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特許7511448ポリウレタン、ポリウレタンの製造方法、導電性ペースト組成物、導電配線および導電配線の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ポリウレタン、ポリウレタンの製造方法、導電性ペースト組成物、導電配線および導電配線の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/32 20060101AFI20240628BHJP
   C08L 75/06 20060101ALI20240628BHJP
   C08K 3/105 20180101ALI20240628BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20240628BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20240628BHJP
   H01B 7/06 20060101ALI20240628BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20240628BHJP
   A61B 5/263 20210101ALI20240628BHJP
【FI】
C08G18/32
C08L75/06
C08K3/105
H01B1/22 A
H01B5/14 B
H01B7/06
H01B13/00 503D
A61B5/263
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020189815
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078861
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】野中 汐里
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 幸士
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 修
(72)【発明者】
【氏名】畠山 潤
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-225432(JP,A)
【文献】特開2009-019081(JP,A)
【文献】特開2009-079179(JP,A)
【文献】特開2010-195919(JP,A)
【文献】特開2010-195920(JP,A)
【文献】特開2010-222548(JP,A)
【文献】特開2017-183207(JP,A)
【文献】国際公開第2018/159374(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00- 18/87
C08G71/00- 71/04
C08L 1/00-101/16
C08K 3/00- 13/08
C08G 2/00- 2/38
C08G61/00- 61/12
H01B 1/00- 1/24
H01B 5/00- 5/16
H01B 7/00- 7/42
H01B13/00- 13/34
A61B 5/263
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンであって、pKa5~11の弱酸性官能基を含有するものであり、前記ポリウレタンが下記一般式(2a)で示される構造を含むものであるか、前記弱酸性官能基が下記一般式(1b)又は(1c)で示される構造を含むものであることを特徴とするポリウレタン。
【化1】
(式中、Rは水素原子または炭素数1~3の1価の炭化水素基であり、Aは単結合、又は炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の2価の炭化水素基(ただし、芳香環を除く)を示し、構成する-CH-が-O-、-C(=O)-、または-C(=O)O-に置換されていてもよく、-NR-C(=O)-であってもよい。Rは水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状、もしくは分岐状のアルキル基である。A及びAは-O-、-O-C(=O)-NR-、-NR-、-C(=O)O-を示す。n、n、nは0~10の整数であり、nは0又は1の整数であり、破線は結合手を示す。)
【化2】
(式中、Rはフッ素原子又は炭素数1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化炭化水素基を示す。nは1又は2の整数であり、破線は結合手を示す。)
【請求項2】
下記一般式(2b)~(2c)で示される構造を含むものであることを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン。
【化3】
(式中、Rは水素原子または炭素数1~3の1価の炭化水素基であり、Aは単結合、又は炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の2価の炭化水素基を示し、構成する-CH-が-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-または-C-に置換されていてもよく、-NR-C(=O)-であってもよい。Rは水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状、もしくは分岐状のアルキル基である。A及びAは-O-、-O-C(=O)-NR-、-NR-、-C(=O)O-を示す。n、n、nは0~10の整数であり、nは0又は1の整数であり、破線は結合手を示す。)
【請求項3】
請求項2に記載のポリウレタンの製造方法であって、鎖延長剤として下記一般式(3a)又は(3b)で示されるアルコールを用いてポリウレタンに前記弱酸性官能基を導入することを特徴とするポリウレタンの製造方法。
【化4】
(式中、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5、Ra6はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、酸素原子、炭素数1~6の直鎖状、分岐状もしくは環状の炭化水素基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基、又はパーフルオロアルコキシ基を示し、少なくとも一つがフッ素原子、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基、又はパーフルオロアルコキシ基である。Ra1とRa2、Ra3とRa4、Ra5とRa6、Ra1とRa3、Ra1とRa5、Ra3とRa5は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3~8の非芳香環を形成していても良く、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5、Ra6を構成する-CH-の一部が酸素原子に置換されて複素環を形成していても良い。kは1又は2の整数であり、k、kは0~10の整数である。Rはフッ素原子又は炭素数1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化炭化水素基を示す。R、A、n、nは前記と同じである。)
【請求項4】
鎖延長剤として下記一般式(4a)~(4c)で示されるアルコールを用いてポリウレタンに前記弱酸性官能基を導入することを特徴とする請求項3に記載のポリウレタンの製造方法。
【化5】
(式(4a)中、Aは単結合、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状の2価の炭化水素基(ただし、芳香環を除く)を示し、構成する-CH-が-O-、-C(=O)-、または-C(=O)O-に置換されていてもよく、-NR-C(=O)-であってもよい。式(4b)及び(4c)中、Aは単結合、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状の2価の炭化水素基を示し、構成する-CH-が-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-または-C-に置換されていてもよく、-NR-C(=O)-であってもよい。R、n、n、nは前記と同じである。)
【請求項5】
鎖延長剤として下記一般式(5)で示されるアルコールを用いてポリウレタンに前記弱酸性官能基を導入することを特徴とする請求項4に記載のポリウレタンの製造方法。
【化6】
(式中、nは0~10の整数であり、R、n、nは前記と同じである。)
【請求項6】
(A)導電性フィラーと(B)請求項1または請求項2に記載のポリウレタンと(C)溶剤とを含むことを特徴とする導電性ペースト組成物。
【請求項7】
前記(A)成分の導電性フィラーが、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して70質量部を越える割合で含有されているものであることを特徴とする請求項6に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項8】
前記導電性フィラーが、金、銀、塩化銀、白金、銅、錫、鉄、マグネシウム、チタン、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ルテニウム、クロム、インジウム、はんだ、炭及びこれらの複合体から選ばれるものであることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項9】
前記導電性フィラーの平均粒径が5nm~10μmであることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項10】
前記導電性フィラーが銀粉であることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物。
【請求項11】
基材上に形成され、請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物の焼成物からなることを特徴とする導電配線。
【請求項12】
前記基材が伸縮性を有するものであることを特徴とする請求項11に記載の導電配線。
【請求項13】
前記基材が熱可塑性ポリウレタンであることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の導電配線。
【請求項14】
20%伸長時の電気抵抗が伸長前の電気抵抗の500%以下であることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の導電配線。
【請求項15】
伸長率20%で1000回繰り返し伸縮した際の最大電気抵抗が、伸縮前の電気抵抗の5000%以下であることを特徴とする請求項11から請求項14のいずれか1項に記載の導電配線。
【請求項16】
請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物を用いて基材上に導電配線を形成する導電配線の製造方法であって、前記導電配線を形成する時の焼成温度が60~160℃であることを特徴とする導電配線の製造方法。
【請求項17】
請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の導電性ペースト組成物を印刷することによって基材上に導電配線を形成することを特徴とする導電配線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性の導電配線を形成するための導電性ペースト組成物、及び該組成物を与えるポリウレタンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(Internet of Things)の普及と共に人体に装着可能なウェアラブルデバイスの開発が進んでいる。特に医療・ヘルスケア・介護分野やスポーツ分野での活用が期待されており、リアルタイムでの生体情報・運動情報のモニタリングや体の動きのセンシング等により、疾病の早期発見や体調管理を行うことが検討されている。
【0003】
生体情報を連続して測定するウェアラブルデバイスの形状としては、時計、メガネ、イヤホンのようなアクセサリ型、衣服型、体に直接貼り付けるパッチ型等がある。生体情報を安定して測定するためには体表面にフィットさせて用いる必要があり、特に衣服型、パッチ型デバイスでは体の動きに追従する高い柔軟性、伸縮性と伸縮の繰り返しに対する耐久性が求められる。そのため、配線やセンサーに伸縮性を付与するための技術や材料の開発が重要となっている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載のウェアラブルデバイスは伸縮性のウレタン膜で被覆された蛇腹の形の伸縮可能な銀配線を用いており、金属配線自体に伸縮性がなくても、配線のデザインにより疑似的に伸縮性を持たせ、導電性を確保している。
【0005】
また、導電性糸を編み込んで編地を形成することで伸縮性を持たせる方法(特許文献2)や伸縮性のある弾性繊維に導電性繊維を巻き付けた伸縮性の導電性複合糸を用いる方法(特許文献3)も報告されている。
【0006】
しかしながら、導電性糸を編み込む方法ではパターン形状の自由度が低く、印刷によるパターン形成と比較してスループットが低いという問題が挙げられる。また、特許文献1の方法もパターン形状に制限があり、コンパクトな配線デザインが困難なことから、伸長時にも導通を取ることのできる配線を、印刷により形成するための伸縮性導電性ペーストやインクの開発が盛んに行われている。
【0007】
例えば、ガリウム-インジウム-錫からなるガリンスタンや、ガリウム-インジウムからなる液体金属を使った伸縮性配線、金属添加物として銀ナノワイヤーを混合した伸縮性配線(特許文献4)、フッ素ゴムと界面活性剤と銀フィラーを組み合わせて、アニーリング中に銀のナノ粒子を発生させる伸縮性配線(特許文献5)、適切なタップ密度と平均粒径を有する銀フレークを用いた伸縮性配線(特許文献6)、適切な粒径、粒度分布および空隙率の銀粉を用いた伸縮性配線(特許文献7)等多くの提案や出願がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第3923861号
【文献】特許第6657525号
【文献】特開2019-76214号公報
【文献】国際公開第2017/217509号
【文献】国際公開第2018/110632号
【文献】特開2019-110093号公報
【文献】国際公開第2018/235734号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、伸縮時に於ける導電性の変化が少ない伸縮性導電配線を形成するための導電性ペースト組成物、及び該組成物を与えるポリウレタンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明では、ポリウレタンであって、pKa5~11の弱酸性官能基を含有するものであるポリウレタンを提供する。
【0011】
このようなポリウレタンであれば、伸縮時に於ける導電性の変化が少ない伸縮性導電配線を形成するための導電性ペースト組成物を与えるものとなる。
【0012】
また、本発明では、前記弱酸性官能基がフッ素原子を含有するものであることが好ましい。
【0013】
このようなポリウレタンであれば、伸縮性導電配線を形成するための導電性ペースト組成物としたときに、伸縮時に於ける導電性の変化をより少ないものとすることができる。
【0014】
また、本発明では、前記弱酸性官能基が下記一般式(1a)~(1c)で示される構造を含むものであることが好ましい。
【化1】
(式中、Rは水素原子、フッ素原子又は炭素数1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化されていてもよい炭化水素基を示し、Rはフッ素原子又は炭素数1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化炭化水素基を示す。nは1又は2の整数であり、破線は結合手を示す。)
【0015】
このようなポリウレタンであれば、伸縮性導電配線を形成するための導電性ペースト組成物としたときに、伸縮時に於ける導電性の変化を更に少ないものとすることができる。
【0016】
また、本発明では、下記一般式(2a)~(2c)で示される構造を含むものであることが好ましい。
【化2】
(式中、Rは水素原子または炭素数1~3の1価の炭化水素基であり、Aは単結合、又は炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の2価の炭化水素基を示し、構成する-CH-が-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-または-C-に置換されていてもよく、-NR-C(=O)-であってもよい。Rは水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状、もしくは分岐状のアルキル基である。A及びAは-O-、-O-C(=O)-NR-、-NR-、-C(=O)O-を示す。n、n、nは0~10の整数であり、nは0又は1の整数であり、破線は結合手を示す。)
【0017】
このようなポリウレタンであれば、伸縮性導電配線を形成するための導電性ペースト組成物に含まれたときに、伸縮時に於ける導電性の変化をより一層少ないものとすることができる。
【0018】
また、本発明は、上記ポリウレタンの製造方法であって、鎖延長剤として下記一般式(3a)又は(3b)で示されるアルコールを用いてポリウレタンに前記弱酸性官能基を導入するポリウレタンの製造方法を提供する。
【化3】
(式中、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5、Ra6はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、酸素原子、炭素数1~6の直鎖状、分岐状もしくは環状の炭化水素基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基、又はパーフルオロアルコキシ基を示し、少なくとも一つがフッ素原子、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基、又はパーフルオロアルコキシ基である。Ra1とRa2、Ra3とRa4、Ra5とRa6、Ra1とRa3、Ra1とRa5、Ra3とRa5は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3~8の非芳香環を形成していても良く、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5、Ra6を構成する-CH-の一部が酸素原子に置換されて複素環を形成していても良い。kは1又は2の整数であり、k、kは0~10の整数である。Rはフッ素原子又は炭素数1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化炭化水素基を示す。R、A、n、nは前記と同じである。)
【0019】
このようなポリウレタンの製造方法であれば、上記ポリウレタンを容易に合成できる。
【0020】
この場合、鎖延長剤として下記一般式(4a)~(4c)で示されるアルコールを用いてポリウレタンに前記弱酸性官能基を導入することが好ましい。。
【化4】
(式中、Aは単結合、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状の2価の炭化水素基を示し、構成する-CH-が-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-または-C-に置換されていてもよく、-NR-C(=O)-であってもよい。R、n、n、nは前記と同じである。)
【0021】
このようなポリウレタンの製造方法であれば、上記ポリウレタンをより容易に合成できる。
【0022】
さらに、鎖延長剤として下記一般式(5)で示されるアルコールを用いてポリウレタンに前記弱酸性官能基を導入することが好ましい。
【化5】
(式中、nは0~10の整数であり、R、n、nは前記と同じである。)
【0023】
このようなポリウレタンの製造方法であれば、上記ポリウレタンを更に容易に合成できる。
【0024】
また、本発明は、(A)導電性フィラーと(B)pKa5~11の弱酸性官能基を含有する上記ポリウレタンと(C)溶剤とを含む導電性ペースト組成物を提供する。
【0025】
このような導電性ペースト組成物であれば、伸縮時に於ける導電性の変化が少ない伸縮性導電配線を形成することができる。
【0026】
この場合、前記(A)成分の導電性フィラーが、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して70質量部を越える割合で含有されているものであることが好ましい。
【0027】
このような導電性ペースト組成物であれば、伸縮時に於ける導電性の変化がより少ない伸縮性導電配線を形成することができる。
【0028】
また、本発明では、前記導電性フィラーが、金、銀、塩化銀、白金、銅、錫、鉄、マグネシウム、チタン、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ルテニウム、クロム、インジウム、はんだ、及び炭素又はこれらの複合体から選ばれるものであることが好ましい。
【0029】
このような導電性ペースト組成物であれば、電気導電性を高めた伸縮性導電配線を形成することができる。
【0030】
この場合、前記導電性フィラーの平均粒径が5nm~10μmであることが好ましい。
【0031】
このような導電性フィラーを導電性ペースト組成物に配合することが好適である。
【0032】
また、前記導電性フィラーが銀粉であることが特に好ましい。
【0033】
このような導電性フィラーが導電性と価格の観点から総合的に好適である。
【0034】
また、本発明は、基材上に形成され、上記導電性ペースト組成物の焼成物からなる導電配線を提供する。
【0035】
このような導電配線であれば、伸縮時に於ける導電性の変化が少ないものとなる。
【0036】
この場合、前記基材が伸縮性を有するものであることが好ましい。
【0037】
このような基材が、本発明の導電配線に好適である。
【0038】
また、本発明では、前記基材が熱可塑性ポリウレタンであることが好ましい。
【0039】
このような基材が、本発明の導電配線により好適である。
【0040】
また、本発明の導電配線では、20%伸長時の電気抵抗が伸長前の電気抵抗の500%以下であることが好ましい。
【0041】
このような導電配線であれば、伸縮時に於ける導電性の変化が少ない肌に貼り付ける部分に応じた導電配線とすることができる。
【0042】
また、本発明の導電配線では、伸長率20%で1000回繰り返し伸縮した際の最大電気抵抗が、伸縮前の電気抵抗の5000%以下であることが好ましい。
【0043】
このような導電配線であれば、繰り返し伸縮における導電安定性に適したものとなる。
【0044】
また、本発明は、上記導電性ペースト組成物を用いて基材上に導電配線を形成する導電配線の製造方法であって、前記導電配線を形成する時の焼成温度が60~160℃である導電配線の製造方法を提供する。
【0045】
このような導電配線の製造方法であれば、伸縮時に於ける導電性の変化が少ない導電配線を確実に得ることができる。
【0046】
また、本発明では、導電性ペースト組成物を印刷することによって基材上に導電配線を形成することもできる。
【0047】
印刷によって配線パターンを形成することによって生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0048】
以上のように、本発明のポリウレタンを含む導電性ペースト組成物であれば、伸縮時における導電性の変化が少ないとともに、電気信号を効率良くデバイスに伝えることができ(即ち、導電性に優れ)、軽量であり、低コストで製造することができる導電配線を形成することができる。
また、繰り返し伸縮における導電安定性に優れることから、人間の体の動きによりひずみが生じるウェアラブルデバイスに適した導電配線を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
従来技術では、樹脂に金属フィラーを混合した導電ペーストを用いた導電配線は絶縁成分を含むことから金属配線と比較して電気抵抗が高く、また、伸長に伴う抵抗上昇や、伸縮を繰り返すことによる劣化が避けられず、場合によっては断線してしまうこともある。また、伸縮に伴う導電性変化により、デバイスの動作に影響を及ぼす可能性も懸念される。そのため、より導電性が高く、伸縮時における導電性の変化の小さい導電性材料組成物の開発が求められていた。
【0050】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、(A)導電性フィラー、(B)pKa5~11の弱酸性官能基を含有するポリウレタン、(C)溶剤を含有する導電性ペースト組成物を用いることで、低抵抗かつ伸長時における導電性の低下が少なく、繰り返し伸縮における導電安定性に優れた導電配線が得られることを見出した。
特に、pKa5~11の弱酸性官能基を含有するポリウレタンは、従来知られていない。
【0051】
即ち、本発明は、ポリウレタンであって、pKa5~11の弱酸性官能基を含有するものであるポリウレタンである。
【0052】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】
本発明に係るポリウレタンはpKa5~11の弱酸性官能基を含むものであり、該弱酸性官能基を含むものであれば特に限定されない。なお、本発明におけるpKaはChemSketchのpKa caluculator(Advanced Chemistry Development,Inc.)を用いて計算した値である。
【0054】
上記弱酸性官能基としては、pKaが5以上11以下の基であれば特に限定されないが、フッ素原子を含有するものが好ましく、下記一般式(1a)~(1c)で示される構造を含むものがより好ましい。
【化6】
(式中、Rは水素原子、フッ素原子又は炭素数1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化されていてもよい炭化水素基を示し、Rはフッ素原子又は炭素数1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化炭化水素基を示す。nは1又は2の整数であり、破線は結合手を示す。)
【0055】
Rの具体例としては水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基等を挙げることができる。
Rfはフッ素原子、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基等が好ましい。
【0056】
本発明のポリウレタンは、下記一般式(2a)~(2c)で示される構造を含むものがさらに好ましい。
【化7】
(式中、Rは水素原子または炭素数1~3の1価の炭化水素基であり、Aは単結合、又は炭素数1~20の直鎖状、分岐状もしくは環状の2価の炭化水素基を示し、構成する-CH-が-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-または-C-に置換されていてもよく、-NR-C(=O)-であってもよい。Rは水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状、もしくは分岐状のアルキル基である。A及びAは-O-、-O-C(=O)-NR-、-NR-、-C(=O)O-を示す。n、n、nは0~10の整数であり、nは0又は1の整数であり、破線は結合手を示す。)
【0057】
は水素原子、メチル基、またはエチル基が好ましく、Rは水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、またはイソプロピル基が好ましい。
【0058】
pKa5~11の弱酸性官能基としては、例えば、フルオロアルコール、フェノール、スルホンアミドを部分構造として含む基を挙げることができる。このような弱酸性官能基を有するポリオール、ポリアミン、又はポリカルボン酸等とポリイソシアネートとを反応させることで本発明のポリウレタンを効率よく得ることができる。
【0059】
pKa5~11の弱酸性官能基の具体例としては下記に示されるフルオロアルコール含有基が挙げられる。
【0060】
【化8】
【0061】
【化9】
(式中Rは水素原子または炭素数1~3の1価の炭化水素基である。R、Rはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~6の直鎖状、分岐状又は環状の炭化水素基を示し、RとRは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3~8の非芳香環を形成していても良い。破線部は結合手を示す。)
【0062】
pKa5~11の弱酸性官能基の具体例としては下記に示されるフェノール含有基が挙げられる。
【0063】
【化10】
【0064】
【化11】
【0065】
【化12】
【0066】
【化13】
【0067】
【化14】
【0068】
【化15】
【0069】
【化16】
【0070】
【化17】
【0071】
【化18】
【0072】
【化19】
【0073】
【化20】
【0074】
pKa5~11の弱酸性官能基の具体例としては下記に示されるスルホンアミド含有基が挙げられる。
【化21】
【0075】
上記pKa5~11の弱酸性官能基を含むポリウレタンは、例えば、ワンショット法やプレポリマー法などの公知の方法により、ポリイソシアネートと弱酸性官能基を有するポリオール、ポリアミン又はポリカルボン酸等を反応させることで得られ、好ましくはプレポリマー法が用いられる。
【0076】
プレポリマー法では、(a)ジイソシアネートと高分子量のポリオールをイソシアネート基過剰で反応させ、イソシアネート基末端プレポリマーを含む反応混合物を得る工程、(b)前記プレポリマーに低分子量のジオール、ジアミン又はジカルボン酸(鎖延長剤)を反応させることでプレポリマーを高分子量化させる工程によりポリウレタンを合成する。更に、反応基数3以上のポリイソシアネート、または反応基数3以上のポリオール、ポリアミン、ポリカルボン酸を加えることで架橋構造を有するポリウレタンを得ることもできる。
【0077】
また、上記(b)の重合をイソシアネート基過剰で行った後、イソシアネート基と反応し得る反応性基(水酸基、アミノ基、カルボキシル基等)を有するキャップ剤を加えることで、ウレタン末端にキャップ剤由来の官能基を導入することもできる。
【0078】
上記(a)及び(b)の反応において、高分子量ポリオール、鎖延長剤、キャップ剤の少なくとも一つの全量又は一部をpKa5~11の弱酸性官能基を含有する化合物に置換することでポリウレタンに弱酸性官能基を導入する。
【0079】
また、弱酸性官能基がイソシアネートと反応し得る場合は弱酸性官能基を適切な保護基で保護した状態でポリウレタン化を行い、その後脱保護することで弱酸性官能基を含有するポリウレタンを合成することもできる。
【0080】
[ポリイソシアネート]
ポリウレタンの構成成分であるポリイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、2,2’-ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3-ブタジエン-1,4-ジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカメチレントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアナトメチルオクタン、2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアネート-5-イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4-ブチレングリコールジプロピルエーテル-ω、ω’-ジイソシアネート、リジンイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート、2-イソシアナトプロピル-2,6-ジイソシアネートヘキサノエート、ビス(4-イソシアネート-n-ブチリデン)ペンタエリスリトール、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-シクロヘキシルジイソシアネート、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,2’-ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,5-ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン、2,6-ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル2-(3-イソシアナトプロピル)-5-イソシアナトメチルビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル-2-(3-イソシアナトプロピル)-6-イソシアナトメチルビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル3-(3-イソシアナトプロピル)-5-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル3-(3-イソシアナトプロピル)-6-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル2-(3-イソシアナトプロピル)-5-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン、2-イソシアナトメチル2-(3-イソシアナトプロピル)-6-(2-イソシアナトエチル)-ビシクロ-〔2,2,1〕-ヘプタン等の脂肪族および脂環族ポリイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート又は2,6-トリレンジイソシアネート及びそれらの異性体混合物(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート又は2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートおよびそれらの異性体混合物(MDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、パラフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、4,4’-ジベンジルジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、オルトキシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネート、1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート、更にこれらのウレタン変性体として多量体、ビウレット変性体、カルボジイミド変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、イソシアヌレート変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。
【0081】
上記ポリイソシアネートは単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0082】
[高分子量ポリオール]
ポリウレタンの構成成分である高分子量ポリオールとして、イソシアネート基と反応し得るヒドロキシル基を2つ以上有し、数平均分子量500~5,000のポリオールを用いることができる。例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、末端水酸基化ポリオレフィン、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール等が挙げられる。
【0083】
ポリエーテルポリオールとしては、ポリオキシプロピレングリコール類、ポリオキシエチエングリコール類、ポリオキシテトラメチレングリコール類、及びそれらの共重合体等が例示される。
【0084】
ポリオキシプロピレングリコール類及びポリオキシエチレングリコール類は低分子量ポリオールやポリアミン、アミノアルコール類を開始剤としたアルキレンオキサイドの付加重合体であり、低分子量ポリオールとしてはエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-へプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、2,2,2-トリメチルペンタンジオール、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサン-1,3-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,3-ジメタノール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、1,3-アダマンタンジメタノール、ダイマー酸ジオール、1,2-ベンゼンジオール、1,3-ベンゼンジオール、1,4-ベンゼンジオール、ヒドロキノンジ(2-ヒドロキシエチルエーテル)、ビスフェノールA、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、α-メチルグルコシド、ジグリセリン等の4価アルコールまたはソルビトール、ショ糖等の多価アルコールが挙げられる。低分子量アミノアルコールとしてはモノエタノールアミン、ジメタノールアミン、トリエタノールアミンが挙げられ、低分子量ポリアミンとしてはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブタンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、4,4-メチレンビス-о-クロロアニリン等が挙げられる。開始剤は単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0085】
更に、上述したpKa5~11の弱酸性官能基を含む低分子量ポリオールを用いることで、弱酸性官能基を含有するポリエーテルポリオールを得ることもできる。なお、弱酸性官能基を保護した状態で重合を行い、その後脱保護して合成することもできる。
【0086】
アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられ、単独または2種類以上を併用することができる。2種類以上を併用したポリオキシアルキレンポリオールとしてはブロック型、ランダム型のいずれの構造体を用いても良い。
【0087】
ポリオキシテトラメチレングリコールはテトラヒドロフラン(THF)のカチオン重合によって得られる開環重合物であり、結晶性のポリオキシテトラメチレングリコールや、THFに3-メチルテトラヒドロフラン等のアルキル置換テトラヒドロフランや、上述した2価アルコールを共重合させた非晶性ポリオキシテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0088】
ポリエステルポリオールとしては、上述の低分子量ポリオールと多価カルボン酸、オリゴマー酸との重合縮合体、又は低分子量ポリオールを開始剤としたラクトンまたはラクチドの開環重合体が例示される。
【0089】
多価カルボン酸としてはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,1-ジメチル-1,3-ジカルボキシプロパン、3-メチル-3-エチルグルタル酸、1,4-シクロヘキシルジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、α-ハイドロムコン酸、β-ハイドロムコン酸、フタル酸、オルソフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トルエンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ヘット酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸が挙げられ、それらの誘導体、酸無水物、酸ハライドなどを用いることもできる。
【0090】
ラクトンとしてはβ-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン等が挙げられ、ラクチドとしてはL-ラクチド、D-ラクチドが挙げられる。
【0091】
ポリエステルポリオールの構成成分である低分子量ポリオール、多価カルボン酸、オリゴマー酸、ラクトン、又はラクチドはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0092】
更に、ポリエステルポリオールの低分子量ポリオールの一部を上述の低分子量ポリアミンや、アミノアルコールに代えて得られるポリエステル-アミドポリオールを使用することもできる。
【0093】
ポリカーボネートポリオールとしては、上述のポリオールとカーボネート化合物との重縮合体が例示される。
【0094】
カーボネート化合物としてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジアントリルカーボネート、ジフェナントリルカーボネート、ジインダニルカーボネート、テトラヒドロナフチルカーボネート等が挙げられる。
【0095】
ポリカーボネートポリオールの構成成分である低分子量ポリオール又はカーボネート化合物はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0096】
アクリルポリオールとしては、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとビニルモノマーを共重合することで得られる共重合体が例示される。
【0097】
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピルアクリレート、2,2-ジヒドロキシメチルブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシアルキルマレエート、ポリヒドロキシアルキルフマレートなどが挙げられる。上述の(メタ)アクリレートは単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0098】
ビニルモノマーとしてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有ビニルモノマー、または、そのアルキルエステル、3-(2-イソシアネート-2-プロピル)-α-メチルスチレンなどのイソシアネート基を含むモノマー、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリクロロフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロメチルトリフルオロエチレンなどのフッ素を含むビニルモノマー、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのシリコーンモノマー等が挙げられる。上述のモノマーは単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0099】
末端水酸基化ポリオレフィンとしては、1種又は2種以上のオレフィン重合体の末端を水酸基化した化合物が挙げられる。オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、アクリロニトリル、ビニルエーテル、酢酸ビニルが例示され、更に上記構造の一部がフッ素、塩素、臭素などのハロゲンで置換されていても良い。
【0100】
シリコーンポリオールとしては、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を重合したビニル基含有シリコーン化合物、および分子中に少なくとも1個の末端水酸基を有する、α,ω-ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω-ジヒドロキシポリジフェニルシロキサン等のポリシロキサンが挙げられる。
【0101】
植物油系ポリオールとしては、ヒマシ油、ヤシ油などのヒドロキシル基含有植物油等、ヒマシ油脂肪酸とポリオールとの反応により得られるエステル変性ヒマシ油ポリオール、脱水ヒマシ油、部分脱水ヒマシ油、水添ヒマシ油等が挙げられる。
【0102】
高分子量ポリオールの数平均分子量は500以上、5,000以下の範囲が好ましく、1,000以上、3,000以下であることがより好ましく、1,000以上、2,000以下が更に好ましい。
【0103】
高分子量ポリオールの数平均分子量が下限以上であることにより、ポリウレタン中のウレタン基濃度の過度な上昇とそれに伴う硬度上昇、伸縮性低下等の性能低下を抑制することができる。また、数平均分子量が上限以下であることにより、ウレタン基濃度の過度な低下を抑制し、ウレタン結合に由来する強度の低下を防ぎ、適度な強度と伸縮性を両立することができる。
【0104】
高分子量ポリオールは二官能性ポリオール又は三官能性ポリオールであることが好ましく、より好ましくは二官能性ポリオールである。
【0105】
[鎖延長剤]
鎖延長剤としてはエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-へプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、2,2,2-トリメチルペンタンジオール、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサン-1,3-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,3-ジメタノール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、1,3-アダマンタンジメタノール、ダイマー酸ジオール、1,2-ベンゼンジオール、1,3-ベンゼンジオール、1,4-ベンゼンジオール、ヒドロキノンジ(2-ヒドロキシエチルエーテル)、ビスフェノールA、ビス(β-ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール等の2価アルコール、エタノールアミン、ジメタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブタンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、4,4-メチレンビス-о-クロロアニリン等のアミン類等が用いられる。
【0106】
更に、鎖延長剤として下記一般式(3a)又は(3b)に記載のポリオールを用いることで、ポリウレタンの側鎖に弱酸性官能基を導入することができる。鎖延長剤は(3a)又は(3b)に記載のポリオールを単独で用いても良いし、前述の鎖延長剤と組み合わせて用いても良い。
【化22】
(式中、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5、Ra6はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、酸素原子、炭素数1~6の直鎖状、分岐状もしくは環状の炭化水素基、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基、又はパーフルオロアルコキシ基を示し、少なくとも一つがフッ素原子、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基、又はパーフルオロアルコキシ基である。Ra1とRa2、Ra3とRa4、Ra5とRa6、Ra1とRa3、Ra1とRa5、Ra3とRa5は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3~8の非芳香環を形成していても良く、Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、Ra5、Ra6を構成する-CH-の一部が酸素原子に置換されて複素環を形成していても良い。kは1又は2の整数であり、k、kは0~10の整数である。Rはフッ素原子又は炭素数1~10の直鎖状、分岐状もしくは環状のフッ素化炭化水素基を示す。R、A、n、nは前記と同じである。)
【0107】
このような鎖延長剤を用いることで、上述の一般式(2a)~(2c)で示される構造を含むポリウレタンを得ることができる。
【0108】
上記Aの炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状の2価の炭化水素基は、具体的には下記の例が挙げられる。
【化23】
【0109】
更に上記Aの-CH-のいずれかが-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-C-または-NR-C(=O)-に置換されたものを例示できる(Rは水素原子、又は炭素数1~4の直鎖状、もしくは分岐状のアルキル基であり、R、R、n、nは上記と同じである)。
【0110】
一般式(3a)中の弱酸性官能基含有ユニット:下記(3c)の具体例として以下のフルオロアルコール含有基が例示される。
【化24】
(式中、k、k、kは前記と同じである。)
【0111】
【化25】
【0112】
上記一般式(3a)で表されるポリオールの具体例として好ましくは下記のものが例示されるが、これらに限定はされない。
【化26】
(式中、R、R、R、Rは前記と同じである。)
【0113】
【化27】
(式中、R、R、Rは前記と同じである。)
【0114】
上記一般式(3b)で表されるポリオールの具体例として下記のものが例示されるが、これらに限定はされない。
【化28】
(式中、Rは前記と同じである。)
【0115】
また、鎖延長剤として下記一般式(4a)~(4c)に記載のポリオールを用いることもできる。鎖延長剤は(4a)~(4c)に記載のポリオールを単独で用いても良いし、前述の鎖延長剤と組み合わせて用いても良い。
【化29】
(式中、Aは単結合、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状の2価の炭化水素基を示し、構成する-CH-が-O-、-C(=O)-、-C(=O)O-または-C-に置換されていてもよく、-NR-C(=O)-であってもよい。R、n、n、nは前記と同じである。)
【0116】
上記一般式(4a)~(4c)で表されるポリオールの具体例として下記のものが例示されるが、これらに限定はされない。
【化30】
(式中、R、R、R、Rは前記と同じである。)
【化31】
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基である。)
【化32】
(式中、Rは前記と同じである。)
【0117】
また、鎖延長剤として下記一般式(5)に記載のポリオールを用いることもできる。鎖延長剤は(5)に記載のポリオールを単独で用いても良いし、前述の鎖延長剤と組み合わせて用いても良い。
【化33】
(式中、nは0~10の整数であり、R、n、nは前記と同じである。)
【0118】
上記一般式(5)で表されるポリオールの具体例として下記のものが例示されるが、これらに限定はされない。
【化34】
(式中、Meはメチル基、Etはエチル基である。)
【0119】
前記弱酸性官能基を有する鎖延長剤はウレタンの構成成分の総量に対して5~50質量%用いることが好ましく、より好ましくは20~40質量%である。
【0120】
[架橋剤]
架橋剤としてはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミン等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、α-メチルグルコシド、ジグリセリン等の多価アルコールが用いられる。
【0121】
架橋剤の添加量としては、ウレタンの構成成分の総量に対して0~5質量%の範囲内であることが好ましく、0~3質量%であることがより好ましい。
【0122】
架橋剤の添加量が上限以下であれば過度に強度が上昇せず、柔軟性、伸縮性が損なわれることがないため、本発明のポリウレタンを含む導電性ペースト組成物への使用に適するものとなる。
【0123】
「有機溶剤]
ポリウレタンはバルク重合または、溶液重合によって合成される。溶液重合に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、クメン、1,2,3-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン、スチレン、αメチルスチレン、ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、シメン、ジエチルベンゼン、2-エチル-p-キシレン、2-プロピルトルエン、3-プロピルトルエン、4-プロピルトルエン、1,2,3,5-テトラメチルトルエン、1,2,4,5-テトラメチルトルエン、テトラヒドロナフタレン、4-フェニル-1-ブテン、tert-アミルベンゼン、アミルベンゼン、2-tert-ブチルトルエン、3-tert-ブチルトルエン、4-tert-ブチルトルエン、5-イソプロピル-m-キシレン、3-メチルエチルベンゼン、tert-ブチル-3-エチルベンゼン、4-tert-ブチル-o-キシレン、5-tert-ブチル-m-キシレン、tert-ブチル-p-キシレン、1,2-ジイソプロピルベンゼン、1,3-ジイソプロピルベンゼン、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジプロピルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、1,3,5-トリエチルベンゼン等の芳香族系炭化水素系溶剤、n-ヘプタン、イソヘプタン、n-ヘキサン、オクタン、3-メチルヘキサン、2,3-ジメチルペンタン、3-エチルペンタン、1,6-ヘプタジエン、5-メチル-1-ヘキシン、ノルボルナン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1-メチル-1,4-シクロヘキサジエン、1-ヘプチン、2-ヘプチン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、1,3-ジメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、1-メチル-1-シクロヘキセン、3-メチル-1-シクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、4-メチル-1-シクロヘキセン、2-メチル-1-ヘキセン、2-メチル-2-ヘキセン、1-ヘプテン、2-ヘプテン、3-ヘプテン、n-オクタン、2,2-ジメチルヘキサン、2,3-ジメチルヘキサン、2,4-ジメチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、3,3-ジメチルヘキサン、3,4-ジメチルヘキサン、3-エチル-2-メチルペンタン、3-エチル-3-メチルペンタン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、4-メチルヘプタン、2,2,3-トリメチルペンタン、2,2,4-トリメチルペンタン、シクロオクタン、シクロオクテン、1,2-ジメチルシクロヘキサン、1,3-ジメチルシクロヘキサン、1,4-ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、イソプロピルシクロペンタン、2,2-ジメチル-3-ヘキセン、2,4-ジメチル-1-ヘキセン、2,5-ジメチル-1-ヘキセン、2,5-ジメチル-2-ヘキセン、3,3-ジメチル-1-ヘキセン、3,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、2-エチル-1-ヘキセン、2-メチル-1-ヘプテン、1-オクテン、2-オクテン、3-オクテン、4-オクテン、1,7-オクタジエン、1-オクチン、2-オクチン、3-オクチン、4-オクチン、n-ノナン、2,3-ジメチルヘプタン、2,4-ジメチルヘプタン、2,5-ジメチルヘプタン、3,3-ジメチルヘプタン、3,4-ジメチルヘプタン、3,5-ジメチルヘプタン、4-エチルヘプタン、2-メチルオクタン、3-メチルオクタン、4-メチルオクタン、2,2,4,4-テトラメチルペンタン、2,2,4-トリメチルヘキサン、2,2,5-トリメチルヘキサン、2,2-ジメチル-3-ヘプテン、2,3-ジメチル-3-ヘプテン、2,4-ジメチル-1-ヘプテン、2,6-ジメチル-1-ヘプテン、2,6-ジメチル-3-ヘプテン、3,5-ジメチル-3-ヘプテン、2,4,4-トリメチル-1-ヘキセン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、1-エチル-2-メチルシクロヘキサン、1-エチル-3-メチルシクロヘキサン、1-エチル-4-メチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、1,1,3-トリメチルシクロヘキサン、1,1,4-トリメチルシクロヘキサン、1,2,3-トリメチルシクロヘキサン、1,2,4-トリメチルシクロヘキサン、1,3,5-トリメチルシクロヘキサン、アリルシクロヘキサン、ヒドリンダン、1,8-ノナジエン、1-ノニン、2-ノニン、3-ノニン、4-ノニン、1-ノネン、2-ノネン、3-ノネン、4―ノネン、n-デカン、3,3-ジメチルオクタン、3,5-ジメチルオクタン、4,4-ジメチルオクタン、3-エチル-3-メチルヘプタン、2-メチルノナン、3-メチルノナン、4-メチルノナン、tert-ブチルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、イソブチルシクロヘキサン、4-イソプロピル-1-メチルシクロヘキサン、ペンチルシクロペンタン、1,1,3,5-テトラメチルシクロヘキサン、シクロドデカン、1-デセン、2-デセン、3-デセン、4-デセン、5-デセン、1,9-デカジエン、デカヒドロナフタレン、1-デシン、2-デシン、3-デシン、4-デシン、5-デシン、1,5,9-デカトリエン、2,6-ジメチル-2,4,6-オクタトリエン、リモネン、ミルセン、1,2,3,4,5-ペンタメチルシクロペンタジエン、α-フェランドレン、ピネン、テルピネン、テトラヒドロジシクロペンタジエン、5,6-ジヒドロジシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、1,4-デカジイン、1,5-デカジイン、1,9-デカジイン、2,8-デカジイン、4,6-デカジイン、n-ウンデカン、アミルシクロヘキサン、1-ウンデセン、1,10-ウンデカジエン、1-ウンデシン、3-ウンデシン、5-ウンデシン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ-4-エン、n-ドデカン、2-メチルウンデカン、3-メチルウンデカン、4-メチルウンデカン、5-メチルウンデカン、2,2,4,6,6-ペンタメチルヘプタン、1,3-ジメチルアダマンタン、1-エチルアダマンタン、1,5,9-シクロドデカトリエン、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アセトン、メチルエチルケトン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチルn-ペンチルケトン等のケトン系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-secブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、アミルエーテル、イソアミルエーテル、ジ-tert-アミルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、ジ-n-ヘキシルエーテル、アニソール、ジヒドロターピニルアセテート、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ-tert-ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸-tert-ブチル、ピルビン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、プロピオン酸tert-ブチル、3-メトキシブチルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート等のエステル系溶剤、γ-ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、アセトニトリルなどのニトリル系溶剤、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン等のハロゲン系溶剤、N-メチルピロリドン、N,N’-ジメチルホルムアミド、N,N’-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミドなどの極性非プロトン溶剤などを挙げることができる。
【0124】
なお、有機溶剤の添加量は、ポリウレタン構成成分(ポリイソシアネート、高分子量ポリオール、鎖延長剤、架橋剤)の総量100質量部に対して20質量部以上、500質量以下の範囲とすることが好ましく、より好ましくは25質量部以上、100質量部以下である。
【0125】
有機溶剤は重合反応後に減圧留去又は晶析等により除去しても良いし、除去せずにポリウレタン溶液のまま導電性ペースト組成物へ適用しても良い。
【0126】
[触媒]
ポリウレタン合成においてはウレタン結合生成反応を促進するために、必要に応じて触媒を添加することが好ましい。
【0127】
ウレタン化触媒としては公知の触媒から適宜選択して用いることができ、アミン系触媒、アンモニウム塩系触媒、カリウム塩系触媒、有機金属触媒等が挙げられる。
【0128】
アミン系触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジメチルヘキサノールアミン、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N-メチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。
【0129】
アンモニウム塩系触媒としては、例えば、テトラエチルヒドロキシルアンモニウム等の4級アンモニウム塩や、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7又は1,5-ジアザシクロ(4,3,0)-ノネン-5と、オクチル酸、オレイン酸、p-トルエンスルホン酸、ギ酸、フェノール酸、オルソフタル酸、酢酸、マレイン酸又はホウ酸とからなるアンモニウム塩等が挙げられる。
【0130】
カリウム塩系触媒としては、例えば、炭酸カリウム、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム等が挙げられる。
【0131】
有機金属触媒としては、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫(2-エチルヘキサン酸スズ)、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジメルカプチド、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロリドなどの有機錫化合物、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などの有機鉛化合物、ナフテン酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物、例えば、ナフテン酸コバルトなどの有機コバルト化合物、オクテン酸銅などの有機銅化合物、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスなどの有機ビスマス化合物などが挙げられる。
【0132】
本発明のポリウレタンは弱酸性官能基を含むことから塩基性の触媒の活性を阻害する可能性があるため、有機金属触媒を用いることが好ましく、より好ましくは有機ビスマス化合物が挙げられる。
【0133】
これらのウレタン化触媒は、単独、または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、ウレタン化触媒の使用量はポリウレタン構成成分の総量100質量部に対して0質量部以上、5質量部以下の範囲であることが好ましく、0.1質量部以上、2質量部以下の範囲で用いられることがより好ましい。
【0134】
[キャップ剤]
本態様にかかるポリウレタンは、イソシアネート基過剰で重合を行った後に末端キャップ剤を添加することでポリウレタン末端にキャップ剤由来の官能基を導入することができる。
例えば、ポリウレタン末端のキャップ剤として下記のヒドロキシ(メタ)アクリレートを使用することでウレタンアクリレートを合成することができる。
【化35】
(式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Etはエチル基であり、Phはフェニル基である。Rは前記と同じである。)
【0135】
ウレタンアクリレートは必要に応じて反応性モノマーと重合開始剤と共に熱又は紫外線、可視光、レーザー光、電子線、X線、γ線、プラズマ、マイクロウェーブなどの活性エネルギー線を照射することにより、重合・硬化させて硬化物とすることができる。
【0136】
前記反応性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のアリーロキシアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル、フェニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート化合物、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート化合物、又は、これらのエチレンオキシ変性品やプロピレンオキシ変性品、ラクトン変性品が使用できる。これらは単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
【0137】
前記重合開始剤として、例えば、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン-n-プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインジメチルケタール、チオキサントン、p-イソプロピル-α-ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタノンなどが挙げられるが、好ましくは1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイドが使用される。これらは単独で用いても良いし、二種類以上を併用しても良い。
【0138】
また、弱酸性官能基を含むキャップ剤を使用することでポリウレタン末端に弱酸性官能基を導入することもできる。例えば、上述の弱酸性官能基とイソシアネートと反応する水酸基またはアミノ基とを含有する下記の化合物が挙げられる。
【化36】
(式中、Raは上述の弱酸性官能基を示す。m、mは0~20の整数である。Rは前記と同じである)
【0139】
ポリウレタン合成時の反応温度は反応基質の種類によって適宜変更されるが、通常は30~200℃が好ましく、40~120℃がより好ましい。
【0140】
ポリウレタンの重量平均分子量は10,000~500,000が好ましく、15,000~200,000がより好ましい。更に好ましくは20,000~150,000である。
【0141】
本態様にかかるポリウレタンは、さらに必要に応じて、添加剤として、酸化防止剤、消泡剤、紫外線吸収剤等を含んでいてもよい。
【0142】
<導電性ペースト組成物>
本発明の導電性ペースト組成物は、(A)導電性フィラー、(B)pKa5~11の弱酸性官能基を含有するポリウレタン、(C)溶剤を含有するものである。以下、各成分について、更に詳細に説明する。
【0143】
[(A)導電性フィラー]
電気導電性を高めるための(A)成分として、金、銀、白金、銅、錫、鉄、チタン、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ルテニウム、クロム、インジウム、はんだ、及びこれらの銀メッキ粉等の金属粒子もしくは合金粒子、またはカーボンブラック、カーボンナノチューブ、塩化銀、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウムスズなどの粉末などが挙げられる。
【0144】
導電性の観点では金、銀、白金、価格の観点では銀、銅、錫、鉄、チタン、ニッケル、アルミニウム、タングステン、モリブデン、ルテニウム、クロム、ステンレスが好ましく、総合的には銀(銀粉)が最も好ましい。
【0145】
導電性フィラーの粒子の形状としては、球状、粒状、角状、樹枝状、フレーク状、針状、不定形等が挙げられ、複数の種類のフィラーを組み合わせて用いることもできる。
【0146】
導電性フィラーの平均粒径は特に限定されないが、5nm~10μmであることが好ましい。
【0147】
平均粒径の測定方法は特に限定されないが、例えばレーザー回折式粒度分布装置を用いて測定することができる。
【0148】
導電性フィラーの添加量は、(A)導電性フィラーと(B)ポリウレタンの合計100質量部に対して70質量部を越える範囲とすることが好ましく、より好ましくは80質量部以上90質量部以下である。
【0149】
[(B)pKa5~11の弱酸性官能基を含有するポリウレタン]
pKa5~11の弱酸性官能基を含有するポリウレタンとしては上述のものが挙げられる。
【0150】
弱酸性官能基を含有するポリウレタンは一種類を単独で用いても良いし、複数種類を混合して用いても良い。更に弱酸性官能基を含有するポリウレタンの一部を弱酸性官能基を含有しないポリウレタンに置換しても良い。
【0151】
弱酸性官能基を含有しないポリウレタンの含有量は弱酸性官能基を含有するポリウレタンと弱酸性官能基を含有しないポリウレタンの総量に対して0~50質量%が好ましい。
【0152】
導電性フィラーが金属粒子もしくは合金粒子、特には銀粉である場合、本発明の導電性ペースト組成物はポリウレタン中の弱酸性官能基と銀粉末の酸化被膜により銀塩が形成され、その銀塩が熱により還元されることで銀ナノ粒子を生成しているものと推測される。この際、pKa5未満の強い酸性度を示す官能基の場合形成される銀塩が安定となるため、熱による還元が進行しにくく、pKa11を超える弱い酸の場合は銀塩を形成しにくいため、銀ナノ粒子が生成しにくくなると考えられる。そのため、所定の範囲内の酸性度を示す官能基を含有するポリウレタンを用いることで、比較的低温での焼成であっても銀塩形成と銀塩の還元が可能となり、銀ナノ粒子が生成しやすくなるものと思われる。
【0153】
[(C)溶剤]
(C)成分は溶剤である。(C)成分を含むことで、導電性ペースト組成物の粘度が好適なものとなり、作業性が向上する。
【0154】
(C)成分の溶剤としては、具体的には、トルエン、キシレン、クメン、1,2,3-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼン、スチレン、αメチルスチレン、ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、シメン、ジエチルベンゼン、2-エチル-p-キシレン、2-プロピルトルエン、3-プロピルトルエン、4-プロピルトルエン、1,2,3,5-テトラメチルトルエン、1,2,4,5-テトラメチルトルエン、テトラヒドロナフタレン、4-フェニル-1-ブテン、tert-アミルベンゼン、アミルベンゼン、2-tert-ブチルトルエン、3-tert-ブチルトルエン、4-tert-ブチルトルエン、5-イソプロピル-m-キシレン、3-メチルエチルベンゼン、tert-ブチル-3-エチルベンゼン、4-tert-ブチル-o-キシレン、5-tert-ブチル-m-キシレン、tert-ブチル-p-キシレン、1,2-ジイソプロピルベンゼン、1,3-ジイソプロピルベンゼン、1,4-ジイソプロピルベンゼン、ジプロピルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、1,3,5-トリエチルベンゼン等の芳香族系炭化水素系溶剤、n-ヘプタン、イソヘプタン、3-メチルヘキサン、2,3-ジメチルペンタン、3-エチルペンタン、1,6-ヘプタジエン、5-メチル-1-ヘキシン、ノルボルナン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1-メチル-1,4-シクロヘキサジエン、1-ヘプチン、2-ヘプチン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、1,3-ジメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、1-メチル-1-シクロヘキセン、3-メチル-1-シクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、4-メチル-1-シクロヘキセン、2-メチル-1-ヘキセン、2-メチル-2-ヘキセン、1-ヘプテン、2-ヘプテン、3-ヘプテン、n-オクタン、2,2-ジメチルヘキサン、2,3-ジメチルヘキサン、2,4-ジメチルヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン、3,3-ジメチルヘキサン、3,4-ジメチルヘキサン、3-エチル-2-メチルペンタン、3-エチル-3-メチルペンタン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、4-メチルヘプタン、2,2,3-トリメチルペンタン、2,2,4-トリメチルペンタン、シクロオクタン、シクロオクテン、1,2-ジメチルシクロヘキサン、1,3-ジメチルシクロヘキサン、1,4-ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、イソプロピルシクロペンタン、2,2-ジメチル-3-ヘキセン、2,4-ジメチル-1-ヘキセン、2,5-ジメチル-1-ヘキセン、2,5-ジメチル-2-ヘキセン、3,3-ジメチル-1-ヘキセン、3,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、2-エチル-1-ヘキセン、2-メチル-1-ヘプテン、1-オクテン、2-オクテン、3-オクテン、4-オクテン、1,7-オクタジエン、1-オクチン、2-オクチン、3-オクチン、4-オクチン、n-ノナン、2,3-ジメチルヘプタン、2,4-ジメチルヘプタン、2,5-ジメチルヘプタン、3,3-ジメチルヘプタン、3,4-ジメチルヘプタン、3,5-ジメチルヘプタン、4-エチルヘプタン、2-メチルオクタン、3-メチルオクタン、4-メチルオクタン、2,2,4,4-テトラメチルペンタン、2,2,4-トリメチルヘキサン、2,2,5-トリメチルヘキサン、2,2-ジメチル-3-ヘプテン、2,3-ジメチル-3-ヘプテン、2,4-ジメチル-1-ヘプテン、2,6-ジメチル-1-ヘプテン、2,6-ジメチル-3-ヘプテン、3,5-ジメチル-3-ヘプテン、2,4,4-トリメチル-1-ヘキセン、3,5,5-トリメチル-1-ヘキセン、1-エチル-2-メチルシクロヘキサン、1-エチル-3-メチルシクロヘキサン、1-エチル-4-メチルシクロヘキサン、プロピルシクロヘキサン、イソプロピルシクロヘキサン、1,1,3-トリメチルシクロヘキサン、1,1,4-トリメチルシクロヘキサン、1,2,3-トリメチルシクロヘキサン、1,2,4-トリメチルシクロヘキサン、1,3,5-トリメチルシクロヘキサン、アリルシクロヘキサン、ヒドリンダン、1,8-ノナジエン、1-ノニン、2-ノニン、3-ノニン、4-ノニン、1-ノネン、2-ノネン、3-ノネン、4―ノネン、n-デカン、3,3-ジメチルオクタン、3,5-ジメチルオクタン、4,4-ジメチルオクタン、3-エチル-3-メチルヘプタン、2-メチルノナン、3-メチルノナン、4-メチルノナン、tert-ブチルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、イソブチルシクロヘキサン、4-イソプロピル-1-メチルシクロヘキサン、ペンチルシクロペンタン、1,1,3,5-テトラメチルシクロヘキサン、シクロドデカン、1-デセン、2-デセン、3-デセン、4-デセン、5-デセン、1,9-デカジエン、デカヒドロナフタレン、1-デシン、2-デシン、3-デシン、4-デシン、5-デシン、1,5,9-デカトリエン、2,6-ジメチル-2,4,6-オクタトリエン、リモネン、ミルセン、1,2,3,4,5-ペンタメチルシクロペンタジエン、α-フェランドレン、ピネン、テルピネン、テトラヒドロジシクロペンタジエン、5,6-ジヒドロジシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、1,4-デカジイン、1,5-デカジイン、1,9-デカジイン、2,8-デカジイン、4,6-デカジイン、n-ウンデカン、アミルシクロヘキサン、1-ウンデセン、1,10-ウンデカジエン、1-ウンデシン、3-ウンデシン、5-ウンデシン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ-4-エン、n-ドデカン、2-メチルウンデカン、3-メチルウンデカン、4-メチルウンデカン、5-メチルウンデカン、2,2,4,6,6-ペンタメチルヘプタン、1,3-ジメチルアダマンタン、1-エチルアダマンタン、1,5,9-シクロドデカトリエン、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチルn-ペンチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン等のケトン系溶剤、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール等のアルコール系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ-n-ペンチルエーテル、メチルシクロペンチルエーテル、メチルシクロヘキシルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-secブチルエーテル、ジ-sec-ペンチルエーテル、ジ-tert-アミルエーテル、ジ-n-ヘキシルエーテル、アニソール等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸tert-ブチル、プロピレングリコールモノtert-ブチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、γ-ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、α-ターピネオール、α-ピネン、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピニルアセテート等のテルペン系溶剤などを挙げることができる。溶剤は単独で使用しても良いし、2種類以上を混合して使用しても良い。
【0155】
印刷時に溶剤が揮発しにくく、印刷に適した粘度を与えることから、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートが特に好ましい。
【0156】
溶剤(有機溶剤)の添加量は、(B)ポリウレタン100質量部に対して100~1,000質量部の範囲とすることが好ましい。
【0157】
<導電配線>
また、本発明では、基材上に形成され、上記導電性ペースト組成物の焼成物からなる導電配線を提供する。基材が伸縮性を有する場合には、伸縮性導電配線を与える。
以下、本発明の導電配線について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0158】
導電配線を形成する基材としては、ポリウレタン、ポリエステル、シリコーン、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、PTFE、PFA等が挙げられる。基材は伸縮性を有することが好ましく、伸縮性を有するシートやフィルムがより好ましく、さらに好ましくは伸縮性のポリウレタン基材、特に好ましくは熱可塑性ポリウレタン基材である。シートの表面は平坦でも良いが、凹凸がついていても良い。凹凸がついていると、基材に対して垂直方向に蛇腹構造の伸縮配線を形成することが出来、伸縮時の導電性の変化を抑えることが可能である。また不織布や伸縮性の繊維からなる布を用いることも可能である。
【0159】
伸縮性を有する基材は、最大1000%の伸縮性を有することが好ましい。人間の動きに対する肌の伸長度は、胸などの骨の上は10%、腹部などは20%、関節部では50%と言われており、肌に貼り付ける部分に応じて導電配線に求められる伸縮性が異なる。
【0160】
以下、伸縮性を有する基材(伸縮性基材)を用いる場合について述べるが、伸縮性を有さない基材についても同様であり、以下に限定されない。
【0161】
伸縮性基材上に本発明の導電性ペースト組成物による導電配線を形成する。伸縮性基材上に導電配線を塗布する方法は、特に限定されないが、例えばディップコート、スプレーコート、スピンコート、ロールコート、フローコート、ドクターコート、スクリーン印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷等の方法が好適である。特に印刷によって配線パターンを形成することによって生産性を向上させることが出来、配線幅含めて自由なデザインが可能になる。
【0162】
導電配線の膜厚は10nm~1000μmの範囲が好ましく用いられる。より好ましくは5~50μmである。
【0163】
伸縮性基材上に導電性ペースト組成物を印刷によって塗布し、その後焼成する。焼成温度は60~160℃、好ましくは120℃~150℃の範囲、時間は1秒から10時間、好ましくは10分~5時間である。焼成はホットプレートやオーブン中で行うことが出来るが、フラッシュアニーリングによって上記温度よりも高温で短時間に行うことも出来、赤外光の照射による焼成を行うことも可能である。
【0164】
伸縮性導電配線を基材上に形成し、配線の両端間の電気抵抗を測定することによって導電性の評価が可能である。基材を伸長する前と伸長している間の電気抵抗の変化が小さい程、伸長した基材を収縮させて元に戻したときの導電性の劣化が小さい程優れた伸縮性導電配線と言える。また、繰り返し伸縮を行った場合に配線の破断が起こらずに、電気抵抗の変化が小さい方が好ましい。
【0165】
また、本発明の導電配線は、20%伸長時の電気抵抗が伸長前の電気抵抗の500%以下であることが好ましく、伸長率20%で1000回繰り返し伸縮した際の最大電気抵抗が、伸縮前の電気抵抗の5000%以下であることが好ましい。上記電気抵抗は、後述の測定方法で求めることができる。
【0166】
更に、導電配線を覆うためのカバー膜を設けることも出来る。カバー膜を設けることによって、耐水性や機械的強度を向上させることが出来る。基材と導電配線の両方が伸縮性を有しているため、カバー膜も伸縮性を有している必要がある。カバー膜の材質は基材と同じくポリウレタン、ウレタンアクリレート、ポリエステル、シリコーン、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、PTFE、PFAなどから選択できる。カバー膜の膜厚は10nm~1mmの範囲が好ましく用いられる。
【0167】
本発明の導電性ペースト組成物を用いて形成された導電配線は、特に銀粉を含む場合には、配線の焼成過程で生成した銀ナノ粒子が、銀粉体間の絶縁性ポリマー中に分散されることで高い導電性を示す。また、配線を伸長し銀粉体間の距離が広がった際も、銀粉体間に分散する銀ナノ粒子により導電経路が切断されにくくなるため、断線が起きにくく、導電性の変化が小さくなる。
【実施例
【0168】
以下、合成例、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレン換算値として測定したものである。GPCの測定条件は、以下の通りである。
カラム:TSKgel G4000HXL、TSKgel G3000HXL、TSKgel G2000HXL2本
移動相:テトラヒドロフラン
カラムオーブン温度:40℃
サンプル濃度:0.20質量%
サンプル注入量:100μL
流量:1mL/min
【0169】
側鎖に含フッ素官能基を有する熱可塑性ポリウレタンは、以下のようにして合成した。
[1]弱酸性官能基含有ポリオールの合成
[合成例1-1]
ヘキサフルオロアルコール含有鎖延長剤(6)の合成
【化37】
【0170】
3L四口フラスコにトリメチロールプロパン1260g、フルオロアルコール(6a)1415g、28質量%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液60.7gを仕込み、窒素雰囲気下、100~140℃で攪拌した。メタノールを留去しながらエステル交換を行い、反応が完結した後、50℃以下に冷却しイソプロピルエーテル(IPE)で希釈した。20質量%塩酸で中和し、水で希釈した後、分液ロートに移してIPEで抽出した。その後、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物をIPE800gに溶解したものを、ヘキサン1200gに滴下した。析出した粉体を濾別後、800gの10質量%IPE/ヘキサン混合溶媒で洗浄し、得られた白色粉体を50℃で4時間真空乾燥して鎖延長剤(6)を949g(純度99.1%、収率46.2%)得た。
鎖延長剤(6):
白色粉体
H-NMR(DMSO-d6):δ=0.78(3H,t),1.26(2H,q),3.27(4H,m),4.17(2H,s),4.49(2H,t),9.08(1H,s)
【0171】
[合成例1-2]
ヘキサフルオロアルコール含有鎖延長剤(7)の合成
【化38】
原料のトリメチロールプロパンをグリセロールに変更した以外は、[合成例1-1]と同様な方法で鎖延長剤(7)を得た(収率40%)。
【0172】
[合成例1-3]
ヘキサフルオロアルコール含有鎖延長剤(8)の合成
【化39】
【0173】
[合成例1-3-1]
アルコール保護体(8b)の合成
窒素雰囲気下、カルボン酸1 10.0g、トルエン50.0g、N,N-ジメチルホルムアミド2滴の懸濁液中に塩化オキサリル8.7gを加えた。室温で5時間攪拌した後、溶媒を減圧留去し酸塩化物1を得た。
窒素雰囲気下、氷冷したアルコール(8a)15.6g、トリエチルアミン7.9g、アセトニトリル20mLの溶液に酸塩化物1のアセトニトリル溶液を添加し、室温で一晩攪拌した。反応が完結した後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を水洗、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を留去することで(8b)を19.0g(粗収率80%)得た。
【0174】
[合成例1-3-2]
鎖延長剤(8)の合成
上記で得られたアルコール保護体(8b)15.0g、メタノール30g、強酸性陽イオン交換樹脂1gを加熱還流した。アセトンを留去しながら脱保護を行い、反応が完結した後、イオン交換樹脂を除去し、溶剤を留去することで鎖延長剤(8)を13.3g(粗収率97%)得た。
【0175】
[合成例1-4]
ヘキサフルオロアルコール含有鎖延長剤(9)の合成
【化40】
アルコール(8a)をアルコール(9a)に変更した以外は、[合成例1-3]と同様な方法で鎖延長剤(9)を得た(二工程収率75%)。
【0176】
[合成例1-5]
ペンタフルオロアルコール含有鎖延長剤(10)の合成
【化41】
アルコール(8a)をアルコール(10a)に変更した以外は、[合成例1-3]と同様な方法で鎖延長剤(10)を得た(二工程収率75%)。
【0177】
[合成例1-6]
トリフルオロメタンスルホンアミド含有鎖延長剤(11)の合成
【化42】
【0178】
[合成例1-6-1]
アルコール保護体(11a)の合成
窒素雰囲気下、アミン1 15.0g、ジクロロメタン45.0g、トリエチルアミン12.5gの混合溶液にトリフルオロメタンスルホン酸無水物32.1gを-78℃で滴下し、そのままの温度にて2時間攪拌した。室温まで昇温し更に1時間攪拌した後、氷冷しながら水を加えて反応停止した。酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を水洗、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を留去することで(11a)を22.7g(粗収率78%)得た。
【0179】
[合成例1-6-2]
鎖延長剤(11)の合成
アルコール保護体(8b)をアルコール保護体(11a)に変更した以外は、[合成例1-3-2]と同様な方法で鎖延長剤(11)を得た(収率87%)。
【0180】
[合成例1-7]
ヘキサフルオロアルコール含有鎖延長剤(12)の合成
【化43】
原料のトリメチロールプロパンをペンタエリスリトールに変更した以外は、[合成例1-1]と同様な方法で鎖延長剤(12)を得た(収率36%)
【0181】
[合成例1-8]
鎖延長剤(13)の合成
【化44】
フルオロアルコール(6a)をアルコール(13a)に変更した以外は、[合成例1-2]と同様な方法で鎖延長剤(13)を得た(収率37%)
【0182】
[合成例1-9]
鎖延長剤(14)の合成
【化45】
【0183】
[合成例1-9-1]
中間体(14b)の合成
窒素雰囲気下、水酸化カリウム33.7gとアセトニトリル250mLの懸濁液にアルコール(14a)116.2gを0~10℃にて滴下した。室温で6時間攪拌した後、エピクロロヒドリン46.5g滴下し、50℃にて17時間攪拌した。反応液に水を加えて反応停止した後、有機層を抽出、水洗、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。減圧蒸留により中間体(14b)105g(収率77%)を得た。
【0184】
[合成例1-9-2]
鎖延長剤(14)の合成
窒素雰囲気下、中間体(14b)92g、水127g、テトラヒドロフラン、過塩素酸11.0gを混合し、室温で24時間、40℃で2時間攪拌した。反応液に飽和重曹水を加えて反応停止した後、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。減圧蒸留により鎖延長剤(14)49.9g(収率51%)を得た。
【0185】
[2]弱酸性官能基含有ポリウレタンの合成
原料
<高分子量ポリオール>
・ニッポラン4010(東ソー社製)ポリエステルポリオール、数平均分子量2000
・ニッポラン4009(東ソー社製)ポリエステルポリオール、数平均分子量1000
・クラレポリオールP-2010(クラレ社製)ポリエステルポリオール、数平均分子量2000
・クラレポリオールC-2090(クラレ社製)ポリカーボネートポリオール、数平均分子量2000
・プラクセル210(ダイセル社製)ポリカプロラクトンジオール、数平均分子量1000
【0186】
<ジイソシアネート>
・トリレンジイソシアネート(TDI)
・イソホロンジイソシアネート(IPDI)
【0187】
<鎖延長剤>
【化46】
【0188】
上記鎖延長剤中の下記部分構造のpKa計算値は下記の通りである。なお、pKaはChemSketchのpKa caluculator(Advanced Chemistry Development,Inc.)を用いて計算した値である。
【化47】
【0189】
<触媒>
・XK-640(KING INDUSTRIES社製)
【0190】
[合成例2]
窒素気流下、プラネタリーミキサーの反応容器にTDI47.7gとXK-640(KING INDUSTRIES社製)0.05gを計量し60℃に加温した。80質量%ニッポラン4009のジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)溶液114.9gを加え、30分攪拌し、プレポリマーを調製した。プレポリマー溶液をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)50.7gで希釈した後、90℃に昇温し、50質量%鎖延長剤(6)のジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)溶液を120.7g滴下し、反応温度を90℃に保ったまま9時間熟成し、PU1のBCA溶液を得た。
PU1:
Mw=119,220、Mw/Mn=4.22
【0191】
ジイソシアネート、高分子量ポリオール、鎖延長剤の種類、配合比と触媒の使用量を表1に記載の通りに変更した以外は上記[合成例2]と同様の手順によりPU2~11、及び比較PU1~3を合成した。
【表1】
【0192】
[実施例1~11、比較例1~5]
<導電性ペースト組成物の調製>
導電性ペースト組成物を調製するためのポリウレタンとして表1に記載のPU1~11、比較PU1~3及び、以下の樹脂を用意した。
・フッ素ゴム(ダイキン製、G801)
・ポリエステル(ユニチカ製、UE-9200)
【0193】
導電性フィラーは、下記の銀粉A~E及び銅粉Aを用意した。
・銀粉A:平均粒子径(DL50)は2.1μm
・銀粉B:平均粒子径(DL50)は5.3μm
・銀粉C:平均粒子径(DL50)は1.2μm
・銀粉D:平均粒子径(DL50)は0.67μm
・銀粉E:平均粒子径(DL50)は1.72μm
・銅粉A:平均粒子径(DL50)は1.30μm
平均粒径の測定はレーザー回析粒度分布装置を用いて粒度分布を測定し、その積算値50%の粒径を平均粒径として求めた。
表2、3に記載の組成でポリマーと導電性フィラーと溶剤(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA))を攪拌混合し導電性ペースト組成物を調製した。
【0194】
[伸縮性導電配線の評価]
<評価サンプルの作製>
マイクロテック(株)社製スクリーン印刷機MT-320TVCを用い、ポリウレタンフィルム上に導電性ペースト組成物を塗布した後、熱風乾燥器で熱処理することで線幅10mm、長さ70mm、膜厚10μmの伸縮性導電配線を形成した。
【0195】
<非伸長状態の初期電気抵抗の測定>
ポリウレタンフィルム上に形成された伸縮性導電配線の両端の電気抵抗を4端子抵抗測定法で測定した。電気抵抗の測定は、ナショナルインスツルメンツ株式会社製PXIe-4136SMU抵抗測定装置により行った。
・電気抵抗(Ω)R=V/I(V:電圧、I:電流)
初期電気抵抗(非伸長状態の電気抵抗)の測定結果を表2、3に示す。
【0196】
<20%伸長時の最大電気抵抗の測定>
伸縮性導電配線が形成されたポリウレタンフィルムを撓みのない非伸長状態(0%)から20%伸長した状態で固定し、4端子抵抗測定法にて電気抵抗を測定した。
伸縮性導電配線が形成されたポリウレタンフィルムは、株式会社島津製作所製精密万能試験機AG-Xplus HSを使用し、伸縮性導電配線(長方形)の長手方向に300mm/minの速度で伸長させた。
・20%伸長時の電気抵抗変化=[20%伸長時の電気抵抗(Ω)]÷[初期電気抵抗(Ω)]×100
20%伸長時の電気抵抗変化を表2、3に示す。
【0197】
<300%伸長時の最大電気抵抗の測定>
伸縮性導電配線が形成されたポリウレタンフィルムを0%の非伸長状態から300%伸長した状態で固定し電気抵抗を測定した。
伸縮性導電配線が形成されたポリウレタンフィルムは、株式会社島津製作所製精密万能試験機AG-Xplus HSを使用し、伸縮性導電配線(長方形)の長手方向に300mm/minの速度で伸長させた。
・300%伸長時の電気抵抗変化=[300%伸長時の電気抵抗(Ω)]÷[初期電気抵抗(Ω)]×100
300%伸長時の電気抵抗変化を表2、3に示す。
【0198】
<0~20%繰り返し伸縮における最大抵抗値の測定>
伸縮性導電配線が形成されたポリウレタンフィルムに対して撓みのない非伸長状態(0%)から20%の伸縮を1000往復繰り返し、導電配線の電気抵抗経時変化を測定した。
繰り返し伸縮試験は、株式会社島津製作所製精密万能試験機AG-Xplus HSを使用し、伸縮性導電配線(長方形)の長手方向にポリウレタンフィルムを引張速度300mm/minで伸縮させることにより行った。
また、電気抵抗の測定は、引っ張り試験機(上記精密万能試験機AG-Xplus HS)のサンプル固定冶具の内側に電極を設置し、ナショナルインスツルメンツ株式会社製PXIe-4136SMU抵抗測定装置を用い、4端子抵抗測定法により行った。
・伸長率0~20%で1000回繰り返し伸縮した際の最大電気抵抗値変化=[繰り返し伸縮試験における最大電気抵抗(Ω)]÷[初期電気抵抗(Ω)]×100
伸長率20%で1000回繰り返し伸縮した際の最大電気抵抗変化を表2、3に示す。
【0199】
【表2】
BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
- :未測定
【0200】
【表3】
BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
【0201】
表2、3に示されるようにpKa5~11の弱酸性官能基を含有するポリウレタンを配合した導電性ペースト組成物を用いた場合(実施例1~11)、配線伸長による電気抵抗の上昇が小さく、繰り返し伸縮における導電安定性に優れた導電配線が得られることが分かる。一方、pKaが11より大きい官能基を有する比較例1、pKa5未満の官能基を含有する比較例3、酸性官能基を含有しない比較例2、4、5は配線の伸長や繰り返し伸縮により電気抵抗が大きく上昇した。
【0202】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。