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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】発光装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20240627BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L21/02 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020182586
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072895
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】金井 照満
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-035064(JP,A)
【文献】特開2011-222999(JP,A)
【文献】特開2010-278151(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0105826(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0122836(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107393940(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を含む第1シリコン基板と、
前記第1シリコン基板の前記第2面側に設けられ、前記第2面と対向する第3面と、前記第3面とは反対側に位置する第4面と、を含む第2シリコン基板と、
前記第1シリコン基板の前記第1面に形成されたスイッチング素子と、
前記第2シリコン基板の前記第4面側に設けられた発光素子と、
絶縁部材と、
前記絶縁部材内に設けられ、前記スイッチング素子を前記発光素子に接続する配線電極と、
を備え、
前記第1シリコン基板及び前記第2シリコン基板には第1貫通孔が形成されており、
前記絶縁部材は前記第1貫通孔の側面に設けられており、
前記絶縁部材には、前記発光素子を露出させる第2貫通孔が形成されている発光装置。
【請求項2】
前記第1面の少なくとも一部は第1導電型であり、
前記スイッチング素子は、
前記第1面に形成された第2導電型の第1半導体領域及び第2半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域の間における前記第1シリコン基板の前記第1面に接する絶縁膜と、
前記絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
を有し、
前記発光素子は、
前記第1導電型の第1半導体層と、
前記第2導電型の第2半導体層と、
前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた活性層と、
を有し、
前記配線電極は、前記第1半導体層及び前記第2半導体層のうちの一方と、前記第1半導体領域とを接続する請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1半導体層、前記活性層、及び、前記第2半導体層は、ガリウム及び窒素を含む請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1貫通孔の側面及び前記第1面を覆う光反射部材をさらに備えた、請求項1~3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項5】
前記絶縁部材は、孔を有し、
前記配線電極は、
上面視において前記発光素子が設けられた領域よりも外側に位置する導通部を有し、前記発光素子に接続された第1配線と、
少なくとも一部が前記孔内に設けられ、前記導通部と前記スイッチング素子とに接続された第2配線と、
を有した請求項1~4のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項6】
前記第2貫通孔内に設けられた波長変換部材をさらに備えた請求項1~5のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項7】
前記第2シリコン基板の前記第4面及び前記発光素子に接合された支持基板をさらに備えた請求項1~6のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項8】
第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面とを含み、少なくとも前記第1面の一部が第1導電型である第1シリコン基板と、前記第1シリコン基板の前記第1面上に設けられた絶縁膜と、前記第1シリコン基板の前記第2面側に設けられ、前記第2面と対向する第3面と、前記第3面とは反対側に位置する第4面とを含む第2シリコン基板と、前記第2シリコン基板の前記第4面上に設けられた発光素子と、前記発光素子に接続され、上面視において前記発光素子が設けられた領域よりも外側に位置する導通部を有する第1配線と、を含む構造体を準備する工程と、
前記絶縁膜上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクとして前記第1シリコン基板の前記第1面に不純物を注入することにより、前記第1シリコン基板の前記第1面に第2導電型の第1半導体領域及び第2半導体領域を形成する工程と、
前記絶縁膜、前記第1シリコン基板、及び前記第2シリコン基板を前記絶縁膜側から選択的に除去することにより、前記発光素子を露出させる第1貫通孔を形成する工程と、
前記絶縁膜を除去することにより、前記第1半導体領域を前記絶縁膜から露出させる第1孔と、前記第2半導体領域を前記絶縁膜から露出させる第2孔と、を形成する工程と、
前記導通部と前記第1半導体領域とを接続する第2配線を形成する工程と、
を備えた発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1貫通孔を形成する工程の後、前記第1貫通孔の側面と、前記第1シリコン基板の前記第1面とを覆う光反射部材を形成する工程をさらに備えた請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記光反射部材を形成する工程の後、前記第1貫通孔内に前記光反射部材及び前記発光素子を覆う絶縁部材を形成する工程と、
前記絶縁部材を選択的に除去することにより、前記発光素子を露出させる第2貫通孔を形成する工程と、
をさらに備え、
前記第2配線を形成する工程は
前記絶縁部材に前記導通部を露出させる第3孔を形成する工程と、
前記第2配線を前記第3孔を介して前記導通部に接続するとともに、前記第1孔を介して前記第1半導体領域に接続する工程と、
を有した請求項9に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記絶縁部材に前記第2貫通孔を形成する工程の後、前記第2貫通孔内に波長変換部材を形成する工程をさらに備えた請求項10に記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記ゲート電極を形成する工程の前に、前記第2シリコン基板の前記第4面及び前記発光素子に支持基板を接合する工程をさらに備えた請求項8~11のいずれか1つに記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板上に複数の発光素子と複数のスイッチング素子を集積させ、各スイッチング素子により各発光素子を独立して制御可能な装置が開示されている。このような装置においては、発光素子とスイッチング素子を近接して配置することが要望される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-192746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、発光素子とスイッチング素子を近接して配置可能な発光装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る発光装置は、第1シリコン基板と、第2シリコン基板と、スイッチング素子と、発光素子と、絶縁部材と、配線電極と、を備える。前記第1シリコン基板は、第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、を含む。前記第2シリコン基板は、前記第1シリコン基板の前記第2面側に設けられている。前記第2シリコン基板は、前記第2面と対向する第3面と、前記第3面とは反対側に位置する第4面と、を含む。前記スイッチング素子は、前記第1シリコン基板の前記第1面に形成されている。前記発光素子は、前記第2シリコン基板の前記第4面側に設けられている。前記配線電極は、前記絶縁部材内に設けられ、前記スイッチング素子を前記発光素子に接続する。前記第1シリコン基板及び前記第2シリコン基板には第1貫通孔が形成されている。前記絶縁部材は前記第1貫通孔の側面に設けられている。前記絶縁部材には、前記発光素子を露出させる第2貫通孔が形成されている。
【0006】
本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法は、構造体を準備する工程を備える。前記構造体は、第1シリコン基板と、絶縁膜と、第2シリコン基板と、発光素子と、第1配線と、を含む。前記第1シリコン基板は、第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面とを含む。少なくとも前記第1面の一部は第1導電型である。前記絶縁膜は、前記第1シリコン基板の前記第1面上に設けられている。前記第2シリコン基板は、前記第1シリコン基板の前記第2面側に設けられている。前記第2シリコン基板は、前記第2面と対向する第3面と、前記第3面とは反対側に位置する第4面と、を含む。前記発光素子は、前記第2シリコン基板の前記第4面上に設けられている。前記第1配線は、前記発光素子に接続され、上面視において前記発光素子が設けられた領域よりも外側に位置する導通部を有する。前記製造方法は、前記絶縁膜上にゲート電極を形成する工程を備える。前記製造方法は、前記ゲート電極をマスクとして前記第1シリコン基板の前記第1面に不純物を注入することにより、前記第1シリコン基板の前記第1面に第2導電型の第1半導体領域及び第2半導体領域を形成する工程を備える。前記製造方法は、前記絶縁膜、前記第1シリコン基板、及び前記第2シリコン基板を前記絶縁膜側から選択的に除去することにより、前記発光素子を露出させる第1貫通孔を形成する工程を備える。前記製造方法は、前記絶縁膜を除去することにより、前記第1半導体領域を前記絶縁膜から露出させる第1孔と、前記第2半導体領域を前記絶縁膜から露出させる第2孔と、を形成する工程を備える。前記製造方法は、前記導通部と前記第1半導体領域とを接続する第2配線を形成する工程を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、発光素子とスイッチング素子を近接して配置可能な発光装置及びその製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る発光装置を示す模式上面図である。
図2図1に示すII-II線による模式断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図14】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図15】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図16】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図17】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図18】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図19】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図20】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図21】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図22】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図23】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図24】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図25】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図26】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
図27】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る発光装置を示す模式上面図である。
図2は、図1に示すII-II線による模式断面図である。
図1においては、いくつかの構成要素を省略し、主要な構成要素を透視している。
【0010】
図2に示すように、本実施形態に係る発光装置1においては、支持基板10が設けられている。図1及び図2に示すように、支持基板10上には、スイッチング素子30と、発光素子50が設けられている。発光装置1においては、スイッチング素子30が形成されたスイッチング領域Rs、発光素子50が形成された発光領域Rl、スイッチング領域Rs及び発光領域Rlを除く周辺領域Rpが設定されている。上面視において、発光領域Rlはスイッチング領域Rsから離れている。
【0011】
先ず、周辺領域Rpの構成を説明する。
周辺領域Rpにおいては、支持基板10上に、接合部材11、第1層間絶縁膜12、化合物半導体層13、第2シリコン基板14、酸化膜15、第1シリコン基板16、絶縁膜17、第1シリコン酸化層18、光反射部材19、第2層間絶縁膜20、及び、保護膜21が、この順に積層されている。
【0012】
以下、支持基板10から保護膜21までの積層体を、積層体29ともいう。また、支持基板10から保護膜21に向かう方向を「上」ともいい、その逆方向を「下」ともいうが、この表現は便宜的なものであり、重力の方向とは無関係である。また、上から見ることを、「上面視」という。図1及び図2においては、上方向を「Z」と標記している。また、発光領域Rlからスイッチング領域Rsに向かう方向を「X」と標記し、Z方向及びX方向と直交する方向を「Y」と標記する。
【0013】
支持基板10は、例えば、シリコン基板である。接合部材11は、例えば、金属により形成されている。第1層間絶縁膜12は、例えば、シリコン酸化物からなり、例えば、SOG(Spin on Glass:スピン・オン・ガラス)法により形成されたものである。支持基板10は、接合部材11により第1層間絶縁膜12に接合されている。化合物半導体層13は、例えば、窒化アルミニウム層(AlN層)及び窒化ガリウム層(GaN層)が積層された二層膜である。
【0014】
第2シリコン基板14は、シリコンからなり、例えば、主面が(111)面であるSi基板である。第2シリコン基板14は、第3面14aと、第3面14aとは反対側に位置する第4面14bと、を含む。第3面14aは第2シリコン基板14の上面であり、第4面14bは第2シリコン基板14の下面である。第4面14bは化合物半導体層13と接している。酸化膜15は、例えば、シリコン酸化物(SiO)又はアルミニウム酸化物(Al)からなる。
【0015】
第1シリコン基板16は、シリコンからなり、例えば、主面が(100)面であるSi基板である。第1シリコン基板16は、第1面16aと、第1面16aとは反対側に位置する第2面16bと、を含む。第1面16aは第1シリコン基板16の上面であり、第2面16bは第1シリコン基板16の下面である。第2シリコン基板14の第3面14aは、第1シリコン基板16の第2面16b側に設けられ、第2面16bと対向している。第1シリコン基板16は不純物を含有し、第1面16aの少なくとも一部は、導電型が第1導電型とされている。本実施形態においては、第1導電型はp型とする。例えば、第1シリコン基板16全体がp型であってもよい。
【0016】
絶縁膜17は、シリコン酸化物からなり、例えば、第1シリコン基板16の表面に熱酸化処理を施すことにより、形成されたものである。第1シリコン酸化層18は、シリコン酸化物からなる。光反射部材19は、例えば、DBR(Distributed Bragg Reflector:分布ブラッグ反射膜)等である。光反射部材19は、金属膜であってもよい。光反射部材19に用いる金属膜としては、発光素子50から出射した光のピーク波長に対して、70%以上、好ましくは80%の反射率を有する金属膜を用いる。光反射部材19は、例えば、アルミニウム(Al)や銀(Ag)を含む金属材料からなる。光反射部材19は、第1シリコン基板16の第1面16aを覆っている。第2層間絶縁膜20は、例えば、シリコン酸化物からなり、例えば、SOG法により形成されたものである。保護膜21は、例えば、シリコン酸化物からなる。
【0017】
次に、スイッチング領域Rsの構成を説明する。
スイッチング領域Rsにおいて、スイッチング素子30は、第1シリコン基板16の第1面16aに形成されている。スイッチング素子30は、第1シリコン基板16の第1面16aに形成された第2導電型の第1半導体領域31及び第2半導体領域32と、第1半導体領域31と第2半導体領域32の間における第1シリコン基板16の第1面16aに接する絶縁膜17と、絶縁膜17上に設けられたゲート電極33と、を有する。本実施形態においては、第2導電型はn型とする。
【0018】
第1シリコン基板16の第1面16aにおいて、少なくとも、第1半導体領域31と第2半導体領域32との間の領域の導電型は第1導電型(p型)である。一方、第1半導体領域31及び第2半導体領域32の導電型は第2導電型(n型)である。そして、ゲート電極33は絶縁膜17を介して、第1シリコン基板16における第1半導体領域31と第2半導体領域32との間の領域に対向する。
【0019】
これにより、第1半導体領域31及び第2半導体領域32はソース又はドレインとして機能し、第1シリコン基板16における第1半導体領域31と第2半導体領域32との間の領域はチャネルとして機能し、ゲート電極33はゲートとして機能し、絶縁膜17はゲート絶縁膜として機能する。これにより、nチャネル型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor:金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)が形成される。このMOSFETがスイッチング素子30を構成する。上面視において、発光素子50とスイッチング素子30との間の距離は、例えば、100nm以上10μm以下とすることが好ましく、100nm以上5μm以下とすることがより好ましい。
【0020】
次に、発光領域Rlの構成を説明する。
発光領域Rlにおいては、化合物半導体層13、第2シリコン基板14、酸化膜15、第1シリコン基板16、絶縁膜17、及び、第1シリコン酸化層18に連続して設けられた第1貫通孔51が配置されている。
【0021】
第1貫通孔51が形成された領域には、化合物半導体層13、第2シリコン基板14、酸化膜15、第1シリコン基板16、絶縁膜17、第1シリコン酸化層18、光反射部材19、及び、第2層間絶縁膜20は設けられていない。第1貫通孔51の底面51bには、第1層間絶縁膜12が位置している。
【0022】
発光領域Rlにおいては、第1貫通孔51内に、発光素子50、絶縁部材52、配線電極53の一部、第3配線54、及び、波長変換部材55が設けられている。第1貫通孔51の側面51a及び底面51bには、光反射部材19が設けられている。発光領域Rlに設けられた光反射部材19は、周辺領域Rpに設けられた光反射部材19と連続している。すなわち、光反射部材19は、周辺領域Rpにおいては、第1シリコン基板16の第1面16aを覆っており、発光領域Rlにおいては、第1貫通孔51の側面51a及び底面51bを覆っている。絶縁部材52は、第1貫通孔51の側面51a及び底面51bに設けられており、光反射部材19を覆っている。絶縁部材52は、例えば、シリコン酸化物からなる。
【0023】
絶縁部材52には、第2貫通孔56が形成されている。第2貫通孔56は第1貫通孔51よりも小さく、その形状は、例えば、四角柱形である。したがって、絶縁部材52は、第1貫通孔51と第2貫通孔56との間に配置されており、その形状は、上面が開口した箱状である。第2貫通孔56の底部には、発光素子50が設けられている。また、発光素子50は、第2シリコン基板14の第4面14b側に設けられている。
【0024】
発光素子50においては、カバーメタル61、p側電極62、第1導電型(p型)の第1半導体層63、活性層64、及び、第2導電型(n型)の第2半導体層65が、この順に積層されている。活性層64は、第1半導体層63と第2半導体層65との間に設けられている。第1半導体層63、活性層64、及び、第2半導体層65は、ガリウム(Ga)及び窒素(N)を含む。第1半導体層63、活性層64、及び、第2半導体層65は、窒化物半導体からなり、例えば、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)により形成されている。
【0025】
p側電極62は、第1半導体層63の下面の略全体に接している。カバーメタル61は、p側電極62の下面及び側面を覆っている。カバーメタル61には、第3配線54が接続されている。第3配線54は、絶縁部材52内及び第2層間絶縁膜20内を通過して、積層体29の上面に引き出されている。カバーメタル61、p側電極62、第1半導体層63、及び、活性層64には、例えば上面視で中央部に、孔66が形成されている。
【0026】
第2貫通孔56内における発光素子50上には、波長変換部材55が設けられている。波長変換部材55の上面の高さは、保護膜21の上面と同じ高さと同じである。波長変換部材55は、発光素子50から出射した光の一部を吸収して、発光素子50から出射した光の波長とは異なる波長の光を放射する。例えば、波長変換部材55は、透光性の樹脂材料からなる母材と、母材中に含有された蛍光体と、を含む。波長変換部材55の側面には、反射膜70が設けられている。反射膜70は、例えば、金属材料又はDBRにより形成されている。なお、反射膜70は設けられていなくてもよい。反射膜70を設けることで、波長変換部材55から絶縁部材52や第2層間絶縁膜20に向かう光を反射させることができる。
【0027】
波長変換部材55及び保護膜21上には、カラーフィルター71が設けられており、カラーフィルター71上には、マイクロレンズ72が設けられている。カラーフィルター71は、発光素子50から出射した光及び波長変換部材55から放射された光のうち、所定の波長域の光を透過させる。マイクロレンズ72は、透光性材料からなる平凸レンズである。すなわち、マイクロレンズ72の下面は平坦でありカラーフィルター71に接しており、マイクロレンズ72の上面は凸状である。なお、カラーフィルター71及びマイクロレンズ72は設けられていなくてもよい。
【0028】
配線電極53の一部は、絶縁部材52内に設けられ、スイッチング素子30と発光素子50とを電気的に接続する。配線電極53は、第1配線53aと、第2配線53bと、を有する。第1配線53aは、上面視において発光素子50が設けられた領域よりも外側に位置する導通部53cと、発光領域Rl内に位置しX方向に延びる第1導通部53dと、第1導通部53dから上方に延び、孔66を介して第2半導体層65に接続された第2導通部53eと、を有する。第2配線53bは、導通部53cから上方に引き出された第3導通部53fと、第3導通部53fの上端からX方向に引き出された第4導通部53gと、第4導通部53gから垂直に延び第1半導体領域31に接続される第5導通部53hと、を有する。
【0029】
上述の如く、第2導通部53eの上端は、発光素子50の第2半導体層65に接続されている。第2導通部53eの下端は第1導通部53dに接続され、第1導通部53dは導通部53cに接続され、導通部53cは第3導通部53fの下端に接続され、第3導通部53fの上端は第4導通部53gに接続され、第4導通部53gは第5導通部53hの上端に接続され、第5導通部53hの下端はスイッチング素子30の第1半導体領域31に接続されている。このようにして、第2半導体層65と第1半導体領域31とが配線電極53により電気的に接続される。
【0030】
また、第3配線54は、カバーメタル61及びp側電極62を介して、発光素子50の第1半導体層63に電気的に接続されている。これにより、発光素子50は、配線電極53と第3配線54とに電気的に接続される。なお、配線電極53が第1半導体層63に電気的に接続され、第3配線54が第2半導体層65に電気的に接続されていてもよい。
【0031】
また、発光装置1には、第4配線57が設けられている。第4配線57の一端はスイッチング素子30の第2半導体領域32に接続されている。第4配線57の他端は、積層体29の上面まで引き出されている。これにより、スイッチング素子30は、配線電極53と第4配線57とに電気的に接続される。
【0032】
積層体29上には、第1上部配線73及び第2上部配線74が設けられている。第1上部配線73は第3配線54の上端に接続され、X方向に延びている。第2上部配線74は第4配線57の上端に接続され、X方向に延びている。
【0033】
次に、本実施形態に係る発光装置の製造方法について説明する。
図3図27は、本実施形態に係る発光装置の製造方法を示す断面図である。
図3図27が示す断面は、図2が示す断面に相当する。
【0034】
(構造体105を準備する工程)
先ず、図3に示すように、SOI(Silicon On Insulator)基板101を準備する。SOI基板101においては、シリコン基板102が設けられており、シリコン基板102の下面102aに絶縁膜17が設けられており、その下面に第1シリコン基板16が設けられている。シリコン基板102は、例えば、Si(100)基板である。絶縁膜17は、例えば、シリコンの熱酸化膜である。第1シリコン基板16の第1面16aは絶縁膜17に接しており、第1面16aの反対側に位置する第2面16bはSOI基板101の下面を構成している。第1シリコン基板16には不純物がイオン注入されており、少なくとも第1面16aの一部が第1導電型である。本実施形態においては、第1導電型は、例えば、p型である。
【0035】
一方、構造体103を準備する。構造体103においては、第2シリコン基板14が設けられている。第2シリコン基板14は、例えば、Si(111)基板である。第2シリコン基板14の第3面14aには、酸化膜15が設けられている。酸化膜15は、例えば、シリコン酸化物又はアルミニウム酸化物により形成する。第2シリコン基板14の第4面14bには、第2導電型の第2半導体層65、活性層64、及び、第1導電型の第1半導体層63がこの順に設けられている。本実施形態においては、第2導電型はn型である。第2半導体層65、活性層64、及び、第1半導体層63は、ガリウム及び窒素を含む。第2半導体層65、活性層64、及び、第1半導体層63は、例えば、第2シリコン基板14の第4面14bに窒化物半導体である窒化ガリウム(GaN)や、窒化インジウムガリウム(InGaN)をエピタキシャル成長させることにより形成する。
【0036】
次に、図4に示すように、SOI基板101の第1シリコン基板16の第2面16bを、構造体103の酸化膜15の上面に接合する。この接合は、例えば、プラズマ接合により行う。これにより、構造体104が形成される。
【0037】
次に、第1半導体層63の下面の全面に電極材料を堆積させる。電極材料は、例えば、銀(Ag)若しくは銀合金とする。次に、エッチングを施すことにより、電極材料、第1半導体層63、及び、活性層64を選択的に除去する。これにより、図5に示すように、電極材料、第1半導体層63、及び、活性層64が発光領域Rlに残留すると共に、発光領域Rlの中央部に孔66が形成される。孔66においては、底面に第2半導体層65が露出する。また、電極材料の残留部分がp側電極62を形成する。
【0038】
次に、p側電極62を覆うように、第1半導体層63の下面上にカバーメタル61を形成する。これらの工程により、カバーメタル61、p側電極62、第1半導体層63、活性層64、及び、第2半導体層65を含む発光素子50が形成される。発光領域Rl以外の領域に残留した第2半導体層65を、化合物半導体層13とする。
【0039】
次に、図6に示すように、構造体104の下面に第1層間絶縁膜12の一部を形成する。第1層間絶縁膜12は、例えばシリコン酸化物を堆積させることで形成する。第1層間絶縁膜12は、第2半導体層65及びカバーメタル61を覆う。第1層間絶縁膜12は、孔66内にも配置される。
【0040】
次に、第1層間絶縁膜12のうち、孔66内に配置された部分及びカバーメタル61の下面上に配置された部分に、それぞれ孔を形成する。次に、導電材料、例えば、高融点材料を堆積させてパターニングする。これにより、図7に示すように、第1配線53aと、第3配線54の一部を形成する。第1配線53aは、上面視において発光素子50が設けられた領域よりも外側に位置する導通部53cと、発光領域Rl内に位置しX方向に延びる第1導通部53dと、第1導通部53dから上方に延び、孔66を介して第2半導体層65に接続される第2導通部53eと、を有する。
【0041】
このようにして、構造体105が準備される。構造体105は、第1面16aと、第1面16aとは反対側に位置する第2面16bとを含み、少なくとも第1面16aの一部が第1導電型(p型)である第1シリコン基板16と、第1シリコン基板16の第2面16b上に設けられた酸化膜15と、第1シリコン基板16の第2面16b側に設けられ、第2面16bと対向する第3面14aと、第3面14aとは反対側に位置する第4面14bとを含む第2シリコン基板14と、第2シリコン基板14の第4面14b上に設けられた発光素子50と、発光素子50に接続され、上面視において発光素子50が設けられた領域よりも外側に位置する導通部53cを有する第1配線53aと、を含む。なお、構造体105は、他者から購入する等の手段により、準備してもよい。
【0042】
(支持基板を接合する工程)
次に、図8に示すように、例えばSOG法により、構造体105の下面にシリコン酸化物を堆積させる。次に、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法により、構造体105の下面に対して平坦化処理を施す。これにより、上述した第1層間絶縁膜12の一部上に第1層間絶縁膜12の他の一部が形成され、第1配線53a及び第3配線54を覆う第1層間絶縁膜12が形成される。
【0043】
次に、図9に示すように、例えば、第1層間絶縁膜12の下面に金(Au)又はチタン(Ti)等の金属を堆積させることにより、接合部材11を形成する。そして、接合部材11に支持基板10を接合する。このようにして、構造体105の第1層間絶縁膜12側、すなわち、発光素子50側に、支持基板10を接合部材11により接合する。
【0044】
(ゲート電極33を形成する工程)
次に、図10に示すように、シリコン基板102を除去する。これにより、構造体105の上面に絶縁膜17が露出する。
【0045】
次に、図11に示すように、絶縁膜17上にゲート電極33を形成する。ゲート電極33は、例えば、絶縁膜17上にポリシリコンを形成し、パターニングすることにより形成することができる。
【0046】
(第1半導体領域31及び第2半導体領域32を形成する工程)
次に、図12に示すように、レジストパターン106を絶縁膜17の上面の一部に形成する。次に、ゲート電極33及びレジストパターン106をマスクとして、絶縁膜17を介して第1シリコン基板16の上層部分に不純物をイオン注入する。不純物は、例えばドナーとなる不純物、例えばリン(P)イオンとする。次に、レジストパターン106を除去する。
【0047】
次に、アニール処理を行い、イオン注入した不純物を活性化させる。アニール処理は、例えば、レーザーアニール又は瞬間熱アニール(Rapid Thermal Anneal:RTA)によって行い、第1シリコン基板16のうち活性化させる領域以外の領域にできるだけ熱が伝わらないようにする。このようにして、第1シリコン基板16の第1面16aに、第1半導体領域31及び第2半導体領域32をセルフアラインで形成する。このような工程により、第1半導体領域31及び第2半導体領域32の導電型は第2導電型となる。第2導電型は、例えば、n型である。これにより、スイッチング領域Rsにスイッチング素子30が形成される。
【0048】
次に、図13に示すように、絶縁膜17上に第1シリコン酸化層18を形成する。第1シリコン酸化層18は、例えばシリコン酸化物を堆積させることにより形成する。第1シリコン酸化層18はゲート電極33を覆う。
【0049】
次に、レジストパターンをマスクとして、第1シリコン酸化層18及び絶縁膜17に対して異方性エッチングを施す。これにより、図14に示すように、第1シリコン酸化層18及び絶縁膜17のうち、第1半導体領域31の直上域に配置された部分と、第2半導体領域32の直上域に配置された部分と、ゲート電極33の直上域に配置された部分と、を除去する。このように第1シリコン酸化層18及び絶縁膜17を部分的に除去することで、第1半導体領域31に到達する孔107と、第2半導体領域32に到達する孔108が形成される。また、ゲート電極33の一部は絶縁膜17から露出し、絶縁膜17の一部はゲート電極33の側面に残留し、側壁となる。
【0050】
(第1貫通孔51を形成する工程)
次に、図15に示すように、発光領域Rlを露出させるようなレジストパターンをマスクとして、第1シリコン酸化層18、絶縁膜17、第1シリコン基板16、酸化膜15、及び、第2シリコン基板14を選択的に除去する。この除去工程で使用されるエッチャントに対して、第2半導体層65は高い耐食性を有することが好ましく、第2半導体層65をストッパ部材として機能させることができる。例えば、この除去工程で使用されるエッチャントは、第2シリコン基板14に対するエッチングレートが、第2半導体層65に対するエッチングレートより高いものを用いることが好ましい。この結果、発光領域Rlにおいて、発光素子50を露出させる第1貫通孔51が形成される。
【0051】
(光反射部材を形成する工程)
次に、上面視で第1半導体層63及び活性層64の周囲に位置する第2半導体層65と、第1層間絶縁膜12の一部をエッチングにより除去する。これにより、図16に示すように、第1半導体層63及び活性層64の周囲に位置する第1層間絶縁膜12に凹部109が形成される。上面視で、凹部109は、例えば発光素子50を囲んで配置される。
【0052】
次に、図17に示すように、第1貫通孔51の側面と、第1シリコン基板16の第1面16aとを覆う光反射部材19を形成する。光反射部材19は、例えば原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)法により形成する。光反射部材19には、例えばDBRを用いる。次に、光反射部材19の一部を除去して、発光素子50を露出させる。光反射部材19の一部は、孔107内及び孔108内にも形成される。
【0053】
(絶縁部材52を形成する工程)
次に、図18に示すように、第1貫通孔51内に、光反射部材19及び発光素子50を覆う絶縁部材52を形成する。絶縁部材52は、例えば、SOG法により、第1貫通孔51内及び光反射部材19の表面にシリコン酸化膜を形成し、CMP法により平坦化することで形成する。絶縁部材52は、発光領域Rl以外の領域にも形成される。
【0054】
(第1孔111及び第2孔112を形成する工程)
次に、図19に示すように、例えばフォトリソグラフィ法により、絶縁部材52を選択的に除去する。これにより、絶縁部材52に、第1半導体領域31を絶縁部材52から露出させる第1孔111と、第2半導体領域32を絶縁部材52から露出させる第2孔112と、が形成される。
【0055】
(第2配線53bを形成する工程)
次に、例えばフォトリソグラフィ法により、絶縁部材52を選択的に除去する。これにより、図20に示すように、第1配線53aの導通部53cを絶縁部材52から露出させる第3孔113と、第3配線54のうち、上面視で発光素子50の外部に配置された部分の一部を絶縁部材52から露出させる第4孔114と、が形成される。
【0056】
次に、図21に示すように、第1孔111内に第5導通部53hを形成し、第2孔112内に第4配線57の一部を形成し、第3孔113内に第3導通部53fを形成し、第4孔114内に第3配線54の一部を形成する。第5導通部53h、第4配線57の一部、第3導通部53f、及び、第3配線54の一部は、例えば、以下の工程により形成する。まず絶縁部材52の表面、第1孔111内、第2孔112内、第3孔113内、及び、第4孔114内に金属材料を形成する。次に、例えばCMP法により、金属材料のうち絶縁部材52の上面に堆積された部分を除去する。このようにして、絶縁部材52内に第2配線53bの一部である第5導通部53h及び第3導通部53fと、第3配線54の一部と、第4配線57の一部と、が形成される。
【0057】
次に、図22に示すように、絶縁部材52上に複数の開口を有する第2シリコン酸化層20bを形成する。次に、第2シリコン酸化層20bの開口内に、第4導通部53g、第4配線57の一部、第3配線54の一部を形成する。第4導通部53gは、第5導通部53h及び第3導通部53fと接続される。第3導通部53f、第4導通部53g、及び、第5導通部53hにより、第2配線53bが形成される。第2配線53bは、導通部53cと第1半導体領域31とを電気的に接続する。第2配線53b及び第1配線53aにより、発光素子50の第2半導体層65と第1半導体領域31とを電気的に接続する配線電極53が形成される。
【0058】
次に、第2シリコン酸化層20b上に複数の開口を有する第3シリコン酸化層20cを形成する。次に、第3シリコン酸化層20cの開口内に、第4配線57の一部、及び、第3配線54の一部を形成する。
【0059】
次に、図23に示すように、第3シリコン酸化層20c上に複数の開口を有する第4シリコン酸化層20dを形成する。次に、第4シリコン酸化層20dの開口内に、第4配線57の一部、及び、第3配線54の一部を形成する。これにより、第4配線57及び第3配線54が形成される。
【0060】
(第2貫通孔56を形成する工程)
次に、図24に示すように、発光領域Rlにおいて、第4シリコン酸化層20dの一部、第3シリコン酸化層20cの一部、第2シリコン酸化層20bの一部、及び、絶縁部材52の一部を選択的に除去することにより、発光素子50を露出させる第2貫通孔56を形成する。以後、発光領域Rl以外の領域において、絶縁部材52、第2シリコン酸化層20b、第3シリコン酸化層20c、及び、第4シリコン酸化層20dを、総称して第2層間絶縁膜20という。
【0061】
次に、図25に示すように、第2貫通孔56の側面に反射膜70を形成する。反射膜70は、例えば、金属材料又はDBRにより形成する。なお、反射膜70の形成は省略してもよい。
次に、図26に示すように、第2層間絶縁膜20上に、保護膜21を形成する。
【0062】
(波長変換部材55を形成する工程)
次に、図27に示すように、第2貫通孔56内に波長変換部材55を形成する。例えば、蛍光体を含有した透光性の樹脂材料を第2貫通孔56内にポッティングし、固化させ、上面を研削することにより平坦化する。これにより、波長変換部材55の上面が、保護膜21の上面と同じ高さになる。波長変換部材55は、発光素子50の上面に接している。
【0063】
次に、図2に示すように、波長変換部材55上にカラーフィルター71を形成する。カラーフィルター71の周辺部は保護膜21上に形成される。次に、カラーフィルター71上にマイクロレンズ72を形成する。
【0064】
次に、図1に示すように、保護膜21上に第1上部配線73及び第2上部配線74を形成する。第1上部配線73は、第2層間絶縁膜20から露出する第3配線54の上端に接続される。第2上部配線74は、第2層間絶縁膜20から露出する第4配線57の上端に接続される。
このようにして、本実施形態に係る発光装置1が製造される。
【0065】
本実施形態によれば、図3図7に示す工程により、構造体105を準備する。構造体105は、絶縁膜17、第1シリコン基板16及び第2シリコン基板14等を含み、第2シリコン基板14の第4面14bに発光素子50が設けられている。そして、図8図11に示す工程により、絶縁膜17上にゲート電極33を形成し、図12に示す工程により、第1シリコン基板16の上層部分に第1半導体領域31及び第2半導体領域32を形成する。これにより、スイッチング素子30が形成される。次に、図15に示す工程により、発光素子50を露出させる第1貫通孔51を形成し、図19に示す工程により、第1半導体領域31及び第2半導体領域32をそれぞれ露出させる第1孔111及び第2孔112を形成し、図20図22に示す工程により、配線電極53を形成する。配線電極53は、第1貫通孔51、第1孔111及び第2孔112を介してスイッチング素子30を発光素子50に接続する。このようにして、一連の半導体プロセスを用いて形成される1つの積層体29内に、発光素子50とスイッチング素子30を形成し、相互に接続することができるため、発光素子50とスイッチング素子30を近接して配置することができる。この結果、発光装置1を微細化することができ、発光装置1の高集積化を図ることができる。
【0066】
また、スイッチング素子30としてMOSFETを用いているため、スイッチング素子30として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を用いる場合と比較して、スイッチング速度が高い。これにより、発光素子50をより高速で制御することができる。この結果、例えば、発光装置1を表示装置の画素として使用する場合には、動画表示の品質が向上する。
【0067】
また、本実施形態においては、第1貫通孔51を形成した後、図17に示す工程により、第1貫通孔51の側面と、第1シリコン基板16の第1面16aとを覆うように、光反射部材19を形成している。これにより、発光素子50から出射した光を光反射部材19が上方に向けて反射することができ、発光装置1における光の取出効率が向上する。
【0068】
また、本実施形態においては、図18に示す工程により、第1貫通孔51内に絶縁部材52を形成し、図20に示す工程により、絶縁部材52に第3孔113を形成し、図21及び図22に示す工程により、第3孔113内に配線電極53の第3導通部53fを形成している。これにより、高さ方向において異なる位置に配置された発光素子50とスイッチング素子30を、積層体29の内部で接続することができる。この結果、発光素子50とスイッチング素子30を積層体29の外部を介して接続する場合と比較して、電気抵抗を低減できると共に、信頼性が向上する。
【0069】
また、本実施形態においては、図24に示す工程により、絶縁部材52に第2貫通孔56を形成し、図27に示す工程により、第2貫通孔56内に波長変換部材55を形成している。これにより、発光素子50から出射した光を、波長変換部材55によってピーク波長が異なる他の光に変換することができ、発光装置1から発光素子50から出射した光とその光の波長とは異なる波長の光を出射させることができる。また、波長変換部材55を第2貫通孔56内に配置することにより、発光装置1の薄型化を図ることができる。
【0070】
また、本実施形態においては、図8に示す工程により、構造体105の下面に、第1層間絶縁膜12及び接合部材11を介して、支持基板10を接合している。これにより、構造体105の剛性が向上して、以後の工程が容易になる。また、完成後の発光装置1に支持基板10を残留させることにより、発光装置1の強度が向上する。
【0071】
なお、図4に示す構造体104は、酸化膜15を構造体103ではなくSOI基板101に設け、構造体103の第2シリコン基板14の第3面14aを、SOI基板101の酸化膜15の下面に接合して形成してもよい。また、構造体103と、シリコン基板102と、シリコン基板102の下面102aに設けられた絶縁膜17と、を有する第1構造体と、第1シリコン基板16と、第1シリコン基板16の第2面16bに設けられた酸化膜15と、を有する第2構造体を準備する。そして、第1構造体の絶縁膜17の下面を、第2構造体の第1シリコン基板16の第1面16aに接合すると共に、第2構造体の酸化膜15の下面を構造体103の第2シリコン基板14の第3面14aに接合することで図4に示す構造体104を形成してもよい。
【0072】
なお、上述の実施形態においては、スイッチング素子30としてnチャネル型MOSFETを設ける例を示したが、これには限定されない。スイッチング素子30として、例えば、pチャネル型MOSFETを設けてもよく、nチャネル型MOSFET及びpチャネル型MOSFETの双方を設けてCMOSを構成してもよい。
【0073】
前述の実施形態は、本発明を具現化した例であり、本発明はこれらの実施形態には限定されない。例えば、前述の実施形態において、いくつかの構成要素又は工程を追加、削除又は変更したものも本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば、表示装置の自発光素子等に利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1:発光装置
10:支持基板
11:接合部材
12:第1層間絶縁膜
13:化合物半導体層
14:第2シリコン基板
14a:第3面
14b:第4面
15:酸化膜
16:第1シリコン基板
16a:第1面
16b:第2面
17:絶縁膜
18:第1シリコン酸化層
19:光反射部材
20:第2層間絶縁膜
20b:第2シリコン酸化層
20c:第3シリコン酸化層
20d:第4シリコン酸化層
21:保護膜
29:積層体
30:スイッチング素子
31:第1半導体領域
32:第2半導体領域
33:ゲート電極
50:発光素子
51:第1貫通孔
51a:側面
51b:底面
52:絶縁部材
53:配線電極
53a:第1配線
53b:第2配線
53c:導通部
53d:第1導通部
53e:第2導通部
53f:第3導通部
53g:第4導通部
53h:第5導通部
54:第3配線
55:波長変換部材
56:第2貫通孔
57:第4配線
61:カバーメタル
62:p側電極
63:第1半導体層
64:活性層
65:第2半導体層
66:孔
70:反射膜
71:カラーフィルター
72:マイクロレンズ
73:第1上部配線
74:第2上部配線
101:SOI基板
102:シリコン基板
102a:下面
103、104、105:構造体
106:レジストパターン
107、108:孔
109:凹部
111:第1孔
112:第2孔
113:第3孔
114:第4孔
Rl:発光領域
Rp:周辺領域
Rs:スイッチング領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27