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特許7510427フライ油処理作業情報報知システム及びフライ油処理作業情報報知方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-25
(45)【発行日】2024-07-03
(54)【発明の名称】フライ油処理作業情報報知システム及びフライ油処理作業情報報知方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240626BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALI20240626BHJP
   A47J 37/12 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q10/06
A47J37/12 321
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021548397
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2020029361
(87)【国際公開番号】W WO2021059742
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2019176824
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 豪
(72)【発明者】
【氏名】井上 賀美
(72)【発明者】
【氏名】袴田 一彦
(72)【発明者】
【氏名】小薗 伸介
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健市
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004384(JP,A)
【文献】特表2010-534841(JP,A)
【文献】特開昭57-001954(JP,A)
【文献】特開2004-021399(JP,A)
【文献】特開2019-101758(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0338540(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0283584(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A47J 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚げ物を揚げるフライ油が張られ、揚げ物調理所に設置されたフライヤーと、
前記フライヤー内の前記フライ油の劣化状態を解析する劣化状態解析部と、
前記劣化状態解析部が前記フライ油の劣化状態について解析した解析の結果に基づいて該フライ油の処理作業情報を認識する処理作業情報認識部と、
前記処理作業情報を報知する第1報知部と、
前記劣化状態解析部の解析の結果に基づいて前記フライ油に対する処理についてのアドバイス情報として前記フライヤー内の前記フライ油の残油に新しいフライ油を付加する油付加の実施に係る油付加情報を提示するアドバイス情報提示部と、
を備えることを特徴とするフライ油処理作業情報報知システム。
【請求項2】
前記処理作業情報認識部は、
前記フライヤーの稼働スケジュール、前記揚げ物調理所の営業時間スケジュール及び前記揚げ物調理所の調理担当者の勤務時間スケジュールの少なくとも1つのスケジュールを認識するスケジュール認識部と、
前記スケジュール認識部で認識されたスケジュールと、前記劣化状態解析部における解析の結果とに基づいて、前記第1報知部で報知する前記処理作業情報に含める処理作業スケジュールを立案するスケジュール立案部を備えることを特徴とする請求項1に記載のフライ油処理作業情報報知システム。
【請求項3】
前記処理作業スケジュールは、前記フライ油の廃油作業、前記フライヤーの清掃作業及び前記フライヤーへの前記フライ油の補給作業の少なくとも1つの作業の開始タイミングを含むことを特徴とする請求項2に記載のフライ油処理作業情報報知システム。
【請求項4】
前記スケジュール立案部は、同一の揚げ物調理所の複数のフライヤーに対する前記廃油作業の作業期間同士、前記清掃作業の作業期間同士、及び前記補給作業の作業期間同士のうちの少なくとも1つの作業期間同士が、重なるように又は重ならないように、前記処理作業スケジュールを立案することを特徴とする請求項3に記載のフライ油処理作業情報報知システム。
【請求項5】
前記スケジュール立案部は、前記揚げ物調理所の前記処理作業スケジュールを、他揚げ物調理所の前記劣化状態解析部による解析結果とは独立に立案することを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載のフライ油処理作業情報報知システム。
【請求項6】
前記スケジュール立案部は、前記揚げ物調理所の前記処理作業スケジュールを、他揚げ物調理所の前記劣化状態解析部における解析の結果に基づいて立案することを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載のフライ油処理作業情報報知システム。
【請求項7】
前記スケジュール立案部は、前記揚げ物調理所の前記処理作業スケジュールを、廃油作業を行う廃油回収業者、清掃作業を行う清掃作業業者、及び前記揚げ物調理所に前記フライ油を供給する供給業者のうちの少なくとも1つの業者のスケジュールに基づいて立案することを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載のフライ油処理作業情報報知システム。
【請求項8】
さらに、前記スケジュール立案部が、廃油作業を行う廃油回収業者、清掃作業を行う清掃作業業者及び前記揚げ物調理所に前記フライ油を供給する供給業者のうちの少なくとも1つの業者に前記揚げ物調理所の前記処理作業スケジュールを通知する通知部を備えることを特徴とする請求項2~7のいずれか1項に記載のフライ油処理作業情報報知システム。
【請求項9】
前記アドバイス情報提示部は、
次の式に基づいて回転率Rcを定義し(ただし、Hsは、所定の設定時間、Qcは、Hs内に前記フライヤーに付加したフライ油の合計量、Qaは、前記フライヤーに設定した前記フライ油の張り込み量である。)、
Rc=(Qc/Qa)/Hs・・・(式)
前記油付加を実施する際の前記回転率Rcに係る回転率情報を前記油付加情報に含めることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のフライ油処理作業情報報知システム。
【請求項10】
前記アドバイス情報提示部は、
前記フライヤーの清掃作業の実施日までの残り期間が所定値未満になった時に実施する前記油付加の前記回転率Rcは、前記残り期間が所定値以上ある時に実施する前記油付加の前記回転率Rcより小さくすることを特徴とする請求項9に記載のフライ油処理作業情報報知システム。
【請求項11】
前記アドバイス情報提示部は、
前記揚げ物の売れ行き予測に基づいて前記回転率Rcを決定することを特徴とする請求項9又は10に記載のフライ油処理作業情報報知システム。
【請求項12】
劣化状態解析部が、揚げ物を揚げるフライ油が張られ、揚げ物調理所内に設置されたフライヤー内の前記フライ油の劣化状態を解析する劣化状態解析ステップと、
処理作業情報認識部が、前記劣化状態解析ステップにおける解析の結果に基づいて該フライ油の処理作業情報を認識する処理作業情報認識ステップと、
報知部が、前記処理作業情報を報知する報知ステップと、
アドバイス情報提示部が、前記劣化状態解析ステップにおける解析の結果に基づいて前記フライ油に対する処理についてのアドバイス情報として前記フライヤー内の前記フライ油の残油に新しいフライ油を付加する油付加の実施に係る油付加情報を提示するアドバイス情報提示ステップと、
を備えることを特徴とするフライ油処理作業情報報知方法。
【請求項13】
前記アドバイス情報提示ステップでは、
前記アドバイス情報提示部は、
次の式に基づいて回転率Rcを定義し(ただし、Hsは、所定の設定時間、Qcは、Hs内に前記フライヤーに付加したフライ油の合計量、Qaは、前記フライヤーに設定した前記フライ油の張り込み量である。)、
Rc=(Qc/Qa)/Hs・・・(式)
前記油付加を実施する際の前記回転率Rcに係る回転率情報を前記油付加情報に含めることを特徴とする請求項12に記載のフライ油処理作業情報報知方法。
【請求項14】
前記アドバイス情報提示ステップでは、
前記アドバイス情報提示部は、
前記フライヤーの清掃作業の実施日までの残り期間が所定値未満になった時に実施する前記油付加の前記回転率Rcは、前記残り期間が所定値以上ある時に実施する前記油付加の前記回転率Rcより小さくすることを特徴とする請求項13に記載のフライ油処理作業情報報知方法。
【請求項15】
前記アドバイス情報提示ステップでは、
前記アドバイス情報提示部は、
前記揚げ物の売れ行き予測に基づいて前記回転率Rcを決定することを特徴とする請求項13又は14に記載のフライ油処理作業情報報知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揚げ物の調理に使用するフライ油についての処理作業を補助するフライ油処理作業情報報知システム及びフライ油処理作業情報報知方法に関する。
【0002】
従来、コンビニエンスストア等としては、店舗内又は工場内に設置されたフライヤーで調理した揚げ物を顧客に提供する事業形態を採用しているものがある。そのようなコンビニエンスストア等では、店舗の従業員がフライヤーのフライ油の管理を行っている。
【0003】
フライヤー内のフライ油は、例えば、揚げ物の調理個数(揚げ個数)が増大するに連れて、劣化が進んで行く。そこで、そのフライ油で調理される揚げ物の品質を保持するためには、フライ油の劣化度が閾値に達した際に、又は閾値に達する前に、新しいフライ油に入れ替える必要がある。
【0004】
フライ油の廃油回収及び供給は、通常、複数の店舗に共通の外部の業者が行っている。また、フライヤーの清掃も、従業員の負担を軽減するために、外部の専門の清掃業者に適宜委託する場合がある。
【0005】
これらの入れ替え作業、廃油回収作業、供給作業及び清掃作業といったフライ油の処理作業を円滑に実施するためのシステムとしては、例えば、特許文献1に記載のシステムが知られている。
【0006】
特許文献1は、複数の店員が店舗の所定のサイクルで実施する各種タスク(作業)を連携して行う場合に、手すきの店員に作業を割り当てたスケジュール情報を生成して、そのスケジュール情報を各店員に報知する店舗支援システムを開示する。該店舗支援システムによれば、各タスクの優先度、作業負荷、及び対象期間等に基づいてスケジュール情報が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-101758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、店舗におけるフライヤー内のフライ油の劣化の進行は、例えば、そのフライ油で揚げられた揚げ物の種類ごとに異なる。また、同一店舗又は店舗間における揚げ物の種類ごとの売り上げ個数は日時、状況によって大きく変動するので、フライ油の劣化の進行も、日時、状況によって大きく変動する。ひいては、そのフライ油の管理作業の内容も、一定のものとはならない。
【0009】
しかし、特許文献1に記載のシステムにおいて生成されるスケジュール情報は、1店舗における固定的なタスクを、複数の作業に分けて、各作業を手すきの店員に割り振るものである。
【0010】
そのため、フライ油の劣化の度合いのように、状況に応じて性質の変化する対象物の処理作業がタスクに含まれる場合には、特許文献1に記載のシステムでは、スケジュールの実行者がその対象物に関する知識を十分に有していないような場合には、その対象物に関する処理作業を適切に実施することはできないという問題があった。また、店舗間でのフライ油の劣化の度合いを比較することができず、店舗間でのフライ油の品質が一定に保てないという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、フライ油の処理作業を適切に実施させることができるフライ油処理作業情報を報知するシステム及び方法、及び、揚げ物調理所の異常性を判定し、報知するシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のフライ油処理作業情報報知システムは、
揚げ物を揚げるフライ油が張られ、揚げ物調理所に設置されたフライヤーと、
前記フライヤー内の前記フライ油の劣化状態を解析する劣化状態解析部と、
前記劣化状態解析部が前記フライ油の劣化状態について解析した解析の結果に基づいて該フライ油の処理作業情報を認識する処理作業情報認識部と、
前記処理作業情報を報知する第1報知部と、
【0013】
本発明によれば、システム上で、揚げ物調理所におけるフライヤーのフライ油の劣化状態が解析されて、解析結果に基づいてフライ油の処理作業情報が認識され、認識された処理作業情報が報知される。
【0014】
この結果、揚げ物調理所の調理担当者がフライ油に関する知識を十分に有していないような場合であっても、報知された処理作業情報に従うだけで、状況に応じて劣化が進行するフライ油の処理作業を適切に行うことができる。
【0015】
好ましくは、本発明のフライ油処理作業情報報知システムは、
前記フライヤーの稼働スケジュール、前記揚げ物調理所の営業時間スケジュール及び前記揚げ物調理所の調理担当者の勤務時間スケジュールの少なくとも1つのスケジュールを認識するスケジュール認識部と、
前記スケジュール認識部で認識されたスケジュールと、前記劣化状態解析部における解析の結果とに基づいて、前記第1報知部で報知する前記処理作業情報に含める処理作業スケジュールを立案するスケジュール立案部を備える。
【0016】
このように、フライヤーの稼働スケジュール、揚げ物調理所の営業時間スケジュール及び揚げ物調理所の調理担当者の勤務時間スケジュールの少なくとも1つのスケジュールを含む、フライ油の処理作業以外の店舗の全体としてのスケジュールと、劣化状態解析部による解析結果とに基づいて処理作業スケジュールを立案すると、立案される処理作業スケジュールは、状況に応じて劣化が進行するフライ油の処理作業だけでなく、揚げ物調理所の全体としてのスケジュールを勘案した合理的なものになる。
【0017】
この結果、調理担当者がその処理作業スケジュールに従って処理作業を行えば、フライ油の処理作業だけでなく、他の作業についても適切なタイミングで行うことができるようになるので、行うべき作業の手順を合理化して、揚げ物調理所全体の業務改善を図ることができる。
【0018】
好ましくは、本発明のフライ油処理作業情報報知システムにおいて、スケジュール立案部を備える構成である場合には、
前記処理作業スケジュールは、前記フライ油の廃油作業、前記フライヤーの清掃作業及び前記フライヤーへの前記フライ油の補給作業の少なくとも1つの作業の開始タイミングを含む。
【0019】
このように、スケジュール立案部で立案するスケジュールにフライ油に関する作業についての開始タイミングを含ませるだけであっても、そのスケジュールの実行者は行うべき処理作業を把握することができるので、業務改善を図ることができる。
【0020】
好ましくは、本発明のフライ油処理作業情報報知システムにおいて、
前記スケジュール立案部は、同一の揚げ物調理所の複数のフライヤーに対する前記廃油作業の作業期間同士、前記清掃作業の作業期間同士、及び前記補給作業の作業期間同士のうちの少なくとも1つの作業期間同士が、重なるように又は重ならないように、前記処理作業スケジュールを立案する。
【0021】
同一揚げ物調理所に複数のフライヤーがある場合には、このように、それらのフライ油の処理作業のタイミングをわざと重ならせるようにすると、処理作業を一括化して、作業時間の短縮を図ることができる。また、わざと重ならせないようにすると、調理担当者が少ない場合であっても、一方のフライヤーに対する処理を行っている間に、他方のフライヤーの処理が停止してしまうことを防止して、処理作業の円滑化を図ることができる。
【0022】
好ましくは、本発明のフライ油処理作業情報報知システムにおいて、スケジュール立案部を備える構成である場合には、
前記スケジュール立案部は、前記揚げ物調理所の前記処理作業スケジュールを、他揚げ物調理所の前記劣化状態解析部による解析結果とは独立に立案する。
【0023】
このように構成すると、各揚げ物調理所のスケジュール立案部は、他揚げ物調理所の解析結果がなくても、処理作業スケジュールを立案することができる。これにより、各揚げ物調理所のスケジュール立案部は、単独で各揚げ物調理所の処理作業スケジュールを立案することができるので、他揚げ物調理所のスケジュール立案部との通信を省略して、処理負荷を軽減しつつ、迅速に各自の処理作業スケジュールを立案することができる。
【0024】
好ましくは、本発明のフライ油処理作業情報報知システムにおいて、
前記スケジュール立案部は、前記揚げ物調理所の前記処理作業スケジュールを、他揚げ物調理所の前記劣化状態解析部における解析の結果に基づいて立案する。
【0025】
各揚げ物調理所のフライ油の処理作業スケジュールは、揚げ物調理所ごとに単独で立案するよりも、複数の揚げ物調理所間で調整して立案する方が良いことがある。例えば、近隣の揚げ物調理所同士は、共通の廃油回収業者に廃油回収作業を依頼するとき、廃油回収時期を合わせて依頼した方が早く回収に来てくれるというような場合である。
【0026】
この構成によれば、スケジュール立案部は、自分の揚げ物調理所の解析結果と他揚げ物調理所の解析結果との両方に基づいて処理作業スケジュールを立案することになるので、自分の揚げ物調理所の処理作業スケジュールが他揚げ物調理所の処理作業スケジュールと調整され、自分の揚げ物調理所の処理作業の迅速化や効率化等の改善に寄与する処理作業スケジュールを立案することができる。
【0027】
好ましくは、本発明のフライ油処理作業情報報知システムにおいて、スケジュール立案部を備える構成である場合には、
前記スケジュール立案部は、前記揚げ物調理所の前記処理作業スケジュールを、廃油作業を行う廃油回収業者、清掃作業を行う清掃作業業者、及び前記揚げ物調理所に前記フライ油を供給する供給業者のうちの少なくとも1つの業者のスケジュールに基づいて立案する。
【0028】
このように構成すると、スケジュール立案部が立案する処理作業スケジュールと、少なくとも1つの業者のスケジュールに適合した処理作業スケジュールを立案することができる。この結果、スケジュール立案部は、外部の業者との協力関係を改善した処理作業スケジュールを立案することができる。
【0029】
好ましくは、本発明のフライ油処理作業情報報知システムは、他の業者のスケジュールを参照してスケジュールを立案する場合には、
さらに、前記スケジュール立案部が、廃油作業を行う廃油回収業者、清掃作業を行う清掃作業業者及び前記揚げ物調理所に前記フライ油を供給する供給業者のうちの少なくとも1つの業者に前記揚げ物調理所の前記処理作業スケジュールを通知する通知部を備える。
【0030】
このように構成すると、少なくとも1つの業者は、通知された処理作業スケジュールに対応するスケジュールを立てることができるので、揚げ物調理所だけでなく、その揚げ物調理所を含む業務に関するネットワーク全体における業務の改善を図ることができる。
【0031】
好ましくは、本発明のフライ油処理作業情報報知システムは、
さらに、
前記揚げ物調理所の前記劣化状態解析部における解析の結果と他揚げ物調理所のフライヤー内のフライ油についての該他揚げ物調理所の前記劣化状態解析部における解析の結果との対比に基づいて前記揚げ物調理所のフライヤー内のフライ油についての異常性の有無を判定する異常性判定部と、
前記異常性判定部がフライヤー内のフライ油について異常性有りと判定した前記揚げ物調理所を報知する第2報知部と、
を備える。
【0032】
揚げ物調理所のフライ油の使い方の異常性を判定する場合、揚げ物調理所におけるフライ油の劣化状態の進行について閾値を設定して、閾値と対比して、フライ油が異常性のある使い方で使用されているか否かを判定する仕方がある。例えば、フライヤーに付属している温度センサーの故障等で閾値への到達時間が早まるような異常が発生することがある。
【0033】
そこで、このように、異常性を判定するために自分の揚げ物調理所の過去情報及び他店舗又は他工場のフライ油の解析結果を参照するようにすると、例えば、他揚げ物調理所として自分の揚げ物調理所と類似する特性(立地、顧客の属性等)を有する揚げ物調理所を採用すれば、適切に異常性を判定することができる。
【0034】
好ましくは、本発明のフライ油処理作業情報報知システムにおいて、
前記劣化状態解析部は、前記フライヤー内の前記フライ油の色、粘度、粘度上昇率、酸価、におい、基準温度以上である累積時間、油ちょう時の前記フライ油の発生音、前記フライ油が発煙した時の油温、泡の発生状態、前記フライヤーの内面の重合物の量、前記フライ油の揮発に起因する分解物の蓄積量、及び前記フライヤーの電力又はガスの消費量のうちの少なくとも1つに基づいて前記フライ油の劣化状態を解析する。
【0035】
この構成によれば、種々の検出パラメータに基づいてフライヤー内のフライ油の劣化状態を解析環境に応じて的確に解析することができる。フライ油の色を検出パラメータとするときは、カラーカメラの撮像画像から微妙な色の変化を簡単かつ低コストで検出することができる。粘度、粘度上昇率又は酸価を検出パラメータとするときは、それらとフライ油との劣化状態との対応関係のぱらつきが小さいので、検出精度を高くすることができる。
【0036】
においは、周囲への拡散性が高いので、においを検出パラメータとするときは、フライヤーから十分に離れた場所からも、フライ油の劣化状態を検出することができる。フライ油の基準温度以上の累積時間を検出パラメータとするときは、検出値のばらつきが小さくなるので、温度センサーとタイマーとを用いて、フライ油の劣化状態を低コストかつ低スペースで高精度で検出することができる。油ちょう時のフライ油の発生音を検出パラメータとするときは、低コストのマイクロホンなどをセンサーとして使用することができる。
【0037】
フライ油の発煙時の温度を検出パラメータとするときは、発煙時の温度とフライ油の温度との関係は、信頼性が高いので、フライ油の劣化状態を高い信頼性で検出することができる。フライ油における泡の発生状態は、カメラの撮像画像から容易に検出できるので、見落としを少なくすることができる。フライヤーの内面の重合物の量や、フライ油の揮発に起因する分解物の蓄積量は、フライヤーの停止中も検出できるので、検出時間の制約を少なくすることができる。フライヤーの電力又はガスの消費量を検出パラメータとするときは、フライヤーに電力メータやガスメータを併設して、フライ油の劣化度を細かく検出することができる。
【0038】
好ましくは、本発明のフライ油処理作業情報報知システムは、
さらに、前記劣化状態解析部の解析の結果に基づいて前記フライ油に対する処理についてのアドバイス情報を提示するアドバイス情報提示部を備える。
【0039】
この構成によれば、揚げ物調理所の調理担当者は、劣化状態解析部にフライヤー内のフライ油の解析結果に基づくフライ油に対する処理についてのアドバイス情報を提示されるので、調理担当者にフライ油に対する十分な知識等がなくても、フライ油に対する処理を改善することができる。
【0040】
好ましくは、本発明のフライ油処理作業情報報知システムは、アドバイス情報提示部を備える場合、
前記アドバイス情報には、前記フライヤー内の前記フライ油の残油の一部を廃棄して又は廃棄無しで前記フライヤー内に新しいフライ油を付加する油付加の実施に係る情報を含む。
【0041】
この構成によれば、揚げ物調理所の調理担当者は、フライヤー内に新しいフライ油を付加する油付加の実施をアドバイス情報として提示される。これにより、フライ油の無駄な交換や付加を回避しつつ、高品質の揚げ物を揚げることができる。
【0042】
本発明のフライ油処理作業情報報知方法は、
劣化状態解析部が、揚げ物を揚げるフライ油が張られ、揚げ物調理所内に設置されたフライヤー内の前記フライ油の劣化状態を解析する劣化状態解析ステップと、
処理作業情報認識部が、前記劣化状態解析ステップにおける解析の結果に基づいて該フライ油の処理作業情報を認識する処理作業情報認識ステップと、
前記処理作業情報を報知する報知ステップと、
を備える。
【0043】
本発明によれば、揚げ物調理所におけるフライヤーのフライ油の劣化状態が解析されて、解析結果に基づいてフライ油の処理作業情報が認識され、認識された処理作業情報が報知される。
【0044】
この結果、調理担当者がフライ油に関する知識を十分に有していないような場合であっても、報知された処理作業情報に従うだけで、状況に応じて劣化が進行するフライ油の処理作業を適切に行うことができる。
【0045】
本発明の別の報知システムは、
揚げ物調理所のフライヤー内のフライ油の劣化状態を解析する劣化状態解析部と、
他揚げ物調理所の他のフライヤー内の他のフライ油の劣化状態を解析する他の劣化状態解析部と、
前記劣化状態解析部における解析の結果と前記他の劣化状態解析部における解析の結果との対比に基づいて前記揚げ物調理所のフライヤー内のフライ油についての異常性の有無を判定する異常性判定部と、
前記異常性判定部がフライヤー内のフライ油について異常性有りと判定した前記揚げ物調理所を報知する第2報知部と、
を備える。
【0046】
本発明の別の報知システムによれば、自分の揚げ物調理所におけるフライ油の劣化傾向が、過去のフライ油の劣化傾向と大きく異なったり、売り上げや出荷量が同程度の他揚げ物調理所の劣化傾向からの乖離を容易に判定して、調理の改善を図ることができる。
【0047】
本発明の別の報知方法は、
状態解析部が、揚げ物調理所のフライヤー内のフライ油の劣化状態を解析する劣化状態ステップと、
他の状態解析部が、他揚げ物調理所の他のフライヤー内の他のフライ油の劣化状態を解析する他の劣化状態解析ステップと、
異常判定部が、前記劣化状態解析ステップにおける解析の結果と前記他の劣化状態解析ステップにおける解析の結果との対比に基づいて前記揚げ物調理所のフライヤー内のフライ油についての異常性の有無を判定する異常性判定ステップと、
第2報知部が、前記異常性判定ステップにおいて異常性有りと判定したときは、前記揚げ物調理所を報知する第2報知ステップと、
を備える。
【0048】
本発明の別の報知方法によれば、自分の揚げ物調理所におけるフライ油の劣化傾向が、過去のフライ油の劣化傾向と大きく異なったり、売り上げや出荷量が同程度の他揚げ物調理所の劣化傾向からの乖離を容易に判定して、調理の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】顧客に販売する揚げ物を調理する調理場を示す図である。
図2】フライ油処理作業情報報知システムが適用されるネットワークシステムの模式図である。
図3】情報処理機器の店舗支援ソフトウェアに含まれるフライ油処理作業報知装置の機能ブロック図である。
図4図3のフライ油処理作業報知装置とは別のフライ油処理作業報知装置の機能ブロック図である。
図5】フライ油処理作業報知方法のフローチャートである。
図6】処理作業情報認識部によるスケジュール処理のフローチャートである。
図7A】スケジュール立案部が情報処理装置の営業時間スケジュール及び情報処理装置の店員の勤務時間スケジュールに基づいて処理作業のスケジュールを立案するときの第1立案例の説明図である。
図7B】スケジュール立案部が情報処理装置の営業時間スケジュール及び情報処理装置の店員の勤務時間スケジュールに基づいて処理作業のスケジュールを立案するときの第2立案例の説明図である。
図8A】情報処理装置にフライヤーが複数配備されている場合のスケジュール立案部による処理作業のスケジュールの第1立案例の説明図である。
図8B】情報処理装置にフライヤーが複数配備されている場合のスケジュール立案部による処理作業のスケジュールの第2立案例の説明図である。
図9】フライ油対比処理のフローチャートである。
図10】複数の情報処理装置から収集した解析結果に基づいて作成された劣化状態の回帰直線等の説明図である。
図11】アドバイス情報の提示処理のフローチャートである。
図12】フライ油の加熱継続時間とフライ油の酸価との関係を示すグラフである。
図13】店舗の営業時間中の時刻とフライヤーの油槽のフライ油の温度との一般的な関係を示している。
図14】フライ油が160℃以上である累積時間と劣化(特に酸価)との関係を示すグラフである。
図15】油槽内のフライ油について酸価と使用時間との関係が追加油の回転率Rでどのように変化するかを示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下に、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。該好適な実施形態は、本発明を、コンビニエンスストアチェーンを構成する店舗が、担当の店員にフライヤーのフライ油を使わせて揚げ物を調理させ、販売する事例に適用したフライ油処理作業情報報知システム及びフライ油処理作業情報報知方法に関する。しかしながら、本発明は、該実施形態に限定されるものではなく、後述の変形例を包含するとともに、さらに、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲に包含される一切の形態を包含することは言うまでもない。
【0051】
さらに、補足すると、以下の説明において、実質的に同一又は等価な要素及び部分については、共通の参照符号を使用している。また、同一の構成を有する対又は群の要素については、数字が同一で、添字のアルファベットのみが異なる参照符号を使用している(例:ボタンスイッチ23a,23b,・・・,23i)。さらに、対又は組を構成する要素を総称するときは、添え字の部分を省略して、数字のみの参照符号を使用する(例:ボタンスイッチ23)。
【0052】
(調理場)
図1は、顧客に販売する揚げ物19を調理する調理場10を示す図である。調理場10は、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗32内に設けられており、電気式のフライヤー14が設置されている。
【0053】
フライヤー14は、油槽15と、油槽15を収容するハウジング16とを有する。油槽15は、上側が開放され、ハウジング16の上部に設けられる。フライ油17は、油槽15内に所定の高さになるまで張られる。揚げ物19は、柄22付きのフライバスケット21内に投入されてから、油槽15内の加熱状態のフライ油17内に漬けられる。
【0054】
フライバスケット21内に一緒に投入されて、かつフライ油17に一緒に漬ける揚げ物19の種類(例:チキン(鶏の唐揚げ)、ポテト及びコロッケ)は、通常は同一とされることが多い。すなわち、フライ油17の漬け時間(揚げ時間)は、揚げ物19の種類ごとに相違しており、異種の揚げ物19は、漬け時間が異なるので、同時に揚げることが難しいからである。
【0055】
複数のボタンスイッチ23a,23b,・・・,23iが、揚げ物19の種類別に、ハウジング16の外面に設けられており、揚げ物19に対応するボタンスイッチを押すと、その揚げ物19に適した漬け時間が経過した後に、ブザー音がフライヤー14の不図示のスピーカから出力されるか、壁26のディスプレイ25に揚げが終了したことが表示されるようになっている。
【0056】
なお、揚げ物19の種類別に、フライ油17の温度を調整するスイッチが設けられていてもよい。ただし、フライ油17の温度は、揚げ物19の種類によってそれほど変わらないことが多いので、特定の温度に設定できるようになっているだけでもよい。
【0057】
カメラ29は、天井から吊るされるか、壁26に取り付けられている。カメラ29は、ビデオカメラ及びスチルカメラのどちらでもよく、フライヤー14の油槽15内の状態を連続して又は一定時間間隔で撮影する。カメラ29の出力画像からは、フライバスケット21内の揚げ物19の種類や個数等が検出可能である。
【0058】
情報処理機器27は、店舗32の内又は外に配備され(図示は店舗32の内に配備された例)、店舗支援ソフトウェア28を実装する。情報処理機器27は、ディスプレイ25及びカメラ29とデータを送受する。カメラ29から情報処理機器27に送られる撮像画像のデータからは、フライバスケット21内の揚げ物19の種類や個数等が検出可能である。さらに、カメラ29の撮像画像から油槽15へのフライバスケット21の出し入れも検出できるので、フライバスケット21ごとの揚げ時間も検出可能となる。
【0059】
フライ油17による揚げ調理を行う際には、まず、調理場10の調理者(図示せず)は、揚げ物19をフライバスケット21内に入れた後、フライバスケット21内の揚げ物19の全体がフライ油17に漬かるように、フライバスケット21を油槽15の周壁の上端に掛けるか、フライバスケット21の底が油槽15の底に当たるまで、フライバスケット21を沈める。その後、調理者は、今回、揚げ調理する揚げ物19の種類に対応する1つのボタンスイッチ23を押下する。
【0060】
フライヤー14は、調理者により操作されたボタンスイッチ23を判別し、操作されたボタンスイッチ23に対応付けられた揚げ時間が経過すると、前述したように、フライヤー14の不図示のスピーカからブザー音を出力する。
【0061】
なお、フライヤー14と情報処理機器27とをデータ送受自在に有線又は無線で接続し、フライヤー14における揚げ物19の揚げ時間の終了をディスプレイ25に報知することもできる。さらに、後述するように、フライ油17の劣化度を検出し、劣化度が第1閾値に達すると、ディスプレイ25に例えば「フライ油を交換して下さい。」の表示を行うようにしてもよい。
【0062】
さらに、フライ油17の劣化度が第2閾値(>第1閾値)に達すると、情報処理機器27は、フライ油17の劣化度が第2閾値になったことを、以降、継続的にディスプレイ25に表示するようにしてもよい。そして、さらに、フライヤー14のボタンスイッチ23の操作を無効にして、フライヤー14の使用を強制的に禁止するようにしてもよい。ディスプレイ25における表示は、調理担当者以外の他の店員、例えば責任者も視認できる位置に取り付けられる。
【0063】
それによって作業者は、フライが終了したことを感知し、フライバスケット21を引き上げて揚げ物19を油槽15から取出す。なお、フライバスケット21の上げ下げは、駆動機構を設けて、自動的に行うようにすることもできる。
【0064】
(フライ油処理作業情報報知システム)
図2は、フライ油処理作業情報報知システムが適用されるネットワークシステムの模式図である。店舗32a,32b,・・・,32jは、例えばコンビニエンスストアチェーンや、スーパーのチェーンを構成し、管轄部としての本部37により管轄される。
【0065】
店舗32a,32b,・・・,32jには、それぞれフライヤー14が配備されるとともに、情報処理機器27(図1)の店舗支援ソフトウェア28が配備される。
【0066】
管理サーバ40は、本部37に配備され、インターネット36を介して店舗32a,32b,・・・,32jの店舗支援ソフトウェア28とデータを送受する。管理サーバ40は、本部ソフトウェア41を実装し、データベース42に接続されている。
【0067】
本部37において、管理サーバ40には、データベース42及びディスプレイ43が接続されている。データベース42は、管理サーバ40の記憶装置としての役割も果たし、データベース以外の情報も適宜、記憶可能になっている。ディスプレイ43は、店舗32のディスプレイ25に対応するものであり、本部37の関係者が視認可能になっている。
【0068】
本部ソフトウェア41は、フライ油処理作業情報報知の処理だけでなく、売り上げ管理(例:POSシステム)等も実行する。管理サーバ40は、種々のコンピュータソフトウェアの実行主体として、基本的なハードウェア(例:CPU、ROM、RAM及びI/F(インターフェース)など)はすべて備える周知の構造である。
【0069】
店舗32におけるフライ油17の各種の処理作業を支援するために、複数の店舗32に共通の外部業者として廃油回収業者45、清掃業者46及びフライ油供給業者47が存在する。
【0070】
廃油回収業者45は、店舗32のフライ油17の廃油回収を行う。清掃業者46は、店舗32の油槽15の清掃作業を行う。フライ油供給業者47は、店舗32にフライ油17を供給する。廃油回収業者45、清掃業者46及びフライ油供給業者47は、それぞれ作業車両48,49,50を運転して、作業先の単数又は複数の店舗32に順番に出向き、各店舗32において作業を行う。
【0071】
各店舗32の油槽15からの劣化したフライ油17の抜き取り及び抜き取り後のフライ油17としての廃油の廃油缶への補給は、各店舗32の従業員(例:店員)が行う。典型的には、1つの廃油缶の容積は、新規フライ油を詰めた1個の新規フライ油ケースの容積に比して十分に大きく、新規のフライ油ケースの複数本に相当する容積を有する。
【0072】
フライ油17を抜き取った後の油槽15の清掃作業は、専門の清掃業者46が行ってもよいし、各店舗32の従業員(店員でもある。)が行ってもよい。廃油回収業者45と清掃業者46とは、同一の業者が兼業することもできる。清掃作業は、具体的には、油槽15に付着したカスを除去して、油槽15の面の汚れを中性洗剤等で落とすことである。
【0073】
清掃後の油槽15への未使用のフライ油ケースからのフライ油17の補給は、各店舗32の従業員が行う。油槽15の清掃は、通常、フライ油17の補給ごとに行うのではなく、フライ油17の複数回の補給に対して1回、行う。
【0074】
油槽15の清掃後、油槽15が乾いてきたら、油槽15にフライ油17を補給する補給作業が行われる。通常の店舗32では、フライ油17をケースで保管している。典型的な店舗32では、該ケースは、十分に在庫されており、在庫が5ケース位になったら、フライ油供給業者47に発注される。
【0075】
(フライ油処理作業報知装置/その1)
図3は、情報処理機器27の店舗支援ソフトウェア28に含まれるフライ油処理作業報知装置52の機能ブロック図である。このフライ油処理作業報知装置52は、後述の図4のフライ油処理作業報知装置72とは異なり、単独でフライ油処理作業報知を実行可能になっている。
【0076】
フライ油処理作業報知装置52は、フライヤー14と、その他の要素としての劣化状態解析部55、処理作業情報認識部56、第1報知部57、通知部58、異常性判定部59、第2報知部60及びアドバイス情報提示部61とを備える。処理作業情報認識部56は、さらに、スケジュール認識部63及びスケジュール立案部64を備える。その他の要素は、店舗支援ソフトウェア28が含むいくつかのルーチンのうちの1ルーチンの実行に伴い生成される。各機能の詳細は、後述の図5以降のフローチャートで述べる。
【0077】
第1報知部57及び第2報知部60は、別体でなく、同一の報知部とすることもできる。処理作業情報認識部56は、さらに、スケジュール認識部63及びスケジュール立案部64を備える。各機能の詳細は、後述の図5以降のフローチャートで述べる。
【0078】
(フライ油処理作業報知装置/その2)
図4は、図3のフライ油処理作業報知装置52とは別のフライ油処理作業報知装置72の機能ブロック図である。フライ油処理作業報知装置52とフライ油処理作業報知装置72とにおいて、同一の機能を果たすブロック同士は、同じ符号を付けている。
【0079】
フライ油処理作業報知装置72の処理は、インターネット36を介してデータを送受自在になっている店側処理装置72aと本部側処理装置72bとに分散して行われる。
【0080】
店側処理装置72aは、フライヤー14と、その他の要素としての劣化状態解析部55、第1報知部57及びアドバイス情報提示部61とを備える。本部側処理装置72bは、その他の要素として処理作業情報認識部56、通知部58、異常性判定部59及び第2報知部60を備える。その他の要素は、いずれも店舗支援ソフトウェア28又は本部ソフトウェア41(図2)の中の所定のルーチンの実行に伴って生成される。
【0081】
フライ油処理作業報知装置52,72は、共に本発明のフライ油処理作業情報報知システムであり、各機能ブロックがフライ油処理作業報知装置52に集中して存在するか、店側処理装置72aと本部側処理装置72bとに分散して存在するかが異なる。なお、以下の説明においては、フライ油処理作業報知装置72を採用した場合について説明する。
【0082】
(フライ油処理作業報知方法)
図5は、フライ油処理作業報知方法のフローチャートである。
【0083】
STEP101では、劣化状態解析部55は、フライ油17の劣化状態の解析処理を実施する。具体的には、劣化状態解析部55は、例えば、次の方法(a1)~(a8)の少なくとも1つにより又は複数の組み合わせにより油槽15のフライ油17の劣化度を認識することができる。
【0084】
(a1)劣化状態解析部55は、フライヤー14の油槽15への新しいフライ油17の補給日時をカメラ29の出力から認識する。そして、その後、フライヤー14において揚げられた揚げ物19の種類と種類別の揚げ個数を計数することによりフライ油17の劣化の進行を認識することができる。
【0085】
なお、フライヤー14において揚げられた揚げ物19の種類と種類別の揚げ個数の計数は、フライヤー14のボタンスイッチ23の操作回数を計数することによっても認識することができる。
【0086】
(a2)フライ油17は、劣化の進行に伴い、色が変化する。したがって、劣化状態解析部55は、フライ油17の色を監視して、現在の劣化度を認識することができる。
【0087】
(a3)フライ油17は、劣化の進行に伴い、粘度及び粘度上昇率が変化する。したがって、劣化状態解析部55は、フライ油17の粘度(=(粘度の測定値-揚げ物を揚げる前の測定値)/揚げ物を揚げる前の測定値)を監視して、現在の劣化度を認識することができる。なお、油槽15内のフライ油17の劣化度は、カメラ29により油槽15を監視して、フライ油17の加熱時間を計測すること、油槽15における揚げ物19の種類別の揚げ個数を計数すること、揚げ物19がフライ油17で揚げられている時にフライ油17から発生する音を分析すること等により認識することが可能である。
【0088】
(a4)店舗32の従業員は、適宜、フライ油17の酸価を、AV-CHECK(R)(東洋濾紙(株)製)等の試験紙の色にて測定し、その結果を所定のユーザーインターフェース(例:タブレット)から入力する。劣化状態解析部55は、測定された酸価に基づいてフライ油17の現在の劣化度を認識することができる。なお、フライ油17の酸価は、2.5を上回ると、油槽15のフライ油17は、廃油されて、新しいフライ油17に交換される。
【0089】
(a5)フライ油17は、劣化の進行に伴い、においが変化する。そのにおいは、ハンディにおいモニター(神栄テクノロジー(株)製)等のにおいセンサーを用いて測定することができ、その結果を所定のユーザーインターフェース(例:タブレット)から入力する。劣化状態解析部55は、測定されたセンサー値に基づいてフライ油17の現在の劣化度を認識することができる。
【0090】
(a6)フライ油17は、劣化の進行に伴い、極性化合物量が変化する。その極性化合物量は、市販の極性化合物測定装置(株式会社テストー製など)等を用いて測定することができ、その結果を所定のユーザーインターフェース(例:タブレット)から入力する。劣化状態解析部55は、測定されたセンサー値に基づいてフライ油17の現在の劣化度を認識することができる。
【0091】
(a7)フライ油17は、劣化の進行に伴い、フライ油17表面の泡立ちの状態が変化する。例えば、その泡立ちの状況(泡の発生状態)を、カメラ29の出力から、画像解析等によって、フライ油17の現在の劣化度を認識することができる。
【0092】
(a8)フライ油17は、劣化の進行に伴い、フライヤー14内のフライ油17で揚げ物19を揚げている時にフライ油17から発生する音が変化する。例えば、その音の状況を、カメラ29の内蔵マイクロホンの音声出力から、音響解析等によって、フライ油17の現在の劣化度を認識することができる。
【0093】
(a9)フライヤー14内のフライ油17は、基準温度以上である累積時間の増大に伴い、劣化の進行が進行する。したがって、該累積時間を計測することにより、フライ油17の現在の劣化度を認識することができる。なお、基準温度以上である累積時間とフライ油17の劣化度との関係については、図14で後述する。
【0094】
(a10)フライ油17の現在の劣化度は、発煙時の温度から認識することができる。したがって、カメラ29の撮影画像から発煙を認識し、さらに、発煙時のフライヤー14内のフライ油17の温度を温度センサーから認識することにより、フライ油17の現在の劣化度を認識することができる。
【0095】
発煙について補足する。揚げ物19を揚げている時の通常の油温は、170~190℃であり、この油温では、発煙しない。しかしながら、フライ油17の劣化が進むに連れて、発煙時の油温が下降し、この油温でも発煙が生じることになる。発煙は、油槽15のフライ油17からの発煙は、カメラ29により監視可能であるが、油槽15の近傍に別途専用の監視カメラを配備することもできる。発煙時の油温が170℃未満であるときは、油槽15のフライ油17は、全量又は一部が廃油される。そして、全量廃油したときには、全量が新しいフライ油17と交換され、一部廃油したときは、廃油した分量だけ新しいフライ油17と交換される。
【0096】
(a11)フライ油17の劣化度の進行に連れて、フライヤー14の内面に、特にフライ油17の表面の高さに重合物の付着が増大していく。したがって、フライヤー14の内面に付着した重合物の付着量をカメラ29で監視することにより、フライ油17の現在の劣化度を認識することができる。なお、フライヤー14の清掃に伴い、重合物の付着量は0になる。したがって、清掃作業後の最初のフライ油17の使用期間では、重合物の付着量そのものからフライ油17の現在の劣化度を認識することができる。しかしながら、清掃作業を省略して、フライヤー14内のフライ油17を全量、新しいフライ油17に交換することがある。この場合には、新しいフライ油17の使用開始時の重合物の付着量を初期付着量として記憶し、現在の付着量と初期付着量との差分に基づいてフライ油17の現在の劣化度を認識することになる。
【0097】
(a12)フライヤー14内のフライ油17で揚げ物19を油ちょうすると、フライ油17から所定の成分が揮発する。揮発成分は、周囲に発散し、分解物として、例えば換気扇等に付着する。油ちょうの時間が長くなるほど、揮発成分の発散量が増大するので、フライ油17の劣化度の進行と分解物の付着量とには、所定の相対関係がある。これに基づいて、調理場10の換気扇等における分解物の蓄積量をカメラ29の撮影画像で監視し、蓄積量の増大に基づいてフライ油17の現在の劣化度を認識することができる。なお、換気扇等の清掃により、分解物が除去されることになる。したがって、除去後の最初のフライ油の使用期間では、分解物の付着量がフライ油17の現在の劣化度を示していることになる。一方、分解物が除去されない間は、新しいフライ油17の使用開始時の分解物の付着量を初期付着量として記憶し、現在の付着量と初期付着量との差分に基づいてフライ油17の現在の劣化度を認識することになる。
【0098】
(a13)フライヤー14は、揚げ物19の調理中、電気又はガスを使用する。したがって、フライヤー14の電力又はガスの消費量は、油ちょうの時間に関係する。また、フライ油17の劣化は、油ちょうの時間の増大に連れて進行する。こうして、フライヤー14の電力又はガスの消費量に基づいてフライ油17の現在の劣化度を認識することもできる。
【0099】
さらに、フライ油17のカルボニル価も、フライ油17の劣化指標として選択可能である。フライ油17は、酸化すると、最初に、過酸化物を生成する。その後、その過酸化物は、分解し、カルボニル基を含む二次生成物を生成する。したがって、フライ油17のカルボニル価からフライ油17の劣化度を分析することできる。カルボニル価が50を上回ると、油槽15のフライ油17は、全量又は一部が廃油される。そして、全量廃油したときには、全量が新しいフライ油17と交換され、一部廃油したときは、廃油した分量だけ新しいフライ油17と交換される。
【0100】
STEP102では、処理作業情報認識部56は、劣化状態解析部55がフライ油17の劣化状態を解析した解析結果に基づいてフライ油17の処理作業情報を認識して、スケジュール処理を実施する。STEP102の詳細は、図6で後述する。
【0101】
STEP103では、処理作業情報認識部56は、店舗32間(対象店舗と単一又は複数の他店舗との間の対比を含む。)でフライ油17を対比する。具体的には、例えば、店舗32のフライ油17間の劣化の進行状態を対比する。STEP103の詳細は、図9で後述する。
【0102】
STEP104では、アドバイス情報提示部61は、アドバイス情報を店舗32の従業員、特に揚げ物19の調理担当者に提示する。アドバイス情報の具体例は、図11で後述する。
【0103】
図6は、処理作業情報認識部56によるスケジュール処理のフローチャートである。
【0104】
スケジュール処理は、図5で説明したように、STEP101のフライ油17の劣化状態の解析に基づいて行われる。したがって、次の図7A図8Bで説明する廃油作業、油槽15の清掃作業、及び油槽15へのフライ油17の補給作業に関する処理作業スケジュールも、劣化状態解析部55によるフライ油17の劣化状態の解析処理からフライ油17の交換等が必要になったことが判明した時点で、フライ油17の劣化度が許容限度を超える前にそれらの作業が実行されるように、立案される。
【0105】
なお、図7A図8Bで例として説明する店舗32の営業時間スケジュール等に基づいて立案される処理作業スケジュールは、廃油回収作業等が店舗32の調理業務に与える影響を最小限にする立案方針で立案されている。
【0106】
すなわち、店舗32の営業時間中は、清掃作業等により揚げ物19の調理が中断されることが極力、回避されるように、また、廃油回収作業は、店舗32の販売業務に影響を与えることのないよう、フライヤーの稼働外の期間や営業時間外の期間に行われるように、さらに、限られた人数の店員が店舗32の顧客に対応しなければならない多忙期間を回避して補給作業等が行われるように、立案された処理作業スケジュール例を示している。
【0107】
STEP111では、スケジュール認識部63は、店舗32のフライヤーの稼働スケジュール、営業時間スケジュール及び店舗32の店員の勤務時間スケジュールの少なくとも1つのスケジュールを認識する。
【0108】
STEP112では、スケジュール立案部64は、スケジュール認識部63で認識されたスケジュールと、劣化状態解析部55による解析結果とに基づいて、第1報知部57で報知する処理作業情報に含める処理作業スケジュールを立案する。
【0109】
図7A及び図7Bは、スケジュール立案部64が店舗32の営業時間スケジュール及び店舗32の店員の勤務時間スケジュールに基づいて処理作業のスケジュールを立案するときの立案例の説明図である。
【0110】
簡略化のために、同一の店舗32で働く店員は、店員A,Bの2名にしている。to,tcは、それぞれ店員A,Bが働く店舗32の開店時刻及び閉店時刻を意味する。図7A及び図7Bでは、1日目と2日目との2日分の営業時間及び勤務時間で立案されるスケジュールを説明している。
【0111】
図7A及び図7Bの例では、油槽15の清掃作業を店員Bが行うことを想定している。これに対し、後述の図8A及び図8Bの例では、単一の店舗32に複数のフライヤー14が存在するので、油槽15の清掃作業は、外部の清掃業者46が行うことを想定している。清掃後の油槽15への新しいフライ油17の補給は、比較的簡単な作業であるので、図7A図8Bでは、早朝勤務の店員Aが担当することを想定している。
【0112】
油槽15の清掃は、油槽15のフライ油17の補給(交換)ごとに行うものではなく、複数回の補給に対し1回の割で行うのが通例である。店舗32内には、1つの補給用フライ油ケースに対して十分に容積の大きい廃油缶が用意され、古くなったフライ油17を油槽15から抜く都度、店員が古いフライ油17を該廃油缶に移すようにしている。図7A及び図7Bの例では、廃油缶が満杯になる前に、廃油回収業者45が店舗32に来て、廃油の回収を行うスケジュールがスケジュール立案部64により立案される。
【0113】
図7Aでは、店員Aは、両日(1日目及び2日目)共に、店舗32の開店時刻toから勤務開始する勤務時間スケジュールになっている。一方、店員Bは、両日共に、店舗32の閉店時刻tcに勤務を終了する勤務時間スケジュールになっている。
【0114】
図7Bでは、店員Aは、両日(1日目及び2日目)共に、店舗32の開店時刻toの少し前から勤務開始する勤務時間スケジュールになっている。一方、店員Bは、両日共に、店舗32の閉店時刻tcの少し後に勤務を終了する勤務時間スケジュールになっている。
【0115】
図7A及び図7Bにおいて、油槽15へのフライ油17の補給作業の開始タイミングは、清掃作業が終了した後に店員Aが最初に仕事開始する2日目の開店時刻toになるように、スケジュール立案部64は、スケジュールを立案する。
【0116】
図7A及び図7Bにおいて、油槽15のフライ油17の清掃作業の開始タイミングは、終了タイミングが店員Bの勤務終了時刻に重なるように、スケジュール立案部64は、処理作業スケジュールを立案する。
【0117】
廃油回収業者45による廃油回収の作業時間は、店舗32の営業に支障のないように、店舗32の閉店期間内になるように、スケジュール立案部64は、処理作業スケジュールを立案する。
【0118】
STEP112におけるスケジュール立案部64による処理作業スケジュールの立案では、店舗32にフライヤー14が複数、ある場合には、同一店舗の複数のフライヤーに対する廃油作業の作業期間同士、清掃作業の作業期間同士、及び補給作業の作業期間同士のうちの少なくとも1つの作業期間同士が、重なるように又は重ならないように、処理作業スケジュールを立案する。
【0119】
図8A及び図8Bは、店舗32にフライヤー14がフライヤーA,Bとして複数配備されている場合のスケジュール立案部64による処理作業のスケジュールの立案例の説明図である。店員A,Bの勤務時間は、それぞれ図7A及び図7Bに対応している。
【0120】
店員A,Bの負担を軽減するために、図8A及び図8Bの場合は、油槽15の清掃は、外部の清掃業者46が行うことを想定している。また、この例では、清掃業者46は、廃油回収業者45を兼ねている。したがって、清掃業者46は、油槽15の清掃が終了しだい、廃油回収作業を行うことを想定している。
【0121】
図8A及び図8Bにおいて、清掃業者46の清掃作業及び廃油回収作業の能率化のために、フライヤーA,Bの清掃作業期間同士及び廃油回収作業期間同士が重なるように、スケジュール立案部64は処理作業スケジュールを立案する。
【0122】
なお、フライ油17の劣化度の進行は、フライヤーA,Bで異なる。しかしながら、フライヤーA,Bの清掃作業前の最後のフライ油17の使用終了タイミング(フライ油17の劣化度が所定の閾値に達するタイミング)がほぼ同日の閉店時刻tcになるように、フライヤーA,Bの劣化度の進行を制御することもできる。例えば、フライヤーA,Bの劣化度を監視し、両者の劣化度がほぼ同一に進行するように、フライヤーA,Bで揚げる揚げ物19の種類を制御する。フライ油17の劣化度の進行速度は、揚げ物19の種類で相違する。
【0123】
清掃作業後のフライ油17の補給作業は、清掃作業後、店員Aが勤務開始する最初の作業としてスケジュールが立案される。
【0124】
STEP113では、通知部58は、スケジュール立案部64が立案した処理作業スケジュールを関係者及び関係業者に通知する。関係者には、店舗32の店員等が含まれ、関係業者には、廃油回収業者45、清掃業者46及びフライ油供給業者47が含まれる。
【0125】
通知の通知元は、例えば、情報処理機器27又は管理サーバ40となり、通知先は、廃油回収業者45、清掃業者46及びフライ油供給業者47になる。通知の形態としては、一般には、電子メールである。電子メールによる通知は、各送信先のメールアドレスに対して行われる。
【0126】
通知の形態として、自動発注システムのアプリを使用することも可能である。この場合、通知元のアプリは、通知内容(処理作業スケジュール)を自動的に通知先のアプリに通知する。
【0127】
また、通知は、2段階で行うことも可能である。その場合、例えば、第1段階では、電子メール又はアプリにより情報処理機器27又は管理サーバ40からフライ油供給業者47に通知が行われる。そして、第2段階では、別の電子メール又は別のアプリにより、フライ油供給業者47から廃油回収業者45及び清掃業者46に通知が行われることになる。
【0128】
なお、スケジュール立案部64は、立案した処理作業スケジュールを、関係者及び関係業者に出す前に、各関係業者の作業が効率良く行われるように、店舗32間の作業スケジュールを見直して、調整することができる。
【0129】
また、廃油回収業者45、清掃業者46及びフライ油供給業者47は、通知部58から受信した作業スケジュールに対して見直しを希望することができる。その場合は、スケジュール立案部64は、関係業者の作業が円滑に実施できるように、作業スケジュールを調整する。
【0130】
通知部58は、調整後の作業スケジュールを関係者及び関係業者に再通知する。
【0131】
STEP114では、第2報知部60は、スケジュール立案部64が立案したスケジュールを報知する。この報知は、例えば、店舗32のディスプレイ25及び本部37のディスプレイ43の両方において視覚表示で行われる。
【0132】
(フライ油対比処理)
図9は、フライ油対比処理のフローチャートである。
【0133】
STEP121では、異常性判定部59は、各店舗32から該店舗32の劣化状態解析部55による解析結果を収集する。
【0134】
STEP122では、異常性判定部59は、STEP111で収集した解析結果に基づいて劣化状態の回帰直線を作成する。
【0135】
図10は、複数の店舗32から収集した解析結果に基づいて作成された劣化状態の回帰劣化直線Wcを示す。図10において、横軸は、揚げ物19の揚げ個数である。縦軸は、フライ油17の劣化度である。Usは、油槽15のフライ油17を新しいフライ油17に交換して使用開始する時に対応する座標である。
【0136】
揚げ物19の揚げ個数の増大に連れて、フライ油17の劣化度が進んでいく。揚げ物19の揚げ個数の1個(単位個数)当たりの劣化度の増大は、揚げ物19の種類ごとに異なる。図10では、各種類の揚げ個数は、基準の種類の揚げ個数に換算し、横軸は、該基準の種類の揚げ個数になっている。
【0137】
こうして、十分に長い期間にわたって複数の情報処理装置33から収集した解析結果に基づいて回帰劣化直線Wcが完成する。
【0138】
図10において、Wu,Wdは、Wcに対して上限及び下限の正常劣化直線を示している。これに対し、Va,Vbは、それぞれ店舗A,Bのフライ油17の解析結果の劣化特性線を示している。Vaは、Wuを上回る劣化特性線としての例である。Vbは、Wdを下回る劣化特性線の例である。Va,Vbは、後述のSTEP114で異常性有りと判断される劣化特性線の例である。
【0139】
STEP123では、異常性判定部59は、異常判定対象の店舗32の劣化特性線を回帰劣化直線に照合する。
【0140】
STEP124では、異常性判定部59は、STEP123における対比に基づいて各店舗32の解析結果について異常性の有無を判定する。そして、異常性判定部59は、異常性有りと判定したときは、処理をSTEP125に進ませ、異常性無しと判定したときは、処理を終了する。
【0141】
異常性の有無における重点項目として、例えば、過去の自店舗の情報または他店舗の情報と比較して、フライ油17の劣化度の閾値に達する時間が早いことや、劣化度の閾値に達する時間が早いことによりフライ油の発注感覚が短くなる等がある。
【0142】
例えば、フライヤー14に付属している温度センサー(図示せず)が故障して、油槽15内のフライ油17が想定以上に高温となると、フライ油17の劣化は早まる。また、フライ油17中の揚げカスの除去が不十分であるときも、フライ油17の劣化は早まる。複数の店舗32間で、フライ油17の劣化度の閾値に達する時間やフライ油の発注の時間間隔を対比することにより、特定の店舗32における温度センサーの故障や、揚げカスの不十分な除去を速やかに認識して、適切に対処することが可能になる。
【0143】
STEP125では、第2報知部60は、異常性有りと判定した情報処理装置33を報知する。この報知は、異常性有りと判定した店舗32のディスプレイ25及び本部37のディスプレイ43の両方で行われる。
【0144】
ディスプレイ43における表示例として、例えば、(b1)「店舗32aは劣化の速度が速いです。」がある。
【0145】
本部37のディスプレイ43において(b1)の表示を見たエリア担当者は、速やかに該当の店舗32aに調査に行く。
【0146】
異常性判定部59は、異常性の有無を各店舗32の劣化特性線と回帰劣化直線Wcとの対比に基づいて判断している。しかしながら、回帰劣化直線Wcに代えて、所定の店舗32をフライ油17の使用の模範店に設定し、該模範店の回帰直線を、模範回帰直線とする。そして、該模範回帰直線と各店舗32の劣化直線との対比に基づいて異常性の有無を判定し、判定結果を第2報知部60が各店舗32のディスプレイ25及びインターネット36を介した本部37設置のディスプレイ43に報知してもよい。
【0147】
(アドバイス情報の提示)
図11は、アドバイス情報の提示処理のフローチャートである。アドバイス情報の一例として油槽15に新しいフライ油17を付加すること(以下、適宜「追加油」という。)について説明する。
【0148】
追加油とは、油槽15のフライ油17を全量、新しいフライ油17に交換するのではなく、油槽15内に古いフライ油17を残したまま、新しいフライ油17を油槽15に量Wn、追加することを意味するものとする。なお、新しいフライ油17を油槽15に量Wn、追加するに当たり、古いフライ油17は油槽15から量Wo廃棄する。通常は、量Wo=量Wnかつ量W>0であるが、量Wo<量Wnや量Wo=量Wnであるときも、追加油に含める。
【0149】
図11の説明に先立ち、図12図15を参照して、追加油の意義について説明する。図12は、フライ油17の加熱継続時間とフライ油17の酸価との関係を示すグラフである。フライ油17を等温度に維持しつつ、フライ油17の酸価が加熱継続時間(0時間-12時間)に対してどのように変化しているかを示している。加熱温度が120℃であるときは、加熱継続時間が増大しても、酸価は不変であるのに対し、加熱温度が170℃であるときは、加熱継続時間の増大に連れて、酸価が増大していることが分かる。
【0150】
フライヤー14における揚げ物19の調理は、典型的には、油槽15内のフライ油17を170℃に維持して、行われる。図13は、店舗32の営業時間中の時刻とフライヤー14の油槽15のフライ油17の温度との一般的な関係を示している。揚げ物19は、店舗32の営業時間中、常時、フライヤー14で調理されているのではなく、断続的に行われる。フライヤー14で揚げ物19を調理している期間では、油槽15のフライ油17の温度は、160℃以上であると、判断される。したがって、油槽15のフライ油17の温度が160℃未満である期間は、除外期間Teとして、次の図14の累積時間から除外される。以上
【0151】
図14は、フライ油17が160℃以上である累積時間と劣化(特に酸価)との関係を示すグラフである。酸価と累積時間は比例関係にあることが分かる。
【0152】
図15は、油槽15内のフライ油17について酸価と使用時間との関係が追加油の回転率Rでどのように変化するかを示したグラフである。なお、回転率Rは次の式(1)で定義する。
R(%/h)={設定時間内の追加油の合計量(リットル)/張り込み油量(リットル)}÷設定時間(h)×100%・・・(1)
【0153】
式(1)において張り込み油量は、油槽15の容積である。例えば、張り込み油量を20リットル、設定時間を8時間、該8時間内の追加油の合計量が10リットルであるときは、式(1)から回転率Rは次のように計算される。R(%/h)={10(リットル)/20(リットル)}÷8(h)×100%=6.25%/h・・・(2)
【0154】
一方、廃油の合計量は、10リットルとなる。なお、式(1)での追加油は、新規なフライ油17の各追加では、追加量と同量の古いフライ油17を廃油している。
【0155】
毎日、張り込み油量の10%を追加油の実施のために、廃油すると、1月(=30日)で合計300%の廃油が生じることになる。また、5日に1回、全量(100%)廃油することにすると、1月で600%の俳優が生じることになる。
【0156】
図15から回転率Rが大きいほど、油槽15のフライ油17の酸価が抑えられることになる。しかしながら、回転率Rが大きいほど、廃油の量(フライ油17の購入量)も増える。また、酸価が廃油レベルLdに達したときは、油槽15のフライ油17を全量、新規なフライ油17と交換する必要がある。油槽15の清掃は、フライ油17の全量交換の時しか実施困難である。回転率R≒10%であるときは、酸価については、廃油レベルLdに達しないので、フライ油17の全量交換をしなくても済ませるものの、油槽15の清掃のために、定期的に実施したほうが好ましい。
【0157】
したがって、例えば、最初は、回転率R≒10%/hで追加油を実施し、そろそろフライ油17の清掃する必要が生じたり、フライ油17の清掃作業を実施する日に近づいてきたら、回転率R≒5又は0にすることが効率的である。または、揚げ物19の売れ行きが良い繁忙期は、回転率R≒10%で、追加油を実施し、有閑期は、回転率R≒5又は0にすることが効果的である。アドバイス情報提示部61は、店舗32における揚げ物19の売上高を参照しつつ、追加油の時期及び量を店舗32にアドバイスする。
【0158】
図11において、STEP131では、アドバイス情報提示部61は、現在がフライヤー14の休止期間であるか否かを判定する。フライヤー14の休止期間とは、例えば、図13の除外期間Teである。アドバイス情報提示部61は、判定が肯定的であるときは、処理をSTEP132に進ませ、判定が否定的であるときは、処理を終了する。
【0159】
STEP132において、アドバイス情報提示部61は、店舗32の揚げ物19の調理の関係者が希望する油槽15の次の清掃作業の作業日時を認識する。店舗32の揚げ物19の調理の関係者は、油槽15の次の清掃作業の作業日時をアドバイス情報提示部61にあらかじめ指定することができる。油槽15の次の清掃作業の作業日時は、店舗32の揚げ物19の調理の関係者がアドバイス情報提示部61に対して一々指示することなく、アドバイス情報提示部61は、処理作業情報認識部56に問い合わせて、認識することもできる。
【0160】
STEP133において、アドバイス情報提示部61は、劣化状態解析部55の解析に基づいてフライ油17の現在の劣化度を認識する。
【0161】
STEP134において、アドバイス情報提示部61は、過去所定期間(例:過去10日間や2週間)の揚げ物19の種類別の売上個数実績から油槽15の次の清掃作業までの揚げ物19の種類別の売上個数を予測する。
【0162】
STEP135において、アドバイス情報提示部61は、現在の劣化度とSTEP134で予測した揚げ物19の種別の売上個数に基づいて油槽15の次の清掃作業までのフライ油17の劣化度を予測する。
【0163】
STEP136において、アドバイス情報提示部61は、STEP134で予測したフライ油17の劣化度が閾値(例:図15の廃油レベルLd)を超えないように今回のフライヤー14の休止期間の回転率Rを計算する。
【0164】
STEP137において、アドバイス情報提示部61は、STEP134で計算した回転率Rをアドバイス情報として揚げ物19の調理担当者に通知する。通知は、具体的にはディスプレイ25に表示することにより行われる。
【0165】
(変形例)
図3及び図4の第1報知部57及び第2報知部60は、音声報知部及び視覚報知部の少なくとも一方である。音声報知及び視覚報知による報知には、音声出力及び視覚表示の例として、(c1)「そろそろ油の交換時期です。」、及び(c2)「そろそろ油の在庫がなくなります。」が挙げることができる。
【0166】
(c1)の報知に対しては、店員は、フライヤー14内のフライ油17を手作業で交換するだけでなく、フライヤー14の交換作業を自動化して、ボタン押しだけで対応することもできる。すなわち、ボタンを押すと、油槽15の底の開閉弁が開き、油槽15内の古いフライ油17が油槽15から排出される。古いフライ油17の排出が終了すると、開閉弁は、自動的に閉じ、次に、補給路を介して油槽15に所定量の新しいフライ油17が自動供給される。
【0167】
(c2)の報知に対しては、店員は、フライ油17を所定量、発注する。店舗32へのフライ油17の供給は、フライ油供給業者47が店舗32に立ち寄って、店舗32のフライ油調理貯留タンク(図示せず)にフライ油を供給する。小規模の店舗32では、フライ油17が所定容積の缶に詰め込まれていて、缶の本数でフライ油17の供給がフライ油供給業者47により行われてもよい。
【0168】
図1では、作業者が、手作業でフライバスケット21をフライヤー14の油槽15内に出し入れするようにしている。しかしながら、フライバスケット21を上下方向に自動的に昇降させる昇降機構を追加し、作業者が、ボタンスイッチ23を押すと、昇降機にセットしたフライバスケット21が下降して、油槽15内のフライ油17に自動的に浸かるようにすることもできる。そして、揚げ時間が終了すると、その報知と共に、フライバスケット21が自動的に上昇して、油槽15から離脱するようにすることもできる。
【0169】
(変形例)
実施形態では、揚げ物調理所として店舗32を例にして説明している。本発明の揚げ物調理所は、店舗以外に工場も含む。工場においても、フライ油を使って、揚げ物を揚げることがあるからである。
【0170】
実施形態では、調理関係者として、店舗32の店員を例にして説明している。本発明の調理関係者は、その他として、店舗32の店主や、工場の従業員を含むことができる。
【0171】
本部37は、例えば、店舗のチェーン本社、工場を管理する本部やフライ油の供給業者(問屋、フライ油の製造業者など)等、また、前記チェーン本社やフライ油の供給業者が設計したクラウドが挙げられ、ここでは管轄部とする。管轄部は店舗のチェーン本社、工場を管理する本部及びフライ油の製造業者が好ましい。本発明の管轄部は、本部37でなくても、フライ油17の取り扱いについて店舗32を管轄する部門であれば、よい。
【0172】
実施形態では、フライヤーとして電気式のフライヤー14が用いられている。本発明のフライヤーは、揚げ物をフライ油で揚げる調理容器であるなら、何でもよく、ガス式や電磁式のフライヤー、鍋等であってもよい。
【0173】
図3のSTEP103の対比処理において、処理作業情報認識部56による店舗32間のフライ油17の対比では、対象店舗と複数の他店舗との間の対比だけでなく、対象店舗と単一の他店舗との間の対比を含むと述べた。図9のフライ油対比処理のフローチャートは、対象店舗と複数の他店舗との間の対比の例である。
【0174】
これに対して、対象店舗と単一の他店舗との間の対比では、単一の他店舗は、2つの店舗32のフライ油17の劣化状態の解析結果のみで、対象店舗のフライ油の劣化状態の異常性の有無を判定することになる。他店舗としては、自店舗と類似する特性(立地、顧客の属性等)を有する店舗を採用することが望ましい。類似する店舗32間の解析結果を対比する方が、類似しない店舗32間の解析結果を対比するより、適切に異常性を判定することができるからである。
【0175】
実施形態では、劣化状態解析部55がフライ油17の劣化状態を酸価や粘度等を分析するのに当たり、フライ油17の粘度や酸価等の個々のパラメータについて実験で調べた特性を使用して、分析している。しかしながら、劣化状態解析部55にAI(artificial intelligence:人工知能)、機械学習、ディープラーニング)を実装させ、フライ油17のその時々の劣化状態を認識させることも可能である。
【0176】
実施形態では、フライ油17を貯留する油槽15は、フライヤー14に一体に形成されている。変形例として、フライ油17を貯留する油槽は、カートリッジ式としてフライヤー14とは別体にすることもできる。油槽カートリッジは、使用開始の際は、フライヤー14に上方を開放して形成された凹所(例えば、図1の油槽15のような凹所)に上から落とし込まれる。次に、油槽カートリッジは、上方のシール壁が除去され、中のフライ油17が上方に露出し、図1の油槽15のようになって、使用開始される。フライ油17が劣化し、新しいフライ油17に交換するときは、作業担当者は、油槽カートリッジの上端周縁を把持して、凹所から取り出して、新しい油槽カートリッジと交換する。このような使い捨て型あるいはリサイクル型のカートリッジ式の油槽では、油槽の煩雑な清掃作業を省略することができる。
【0177】
実施形態では、フライ油17の劣化の進行についての劣化状態解析部55の認識の一部は、店舗32の従業員の手作業によるタブレットからの手作業の入力に代えてセンサーを使用することができる。例えば、前述の(a4)における試験紙の色は、タブレット又は情報処理機器27のアプリが該タブレットの内蔵カメラ又はフライヤー14の近傍に設置したカメラから読み込んで、劣化状態解析部55が認識するようにしてもよい、
【0178】
(実施形態の効果)
実施形態の作用及び効果をまとめると、次のとおりである。
【0179】
1)システム上で、店舗32において種類ごとに販売個数の変動の大きい揚げ物19の揚げ調理に共通に使用されるフライヤー14のフライ油17の劣化状態が解析される。そして、解析結果に基づいてフライ油17の処理作業情報が認識され、認識された処理作業情報がディスプレイ25等で報知される。
【0180】
この結果、調理担当者がフライ油17に関する知識を十分に有していないような場合であっても、報知された処理作業情報に従うだけで、状況に応じて劣化が進行するフライ油17の処理作業を適切に行うことができる。
【0181】
2)スケジュール立案部64は、店舗32のフライヤーの稼働スケジュール、営業時間スケジュール及び店舗32の調理担当者の勤務時間スケジュールと、劣化状態解析部55による解析結果とに基づいて処理作業スケジュールを立案する(図7A図7B)。
【0182】
この結果、状況に応じて劣化が進行するフライ油17の処理作業だけでなく、店舗32の全体としてのスケジュールを勘案した合理的な処理作業スケジュールを立案することができる。また、調理担当者は、フライ油17の処理作業だけでなく、他の作業についても適切なタイミングで行うことができるので、調理担当者の行うべき作業の手順を合理化して、店舗32全体の業務改善を図ることができる。
【0183】
3)スケジュール立案部64は、同一店舗32の複数のフライヤー14に対する廃油作業の作業期間同士、清掃作業の作業期間同士、及び補給作業の作業期間同士のうちの少なくとも1つの作業期間同士が、重なるように処理作業スケジュールを立案する(図8A図8B)。
【0184】
これにより、フライ油17の処理作業のタイミングをわざと重ならせるようにすると、処理作業を一括化して、作業時間の短縮を図ることができる。
【0185】
4)スケジュール立案部64は、同一店舗32の複数のフライヤー14に対する廃油作業の作業期間同士、清掃作業の作業期間同士、及び補給作業の作業期間同士のうちの少なくとも1つの作業期間同士が、重ならないように処理作業スケジュールを立案する(図8A図8Bの変形例)。
【0186】
このように、わざと重ならせないようにすると、調理担当者が少ない場合であっても、一方のフライヤー14に対する処理を行っている間に、他方のフライヤー14の処理が停止してしまうことを防止して、処理作業の円滑化を図ることができる。
【0187】
5)スケジュール立案部64は、店舗32の処理作業スケジュールを、他店舗32の劣化状態解析部55による解析結果を参照することなく立案する(図3の実施形態)。
【0188】
これにより、各店舗32のスケジュール立案部64は、他店舗32の解析結果がなくても、処理作業スケジュールを立案することができる。すなわち、各店舗32のスケジュール立案部64は、単独で各店舗32の処理作業スケジュールを立案することができるので、他店舗32のスケジュール立案部64との通信を省略して、処理負荷を軽減しつつ、迅速に各自の処理作業スケジュールを立案することができる。
【0189】
6)スケジュール立案部64は、店舗32の処理作業スケジュールを、他店舗32の劣化状態解析部55による解析結果に基づいて立案する(図4の実施形態)。
【0190】
これにより、各店舗32のスケジュール立案部64は、他店舗32の処理作業スケジュールを参考にして、自店舗32の処理作業スケジュールの改善を図ることができる。
【0191】
7)スケジュール立案部64は、店舗32の処理作業スケジュールを、廃油回収作業を行う廃油回収業者45、清掃作業を行う清掃業者46、及び店舗32にフライ油17を供給するフライ油供給業者47のスケジュールに基づいて立案する(図6/STEP113の関連説明)。
【0192】
これにより、スケジュール立案部64が立案する処理作業スケジュールと、廃油回収業者45等の外部の協力業者のスケジュールに適合した処理作業スケジュールを立案することができる。この結果、スケジュール立案部64は、外部の業者との協力関係を改善した処理作業スケジュールを立案することができる。
【0193】
8)通知部58は、スケジュール立案部64が立案した店舗32における処理作業スケジュールを廃油回収業者45等に通知する(図6/STEP113)。
【0194】
これにより、廃油回収業者45等の協力業者は、該通知された処理作業スケジュールに合わせたスケジュールを立てて、外部協力業者としての自分の作業能率を改善することができる。
【0195】
9)店舗32のフライ油17の使い方の異常性を判定する場合、店舗32におけるフライ油17の劣化状態の進行について閾値を設定して、閾値と対比して、フライ油17が異常性のある使い方で使用されているか否かを判定する仕方がある。これに対し、実施形態では、複数の店舗32の劣化状態解析部55から解析結果を収集して、収集した複数の解析結果から回帰直線を作成し、それに各店舗32の解析結果を照合している(図9及び図10)。
【0196】
10)店舗32の従業員は、アドバイス情報提示部61から提示された、劣化状態解析部55がフライヤー14内のフライ油17の解析結果に基づくフライ油17に対する処理についてのアドバイス情報に基づいて、フライ油17に対する処理を改善することができる。
【0197】
11)店舗32の従業員は、フライヤー14内に新しいフライ油17を付加する油付加の実施をアドバイス情報として提示される。これにより、フライ油17の無駄な交換や付加を回避しつつ、高品質の揚げ物19を揚げることができる。
【0198】
実施形態においては、種々の検出パラメータに基づいてフライヤー14内のフライ油17の劣化状態を解析する。フライ油17の色を検出パラメータとするときは、カラーカメラの撮像画像から微妙な色の変化を簡単かつ低コストで検出することができる。粘度、粘度上昇率又は酸価を検出パラメータとするときは、それらとフライ油17との劣化状態との対応関係のばらつきが小さいので、検出精度を高くすることができる。
【0199】
においは、周囲への拡散性が高いので、においを検出パラメータとするときは、フライヤー14から十分に離れた場所からも、フライ17油の劣化状態を検出することができる。フライ油17の基準温度以上の累積時間を検出パラメータとするときは、検出値のばらつきが小さくなるので、温度センサとタイマーとを用いて、フライ油17の劣化状態を低コストかつ低スペースで高精度で検出することができる。油ちょう時のフライ油17の発生音を検出パラメータとするときは、低コストのマイクロホンなどをセンサーとして使用することができる。
【0200】
フライ油17の発煙時の温度を検出パラメータとするときは、発煙時の温度とフライ油17の温度との関係は、信頼性が高いので、フライ油17の劣化状態を高い信頼性で検出することができる。フライ油17における泡の発生状態は、カメラの撮像画像から容易に検出できるので、見落としを少なくすることができる。フライヤー14の内面の重合物の量や、フライ油17の揮発に起因する分解物の蓄積量は、フライヤー14の停止中も検出できるので、検出時間の制約を少なくすることができる。フライヤー14の電力又はガスの消費量を検出パラメータとするときは、フライヤー14に電力メータやガスメータを併設して、フライ油17の劣化度を細かく検出することができる。
【0201】
実施形態の回帰直線は、複数の店舗32におけるフライ油17の平均的な使い方を示すので、各店舗32は、自店舗の劣化状態解析部55による解析結果を回帰直線と照合することにより、フライ油17について自店舗の使い方が複数の店舗の平均または自店舗の過去情報に対してどのような状況であるかを容易かつ的確に判定することができる。
【0202】
実施形態のフライ油供給業者47とは、常識的には、各店舗32へのフライ油17の配送を専門とするフライ油配送業者である。しかしながら、店舗32へフライ油17を配送する業者であれば、フライ油供給業者47は、配送を専門とするフライ油配送業者でなくてもよい。フライ油17の問屋や、フライ油製造・販売業者がフライ油供給業者47であってもよい。
【0203】
業者間の典型的な役割分担では、店舗32からのフライ油17の発注は、問屋に対して行われ、フライ油製造・販売業者は、問屋からの連絡を受けて、各店舗32にフライ油17を配送、供給している。フライ油製造・販売業者は、フライ油17の発注を、店舗32との間に問屋を介在することなく、店舗32から直接受けて、発注を受けた店舗32にフライ油17を配送、供給することもできる。さらに、フライ油製造・販売業者は、問屋又は店舗32から受けたフライ油17の発注に対し、該発注に基づいてフライ油17の製造を行うこともできる。
【符号の説明】
【0204】
14・・・フライヤー、15・・・油槽、17・・・フライ油、19・・・揚げ物、32・・・店舗、37・・・本部(管轄部)、45・・・廃油回収業者、46・・・清掃業者、47・・・フライ油供給業者、52,72・・・フライ油処理作業報知装置(フライ油処理作業情報報知システム)、55・・・劣化状態解析部、56・・・処理作業情報認識部、57・・・第1報知部、58・・・通知部、59・・・異常性判定部、60・・・第2報知部、61・・・アドバイス情報提示部、63・・・スケジュール認識部、64・・・スケジュール立案部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15