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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】照明灯具、調光制御システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/105 20200101AFI20240626BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20240626BHJP
【FI】
H05B47/105
H05B47/155
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021553688
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2020040676
(87)【国際公開番号】W WO2021085546
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2019197339
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020081805
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 淳一
(72)【発明者】
【氏名】浅井 謙次
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-511386(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0077767(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0348506(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-45/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相関色温度が第1温度から前記第1温度よりも2000K以上大きい第2温度の範囲で調色を制御する照明灯具であって、
CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるx及びyの値が、黒体放射軌跡上の前記第2温度におけるx及びyの値以下である第1色度座標の発光色の光を発する第1発光装置と、
CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるxの値が、黒体放射軌跡上の前記第1温度におけるxの値以上である第2色度座標の発光色の光を発する第2発光装置と、
CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるxの値が第1の値であり、yの値が、黒体放射軌跡上の前記第1温度及び前記第2温度を通る直線をxとyの関数で表した場合に、前記関数のxの値に前記第1の値を代入したときのyの値よりも大きな第2の値である第3色度座標の発光色の光を発する第3発光装置と、
を有し、
CIE1931表色系の色度図において、前記第1色度座標と前記第2色度座標を結ぶ直線、前記第2色度座標と前記第3発光装置を結ぶ直線、及び、前記第3色度座標と前記第1色度座標を結ぶ直線、によって囲まれる三角形の領域内に、黒体放射軌跡上の前記第1温度から前記第2温度までが含まれ、
前記第1温度から前記第2温度までの調色の制御に、少なくとも前記第1発光装置、前記第2発光装置、及び、前記第3発光装置が用いられ、
黒体放射軌跡上で相関色温度5000Kの光を発光させると、メラノピック比の値が1.0以上となり、
黒体放射軌跡上で相関色温度3000Kから5000Kの範囲で光を調色させた場合に、メラノピック比の値の変化量が0.4以上であり、
前記第2色度座標は、yの値が、黒体放射軌跡上の前記第1温度におけるyの値以下であり、
前記第3色度座標は、CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるxの値が0.4以上0.5以下である照明灯具。
【請求項2】
黒体放射軌跡上で相関色温度3000Kから5000Kの範囲で光を調色させた場合に、平均演色評価数が85に達し、かつ、発光効率[lm/W]が170に達する請求項1に記載の照明灯具。
【請求項3】
相関色温度が第1温度から前記第1温度よりも2000K以上大きい第2温度の範囲で調色を制御する照明灯具であって、
CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるx及びyの値が、黒体放射軌跡上の前記第2温度におけるx及びyの値以下である第1色度座標の発光色の光を発する第1発光装置と、
CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるxの値が、黒体放射軌跡上の前記第1温度におけるxの値以上である第2色度座標の発光色の光を発する第2発光装置と、
CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるxの値が第1の値であり、yの値が、黒体放射軌跡上の前記第1温度及び前記第2温度を通る直線をxとyの関数で表した場合に、前記関数のxの値に前記第1の値を代入したときのyの値よりも大きな第2の値である第3色度座標の発光色の光を発する第3発光装置と、
を有し、
CIE1931表色系の色度図において、前記第1色度座標と前記第2色度座標を結ぶ直線、前記第2色度座標と前記第3発光装置を結ぶ直線、及び、前記第3色度座標と前記第1色度座標を結ぶ直線、によって囲まれる三角形の領域内に、黒体放射軌跡上の前記第1温度から前記第2温度までが含まれ、
前記第1温度から前記第2温度までの調色の制御に、少なくとも前記第1発光装置、前記第2発光装置、及び、前記第3発光装置が用いられ、
黒体放射軌跡上で相関色温度5000Kの光を発光させると、メラノピック比の値が1.0以上となり、
黒体放射軌跡上で相関色温度3000Kから5000Kの範囲で光を調色させた場合に、メラノピック比の値の変化量が0.4以上であり、
前記第3色度座標は、CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるxの値が0.3以上0.4以下である照明灯具。
【請求項4】
相関色温度が第1温度から前記第1温度よりも2000K以上大きい第2温度の範囲で調色を制御する照明灯具であって、
CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるx及びyの値が、黒体放射軌跡上の前記第2温度におけるx及びyの値以下である第1色度座標の発光色の光を発する第1発光装置と、
CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるxの値が、黒体放射軌跡上の前記第1温度におけるxの値以上である第2色度座標の発光色の光を発する第2発光装置と、
CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるxの値が第1の値であり、yの値が、黒体放射軌跡上の前記第1温度及び前記第2温度を通る直線をxとyの関数で表した場合に、前記関数のxの値に前記第1の値を代入したときのyの値よりも大きな第2の値である第3色度座標の発光色の光を発する第3発光装置と、
を有し、
CIE1931表色系の色度図において、前記第1色度座標と前記第2色度座標を結ぶ直線、前記第2色度座標と前記第3発光装置を結ぶ直線、及び、前記第3色度座標と前記第1色度座標を結ぶ直線、によって囲まれる三角形の領域内に、黒体放射軌跡上の前記第1温度から前記第2温度までが含まれ、
前記第1温度から前記第2温度までの調色の制御に、少なくとも前記第1発光装置、前記第2発光装置、及び、前記第3発光装置が用いられ、
黒体放射軌跡上で相関色温度5000Kの光を発光させると、メラノピック比の値が1.0以上となり、
黒体放射軌跡上で相関色温度3000Kから5000Kの範囲で光を調色させた場合に、メラノピック比の値の変化量が0.4以上であり、
前記第1発光装置は、主の蛍光体として、Sr Al 14 25 :Euで表される組成を有するアルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体を有する照明灯具。
【請求項5】
黒体放射軌跡上で相関色温度6500Kの光を発光させると、メラノピック比の値が1.3に達する請求項4に記載の照明灯具。
【請求項6】
前記第3色度座標は、xの値が黒体放射軌跡上の前記第2温度におけるxの値以下であり、yの値が黒体放射軌跡上の前記第2温度におけるyの値以上である請求項5に記載の照明灯具。
【請求項7】
前記第1発光装置及び第3発光装置は、メラノピック比の値が2.0以上である請求項5または6に記載の照明灯具。
【請求項8】
前記第1色度座標は、xの値が黒体放射軌跡上の前記第2温度におけるxの値よりも0.1以上小さい請求項1乃至7のいずれか一項に記載の照明灯具。
【請求項9】
前記第1色度座標は、xの値が0.1以上0.2以下であり、yの値が0.2以上0.3以下である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の照明灯具。
【請求項10】
前記第1発光装置、第2発光装置、及び、第3発光装置は、いずれも、発光素子と蛍光体を有する請求項1乃至9のいずれか一項に記載の照明灯具。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の1以上の照明灯具と、前記照明灯具に係る調光ドライバと通信可能に接続し、相関色温度が第1温度から第2温度までの範囲で前記照明灯具による照明光を調節する情報処理装置と、を有する調光制御システムであって、
前記情報処理装置は、
前記調光ドライバを制御して前記照明灯具による照明光を調節するために前記調光ドライバへの制御命令を決定する調光決定部と、
前記調光決定部により決定された制御命令を前記調光ドライバへと送信する送信部と、
を有し、
前記情報処理装置による調色の制御範囲は、CIE1931表色系の色度図において、黒体放射軌跡上の前記第1温度と前記第2温度を結ぶ直線と、前記第1温度から前記第2温度までの間のこの直線上の全ての点に対して得られる、この直線上の点から、この点と同じ相関色温度における黒体放射軌跡上の点までの距離の2倍に位置する点の集合と、によって囲まれる領域内に収まり、かつ、少なくとも前記第1温度と前記第2温度の間のいずれかの相関色温度において、当該領域の外枠上ではなく、外枠の内側に収まる調光制御システム。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の1以上の照明灯具と、前記照明灯具に係る調光ドライバと通信可能に接続し、相関色温度が第1温度から第2温度までの範囲で前記照明灯具による照明光を調節する情報処理装置と、を有する調光制御システムであって、
前記情報処理装置は、
前記調光ドライバを制御して前記照明灯具による照明光を調節するために前記調光ドライバへの制御命令を決定する調光決定部と、
前記調光決定部により決定された制御命令を前記調光ドライバへと送信する送信部と、
を有し、
前記情報処理装置による前記第1温度から前記第2温度までの間の調色の制御範囲は、CIE1931表色系の色度図において、色偏差±0.001以内に収まる調光制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明灯具、及び、調光制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや工場、商業施設、あるいは家などの建物において、照明は欠かせない要素となっている。仕事、ショッピング、あるいは団らんなど、人々の種々の活動の場が照明によって照らされている。
【0003】
従来より、このような室内照明に対しては、発光効率の良さや演色性の高さが、その照明の性能を評価する重要なパラメータであった。特許文献1には、平均演色評価数が90以上の演色性が高い発光装置が開示されている。
【0004】
一方で、近年、人の作業環境を形成する上で、人体に与える影響を考慮することを重視する動きもある。例えば、IWBI(International WELL Building Institute)が定めるWELL認証(Well Building Standard)という認証制度では、オフィスなどの建築物を、空気、水、食物、光、快適性などの複数の項目から評価し、基準を満たすことで認証を与える。
【0005】
例えば、WELL認証における光の項目に関しては、視環境への配慮、サーカディアンへの配慮、器具や太陽光のグレアへの配慮が、必須の評価項目となっており、演色性については必須ではなく加点項目となっている。このように、人が作業する室内空間を照らす照明には、演色性に優れていることに限らず、人体の影響に配慮することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-129492号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
人体への影響に配慮された照明を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書により一実施形態として開示される照明灯具は、相関色温度が第1温度から前記第1温度よりも2000K以上大きい第2温度の範囲で調色を制御する照明灯具であって、CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるx及びyの値が、黒体放射軌跡上の前記第2温度におけるx及びyの値以下である第1色度座標の発光色の光を発する第1発光装置と、CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるxの値が、黒体放射軌跡上の前記第1温度におけるxの値以上である第2色度座標の発光色の光を発する第2発光装置と、CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるxの値が第1の値であり、yの値が、黒体放射軌跡上の前記第1温度及び前記第2温度を通る直線をxとyの関数で表した場合に、前記関数のxの値に前記第1の値を代入したときのyの値よりも大きな第2の値である第3色度座標の発光色の光を発する第3発光装置と、を有し、CIE1931表色系の色度図において、前記第1色度座標と前記第2色度座標を結ぶ直線、前記第2色度座標と前記第3色度座標を結ぶ直線、及び、前記第3色度座標と前記第1色度座標を結ぶ直線、によって囲まれる三角形の領域内に、黒体放射軌跡上の前記第1温度から前記第2温度までの範囲の光が含まれ、前記第1温度から前記第2温度までの調色の制御に、少なくとも前記第1発光装置、前記第2発光装置、及び、前記第3発光装置が用いられ、黒体放射軌跡上で相関色温度5000Kの光を発光させると、メラノピック比の値が1.0以上となり、黒体放射軌跡上で相関色温度3000Kから5000Kの範囲で光を調色させた場合に、メラノピック比の値の変化量が0.4以上である。
【0009】
また、本明細書により一実施形態として開示される調光制御システムは、1以上の照明灯具と、前記照明灯具に係る調光ドライバと通信可能に接続し、相関色温度が第1温度から第2温度までの範囲で前記照明灯具による照明光を調節する情報処理装置と、を有する調光制御システムであって、前記情報処理装置は、前記調光ドライバを制御して前記照明灯具による照明光を調節するために前記調光ドライバへの制御命令を決定する調光決定部と、前記調光決定部により決定された制御命令を前記調光ドライバへと送信する送信部と、を有し、前記情報処理装置による調色の制御範囲は、CIE1931表色系の色度図において、黒体放射軌跡上の前記第1温度と前記第2温度を結ぶ直線と、前記第1温度から前記第2温度までの間のこの直線上の全ての点に対して得られる、この直線上の点から、この点と同じ相関色温度における黒体放射軌跡上の点までの距離の2倍に位置する点の集合と、によって囲まれる領域内に収まり、かつ、少なくとも前記第1温度と前記第2温度の間のいずれかの相関色温度において、当該領域の外枠上ではなく、外枠の内側に収まる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来よりも人体への影響に配慮された照明を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、サーカディアン応答と視感度応答の曲線を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る照明灯具を発光面側からみた斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る照明灯具を設置面側からみた斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る照明灯具の発光面を説明するための平面図である。
図5図5は、実施形態に係る発光装置の模式的な構成図である。
図6図6は、実施形態に係る照明灯具に採用される第1発光装置の発光スペクトルの一例である。
図7図7は、実施形態に係る照明灯具に採用される第2発光装置の発光スペクトルの一例である。実施形態に係る電源アダプタ付き照明灯具の斜視図である。
図8図8は、実施形態に係る照明灯具に採用される第3発光装置の発光スペクトルの一例である。
図9図9は、実施形態に係る照明灯具の一例を構成する第1発光装置乃至第3発光装置の色度図における色度座標を示す図である。
図10図10は、実施形態に係る照明灯具の一例を構成する第1発光装置乃至第3発光装置の色度図における色度座標を示す図である。
図11図11は、実施形態に係る照明灯具の一例を構成する第1発光装置乃至第3発光装置の色度図における色度座標を示す図である。
図12図12は、実施形態に係る照明灯具の一例を構成する第1発光装置乃至第3発光装置の色度図における色度座標を示す図である。
図13図13は、実施形態に係る照明灯具の一例を構成する第1発光装置乃至第3発光装置の色度図における色度座標を示す図である。
図14図14は、実施形態に係る照明灯具の各例を、相対メラノピック比で比較した図である。
図15図15は、実施形態に係る調光制御システムの一例を示す構成図である。
図16A図16Aは、実施形態に係る発光装置の他の形態の一例を示す模式的な構成図である。
図16B図16Bは、実施形態に係る発光装置の他の形態の一例を示す模式的な構成図である。
図16C図16Cは、実施形態に係る発光装置の他の形態の一例を示す模式的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、照明が人体に与える影響について説明する。
背景技術で述べたWELL認証を例に挙げると、サーカディアンに配慮した照明設計が求められる。なお、サーカディアンに配慮するとは、概日リズム(サーカディアンリズム)、に配慮するということである。
【0013】
ヒトのサーカディアンリズムは1日より長く約25時間であり、これを1日、つまり24時間周期に合わせなければ、1日とずれたリズム周期となってしまう。そこで、24時間に合わせるための同調因子として光が重要な役割を果たしている。太陽の光を浴びることでヒトの体内時計が24時間に調整され、これにより、生来的に人は朝起きて夜寝るといった1日のリズムの中で生活している。
【0014】
つまり、人間の体内には、24時間周期のリズムで生活するために、光を利用した同調機能が備わっている。具体的には、脳の視床下部に視交叉上核という非常に小さい領域があり、これがサーカディアンリズムを統率する体内時計の役割を担っている。また、この視交叉上核に光信号を与える細胞として、網膜上の内因性光感受性網膜神経節細胞(intrinsically photosensitive Retinal Ganglion Cell:以下、ipRGCと呼ぶ)がある。
【0015】
ipRGCはメラノプシンという光受容タンパク質を含み、メラノプシンがサーカディアンリズムの光同調に関与することが明らかにされている。メラノプシンは、光の波長に応じた吸収特性を有しており、そのピークは480nm~490nm付近にある。
【0016】
また、メラノプシンは睡眠促進ホルモンであるメラトニンの分泌または抑制にも関与しているとされ、例えばipRGCへの刺激量が増えることによって、メラトニンの分泌が抑制されると考えられている。なお、通常であれば、体内のメラトニンの分泌ピークは夜間に訪れ、メラトニンが分泌されることで睡眠が促進される。従って、日中はメラトニンの分泌は抑制されている。
【0017】
上述のWELL認証では、サーカディアンに配慮した照明設計であるかを評価するために、等価メラノピック照度(Equivalent Melanopic Lux:以下、EMLと呼ぶ)が導入されている。EMLは、下記の式(1)で求められる。
【0018】
また、式(1)におけるMeranopic Ratio(メラノピック比:以下、MRと呼ぶ)は、下記の式(2)で求められる。
ここで、Lightは照明灯具による光の分光分布、Circadianは上述した480nm~490nm付近にピークを有するメラノプシンの分光感度特性に基づくサーカディアン応答、Visualは視感度応答を示す。図1は、サーカディアン応答及び視感度応答の曲線を記した図である。
【0019】
式(1)からわかるように、EMLの数値を上げる方向性としては、照度を上げるか、MRを上げるか、の2通りが考えられる。また、サーカディアンリズムの特性に対する依存性は、照度よりもMRの方が大きいことが窺える。従って、サーカディアンリズムに配慮する上では、MRの値を考慮する方が好ましいと考えられる。また、サーカディアン応答に基づけば、およそ470nmの波長から490nmの波長の範囲における発光強度は、特にメラトニンの分泌制御に寄与する波長帯と考えられる。
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を限定するものではない。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。また、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。
【0021】
<実施形態>
実施形態に係る照明灯具について説明する。図2は、照明灯具1を発光面側からみた斜視図である。図3は、照明灯具1を設置面側(発光面側と反対側)からみた斜視図である。また、図4は、照明灯具1の発光面を記した図である。なお、図4では、照明灯具1のカバー40の一部を除き、内側の構造を示している。図5は、照明灯具1が有する発光装置10の概略を示す断面図である。
【0022】
照明灯具1は、CIE1931表色系の色度図(以下、単に色度図という)において、それぞれが色度座標の異なる、少なくとも3つの発光装置10を有して構成される。ここで、この3つの発光装置10をそれぞれ、第1発光装置101、第2発光装置102、第3発光装置103と称して区別する。
【0023】
照明灯具1が有するこの3つの発光装置10を用いて、所定の色温度の範囲で照明光の調色を行うことができる。ここで、照明灯具1を用いて制御される色温度の範囲を、第1温度から第2温度までとして記載する。この色温度の範囲は、照明灯具1として調色が可能な色温度の最大範囲内に収まる必要はあるが、最大範囲である必要はない。ただし、2000K以上の色温度の範囲で照明灯具1による照明光は制御される。
【0024】
例えば、第1温度を2700Kとし第2温度を6500Kとする場合が考えられる(3800Kの色温度の範囲で調色される)。また例えば、第1温度を3000Kとし第2温度を5000Kとする場合が考えられる(2000Kの色温度の範囲で調色される)。
【0025】
また、照明灯具1において、それぞれ色度座標の異なる3つの発光装置10を、適切な特性で組み合わせことで、調色を制御する際に、サーカディアンリズムに配慮しつつ、黒体放射軌跡に沿った照明光を照らすことができる。
【0026】
ここで、色度図において、第1発光装置101により放射される光の色度座標を第1色度座標、第2発光装置102により放射される光の色度座標を第2色度座標、そして、第3発光装置により放射される光の色度座標を第3色度座標とする。
【0027】
照明光を黒体放射軌跡に沿って第1温度から第2温度まで制御するため、照明灯具1では、第1色度座標、第2色度座標、及び、第3色度座標の3点を結ぶ三角形の領域内に、少なくとも第1温度から第2温度までの範囲の光であって、JIS Z8725に準拠して測定される黒体放射軌跡からの色偏差duvが0.00、つまり黒体放射軌跡上の光が含まれる。
【0028】
また、3つの発光装置10は、次のような条件を満たす。
【0029】
第1発光装置101は、色度図において、第1色度座標におけるx及びyの値が、黒体放射軌跡上の第2温度におけるx及びyの値以下である。また、好ましくは、第1色度座標のxの値は黒体放射軌跡上の第2温度におけるxの値よりも0.1以上小さい。また、色度図において、第1色度座標におけるxの値は、0.1以上0.2以下である。また、色度図において、第1色度座標におけるyの値は、0.2以上0.3以下である。また、第1発光装置101にはMRの値が高い発光装置が採用される。
【0030】
第2発光装置102は、色度図において、第2色度座標におけるxの値が、黒体放射軌跡上の第1温度におけるxの値以上である。また、色度図において、第2色度座標におけるxの値は、0.45以上0.6以下である。また、色度図において、第2色度座標におけるyの値が、黒体放射軌跡上の第1温度におけるyの値以下である。色度図において、第2色度座標におけるyの値は、0.3以上0.5以下である。また、第2発光装置102にはMRの値が低い発光装置が採用される。
【0031】
第3発光装置103は、色度図において、第3色度座標が、黒体放射軌跡上の第1温度及び第2温度を通る直線との関係において、この直線よりも+y方向にある。つまり、第3色度座標のxの値が第1の値であるとき、第3色度座標のyの値は、この直線を表す関数のxの値に第1の値を代入して得られるyの値よりも大きい。ここで、第3色度座標のxの値が第1の値であるときの第3色度座標のyの値を、第2の値と称することとする。第3色度座標は、xの値が黒体放射軌跡上の第2温度におけるxの値以下であり、yの値が黒体放射軌跡上の第2温度におけるyの値以上である。
【0032】
また、第3発光装置103は、CIE1931表色系の色度図において、第3色度座標におけるxの値は、0.1以上0.6以下である。第3色度座標は、CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるxの値が0.4以上0.5以下であってもよい。第3色度座標は、CIE1931表色系の色度図において、色度座標におけるxが0.3以上0.4以下であってもよい。また、色度図において、第3色度座標におけるyの値は、0.3以上0.6以下である。また、第3発光装置103には、MRの値が、第1発光装置101のMRの値よりも低く、第2発光装置102のMRの値よりも高い、発光装置が採用される。
【0033】
第1発光装置101に関して述べた、MRの値が高いとは、MRの値がおよそ2.00に近い値を有しているか、あるいは、それよりも大きい値を有することをいうものとする。第1発光装置101のMR値は、好ましくは2.00以上であり、より好ましくは2.50以上であり、さらに好ましくは2.80以上である。MRの値が高いほど、メラトニンの分泌が抑制される。なお、第1発光装置101におけるMRの値は3.00以下である。ただし、上限値は3.00を超えていてもよい。
【0034】
第2発光装置102に関して述べた、MRの値が低いとは、MRの値がおよそ0.40に近い値を有しているか、あるいは、それよりも小さい値を有することをいうものとする。好ましくは0.40以下であり、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.25以下である。MRの値が低いほど、メラトニンの分泌が促進される。なお、第2発光装置102におけるMRの値は0.0以上である。
【0035】
第3発光装置103は、色度図において、第3色度座標におけるxの値が、第1色度座標におけるxの値と第2色度座標におけるxの値の中間よりも0.1以上小さい場合には、MRの値が1.0以上の発光装置を採用するとよい。一方で、この中間よりも0.1以上大きい場合には、MRの値が0.5以下の高い発光装置を採用するとよい。また、この中間から±0.1未満の場合には、MRの値が0.5以上から1.0以下の発光装置を採用するとよい。第3発光装置103のMR値は、好ましくは2.00以上である。
【0036】
照明灯具1は、これらの3つの発光装置10を複数並べて、あるいは、これらの3つの発光装置にさらに他の発光装置を加えた4つ以上の発光装置10を複数並べて、全体として照明光を発する。
【0037】
照明灯具1は、ベースプレート20、基板30、発光装置10、カバー40、及び、取付部50を有する。また、照明灯具1は、照明灯具1による照明光を調整する調光ドライバと接続する。なお、調光ドライバを組み込んだ照明灯具1であってもよい。
【0038】
調光ドライバは、照明灯具1によって発光される光を調節するためのドライバプログラムを搭載している。プログラムは、調光ドライバのROM、または、RAMなどのメモリ上に格納され、CPUなどのプロセッサによって展開され処理が実行される。
【0039】
照明灯具1では、ベースプレート20に基板30が取り付けられている。また、基板30に複数の発光装置10が実装されている。複数の発光装置10は、配線を通じて電気的に接続しており、外部電源から電力が供給され、発光装置10による発光が制御される。
【0040】
また、基板30に配置された複数の発光装置10を囲うようにして、カバー40がベースプレート20に取り付けられている。ベースプレート20の発光装置10が配置される側の面と反対側の面(設置面)において、取付部50が設けられている。取付部50により、照明灯具1は支持体に取り付けられる。支持体とは、例えば、天井であり、壁であり、または、スタンドである。図の例では、天井に設置されることを想定した取付部50が記されている。
【0041】
また、照明灯具1では、発光装置10として、第1発光装置101と第2発光装置102と第3発光装置103とが、順に並べて配される。図4の例では、複数の発光装置10が行列状に配置されており、1列(あるいは1行)ずつ、第1発光装置101、第2発光装置102、第3発光装置103が順に並べられる。なお、行あるいは列単位ではない単位で交互に配置してもよい。例えば、発光装置1個の単位や、複数個の単位で、交互に配置してもよい。第1発光装置101、第2発光装置102及び第3発光装置103は、いずれも発光素子と蛍光体を有する。
【0042】
発光装置10は、成形体11、発光素子12、及び、波長変換部材13を有する。発光素子12には、410nm以上490nm以下の範囲に発光ピークを有する窒化物半導体を採用することができる。また、波長変換部材13には、発光素子12からの光によって励起され、異なる波長の光を発する蛍光体14を採用することができる。成形体11は、発光素子12及び波長変換部材13が収まる筐体である。
【0043】
第1発光装置101と第2発光装置102は、互いに異なる組成の蛍光体を、主の蛍光体として含有している。主の蛍光体とは、発光装置10の波長変換部材13において最も多く含有されている蛍光体のことである。主の蛍光体の異なる発光装置を採用することで、主の蛍光体の同じ発光装置を採用するよりも、高い色温度におけるMRの値と低い色温度におけるMRの値との差を大きくすることができる。
【0044】
なお、発光素子12は窒化物半導体に限らない。また、上述の範囲外に発光ピークを有する発光素子であってもよい。発光素子としては、LEDの他に、有機EL、レーザダイオードなどを用いることができる。また、成形体11を有さなくてもよい。
【0045】
以下に、第1発光装置101、第2発光装置102、及び、第3発光装置103として採用される発光装置の具体例を挙げる。図6は、第1発光装置101の各例における発光スペクトルを、図7は、第2発光装置102の各例における発光スペクトルを、図8は、第3発光装置103の各例における発光スペクトルを示す。
【0046】
<第1発光装置101 例1>
例えば、第1発光装置101には、410nm以上470nm以下の範囲に発光ピークを有する、より好ましくは420nm以上460nm以下の範囲に発光ピークを有する、窒化物半導体である発光素子12と、主の蛍光体として式SrAl1425:Euで表される組成を有するアルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体を含有し、495nmに発光ピークを有する波長変換部材13と、を有する発光装置を用いることができる。この第1発光装置101では、色度図において、第1色度座標のxの値が0.149、yの値が0.223である。また、MRの値は2.85である。また、発光効率は122lm/Wである。
【0047】
<第1発光装置101 例2>
また例えば、第1発光装置101には、410nm以上490nm以下の範囲に発光ピークを有する窒化物半導体である発光素子12と、主の蛍光体として式CaMg(SiO)Cl:Euで表される組成を有するクロロシリケート蛍光体を含有し、510nmに発光ピークを有する波長変換部材13と、を有する発光装置を用いることができる。この第1発光装置101では、色度図において、第1色度座標のxの値が0.167、yの値が0.246である。また、MRの値は2.07である。また、発光効率は145lm/Wである。
【0048】
<第1発光装置101 例3>
また例えば、第1発光装置101には、410nm以上470nm以下の範囲に発光ピークを有する窒化物半導体である発光素子12と、主の蛍光体として式Lu(Al,Ga)12:Ceで表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を含有し、496nmに発光ピークを有する波長変換部材13と、を有する発光装置を用いることができる。この第1発光装置101では、色度図において、第1色度座標のxの値が0.191、yの値が0.265である。また、MRの値は1.94である。また、発光効率は148lm/Wである。
【0049】
<第2発光装置102 例1>
例えば、第2発光装置102には、410nm以上490nm以下の範囲に発光ピークを有する窒化物半導体である発光素子12と、主の蛍光体として式YAl12:Ceで表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体、式LuAl12:Ceで表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体、及び、式(Sr,Ca)AlSiN:Euで表される組成を有するシリコンナイトライド蛍光体を含有する波長変換部材13と、を有する発光装置を用いることができる。この第2発光装置102では、色度図において、第2色度座標のxの値が0.539、yの値が0.443であり、相関色温度が2000K、色偏差duvが+0.01である。また、MRの値は0.23である。また、発光効率は168lm/Wである。
【0050】
<第2発光装置102 例2>
また例えば、第2発光装置102には、410nm以上490nm以下の範囲に発光ピークを有する窒化物半導体である発光素子12と、主の蛍光体として式YAl12:Ceで表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体、式LuAl12:Ceで表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体、及び、式(Sr,Ca)AlSiN:Euで表される組成を有するシリコンナイトライド蛍光体を含有する波長変換部材13と、を有する発光装置を用いることができる。この第2発光装置102では、色度図において、第2色度座標のxの値が0.505、yの値が0.359であり、相関色温度が2000K、色偏差duvが-0.02である。また、MRの値は0.35である。また、発光効率は144lm/Wである。
【0051】
<第2発光装置102 例3>
また例えば、第2発光装置102には、410nm以上490nm以下の範囲に発光ピークを有する窒化物半導体である発光素子12と、主の蛍光体として式YAl12:Ceで表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体、式LuAl12:Ceで表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体、及び、式(Sr,Ca)AlSiN:Euで表される組成を有するシリコンナイトライド蛍光体を含有する波長変換部材13と、を有する発光装置を用いることができる。この第2発光装置102では、色度図において、第2色度座標のxの値が0.524、yの値が0.416であり、相関色温度が2000K、色偏差duvが0.00である。また、MRの値は0.28である。また、発光効率は131lm/Wである。
【0052】
<第3発光装置103 例1>
例えば、第3発光装置103には、410nm以上470nm以下の範囲に発光ピークを有する、より好ましくは420nm以上460nm以下の範囲に発光ピークを有する、窒化物半導体である発光素子12と、主の蛍光体として式SrAl1425:Euで表される組成を有するアルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体を含有し、495nmに発光ピークを有する波長変換部材13と、を有する発光装置を用いることができる。この第3発光装置103では、色度図において、第3色度座標のxの値が0.145、yの値が0.354である。また、MRの値は2.32である。また、発光効率は151lm/Wである。
【0053】
<第3発光装置103 例2>
また例えば、第3発光装置103には、410nm以上490nm以下の範囲に発光ピークを有する窒化物半導体である発光素子12と、主の蛍光体として式YAl12:Ceで表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体、式LuAl12:Ceで表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体、及び、式(Sr,Ca)AlSiN:Euで表される組成を有するシリコンナイトライド蛍光体を含有する波長変換部材13と、を有する発光装置を用いることができる。この第3発光装置103では、色度図において、第3色度座標のxの値が0.467、yの値が0.471であり、相関色温度が3000K、色偏差duv+0.02である。また、MRの値は0.38である。また、発光効率は204lm/Wである。
【0054】
<第3発光装置103 例3>
また例えば、第3発光装置103には、410nm以上490nm以下の範囲に発光ピークを有する窒化物半導体である発光素子12と、主の蛍光体として式Y(Al,Ga)12:Ceで表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体を含有し、496nmに発光ピークを有する波長変換部材13と、を有する発光装置を用いることができる。この第3発光装置103では、色度図において、第3色度座標のxの値が0.331、yの値が0.548である。また、MRの値は0.76である。また、発光効率は242lm/Wである。
【0055】
次に、これらの例示した第1発光装置101、第2発光装置102,及び、第3発光装置103を有して構成される照明灯具1の例を挙げる。また、照明灯具1との比較対象として、以下の照明灯具(以下、比較照明灯具と称する)を採用する。なお、比較照明灯具は、従来から照明に求められている発光効率の良さと演色性の高さの観点で選択されている。
【0056】
<比較照明灯具>
比較照明灯具は、それぞれ相関色温度が2700K、6500Kで、いずれも色偏差が0.00の2つの発光装置で構成される。また、いずれの発光装置も、410nm以上490nm以下の範囲に発光ピークを有する窒化物半導体である発光素子12と、式YAl12:Ceで表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体、式LuAl12:Ceで表される組成を有する希土類アルミン酸塩蛍光体、及び、式(Sr,Ca)AlSiN:Euで表される組成を有するシリコンナイトライド蛍光体を含有する波長変換部材13と、を有する発光装置である。平均演色評価数(以下、Raと記す)は80以上であり、発光効率は相関色温度が2700K~6500Kの範囲で180lm/W~200m/Wを実現する。詳細を、以下の表Aに示す。
【0057】
【表A】
【0058】
<照明灯具1 例1>
例1の照明灯具1は、各例1における第1発光装置101、第2発光装置102、及び、第3発光装置103、で構成される。例1の照明灯具1における、上記表Aの項目に対応した値の結果を、以下の表1に示す。また、例1の照明灯具1における第1色度座標、第2色度座標、及び、第3色度座標と、調色可能な範囲(3点を結ぶ三角形)と、黒体放射軌跡との関係を表した色度図を図9に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
このように、例1の照明灯具1では、相関色温度2700Kから6500Kの範囲におけるMRの変化量が0.75であり、比較照明灯具よりも大きい。また、3000Kから5000Kの範囲においても、MRの変化量が0.45であり、比較照明灯具よりも大きい。また、同じ色温度におけるMRの値が、比較照明灯具よりも高い。なお、ここでは同じ目標色温度同士で比較しており、実際の結果色温度には差があるが、この差は許容して、同じ色温度というものとする。黒体放射軌跡(色偏差duvが0.000)で相関色温度5000Kの光を発光させると、例1の照明灯具1のMR値が1.0以上であり、黒体放射軌跡上で相関色温度が3000Kから5000Kの範囲で光を調色させた場合に、例1の照明灯具1のMRの変化量が0.4以上であった。
【0061】
なお、発光効率は、比較照明灯具よりもやや劣るが、2700Kから6500Kの範囲、及び、3000Kから5000Kの範囲のいずれにおいても、その調色範囲で平均160[lm/W]を達成しているが、平均170[lm/W]は達成していない。演色性は比較照明灯具と同程度で、Raはその調色範囲で平均80を達成しているが、平均85は達成していない。
【0062】
<照明灯具1 例2>
例2の照明灯具1は、例1における第1発光装置101と、各例2における第2発光装置102及び第3発光装置103と、で構成される。例2の照明灯具1における、上記表Aの項目に対応した値の結果を、以下の表2に示す。また、例2の照明灯具1における第1色度座標、第2色度座標、及び、第3色度座標と、調色可能な範囲(3点を結ぶ三角形)と、黒体放射軌跡との関係を表した色度図を図10に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
このように、例2の照明灯具1では、相関色温度2700Kから6500Kの範囲におけるMRの変化量が、比較照明灯具よりも大きい。また、3000Kから5000Kの範囲においても、MRの変化量が、比較照明灯具よりも大きい。また、同じ色温度におけるMRの値が、比較照明灯具よりも高い。黒体放射軌跡(色偏差duvが0.000)で相関色温度5000Kの光を発光させると、例2の照明灯具1のMR値が1.0以上であり、黒体放射軌跡上で相関色温度が3000Kから5000Kの範囲で光を調色させた場合に、例2の照明灯具1のMRの値の変化量が0.4以上であった。
【0065】
特に、例2の照明灯具1は、低色温度(第1色温度)においては、MRの値が比較照明灯具と大差ない一方で、高色温度(第2色温度)になると差が広がる。日中に活発化し、夕方以降に落ち着かせる生活リズムに対しては、例2の照明灯具1が効果的といえる。
【0066】
また、発光効率は、比較照明灯具よりは劣るが、例1の照明灯具1よりは優れており、2700Kから6500Kの範囲、及び、3000Kから5000Kの範囲のいずれにおいても、その調色範囲で平均170[lm/W]を達成しているが、平均180[lm/W]は達成していない。さらに、演色性は比較照明灯具及び例1の照明灯具1よりも優れ、Raはその調色範囲で平均85以上を達成しているが、平均90は達成していない。黒体放射軌跡上(duvが0.000)で相関色温度3000Kから5000Kの範囲で光を調光させた場合に、例2の照明灯具1の平均演色評価数が85に達し、かつ、例2の照明灯具1の発光効率[lm/W]が170に達する。
【0067】
<照明灯具1 例3>
例3の照明灯具1は、例1における第1発光装置101と、各例3における第2発光装置102及び第3発光装置103と、で構成される。例3の照明灯具1における、上記表Aの項目に対応した値の結果を、以下の表3に示す。また、例3の照明灯具1における第1色度座標、第2色度座標、及び、第3色度座標と、調色可能な範囲(3点を結ぶ三角形)と、黒体放射軌跡との関係を表した色度図を図11に示す。
【0068】
【表3】
【0069】
このように、例3の照明灯具1では、相関色温度2700Kから6500Kの範囲におけるMRの変化量が、比較照明灯具よりも大きい。また、3000Kから5000Kの範囲においても、MRの変化量が、比較照明灯具よりも大きい。また、同じ色温度におけるMRの値が、比較照明灯具よりも高い。黒体放射軌跡(色偏差duvが0.000)で相関色温度5000Kの光を発光させると、例3の照明灯具1のMR値が1.0以上であり、黒体放射軌跡上で相関色温度が3000Kから5000Kの範囲で光を調色させた場合に、例3の照明灯具1のMRの値の変化量が0.4以上であった。
【0070】
また、発光効率は、比較照明灯具より劣り、2700Kから6500Kの範囲、及び、3000Kから5000Kの範囲のいずれにおいても、その調色範囲で平均140[lm/W]を達成しているが、平均150[lm/W]は達成していない。一方で、演色性は優れており、特に、4000K以下の低色温度の範囲ではRaは90を達成する。他の照明灯具1に比べて、第1色温度と第2色温度とで、演色性の差が大きくなる。
【0071】
<照明灯具1 例4>
例4の照明灯具1は、各例2における第1発光装置101、第2発光装置102、及び、第3発光装置103、で構成される。例4の照明灯具1における、上記表Aの項目に対応した値の結果を、以下の表4に示す。また、例4の照明灯具1における第1色度座標、第2色度座標、及び、第3色度座標と、調色可能な範囲(3点を結ぶ三角形)と、黒体放射軌跡との関係を表した色度図を図12に示す。
【0072】
【表4】
【0073】
このように、例4の照明灯具1では、相関色温度2700Kから6500Kの範囲におけるMRの変化量が、比較照明灯具よりも大きい。また、3000Kから5000Kの範囲においても、MRの変化量が、比較照明灯具よりも大きい。また、同じ色温度におけるMRの値が、比較照明灯具よりも高い。黒体放射軌跡(色偏差duvが0.000)で相関色温度5000Kの光を発光させると、例4の照明灯具1は、MR値が1.0未満であり、黒体放射軌跡上で相関色温度が3000Kから5000Kの範囲で光を調色させた場合に、例4の照明灯具1は、MRの変化量が0.4以上であった。
【0074】
例4の照明灯具1は、例2の照明灯具1と特性が似ている。例4の照明灯具1も例2の照明灯具1と同様に、低色温度(第1色温度)においては、MRの値が比較照明灯具と大差ない一方で、高色温度(第2色温度)になると差が広がる。但し、高色温度における差の拡がりは、例2の照明灯具1と比べると小さい。一方で、4000K以上の高色温度における演色性が例2の照明灯具1よりも優れている。
【0075】
<照明灯具1 例5>
例5の照明灯具1は、例3における第1発光装置101と、各例2における第2発光装置102及び第3発光装置103と、で構成される。例5の照明灯具1における、上記表Aの項目に対応した値の結果を、以下の表5に示す。また、例5の照明灯具1における第1色度座標、第2色度座標、及び、第3色度座標と、調色可能な範囲(3点を結ぶ三角形)と、黒体放射軌跡との関係を表した色度図を図13に示す。
【0076】
【表5】
【0077】
このように、例5の照明灯具1では、相関色温度2700Kから6500Kの範囲におけるMRの変化量が、比較照明灯具よりも大きい。また、3000Kから5000Kの範囲においても、MRの変化量が、比較照明灯具よりも大きい。また、同じ色温度におけるMRの値が、比較照明灯具よりも高い。例5の照明灯具1は、例4の照明灯具1とおよそ同じような特性を有している。黒体放射軌跡(色偏差duvが0.000)で相関色温度5000Kの光を発光させると、例5の照明灯具1は、メラノピック比の値が1.0未満であり、黒体放射軌跡上で相関色温度が3000Kから5000Kの範囲で光を調色させた場合に、例5の照明灯具1は、メラノピック比の値の変化量が0.4以上であった。
【0078】
以上、例を挙げて説明してきた照明灯具1によれば、従来よりもMRの値を変化させながら調色を行うことができ、人体への影響に配慮された照明を提供することができる。
【0079】
例1から例5の照明灯具1は、黒体放射軌跡上での調色が可能であり、相関色温度3000Kから5000Kの範囲で光を調色させた場合に、メラノピック比の値の変化量が少なくとも0.35に達する。また、より好ましい照明灯具1においては、メラノピック比の値の変化量が少なくとも0.40に達する。また、さらに好ましい照明灯具1においては、メラノピック比の値の変化量が少なくとも0.45に達する。
【0080】
相関色温度2700Kから6500Kの範囲で光を調色させた場合に、メラノピック比の値の変化量が少なくとも0.6に達する。また、より好ましい照明灯具1においては、メラノピック比の値の変化量が少なくとも0.70に達する。また、さらに好ましい照明灯具1においては、メラノピック比の値の変化量が少なくとも0.75に達する。
【0081】
また、好ましい照明灯具1においては、相関色温度3000Kにおけるメラノピック比は0.5以下であり、相関色温度5000Kにおけるメラノピック比は1.0以上である。また、最も大きなメラノピック比の値を実現する例1の照明灯具1では、相関色温度6500Kにおけるメラノピック比の値は1.3にまで達する。すなわち、黒体放射軌跡上で相関色温度6500Kの光を発光させると、例1の照明灯具1のメラノピック比の値が1.3に達する。
【0082】
実際に、照明灯具として使用する場合には、単純なメラノピック比の値だけでなく、発光効率との関係も重要となり得る。発光効率が小さい場合は、その分投入電力[W]を多くすることで光束[lm]を補うことができる。しかしながら、調色範囲の中で、色温度に応じて投入電力を変えるなどの制御を行えるようにすると装置が複雑化する。加えて、省エネルギーの要素も出来るだけ犠牲にしない方が、ユーザに高い満足度を与えることができる。
【0083】
図14は、MRの値と発光効率を掛けた値で、比較照明灯具と、例1から例5の各照明灯具1とを比較した図である。この値は、1.0[W]の電力を投入して照らされる照明におけるメラノピック比の相対的な関係を表してくれる。以下、相対メラノピック比と呼ぶものとする。なお、比較をしやすくするため、比較照明灯具を基準とした図にしている。
【0084】
図14が示すように、例1の照明灯具1及び例2の照明灯具1は、比較照明灯具よりも相対メラノピック比が大きいことが顕著にわかる。また、例1の照明灯具1は、低色温度の方が相対メラノピック比は良く、高色温度になるにつれて減少している。例2の照明灯具1は、高色温度の方が相対メラノピック比は良く、高色温度になるにつれて増加している。
【0085】
低色温度よりも高色温度において相対メラノピック比が大きい方が、エネルギー効率に配慮しながらも、よりサーカディアンリズムに配慮した照明を提供する照明灯具といえる。例2の照明灯具1がサーカディアンリズムに配慮した照明として優れた性能を有しているといえる。
【0086】
次に、照明灯具1を用いて行われる調色制御について説明する。
【0087】
照明灯具1は、少なくとも3つの発光装置10を用いて調色を行うことができ、また、その調色範囲には、黒体放射軌跡上の第1温度から第2温度までが含まれる。そのため、比較照明灯具のように2つの発光装置で構成されて調色が行われるよりも、精度良く黒体放射軌跡に沿った調色を行うことができる。
【0088】
相関色温度が第1温度から第2温度までの調色におけるこのような制御を、複数の照明灯具1と、各照明灯具1に係る調光ドライバと通信可能に接続し、調光ドライバを制御して各照明灯具1による照明光を調節する情報処理装置2と、を有する調光制御システムを構築して実現する。図15は、調光制御システムの構成の一例を示す構成図である。なお、照明灯具1は1台であってもよい。
【0089】
情報処理装置2は、コンピュータやサーバ装置などであり、通信を介した情報の送受信や、受信した情報または記録している情報に基づく演算処理を実行することができる装置である。情報処理装置には、演算処理を制御するCPUなどのプロセッサ、プログラムや情報を記憶するHDDなどの記憶部、プログラムを展開し、処理を実行するための記憶領域を与えるROMやRAMなどのメモリが搭載されている。
【0090】
調光制御システムにおいて、情報処理装置2は、照明灯具1による照明光を調節するために調光ドライバへの制御命令を決定する調光決定部3を有する。調光決定部3は、相関色温度が第1温度から第2温度までの範囲で調色を制御するときに、色度図において、黒体放射軌跡上の第1温度と第2温度を結ぶ直線よりも黒体放射軌跡に近い色度座標で照明光が照らされるように、発光装置10の発光割合を決定する。
【0091】
また、情報処理装置2は、調光ドライバへ制御命令を送信する送信部4を有する。送信部4は、発光装置10が決定された発光割合で発光するように調光ドライバに制御命令を送信する。これにより、調光ドライバは制御命令に基づいた調光を行い、精度良く黒体放射軌跡に沿った調色を行うことができる。
【0092】
このとき、情報処理装置2による調色の制御範囲は、色度図において、黒体放射軌跡上の第1温度と第2温度を結ぶ直線と、第1温度から第2温度までの間のこの直線上の全ての点に対して得られる、この直線上の点から、この点と同じ相関色温度における黒体放射軌跡上の点までの距離の2倍に位置する点の集合と、によって囲まれる領域内に収まる。また、少なくとも第1温度と第2温度の間のいずれかの相関色温度において、この領域の外枠上ではなく、外枠の内側に収まる。CIE1931表色系の色度図において、情報処理装置2による調色の制御範囲は、第1温度と第2温度までの間の黒体放射軌跡からの色偏差duvが±0.001以内に収まることが好ましい。
【0093】
なお、サーカディアンリズムに合わせた調色を行うには、太陽光の色温度の変化に対応した調色を行うのが好ましい。但し、太陽光の変化に正確に合わせなくてもよい。例えば、一日のうち、0時から6時まではMRの値が一日のうちの最低値となっており、6時になると最大値に変わる。その後、15時30分までは最大値を保ち、15時30分から19時に至るまでの間、経時的にMRの値を減少させ、19時以降は最低値とする、といった調色が考えられる。
【0094】
つまり、情報処理装置2は、午前中の所定の時刻にMRの値が最大となるように制御する。また、午後の所定の時刻から一定の時間をかけてMRの値を減少させるように制御する。なお、午前中の所定の時刻から一定の時間をかけてMRの値を増加させるようにしてもよい。
【0095】
MRが最大となるのは、調色範囲で色温度を最大にするときである。一方で、MRが最小となるのは、調色範囲で色温度を最小にするときである。
【0096】
以上、本発明に係る実施形態を説明してきたが、本発明の技術思想は、説明してきた具体的な実施形態に限定されるわけではない。例えば、実施形態において、本発明に係る調光制御システムの設置場所をオフィスビルに限る必要はない。
【0097】
また、第1発光装置101、第2発光装置102、及び、第3発光装置103は、物理的に個々の発光装置10として基板30に実装されてもよく、またあるいは、任意の複数の発光装置を一体的に形成して実装されてもよい。
【0098】
図16Aから図16Cは、複数の発光装置100が一体的に形成された形態で実現される発光装置10のいくつかの例示である。なお、一体的に形成される複数の発光装置100には、第1発光装置101、第2発光装置102、及び、第3発光装置103から選択された2以上の発光装置が含まれる。
【0099】
図16Aは、1つの成形体11によって、2つのキャビティが形成され、複数の発光装置100のうち、1の発光装置100に係る発光素子12及び波長変換部材13、他の発光装置100に係る発光素子12及び波長変換部材13が、それぞれのキャビティに配置される発光装置10の形態を示している。
【0100】
図16Bは、1つの成形体11によって、1つのキャビティが形成され、複数の発光装置100のうち、1の発光装置100に係る発光素子12及び波長変換部材13、他の発光装置100に係る発光素子12及び波長変換部材13がキャビティに配置される発光装置10の形態を示している。
【0101】
また、1の発光装置100(図示される2つの発光装置100のうちの一方の発光装置100)による発光のための波長変換部材13であって、他の発光装置100(図示される2つの発光装置100のうちの他方の発光装置100)による発光に必要のない波長変換部材13は、1の発光装置100に係る発光素子12の周囲にのみ設けられる。同様に他の発光装置100による発光のための波長変換部材13であって、1の発光装置100による発光に必要のない波長変換部材13は、他の発光装置100に係る発光素子12の周囲にのみ設けられる。1の発光装置100及び他の発光装置100による発光のいずれにも必要な波長変換部材13は、いずれの発光装置100も覆って設けられる。
【0102】
図16Cは、1つの成形体11によって、1つのキャビティが形成され、1の発光装置100に係る発光素子12及び波長変換部材13、他の発光装置100に係る発光素子12及び波長変換部材13がキャビティに配置される発光装置10の形態を示している。
【0103】
また、図16Bと比べ、1の発光装置100による発光のための波長変換部材13であって、他の発光装置100による発光に必要のない波長変換部材13はない。他方で、他の発光装置100による発光のための波長変換部材13であって、1の発光装置100による発光に必要のない波長変換部材13が、他の発光装置100に係る発光素子12の周囲にのみ設けられる。
【0104】
また、他の発光装置100に係る発光素子12の周囲にのみ設けられる波長変換部材13は、複数層で構成される。なお、一層であってもよい。各層において、蛍光体は、下面に偏在して設けられる。例えば、ガラス材にシート状の蛍光体を貼り付けることで、このような波長変換部材13を形成することができる。
【0105】
また、他の発光装置100に係る発光素子12の側面は、反射層15に覆われている。これにより、1の発光装置100に係る発光素子12からの光は、他の発光装置100に係る発光素子12に入射する前に反射層15に反射される。よって、1の発光装置100に係る発光素子12からの光が、他の発光装置100に係る発光素子12の周囲にのみ設けられる波長変換部材13によって波長変換されることを抑制することができる。
【0106】
このように、複数の発光装置100を一体的に形成した発光装置10によれば、第1発光装置101、第2発光装置102、及び、第3発光装置103を有し、かつ、これらを一体的な1つのパッケージで扱うことのできる発光装置10を提供することができる。また、このような発光装置10による発光を、上述したように制御することで、調光制御システムを実現することができる。
【0107】
また、各実施形態により開示された全ての構成要素を必要十分に備えることを必須とせずとも、本発明は適用され得る。当業者、あるいは、発明の属する技術分野において、設計の自由度の範囲であれば、特許請求の範囲に、実施形態により開示された構成要素の一部が記載されていないとしても、本発明の適用は可能であり、本明細書はこれを含むものであることを前提として発明を開示する。
【産業上の利用可能性】
【0108】
各実施形態に記載の調光制御システムまたは照明灯具は、室内空間などに設置される照明の分野で使用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 照明灯具
10 発光装置
101 第1発光装置
102 第2発光装置
103 第3発光装置
11 成形体
12 発光素子
13 波長変換部材
14 蛍光体
15 反射層
20 ベースプレート
30 基板
40 カバー
50 取付部
2 情報処理装置
3 調光決定部
4 送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C