(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】オンチップウェーハアライメントセンサ
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240628BHJP
G01J 9/02 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
G01J9/02
(21)【出願番号】P 2021577263
(86)(22)【出願日】2020-06-30
(86)【国際出願番号】 EP2020068369
(87)【国際公開番号】W WO2021013483
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-02-21
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503195263
【氏名又は名称】エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エラズハリー,ターメル,モハメド,タウフィク,アフマド,モハメド
(72)【発明者】
【氏名】スウィラム,モハメド
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-138110(JP,A)
【文献】特開平10-122815(JP,A)
【文献】特開平10-267615(JP,A)
【文献】特開2000-031443(JP,A)
【文献】特開2009-147317(JP,A)
【文献】特表2019-503504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の複数の回折ターゲットの上方に配設された複数のチップ状のセンサと、
各センサに結合された第2のプロセッサと、を備えた検出システムであって、
各センサが、
照明ビームを照明路に沿って伝送するように構成された照明システムであって、前記照明ビームを前記照明システムに隣接して配設される基板上の回折ターゲットに向けて伝送することによって、前記回折ターゲット上のフリンジパターン及び前記回折ターゲットにより回折される回折次数サブビームを含む信号ビームを発生させるように構成された調整可能な光学系を備える照明システムと、
前記信号ビームを収集するように構成された検出器システムと、
前記回折ターゲットの特性を前記信号ビームに基づいて測定するように構成されたプロセッサとを備え、
前記調整可能な光学系が、前記フリンジパターンの周期性を前記回折ターゲットの周期性とマッチするように調整するために、前記照明ビームの前記回折ターゲットに対する入射角を調整するように構成され、
前記複数のセンサが共通のプラットフォーム上に集積され、
前記第2のプロセッサが光ファイバを介して各センサに結合され、
前記第2のプロセッサが、前記基板上の複数の回折ターゲットの各回折ターゲットの特性に基づいて処理エラーを決定するように構成された、
検出システム。
【請求項2】
前記回折ターゲットの前記特性がアライメント位置である、請求項1の
検出システム。
【請求項3】
前記調整可能な光学系がプリズムミラーを含み、前記プリズムミラーが、前記プリズムミラーの前記照明ビームに対する位置を調整することによって前記照明ビームの位置を調整するように構成された、請求項1の
検出システム。
【請求項4】
前記プリズムミラーが微小電気機械システムベースのアクチュエータを含む、請求項3の
検出システム。
【請求項5】
前記照明システムがコヒーレント照明源を備え、前記照明ビームが第1のコヒーレントオフアクシス照明ビーム及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームを含む、請求項1の
検出システム。
【請求項6】
前記フリンジパターンが、前記第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームの干渉によって発生する、請求項5の
検出システム。
【請求項7】
前記照明システムが、前記第1のコヒーレントオフアクシス照明ビームを前記回折ターゲットに向けて伝送するように構成された第1の光学系と、前記第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームを前記回折ターゲットに向けて伝送するように構成された第2の光学系とを備えた、請求項5の
検出システム。
【請求項8】
前記第1のコヒーレントオフアクシス照明ビームの入射角と前記第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームの入射角が同じである、請求項5の
検出システム。
【請求項9】
前記検出器システムが、前記信号ビームを収集するように構成された固定された光学系と、前記信号ビームの第1の回折次数サブビーム、前記信号ビームの第2の回折次数サブビーム、及び前記信号ビームの第3の回折次数サブビームを検出するように構成された検出器とを備えた、請求項1の
検出システム。
【請求項10】
前記検出器がマルチモードファイバを備える、請求項9の
検出システム。
【請求項11】
前記照明システムと前記検出器システムとが、約1度から約3度の角度だけ離れている、請求項1の
検出システム。
【請求項12】
前記
各センサの縦方向領域が約10mm×10mm以下であり、
前記照明ビームの波長が約500nmから約2000nmである、請求項1の
検出システム。
【請求項13】
前記照明ビームが、第1のコヒーレントオフアクシス照明ビーム及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームを含み、前記検出器システムが、前記第1のコヒーレントオフアクシス照明ビームと前記第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームとの間に配設された、請求項1の
検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2019年7月24日出願の米国仮特許出願第62/877,964号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、例えばリソグラフィ装置及びシステムのためのセンサ装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えばパターニングデバイス(例えばマスク、レチクル)でのパターンを、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
[0004] 基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用することができる。この放射の波長は、その基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。4~20nmの範囲内、例えば6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば193nmの波長を有する放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成するのに使用することができる。
【0005】
[0005] リソグラフィプロセスを制御してデバイスフィーチャを基板上に正確に配置するために、一般に、例えば基板上に1つ以上の回折ターゲット(すなわちアライメントマーク)が設けられ、リソグラフィ装置は、回折ターゲットの位置を正確に測定し得る1つ以上のアライメントセンサを備える。既存のアライメントシステム及び技術は、いくつかの欠点及び制限を免れない。例えば、既存のアライメントシステム及び技術は、一般にアライメントマークフィールド内の歪み(すなわちフィールド内歪み)を測定することができない。これらのシステムは一般に比較的大型である。また、より微細なアライメント格子ピッチ、例えば、約1ミクロン未満の格子ピッチをサポートしない。
【0006】
[0006] 自己整合かつ小型のシステムは、同じ共通のプラットフォーム上に何百個ものセンサを実装することができるため、精度、省コスト性、及び拡張性の改善をもたらすことができる。コンポーネント(例えば、照明源、ファイバ、ミラー、レンズ、導波管、検出器、プロセッサなど)の集積化によって、基板上のアライメントマークの特定の特性(例えば、アライメント位置など)を測定するための小型センサの提供が可能になる。また、同じ基板の複数のアライメントマークを複数のセンサ(例えばセンサアレイ)によって調べることができ、様々な測定を同時に又はリアルタイムで行うことができる。
【0007】
[0007] したがって、センサ装置及びシステムのばらつきを補償し、拡張可能かつフィールド内歪みを測定可能な、実装面積が小さい自己整合小型センサを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 一部の実施形態では、センサ装置が、照明システム、検出器システム、及びプロセッサを備える。照明システムは、照明ビームを照明路に沿って伝送するように構成される。照明システムは調整可能な光学系を備える。調整可能な光学系は、照明ビームを照明システムに隣接して配設される基板上の回折ターゲットに向けて伝送するように構成される。伝送によって回折ターゲット上にフリンジパターンが発生する。信号ビームが、回折ターゲットにより回折される回折次数サブビームを含む。検出器システムは信号ビームを収集するように構成される。プロセッサは、回折ターゲットの特性を信号ビームに基づいて測定するように構成される。調整可能な光学系は、フリンジパターンの周期性を回折ターゲットの周期性とマッチするように調整するために、照明ビームの回折ターゲットに対する入射角を調整するように構成される。
【0009】
[0009] 一部の実施形態では、回折ターゲットの特性はアライメント位置である。
【0010】
[0010] 一部の実施形態では、調整可能な光学系はプリズムミラーを含む。プリズムミラーは、プリズムミラーの照明ビームに対する位置を調整することによって照明ビームの位置を調整するように構成される。一部の実施形態では、プリズムミラーは微小電気機械システムベースのアクチュエータを含む。
【0011】
[0011] 一部の実施形態では、調整可能な光学系は可変位相変調器を含む。可変位相変調器は、可変位相変調器の伝搬定数を調整することによって照明ビームの位置を調整するように構成される。一部の実施形態では、可変位相変調器は、電気光学変調器、音響光学変調器、又は液晶変調器を含む。
【0012】
[0012] 一部の実施形態では、照明システムはコヒーレント照明源を備え、照明ビームは第1のコヒーレントオフアクシス照明ビーム及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームを含む。一部の実施形態では、フリンジパターンは、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームの干渉によって発生する。一部の実施形態では、照明システムは、第1のコヒーレントオフアクシス照明ビームを回折ターゲットに向けて伝送するように構成された第1の光学系と、第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームを回折ターゲットに向けて伝送するように構成された第2の光学系とを備える。一部の実施形態では、第1のコヒーレントオフアクシス照明ビームの入射角と第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームの入射角とが同じである。
【0013】
[0013] 一部の実施形態では、検出器システムは、信号ビームを収集するように構成された固定された光学系と、信号ビームの第1の回折次数サブビーム、信号ビームの第2の回折次数サブビーム、及び信号ビームの第3の回折次数サブビームを検出するように構成された検出器とを備える。一部の実施形態では、検出器はマルチモードファイバを備える。
【0014】
[0014] 一部の実施形態では、照明システムと検出器システムとは、約1度から約3度の角度だけ離れている。
【0015】
[0015] 一部の実施形態では、センサ装置の縦方向領域は約10mm×10mm以下である。一部の実施形態では、照明ビームの波長は約500nmから約2000nmである。一部の実施形態では、照明ビームは、第1のコヒーレントオフアクシス照明ビーム及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームを含み、検出器システムは、第1のコヒーレントオフアクシス照明ビームと第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームとの間に配設される。
【0016】
[0016] 一部の実施形態では、検出システムが複数のセンサを備える。複数のセンサは、互いに対して対称的に配置され、基板上の複数の回折ターゲットの上方に配設される。各センサは、照明システム、検出器システム、及びプロセッサを備える。照明システムは、照明ビームを照明路に沿って伝送するように構成され、照明ビームを照明システムに隣接して配設される基板上の回折ターゲットに向けて伝送するように構成された調整可能な光学系を備える。伝送することによって、回折ターゲット上にフリンジパターンが発生する。信号ビームが、回折ターゲットにより回折される回折次数サブビームを含む。検出器システムは、信号ビームを収集するように構成される。プロセッサは、回折ターゲットの特性を信号ビームに基づいて測定するように構成される。調整可能な光学系は、フリンジパターンの周期性を回折ターゲットの周期性とマッチするように調整するために、照明ビームの回折ターゲットに対する入射角を調整するように構成される。検出システムは、各センサに結合された第2のプロセッサを更に備える。第2のプロセッサは、基板上の複数の回折ターゲットの各回折ターゲットの特性に基づいて処理エラーを決定するように構成される。
【0017】
[0017] 一部の実施形態では、回折ターゲットの特性はアライメント位置である。
【0018】
[0018] 一部の実施形態では、各検出器システムは、基板上の複数の回折ターゲットの特性を同時に測定する。一部の実施形態では、複数のセンサは共通のプラットフォーム上に集積される。一部の実施形態では、第2のプロセッサは光ファイバを介して各センサに結合される。
【0019】
[0019] 本発明の更なる態様、特徴及び利点、並びに本発明の様々な実施形態の構造及び動作を、添付図面を参照し、以下において詳細に説明する。なお、本発明は、本明細書に記載される具体的な実施形態に限定されない。そのような実施形態は、例示のみを目的として本明細書中に提示される。当業者には、本明細書に含まれる教示に基づいて、追加的な実施形態が明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
[0020] 本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本発明を図示し説明とともに、更に本発明の原理を説明し、当業者が本発明を作成して使用できるようにする働きをする。
【0021】
【
図1】[0021] 例示的な実施形態に従った、リソグラフィ装置の概略図である。
【
図2】[0022] 例示的な実施形態に従った、センサ装置の側面概略図である。
【
図3】[0023] 例示的な実施形態に従った、
図2に示すセンサ装置の照明システムの上面斜視概略図である。
【
図4】[0024] 例示的な実施形態に従った、代替的なセンサ装置の上面斜視概略図である。
【
図5】[0025] 例示的な実施形態に従った、検出システムの上部平面概略図である。
【0022】
[0026] 本発明の特徴及び利点は、同様の参照符号は全体を通して対応する要素を識別する図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことで更に明白になるであろう。図面では、一般に、同様の参照番号が同一の、機能が類似した、及び/又は構造が類似する要素を示す。さらに、一般に、参照番号の左端の桁は、参照番号が最初に表示される図面を識別する。他に示されない限り、本開示を通じて提供される図面は縮尺通りの図面として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0027] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される1つ又は複数の実施形態は本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される1つ又は複数の実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
【0024】
[0028] 記載された実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに言及した場合、それは記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。更に、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。更に、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識の範囲内にあることが理解される。
【0025】
[0029] 「下(beneath)」、「下(below)」、「下(lower)」、「上(above)」、「上(on)」、「上(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、図に示すように、ある要素又は機能と別の1つ又は複数の要素又は1つ又は複数の機能との関係を説明するのを容易にするために、本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、使用中又は動作中のデバイスの様々な方向を包含することを意図している。装置は、他の方法で方向付けられてもよく(90度又は他の方向に回転されてもよい)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述語は、同様にそれに応じて解釈され得る。
【0026】
[0030] 本明細書で使用される「約」という語は、特定の技術に基づいて変化し得る所与の量の値を示す。特定の技術に基づいて、「約」という語は、例えばその値の10~30%(例えば、その値の±10%、±20%、又は±30%)の範囲内で変化する所与の量の値を示す可能性がある。
【0027】
[0031] 本開示の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらのいずれかの組み合わせにおいて実施可能である。また、本開示の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって読み取り及び実行され得る機械読み取り可能媒体上に記憶された命令としても実施することができる。機械読み取り可能媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形態の情報を記憶又は送信するためのいずれかの機構を含み得る。例えば、機械読み取り可能媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音、又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、及び他のものを含むことができる。更に、一定の動作を実行するものとして本明細書ではファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、及び/又は命令を記載することができる。しかしながらそのような記載は単に便宜上のものであり、そういった動作は実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する他のデバイスから得られることは認められよう。
【0028】
[0032] このような実施形態を詳述する前に、本発明の実施形態を実施することができる例示の環境を提示することが有用であろう。
【0029】
[0033] 例示的なリソグラフィシステム
[0034]
図1は、放射源SO及びリソグラフィ装置LAを備えたリソグラフィシステムを示している。放射源SOは、EUV放射ビームBを発生させ、EUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように構成される。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備える。
【0030】
[0035] 照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前にEUV放射ビームBを調節するように構成される。そのため、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を備えることがある。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は共に、EUV放射ビームBに所望の断面形状及び所望の強度分布を与える。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて又はこれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを備えることがある。
【0031】
[0036] このように調節された後、EUV放射ビームBはパターニングデバイスMAと相互作用する。この相互作用の結果として、パターン付きEUV放射ビームB’が発生する。投影システムPSは、パターン付きEUV放射ビームB’を基板W上に投影するように構成される。この目的のため、投影システムPSは、基板テーブルWTにより保持された基板W上にパターン付きEUV放射ビームB’を投影するように構成された複数のミラー13、14を備えることがある。投影システムPSは、パターン付きEUV放射ビームB’に縮小係数を適用し、これによってパターニングデバイスMAにおける対応するフィーチャよりも小さいフィーチャの像を形成することがある。例えば、縮小係数4又は8が適用されることがある。
図1では投影システムPSが2つのミラー13、14のみを有するものとして示されているが、投影システムPSは異なる数のミラー(例えば6つ又は8つのミラー)を備えることがある。
【0032】
[0037] 基板Wは、前もって形成されたパターンを含むことがある。この場合、リソグラフィ装置LAは、パターン付きEUV放射ビームB’により形成された像を、基板W上に前もって形成されたパターンと位置合わせする。
【0033】
[0038] 相対真空、すなわち大気圧を大きく下回る圧力の少量のガス(例えば水素)が、放射源SO、照明システムIL、及び/又は投影システムPS内に提供されることがある。放射源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源、放電生成プラズマ(DPP)源、自由電子レーザ(FEL)、又はEUV放射を発生可能な他の任意の放射源である場合がある。
【0034】
[0039] 例示的なセンサ装置
[0040] 以上で考察したように、リソグラフィプロセスを制御してデバイスフィーチャを基板上に正確に配置するために、一般に、例えば基板上に1つ以上の回折ターゲット(すなわちアライメントマーク)が設けられ、リソグラフィ装置は、回折ターゲットの位置を正確に測定し得る1つ以上のアライメントセンサを備えることができる。また、アライメントマークの非対称性を調べるための投影された基準格子の役割を果たし、独立した物理的な基準格子の必要性をなくすフリンジパターンを、構造化照明を提供するためのアライメントセンサの2つのオフアクシスコヒーレントビームによって形成することができる。
【0035】
[0041] 既存のアライメントシステム及び技術は、いくつかの欠点及び制限を免れない。例えば、既存のアライメントシステム及び技術は、一般にアライメントマークフィールド内の歪み(すなわちフィールド内歪み)を測定することができない。更に、これらのシステムは一般に比較的大型である。また、これらのシステムは、より微細なアライメント格子ピッチ、例えば、約1ミクロン未満の格子ピッチをサポートしない。
【0036】
[0042] プロセス誘起ウェーハエラーがオンプロダクトオーバーレイ(OPO)エラーの主な原因である。OPOエラーは、パターン層の品質だけでなくパターンの複雑性にも起因する。OPOエラーは空間的変動が比較的大きく、各ウェーハ内だけでなくウェーハごとに異なる可能性がある。フィールド内のいくつかのアライメントマークの相対位置を測定することによって、OPOエラーを低減し、OPOエラーの訂正を促進することができる。例えば回帰モデルにおいて、フィールド内のアライメントエラー変動を用いてフィールド内のOPOエラーを訂正することができる。複数のアライメントマークを測定することによって、フィールド内歪みのモデル化及び補正を可能にすることができる。例えば、全体スループットに影響を及ぼすことなくフィールド内歪みの補正を可能にするために、並列ウェーハアライメントセンサを実装することができる。
【0037】
[0043] 干渉法及び多モード干渉(MMI)に基づく並列ウェーハアライメントセンサが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Compact Alignment Sensor Arrangements」と題する2018年8月29日に出願された米国仮出願第62/724,198号に記載されている。しかしながら、MMI設計には、精密で一貫したウェーハアライメントのために高い安定性及び位相精度が必要である。更に、MMI設計は結合損失が大きく、より直接的な測定が望まれる。
【0038】
[0044] 自己整合かつ小型の直接測定センサシステムが、精度、省コスト性、及び拡張性の改善をもたらす。同じ共通のプラットフォーム上に実装された、例えば約10mm×10mmほどの小型センサが、何百個ものセンサからなるセンサアレイを形成することができる。これらの小型センサ(例えば、10mm×10mm)は、基板上のアライメントマークの特定の特性(例えば、アライメント位置など)を測定することができる。また、コンポーネント(例えば、照明源、ファイバ、ミラー、レンズ、導波管、検出器、プロセッサなど)を単一の「オンチップ」センサに集積することは小型化を向上させることができる。また、同じ基板の複数のアライメントマークを複数のセンサ(例えばセンサアレイ)によって調べることができ、様々な測定を同時に又はリアルタイムで行うことができる。以下で考察される自己整合かつ小型のセンサシステムは、実装面積を小さくすることができ、フィールド内歪みの測定を改善することができる。
【0039】
[0045]
図2及び
図3は、様々な例示的な実施形態に従ったセンサ装置200を示している。センサ装置200は、基板202上の回折ターゲット204の特性(例えば、アライメント位置など)を測定し、例えばリソグラフィ装置LAにおけるアライメント及びフィールド内歪みを改善するように構成される可能性がある。
図2及び
図3には、センサ装置200がスタンドアロン装置として示されているが、この開示の実施形態はこの例に限定されず、この開示のセンサ装置200の実施形態は、限定されるわけではないが、リソグラフィ装置LAなどの他の光学システム及び/又はその他の光学システムで用いることができる。
【0040】
[0046]
図2は、例示的な実施形態に従った、センサ装置200の側面概略図である。センサ装置200は、照明システム220、検出器システム270、及びプロセッサ298を備えることができる。
図3は、例示的な実施形態に従った、
図3に示すセンサ装置200の照明システム220の上面斜視概略図である。
【0041】
[0047] 照明システム220は、照明ビーム226を照明路232に沿って回折ターゲット204に向けて伝送してフリンジパターン242を形成するように構成される可能性がある。フリンジパターン242(例えばモアレパターン)は、構造化照明を提供し、モアレ効果を利用することによって回折ターゲット204の非対称性を調べるための投影された基準格子の役割を果たすように構成される可能性がある。モアレ効果は、透明ギャップ(例えば平行線)を含む不透明パターンが別の類似パターンに重ね合わされるときに生じる大きな干渉効果である。
【0042】
[0048]
図3に示すように、照明システム220は、コヒーレント照明源222、照明結合器224、照明ビーム226、第1のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム230、照明路232、第1の入射角238、第2の入射角240、フリンジパターン242、及び調整可能な光学系250を含むことができる。照明源222は照明ビーム226を生成し、照明結合器224、例えば、光ファイバポート又は導波管に結合することができる。一部の実施形態では、照明システム220は、照明ビーム226を回折ターゲット204に向けて結合するための1つ以上の導波管又は格子を備えることができる。例えば、
図4に示すように、照明システム220は、例えば、サブ波長構造又は格子であり、コヒーレント照明源222からの光を照明システム220から回折ターゲット204に向けて結合するように構成され得る第1及び第2の照明導波管234、236を備えることができる。
【0043】
[0049] 照明システム220は、1つ以上の通過帯域を有するコヒーレント電磁広帯域照明ビーム226を提供するように構成される可能性がある。ある例では、1つ以上の通過帯域は、約500nm~約2000nmの波長のスペクトル範囲内にある場合がある。照明システム220は更に、長い期間にわたって(例えば、照明システム220の寿命期間にわたって)実質的に一定の中心波長(CWL)値を有する1つ以上の通過帯域を提供するように構成される可能性がある。
【0044】
[0050] 照明結合器224は、照明ビーム226を照明路232に沿って回折ターゲット204に導くことができる。照明結合器224、例えば導波管は、コヒーレント照明源222からの照明ビーム226を、第1のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム230に分割する。照明路232は、例えば
図3に示すように、第1の照明路232a及び第2の照明路232bを含むことができる。第1のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228は、第1の照明路232aに沿って回折ターゲット204に導くことができる。第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム230は、第2の照明路232bに沿って回折ターゲット204に導くことができる。第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230は、照明システム220に隣接して配設される基板202上の回折ターゲット204へ導かれる。
【0045】
[0051]
図2及び
図3に示すように、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230は、回折ターゲット204上にフリンジパターン242を発生させることができる。第1のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228は、第1の入射角238で回折ターゲット204に導くことができ、第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム230は、第2の入射角240で回折ターゲット204に導くことができる。第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230は、コヒーレントであるためオーバーラップ及び干渉して、構造化照明すなわちフリンジパターン242を形成することができる。フリンジパターン242(例えばモアレパターン)は、回折ターゲット204上の投影された基準格子として動作することができる。
【0046】
[0052] 調整可能な光学系250は、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230を基板202上の回折ターゲット204に向けて伝送し、第1及び第2の入射角238、240をそれぞれ調整して、フリンジパターン242の周期性を調整するように構成される可能性がある。フリンジパターン242の周期性は第1及び第2の入射角238、240に比例する可能性がある。調整可能な光学系250は、第1及び第2の入射角238、240を調整してフリンジパターン242の周期性を変化させることによって、回折ターゲット204の周期性をフリンジパターン242の周期性とマッチさせるように構成される可能性がある。フリンジパターン242の周期性が回折ターゲット204の周期性に調整される(例えばマッチする)とき、センサ装置200の収差が検出器システム270が検出した信号ビーム290を変化させることはない。
【0047】
[0053] 調整可能な光学系250は、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230の第1及び第2の入射角238、240を変更することができるいずれかの光学系(例えば、ミラー、レンズ、プリズム、導波管、光変調器など)である可能性がある。例えば、
図3を参照して以下で詳述されるように、調整可能な光学系250は、調整可能なプリズムミラー252並びに第1及び第2のオフアクシスミラー256、258を含むことができる。例えば、
図4を参照して以下で詳述されるように、調整可能な光学系250は、第1及び第2の可変位相変調器254a、254b並びに/又は対応する第1及び第2の照明導波管234、236を含むことができる。
【0048】
[0054]
図3に示すように、調整可能な光学系250は、調整可能なプリズムミラー252、第1のオフアクシスミラー256、及び第2のオフアクシスミラー258を含むことができる。調整可能なプリズムミラー252は、調整可能なプリズムミラー252の照明ビーム226に対する位置を調整することによって、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230の位置を調整するように構成される可能性がある。例えば、調整可能なプリズムミラー252は、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230の第1及び第2のコヒーレントオフアクシスミラー256、258上のスポット位置をそれぞれ変更するために、照明結合器224に対して近づいたり離れたりするように平行移動したり、回転したり傾斜したりすることができる。調整可能なプリズムミラー252の照明ビーム226に対する位置を調整することによって、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230の対応する第1及び第2の入射角238、240を、フリンジパターン242の周期性が比例的に変化するように変化させることができる。調整可能なプリズムミラー252は、フリンジパターン242の周期性を回折ターゲット204の周期性とマッチするように調整するために調整する(例えば、平行移動、回転、又は傾斜する)ことができる。第1及び第2のオフアクシスミラー256、258は、固定され、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230をそれぞれ回折ターゲット204に向けて反射するように構成される可能性がある。
【0049】
[0055] 一部の実施形態では、調整可能なプリズムミラー252は、微小電気機械システム(MEMS)ベースのアクチュエータを含み、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230の対応する第1及び第2の照明路232a、232b、及び第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230の対応する第1及び第2の入射角238、240を調整するように構成される可能性がある。例えば、調整可能なプリズムミラー252のMEMSベースのアクチュエータは、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230の回折ターゲット204上の焦点を制御することができる。一部の実施形態では、第1及び/又は第2のオフアクシスミラー256、258は、平面ミラー、傾斜ミラー、放物面ミラー、又は楕円ミラーである可能性がある。例えば、
図3に示すように、第1及び第2のオフアクシスミラー256、258は放物面ミラーである可能性がある。一部の実施形態では、第1及び/又は第2のオフアクシスミラー256、258は調整可能である可能性がある。例えば、第1及び/又は第2のオフアクシスミラー256、258はそれぞれMEMSベースのアクチュエータを含むことができる。
【0050】
[0056] 一部の実施形態では、第1の入射角238と第2の入射角240は同じである可能性がある。一部の実施形態では、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230は、回折ターゲット204に焦点が合ったビームである可能性がある。例えば、調整可能な光学系250は、集束光学部品、例えば、約1mm以下の焦点距離に最適化された第1及び第2のオフアクシスミラー256、258を含むことができる。一部の実施形態では、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230は、回折ターゲット204に焦点が合わないビームである可能性がある。
【0051】
[0057] コヒーレント照明源222からの第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230は、照明システム220に隣接して配設された基板202上の回折ターゲット204に向かって伝わり、信号ビーム290を発生させる。信号ビーム290は、回折ターゲット204から回折された回折次数サブビームを含むことができる。例えば、
図2及び
図3に示すように、信号ビーム290は、第1の回折次数サブビーム292、第2の回折次数サブビーム294、及び第3の回折次数サブビーム296を含むことができる。
【0052】
[0058] 一部の実施形態では、第1の回折次数サブビーム292は、負の回折次数サブビーム(例えば-1)である可能性があり、第2の回折次数サブビーム294は、正の回折次数サブビーム(例えば+1)である可能性があり、第3の回折次数サブビーム296は、ゼロ次回折次数サブビーム(例えば0)である可能性がある。
図2及び
図3に示すように、第1、第2、及び第3の回折次数サブビーム292、294、296を、検出器システム270に向けて、例えば固定された光学系216及び検出器218に向けて伝送することができる。
【0053】
[0059] 検出器システム270は信号ビーム290を収集するように構成される可能性がある。
図2及び
図3に示すように、検出器システム270は、固定された光学系216及び検出器218を含むことができる。固定された光学系216は、信号ビーム290を収集し、信号ビーム290を検出器218に向けて伝送するように構成される可能性がある。検出器218は、信号ビーム290の第1、第2、及び/又は第3の回折次数サブビーム292、294、296を検出するように構成される可能性がある。一部の実施形態では、固定された光学系216は低開口数(NA)レンズである可能性がある。例えば、固定された光学系216は約0.1~約0.4のNAを有することができる。一部の実施形態では、固定された光学系216はアクロマートレンズである可能性がある。例えば、固定された光学系216はアクロマートダブレットである可能性がある。一部の実施形態では、検出器システム270は、信号ビーム290に基づいて回折ターゲット204の特性を測定するように構成される可能性がある。一部の実施形態では、検出器システム270により測定された回折ターゲット204の特性はアライメント位置である。一部の実施形態では、検出器218は、光検出器、フォトダイオード、電荷結合素子(CCD)、アバランシェフォトダイオード(APD)、カメラ、PIN検出器、マルチモードファイバ、単一モードファイバ、又はその他の任意の適切な光ディテクタである可能性がある。
【0054】
[0060] ある実施形態では、回折ターゲット204はアライメントマークである可能性がある。ある実施形態では、基板202はステージによって支持し、アライメント軸に沿って中心に置くことができる。一部の実施形態では、基板202上の回折ターゲット204は、現像後にバーが固体レジストラインで形成されるようにプリントされる1D格子である可能性がある。一部の実施形態では、回折ターゲット204は、現像後に格子が固体レジストピラー又はレジスト中のビアで形成されるようにプリントされる2Dアレイ又は格子である可能性がある。代替的に、例えば、バー、ピラー、又はビアは基板202に刻み込むことができる。
【0055】
[0061] プロセッサ298は、信号ビーム290に基づいて回折ターゲット204の特性を測定するように構成される可能性がある。プロセッサ298は、検出器システム270、照明システム220と一体化されるか、又は検出器システム270及び照明システム220の外側にある可能性がある。例えば、
図2に示すように、プロセッサ298は、照明システム220の上面に配設することができる。
図2に示すように、プロセッサ298は、第1の制御信号299a及び/又は第2の制御信号299bを含むことができる。第1の制御信号299aは、コヒーレント照明源222とプロセッサ298との間でデータを送受信するように構成される可能性がある。第2の制御信号299bは、検出器218とプロセッサ298との間でデータを送受信するように構成される可能性がある。プロセッサ298は、第1の制御信号299aを介して照明システム220に結合することができる。プロセッサ298は、第2の制御信号299bを介して検出器システム270に結合することができる。制御信号299a、299bは、光ファイバを介して照明システム220及び/又は検出器システム270に結合することができる。
【0056】
[0062] 一部の実施形態では、プロセッサ298は、信号ビーム290に基づいて回折ターゲット204の特性を測定するように構成される可能性がある。例えば、プロセッサ298により測定された回折ターゲット204の特性はアライメント位置である可能性がある。
【0057】
[0063] 一部の実施形態では、プロセッサ298は、
図2に示すように照明システム220上に集積することができる。一部の実施形態では、プロセッサ298は、検出器システム270の外側にあり、例えば光ファイバケーブルによって検出器システム270に結合される可能性がある。一部の実施形態では、プロセッサ298は、照明システム220の外側にあり、例えば光ファイバケーブルによって照明システム220に結合される可能性がある。一部の実施形態では、プロセッサ298は、検出器システム270により検出された回折ターゲット204の特性(例えば、アライメント位置など)に基づいてフィールド内歪みを測定するように構成される可能性がある。
【0058】
[0064] 照明システム220と検出器システム270とは、変位角212だけ離れている可能性がある。変位角212は約1度~約3度であるように構成される可能性がある。
図2に示すように、変位角212は、照明システム220と回折ターゲット204に対して垂直な軸とがなす第1の変位角212a、及び検出器システム270と回折ターゲット204に対して垂直な軸とがなす第2の変位角212bを含むことができる。一部の実施形態では、第1及び第2の変位角212a、212bは等しい。センサ装置200は、自己整合かつ小型のシステムであるように構成される可能性がある。
図2に示すように、センサ装置200の縦方向領域214が約10mm×10mm未満である可能性がある。
【0059】
[0065] 代替的なセンサ装置
[0066]
図4は、様々な実施形態に従った、代替的なセンサ装置200’の上面斜視概略図である。
図2及び
図3に示すセンサ装置200の実施形態と、
図4に示すセンサ装置200’の実施形態とは類似している。
図2及び
図3に示すセンサ装置200の実施形態の類似の特徴及び
図4に示すセンサ装置200’の実施形態の類似の特徴を示すのに類似の参照番号が使用される。
図2及び
図3に示すセンサ装置200の実施形態と、
図4に示すセンサ装置200’の実施形態との主な違いは、照明システム220’が、第1の可変位相変調器254a、第2の可変位相変調器254b、第1の照明導波管234、及び第2の照明導波管236を備え、検出器システム270が、第1の照明導波管234に結合された第1の可変位相変調器254aと、第2の照明導波管236に結合された第2の可変位相変調器254bとの間に配設される点である。
【0060】
[0067]
図4に示すように、センサ装置200’は、照明システム220’及び検出器システム270を備える。
図4にはセンサ装置200’がスタンドアロン装置として示されているが、この開示の実施形態はこの例に限定されず、この開示のセンサ装置200’の実施形態は、限定されるわけではないが、センサ装置200、リソグラフィ装置LAなどの他の光学システム、及び/又はその他の光学システムで用いることができる。照明システム220’は調整可能な光学系250を備えることができる。調整可能な光学系250は、可変位相変調器254、第1の照明導波管234、及び第2の照明導波管236を含むことができる。
【0061】
[0068] 可変位相変調器254は、第1及び第2の可変位相変調器254a、254bを含むことができる。第1及び第2の可変位相変調器254a、254bは、第1及び第2の可変位相変調器254a、254bの伝搬定数を調整することによって、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230の位置をそれぞれ調整するように構成される可能性がある。例えば、第1及び第2の照明導波管234、236にそれぞれ結合された第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230の位置を変更するために、第1及び第2の可変位相変調器254a、254bの伝搬定数を、(例えば、屈折率を変化させるために温度勾配、電圧、圧力、バックフィルガスを適用することなどによって)調整することができる。第1及び第2の可変位相変調器254a、254bの伝搬定数を調整することによって、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230の対応する第1及び第2の入射角238、240を、フリンジパターン242の周期性が比例的に変化するように変化させることができる。第1及び第2の可変位相変調器254a、254bは、フリンジパターン242の周期性を回折ターゲット204の周期性とマッチするように調整するために(例えば伝搬定数Bに)調整することができる。第1及び第2の照明導波管234、236は、固定され、第1及び第2の可変位相変調器254a、254bからの第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230をそれぞれ回折ターゲット204に向けて結合するように構成される可能性がある。
【0062】
[0069] 一部の実施形態では、第1及び/又は第2の可変位相変調器254a、254bは、電気光学変調器(EOM)、音響光学変調器(AOM)、又は液晶変調器(LCM)を含むことができる。一部の実施形態では、第1及び/又は第2の可変位相変調器254a、254bは、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230の対応する第1及び第2の照明路232a、232b、並びに第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230の対応する第1及び第2の入射角238、240を調整するように構成される可能性がある。例えば、第1及び第2の可変位相変調器254a、254bに温度勾配を適用し、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230の回折ターゲット204に対する位置又は角度を制御することができる。
【0063】
[0070] 第1及び第2の照明導波管234、236は、第1及び第2の可変位相変調器254a、254bから第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230をそれぞれ受光し、照明システム220’に隣接して配設された基板202上の回折ターゲット204に向けて照明ビーム226を伝送し、信号ビーム290を発生させるように構成される可能性がある。一部の実施形態では、第1及び第2の照明導波管234、236は、互いに対して対称的に配置することができる。一部の実施形態では、第1及び第2の照明導波管234、236は構造化された平面格子である可能性がある。
【0064】
[0071]
図4に示すように、検出器システム270は、照明システム220’の第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビーム228、230間に配設することができる。一部の実施形態では、固定された光学系216、第1の照明導波管234、及び第2の照明導波管236は、共通平面内に配設することができ、その結果、信号ビーム290は、固定された光学系216及び回折ターゲット204に対して垂直に位置調整することができる。
【0065】
[0072] 例示的な検出システム
[0073]
図5は、例示的な実施形態に従った、検出システム500の上部平面概略図である。検出システム500は、回折ターゲット204と同様の、基板202上の複数の回折ターゲット204の特性(例えば、アライメント位置など)を測定し、基板202上の複数の回折ターゲット204の各回折ターゲット204の特性に基づいてフィールド内歪みを決定するように構成される可能性がある。検出システム500は、例えばリソグラフィ装置LAにおけるフィールド内歪みを補正し、アライメントを改善することができる。検出システム500は、それぞれがセンサ装置200又はセンサ装置200’と類似した複数のセンサ200、及び第2のプロセッサ580を備えることができる。
図5に示すように、各センサ装置200は、共通のプラットフォーム502上に配設し、第2のプロセッサ580に結合することができる。例えば、
図5に示すように、各センサ装置200は、光ファイバ504を介して第2のプロセッサ580に接続することができる。共通のプラットフォーム502及び複数のセンサ装置200は、複数の回折ターゲット204の上方に配設することができる。
図5には、検出システム500がスタンドアロン装置として示されているが、この開示の実施形態はこの例に限定されず、この開示の検出システム500の実施形態は、限定されるわけではないが、リソグラフィ装置LAなどの他の光学システム及び/又はその他の光学システムで用いることができる。
【0066】
[0074] 一部の実施形態では、
図5に示すように、共通のプラットフォーム502上に配設された複数のセンサ200でセンサアレイを形成することができる。一部の実施形態では、複数のセンサ200は、共通のプラットフォーム502上に互いに対して対称的に配置することができる。一部の実施形態では、回折ターゲット204の特性はアライメント位置である。一部の実施形態では、複数のセンサ200の各プロセッサ298又は検出器システム270は、基板202上の各センサ200の下方に配設された複数の回折ターゲット204の特性を同時に又はリアルタイムで測定することができる。例えば、複数のセンサ200により測定された複数の回折ターゲット204の複数の特性は、0.2秒以内に現れる可能性がある。
【0067】
[0075] 実施形態は更に以下の条項を用いて記述されることがある。
1.照明ビームを照明路に沿って伝送するように構成された照明システムであって、照明ビームを照明システムに隣接して配設される基板上の回折ターゲットに向けて伝送することによって、回折ターゲット上のフリンジパターン及び回折ターゲットにより回折される回折次数サブビームを含む信号ビームを発生させるように構成された調整可能な光学系を備える照明システムと、 信号ビームを収集するように構成された検出器システムと、
回折ターゲットの特性を信号ビームに基づいて測定するように構成されたプロセッサとを備え、
調整可能な光学系が、フリンジパターンの周期性を回折ターゲットの周期性とマッチするように調整するために、照明ビームの回折ターゲットに対する入射角を調整するように構成された、センサ装置。
2.回折ターゲットの特性がアライメント位置である、条項1のセンサ装置。
3.調整可能な光学系がプリズムミラーを含み、プリズムミラーが、プリズムミラーの照明ビームに対する位置を調整することによって照明ビームの位置を調整するように構成された、条項1のセンサ装置。
4.プリズムミラーが微小電気機械システムベースのアクチュエータを含む、条項3のセンサ装置。
5.調整可能な光学系が可変位相変調器を含み、可変位相変調器が、可変位相変調器の伝搬定数を調整することによって照明ビームの位置を調整するように構成された、条項1のセンサ装置。
6.可変位相変調器が、電気光学変調器、音響光学変調器、又は液晶変調器を含む、条項5のセンサ装置。
7.照明システムがコヒーレント照明源を備え、照明ビームが第1のコヒーレントオフアクシス照明ビーム及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームを含む、条項1のセンサ装置。
8.フリンジパターンが、第1及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームの干渉によって発生する、条項7のセンサ装置。
9.照明システムが、第1のコヒーレントオフアクシス照明ビームを回折ターゲットに向けて伝送するように構成された第1の光学系と、第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームを回折ターゲットに向けて伝送するように構成された第2の光学系とを備えた、条項7のセンサ装置。
10.第1のコヒーレントオフアクシス照明ビームの入射角と第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームの入射角が同じである、条項7のセンサ装置。
11.検出器システムが、信号ビームを収集するように構成された固定された光学系と、信号ビームの第1の回折次数サブビーム、信号ビームの第2の回折次数サブビーム、及び信号ビームの第3の回折次数サブビームを検出するように構成された検出器とを備えた、条項1のセンサ装置。
12.検出器がマルチモードファイバである、条項11のセンサ装置。
13.照明システムと検出器システムとが、約1度から約3度の角度だけ離れている、条項1のセンサ装置。
14.センサ装置の縦方向領域が約10mm×10mm以下であり、
照明ビームの波長が約500nmから約2000nmである、条項1のセンサ装置。
15.照明ビームが、第1のコヒーレントオフアクシス照明ビーム及び第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームを含み、検出器システムが、第1のコヒーレントオフアクシス照明ビームと第2のコヒーレントオフアクシス照明ビームとの間に配設された、条項1のセンサ装置。
16.互いに対して対称的に配置され、基板上の複数の回折ターゲットの上方に配設された複数のセンサと、
各センサに結合された第2のプロセッサと、を備えた検出システムであって、
各センサが、
照明ビームを照明路に沿って伝送するように構成され、照明ビームを照明システムに隣接して配設される基板上の回折ターゲットに向けて伝送することによって、回折ターゲット上のフリンジパターン及び回折ターゲットにより回折される回折次数サブビームを含む信号ビームを発生させるように構成された調整可能な光学系を備える照明システムと、
信号ビームを収集するように構成された検出システムと、
回折ターゲットの特性を信号ビームに基づいて測定するように構成されたプロセッサとを備え、
調整可能な光学系が、照明ビームの回折ターゲットに対する入射角を調整して、フリンジパターンの周期性を回折ターゲットの周期性とマッチするように調整するように構成され、
第2のプロセッサが、基板上の複数の回折ターゲットの各回折ターゲットの特性に基づいて処理エラーを決定するように構成された、検出システム。
17.回折ターゲットの特性がアライメント位置である、条項16の検出システム。
18.各検出器システムが、基板上の複数の回折ターゲットの特性を同時に測定する、条項16の検出システム。
19.複数のセンサが共通のプラットフォーム上に集積された、条項16の検出システム。
20.第2のプロセッサが光ファイバを介して各センサに結合された、条項16の検出システム。
【0068】
[0076] 本文ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本明細書で説明するリソグラフィ装置には他の用途もあることを理解されたい。例えば、これは、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCD、薄膜磁気ヘッドなどの製造である。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。本明細書に述べている基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール及び/又はインスペクションツールで処理することができる。適宜、本明細書の開示は、以上及びその他の基板プロセスツールに適用することができる。更に基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本明細書で使用する基板という用語は、既に複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
【0069】
[0077] 光リソグラフィの分野での本発明の実施形態の使用に特に言及してきたが、本発明は文脈によってはその他の分野、例えばインプリントリソグラフィでも使用することができ、光リソグラフィに限定されないことを理解されたい。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイス内のトポグラフィが基板上に作成されたパターンを画定する。パターニングデバイスのトポグラフィは基板に供給されたレジスト層内に刻印され、電磁放射、熱、圧力又はそれらの組み合わせを適用することでレジストは硬化する。パターニングデバイスはレジストから取り除かれ、レジストが硬化すると、内部にパターンが残される。
【0070】
[0078] 本明細書中の言い回し又は専門用語は説明を目的とするものであって限定を目的とするものではないことが理解されるべきであり、従って、本明細書の専門用語又は言い回しは、本明細書中の教示に照らして当業者によって解釈されるべきである。
【0071】
[0079] 本明細書で使用される「基板」という用語は、その上に材料層が追加される材料を記述する。一部の実施形態では、基板自体にパターンが付与されると共に、その上に追加された材料にもパターンが付与されるか、又はパターン付与されないままである場合がある。
【0072】
[0080] 本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらのいずれかの組み合わせにおいて実施可能である。また、本発明の実施形態は、1つ以上のプロセッサによって読み取り及び実行され得る機械読み取り可能媒体上に記憶された命令としても実施することができる。機械読み取り可能媒体は、機械(例えばコンピューティングデバイス)によって読み取り可能な形態の情報を記憶又は送信するためのいずれかの機構を含み得る。例えば、機械読み取り可能媒体は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音、又は他の形態の伝搬信号(例えば搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、及び他のものを含むことができる。更に、一定の動作を実行するものとして本明細書ではファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、及び/又は命令を記載することができるが、そのような記載は単に便宜上のものであり、そういった動作は実際には、コンピューティングデバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、及び/又は命令を実行する他のデバイスから得られることは認められよう。
【0073】
[0081] 以下の例はこの開示の実施形態を説明するものであるが限定的ではない。本技術分野で通常見られ、当業者に自明と思われる各種の条件及びパラメータのその他の適切な変更形態及び適応形態も本開示の趣旨及び範囲内にある。
【0074】
[0082] 本文では、ICの製造における本発明による装置及び/又はシステムの使用について特に言及しているが、そのような装置及び/又はシステムは他の多くの可能な用途を有することを明確に理解されるべきである。例えば、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用ガイダンス及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、LCDパネル、薄膜磁気ヘッドなどに使用できる。こうした代替的な用途に照らして、本明細書で「レチクル」、「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ「マスク」、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義と見なしてよいことが当業者には認識される。
【0075】
[0083] 本発明の特定の実施形態が上に記載されているが、本発明は、記載されている以外の方法で実施され得ることが理解されるであろう。この説明は、本発明を限定することを意図するものではない。
【0076】
[0084] 特許請求の範囲を解釈するには、「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく、「発明を実施するための形態」の項を使用するよう意図されていることを理解されたい。「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者が想定するような本発明の1つ以上の例示的実施形態について述べることができるが、全部の例示的実施形態を述べることはできず、したがって本発明及び添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも限定しないものとする。
【0077】
[0085] 以上では、特定の機能の実施態様を例示する機能的構成要素及びその関係を用いて本発明について説明してきた。これらの機能的構成要素の境界は、本明細書では説明の便宜を図って任意に画定されている。特定の機能及びその関係が適切に実行される限り、代替的境界を画定することができる。
【0078】
[0086] 特定の実施形態の前述の説明は、本発明の全体的性質を十分に明らかにしているので、当技術分野の知識を適用することにより、過度の実験をせず、本発明の全体的な概念から逸脱することなく、このような特定の実施形態を容易に変更及び/又はこれを様々な用途に適応させることができる。したがって、このような適応及び変更は、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、開示された実施形態の同等物の意味及び範囲に入るものとする。
【0079】
[0087] 本発明の幅及び範囲は、上述した例示的実施形態のいずれによっても限定されず、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ規定されるものである。