(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】粉体収容容器、トナー収容容器、現像装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240701BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G03G15/08 342
G03G21/16 147
(21)【出願番号】P 2020095336
(22)【出願日】2020-06-01
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207181
【氏名又は名称】岡村 朋
(72)【発明者】
【氏名】松本 和樹
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-053558(JP,A)
【文献】特開2011-002756(JP,A)
【文献】特開2019-002956(JP,A)
【文献】特開2013-029570(JP,A)
【文献】特開2014-197236(JP,A)
【文献】特開2010-020227(JP,A)
【文献】国際公開第2016/132634(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
13/08
13/095
15/00
15/08
15/095
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を外部へ排出する排出口を備え、前記粉体を収容する容器本体と、
前記排出口へ前記粉体を搬送する搬送部材と、
回転可能に設けられ、前記容器本体内の前記粉体を撹拌する撹拌部材と、
前記搬送部材によって搬送される前記粉体を前記撹拌部材側へ戻す戻し口と、
前記撹拌部材と前記戻し口とを隔てる隔壁とを備える粉体収容容器であって、
前記粉体収容容器が画像形成装置に装着された状態で、前記隔壁は、少なくともその一部が前記戻し口よりも上方に設けられ、
前記隔壁は、前記撹拌部材側へ、前記撹拌部材側と前記戻し口側との隔たりを開放可能であ
り、
前記隔壁は、前記開放後に自動で隔てた状態に復帰し、
前記隔壁は、その重力方向と反対側を回転軸にして、重力方向下側部分が開閉することを特徴とする粉体収容容器。
【請求項2】
粉体を外部へ排出する排出口を備え、前記粉体を収容する容器本体と、
前記排出口へ前記粉体を搬送する搬送部材と、
回転可能に設けられ、前記容器本体内の前記粉体を撹拌する撹拌部材と、
前記搬送部材によって搬送される前記粉体を前記撹拌部材側へ戻す戻し口と、
前記撹拌部材と前記戻し口とを隔てる隔壁とを備える粉体収容容器であって、
前記粉体収容容器が画像形成装置に装着された状態で、前記隔壁は、少なくともその一部が前記戻し口よりも上方に設けられ、
前記隔壁は、前記撹拌部材側へ、前記撹拌部材側と前記戻し口側との隔たりを開放可能であ
り、
前記隔壁は、前記撹拌部材側へ凹んだ凹部を有することを特徴とする粉体収容容器。
【請求項3】
粉体を外部へ排出する排出口を備え、前記粉体を収容する容器本体と、
前記排出口へ前記粉体を搬送する搬送部材と、
回転可能に設けられ、前記容器本体内の前記粉体を撹拌する撹拌部材と、
前記搬送部材によって搬送される前記粉体を前記撹拌部材側へ戻す戻し口と、
前記撹拌部材と前記戻し口とを隔てる隔壁とを備える粉体収容容器であって、
前記粉体収容容器が画像形成装置に装着された状態で、前記隔壁は、少なくともその一部が前記戻し口よりも上方に設けられ、
前記隔壁は、前記撹拌部材側へ、前記撹拌部材側と前記戻し口側との隔たりを開放可能であ
り、
前記隔壁に対して前記撹拌部材と反対側に、前記撹拌部材側へ移動可能な掻き取り部材を設けたことを特徴とする粉体収容容器。
【請求項4】
前記掻き取り部材の先端が前記戻し口と前記搬送部材との間に設けられる請求項
3記載の粉体収容容器。
【請求項5】
前記掻き取り部材は、前記戻し口に対する前記隔壁の延在方向と逆方向へ延在する請求項
3記載の粉体収容容器。
【請求項6】
前記掻き取り部材に孔部が設けられる請求項
3から5いずれか1項に記載の粉体収容容器。
【請求項7】
前記掻き取り部材は櫛歯形状をなす請求項
3から6いずれか1項に記載の粉体収容容器。
【請求項8】
前記隔壁は、前記排出口の上方に堆積した前記粉体からの荷重により、前記撹拌部材側へ開放される請求項
1から7いずれか1項に記載の粉体収容容器。
【請求項9】
前記粉体としてのトナーを収容するトナー収容容器である請求項1から
8いずれか1項に記載の粉体収容容器。
【請求項10】
請求項
9記載のトナー収容容器を備え、前記トナー収容容器から供給されたトナーを現像する現像装置。
【請求項11】
請求項
10記載の現像装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を収容する粉体収容容器、トナー収容容器、現像装置、および、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体が収容される粉体収容容器として、例えば、複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、画像形成用の粉体であるトナーが収容されたトナーカートリッジが用いられている。
【0003】
斯かるトナーカートリッジには、トナーを現像ローラなどへ供給するための排出口と、トナーカートリッジ内部のトナーを排出口へ搬送する搬送スクリュー等の搬送部材が設けられる。またこのようなトナーカートリッジでは、排出口におけるトナーの堆積を防止するために、トナーカートリッジ内でトナーを循環させる構成のものが存在する(例えば特許文献1)。
【0004】
特許文献1(特開2019-2956号公報)に記載のトナーカートリッジは、搬送スクリューと、排出口と、容器本体内でトナーを撹拌するための撹拌部材と、トナーを排出口の側から撹拌部材の側へ戻すための戻し口と、戻し口上方と撹拌部材との間に設けられる隔壁等を備える。搬送スクリューによって排出口側へ搬送されたトナーの一部は、戻し口により撹拌部材側へ移動する。これにより、容器本体内でトナーを循環させることができる。また隔壁は、撹拌部材によって撹拌されたトナーが戻し口を介して排出口の側へ運ばれるのを防止することができ、トナーの逆流を防止しして排出口からのトナーの排出速度を均一化できる。
【0005】
しかし特許文献1のトナーカートリッジでは、戻し口から戻されたトナーが隔壁によって撹拌部材側と隔てられることで、戻し口上方に堆積し、撹拌部材側へトナーが戻ることを妨げるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
隔壁に対して戻し口側に粉体が堆積するという課題があった。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、粉体を外部へ排出する排出口を備え、前記粉体を収容する容器本体と、前記排出口へ前記粉体を搬送する搬送部材と、回転可能に設けられ、前記容器本体内の前記粉体を撹拌する撹拌部材と、前記搬送部材によって搬送される前記粉体を前記撹拌部材側へ戻す戻し口と、前記撹拌部材と前記戻し口とを隔てる隔壁とを備える粉体収容容器であって、前記粉体収容容器が画像形成装置に装着された状態で、前記隔壁は、少なくともその一部が前記戻し口よりも上方に設けられ、前記隔壁は、前記撹拌部材側へ、前記撹拌部材側と前記戻し口側との隔たりを開放可能であり、前記隔壁は、前記開放後に自動で隔てた状態に復帰し、前記隔壁は、その重力方向と反対側を回転軸にして、重力方向下側部分が開閉することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、隔壁に対して戻し口側における粉体の堆積を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【
図2】画像形成装置のカバー部材を開いた状態を示す図である。
【
図3】画像形成装置の容器ホルダを上方に回動させた状態を示す図である。
【
図5】トナーカートリッジ内部の構成を示す斜視図である。
【
図7】本実施形態と異なるトナーカートリッジの概略構成図である。
【
図9】隔壁に設けられたトーションスプリングを示す図である。
【
図10】
図8と異なる形態の隔壁を示す断面図である。
【
図11】
図8と異なる形態の隔壁を示す断面図である。
【
図12】
図8と異なる形態の隔壁を示す断面図である。
【
図13】掻き取り部材を配置したトナーカートリッジを示す断面図である。
【
図14】掻き取り部材の回転の様子を示す図である。
【
図16】
図15の掻き取り部材を配置したトナーカートリッジを示す断面図である。
【
図17】
図13と異なる形態の掻き取り部材を配置したトナーカートリッジを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の実施形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。以下の説明では、粉体収容容器の一例として、粉体としてのトナーを収容するトナー収容容器およびトナー収容容器を備えた画像形成装置について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
ここで、画像形成装置には、プリンタ、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等が含まれる。
【0012】
図1に示す画像形成装置100は、画像形成装置本体に対して着脱可能な4つの作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkを備えるカラー画像形成装置である。なお、本発明は、カラー画像形成装置に限らず、モノクロ画像形成装置にも適用可能である。各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
【0013】
具体的に、各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkは、像担持体としてのドラム状の感光体2と、感光体2の表面を帯電する帯電装置3と、感光体2の表面に粉体としてのトナーを供給してトナー画像を形成する現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング装置5とを備える。
【0014】
現像装置4は、現像容器41と、現像剤としてのトナーを担持する現像剤担持体としての現像ローラ42と、現像ローラ42にトナーを供給する現像剤供給部材としての供給ローラ43と、現像ローラ42上に担持されたトナー量を規制する現像剤規制部材としての現像ブレード44と、現像容器41内でトナーを搬送する搬送スクリューとを備える。なお
図1では、便宜上、作像ユニット1Yに設けられた現像装置4についてのみ、現像容器41等を図示しているが、現像装置4の構成は全ての作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkで同じである。
【0015】
また、現像容器41の上部に対して、トナーカートリッジ30が着脱可能に設けられる。トナーカートリッジ30を現像容器41に対して装着することで、トナーカートリッジ30に設けられた排出口(詳しくは後述)が、現像容器41の上部に設けられた補給口と連通し、トナーカートリッジ30から現像容器41へのトナーの補給が可能になる。現像容器41に対してトナーカートリッジ30が装着されたユニットを現像装置4とすることもできるし、現像容器41からトナーカートリッジ30を取り外したユニットを現像装置4としてもよい。
【0016】
また、画像形成装置100は、各感光体2の表面を露光し静電潜像を形成する露光装置6と、記録媒体としての用紙を供給する給紙装置7と、各感光体2に形成されたトナー画像を用紙に転写する転写装置8と、用紙に転写されたトナー画像を定着する定着装置9とを備える。
【0017】
給紙装置7は、用紙を収容する給紙カセット10と、給紙カセット10から用紙を給送する給紙ローラ11とを有する。
【0018】
転写装置8は、複数のローラによって張架される中間転写体としての無端状の中間転写ベルト12と、各感光体2上のトナー画像を中間転写ベルト12へ転写する一次転写部材としての4つの一次転写ローラ13と、中間転写ベルト12上に転写されたトナー画像を用紙へ転写する二次転写部材としての二次転写ローラ14とを有する。複数の一次転写ローラ13は、それぞれ、中間転写ベルト12を介して感光体2に接触している。これにより、中間転写ベルト12と各感光体2とが互いに接触し、これらの間に一次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ14は、中間転写ベルト12を介して中間転写ベルト12を張架するローラの1つに接触している。これにより、二次転写ローラ14と中間転写ベルト12との間には二次転写ニップが形成されている。
【0019】
定着装置9は、ハロゲンヒータ等の加熱手段によって加熱され用紙に画像を定着させる定着部材としての定着ローラ15と、定着ローラ15に対して加圧される加圧部材としての加圧ローラ16とを有する。定着ローラ15と加圧ローラ16とは互いに接触し、両ローラ15,16間に定着ニップが形成されている。
【0020】
また、画像形成装置100内には、給紙カセット10から送り出された用紙が搬送される用紙搬送路20が形成されている。この用紙搬送路20における給紙ローラ11から二次転写ニップ(二次転写ローラ14)に至るまでの途中には、一対のタイミングローラ17が設けられている。
【0021】
続いて、
図1を参照して上記画像形成装置の作像動作について説明する。
【0022】
作像動作開始の指示があると、各感光体2が図における時計回りに回転駆動され、帯電装置3によって各感光体2の表面が均一な高電位に帯電される。次いで、原稿読取装置によって読み取られた原稿の画像情報、あるいは端末からプリント指示されたプリント情報に基づいて、露光装置6が各感光体2の表面を露光することで、露光された部分の電位が低下して静電潜像が形成される。そして、この静電潜像に対して各現像装置4からトナーが供給され、各感光体2上にトナー画像が形成される。
【0023】
各感光体2上に形成されたトナー画像は、一次転写ニップにおいて中間転写ベルト12上に重なり合うように順次転写される。これにより、中間転写ベルト12上にフルカラー(4色)のトナー画像が担持される。そして、中間転写ベルト12上のトナー画像は、二次転写ニップにおいて用紙に転写される。
【0024】
用紙は、給紙装置7から搬送されたものである。給紙装置7では、給紙カセット10内の用紙が給紙ローラ11によって1枚ずつ送り出され、送出された用紙はタイミングローラ17によって中間転写ベルト12上のトナー画像とタイミングを合わせて二次転写ニップへ搬送される。
【0025】
トナー画像が転写された用紙は、定着装置9へ搬送され、定着ローラ15と加圧ローラ16とによって熱と圧力が付与されることでトナー画像が用紙に定着される。そして、用紙は、画像形成装置の外部へ排出される。
【0026】
以上の説明は、用紙にフルカラー画像を形成するときの作像動作であるが、4つの作像ユニットのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つの作像ユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0027】
また、
図1に示すように、画像形成装置100の上部には、開閉可能なカバー部材21が設けられている。カバー部材21は、装置本体に設けられた水平方向(
図1の紙面に垂直な方向)の支軸22を中心に回動することで上下方向に開閉可能に構成されている。また、カバー部材21と各作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkとの間には、複数の粉体収容容器としてのトナーカートリッジ30を保持する容器ホルダ23が設けられている。容器ホルダ23は、装置本体に設けられた水平方向の支軸24を中心に回動可能に構成されている。
【0028】
図2に示すように、カバー部材21を上方へ回動させて開いた状態にすると、装置本体の上部が開放される。このように、装置本体の上部を開放状態にすることで、容器ホルダ23に対するトナーカートリッジ30の着脱作業を装置本体の上部から行えるようになる。
【0029】
さらに、
図3に示すように、容器ホルダ23を上方へ回動させると、容器ホルダ23を(トナーカートリッジ30ごと)作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkの上部近傍位置から退避させることができる。また、容器ホルダ23の下部には、露光装置6が吊り下げ保持されており、容器ホルダ23の退避動作に伴って露光装置6も一緒に各感光体2の上部近傍位置から退避する。このような状態にすることで、作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkの着脱作業を装置本体の上部から行えるようになる。また、容器ホルダ23を回動操作するだけで、複数のトナーカートリッジ30を一体的に退避させることができるので、トナーカートリッジ30を個別に取り外さなくても作像ユニット1Y,1M,1C,1Bkの着脱作業を行うことができ、作業性に優れる。
【0030】
以下、トナーカートリッジ30の具体的な構成について説明する。
なお、トナーカートリッジ30は、現像装置4に対応して複数(上記の画像形成装置では4つ)設けられ、現像装置4に対して着脱可能に設けられる。各トナーカートリッジ30は、それぞれ対応する現像装置4内のトナーと同色のトナーが収容されているが、それ以外は、いずれも基本的に同様の構成であるので、1つのトナーカートリッジ30を例にその構成について説明する。
【0031】
図4は、トナーカートリッジ30の断面図で、
図5は、トナーカートリッジ30内部の構成を示す斜視図である。
【0032】
図4および
図5に示すように、トナーカートリッジ30は、トナーをその内部に収容する容器本体31を備える。容器本体31の内部には、容器本体31内のトナーを撹拌する撹拌部材32と、トナーを搬送する搬送部材としての搬送スクリュー33と、仕切部材34等が設けられる。
【0033】
撹拌部材32は、樹脂材料や可撓性の材料によって構成される。撹拌部材32は、軸部32aと、二つの撹拌部32bによって構成される。撹拌部32bは、軸部32aを中心にしてそれぞれ回転軌跡の径方向の逆方向へ延在し、それぞれの撹拌部32bの一端部(軸部32a側と反対側の端部)が、容器本体31に当接する。ただし、撹拌部32bは、そのいずれか一方が容器本体31に当接すればよく、また撹拌部32bを一つだけ設けてもよい。
【0034】
撹拌部材32は、駆動源から駆動力を伝達されることにより、軸部32aを中心に、二つの撹拌部32bが矢印B1の方向へ回転する。これにより、容器本体31内のトナーを撹拌すると共に、搬送スクリュー33の側へ搬送する。
【0035】
仕切部材34は、容器本体31内の一部領域を区画する部材である。容器本体31内で、仕切部材34の外側の領域を第1の領域X1とし、仕切部材34の内側の領域を第2の領域X2とする。
図4に示すように、仕切部材34の内周面と、これに対向する容器本体31の内周面とによって、第2の領域X2が形成される。
【0036】
撹拌部材32の矢印B1方向への回転により、第1の領域X1内のトナーが撹拌され、その一部が搬送スクリュー33の側へ搬送される(矢印C1参照)。そして、
図5に示すように、搬送スクリュー33は、その駆動によってスクリューが矢印B2方向に回転し、トナーを矢印C2の方向へ搬送する。
【0037】
搬送スクリュー33は、トナー搬送方向(矢印C2方向)下流側端部が仕切部材34内の第2の領域X2内に挿入して設けられており、搬送スクリュー33によって搬送されたトナーは、第2の領域X2へ搬送される。
【0038】
仕切部材34の上部には、トナーを撹拌部材の側へ戻すための戻し口35が設けられる。戻し口35は、撹拌部材32の回転軌跡の径方向外側に設けられる。
【0039】
図6に示すように、容器本体31の第2の領域X2を形成する部分には、トナーを外部へ排出するための排出口36が設けられる。排出口36は、容器本体31の重力方向下側(水平面に載置された画像形成装置にトナーカートリッジ30が装着された状態における重力方向下側で、以下、単に重力方向とも呼ぶ)に設けられる。排出口36は、シャッタ部材により開閉可能に設けられ、図示例では、二重のシャッタ部材が設けられており、排出口36が閉鎖された状態を示している。それぞれのシャッタ部材には開放孔が設けられており、各シャッタ部材が動作して排出口36と二つの開放孔とが連通することにより、排出口36が外部に開放される。
【0040】
第2の領域X2の側から見て、戻し口35は、重力方向と反対の方向である上側の方向へ開口し、排出口36は重力方向へ開口している。また
図6の例では、排出口36が、戻し口35の一部に対向して設けられる。言い換えると、重力方向視で、排出口36が、戻し口35に重なって配置されている。
【0041】
トナーカートリッジ30から現像装置4(
図1参照)へトナーが補給される際には、排出口36が開放されて現像装置の本体側と連通すると共に、搬送スクリュー33が駆動して容器本体31内のトナーが第2の領域X2へ搬送され、その一部が排出口36から現像装置の本体側へ排出される(
図6の矢印B3参照)。仕切部材34により、排出口36が配置された第2の領域X2を区画することにより、排出口36から排出されるトナーを一定量以下に調整できる。
【0042】
そして、搬送スクリュー33によって第2の領域X2に搬送されたトナーの一部は、戻し口35によって撹拌部材の側へ戻される(
図6の矢印C3参照)。
【0043】
以上のように、第2の領域X2側へ搬送されたトナーの一部を、戻し口35を介して撹拌部材32側へ戻すことで、容器本体31内でトナーを循環させることができる。これにより、第2の領域X2内にトナーが過剰に搬送され、第2の領域X2内でトナーが詰まったり、第2の領域X2内でトナーが凝縮されることを防止できる。
【0044】
また、トナーカートリッジ30は隔壁37を有する。隔壁37は、戻し口35と撹拌部材32との間に設けられる。隔壁37は、仕切部材34の天面34aから上方(重力方向と反対方向)および
図4の紙面に垂直な方向に延在する板状の部材であり、少なくともその一部(本実施形態では全部)が戻し口35よりも上方に設けられる。
【0045】
この隔壁37により、戻し口35付近に堆積したトナーの第2の領域X2内への逆流を防止できる。つまり、隔壁37が設けられていない構成のトナーカートリッジ30では、トナーカートリッジ30の駆動時に、撹拌部材32(
図5参照)によって撹拌されたトナーの一部が戻し口35の側へ搬送され、戻し口35付近に堆積する。そして、堆積したトナーが一定量になると、戻し口35から第2の領域X2に落下し、その一部が排出口36から外部へ排出されてしまう。これにより、トナーカートリッジ30からのトナー排出速度が不均一になるという問題がある。
【0046】
これに対して、隔壁37を設けることにより、上記の戻し口35から第2の領域X2のトナーの逆流を防止し、トナー排出速度を均一化できる。なお本実施形態では、隔壁37の仕切部材34の天面34aからの高さ(重力方向と反対方向への長さ)H1は、仕切部材34の天面34aから撹拌部材32の回転軸までの高さH2よりも大きい。これにより、隔壁37が撹拌部材32から戻し口35へのトナーを効率良く防ぐことができ、好ましい。
【0047】
ところで、
図7に示すように、本実施形態の構成と異なり隔壁37’が仕切部材34に固定された構成の場合、戻し口35から第1の領域X1側に戻されたトナーTが、戻し口35の上方の容器本体31と隔壁37’との間に堆積し、トナーが容器本体31内で循環しなくなるという課題がある。
【0048】
これに対して本実施形態では、
図8に示すように、隔壁37が仕切部材34の天面34aに固定された回転軸37aを中心に回転可能に設けられる。回転軸37aは
図8の紙面に垂直な方向で、撹拌部材32の軸部32aと同じ方向に延在する。回転軸37aは蝶番などで仕切部材34に固定されている。
【0049】
隔壁37に外力が加わらない状態では、隔壁37は直立し(
図8の点線参照)、撹拌部材32側と戻し口35の上部との間の壁部材として機能している。これにより、撹拌部材32に撹拌されたトナーが戻し口35から第2の領域X2へ逆流することを防止できる。一方、本実施形態において、戻し口35から第1の領域X1の側へ戻されたトナーTが戻し口35の上方の容器本体31と隔壁37’との間に堆積していくと(トナーTが堆積する様子は
図7参照)、
図8に示すように、トナーTの荷重によって隔壁37が回転軸37aを中心に撹拌部材32側へ回転する(
図8の矢印および実線部参照)。これにより、トナーTが撹拌部材32の側へ流れ出し、トナーTが戻し口35の上方に一定量以上堆積することを防止でき、トナーカートリッジ30内でトナーを循環させることができる。
【0050】
このように本実施形態の隔壁37は、壁部材として機能して戻し口35からのトナーの逆流を防止する効果と、戻し口35の上方に堆積するトナーTが一定量以上になった場合に、トナーTを撹拌部材32側へ流し出すことで、戻し口35の上方におけるトナーの堆積を防止する効果とを両立できる。また、トナーTの荷重によって隔壁37が自動で回転する構成のため、隔壁37を駆動させる駆動部材等を必要とせず、トナーカートリッジ30のコストを小さく抑えることができる。
【0051】
図9に示すように、隔壁37には、付勢部材としてのトーションスプリング38が設けられる。トーションスプリング38はその一端を隔壁37の一端(回転軸37aと反対の自由端)に固定され、他端を例えば仕切部材34に固定される。トーションスプリング38は隔壁37を点線位置の方向へ付勢する(
図9の矢印方向参照)。
【0052】
トナーTの荷重によって
図9の実線位置まで回転した隔壁37は、トーションスプリング38の付勢力によって点線位置まで回転する。このように、堆積したトナーTを撹拌部材32側へ送り出した隔壁37は、自動で点線位置まで復帰して再び壁部材として機能することができる。ただし、トーションスプリング38の付勢力に代えて、撹拌部材32の回転動作によって隔壁37を点線位置まで回転させることもできる。
【0053】
次に、隔壁37の変形例について順に説明する。上記実施形態と同様の点については適宜その説明を省略する。
【0054】
図10に示すように、本実施形態では、隔壁37の回転軸37aが重力方向(上下方向)に延在し、この回転軸37aを中心に回転する(
図10の実線と点線の隔壁37参照)。回転軸37aは容器本体31に固定される。
【0055】
本実施形態の構成では、隔壁37が、撹拌部材32の軸方向の端部側を支点として、その反対側である撹拌部材32の軸方向の中央側を開閉させる。これにより、堆積したトナーTを撹拌部材32の軸方向のより中央側へ送り出すことができ、トナーカートリッジ30内でのトナーの循環効率を向上させることができる。
【0056】
また
図11に示すように、隔壁37の回転軸37aを、重力方向と反対側の端部に設けることもできる。回転軸37aは
図11の紙面に垂直な方向に延在する。隔壁37の重力方向下側の端部が自由端になり、この部分が開閉する。本実施形態では、点線位置まで回転した隔壁37が、自重によって実線位置まで復帰できる。
【0057】
次の実施形態では、
図12に示すように、隔壁37に凹部37bが設けられる。凹部37bは、隔壁37のその他の部分よりも撹拌部材32側へ凹んだ部分である。
【0058】
本実施形態では、戻し口35の上部に堆積したトナーTの一部が凹部37bに溜る。従って、隔壁37がトナーTの荷重によってより回転しやすくなり、堆積したトナーTを撹拌部材32側へより送り出しやすくなる。
【0059】
次の実施形態では、
図13に示すように、マイラーなどの掻き取り部材39が設けられる。掻き取り部材39は薄板状の部材であり、戻し口35から流れるトナーの方向に対して掻き取り面(面積が最大の面)を対向させている。
【0060】
掻き取り部材39はその一端を隔壁37の回転軸37aに固定され他端が自由端になっている。掻き取り部材39の自由端は、戻し口35の側へ延在し、搬送スクリュー33と戻し口35との間に設けられる。掻き取り部材39は、隔壁37と一体的に回転し、
図13の実線部から撹拌部材32側へ移動した点線部の位置、および、
図13の点線部の位置から実線部の位置へ往復運動することができる。
【0061】
本実施形態では、隔壁37がトナーTの荷重によって撹拌部材32側へ回転する際に、掻き取り部材39も撹拌部材32側へ回転する。これにより、掻き取り部材39が堆積したトナーT、特に戻し口35付近のトナーTを掻き取り、撹拌部材32側へ送り出すことができる。従って、堆積したトナーTを効率良く撹拌部材32側へ送り出してトナーカートリッジ30内で循環させることができる。また、掻き取り動作を終えた掻き取り部材39は、前述のトーションスプリングなどの付勢部材の付勢力により、元の位置(
図13の実線位置)に復帰できる。
【0062】
図14に示すように、戻し口35上方に堆積したトナーTにより、掻き取り部材39が押され、撹拌部材32の側へ回転する(
図14の矢印方向参照)。これにより、隔壁37にも撹拌部材32側へ回転する方向の力が加えられる。
【0063】
また
図15に示すように、掻き取り部材39に複数の孔部39aを設けてもよい。孔部39aは、トナーが流れる方向に貫通した孔部である。本実施形態では、
図16に示すように、トナーTが孔部39aを通過してその上部に堆積する。また、掻き取り部材39の孔部39a以外の部分で、掻き取り部材39がトナーTに押され、撹拌部材32側へ回転する力を加えられる。掻き取り部材39に複数の孔部39aを設けることで、孔部39aを通過して隔壁37側へ移動したトナーを撹拌部材32側へ送り出すことができるので、掻き取り部材39のトナー掻き取り効果を高めることができる。
【0064】
また
図17に示すように、掻き取り部材39を隔壁37の延在方向と逆方向へ延在させてもよい。言い換えると、掻き取り部材39の自由端を重力方向下側に配置してもよい。この場合、
図18に示すように、掻き取り部材39は軸方向に凸部39bと凹部39cとを繰り返す櫛歯形状をなす。この櫛歯形状により、掻き取り部材39が
図17の時計回りに回転する際に、搬送スクリュー33のスクリュー部分に沿ってその間をすり抜けるように回転できる。
【0065】
本実施形態では、掻き取り部材39が、第2の領域X2内のトナーを掻き取って撹拌部材32側へ送り出すことができ、より多くのトナーを攪拌部材32側へ戻すことができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0067】
上述の実施形態では、本発明を、画像形成に用いられる粉体を収容する粉体収容容器としてのトナーカートリッジ(トナー収容容器)に適用した場合を例に説明したが、これに限らず、トナー以外の粉体を収容する粉体収容容器に対しても本発明を適用可能である。また、本発明は、画像形成装置に用いられる粉体収容容器に限らず、その他の装置や用途に用いられる粉体収容容器にも適用可能である。
【0068】
また、上述の実施形態のトナーカートリッジを備える画像形成装置(より詳細には、トナーカートリッジを有する現像装置を備える画像形成装置)は電子写真方式の画像形成装置に限らず、インクジェット方式の画像形成装置であってもよい。
【0069】
記録媒体としては、用紙P(普通紙)の他、厚紙、はがき、封筒、薄紙、塗工紙(コート紙やアート紙等)、トレーシングペーパ、OHPシート、プラスチックフィルム、プリプレグ、銅箔等が含まれる。
【符号の説明】
【0070】
4 現像装置
30 トナーカートリッジ(粉体収容容器)
31 容器本体
32 撹拌部材
33 搬送スクリュー(搬送部材)
34 仕切部材
35 戻し口
36 排出口
37 隔壁
37a 回転軸
37b 凹部
38 トーションスプリング(付勢部材)
39 掻き取り部材
39a 孔部
100 画像形成装置
X1 第1の領域
X2 第2の領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】