(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 5/18 20060101AFI20240628BHJP
B29C 48/08 20190101ALI20240628BHJP
B29C 48/305 20190101ALI20240628BHJP
B29C 48/88 20190101ALI20240628BHJP
【FI】
C08J5/18 CEW
B29C48/08
B29C48/305
B29C48/88
(21)【出願番号】P 2022517035
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(86)【国際出願番号】 JP2021015893
(87)【国際公開番号】W WO2021215402
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2020076243
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有賀 広志
(72)【発明者】
【氏名】樋口 義明
(72)【発明者】
【氏名】堀口 雄矢
(72)【発明者】
【氏名】中村 順悦
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-263891(JP,A)
【文献】特開平10-287784(JP,A)
【文献】国際公開第2014/103845(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/031930(WO,A1)
【文献】特開平10-147681(JP,A)
【文献】国際公開第2017/082315(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/008562(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/006258(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J5/00-5/02、5/12-5/22、
B29C48/00-48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラフルオロエチレンに基づく単位とエチレンに基づく単位とを有する共重合体を含み、ヘイズが1.2~8.0%であり、紫外線反射率が17.0%未満であり、厚さが250~400μmであるフィルムの製造方法であって、
前記共重合体を溶融させて溶融物を得て、前記溶融物を、シート状に賦形するダイを通して連続的に押し出し、対になった剛体ロールと弾性ロールとの間を通過させて
から後段に配置される後段ロールに接触させて冷却するか、又は、剛体ロール若しくは弾性ロールと後段に配置される後段ロールとに接触させて冷却し、
前記剛体ロール、弾性ロール及び後段ロールはそれぞれ熱媒により表面温度を調節可能であり、
前記剛体ロールと前記弾性ロールの間を通過する直前、又は前記剛体ロール若しくは前記弾性ロールに接触する直前の前記溶融物の温度が200~330℃であり、
前記共重合体の融点Mが200℃以上であ
り、
前記剛体ロールの熱媒温度と前記弾性ロールの熱媒温度との平均、又は、
剛体ロール若しくは弾性ロールの一方が用いられる場合には、前記剛体ロール若しくは弾性ロールの熱媒温度と前記後段ロールの熱媒温度との平均をT(℃)としたとき、T×Mが31,000以下であることを特徴とするフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記フィルムは、23℃における寸法を基準とし、150℃で10分間加熱し、その後23℃まで冷却した際のMD及びTD各々の寸法変化率が-3.5~-1.0%である、請求項1に記載のフィルム
の製造方法。
【請求項3】
前記フィルムは、MD及びTD各々の10%伸び時の応力が、80℃において3.0MPa以上である、請求項1又は2に記載のフィルム
の製造方法。
【請求項4】
前記共重合体の含有量が、前記フィルムの総質量に対して90質量%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルム
の製造方法。
【請求項5】
前記共重合体が、テトラフルオロエチレン及びエチレン以外の他の単量体に基づく単位を有し、
前記他の単量体に基づく単位の合計含有量が、前記テトラフルオロエチレンに基づく単位と前記エチレンに基づく単位との合計に対して1~7モル%である、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルム
の製造方法。
【請求項6】
膜構造用である、請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルム
の製造方法。
【請求項7】
対になった
前記剛体ロールと前記弾性ロールとの間を通過させて
から後段に配置される前記後段ロールに接触させて冷却し、
前記剛体ロールと前記弾性ロールが0.1~1,000N/cmの線圧で押し付けられており、
前記剛体ロールと前記弾性ロールのそれぞれの熱媒温度の平均が40~180℃である
請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
【請求項8】
前記剛体ロール又は
前記弾性ロールと後段に配置される
前記後段ロールとに接触させて冷却
し、
前記剛体ロール又は
前記弾性ロールの熱媒温度と前記後段ロールの熱媒温度との平均が40~180℃である
請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
【請求項9】
前記後段ロールの熱媒温度が100℃以下である、請求項
1~8のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体フィルムは、軽量で、耐候性、機械的強度等に優れることから、膜構造物を構成する膜構造用フィルムとして使用されている。膜構造物は、膜構造用フィルムで屋根や外壁が構成された構造物であり、様々な施設で採用されている。特に近年は、アメリカンフットボールやサッカーの競技場、ショッピングセンター等の大型施設での採用が進んでいる。
【0003】
膜構造用フィルムの設置方法としては、クッション方式とテンション方式がある。クッション方式では、複数枚の膜構造用フィルムを骨材に固定して複層膜とし、それらの間に空気を供給する。テンション方式では、1枚の膜構造用フィルムを骨材に固定する。クッション方式は、フィルム間の骨材のスパンが広いこと、断熱性が良好であることが特徴である。テンション方式は安価であること、空気供給設備が不要であることが特徴である。近年、膜構造物の大型化に伴い、設置コストの安いテンション方式が増加してきている。
【0004】
膜構造物用フィルムには、耐候性、機械的強度のほか、透明性が求められることがある。
特許文献1には、厚さが200μmで、ヘイズが10.8%又は12.5%のエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体フィルムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、本発明者らの知見によれば、特許文献1のエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体フィルムは、透明とはいってもガラスに比べてヘイズが高く乳白色を帯びている。クッション方式では、フィルムを2枚以上使用するため、複層膜全体としては透明性の低い乳白色になる。テンション方式では、クッション方式よりも透明性は高くなるものの、フィルムを通して背景等を見たときに、その色調や輪郭が不鮮明になり、フィルム越しの意匠性に劣る。
一方で、ヘイズの低い透明なフィルムは、フィルムの加工時や取り付け時に擦り傷が付いたときに、擦り傷が目立ちやすい。
【0007】
また、本発明者らの知見によれば、従来のエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体フィルムは、ガラスに比べ、可視光線反射率は低いが、紫外線(以下、「UV」とも記す。)反射率が高い。反射率が高いと、目の角膜が炎症を起こし、強い痛みや充血といった症状が出ることがある。
クッション方式では、多くの場合、フィルム形状は円弧状であり、上空の太陽光を受けての反射光は、入射角がバラバラであるから、反射角もバラバラとなり、反射光は分散されやすく、強い反射光にはなりにくい。しかし、テンション方式では、フィルム形状が平面状であることが多いため、反射光は分散されにくく、強い反射光になる角度や時間帯がある。
【0008】
本発明は、フィルム越しの意匠性に優れ、擦り傷が付いても目立ちにくく、目に優しいフィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の[1]~[11]の構成を有する、フィルム及びその製造方法を提供する。
[1]テトラフルオロエチレンに基づく単位とエチレンに基づく単位とを有する共重合体を含み、
ヘイズが1.2~8.0%であり、
紫外線反射率が17.0%未満であり、
厚さが250~400μmであることを特徴とする、フィルム。
[2]23℃における寸法を基準とし、150℃で10分間加熱し、その後23℃まで冷却した際のMD及びTD各々の寸法変化率が-3.5~-1.0%である、前記[1]のフィルム。
[3]MD及びTD各々の10%伸び時の応力が、80℃において3.0MPa以上である、前記[1]又は[2]のフィルム。
[4]前記共重合体の含有量が、前記フィルムの総質量に対して90質量%以上である、前記[1]~[3]のいずれかのフィルム。
[5]前記共重合体が、テトラフルオロエチレン及びエチレン以外の他の単量体に基づく単位を有し、
前記他の単量体に基づく単位の合計含有量が、前記テトラフルオロエチレンに基づく単位と前記エチレンに基づく単位との合計に対して1~7モル%である、前記[1]~[4]のいずれかのフィルム。
[6]膜構造用である、前記[1]~[5]のいずれかのフィルム。
[7]前記[1]~[6]のいずれかのフィルムの製造方法であって、
前記共重合体を溶融させて溶融物を得て、前記溶融物を、シート状に賦形するダイを通して連続的に押し出し、対になった2つのロールの間を通過させて冷却し、
前記2つのロールはそれぞれ熱媒により表面温度を調節可能であり、
前記2つのロールの一方が剛体ロールで、他方が弾性ロールであり、
前記2つのロールが0.1~1,000N/cmの線圧で押し付けられており、
前記2つのロールの間を通過する直前の前記溶融物の温度が200~330℃であり、
前記2つのロールそれぞれの熱媒温度の平均が40~180℃であることを特徴とする、フィルムの製造方法。
[8] 前記2つのロールの間を通過させて冷却した後、後段に配置される後段ロールに接触させて更に冷却し、
前記後段ロールは熱媒により表面温度を調節可能であり、
前記後段ロールの熱媒温度が100℃以下である、前記[7]のフィルムの製造方法。
[9] 前記[1]~[6]のいずれかのフィルムの製造方法であって、
前記共重合体を溶融させて溶融物を得て、前記溶融物を、シート状に賦形するダイを通して連続的に押し出し、剛体ロール又は弾性ロールと後段に配置される後段ロールとに接触させて冷却し、
前記剛体ロール又は弾性ロール、及び前記後段ロールはそれぞれ熱媒により表面温度を調節可能であり、
前記剛体ロール又は弾性ロールに接触する直前の前記溶融物の温度が200~330℃であり、
前記剛体ロール又は弾性ロールの熱媒温度と前記後段ロールの熱媒温度との平均が40~180℃であることを特徴とするフィルムの製造方法。
[10] 前記後段ロールの熱媒温度が100℃以下である、前記[9]のフィルムの製造方法。
[11] 前記[1]~[6]のいずれかのフィルムの製造方法であって、
前記共重合体を溶融させて溶融物を得て、前記溶融物を、シート状に賦形するダイを通して連続的に押し出し、対になった剛体ロールと弾性ロールとの間を通過させて冷却するか、又は、剛体ロール若しくは弾性ロールと後段に配置される後段ロールとに接触させて冷却し、
前記剛体ロール、弾性ロール及び後段ロールはそれぞれ熱媒により表面温度を調節可能であり、
前記剛体ロールと前記弾性ロールの間を通過する直前、又は前記剛体ロール若しくは前記弾性ロールに接触する直前の前記溶融物の温度が200~330℃であり、
前記共重合体の融点Mが200℃以上であり、
前記剛体ロールの熱媒温度と前記弾性ロールの熱媒温度との平均、又は、前記剛体ロール若しくは弾性ロールの熱媒温度と前記後段ロールの熱媒温度との平均をT(℃)としたとき、T×Mが31,000以下であることを特徴とするフィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のフィルムは、フィルム越しの意匠性に優れ、擦り傷がついても目立ちにくく、目に優しい。
本発明のフィルムの製造方法によれば、フィルム越しの意匠性に優れ、擦り傷がついても目立ちにくく、目に優しいフィルムを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における以下の用語の意味は以下の通りである。
「単量体に基づく単位」は、単量体1分子が重合して直接形成される原子団と、前記原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。本明細書においては、単量体に基づく単位を、単に、単量体単位とも記す。
「単量体」は、重合性炭素-炭素二重結合等の重合性不飽和結合を有する化合物を意味する。
「融点」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した、樹脂の融解ピークの最大値に対応する温度である。
「MD」は、流れ方向(Machine Direction)を意味し、「TD」は、MDと直交する方向(Transverse Direction)を意味する。
「ヘイズ」は、JIS K7136:2000に準拠して測定される値である。
「可視光線透過率」は、DIN EN 410:1998に準拠して測定される値である。
「紫外線反射率」(UV反射率)は、DIN EN 410:1998に準拠して測定される値である。
「寸法変化率」は、JIS K7133:1999に準拠して測定される値である。
「10%伸び時の応力」は、JIS K7127:1999に準拠して測定される値である。
「フィルム越しの意匠性に優れる」とは、フィルムを通して背景等を見たときの背景等の色調や輪郭が明瞭であること、つまりフィルムを通さずに直接背景等を見たときとの差が少ないことを示す。
「剛体ロール」は、ロールの圧胴部最外層材質のヤング率が5×10
4MPa以上で肉厚2mm以上の円筒からなるロールを意味する。
「弾性ロール」は、ロールの圧胴部最外層材質のヤング率が5×10
4MPa未満の円筒からなるロール、又は前記ヤング率が5×10
4MPa以上で肉厚が2mm未満の円筒からなるロールを意味する。
「2つのロールの間を通過する直前」とは、2つのロールの間の最も狭いところから上流方向(ダイ方向)に10mm離れた位置を意味する。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
図1~2における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
【0013】
〔フィルム〕
本発明のフィルム(以下、「本フィルム」とも記す。)は、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」とも記す。)に基づく単位とエチレン(以下、「E」とも記す。)に基づく単位とを有する共重合体(以下、「ETFE」とも記す。)を含み、ヘイズが1.2~8.0%であり、紫外線反射率が17.0%未満であり、厚さが250~400μmであるフィルムである。
本フィルムは、性能を損なわない範囲で、ETFE以外の他の成分を更に含んでいてもよい。
【0014】
ETFEにおいて、TFE単位とE単位とのモル比(以下、「TFE/E比」とも記す。)は、ETFEの融点の高さから、40/60~60/40が好ましく、45/55~56/44が特に好ましい。
【0015】
ETFEは、TFE及びE以外の他の単量体に基づく単位を有することが好ましい。他の単量体単位を有することで、ETFEの結晶性が低くなり、フィルムのヘイズが低くなる。また、UV反射率も低くなる。
他の単量体としては、TFE及びEと共重合可能であればよく、例えば、フルオロアルキル基を有するビニル単量体;プロピレン、ブテン等のオレフィン(ただし、Eを除く。);フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン等の不飽和基に水素原子を有するフルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン等の不飽和基に水素原子を有しないフルオロオレフィン(ただし、TFEを除く。);ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)等のペルフルオロ(アルキルビニルエーテル);アルキルビニルエーテル、(フルオロアルキル)ビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、メチルビニロキシブチルカーボネート等のビニルエーテル;酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、ブタン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、クロトン酸ビニル等のビニルエステル;(ポリフルオロアルキル)アクリレート、(ポリフルオロアルキル)メタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;等が挙げられる。これら他の単量体は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0016】
他の単量体の少なくとも一部は、ETFEが耐熱性、燃料バリア性、耐ストレスクラック性に優れる点から、下式1で表される含フッ素ビニル単量体であることが好ましい。式1で表される含フッ素ビニル単量体とその他の単量体とを併用してもよい。
CH2=CX-Rf 式1
ただし、Xは水素原子又はフッ素原子を表し、Rfはフルオロアルキル基を表す。
Xとしては、重合性に優れる点から、水素原子が好ましい。
Rfとしては、炭素数1~8のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1~8のペルフルオロアルキル基がより好ましく、炭素数2~6のペルフルオロアルキル基が特に好ましい。Rfは、直鎖状でも分岐状でもよい。Rfの具体例としては、ペンタフルオロエチル基、ノナフルオロブチル基、トリデカフルオロヘキシル基が挙げられる。
【0017】
他の単量体単位の合計含有量は、TFE単位とE単位との合計に対して1~7モル%が好ましく、1.4~6モル%がより好ましく、1.5~6モル%が更に好ましく、2~4モル%が特に好ましい。他の単量体単位の含有量が前記下限値以上であれば、ETFEの結晶性が低くなり、ヘイズとUV反射率の低いフィルムが得られやすい。他の単量体単位の含有量が前記上限値以下であれば、ETFEの融点が高く、80℃等の高温域での10%伸び時の応力の高いフィルムが得られやすい。
【0018】
ETFEの融点は、200℃以上が好ましく、210℃以上がより好ましく、225℃以上が更に好ましく、240℃以上が特に好ましい。融点が200℃以上であれば、本フィルムを様々な地域で膜構造用フィルムとして使用できる。融点が200℃未満であっても膜構造用フィルムとして使用できるが、使用できる地域が、例えば年間の最高気温が30℃未満の地域に限られるおそれがある。
ETFEの融点の上限は、特に限定されないが、例えば270℃である。
ETFEの融点は、TFE/E比、他の単量体単位の含有量により調整できる。例えば、他の単量体単位の含有量がTFE単位とE単位との合計に対して2.5モル%を超える場合、ETFEの融点は250℃を下回ることが多い。
【0019】
ETFEの容量流速(以下、「Q値」とも記す。)は、1~50mm3/秒が好ましく、2~30mm3/秒が特に好ましい。Q値が前記範囲内であれば、厚さが均一なフィルムを製造しやすい。
Q値は、フローテスタを用いて、シリンダー面積1cm2、温度297℃、荷重7kgの条件で測定される。
【0020】
ETFEは1種を単独で用いてもよく、ヘイズ、UV反射率等の調整のために、組成(TFE/E比、他の単量体単位の含有量等)が異なる2種以上を併用してもよい。
【0021】
本フィルムにおいて、ETFEの含有量は、本フィルムの総質量に対して70質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%が特に好ましい。ETFEの含有量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。ETFEの含有量が前記下限値以上であれば、フィルムの耐候性、機械的強度がより優れる。
【0022】
他の成分としては、例えば、ETFE以外の樹脂、添加剤が挙げられる。
ETFE以外の樹脂としては、ETFE以外のフッ素樹脂、非フッ素樹脂等が挙げられる。ETFE以外のフッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン、エチレン-クロロトリフルオロエチレン系共重合体、フルオロオレフィン単位を有し、水酸基、カルボキシ基、アミド基及びグリシジル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を有するフルオロオレフィン系重合体(ただし、ETFEを除く。)等が挙げられる。非フッ素樹脂としては、ナイロン6、ナイロン12等が挙げられる。
添加剤としては、顔料、UV吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤等が挙げられる。
【0023】
フィルムを着色したり、可視光線又はUV透過率を制御したりするために、本フィルムに顔料を配合できる。
顔料としては、公知の無機顔料や有機顔料を使用でき、例えば酸化チタン(白)、酸化亜鉛(白)、アルミ・コバルトの複合酸化物(青)、カーボンブラック(黒)、錫・亜鉛・チタンの複合酸化物(オレンジ)、酸化鉄(赤)、コバルト・ニッケル・亜鉛・チタンの複合酸化物(緑)、コバルト・マグネシウム・チタンの複合酸化物(緑)、バナジン酸ビスマス複合酸化物(黄)、ニッケル・アンチモン・チタンの複合酸化物(黄)、チタン・アンチモン・ニッケルの複合酸化物(黄)、亜鉛・鉄の複合酸化物(茶)、コバルト・ニッケル・ケイ素の複合酸化物(紫)、コバルト・リチウム・リンの複合酸化物(紫)、マンガン酸化物(紫)、フタロシアニン(青、緑)、キナクリドン(赤、紫)が挙げられる。これらの顔料は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
顔料の含有量は、例えば、樹脂の質量に対し0.0001~2質量%である。
【0024】
本フィルムにUV吸収剤を含有させることで、本フィルムのUV反射率、及びUV透過率を低減できる。
UV吸収剤としては、無機UV吸収剤、有機UV吸収剤等が挙げられる。
無機UV吸収剤としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄等の無機粒子;前記無機粒子の表面にシリカ、アルミナ、ジルコニア等の無機物をコーティングした無機複合体粒子等が挙げられる。
有機UV吸収剤としては、トリアジン系UV吸収剤、ベンゾフェノン系UV吸収剤等が挙げられ、トリアジン系UV吸収剤が好ましい。なかでも、2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン(例えば、BASFジャパン社製の商品名:TINUVIN 479)、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(例えば、BASFジャパン社製の商品名:TINUVIN 460)、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2’-エチル)ヘキシルオキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(例えば、BASFジャパン社製の商品名:TINUVIN 405)等のヒドロキシフェニルトリアジン系UV吸収剤が好ましい。
これらのUV吸収剤は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0025】
本フィルムがUV吸収剤等の他の成分として粒子状のもの(以下、「粒子成分」とも記す。)を含む場合、粒子径が0.2μmを超える粒子成分は、本フィルムに入射した光を散乱し、ヘイズを大きくするおそれがある。
本フィルムは、粒子径0.2μm超の粒子成分の含有量が少ないほど好ましく、粒子径0.2μm超の粒子成分を含まないことが特に好ましい。
本フィルム中での粒子成分の粒子径は、ETFEに配合する粒子成分の粒子径、粒子成分の分散のための表面処理方法等により調整できる。
【0026】
本フィルムは単層でもよく多層でもよい。溶融したフィルムの熱冷却速度の制御については、層間剥離も配慮しなければならない多層フィルムよりも、単層フィルムの方が容易であるため、単層であることが好ましい。
本フィルムが多層である場合、本フィルムは、複数のETFE層が積層されたものであってもよく、ETFE層と他の層とが積層されたものであってもよい。
ETFE層は、ETFEを含む層であり、他の成分(UV吸収剤等)を含んでいてもよい。ETFE層は、ETFEのみからなることが好ましい。
他の層は、他の成分を含み、ETFEを含まない層である。
【0027】
本フィルムが多層である場合の本フィルムの好ましい一態様として、ETFE層と、前記ETFE層の少なくとも一方の表面に積層されたUV吸収剤層とを有する多層フィルムが挙げられる。UV吸収剤層は、UV吸収剤を含み、必要に応じて、樹脂、UV吸収剤以外の添加剤等を更に含んでいてもよい。
UV吸収剤層は、UV吸収剤を含むコーティング層であることが好ましい。コーティング層は、例えば、ETFE層(ETFEフィルム)の表面に、UV吸収剤、液状媒体、必要に応じて樹脂やUV吸収剤以外の添加剤を含むコーティング剤を塗布し、乾燥することにより形成される。ETFE層の表面はコロナ放電等の表面処理が行われていることが好ましい。
【0028】
UV吸収剤層の樹脂としては、耐候性、表面処理を行ったETFE層表面への密着性に優れる点から、フルオロオレフィン単位を有し、水酸基、カルボキシ基、アミド基及びグリシジル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を有するフルオロオレフィン系重合体が好ましい。
フルオロオレフィンは、不飽和基に水素原子を有するものでもよく、不飽和基に水素原子を有しないものでもよい。具体例としては、前記と同様のものが挙げられる。
フルオロオレフィン系重合体は、フルオロオレフィン単位以外の他の単量体単位を有していてもよい。他の単量体としては、例えば、ETFEにおける他の単量体(ただし、フルオロオレフィンを除く。)、エチレンが挙げられる。
フルオロオレフィン系重合体は、前記極性基を含む主鎖末端基を有していてもよく、前記極性基を含む単量体単位を有していてもよい。
【0029】
フルオロオレフィン系重合体は市販品を使用できる。市販品の例としては、ルミフロン(登録商標)シリーズ(LF200、LF100、LF710、LF600等)(AGC製)、ゼッフル(登録商標)GKシリーズ(GK-500、GK-510、GK-550、GK-570、GK-580等)(ダイキン工業社製)、フルオネート(登録商標)シリーズ(K-700、K-702、K-703、K-704、K-705、K-707等)(DIC社製)、ETERFLONシリーズ(4101、41011、4102、41021、4261A、4262A、42631、4102A、41041、41111、4261A等)(Eternal Chemical社製)等が挙げられる。
【0030】
本フィルムのヘイズは1.2~8.0%であり、3.0~5.0%が特に好ましい。ヘイズが前記下限値以上であれば、フィルムに擦り傷、折れしわ、打痕等がついても目立ちにくく、前記上限値以下であれば、フィルム越しの意匠性に優れる。
従来、透明なフィルムを加工して膜構造物等を製造する際に発生する擦り傷、折れしわ、打痕等やフィルム同士をつなぎ合わせたヒートシールラインは、フィルムの強度に全く影響を与えないにも関わらず、目立ちやすく外観不良の対象になりやすいため、フィルム加工時及び設置時に非常に注意を要する原因となっていた。それらが目立ちにくいことで、膜構造物等の生産性が向上する。
ヘイズを調整する方法は後で詳しく説明する。
【0031】
本フィルムの可視光線透過率は、85%以上が好ましく、90%以上が特に好ましい。可視光線透過率が前記下限値以上であれば、フィルム越しの意匠性がより優れる。
可視光線透過率は高いほど好ましく、その上限は特に限定されない。
【0032】
本フィルムのUV反射率は、17.0%未満であり、15.0%以下が好ましく、10.0%未満が特に好ましい。UV反射率が前記上限値以下であれば、本フィルムに太陽光等が当たったときに発生する反射光を、UV強度が低く目に優しいものにできる。
UV反射率は低いほど好ましく、その下限は特に限定されない。
UV反射率を調整する方法は後で詳しく説明する。
【0033】
本フィルムの10%伸び時の応力は、MD及びTD各々、80℃において3.0MPa以上が好ましく、4.0MPa以上がより好ましく、7.0MPa以上が特に好ましい。10%伸び時の応力の上限は特に限定されないが、例えば12.0MPaである。
膜構造用フィルムとしてETFEフィルムを用いた膜構造物においては一般的に、膜構造用フィルムに1.5~3MPaの応力がかかるような設計になっている。膜構造物の実環境における膜構造用フィルムの温度は、真夏の晴天時に金属フレームに接している部分の温度が最高温度であり、最大80℃程度である。80℃での10%伸び時の応力が前記下限値以上であれば、膜構造物の実環境においてフィルムが長時間にわたり応力を受けても、フィルムが極端に弛むことを抑制できる。
また、膜構造用フィルムは、機械的強度の観点から、1~10%伸び時の応力が高いことが好ましい。80℃での10%伸び時の応力が前記下限値以上であれば、フィルムの機械的強度に優れ、フィルム間の骨材のスパンを長くでき、視覚的な解放感が得られやすい。
一方、80℃での10%伸び時の応力が前記下限値未満である場合、膜構造用フィルムをテンション方式(単層)で設置する場合に、フィルムの展張方法について、多くの注意を必要とする。クッション方式では、設置後に層間に空気を導入して雨や雪に対応する張力を導入できるため、窪みが発生してその部分に雨が堆積するようなポンディングが防げる。しかし、テンション方式においては通常、導入される張力は初期に導入される張力が全てであり、設置後にフィルムが緩んできたときに改めて張力を付与する操作を行うことは想定されていない。よって、設置時に如何にフィルムを上下左右に伸ばして張力を導入できるかが重要である。張力を導入する方法としては、上下左右の4辺のうちの1辺を固定し、残りの3辺を人力で引っ張りながら固定化する方法や、4辺を固定化した後に、円弧状の突出しポールを挿入してフィルムに膨らみを持たせる方法が用いられる。設置の簡便さやフィルムの破れを抑える観点からは、クッション方式が好ましい。
【0034】
本フィルムの23℃における寸法を基準とし、150℃で10分間加熱し、その後23℃まで冷却した際のMD及びTD各々の寸法変化率(以下、「熱寸法変化率」とも記す。)は、-3.5~-1.0%が好ましく、-2.5~-1.5%が特に好ましい。
一般的なETFEの融点は250~270℃であるので、ETFEフィルムは通常、火災時に発生する煙の温度が200℃以下、特に150℃以下となる部分でのみ使用される。そのため、最大使用温度として150℃を設定して熱寸法変化率を測定している。
膜構造物の実環境における膜構造用フィルムの温度は、前記したように、最大80℃程度である。プラスチックは熱が上がると熱膨張する。ETFEの線膨張係数をおおよそ1×10-4と仮定すれば、23℃のフィルムが仮に80℃になったとすれば、0.6%ほど膨張すると考えられる。熱寸法変化率がマイナスの値であるフィルムは、熱を受けると収縮する。例えばMD及びTD各々の寸法変化率が-2%であるフィルムは、仮に寸法変化率が温度に比例するとすれば、23℃から80℃の熱変化で約0.6~1%程度の収縮が予想され、23℃から80℃の温度域ではフィルムが緩むことはないと考えられる。 このように、MD及びTD各々の熱寸法変化率が前記上限値以下であれば、膜構造物の実環境において、展張された膜構造用フィルムが緩むことを抑制できるので、フィルムを伸ばしながら展張する必要がない。また、展張した後に、ドライヤー等の熱風供給機により60℃~150℃程度の熱風を与えることにより、瞬時に張力を導入することが可能である。一方、MD及びTDの少なくとも一方の熱寸法変化率が-1.0%よりも大きいフィルムの場合は、フィルムを伸ばしながら展張しないと、膜構造物の実環境、特に夏期においてフィルムが緩くなるおそれがある。
MD及びTD各々の熱寸法変化率が前記下限値以上であれば、フィルム同士をヒートシールにより接合する際に、フィルムにシワが発生しにくく、予定した寸法通りの形状になりやすい。
【0035】
フィルムのMD及びTD各々の熱寸法変化率を調整する方法としては、例えば、フィルム成形後に、フィルムのエッジにテンターを付けて横方向に延伸したり、引き取りロールの速度比を変えて縦方向に延伸したりする方法がある。しかし、最も容易な方法は、フィルム成形時に、ダイから押し出された溶融物を急速冷却する方法である。ダイから押し出された溶融物を急速冷却すれば、本来の温度変化による収縮が完了する前に、フィルム形状が整えられて固定化される。このとき、収縮する力がフィルム内部に留まったままになるので、フィルムの温度が高くなりフィルムの動きが自由になれば、フィルムが本来の寸法変化により収縮する。
【0036】
本フィルムの厚さは、250~400μmであり、250~300μmが好ましい。厚さが前記下限値以上であれば、風や雪に対する耐力に優れ、また木片や小石等の衝突によるフィルムの破れは皆無となる。厚さが前記上限値以下であれば、フィルムの透明性に優れ、フィルム越しの意匠性に優れる。また、UV反射率が低く、目に優しい。
【0037】
本フィルムは、膜構造用フィルムとして好適であり、なかでもテンション方式の膜構造用フィルムとして好適である。
膜構造用フィルムは、膜構造物を構成する膜材として用いられる。膜構造物は、屋根、外壁等の少なくとも一部を膜材で構成した建築物である。膜構造物としては、例えば、スポーツ施設(プール、体育館、テニスコート、サッカー場、アメリカンフットボールの競技場等)、倉庫、集会場、展示場、園芸施設(園芸ハウス、農業用ハウス等)、ショッピングセンター、駐車場、駐輪場、動物園、畜舎が挙げられる。
本フィルムは、膜構造用フィルムのほか、例えば野外劇場のスクリーン、ヨットの帆布、道路標識、離型フィルムに使用できる。
【0038】
〔フィルムの製造方法〕
ヘイズが1.2~8.0%、UV反射率が17.0%未満、厚さが250~400μmのフィルムを製造するにあたっては、(1)ETFEの組成からのアプローチ、(2)フィルムの成形方法からのアプローチ、(3)(1)~(2)の双方からのアプローチがある。
【0039】
ETFEのフィルムは、例えば、ETFEを溶融させ、得られた溶融物を、所定の厚さのシート状に賦形するダイを通して連続的に押し出し、冷却して成形される。溶融物を冷却する際には、ダイの直下に配置され、所定の熱媒温度に調整されたロールに溶融物を接触させる。
このようにして成形されるフィルムのヘイズやUV反射率は、フィルムを構成するETFEの組成や成形時の冷却速度により変化する。ETFEの組成はETFEの結晶性に影響する。先述したTFE/Eのモル比を1からずらす、あるいは他の単量体を重合させる等によって、TFEとEの交互共重合性から逸脱させた場合、ETFEの結晶性が低くなり、フィルムのヘイズとUV反射率が低くなる。ETFEの結晶性が高い場合でも、フィルム成形時に、より急速冷却することで、ETFEの結晶成長が抑制され、フィルムのヘイズとUV反射率が低くなる。また、フィルム表面を平滑に成形できれば、ヘイズがより低くなる。
【0040】
(1)のアプローチでは、ETFEとして、結晶性の低い組成を用いる。
例えば、ETFE中の他の単量体単位の含有量が多くなると、ETFEの結晶性が低くなり、後述する成形方法2(一般的な成形方法)でETFEを成形した場合でも、前記したヘイズとUV反射率を満たすフィルムを製造できる。
成形方法2によって前記したヘイズとUV反射率を満たすフィルムを製造する場合、他の単量体単位の合計含有量は、TFE単位とE単位との合計100モル%に対して2.5モル%超が好ましく、3モル%以上が特に好ましい。
他の単量体単位の合計含有量は、TFE単位とE単位との合計100モル%に対して7モル%以下が好ましく、6モル%以下がより好ましく、4モル%以下が特に好ましい。
【0041】
(2)のアプローチでは、ETFEの溶融物を急速冷却する。この場合、使用するETFEの他の単量体単位の合計含有量が、TFE単位とE単位との合計100モル%に対して2.5モル%以下の場合でも、前記したヘイズとUV反射率を満たすフィルムを製造できる。
溶融物を急速冷却するには、例えば、後述する成形方法1でETFEを成形する。成形方法1では、溶融物を、対になった2つのロールの間を通過させるので、急速冷却が可能である。成形方法2の場合、溶融物の一方の面のみがロールと接触するため、急速冷却が難しい。
急速冷却する際、ETFEの結晶化温度の±20℃の領域における降温速度は、5℃/秒以上が好ましく、10℃/秒以上が特に好ましい。
【0042】
(1)~(3)のいずれかのアプローチに加えて、UV吸収剤を使用することもできる。ETFEにUV吸収剤を配合してフィルムを成形するか、又はETFEフィルム上にUV吸収剤層を設けることにより、UV反射率をより低くできる。
以下に、成形方法1、2についてより詳しく説明する。
【0043】
(成形方法1)
成形方法1では、ETFEを溶融させて溶融物を得て、前記溶融物を、シート状に賦形するダイを通して連続的に押し出し、対になった2つのロールの間を通過させて冷却する。これによりフィルムが得られる。
2つのロールの一方は剛体ロールで、他方は弾性ロールである。
一般的には、2つのロールの一方が溶融物を引き取る引取ロール(以下、「C1ロール」とも記す。)であり、他方のロールが、C1ロールに溶融物を押し付ける押付ロール(以下、「C0ロール」とも記す。)である。C1ロールが剛体ロールで、C0ロールが弾性ロールであってもよく、C1ロールが弾性ロールで、C0ロールが剛体ロールであってもよい。なお、C0ロールはバックアップロールとも言われる。
C1ロール、C0ロールはそれぞれ熱媒により表面温度を調節可能である。
必要に応じて、C1ロールの後段にC2ロールを設け、C1ロールに沿って移動し冷却された溶融物(フィルム)をC1ロールから剥離させ、更にC2ロールにて冷却する。C2ロールも熱媒により表面温度を調節可能である。C2ロールは、フィルムをC1ロールから剥離させると共に、フィルムの冷却速度を幅方向に均一とさせる働きがあるため、温度調節機能を持たせている。
【0044】
<成形装置>
図1は、成形方法1で用いる成形装置の一実施形態を示す概略図である。
この成形装置10は、押出機11と、押出機11に接続されたダイ13と、対になったC1ロール15及びC0ロール17と、C2ロール19と、巻取機(図示略)とを備える。
C1ロール15及びC0ロール17は、それらの間に、ダイ13からシート状に押し出された溶融物1が通過できるように配置されている。
【0045】
押出機11は、ETFEを溶融させ、ダイ13から任意の押出速度で連続的に押し出す。押出機11としては、特に限定されず、単軸押出機、二軸押出機等の公知の押出機を用いてもよい。
ダイ13は、押出機11で溶融させたETFEをシート状に賦形する。ダイ13としては、たとえばフラットダイ(「Tダイ」ともいう。)が挙げられる。
【0046】
本実施形態においてC1ロール15は剛体ロールである。剛体ロールとしては、熱媒温度を調節できるものであればよく、冷却ロール等として公知のものを使用できる。
剛体ロールの一例として、回転軸に取り付けられた内筒と、内筒の外側に配置された外筒とを備え、内筒と外筒との間に熱媒(冷媒)を流通又は保持するように構成されたロールが挙げられる。かかる剛体ロールにおいては、任意の温度に加熱又は冷却された熱媒を内筒と外筒との間に流通させることにより、又は内筒と外筒との間に保持された熱媒を任意の温度に加熱又は冷却することにより、外筒の表面温度、つまり剛体ロールの表面温度を制御できるようになっている。
【0047】
外筒の肉厚は、2mm以上が好ましく、3~30mmがより好ましく、5~20mmが特に好ましい。肉厚が前記範囲の下限値以上であれば、弾性ロール等で加圧された場合に、剛体ロールが変形しにくい。肉厚が前記範囲の上限値以下であれば、熱媒との温度交換性が良好である。また、外筒の重量を抑えられる。
【0048】
剛体ロール(外筒、内筒等)の材料としては、ヤング率が5×104MPa以上の材料が好ましい。また、高温のETFEの溶融物と接触することから、耐熱性の高い材料が好ましい。耐熱性の高い材料としては、例えば金属、セラミックス等が挙げられ、加工性の点から、金属が好ましい。金属としては、鉄鋼、ステンレス鋼、アルミ合金、ニッケル合金等が挙げられる。
剛体ロールが金属製の場合、剛体ロールの表面は、硬さを増すために、セラミックコーティング、セラミック焼結、セラミック蒸着、超硬金属溶射、メッキ、浸炭、窒化等の表面改質を施されていてもよい。
【0049】
C1ロール15の表面粗さは小さいほど好ましい。表面粗さが小さいほど、フィルム表面が平滑仕上がりになり、フィルムのヘイズが低くなる。表面粗さが大きいと、シート状の溶融物1をC1ロール15に接触させた際に、C1ロール15表面の凹凸形状が溶融物の表面に転写され、フィルムのヘイズが高くなることがある。
C1ロール15の表面粗さは、算術平均粗さRa及び最大高さRyのどちらかで管理される。Raは、JIS B0601:2001に準拠して測定される。Ryは、JIS B0601:1994に準拠して測定される。
C1ロール15表面のRaは、0.8μm以下が好ましく、0.5μm以下が特に好ましく、0.3μm以下が特に好ましい。
C1ロール15表面のRyは、1s以下が好ましく、0.3s未満が特に好ましい。
【0050】
本実施形態においてC0ロール17は弾性ロールである。弾性ロールとしては、表面温度を調節できるものであればよく、ゴム、エラストマー及びプラスチックからなる群から選ばれる材料からなる被覆を表面に有する被覆ロール、可撓性金属ロール等が挙げられる。
【0051】
被覆ロールとしては、例えば、回転軸に取り付けられた内筒と、内筒の外側に配置された外筒と、外筒の外周面を被覆する前記被覆とを備え、内筒と外筒との間に熱媒(冷媒)を流通または保持するように構成されたロールが挙げられる。
外筒、内筒はそれぞれ、剛体ロールで挙げたものと同様であってよい。
【0052】
被覆を構成するゴムとしては、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ネオプレンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。エラストマーとしては、ポリエステル系、ウレタン系、ポリアミド系等が挙げられる。プラスチックとしては、フッ素樹脂、ポリスルフォン、ポリアミド等が挙げられる。
被覆を構成する材料(ゴム、エラストマー、プラスチック)のヤング率(=引張弾性率)は、1~5×104MPaが好ましく、3~5×103MPaが特に好ましい。
【0053】
被覆の肉厚は、0.25mm以上が好ましく、0.5~30mmがより好ましく、1~20mmが特に好ましい。肉厚が前記範囲の下限値以上であれば、ETFEの溶融物が剛ロールと弾性ロールとの間を通過する際に、弾性ロールが充分に変形し、内部ひずみが生じにくい。肉厚が前記範囲の上限値以下であれば、熱媒との温度交換性に優れる。
【0054】
可撓性金属ロールとしては、例えば、金属製の可撓性の外筒と、外筒の内側に外筒に隣接して配置された軟質下地とを有するロールが挙げられる。かかるロールにおいては、最外層の外筒が可撓性を有することから、表面が剛体ロール等で加圧された場合に変形する。
可撓性金属ロールとしては、更に軟質下地の内側に熱媒(冷媒)を流通又は保持するように構成されたロールが好ましい。
外筒は、剛体ロールで挙げたものと同様であってよい。例えば、ニッケル合金の外側にクロムメッキしたものが挙げられる。
【0055】
可撓性の外筒の肉厚は、1.0mm未満が好ましく、0.05~0.7mmがより好ましく、0.07~0.5mmが特に好ましい。肉厚が前記の上限値以下であれば、たわみ性が確保でき、下限値以上であれば、耐久性に優れる。
【0056】
軟質下地としては、ゴム(シリコーン等)、エラストマー、液体等が挙げられる。ゴム、エラストマーとしてはそれぞれ前記と同様のものが挙げられる。軟質下地が液体からなる場合、液体として熱媒を用いてもよい。
軟質下地がゴム又はエラストマーである場合、軟質下地の厚さは、0.5mm以上が好ましく、1~30mmがより好ましく、2~20mmが特に好ましい。軟質下地の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、溶融物1が剛体ロールと弾性ロールとの間を通過する際に、弾性ロールが充分に変形し、内部ひずみが生じにくい。軟質下地の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、熱媒との温度交換性に優れる。
【0057】
C0ロール17の表面粗さ(被覆ロールの被覆の表面粗さ、可撓性金属ロールの可撓性の外筒の表面粗さ)は、C1ロール15の表面粗さと同様に、小さいほど好ましい。
C0ロール17の表面粗さは、C1ロール15の表面粗さと同様に、算術平均粗さRa及び最大高さRyのどちらかで管理される。
C0ロール17表面のRaは、0.8μm以下が好ましく、0.5μm以下が特に好ましく、0.3μm以下が特に好ましい。
C0ロール17表面のRyは、1s以下が好ましく、0.3s未満が特に好ましい。
【0058】
C2ロール19は、C1ロールに沿って移動し冷却された溶融物1、すなわちフィルムを、C1ロール15から剥離させ、巻取機(図示略)へと移送する。
C2ロール19としては、特に制限はなく、例えば前記した剛体ロール、弾性ロール等を使用できる。
【0059】
<成形方法>
成形装置10を用いたフィルムの成形方法について説明する。
ETFEを押出機11に供給し、押出機11内で溶融させる。押出機11に供給するETFEに予め他の成分が配合されていてもよく、押出機11にETFEとともに他の成分を供給してもよい。
次いで、押出機11内の溶融物を連続的にダイ13に供給してシート状に押し出す。押し出された溶融物1を、ダイ13の下方に配置され、C1ロール15とC0ロール17との間に通過させる。C1ロール15とC0ロール17とは、所定の線圧で押し付けられており、それらの間を溶融物が通過する際、溶融物1がC0ロール17によってC1ロール15の表面に密着する。また、C1ロール15及びC0ロール17によって溶融物1が両面から冷却される。
C1ロール15とC0ロール17との間を通過した溶融物1は、所定の速度で回転するC1ロール15に沿って移動しながら更に冷却される。冷却された溶融物1(フィルム)は、C2ロール19によって、C1ロール15から剥離され、必要に応じて更に冷却され、巻取機(図示略)へと移送される。
【0060】
ETFEとしては、市販のものを用いてもよく、公知の製造方法により製造したものを用いてもよい。ETFEの製造方法は、特に限定されず、ラジカル重合開始剤を用いる重合方法が挙げられる。重合方法は、特に限定されず、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられる。
【0061】
押出機11内の温度は、ETFEを溶融させるために、ETFEの融点以上であり、(融点+10℃)~(融点+150℃)が好ましく、(融点+20℃)~(融点+100℃)が特に好ましい。押出機11内の温度が前記下限値以上であれば、均質な溶融物を得られるので安定した押出成形が可能であり、前記上限値以下であれば、熱分解に伴う材料の劣化を抑えられる。
ダイ13内の温度の好ましい範囲も同様である。
ダイ13の吐出口の隙間は、得られるフィルムの厚さが250~400μmとなるように設定される。
【0062】
C1ロール15とC2ロール17との間の線圧は、0.1~1,000N/cmであり、5~1,000N/cmが好ましく、10~500N/cmがより好ましく、30~300N/cmが特に好ましい。線圧が前記下限値以上であれば、溶融物1がC1ロール15に良好に密着し、押し付けムラによる欠陥の発生を低減できる。線圧が前記上限値以下であれば、溶融物1がC1ロール15とC0ロール17との間を通過する際に溶融物1の内部で回転、横流れ等が生じにくく、内部ゆがみが小さいフィルムが得られやすい。また、弾性ロールであるC0ロール17の耐久性が良好である。
【0063】
C1ロール15の熱媒温度とC0ロール17の熱媒温度との平均(以下、「平均熱媒温度」ともいう。)は、40~180℃であり、60~170℃が好ましく、70~150℃が特に好ましい。平均熱媒温度が前記範囲の上限値以下であれば、溶融物1がC1ロール15とC0ロール17との間を通過する際に急速冷却され、ETFEの結晶化度が低くなり、得られるフィルムのヘイズ、UV反射率が低くなる。平均熱媒温度が前記範囲の下限値以上であれば、ロールへの溶融物1の密着性に優れる。
【0064】
C1ロール15の熱媒温度は、40~180℃が好ましく、50~150℃が特に好ましい。また、C1ロール15の熱媒温度は、40~120℃であってもよく、40~100℃であってもよく、50~100℃であってもよく、60~90℃であってもよい。C1ロール15の熱媒温度が前記下限値以上であれば、C1ロール15への溶融物1の密着性に優れ、前記上限値以下であれば、溶融物1がC1ロール15とC0ロール17との間を通過する際に急速冷却され、ETFEの結晶化度が低くなり、得られるフィルムのヘイズ、及びUV反射率が低くなる。
成形時のC1ロール15の表面温度は通常、熱媒温度よりも高く、溶融物1の温度よりは低くなる。
【0065】
C0ロール17の熱媒温度は、C0ロール17の表面の材質によっても異なるが、40~180℃が好ましく、50~150℃が特に好ましい。また、C0ロール17の熱媒温度は、40~120℃であってもよく、40~100℃であってもよく、50~100℃であってもよく、60~90℃であってもよい。C0ロール17の熱媒温度が前記下限値以上であれば、特殊な冷却方法を用いる必要がなく操作性に優れ、前記上限値以下であれば、溶融物1がC1ロール15とC0ロール17との間を通過する際に急速冷却され、ETFEの結晶化度が低くなり、得られるフィルムのヘイズ、及びUV反射率が低くなるとともに弾性ロールの寿命が延びる。
成形時のC0ロール17の表面温度は通常、熱媒温度よりも高く、溶融物1の温度よりは低くなる。
【0066】
C1ロール15とC0ロール17との間を通過する直前の溶融物1の温度は、200~330℃であり、220~320℃が好ましく、240~310℃が特に好ましい。溶融物1の温度が前記下限値以上であれば、C1ロール15とC0ロール17との間を通過する際に急速冷却され、ETFEの結晶化度が低くなり、得られるフィルムのヘイズ、UV反射率が低くなる。溶融物1の温度が前記上限値以下であれば、熱分解に伴う材料の劣化を抑えられる。
C1ロール15とC0ロール17との間を通過する直前の溶融物1の温度は、ダイ13内の温度、エアギャップ等により調整できる。エアギャップは、ダイ13の出口から冷却点までの距離である。冷却点は、ダイから押し出された溶融物1が最初にロール(2つのロールの一方または両方)と接する位置である。
エアギャップは、200mm以下が好ましく、150mm以下が特に好ましい。
【0067】
C1ロール15の引取速度(周速度)は、0.3~50m/分が好ましく、0.5~20m/分が特に好ましい。C1ロール15の周速度が前記下限値以上であれば、フィルムの生産性が優れ、前記上限値以下であれば、フィルムの物性を担保しやすい。
【0068】
C2ロール19の熱媒温度は、例えば100℃以下であり、40~100℃であってもよい。
成形時のC2ロール19の表面温度は通常、熱媒温度よりも高く、フィルム温度よりは低くなる。
【0069】
C1ロール15の引取速度(m/分)に対するC2ロール19の引取速度(m/分)の比(以下、「C2/C1引取速度比」とも記す。)は、例えば1.00~1.04であり、1.00~1.02が好ましい。C2/C1引取速度比が1.00よりも大きくなるにつれて、溶融物1が引き延ばされ、150℃で10分間加熱したときの収縮率が大きくなる傾向がある。C2/C1引取速度比が好ましい範囲内であれば、前記した熱寸法変化率を好ましい範囲内としやすい。
【0070】
(成形方法2)
成形方法2では、ETFEを溶融させて溶融物を得て、前記溶融物を、シート状に賦形するダイを通して連続的に押し出し、その片面をC1ロールに接触させて冷却する。必要に応じて、C1ロールの後段にC2ロールを設け、C1ロールに沿って移動し冷却された溶融物(フィルム)をC1ロールから剥離させ、更にC2ロールにて冷却する。これによりフィルムが得られる。
【0071】
<成形装置>
図2は、成形方法2で用いる成形装置の一実施形態を示す概略図である。
この成形装置20は、押出機11と、押出機11に接続されたダイ13と、C1ロール15と、C2ロール19と、巻取機(図示略)とを備える。
成形装置20は、C0ロール17を備えていない以外は、
図1の成形装置10と同様である。
【0072】
<成形方法>
成形装置20を用いたフィルムの成形方法について説明する。
ETFEを押出機11に供給し、押出機11内で溶融させる。押出機11に供給するETFEに予め他の成分が配合されていてもよく、押出機11にETFEとともに他の成分を供給してもよい。
次いで、押出機11内の溶融物を連続的にダイ13に供給してシート状に押し出す。押し出された溶融物1を、ダイ13の下方に配置されたC1ロール15で引き取る。この際、C1ロール15によって溶融物1が片面から冷却される。
C1ロール15で引き取られた溶融物1は、所定の速度で回転するC1ロール15に沿って移動しながら更に冷却される。冷却された溶融物1(フィルム)は、C2ロール19によって、C1ロール15から剥離され、必要に応じて更に冷却され、巻取機(図示略)へと移送される。
【0073】
C1ロール15の熱媒温度は、例えば100~250℃である。
成形時のC1ロール15の表面温度は通常、熱媒温度よりも高い温度となる。
C1ロール15の表面温度以外の条件は、成形方法1と同様であってよい。
【0074】
C1ロール15の熱媒温度とC2ロール19の熱媒温度との平均は、40~180℃であり、60~170℃が好ましく、70~150℃が特に好ましい。この平均熱媒温度が前記範囲であれば、溶融物1がC1ロール15通過する際に冷却され、その後C2ロール19によって更に冷却されることにより、ETFEの結晶化度が低くなり、得られるフィルムのヘイズ、UV反射率が低くなる。
【0075】
上記成形方法1又は成形方法2により成形したフィルムに、UV吸収剤層を形成してもよい。
【0076】
(成形方法1及び2)
上述の通り、結晶性の低い組成のETFEを用いる(1)のアプローチではC1ロール15及びC0ロール17の熱媒温度を比較的高く設定でき、冷却速度の許容範囲が広くなる。他方、急速冷却を行う(2)のアプローチでは、ETFEの組成についての許容範囲が広くなる。
よって、C1ロール15の熱媒温度とC0ロール17の熱媒温度との平均、又はC0ロール17を用いない場合にはC1ロール15の熱媒温度とC2ロール19の熱媒温度との平均をT(℃)とし、ETFEの融点をM(℃)としたとき、TとMとの積であるT×Mが31,000以下であることが好ましく、30,000以下であることがより好ましい。また、T×Mは10,000以上であることが好ましく、12,000以上であることがより好ましく、13,000以上であることが更に好ましく、14,000以上であることが特に好ましい。
【実施例】
【0077】
以下に実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下においてPFBEはCH2=CH(CF2)4Fを意味する。例7~19は実施例であり、例1~6、20は比較例である。
【0078】
〔評価方法〕
(光学特性)
ヘイズは、日本電色工業社製 濁度計 NDH-5000を用い、JIS K7136:2000に準拠して測定した。
UV反射率及び可視光線透過率は、島津製作所社製の紫外可視分光光度計UV-3600PCを用い、DIN EN 410:1998に準拠して測定した。
UV吸収剤層を形成したフィルムは、UV吸収剤層を形成した側とは反対側(ETFE面)から光が入射する方向にて光学特性を測定した。
【0079】
なお、参考として、市販のフロートガラス(厚さ2.8mm、AGC社製、商品名FL3)及びLow-E複層ガラス(厚さ24mm、AGC社製、商品名サンバランスピュアクリア(SBP6+A12+FL6))の光学特性を上記測定方法により測定した。結果を以下に示す。
フロートガラス:ヘイズ0.8%、UV反射率7.4%、可視光線透過率91.7%。 Low-E複層ガラス:ヘイズ1.2%、UV反射率18.2%、可視光線透過率77.2%。
【0080】
(熱寸法変化率)
熱寸法変化率は、JIS K7133:1999「プラスチック-フィルム及びシート-加熱寸法変化測定方法」に準拠して測定した。加熱条件は150℃で10分間とし、フィルムのMDとTDについて測定した。
【0081】
(10%伸び時応力)
10%伸び時応力は、80℃おける10%伸び時の応力であり、JIS K7127:1999「プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」に準拠して測定した。サンプル形状はダンベル型のタイプ5とし、引っ張り速度を200mm/分とし、フィルムのMDとTDについて測定した。なお、測定温度は80℃である。
【0082】
(融点)
融点は、走査型示差熱分析計(セイコーインスツルメンツ社製、型式DSC7030)を用いて測定した。
【0083】
(フィルムの厚さ)
フィルムの厚さは、デジタルマイクロメーター(Precision Technology Inc.製、型式M-30)を用いて測定した。
【0084】
(フィルム越しの意匠性)
フィルムを地面に対し垂直に設置した。別途、フィルムからフィルム表面に対して垂直方向に20cm離れた地点の地面に、半径10cmの黒色の円を描いた画用紙を垂直に設置した。その後、フィルムから画用紙とは反対の方向に1m離れた地点から、フィルムを介して画用紙を観察し、黒色の円の視認性を評価した。視認性は、(1)黒色の円の輪郭が明瞭に見えるか否かと、(2)黒色に見えるかグレイ色に見えるか、の2つの指標にて判断した。円の輪郭が明瞭に見え、かつ黒色と判定できるものAとし、輪郭は明瞭に見えるが、グレイ色に見えるものをBとし、A及びBのいずれにも当てはまらないものをCとした。Aのみ使用可能である。
【0085】
(擦り傷の目立ちにくさ)
ロータリーアブレージョンテスタ(東洋精機製作所製)を用い、摩耗輪にてフィルムの表面に擦り傷をつけた。摩耗輪はCS10を用い、4.9Nで100回の回転をさせた。その後、フィルムを1m又は3m離れた所から目視で観察し、擦り傷が見えるかどうかを評価した。擦り傷が3m離れた地点から確認できるフィルムをC、1mからは確認できるが、3mでは確認できないフィルムをB、1mでも確認できないフィルムをAとした。BとAが使用可能である。
【0086】
(60℃放置後のたわみ)
1辺が50cmの正方形のアルミニウム製枠体を2つ用意した。双方の枠体に、両面粘着テープを貼り、その上に厚さ1mmのブチルゴムを固定した。その後、一方の枠体のブチルゴム上に両面粘着テープを張り付け、その上にフィルムを載せ、更に他方の枠体を、フィルム側にブチルゴムが接するように載せて、4つの角を締めつけた。こうして、フィルムを枠体で挟み込んだ試験体を作製した。この際、フィルムが自重でたわまないように注意した。
次いで、試験体を60℃の高温槽に5分間入れ、その後、25℃で1日放置した。その後、フィルムを指で押した際のフィルムの反発力の強さにより、フィルムに残る張力の大きさを判断した。フィルムが5mm超凹んだ場合はCとし、フィルムが0mm超5mm以下凹んだ場合はBとし、フィルムが全く凹まなかった場合をAとした。凹む量が少ないほど、フィルムに残る張力が大きく、フィルムがたわみにくいため好ましい。なお、厚さ250μmのフィルムには10N、厚さ400μmのフィルムには15Nの力を指先より押し込んだ。AとBが使用可能である。
【0087】
〔ETFEの製造例〕
(製造例1)
容積が430Lのジャケット付きステンレス製重合槽を脱気し、1-ヒドロトリデカフルオロヘキサンの438kg、メタノールの3.35kg、PFBEの2.28kgを仕込み、TFEとEとを84/16(モル比)となるような比率で1.5MPa(ゲージ圧)まで圧入した。重合槽内を66℃に昇温し、ラジカル重合開始剤として2質量%のtert-ブチルペルオキシピバレートの1-ヒドロトリデカフルオロヘキサン溶液の1.73Lを仕込み、重合を開始した。重合中は、圧力が一定になるようにTFE/E=54/46(モル比)の混合ガスを連続的に仕込み、この混合ガスに対して1.4モル%となるようにPFBEを連続的に仕込んだ。重合開始から197分後、混合ガスの34.7kgを仕込んだ時点で、重合槽内を25℃まで降温するとともに常圧までパージした。得られたスラリーを850Lの造粒槽に移送し、水の340Lを加え、加熱しながら溶媒を除去し、ETFE1の37kgを得た。ETFE1の組成はTFE単位/E単位/PFBE単位=54/46/1.4(モル比)、融点は262℃、Q値は5.4mm3/秒であった。
【0088】
(製造例2)
重合槽内を昇温する前の1-ヒドロトリデカフルオロヘキサンの仕込み量を436kg、メタノールの仕込み量を2.92kg、PFBEの仕込み量を2.77kgとしたこと、昇温後の2質量%のtert-ブチルペルオキシピバレートの1-ヒドロトリデカフルオロヘキサン溶液の仕込み量を2.10L、PFBEの仕込み量を混合ガスに対して1.7モル%としたこと、重合開始から185分後、混合ガスの34.2kgを仕込んだ時点で重合槽内を降温したこと以外は製造例1と同様にして、ETFE2の36kgを得た。ETFE2の組成はTFE単位/E単位/PFBE単位=54/46/1.7(モル比)、融点は258℃、Q値は5.4mm3/秒であった。
【0089】
(製造例3)
重合槽内を昇温する前の1-ヒドロトリデカフルオロヘキサンの仕込み量を436kg、メタノールの仕込み量を2.9kg、PFBEの仕込み量を4.89kg、TFE/Eのモル比を75/25としたこと、昇温後の2質量%のtert-ブチルペルオキシピバレートの1-ヒドロトリデカフルオロヘキサン溶液の仕込み量を3.80L、混合ガスのTFE/Eのモル比を51/49、PFBEの仕込み量を混合ガスに対して3.0モル%としたこと、重合開始から189分後、混合ガスの34.7kgを仕込んだ時点で重合槽内を降温したこと以外は製造例1と同様にして、ETFE3の36.5kgを得た。ETFE3の組成は、TFE単位/E単位/PFBE由来の単位=51/49/3.0(モル比)、融点は246℃、Q値は5.4mm3/秒であった。
【0090】
(製造例4)
重合槽内を昇温する前の1-ヒドロトリデカフルオロヘキサンの仕込み量を436kg、メタノールの仕込み量を1.8kg、PFBEの仕込み量を5.3kgとしたこと、昇温後の2質量%のtert-ブチルペルオキシピバレートの1-ヒドロトリデカフルオロヘキサン溶液の仕込み量を5.70L、PFBEの仕込み量を混合ガスに対して3.0モル%としたこと、重合開始から190分後、混合ガスの35.7kgを仕込んだ時点で重合槽内を降温したこと以外は製造例1と同様にして、ETFE4の35.9kgを得た。ETFE4の組成は、TFE単位/E単位/PFBE単位=54/46/3.0(モル比)、融点は244℃、Q値は6.4mm3/秒であった。
【0091】
(製造例5)
重合槽内を昇温する前の1-ヒドロトリデカフルオロヘキサンの仕込み量を436kg、メタノールの仕込み量を1.32kg、PFBEの仕込み量を5.0kg、TFE/Eのモル比を89/11としたこと、昇温後の2質量%のtert-ブチルペルオキシピバレートの1-ヒドロトリデカフルオロヘキサン溶液の仕込み量を5.34L、混合ガスのTFE/Eのモル比を60/40、PFBEの仕込み量を混合ガスに対して3.0モル%としたこと、重合開始から190分後、混合ガスの36.2kgを仕込んだ時点で重合槽内を降温したこと以外は製造例1と同様にして、ETFE5の36.2kgを得た。ETFE5の組成は、TFE単位/E単位/PFBE単位=60/40/3.3(モル比)、融点は226℃、Q値は12.4mm3/秒であった。
【0092】
(製造例6)
重合槽内を昇温する前の1-ヒドロトリデカフルオロヘキサンの仕込み量を436kg、メタノールの仕込み量を0.8kg、PFBEの仕込み量を8.5kg、TFE/Eのモル比を89/11としたこと、昇温後の2質量%のtert-ブチルペルオキシピバレートの1-ヒドロトリデカフルオロヘキサン溶液の仕込み量を9.86L、混合ガスのTFE/Eのモル比を60/40、PFBEの仕込み量を混合ガスに対して5.0モル%としたこと、重合開始から197分後、混合ガスの36.0kgを仕込んだ時点で重合槽内を降温したこと以外は製造例1と同様にして、ETFE6の35.9kgを得た。ETFE6の組成は、TFE単位/E単位/PFBE単位=60/40/5.0(モル比)、融点は210℃、Q値は16.4mm3/秒であった。
【0093】
(製造例7)
重合槽内を昇温する前の1-ヒドロトリデカフルオロヘキサンの仕込み量を439kg、メタノールの仕込み量を0.59kg、PFBEの仕込み量を13.6kgとしたこと、昇温後の2質量%のtert-ブチルペルオキシピバレートの1-ヒドロトリデカフルオロヘキサン溶液の仕込み量を15.8L、PFBEの仕込み量を混合ガスに対して8.0モル%としたこと、重合開始から191分後、混合ガスの36.3kgを仕込んだ時点で重合槽内を降温したこと以外は製造例1と同様にして、ETFE7の36.1kgを得た。ETFE7の組成は、TFE単位/E単位/PFBE単位=54/46/8.0(モル比)、融点は191℃、Q値は22.0mm3/秒であった。
【0094】
〔実施例及び比較例〕
(例1)
透明な膜構造用ETFEフィルムであるNOWOFLON ET 6235Z 250(NOWOFOL社製、厚さ250μm)を例1のフィルムとした。
【0095】
(例2)
透明な膜構造用ETFEフィルムであるFluon ETFE FILM 250NJ(AGC社製、厚さ250μm)を例2のフィルムとした。
【0096】
(例3)
乳白色で片面がマット超で乳白色の膜構造用ETFEフィルムであるFluon ETFE FILM 250HJ(AGC社製、厚さ260μm)を例3のフィルムとした。
【0097】
(例4)
製造例1で得たETFE1を、外径32mm、長さ1,445mmのセグメント式スクリューを持つ同方向回転二軸押出機(テクノベル社製)を用いて、温度280℃でスクリュー回転数75rpm、押出量30kg/時間で混錬し、外径2.5±0.5mmのストランドを押し出し、水冷し、その後ペレタイザーを用いて長さ2~3mmにカットしてペレットを成形した。なお、rpmは1分間あたりの回転数を示す。
ETFE1のペレットを、
図2に示した、C0ロールを使用しない成形方法2によりフィルムに成形した。具体的な成形手順を以下に示した。
外径65mm、長さ1,950mmのスクリューを持つ単軸押出機の先端に、幅700mmで吐出口の隙間を0.5mmに設定したフィルム形成用ダイを取り付け、材料投入口に真空ホッパー(マツボー社製)を取り付け、真空ホッパー内を0.05MPa以下に保持した。ETFE1のペレットを材料投入口に投入し、押出機先端とフィルム形成用ダイの温度を330℃とし、押出量37kg/時間でETFE1をフィルム形成用ダイから押出し、フィルム形成用ダイ直下に配置されたC1ロールに沿わせて冷却し、更にC2ロールで引き取り、25℃まで冷却することでフィルムを成形した。C1ロールは、表面にハードクロムメッキ(Ry:0.2s)が施された金属製ロールを使用し、熱媒温度を150℃に設定し、引取速度を5m/分とした。C2ロールもハードクロムメッキ(Ry:0.2s)が施された金属製ロールを使用し、熱媒温度を90℃に設定し、引取速度を5m/分(C2/C1引取速度比1)とした。
【0098】
(例5)
UV吸収剤として疎水化処理されたシリカ被覆酸化セリウム(シリカ被覆酸化セリウム粒子をメチルハイドロジェンポリシロキサンにて表面疎水化処理した粒子、大東化成工業社製、商品名 SI01-5 セリガードSC6832)の100gを、ETFE1の1900gと混合した。得られた混合物を、同方向回転二軸押出機を用いて、シリンダー温度310℃、ヘッド温度320℃で混錬し、外径2.5±0.5mmのストランドを押し出し、水冷し、その後ペレタイザーを用いて長さ2~3mmにカットして、UV吸収剤を含有するマスターバッチのペレット(UV吸収剤の含有量:マスターバッチの総質量に対して5質量%)を成形した。
このマスターバッチと、例1と同様に製造したETFE1のペレットとを、マスターバッチ:ETFE1=1:9(質量比)で混合した。
得られた混合物をETFE1のペレットの代わりに用いた以外は例4と同様にしてフィルム(UV吸収剤の含有量:フィルムの総質量に対して0.5質量%)を成形した。
【0099】
(例6)
水酸基を有する含フッ素重合体のキシレン溶液(AGC社製、商品名LF200、水酸基価31mg(KOH)/g、含フッ素重合体の固形分60質量%、含フッ素重合体のガラス転移温度25℃)に、トルエンと、UV吸収剤としてヒドロキシフェニルトリアジン系UV吸収剤(BASFジャパン社製、TINUVIN 479)を添加し、固形分35質量%のコーティング液を調製した。UV吸収剤の添加量は、含フッ素重合体の100質量部に対して13質量部とした。トルエンの添加量は、グラビア版にてグラビア印刷を行うため、3番のザーンカップ粘度が25秒となる量とした。
続いて、例4で成形したフィルムの一方の表面にコロナ放電処理した後、そのコロナ処理面に上記コーティング液を、乾燥後の厚さが2μmとなるようにグラビアロールにて塗布し、100℃で10秒間乾燥してUV吸収剤層を形成した。これにより、UV吸収剤層を有するフィルムを得た。
【0100】
(例7)
ETFE1を、例4と同じ方法によりペレット化し、
図1に示した成形方法1(C0ロールを使用する方法)によりフィルムに成形した。具体的な成形手順は、ロール構成と熱媒の温度以外は、例4と同様である。C1ロールは例4と同じものを用い、熱媒の温度を90℃とした。C0ロールは、シリコンゴムロール(持田商工株式会社製、MWミラーロール)を用い、C0ロールの熱媒温度も90℃とした。エアギャップは100mmとした。C1ロールとC0ロールとの間を通過する直前の溶融物1の温度は280℃であった。C1ロールとC0ロールとのニップ圧は、線圧で140N/cmであった。
【0101】
(例8)
例5と同様にして、マスターバッチとETFE1のペレットとの混合物を得た。得られた混合物をETFE1のペレットの代わりに用いた以外は例7と同様にしてフィルム(UV吸収剤の含有量:フィルムの総質量に対して0.5質量%)を成形した。
【0102】
(例9)
例7で成形したフィルムの一方の表面に、例4と同様にしてコロナ放電処理し、UV吸収剤層を形成した。これにより、UV吸収剤層を有するフィルムを得た。
【0103】
(例10~13、15~19)
ETFE1の代わりに表1に示すETFEを用い、成形条件(各ロールの熱媒温度、C2/C1引取速度比)、成形するフィルムの厚さを表1に示すようにした以外は例7と同様にしてフィルムを成形した。厚さ400μmのフィルムを成形する例13、18及び19の場合、フィルム形成用ダイの吐出口の隙間は0.8mmに設定した。また、例17、18及び19は、樹脂の融点が低いため、ペレット化する際の押出機の温度を260℃(例4は280℃)、押出機先端とフィルム形成用ダイの温度を300℃(例4は330℃)に設定した。C1ロールとC0ロールとの間を通過する直前の溶融物の温度は、例13は300℃、例17は260℃、例18及び19は280℃であった。
【0104】
(例14)
ETFE1の代わりにETFE4を用いた以外は例4と同様にしてフィルムを成形した。
【0105】
(例20)
ETFE1の代わりにETFE7を用い、成形条件(各ロールの熱媒温度)を表1に示すようにした以外は、例4と同様にしてフィルムを成形した。例20では、樹脂の融点が低いため、ペレット化する際の押出機の温度を260℃(例4は280℃)、押出機先端とフィルム形成用ダイの温度を290℃(例4は330℃)に設定した。C1ロールとC0ロールとの間を通過する直前の溶融物の温度は、270℃であった。
【0106】
各例で使用したETFEの組成(TFE/E、PFBE)と融点を表1に示す。表1中、ETFEの組成における「TFE/E」は、TFE単位とE単位とのモル比を示し、「PFBE」は、TFE単位とE単位との合計100モルに対するPFBEの割合(モル)を示す。
各例のフィルムの光学特性、熱寸法変化率、80℃における10%伸び時の応力を表2に示す。また、フィルム越しの意匠性、擦り傷の目立ちにくさ、及び60℃放置後のたわみの評価結果を表2に示す。
【0107】
【表1】
表1中の「熱媒温度の平均T(℃)」は、C1ロール15の熱媒温度とC0ロール17の熱媒温度との平均、又はC0ロール17を用いない場合にはC1ロール15の熱媒温度とC2ロール19の熱媒温度との平均を表す。
【0108】
【0109】
例7~19のフィルムは、ヘイズが1.2~8.0%であるので、フィルム越しの意匠性に優れ、かつ擦り傷が目立ちにくかった。また、UV反射率が17.0%未満であるので、目に優しいものであった。
一方、市販の膜構造用ETFEフィルムである例1~3のフィルムは、ヘイズが8.0%を超えており、フィルム越しの意匠性に劣っていた。また、UV反射率が17.0%を超えていた。
例4~6のフィルムは、ヘイズが8.0%を超えており、フィルム越しの意匠性に劣っていた。特に例4のフィルムは、UV反射率が17.0%を超えていた。
例20のフィルムは、ヘイズが1.2%未満であるので、擦り傷が目立ちやすかった。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明のフィルムは、フィルム越しの意匠性に優れ、擦り傷が付いても目立ちにくく、目に優しい。
本発明のフィルムによれば、透明でクリア感に優れ、目に優しい膜構造物を容易に展張できる。
【0111】
日本国特許出願2020-076243号の開示は、その全体が参照により本開示に取り込まれる。
本開示における全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本開示中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0112】
1…溶融物、10…成形装置、11…押出機、13…ダイ、15…ロール(C1ロール)、17…ロール(C0ロール)、19…ロール(C2ロール)、20…成形装置