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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】蒸発源ユニット、成膜装置及び成膜方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/24 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
C23C14/24
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022011986
(22)【出願日】2022-01-28
(65)【公開番号】P2023110495
(43)【公開日】2023-08-09
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591065413
【氏名又は名称】キヤノントッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】風間 良秋
(72)【発明者】
【氏名】山田 尚人
(72)【発明者】
【氏名】菅原 由季
(72)【発明者】
【氏名】山田 美悠
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-206896(JP,A)
【文献】特開2004-079528(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111254407(CN,A)
【文献】国際公開第2013/132794(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動方向に相対的に移動する基板に対して成膜する蒸発源ユニットであって、
容器及び前記容器に収容された蒸着物質を加熱する加熱手段を互いに独立に有する複数の蒸発源と、
前記複数の蒸発源のうちの対応する蒸発源からの蒸着物質の放出状態をそれぞれ監視する複数の監視手段と、を含み、
前記複数の蒸発源は、
複数の蒸発源が前記蒸発源ユニットの基板に対する相対的な移動方向に交差する交差方向に並んで構成される第1の蒸発源群と、
複数の蒸発源が前記交差方向に並んで構成される第2の蒸発源群と、
複数の蒸発源が前記交差方向に並んで構成される第3の蒸発源群と、を含み、
前記第1の蒸発源群、前記第2の蒸発源群及び前記第3の蒸発源群は、前記移動方向に並んで配置され、
前記第1の蒸発源群は、前記第2の蒸発源群よりも前記移動方向の一方側に配置され、
前記第3の蒸発源群は、前記第2の蒸発源群よりも前記移動方向の他方側に配置され、
前記複数の監視手段は、
複数の監視手段が前記交差方向に並んで構成される第1の監視手段群と、
複数の監視手段が前記交差方向に並んで構成される第2の監視手段群と、を含み、
前記第1の監視手段群は、前記第1の蒸発源群よりも前記移動方向の前記一方側に配置され、
前記第2の監視手段群は、前記第3の蒸発源群よりも前記移動方向の前記他方側に配置され、
前記第1の監視手段群は、
前記第1の蒸発源群を構成する複数の蒸発源の放出状態をそれぞれ監視するために監視対象の蒸発源と前記交差方向に重なるように配置される複数の第1-1の監視手段と、前記複数の第1-1の監視手段の間に配置され、前記第2の蒸発源群を構成する複数の蒸発源のうちの一部の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する少なくとも1つの第1-2の監視手段と、を含み、
前記第2の監視手段群は、
前記第3の蒸発源群を構成する複数の蒸発源の放出状態をそれぞれ監視するために監視対象の蒸発源と前記交差方向に重なるように配置される複数の第2-1の監視手段と、前記複数の第2-1の監視手段の間に配置され、前記第2の蒸発源群を構成する複数の蒸発源のうちの前記一部でない残部の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する少なくとも一つの第2-2の監視手段を含む、
ことを特徴とする蒸発源ユニット。
【請求項2】
移動方向に相対的に移動する基板に対して成膜する蒸発源ユニットであって、
容器及び前記容器に収容された蒸着物質を加熱する加熱手段を互いに独立に有する複数の蒸発源と、
前記複数の蒸発源のうちの対応する蒸発源からの蒸着物質の放出状態をそれぞれ監視する複数の監視手段と、を含み、
前記複数の蒸発源は、前記蒸発源ユニットの基板に対する相対的な移動方向に並んで配置される第1の蒸発源及び第2の蒸発源を含み、
前記複数の監視手段は、前記第1の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する第1の監視手段及び前記第2の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する第2の監視手段を含み、
前記第1の監視手段及び前記第2の監視手段は、前記移動方向に交差する交差方向に並んで配置され、
前記第1の蒸発源から放出された蒸着物質の基板への飛散を遮断する第1の遮断位置、及び、前記第1の蒸発源から放出された蒸着物質の基板への飛散を許容する第1の許容位置との間で変位可能な第1の遮断手段と、
前記第2の蒸発源から放出された蒸着物質の基板への飛散を遮断する第2の遮断位置、及び、前記第2の蒸発源から放出された蒸着物質の基板への飛散を許容する第2の許容位置との間で変位可能な第2の遮断手段と、をさらに備える、
ことを特徴とする蒸発源ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の蒸発源ユニットであって、
前記第1の遮断手段は、前記第1の遮断位置及び前記第1の許容位置の間で前記交差方向を回動軸として回動可能であり、
前記第2の遮断手段は、前記第2の遮断位置及び前記第2の許容位置の間で前記交差方向を回動軸として回動可能であり、
前記第1の遮断手段の回動軸は、前記第1の蒸発源の蒸着物質の放出口に対して前記移動方向にずれて配置され、
前記第2の遮断手段の回動軸は、前記第2の蒸発源の蒸着物質の放出口に対して前記移動方向にずれて配置される、
ことを特徴とする蒸発源ユニット。
【請求項4】
移動方向に相対的に移動する基板に対して成膜する蒸発源ユニットであって、
容器及び前記容器に収容された蒸着物質を加熱する加熱手段を互いに独立に有する複数の蒸発源と、
前記複数の蒸発源のうちの対応する蒸発源からの蒸着物質の放出状態をそれぞれ監視する複数の監視手段と、を含み、
前記複数の蒸発源は、前記蒸発源ユニットの基板に対する相対的な移動方向に並んで配置される第1の蒸発源第2の蒸発源及び第3の蒸発源を含み、
前記複数の監視手段は、前記第1の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する第1の監視手段前記第2の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する第2の監視手段及び前記第3の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する第3の監視手段を含み、
前記第1の監視手段及び前記第2の監視手段は、前記移動方向に交差する交差方向に並んで配置され、
前記第1の蒸発源は、前記第2の蒸発源よりも前記移動方向の一方側に配置され、
前記第1の監視手段及び前記第2の監視手段は、前記移動方向において前記第1の蒸発源よりも前記一方の側に配置され、
前記第3の蒸発源は、前記第2の蒸発源よりも前記移動方向の他方側に配置され、
前記第3の監視手段は、前記第3の蒸発源よりも前記他方側に配置され、
前記第1の蒸発源から放出された蒸着物質の基板への飛散を遮断する第1の遮断位置、及び、前記第1の蒸発源から放出された蒸着物質の基板への飛散を許容する第1の許容位置との間で前記交差方向を回動軸として回動可能な第1の遮断手段と、
前記第2の蒸発源から放出された蒸着物質の基板への飛散を遮断する第2の遮断位置、及び、前記第2の蒸発源から放出された蒸着物質の基板への飛散を許容する第2の許容位置との間で前記交差方向を回動軸として回動可能な第2の遮断手段と、
前記第3の蒸発源から放出された蒸着物質の基板への飛散を遮断する第3の遮断位置、及び、前記第3の蒸発源から放出された蒸着物質の基板への飛散を許容する第3の許容位置との間で前記交差方向を回動軸として回動可能な第3の遮断手段と、をさらに備え、
前記第2の遮断手段と前記第3の遮断手段の回動軸の高さが異なる、
ことを特徴とする蒸発源ユニット。
【請求項5】
移動方向に相対的に移動する基板に対して成膜する蒸発源ユニットであって、
容器及び前記容器に収容された蒸着物質を加熱する加熱手段を互いに独立に有する複数の蒸発源と、
前記複数の蒸発源のうちの対応する蒸発源からの蒸着物質の放出状態をそれぞれ監視する複数の監視手段と、を含み、
前記複数の蒸発源は、前記蒸発源ユニットの基板に対する相対的な移動方向に並んで配置される第1の蒸発源第2の蒸発源及び第3の蒸発源を含み、
前記複数の監視手段は、前記第1の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する第1の監視手段前記第2の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する第2の監視手段及び前記第3の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する第3の監視手段を含み、
前記第1の監視手段及び前記第2の監視手段は、前記移動方向に交差する交差方向に並んで配置され、
前記第1の蒸発源は、前記第2の蒸発源よりも前記移動方向の一方側に配置され、
前記第1の監視手段及び前記第2の監視手段は、前記移動方向において前記第1の蒸発源よりも前記一方の側に配置され、
前記第3の蒸発源は、前記第2の蒸発源よりも前記移動方向の他方側に配置され、
前記第3の監視手段は、前記第3の蒸発源よりも前記他方側に配置され
前記複数の蒸発源から放出された蒸着物質の放出範囲を制限するための制限部をさらに備え、
前記制限部は、複数の板部材を含み、
前記複数の板部材は、前記複数の蒸発源の一つの蒸発源に対応する前記複数の監視手段のうちの一つの監視手段へと飛散する蒸発源が通過する筒状部材が設けられている、
ことを特徴とする蒸発源ユニット。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項に記載の蒸発源ユニットを備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項7】
請求項6に記載の成膜装置を用いて基板に成膜する、
ことを特徴とする成膜方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸発源ユニット成膜装置及び成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機ELディスプレイ等の製造においては、蒸発源から放出された蒸着物質が基板に付着することで基板に薄膜が形成される。特許文献1には、蒸発源から放出された蒸着物質の蒸発レートをモニタする膜厚モニタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-003122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の蒸着源を用いて基板に成膜する場合、各蒸発源に対して蒸着物質の放出状態を監視する成膜レートモニタ等の監視装置がそれぞれ設けられることがある。このとき、監視装置と監視対象の蒸発源との距離が長くなると、監視装置の監視精度が低下してしまうことがある。
【0005】
本発明は、蒸発源から放出される蒸着物質の放出状態の監視精度の低下を抑制する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によれば、
移動方向に相対的に移動する基板に対して成膜する蒸発源ユニットであって、
容器及び前記容器に収容された蒸着物質を加熱する加熱手段を互いに独立に有する複数の蒸発源と、
前記複数の蒸発源のうちの対応する蒸発源からの蒸着物質の放出状態をそれぞれ監視する複数の監視手段と、を含み、
前記複数の蒸発源は、
複数の蒸発源が前記蒸発源ユニットの基板に対する相対的な移動方向に交差する交差方向に並んで構成される第1の蒸発源群と、
複数の蒸発源が前記交差方向に並んで構成される第2の蒸発源群と、
複数の蒸発源が前記交差方向に並んで構成される第3の蒸発源群と、を含み、
前記第1の蒸発源群、前記第2の蒸発源群及び前記第3の蒸発源群は、前記移動方向に並んで配置され、
前記第1の蒸発源群は、前記第2の蒸発源群よりも前記移動方向の一方側に配置され、
前記第3の蒸発源群は、前記第2の蒸発源群よりも前記移動方向の他方側に配置され、
前記複数の監視手段は、
複数の監視手段が前記交差方向に並んで構成される第1の監視手段群と、
複数の監視手段が前記交差方向に並んで構成される第2の監視手段群と、を含み、
前記第1の監視手段群は、前記第1の蒸発源群よりも前記移動方向の前記一方側に配置され、
前記第2の監視手段群は、前記第3の蒸発源群よりも前記移動方向の前記他方側に配置され、
前記第1の監視手段群は、
前記第1の蒸発源群を構成する複数の蒸発源の放出状態をそれぞれ監視するために監視対象の蒸発源と前記交差方向に重なるように配置される複数の第1-1の監視手段と、前記複数の第1-1の監視手段の間に配置され、前記第2の蒸発源群を構成する複数の蒸発源のうちの一部の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する少なくとも1つの第1-2の監視手段と、を含み、
前記第2の監視手段群は、
前記第3の蒸発源群を構成する複数の蒸発源の放出状態をそれぞれ監視するために監視対象の蒸発源と前記交差方向に重なるように配置される複数の第2-1の監視手段と、前記複数の第2-1の監視手段の間に配置され、前記第2の蒸発源群を構成する複数の蒸発源のうちの前記一部でない残部の蒸発源からの蒸着物質の放出状態を監視する少なくとも一つの第2-2の監視手段を含む、
ことを特徴とする蒸発源ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、蒸発源から放出される蒸着物質の放出状態の監視精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る成膜システムの構成を模式的に示す平面図。
図2】一実施形態に係る成膜装置の構成を模式的に示す正面図。
図3】蒸発源ユニットの構成を説明するための図であって、蒸発源ユニットを横から見た模式図。
図4】蒸発源ユニットの構成を説明するための図であって、蒸発源ユニットを上から見た模式図。
図5】蒸発源の構成を模式的に示す断面図。
図6】蒸発源ユニットの構成を説明するための図であって、シャッタが許容位置にある状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<成膜システム>
図1は、一実施形態に係る成膜装置1が設けられる成膜システムSYの構成を模式的に示す平面図である。成膜システムSYは、搬入されてくる基板に対して成膜処理を行い、処理後の基板を搬出するシステムである。例えば、成膜システムSYが複数並んで設けられることで電子デバイスの製造ラインが構成される。電子デバイスとしては、例えばスマートフォン用の有機EL表示装置の表示パネルが挙げられる。成膜システムSYは、成膜装置1の他、搬入室60と、基板搬送室62と、搬出室64と、マスクストック室66と、を含む。なお、成膜装置1の構成については後述する。
【0011】
搬入室60には、成膜装置1において成膜が行われる基板100が搬入される。基板搬送室62には、基板100を搬送する搬送ロボット620が設けられる。搬送ロボット620は、搬入室60に搬入された基板100を成膜装置1に搬送する。また、搬送ロボット620は、成膜装置1において成膜処理が終了した基板100を搬出室64に搬送する。搬送ロボット320により搬出室64に搬送された基板100は、搬出室64から成膜システムSYの外部に搬出される。なお、成膜システムSYが複数並んで設けられる場合には、上流側の成膜システムSYの搬出室64が下流側の成膜システムSYの基板搬送室62を兼ねていてもよい。また、マスクストック室66には、成膜装置1での成膜に用いられるマスク101がストックされる。マスクストック室66にストックされるマスク101は、搬送ロボット620により成膜装置1に搬送される。
【0012】
成膜システムSYを構成する成膜装置1及び各室の内部は、真空ポンプ等の排気機構により真空状態に維持される。なお、本実施形態において「真空」とは、大気圧より低い圧力の気体で満たされた状態、換言すれば減圧状態をいう。
【0013】
<成膜装置の概要>
図2は、一実施形態に係る成膜装置1の構成を模式的に示す正面図である。なお、以下の図において矢印X及びYは互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは垂直方向(鉛直方向)を示す。
【0014】
成膜装置1は、基板に対して蒸発源を移動させながら蒸着を行う成膜装置である。成膜装置1は、例えばスマートフォン用の有機EL表示装置の表示パネルの製造に用いられ、複数台でその製造ラインを構成し得る。成膜装置1で蒸着が行われる基板の材質としては、ガラス、樹脂、金属等を適宜選択可能であり、ガラス上にポリイミド等の樹脂層が形成されたものが好適に用いられる。蒸着物質としては、有機材料、無機材料(金属、金属酸化物など)などが用いられる。成膜装置1は、例えば表示装置(フラットパネルディスプレイなど)や薄膜太陽電池、有機光電変換素子(有機薄膜撮像素子)等の電子デバイスや、光学部材等を製造する製造装置に適用可能であり、特に、有機ELパネルを製造する製造装置に適用可能である。また、本実施形態では成膜装置1はG8Hサイズのガラス基板(1100mm×2500mm、1250mm×2200mm)に対して成膜を行うが、成膜装置1が成膜を行う基板のサイズは適宜設定可能である。
【0015】
成膜装置1は、蒸発源ユニット10と、複数の成膜ステージ30A、30Bと、を備える。蒸発源ユニット10及び成膜ステージ30A、30Bは、使用時に真空に維持されるチャンバ45の内部に配置される。本実施形態では、複数の成膜ステージ30A、30Bがチャンバ45内の上部にX方向に離間して設けられており、その下方に蒸発源ユニット10が設けられている。また、チャンバ45には、基板100の搬入、搬出を行うための複数の基板搬入口(不図示)が設けられている。
【0016】
また、成膜装置1は、蒸発源ユニット10に電力を供給する電源41と、蒸発源ユニット10及び電源41を電気的に接続する電気接続部42を含む。電気接続部42は水平方向に可動のアームの内部を電気配線が通って構成されており、後述するようにX方向に移動する蒸発源ユニット10に対して電源41からの電力が供給可能となっている。
【0017】
また、成膜装置1は、各構成要素の動作を制御する制御部43を含む。例えば、制御部43は、CPUに代表されるプロセッサ、RAM、ROM等のメモリ及び各種インタフェースを含んで構成され得る。例えば、制御部43は、ROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することで、成膜装置1による各種の処理を実現する。なお、例えば成膜システムSYを統括的に制御するホストコンピュータ等が、成膜装置1の各構成要素の動作を直接制御する態様も採用可能である。
【0018】
<成膜ステージ>
成膜ステージ30Aは、基板100Aに対して成膜が行われるステージである。成膜ステージ30Aは、基板100A及びマスク101Aを支持するとともに、これらの位置調整を行う。成膜ステージ30Aは、基板支持部32Aと、マスク支持部34Aと、支柱35Aと、アライメント機構36Aとを含む。
【0019】
基板支持部32Aは、基板100Aを支持する。本実施形態では、基板支持部32Aは、基板100Aの短辺がX方向、基板100Aの長辺がY方向に延びるように基板100Aを支持する。また、基板支持部32Aは、基板100Aの縁を基板100Aの下側から支持する。しかしながら、基板支持部32Aは、基板100Aの縁を挟持することで基板を支持してもよいし、静電チャック又は粘着チャック等によって基板100Aを吸着することで基板100Aを支持してもよい。例えば、基板支持部32Aは、基板搬送室62の搬送ロボット620から基板100Aを受け取ることができる。また、基板支持部32Aは、不図示の昇降機構により昇降可能であり、搬送ロボット620から受け取った基板100Aをマスク支持部34Aに支持されたマスク101Aの上に重ね合わせることができる。昇降機構には、ボールねじ機構等の公知の技術を用いることができる。
【0020】
マスク支持部34Aは、マスク101Aを支持する。本実施形態では、マスク支持部34Aには、不図示の開口が設けられ、この開口を介してマスク101Aと重ね合わされた基板100Aの成膜面に対して蒸着物質が飛散する。また、マスク支持部34Aは、支柱35Aによってチャンバ45に支持される。
【0021】
アライメント機構36Aは、基板100Aとマスク101Aとのアライメントを行う。アライメント機構36Aは、基板支持部32Aとマスク支持部34Aの水平方向の相対位置を調整することで、基板支持部32Aに支持された基板100Aとマスク支持部32に支持されたマスク101Aとのアライメントを行う。基板100Aとマスク101Aのアライメントについては公知の技術を用いることができるため、詳細な説明は省略する。一例として、アライメント機構36Aは、不図示のカメラにより基板100A及びマスク101Aに形成されたアライメント用のマークを検知する。そして、アライメント機構36Aは、基板100Aに形成されたマークにより算出される基板100Aの位置と、マスク101Aに形成されたマークにより算出されるマスク101Aの位置の関係が所定の条件を満たすように、基板100A及びマスク101Aの位置関係を調整する。例えば、基板100Aに形成されたマークと、マスク101Aに形成されたマークとを重ね、マークのズレ量をカメラで計測し、所定の条件を満たすように、基板100Aの位置を調整する。
【0022】
アライメント機構36Aによるアライメントが終了すると、基板支持部32Aは支持している基板100Aをマスク101Aの上に重ね合わせる。基板100A及びマスク101Aが重ね合わせられた状態で、蒸発源ユニット10による基板100Aへの成膜が行われる。
【0023】
成膜ステージ30Bについては、成膜ステージ30Aと同様の構成を有し得る。すなわち、成膜ステージ30Bは、基板支持部32B、マスク支持部34B、支柱35B及びアライメント機構36Bを有し、これらは基板支持部32A、マスク支持部34A、支柱35A及びアライメント機構36Aにそれぞれ対応する。
【0024】
本実施形態の成膜装置1は、複数の成膜ステージ30A、30Bを有するいわゆるデュアルステージの成膜装置1である。例えば、成膜ステージ30Aにおいて基板100Aに対して蒸着が行われている間に、成膜ステージ30Bにおいて基板100B及びマスク101Bのアライメントを行うことができ、成膜プロセスを効率的に実行することができる。
【0025】
<蒸発源ユニット>
次に、蒸発源ユニット10について説明する。なお、ここでは各要素の概要を説明し、詳細な配置構成や動作例については後述する。
【0026】
図3は、蒸発源ユニット10の構成を説明するための図であって、蒸発源ユニット10を横(Y方向)から見た模式図である。図4は、蒸発源ユニット10の構成を説明するための図であって、蒸発源ユニット10を上(Z方向)から見た模式図である。
【0027】
蒸発源ユニット10は、移動しながら蒸着物質を放出して基板100に成膜を行う。本実施形態では、蒸発源ユニット10は、複数の蒸発源11a~11r、複数の監視装置12a~12r、制限部14、シャッタ161~163、及び移動部20を含む。
【0028】
ここで図5は、蒸発源11a~11rの構成を模式的に示す断面図である。複数の蒸発源11a~11rは、蒸着物質を放出する。本実施形態では、複数の蒸発源11a~11rはそれぞれ、材料容器111(るつぼ)と、加熱部112とを含む。
【0029】
材料容器111は、内部に蒸着物質を収容する。材料容器111の上部には、蒸発した蒸着物質が放出される放出部1111が形成されている。放出部1111は、本実施形態では材料容器111の上面に形成された開口(放出口)だが、筒状の部材等であってもよい。また、複数の放出部1111が材料容器111に設けられてもよい。
【0030】
加熱部112は、材料容器111に収容された蒸着物質を加熱する。加熱部112は、材料容器111を覆うように設けられる。本実施形態では加熱部112として電熱線を用いたシーズヒータが使用されており、図5にはシーズヒータの電熱線が材料容器111の周囲に巻き付けられたときの断面が示されている。
【0031】
加熱部112による蒸着物質の加熱は、制御部43によって制御される。本実施形態では、複数の蒸発源11a~11rは、それぞれ独立に材料容器111及び加熱部112を有している。よって、制御部43は、複数の蒸発源11による蒸着物質の蒸発をそれぞれ独立に制御することができる。
【0032】
図3図4の説明に戻る。本実施形態では、複数の蒸発源11a~11rは、互いに蒸発源ユニット10の移動方向(X方向)に離間した三つの蒸発源群17A~17Cに分けることができる。蒸発源群17Aは、蒸発源ユニット10の移動方向に交差する横方向(Y方向)に並んだ複数の蒸発源11a~11fを含む。蒸発源群17Bは、蒸発源ユニット10の移動方向に交差する横方向(Y方向)に並んだ複数の蒸発源11g~11lを含む。蒸発源群17Cは、蒸発源ユニット10の移動方向に交差する横方向(Y方向)に並んだ複数の蒸発源11m~11rを含む。
【0033】
また、三つの蒸発源群17A~17Cは、蒸発源ユニット10の移動方向(X方向)において、蒸発源群17A、蒸発源群17B、蒸発源群17Cの順にならんでいる。すなわち、蒸発源群17A~17Cに含まれる蒸発源に着目すると、例えば、蒸発源群17Aに含まれる蒸発源11d、蒸発源群17Bに含まれる蒸発源11j、蒸発源群17Cに含まれる蒸発源11pが、蒸発源ユニット10の移動方向(X方向)においてこの順に並んでいる。
【0034】
三つの蒸発源群17A~17Cは、互いに異なる蒸着物質を放出しうる。例えば、蒸発源群17Aがフッ化リチウム(LiF)又はイッテルビウム(Yb)を放出し、蒸発源群17Bがマグネシウム(Mg)を放出し、蒸発源群17Cが銀(Ag)を放出する。この場合、蒸発源ユニット10は、シャッタ161~163の動作を制御して、フッ化リチウム又はイッテルビウムの層(1層目)と、銀マグネシウム(AgMg)の層(2層目)を基板100に成膜する。なお、上記はあくまで例示であって、成膜材料については限定されない。
【0035】
複数の監視装置12a~12rは、複数の蒸発源11a~11rからの蒸着物質の放出状態をそれぞれ監視する。本実施形態の監視装置12a~12rは、図3の監視装置12aに示されるように、ケース121の内部に膜厚センサとして水晶振動子123を備えている。水晶振動子123には、ケース121に形成された導入部122を介して蒸発源12から放出された蒸着物質が導入されて付着する。水晶振動子123の振動数は蒸着物質の付着量により変動する。よって、制御部43は、水晶振動子123の振動数を監視することで、基板100に蒸着した蒸着物質の膜厚を算出することができる。単位時間に水晶振動子123に付着する蒸着物の量は、蒸発源12からの蒸着物質の放出量と相関を有するため、結果的に複数の蒸発源12からの蒸着物質の放出状態を監視することができる。なお、本実施形態では、各蒸発源11a~11rからの蒸着物質の放出状態を各監視装置12a~12rにより独立に監視することで、その結果に基づき各蒸発源11a~11rの各加熱部の出力をより適切に制御することができる。これにより、基板100に蒸着される蒸着物質の膜厚を効果的に制御することができる。
【0036】
制限部14は、複数の蒸発源11a~11rから放出された蒸着物質の放出範囲を制限する。本実施形態では、制限部14は、複数の板部材141~144を含む。板部材141、142により、複数の蒸発源11a~11fのX方向の放出範囲が制限される。板部材142、143により、複数の蒸発源11g~11lのX方向の放出範囲が制限される。板部材143、144により、複数の蒸発源11g~11rのX方向の放出範囲が制限される。
【0037】
また、板部材141には、監視装置12a~12h、12j~12kへと飛散する蒸着物質が通過する筒状部材141a~141h、141j、141kが設けられる。板部材142には、監視装置12g~12h、12j~12kへと飛散する蒸着物質が通過する筒状部材142g~142h、142j~142kが設けられる。板部材143には、監視装置12i、12lへと飛散する蒸着物質が通過する筒状部材143i、143lが設けられる。さらに、板状部材144には、監視装置12i、12l、12m~12rへと飛散する蒸着物質が通過する筒状部材144i、144l、144m~144rが設けられる。各筒状部材は、隣り合う蒸発源からの蒸着物質が監視対象外の監視装置に入り込む事(クロストークという)で監視装置の監視精度が低下することを抑制し得る。
【0038】
シャッタ161~163は、蒸着物質の基板100への飛散を遮断する。詳細には、シャッタ161~163はそれぞれ、蒸発源群17A~17Cから放出される蒸着物質の基板100への飛散を遮断する遮断位置(図3参照)、及び蒸着物質の基板100への飛散を許容する許容位置(図6参照)の間で変位可能に設けられている。例えば、シャッタ161は、蒸発源群17Aに含まれる蒸発源11a~11fから放出される蒸着物質の基板への飛散を遮断する遮断位置、及び蒸発源群17Aに含まれる蒸発源11a~11fから放出される蒸着物質の基板への飛散を許容する許容位置の間で変位可能に設けられている。
【0039】
シャッタ161は、蒸発源ユニット10の移動方向に交差する交差方向(Y方向)を軸方向とする回動軸1611と遮蔽部材1612を含み、回動軸1611を中心に回動して遮蔽部材1612が開閉動作を行うことで、遮断位置と許容位置との間で変位する。同様に、シャッタ162は回動軸1621と遮蔽部材1622を含み、シャッタ163は回動軸1631と遮蔽部材1632を含む。
【0040】
移動部20は、複数の蒸発源11a~11r及び複数の監視装置12a~12rを移動する。移動部20により、蒸発源ユニット10は、移動しながら基板100に対して成膜することができる。移動部20は、複数の蒸発源11a~11r及び複数の監視装置12a~12rをX方向に移動する。
【0041】
移動部20は、蒸発源ユニット10に設けられる構成要素として、不図示のモータと、モータにより回転する軸部材に取り付けられたピニオン202と、ガイド部材203とを含む。また、移動部20は、ピニオン202と噛み合う不図示のラックと、ガイド部材203が摺動するガイドレール206とを含む。蒸発源ユニット10は、不図示のモータの駆動により回転するピニオン202が不図示のラックと噛み合うことで、ガイドレール206に沿ってX方向に移動する。
【0042】
前述したように、本実施形態では、複数の蒸発源11a~11rに対して、複数の監視装置12a~12rがそれぞれ対応して設けられている。ここで、基板100に対して狙いの膜厚で成膜するためには、監視装置12a~12rによって蒸着物質の放出状態を精度良く監視することが望まれる。しかし、監視装置12a~12rと監視対象の蒸発源11a~11rとの距離が長くなってしまうと、監視装置12a~12rによる監視精度が低下してしまうことがある。そこで、本実施形態では、蒸発源ユニット10の以下の配置構成を採用している。
【0043】
<蒸発源ユニットの配置構成>
蒸発源ユニット10の配置構成について詳細に説明する。まず、主に図4を参照して、蒸発源11a~11rと監視装置12a~12rの位置関係について説明する。
【0044】
まず、蒸発源11d、11j及びこれらの蒸着物質の放出状態をそれぞれ監視する監視装置12d、12jに着目する。蒸発源11d、11jは、蒸発源ユニット10の移動方向(X方向)に並んで配置される。一方で、監視装置12d、12jは、蒸発源ユニット10の移動方向に交差する交差方向(Y方向)に並んで配置される。
【0045】
このような配置により、例えば監視装置12d、12jが蒸発源ユニット10のY方向の外側に設けられるような場合と比べて、蒸発源11d、11jと監視装置12d、12jとの距離を近づけることができる。よって、監視装置12d、12jによる監視精度が低下してしまうことを抑制することができる。
【0046】
特に、本実施形態では、蒸発源11d、11jはY方向に並んで構成される蒸発源群17A、17BのY方向の略中央に配置されている。したがって、例えば監視装置12d、12jが蒸発源群17A、17BのY方向外側に設けられると、蒸発源11d、11jと監視装置12d、12jとの距離が遠くなってしまう。本実施形態の配置構成によればこのような場合であっても蒸発源11d、11jと監視装置12d、12jとの距離が遠くなってしまうことを抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、監視装置12dは、Y方向において蒸発源11dと重複する位置に設けられている。よって、複数の監視装置12d、12jのうち少なくとも一つが、監視対象の蒸発源とY方向に重なるように配置されるので、複数の監視装置12d、12jを監視対象により近づけて配置することができる。
【0048】
また、本実施形態では、蒸発源11dは、蒸発源11jよりもX方向-側(一方側)に配置され、監視装置12d、12jは、X方向において蒸発源11dよりもX方向-側に配置される。すなわち、X方向に並んだ複数の蒸発源11d、11jに対してX方向の外側において監視装置12d、12jがY方向に並んで設けられる。よって、蒸発源群17A、17BをX方向にコンパクトに配置することができるとともに、監視装置12d、12jが蒸発源11d、11jの放出範囲と干渉することを抑制することができる。
【0049】
次に、三つの蒸発源11d、11j、11p及びこれらの蒸着物質の放出状態をそれぞれ監視する三つの監視装置12d、12j、12pに着目する。蒸発源11pは、蒸発源11gよりもX方向+側(他方側)に配置される。そして、監視装置12pは、蒸発源11pよりもさらにX方向+側に配置される。すなわち、X方向に並ぶ蒸発源11d、11j、11pに対して、監視装置12d、12jと監視装置12pとがX方向の両外側に別れて配置されている。したがって、蒸発源11d、11j、11pの一方側にのみ監視装置12d、12j、12pが配置される場合と比べて、蒸発源11d、11j、11pと監視装置12d、12j、12pとのトータルの距離を短くすることができる。
【0050】
また本実施形態では、監視装置12d、12pはそれぞれ、Y方向において蒸発源11d、11pと重複する位置に設けられている。よって、複数の監視装置12d、12j、12pのうち少なくとも二つが、監視対象の蒸発源とY方向に重なるように配置されるので、複数の監視装置12d、12j、12pを監視対象により近づけて配置することができる。
【0051】
また、本実施形態では、前述したように、複数の蒸発源11a~11rは、三つの蒸発源群17A~17Cに分けることができる。ここで、蒸発源群17Aは蒸発源11dを含み、蒸発源群17Bは蒸発源11jを含み、蒸発源群17Cは蒸発源11pを含む。
【0052】
これに対して、複数の監視装置12a~12rは、互いにX方向に離間した二つの監視装置群18A、18Bに分けることができる。監視装置群18Aは、Y方向に並んだ監視装置12a~12h、12j~12kを含む。監視装置群18Bは、Y方向に並んだ監視装置12i、12l~12rを含む。つまり、監視装置群18Aは、蒸発源群17Aを構成する複数の11a~11f、及び蒸発源群17Bを構成する蒸発源のうちの一部である蒸発源11g~11h、11j~11kの蒸着物質の放出状態を監視する。また、監視装置群18Bは、蒸発源群17Cを構成する複数の11p~11r、及び蒸発源群17Bを構成する蒸発源のうちの残部である蒸発源11i、11lの蒸着物質の放出状態を監視する。
【0053】
図4に示されるように、二つの監視装置群18A、18Bは、三つの蒸発源群17A~17Cを挟むように設けられている。よって、三つの蒸発源群17A~17Cの間に監視装置12a~12rが配置されないので、蒸発源群17A~17をX方向にコンパクトに配置することができる。同時に、各蒸発源と各監視装置の距離を近づけて配置することで監視装置の監視精度の低下を抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、監視装置12a~12rは、Y方向において蒸発源11a~11rが設けられる範囲内に配置されている。よって、例えば監視装置12a~12rが例えば蒸発源11a~11rのY方向の外側に設けられる場合と比べて、各蒸発源と各監視装置の距離を近づけて配置することで監視装置の監視精度の低下を抑制することができる。
【0055】
次に、図3及び図6を参照して、シャッタ161~163の配置構成について説明する。図6は、蒸発源ユニット10の構成を説明するための図であって、シャッタ161~163が許容位置にある状態を示す図である。
【0056】
本実施形態では、シャッタ161の回動軸1611は、蒸発源11a~11fの放出口に対して蒸発源ユニット10の移動方向(X方向)にずれて配置される。同様に、シャッタ162の回動軸1621は、蒸発源11g~11lの放出口に対して蒸発源ユニット10の移動方向(X方向)にずれて配置される。また、シャッタ163の回動軸1631は、蒸発源11p~11rの放出口に対して蒸発源ユニット10の移動方向(X方向)にずれて配置される。
【0057】
このように、シャッタ161~163の回動軸が、蒸発源11a~11rの放出口に対してX方向にずれて配置されることで、シャッタ161~163が許容位置に位置したときにシャッタ161~163と蒸発源11a~11rの放出範囲との干渉を抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態では、シャッタ162の回動軸1621とシャッタ163の回動軸1631の高さが異なる。これにより、シャッタ162、163が同時に開閉動作を行う際にこれらの干渉を抑制することができる。また、シャッタ162、163を同時に開閉させる場合にシャッタ162、163をX方向にコンパクトに配置することができる。
【0059】
また、本実施形態では、蒸発源群17CよりもX方向-側に配置される蒸発源群17Bの上方を覆うシャッタ162の回動軸1621が蒸発源11g~11lの放出口に対してX方向-側にずれて配置される。一方、蒸発源群17BよりもX方向+側に配置される17Cの上方を覆うシャッタ163の回動軸1631が蒸発源11p~11rの放出口に対してX方向+側にずれて配置されている。よって、シャッタ162、163が両開きの扉のような構成となる。したがって、蒸発源群17Bと蒸発源群17Cとで共蒸着を行う場合に、シャッタ162が蒸発源群17Cの放出範囲と干渉したり、シャッタ163が蒸発源群17Bの放出範囲と干渉したりすることを抑制することができる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態によれば、蒸発源11a~11rと監視装置12a~12rとの距離を近づけて配置することで、監視装置12a~12rの監視精度の低下を抑制することができる。
【0061】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1:成膜装置、10:蒸発源ユニット、11a~11r:蒸発源、12a~12r:監視装置、100:基板、101:マスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6