(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】着脱用具
(51)【国際特許分類】
B25B 11/00 20060101AFI20240701BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240701BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20240701BHJP
B23Q 3/10 20060101ALI20240701BHJP
B23Q 3/08 20060101ALI20240701BHJP
H01L 21/683 20060101ALN20240701BHJP
【FI】
B25B11/00 Z
H01L21/78 N
B24B41/06 Z
B23Q3/10
B23Q3/08 A
H01L21/68 P
(21)【出願番号】P 2021024304
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】添島 義勝
(72)【発明者】
【氏名】新 剛資
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-086183(JP,A)
【文献】特開昭53-018389(JP,A)
【文献】特開2007-152537(JP,A)
【文献】特開2015-177691(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0144472(US,A1)
【文献】特開2022-098875(JP,A)
【文献】特開2021-111680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B11/00-11/02
H01L21/301;21/78
B24B41/00-51/00
B23Q3/00-3/154
B23Q3/16-3/18
H01L21/67-21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持面を表面に備える円板状のチャックテーブルと該チャックテーブルに保持された該被加工物を加工する加工ユニットとを備えた加工装置から該チャックテーブルを着脱する際に用いられる着脱用具であって、
該チャックテーブルの第1外周領域に嵌合する第1嵌合部と、
該チャックテーブルの中心からみて該第1外周領域とは反対に位置する該チャックテーブルの第2外周領域に嵌合する第2嵌合部と、
一端部の下面側に該第1嵌合部の上部が固定され、かつ、該第2嵌合部に向かって延在する第1本体部と、
一端部の下面側に該第2嵌合部の上部が固定され、かつ、該第1本体部の一部が挿入され又は一部が該第1本体部に挿入される第2本体部と、
該第1本体部に固定されている持ち手部と、を備え、
該第1嵌合部は、該第1外周領域に嵌合した状態で、該チャックテーブルの側面と対面する第1嵌合面と、該チャックテーブルの下面と対面する第2嵌合面と、を有し、
該第2嵌合部は、該第2外周領域に嵌合した状態で、該チャックテーブルの側面と対面する第3嵌合面と、該チャックテーブルの下面と対面する第4嵌合面と、を有し、
該第1本体部と該第2本体部とは、該第1嵌合面と該第3嵌合面との間隔が該チャックテーブルの径と等しい嵌合位置と、該第2嵌合面の該第1嵌合面から遠い側の端と該第4嵌合面の該第3嵌合面から遠い側の端との間隔が該チャックテーブルの径よりも長い退避位置と、のいずれかに該第1嵌合部及び該第2嵌合部を位置付けることができるように連結されている着脱用具。
【請求項2】
該第1本体部と該第2本体部とは、該第1嵌合部及び該第2嵌合部が該嵌合位置に位置付けられた場合及び該退避位置に位置付けられた場合の双方において、該第1嵌合部及び該第2嵌合部を互いに接近させる方向に該第1本体部及び該第2本体部を付勢するバネによって連結されている請求項1に記載の着脱用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を保持する保持面を表面に備える円板状のチャックテーブルとチャックテーブルに保持された被加工物を加工する加工ユニットとを備えた加工装置からチャックテーブルを着脱する際に用いられる着脱用具に関する。
【背景技術】
【0002】
IC(Integrated Circuit)及びLSI(Large Scale Integration)等の半導体デバイスのチップは、携帯電話及びパーソナルコンピュータ等の各種電子機器において不可欠の構成要素である。このチップは、一般的に、表面に多数の半導体デバイスが形成されたウェーハ等の被加工物を分割することで製造される。
【0003】
被加工物の分割は、例えば、クリーンルーム内に置かれた加工装置(例えば、切削装置又はレーザ加工装置)を用いて行われる。このような加工装置は、一般的に、被加工物が置かれる表面側に負圧を生じさせて被加工物を吸引保持するチャックテーブルを有する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被加工物のサイズ及び加工条件は多岐にわたり、また、それらに応じて被加工物を加工するのに好適なチャックテーブルも変わる。そのため、加工装置においては、被加工物のサイズ及び加工条件等に応じて交換可能なようにチャックテーブルが設けられていることが多い。
【0006】
ただし、チャックテーブルは、被加工物の加工によって生じた加工屑及び/又は加工中に用いられる液体の付着等に起因して汚れることがある。そのため、クリーンルーム用手袋等を装着したオペレータが手作業でチャックテーブルを交換する際には、この手袋等も汚れることがある。
【0007】
また、チャックテーブルは、一般的に、重い構造物であるにもかかわらず、持ち手が設けられていない。そのため、手作業でチャックテーブルを運搬する際には、オペレータがチャックテーブルを落下させて破損させるおそれがある。
【0008】
他方、チャックテーブルに持ち手を設ける場合には、チャックテーブルが大きくなるとともにチャックテーブルが装着される加工装置の構造を変更する必要が生じるおそれがある。さらに、この場合には、チャックテーブルの持ち手が汚れるおそれもある。
【0009】
以上の点に鑑み、本発明の目的は、持ち手が設けられていないチャックテーブルをオペレータが手作業で加工装置から着脱する際に、クリーンルーム用手袋等を汚さず、かつ、安定した状態でチャックテーブルを着脱できる着脱用具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、被加工物を保持する保持面を表面に備える円板状のチャックテーブルと該チャックテーブルに保持された該被加工物を加工する加工ユニットとを備えた加工装置から該チャックテーブルを着脱する際に用いられる着脱用具であって、該チャックテーブルの第1外周領域に嵌合する第1嵌合部と、該チャックテーブルの中心からみて該第1外周領域とは反対に位置する該チャックテーブルの第2外周領域に嵌合する第2嵌合部と、一端部の下面側に該第1嵌合部の上部が固定され、かつ、該第2嵌合部に向かって延在する第1本体部と、一端部の下面側に該第2嵌合部の上部が固定され、かつ、該第1本体部の一部が挿入され又は一部が該第1本体部に挿入される第2本体部と、該第1本体部に固定されている持ち手部と、を備え、該第1嵌合部は、該第1外周領域に嵌合した状態で、該チャックテーブルの側面と対面する第1嵌合面と、該チャックテーブルの下面と対面する第2嵌合面と、を有し、該第2嵌合部は、該第2外周領域に嵌合した状態で、該チャックテーブルの側面と対面する第3嵌合面と、該チャックテーブルの下面と対面する第4嵌合面と、を有し、該第1嵌合部は、該第1外周領域に嵌合した状態で、該チャックテーブルの側面と対面する第1嵌合面と、該チャックテーブルの下面と対面する第2嵌合面と、を有し、該第2嵌合部は、該第2外周領域に嵌合した状態で、該チャックテーブルの側面と対面する第3嵌合面と、該チャックテーブルの下面と対面する第4嵌合面と、を有し、該第1本体部と該第2本体部とは、該第1嵌合面と該第3嵌合面との間隔が該チャックテーブルの径と等しい嵌合位置と、該第2嵌合面の該第1嵌合面から遠い側の端と該第4嵌合面の該第3嵌合面から遠い側の端との間隔が該チャックテーブルの径よりも長い退避位置と、のいずれかに該第1嵌合部及び該第2嵌合部を位置付けることができるように連結されている着脱用具が提供される。
【0011】
さらに、本発明においては、該第1本体部と該第2本体部とは、該第1嵌合部及び該第2嵌合部が該嵌合位置に位置付けられた場合及び該退避位置に位置付けられた場合の双方において、該第1嵌合部及び該第2嵌合部を互いに接近させる方向に該第1本体部及び該第2本体部を付勢するバネによって連結されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の着脱用具を用いたチャックテーブルの着脱の際には、持ち手部と一体的に設けられた嵌合部がチャックテーブルの外周領域に嵌合した状態で、オペレータが持ち手部を掴んでチャックテーブルを加工装置から着脱する。これにより、クリーンルーム用手袋等を装着したオペレータが手作業でチャックテーブルを加工装置から着脱する際に、クリーンルーム用手袋等を汚さず、かつ、安定した状態でチャックテーブルを着脱できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、加工装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2(A)は、チャックテーブルの一例等を模式的に示す分解斜視図であり、
図2(B)は、チャックテーブルの一例等を模式的に示す側面図である。
【
図3】
図3は、着脱用具の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、チャックテーブルに取り付けられた着脱用具の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、着脱用具の変形例を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、チャックテーブルに取り付けられた着脱用具の変形例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、加工装置(切削装置)の一例を模式的に示す斜視図である。なお、
図1に示されるX軸方向(前後方向)及びY軸方向(左右方向)は、水平面上において互いに直交する方向であり、また、Z軸方向(上下方向)は、X軸方向及びY軸方向に直交する方向(鉛直方向)である。
【0015】
図1に示される切削装置2は、基台4を有する。基台4の上側の角部には、カセット6aが置かれるカセットテーブル6が設けられている。カセットテーブル6は、昇降機構(不図示)によって昇降可能である。なお、
図1においては、カセットテーブル6に置かれたカセット6aの輪郭が二点鎖線で示されている。
【0016】
カセット6aには、複数の被加工物1が収容されている。被加工物1は、例えば、Si(シリコン)、SiC(炭化シリコン)又はGaN(窒化ガリウム)等の半導体材料からなる円板状のウェーハである。被加工物1の表面には多数の半導体デバイスが形成されており、また、その裏面には被加工物1よりも径が長い円板状のダイシングテープ3が貼着されている。
【0017】
ダイシングテープ3は、例えば、可撓性を有するフィルム状の基材層と、この基材層と被加工物1との間に設けられた接着層(糊層)とを有する。また、ダイシングテープ3の被加工物1に貼着される面の外周領域には、被加工物1の径よりも内径が長いリングフレーム5が貼着されている。
【0018】
リングフレーム5は、例えば、アルミニウム又はステンレス鋼等の金属材料からなり、ダイシングテープ3が貼着されることによって中央の開口が塞がれる。そして、カセット6aには、複数の被加工物1のそれぞれがダイシングテープ3を介してリングフレーム5と一体化された状態(フレームユニット11の状態)で収容されている。
【0019】
基台4の上面のY軸方向においてカセットテーブル6と隣接する領域には、仮置きテーブル8が設けられている。仮置きテーブル8は、Y軸方向に延在し、かつ、X軸方向において互いに接近又は離隔が可能な一対のガイドレール10を有する。
【0020】
基台4の上面には、Y軸方向に沿って一対のガイドレール10の間をスライド可能な搬出ユニット12が設けられている。搬出ユニット12は、リングフレーム5を把持する機能を有する把持部をカセットテーブル6側に有する。
【0021】
カセット6aに収容されたフレームユニット11を搬出する際には、まず、搬出ユニット12をY軸方向に沿ってスライドさせてカセット6aに接近させる。次いで、搬出ユニット12の把持部にリングフレーム5を把持させる。次いで、搬出ユニット12をY軸方向に沿ってスライドさせてカセット6aから離隔させる。
【0022】
これにより、カセット6aからフレームユニット11が仮置きテーブル8に引き出される。次いで、一対のガイドレール10の双方がリングフレーム5に接触するまで一対のガイドレール10を互いに接近させる。その結果、フレームユニット11がX軸方向の所定の位置に位置付けられる。
【0023】
基台4の上面のX軸方向においてカセットテーブル6と隣接する領域には、X軸方向に延在する開口4aが形成されている。開口4a内には、平板状のカバー14と、カバー14の移動に伴って伸縮する蛇腹状のカバー16とが開口4aを密閉するように設けられている。
【0024】
カバー14の上方には、円板状のテーブルベース18が配置されている。また、テーブルベース18の上面には、円板状のチャックテーブル20が交換可能な態様で装着されている。
図2(A)は、テーブルベース18及びチャックテーブル20等を模式的に示す分解斜視図であり、
図2(B)は、テーブルベース18及びチャックテーブル20等を模式的に示す側面図である。
【0025】
チャックテーブル20は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料からなる枠体20aを有する。枠体20aは、円板状の底壁と、この底壁の外周領域から上方に向かって設けられている環状の側壁とを有し、この底壁及びこの側壁によって凹部が画定されている。この凹部にはセラミックス等からなる円板状のポーラス板20bが固定されている。
【0026】
さらに、枠体20aの底壁の中央部には、厚さ方向に底壁を貫通する貫通孔が形成されている。すなわち、ポーラス板20bの下面側は、この貫通孔を介して露出している。また、枠体20aの下面には、横断面が円状の溝20cが設けられている。この溝20cは、枠体20aの中心とテーブルベース18の中心とを正確に重ねるため、すなわち、位置合わせのために利用される。
【0027】
テーブルベース18は、円板状の基台部18aを有する。基台部18aの上面には、横断面が円状の第1凸部18bが設けられている。第1凸部18bの上面には、横断面が環状の第2凸部18cが設けられている。なお、第2凸部18cは、第1凸部18bと同心円状に設けられている。
【0028】
また、第1凸部18bの上面の第2凸部18cよりも外側の領域には、横断面が円状の第3凸部18dが設けられている。この第3凸部18dは、上記の位置合わせに利用される。すなわち、チャックテーブル20は、溝20cに第3凸部18dが挿入されることでテーブルベース18に装着される。
【0029】
さらに、基台部18a及び第1凸部18bの中央部には、厚さ方向に基台部18a及び第1凸部18bを貫通する流路22aが設けられている。チャックテーブル20がテーブルベース18に装着されると、流路22aは、枠体20aに形成された貫通孔に連通する。
【0030】
テーブルベース18の下部には、スピンドル24の上部が固定されている。スピンドル24の内部には、流路22aに連通する流路22bが形成されている。この流路22bは、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続されている。
【0031】
そのため、チャックテーブル20がテーブルベース18に装着された状態で、この吸引源が動作すると、ポーラス板20bの上面(チャックテーブル20の保持面)側に負圧が発生する。これにより、チャックテーブル20の保持面において、被加工物1(フレームユニット11)を吸引保持することが可能になる。
【0032】
また、スピンドル24の下端部は、モータ等の回転駆動源(不図示)に連結されている。そのため、チャックテーブル20がテーブルベース18に装着された状態で、この回転駆動源を動作させると、チャックテーブル20の中心を通るZ軸方向に沿った直線を回転軸としてチャックテーブル20及びテーブルベース18が回転する。
【0033】
また、テーブルベース18の上面の第1凸部18bよりも外側の領域には、複数(例えば、4つ)のクランプ26が設けられている。複数のクランプ26は、基台部18aの周方向に沿って概ね等間隔に設けられ、リングフレーム5を把持する機能を有する。
【0034】
また、
図1に示されるカバー14,16の下方には、テーブルベース18及びテーブルベース18に装着されたチャックテーブル20をX軸方向に沿って移動させるX軸方向移動機構(不図示)が設けられている。このX軸方向移動機構は、搬入出位置と加工位置とのいずれかにチャックテーブル20を位置付けることができる。
【0035】
搬入出位置は、チャックテーブル20への被加工物1(フレームユニット11)の搬入及びチャックテーブル20からの被加工物1の搬出が行われる際のチャックテーブル20の位置である。また、加工位置は、チャックテーブル20に吸引保持された被加工物1の切削が行われる際のチャックテーブル20の位置である。なお、
図1においては、搬入出位置に位置付けられたチャックテーブル20が示されている。
【0036】
仮置きテーブル8に置かれたフレームユニット11は、搬送ユニット28によってチャックテーブル20に搬入される。搬送ユニット28は、基台4の上面の開口4aと仮置きテーブル8との間の領域から上方に突き出た軸部と、この軸部の上端部から水平方向に延在する腕部と、この腕部の先端部(軸部が接続する側とは反対側の端部)から下方に向かって設けられた保持部とを有する。
【0037】
なお、この軸部は、昇降できるようにエアシリンダ等の昇降機構(不図示)に連結されており、また、回転できるようにモータ等の回転駆動源に連結されている。また、この保持部は、リングフレーム5(フレームユニット11)を吸引保持できるように配管(不図示)等を介してエジェクタ等の吸引源(不図示)に連結されている。
【0038】
仮置きテーブル8に置かれたフレームユニット11をチャックテーブル20に搬入する際には、まず、チャックテーブル20を搬入出領域に位置付ける。次いで、仮置きテーブル8に置かれたフレームユニット11のリングフレーム5を搬送ユニット28の保持部に吸引保持させる。
【0039】
次いで、搬送ユニット28の軸部を上昇させてから回転させることで、フレームユニット11をチャックテーブル20の上方に位置付ける。次いで、搬送ユニット28の軸部を下降させてフレームユニット11をチャックテーブル20の保持面に置く。
【0040】
次いで、搬送ユニット28の保持部によるリングフレーム5の吸引を止めてから搬送ユニット28の軸部を上昇させる。これにより、フレームユニット11がチャックテーブル20に搬入される。
【0041】
チャックテーブル20の搬入出位置から加工位置への移動経路の上方には、開口4aを横切るように支持構造30の一部が設けられている。この支持構造30の一部には、チャックテーブル20側を撮像する撮像ユニット32が設けられている。
【0042】
撮像ユニット32は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサまたはCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを備えるカメラである。撮像ユニット32は、例えば、チャックテーブル20に吸引保持された被加工物1を上方から撮像する。
【0043】
加工位置に位置付けられたチャックテーブル20の上方には、チャックテーブル20に吸引保持されたフレームユニット11の被加工物1を切削する切削ユニット(加工ユニット)34が設けられている。切削ユニット34は、切削ブレード36と、Y軸方向に沿って延在し、かつ、先端部に切削ブレード36が装着されるスピンドル38とを備える。
【0044】
スピンドル38の基端側には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。そのため、この回転駆動源を動作させると、Y軸方向に沿った直線を回転軸として切削ブレード36が回転する。切削ブレード36は、例えば、アルミニウム等で形成された環状の基台と、この基台の外周領域に固定された環状の切り刃とを備える。この切り刃は、例えば、ダイヤモンド等の砥粒を樹脂又は金属等の結合材で固定することによって形成される。
【0045】
さらに、支持構造30の内部には、切削ユニット34をY軸方向に沿って移動させるY軸方向移動機構(不図示)及びZ軸方向に沿って移動させるZ軸方向移動機構(不図示)が設けられている。これらの移動機構は、チャックテーブル20に吸引保持された被加工物1の所望の箇所に切削ブレード36が接触するように切削ユニット34を位置付けることができる。
【0046】
チャックテーブル20に吸引保持された被加工物1の切削は、例えば、以下の順序で行われる。まず、撮像ユニット32が被加工物1を撮像して被加工物1の切削予定ラインを特定する。次いで、この切削予定ラインがX軸方向と平行になるようにチャックテーブル20を回転させ、かつ/又は、この切削予定ラインからみてX軸方向に切削ブレード36が位置付けられるように切削ユニット34をY軸方向に沿って移動させる。
【0047】
次いで、切削ブレード36の下端が被加工物1の下面よりも低くなるように切削ユニット34をZ軸方向に沿って移動させる。次いで、切削ブレード36を回転させながら、被加工物1のX軸方向における一端から他端までを切削ブレード36が通り過ぎるようにチャックテーブル20をX軸方向に沿って移動させる。これにより、被加工物1が切削予定ラインに沿って切削される。
【0048】
基台4の上面の仮置きテーブル8と支持構造30との間の領域には開口4bが形成されており、開口4bには切削後の被加工物1(フレームユニット11)を洗浄する洗浄ユニット40が収容されている。洗浄ユニット40は、フレームユニット11を保持するスピンナテーブルを備えている。
【0049】
切削後のフレームユニット11は、搬送ユニット42によって洗浄ユニット40に搬入される。搬送ユニット42は、Y軸方向に沿って移動可能なように支持構造30に連結された腕部と、この腕部の先端部の下方に設けられた保持部とを有する。なお、この保持部は、昇降できるようにエアシリンダ等の昇降機構(不図示)を介して腕部に連結されており、かつ、リングフレーム5(フレームユニット11)を吸引保持できるように配管(不図示)等を介してエジェクタ等の吸引源(不図示)に連結されている。
【0050】
チャックテーブル20に吸引保持されたフレームユニット11を洗浄ユニット40に搬入する際には、まず、チャックテーブル20を搬入出領域に位置付ける。次いで、搬送ユニット42の保持部がフレームユニット11のリングフレーム5に接触するように保持部を下降させる。
【0051】
次いで、チャックテーブル20によるフレームユニット11の吸引を止めてからリングフレーム5を搬送ユニット42の保持部に吸引保持させる。次いで、搬送ユニット42の保持部を上昇させてから、フレームユニット11が洗浄ユニット40の上方に位置付けられるように搬送ユニット42をY軸方向に沿って移動させる。
【0052】
次いで、搬送ユニット42の保持部を下降させてフレームユニット11を洗浄ユニット40のスピンナテーブルに置く。次いで、搬送ユニット42の保持部によるリングフレーム5の吸引を止めてから保持部を上昇させる。これにより、フレームユニット11が洗浄ユニット40に搬入される。
【0053】
洗浄ユニット40においては、スピンナテーブルを回転させながら被加工物1の表面に向けて洗浄用の流体(代表的には、水とエアーとを混合した混合流体)が噴射される。そして、洗浄ユニット40で洗浄されたフレームユニット11は、カセットテーブル6に載せられたカセット6aに収容される。
【0054】
カセット6aにフレームユニット11を収容する際には、搬送ユニット28を使用して洗浄ユニット40から仮置きテーブル8にフレームユニット11が搬送される。そして、搬送ユニット28をカセット6aに向けて移動させることで、フレームユニット11がカセット6aに押し入れられる。
【0055】
図3は、切削装置2のテーブルベース18からチャックテーブル20を着脱する際に用いられる着脱用具の一例を模式的に示す斜視図である。
図3に示される着脱用具44は、直方体状の第1本体部46を有する。
【0056】
第1本体部46は、互いに概ね平行な長方形状の第1面(上面)46a及び第2面(下面)を有する。上面46aには、持ち手部48が設けられている。持ち手部48は、一対の足部48a,48bと、一対の足部48a,48bを連結する連結部48cとを有する。
【0057】
一対の足部48a,48bのそれぞれは、上面46aに対して概ね垂直な方向に延在し、その下部が第1本体部46の上部に固定されている。また、連結部48cは、上面46aの長辺に対して概ね平行な方向に延在する。また、連結部48cは、その一端(後端)部が足部48aの上部に連結され、また、その他端(前端)部が足部48bの上部に連結されている。
【0058】
さらに、第1本体部46の上面46aには、溝46bが設けられている。この溝46bは、上面46aの一端(後端)に位置する短辺と足部48aが固定される領域との間に設けられている。また、溝46bは、上面46aの短辺に対して概ね平行な方向に延在し、その長さが上面46aの短辺よりも短い。
【0059】
また、第1本体部46は、上面46aの他端(前端)に位置する短辺を長辺の一つとして共有する長方形状の第3面(前面)46cと、上面46a及び下面のそれぞれの後端に位置する短辺を長辺として共有する長方形状の第4面(後面)とを有する。
【0060】
第1本体部46の前面46c側の端部の下面側には、第1嵌合部50が設けられている。第1嵌合部50は、第1本体部46に固定され、かつ、第1本体部46の上面46a及び下面に概ね平行な面(下面)を下端に有する上部50aと、第1本体部46の上面46a及び下面に概ね平行な面(上面(第2嵌合面))を上端に有する下部50bと、前面46cに概ね面一な面(前面)を有し、上部50a及び下部50bを連結する連結部50cとを有する。
【0061】
そして、上部50aの下面と下部50bの上面(第2嵌合面)との間隔は、チャックテーブル20の厚さよりも僅かに長い。また、連結部50cの前面の反対に位置する面(後面(第1嵌合面))は、チャックテーブル20の外周領域に沿うように所定の曲率で湾曲して凹んでいる。また、下部50bの連結部50cから遠い側の面(後面)は、連結部50cの後面と同様に湾曲するような形状を有する。
【0062】
また、第1本体部46は、上面46a及び下面のそれぞれの長辺の一つを長辺として共有する長方形状の第5面(右側面)46d及び第6面(左側面)を有する。右側面46d及び左側面には、直方体状のバネ連結部52a,52bがそれぞれ設けられている。なお、バネ連結部52a,52bは、第1本体部46の前面46cよりも後面に近接する位置に設けられている。
【0063】
バネ連結部52a,52bは、第1本体部46の前面46c及び後面に概ね平行な一対の面を有し、この一対の面のうち第1本体部46の後面により近接する面には引張バネ54a,54bの一端部が固定されている。
【0064】
また、着脱用具44は、直方体状の第2本体部56を有する。第2本体部56は、第1本体部46の後面に対面するように配置される長方形状の第1面(前面)56aと、前面56aに概ね平行な第2面(後面)とを有する。
【0065】
この前面56aの長辺は、第1本体部46の後面の長辺に概ね平行な方向に延在し、かつ、それよりも長い。また、この前面56aの短辺は、第1本体部46の後面の短辺に概ね平行な方向に延在し、かつ、それよりも長い。すなわち、この前面56aの面積は、第1本体部46の後面の面積よりも大きい。
【0066】
この前面56aには、溝56bが設けられている。溝56bには、第1本体部46の後面側の一部が挿入される。そのため、溝56bは、前面56aの長辺に平行な方向における長さが第1本体部46の後面の長辺よりも僅かに長く、かつ、前面56aの短辺に平行な方向における幅が第1本体部46の後面の短辺よりも僅かに長くなるように設けられる。
【0067】
また、第2本体部56は、前面56a及び後面のそれぞれの上端に位置する長辺を長辺として共有する長方形状の第3面(上面)56cと、前面56aの下端に位置する長辺を長辺の一つとして共有する長方形状の第4面(下面)とを有する。さらに、第2本体部56には、上面56cから溝56bに至る貫通孔56dが設けられている。
【0068】
この貫通孔56dは、上面56cの長辺に対して概ね平行な方向に延在し、その長さが上面56cの長辺よりも短い。なお、貫通孔56dは、第2本体部56の後面よりも前面56aに近接する位置に設けられている。
【0069】
また、上面56cの長辺に対して概ね平行な方向における貫通孔56dの長さは、第1本体部46の上面46aに設けられた溝46bの長さに概ね等しい。同様に、上面56cの短辺に対して概ね平行な方向における貫通孔56dの幅は、第1本体部46の上面46aに設けられた溝46bの幅に概ね等しい。
【0070】
第2本体部56の後面側の端部の下面側には、第2嵌合部58が設けられている。第2嵌合部58は、第2本体部56に固定され、かつ、第2本体部56の上面56c及び下面に概ね平行な面(下面)を下端に有する上部58aと、第2本体部56の上面56c及び下面に概ね平行な面(上面(第4嵌合面))を上端に有する下部58bと、第2本体部56の後面に概ね面一な面(後面)を有し、上部58a及び下部58bを連結する連結部58cとを有する。
【0071】
そして、上部58aの下面と下部58bの上面(第4嵌合面)との間隔は、チャックテーブル20の厚さよりも僅かに長く、かつ、第1嵌合部50の上部50aの下面と下部50bの上面(第2嵌合面)との間隔に概ね等しい。また、連結部58cの後面の反対に位置する面(前面(第3嵌合面))は、チャックテーブル20の外周領域に沿うように所定の曲率で湾曲して凹んでいる。また、下部58bの連結部58cから遠い側の面(前面)は、連結部58cの前面と同様に湾曲するような形状を有する。
【0072】
また、第2本体部56は、上面56c及び下面のそれぞれの短辺の一つを長辺として共有する長方形状の第5面(右側面)56e及び第6面(左側面)を有する。右側面56e及び左側面には、直方体状のバネ連結部60a,60bがそれぞれ設けられている。なお、バネ連結部60a,60bは、第2本体部56の後面よりも前面56aに近接する位置に設けられている。
【0073】
バネ連結部60a,60bは、第2本体部56の前面56a及び後面に概ね平行な一対の面を有し、この一対の面のうち前面56aにより近接する面には引張バネ54a,54bの他端部が固定されている。
【0074】
そのため、第2本体部56は、一端部がバネ連結部52a,52bに固定されている引張バネ54a,54bを介して、第1本体部46に連結される。なお、
図3においては、自然長よりも伸長された状態の引張バネ54a,54bが示されている。
【0075】
引張バネ54a,54bは、第1嵌合部50の連結部50cの後面(第1嵌合面)と第2嵌合部58の連結部58cの前面(第3嵌合面)との間隔(第1間隔)が、チャックテーブル20の径と等しい又はそれより長い場合に、第1嵌合部50及び第2嵌合部58を接近させるように第1本体部46及び第2本体部56を付勢する。
【0076】
なお、着脱用具44は、第2本体部56の前面56aに設けられた溝56bに第1本体部46の後面側の一部を挿入して、貫通孔56dと溝46bとが重なった状態における上記の第1間隔がチャックテーブル20の径と等しくなるように設計されている。
【0077】
また、着脱用具44は、引張バネ54a,54bを伸長させることで、第1嵌合部50の下部50bの上面(第2嵌合面)の連結部50cの後面(第1嵌合面)から遠い側の端(後端)と、第2嵌合部58の下部58bの上面(第4嵌合面)の連結部58cの前面(第3嵌合面)から遠い側の端(前端)と、の間隔(第2間隔)を、チャックテーブル20の径よりも長くできるように設計されている。
【0078】
さらに、着脱用具44は、貫通孔56dと溝46bとが重なった状態において、貫通孔56dと溝46bとに挿入される直方体状のストッパ62を有する。ストッパ62の高さは、貫通孔56dと溝46bとが重なった状態における、第2本体部56の上面56cと溝46bの底面との間隔よりも長い。また、ストッパ62の長さは、貫通孔56dの長さ及び溝46bの長さよりも僅かに短い。また、ストッパ62の幅は、貫通孔56dの幅及び溝46bの幅よりも僅かに短い。
【0079】
着脱用具44を用いたチャックテーブル20の切削装置2からの取り外しは、例えば、以下の順序で行われる。まず、上記の第2間隔がチャックテーブル20の径よりも長くなるまで引張バネ54a,54bを伸長させるための外力を着脱用具44に加える。
【0080】
例えば、オペレータが両手で第1本体部46及び第2本体部56をそれぞれ掴んで、両者を離隔させるように引っ張って、上記の第2間隔をチャックテーブル20の径よりも長くする。これにより、上記の第2間隔がチャックテーブル20の径よりも長くなる退避位置に第1嵌合部50及び第2嵌合部58が位置付けられる。
【0081】
次いで、第1嵌合部50と第2嵌合部58との間の空間の中央にチャックテーブル20の中央が位置付けられるように、着脱用具44及び/又はチャックテーブル20を配置する。例えば、チャックテーブル20の保持面の中央に第1本体部46の下面を接触させるようにオペレータが着脱用具44を配置する。
【0082】
次いで、引張バネ54a,54bに加えられた外力を除去する。例えば、オペレータが第1本体部46及び第2本体部56から手を離す。これにより、上記の第1外周領域に第1嵌合部50が嵌合し、かつ、上記の第2外周領域に第2嵌合部58が嵌合する。すなわち、上記の第1間隔がチャックテーブル20の径と等しくなる嵌合位置に第1嵌合部50及び第2嵌合部58が位置付けられる。
【0083】
この時、第1嵌合部50の連結部50cの後面(第1嵌合面)及び第2嵌合部58の連結部58cの前面(第3嵌合面)は、チャックテーブル20の側面と対面する。また、第1嵌合部50の下部50bの上面(第2嵌合面)及び第2嵌合部58の下部58bの上面(第4嵌合面)は、チャックテーブル20の下面と対面する。
【0084】
なお、引張バネ54a,54bは、第1嵌合部50及び第2嵌合部58が退避位置に位置付けられた場合及び嵌合位置に位置付けられた場合の双方において、第1嵌合部50及び第2嵌合部58を接近させる方向に第1本体部46と第2本体部56とを付勢する。
【0085】
次いで、第2本体部56に設けられた貫通孔56d及び第1本体部46の上面46aに設けられた溝46bにストッパ62を挿入する。この場合、例えば、引張バネ54a,54bを伸長させるような外力が加わった場合であっても、上記の第2間隔がチャックテーブル20の径よりも長くなることがない。これにより、チャックテーブル20の搬送時に、チャックテーブル20が着脱用具44から脱落することが防止される。
【0086】
以上によって、チャックテーブル20に着脱用具44が取り付けられる。
図4は、このようにチャックテーブル20に取り付けられた着脱用具44を模式的に示す斜視図である。次いで、オペレータが持ち手部48を掴んで、切削装置2からチャックテーブル20を取り外す。
【0087】
着脱用具44を用いたチャックテーブル20の着脱の際には、持ち手部48と一体的に設けられた第1嵌合部50及び第2嵌合部58がチャックテーブル20の外周領域に嵌合した状態で、オペレータが持ち手部48を掴んでチャックテーブル20を切削装置2から着脱する。これにより、クリーンルーム用手袋等を装着したオペレータが手作業でチャックテーブル20を切削装置2から着脱する際に、クリーンルーム用手袋等を汚さず、かつ、安定した状態でチャックテーブル20を着脱できる。
【0088】
なお、着脱用具44は本発明の一態様であって、本発明の着脱用具は着脱用具44の構成に限定されない。例えば、本発明の着脱用具は、ストッパ62を含まなくてもよい。すなわち、ストッパ62と、第1本体部46の上面46aに設けられた溝46bと、第2本体部56に設けられた貫通孔56dとが存在しない着脱用具44も本発明の一態様である。
【0089】
また、本発明の着脱用具においては、第2本体部56の一部が第1本体部46に挿入されてもよい。例えば、この場合には、第1本体部46の後面に溝が設けられ、かつ、この溝に挿入される凸部が第2本体部56の前面56a側に設けられていてもよい。さらに、この場合には、
図3に示される溝46bが第1本体部46に設けられず、また、
図3に示される溝56b及び貫通孔56dが第2本体部56に設けられなくてもよい。
【0090】
また、本発明の着脱用具に含まれる持ち手部は、1つに限定されない。例えば、本発明の着脱用具は、2つの持ち手部を含んでもよい。着脱用具に2つの持ち手部が含まれる場合には、より安定した状態でチャックテーブルを着脱できる点で好ましい。他方、着脱用具44のように着脱用具に含まれる持ち手部が1つの場合には、着脱用具を小型化できる点で好ましい。
【0091】
そのため、持ち手部が2つの着脱用具は、比較的大型のチャックテーブル(例えば、12インチ以上のウェーハを加工する際に用いられるチャックテーブル)を着脱する際に用いられる着脱用具として好適である。他方、持ち手部が1つの着脱用具は、比較的小型のチャックテーブル(例えば、8インチ以下のウェーハを加工する際に用いられるチャックテーブル)を着脱する際に用いられる着脱用具として好適である。
【0092】
図5は、持ち手部が2つの着脱用具の一例を模式的に示す斜視図である。
図5に示される着脱用具64は、直方体状の第1本体部66を有する。第1本体部66は、互いに概ね平行な第1面(上面)66a及び第2面(下面)を有する。上面66a及び下面のそれぞれは、比較的長い長方形及び比較的短い長方形のそれぞれの長辺を直交させて重ねられたような十字状の面である。
【0093】
上面66aの比較的短い長方形状の部分の両端(左右端)部には、互いに対向するように一対の持ち手部68,70が設けられている。持ち手部68は、一対の足部68a,68bと、一対の足部68a,68bを連結する連結部68cとを有する。また、持ち手部70は、一対の足部70a,70bと、一対の足部70a,70bを連結する連結部70cとを有する。
【0094】
一対の足部68a,68b及び一対の足部70a,70bのそれぞれは、上面66aに対して概ね垂直な方向に延在し、その下部が第1本体部66の上部に固定されている。また、連結部68c,70cは、上面66aに対して概ね平行な方向に延在する。また、連結部68cは、その一端(後端)部が足部68aの上部に連結され、また、その他端(前端)部が足部68bの上部に連結されている。また、連結部70cは、その一端(後端)部が足部70aの上部に連結され、また、その他端(前端)部が足部70bの上部に連結されている。
【0095】
また、第1本体部66は、上面66aの比較的長い長方形状の部分の一端(前端)に位置する短辺を長辺の一つとして共有する長方形状の第3面(前面)66bと、上面66a及び下面の比較的長い長方形状の部分のそれぞれの他端(後端)に位置する短辺を長辺として共有する長方形状の第4面(後面)とを有する。
【0096】
そして、第1本体部66は、後面に対して概ね垂直な方向に延在する直方体状の凸部72を有する。凸部72は、第1本体部66の上面66a及び下面と概ね平行な長方形状の第1面(上面)72a及び第2面(下面)と、上面72a及び下面に対して概ね垂直な直方体状の第3面(右側面)72b及び第4面(左側面)とを有する。
【0097】
凸部72の上面72a及び下面のそれぞれの短辺は、第1本体部66の前面66b及び後面の長辺に概ね平行な方向に延在し、かつ、それよりも短い。また、凸部72の右側面72b及び左側面のそれぞれの短辺は、第1本体部66の前面66b及び後面の短辺に概ね平行な方向に延在し、かつ、それよりも短い。
【0098】
この凸部72は、後述するように、第2本体部82を貫通する。さらに、凸部72の上面72aには、溝(不図示)が設けられている。この溝は、上面72aの短辺に対して概ね平行な方向に延在し、その長さが上面72aの短辺よりも短い。また、凸部72の先端(第1本体部66の後面から遠い側の端)には、直方体状のストッパ部74が設けられている。
【0099】
ストッパ部74は、凸部72の上面72a及び右側面72bに対して概ね垂直な第1面(前面)74a及び第2面(後面)を有する。ストッパ部74の前面74a及び後面のそれぞれの長辺は、凸部72の上面72aの短辺に概ね平行な方向に延在し、また、ストッパ部74の前面74a及び後面のそれぞれの短辺は、凸部72の右側面72bの短辺に概ね平行な方向に延在する。そして、ストッパ部74の前面74a及び後面のそれぞれの長辺の長さは、凸部72の上面72aの短辺の長さに概ね等しい。他方、ストッパ部74の前面74a及び後面のそれぞれの短辺は、凸部72の右側面72bの短辺よりも長い。
【0100】
第1本体部66の前面66b側の端部の下面側には、第1嵌合部76が設けられている。第1嵌合部76は、第1本体部66に固定され、かつ、第1本体部66の上面66a及び下面に概ね平行な面(下面)を下端に有する上部76aと、第1本体部66の上面66a及び下面に概ね平行な面(上面(第2嵌合面))を上端に有する下部76bと、前面66bに概ね面一な面(前面)を有し、上部76a及び下部76bを連結する連結部76cとを有する。
【0101】
そして、上部76aの下面と下部76bの上面(第2嵌合面)との間隔は、チャックテーブル20の厚さよりも僅かに長い。また、連結部76cの前面の反対に位置する面(後面(第1嵌合面))は、チャックテーブル20の外周領域に沿うように所定の曲率で湾曲して凹んでいる。また、下部76bの連結部76cから遠い側の面(後面)は、連結部76cの後面と同様に湾曲するような形状を有する。
【0102】
また、第1本体部66は、その後面の短辺の一つを短辺の一つとして共有する長方形状の第5面(後方右側面)66c及び第6面(後方左側面)を有する。後方右側面66c及び後方左側面には、直方体状のバネ連結部78a,78bがそれぞれ設けられている。
【0103】
バネ連結部78a,78bは、第1本体部66の前面66b及び後面に概ね平行な一対の面を有し、この一対の面のうち第1本体部66の後面により近接する面には引張バネ80a,80bの一端部が固定されている。
【0104】
また、着脱用具64は、直方体状の第2本体部82を有する。第2本体部82は、第1本体部66の後面に対面するように配置される長方形状の第1面(前面)82aと、前面82aに概ね平行な長方形状の第2面(後面)とを有する。第2本体部82の前面82a及び後面のそれぞれの形状は、第1本体部66の後面の形状に概ね等しい。なお、第2本体部82の前面82a及び後面の間隔は、第1本体部66の後面とストッパ部74の前面74aとの間隔よりも短い。
【0105】
また、第2本体部82には、前面82aから後面に至る貫通孔が設けられ、この貫通孔には第1本体部66の凸部72が挿入されている。そのため、この貫通孔は、前面82aの長辺に平行な方向における長さが凸部72の上面72a及び下面のそれぞれの短辺よりも僅かに長く、かつ、前面82aの短辺に平行な方向における幅が凸部72の右側面72b及び左側面のそれぞれの短辺よりも僅かに長くなるように設けられる。
【0106】
さらに、この貫通孔の幅は、ストッパ部74の前面74aの短辺よりも短い。これにより、第1本体部66の凸部72は、この貫通孔においてスライド可能であるが、貫通孔から引き抜くことが不可能な態様で第2本体部82に挿入される。
【0107】
また、第2本体部82は、前面82a及び後面のそれぞれの上端に位置する長辺を長辺として共有する長方形状の第3面(上面)82bと、前面82aの下端に位置する長辺を長辺の一つとして共有する長方形状の第4面(下面)とを有する。さらに、第2本体部82には、上面82bから凸部72が挿入されている貫通孔に至る貫通孔82cが設けられている。
【0108】
この貫通孔82cは、上面82bの長辺に対して概ね平行な方向に延在し、その長さが上面82bの長辺よりも短い。なお、貫通孔82cは、第2本体部82の後面よりも前面82aに近接する位置に設けられている。
【0109】
また、上面82bの長辺に対して概ね平行な方向における貫通孔82cの長さは、凸部72の上面72aに設けられた溝の長さに概ね等しい。同様に、上面82bの短辺に対して概ね平行な方向における貫通孔82cの幅は、凸部72の上面72aに設けられた溝の幅に概ね等しい。
【0110】
第2本体部82の後面側の端部の下面側には、第2嵌合部84が設けられている。第2嵌合部84は、第2本体部82に固定され、かつ、第2本体部82の上面82b及び下面に概ね平行な面(下面)を下端に有する上部84aと、第2本体部82の上面82b及び下面に概ね平行な面(上面(第4嵌合面))を上端に有する下部84bと、第2本体部82の後面に概ね面一な面(後面)を有し、上部84a及び下部84bを連結する連結部84cとを有する。
【0111】
そして、上部84aの下面と下部84bの上面(第4嵌合面)との間隔は、チャックテーブル20の厚さよりも僅かに長く、かつ、第1嵌合部76の上部76aの下面と下部76bの上面(第2嵌合面)との間隔に概ね等しい。また、連結部84cの後面の反対に位置する面(前面(第3嵌合面))は、チャックテーブル20の外周領域に沿うように所定の曲率で湾曲して凹んでいる。また、下部84bの連結部84cから遠い側の面(前面)は、連結部84cの前面と同様に湾曲するような形状を有する。
【0112】
また、第2本体部82は、上面82b及び下面のそれぞれの短辺の一つを長辺として共有する長方形状の第5面(右側面)82d及び第6面(左側面)を有する。右側面82d及び左側面には、直方体状のバネ連結部86a,86bがそれぞれ設けられている。なお、バネ連結部86a,86bは、第2本体部82の後面よりも前面82aに近接する位置に設けられている。
【0113】
バネ連結部86a,86bは、第2本体部82の前面82a及び後面に概ね平行な一対の面を有し、この一対の面のうち前面82aにより近接する面には引張バネ80a,80bの他端部が固定されている。
【0114】
そのため、第2本体部82は、一端部がバネ連結部78a,78bに固定されている引張バネ80a,80bを介して、第1本体部66に連結される。なお、
図5においては、自然長よりも伸長された状態の引張バネ80a,80bが示されている。
【0115】
引張バネ80a,80bは、第1嵌合部76の連結部76cの後面(第1嵌合面)と第2嵌合部84の連結部84cの前面(第3嵌合面)との間隔(第3間隔)が、チャックテーブル20の径と等しい又はそれより長い場合に、第1嵌合部76及び第2嵌合部84を接近させるように第1本体部66及び第2本体部82を付勢する。
【0116】
なお、着脱用具64は、第2本体部82に設けられた貫通孔82cと第1本体部66の凸部72の上面72aに設けられた溝とが重なった状態における上記の第3間隔がチャックテーブル20の径と等しくなるように設計されている。
【0117】
また、着脱用具64は、引張バネ80a,80bを伸長させることで、第1嵌合部76の下部76bの上面(第2嵌合面)の連結部76cの後面(第1嵌合面)から遠い側の端(後端)と、第2嵌合部84の下部84bの上面(第4嵌合面)の連結部84cの前面(第3嵌合面)から遠い側の端(前端)と、の間隔(第4間隔)を、チャックテーブル20の径よりも長くできるように設計されている。
【0118】
また、着脱用具64は、引張バネ80a,80bを伸長させて第2本体部82の後面をストッパ部74の前面74aに接触させた状態において、上記の第4間隔がチャックテーブル20の径よりも長くなるように設計されている。
【0119】
さらに、着脱用具64は、第2本体部82に設けられた貫通孔82cと第1本体部66の凸部72の上面72aに設けられた溝とが重なった状態において、貫通孔82cと当該溝とに挿入される直方体状のストッパ88を有する。
【0120】
ストッパ88の高さは、貫通孔82cと当該溝とが重なった状態における、第2本体部82の上面82bと当該溝の底面との間隔よりも長い。また、ストッパ88の長さは、貫通孔82cの長さ及び当該溝の長さよりも僅かに短い。また、ストッパ88の幅は、貫通孔82cの幅及び当該溝の幅よりも僅かに短い。
【0121】
着脱用具64を用いたチャックテーブル20の切削装置2からの取り外しは、例えば、以下の順序で行われる。まず、上記の第4間隔がチャックテーブル20の径よりも長くなるまで引張バネ80a,80bを伸長させるための外力を着脱用具64に加える。
【0122】
例えば、オペレータが両手で第1本体部66及び第2本体部82をそれぞれ掴んで、第2本体部82の後面がストッパ部74の前面74aに接触するまで両者を離隔させるように引っ張る。これにより、上記の第4間隔がチャックテーブル20の径よりも長くなる退避位置に第1嵌合部76及び第2嵌合部84が位置付けられる。
【0123】
次いで、第1嵌合部76と第2嵌合部84との間の空間の中央にチャックテーブル20の中央が位置付けられるように、着脱用具64及び/又はチャックテーブル20を配置する。例えば、チャックテーブル20の保持面の中央に第1本体部66の下面を接触させるようにオペレータが着脱用具64を配置する。
【0124】
次いで、引張バネ80a,80bに加えられた外力を除去する。例えば、オペレータが第1本体部66及び第2本体部82から手を離す。これにより、上記の第1外周領域に第1嵌合部76が嵌合し、かつ、上記の第2外周領域に第2嵌合部84が嵌合する。すなわち、上記の第1間隔がチャックテーブル20の径と等しくなる嵌合位置に第1嵌合部76及び第2嵌合部84が位置付けられる。
【0125】
この時、第1嵌合部76の連結部76cの後面(第1嵌合面)及び第2嵌合部84の連結部84cの前面(第3嵌合面)は、チャックテーブル20の側面と対面する。また、第1嵌合部76の下部76bの上面(第2嵌合面)及び第2嵌合部84の下部84bの上面(第4嵌合面)は、チャックテーブル20の下面と対面する。
【0126】
なお、引張バネ80a,80bは、第1嵌合部76と第2嵌合部84とが退避位置に位置付けられた場合及び嵌合位置に位置付けられた場合の双方において、第1嵌合部76及び第2嵌合部84を接近させる方向に第1本体部66と第2本体部82とを付勢する。
【0127】
次いで、第2本体部82に設けられた貫通孔82c及び第1本体部66の凸部72の上面72aに設けられた溝にストッパ88を挿入する。この場合、例えば、引張バネ80a,80bを伸長させるような外力が加わった場合であっても、上記の第4間隔がチャックテーブル20の径よりも長くなることがない。これにより、チャックテーブル20の搬送時に、チャックテーブル20が着脱用具64から脱落することが防止される。
【0128】
以上によって、チャックテーブル20に着脱用具64が取り付けられる。
図6は、このようにチャックテーブル20に取り付けられた着脱用具64を模式的に示す斜視図である。次いで、オペレータが両手で一対の持ち手部68,70を掴んで、切削装置2からチャックテーブル20を取り外す。
【0129】
着脱用具64を用いたチャックテーブル20の着脱の際には、一対の持ち手部68,70と一体的に設けられた第1嵌合部76及び第2嵌合部84がチャックテーブル20の外周領域に嵌合した状態で、オペレータが一対の持ち手部68,70を掴んでチャックテーブル20を切削装置2から着脱する。これにより、クリーンルーム用手袋等を装着したオペレータが手作業でチャックテーブル20を切削装置2から着脱する際に、クリーンルーム用手袋等を汚さず、かつ、安定した状態でチャックテーブル20を着脱できる。
【0130】
その他、上述した実施形態及び変形例にかかる構造及び方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0131】
1 :被加工物
3 :ダイシングテープ
5 :リングフレーム
11 :フレームユニット
2 :切削装置
4 :基台(4a,4b:開口)
6 :カセットテーブル(6a:カセット)
8 :仮置きテーブル
10 :ガイドレール
12 :搬出ユニット
14,16:カバー
18 :テーブルベース(18a:基台部、18b,18c,18d:凸部)
20 :チャックテーブル(20a:枠体、20b:ポーラス板、20c:溝)
22a,22b:流路
24 :スピンドル
26 :クランプ
28 :搬送ユニット
30 :支持構造
32 :撮像ユニット
34 :切削ユニット(加工ユニット)
36 :切削ブレード
38 :スピンドル
40 :洗浄ユニット
42 :搬送ユニット
44 :着脱用具
46 :第1本体部(46a:第1面(上面)、46b:溝)
(46c:第3面(前面)、46d:第5面(右側面))
48 :持ち手部(48a,48b:足部、48c:連結部)
50 :第1嵌合部(上部:50a、50b:下部、50c:連結部)
52a,52b:バネ連結部
54a,54b:引張バネ
56 :第2本体部(56a:第1面(前面)、56b:溝)
(56c:第3面(上面)、56d:貫通孔)
(56e:第5面(右側面))
58 :第2嵌合部(58a:上部、58b:下部、58c:連結部)
60a,60b:バネ連結部
62 :ストッパ
64 :着脱用具
66 :第1本体部(66a:第1面(上面)、66b:第3面(前面))
(66c:第5面(後方右側面))
68 :持ち手部(68a,68b:足部、68c:連結部)
70 :持ち手部(70a,70b:足部、70c:連結部)
72 :凸部(72a:第1面(上面)、72b:第3面(右側面))
74 :ストッパ部(74a:第1面(前面))
76 :第1嵌合部(上部:76a、76b:下部、76c:連結部)
78a,78b:バネ連結部
80a,80b:引張バネ
82 :第2本体部(82a:第1面(前面)、82b:第3面(上面))
(82c:貫通孔、82d:第5面(右側面))
84 :第2嵌合部(84a:上部、84b:下部、84c:連結部)
86a,86b:バネ連結部
88 :ストッパ