(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】車両用窓ガラス
(51)【国際特許分類】
B60J 1/18 20060101AFI20240628BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20240628BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20240628BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B60J1/18 Z
H01Q1/32 A
H01Q1/22 C
B60J1/00 B
(21)【出願番号】P 2020088547
(22)【出願日】2020-05-21
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】木村 壮志
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-008877(JP,A)
【文献】特開2010-234868(JP,A)
【文献】特開2019-099405(JP,A)
【文献】特開2002-264780(JP,A)
【文献】実開平04-024840(JP,U)
【文献】特開2019-080270(JP,A)
【文献】特開2003-034560(JP,A)
【文献】特開2014-008862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/18
H01Q 1/32
H01Q 1/22
B60J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板と、
前記ガラス板の周囲に設けられた遮光部と、
前記遮光部の第1の側に設けられた第1のバスバーと、
前記遮光部の前記第1の側と対向する第2の側に設けられた第2のバスバーと、
前記第1のバスバーおよび前記第2のバスバーの間に延在する複数のヒーター線と、
前記ガラス板上の前記第1のバスバー側に設けられた第1のランプと、
前記ガラス板上の前記第2のバスバー側に設けられた第2のランプと、を備え、
前記第1のランプおよび/または前記第2のランプは、第1の給電線に接続され、
前記第1の給電線は、前記第1のバスバーに接続され、かつ前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分を含
み、
前記複数のヒーター線の少なくとも一部は、前記第1のランプおよび/または前記第2のランプと重畳する、
車両用窓ガラス。
【請求項2】
ガラス板と、
前記ガラス板の周囲に設けられた遮光部と、
前記遮光部の第1の側に設けられた第1のバスバーと、
前記遮光部の前記第1の側と対向する第2の側に設けられた第2のバスバーと、
前記第1のバスバーおよび前記第2のバスバーの間に延在する複数のヒーター線と、
前記ガラス板上の前記第1のバスバー側に設けられた第1のランプと、
前記ガラス板上の前記第2のバスバー側に設けられた第2のランプと、を備え、
前記第1のランプおよび/または前記第2のランプは、第1の給電線に接続され、
前記第1の給電線は、前記第1のバスバーに接続され、かつ前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分を含
み、
前記第1のランプおよび前記第2のランプは、第2の給電線に接続され、
前記第2の給電線は、前記第2のバスバー近傍の第1の給電部に接続され、かつ前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分を含み、
第1の導電線を有し、当該第1の導電線は、前記第1の給電線および前記第2の給電線と平行である部分を有し、かつ前記第1の給電線および前記第2の給電線の少なくとも一方に接触しないダミー配線であり、
前記ダミー配線は、前記第1の給電線および前記第2の給電線の間に配置されている、
車両用窓ガラス。
【請求項3】
前記第1のランプおよび前記第2のランプは、前記第1の給電線に接続されている、請求項1
または2に記載の車両用窓ガラス。
【請求項4】
前記第1のバスバーは、接地電位または所定の電源電位に接続されている、請求項1
~3のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項5】
前記第1のランプおよび前記第2のランプは、第2の給電線に接続され、
前記第2の給電線は、前記第2のバスバー近傍の第1の給電部に接続され、かつ前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分を含む、
請求項
1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項6】
前記第1のランプは、第2の給電線に接続され、
前記第2のランプは、第3の給電線に接続され、
前記第2の給電線は、前記第2のバスバー近傍の第1の給電部に接続され、かつ前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分を含み、
前記第3の給電線は、前記第2のバスバー近傍の第2の給電部に接続され、かつ前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分を含む、
請求項
1に記載の車両用窓ガラス。
【請求項7】
前記複数のヒーター線および前記複数の給電線は、同じ材料で構成される、請求項
5または
6に記載の車両用窓ガラス。
【請求項8】
第1の導電線を有し、
前記第1の導電線は、前記第1の給電線および前記第2の給電線と平行である部分を有し、かつ前記第1の給電線および前記第2の給電線の少なくとも一方に接触しないように配置されている、
請求項
5~
7のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項9】
前記第1の導電線は、前記第1の給電線および前記第2の給電線の両方に接触しないように配置されている、請求項
8に記載の車両用窓ガラス。
【請求項10】
前記第1の導電線は、前記第1の給電線および前記第2の給電線の間に配置されている、請求項
8または
9に記載の車両用窓ガラス。
【請求項11】
前記第1のバスバーと略平行でかつ前記第1のランプを通る第1の線と、前記第2のバスバーと略平行でかつ前記第2のランプを通る第2の線と、とで挟まれた第1の領域を有し、
前記複数のヒーター線は、前記第1のランプに最も近い第1のヒーター線と、前記第1のランプに2番目に近い第2のヒーター線と、を有し、
前記第1の領域において、前記第1のヒーター線、前記第2のヒーター線、前記第1の給電線、前記第2の給電線、および前記第1の導電線は、それぞれ隣り合う線の間隔が略同一である、
請求項
8~
10のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【請求項12】
前記第1の領域において、前記複数のヒーター線、前記第1の給電線、前記第2の給電線、および前記第1の導電線の太さが略同一である、請求項
11に記載の車両用窓ガラス。
【請求項13】
前記第1の導電線はアンテナである、請求項
8~
12のいずれか一項に記載の車両用窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用窓ガラスに関し、特にランプが一体化された車両用窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のハイマウントストップランプを車両の窓板に取り付ける構成が検討されている。ハイマウントストップランプを窓板に取り付ける場合、ハイマウントストップランプの配線は、意匠性の観点から、窓板の車内側にハウジングと呼ばれるカバーを設けたり、窓板の周縁部に沿わせたりすることで視認しにくくされてきた。特許文献1には、ハイマウントストップランプが取り付けられた車両用リアガラスに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ハイマウントストップランプのみならずテールランプ、ブレーキランプ等のランプを車両用窓ガラスに取り付けることが検討されている。ランプを点灯させるには最低2本の配線と、これらの配線に接続される2つのバスバーと、を設ける必要がある。このため、車両用窓ガラスにランプを取り付けると、配線が複雑化するという問題がある。
【0005】
上記課題に鑑み本発明の目的は、ランプを設けた場合であっても、配線が複雑になることを抑制可能な車両用窓ガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる車両用窓ガラスは、ガラス板と、前記ガラス板の周囲に設けられた遮光部と、前記遮光部の第1の側に設けられた第1のバスバーと、前記遮光部の前記第1の側と対向する第2の側に設けられた第2のバスバーと、前記第1のバスバーおよび前記第2のバスバーの間に延在する複数のヒーター線と、前記ガラス板上の前記第1のバスバー側に設けられた第1のランプと、前記ガラス板上の前記第2のバスバー側に設けられた第2のランプと、を備える。前記第1のランプおよび/または前記第2のランプは、第1の給電線に接続され、前記第1の給電線は、前記第1のバスバーに接続され、かつ前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分を含む。
【0007】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記第1のランプおよび前記第2のランプは、前記第1の給電線に接続されていてもよい。
【0008】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記第1のバスバーは、接地電位または所定の電源電位に接続されていてもよい。
【0009】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記第1のランプおよび前記第2のランプは、第2の給電線に接続されていてもよく、前記第2の給電線は、前記第2のバスバー近傍の第1の給電部に接続され、かつ前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分を含んでもよい。
【0010】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記第1のランプは、第2の給電線に接続され、前記第2のランプは、第3の給電線に接続され、前記第2の給電線は、前記第2のバスバー近傍の第1の給電部に接続され、かつ前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分を含み、前記第3の給電線は、前記第2のバスバー近傍の第2の給電部に接続され、かつ前記複数のヒーター線と平行な方向に延在する部分を含んでもよい。
【0011】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記複数のヒーター線および前記複数の給電線は、同じ材料で構成されてもよい。
【0012】
上述の車両用窓ガラスは、第1の導電線を有していてもよく、前記第1の導電線は、前記第1の給電線および前記第2の給電線と平行である部分を有し、かつ前記第1の給電線および前記第2の給電線の少なくとも一方に接触しないように配置されていてもよい。
【0013】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記第1の導電線は、前記第1の給電線および前記第2の給電線の両方に接触しないように配置されていてもよい。
【0014】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記第1のバスバーと略平行でかつ前記第1のランプを通る第1の線と、前記第2のバスバーと略平行でかつ前記第2のランプを通る第2の線と、とで挟まれた第1の領域を有し、前記複数のヒーター線は、前記第1のランプに最も近い第1のヒーター線と、前記第1のランプに2番目に近い第2のヒーター線と、を有し、前記第1の領域において、前記第1のヒーター線、前記第2のヒーター線、前記第1の給電線、前記第2の給電線、および前記第1の導電線は、それぞれ隣り合う線の間隔が略同一であってもよい。
【0015】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記第1の領域において、前記複数のヒーター線、前記第1の給電線、前記第2の給電線、および前記第1の導電線の太さが略同一であってもよい。
【0016】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記第1の導電線はアンテナであってもよい。
【0017】
上述の車両用窓ガラスにおいて、前記複数のヒーター線の少なくとも一部は、前記第1のランプおよび/または前記第2のランプと重畳していてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、ランプを設けた場合であっても、配線が複雑になることを抑制可能な車両用窓ガラスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態にかかる車両用窓ガラスの構成例を説明するための正面図である。
【
図2】実施の形態にかかる車両用窓ガラスのランプ付近の断面図である。
【
図3】実施の形態にかかる車両用窓ガラスの他の構成例を説明するための正面図である。
【
図4】実施の形態にかかる車両用窓ガラスの他の構成例を説明するための正面図である。
【
図5】実施の形態にかかる車両用窓ガラスの他の構成例を説明するための正面図である。
【
図6】実施の形態にかかる車両用窓ガラスの他の構成例を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態にかかる車両用窓ガラスの構成例を説明するための正面図である。
図1に示すように、本実施の形態にかかる車両用窓ガラス1は、ガラス板10、遮光部13、バスバー11、12、複数のヒーター線15、及びランプ21、22を備える。本実施の形態にかかる車両用窓ガラス1は、典型的には車両のリアガラスに利用できる。しかし、本実施の形態にかかる車両用窓ガラス1は、リアガラス以外の任意の場所に用いてもよい。
【0021】
ガラス板10は車両用のガラス板であり、例えば中間膜を介して2枚のガラス板を貼り合わせた合わせガラスでもよく、1枚のガラス板でもよい。
図1に示すガラス板10は台形状であるが、ガラス板10の形状はガラス板10を取り付ける場所に応じて適宜変更できる。例えば、ガラス板10は、4つの角部や4つの辺が曲率を有する形状であってもよい。また、ガラス板10自体が曲率を有してもよい。この場合、ガラス板10は、一方向(例えばx軸方向またはy軸方向)への曲率を有する、「単曲曲げ」形状や、直交する二方向(例えばx軸方向およびy軸方向)への曲率を有する、「複曲曲げ」形状でもよい。
【0022】
遮光部13は、ガラス板10の周囲に設けられている。具体的には、遮光部13はガラス板10の外周に沿って形成されている。そして、遮光部13は、ガラス板のz軸方向マイナス側の表面に形成されている。遮光部13は可視光を遮光する部材である。遮光部13を設けた場合は、ガラス板10を車両に取り付けた際に、取り付け箇所等が車外から視認されにくくなるので、車両のデザイン性が向上する。また、バスバー11、12、41、42についても同様に車外から視認されにくくなるので、車両のデザイン性が向上する。なお、
図1に示すように、ガラス板10のうち遮光部13が形成されていない領域は、可視光を透過可能な透過領域14となる。
【0023】
バスバー11は、ガラス板10の外周のうちx軸方向マイナス側の辺に沿うように設けられている。具体的には、バスバー11は、ガラス板10の外周に設けられた遮光部13のうち、x軸方向マイナス側の遮光部13_1と重畳するように、かつ遮光部13_1が伸びる方向(長手方向)に沿うように設けられている。
【0024】
バスバー12は、ガラス板10の外周のうちx軸方向プラス側の辺に沿うように設けられている。具体的には、バスバー12は、ガラス板10の外周に設けられた遮光部13のうち、x軸方向プラス側の遮光部13_2(換言すると、遮光部13_1と対向する遮光部13_2)と重畳するように、かつ遮光部13_2が伸びる方向(長手方向)に沿うように設けられている。
【0025】
バスバー11とバスバー12との間には、複数のヒーター線15が延在している。複数のヒーター線15は電流が流れると発熱してガラス板10を加熱するデフォッガとしての機能を有する。複数のヒーター線15には、バスバー11およびバスバー12から電源が供給される。例えば、バスバー11が接地電位に接続され、バスバー12が所定の電源電位(プラス電位)に接続されている場合、複数のヒーター線15にはバスバー12からバスバー11に向かって(x軸方向マイナス側に向かって)電流が流れる。逆に、バスバー12が接地電位に接続され、バスバー11が所定の電源電位(プラス電位)に接続されている場合、複数のヒーター線15にはバスバー11からバスバー12に向かって(x軸方向プラス側に向かって)電流が流れる。なお、以下では、バスバー11が接地電位に接続され、バスバー12が所定の電源電位(プラス電位)に接続されている場合を例に説明する。
【0026】
ランプ21、22は、ガラス板10上に設けられている。ランプ21はバスバー11側(x軸方向マイナス側)に設けられており、ランプ22はバスバー12側(x軸方向プラス側)に設けられている。ランプ21、22には、電源供給によって発光する発光素子23、24がそれぞれ、内蔵されている。発光素子23、24には、例えば、LED(Light Emitting Diode)、有機EL素子などを使用できる。ランプ21、22は、例えば、テールランプ、ストップランプ、リバースランプ、ターンシグナルランプなどである。
【0027】
本実施の形態にかかる車両用窓ガラス1において、ランプ21、22は、例えばガラス板10の車内側の表面(つまりガラス板のz軸方向マイナス側の表面)に取り付けられている(
図2参照)。このように、ガラス板10の表面にランプ21、22を取り付けることで、従来ランプが設置されていた領域までガラス10を拡大できる。その結果、ガラス板10の透過領域14を広くでき、これにより車両の後部の視野を広く確保できる。また、ランプ21、22をガラス板10に一体化させることで、車両の意匠性(デザイン性)を向上できる。
【0028】
図1に示す構成例では、ランプ21、22(発光素子23、24)のマイナス端子をy軸方向マイナス側に配置し、ランプ21、22(発光素子23、24)のプラス端子をy軸方向プラス側に配置している。換言すると、本実施の形態では、ランプ21、22(発光素子23、24)の極性がy軸方向において揃うように配置している。
【0029】
また、ランプ21、22のマイナス端子は給電線31に接続されている。給電線31は、バスバー11に接続されているので、ランプ21、22のマイナス端子には給電線31を介して接地電位が供給される。また、給電線31は、複数のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分を含む。なお、
図1では、給電線31等の配置を図示するために、ランプ21、22を透視図で示している。他の図面においても同様である。
【0030】
ランプ21のプラス端子は給電線32に接続されている。給電線32は、バスバー41に接続されている。バスバー41は、バスバー12の近傍においてバスバー12とは独立に設けられている。バスバー41にはプラスの電源電位が供給されるので、ランプ21のプラス端子には給電線32を介してプラスの電源電位が供給される。これにより、ランプ21が点灯する。また、給電線32は、複数のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分を含む。
【0031】
ランプ22のプラス端子は給電線33に接続されている。給電線33は、バスバー42に接続されている。バスバー42は、バスバー12の近傍においてバスバー12とは独立に設けられている。バスバー42にはプラスの電源電位が供給されるので、ランプ22のプラス端子には給電線33を介してプラスの電源電位が供給される。これにより、ランプ22が点灯する。また、給電線33は、複数のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分を含む。
【0032】
ランプ21、22(発光素子23、24)の各端子と給電線31~33は、はんだ、ばね、ワイヤ等の導電性の部材により接続できる。これらの導電性の部材は、単独で用いてもよく、組み合わせて用いても良い。
【0033】
図1に示す構成例では、ランプ21、22のプラス端子の各々にそれぞれ給電線32、33を接続しているので、ランプ21、22を独立に制御できる。したがって、
図1に示す構成例では、ランプ21、22を同期して点灯させるテールランプ、ストップランプ、リバースランプなど以外に、ランプ21、22を独立して点灯(点滅)させるターンシグナルランプなどにも利用できる。なお、ランプ21、22を点滅させる場合は、例えば、バスバー41、42と接続される電源制御回路(不図示)においてスイッチング制御する。
【0034】
図2は、本実施の形態にかかる車両用窓ガラス1のランプ22付近の断面図であり、ランプ22をy軸方向に伸びる切断線で切断した断面図を示している。
図2に示すように、ランプ22は、ガラス板10のz軸方向マイナス側の表面(車内側の表面)に取り付けられている。ランプ22は、ガラス板10の表面から所定の距離離間して取り付けられている。すなわち、ランプ22は、ガラス板10との間に隙間ができるように取り付けられているので、ランプ22とガラス板10との間に給電線32を配置できる。
【0035】
例えば、ランプ22は、ランプ22とガラス板10との間に接着部材(不図示)を設けることでガラス板10の表面に取り付けることができる。車両用窓ガラス1において、例えばガラス板10の車内側の表面(つまりガラス板のz軸方向マイナス側の表面)にカバー部材(不図示)を設け、ランプ22は、カバー部材とガラス板10との間に封止してもよい。
図2に示すように、ランプ22には発光素子24が内蔵されており、発光素子24には給電線31、33を介して電源が供給される。なお、ランプ21についてもランプ22と同様の構成である。
【0036】
本実施の形態にかかる車両用窓ガラス1において、複数のヒーター線15、及び給電線31、32、33は、例えば、導電性金属を含有するペースト(例えば、銀ペースト等)をガラス板10の表面にプリントして焼付けて形成してもよい。また、複数のヒーター線15、及び給電線31、32、33は、銅等の導電性材料を含有する線状体または箔状体をガラス板10の表面に貼付して形成してもよい。バスバー11、12、及びバスバー41、42についても同様の方法を用いて形成できる。
【0037】
複数のヒーター線15、及び複数の給電線31、32、33は、同じ材料で構成してもよい。このように同じ材料を用いることで、複数のヒーター線15、及び複数の給電線31、32、33の意匠性(デザイン性)を向上できる。また、複数のヒーター線15、及び複数の給電線31、32、33の太さを略同一としてもよい。このように複数のヒーター線15、及び複数の給電線31、32、33の太さを略同一とすることで、意匠性を更に向上できる。ここで略同一とは、線幅の標準偏差が1mm以下であることを意味している。複数のヒーター線15、及び複数の給電線31、32、33の線幅の標準偏差は、好ましくは0.5mm以下であり、より好ましくは0.1mm以下である。
【0038】
なお、本実施の形態では、複数のヒーター線15、及び複数の給電線31、32、33のうちの一部の配線の材料を同一としてもよい。また、複数のヒーター線15、及び複数の給電線31、32、33のうちの一部の配線の太さを同一としてもよい。また、本明細書では、ヒーター線15、給電線31、32、33、バスバー11、12、41、42を総称して「配線」と記載する場合もある。
【0039】
上述のように、本実施の形態にかかる車両用窓ガラス1では、ランプ21、22の電源端子を共通の給電線31に接続するとともに、給電線31をバスバー11に接続している。また、給電線31は、複数のヒーター線15と平行な方向に延在する部分を含んでいる。このような構成とすることで、ガラス板10にランプ21、22を設けた場合であっても、配線(給電線)が複雑になることを抑制できる。
【0040】
すなわち本実施の形態では、ランプ21、22の極性が揃うように配置している。そして、ランプ21、22の一方の極性の端子を給電線31に接続し、他方の極性の端子を給電線32、33に接続している。このような構成とすることで、ランプ21、22に給電するための給電線31、32、33の配置が複雑になることを抑制できる。特に本実施の形態では、ランプ21、22の一方の極性の端子を共通の給電線31に接続しているので、給電線の本数を減らすことができ、給電線の配置が複雑になることを抑制できる。
【0041】
また、本実施の形態では、各々の給電線31、32、33の少なくとも一部がヒーター線15と平行になるように構成している。したがって、ガラス板10に給電線31、32、33を追加的に配置した場合であっても、デフォッガ用の複数のヒーター線15との整合性がとれて、車両用窓ガラス1の意匠性を向上できる。
【0042】
また、本実施の形態では、給電線32、33に電源を供給するためのバスバー41、42を同一極性のバスバー12の近傍に配置している。具体的には、プラスの電源電位が供給されるバスバー41、42を、同じくプラスの電源電位が供給されるバスバー12の近傍に配置している。したがって、各々のバスバー12、41、42間の電位差を小さくできるので、バスバー間でショートすることを抑制できる。
【0043】
また本実施の形態では、
図1に示すように、給電線31と給電線32との間に導電線(ダミー配線)61を設けてもよい。なお、ダミー配線は、ランプ21、22に給電しない導電線である。導電線61は、給電線31および給電線32と平行である部分を有し、かつ給電線31および給電線32の少なくとも一方に接触しないように配置されている。つまり、導電線61は、給電線31および給電線32のいずれか一方と接触するように配置してもよく、また給電線31および給電線32の両方と接触しないように配置してもよい。
図1に示す構成例では、導電線61が給電線31および給電線32の両方に接触していない例を示している。このように給電線31と給電線32との間に導電線61を設けることで、車両用窓ガラス1の意匠性を向上できる。
【0044】
また、本実施の形態では、
図1に示すように、バスバー11と略平行でかつランプ21を通る線51と、バスバー12と略平行でかつランプ22を通る線52と、とで挟まれた領域55(つまり、中央領域)において、それぞれ隣り合う線の間隔d1~d4が略同一となるようにしてもよい。具体的には、ランプ21に最も近いヒーター線15とランプ21に2番目に近いヒーター線15との間隔d1、ヒーター線15と給電線32との間隔d2、給電線32と導電線61との間隔d3、導電線61と給電線31との間隔d4が、略同一となるようにしてもよい。このような構成とすることで、車両用窓ガラス1の意匠性を向上できる。
【0045】
なお、略平行とは、バスバー11と線51のなす角度、および、バスバー12と線52のなす角度が、それぞれ0°~15°程度の範囲内であることを意味している。また、略同一とは、間隔d1~d4の標準偏差が10mm以下であることを意味している。間隔d1~d4の標準偏差は、好ましくは6mm以下であり、より好ましくは4mm以下であり、さらに好ましくは2mm以下である。また、本実施の形態では、各々のヒーター線15同士の間隔も間隔d1~d4と略同一となるようにしてもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、ランプ21、22に近い側のヒーター線15同士の間隔と、ランプ21、22から遠い側(y軸方向プラス側)のヒーター線15同士の間隔とが異なるようにしてもよい。例えば、ランプ21、22に近い側のヒーター線15同士の間隔d1が、ランプ21、22から遠い側(y軸方向プラス側)のヒーター線15同士の間隔d5よりも広くなるようにしてもよい。
【0047】
また、本実施の形態では、ヒーター線15、導電線61、及び給電線31、32の太さを略同一としてもよい。このように、ヒーター線15、導電線61、及び給電線31、32の太さを略同一とすることで、意匠性を更に向上できる。ここで略同一とは、線幅の標準偏差が1mm以下であることを意味している。ヒーター線15、導電線61、及び給電線31、32の線幅の標準偏差は、好ましくは0.5mm以下であり、より好ましくは0.1mm以下である。
【0048】
更に本実施の形態では、バスバー11側に導電線(ダミー配線)62、63を設けてもよい。例えば、導電線62は、給電線32の延長線上に設けてもよい。また、導電線63は、導電線61の延長線上に設けてもよい。つまり、線51よりもx軸方向マイナス側の領域においても、複数のヒーター線15および導電線62、63の間隔が略同一となるようにしてもよい。また、本実施の形態では、線52よりもx軸方向プラス側の領域においても、複数のヒーター線15および給電線32、33の間隔が略同一となるようにしてもよい。これにより、車両用窓ガラス1の意匠性を更に向上できる。
【0049】
図3は、本実施の形態にかかる車両用窓ガラスの他の構成例を説明するための正面図である。
図3では、
図1に示した車両用窓ガラス1と同一の構成要素に同一の符号を付している。
【0050】
図3に示す車両用窓ガラス2において、ランプ21、22のマイナス端子は給電線31に接続されている。給電線31は、バスバー11に接続されているので、ランプ21、22のマイナス端子には給電線31を介して接地電位が供給される。また、給電線31は、複数のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分を含む。
【0051】
また、ランプ21、22のプラス端子は給電線34に接続されている。給電線34は、バスバー43に接続されている。バスバー43は、バスバー12の近傍においてバスバー12とは独立に設けられている。バスバー43にはプラスの電源電位が供給されるので、ランプ21、22のプラス端子には給電線34を介してプラスの電源電位が供給される。これにより、ランプ21、22が点灯する。また、給電線34は、複数のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分を含む。
【0052】
図3に示す構成例では、ランプ21、22のマイナス端子を共通の給電線31に接続するとともに、給電線31をバスバー11に接続している。また、ランプ21、22のプラス端子を共通の給電線34に接続するとともに、給電線34をバスバー43に接続している。このように、
図3に示す構成例では、ランプ21、22のマイナス端子を共通の給電線31に接続するとともに、ランプ21、22のプラス端子を共通の給電線34に接続しているので、給電線の本数を減らすことができ、給電線の配置が複雑になることをより効果的に抑制できる。例えば、
図3に示す車両用窓ガラス2は、ランプ21、22を同期して点灯させるテールランプ、ストップランプ、リバースランプなどに利用できる。
【0053】
また、
図3に示す車両用窓ガラス2においても、給電線31と給電線34との間に導電線61を設けてもよい。
図3では、導電線61の両端がランプ21およびランプ22と重畳している構成例を示している。なお、本実施の形態では、導電線61の両端がランプ21およびランプ22の少なくとも一方と重畳するように配置してもよく、
図1に示したように、導電線61の両端がランプ21およびランプ22と重畳しないように構成してもよい。
【0054】
また、本実施の形態において導電線61は、放送波等の周波数帯の電波を受信できるアンテナを構成してもよい。導電線61をアンテナとして用いる場合は、例えば、
図3に示すランプ22とガラス板10との隙間(
図2参照)を通して、アンテナ用の給電線60を導電線61まで伸ばして、給電線60と導電線61とを接続する。給電線60はアンテナ用の給電部44に接続されている。給電部44には、例えば、不図示の同軸ケーブルの内部導体(芯線)が電気的に接続されるようにして不図示のアンプにて信号を受信する構成を有してもよい。この場合、同軸ケーブルの外部導体は車両のボディにアースする。このような構成とすることで、車両用窓ガラス2の意匠性を確保しつつ、導電線61を含むアンテナからの信号を、給電部44を介して受信できる。
【0055】
また、アンテナとしては、導電線61に加えて、例えば給電線34と容量結合させて、給電線34も放送波等を受信するアンテナとして使用してもよい。なお、放送波としては、例えば、FM放送波(88MHz~108MHz)の周波数帯の電波、欧州規格のDAB(Digital Audio Broadcast)のBand III(174MHz~240MHz)周波数帯の電波等が挙げられる。
【0056】
また、本実施の形態では、複数のヒーター線15(デフォッガ)の少なくとも一部が、ランプ21およびランプ22の少なくとも一方と重畳するようにしてもよい。このような構成とすることで、ガラス板10のランプ21、22と重畳する位置において、ガラス板10が曇ることを抑制でき、ランプ21、22の光を透過しやすくできる。
【0057】
更に、
図4を用いて、本実施の形態にかかる車両用窓ガラスの他の構成例について説明する。
図4の構成例は、
図1の構成例と比べてランプ21、22の極性をy軸方向において逆にしている点が異なる。これ以外については、
図1に示した構成例と同様である。なお、
図4に示す車両用窓ガラス3において、
図1に示した車両用窓ガラス1と同一の構成要素に同一の符号を付している。
【0058】
図4に示す車両用窓ガラス3では、ランプ21、22のマイナス端子をy軸方向プラス側に配置し、ランプ21、22のプラス端子をy軸方向マイナス側に配置している。
図4に示す構成例においても、ランプ21、22の極性をy軸方向において揃うように配置している。
【0059】
図4に示す車両用窓ガラス3では、ランプ21、22のマイナス端子は給電線35に接続されている。給電線35は、バスバー11に接続されているので、ランプ21、22のマイナス端子には給電線35を介して接地電位が供給される。また、給電線35は、複数のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分を含む。
【0060】
ランプ21のプラス端子は給電線36に接続されている。給電線36は、バスバー46に接続されている。バスバー46は、バスバー12の近傍においてバスバー12とは独立に設けられている。バスバー46にはプラスの電源電位が供給されるので、ランプ21のプラス端子には給電線36を介してプラスの電源電位が供給される。これにより、ランプ21が点灯する。また、給電線36は、複数のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分を含む。
【0061】
ランプ22のプラス端子は給電線37に接続されている。給電線37は、バスバー47に接続されている。バスバー47は、バスバー12の近傍においてバスバー12とは独立に設けられている。バスバー47にはプラスの電源電位が供給されるので、ランプ22のプラス端子には給電線37を介してプラスの電源電位が供給される。これにより、ランプ22が点灯する。また、給電線37は、複数のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分を含む。
【0062】
図4に示す構成例では、ランプ21、22のプラス端子の各々にそれぞれ給電線36、37を接続しているので、ランプ21、22を独立に制御できる。したがって、
図4に示す構成例では、ランプ21、22を同期して点灯させるテールランプ、ストップランプ、リバースランプなど以外に、ランプ21、22を独立して点灯(点滅)させるターンシグナルランプなどにも利用できる。
【0063】
図4に示す車両用窓ガラス3においても、ランプ21、22の極性が揃うように配置している。そして、ランプ21、22の一方の極性の端子を給電線35に接続し、他方の極性の端子を給電線36、37に接続している。このような構成とすることで、ランプ21、22に給電するための給電線35、36、37の配置が複雑になることを抑制できる。また、
図4に示す車両用窓ガラス3においても、ランプ21、22の一方の極性の端子を共通の給電線35に接続しているので、給電線の本数を減らすことができ、給電線の配置が複雑になることを抑制できる。なお、
図4に示す構成例においても、
図3に示した構成例のようにランプ21、22のプラス端子の各々を共通の給電線に接続するようにしてもよい。つまり、給電線36、37を共通の給電線としてもよい。
【0064】
また、
図4に示す車両用窓ガラス3においても、給電線35と給電線36との間に導電線(ダミー配線)61を設けてもよい。更に、バスバー11側に導電線(ダミー配線)64、65を設けてもよい。例えば、導電線64は、導電線61の延長線上に設けてもよい。また、導電線65は、給電線36の延長線上に設けてもよい。更に、バスバー12側に導電線(ダミー配線)66、67を設けてもよい。例えば、導電線66は、給電線35の延長線上に設けてもよい。また、導電線67は、導電線61の延長線上に設けてもよい。このような構成とすることで、車両用窓ガラス3の意匠性を更に向上できる。
【0065】
更に、
図5を用いて、本実施の形態にかかる車両用窓ガラスの他の構成例について説明する。
図5の構成例は、
図4の構成例と比べて、ランプ21、22のプラス端子(y軸方向マイナス側)に接続される給電線の構成が異なる。これ以外については、
図4に示した構成例と同様である。
【0066】
図5に示す車両用窓ガラス4において、ランプ21、22のマイナス端子は給電線35に接続されている。給電線35は、バスバー11に接続されているので、ランプ21、22のマイナス端子には給電線35を介して接地電位が供給される。また、給電線35は、複数のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分を含む。
【0067】
ランプ21のプラス端子は給電線38に接続されている。給電線38は、バスバー48に接続されている。バスバー48は、ガラス板10の外周に設けられた遮光部13のうち、y軸方向マイナス側の遮光部13_3と重畳するように設けられている。バスバー48にはプラスの電源電位が供給されるので、ランプ21のプラス端子には給電線38を介してプラスの電源電位が供給される。これにより、ランプ21が点灯する。
【0068】
ランプ22のプラス端子は給電線39に接続されている。給電線39は、バスバー49に接続されている。バスバー49は、ガラス板10の外周に設けられた遮光部13のうち、y軸方向マイナス側の遮光部13_3と重畳するように設けられている。バスバー49にはプラスの電源電位が供給されるので、ランプ22のプラス端子には給電線39を介してプラスの電源電位が供給される。これにより、ランプ22が点灯する。
【0069】
図5に示す構成例においても、ランプ21、22のプラス端子の各々にそれぞれ給電線38、39を接続しているので、ランプ21、22を独立に制御できる。したがって、
図5に示す構成例では、ランプ21、22を同期して点灯させるテールランプ、ストップランプ、リバースランプなど以外に、ランプ21、22を独立して点灯(点滅)させるターンシグナルランプなどにも利用できる。
【0070】
図5に示す車両用窓ガラス4においても、ランプ21、22の極性が揃うように配置している。そして、ランプ21、22の一方の極性の端子を給電線35に接続し、他方の極性の端子を給電線38、39に接続している。このような構成とすることで、ランプ21、22に給電するための給電線35、38、39の配置が複雑になることを抑制できる。また、
図5に示す車両用窓ガラス4においても、ランプ21、22の一方の極性の端子を共通の給電線35に接続しているので、給電線の本数を減らすことができ、給電線の配置が複雑になることを抑制できる。
【0071】
特に、
図5に示す車両用窓ガラス4では、バスバー48をランプ21の近傍に配置し、バスバー49をランプ22の近傍に配置しているので、給電線38、39の配置が複雑になることを効果的に抑制できる。また、
図5に示す車両用窓ガラス4では、遮光部13_3と重畳するようにバスバー48、49を設けているので、バスバー48、49を目立たないようにでき、車両のデザイン性が向上する。
【0072】
図5に示す車両用窓ガラス4においても、給電線35のy軸方向マイナス側に導電線(ダミー配線)61を設けてもよい。また、バスバー11側に導電線(ダミー配線)64を設けてもよい。例えば、導電線64は、導電線61の延長線上に設けてもよい。更に、バスバー12側に導電線(ダミー配線)66、67を設けてもよい。例えば、導電線66は、給電線35の延長線上に設けてもよい。また、導電線67は、導電線61の延長線上に設けてもよい。このような構成とすることで、車両用窓ガラス4の意匠性を更に向上できる。
【0073】
更に、
図6を用いて、本実施の形態にかかる車両用窓ガラスの他の構成例について説明する。
図6の構成例は、
図1の構成例と比べてランプ21、22の端子の位置が異なる。これ以外については、
図1に示した構成例と同様である。なお、
図6に示す車両用窓ガラス5において、
図1に示した車両用窓ガラス1と同一の構成要素に同一の符号を付している。
【0074】
図6に示す車両用窓ガラス5では、ランプ21、22のマイナス端子をx軸方向マイナス側に配置し、ランプ21、22のプラス端子をx軸方向プラス側に配置している。
図6示す構成例では、ランプ21、22の極性をx軸方向において揃うように配置している。
【0075】
図6に示す車両用窓ガラス5では、ランプ21、22のマイナス端子は給電線71に接続されている。給電線71は、バスバー11に接続されているので、ランプ21、22のマイナス端子には給電線71を介して接地電位が供給される。また、給電線71は、複数のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分を含む。
【0076】
ランプ21のプラス端子は給電線72に接続されている。給電線72は、バスバー81に接続されている。バスバー81は、バスバー12の近傍においてバスバー12とは独立に設けられている。バスバー81にはプラスの電源電位が供給されるので、ランプ21のプラス端子には給電線72を介してプラスの電源電位が供給される。これにより、ランプ21が点灯する。また、給電線72は、複数のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分を含む。
【0077】
ランプ22のプラス端子は給電線73に接続されている。給電線73は、バスバー82に接続されている。バスバー82は、バスバー12の近傍においてバスバー12とは独立に設けられている。バスバー82にはプラスの電源電位が供給されるので、ランプ22のプラス端子には給電線73を介してプラスの電源電位が供給される。これにより、ランプ22が点灯する。また、給電線73は、複数のヒーター線15と平行な方向(x軸方向)に延在する部分を含む。
【0078】
図6に示す構成例では、ランプ21、22のプラス端子の各々にそれぞれ給電線72、73を接続しているので、ランプ21、22を独立に制御できる。したがって、
図6に示す構成例では、ランプ21、22を同期して点灯させるテールランプ、ストップランプ、リバースランプなど以外に、ランプ21、22を独立して点灯(点滅)させるターンシグナルランプなどにも利用できる。
【0079】
図6に示す車両用窓ガラス5では、ランプ21、22の極性がx軸方向において揃うように配置している。そして、ランプ21、22の一方の極性の端子を給電線71に接続し、他方の極性の端子を給電線72、73に接続している。このような構成とすることで、ランプ21、22に給電するための給電線71、72、73の配置が複雑になることを抑制できる。また、
図6に示す車両用窓ガラス5においても、ランプ21、22の一方の極性の端子を共通の給電線71に接続しているので、給電線の本数を減らすことができ、給電線の配置が複雑になることを抑制できる。
【0080】
また、
図6に示す車両用窓ガラス5では、ランプ21、22のマイナス端子がマイナスのバスバー11側となるように配置し、ランプ21、22のプラス端子がプラスのバスバー12側となるように配置している。このように、x軸方向においてバスバー11、12とランプ21、22との極性を揃えることで、給電線71、72、73の長さを短くできる。
【0081】
なお、
図6の構成例よりも給電線71、72、73の長さは長くなるが、例えば、ランプ21、22のマイナス端子をx軸方向プラス側に配置し、ランプ21、22のプラス端子をx軸方向マイナス側に配置する構成としてもよい。
【0082】
また、
図6の構成例において、例えば、ランプ21、22のマイナス端子がx軸方向において互いに外側を向くように配置し、ランプ21、22のプラス端子がx軸方向において互いに内側を向くように配置してもよい。逆に、ランプ21、22のマイナス端子がx軸方向において互いに内側を向くように配置し、ランプ21、22のプラス端子がx軸方向において互いに外側を向くように配置してもよい。この場合は、ランプ21、22の極性がx軸方向において揃わなくなるが、ランプ21、22のプラス端子、マイナス端子がx軸方向に並ぶので、これらに給電する給電線の配置が複雑になることを抑制できる。
【0083】
また、
図6に示す構成例においても、
図3に示した構成例のようにランプ21、22のプラス端子の各々を共通の給電線に接続するようにしてもよい。つまり、給電線72、73を共通の給電線としてもよい。
【0084】
なお、上述の
図1~
図6に示した構成例では、バスバー11を接地電位に接続し、バスバー12を所定の電源電位(プラス電位)に接続した場合について説明した。しかし、本実施の形態では、バスバー11を所定の電源電位(プラス電位)に接続し、バスバー12を接地電位に接続してもよい。この場合は、
図1に示す構成において、給電線31がランプ21、22(発光素子23、24)のプラス端子に接続され、給電線32がランプ21(発光素子23)のマイナス端子に接続され、給電線33がランプ22(発光素子24)のマイナス端子に接続される。また、バスバー41、42はそれぞれ接地電位に接続される。例えば、ランプ21、22を点滅させる場合は、バスバー41、42と接続される電源制御回路(不図示)においてスイッチング制御する。
【0085】
また、上述の構成例では、各々のランプ21、22のプラス端子およびマイナス端子がy軸方向に並ぶように配置した場合(
図1~
図5参照)、及び各々のランプ21、22のプラス端子およびマイナス端子がx軸方向に並ぶように配置した場合(
図6参照)について説明した。しかし本実施の形態では、各々のランプ21、22のプラス端子およびマイナス端子が並ぶ方向が、xy平面においてx軸およびy軸に対して斜めになるように配置してもよい。
【0086】
また、上述の構成例では、2つのランプ21、22を備える構成について説明したが、本実施の形態では少なくとも1つのランプを備える構成であればランプの数は限定されることはない。例えば、1つのランプを備える構成としてもよく、また3つ以上のランプを備える構成としてもよい。
【0087】
また、上述の
図1~
図6に示した構成例において、車両用窓ガラスの表面に設けられた、遮光部13を除く全ての構成要素(発光素子を含むランプ、ヒーター線、給電線、バスバー、およびダミー配線)は、ガラス板10のx軸方向における中心線に対して、線対称に配置されてもよい。例えば、
図1において、バスバー11は、ガラス板10の外周のうちx軸方向プラス側の辺に沿うように設けられ、バスバー12、41、42は、ガラス板10の外周のうちx軸方向マイナス側の辺に沿うように設けられてもよい。
【0088】
また、上述の
図1~
図6に示した構成例において、車両用窓ガラスの表面に設けられた、遮光部13を除く全ての構成要素(発光素子を含むランプ、ヒーター線、給電線、バスバー、およびダミー配線)は、ガラス板10のx軸方向およびy軸方向の中心位置に対して、時計回りまたは半時計回りに90°回転して配置されても良い。例えば、
図1において、バスバー11は、ガラス板10の外周のうちy軸方向プラス側またはマイナス側の辺に沿うように設けられ、バスバー12、41、42は、ガラス板10の外周のうちy軸方向マイナス側またはプラス側の辺に沿うように設けられてもよい。
【0089】
以下、車両用窓ガラスを構成する部材について詳しく説明する。
【0090】
(ガラス板)
本実施の形態にかかる車両用窓ガラスにおけるガラス板10の板厚は、0.5mm~10mmの範囲で適宜選択できる。ガラス板10の板厚は、耐飛び石衝撃性の点から1.6mm以上が好ましく、2.1mm以上がより好ましく、2.5mm以上がさらに好ましく、2.8mm以上が特に好ましい。また、車両用窓ガラスの質量を抑制するために、ガラス板10の板厚は、6mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、3.5mm以下がさらに好ましい。
【0091】
また、本実施の形態にかかる車両用窓ガラスが中間膜を介して2枚のガラス板を貼り合わせた合わせガラスの場合、対になるガラス板の板厚は、ガラス板10と同じでも異なっても良い。この場合、例えば、z軸方向マイナス側に配置されるガラス板の板厚が、z軸方向プラス側に配置されるガラス板の板厚より小さくてよい。
【0092】
ガラス板10の組成は、特に限られない。ガラス板10は、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケート等の無機ガラス、またはポリエチレンカーボネート、アクリル樹脂等の有機ガラスであってよく、無機ガラスが好ましい。無機ガラスは、グリーンガラス、クリアガラス、またはプライバシーガラス等であってもよい。
【0093】
ガラス板10は、例えばフロート法などにより板状に成形された後、重力成形またはプレス成形などにより高温で曲げ成形される。ガラス板10は、強化ガラスが好適に用いられる。強化ガラスは、物理強化ガラス、化学強化ガラスのいずれでもよいが、物理強化ガラスが好適であり、物理強化ガラスの中でも風冷強化ガラスがより好適である。
【0094】
ガラス板10は、車外側の表面(z軸方向プラス側の表面)に、撥水機能、親水機能、防曇機能等を付与するコーティングが施されてもよい。また、ガラス板10は、車内側の表面(z軸方向マイナス側の表面)に、低放射性コーティング、赤外線遮光コーティング、紫外線遮光コーティング等のコーティングが施されてもよい。
【0095】
(中間膜)
本実施の形態にかかる車両用窓ガラスが中間膜を介して2枚のガラス板を貼り合わせた合わせガラスの場合、該中間膜は、合わせガラスに一般的に採用されているものを使用できる。中間膜は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または光硬化性組成物が使用可能である。熱可塑性樹脂は、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体系樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)等が挙げられる。中間膜に用いる熱可塑性樹脂は、PVB、EVA、ポリウレタン樹脂等が好ましい。
【0096】
なお、中間膜は、単層構造でもよいし、2以上の層が積層された積層構造でもよい。中間膜が多層構造を有する場合、ガラス転移点の異なる層を積層することで、中間膜に遮音性を持たせることができる。遮音性を有する3層の積層構造として、例えば、中間膜は、中間の層をガラス転移点が15℃未満のコア層とし、このコア層(中間の層)を挟持する2層をガラス転移点が15℃以上のスキン層とする構成でもよい。
【0097】
(遮光部)
遮光部13は、例えば有機インクや無機セラミックスにより構成されてもよく、無機セラミックスにより構成されることが好ましい。遮光部13は、例えば、有機インクや無機セラミックスを、ガラス面上にスクリーン印刷等により塗布し、乾燥させて形成できる。遮光部13の色は、少なくとも隠蔽が求められる部分において、隠蔽できる程度に可視光を遮ることができれば、任意の色でよいが、黒色、茶色、灰色、濃紺等の濃色が好適であり、黒色がより好ましい。遮光部13の幅は、車両用窓ガラスの用途に応じて適宜選択される。遮光部13の幅は、例えば、10~200mm程度の額縁状に形成されることがある。
【0098】
(ヒーター線、給電線および導電線)
以下、ヒーター線、給電線および導電線をまとめて、電線と言う。電線は導電性を有していればよく、例として、金、銀、銅、アルミニウム、錫等を挙げることができる。具体的には、例えば、銀、ガラスフリット等を含む導電性の銀ペーストをガラス板10の表面に印刷し、焼成することによって形成することができる。
【0099】
電線の厚さは、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下がさらに好ましい。また、電線の厚さは、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましく、4μm以上がとくに好ましい。電線の幅は、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましく、0.3mm以上がさらに好ましい。また、電線の幅は、3mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1mm以下がさらに好ましい。ヒーター線15の間隔は、車両用窓ガラスの中央領域において、10mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましい。また、ヒーター線15の間隔は、車両用窓ガラスの中央領域において、60mm以下が好ましく、40mm以下がより好ましい。
【0100】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0101】
1、2、3、4、5 車両用窓ガラス
10 ガラス板
11、12 バスバー
13 遮光部
14 透過領域
15 ヒーター線
21、22 ランプ
23、24 発光素子
31、32、33、34、35、36、37、38、39 給電線
41、42、43、46、47、48、49 バスバー
44 給電部(アンテナ用)
60 給電線(アンテナ用)
61、62、63、64、65、66、67 導電線(ダミー配線)
71、72、73 給電線
81、82 バスバー