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特許7509790パルスPVDにおけるプラズマ改質によるウエハからの粒子除去方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】パルスPVDにおけるプラズマ改質によるウエハからの粒子除去方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20240625BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
C23C14/34 R
C23C14/34 U
H01L21/285 S
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021546749
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(86)【国際出願番号】 US2020017633
(87)【国際公開番号】W WO2020167744
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】62/804,144
(32)【優先日】2019-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】チョン ハルバート
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ レイ
(72)【発明者】
【氏名】アレン アドルフ ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ソニ ヴァイブハブ
(72)【発明者】
【氏名】カラシパラムビル キショー
(72)【発明者】
【氏名】フォーン ヴァネッサ
(72)【発明者】
【氏名】スー ソンムーン
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06013159(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0263566(US,A1)
【文献】特開平10-140332(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0222503(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0027269(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00-14/58
H01L 21/00-21/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネトロン物理的気相堆積チャンバ内で、堆積圧力のプラズマによって基板表面上に膜を堆積させ、前記プラズマ内に粒子を生じさせることであって、前記マグネトロン物理的気相堆積チャンバは、前記チャンバの中心軸と位置合わせされた位置を有する回転可能な駆動シャフトを含み、前記回転可能な駆動シャフトの位置が前記チャンバの中心軸に対して固定されているマグネトロンアセンブリと、前記回転可能な駆動シャフトに接続された磁石支持部材に結合されて前記中心軸の周りを回転する複数の磁石とを有することと、
前記物理的気相堆積チャンバ内の圧力を、約50ミリトル以上である微粒子パージ圧力まで増大させて、前記粒子の少なくとも一部を前記物理的気相堆積チャンバの外方部分へ動かすことであって、前記基表面が、粒子を前記プラズマ中に浮遊させるために圧力を増加させながらバイアスがかけられ、前記粒子の少なくとも一部を動かすことが、前記基表面に印加されるバイアスの周波数を増加させて、前記粒子の少なくとも一部に電荷を生じさせ、荷電粒子を形成することを含み、前記周波数を増加させることが、前記荷電粒子が放電するための時間の量を減少させ、捕捉力を生じさせることと、
前記プラズマを消すことと
を含む物理的気相堆積方法。
【請求項2】
前記プラズマがパルス化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラズマが、約20~約60ワットの範囲内の電力を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマが、約40%のデューティサイクルでパルス化される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記マグネトロン物理的気相堆積チャンバが、ターゲットアセンブリにRF電力またはDC電力をそれぞれ供給するためのRFバイアス電源またはDC電源のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記微粒子パージ圧力で、前記プラズマ内に浮遊している微粒子が凝集して、より大きい粒子サイズを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記プラズマを消した後、前記基板表面上に落下する微粒子が、前記圧力が前記堆積圧力から増大されなかった場合より少なくなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
マグネトロン物理的気相堆積チャンバ内で、基板表面を有する基板をペデスタル上に位置決めすることであって、前記マグネトロン物理的気相堆積チャンバは、前記チャンバの中心軸と位置合わせされた位置を有する回転可能な駆動シャフトを含み、前記回転可能な駆動シャフトの位置が前記チャンバの中心軸に対して固定されているマグネトロンアセンブリと、前記回転可能な駆動シャフトに接続された磁石支持部材に結合されて前記中心軸の周りを回転する複数の磁石とを有することと、
前記チャンバ内に堆積圧力の堆積プラズマを生成して、前記基板表面上に膜を堆積させ、前記プラズマ内に微粒子を生じさせることと、
前記チャンバ内の圧力を、約70ミリトル以上である微粒子パージ圧力まで増大させて、前記プラズマ内で微粒子を凝集させ、前記凝集した微粒子を前記物理的気相堆積チャンバの外方部分へ動かすことであって、前記ペデスタルが、堆積中、前記微粒子パージ圧力でバイアスがかけられ、前記粒子の少なくとも一部を動かすことが、前記ペデスタルに印加されるバイアスの周波数を増加させて、前記粒子の少なくとも一部に電荷を生じさせ、荷電粒子を形成することを含み、前記周波数を増加させることが、前記荷電粒子が放電するための時間の量を減少させ、捕捉力を生じさせることと
を含む物理的気相堆積方法。
【請求項9】
前記プラズマが、約20%~約60%の範囲内のデューティサイクルでパルス化される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記マグネトロン物理的気相堆積チャンバが、ターゲットアセンブリにRF電力またはDC電力をそれぞれ供給するためのRFバイアス電源またはDC電源のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
マグネトロン物理的気相堆積チャンバ内で、基板表面を有する基板をペデスタル上に位置決めすることであって、前記マグネトロン物理的気相堆積チャンバは、前記チャンバの中心軸と位置合わせされた位置を有する回転可能な駆動シャフトを含み、前記回転可能な駆動シャフトの位置が前記チャンバの中心軸に対して固定されているマグネトロンアセンブリと、前記回転可能な駆動シャフトに接続された磁石支持部材に結合されて前記中心軸の周りを回転する複数の磁石とを含むことと、
前記チャンバ内で約40ミリトル以下の堆積圧力の堆積プラズマを生成して、前記基板表面上に膜を堆積させ、前記膜を堆積させることで前記プラズマ内に微粒子を生じさせることと、
前記チャンバ内の圧力を、約70ミリトル以上である微粒子パージ圧力まで増大させて、前記プラズマ内で微粒子を凝集させ、前記凝集した微粒子を前記物理的気相堆積チャンバの外方部分へ動かすことによって、前記基板表面上に落下する微粒子を低減させることであって、前記ペデスタルが、堆積中、前記微粒子パージ圧力でバイアスがかけられ、前記粒子の少なくとも一部を動かすことが、前記ペデスタルに印加されるバイアスの周波数を増加させて、前記粒子の少なくとも一部に電荷を生じさせ、荷電粒子を形成することを含み、前記周波数を増加させることが、前記荷電粒子が放電するための時間の量を減少させ、捕捉力を生じさせることと
を含む物理的気相堆積方法。
【請求項12】
前記マグネトロン物理的気相堆積チャンバが、ターゲットアセンブリにRF電力またはDC電力をそれぞれ供給するためのRFバイアス電源またはDC電源のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に基板処理システムに関し、より詳細には物理的気相堆積(PVD)処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
別法として物理的気相堆積(PVD)とも呼ばれるスパッタリングは、半導体集積回路の製造において金属および関連材料を堆積させるために長く使用されてきた。スパッタリングの使用は、ビアまたは他の垂直相互接続構造などの高アスペクト比の孔の側壁への金属層の堆積、ならびに極紫外(EUV)マスクブランクの製造に拡大されてきた。EUVマスクブランクの製造では、粒子が最終製品の特性に悪影響を与えるため、粒子の生成を最小限に抑えることが望ましい。
【0003】
DCスパッタリングまたはRFスパッタリングを使用して、プラズマスパッタリングを実現することができる。プラズマスパッタリングは、典型的に、プラズマの密度を増大させ、スパッタリング率を向上させるために、処理空間へ磁場を投射するようにスパッタリングターゲットの裏面に位置決めされたマグネトロンを含む。マグネトロンで使用される磁石は、典型的に、DCスパッタリングの場合は閉ループ、RFスパッタリングの場合は開ループである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
典型的に、荷電粒子の凝集は、物理的気相堆積で観察される問題ではない。最近、いくつかのパルスPVDチャンバにおいて、ウエハ上に大きい粒子が観察されている。スパッタリングされた基板への微粒子による損傷を防止または最小限に抑える装置および方法を提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、物理的気相堆積方法を対象とする。マグネトロン物理的気相堆積チャンバ内で、堆積圧力のプラズマによって基板表面上に膜が堆積し、プラズマ内に粒子が生じる。物理的気相堆積チャンバ内の圧力は、堆積圧力より大きい微粒子パージ圧力まで増大され、粒子の少なくとも一部を物理的気相堆積チャンバの外方部分へ動かす。次いでプラズマを消すことができる。
【0006】
本開示の追加の実施形態は、物理的気相堆積方法を対象とし、この方法は、マグネトロン物理的気相堆積チャンバ内で、基板表面を有する基板をペデスタル上に位置決めすることを含む。チャンバ内に堆積圧力の堆積プラズマが生成されて、基板表面上に膜を堆積させ、プラズマ内に微粒子を生じさせる。チャンバ内の圧力は、堆積圧力より大きい微粒子パージ圧力まで増大されて、プラズマ内で微粒子を凝集させ、凝集した微粒子を物理的気相堆積チャンバの外方部分へ動かす。
【0007】
本開示のさらなる実施形態は、物理的気相堆積方法を対象とし、この方法は、マグネトロン物理的気相堆積チャンバ内で、基板表面を有する基板をペデスタル上に位置決めすることを含む。マグネトロン物理的気相堆積チャンバは、クリプトンの流れとともに炭素ターゲットを備える。チャンバ内の約40ミリトル以下の堆積圧力で堆積プラズマを生成することによって、基板表面上に膜が堆積し、膜を堆積することで、プラズマ内に微粒子が生じる。チャンバ内の圧力を約70ミリトル以上の微粒子パージ圧力まで増大させて、プラズマ内の微粒子を凝集させ、凝集した微粒子を物理的気相堆積チャンバの外方部分へ動かすことによって、基板表面上に落下する微粒子が減少される。
【0008】
本開示の上述した特徴を詳細に理解することができるように、一部が添付の図面に示されている実施形態を参照することによって、上記で簡単に要約した本開示のより具体的な説明を得ることができる。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得るため、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを示し、したがって本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示のいくつかの実施形態によるプロセスチャンバの概略断面図である。
図2】従来技術のターゲットアセンブリの斜視図である。
図3図2の線3-3に沿って切り取った断面図である。
図4】従来技術のターゲットアセンブリの断面図である。
図5A】本開示の1つまたは複数の実施形態によるプロセスチャンバおよび処理方法の概略図である。
図5B】本開示の1つまたは複数の実施形態によるプロセスチャンバおよび処理方法の概略図である。
図5C】本開示の1つまたは複数の実施形態によるプロセスチャンバおよび処理方法の概略図である。
図5D図5Cの領域5Dの拡大図である。
図6】一実施形態によるマルチカソードPVD堆積チャンバを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示のいくつかの例示的な実施形態について説明する前に、本開示は、以下の説明に述べる構造またはプロセスステップの詳細に限定されるものではないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な形態で実行または実施することが可能である。
【0011】
本明細書では「水平」という用語は、その配向にかかわらず、マスクブランクの平面または表面に対して平行な平面と定義される。「垂直」という用語は、上記で定義した水平に直交する方向を指す。これらの図に示すとき、「上(above)」、「下(below)」、「底部(bottom)」、「頂部(top)」、「側(side)」(「側壁」など)、「より高い(higher)」、「より低い(lower)」、「上部(upper)」、「上(over)」、および「下(under)」などの用語は、水平平面に対して定義される。
【0012】
「上(on)」という用語は、要素間に直接接触があることを示す。「上に直接(directly on)」という用語は、要素間に直接接触があり、介在要素が存在しないことを示す。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、「前駆体」、「反応物質」、「反応ガス」という用語などは、基板表面と反応し得るあらゆるガス種を指すために区別なく使用される。
【0014】
プロセス領域を説明するための「第1」および「第2」などの序数の使用は、処理チャンバ内の特有の場所または処理チャンバ内の露出順序を示唆するものではないことが、当業者には理解されよう。
【0015】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による物理的気相堆積(PVD)処理システム100の簡略化された断面図を示す。本明細書に提供される教示による改質に好適な他のPVDチャンバの例には、ALPS(登録商標)PlusおよびSIP ENCORE(登録商標)というPVD処理チャンバが含まれ、これらはどちらも、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials,Inc.から市販されている。PVD以外の他のタイプの処理向けに構成されたものを含めて、Applied Materials,Inc.または他の製造者からの他の処理チャンバも、本明細書に開示する教示による改質から利益を得ることができる。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態では、PVD処理システム100は、プロセスチャンバ104の上に取外し可能に配置されたチャンバ本体101を含む。チャンバ本体101は、ターゲットアセンブリ114および接地アセンブリ103を含むことができる。プロセスチャンバ104は、基板108を受け取るための基板支持体106を含む。基板支持体106は、下部接地囲壁110内に位置することができ、下部接地囲壁110は、プロセスチャンバ104のチャンバ壁とすることができる。下部接地囲壁110は、チャンバ本体101の上に配置されたRFまたはDC電源182へのRF反射経路が提供されるように、チャンバ本体101の接地アセンブリ103に電気的に結合することができる。RFまたはDC電源182は、以下に論じるターゲットアセンブリ114にRFまたはDC電力を提供することができる。
【0017】
基板支持体106は、ターゲットアセンブリ114の主面の方を向いている材料受取り面を有し、ターゲットアセンブリ114の主面とは反対の平面位置でスパッタリング被覆されるべき基板108を支持する。基板支持体106は、プロセスチャンバ104の中心領域120で基板108を支持することができる。中心領域120は、処理中の基板支持体106の上(たとえば、処理位置においてターゲットアセンブリ114と基板支持体106との間)の領域と定義される。
【0018】
いくつかの実施形態では、基板支持体106は、プロセスチャンバ104の下部部分内のロードロックバルブ(図示せず)を介して基板108を基板支持体106へ移送し、その後、堆積または処理位置へ上昇させることを可能にするように、垂直方向に可動とすることができる。基板支持体106の垂直運動を容易にしながら、プロセスチャンバ104の外側の雰囲気からのプロセスチャンバ104の内部体積の分離を維持するために、底部チャンバ壁124に接続されたベローズ122を設けることができる。ガス源126から質量流量コントローラ128を介してプロセスチャンバ104の下部部分内へ、1つまたは複数のガスを供給することができる。プロセスチャンバ104内の所望の圧力の維持を容易にするために、プロセスチャンバ104の内部を排気するための排気口130を設けて、バルブ132を介してポンプ(図示せず)に結合することができる。
【0019】
基板108に対して負のDCバイアスを誘起するために、RFバイアス電源134を基板支持体106に結合することができる。加えて、いくつかの実施形態では、負のDC自己バイアスを処理中に基板108上に形成することができる。たとえば、RFバイアス電源134によって供給されるRFエネルギーは、約2MHz~約60MHzの周波数範囲とすることができ、たとえば2MHz、13.56MHz、または60MHzなどの非限定的な周波数を使用することができる。他の応用例では、基板支持体106を接地することができ、または電気的に浮遊させておくこともできる。別法として、または組み合わせで、RFバイアス電力が所望されない応用例の場合、基板108上の電圧を調整するための静電容量チューナ136を基板支持体106に結合することができる。
【0020】
プロセスチャンバ104は、プロセスチャンバ104の処理体積または中心領域120を取り囲み、他のチャンバ部品を処理による損傷および/または汚染から保護するために、プロセスキットシールドまたはシールド138をさらに含む。いくつかの実施形態では、シールド138は、プロセスチャンバ104の上部接地囲壁116のレッジ140に接続することができる。図1に示すように、チャンバ本体101は、上部接地囲壁116のレッジ140上に静止することができる。下部接地囲壁110と同様に、上部接地囲壁116は、RF反射経路のうち、下部接地囲壁116とチャンバ本体101の接地アセンブリ103との間の部分を提供することができる。しかし、接地シールド138などを介して、他のRF反射経路も可能である。
【0021】
シールド138は下方へ延びており、概して中心領域120を取り囲む略一定の直径を有する略管状の部分を含むことができる。シールド138は、上部接地囲壁116および下部接地囲壁110の壁に沿って下方へ基板支持体106の頂面の下まで延び、基板支持体106の頂面に到達するまで上方へ戻る(たとえば、シールド138の底部にU字形の部分を形成する)。カバーリング148が、基板支持体106がその下部ローディング位置にあるときは、シールド138の上方へ延びる内部部分の頂部上に静止するが、基板支持体106がその上部堆積位置にあるときは、基板支持体106をスパッタリング堆積から保護するために、基板支持体106の外周部上に静止する。基板支持体106の縁部を基板108の縁部の周りの堆積から保護するために、追加の堆積リング(図示せず)を使用することもできる。
【0022】
いくつかの実施形態では、基板支持体106とターゲットアセンブリ114との間に磁場を選択的に提供するために、プロセスチャンバ104の周りに磁石152を配置することができる。たとえば、図1に示すように、磁石152は、処理位置にあるとき、基板支持体106のすぐ上の領域内で囲壁110の外側の周りに配置することができる。いくつかの実施形態では、磁石152は、追加または別法として、上部接地囲壁116の近傍などの他の場所に配置することができる。磁石152は、電磁石とすることができ、電磁石によって生成される磁場の大きさを制御するように電源(図示せず)に結合することができる。
【0023】
チャンバ本体101は、概して、ターゲットアセンブリ114の周りに配置された接地アセンブリ103を含む。接地アセンブリ103は、接地板156を含むことができ、接地板156の第1の表面157は、ターゲットアセンブリ114の裏側とは反対の位置で、ターゲットアセンブリ114に対して略平行とすることができる。接地シールド112が、接地板156の第1の表面157から延び、ターゲットアセンブリ114を取り囲むことができる。接地アセンブリ103は、ターゲットアセンブリ114を接地アセンブリ103内で支持するために、支持部材175を含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、支持部材175は、支持部材175の外周縁部に近接して、接地シールド112の下端に結合することができ、シールリング181、ターゲットアセンブリ114、および任意選択で暗黒部シールド179を支持するように半径方向内方へ延びる。シールリング181は、所望の断面を有するリングまたは他の環状の形状とすることができる。シールリング181は、シールリング181の第1の側のバッキング板アセンブリ160などのターゲットアセンブリ114およびシールリング181の第2の側の支持部材175との連係を容易にするために、反対の位置にある2つの平面かつ略平行の表面を含むことができる。シールリング181は、セラミックなどの誘電体材料から作ることができる。シールリング181は、ターゲットアセンブリ114を接地アセンブリ103から絶縁することができる。
【0025】
暗黒部シールド179は、概して、ターゲットアセンブリ114のソース材料113の外縁部など、ターゲットアセンブリ114の外縁部の周りに配置される。いくつかの実施形態では、シールリング181は、暗黒部シールド179の外縁部に隣接して(すなわち、暗黒部シールド179の半径方向外方へ)配置される。いくつかの実施形態では、暗黒部シールド179は、セラミックなどの誘電体材料から作られる。暗黒部シールド179を提供することによって、暗黒部シールドと高RFの隣接する構成要素との間のアークの発生を回避または最小限に抑えることができる。別法として、いくつかの実施形態では、暗黒部シールド179は、ステンレス鋼、アルミニウムなどの導電性材料から作られる。導電性の暗黒部シールド179を提供することによって、PVD処理システム100内でより均一な電界を維持することができ、それによってPVD処理システム100内で基板のより均一な処理を促進することができる。いくつかの実施形態では、暗黒部シールド179の下部部分は、導電性材料から作ることができ、暗黒部シールド179の上部部分は、誘電体材料から作ることができる。
【0026】
支持部材175は、暗黒部シールド179およびターゲットアセンブリ114を収容するための中心開口を有する略平面の部材とすることができる。いくつかの実施形態では、支持部材175は、円形または円板状の形状とすることができるが、この形状は、対応するチャンバリッドの形状および/またはPVD処理システム100内で処理すべき基板の形状に応じて変動することができる。使用中、チャンバ本体101が開閉されるとき、支持部材175は、暗黒部シールド179をターゲットアセンブリ114に対して適切な位置で維持し、それによってチャンバアセンブリの位置合わせ不良またはチャンバ本体101の開閉のリスクを最小限に抑える。
【0027】
PVD処理システム100は、ターゲットアセンブリ114の裏側とは反対にソース分配板158を含むことができ、ソース分配板158は、ターゲットアセンブリ114の周縁部に沿ってターゲットアセンブリ114に電気的に結合される。ターゲットアセンブリ114は、金属、金属酸化物、金属合金など、スパッタリング中に基板108などの基板上に堆積させるべきソース材料113を備えることができる。1つまたは複数の実施形態では、ターゲットアセンブリ114は、ソース材料113を支持するために、バッキング板アセンブリ160を含む。ソース材料113は、図1に示すように、バッキング板アセンブリ160の基板支持体の方を向いている側に配置することができる。バッキング板アセンブリ160は、銅亜鉛、銅クロム、またはターゲットと同じ材料などの導電性材料を含むことができ、したがってバッキング板アセンブリ160を介して、ソース材料113にRFおよびDC電力を結合することができる。別法として、バッキング板アセンブリ160は、非導電性とすることができ、電気フィードスルーなどの導電要素(図示せず)を含むことができる。
【0028】
1つまたは複数の実施形態では、バッキング板アセンブリ160は、バッキング板161およびカバー板162を含む。バッキング板161およびカバー板162は、円板形、方形、正方形、またはPVD処理システム100によって収容することができる任意の他の形状とすることができる。バッキング板の前面は、基板108が存在するとき、ソース材料の前面が基板108に対向するように、ソース材料113を支持するように構成される。ソース材料113は、任意の好適な形態でバッキング板161に結合することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、ソース材料113は、バッキング板161に拡散接合することができる。
【0029】
バッキング板161とカバー板162との間に、複数のチャネル169を配置することができる。1つまたは複数の実施形態では、バッキング板161は、バッキング板161の裏側に形成された複数のチャネル169を有することができ、カバー板162は、チャネルの各々の上にキャップ/カバーを提供する。他の実施形態では、複数のチャネル169は、部分的にバッキング板161内および部分的にカバー板162内に形成することができる。さらに、他の実施形態では、複数のチャネル169は、全体的にカバー板162内に形成することができ、バッキング板は、複数のチャネル169の各々をキャップ/カバーする。バッキング板161およびカバー板162は、ともに結合することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、カバー板162は削除され、バッキング板161は一体材料である。そのような一体材料のバッキング板161は、3D印刷によって形成することができ、複数のチャネル169は、3D印刷プロセス中に形成される。いくつかの実施形態では、複数のチャネル169は、冷却流体を流すように構成されており、複数のチャネル169に提供される冷却材の漏れを防止するために、バッキング板161およびカバー板162はともに結合されて、実質上水密のシール(たとえば、バッキング板161とカバー板162との間の流体シール)を形成する。すなわち、冷却流体は、チャネル169に直接接触する。たとえば、いくつかの実施形態では、バッキング板161およびカバー板162は、ともにろう付けされて、実質上水密のシールを形成しており、または拡散接合、ろう付け、接着、ピン止め、リベット締め、もしくは任意の他の締結手段によって結合されて、液体シールを提供することもでき、バッキング板161とカバー板162との間に形成されたチャネル169は、冷却流体に直接接触する。しかし、他の実施形態では、バッキング板161内に複数のチャネル169が機械加工される。次いで、カバー板162が任意選択で機械加工される(または機械加工されない)。バッキング板161とカバー板162との間に、ろう付けペーストが配置される。次いで、電子ビーム(Eビーム)溶接を利用して、バッキング板161およびカバー板162をともに締結する。その後、締結された構成要素を加熱して、締結プロセスを完了することができ、次いで、締結された構成要素は、最終公差および仕様に対して機械加工することができる。次いで、インジウムはんだによって、ターゲットの形態のソース材料をバッキング板161またはカバー板162に接合することができる。以下でさらに説明するように、本開示のいくつかの実施形態によれば、チャネル169内に配置された管材内に冷却流体が含まれることから、バッキング板161とカバー板162との間の液密シールは必要ない。
【0031】
バッキング板161およびカバー板162は、真鍮、アルミニウム、銅、アルミニウム合金、銅合金などを含む導電性金属または金属合金などの導電性材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、バッキング板161は、バッキング板161の表面上にチャネルを機械加工または他の方法で作製することができるように、機械加工可能な金属または金属合金(たとえば、C18200クロム銅合金)とすることができる。いくつかの実施形態では、カバー板162は、バッキング板アセンブリ160の改善された剛性およびより低い変形を提供するために、バッキング板の金属または金属合金のものより大きい剛性/弾性係数を有する機械加工可能な金属または金属合金(たとえば、C18200クロム銅合金)とすることができる。バッキング板161およびカバー板162の材料およびサイズは、ソース材料113を含むターゲットアセンブリ114の変形または反りがないように(または非常に小さくなるように)(すなわち、ソース材料113の前面が基板108の頂面に対して実質上平行なままになるように)、バッキング板アセンブリ160全体の剛性が、堆積プロセス中にターゲットアセンブリ114に作用する真空、重力、熱、および他の力に耐えるようにするべきである。
【0032】
いくつかの実施形態では、ターゲットアセンブリ114の全体的な厚さは、約20mm~約100mmとすることができる。たとえば、ソース材料113は、厚さ約10~約15mmとすることができ、バッキング板アセンブリは、厚さ約10~約30mmとすることができる。他の厚さを使用することもできる。
【0033】
複数のチャネル169は、1組または複数組のチャネル(以下で詳細に論じる)を含むことができる。たとえば、いくつかの例示的な実施形態では、1組のチャネルが存在することができる。他の実施形態では、2組以上のチャネルが存在することができる。各チャネルのサイズおよび断面形状、ならびに各組および複数のチャネル内のチャネルの数は、そのチャネルおよび全体ですべてのチャネルを通る所望の最大流量を提供すること、最大熱伝達特性を提供すること、バッキング板161およびカバー板162内でのチャネルの製造の容易さおよび一貫性、負荷がかかったときにバッキング板アセンブリ160の変形を防止するのに十分な構造的完全性を保持しながら、バッキング板アセンブリ160の表面にわたって最大の熱交換流範囲を提供することなどの特性のうちの1つまたは複数に基づいて最適化することができる。いくつかの実施形態では、各チャネルの断面形状は、方形、多角形、長円形、円形などとすることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、ターゲットアセンブリは、チャネル169または管材に流体的に結合された1つまたは複数の入口(図1には図示せず、以下で詳細に論じる)を含む。1つまたは複数の入口は、熱交換流体を受け取り、熱交換流体を複数のチャネル169または管材へ提供するように構成される。たとえば、1つまたは複数の入口のうちの少なくとも1つは、熱交換流体を複数のチャネル169または管材へ分散させるためのプレナムとすることができる。アセンブリは、カバー板162を通って配置された1つまたは複数の出口(図1には図示せず、以下で詳細に論じる)をさらに含み、1つまたは複数の出口は、複数のチャネル169または管材によって、対応する入口に流体的に結合される。たとえば、1つまたは複数の出口のうちの少なくとも1つは、1つまたは複数のチャネルまたは管材から熱交換流体を収集するためのプレナムとすることができる。いくつかの実施形態では、1つの入口および1つの出口が設けられ、複数組のチャネル169内の各組のチャネルが、1つの入口および1つの出口に流体的に結合される。
【0035】
入口および出口は、カバー板162またはバッキング板161の周縁部またはその付近に配置することができる。加えて、入口および出口は、1つまたは複数の入口に結合された供給導管167、および1つまたは複数の出口に結合された戻り導管が、空洞170内のマグネトロンアセンブリ196の回転に干渉しないように、カバー板162上に配置することができる。他の実施形態では、入口および出口は、1つまたは複数の入口に結合された供給導管167、および1つまたは複数の出口に結合された戻り導管(断面のため図示せず)が、空洞170内のマグネトロンアセンブリ196の回転に干渉しないように、バッキング板161上に配置することができる。さらなる他の実施形態では、入口および出口は、1つまたは複数の入口に結合された供給導管167、および1つまたは複数の出口に結合された戻り導管(断面のため図示せず)が、空洞170内のマグネトロンアセンブリ196の回転に干渉しないように、管材に結合することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、PVD処理システム100は、バッキング板アセンブリ160に熱交換流体を供給するために、1つまたは複数の供給導管167を含むことができる。いくつかの実施形態では、各入口を対応する供給導管167に結合することができる。同様に、各出口を対応する戻り導管に結合することができる。供給導管167および戻り導管は、絶縁材料から作ることができる。供給導管167は、供給導管167と入口との間の熱交換流体の漏れを防止するために、シールリング(たとえば、圧縮性のOリングまたは類似のガスケット材料)を含むことができる。いくつかの実施形態では、供給導管167の頂端を、チャンバ本体101の頂面上に配置された流体分配マニホルド163に結合することができる。流体分配マニホルド163を複数の供給導管167に流体的に結合して、供給ライン165を介して複数の供給導管の各々に熱交換流体を供給することができる。同様に、戻り導管の頂端を、チャンバ本体101の頂面上に配置された戻り流体マニホルド(図示しないが、163に類似)に結合することができる。戻り流体マニホルドを複数の戻り導管に流体的に結合して、戻りラインを介して複数の戻り導管の各々からの熱交換流体を戻すことができる。
【0037】
流体分配マニホルド163は、液体の形態の熱交換流体をバッキング板アセンブリ160に提供するように、熱交換流体源(図示せず)に結合することができる。熱交換流体は、エチレングリコール、脱イオン水、ペルフルオロポリエーテル(Solvay S.A.から入手可能なGalden(登録商標)など)など、またはこれらの溶液もしくは組合せなど、プロセスに適合している任意の液体冷却材とすることができる。いくつかの実施形態では、チャネル169または管材を通る冷却材の流量は、合計で1分当たり約8~約20ガロンとすることができるが、厳密な流量は、冷却材チャネルの構成、利用可能な冷却材の圧力などに依存する。
【0038】
中心開口を有する導電性支持リング164が、カバー板162の周縁部に沿ってカバー板162の裏側に結合される。いくつかの実施形態では、別個の供給導管および戻り導管の代わりに、導電性支持リング164は、流体供給ライン(図示せず)からの熱交換流体を受け取るためのリング入口を含むことができる。導電性支持リング164は、熱交換流体を管材またはチャネル169に接続された入口に分散させるために、導電性支持リング164の本体内に配置された入口マニホルドを含むことができる。導電性支持リング164は、1つまたは複数の出口からの熱交換流体を受け取るために導電性支持リング164の本体内に配置された出口マニホルドと、熱交換流体を導電性支持リング164から出力するためのリング出口とを含むことができる。導電性支持リング164およびバッキング板アセンブリ160は、導電性支持リング164とカバー板162との間に液体シールを提供するために、プロセスに適合している形態でともにねじ止め、ピン止め、ボルト締め、または締結することができる。導電性支持リング164とカバー板162との間のシールの提供を容易にするために、Oリングまたは他の好適なガスケット材料を提供することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、ターゲットアセンブリ114は、チャンバ本体101内でターゲットアセンブリ114を支持するための中心支持部材192をさらに備えることができる。中心支持部材192は、バッキング板161およびカバー板162の中心部に結合することができ、カバー板162の裏側から離れる方へ直交して延びることができる。いくつかの実施形態では、中心支持部材192の底部部分は、バッキング板161およびカバー板162内の中心開口にねじ止めすることができる。他の実施形態では、中心支持部材192の底部部分は、バッキング板161およびカバー板162の中心部分にボルト締めまたはクランプ締めすることができる。中心支持部材192の頂部部分は、ソース分配板158を通って配置することができ、中心支持部材192およびターゲットアセンブリ114を支持するソース分配板158の頂面上に静止する特徴を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、導電性支持リング164は、ソース分配板からのRFエネルギーをターゲットアセンブリ114の周縁部へ伝播するように、ソース分配板158とターゲットアセンブリ114の裏側との間に配置することができる。導電性支持リング164は、円筒形とすることができ、第1の端部166は、ソース分配板158の周縁部に近接して、ソース分配板158のターゲットの方を向いている表面に結合され、第2の端部168は、ターゲットアセンブリ114の周縁部に近接して、ターゲットアセンブリ114のソース分配板の方を向いている表面に結合される。いくつかの実施形態では、第2の端部168は、バッキング板アセンブリ160の周縁部に近接して、バッキング板アセンブリ160のソース分配板の方を向いている表面に結合される。
【0041】
PVD処理システム100は、ターゲットアセンブリ114の裏側とソース分配板158との間に配置された空洞170を含むことができる。空洞170は、以下に論じるように、マグネトロンアセンブリ196を少なくとも部分的に収容することができる。空洞170は、導電性支持リング164の内面と、ソース分配板158のターゲットの方を向いている表面と、ターゲットアセンブリ114(またはバッキング板アセンブリ160)のソース分配板の方を向いている表面(たとえば、裏側)とによって、少なくとも部分的に画定される。
【0042】
接地板156と、ソース分配板158、導電性支持リング164、およびターゲットアセンブリ114(および/またはバッキング板アセンブリ160)の外面との間に、絶縁間隙180が設けられる。絶縁間隙180は、空気またはセラミック、プラスチックなどの他の好適な誘電体材料で充填することができる。接地板156とソース分配板158との間の距離は、接地板156とソース分配板158との間の誘電体材料に依存する。誘電体材料が主として空気である場合、接地板156とソース分配板158との間の距離は、約15mm~約40mmとすることができる。
【0043】
接地アセンブリ103およびターゲットアセンブリ114は、シールリング181、および接地板156の第1の表面157と、ターゲットアセンブリ114の裏側、たとえばソース分配板158のターゲットの方を向いていない側との間に配置された1つまたは複数の絶縁体(図示せず)によって、電気的に分離することができる。
【0044】
PVD処理システム100は、電極154(たとえば、RF供給構造)に接続されたRFまたはDC電源182を有する。電極154は、接地板156を通過することができ、ソース分配板158に結合される。RFまたはDC電源182は、RF生成器と、たとえば動作中にRF生成器の方へ後方反射される反射RFエネルギーを最小限に抑えるための整合回路とを含むことができる。たとえば、RFまたはDC電源182によって供給されるRFエネルギーは、約13.56MHz~約162MHzまたはそれ以上の周波数範囲とすることができる。たとえば、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、60MHz、または162MHzなどの非限定的な周波数を使用することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、PVD処理システム100は、処理中にターゲットアセンブリ114に追加のエネルギーを提供するために、第2のエネルギー源183を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2のエネルギー源183は、たとえば、ターゲット材料のスパッタリング率(したがって、基板上の堆積率)を向上させるために、DCエネルギーを提供するDC電源とすることができる。いくつかの実施形態では、第2のエネルギー源183は、たとえば、RFまたはDC電源182によって提供されるRFエネルギーの第1の周波数とは異なる第2の周波数でRFエネルギーを提供するための、RFまたはDC電源182に類似した第2のRF電源とすることができる。第2のエネルギー源183がDC電源である実施形態では、第2のエネルギー源は、電極154または他の導電性部材(以下で論じるソース分配板158など)など、DCエネルギーをターゲットアセンブリ114に電気的に結合するのに好適な任意の場所で、ターゲットアセンブリ114に結合することができる。第2のエネルギー源183が第2のRF電源である実施形態では、第2のエネルギー源は、電極154を介してターゲットアセンブリ114に結合することができる。
【0046】
電極154は、円筒形または他の棒状とすることができ、PVD処理システム100の中心軸186と位置合わせすることができる(たとえば、電極154は、中心軸186に一致するターゲットの中心軸に一致する点で、ターゲットアセンブリに結合することができる)。電極154がPVD処理システム100の中心軸186と位置合わせされることで、RFまたはDC電源182からのRFエネルギーをターゲットアセンブリ114に軸対称に印加することが容易になる(たとえば、電極154は、PVDチャンバの中心軸と位置合わせされた単一の点で、ターゲットにRFエネルギーを結合することができる)。電極154の中心位置は、基板堆積プロセスにおける堆積の非対称性の除去または低減に役立つ。電極154は、任意の好適な直径を有することができる。たとえば、他の直径を使用することもできるが、いくつかの実施形態では、電極154の直径は、約0.5~約2インチとすることができる。電極154は、概して、PVDチャンバの構成に応じて、任意の好適な長さを有することができる。いくつかの実施形態では、電極は、約0.5~約12インチの長さを有することができる。電極154は、アルミニウム、銅、銀などの任意の好適な導電性材料から製作することができる。別法として、いくつかの実施形態では、電極154を管状にすることができる。いくつかの実施形態では、管状の電極154の直径は、たとえば、マグネトロンに対する中心シャフトの提供を容易にするのに好適なものとすることができる。
【0047】
電極154は、接地板156を通過することができ、ソース分配板158に結合される。接地板156は、アルミニウム、銅などの任意の好適な導電性材料を含むことができる。1つまたは複数の絶縁体(図示せず)間の開かれた空間により、ソース分配板158の表面に沿ってRF波の伝播が可能になる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の絶縁体は、PVD処理システムの中心軸186に対して対称に位置決めすることができる。そのような位置決めにより、ソース分配板158の表面に沿って、最終的にソース分配板158に結合されたターゲットアセンブリ114まで、対称のRF波の伝播を容易にすることができる。RFエネルギーは、少なくとも部分的に電極154の中心位置のため、従来のPVDチャンバと比較すると、より対称かつ均一に提供することができる。
【0048】
マグネトロンアセンブリ196の1つまたは複数の部分は、少なくとも部分的に空洞170内に配置することができる。マグネトロンアセンブリは、チャンバ本体101内のプラズマ処理を支援するために、ターゲットに近接して回転磁場を提供する。いくつかの実施形態では、マグネトロンアセンブリ196は、モータ176、モータシャフト174、ギアボックス178、ギアボックスシャフトアセンブリ184、および回転可能な磁石(たとえば、磁石支持部材172に結合された複数の磁石188)、ならびに分割器194を含むことができる。いくつかの実施形態では、マグネトロンアセンブリ196は静止したままである。
【0049】
いくつかの実施形態では、マグネトロンアセンブリ196は、空洞170内で回転させられる。たとえば、いくつかの実施形態では、モータ176、モータシャフト174、ギアボックス178、およびギアボックスシャフトアセンブリ184は、磁石支持部材172を回転させるように提供することができる。マグネトロンを有する従来のPVDチャンバでは、マグネトロン駆動シャフトが、典型的にチャンバの中心軸に沿って配置されており、チャンバの中心軸と位置合わせされた位置におけるRFエネルギーの結合を阻止する。1つまたは複数の実施形態では、電極154は、PVDチャンバの中心軸186と位置合わせされる。したがって、いくつかの実施形態では、マグネトロンのモータシャフト174は、接地板156内の中心から外れた開口を通って配置することができる。接地板156から突出するモータシャフト174の端部は、モータ176に結合される。モータシャフト174は、ソース分配板158を通る対応する中心から外れた開口(たとえば、第1の開口146)を通ってさらに配置され、ギアボックス178に結合される。いくつかの実施形態では、第1の開口146に対して対称の関係で、有利にはソース分配板158に沿って軸対称のRF分布を維持するように、ソース分配板158を通って1つまたは複数の第2の開口(図示せず)を配置することができる。1つまたは複数の第2の開口はまた、光センサなどの物品のための空洞170へのアクセスを可能にするために使用することができる。1つまたは複数の実施形態では、本明細書に記載するバッキング板アセンブリは、回転磁石を有するマルチカソードPVDシステムで特に有用である。より大きい冷却空洞を有する従来技術の設計は、回転磁石を利用する能力を制限していた。
【0050】
ギアボックス178は、ソース分配板158の底面への結合など、任意の好適な手段によって支持することができる。ギアボックス178は、少なくともギアボックス178の上面を誘電体材料から製作することによって、またはギアボックス178とソース分配板158との間に絶縁体層(図示せず)を介在させることなどによって、または好適な誘電体材料からモータシャフト174を構築することによって、ソース分配板158から絶縁することができる。ギアボックス178は、モータ176によって提供される回転運動を磁石支持部材172(したがって、複数の磁石188)に伝達するように、ギアボックスシャフトアセンブリ184を介して磁石支持部材172にさらに結合される。
【0051】
磁石支持部材172は、複数の磁石188をしっかりと支持するのに十分な機械強度を提供するのに好適な任意の材料から構築することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、磁石支持部材172は、非磁性ステンレス鋼などの非磁性金属から構築することができる。磁石支持部材172は、複数の磁石188を磁石支持部材172に所望の位置で結合することを可能にするのに好適な任意の形状を有することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、磁石支持部材172は、板、円板、横材などを備えることができる。複数の磁石188は、所望の形状および強度を有する磁場を提供するように、任意の形態で構成することができる。
【0052】
別法として、磁石支持部材172は、空洞170内で磁石支持部材172および存在するときは付属の複数の磁石188にかかる抗力に打ち勝つのに十分なトルクを有する任意の他の手段によって回転させることができる。たとえば、いくつかの実施形態(図示せず)では、マグネトロンアセンブリ196は、空洞170内に配置されて磁石支持部材172に直接接続されたモータ176およびモータシャフト174(たとえば、パンケーキモータ)を使用して、空洞170内で回転させることができる。モータ176は、空洞170内、または分割器194が存在するときは空洞170の上部部分内に嵌るのに十分なサイズに設定しなければならない。モータ176は、電気モータ、空気圧もしくは水圧ドライブ、または必要とされるトルクを提供することができる任意の他のプロセスに適合している機構とすることができる。
【0053】
図2図4を次に参照すると、従来技術のターゲットアセンブリ200が示されており、ターゲットアセンブリ200は、空洞270(図4に示す)内に、ターゲット210、バッキング板212、接地板256、RFまたはDC電源282、およびマグネトロンアセンブリ296を含む。空洞270は、ターゲットアセンブリの裏側とソース分配板との間に配置された流れ体積または空洞であり、流体入口端218および流体出口端220の延長部分も含む。既存の設計では、この空洞は、図1の空洞170に対応しており、ターゲット210がチャネルのないバッキング板212の上に熱交換流体を流すことによってバッキング板212を通って冷却するために、熱交換流体で充填される。図3は、図2の線3-3に沿って切り取った断面図であり、ターゲットアセンブリの裏側とソース分配板との間に配置された空洞内に形成された流体導管222を示す。図3は、ターゲットアセンブリの裏側とソース分配板との間に形成された流体導管222の簡略化された断面図を提供する。図2図4に示す構成で、ターゲット210は冷却されるが、冷却水が連続して交換されないために効果的ではなく、より高いターゲット温度を引き起こし、反り、ターゲットの剥離、粒子の生成、および欠陥を招く可能性がある。
【0054】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、PVDプロセスにおいて粒子がウエハ上に落下することを防止する方法を対象とする。いくつかの実施形態は、有利には、粒子を意図的に帯電させて粒子輸送特性を改質し、粒子をウエハ表面から離れる方へ動かす方法を提供する。いくつかの実施形態は、有利には、パルスPVD生成器によって生じさせたプラズマを使用して荷電粒子を所定の場所に捕捉する方法を提供する。その後、プラズマ内の粒子に対する捕捉点が、圧力およびウエハバイアスのうちの1つまたは複数を使用して変更される。粒子がウエハの近傍から離れる方へ輸送された後、プラズマを消すことができ、清浄なウエハを回収することができる。
【0055】
たとえば炭素のパルススパッタリングチャンバ内では、たとえば層状のスパッタリングターゲットの完全性により、ターゲットからの粒子生成は十分である。緩い粒子がスパッタリング中にウエハ上に落下することを防止するために、周波数および電力のプロセス条件を意図的に変更して、生成された粒子上に電荷を生じさせる。これらの荷電粒子は、プラズマ中に浮遊する。周波数が高ければ高いほど、粒子が放電するために与えられる時間(「オフタイム」)の量が短くなり、それによって静電力のため、捕捉力がより高くなることに寄与する。粒子の捕捉点は、チャンバ内の最高プラズマ密度のところにあり、これは静電力およびイオン抗力が釣り合うターゲットプラズマシースの中心にある。堆積時間が長くなると、プラズマの捕捉点で粒子のクラスタが形成および成長し始める。
【0056】
捕捉場所が確立された後、堆積プロセスの終わりのプラズマパージステップを導入して、クラスタの捕捉場所を修正することができる。チャンバの圧力をたとえば約96ミリトルまで増大させることによって(たとえば、ガス流を増大させることによる)、捕捉場所は、ターゲットの中心からウエハの外側近傍の方へ動く。次いで、クラスタ粒子は、捕捉点の変化に追従し、ウエハから離れる方へ動く。いくつかの実施形態では、約6秒で、荷電粒子がウエハ近傍の外側に進むことが観察された。その後、プラズマソース電力をオフにすることができ、荷電粒子は、ウエハ表面から離れてチャンバの部分内に落下する。その結果、清浄な炭素ウエハを得ることができる。
【0057】
ウエハ表面付近の底部プラズマシース(ターゲット付近の捕捉点による影響を受けていない)内で小さい荷電粒子が捕捉される実施形態では、ソースターゲット内の電圧反転能力(たとえば、30マイクロ秒で7V)または同期が外れたウエハバイアスの印加を使用して、ウエハ表面上に負の電位を生じさせることができる。その結果、荷電粒子が負になるため、荷電粒子は反発し、静電力によりウエハから離れる方へ動く。
【0058】
したがって、本開示の1つまたは複数の実施形態は、ウエハ表面上の粒子の損傷を低減し、最小限に抑え、または解消する物理的気相堆積のための方法を対象とする。図5A図5Cは、マグネトロン物理的気相堆積チャンバ200内の本開示の1つまたは複数の実施形態によるプロセスの概略図を示す。
【0059】
図5Aで、ウエハとも呼ばれる基板210が、マグネトロン物理的気相堆積チャンバ200内のペデスタル205上に位置決めされる。基板210は、材料を堆積(スパッタリング)させるべき表面212を有する。チャンバ200は、本開示を理解するために最小の構成要素が示された概略図に示されている。チャンバ200は、バッキング板230上にターゲット220を有する。
【0060】
ターゲット220は、基板表面上のスパッタリングに好適な任意の材料とすることができる。いくつかの実施形態のターゲット220は、炭素を含み、または本質的に炭素からなる。このように使用されるとき、「本質的に~からなる」という用語は、原子に基づいて、記載の種の約95%、98%、99%、または99.5%以上がターゲット組成物であることを意味する。いくつかの実施形態では、ターゲット220は、炭素、ケイ素、もしくはゲルマニウムのうちの1つもしくは複数を含み、または本質的に炭素、ケイ素、もしくはゲルマニウムのうちの1つもしくは複数からなる。いくつかの実施形態では、基板210上に堆積した膜280は、炭素を含み、または本質的に炭素からなり、マグネトロン物理的気相堆積チャンバは、炭素ターゲットを備える。
【0061】
マグネトロンアセンブリ240が、磁場を生成するように、ターゲットの裏面に隣接して配置される。図示のマグネトロンアセンブリ240は、複数の磁石244(すなわち、電磁石)を含む回転アーム242を有する。
【0062】
堆積圧力を維持するために、チャンバ200の内部にガス種が流される。堆積圧力は、当業者には知られている、スパッタリングに使用される任意の好適な圧力とすることができる。いくつかの実施形態では、堆積圧力は、約40ミリトル、30ミリトル、20ミリトル、または10ミリトル以下である。堆積周波数および電力を使用して、ガス種から堆積プラズマ250が生成される。いくつかの実施形態の堆積周波数は、約500Hz~約40MHzの範囲内である。
【0063】
膜280(図6D参照)が、基板210の表面212上に形成される。スパッタリング中、微粒子とも呼ばれる粒子260が、堆積プラズマ250内に形成される。チャンバ内の粒子260の場所は、たとえば粒子の電荷に応じて変動することができる。いくつかの実施形態では、当業者には理解されるように、粒子260は、基板210またはペデスタル205にバイアス電位を印加することによって、基板210よりターゲット220の近くで維持することができる。
【0064】
図5Bに示すように、基板210上の膜280の形成後、チャンバ200内の圧力を微粒子パージ圧力まで増大させて、微粒子パージプラズマ252を形成することができる。いくつかの実施形態では、堆積プラズマ250を形成するために使用されるガス種の流量を増大させて、堆積プラズマ250を微粒子パージプラズマ252に変化させる。
【0065】
微粒子パージプラズマ252は、堆積プラズマ250より大きい圧力を有する。いくつかの実施形態では、微粒子パージ圧力は、約50ミリトル、60ミリトル、70ミリトル、80ミリトル、90ミリトル、または100ミリトル以上である。
【0066】
物理的気相堆積チャンバ200内の圧力を微粒子パージ圧力まで増大させることで、微粒子260の一部が凝集する270。凝集物270は、物理的気相堆積チャンバ200の外方部分201へ動かすことができる。いかなる特定の動作理論にも拘束されるものではないが、凝集物270は、凝集物の電荷および回転マグネトロンアセンブリ240によって生成される電磁場のために、外方部分201へ動くと考えられる。外方部分201(基板210の直径の外側)への凝集物270の動きは、わずか数秒で生じることができる。
【0067】
図5Bに示すように、粒子262の一部は、凝集物を形成しない可能性があり、またはチャンバ200の外方部分201へ動かない可能性がある。これらの粒子262はウエハ表面上に落下する可能性があるが、開示する方法は、ウエハ表面上に落下する可能性のある粒子の数を大幅に低減させる。
【0068】
いくつかの実施形態では、堆積プラズマ250および微粒子パージプラズマ252は、圧力の異なる同じ組成物から構成される。たとえば、いくつかの実施形態では、堆積プラズマ250および微粒子パージプラズマ252は、クリプトンを含み、または本質的にクリプトンからなる。このように使用されるとき、「本質的に~からなる」という用語は、原子に基づいて、プラズマの約95%、98%、99%、または99.5%以上が記載の種から構成されることを意味する。いくつかの実施形態では、プラズマは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、もしくはキセノンのうちの1つもしくは複数を含み、または本質的にヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、もしくはキセノンのうちの1つもしくは複数からなる。
【0069】
いくつかの実施形態では、堆積プラズマ圧力は、チャンバに入るプラズマガスの流量を増大させることによって、微粒子パージプラズマ圧力まで増大される。いくつかの実施形態では、微粒子パージプラズマ圧力は、約200~約3000sccmの範囲内の流量でチャンバに入るプラズマガス(たとえば、クリプトン)の流れによって維持される。
【0070】
いくつかの実施形態では、微粒子パージプラズマはパルスプラズマである。当業者には理解されるように、パルス化プロセスのデューティサイクルを制御して、プラズマの異なる態様および特性を制御することができる。いくつかの実施形態では、プラズマは、約10%~約70%の範囲内、または約20%~約60%の範囲内、または約30%~約50%の範囲内、または約40%のデューティサイクルを有する。
【0071】
図5Cに示すように、凝集物270がチャンバの外方部分201へ動かされた後、プラズマを消すことができる。この時点で、凝集物270およびあらゆる微粒子262は、チャンバ内に落下することができる。凝集物270は、基板210の直径の外方へ動かされており、したがってチャンバ底部に損傷を加えることなく落下する。チャンバの内部部分に残った微粒子262は、基板表面上に落下する可能性がある。いくつかの実施形態では、プラズマを消した後、基板表面上に落下する微粒子は、圧力が堆積圧力から微粒子パージ圧力へ増大されなかった場合より少なくなる。
【0072】
領域5Dは、基板210およびその上に形成された膜280の拡大部分を示す。いくつかの実施形態では、プラズマ種の層290が、微粒子パージプラズマプロセス中に膜280上に形成される。たとえば、クリプトンプラズマが、膜280上にクリプトンの薄い層290を形成することができる。いくつかの実施形態の層290は、約10Å、9Å、8Å、7Å、6Å、または5Å以下の厚さを有する。層290は、基板の後の処理(たとえば、アニーリング)によって除去することができる。
【0073】
図6を次に参照すると、一実施形態によるマルチカソードソースチャンバ500の上部部分が示されている。マルチカソードチャンバ500は、円筒形の本体部分502を有するベース構造501を含み、本体部分502は、頂部アダプタ504によって覆われている。頂部アダプタ504は、頂部アダプタ504の周りに位置決めされたカソードソース506、508、510、512、および514などの複数のカソードソースを提供する。図1に関連して説明したPVD処理システム100は、多層スタック、ならびにキャップ層および吸収体層を形成するために、マルチカソードソースチャンバ500内で利用することができる。たとえば、物理的気相堆積システムは、ケイ素、モリブデン、酸化チタン、二酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、ルテニウムニオブ、クロム、タンタル、窒化物、化合物、またはこれらの組合せの層を形成することができる。いくつかの化合物を酸化物として説明したが、それらの化合物は、酸化物、二酸化物、酸素原子を有する原子混合物、またはこれらの組合せを含むことができることが理解されよう。
【0074】
本明細書全体にわたって、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」、または「実施形態」の参照は、その実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造、材料、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたって様々な場所での「1つまたは複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、または「実施形態では」などの語句の使用は、必ずしも本開示の同じ実施形態を参照するものではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の好適な形態で組み合わせることができる。
【0075】
本明細書の開示について、特定の実施形態を参照して説明したが、これらの実施形態は、本開示の原理および応用例の単なる例示であることを理解されたい。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の方法および装置に様々な修正および変更を加えることができることが、当業者には明らかである。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内の修正および変更を包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6