IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

<>
  • 特許-シート収納装置及び画像形成装置 図1
  • 特許-シート収納装置及び画像形成装置 図2
  • 特許-シート収納装置及び画像形成装置 図3
  • 特許-シート収納装置及び画像形成装置 図4
  • 特許-シート収納装置及び画像形成装置 図5
  • 特許-シート収納装置及び画像形成装置 図6
  • 特許-シート収納装置及び画像形成装置 図7
  • 特許-シート収納装置及び画像形成装置 図8
  • 特許-シート収納装置及び画像形成装置 図9
  • 特許-シート収納装置及び画像形成装置 図10
  • 特許-シート収納装置及び画像形成装置 図11
  • 特許-シート収納装置及び画像形成装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】シート収納装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/30 20060101AFI20240627BHJP
   B65H 7/04 20060101ALI20240627BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B65H1/30
B65H7/04
G03G15/00 480
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020109653
(22)【出願日】2020-06-25
(65)【公開番号】P2022007014
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】川又 悠司
(72)【発明者】
【氏名】大石 真也
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-052594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/30
B65H 7/04
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一シート収納部と、
第二シート収納部と、
前記第一シート収納部から前記第二シート収納部へシートを移送する移送部材と、
前記第一シート収納部に収納されているシートを検知するシート検知部とを備えるシート収納装置において、
前記第二シート収納部に収納されているシートが無いことを検知するシート無し検知部を有し、
前記シート無し検知部がシート無し検知し、前記シート検知部がシート有りを検知しているときに、前記第一シート収納部から前記第二シート収納部へシートを移送する移送動作を行うものであって、
前記移送動作の完了後に、前記シート検知部がシート有りを検知しているときは、前記シート検知部の異常と判定し、
前記シート検知部に異常が有ると判定したときは、前記シート無し検知部がシート無し検知し、前記シート検知部がシート有りを検知していても、前記移送動作を行わないことを特徴とするシート収納装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート収納装置において、
前記シート検知部に異常があると判定しても、前記第二シート収納部のシートを給送可能な状態にする動作を実行することを特徴とするシート収納装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシート収納装置において、
前記第二シート収納部は、シートを載置する底板を備え、
前記第二シート収納部のシートを給送可能な状態にする動作は、前記底板に載置されたシートを給送可能な位置まで上昇させる底板上昇動作であることを特徴とするシート収納装置
【請求項4】
求項1乃至3いずれか一項に記載のシート収納装置において、
前記移送部材は、前記第一シート収納部のシート移送方向上流側端部と、前記第一シート収納部のシート移送方向下流側端部との間を移動可能に構成されていることを特徴とするシート収納装置。
【請求項5】
請求項4に記載のシート収納装置において、
前記シート検知部の異常判定を、前記移送部材を前記第一シート収納部のシート移送方向上流側端部へ戻す復帰動作完了までの任意のタイミングで実行することを特徴とするシート収納装置。
【請求項6】
シートを収納するシート収納装置を備え、
前記シート収納装置に収納されたシートを給送して前記シートに画像を形成する画像形成装置において、
前記シート収納装置として請求項1乃至5いずれか一項に記載の前記シート収納装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート収納装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、第一シート収納部と、第二シート収納部と、第一シート収納部から第二シート収納部へシートを位相する移送部材と、第一シート収納部に収納されているシートを検知するシート検知部とを備えるシート収納装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記シート収納装置として、次のものが記載されている。すなわち、第一シート収納部に収納されているシートを一括で第二シート収納部へ移送するシート移送動作において、移送動作開始後、シート検知部のシートが有るという検知結果が所定時間以上継続したときは、何らかの異常が発生しているとして、移送部材によるシートの束の移送を強制停止させるとともに、異常警報を発する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、シート検知部の異常は、判定できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、第一シート収納部と、第二シート収納部と、
前記第一シート収納部から前記第二シート収納部へシートを移送する移送部材と、前記第一シート収納部に収納されているシートを検知するシート検知部とを備えるシート収納装置において、前記第二シート収納部に収納されているシートが無いことを検知するシート無し検知部を有し、前記シート無し検知部がシート無し検知し、前記シート検知部がシート有りを検知しているときに、前記移送動作を行うものであって、前記第一シート収納部から前記第二シート収納部へシートを移送する移送動作の完了後に、前記シート検知部がシート有りを検知しているときは、前記シート検知部の異常と判定し、前記シート検知部に異常が有ると判定したときは、前記シート無し検知部がシート無し検知し、前記シート検知部がシート有りを検知していても、前記移送動作を行わないことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、シート検知部の異常判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るプリンタの概略構成図。
図2】大容量給紙ユニットの概略構成図。
図3図3(a)は、シート供給トレイ部にシートがない状態の図2(b)のA-A概略断面図であり、(b)は、シート供給トレイ部にシートの束がある状態の図2(b)のA-A概略断面図である。
図4】移送フェンスのスライド移動について説明する図。
図5】(a)は、シート給送トレイ部にシートがあるときの図2(b)のB-B断面図であり、(b)は、シート給送トレイ部にシートが無くなったときの図2(b)のB-B断面図。
図6】底板の昇降について説明する図。
図7】大容量給紙ユニットの制御ブロック図。
図8】底板上昇動作たる底板上昇制御の制御フロー図。
図9】参考例のシート移送制御の制御フロー図。
図10】シート移送完了前と、シート移送完了後の状態遷移について説明する図。
図11】本実施形態のシート移送制御の制御フロー図。
図12】本実施形態におけるシート移送完了前と、シート移送完了後の状態遷移について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施形態として、電子写真方式で画像を形成する電子写真プリンタについて図面を参照して説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に省略する。
【0009】
以下の説明で「画像形成装置」とは、紙、OHPシート、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に現像剤やインクを付着させて画像形成を行う装置を意味する。また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することをも意味する。
【0010】
本実施形態の「シート」とは、紙、コート紙、OHPシート、ラベル紙、フィルム、布帛等を含む。さらに、「シート」とは、樹脂製シート、表裏面の保護紙、金属製シート、銅箔等の金属箔やメッキ処理等を施した電子回路基板材、特殊フィルム、プラスチックフィルム、プリプレグ、電子回路基板用シート等を含む。
プリプレグは、炭素繊維等に予め樹脂が含浸してあるシート状の材料である。プリプレグの例としては、炭素繊維やガラスクロスのような繊維状補強材に、硬化剤、着色剤などの添加物を混合した熱硬化性樹脂等を含浸させ、加熱または乾燥して半硬化状態にしたシート状の強化プラスチック成形材料が含まれる。
【0011】
そして、「シート」には、現像剤やインクを付着させることができる媒体である被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録シートなどと称されるものも含む。さらに「シート」には、可撓性のものに限らず硬い板状のものや比較的厚みのあるものも含まれる。
【0012】
以下の実施形態では、各構成部品の説明にある寸法、材質、形状、その相対配置などは例示であって、特に特定的な記載がない限りこの発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
本実施形態では画像形成装置の一例として、電子写真プリンタについて説明するが、本発明を適用可能な画像形成装置はこれに限るものではない。すなわち、画像形成装置は複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機、及びインクジェット記録装置の何れか一つ、またはこれらの少なくとも二つ以上を組み合わせた複合機として構成する給送装置で実施することも可能である。
【0013】
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、実施形態に係るプリンタ100の概略構成図である。
プリンタ100は、プリンタ本体1のほぼ中央に中間転写ベルト16が設けられ、中間転写ベルト16の上部走行辺にはイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの感光体12が設けられている。
【0014】
各感光体12の周囲には、帯電器11、現像機13や中間転写ベルト16を挟んで一次転写ローラ14等が配設されている。そして、プリントが開始されると、感光体12が図における反時計方向に回転駆動され、このとき帯電器11によって感光体12の表面が所定の極性に帯電される。次いで、その帯電面に、各色のレーザ走査ユニット10から画像情報に基づくレーザ光が照射され、これによって感光体12に静電潜像が形成される。そして、感光体12の表面に形成された静電潜像は、現像機13によってトナー像として可視像化され、トナー像は一次転写ローラ14によって中間転写ベルト16に転写される。
なお、トナー像転写後の感光体12の表面に付着する転写残トナーは感光体クリーナーによって除去される。
【0015】
カラー画像形成時は上記した画像形成動作が全ての感光体12で行われ、これによって各感光体12にそれぞれ形成されたイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及び黒トナー像が中間転写ベルト16上に順次重ねて転写される。
【0016】
一方、プリンタ本体1の下部には第一~第二の給紙トレイ5およびシート収納装置たる大容量給紙ユニット24を備え、ユーザは操作パネル3やPC等の入力端末より、使用する第一~第二の給紙トレイ5または大容量給紙ユニット24を選択することにより、選択された給紙トレイ5または大容量給紙ユニット24に格納されたシートたるシート20が給紙される。なお、符号9は給紙されたシート20が通る搬送路であり、符号8は、紙ジャムが発生した場合に紙ジャム処理を可能とするためにプリンタ本体1の正面から引き出し可能な引き出しユニットである。
【0017】
給紙されたシート20は、レジストユニット18に向けて送り出され、その先端が停止しているレジストユニット18内のローラ対に突き当てられる。これによってシート20が整合された後、レジストユニット18は二次転写ローラ15が設けられた上記中間転写ベルト16の二次転写部に向けてシート20を上記トナー像と合致するタイミングで送り出す。
【0018】
そして、二次転写部で未定着トナー像が転写されたシート20は、定着部17に送られ、シート20に未定着トナー像が定着された後、排紙トレイ4に排出される。なお、トナー像転写後の中間転写ベルト16の表面に付着する転写残トナーはベルト用のクリーナーによって除去される。
【0019】
シート20の両面に画像を形成する場合は、定着部17でシート20に未定着トナー像が定着された後、分岐爪23により搬送経路を切り替えることで両面経路へとシート20は搬送される。分岐爪23により反転ローラ対21へ送り出されたシート20は反転ローラ対21の正逆転により、両面搬送路6へ送り出される。この際、シート20の搬送方向に対する表裏は第一面画像形成時と反転する。そして、中継ローラ対22によりレジストユニット18までシートが搬送された後は、上記で説明したのと同様のプロセスで第二面にも画像形成を施した後、排紙トレイ4に排出される。
【0020】
また、ユーザはオプションにより、プリンタ本体1に大量のシートを給紙可能な給紙装置や、排紙トレイ4の代わりに、スティプル綴じや折りを施すことの出来るフィニッシャーを接続することも可能である。
【0021】
図2は、大容量給紙ユニット24の概略構成図である。図2(a)は、概略側面図であり、図2(b)は、概略平面図である。
大容量給紙ユニット24は、第一シート収納部たるシート供給トレイ部26と、第二シート収納部たるシート給送トレイ部27とを備えている。
シート給送トレイ部27には、昇降自在な底板32が設けられている。また、シート給送トレイ部27には、呼出ローラ34、フィードローラ35、リバースローラ36および第二シート検知部33を備える給送装置25を有している。呼出ローラ34は、底板32に積載されたシートの束の最上位シートに圧接して、フィードローラ35にリバースローラ36を当接させて構成した分離ニップへ向けて用紙を送り出す。分離ニップへ向けて送り出されたシートは、フィードローラ35及びリバースローラ36により分離し、最上位のシートをレジストユニット18に向けて搬送する。
【0022】
シート給送トレイ部27の幅方向両側には、それぞれ、下方に配置された駆動ローラ45bと上方に配置された従動ローラ45aとに張架された底板駆動ベルト45が設けられている。各駆動ローラ45bは、昇降モータ61(図7参照)から駆動力が伝達される昇降シャフト46に取り付けられている。底板32の用紙幅方向両端には、それぞれ、幅方向に突出するように設けられた支持部32bが設けられている。これら支持部32bは、それぞれ、底板駆動ベルト45に取り付けられている。
底板32の給送方向下流側には、後述する第二シート検知部33のシート検知フィラー42(図5参照)が入り込む開口部32aが設けられている。
【0023】
シート供給トレイ部26は、シート給送トレイ部27に対してほぼ水平に併設され、装置本体に対して引き出し可能に構成されている。シート供給トレイ部26には、このシート供給トレイ部26に積載されたシートの束をシート給送トレイ部27へ一括して移送するための移送部材たる移送フェンス28が設けられている。
【0024】
シート供給トレイ部26は、シートの束を積載する3つの底板部50a,50b,50cを有している。幅方向中央の底板部50bには、移送フェンス28がシート移送方向にスライド自在に支持されている。また、幅方向一端側(図2(b)における上側)の底板部50aは、シート供給トレイ部26のシートの有無を検知する第一シート検知部31が設けられている。
【0025】
底板部50a,50b,50cの下方の幅方向中央には、移送フェンス28をシート移送方向に往復移動させるための移送駆動ベルト19が設けられている。移送駆動ベルト19は、シート移送方向下流側に設けられた駆動ローラ19bと、シート移送方向上流側に設けられた従動ローラ19aとに張架されている。駆動ローラ19bは、移送モータ55(図7参照)から駆動力が伝達される移送シャフト19cに取り付けられている。
【0026】
移送フェンス28の下端の略幅方向中央には、下方に延びるベルト固定部28aが設けられており、このベルト固定部28aは、移送駆動ベルト19に固定されている。
【0027】
また、シート供給トレイ部26には、移送フェンス28がシート供給トレイ部26にセットされたシートの束とシート移送方向上流側から対向するホームポジションに位置していることを検知するホームポジションセンサ29を有している。また、シート供給トレイ部26には、移送フェンス28が、シート移送完了位置に到達したことを検知する到達センサ30を有している。
【0028】
図3は、図2(b)のA-A概略断面図であり、図3(a)は、シート供給トレイ部26にシートがない状態を示しており、図3(b)は、シート供給トレイ部26にシートの束がある状態を示している。
【0029】
第一シート検知部31は、シート検知フィラー37と、シート検知フィラー37の有無を検知するフィラー検知センサ81とを有している。シート検知フィラー37は、固定軸51に揺動自在に支持されている。シート検知フィラー37の一端には、半球状のシート接触部39が設けられており、シート検知フィラー37の他端には、フィラー検知センサ81に検知される被検知部38が設けられている。フィラー検知センサ81は、透過型光学センサであり、シート検知フィラー37の被検知部38が、透過型光学センサの発光素子と受光素子との間に入り込んで発光素子の光を遮り、受光素子が発光素子の光を受光しなくなることで、シート検知フィラー37の被検知部38が検知される。また、フィラー検知センサ81として、反射型光学センサを用いてもよい。この場合は、シート検知フィラー37の被検知部から反射した発光素子の光を受光素子が受光することで、シート検知フィラー37の被検知部が検知される。
【0030】
図3(a)に示すように、シート供給トレイ部26にシートがないときは、シート検知フィラー37は、自重によりシート接触部39が底板部50aの開口50a1から上方へ突出する姿勢となっている。このとき、シート検知フィラー37の被検知部38がフィラー検知センサ81により検知され、シート供給トレイ部26にシートがないことが検知される。
【0031】
図3(b)に示すように、シート供給トレイ部26にシートがあるときは、底板部(50a,50b,50c)に載置されたシート20の束の自重により、シート接触部39が下方へ押下げられ、シート検知フィラー37が図中反時計回りに回動する。シート検知フィラー37が図中反時計回りに回動することで、シート検知フィラー37の被検知部38が、フィラー検知センサ81により検知される検知位置から退避する。これにより、フィラー検知センサ81がシート検知フィラー37の被検知部38を検知しなくなり、シート供給トレイ部26にシート20が有ることが検知される。
【0032】
図4は、移送フェンス28のスライド移動について説明する図である。図4(a)は、移送フェンス28がホームポジションにある状態を示す図であり、図4(b)は、移送フェンス28が、シート移送完了位置に到達した状態を示す図である。
後述するように、シート給送トレイ部27にシートが無くなり、第一シート検知部31がシートを検知しているときは、移送フェンス28をシート給送トレイ部27へ向けてスライド移動させるシート移送制御を実施する。
【0033】
シート移送制御が実施されると、シート供給トレイ部26に収納されているシートをシート給送トレイ部27へ移送する移送動作が開始される。移送動作が開始されると、移送モータ55(図7参照)を駆動して、移送駆動ベルト19を回転駆動する。すると、この移送駆動ベルト19に固定されている移送フェンス28が、図4(a)に示すホームポジションからシート給送トレイ部27側へ移動する(図4の矢印X1参照)。移送フェンス28がシート給送トレイ部27側へ移動すると、シート供給トレイ部26に収納されているシートの束の移送方向後端部を押し込む。これにより、シート供給トレイ部26に収納されているシートの束が、移送フェンス28とともにシート給送トレイ部27へ移送される。
なお、移送モータ55の駆動を開始して、所定時間経過しても、ホームポジションセンサ29が移送フェンス28を検知し続けているときは、移送モータ55や移送駆動ベルトなどの移送モータの駆動力を伝達する機構に何らかの異常が発生しているので、シート移送制御を中止し、ユーザーに警告表示を行う。
【0034】
図4(b)に示すように、移送フェンス28が移送完了位置に到達すると、到達センサ30が移送フェンス28を検知する。到達センサ30が移送フェンス28を検知することで、シートの束がシート給送トレイ部27へ移送され、移送動作が完了する。
なお、ホームポジションセンサ29が移送フェンスを検知しなくなって、規定時間経過しても、到達センサ30が移送フェンス28を検知していないときは、シートの移送中に何らかのトラブルが発生しているので、シート移送制御を中止し、ユーザーに警告表示を行う。
【0035】
移送動作が完了したら、移送フェンス28をホームポジションへ戻す初期位置復帰動作が実行される。初期位置復帰動作が実行されると、移送モータ55が逆回転駆動する。すると、移送フェンス28が図中矢印X2に示すように、ホームポジションへ向けて移動する。そして、図4(a)に示すように、移送フェンス28がホームポジションに到達すると、ホームポジションセンサ29が移送フェンス28を検知する。ホームポジションセンサ29が移送フェンス28を検知したら、初期位置復帰動作完了と判断し、移送モータ55の駆動を停止し、シート移送制御が終了する。
【0036】
図5は、図2のB-B断面図であり、図5(a)は、シート給送トレイ部27にシートがあるときを示しており、図5(b)は、シート給送トレイ部27にシートが無くなったときを示している。
【0037】
図5に示すように、第二シート検知部33は、第一シート検知部31と同様、シート検知フィラー42と、シート検知フィラー42の有無を検知するフィラー検知センサ41とを有している。シート検知フィラー42は、固定軸43に揺動自在に支持されている。シート検知フィラー42の一端には、半球状のシート接触部44が設けられており、シート検知フィラー42の他端には、フィラー検知センサ81に検知される被検知部47が設けられている。
【0038】
フィラー検知センサ41は、透過型光学センサであり、シート検知フィラーの被検知部47が、透過型光学センサの発光素子と受光素子との間に入り込んで発光素子の光を遮り、受光素子が発光素子の光を受光しなくなることで、シート検知フィラー42の被検知部が検知される。また、フィラー検知センサ41として、反射型光学センサを用いてもよい。この場合は、シート検知フィラー42の被検知部から反射した発光素子の光を受光素子が受光することで、シート検知フィラー42の被検知部47が検知される。
【0039】
底板32が下降位置にあり、底板32上のシートの束の最上位シートが、給紙位置にないときは、シート検知フィラー42は自重によりシート接触部39が下方に位置するような姿勢となっている。このときは、シート検知フィラー42の被検知部47は、フィラー検知センサ41の検知位置から退避している。
【0040】
底板32が上昇していくと、底板32上のシートの束の最上位シートがシート接触部39に接触する。この状態からさらに底板32を上昇させると、シート検知フィラー42が図中反時計回りに回動する。すると、図5(a)に示すように、シート検知フィラー42の被検知部47が、フィラー検知センサ41の検知位置へ移動し、フィラー検知センサ41により被検知部47が検知される。これにより、底板32上のシートの束の最上位シートが、給送位置に来たことが検知される。
【0041】
底板32上のシートの束からシートが給送され、シートの束の枚数の減少に伴って、シート検知フィラー42は自重により図中時計回りに回動し、シート検知フィラー42の被検知部47は、フィラー検知センサ41の検知位置から退避し、フィラー検知センサ41が被検知部47を検知しなくなる。このように、フィラー検知センサ41が被検知部47を検知しなくなったら、フィラー検知センサ41が被検知部47を検知するまで、底板32を上昇させる。フィラー検知センサ41が被検知部47を検知したら、シートの束の最上位シートが給紙可能位置に来たとして、底板32の上昇を停止する。
【0042】
底板32上の最後シートが給送され底板32上にシートが無くなると、図5(b)に示すように、シート検知フィラー42が図中時計回りに回動し、シート接触部44が底板32の開口部32aへ入り込む。その結果、フィラー検知センサ41が被検知部47を検知しなくなる。このときは、上位検知センサ62(図7参照)によって、底板32が最上位位置にきていることを検知している。そのため、フィラー検知センサ41が被検知部47を検知しておらず、かつ、底板32が最上位位置にあると判断したときは、底板上にシートが無いと判定する。
【0043】
図6は、底板32の昇降について説明する図である。図6(a)は、底板32の初期位置である下降位置に底板32が位置している状態を示す断面概略図であり、図6(b)は、底板32上のシートの束の最上位シートが、給紙可能位置に位置している状態を示す断面概略図である。
【0044】
底板上にシートが無いことが検知されると、昇降モータ61(図7参照)を、底板上昇時とは、逆方向に回転駆動させ、底板駆動ベルト45を底板上昇時とは逆方向に回動させて底板32を下降させる。底板32が下降位置にあることを検知する下位検知センサ63(図7参照)により、底板32が検知されたら、昇降モータ61の駆動を停止する。次に、図6(a)に示すように、シート供給トレイ部26のシートの束がシート給送トレイ部へ移送され、底板32上にシートの束が積載されたら、昇降モータ61を正転駆動して、底板32を上昇させる。具体的には、到達センサ30が移送フェンス28を検知し、シート供給トレイ部26のシートの束がシート給送トレイ部へ移送する移送動作の完了が確認されたら、昇降モータ61を正転駆動して、底板32を上昇させる。そして、図6(b)に示すように、底板32上のシートの束の最上位シートが呼出ローラ34に当接し、第二シート検知部33が、最上位シートが給紙可能位置に到達したことを検知したら、昇降モータ61を停止し、底板32の上昇を停止する。
【0045】
図7は、大容量給紙ユニット24の制御ブロック図である。
制御部70には、シート供給トレイ部26の移送モータ55、第一シート検知部のフィラー検知センサ81、ホームポジションセンサ29および到達センサ30などが接続されている。また、制御部70には、シート給送トレイ部27の昇降モータ61、給紙モータ65、第二シート検知部のフィラー検知センサ41、上位検知センサ62、下位検知センサ63などが接続されている。
【0046】
移送モータ55は、移送フェンス28をスライド移動させるための駆動モータであり、昇降モータ61は、底板32を昇降させるための駆動モータである。給紙モータ65は、呼出ローラ34、フィードローラ35、及びリバースローラ36を駆動するための駆動モータである。また、上位検知センサ62は、底板32が最上位位置に到達したことを検知するセンサであり、下位検知センサ63は、底板32が下降位置に到達したことを検知するセンサである。
【0047】
制御部70は、フィラー検知センサ81からの信号に基づいて、第一シート検知部31がシートを検知しているか否かを判定する。また、制御部70は、到達センサ30の検知結果に基づいて、シート供給トレイ部26のシートの束をシート給送トレイ部27へ移送するシート移送動作完了を判定し、移送モータ55を停止する制御を行う。また、制御部70は、ホームポジションセンサ29の検知結果に基づいて、移送フェンス28を初期位置であるホームポジションに戻す初期位置復帰動作の完了を判定し、移送モータ55を停止する制御を行う。
【0048】
また、制御部70は、第二シート検知部33のフィラー検知センサ41のからの信号と、上位検知センサ62からの信号とに基づいて、シート給送トレイ部27のシートの有無を検知する。具体的には、制御部70は、フィラー検知センサ41がシート検知フィラーの被検知部47を検知しているときは、第二シート検知部がシートを検知していると判断し、シート給送トレイ部27にシートが有ると判定する。一方、フィラー検知センサ41がシート検知フィラーの被検知部47を検知しておらず、かつ、上位検知センサ62が底板32を検知しているときは、シート給送トレイ部27にシートが無いと判定する。すなわち、本実施形態では、第二シート検知部33と上位検知センサ62と制御部70とで、シート給送トレイ部27にシートが無いことを検知するシート無し検知部として機能する。
【0049】
また、制御部70は、上述したように、フィラー検知センサ41、上位検知センサ62および下位検知センサ63からの信号に基づいて、昇降モータ61を制御している。また、制御部70は、給紙モータ65を制御して、シート給送トレイ部27のシートの給送も制御している。
【0050】
また、制御部70には、操作パネル3が接続されており、例えば、シート供給トレイ部26にシートが無いときは、操作パネル3にシート供給トレイ部26にシートの束をセットするように促す表示を行う。また、後述するように、第一シート検知部31の異常を検知したときに、操作パネル3に第一シート検知部31に異常が生じていることを表示し、第一シート検知部31の修理を促す。
【0051】
図8は、底板上昇動作たる底板上昇制御の制御フロー図である。
図8に示す底板上昇制御は、到達センサ30が移送フェンス28を検知後、すなわち、シート供給トレイ部26のシートの束をシート給送トレイ部27へ移送する移送動作完了後の所定のタイミングで開始される。
底板上昇制御が開始されると、制御部70は、第二シート検知部33がシートを検知しているか否かを確認する(S1)。そして、底板32が上位検知センサ62により検知されておらず、底板32が最上位位置にないときは、昇降モータ61を駆動して、第二シート検知部33がシートを検知するまで底板32の上昇を行う(S1のNO、S3のNO、S4)。
【0052】
制御部70は、第二シート検知部33がシートを検知したことをフィラー検知センサ41の信号から判断したら、底板32に積載されたシートの束の最上位シートが呼出ローラ34に当接する給送可能位置に到達したとして、昇降モータ61の駆動を停止し、底板32の上昇を停止する(S1のYES、S2)。
【0053】
一方、底板32が上位検知センサ62により検知され、底板32が最上位位置に到達した場合(S3のYES)は、制御部70は、シート給送トレイ部27にシートが無いと判断する(S5)。そして、シート供給トレイ部26からシートの束を受け入可能にするために、底板32を下降位置まで下降させる(S6)。
【0054】
図9は、参考例のシート移送制御の制御フロー図である。
図9に示すように、シート供給トレイ部26のシートの束を、シート給送トレイ部27へ移送させるシート移送制御は、シート給送トレイ部27にシートが無いと判定(図8のS5参照)したら実行される(S1のYES)。
【0055】
シート移送制御が実行されると、制御部70は、第一シート検知部31がシートを検知しているか否かを確認する(S102)。第一シート検知部31がシートを検知していないとき(S102のNO)は、制御部70は、操作パネル3に、大容量給紙ユニット24にシートが無い旨を表示し、ユーザーにシートのセットを促す表示を行う(S103)。
【0056】
第一シート検知部31がシートを検知しているとき(S102のYES)は、制御部70は、移送モータ55の駆動を開始し、シート移送動作を開始する(S104)。シート移送動作が開始されると、図4を用いて説明したように、ホームポジションに位置する移送フェンス28がシート給送トレイ部27へ向けて移動し、シート供給トレイ部26に積載されたシートの束が、移送フェンス28によりシート給送トレイ部27へ移送される。
【0057】
到達センサ30が移送フェンス28を検知し、シート供給トレイ部26のシートの束をシート給送トレイ部27へ移送する移送動作が完了したら(S105)、制御部70は、移送モータ55を逆転駆動して移送フェンス28をホームポジションに戻す初期位置復帰動作を開始する(S106)。また、制御部70は、図8で示した底板上昇制御を開始する(S107)。そして、ホームポジションセンサ29が移送フェンス28を検知し、移送フェンス28がホームポジションに戻ったことを検知したら、初期位置復帰動作が完了しとして、移送モータ55を停止する(S108)。
【0058】
第一シート検知部31に何らかの異常が発生し、シート供給トレイ部26にシートが無いにも関わらず、第一シート検知部31がシート有りを検知する場合があった。この場合、参考例においては、シート供給トレイ部26にシートが無いにも関わらず、シート移送動作が開始される。そして、到達センサ30が移送フェンス28を検知して、シート移送動作が完了したら、シート給送トレイ部27の底板32にシートが無い状態で、底板上昇制御が開始される。すると、図8の制御フローからわかるように、底板32が、最上位位置に到達するまで第二シート検知部33がシートを検知することがなく、再び、制御部70は、シート給送トレイ部27にシートが無いと判定する。その結果、再度、シート供給トレイ部26にシートが無いにも関わらず、シート移送動作が開始されてしまう。よって、図9に示す参考例においては、シート供給トレイ部26にシートが無いにも関わらず、第一シート検知部31がシート有りを検知するという異常が発生すると、シート移送動作と、底板上昇制御とが延々と繰り返し実行してしまうという不具合が発生するおそれがあった。
【0059】
図10は、参考例におけるシート移送完了前と、シート移送完了後の状態遷移について説明する図である。図10(a)が、第一シート検知部31に異常がないときの状態遷移について説明する図である。図10(b)は、シート供給トレイ部26にシートが有る状態で、第一シート検知部31に異常があったときの状態遷移について説明する図である。図10(c)は、シート供給トレイ部26にシートが有る状態で、第一シート検知部31に異常があったときの状態遷移について説明する図である。
【0060】
図10(a)に示すように、第一シート検知部31に異常がないときは、シート移送完了後は、第一シート検知部31は、シート供給トレイ部26にシートが無いことを正しく検知する。
【0061】
図10(b)に示すように、シート供給トレイ部26にシートが有る状態で、第一シート検知部31に異常があったときは、シート供給トレイ部26のシートの束が、シート給送トレイ部27へ移送される。移送完了後は、シート供給トレイ部26にシートが無いにもかかわらず、第一シート検知部31がシート有りを検知する誤検知状態となる。従って、シート給送トレイ部27に移送されたシートの束がシートの給送により無くなると、上述したシート移送動作と、底板上昇制御とが、延々と繰り返し実行してしまうという不具合が発生してしまう。
【0062】
図10(c)に示すように、シート供給トレイ部26にシートが無い状態で、第一シート検知部31に異常があったときは、シート移送開始前から、シート供給トレイ部26にシートが無いにもかかわらず、第一シート検知部31がシート有りを検知する誤検知状態となる。そして、シート供給トレイ部26にシートが無いため、シート移送完了後も、シート給送トレイ部27は、シートが無い状態であり、シート移送開始前とシート移送完了後とで、同一の状態でなる。すなわち、シート供給トレイ部26については、シートが無いにもかかわらず、第一シート検知部31がシート有りを検知する誤検知状態であり、シート給送トレイ部27は、シート無し状態である。このように、シート供給トレイ部26にシートが無い状態で、第一シート検知部31に異常があったときは、シート移送動作と、底板上昇制御とが、延々と繰り返し実行してしまうという不具合が発生してしまう。
【0063】
そこで、本実施形態では、到達センサ30が移送フェンス28を検知し、シート供給トレイ部26のシートの束のシート給送トレイ部27への移送動作完了後に、第一シート検知部31の異常判定を行うようにした。以下、図面を用いて具体的に説明する。
【0064】
図11は、本実施形態のシート移送制御の制御フロー図である。
なお、以下の説明では、図9を用いて説明した参考例と同様の制御については、適宜、説明を省略する。
図11に示すように、本実施形態におけるシート移送制御は、第一シート検知部31がシート供給トレイ部26にシートがあることを検知しているとき(S12のYES)は、第一シート検知部異常フラグが立っているか否かを確認する(S14)。異常フラグが無いとき(S14のNO)は、参考例と同様、シート供給トレイ部26のシートをシート給送トレイ部27へ移送するシート移送動作を開始する(S15)。
【0065】
到達センサ30が移送フェンス28を検知して、シート供給トレイ部26のシートの束をシート給送トレイ部27へ移送する移送動作が完了したことを検知したら(S16)、制御部70は、第一シート検知部31が、シート供給トレイ部26のシートを検知しているか否かを確認する(S17)。
【0066】
なお、移送動作開始後、ホームポジションセンサ29が所定期間移送フェンス28を継続して検知し続けている場合は、移送動作に何らかの異常が発生しているとして、移送動作を停止して、操作パネル3に移送動作に異常が発生している旨を報知する。また、到達センサ30が、ホームポジションセンサ29が移送フェンス28を検知しなくなって、所定時間経過しても、到達センサ30が移送フェンス28を検知しなかった場合は、移送動作に何らかの異常が発生しているとして、移送動作を停止して、操作パネル3に移送動作に異常が発生している旨を報知する。
【0067】
シート移送動作完了時においては、シート供給トレイ部26のシートは、シート給送トレイ部へ移送されているため、シート供給トレイ部26にシートはない。また、到達センサ30が移送フェンス28を検知しており、正常に移送動作が行われていることもわかる。従って、このときに第一シート検知部31が、シート有りを検知していれ(S17のNO)ば、第一シート検知部31が、シート供給トレイ部26にシートが無いにもかかわらず、シート有りを検知する異常状態であると判断できる。従って、このときは、操作パネル3に第一シート検知部31に異常が発生している旨を表示するとともに、第一シート検知部31異常フラグを立てる(S18)。
【0068】
また、本実施形態では、第一シート検知部31に異常があった場合(S17のNO)、第一シート検知部31が正常であった場合(S17のYES)、いずれの場合においても、参考例と同様、移送動作完了後の制御を実施する。すなわち、制御部70は、移送モータ55を逆転駆動して移送フェンス28をホームポジションに戻す初期位置復帰動作を開始する(S19)とともに、図8で示した底板上昇制御を開始する(S20)。
【0069】
本実施形態では、シート供給トレイ部26にシートが無いにもかかわらず、シート有りを検知するような異常が第一シート検知部31に発生していると判定されたとき(S17のYES)は、第一シート検知部異常フラグが立てられる。よって、次のシート移送制御の実行時においては、S14において、第一シート検知部異常フラグが有ることが確認され(S14のYES)、シート移送制御の実行が禁止される(S22)。このように、シート移送制御が禁止されることで、シート給送トレイ部27にシートが無いことを検知していても、図11に示すシート移送制御が開始されることがない。これにより、シート移送動作と、底板上昇制御とが、延々と繰り返し実行してしまうという不具合が発生することがない。
【0070】
また、本実施形態では、S17において、第一シート検知部31に異常があると判定されたとき(S17のNO)も、異常なしのとき(S17のYES)と同様に、シート移送完了後に行う動作を実行し、底板32に積載されたシートの束の最上位シートを給送可能位置へ移動させる底板上昇制御を行う。これにより、図12(a)に示すように、シート供給トレイ部26にシートが有る状態で、第一シート検知部31に異常が発生したときでも、シート供給トレイ部26からシート給送トレイ部27へ移送されたシートを給送することができる。これにより、第一シート検知部31の異常判定された場合でも、シート供給トレイ部26に収納されたシートを活用することができる。また、移送動作完了後に、第一シート検知部異常フラグが立つため、シート給送トレイ部27に移送されたシートの束がシートの給送により無くなった後において、シート移送動作と底板上昇制御とが、延々と繰り返し実行してしまうという不具合は発生しない。
【0071】
一方、図12(b)に示すように、シート供給トレイ部26にシートが無い状態で、第一シート検知部31に異常があったときは、シート移送動作完了後(S16)に、第一シート検知部31に異常があると判定され、第一シート検知部異常フラグが立つ(S17NO、S18)。従って、シート給送トレイ部27にシートが無いと再度判定され、再度、シート移送制御が開始されたとしても、シート移送動作が開始されることがない。よって、シート移送動作と、底板上昇制御とが、延々と繰り返し実行してしまうという不具合が発生することがない。
【0072】
第一シート検知部異常フラグは、サービスマンによって第一シート検知部31の異常が解消された後、サービスマンが操作パネル3に対して所定の操作を行うことでフラグが消される。また、シート供給トレイ部26が装置に対して引き出されたら、第一シート検知部異常フラグを消去するようにしてもよい。これにより、シート供給トレイ部26が装置に対して引き出され、シート供給トレイ部26にシートの束がセットされたときは、第一シート検知部31に異常があっても、そのシート供給トレイ部26にセットされたシートの束を、シート給送トレイ部27へ移送して給送を行うことができる。これにより、第一シート検知部31に異常が発生した状態でも、大容量給紙ユニット24をそのまま使用することが可能となる。シート給送トレイ部27にシートを移送した後は、再び、第一シート検知部異常フラグが立つため、シート給送トレイ部27のシートが無くなった後に、シート移送動作と、底板上昇制御とが、延々と繰り返し実行してしまうという不具合が発生することはない。
【0073】
このように、本実施形態では、第一シート検知部31の異常を検知することで、第一シート検知部31の異常により生じる不具合(シート移送動作と、底板上昇制御とが、延々と繰り返し実行してしまうという不具合)が発生しないように制御することが可能となる。また、第一シート検知部31の異常か否かが判定できることで、底板上昇制御など、第一シート検知部31に異常があっても問題なく動作可能な制御を実施することできる。これにより、第一シート検知部31の異常なのか移送動作の異常なのか判別がつかないため装置の動作を停止している特許文献1とは異なり、装置のダウンタイムが発生するのを抑制することができる。
【0074】
また、第一シート検知部31の異常検知は、シート移送動作完了から、シート復帰動作完了(図11のS21)まで、すなわち、シート移送制御終了までの任意のタイミングで行えばよい。シート移送制御終了まで第一シート検知部31の異常検知を行うことで、次のシート移送制御時に、第一シート検知部31に異常がある状態で、移送動作が行われるのを防止できる。
【0075】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
シート供給トレイ部26などの第一シート収納部と、シート給送トレイ部27などの第二シート収納部と、第一シート収納部から第二シート収納部へシートを移送する移送フェンス28などの移送部材と、第一シート収納部に収納されているシートを検知する第一シート検知部31などのシート検知部とを備える大容量給紙ユニット24などのシート収納装置において、移送部材によって第一シート収納部のシートを第二シート収納部へ移送する移送動作完了後に、シート検知部が、シート有りを検知しているときは、前記シート検知部が異常であると判定する。
特許文献1では、移送動作開始後、シート検知部のシートが有るという検知結果が所定時間以上継続してるか否かで異常の判定を行っている。かかる異常の判定では、移送動作の異常で、第一収納部のシートを第二収納部へ移送できていないことで、シート検知部のシートが有るという検知結果が所定時間以上継続しているのか、シート検知部の異常で、シートが無いにも関わらず、シート検知部がシート有りを検知していることで、シート検知部のシートが有るという検知結果を所定時間以上継続しているのかはわからない。従って、特許文献1では、シート検知部が異常を判定できない。
これに対し、態様1では、実施形態で説明したように、第一シート収納部のシートを第二シート収納部へ移送した後は、第一シート収納部には、シートが無い状態である。よって、移送動作の完了後に、シート検知部がシート有りを検知しているときは、シート検知部の異常であると判定できる。また、移送動作の完了後に行うことで、移送動作の異常で、シート検知部がシート有りを検知する態様は、除外でき、正しくシート検知部の異常を判定できる。
【0076】
(態様2)
態様1において、第一シート検知部31などのシート検知部に異常があると判定しても、底板上昇制御などのシート給送トレイ部27などの第二シート収納部のシートが給送可能な状態にする動作を実行する。
これによれば、実施形態で説明したように、第一シート検知部31などのシート検知部に異常があっても、シート供給トレイ部26のシートを活用することができる。
【0077】
(態様3)
態様2において、シート給送トレイ部27などの第二シート収納部は、シートを載置する底板32を備え、第二シート収納部のシートを給送可能な状態にする動作は、底板32に載置されたシートが給送可能な位置まで上昇させる底板上昇動作である。
これによれば、実施形態で説明したように、シート供給トレイ部26のシートを活用することができる。
【0078】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、シート給送トレイ部27などの第二シート収納部に収納されてシートが無いことを検知するシート無し検知部(本実施形態では、第二シート検知部33、上位検知センサ62および制御部70で構成)を有し、シート無し検知部がシート無し検知し、第一シート検知部31などのシート検知部がシート有りを検知しているときは、移送動作を行うものであって、シート検知部に異常が有ると判定したときは、シート無し検知部がシート無し検知し、シート検知部がシート有りを検知していても、移送動作を行わない。
これによれば、実施形態で説明したように、シート移送動作と、底板上昇制御などの第二シート収納部のシートを給送可能な状態にする動作とが、延々と繰り返される不具合が発生することがなくなる。
【0079】
(態様5)
態様1乃至4いずれかにおいて、移送フェンス28などの移送部材は、シート供給トレイ部26などの第一シート収納部のシート移送方向上流側端部と、第一シート収納部のシート移送方向下流側端部との間を移動可能に構成されている。
これによれば、実施形態で説明したように、移送フェンス28などの移送部材を、ホームポジションである第一シート収納部のシート移送方向上流側端部から第一シート収納部のシート移送方向下流側端部へ移動させることで、第一シート収納部に収納されているシートを、押し込んで、第二シート収納部へ移送させることができる。
【0080】
(態様6)
態様5において、第一シート検知部31などのシート検知部の異常判定を、移送フェンス28などの移送部材を第一シート収納部のシート移送方向上流側端部へ戻す復帰動作完了までの任意のタイミングで実行する。
これによれば、次のシート移送制御が実施されるまでの間に、第一シート検知部31などのシート検知部の異常判定を行うことができ、次のシート移送制御時において、シート検知部の異常判定に基づいて、移送動作を行うか否かを決定することができる。
【0081】
(態様7)
シートを収納する大容量給紙ユニット24などのシート収納装置を備え、シート収納装置に収納されたシートを給送してシートに画像を形成する画像形成装置において、シート収納装置として態様1乃至6いずれかのシート収納装置を用いた。
これによれば、第一シート検知部31などのシート検知部に異常が有るか否かを判別できる。
【符号の説明】
【0082】
3 :操作パネル
19 :移送駆動ベルト
19a :従動ローラ
19b :駆動ローラ
19c :移送シャフト
20 :シート
24 :大容量給紙ユニット
25 :給送装置
26 :シート供給トレイ部
27 :シート給送トレイ部
28 :移送フェンス
28a :ベルト固定部
29 :ホームポジションセンサ
30 :到達センサ
31 :第一シート検知部
32 :底板
32a :開口部
32b :支持部
33 :第二シート検知部
34 :呼出ローラ
35 :フィードローラ
36 :リバースローラ
37 :シート検知フィラー
38 :被検知部
39 :シート接触部
41 :フィラー検知センサ
42 :シート検知フィラー
43 :固定軸
44 :シート接触部
45 :底板駆動ベルト
45a :従動ローラ
45b :駆動ローラ
46 :昇降シャフト
47 :被検知部
50a :底板部
50a1 :開口
50b :底板部
50c :底板部
51 :固定軸
55 :移送モータ
61 :昇降モータ
62 :上位検知センサ
63 :下位検知センサ
65 :給紙モータ
70 :制御部
81 :フィラー検知センサ
100 :プリンタ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【文献】特開2014-240324号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12