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  • 特許-フィラー、成形体、及び放熱材料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】フィラー、成形体、及び放熱材料
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/569 20060101AFI20240625BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240625BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240625BHJP
   C01B 32/956 20170101ALI20240625BHJP
【FI】
C04B35/569
C08L101/00
C08K3/013
C01B32/956
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021508778
(86)(22)【出願日】2019-12-26
(86)【国際出願番号】 JP2019051341
(87)【国際公開番号】W WO2020194974
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2019055197
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000236702
【氏名又は名称】株式会社フジミインコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】牛田 尚幹
(72)【発明者】
【氏名】増田 祐司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 未那
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和人
(72)【発明者】
【氏名】諌山 拓弥
【審査官】大西 美和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/067011(WO,A1)
【文献】特開2015-081205(JP,A)
【文献】特開2016-037438(JP,A)
【文献】Takeda et al.,Advanced Ceramic Materials,1986年04月,Volume 1, Issue 2,p. 162-165
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00
C01B 32/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックの一次粒子を含有する粉末の焼結体である二次粒子からなり、BET法により測定した比表面積が0.162/g以下であり、微小圧縮試験により測定した顆粒強度が750MPa以上であり、前記セラミックの一次粒子の平均一次粒子径と前記二次粒子の平均二次粒子径との比が1:100~1:200であり、前記セラミックが炭化ケイ素であるフィラー。
【請求項2】
請求項1に記載のフィラーと樹脂とを含有する樹脂組成物の成形体。
【請求項3】
請求項2に記載の成形体を備える放熱材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィラー、成形体、及び放熱材料に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック、硬化性樹脂、ゴム等の樹脂を含有する樹脂組成物の成形体に熱伝導性を付与する目的で、樹脂組成物にフィラーが添加される場合がある。例えば特許文献1には、樹脂組成物の成形体の熱伝導率を高めるフィラーが開示されている。しかしながら、樹脂組成物の成形体には、熱伝導率のさらなる向上が求められる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特許公開公報 2019年第1849号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、プラスチック、硬化性樹脂、ゴム等の樹脂に配合されて、得られる樹脂組成物の成形体の熱伝導率を高めることができるフィラー、並びに、熱伝導率が高い成形体及び放熱材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るフィラーは、セラミックの一次粒子を含有する粉末の焼結体である二次粒子からなり、BET法により測定した比表面積が0.25m2/g以下であり、微小圧縮試験により測定した顆粒強度が45MPa以上であることを要旨とする。
本発明の他の態様に係る成形体は、上記の一態様に係るフィラーと樹脂とを含有する樹脂組成物の成形体であることを要旨とする。
本発明のさらに他の態様に係る放熱材料は、上記の他の態様に係る成形体を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のフィラーは、プラスチック、硬化性樹脂、ゴム等の樹脂に配合されて、得られる樹脂組成物の成形体の熱伝導率を高めることができる。また、本発明の成形体及び放熱材料は、熱伝導率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例及び比較例のフィラーの比表面積を示すグラフである。
図2】実施例及び比較例のフィラーの顆粒強度を示すグラフである。
図3】実施例及び比較例のフィラーを含有する樹脂組成物の成形体の熱伝導率を示すグラフである。
図4】実施例及び比較例のフィラーの表面及び切断面のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、以下の実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
【0009】
本実施形態のフィラーは、セラミックの一次粒子を含有する粉末の焼結体である二次粒子からなる。そして、本実施形態のフィラーの物性は、BET法により測定した比表面積が0.25m2/g以下であり、微小圧縮試験により測定した顆粒強度が45MPa以上である。
【0010】
このような構成の本実施形態のフィラーは、プラスチック、硬化性樹脂、ゴム等の樹脂に配合して樹脂組成物とすることができる。この樹脂組成物は、本実施形態のフィラーと樹脂とを含有するが、本実施形態のフィラーと樹脂のみから構成してもよいし、本実施形態のフィラーと樹脂に補強材、添加剤等の他の成分を配合して構成してもよい。
【0011】
そして、本実施形態のフィラーを含有する樹脂組成物を成形した成形体は、本実施形態のフィラーの作用により熱伝導率及び機械的強度が高いので、例えば放熱材料として用いることができる。この放熱材料は、本実施形態のフィラーを含有する樹脂組成物の成形体のみで構成されていてもよいし、成形体と他の部材とで構成されていてもよい。成形体の形状や成形方法は特に限定されない。
【0012】
以下に、本実施形態のフィラー、樹脂組成物、成形体、及び放熱材料について、さらに詳細に説明する。
本実施形態のフィラーは、セラミックの一次粒子を含有する粉末の焼結体(二次粒子)からなる。本実施形態のフィラーは、セラミックの一次粒子を含有する粉末を造粒し焼結することにより製造することができる。セラミックの一次粒子を含有する粉末は、セラミックの一次粒子のみで構成されていてもよいし、セラミックの一次粒子と添加剤等の他の成分の粒子とで構成されていてもよい。添加剤としては、例えば、焼結助剤や、造粒のためのバインダーとなる樹脂が挙げられる。
【0013】
バインダーとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラニン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0014】
セラミックの種類は特に限定されるものではなく、例えば、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si34)、酸化ケイ素(SiO2)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、窒化ホウ素(BN)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)が挙げられる。これらのセラミックの中では、炭化ケイ素が特に好ましい。
【0015】
本実施形態のフィラーの原料となるセラミックの一次粒子の平均粒子径(平均一次粒子径)は特に限定されるものではないが、0.1μm以上50μm以下としてもよい。平均一次粒子径が0.1μm未満であると、焼結体である二次粒子が緻密になりすぎるおそれがある。一方、平均一次粒子径が50μm超過であると、造粒が困難となり焼結体である二次粒子が得られにくくなるおそれがある。セラミックの一次粒子の平均一次粒子径は、例えば電気抵抗法によって測定することができる。
【0016】
BET法により測定した本実施形態のフィラーの比表面積は、0.25m2/g以下である必要がある。フィラーの比表面積が0.25m2/g超過であるということは、造粒時の一次粒子同士のネッキングが十分でないことを意味し、フィラーの界面抵抗の上昇によって、樹脂組成物の成形体の熱伝導率及び機械的強度を高める効果が十分に奏されないおそれがある。
【0017】
微小圧縮試験により測定した本実施形態のフィラーの顆粒強度は、45MPa以上である必要がある。フィラーの顆粒強度が45MPa未満であると、樹脂組成物の成形時にフィラーが破損し界面抵抗が上昇するため、樹脂組成物の成形体の熱伝導率及び機械的強度を高める効果が十分に奏されないおそれがある。また、成形時に樹脂組成物の溶融粘度が高くなり、成形性が低下するおそれがある。本実施形態のフィラーの顆粒強度を測定可能な微小圧縮試験装置としては、例えば、株式会社島津製作所製の微小圧縮試験装置MCT-200が挙げられる。
【0018】
本実施形態のフィラーの平均粒子径(平均二次粒子径)は特に限定されるものではないが、1μm以上200μm以下としてもよい。フィラーの平均二次粒子径が1μm未満であると、フィラーの界面抵抗が上昇し、樹脂組成物の成形体の熱伝導率が低くなるおそれがある。また、樹脂組成物の成形性が低下するおそれがある。一方、フィラーの平均二次粒子径が200μm超過であると、樹脂組成物の成形体としてシートを成形する場合に、シートの厚さに対してフィラーの粒子径が大きくなるため、シートを形成しにくいという不都合が生じるおそれがある。なお、フィラーの平均二次粒子径は、例えばレーザー回折・散乱法によって測定することができる。
【0019】
セラミックの一次粒子の平均一次粒子径とフィラーの平均二次粒子径との比は、造粒の容易性の観点からは、1:5~1:200であることが好ましい。
そして、セラミックの一次粒子の平均一次粒子径とフィラーの平均二次粒子径との比が1:100~1:200であるフィラーにおいては、熱伝導率の観点からは、フィラーの顆粒強度は750MPa以上であることがより好ましく、フィラーの比表面積は0.16m2/g以下であることがより好ましい。
【0020】
また、セラミックの一次粒子の平均一次粒子径とフィラーの平均二次粒子径との比が1:5~1:20であるフィラーにおいては、熱伝導率の観点からは、フィラーの顆粒強度は30MPa以上100MPa以下であることがより好ましく、フィラーの比表面積は0.2m2/g以上0.5m2/g以下であることがより好ましく、0.2m2/g以上0.4m2/g以下であることがさらに好ましい。
【0021】
本実施形態のフィラーの表面の凹凸形状(フラクタルディメンジョン)は、フィラー同士の接触点を増加させ樹脂組成物の成形体の熱伝導率を向上させる作用を有するため、大きい方が好ましい。
樹脂組成物中に含有されるフィラーの単位質量又は単位体積当りの個数は、より多い方が好ましい。フィラーの単位質量又は単位体積当りの個数が多い方がフィラー同士の接触点が多くなるので、樹脂組成物の成形体の熱伝導率が高くなる。
【0022】
本実施形態のフィラーには、カップリング処理を施してもよい。カップリング処理に用いるカップリング処理剤としては、フィラーと樹脂の結合性や濡れ性を高める材料であれば特に限定されるものではないが、例えば結合性を向上させる材料の例としては、アクリル樹脂とフィラーとの間をラジカル重合により結合強化するメタクリル酸が挙げられる。他には、熱硬化により結合を強化するエポキシ樹脂があげられる。
【0023】
樹脂組成物の原料となる樹脂の種類は特に限定されるものではなく、プラスチック、硬化性樹脂、ゴム等が挙げられるが、具体例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリカーボネート等があげられる。これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
〔実施例〕
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
炭化ケイ素の一次粒子と焼結助剤とを混合して、原料である粉末を得た。炭化ケイ素の一次粒子としては、粒度#40000の炭化ケイ素粉末(型番:GC40000)を用いた。この炭化ケイ素粉末の一次粒子径D50は0.26μmである。なお、一次粒子径D50とは、粉末の体積基準の積算粒子径分布において小粒径側からの積算頻度が50%となる粒子径を意味する。
【0025】
焼結助剤としては、硝酸アルミニウム9水和物(Al(NO33・9H2O)の粉末を用いた。焼結助剤の使用量は、炭化ケイ素の一次粒子の使用量の30質量%(アルミニウムとしては2.16質量%)とした。
次に、炭化ケイ素の一次粒子と焼結助剤を水等の溶媒に分散させてスラリーを得た。スラリーの固形分濃度は16.3質量%である。このスラリーを大川原化工機株式会社製のディスク方式のスプレードライヤL-8i型に供給して造粒を行い、炭化ケイ素の一次粒子と焼結助剤との混合粉末の造粒物を得た。
【0026】
次に、炭化ケイ素の一次粒子と焼結助剤との混合粉末の造粒物を、焼結炉を用いて焼結し、焼結体(二次粒子)を製造した。焼結炉の運転条件は、雰囲気アルゴン、焼結温度1900℃、焼結時間4時間である。
得られた焼結体は、一部が結着している場合があるので、結着している場合には、高速回転粉砕機(ピンミル)を用いて解砕を行う。解砕した焼結体は、ジェット分級機を用いて分級し、粒径の小さい焼結体を除去した後に、粒径25μm以上53μm以下の粒子を篩い分けることができる振動式篩機を用いて、粒度調整を行った。このようにして、粒径30μm以上60μm以下の焼結体(二次粒子)からなるフィラーを得た。
【0027】
(実施例2)
炭化ケイ素の一次粒子として粒度#2000の炭化ケイ素粉末(型番:GC#2000、一次粒子径D50:6.7μm)を用いた点と、炭化ケイ素の一次粒子と焼結助剤と樹脂製のバインダーとを混合して原料である粉末を得た点と、焼結炉の運転条件とを除いては、実施例1と同様にして、実施例2のフィラーを製造した。
【0028】
焼結炉の運転条件は、以下の通りである。すなわち、実施例2においては、焼結の前に、バインダーを除去するための予備焼成を行う。詳述すると、まず、雰囲気窒素、焼成温度800℃、焼成時間0.5時間の条件で予備焼成を行った後に、雰囲気アルゴン、焼結温度1900℃、焼結時間4時間の条件で焼結を行う。
【0029】
(実施例3)
焼結温度が1850℃である点を除いては、実施例1と同様にして、実施例3のフィラーを製造した。
(実施例4)
焼結温度が1800℃である点を除いては、実施例1と同様にして、実施例4のフィラーを製造した。
【0030】
(実施例5)
焼結温度が1850℃である点を除いては、実施例2と同様にして、実施例5のフィラーを製造した。
(比較例1)
焼結助剤を使用せず、原料である粉末が炭化ケイ素の一次粒子のみで構成されている点を除いては、実施例1と同様にして、比較例1のフィラーを製造した。
【0031】
得られた実施例1~5及び比較例1のフィラーについて、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて表面及び切断面を観察しSEM画像を撮影するとともに、X線回折法による結晶構造解析を行った。また、実施例1~5及び比較例1のフィラーの平均二次粒子径D50、比表面積、及び顆粒強度を測定した。さらに、フィラーと樹脂とを混合した樹脂組成物を成形して成形体を得て、その熱伝導率を測定した。
【0032】
<平均二次粒子径D50>
実施例1~5及び比較例1のフィラーの平均二次粒子径D50を、株式会社堀場製作所製のレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA-300を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
<比表面積>
実施例1~5及び比較例1のフィラーの比表面積を、株式会社マウンテック製の全自動BET比表面積測定装置Macsorb(登録商標)を用いて測定した。結果を表1と図1のグラフに示す。
【0035】
<顆粒強度>
実施例1~5及び比較例1のフィラーの顆粒強度を、株式会社島津製作所製の微小圧縮試験機MCT-200を用いて測定した。微小圧縮試験の方法は、以下の通りである。二次粒子径がD50程度である粒子を無作為に10個選び、微小圧縮試験機を用いて各々の粒子の顆粒強度を測定し、それら測定値の平均値をフィラーの顆粒強度とした。測定条件は、負荷速度12.96mN/秒、負荷保持時間1秒である。結果を表1と図2のグラフに示す。
【0036】
<SEM画像>
フィラーの表面及び切断面のSEM画像は、それぞれ倍率2000倍と5000倍で撮影した。結果を図4にまとめて示す。倍率5000倍で撮影したフィラーの表面のSEM画像から、実施例1、2のフィラーについては、フィラーを構成する炭化ケイ素の一次粒子が、結晶成長によって六方晶(α-SiC)由来の形状を有していることが分かる。
【0037】
<X線回折>
株式会社リガク製の試料水平型多目的X線回折装置Ultima IVを用いて、実施例1、2のフィラーの結晶構造解析を行った。X線回折の結果から、実施例1、2のフィラーは、β-SiCを含有しておらず、α-SiCを含有していることが分かった。
【0038】
<熱伝導率>
実施例1~5及び比較例1のフィラーの熱伝導率を、京都電子工業製の熱伝導率計QTM-500を用いて測定した。熱伝導率の測定方法は、熱線法である。測定試料の前処理として、105℃に調節した定温恒温槽にて30分以上試料を乾燥させる。その後、相対湿度25%以下のデシケーター内にて試料を1時間以上自然放冷する。そして、測定セルに試料を投入し、測定セルをタッピングしながら100mL以上敷き詰める。
結果を表1及び図3のグラフに示す。表1及び図1、2、3のグラフから分かるように、実施例1~5のフィラーは、フィラーの比表面積が0.25m2/g以下であり、顆粒強度が45MPa以上であるため、比較例1のフィラーよりも熱伝導率が高かった。
図1
図2
図3
図4