、
前記検出コイルのインダクタンスの変化を基に前記磁歪材に付与されたトルクを検出するように構成されており、
前記磁性リングは、テープ状のアモルファス軟磁性材料からなるアモルファステープを、前記検出コイルの周囲に巻き付けて構成されており、
前記磁性リングの厚さが、前記磁歪材の表皮効果厚さの1.455倍以上、かつ1.000mm未満である、
磁歪式トルクセンサ。
【請求項2】
クロム鋼またはクロムモリブデン鋼からなる磁歪材の周囲に設けられた検出コイルと、
前記検出コイルの周囲を覆うように設けられた磁性リングと、
前記検出コイルを50kHz以上250kHz以下の励磁周波数で交流励磁するための駆動部と、を備え、
前記検出コイルのインダクタンスの変化を基に前記磁歪材に付与されたトルクを検出するように構成されており、
前記磁性リングは、テープ状のアモルファス軟磁性材料からなるアモルファステープを、前記検出コイルの周囲に巻き付けて構成されており、
前記磁性リングの厚さが、前記磁歪材の表皮効果厚さの1.261倍以上、かつ1.000mm未満である、
磁歪式トルクセンサ。
【請求項3】
クロム鋼またはクロムモリブデン鋼からなる磁歪材の周囲に設けられた検出コイルと、
前記検出コイルの周囲を覆うように設けられた磁性リングと、
前記検出コイルを50kHz以上200kHz以下の励磁周波数で交流励磁するための駆動部と、を備え、
前記検出コイルのインダクタンスの変化を基に前記磁歪材に付与されたトルクを検出するように構成されており、
前記磁性リングは、テープ状のアモルファス軟磁性材料からなるアモルファステープを、前記検出コイルの周囲に巻き付けて構成されており、
前記磁性リングの厚さが、前記磁歪材の表皮効果厚さの1.128倍以上、かつ1.000mm未満である、
磁歪式トルクセンサ。
【請求項4】
前記磁歪材には、ショットピーニングが施されている、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の磁歪式トルクセンサ。
【請求項5】
クロム鋼またはクロムモリブデン鋼からなる磁歪材の周囲に設けられた検出コイルと、
前記検出コイルの周囲を覆うように設けられた磁性リングと、
前記検出コイルを50kHz以上333kHz以下の励磁周波数で交流励磁する駆動部と、を備え、
前記検出コイルのインダクタンスの変化を基に前記磁歪材に付与されたトルクを検出するように構成された磁歪式トルクセンサ用磁性リングの厚さの設計方法であって、
前記磁性リングは、テープ状のアモルファス軟磁性材料からなるアモルファステープを、前記検出コイルの周囲に巻き付けて構成されており、
前記駆動部の励磁周波数及び前記磁歪材の透磁率を基に、前記磁歪材の表皮効果厚さを算出する工程と、
前記磁歪材の表皮効果厚さの1.455倍以上かつ1.000mm未満となるように、前記磁性リングの厚さを決定する工程と、を有する、
磁歪式トルクセンサ用磁性リングの厚さの設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁歪式トルクセンサ及び磁歪式トルクセンサ用磁性リングの厚さの設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トルク(回転トルク)が付与された際に透磁率が変化する磁歪特性を有する磁歪材を用い、トルクが付与された際の磁歪材の透磁率の変化を検出コイルのインダクタンスの変化として検出することにより、磁歪材に付与されたトルクを検出する磁歪式トルクセンサが知られている。
【0003】
このような磁歪式トルクセンサでは、磁気回路の磁気抵抗を下げ、検出コイルで生じた磁束が外部に漏れて感度が低下することを抑制するために、検出コイルの周囲を覆うように磁性体からなる磁性リングが設けられるのが一般的である。磁性リングとしては、絶縁被覆された磁性粒子をプレス成形して形成される圧粉磁心が一般に用いられている。
【0004】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平6-221940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、圧粉磁心を磁性リングとして用いた場合、十分な効果を得るためには磁性リングの厚さを1mm~2mm以上と厚くする必要があり、磁歪式トルクセンサの小型化が困難となってしまうという課題があった。狭いスペースにも設置可能とするため、磁性リングをなるべく薄くして小型な磁歪式トルクセンサを実現することが望まれている。
【0007】
そこで、本発明は、小型化可能な磁歪式トルクセンサ及び磁歪式トルクセンサ用磁性リングの厚さの設計方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、クロム鋼またはクロムモリブデン鋼からなる磁歪材の周囲に設けられた検出コイルと、前記検出コイルの周囲を覆うように設けられた磁性リングと、前記検出コイルを50kHz以上333kHz以下の励磁周波数で交流励磁するための駆動部と、を備え、前記検出コイルのインダクタンスの変化を基に前記磁歪材に付与されたトルクを検出するように構成されており、前記磁性リングは、テープ状のアモルファス軟磁性材料からなるアモルファステープを、前記検出コイルの周囲に巻き付けて構成されており、前記磁性リングの厚さが、前記磁歪材の表皮効果厚さの1.455倍以上、かつ1.000mm未満である、磁歪式トルクセンサを提供する。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、クロム鋼またはクロムモリブデン鋼からなる磁歪材の周囲に設けられた検出コイルと、前記検出コイルの周囲を覆うように設けられた磁性リングと、前記検出コイルを50kHz以上333kHz以下の励磁周波数で交流励磁するための駆動部と、を備え、前記検出コイルのインダクタンスの変化を基に前記磁歪材に付与されたトルクを検出するように構成されており、前記磁性リングは、テープ状のアモルファス軟磁性材料からなるアモルファステープを、前記検出コイルの周囲に巻き付けて構成されており、前記磁性リングの厚さが、前記磁歪材の表皮効果厚さの1.261倍以上、かつ1.000mm未満である、磁歪式トルクセンサを提供する。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、クロム鋼またはクロムモリブデン鋼からなる磁歪材の周囲に設けられた検出コイルと、前記検出コイルの周囲を覆うように設けられた磁性リングと、前記検出コイルを50kHz以上200kHz以下の励磁周波数で交流励磁するための駆動部と、を備え、前記検出コイルのインダクタンスの変化を基に前記磁歪材に付与されたトルクを検出するように構成されており、前記磁性リングは、テープ状のアモルファス軟磁性材料からなるアモルファステープを、前記検出コイルの周囲に巻き付けて構成されており、前記磁性リングの厚さが、前記磁歪材の表皮効果厚さの1.128倍以上、かつ1.000mm未満である、磁歪式トルクセンサを提供する。
【0011】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、クロム鋼またはクロムモリブデン鋼からなる磁歪材の周囲に設けられた検出コイルと、前記検出コイルの周囲を覆うように設けられた磁性リングと、前記検出コイルを50kHz以上333kHz以下の励磁周波数で交流励磁する駆動部と、を備え、前記検出コイルのインダクタンスの変化を基に前記磁歪材に付与されたトルクを検出するように構成された磁歪式トルクセンサ用磁性リングの厚さの設計方法であって、前記磁性リングは、テープ状のアモルファス軟磁性材料からなるアモルファステープを、前記検出コイルの周囲に巻き付けて構成されており、前記駆動部の励磁周波数及び前記磁歪材の透磁率を基に、前記磁歪材の表皮効果厚さを算出する工程と、
前記磁歪材の表皮効果厚さの1.455倍以上かつ1.000mm未満となるように、前記磁性リングの厚さを決定する工程と、を有する、磁歪式トルクセンサ用磁性リングの厚さの設計方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小型化可能な磁歪式トルクセンサ及び磁歪式トルクセンサ用磁性リングの厚さの設計方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態に係る磁歪式トルクセンサの外観を示す斜視図である。
図2】(a)は、図1において樹脂モールド部を省略した斜視図、(b)はフレキシブル基板及び磁性リングの積層構造を示す断面図である。
図3】フレキシブル基板の各配線層に形成される配線パターンの一例を示す図である。
図4】(a)は図1のトルクセンサにおける駆動部の回路図、(b),(c)は、駆動部の変形例を示す回路図である。
図5】(a)は磁性リングの厚さに対する誤差の関係を示すグラフ図、(b)は磁性リングの厚さに対するセンサ感度の関係を示すグラフ図である。
図6】(a)はセンサ感度及びヒステリシス誤差を説明する図、(b)は角度依存誤差を説明する図である。
図7】比較例及び実施例のセンサ感度と誤差の測定結果を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る磁歪式トルクセンサの外観を示す斜視図である。図2(a)は、図1において樹脂モールド部を省略した斜視図、図2(b)はフレキシブル基板及び磁性リングの積層構造を示す断面図である。図3は、フレキシブル基板の各配線層に形成される配線パターンの一例を示す図である。図4(a)は図1のトルクセンサにおける駆動部の回路図、図4(b),(c)は、駆動部の変形例を示す回路図である。
【0016】
(磁歪材2)
図1~4に示すように、磁歪式トルクセンサ(以下、単にトルクセンサという)1は、磁歪材2に付与されるトルク(回転トルク)を検出するセンサであり、磁歪材2の周囲に取り付けられている。
【0017】
磁歪材2は、例えばクロム鋼、クロムモリブデン鋼、又はニッケルクロムモリブデン鋼等のクロムを含有するクロム鋼からなる基材に、浸炭焼入れ焼戻し処理を施した後に、ショットピーニングを施したものを用いる。本実施の形態では、磁歪材2として、クロム鋼であるSCR420H、またはクロムモリブデン鋼であるSCM420Hからなるものを用いる。
【0018】
浸炭焼入れ焼戻し処理を施すことで、磁歪材2の靱性を含む機械的強度を高めることができる。また、浸炭焼入れ焼戻し処理後にショットピーニングを施すことで、その表面にマルテンサイト変態(無拡散変態)を生じさせて非磁性のオーステナイトを減少させ、強磁性のマルテンサイトを増大させることができる。その結果、磁歪材2の表面における非磁性領域が減少して磁性領域が増大し、応力が付与された際の透磁率の変化が大きくなると共に、塑性変形が減少し、応力変動によるヒステリシスを低減できる。
【0019】
磁歪材2は、周方向にトルクが付与される円柱状の部材である。トルクセンサ1における磁歪材2は、例えば、車両のパワートレイン系のトルク伝達に用いられるシャフト、あるいは車両のエンジンのトルク伝達に用いられるシャフトである。
【0020】
(センサ部10)
トルクセンサ1は、磁歪材2の周囲を覆うように設けられたセンサ部10を備えている。センサ部10は、磁歪材2の周囲に設けられた検出コイル3と、検出コイル3の周囲を覆うように設けられた磁性リング(磁性体リング、バックヨーク)4と、を有している。本実施の形態では、第1乃至第4の4つの検出コイル31~34を有している。
【0021】
図1及び図2(a)に示すように、センサ部10は、磁歪材2と離間して同軸に配置された円筒状のボビン5と、ボビン5の外面に巻き付けられたフレキシブル基板6と、樹脂モールド部7と、を有している。本実施の形態では、検出コイル3は、フレキシブル基板6に形成された配線パターン(後述する配線層60)から構成されている。ボビン5は、樹脂等の非磁性体からなり、その軸方向の一端部に径方向外方に突出した鍔部51が一体に形成されている。磁性リング4は、フレキシブル基板6の周囲を覆うように設けられている。
【0022】
(樹脂モールド部7)
図1に示されるように、樹脂モールド部7は、フレキシブル基板6や磁性リング4を保護するためのものであり、ボビン5及びフレキシブル基板6及び磁性リング4の周囲を覆うように樹脂をモールドして形成される。樹脂モールド部7は、ボビン5及びフレキシブル基板6及び磁性リング4の周囲を覆う本体部71と、本体部71から外方に突出するように形成されたフランジ部72と、を一体に有している。本体部71には、磁歪材2を通すための貫通孔71aが形成されている。フランジ部72には、フランジ部72を貫通し、金属からなる短円筒状のカラー73を保持する保持孔74が形成されている。フランジ部72は、ボルト等を用いて、周囲の部材(磁歪材2の回転に伴い回転しない部材)に固定される。
【0023】
(フレキシブル基板6、検出回路3)
図2(b)に示されるように、フレキシブル基板6は、第1配線層61、第2配線層62、第3配線層63、第4配線層64の4層の配線層60を有している。ただし、配線層60の層数はこれに限定されず、2層以上であればよい。
【0024】
第1配線層61は、ポリイミドからなる第1ベース樹脂層65aの表面に形成されており、第1ベース樹脂層65aの裏面は接着層66bを介して第2配線層62に接着固定されている。第1配線層61の表面には、接着層66aを介してポリイミドからなる第1カバーレイ層67aが設けられ、絶縁処理が施されている。第1カバーレイ層67aの表面には両面テープ68aが貼付され、この両面テープ68aを介して、フレキシブル基板6がボビン5に接着固定される。
【0025】
第2配線層62は、ポリイミドからなる第2ベース樹脂層65bの表面に形成されており、第2ベース樹脂層65bの裏面には、第3配線層63が形成されている。
【0026】
第4配線層64は、ポリイミドからなる第3ベース樹脂層65cの裏面に形成されており、第3ベース樹脂層65cの表面は接着層66cを介して第3配線層63に接着固定されている。第4配線層64の表面には、接着層66dを介してポリイミドからなる第2カバーレイ層67bが設けられ、絶縁処理が施されている。第2カバーレイ層67bには、両面テープ68bが貼付され、この両面テープ68bを介して、フレキシブル基板6と磁性リング4とが接着固定されている。
【0027】
フレキシブル基板6の内層となる第2配線層62と第3配線層63とは、圧延銅箔からなる。フレキシブル基板6の外層となる第1配線層61と第4配線層64とは、電解銅箔に銅めっきを施したものからなる。詳細は後述するが、トルクセンサ1では、フレキシブル基板6にビア(スルーホール)を形成する必要があるため、外層である第1,4配線層61,64では、めっきを施した構成となっている。
【0028】
図3は、フレキシブル基板6の各配線層60に形成される配線パターンの一例を示す図である。図3では、フレキシブル基板6を展開して平面とした際の各配線層60の配線パターンを模式的に示している。
【0029】
図3に示すように、第1乃至第4の検出コイル31~34は、フレキシブル基板6の配線層60に形成されている。第1及び第4の検出コイル31,34は、磁歪材2の軸方向に対して所定角度傾斜した第1直線部31a,34aを有し、第2及び第3の検出コイル32,33は、磁歪材2の軸方向に対して第1直線部31a,34aと反対方向に所定角度傾斜した第2直線部32a,33aを有する。
【0030】
トルクセンサ1では、磁歪材2にトルクが付与された際の透磁率の変化は軸方向に対して±45度の方向で最も大きくなる。よって、第1直線部31a,34aを軸方向に対して+45度傾斜するように形成し、第2直線部32a,33aを軸方向に対して-45度傾斜するように形成することで、検出感度を向上できる。
【0031】
このトルクセンサ1では、第1の検出コイル31を形成する配線層60と、第3の検出コイル33を形成する配線層60の配線パターンを一部入れ替え、2層の配線層60(第1及び第2配線層61,62)にわたって第1及び第3の検出コイル31,33が形成されるように構成している。同様に、第2の検出コイル32を形成する配線層60と、第4の検出コイル34を形成する配線層60の配線パターンを一部入れ替え、2層の配線層60(第3及び第4配線層63,64)にわたって第2及び第4の検出コイル32,34が形成されるように構成している。配線層60間はビアを介して電気的に接続される。
【0032】
各検出コイル3を2層の配線層60にわたって形成することで、2層の配線層60の特性差による影響を抑制することが可能になる。その結果、配線層60間の特性差に起因した測定誤差を抑制し、測定精度を向上させることが可能になる。
【0033】
本実施の形態では、第1配線層61と第3配線層63、および、第2配線層62と第4配線層64に形成される配線パターンは、略同じパターンとされる。また、第1配線層61と第3配線層63、および、第2配線層62と第4配線層64に形成される配線パターンに流れる電流は、同じ向きとなるようにされる。図3では、白抜き矢印で電流の向きを示している。また、図3では、第1乃至第4の検出コイル31~34の入力側電極を符号31b,32b,33b,34b、出力側電極を符号31c,32c,33c,34cで示している。また、図3における符号a~y,A~Yは、ビアによる接続関係を便宜的に表すものであり、同じ符号同士がビアを介して電気的に接続されていることを表している。なお、図3に示す各配線層60の配線パターンはあくまで一例であり、配線パターンの具体的な構造はこれに限定されるものではない。
【0034】
(ブリッジ回路35,駆動部8、検出部9)
図4(a)に示すように、本実施の形態では、4つの検出コイル3をブリッジ接続してブリッジ回路35を構成している。ブリッジ回路35は、第1の検出コイル31と第2の検出コイル32とを直列接続し、第3の検出コイル33と第4の検出コイル34とを直列接続し、かつ、第1及び第2の検出コイル31,32と第3及び第4の検出コイル33,34とを並列接続して構成されている。第1乃至第4の検出コイル31~34は、同じ巻数とされ、略同じインピーダンスとなるように構成されている。
【0035】
トルクセンサ1は、検出コイル3を交流励磁するための駆動部8を備えている。駆動部8は、ブリッジ回路35における第1の検出コイル31と第3の検出コイル33との間の接点aと、第2の検出コイル32と第4の検出コイル34との間の接点bとの間に、交流電圧を印加する。
【0036】
また、トルクセンサ1は、ブリッジ回路35における第1の検出コイル31と第2の検出コイル32との間の接点cと、第3の検出コイル33と第4の検出コイル34との間の接点dとの間の電圧を測定する検出部9を備えている。検出部9は、マイクロコンピュータやパーソナルコンピュータに組み込まれており、CPU、ソフトウェア、メモリ、インターフェイス等を適宜組み合わせて実現されている。
【0037】
駆動部8が接点a,b間に交流電圧を印加すると、当該交流電圧により第1乃至第4の検出コイル31~34が交流励磁されて磁束が発生する。第1乃至第4の検出コイル31~34は応力の測定対象となる磁歪材2の周囲に配置されており、第1乃至第4の検出コイル31~34で発生する磁束は、磁歪材2を通過する。磁歪材2はトルク(回転トルク)が付与された際に透磁率が変化するため、付与されるトルクに応じて、各検出コイル3のインピーダンス(インダクタンス)が変化し、検出部9で検出される電圧が変化する。検出部9では、検出される電圧を基に、磁歪材2に付与されたトルクを検出する。このように、トルクセンサ1では、検出コイル3のインダクタンスの変化を基に磁歪材2に付与されたトルクを検出するように構成されている。
【0038】
ここでは、4つの検出コイル3を用いる場合について説明したが、図4(b)に示すように、第1及び第2の検出コイル31,32を抵抗R1,R2に置き換え、第3及び第4の検出コイル33,34の2つの検出コイル3のみを用いるようにしてもよい。同様に、第3及び第4の検出コイル33,34を抵抗に置き換え、第1及び第2の検出コイル31,32のみを使用してもよい。さらに、図4(c)に示すように、第1及び第3の検出コイル31,33を抵抗R1,R3に置き換え、第2及び第4の検出コイル32,34の2つの検出コイル3のみを用いるようにしてもよい。同様に、第2及び第4の検出コイル32,34を抵抗に置き換え、第1及び第3の検出コイル31,33のみを用いるようにしてもよい。
【0039】
また、4つの検出コイル3を用いる場合であっても、その一部の検出コイル3のみを磁歪材2の周囲に設けてもよい。例えば、第1及び第2の検出コイル31,32のみを磁歪材2の周囲に設けてもよいし、第3及び第4の検出コイル33,34のみを磁歪材2の周囲に設けてもよい。また、第1及び第3の検出コイル31,33のみを磁歪材2の周囲に設けてもよいし、第2及び第4の検出コイル32,34のみを磁歪材の周囲に設けてもよい。つまり、第1乃至第4の検出コイル31~34の少なくとも2つが、磁歪材2の周囲に設けられていればよい。なお、磁歪材2の周囲に設けない検出コイル3は、例えば、磁歪材2と別体に設けられ、外力(応力)が付与されない基準用の磁歪材2の周囲に設けられてもよい。
【0040】
また、本実施の形態では、フレキシブル基板6の配線層60に検出コイル3を形成する場合について説明したが、これに限らず、例えば、ボビン5に絶縁電線を巻き回して検出コイル3を形成してもよいし、磁歪材2の周囲に直接絶縁電線を巻き回して検出コイル3を形成してもよい。
【0041】
(磁性リング4)
磁性リング4としては、従来圧粉磁心が広く用いられてきたが、圧粉磁心を磁性リング4として用いる場合、磁性リング4の厚さが1mm以上と厚くなり、センサ部10が大型化してしまう。そこで、本実施の形態では、磁性リング4として、テープ状のアモルファス軟磁性材料からなるアモルファステープ(アモルファス合金帯)41を用いる。磁性リング4は、アモルファステープ41をフレキシブル基板6(検出コイル3)の周囲に巻き付けて構成されている。
【0042】
本実施の形態では、磁性リング4に用いるアモルファステープ41としては、Fe系、あるいはCo系のアモルファスからなるものを用いた。Fe系のアモルファスとしては、日立金属社製のMetglas(登録商標、以下略)の2605SA1(組成Fe-Si-B、厚さ25μm)を用いた。Co系のアモルファスとしては、日立金属社製のMetglasの2705M(組成Co-Fe-Ni-Si-B-Mo、厚さ22μm)を用いた。
【0043】
本実施の形態に係るトルクセンサ1では、磁性リング4の厚さを、0.075mm以上1.000mm未満としている。この理由について以下に説明する。
【0044】
磁性リング4の厚さを変化させたトルクセンサ1を試作し、駆動部8の励磁周波数(印加する交流電圧の周波数)を50kHz以上333kHz以下の範囲で変化させて、誤差(ヒステリシス誤差と角度依存誤差の合計値)及びセンサ感度の測定を行った。アモルファステープ41としては、Fe系のアモルファスであるMetglasの2605SA1(組成Fe-Si-B、厚さ25μm)を用いた。また、磁歪材2としては、クロム鋼であるSCR420Hからなる基材に、浸炭焼入れ焼戻し処理を施した後に、ショットピーニングを施したものを用いた。測定結果を図5(a),(b)に示す。
【0045】
ここで、センサ感度とは、図6(a)に示すように、センサ出力V(mV)を、磁歪材2に付与されるトルクT(Nm)で除したものであり、V/T(mV/Nm)で表される。磁歪材2に付与するトルクTを-T1以上+T1以下とし、トルク-T1に対応するセンサ出力をV1、トルク+T1に対応するセンサ出力をV2とすると、センサ感度は(V2-V1)/(2×T1)=Vs/Tsで表される。また、ヒステリシス誤差とは、直線性誤差とも呼称されるものであり、センサ出力Vs(=V2-V1)に対するトルク増加時及び減少時の同トルクでのセンサ出力差の最大値Vhの比率であり、Vh/Vs(%FS、FSはフルスケールを意味する)で表すことができる。
【0046】
また、角度依存誤差とは、磁歪材2の回転時に発生する誤差(磁歪材2の周方向でのセンサ出力のばらつき)であり、図6(b)に示すように、センサ出力の最大値をVmax、最小値をVminとしたとき、(Vmax-Vmin)/Vs(%FS)で表される。本実施の形態では、ヒステリシス誤差と角度依存誤差の合計値である誤差を3.0%FS以下とすることを目標とする。
【0047】
図5(a)に示すように、いずれの励磁周波数においても、磁性リング4の厚さを0.075mm以上とすることで、誤差を3.0%FS以下として目標を達成することが可能である。図5(a)のグラフの傾向から、磁性リング4の厚さを厚くするほど誤差は低下しているが、磁性リング4を厚くし過ぎると、コストが高くなり、センサ部10が大型化してしまうので、磁性リング4の厚さは、少なくとも従来用いていた圧粉磁心の厚さ未満であること、すなわち1.000mm未満であることが望ましく、0.500mm以下であることがより望ましい。つまり、少なくとも励磁周波数が50kHz以上333kHz以下の範囲においては、磁性リング4の厚さを0.075mm以上1.000mm未満とすることで、誤差を3%FS以下と低く抑え、かつ、センサ部10を従来よりも小型にすることが可能になる。
【0048】
また、図5(a)の結果より、励磁周波数を200kHz以上とし、かつ、磁性リング4の厚さを0.250mm以上とすることで、誤差を2.2%FS以下と非常に低く抑えることが可能であることが分かる。磁性リング4に用いているアモルファステープ41は非常に薄いため、アモルファステープ41を巻き付ける回数により、磁性リング4の厚さを調整することができる。例えば、本実施の形態では厚さ25μmのアモルファステープ41を用いたが、このアモルファステープ41を3周巻き付けることで、磁性リング4の厚さを0.075mmとすることができる。
【0049】
アモルファステープ41は、両面テープ68b(図2(b)参照)によりフレキシブル基板6の外面に接着されている。アモルファステープ41を巻き付ける際には、アモルファステープ41に適宜張力を付与しつつ巻き付け、フレキシブル基板6とアモルファステープ41との間、及び、アモルファステープ41同士の間に隙間が形成されないようにすることが望ましい。本実施の形態では、アモルファステープ41の巻き終わりの端部を、抵抗溶接により下層のアモルファステープ41の外面に固定した。ただし、これに限らず、アモルファステープ41の巻き終わりの端部を粘着テープ等で仮固定しておき、樹脂モールド部7を形成することによりアモルファステープ41の固定を行うようにしてもよい。
【0050】
さらに、図5(b)に示すように、センサ感度は、100kHz以下の励磁周波数では、3mV/Nm以下と低くなっている。センサ感度を向上するという観点からは、励磁周波数を200kHz以上とすることが望ましい。ただし、励磁周波数が高くなりすぎると、回路等での損失が大きくなるため、さらに好ましくは、励磁周波数を200kHz以上250kHz以下とするとよい。
【0051】
ここで、比較のため、磁性リングがない比較例1、及び磁性リングとして厚さ2mmの圧粉磁心を用いた比較例2についても、センサ感度と誤差の測定を行った。これら比較例1,2の測定結果を、磁性リング4の厚さを0.125mmとした実施例1、磁性リング4の厚さを0.250mmとした実施例2の測定結果と共に図7に示す。なお、図7では、駆動周波数を200kHzとした。
【0052】
図7に示すように、実施例1,2では、磁性リングがない比較例1と比較してセンサ感度が向上しており、誤差も低減されている。また、実施例1,2では、圧粉磁心を用いた比較例2と同等のセンサ感度及び誤差が得られており、磁性リング4を薄くしセンサ部10の小型化を図りつつも、圧粉磁心を用いた場合と同等の効果が得られることが確認できた。
【0053】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係るトルクセンサでは、磁性リング4が、テープ状のアモルファス軟磁性材料からなるアモルファステープ41を、検出コイル3の周囲に巻き付けて構成されており、磁性リング4の厚さが、0.075mm以上1.000mm未満である。
【0054】
このように構成することで、磁性リング4を非常に薄くしつつも十分なセンサ感度向上、及び誤差低減の効果を得ることが可能になり、センサ部10の小型化が可能になる。
【0055】
(他の実施の形態)
上記実施の形態では、磁性リング4の厚さを具体的に規定したが、磁性リング4の厚さは、磁歪材2の表皮効果厚さから決定することも可能である。
【0056】
磁歪材2が、クロム鋼またはクロムモリブデン鋼からなる場合、透磁率μは、0.756×10-4~1.004×10-4H/mとなる。励磁周波数をf(Hz)、磁歪材2の電気抵抗率をρとすると、磁歪材2の表皮効果厚さdは、[数1]に示す式(1)で表すことができる。なお、電気抵抗率ρは、クロム鋼またはクロムモリブデン鋼からなる場合、2.1×10-7Ω・mとなる。
【0057】
【数1】
【0058】
式(1)より、磁歪材2としてクロム鋼またはクロムモリブデン鋼を用いた場合、例えば、励磁周波数を200kHzとすると、磁歪材2の表皮効果厚さdは、0.0577~0.0665mmとなる。また、励磁周波数を50kHzとすると、磁歪材2の表皮効果厚さdは、0.1154~0.1330mmとなる。よって、励磁周波数が50kHz以上200kHz以下である場合には、磁性リング4の厚さを、磁歪材2の表皮効果厚さdの1.128倍以上、より好ましくは1.300倍以上とすることで、磁性リング4の厚さをほぼ0.075mm以上として、誤差を3%FS以下に抑制することが可能になる。
【0059】
同様に、励磁周波数を250kHzとすると、磁歪材2の表皮効果厚さdは、0.0516~0.0595mmとなる。よって、励磁周波数を50kHz以上250kHz以下とする場合(特に200kHzより大きく250kHz以下とする場合)には、磁性リング4の厚さを、磁歪材2の表皮効果厚さdの1.261倍以上、より好ましくは1.453倍以上とするとよい。
【0060】
さらに、励磁周波数を333kHzとすると、磁歪材2の表皮効果厚さdは、0.0477~0.0515mmとなる。よって、励磁周波数を50kHz以上333kHz以下とする場合(特に250kHzより大きく333kHz以下とする場合)には、磁性リング4の厚さを、磁歪材2の表皮効果厚さdの1.455倍以上、より好ましくは1.677倍以上とするとよい。
【0061】
このように、励磁周波数が50kHz以上333kHz以上である場合には、磁性リング4の厚さを設計する際には、駆動部8の励磁周波数f及び磁歪材2の透磁率μを基に、式(1)により磁歪材2の表皮効果厚さdを算出し、算出した磁歪材2の表皮効果厚さdの1.455倍以上、好ましくは1.677倍以上となるように、磁性リング4の厚さを決定することで、誤差を3%FS以下に抑制することが可能である。なお、磁歪材2の表皮効果厚さから決定する場合であっても、磁性リング4の厚さは1.000mm未満であることが望ましく、0.500mm以下であることがより望ましい。
【0062】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0063】
[1]クロム鋼またはクロムモリブデン鋼からなる磁歪材(2)の周囲に設けられた検出コイル(3)と、前記検出コイル(3)の周囲を覆うように設けられた磁性リング(4)と、前記検出コイル(3)を50kHz以上333kHz以下の励磁周波数で交流励磁するための駆動部(8)と、を備え、前記検出コイル(3)のインダクタンスの変化を基に前記磁歪材(2)に付与されたトルクを検出するように構成されており、前記磁性リング(4)は、テープ状のアモルファス軟磁性材料からなるアモルファステープ(41)を、前記検出コイル(3)の周囲に巻き付けて構成されており、前記磁性リング(4)の厚さが、前記磁歪材(2)の表皮効果厚さの1.455倍以上、かつ1.000mm未満である、磁歪式トルクセンサ(1)。
【0064】
[2]クロム鋼またはクロムモリブデン鋼からなる磁歪材(2)の周囲に設けられた検出コイル(3)と、前記検出コイル(3)の周囲を覆うように設けられた磁性リング(4)と、前記検出コイル(3)を50kHz以上250kHz以下の励磁周波数で交流励磁するための駆動部(8)と、を備え、前記検出コイル(3)のインダクタンスの変化を基に前記磁歪材(2)に付与されたトルクを検出するように構成されており、前記磁性リング(4)は、テープ状のアモルファス軟磁性材料からなるアモルファステープ(41)を、前記検出コイル(3)の周囲に巻き付けて構成されており、前記磁性リング(4)の厚さが、前記磁歪材(2)の表皮効果厚さの1.261倍以上、かつ1.000mm未満である、磁歪式トルクセンサ(1)。
【0065】
[3]クロム鋼またはクロムモリブデン鋼からなる磁歪材(2)の周囲に設けられた検出コイル(3)と、前記検出コイル(3)の周囲を覆うように設けられた磁性リング(4)と、前記検出コイル(3)を50kHz以上200kHz以下の励磁周波数で交流励磁するための駆動部(8)と、を備え、前記検出コイル(3)のインダクタンスの変化を基に前記磁歪材(2)に付与されたトルクを検出するように構成されており、前記磁性リング(4)は、テープ状のアモルファス軟磁性材料からなるアモルファステープ(41)を、前記検出コイル(3)の周囲に巻き付けて構成されており、前記磁性リング(4)の厚さが、前記磁歪材(2)の表皮効果厚さの1.128倍以上、かつ1.000mm未満である、磁歪式トルクセンサ(1)。
【0066】
[4]前記磁歪材(2)には、ショットピーニングが施されている、[1]乃至[3]の何れか1項に記載の磁歪式トルクセンサ(1)。
【0067】
[5]クロム鋼またはクロムモリブデン鋼からなる磁歪材(2)の周囲に設けられた検出コイル(3)と、前記検出コイル(3)の周囲を覆うように設けられた磁性リング(4)と、前記検出コイル(3)を50kHz以上333kHz以下の励磁周波数で交流励磁する駆動部(8)と、を備え、前記検出コイル(3)のインダクタンスの変化を基に前記磁歪材(2)に付与されたトルクを検出するように構成された磁歪式トルクセンサ用磁性リングの厚さの設計方法であって、前記磁性リング(4)は、テープ状のアモルファス軟磁性材料からなるアモルファステープ(41)を、前記検出コイル(3)の周囲に巻き付けて構成されており、前記駆動部(8)の励磁周波数及び前記磁歪材(2)の透磁率を基に、前記磁歪材(2)の表皮効果厚さを算出する工程と、前記磁歪材(2)の表皮効果厚さの1.455倍以上かつ1.000mm未満となるように、前記磁性リング(4)の厚さを決定する工程と、を有する、磁歪式トルクセンサ用磁性リングの厚さの設計方法。
【0068】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…トルクセンサ(磁歪式トルクセンサ)
2…磁歪材
3…検出コイル
4…磁性リング
41…アモルファステープ
5…ボビン
6…フレキシブル基板
7…樹脂モールド部
8…駆動部
9…検出部
10…センサ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7