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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】能動湿式洗浄濾過システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/75 20060101AFI20240627BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20240627BHJP
   B01D 53/44 20060101ALI20240627BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20240627BHJP
   F24F 8/142 20210101ALI20240627BHJP
【FI】
B01D53/75
B01D53/18 150
B01D53/44 120
B01D53/78 ZAB
F24F8/142
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021534675
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 US2019062981
(87)【国際公開番号】W WO2020131309
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-08-30
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】62/782,946
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】モールトン,タイラー
(72)【発明者】
【氏名】ブリット, ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ルブラン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ゴードロー, ジョン シー.
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】金 公彦
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-37723(JP,U)
【文献】特開平9-314075(JP,A)
【文献】特開平9-112211(JP,A)
【文献】特開2018-176078(JP,A)
【文献】特開2017-185476(JP,A)
【文献】特開2017-48999(JP,A)
【文献】特開2017-12951(JP,A)
【文献】特開2014-217809(JP,A)
【文献】特開2013-212437(JP,A)
【文献】特開平11-197441(JP,A)
【文献】特開2014-36942(JP,A)
【文献】特開2014-33991(JP,A)
【文献】特開2012-236166(JP,A)
【文献】特開平10-286430(JP,A)
【文献】特開平9-141050(JP,A)
【文献】特開昭61-259730(JP,A)
【文献】国際公開第96/26785(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/04- 7/06
H01L 21/00-21/16
A61L 9/00- 9/22
C23C 16/00-16/56
B01D 47/00-47/18
B01D 53/34-53/73
B01D 53/74-53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
B01D 53/14-53/18
F24F 1/0007
F24F 1/0059-1/008
F24F 1/2
F24F 1/032-1/0355
F24F 3/00- 3/167
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流の除染のための装置であって、
a)汚染物質含有ガス流を受け取るためのガス流入力部と、
b)ガス流入力部から汚染物質含有ガス流を受け取り、汚染物質含有ガスを螺旋状の流れに誘導するように構成された渦流化装置と、
c)洗浄流体の流れを吸収構造体に接触させるための洗浄流体接触システムを備えた吸収構造体であって、汚染物質含有ガス流が、渦流化装置によって螺旋状の流れで吸収構造体に衝突するように方向付けられ、吸収構造体を通過し、それによって、ガス流から汚染物質を少なくとも部分的に除去する洗浄流体に接触して、少なくとも部分的に除染されたガス流を形成する、吸収構造体と、
d)少なくとも部分的に除染されたガス流を受け取り、少なくとも部分的に除染されたガス流を送出するように構成されたガス流出力部と
e)吸収構造体を出る洗浄流体を受け取るように動作可能に接続され、洗浄流体を除染し、再利用のために洗浄流体を洗浄流体接触システムに戻すように構成された第1の洗浄流体除染システムと、
f)吸収構造体から出る洗浄流体を受け取るように動作可能に接続され、洗浄流体を除染し、再利用のために洗浄流体を洗浄流体接触システムに戻すように構成された第2の洗浄流体除染システムとを備え、
第1の洗浄流体除染システム及び第2の洗浄流体除染システムは、互いに独立して係合又は係合解除することができる、装置。
【請求項2】
渦流化装置が、1つ又は複数の静翼を備える受動渦流化装置である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
渦流化装置が、1つ又は複数の可動翼を備える能動渦流化装置である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
螺旋状の流れが、汚染物質含有ガス流の正味の動きに平行な軸の周りにある、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
汚染物質含有ガス流が作業現場から引き出され、少なくとも部分的に除染されたガス流が作業現場に戻される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
g)渦流化装置によって螺旋状の流れの中へ誘導された汚染物質含有ガス流が、吸収構造体に入る前に最初の洗浄流体噴霧部を通過するように、渦流化装置と吸収構造体との間に配置された最初の洗浄流体噴霧部をさらに備え、最初の洗浄流体噴霧部は、汚染物質含有ガス流に洗浄流体の噴霧を発射するように構成されている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
h)ガス流出力部を出る少なくとも部分的に除染されたガス流が、少なくとも部分的に除染されたガス流から溶解又は同伴された洗浄流体を少なくとも部分的に除去する凝縮器に接触するように構成されている凝縮器をさらに備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
ガス流の除染方法であって、
a)汚染物質含有ガスを螺旋状の流れに誘導するように構成された渦流化装置に汚染物質含有ガス流を通過させることと、
b)吸収構造体に洗浄流体の流れを接触させるための洗浄流体接触システムを備えた吸収構造体に汚染物質含有ガス流を通過させることと、
c)吸収構造体を出る洗浄流体を受け取り、洗浄流体を除染し、再利用のために洗浄流体を洗浄流体接触システムに戻すように動作可能に接続された第1の洗浄流体除染システムと、吸収構造体を出る洗浄流体を受け取り、洗浄流体を除染し、再利用のために洗浄流体を洗浄流体接触システムに戻すように動作可能に接続された第2の洗浄流体除染システムとの一方又は両方に洗浄流体を通過させることを含み、
汚染物質含有ガス流が、渦流化装置によって螺旋状の流れで吸収構造体に衝突するように方向付けられ、吸収構造体を通過し、それによって、ガス流から汚染物質を少なくとも部分的に除去する洗浄流体に接触して、少なくとも部分的に除染されたガス流を形成し、
第1の洗浄流体除染システム及び第2の洗浄流体除染システムは、互いに独立して係合又は係合解除することができる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クリーンルーム又は半導体処理ツールで使用するための空気又は他のプロセスガスの洗浄及びリサイクルに有用であり得る能動湿式洗浄濾過システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体処理ツールにおける空気の質は、半導体製造業において主要な関心事である。フォトリソグラフィツールは、特に、(微粒子及び分子汚染物質の両方に関して)適切な温度、湿度及び清浄度の空気を必要とする。
【0003】
空気の湿度及び温度の制御に対する従来の手法では、例えば、空気流と熱を交換し、空気流に水蒸気を除去又は追加することができる空調装置を使用する。
【0004】
空気流からの汚染物質の除去、特に分子汚染物質の除去は、従来、別の装置で行われている。例えば、従来の手法では、通常、活性炭フィルタ及び/又は吸着媒体と化学吸着媒体との組合せを使用して、送出される空気の温度及び湿度を管理するために、温度及び/又は湿度制御空気処理装置と併用して汚染を制御する。
【0005】
汚染物質除去のための従来の手法では、微粒子及び分子汚染物質を除去するために、フィルタ又は一連のフィルタを使用する。微粒子は、一般に、約0.1ミクロンを超えるサイズを有する汚染物質と見なされる。分子汚染物質は、一般に、堆積物(例えば有機物)を形成する汚染物質、及び/又はプロセス性能(例えば、塩基)を阻害する汚染物質と見なされる。
【0006】
しかしながら、フィルタにはいくつかの問題がある。フィルタは、耐圧性を増加させ、それにより、処理ツール用の空気処理システムにおける圧力損失を増大させる。フィルタの耐用年数も限られているため、最終的にフィルタを取り外して交換する必要がある。このような交換には、フィルタ要素を交換するために関連する半導体処理ツールのダウンタイムが必要になり、プロセスツールの総所有コストが増加する可能性がある。
【0007】
さらに、多くのフィルタは、低分子量有機物が典型的に吸着が困難であるため、特に低分子量範囲では、光学的に有害な揮発性有機化合物を軽減する能力が限られている。フィルタの能力及び/又は容量を増加させることは、一般に、より多量の吸着媒体を追加することを意味し、これにより、耐圧性及びコストがさらに増加する。
【0008】
フィルタの濾過媒体自体が、下流の微粒子濾過を必要とする微粒子汚染を引き起こす可能性がある。さらに、フィルタの濾過媒体自体が化学汚染を引き起こす可能性がある。例えば、強酸性媒体の使用を含む従来の濾過方法は、例えばSOなどの含硫黄酸化物などの有害な酸性陰イオンを空気流にもたらす可能性がある。
【0009】
さらに、フィルタ、特にいくつかの従来の化学フィルタのフィルタ媒体は、空気流の温度及び湿度制御に問題を引き起こす可能性がある。例えば、強酸性のスルホン化媒体(アンモニア及びアミンなどの塩基性化合物の除去に従来使用されている)は、それらの化学的性質により、水との可逆的な発熱反応(例えば、水和反応)を起こしやすい。この熱と湿度の相互作用により、空気流の温度及び湿度のフィードバック制御が困難になる。典型的な目的は、温度及び/又は湿度の変化を超低水準(例えば、温度の変化は数十ミリケルビン未満、及び相対湿度の変化はわずか数パーセント未満)に管理することであるため、空気流の湿度及び温度制御の困難さは、フォトリソグラフィにおいて特に問題となる。空気流の湿度及び温度制御が困難なことにより、例えばフォトリソグラフィツールの始動プロセス中に、制御安定性を達成するのに必要な時間が実質的に増加する可能性がある。制御安定性を達成するための時間が増えると、半導体産業にとって懸念される生産指標であるツールの稼働率に直接関係する。
【発明の概要】
【0010】
簡単に言えば、本開示は、ガス流の除染のための装置及びその使用方法を提供し、装置は、a)汚染物質含有ガス流を受け取るためのガス流入力部と、b)ガス流入力部から汚染物質含有ガス流を受け取り、汚染物質含有ガスを螺旋状の流れに誘導するように構成された渦流化装置と、c)洗浄流体の流れを吸収構造体に適用するための洗浄流体適用システムを備えた吸収構造体であって、汚染物質含有ガス流が、渦流化装置によって螺旋状の流れの中で吸収構造体に衝突するように方向付けられ、吸収構造体を通過し、それによって、ガス流から汚染物質を少なくとも部分的に除去する洗浄流体に接触して、少なくとも部分的に除染されたガス流を形成する、吸収構造体と、d)少なくとも部分的に除染されたガス流を受け取り、少なくとも部分的に除染されたガス流を送出するように構成されたガス流出力部とを含む。いくつかの実施形態では、渦流化装置は、1つ又は複数の静翼を備える受動渦流化装置であるが、他の実施形態では、渦流化装置は、1つ又は複数の可動翼を備える能動渦流化装置であってもよい。典型的には、螺旋状の流れは、汚染物質含有ガス流の正味の動きに平行な軸の周りにある。
【0011】
別の態様において、本開示は、ガス流の除染のための装置を提供し、この装置は、上述した装置の要素も含むことができ、a)吸収構造体を出る洗浄流体を受け取るように動作可能に接続され、洗浄流体を除染し、再利用のために洗浄流体を洗浄流体適用システムに戻すように構成された第1の洗浄流体除染システムと、b)吸収構造体を出る洗浄流体を受け取るように動作可能に接続され、洗浄流体を除染し、再利用のために洗浄流体を洗浄流体適用システムに戻すように構成された第2の洗浄流体除染システムとを備え、第1の洗浄流体除染システム及び第2の洗浄流体除染システムは、互いに独立して係合又は係合解除することができる。
【0012】
別の態様において、本開示は、ガス流の除染のための装置を提供し、この装置は、上述した装置の要素も含むことができ、a)汚染物質含有ガス流が吸収構造体に入る前に最初の洗浄流体噴霧部を通過するように、吸収構造体の前に配置された最初の洗浄流体噴霧部を備え、最初の洗浄流体噴霧部は、汚染物質含有ガス流に洗浄流体の噴霧を発射するように構成されている。渦流化装置も存在する場合、最初の洗浄流体噴霧部は、渦流化装置と吸収構造体との間に配置され、渦流化装置によって螺旋状の流れの中へ誘導された汚染物質含有ガス流が、吸収構造体に入る前に最初の洗浄流体噴霧部を通過するようになっている。典型的には、洗浄流体適用システム及び最初の洗浄流体噴霧部は、吸収構造体の両端に位置する。
【0013】
別の態様では、本開示は、ガス流の除染のための装置を提供し、この装置は、上述の装置の要素も含むことができ、a)吸収構造体を出る少なくとも部分的に除染されたガス流が凝縮器に接触するように構成された凝縮器であって、少なくとも部分的に除染されたガス流から溶解又は同伴された洗浄流体を少なくとも部分的に除去する凝縮器を備える。典型的には、ガス流の除染のための装置はまた、凝縮器の作用によって、少なくとも部分的に除染されたガス流から除去された凝縮洗浄流体を収集し、凝縮洗浄流体を洗浄流体として再利用するために洗浄流体適用システムに戻すように適合された凝縮洗浄流体リサイクル装置を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、汚染物質含有ガス流は空気を含む。いくつかの実施形態では、洗浄流体は、水、脱イオン(DI)水、又は化学吸着水溶液を含む。いくつかの実施形態では、作業現場は、クリーンルーム、又は1つもしくは複数の半導体処理ツールを含み、半導体処理ツールは、フォトリソグラフィツール又はフォトリソグラフィツールクラスタを含み得る。いくつかの実施形態では、汚染物質含有ガス流は作業現場から引き出され、少なくとも部分的に除染されたガス流が作業現場に戻される。
【0015】
本開示の前述の概要は、本開示の各実施形態を説明することを意図するものではない。本発明の1つ又は複数の実施形態の詳細も、以下の説明に記載される。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、本明細書及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0016】
本明細書で使用される全ての科学用語及び技術用語は、特に明記しない限り、当技術分野で一般的に使用される意味を有する。
【0017】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。
【0018】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「又は」という用語は、一般に、その内容が明らかにそうでないことを指示しない限り、「及び/又は」を含む意味で使用される。
【0019】
本明細書で使用される場合、「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などは、それらのオープンエンドの意味で使用され、一般に「含むが、これらに限定されない」の意味である。「~から成る(consisting of)」及び「~から本質的に成る(consisting essentially of)」という用語は、「含む(comprising)」などの用語に包含されることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示による能動湿式洗浄濾過システムの一実施形態の概略図である。
図2】本開示による渦流化装置の一実施形態の概略図である。
図3】本開示による能動湿式洗浄濾過システムの概略図であり、洗浄塔は、渦流化装置が見えるように切り取られている。
図4】本開示による能動湿式洗浄濾過システムの概略図であり、洗浄塔は、渦流化装置が見えるように切り取られている。
図5】本開示による能動湿式洗浄濾過システムの一実施形態の概略図である。
図6】本開示による能動湿式洗浄濾過システムの一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、クリーンルーム又は半導体処理ツールで使用するための空気又は他のプロセスガスの洗浄及びリサイクルに有用であり得る能動湿式洗浄濾過システムを提供する。
【0022】
本開示のシステムは、ガス流中の1つ又は複数の汚染物質の濃度を低減するために、洗浄流体を利用する。好ましい洗浄流体には、水、脱イオン(DI)水及び化学吸着水溶液が含まれたが、これらに限定されない。他の適切な洗浄流体としては、水、油、非極性溶媒及び極性溶媒、例えばアルコールなどが含まれ得るが、これらに限定されない。脱イオン水を含む洗浄流体を使用する実施形態では、脱イオン水は、約10万オームセンチメートルから約1800万オームセンチメートルの範囲の抵抗率を有することが好ましい。
【0023】
好ましい実施形態では、洗浄流体は、吸収構造体(例えば、液滴及び/又はフィルムとして)の表面を濡らし、1つ又は複数の汚染物質は、洗浄流体における収着によってガス流から除去される。例えば、1つ又は複数の汚染物質は、洗浄流体中での吸収、吸着、溶解、又はそれらの組合せによってガス流から除去することができる。吸着には、化学吸着及び物理吸着が含まれ得るが、これらに限定されない。さらに、種は、洗浄流体への収着、洗浄流体の表面への収着、又は両方の組合せによって除去することができる。
【0024】
本開示のシステム及び方法は、半導体処理ツールで使用される多種多様なガス流からの多種多様な分子汚染物質に使用することができる。様々な実施形態では、除去することができる分子汚染物質は、酸、塩基、高分子量及び低分子量有機化合物、並びに化合物群を含むがこれらに限定されず、その化合物群には、マイクロ電子ドーパント、分子凝縮性物質及び耐火性化合物が含まれるが、これらに限定されない。様々な実施形態では、1つ又は複数の汚染物質の濃度は、ガス流において低減させることができ、このガス流には、空気、クリーンドライエア(CDA)、酸素、窒素、及び1つ又は複数の希ガスの流れが含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
高分子量有機物には、約6個を超える炭素原子を有する化合物(C化合物)が含まれる。低分子有機物には、約6個以下の炭素原子を有する化合物(C化合物)が含まれる。分子凝縮性物質には、高沸点(すなわち、約150℃を超える)有機材料が含まれる。分子凝縮性物質は、例えば、光学素子上に吸着し、続いて深紫外線(DUV)光(例えば、193nm及び157nmの光)への曝露によって誘発されるラジカル縮合又は重合によって、フォトリソグラフィツールの光学素子に害を及ぼす可能性がある。耐火材は、不揮発性又は非反応性酸化物を形成する原子を含有する化合物であり、例えば、リン(P)、ケイ素(Si)、硫黄(S)、ホウ素(B)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)であるが、これらに限定されない。これらの汚染物質は、DUV光にさらされると、従来のフォトリソグラフィツールの洗浄手法に耐性のある耐火性化合物を形成し、光学面上で不可逆的に凝縮することさえある。耐火材には、例えば、シラン類、シロキサン類(例えば、ヘキサメチルジシロキサンなど)、シラノール類、及びヨウ素酸塩などの耐火性有機物が含まれる。本開示のシステム及び方法の様々な実施形態によってガス流中の濃度を低下させることができる分子汚染物質のさらなる例を表1に列挙する。
表1
アンモニア
硫酸
亜硝酸
硝酸
有機リン
トリメチルシラノール(TMS)
ジメチルスルホキシド(DMSO)
ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)
シラン、テトラメトキシ(TEOS)
シラン、ジメトキシジメチル
ベンゼン
ヘキサン、3-メチル
2-ヘプタン
シラン、トリメトキシメチル
ヘキサン、2,5-ジメチル
トルエン
プロパン酸、2-ヒドロキシエチルエステル
プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)
ジプロピレングリコールメエチルエーテル(DPGME)
プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)
エチルベンゼン
n-プロピルベンゼン
シクロヘキサン
キシレン
スチレン
1,2,3 トリメチルベンゼン
1,3,5 トリメチルベンゼン
シクロヘキサノン
3-ヘプタノン
オクタン、2,6-ジメチル
シクロヘキサン、(1-メチルエチル)
ノナン
オクタン、2,5,6-トリメチル
オクタン、2,2,7,7-テトラメチル
オクタン、2,2,6-トリメチル
ベンゼン、1-エチル、3-メチル
デカン、2-メチル
ベンゼン、1-エチル、2-メチル
ベンズアルデヒド
カルバミン酸、メチル-、フェニルエステル
ヘプタン、2,2,4,6,6-ペンタメチル
デカン、2,2-ジメチル
デカン、2,2,9-トリメチル
ノナン、3,7-ジメチル
デカン、5,6-ジメチル
デカン、2,3-ジメチル
ノナン、3-メチル-5-プロピル
デカン、2,6,7-トリメチル
ヘプタン、4-エチル-2,2,6,6-テトラメチル
ウンデカン、2,5-ジメチル
ウンデカン、4,6-ジメチル
ウンデカン、3,5-ジメチル
ウンデカン、4-メチル
ノナン、3-メチル-5-プロピル
ウンデカン、5,7-ジメチル
ウンデカン、3,8-ジメチル
ドデカン、2,5-ジメチル
ヘプタン、2,2,3,4,6,6-ヘキサメチル
ドデカン、2,6,10-トリメチル
トリデカン、5-メチル
トリデカン、4-メチル
ドデカン
安息香酸
シクロテトラシロキサン、ヘキサメチル
シクロテトラシロキサン、オクタメチル
2.5 シクロヘキサジエン-1,4-ジオン、2,5-ジフェニル
【0026】
本開示のシステムは、半導体処理ツールで使用されるガス流から微粒子を除去するために使用することもできる。様々な実施形態では、本開示は、約0.01ミクロン未満の平均粒径を有する微粒子の除去を容易にする。様々な実施形態では、本開示は、約0.02ミクロン未満の平均粒径を有する微粒子の除去を容易にし、様々な実施形態では、本開示は、約0.1ミクロン未満の平均粒径を有する微粒子の除去を容易にする。
【0027】
洗浄流体は、吸収構造体の表面上を濡らして流れる液体を形成するのに十分な体積及び温度で吸収構造体に導入される。洗浄流体は、ノズル、噴霧ヘッドなどから、エアロゾル、ジェット、又は他の流れとして含む任意の適切な方法で導入されてもよい。
【0028】
吸収構造体は、流体透過性の高表面積構造体であり、汚染物質含有ガス流を洗浄流体と密接に接触させる。吸収構造体は、ゆるい充填床構造体、構造化された充填床構造体、又は両方の組合せを含むことができる。好ましくは、吸収構造体は、ゆるい充填床構造体であり、例えば、全てLantec,Inc.によって製造されたQ-pack、Lanpack及び/又はNupackや、ラシヒリング、ポールリング、ベルルサドル、イナトレックスサドル、フレックスリング、バラストリング、及びカスケードリングなどがある。構造化された充填床構造体の例としては、Gem pack(登録商標)カートリッジ、及びテキサス州ダラスのGlitsch,Inc.によって製造されたGlitsch EF-25A Grid(登録商標)が含まれるが、これらに限定されない。吸収構造体の設計は、出力ガス流から吸収構造体上の洗浄流体への分子汚染物質の物質移動を可能にするのに十分なガス流の滞留時間があるようなものであることが好ましい。
【0029】
本開示のシステム及び方法は、例えば、単一の半導体ツール、ツールのクラスタ(例えば、露光ツール及びフォトレジストコート/現像ツールのフォトリソグラフィクラスタなど)、又はツールセット(例えば、現像トラック及び露光ツールなど)で使用することができる。様々な好ましい実施形態において、本発明は、吸着濾過の従来の方法と比較して汚染制御のための所有コストの削減を容易にする空気処理及び化学濾過システムを提供する。
【0030】
様々な実施形態において、本開示は、従来のフィルタ要素を交換することに関連する半導体ツールのダウンタイムなしに濾材を繰り返し再生することができる化学濾過システムを提供することによって、従来のフィルタに関連する問題のいくつかを軽減又は排除する。本開示では、濾材は、洗浄流体を含む。
【0031】
様々な実施形態では、本開示は、従来のフィルタ要素に関連するような微粒子を実質的に生成しない濾材を利用する化学濾過システムを提供することによって、従来のフィルタに関連する問題のいくつかを軽減又は排除する。本開示では、濾材は、洗浄流体を含む。
【0032】
様々な実施形態では、本開示は、いくつかの従来のフィルタ要素によって生じる湿度及び温度制御の困難さを伴わずに分子汚染物質を除去することができる化学濾過システムを提供することによって、従来のフィルタに関連する問題のいくつかを軽減又は排除する。例えば、本開示による濾材として洗浄流体を使用することにより、本開示の様々な実施形態は、有害な濃度の酸、塩基、又はその両方をガス流に導入することを回避する。様々な好ましい実施形態において、温度及び湿度制御に対する本開示の手法は、従来のシステムよりも上流の温度及び湿度の乱れに対処することができる。
【0033】
様々な実施形態において、本開示は、半導体ツールのための一体型の空気処理及び化学濾過システムを提供する。そのような一体型のシステムは、従来の空気処理ユニットと濾過システムとを組み合わせた設置面積よりも小さい設置面積を有するシステムの提供を容易にすることができる。さらに、様々な実施形態において、本開示の一体型の空気処理及び化学濾過システムは、2つの別々のガス流処理のニーズ(空調及び化学濾過)を1つの装置内で組み合わせることによって、資本コスト及び運転コストの削減を容易にし、サプライチェーン、所有権、サポート及びメンテナンスを簡素化することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、本開示は、フォトリソグラフィツールに供給するガス流から、表1に記載されているような汚染物質を含むがこれらに限定されない広範囲の化学汚染を低減する。さらに、いくつかの実施形態では、本開示は、非常に小さなレベルの温度及び湿度の変化でフォトリソグラフィツールにガス流を供給することができるシステム及び方法を提供する。例えば、様々な好ましい実施形態において、本開示は、一定の圧力及び流量の条件下で、約10ミリケルビン未満の温度変化及び約0.1%未満の相対湿度変化を有するガス流を提供する。様々な実施形態において、本開示は、一定の圧力及び流量の条件下で、約5ミリケルビンから約20ミリケルビンの範囲の温度変化及び約0.05%から約0.5%の範囲の相対湿度変化を有するガス流を提供する。様々な実施形態において、本開示は、約10インチw.c.(水柱インチ)以内の圧力、及び約1立方フィート毎分(CFM)から約10万CFMの範囲の流量、好ましくは、約200立方フィート毎分(CFM)から約1万CFMの範囲の流量で、ガス流の温度制御、湿度制御及び濾過を提供することができる一体型の空気処理及び濾過装置を提供する。
【0035】
特定の実施形態では、本開示は、分子汚染に敏感な半導体デバイスの製造に使用されるフォトリソグラフィツールクラスタのための複合型の空気処理及び化学濾過装置を提供する。様々な実施形態では、一体型の空気処理及び濾過システムは、酸、塩基、高分子量及び低分子量の芳香族及び脂肪族有機物、並びにマイクロ電子ドーパント、分子凝縮性物質及び耐火性化合物を含むがこれらに限定されない化合物群を含み得る分子汚染を除去する。
【0036】
様々な実施形態において、システム及び方法は、計測情報を提供することをさらに含む。例えば、一実施形態では、本開示は、半導体処理ツールからのガス流及び本開示のシステムによって半導体処理ツールに戻されるガスの中の1つ又は複数の汚染物質の濃度を定性的に、定量的に、又はその両方で測定することができるシステムを提供する。一実施形態では、本開示は、計測情報を使用して、温度が制御され、相対湿度が制御され、汚染物質が低減されたガス流、又はそれらの組合せを備えたガス流を半導体ツールに提供する空気処理及び濾過のための方法を提供する。あるいは、吸収構造体を出る洗浄流体中の1つ又は複数の汚染物質の濃度を、ガス流中の濃度の指標として監視することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、洗浄流体は、洗浄流体除染システム内で洗浄されてもよい。2つの洗浄流体除染システムは、交互使用するために、1つ又は他の洗浄流体除染システムを選択するための適切な弁及び導管を備えていてもよい。この二重システムにより、一方の洗浄流体除染システムは、他方が使用されている間に、能動湿式洗浄濾過システムの動作又はそれが提供するプロセスを中断することなく、その場で再生又は点検を行うことができる。
【0038】
洗浄流体除染システムは、従来の方法を使用して洗浄流体を除染することができ、従来の方法は、例えば、イオン交換樹脂、混床式樹脂ボトル、有機膜分離、有機物除去のための液相炭素吸着、及び微粒子除去のための粒子濾過を含み得る。洗浄流体の洗浄には、例えば、固定化されたTiO又はTiOスラリー上の光触媒反応、及び例えば、H、O、フェントン試薬、及び電離放射線を含むプロセスなどの高度な酸化プロセスを含むことができる。様々な実施形態において、DI水はまた、再循環ユニットによって処理され、吸収構造体及びシステムの他の湿潤部分の生物学的ファウリングを防止する。生物学的ファウリングを防止するための適切な処理には、Cバンド(約200nm~約290nm)の紫外線(UV)光によるDI水の照射、オゾン化、及び過酸化が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、UV光を使用して生物学的汚染物質又は他の有機化合物を分解することもでき、例えば、渦流化装置を含む保持タンク又はビーズカラムに配置することができる。いくつかの実施形態では、生物学的汚染物質の壁構造を破壊するために、樹脂処理された炭素をシステムに含めることができる。いくつかの実施形態では、UV光及び樹脂処理された炭素は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、洗浄液流路は、連続的かつ再生的な脱塩のための機構を含むことができる。好ましい構成では、システムは、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とが交互に配置され、それらの間に混合イオン交換樹脂が充填されている、膜容量性脱イオン(MCDI)の変形態様を含み得る。このスタックは、直流電圧が印加される電極を各端部に含み、膜を横切る電界を発生させる。これは、イオン交換吸着剤床及び/又は逆浸透システムと組み合わせることができるが、これらに限定されない。
【0040】
いくつかの実施形態では、洗浄液は、粒状活性炭(GAC)を含み得る吸着剤床を通過することによって除染される。洗浄液吸着剤床は、吸着剤床を通って流れて廃棄物に送られる精製プロセスガス(XCDA、N2、又はHeを含むが、これらに限定されない)を使用して、その場で再生することができ、熱伝導加熱と組み合わせて、堆積した汚染物質の効率的な熱脱着のための条件を提供することができる。好ましい構成では、システムは、2つ以上の洗浄液吸着剤床を含み、1つ又は複数の床が動作している間に1つ又は複数の床を再生することができ、連続的な洗浄液精製を提供する。圧力及び超容量性スイング吸着を含むがこれに限定されない追加の吸着/脱着方法も適用可能であり得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、洗浄塔に入る汚染物質含有ガス流は、渦流化装置を通過する。渦流化装置は、汚染物質含有ガス流が螺旋状の流れで移動するよう誘導する。螺旋状の流れは、吸収構造体内へのガス流の正味の動きにほぼ平行な軸の周りにある。さらに、ガス流入力部は、螺旋状の流れを誘導するのに寄与するように、鋭角で洗浄塔に入るように構成されてもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、出願人は、渦流化装置によって誘導された螺旋状の流れが吸収構造体内のガス流の滞留時間を増加させ、その結果、ガス流からより多く汚染物質が除去できると考えている。渦流化装置は、任意の効果的な構成とすることができる。本明細書で企図される様々な実施形態では、渦流化装置は、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の静翼を備える受動渦流化装置であってもよい。本明細書で企図される様々な他の実施形態では、渦流化装置は、モータ又は他の駆動機構によって駆動され得る1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の可動翼を備える能動渦流化装置であってもよい。いくつかの実施形態では、汚染物質含有ガス流は、洗浄塔に入る前、入った後、もしくは洗浄塔内で配置され得る1つ又は複数のポンプ、ファンもしくはインペラ、又はそれらの組合せによって渦流化機構内に送り込まれる。典型的には、洗浄塔の内面は、ガス流の螺旋状の流れを支え、増強するために、概ね円筒形である。
【0042】
いくつかの実施形態では、洗浄塔に入る汚染物質含有ガス流は、最初の洗浄流体噴霧部を通過する。最初の洗浄流体噴霧部は、汚染物質含有ガス流に洗浄流体の噴霧を発射し、それにより、ガス流から洗浄流体内への汚染物質を除去するように構成された、1つ又は複数の最初の噴霧ヘッドを備える。本開示による能動湿式洗浄濾過システムは、渦流化装置、最初の洗浄流体噴霧部、又はその両方を含むことができる。理論に束縛されることを望むものではないが、出願人は、最初の洗浄流体噴霧部が渦流化装置と組み合わせて使用される場合、渦流化装置が最初の洗浄流体噴霧部におけるガス流の滞留時間を増加させ、その結果、ガス流からより多くの汚染物質が除去できると考えている。洗浄流体適用システム及び最初の洗浄流体噴霧部(存在する場合)は、別個の独立した構造である。いくつかの構成では、洗浄流体適用システム及び最初の洗浄流体噴霧部は、吸収構造体の両端に位置する。例えば、汚染物質含有ガス流が下方地点で洗浄塔に入り、吸収構造体を上向きに通過する場合、洗浄流体適用システムは、吸収構造体を上方から濡らし、重力の助けを借りて吸収構造体全体に洗浄流体を分配することができ、最初の洗浄流体噴霧部は、入ってくる汚染物質含有ガス流に対処するために、吸収構造体の下方に位置してもよい。このような構成では、最初の洗浄流体噴霧部は、吸収構造体を著しく濡らすことはない。
【0043】
いくつかの実施形態では、洗浄塔から出る少なくとも部分的に除染されたガス流は、使用のために作業現場又は外部プロセスに戻されてもよい。他の実施形態では、洗浄塔から出た除染されたガス流は、その後、凝縮器セクションに入る。凝縮器セクションは、外部冷却ユニットに機能的に接続された凝縮器コイルなどの任意の適切な凝縮器装置を含むことができ、フィン、翼、ガス透過性構造体などの除染されたガス流との接触面積を増加させる構造体を備えていてもよい。少なくとも部分的に除染されたガス流が凝縮器装置を通過するとき、凝縮器装置は、除染されたガス流から溶解又は同伴された洗浄流体を少なくとも部分的に除去する。いくつかの実施形態では、凝縮洗浄流体は、凝縮洗浄流体ドレインに集まり、そこから洗浄流体戻り導管に入る。このようにして、本質的に全ての洗浄流体は、洗浄塔又は凝縮器セクションのいずれかから再収集されてもよい。この機能により、洗浄塔及び凝縮器セクションからの使用済み洗浄流体を組み合わせて収集する際に、汚染物質の濃度を測定することによって、ガス流から除去された汚染物質を定量的に測定することができる。
【0044】
あるいは、洗浄塔を出る除染されたガス流は、洗浄流体の液滴を除去するために、凝縮器以外の収集装置に入ることができる。いくつかのそのような実施形態では、洗浄流体の液滴を除去するための適切な手法及び装置は、合体媒体による収集、翼分離器による収集、充填床の延長面による収集、吸着媒体による収集、又は多孔質膜を介したガスの通過による収集を含み得る。追加の手法は、液体乾燥剤の使用を含むことができ、液体乾燥剤溶液(典型的には、塩化リチウム)が空気流を介して噴霧されて、空気流から水分を吸収し、システムからエネルギーを除去する。条件は、溶液の濃度を変化させることによって変更することができ、調整空気の殺生物剤としても機能することができる。次いで、溶液は、加熱することによって再生され、そこで水分を失った後、再び空気流全体にわたって噴霧される。高温で湿った排気流も再生器から排出される。追加の手法には、加熱コイル又はガスバーナの使用を含むことができる。追加の手法には、湿った空気が乾燥剤を通して引き込まれ、水分が吸収されるシリカゲルなどの固体乾燥剤の使用を含み得る。乾燥剤が容量に達すると、乾燥剤は再活性化空気流内へ移動させることができ、そこで廃熱又は排気流路を使用して水分を放出する。追加の手法には、直接の貫流か、又は接線流もしくは浸透のいずれかによる半透性の水排除ポリマー膜の使用を含み得る。追加の手法は、水蒸気を空気から分離するために静電場を利用する静電装置の使用を含むことができる。
【0045】
様々な実施形態において、本開示のシステム及び方法は、米国特許出願公開第2004/0023419号、米国特許第6761753号及び米国特許第7329308号に記載されているシステムの1つ又は複数と組み合わせることができ、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
半導体処理ツールのためのガス流の空気処理及び化学的濾過のためのシステム及び方法の前述及び他の特徴並びに利点は、添付の図面に示されるシステムの実施形態の以下のより具体的な説明から明らかになるであろう。
【0047】
図1を参照すると、本開示による能動湿式洗浄濾過システム10の一実施形態は、洗浄塔20を含む。洗浄塔20は、洗浄塔ハウジング25と、ガス流入力部30と、1つ又は複数の吸収構造体噴霧ヘッド120からの洗浄流体の噴霧130で湿潤した吸収構造体90と、ガス流出力部140とを含み、様々な実施形態において、以下で取り上げる追加の要素を含む。
【0048】
ガス流入力部30は、入力ダクト55を介して外部プロセス40から汚染物質含有ガス流50を受け取るように構成される。外部プロセス40は、機能性ガス流を汚染する傾向があり、除染されると機能性ガス流を再利用することができる任意の適切なプロセスであり得る。様々な実施形態において、外部プロセス40は、1つ又は複数の半導体処理システムであり得る1つ又は複数の作業現場を表すことができる。様々な実施形態では、外部プロセス40はクリーンルームであってもよく、汚染物質含有ガス流50はクリーンルームの内部に存在する空気であってもよい。又は外部プロセス40は、半導体ウェーハなどのワークピースを処理するための装置であってもよく、汚染物質含有ガス流50は、空気、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム、水素などのプロセスガスであってもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、ガス流入力部30は、ガス流入口30に入る汚染物質含有ガス流50が渦流化装置60を通過するように構成され、それによって汚染物質含有ガス流50が螺旋状の流れ70内を移動するように誘導される。螺旋状の流れ70は、ガス流の正味の動き80にほぼ平行な軸の周りにある。この実施形態に示すように、ガス流の正味の動き80は、垂直方向上向きであり、ガス流の螺旋状の流れ70は、上から見て反時計回りの方向にあるが、ガス流の正味の動き又は螺旋状の流れの方向に関して任意の適切な向きが使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ガス流入力部30は、汚染物質含有ガス流50を螺旋状の流れ70に誘導するのに寄与するように、鋭角で洗浄塔ハウジング25に入る。いくつかの実施形態では、洗浄塔ハウジング25の内面は、ほぼ円筒形である。
【0050】
図1の実施形態に概略的に示すように、渦流化装置60は、一対の静翼を備える。本明細書で企図される様々な実施形態では、渦流化装置は、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の静翼を備える受動渦流化装置であってもよい。本明細書で企図される様々な他の実施形態では、渦流化装置は、モータ又は他の駆動機構によって駆動され得る1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の可動翼を備える能動渦流化装置であってもよい。いくつかの実施形態では、洗浄塔ハウジング25の内面は略円筒形であってもよいが、渦流化装置60は、洗浄塔ハウジング25の内側円筒面以外の構造、又は洗浄塔ハウジング25の内側円筒面に追加された構造を含む。
【0051】
図2を参照すると、渦流化装置60のさらなる実施形態は、洗浄塔ハウジング25の内側円筒面によって支持された外側渦流化翼62と、支柱66によって支持された内側渦流化翼64とを備えてもよい。様々な実施形態は、外側渦流化翼62のみ、内側渦流化翼64のみ、又はその両方(図示のように)を含むことができる。内側渦流化翼64及び/又は外側渦流化翼62の幅、ピッチ、及び角度は、特定の用途に合うように変えることができる。
【0052】
図3は、本開示による1つの能動湿式洗浄濾過システム10の要素を示す。洗浄塔20は、外側渦流化翼62と、内側渦流化翼64と、支柱66とを備える図2の渦流化装置が見えるように切り取られている。
【0053】
図4は、本開示による別の能動湿式洗浄濾過システム10の要素を示す。洗浄塔20は、半径が支柱66から洗浄塔ハウジングの内側円筒面まで及ぶ全半径渦流化翼68を備える渦流化装置が見えるように切り取られている。
【0054】
図1及びそこに示されている実施形態をさらに参照すると、渦流化装置60の結果として、汚染物質含有ガス流は、吸収構造体90上で螺旋状の流れ70に衝突するように誘導される。
【0055】
吸収構造体90は、洗浄流体適用システムを備えている。洗浄流体適用システムは、吸収構造体90に洗浄流体130の流れを適用するように構成された1つ又は複数の吸収構造体噴霧ヘッド120を備える。吸収構造体噴霧ヘッド120には、洗浄流体供給導管230を介して洗浄流体が供給される。吸収構造体90は、汚染物質含有ガス流を洗浄流体と密接に接触させて、汚染物質がガス流から洗浄流体内に除去されるようにする、流体透過性の高表面積構造体である。理論に束縛されることを望むものではないが、出願人は、汚染物質含有ガス流を吸収構造体90上で螺旋状の流れ70に衝突させる渦流化装置60の使用によって、吸収構造体90内のガス流の滞留時間が増加し、その結果、ガス流からより多くの汚染物質が除去できると考えている。
【0056】
図1に示すようないくつかの実施形態では、汚染物質含有ガス流は、吸収構造体90に衝突する前に最初の洗浄流体噴霧部を通過する。最初の洗浄流体噴霧部は、汚染物質含有ガス流内に洗浄流体の噴霧110を発射し、それにより、ガス流から洗浄流体110内に汚染物質を除去するように構成された、1つ又は複数の最初の噴霧ヘッド100を備える。最初の噴霧ヘッド100には、洗浄流体供給導管240を介して洗浄流体が供給される。最初の洗浄流体噴霧部が使用される場合、汚染物質含有ガス流を螺旋状の流れ70内へ誘導する渦流化装置60の使用によって、最初の洗浄流体噴霧部内のガス流の滞留時間が増加し、ガス流からより多くの汚染物質が除去できる。
【0057】
図1に示すようないくつかの実施形態では、吸収構造体噴霧ヘッド120又は最初の噴霧ヘッド100の一方又は両方によって洗浄塔20内に導入された洗浄流体は、重力によって、洗浄流体のドレイン210内に集まり、そこから洗浄流体戻り導管250に入る。洗浄流体戻り導管250は、図1の実施形態に示され、以下で取り上げるように、洗浄流体として再利用するために洗浄流体を洗浄流体適用システムに戻すように適合された、洗浄流体リサイクル装置に含まれていてもよい。あるいは、洗浄流体戻り導管250は、汚染物質を含有する使用済み洗浄流体を安全に廃棄又は保管するように方向付けられてもよい。
【0058】
吸収構造体90を通過した後、ガス流は、少なくとも部分的に除染されたガス流150としてガス流出力部140を通って洗浄塔20を出る。
【0059】
いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に除染されたガス流150は、使用するために外部プロセス40に戻されてもよい。図1に示すような他の実施形態では、洗浄塔20を出る少なくとも部分的に除染されたガス流150は、その後、凝縮器セクション160に入る。凝縮器セクション160は、凝縮器セクションハウジング170、凝縮器入力部190、凝縮器出力部200、及び凝縮器装置180を含み、様々な実施形態では、以下に取り上げる追加の要素を含む。
【0060】
凝縮器入力部190は、洗浄塔20のガス流出力部140から少なくとも部分的に除染されたガス流150を受け取るように構成されている。少なくとも部分的に除染されたガス流155は、凝縮器装置180を通過し、凝縮器出力部200を通って凝縮器セクション160を出る。図1に概略的に示すように、凝縮器コイルなどの任意の適切な凝縮器装置180を使用することができる。凝縮器装置180は、通常、冷凍ユニット等の外部機器との接続が必要である。凝縮器装置180は、除染されたガス流155との接触面積を増加させる構造、例えばフィン、翼、ガス透過性構造体などを備えていてもよい。凝縮器装置180は、少なくとも部分的に除染されたガス流155から、溶解又は同伴された洗浄流体を少なくとも部分的に除去する。図1に示すようないくつかの実施形態では、凝縮洗浄流体は、重力によって、凝縮洗浄流体ドレイン220に集まり、そこから洗浄流体戻り導管250に入る。洗浄流体戻り導管250は、図1の実施形態に示され、以下で取り上げるように、洗浄流体として再利用するために洗浄流体を洗浄流体適用システムに戻すように適合された、洗浄流体リサイクル装置に含まれていてもよい。あるいは、洗浄流体戻り導管250は、汚染物質を含有する使用済み洗浄流体を安全に廃棄又は保管するように方向付けられてもよい。
【0061】
乾燥して少なくとも部分的に除染されたガス流260は、戻りダクト265を通って、使用のために外部プロセス40に戻されてもよい。
【0062】
図1に示すようないくつかの実施形態では、能動湿式洗浄濾過システム10は、洗浄流体のドレイン210から、及び随意に凝縮洗浄流体ドレイン220から汚染物質含有洗浄流体を受け取るように構成された洗浄流体戻り導管250を含む洗浄流体リサイクル装置と、少なくとも1つ、場合によっては2つの洗浄流体除染システム280、281と、洗浄流体供給導管230、240に供給するように構成された洗浄流体供給導管290とを備える。図1に示す実施形態では、洗浄流体リサイクル装置は、2つの洗浄流体除染システム280、281を含み、これらは、弁270、271の動作によって互いに独立して係合又は係合解除され得る。洗浄流体除染システム280、281のそれぞれは、洗浄流体を濾過媒体、吸着媒体、脱イオン化装置、又は汚染物質を除去することができる他の装置のうちの1つ又は複数に通過させることによって、洗浄流体を除染するために使用されてもよい。場合によっては、洗浄流体除染システム280、281のいずれかは、他方が使用されている間に、能動湿式洗浄濾過システム10又は外部プロセス40の動作を中断することなく、その場で再生することができる。あるいは、洗浄流体除染システム280、281のいずれかにおける濾過媒体又は吸着媒体などの除染媒体は、他方が使用されている間に変更されてもよい。
【0063】
作動システムは、図1に示されていない要素をさらに含むことができ、その動作は当技術分野で一般的に理解されている。これらの要素には、洗浄流体用のリザーバ、ポンプ、弁、フィルタ、脱イオン化ユニット、イオン交換ユニットもしくは温度制御ユニットや、ガス流用のポンプ、ファン、インペラ、バッフル、フィルタ、UV処理ユニット、ミストエリミネータ、熱交換器もしくは温度制御ユニットや、分析装置や、システム監視装置や、可動部品の自動化のための装置、又は洗浄流体にメークアップ洗浄流体を加えるための装置もしくは化学添加剤を加えるための装置などを含んでいてもよい。
【0064】
図5は、本開示による能動湿式洗浄濾過システムの別の実施形態を概略的に示し、そのようなシステムの追加の構成要素の位置及び使用を示している。外部プロセス1120からのプロセスガス1100は、凝縮性有機物の初期除去のために、駆動ファン1130によって入口AMC(浮遊分子状汚染)プレフィルタ1131内へと駆動される。ガス流は、非凝縮熱交換器1142を通過する。次いで、ガス流は前処理システム1132を通過する。前処理システム1132は、場合により光触媒を使用して、滅菌のためのUV処理を含むことができる。次いで、ガス流は、渦流化部と最初の洗浄流体噴霧部と吸収構造体とを備える渦流化噴霧部を含む洗浄塔1110内に入る。洗浄されたガス流1101は、外部プロセス1120に戻る前に、ミストエリミネータ1140、熱電冷却システム1141、非凝縮熱交換器1142、温湿度制御ユニット1143、及び洗浄後AMC研磨フィルタバンク1144を順に通過する。温湿度制御ユニット1143には、浄化された再加湿供給物(purified re-humidification supply)1146が供給される。
【0065】
液体貯蔵タンク1150は、洗浄塔1110からの使用済み洗浄流体を外部への汚染液1102を通して収集し、ミストエリミネータ1140からの凝縮洗浄流体を外部への凝縮液1103を通して収集する。洗浄流体は、以下のように洗浄され、リサイクルされる。液体貯蔵タンク1150からの液体は、液体ポンプ1151及び液体UV精製/酸化システム1152を通過して電解脱イオン化システム1153に至る。電解脱イオン化システム1153からの液体は、逆浸透(RO)膜システム1154を通って液体貯蔵タンク1150に循環して戻すことができ、逆浸透(RO)膜システムは、内部への外部水/液体供給物1104及び外部への液体廃棄物1106によって提供される。洗浄塔1110に再循環される電解脱イオン化システム1153からの液体は、吸着剤床1(GAC)1157a又は吸着剤床2(GAC)1157bのいずれかで処理される。吸着剤床は、粒状活性炭(GAC)を含み得る。2つの吸着剤床のうち1つを選択することは、高温ロータリ選択弁1 1155a及び高温ロータリ選択弁2 1155bの操作によって達成される。使用されていない吸着剤床は、再生される場合がある。操作するために選択されなかった吸着剤床は、高温ロータリ選択弁1 1155a及び高温ロータリ選択弁2 1155bを介して、内部への精製再生ガス1158に接続され、精製再生ガスを、インラインガスヒータ1156(典型的には400℃を超えて作動する)から、再生されるべき吸着剤床へ、及び使用済み再生ガスを運んでいく排ガス1159へと通過させる。
【0066】
液体が吸着剤床1(GAC)1157a又は吸着剤床2(GAC)1157bのいずれかで処理されると、温湿度制御ユニット1143に供給するために、液体は、浄化された再加湿供給物1146を介して送られてもよい。洗浄塔1110で再利用するための清浄な液体は、液温制御システム1160を通過する。化学添加剤は、化学添加剤ディスペンサ1170から液体に添加されてもよい。混合弁1 1171a及び混合弁2 1171bは、液温制御システム1160の前後に液体に添加される添加剤の量を選択するために使用される。内部への洗浄済み添加剤/溶媒混合物1105は、洗浄済みの流体及び添加剤の混合物を洗浄塔1110に送達する。
【0067】
図6は、本開示による能動湿式洗浄濾過システムの別の実施形態を示し、そのようなシステムの追加の構成要素の位置及び使用を示している。ガス流は、前処理システム1210を介してガス流を推進する駆動ファン1200においてシステムに入る。前処理システム1210は、場合により光触媒を使用して、滅菌のためのUV処理を含むことができる。次いで、ガス流は、凝縮性有機物の初期除去のために、入口AMC(浮遊分子状汚染)プレフィルタ1220に入る。次いで、ガス流は、渦流化部(図示せず)と、最初の噴霧ヘッド1235を含む最初の洗浄流体噴霧部とを含む、渦流化噴霧部1230に入る。渦流化部によって螺旋状の流れに誘導されたガス流は、洗浄流体の噴霧1245によって濡れた吸収構造体1240に入る。次いで、ガス流は、ミストエリミネータ1290を通過して凝縮器セクション1250内へ入る。次いで、ガス流は、洗浄後AMC研磨フィルタバンク1260を通過して温湿度制御ユニット1270に入り、その後、能動湿式洗浄濾過システムを出る。使用後、洗浄流体は、重力によって、液体貯蔵タンク1280内に集まる。
【0068】
選択された実施形態
文字及び数字で指定される以下の実施形態は、本開示をさらに説明することを意図しているが、本開示を不当に限定するものと解釈されるべきではない。
【0069】
V1.ガス流の除染のための装置であって、
a)汚染物質含有ガス流を受け取るためのガス流入力部と、
b)ガス流入力部から汚染物質含有ガス流を受け取り、汚染物質含有ガスを螺旋状の流れに誘導するように構成された渦流化装置と、
c)洗浄流体の流れを吸収構造体に適用するための洗浄流体適用システムを備えた吸収構造体であって、汚染物質含有ガス流が、渦流化装置によって螺旋状の流れで吸収構造体に衝突するように方向付けられ、吸収構造体を通過し、それによって、ガス流から汚染物質を少なくとも部分的に除去する洗浄流体に接触して、少なくとも部分的に除染されたガス流を形成する、吸収構造体と、
d)少なくとも部分的に除染されたガス流を受け取り、少なくとも部分的に除染されたガス流を送出するように構成されたガス流出力部と
を備える装置。
【0070】
V2.渦流化装置が、1つ又は複数の静翼を備える受動渦流化装置である、実施形態V1に記載の装置。
【0071】
V3.渦流化装置が、1つ又は複数の可動翼を備える能動渦流化装置である、実施形態V1に記載の装置。
【0072】
V4.螺旋状の流れが、汚染物質含有ガス流の正味の動きにほぼ平行な軸の周りにある、実施形態V1からV3のいずれか1つに記載の装置。
【0073】
V5.汚染物質含有ガス流が作業現場から引き出され、少なくとも部分的に除染されたガス流が作業現場に戻される、実施形態V1からV4のいずれか1つに記載の装置。
【0074】
D1.ガス流の除染のための装置であって、
a)汚染物質含有ガス流を受け取るためのガス流入力部と、
b)洗浄流体の流れを吸収構造体に適用するための洗浄流体適用システムを備えた吸収構造体であって、汚染物質含有ガス流が吸収構造体を通過し、それによって、ガス流から汚染物質を少なくとも部分的に除去する洗浄流体に接触して、少なくとも部分的に除染されたガス流を形成する、吸収構造体と、
c)少なくとも部分的に除染されたガス流を受け取り、少なくとも部分的に除染されたガス流を送出するように構成されたガス流出力部と、
d)吸収構造体を出る洗浄流体を受け取り、洗浄流体を除染し、再利用のために洗浄流体を洗浄流体適用システムに戻すように動作可能に接続された第1の洗浄流体除染システムと、
e)吸収構造体を出る洗浄流体を受け取り、洗浄流体を除染し、再利用のために洗浄流体を洗浄流体適用システムに戻すように動作可能に接続された第2の洗浄流体除染システムとを備え、
第1の洗浄流体除染システム及び第2の洗浄流体除染システムは、互いに独立して係合又は係合解除することができる、装置。
【0075】
D2.汚染物質含有ガス流が作業現場から引き出され、少なくとも部分的に除染されたガス流が作業現場に戻される、実施形態D1に記載の装置。
【0076】
D3.実施形態V1からV5のいずれかに記載の装置であって、
e)吸収構造体を出る洗浄流体を受け取り、洗浄流体を除染し、再利用のために洗浄流体を洗浄流体適用システムに戻すように動作可能に接続された第1の洗浄流体除染システムと、
f)吸収構造体を出る洗浄流体を受け取り、洗浄流体を除染し、再利用のために洗浄流体を洗浄流体適用システムに戻すように動作可能に接続された第2の洗浄流体除染システムとをさらに備え、
第1の洗浄流体除染システム及び第2の洗浄流体除染システムは、互いに独立して係合又は係合解除することができる、装置。
【0077】
S1.ガス流の除染のための装置であって、
a)汚染物質含有ガス流を受け取るためのガス流入力部と、
b)汚染物質含有ガス流内に洗浄流体の噴霧を発射するように構成された最初の洗浄流体噴霧部と、
c)洗浄流体の流れを吸収構造体に適用するための洗浄流体適用システムを備えた吸収構造体であって、汚染物質含有ガス流が吸収構造体を通過し、それによって、ガス流から汚染物質を少なくとも部分的に除去する洗浄流体に接触して、少なくとも部分的に除染されたガス流を形成する、吸収構造体と、
d)少なくとも部分的に除染されたガス流を受け取り、少なくとも部分的に除染されたガス流を送出するように構成されたガス流出力部とを備え、
洗浄流体適用システム及び最初の洗浄流体噴霧部は、別個の独立した構造である、装置。
【0078】
S2.洗浄流体適用システム及び最初の洗浄流体噴霧部が吸収構造体の両端に位置する、実施形態S1に記載の装置。
【0079】
S3.汚染物質含有ガス流が作業現場から引き出され、少なくとも部分的に除染されたガス流が作業現場に戻される、実施形態S1又はS2に記載の装置。
【0080】
S4.実施形態D1からD2のいずれか1つに記載の装置であって、
f)ガス流入口に入る汚染物質含有ガス流が吸収構造体内に入る前に最初の洗浄流体噴霧部を通過するように構成された最初の洗浄流体噴霧部を備え、最初の洗浄流体噴霧部は、汚染物質含有ガス流に洗浄流体の噴霧を発射するように構成されている、装置。
【0081】
S5.実施形態V1~V5又はD3のいずれか1つに記載の装置であって、
g)渦流化装置によって螺旋状の流れに誘導された汚染物質含有ガス流が、吸収構造体内に入る前に最初の洗浄流体噴霧部を通過するように構成された最初の洗浄流体噴霧部をさらに備え、最初の洗浄流体噴霧部は、汚染物質含有ガス流に洗浄流体の噴霧を発射するように構成されている、装置。
【0082】
S6.洗浄流体適用システム及び最初の洗浄流体噴霧部が吸収構造体の両端に位置する、実施形態S4又はS5に記載の装置。
【0083】
C1.ガス流の除染のための装置であって、
a)汚染物質含有ガス流を受け取るためのガス流入力部と、
b)洗浄流体の流れを吸収構造体に適用するための洗浄流体適用システムを備えた吸収構造体であって、汚染物質含有ガス流が吸収構造体を通過し、それによって、ガス流から汚染物質を少なくとも部分的に除去する洗浄流体に接触して、少なくとも部分的に除染されたガス流を形成する、吸収構造体と、
e)凝縮器であって、少なくとも部分的に除染されたガス流が、少なくとも部分的に除染されたガス流から溶解又は同伴された洗浄流体を少なくとも部分的に除去する凝縮器に接触する、凝縮器と、
d)乾燥して少なくとも部分的に除染されたガス流を受け取り、乾燥して少なくとも部分的に除染されたガス流を送出するように構成された凝縮器出力部と
を備える装置。
【0084】
C2.凝縮器の作用によって、少なくとも部分的に除染されたガス流から除去された凝縮洗浄流体を収集し、凝縮洗浄流体を洗浄流体として再利用するために洗浄流体適用システムに戻すように適合された、凝縮洗浄流体リサイクル装置をさらに備える、実施形態C1に記載の装置。
【0085】
C3.汚染物質含有ガス流が作業現場から引き出され、乾燥して少なくとも部分的に除染されたガス流が作業現場に戻される、実施形態C1又はC2に記載の装置。
【0086】
C4.実施形態V1~V5、D1~D3、又はS1~S6のいずれかに記載の装置であって、
h)凝縮器であって、ガス流出力部を出る少なくとも部分的に除染されたガス流が、少なくとも部分的に除染されたガス流から溶解又は同伴された洗浄流体を少なくとも部分的に除去する凝縮器に接触する、凝縮器と、
i)乾燥して少なくとも部分的に除染されたガス流を受け取り、乾燥して少なくとも部分的に除染されたガス流を送出するように構成された凝縮器出力部と
をさらに備える装置。
【0087】
C5.凝縮器の作用によって、少なくとも部分的に除染されたガス流から除去された凝縮洗浄流体を収集し、凝縮洗浄流体を洗浄流体として再利用するために洗浄流体適用システムに戻すように適合された、凝縮洗浄流体リサイクル装置をさらに備える、実施形態C4に記載の装置。
【0088】
C6.汚染物質含有ガス流が作業現場から引き出され、乾燥して少なくとも部分的に除染されたガス流が作業現場に戻される、実施形態C4又はC5に記載の装置。
【0089】
A1.汚染物質含有ガス流が空気を含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載の装置。
【0090】
A2.洗浄流体が水を含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載の装置。
【0091】
A3.洗浄流体が脱イオン(DI)水を含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載の装置。
【0092】
A4.洗浄流体が化学吸着水溶液を含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載の装置。
【0093】
A5.作業現場がクリーンルームを備える、前述の実施形態のいずれか1つに記載の装置。
【0094】
A6.作業現場が半導体処理ツールを備える、前述の実施形態のいずれか1つに記載の装置。
【0095】
A7.作業現場がフォトリソグラフィツール又はフォトリソグラフィツールクラスタを含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載の装置。
【0096】
MV1.ガス流の除染方法であって、
a)汚染物質含有ガスを螺旋状の流れに誘導するように構成された渦流化装置に前記汚染物質含有ガス流を通過させることと、
b)洗浄流体の流れを吸収構造体に適用するための洗浄流体適用システムを備えた吸収構造体に汚染物質含有ガス流を通過させることとを含み、汚染物質含有ガス流が、渦流化装置によって螺旋状の流れで吸収構造体に衝突するように方向付けられ、吸収構造体を通過し、それによって、ガス流から汚染物質を少なくとも部分的に除去する洗浄流体に接触して、少なくとも部分的に除染されたガス流を形成する、方法。
【0097】
MV2.渦流化装置が、1つ又は複数の静翼を備える受動渦流化装置である、実施形態MV1に記載の方法。
【0098】
MV3.渦流化装置が、1つ又は複数の可動翼を備える能動渦流化装置である、実施形態MV1に記載の方法。
【0099】
MV4.螺旋状の流れが、汚染物質含有ガス流の正味の動きにほぼ平行な軸の周りにある、実施形態MV1からMV3のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
MV5.汚染物質含有ガス流が作業現場から引き出され、少なくとも部分的に除染されたガス流が作業現場に戻される、実施形態MV1からMV4のいずれかに記載の方法。
【0101】
MD1.ガス流の除染方法であって、
a)洗浄流体の流れを吸収構造体に適用するための洗浄流体適用システムを備えた吸収構造体に汚染物質含有ガス流を通過させることであって、汚染物質含有ガス流が、吸収構造体を通過し、それによって、ガス流から汚染物質を少なくとも部分的に除去する洗浄流体に接触して、少なくとも部分的に除染されたガス流を形成することと、
b)吸収構造体を出る洗浄流体を受け取り、洗浄流体を除染し、再利用のために洗浄流体を洗浄流体適用システムに戻すように動作可能に接続された第1の洗浄流体除染システムと、吸収構造体を出る洗浄流体を受け取り、洗浄流体を除染し、再利用のために洗浄流体を洗浄流体適用システムに戻すように動作可能に接続された第2の洗浄流体除染システムとの一方又は両方に洗浄流体を通過させることとを含み、前記第1の洗浄流体除染システム及び前記第2の洗浄流体除染システムが、互いに独立して係合又は係合解除することができる、方法。
【0102】
MD2.汚染物質含有ガス流が作業現場から引き出され、少なくとも部分的に除染されたガス流が作業現場に戻される、実施形態MD1に記載の方法。
【0103】
MD3.実施形態MV1からMV5のいずれか1つに記載の方法であって、
c)吸収構造体を出る洗浄流体を受け取り、洗浄流体を除染し、再利用のために洗浄流体を洗浄流体適用システムに戻すように動作可能に接続された第1の洗浄流体除染システムと、吸収構造体を出る洗浄流体を受け取り、洗浄流体を除染し、再利用のために洗浄流体を洗浄流体適用システムに戻すように動作可能に接続された第2の洗浄流体除染システムとの一方又は両方に洗浄流体を通過させることをさらに含み、第1の洗浄流体除染システム及び第2の洗浄流体除染システムは、互いに独立して係合又は係合解除することができる、方法。
【0104】
MS1.ガス流の除染方法であって、
a)汚染物質含有ガス流に洗浄流体の噴霧を発射するように構成された最初の洗浄流体噴霧部に汚染物質含有ガス流を通過させることと、
b)洗浄流体の流れを吸収構造体に適用するための洗浄流体適用システムを備えた吸収構造体に汚染物質含有ガス流を通過させることであって、汚染物質含有ガス流が、吸収構造体を通過し、それによって、ガス流から汚染物質を少なくとも部分的に除去する洗浄流体に接触して、少なくとも部分的に除染されたガス流を形成することとを含み、
洗浄流体適用システム及び最初の洗浄流体噴霧部は、別個の独立した構造である、方法。
【0105】
MS2.洗浄流体適用システム及び最初の洗浄流体噴霧部が吸収構造体の両端に位置する、実施形態MS1に記載の方法。
【0106】
MS3.汚染物質含有ガス流が作業現場から引き出され、少なくとも部分的に除染されたガス流が作業現場に戻される、実施形態MS1又はMS2に記載の方法。
【0107】
MS4.実施形態MD1からMD2のいずれか1つに記載の方法であって、
c)汚染物質含有ガス流に洗浄流体の噴霧を発射するように構成された最初の洗浄流体噴霧部に汚染物質含有ガス流を通過させることをさらに含む、方法。
【0108】
MS5.実施形態MV1~MV5又はMD3のいずれか1つに記載の方法であって、
d)汚染物質含有ガス流に洗浄流体の噴霧を発射するように構成された最初の洗浄流体噴霧部に汚染物質含有ガス流を通過させることをさらに含む、方法。
【0109】
MS6.洗浄流体適用システム及び最初の洗浄流体噴霧部が吸収構造体の両端に位置する、実施形態MS4又はMS5に記載の方法。
【0110】
MC1.ガス流の除染方法であって、
a)洗浄流体の流れを吸収構造体に適用するための洗浄流体適用システムを備えた吸収構造体に汚染物質含有ガス流を通過させることであって、汚染物質含有ガス流が、吸収構造体を通過し、それによって、ガス流から汚染物質を少なくとも部分的に除去する洗浄流体と接触して、少なくとも部分的に除染されたガス流を形成することと、
b)少なくとも部分的に除染されたガス流を凝縮器に通過させることとを含み、少なくとも部分的に除染されたガス流が、少なくとも部分的に除染されたガス流から溶解又は同伴された洗浄流体を少なくとも部分的に除去する凝縮器に接触する、方法。
【0111】
MC2.実施形態MC1に記載の方法であって、
c)凝縮器の作用によって、少なくとも部分的に除染されたガス流から除去された凝縮洗浄流体を収集し、凝縮洗浄流体を洗浄流体として再利用するために洗浄流体適用システムに戻すことをさらに含む、方法。
【0112】
MC3.汚染物質含有ガス流が作業現場から引き出され、乾燥して少なくとも部分的に除染されたガス流が作業現場に戻される、実施形態MC1又はMC2に記載の方法。
【0113】
MC4.実施形態MV1~MV5、MD1~MD3又はMS1~MS6のいずれか1つに記載の方法であって、
e)少なくとも部分的に除染されたガス流を凝縮器に通過させて、少なくとも部分的に除染されたガス流が、少なくとも部分的に除染されたガス流から溶解又は同伴された洗浄流体を少なくとも部分的に除去する凝縮器に接触することをさらに含む方法。
【0114】
MC5.実施形態MC4に記載の方法であって、
f)凝縮器の作用によって少なくとも部分的に除染されたガス流から除去された凝縮洗浄流体を収集し、凝縮洗浄流体を洗浄流体として再利用するために洗浄流体適用システムに戻すことをさらに含む、方法。
【0115】
MC6.汚染物質含有ガス流が作業現場から引き出され、乾燥して少なくとも部分的に除染されたガス流が作業現場に戻される、実施形態MC4又はMC5に記載の方法。
【0116】
MA1.汚染物質含有ガス流が空気を含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
MA2.洗浄流体が水を含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
MA3.洗浄流体が脱イオン(DI)水を含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
MA4.洗浄流体が化学吸着水溶液を含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
MA5.作業現場がクリーンルームを含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0121】
MA6.作業現場が半導体処理ツールを含む、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
MA7.作業現場がフォトリソグラフィツール又はフォトリソグラフィツールクラスタを含む、前述の実施形態のいずれかに1つ記載の方法。
【0123】
本開示の様々な修正及び変更は、本開示の範囲及び原理から逸脱することなく、当業者に明らかになり、本開示は、上記の例示的な実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6