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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】フッ素測定装置及びフッ素測定方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/036 20060101AFI20240628BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01S3/036
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023507382
(86)(22)【出願日】2021-08-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 US2021045584
(87)【国際公開番号】W WO2022055654
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】63/076,681
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シユ
(72)【発明者】
【氏名】シモネリ,ジェームズ,マイケル
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/060164(WO,A1)
【文献】特開2001-165924(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0133813(US,A1)
【文献】特開平11-274610(JP,A)
【文献】特開2000-114622(JP,A)
【文献】特開2003-258337(JP,A)
【文献】特表2002-502131(JP,A)
【文献】特開2004-259828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00-3/30
G03F 7/20ー7/24
G03F 9/00-9/02
G01N 31/00-31/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプリングされるフッ素を含む混合ガスの源と選択可能に流体連通して配置される反応キャビティを画定する反応容器であって、酸素を含む製品ガスを形成するために前記混合ガス中のフッ素と反応する金属酸化物を含む反応容器と、
前記製品ガスを受け取り、前記製品ガス中の酸素の量を検知するために前記反応容器と選択可能に流体連通して配置される酸素センサを含む測定容器と、
前記反応キャビティ内の残留ガスを前記測定容器に押し出すことができるように、前記反応容器と選択可能に流体連通した不活性ガスの源と、
を備えた装置。
【請求項2】
前記反応容器が更に真空源と選択可能に流体連通して配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記金属酸化物がアルミナを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
サンプリングされるフッ素を含む混合ガスの前記源がレーザ放電チャンバを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
レーザ放電チャンバと、
サンプリングされるフッ素を含む混合ガスのサンプルを受け取るために前記レーザ放電チャンバと選択可能に流体連通して配置される反応キャビティを画定する反応容器であって、酸素を含む製品ガスを形成するために前記混合ガス中のフッ素と反応する金属酸化物を含む反応容器と、
前記製品ガスを受け取り、前記製品ガス内の酸素の量を検知するために前記容器と選択可能に流体連通して配置されている酸素センサを含む測定容器
前記反応キャビティ内の残留ガスを前記測定容器に押し出すことができるように、前記反応容器と選択可能に流体連通した不活性ガスの源と、
を備えた装置。
【請求項6】
前記反応容器がまた真空源と選択可能に流体連通して配置されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記金属酸化物がアルミナを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
サンプリングされるフッ素を含む混合ガスの源がレーザ放電チャンバを備える、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記レーザ放電チャンバに流体接続されたガス供給システムを備えたガス維持システムと、
前記ガス維持システム及び検出装置に接続されており、前記酸素センサの出力を受け、前記レーザ放電チャンバから受け取った前記混合ガス中のフッ素濃度を推定し、前記ガス維持システムの前記ガス供給システムからのガス混合物中のフッ素濃度を前記混合ガス中の推定した前記フッ素濃度に基づいて変更すべきかどうかを判定し、前記レーザ放電チャンバのガス更新中に前記ガス維持システムの前記ガス供給システムから前記レーザ放電チャンバに供給されるガス混合物中のフッ素の相対濃度を変更する信号を前記ガス維持システムに送信する制御システムとを更に備えた、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
不活性ガスの第1の部分を使用して反応キャビティ内の残留ガスをセンサに押し出すこと、
前記センサを使用して前記残留ガス内の第1の酸素濃度を検知すること、
レーザ放電チャンバからのフッ素を含む混合ガスの少なくとも一部分を前記反応キャビティに供給すること、
酸素を含む製品ガスを形成するために前記混合ガスの一部分中のフッ素を前記反応キャビティ内で金属酸化物と反応させること、
前記不活性ガスの第2の部分を使用して前記反応キャビティ内の前記製品ガスを前記センサに押し出すこと、
前記製品ガス内の第2の酸素濃度を検知すること、
前記レーザ放電チャンバからの前記混合ガスの前記一部分中の推定フッ素濃度を、検知した前記第2の酸素濃度に基づいて推測すること、及び
前記レーザ放電チャンバからの前記混合ガスの前記一部分中の補償フッ素濃度を、前記第1の酸素濃度及び前記推定フッ素濃度に少なくとも部分的に基づいて決定することを含む方法。
【請求項11】
前記センサを使用して前記残留ガス内の第1の酸素濃度を検知することと、前記反応キャビティにフッ素を含むレーザ放電チャンバからの混合ガスの少なくとも一部分を供給することとの間に前記反応キャビティを空にすることを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
フッ素濃度の現在の測定の開始直前の測定から経過した時間を示す量ΔtIdleと、前記不活性ガスの前記第1の部分が生成されたガス混合物を前記センサに押し出す時間を示す量ΔtPushとを決定することを更に含み、前記レーザ放電チャンバからの前記混合ガスの前記一部分中の前記補償フッ素濃度を決定することも、ΔtIdle及びΔtPushに少なくとも部分的に基づいている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記補償フッ素濃度2(n)が次式によって決定され、
【数1】
ここでk3、k4、及びk5が、試験データから決定される一定係数であり、
2(n)が、前記センサを使用して前記残留ガス内の第1の酸素濃度を検知した結果であり、
2(n)が、測定される推定フッ素濃度であり、
P(n)が、前記生成されたガス混合物中の推定フッ素濃度を得るときにセンサに加えられる全圧であり、
ΔtIdleが、直近の前の測定及び現在の測定の開始からの時間(秒)であり、
ΔtPushが、前記現在の測定の開始時の残留酸素測定値を得るために、前記不活性ガスを使用して残留O2を前記反応キャビティから押し出す時間(秒)である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記金属酸化物がアルミナを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記不活性ガスが窒素を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記レーザ放電チャンバ内の前記混合ガスに供給する追加のフッ素含有ガスの量を前記推定フッ素濃度に基づいて決定することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
不活性ガスの第1の部分を使用して反応キャビティ内の残留ガスをセンサに押し出すこと、
前記センサを使用して前記残留ガス内の第1の酸素濃度を検知すること、
レーザ放電チャンバからのフッ素を含む混合ガスの少なくとも一部分を前記反応キャビティに供給すること、
酸素を含む製品ガスを形成するために前記混合ガスの一部分中のフッ素を前記反応キャビティ内で金属酸化物と反応させること、
前記不活性ガスの第2の部分を使用して前記反応キャビティ内の前記製品ガスを前記センサに押し出すこと、
前記製品ガス内の第2の酸素濃度を検知すること、
前記レーザ放電チャンバからの前記混合ガスの前記一部分中の推定フッ素濃度を、検知した前記第2の酸素濃度に基づいて推測すること、
前記レーザ放電チャンバからの前記混合ガスの前記一部分中の補償フッ素濃度を、前記第1の酸素濃度及び前記推定フッ素濃度に少なくとも部分的に基づいて決定すること
前記レーザ放電チャンバ内の前記混合ガスに供給する追加のフッ素含有ガスの量を前記推定フッ素濃度に基づいて決定すること、及び
前記追加のフッ素含有ガスの量を前記レーザ放電チャンバ内の前記混合ガスに供給することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2020年9月10日に出願されたAPPARATUS FOR AND METHOD OF FLUORINE MEASUREMENTと題する米国出願番号第63/076,681号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 開示される主題は、フッ素を含むガスの混合物中のフッ素濃度の間接測定に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 混合ガス中のフッ素の濃度を測定することが望まれる多くの用途がある。一例として、リソグラフィ装置が、所望のパターンを半導体材料のウェーハなどの基板、通常は基板のターゲット部分に付与する。代替的にマスク又はレチクルと呼ばれるパターニングデバイスが、ウェーハの個々の層上に形成される回路パターンを生成するのに使用されることがある。パターンの転写は通常、基板上に設けられる放射線感受性材料(フォトレジスト、又は単に「レジスト」)の層上への結像によって達成される。一般に単一の基板が、連続的にパターニングされている隣接したターゲット部分を含むことになる。
【0004】
[0004] パターンを照明し基板に投影するのに使用される光源は、複数の構成のうちのいずれか1つである可能性がある。1つの構成はエキシマレーザである。エキシマレーザという名前は、電気的刺激(供給されるエネルギー)及び(ガス混合物の)高い圧力の適切な条件下で、励起状態においてのみ存在し紫外線範囲の増幅光を発生させるエキシマと呼ばれる擬似分子が生じるという事実に由来する。
【0005】
[0005] エキシマ光源は通常、アルゴン、クリプトン、又はキセノンなどの1種類以上の希ガスと、フッ素又は塩素などの反応種との組み合わせを使用する。リソグラフィシステムで一般的に使用される深紫外線エキシマレーザには、248nm波長のフッ化クリプトン(KrF)レーザ及び193nm波長のフッ化アルゴン(ArF)レーザが含まれる。これらのガスはレーザ放電チャンバに供給される。フッ素はレーザ放電プロセス中に枯渇するものであり、補充されなければならない。放電チャンバ内のガスを時々サンプリングし、補充が必要であるかどうかを判定するためにそのF2濃度を測定する必要がある。
【0006】
[0006] F2濃度を測定する1つの方法は、F2を含むサンプルガスを活性アルミナなどの金属酸化物とスクラバにおいて反応させた後、センサを使用して反応生成物O2の濃度を測定して、元のサンプリングされたガスのF2の濃度がいくらであったかを推測することを含む。この方法は、対策が講じられない限り、センサがあまりにも長い間稼働していない場合に実際のF2の濃度よりも低いF2濃度の間接測定値をもたらす可能性がある。この過少測定を防ぐための1つの対策はスクラバのサイズを大きくすることである。ただし、これは、O2読み取り値がスクラバ容積により許容されるサンプリング時間に最終的な定常状態の値に収束する又は予想どおりに達することができないという問題を生み出す。
【0007】
[0007] 本明細書に開示の装置及び方法が現れるのはこの文脈においてである。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 以下に1つ以上の実施形態の簡潔な概要を実施形態の基本的な理解を与えるために示す。この概要は、全ての熟慮された実施形態の外延的概要ではなく、全ての実施形態の重要な又は決定的な要素を特定することも、一部又は全ての実施形態の範囲を線引きすることも意図されていない。その唯一の目的は、後に示されているより詳細な説明の前置きとして簡略化した形態の1つ以上の実施形態のいくつかの概念を示すことである。
【0009】
[0009] 一実施形態の一態様によれば、本明細書には、O2を生成するスクラバなどの反応チャンバ内のF2反応によって生成されるO2の量を測定し、生成されたO2の量を使用してガスサンプル中の実際のF2濃度を推測することによって、F2の量を推定する方法が開示されている。一実施形態の一態様によれば、窒素などの不活性ガスを使用して、反応チャンバ内の残留O2をO2センサに押し出し、残留O2読み取りが行われる。次いで反応チャンバはサンプリングされるガスで充填される。半導体フォトリソグラフィと関連して使用されるシステムの例では、これは主発振器チャンバなどの1つのレーザチャンバ内のガスサンプルである場合がある。第2のF2反応が十分に完了した後、不活性ガスを使用して反応チャンバ内のO2をO2センサに押し出し、別の最終的なO2測定を行ってF2濃度の最終間接測定値を得る。最終測定値は、F2濃度のより正確な最終推定値を得るために、例えば残留O2読み取り値に部分的に基づいて調整される。
【0010】
[0010] 一実施形態の別の態様によれば、補償法が、上記シーケンスからの全O2測定を利用して、センサでサンプリングされたガス中のF2濃度を得る。具体的には、補償フッ素濃度f(n)が次の関係によって決定される。
【0011】
[0011]
【0012】
【数1】
【0013】
ここでk、k、及びkは、試験データのカーブフィッティングから決定される一定係数であり、
(n)は残留O2の測定値であり、
(n)は、第2のO2測定値から推測されるF2濃度であり、
P(n)は、F2(n)を測定している間にセンサに充填されるチャンバからのF2含有ガスの全圧であり、
ΔtIdleは直近の前の測定からの時間(秒)であり、
ΔtPushは、N2を使用して残留O2を反応チャンバから押し出す時間(秒)である。
【0014】
[0012] 一実施形態の一態様によれば、サンプリングされるフッ素を含む混合ガスの源と選択可能に流体連通して配置されるように適合された反応キャビティを画定する容器であって、酸素を含む製品ガスを形成するために混合ガス中のフッ素と反応するように配置された金属酸化物を含み、更に不活性ガスの源と選択可能に流体連通して配置されるように適合された容器と、製品ガスを受け取り、製品ガス中の酸素の量を検知するために容器と選択可能に流体連通して配置されるように構成された酸素センサとを備えた装置が開示される。容器はまた、真空源と選択可能に流体連通して配置されるように適合されることがある。金属酸化物はアルミナを含むことがある。サンプリングされるフッ素を含む混合ガスの源はレーザ放電チャンバを備えることがある。不活性ガスの源は窒素の源を含むことがある。
【0015】
[0013] 一実施形態の別の態様によれば、レーザ放電チャンバと、サンプリングされるフッ素を含む混合ガスのサンプルを受け取るためにレーザ放電チャンバと選択可能に流体連通して配置されるように適合された反応キャビティを画定する容器であって、酸素を含む製品ガスを形成するために混合ガス中のフッ素と反応するように配置された金属酸化物を含む容器と、容器と選択可能に流体連通した不活性ガスの源と、製品ガスを受け取り、製品ガス内の酸素の量を検知するために容器と選択可能に流体連通して配置されるように構成された酸素センサとを備えた装置が開示される。容器はまた、真空源と選択可能に流体連通して配置されるように適合されることがある。金属酸化物はアルミナを含むことがある。サンプリングされるフッ素を含む混合ガスの源はレーザ放電チャンバを備えることがある。不活性ガスの源は窒素の源を含むことがある。
【0016】
[0014] 一実施形態の別の態様によれば、装置は、レーザ放電チャンバに流体接続されたガス供給システムを備えたガス維持システムと、ガス維持システム及び検出装置に接続されており、酸素センサの出力を受け、ガス放電チャンバから受け取った混合ガス中のフッ素の濃度を推定し、ガス維持システムのガス供給システムからのガス混合物中のフッ素の濃度を混合ガス中の推定したフッ素濃度に基づいて変更すべきかどうかを判定し、レーザ放電チャンバのガス更新中にガス維持システムのガス供給システムからレーザ放電チャンバに供給されるガス混合物中のフッ素の相対濃度を変更する信号をガス維持システムに送信するように構成された制御システムとを更に備えることがある。
【0017】
[0015] 一実施形態の別の態様によれば、不活性ガスの第1の部分を使用して反応キャビティ内の残留ガスをセンサに押し出すこと、センサを使用して残留ガス内の第1の酸素濃度を検知すること、レーザ放電チャンバからのフッ素を含む混合ガスの少なくとも一部分を反応キャビティに供給すること、酸素を含む製品ガスを形成するために混合ガスの一部分中のフッ素を反応チャンバ内で金属酸化物と反応させること、不活性ガスの第2の部分を使用して反応キャビティ内の製品ガスをセンサに押し出すこと、製品ガス内の第2の酸素濃度を検知すること、レーザ放電チャンバからの混合ガスの一部分中の推定フッ素濃度を検知した第2の酸素濃度に基づいて推測すること、及びレーザ放電チャンバからの混合ガスの一部分中の補償フッ素濃度を第1の酸素濃度及び推定フッ素濃度に少なくとも部分的に基づいて決定することを含む方法が開示される。方法は、センサを使用して残留ガス内の第1の酸素濃度を検知することと、反応キャビティにフッ素を含むレーザ放電チャンバからの混合ガスの少なくとも一部分を供給することとの間に反応キャビティを空にすることを更に含むことがある。方法は、フッ素濃度の現在の測定の開始直前の測定から経過した時間を示す量ΔtIdleと、不活性ガスの第1の部分が生成されたガス混合物をセンサに押し出す時間を示す量ΔtPushとを決定することを更に含むことがあり、そしてレーザ放電チャンバからの混合ガスの一部分中の補償フッ素濃度を測定することが、ΔtIdle及びΔtPushに少なくとも部分的に基づいている場合がある。残留ガスは直前の測定からのものである場合がある。金属酸化物はアルミナを含むことがある。不活性ガスは窒素を含むことがある。方法は、レーザ放電チャンバ内の混合ガスに供給する追加のフッ素含有ガスの量を推定フッ素濃度に基づいて決定すること、及び追加のフッ素含有ガスの量をレーザ放電チャンバ内の混合ガスに供給することを更に含むことがある。
【0018】
[0016] 一実施形態の別の態様によれば、不活性ガスの第1の部分を使用して反応キャビティ内の残留ガスをセンサに押し出すこと、センサを使用して残留ガス内の第1の酸素濃度を検知すること、レーザ放電チャンバからのフッ素を含む混合ガスの少なくとも一部分を反応キャビティに供給すること、酸素を含む製品ガスを形成するために混合ガスの一部分中のフッ素を反応チャンバ内で金属酸化物と反応させること、不活性ガスの第2の部分を使用して反応キャビティ内の製品ガスをセンサに押し出すこと、製品ガス内の第2の酸素濃度を検知すること、レーザ放電チャンバからの混合ガスの一部分中の推定フッ素濃度を検知した第2の酸素濃度に基づいて推測すること、レーザ放電チャンバからの混合ガスの一部分中の補償フッ素濃度を第1の酸素濃度及び推定フッ素濃度に少なくとも部分的に基づいて決定すること、レーザ放電チャンバ内の混合ガスに供給する追加のフッ素含有ガスの量を推定フッ素濃度に基づいて決定すること、及び追加のフッ素含有ガスの量をレーザ放電チャンバ内の混合ガスに供給することを含む方法が開示される。
【0019】
[0017] 本発明の更なる特徴及び利点並びに本発明の様々な実施形態の構造及び作用は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。かかる実施形態は、例示のみを目的として本明細書に記載されている。本明細書に含まれる教示に基づいて当業者には追加の実施形態が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
[0018] 本明細書に組み込まれ本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明の実施形態の方法及びシステムを、限定としてではなく例として説明する。図面は更に、詳細な説明と併せて、本明細書に提示されている方法及びシステムの原理を説明するように、また、当業者がこの方法及びシステムを作製し使用できるように機能する。図面中、同様の参照番号は同一の又は機能的に類似の要素を示す。
【0021】
図1】[0019] 開示される主題の一態様に係るフォトリソグラフィシステムの全体的な広い概念の、縮尺通りでない一部が概略的なブロック図である。
図2】[0020] 開示される主題の一態様に係るチャンバ内のガス混合物中のフッ素濃度を測定するように構成された検出装置を備えた装置の、縮尺通りでない一部が概略的なブロック図である。
図3】[0021] 開示される主題の一態様に係るチャンバのガス混合物中のフッ素濃度を測定するための検出装置により実行される手順のフローチャートである。
図4】[0022] 開示される主題の別の態様に係るチャンバのガス混合物中のフッ素濃度を測定するための検出装置により実行される手順のフローチャートである。
【0022】
[0023] 本発明の更なる特徴及び利点並びに本発明の様々な実施形態の構造及び作用は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。かかる実施形態は、例示のみを目的として本明細書に示されている。本明細書に含まれる教示に基づいて当業者には追加の実施形態が明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0024] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される1つ以上の実施形態は本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される1つ以上の実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
【0024】
[0025] 記載される1つ以上の実施形態、及び「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示の実施形態」、「例示的な実施形態」などへの明細書中での言及は、説明される1つ以上の実施形態が、特定の特徴、構造、又は特性を含み得ることを示すが、あらゆる実施形態が、必ずしもその特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがある。また、かかる語句は必ずしも同一の実施形態を指しているわけではない。更に、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性が説明される場合、明示的に説明されていようといまいと、かかる特徴、構造、又は特性を他の実施形態に関連してもたらすことは、当業者の知識の範囲内であると理解される。
【0025】
[0026] 具体的な実施形態をより詳細に説明する前に、本発明の実施形態が実施され得る例示的な環境を提示することが有益である。図1を参照すると、フォトリソグラフィシステム10が照明システム100を備える。以下により詳細に説明するように、照明システム100は、パルス光ビーム20を生成し、これをウェーハ40上にマイクロ電子フィーチャをパターニングするフォトリソグラフィ露光装置又はスキャナ30に誘導する光源を備える。ウェーハ40は、ウェーハ40を保持するように構築され、特定のパラメータに従ってウェーハ40を正確に位置決めするように構成されたポジショナに接続されたウェーハテーブル50上に配置されている。
【0026】
[0027] フォトリソグラフィシステム10は、深紫外線(DUV)範囲内の波長を有する、例えば248ナノメートル(nm)又は193nmの波長を有する光ビーム20を使用する。ウェーハ40上にパターニングされ得るマイクロ電子フィーチャの最小サイズは、光ビーム20の波長に依存し、より低い波長はより小さな最小フィーチャサイズを可能にする。光ビーム20の波長が248nm又は193nmであるとき、マイクロ電子フィーチャの最小サイズは、例えば50nm以下である可能性がある。光ビーム20の帯域幅は、その光学スペクトル(又は発光スペクトル)の実際の瞬時帯域幅である可能性があり、光ビーム20の光エネルギーが様々な波長にどのように分布するかに関する情報を含む。スキャナ30は、例えば1つ以上の集光レンズ、マスク、及び対物装置を有する光学装置を備える。マスクは、光ビーム20の光軸に沿って又は光軸に対して垂直な平面内など、1つ以上の方向に沿って移動可能である。対物装置は投影レンズを備え、マスクからウェーハ40上のフォトレジストに像転写が行われることを可能にする。照明システム100は、マスクに衝突する光ビーム20の角度範囲を調整する。照明システム100は、マスク全体にわたる光ビーム20の強度分布も均等化する(均一にする)。
【0027】
[0028] スキャナ30は、他の特徴の中でもとりわけ、リソグラフィコントローラ60、空調デバイス、及び様々な電気コンポーネントのための電源を備える可能性がある。リソグラフィコントローラ60は、層がウェーハ40上にどのようにプリントされるかを制御する。リソグラフィコントローラ60は、プロセスレシピなどの情報を記憶するメモリを備える。プロセスプログラム又はレシピは、ウェーハ40の露光の長さを、例えば使用されるマスク及び露光に影響を与える他の要因に基づいて決定する。リソグラフィの間、光ビーム20の複数のパルスが、照明ドーズを構成するためにウェーハ40の同じエリアを照明する。
【0028】
[0029] フォトリソグラフィシステム10は一部の実施形態において、好ましくは制御システム70も備える。一般に、制御システム70は、デジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちの1つ以上を備える。制御システム70は、読み取り専用メモリ及び/又はランダムアクセスメモリであり得るメモリも備える。コンピュータプログラム命令及びデータを有形的に具現化するのに適した記憶デバイスには、例として、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、内部ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、及びCD-ROMディスクを含む、全ての形態の不揮発性メモリが含まれる。
【0029】
[0030] 制御システム70は、1つ以上の入力デバイス(例えばキーボード、タッチスクリーン、マイクロフォン、マウス、ハンドヘルド入力デバイスなど)、及び1つ以上の出力デバイス(スピーカ又はモニタなど)も備える可能性がある。制御システム70は、1つ以上のプログラム可能プロセッサ、及び1つ以上のプログラム可能プロセッサにより実行される機械可読記憶デバイスに有形的に具現化された1つ以上のコンピュータプログラム製品も備えることがある。1つ以上のプログラム可能プロセッサは、それぞれが入力データに作用し、適切な出力を行うことによって所望の機能を実行するための命令のプログラムを実行することができる。一般に、プロセッサはメモリから命令及びデータを受信する。前述のものはいずれも、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)によって補完されるか、又はこれに組み込まれることがある。制御システム70は、中心に集められるか、又はフォトリソグラフィシステム10全体にわたって部分的もしくは全体的に分散される可能性がある。
【0030】
[0031] 図2を参照すると、照明システム100は、レーザ放電チャンバ110内のガス混合物107中のフッ素(F2)の濃度を測定又は推定するように構成されている検出装置105を備える。レーザ放電チャンバ110内のフッ素分子F2の濃度は、フッ素を直接検知できないほど高い範囲である場合がある。例えば、レーザ放電チャンバ110内のフッ素濃度は、約百万分の500部(ppm)より高い場合があり、約1000ppm又は最大約2000ppmである可能性がある。しかしながら、市販のフッ素センサは通常、10ppmで飽和状態になるため、かかる市販のフッ素センサをレーザ放電チャンバ110内のフッ素濃度を直接測定するために使用することは非現実的となる。一方、検出装置105は、O2を発生する化学反応であって、発生したO2の量を反応に関与したフッ素の量に既知の方法で関連付ける化学反応に依拠する。そしてO2の量は市販のO2センサ115で測定することができる。したがって、検出装置105は、(O2センサ115から供給される)化学反応後に存在するO2の量に基づいて、かつ化学反応に関する情報に基づいて、化学反応の開始前に存在していたフッ素量を計算するための基礎を提供することができる。ここ及び他の場所において、「量」及び「濃度」という用語は、文脈が許すとき同じ意味で使用され、一方が他方から直接計算できることが理解される。
【0031】
[0032] この推定値が正確なものとなるように、検出装置105の動作は、フッ素を消費しO2を放出する化学反応が、化学反応の開始前のフッ素濃度と化学反応の終了時のO2の濃度との間に直接的な既知の相関関係がある線形反応であるという仮定に基づいている。一部の場合では、動作が、フッ素の消費が完了しているため、化学反応後のガス中には残留フッ素分子F2がないという仮定に基づいている。
【0032】
[0033] フォトリソグラフィシステム10(図1)は、レーザ放電チャンバ110に導管システム127を介して流体接続されたガス供給システムを少なくとも備えたガス維持システム120を備える。ガス維持システム120は、1つ以上のガス供給部と、供給部からのガスのうちのどれが導管システム127を介してレーザ放電チャンバ110に移出入されるかを制御するための制御ユニット(バルブシステムも備える)とを備える。
【0033】
[0034] 検出装置105は、O2センサ115からの出力を受け、ガス混合物107中のフッ素の量を推定するためにどれくらいのフッ素が化学反応の開始前に存在していたかを計算するコントローラ130と連動する。コントローラ130は、制御システム70(図1)の一部、スタンドアロンコントローラ、又はフォトリソグラフィシステム10内もしくはこれらの全部又は一部の間に分散された何らかの他の制御システムの一部である場合がある。コントローラ130はこの情報を利用して、ガス混合物107中のフッ素の濃度が調整される必要があるかどうかを判定する。したがって、コントローラ130は、判定に基づいてレーザ放電チャンバ110に移出入される、ガス維持システム120の供給部におけるガスの相対量をどのように調整するかを決定する。コントローラ130は、レーザ放電チャンバ110のガス更新中にガス混合物107中のフッ素の相対濃度を調整する信号をガス維持システム120に送信する。
【0034】
[0035] 検出装置105は、アルミナなどの金属酸化物145を収容する反応キャビティ140を画定する反応容器135を備える。反応キャビティ140はスクラバと呼ばれることもある。反応キャビティ140は、レーザ放電チャンバ110に導管137を介して流体接続されて、フッ素を含む混合ガス150をレーザ放電チャンバ110から受け取る。流体制御デバイス138(バルブなど)が、混合ガス150が反応キャビティ140に供給されるタイミングをコントローラ130の制御下で調整し、かつ混合ガス150の反応容器135への流量を制御するために導管137内に配置される可能性がある。このようにして反応キャビティ140は、受け取った混合ガス150のフッ素と金属酸化物145との化学反応が新しいガス混合物155を形成することを可能にする。反応キャビティ140を画定する反応容器135の内部は、受け取った混合ガス150のフッ素と金属酸化物145との化学反応を妨げたり変化させたりしないように非反応性材料で作られるべきである。例えば反応容器135の内部は、ステンレス鋼やモネルメタルなどの非反応性金属で作られる可能性がある。
【0035】
[0036] O2センサ115は、新しいガス混合物155を受け取るために流体接続され、すなわち流体連通し、新しいガス混合物155内のO2の量を検知するように配置されている。O2センサ115は、反応キャビティ140内の化学反応に起因して予想される濃度範囲内のO2濃度を検出できる市販のO2センサである可能性がある。例えばO2センサ115は、一部の実施形態において新しいガス混合物155内のO2を200~1000ppmの範囲内で検知する。
【0036】
[0037] この濃度範囲に適したO2センサの一例は、O2の検出用の精密な酸化ジルコニアセンサを利用したO2分析計である。酸化ジルコニアセンサは、高純度・高密度安定化ジルコニアセラミックで作られたセルを備える。酸化ジルコニアセンサは、新しいガス混合物155のO2濃度を示す電圧信号を生成する。また、酸化ジルコニアセンサの出力はO2センサ115内の高速マイクロプロセッサによって分析(例えば変換及び線形化)されて、コントローラ130により使用される直接デジタル出力を提供する。従来の酸化ジルコニウムセルは、その内面及び外面に多孔性白金電極がめっきされた酸化ジルコニウムセラミックチューブを含む。センサが特定の温度(例えば600Cすなわち1112°F)を超えて加熱されると、O2イオン伝導性電解質になる。電極は、O2分子からO2、酸素イオン、及び酸素イオンからO2分子への変化のための触媒表面を提供する。セルの高濃度基準ガス側のO2分子が電子を得て電解質に入るイオンになる。
【0037】
[0038] 同時に内部電極において、酸素イオンが電子を失い、O2分子として表面から放出される。O2濃度がセンサの各側で異なるとき、酸素イオンは高濃度側から低濃度側に移動する。このイオン流動は電極間にDC電圧をもたらす電気的不均衡を生じさせる。この電圧は、センサ温度及びセンサの両側のO2分圧(濃度)比の関数である。次いでこの電圧は、O2センサ115内の高速マイクロプロセッサによって分析されコントローラ130によって直接読み出される。
【0038】
[0039] O2センサ115は測定容器170の測定キャビティ175の内側にある可能性がある。測定キャビティ175は反応キャビティ140に導管177を介して流体接続されている。ある実施形態によれば、1つ以上の流体制御デバイス178(バルブなど)が、新しいガス混合物155が測定キャビティ175に誘導されるタイミングを制御ユニット130の制御下で調整し、かつ新しいガス混合物155の測定容器170への流量を制御するために導管177内に配置される可能性がある。
【0039】
[0040] 金属酸化物145は、フッ素と金属酸化物との化学反応が化学量論的に単純で実施及び制御が容易であることから混合ガス150中のフッ素と反応するものが選択される。また、化学反応の制御された化学量論比は一定である。また、フッ素と金属酸化物との化学反応は安定した化学反応である。化学反応は、化学反応が同時に逆方向に進行しておらず、新しいガス混合物の成分がフッ素を形成するために新しいガス混合物中の他の何かと反応しない場合に安定的である可能性がある。安定的で化学量論比が制御された混合ガス150のフッ素と金属酸化物145との1つの適切な化学反応を次に考察する。
【0040】
[0041] 一部の実装形態では、金属酸化物145は粉体形状である。また、粉体形状の金属酸化物145は、金属酸化物145の粉体中の粒子が移動しないように(チューブであり得る)反応容器135にぎっしりと詰め込まれる可能性がある。金属酸化物145の粉体の外部空間かつ反応容器135内の面積又は容積は細孔と見なされ、粉体形状の金属酸化物145を使用することによって、金属酸化物145とフッ素との完全な化学反応を可能にする大きな表面積の存在を保証することが可能である。一部の実装形態では、特定の金属酸化物に依存して、金属酸化物145及び反応容器135は室温に維持され、金属酸化物145とフッ素との反応は触媒を必要とせずに進行する。
【0041】
[0042] 金属酸化物145は、アルミニウムなどの金属を含むことがある。また、金属酸化物145は、好ましくはアルカリ金属、アルカリ土類金属、水素、及び炭素がない。したがって、金属酸化物145は(酸化アルミニウムすなわちAl2O3である)アルミナである可能性がある。アルミナは、ガス中のフッ素との化学反応を促進するのに十分な表面積を提供するのに十分な細孔を有する粉体固体形状である。粉体の粒子間の空間は、化学反応を可能にするためにフッ素含有ガスがアルミナに流入できるほど十分に大きい。例えばアルミナは、カラムに詰め込まれる粉末又は粒状であり、1グラム当たり少なくとも0.35立方センチメートルの全細孔容積を有する可能性がある。混合ガス150は金属酸化物145を通って又は横切って通過して(例えば流れて)、フッ素とアルミナとの化学反応を可能にする。
【0042】
[0043] 混合ガス150中にフッ素が存在する場合、次の化学反応が起こる。
[0044] 6F2+2Al2O3=4AlF3+302
【0043】
[0045] したがって、6分子のフッ素が2分子の金属酸化物(Al2O3)と作用するごとに、4分子の無機フッ化物化合物(フッ化アルミニウムすなわちAlF3)及び3分子の酸素(02)が産生される。この化学反応は線形で化学量論的に単純な反応である。したがって、フッ素とO2にのみ注目すると、2分子のフッ素F2が化学反応に投入されるごとに、1分子のO2が化学反応から産生される。したがって、化学反応に投入されるフッ素F2の濃度が1000ppmである場合、500ppmのO2の濃度が化学反応後に放出され、O2センサ115によって検出される。したがって、例えば検出装置105における測定の結果の解釈は、消費されたフッ素と生成されたO2との比率がこの化学反応では2:1であるという仮定に基づいているため、600ppmのO2がO2センサ115によって検出された場合は、1200ppmのフッ素がガス混合物107中に存在していたことを意味する。他の実装形態では、検出装置105はサンプル中のフッ素の変換が完了した(したがって、化学反応後のガス中には残留フッ素分子F2がない)という仮定に基づいて動作することができる。例えばこの仮定は、化学反応の開始後に十分な時間が経過している場合に有効な仮定である可能性がある。
【0044】
[0046] 一部の実装形態では、金属酸化物145と混合ガス150中のフッ素との反応は、1つ以上の特別に設計された条件下で起こる。例えば金属酸化物145と混合ガス150中のフッ素との反応は、化学反応の速度を変化させるが、化学反応の終わりに化学的に不変である物質である1種類以上の触媒の存在下で起こる可能性がある。別の例として、金属酸化物145と混合ガス150中のフッ素との反応は、温度制御された環境や湿度制御された環境などの制御環境で起こる可能性がある。
【0045】
[0047] ガス混合物107は、希ガスとフッ素などのハロゲンとを含む利得媒体を含む。動作中、(光増幅のための利得媒体を提供する)ガス混合物107中のフッ素は経時的に枯渇する。これによって光増幅量が減るため、照明システム100により生成される光ビーム20(図1)の特性が変化する。明細書の全体が参照により本明細書に組み込まれる1999年11月2日発行の「Fluorine Control System for Excimer Lasers」と題する米国特許第5,978,406号参照。ガス維持システム120は、レーザ放電チャンバ110内のガス混合物107内のフッ素の濃度を最初のガス補充手順で設定されるフッ素濃度と比較して目標値の一定の許容範囲内に維持しようとする。フッ素は、壁及びフッ素の比較的規則的な枯渇をもたらす他のレーザコンポーネントと反応することになる。枯渇速度は多くの要因に左右されるが、所与のレーザのその耐用寿命の特定の時点における枯渇速度は、レーザが動作している場合は主としてパルス繰り返し数及び負荷率に依存する。このため、追加のフッ素がレーザ放電チャンバ110に定期的にかつガス維持システム120の制御下で追加される。フッ素消費量はガス放電チャンバによって異なるため、各機会にレーザ放電チャンバ110に押し込まれる又は注入されるフッ素の量を決定するのに閉ループ制御が用いられる。したがって、このフッ素のレーザチャンバへの注入は、レーザが動作可能な状態でパルスを発生させているときに行われる可能性がある。検出装置105は、レーザ放電チャンバ110内のガス混合物中のフッ素の濃度を測定するのに使用され、したがって、レーザ放電チャンバ110に押し込まれる又は注入されるフッ素の量を決定する全体的なスキームで使用される。
【0046】
[0048] 前述のように、上記の方法を用いると、結果として生じるF2濃度の間接的な測定値が、センサがあまりにも長い間、すなわち数分又は数時間のオーダーで稼働していなかった場合にF2の実際の濃度より低くなる傾向がある。反応チャンバのサイズを大きくすることがある程度この傾向に抵抗するが、O2読み取り値が反応チャンバ容積により許容されるサンプリング時間に最終的な定常状態の値に収束する又は予想どおりに達することができないという問題を生み出す。
【0047】
[0049] 一実施形態の一態様によれば、これらの問題を回避するために、測定が、窒素などの不活性ガスを使用して反応キャビティ140内の残留O2を、残留O2読み取りが行われるO2センサ115に押し出す。次いで反応キャビティ140はサンプリングされるガスで充填される。半導体フォトリソグラフィと関連して使用されるシステムの例では、これは主発振器チャンバなどの1つのレーザ放電チャンバ内のガスサンプルである。第2のF2反応が十分に完了に近づいた後、不活性ガスを使用して反応チャンバ内で結果として生じるO2を、F2濃度の最終調整測定値の基礎を得るために第2のO2測定が行われるO2センサ115に押し出す。
【0048】
[0050] この手順を実行するために、検出装置105は、窒素などの不活性ガス220を反応キャビティ140に導管210を介して供給するように配置された不活性ガス源200と選択可能に接続されている。流体制御デバイス230(バルブなど)が、不活性ガス220が反応キャビティ140に流入するタイミングを制御ユニット130の制御下で調整するために導管210内に配置される可能性がある。図2にも示すように、一部の実施形態によれば、図4と関連して以下で説明されるプロセスの一部として反応キャビティ140を空にするために、反応キャビティ140をポンプなどの真空源400又はほぼ真空圧の容器と選択可能に流体連通して配置するバルブ430を備えた導管410が存在する。
【0049】
[0051] 図3は、前述のプロセスを更に説明するフローチャートである。ステップS10において、不活性ガス源200は不活性ガスを反応キャビティ140に供給して、反応キャビティ140内のガスをO2センサ115に押し出す。ステップS20において、O2センサ115は押し出されたガス中のO2濃度を測定する。ある実施形態によれば、これらの読み取り値はO2測定値を得るために収集され統合される。この測定値は反応キャビティ140内にあったO2の残量であるため、本明細書では残留O2測定値と呼ばれる。
【0050】
[0052] ステップS30において、反応キャビティ140は、反応キャビティ140内の反応が実質的に完了まで進行するのに十分であることが知られている一定期間そこに存在するチャンバガスで充填されて一定圧力になる。
【0051】
[0053] ステップS40において、不活性ガス源200は不活性ガスの第2の部分を反応キャビティ140に供給して、反応キャビティ140内のガスをO2センサ115に押し出す。ステップS50において、O2センサ115は押し出されたガス中のO2濃度を測定する。ある実施形態によれば、読み取り値は第2のO2測定値を得るために収集され統合される。この第2の測定値は、F(n)を測定するために反応キャビティ140内で生成されたO2の量であるため、本明細書では最終O2測定値と呼ばれる。ステップS60において、F(n)は最終O2測定値から推測される。ステップS70において、決定されたF2濃度であるF(n)は、残留O2測定値に少なくとも部分的に基づいて調整される。一部の実施形態では、プロセスは、レーザ放電チャンバ内の混合ガスに供給する追加のフッ素含有ガスの量が推定フッ素濃度に基づいて決定されるステップS80に、その後追加のフッ素含有ガスの量をレーザ放電チャンバ内の混合ガスに供給するステップS90に進む。
【0052】
[0054] 図4に示すように、一部の実施形態によれば、プロセスは、反応キャビティ140を真空源400と流体連通して配置することによって空にするステップS100をステップS20とS30との間に含む可能性がある。
【0053】
[0055] 一実施形態の別の態様によれば、補償法が、上記シーケンスからの全O2測定値を使用して、センサでサンプリングされたガス中のF2濃度を得る。ここで「全O2測定値」は、F2の補償されていない測定値、つまりF(n)のためのO2の測定値だけではなく、F2測定値の補償の基礎として使用される残留O2の予備測定値も意味する。具体的には、補正又は補償フッ素濃度f(n)が次の関係によって決定される。
【0054】
[0056]
【0055】
【数2】
【0056】
ここでk、k、及びkは、試験データのカーブフィッティングから決定される一定係数であり、
(n)は残留(第1)O2測定の結果であり、
(n)は、最終(第2)O2測定値から推測される補償されていないF2濃度であり、
P(n)は、F(n)測定中にセンサに充填されたチャンバガスの全圧であり、
ΔtIdleは、直近の、すなわち直前の測定及び現在の測定の開始からの時間(秒)であり、
ΔtPushは、現在の測定の開始時の残留O2測定値を得るために、不活性ガス、例えばN2を使用して残留O2を反応チャンバから押し出す時間(秒)である。
【0057】
[0057] したがって、上記の装置及び上記の方法を用いて、測定間に経過する時間に関係なくF2濃度の改善された測定値を得ることができる。
【0058】
[0058] 請求項を解釈するために、発明の概要及び要約の項ではなく、詳細な説明の項を使用することが意図されていることが理解されるべきである。発明の概要及び要約の項は、本発明者が想定するような本発明の例示的な実施形態のうちの1つ以上を記載することがあるが、全てを記載することはないため、本発明及び添付の請求項をいかなる意味でも限定することは意図されていない。
【0059】
[0059] 本発明について、指定された機能及びそれらの関係の実装を示す機能構築ブロックを用いて上述した。これらの機能構築ブロックの境界は、本明細書では説明の便宜のために任意に定められている。指定された機能及びそれらの関係が適切に実行される限り、代替的な境界を定めることも可能である。
【0060】
[0060] 特定の実施形態の前述の記載は、本発明の全体的な性質を充分に明らかにするので、当技術分野内の知識を適用することによって、過度の実験を行わずに、本発明の全体的な概念から逸脱することなく、かかる特定の実施形態を様々な用途向けに容易に変更する及び/又は適合させることができる。したがって、本明細書に提示された教示及び案内に基づいて、かかる適合及び変更は、開示されている実施形態の均等物の意味及び範囲内にあることが意図されている。本明細書における表現又は用語は、限定でなく説明のためのものであるため、本明細書の表現又は用語が当業者によって教示及び案内に照らして解釈されるべきであることは理解されよう。
【0061】
[0061] 本発明の他の態様を以下の番号付けされた条項に記載する。
1.サンプリングされるフッ素を含む混合ガスの源と選択可能に流体連通して配置される反応キャビティを画定する容器であって、酸素を含む製品ガスを形成するために混合ガス中のフッ素と反応する金属酸化物を含み、更に不活性ガスの源と選択可能に流体連通して配置される容器と、
製品ガスを受け取り、製品ガス中の酸素の量を検知するために容器と選択可能に流体連通して配置される酸素センサとを備えた装置。
2.容器が更に真空源と選択可能に流体連通して配置される、条項1に記載の装置。
3.金属酸化物がアルミナを含む、条項1に記載の装置。
4.サンプリングされるフッ素を含む混合ガスの源がレーザ放電チャンバを備える、条項1に記載の装置。
5.不活性ガスの源が窒素の源を含む、条項1に記載の装置。
6.レーザ放電チャンバと、
サンプリングされるフッ素を含む混合ガスのサンプルを受け取るためにレーザ放電チャンバと選択可能に流体連通して配置される反応キャビティを画定する容器であって、酸素を含む製品ガスを形成するために混合ガス中のフッ素と反応する金属酸化物を含む容器と、
容器と選択可能に流体連通した不活性ガスの源と、
製品ガスを受け取り、製品ガス内の酸素の量を検知するために容器と選択可能に流体連通して配置されている酸素センサとを備えた装置。
7.容器がまた真空源と選択可能に流体連通して配置されている、条項6に記載の装置。
8.金属酸化物がアルミナを含む、条項6に記載の装置。
9.サンプリングされるフッ素を含む混合ガスの源がレーザ放電チャンバを備える、条項6に記載の装置。
10.不活性ガスの源が窒素の源を含む、条項6に記載の装置。
11.レーザ放電チャンバに流体接続されたガス供給システムを備えたガス維持システムと、
ガス維持システム及び検出装置に接続されており、酸素センサの出力を受け、ガス放電チャンバから受け取った混合ガス中のフッ素の濃度を推定し、ガス維持システムのガス供給システムからのガス混合物中のフッ素の濃度を混合ガス中の推定したフッ素濃度に基づいて変更すべきかどうかを判定し、レーザ放電チャンバのガス更新中にガス維持システムのガス供給システムからレーザ放電チャンバに供給されるガス混合物中のフッ素の相対濃度を変更する信号をガス維持システムに送信する制御システムとを更に備えた、条項6に記載の装置。
12.不活性ガスの第1の部分を使用して反応キャビティ内の残留ガスをセンサに押し出すこと、
センサを使用して残留ガス内の第1の酸素濃度を検知すること、
レーザ放電チャンバからのフッ素を含む混合ガスの少なくとも一部分を反応キャビティに供給すること、
酸素を含む製品ガスを形成するために混合ガスの一部分中のフッ素を反応チャンバ内で金属酸化物と反応させること、
不活性ガスの第2の部分を使用して反応キャビティ内の製品ガスをセンサに押し出すこと、
製品ガス内の第2の酸素濃度を検知すること、
レーザ放電チャンバからの混合ガスの一部分中の推定フッ素濃度を、検知した第2の酸素濃度に基づいて推測すること、及び
レーザ放電チャンバからの混合ガスの一部分中の補償フッ素濃度を、第1の酸素濃度及び推定フッ素濃度に少なくとも部分的に基づいて決定することを含む方法。
13.センサを使用して残留ガス内の第1の酸素濃度を検知することと、反応キャビティにフッ素を含むレーザ放電チャンバからの混合ガスの少なくとも一部分を供給することとの間に反応キャビティを空にすることを更に含む、条項12に記載の方法。
14.フッ素濃度の現在の測定の開始直前の測定から経過した時間を示す量ΔtIdleと、不活性ガスの第1の部分が生成されたガス混合物をセンサに押し出す時間を示す量ΔtPushとを決定することを更に含み、レーザ放電チャンバからの混合ガスの一部分中の補償フッ素濃度を決定することも、ΔtIdle及びΔtPushに少なくとも部分的に基づいている、条項12に記載の方法。
15.補償フッ素測定値f(n)が次式によって決定され、
【数3】
ここでk、k、及びkが、試験データから決定される一定係数であり、
(n)が、センサを使用して残留ガス内の第1のO2濃度を検知した結果であり、
(n)が、測定される推定フッ素濃度であり、
P(n)が、生成されたガス混合物中のF2の推定値を得るときにセンサに加えられる全圧であり、
ΔtIdleが、直近の前の測定及び現在の測定の開始からの時間(秒)であり、
ΔtPushが、現在の測定の開始時の残留O2測定値を得るために、不活性ガスを使用して残留O2を反応チャンバから押し出す時間(秒)である、条項12に記載の方法。
16.残留ガスが直前の測定からのものである、条項12に記載の方法。
17.金属酸化物がアルミナを含む、条項12に記載の方法。
18.不活性ガスが窒素を含む、条項12に記載の方法。
19.レーザ放電チャンバ内の混合ガスに供給する追加のフッ素含有ガスの量を推定フッ素濃度に基づいて決定することを更に含む、条項12に記載の方法。
20.不活性ガスの第1の部分を使用して反応キャビティ内の残留ガスをセンサに押し出すこと、
センサを使用して残留ガス内の第1の酸素濃度を検知すること、
レーザ放電チャンバからのフッ素を含む混合ガスの少なくとも一部分を反応キャビティに供給すること、
酸素を含む製品ガスを形成するために混合ガスの一部分中のフッ素を反応チャンバ内で金属酸化物と反応させること、
不活性ガスの第2の部分を使用して反応キャビティ内の製品ガスをセンサに押し出すこと、
製品ガス内の第2の酸素濃度を検知すること、
レーザ放電チャンバからの混合ガスの一部分中の推定フッ素濃度を、検知した第2の酸素濃度に基づいて推測すること、
レーザ放電チャンバからの混合ガスの一部分中の補償フッ素濃度を、第1の酸素濃度及び推定フッ素濃度に少なくとも部分的に基づいて決定すること
レーザ放電チャンバ内の混合ガスに供給する追加のフッ素含有ガスの量を推定フッ素濃度に基づいて決定すること、及び
追加のフッ素含有ガスの量をレーザ放電チャンバ内の混合ガスに供給することを含む方法。
図1
図2
図3
図4