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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】ポリオキサゾリドンのバルク重合
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20240701BHJP
   C08G 18/20 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
C08G18/00 030
C08G18/20
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021502853
(86)(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 EP2019069202
(87)【国際公開番号】W WO2020016276
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】18184167.7
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】デボワ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】トマス,ハンス-ヨーゼフ
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0088659(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0291726(US,A1)
【文献】特表2014-520903(JP,A)
【文献】特表2018-504510(JP,A)
【文献】特表2018-501391(JP,A)
【文献】特表2003-522217(JP,A)
【文献】特表平04-506678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00- 18/87
C08G71/00- 71/04
C08L 1/00-101/16
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒組成物(iii)の存在下で、少なくとも成分(i)~(ii)、
i)少なくとも1種のジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のジエポキシドを含むエポキシド組成物
を反応させることにより熱可塑性ポリマーを製造する方法であって、
a)最初に140~180℃である第1の温度範囲(T)の温度で、エポキシド組成物(ii)及び触媒組成物(iii)を混合物として入れ、
b)前記第1の温度範囲Tの温度を維持しながら前記ポリイソシアネート組成物(i)を部分的に添加し、
c)温度を180℃超~250℃である最終温度範囲(T)の温度に上昇し、
d)前記最終温度範囲で残りの前記ポリイソシアネート組成物(i)を添加するステップを有し、
前記最終温度範囲Tが180℃超~200℃である第2の温度範囲T及び200℃超~250℃である第3の温度範囲Tを含む、方法。
【請求項2】
前記第1の温度範囲Tが、150~170℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の温度範囲Tが、10℃超~200℃であり、前記第3の温度範囲Tが、200℃超~230℃である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(b)による前記第1の温度範囲Tにおいて、前記ポリイソシアネート組成物(i)の総量に基づいて、80質量%~95質量%の前記ポリイソシアネート組成物(i)を添加する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記最終温度範囲Tにおいて、前記ポリイソシアネート組成物(i)の総量に基づいて、5質量%~20質量%の前記ポリイソシアネート組成物(i)を添加する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリイソシアネート組成物(i)の総量に基づいて、前記第2の温度範囲Tにおいて5質量%~20質量%の前記ポリイソシアネート組成物(i)を添加する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリイソシアネート組成物(i)の総量に基づいて、前記第3の温度範囲Tにおいて0質量%~10質量%の前記ポリイソシアネート組成物(i)を添加する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記触媒組成物(iii)が少なくとも1種のイオン性液体を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ポリイソシアネート組成物(i)、エポキシド組成物(ii)及び触媒組成物(iii)の量が、存在するすべての物質の総反応量の95質量%を構成する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
触媒組成物(iii)の存在下で、少なくとも成分(i)~(ii)、
i)少なくとも1種のジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のジエポキシドを含むエポキシド組成物
を反応させることにより得られる又は得ることができる熱可塑性ポリマーであって、
a)最初に140~180℃である第1の温度範囲(T)の温度で、エポキシド組成物(ii)及び触媒組成物(iii)を混合物として入れ、
b)第1の温度を維持しながら前記ポリイソシアネート組成物(i)を部分的に添加し、
c)温度を180℃超~250℃である最終温度範囲(T)の温度に上昇し、
d)前記最終温度範囲で残りの前記ポリイソシアネート組成物(i)を添加して、熱可塑性ポリマーを得る、熱可塑性ポリマーであって、
前記最終温度範囲Tが180℃超~200℃である第2の温度範囲T及び200℃超~250℃である第3の温度範囲Tを含む、熱可塑性ポリマー。
【請求項11】
前記触媒組成物(iii)が少なくとも1種のイオン性液体を含む、請求項10に記載の熱可塑性ポリマー。
【請求項12】
ポリイソシアネート組成物(i)、エポキシド組成物(ii)及び触媒組成物(iii)の量が、存在するすべての物質の総反応量の95質量%を構成する、請求項10又は11に記載の熱可塑性ポリマー。
【請求項13】
前記熱可塑性ポリマーが、10000g/mol超の数平均モル質量Mを有する、請求項10から12のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリマー。
【請求項14】
多分散度が、4未満であり、前記多分散度PIが前記熱可塑性ポリマーの質量平均モル質量Mと数平均モル質量Mの商である、請求項10から13のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリマー。
【請求項15】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法により得られる又は得ることができる熱可塑性ポリマー、又は請求10から14のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリマーを、射出成形、カレンダ加工、粉末焼結、レーザー焼結、溶融プレス又は押出しによって繊維又は成形体を製造することに、又は熱可塑性材料の改質剤として使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒組成物(iii)の存在下で、少なくとも成分(i)~(ii):(i)少なくとも1種のジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物、(ii)少なくとも1種のジエポキシドを含むエポキシド組成物を反応させることにより、熱可塑性ポリマーを製造する方法に関し、ここで、(a)最初に第1の温度範囲(T)の温度で、エポキシド組成物(ii)及び触媒組成物(iii)を混合物として入れ、(b)第1の温度範囲Tの温度を維持しながらポリイソシアネート組成物(i)を少なくとも部分的に添加し、(c)温度を最終温度範囲(T)の温度に上昇し、(d)最終温度範囲で残りのポリイソシアネート組成物(i)を添加する。このようにして得られ、ジイソシアネート及びジエポキシドをベースとする熱可塑性ポリマーは、ポリオキサゾリドンとも呼ばれる。
【背景技術】
【0002】
原則として、ジイソシアネート及びジエポキシドをベースとするポリオキサゾリドンの製造は知られている。この場合、例えばDE 10 2014 226 838 A1で言及されているように、焦点は主に架橋構造にある。ここでは、イソシアネート及びエポキシドから始まる一連の副反応が発生し、これらの副反応はポリオキサゾリドンの熱可塑特性に悪影響を及ぼす。
【0003】
直鎖ポリオキサゾリドンの合成は、文献WO 2015/173111 A1、WO 2015/173110 A1、US 2014/0121299及びWO 2014/076024 A1に記載されている。しかしながら、ポリオキサゾリドンの特性、特に熱可塑特性にも悪影響を及ぼさないために、副反応がごくわずかしか発生しない熱可塑性ポリオキサゾリドンの製造には問題があった。ポリオキサゾリドンの生成物特性、特に熱可塑特性を改善するための1つの可能性は、最終生成物にも存在する可能性のある好適な触媒を使用してポリオキサゾリドンを製造することによって提供され、この場合、PCT/EP2018/053612による触媒はイオン性液体であった。PCT/EP2018/053612により、合成は、例えば、第1の工程でエポキシド及び触媒を溶媒に溶解し、反応温度に加熱することによって実施され、ここで、反応温度は、好ましくは、140℃~220℃の範囲である。次に、反応温度を維持しながら、保護ガス下でイソシアネートをメーターでゆっくり供給する。記載されている方法は直鎖ポリオキサゾリドンを提供するが、得られたポリマーは増大した多分散度を有することが見出された;さらに、ポリマーの仕上げ(workup)はより複雑であり、例えば、溶媒残留物は複雑な方法でしか除去できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】DE 10 2014 226 838 A1
【文献】WO 2015/173111 A1
【文献】WO 2015/173110 A1
【文献】US 2014/0121299
【文献】WO 2014/076024 A1
【文献】PCT/EP2018/053612
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、好ましくは手順において溶媒を使用せず、上記の欠点を回避することができ、特に比較的高い分子量及び比較的低い多分散度を達成することができる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、触媒組成物(iii)の存在下で、少なくとも成分(i)~(ii)、
i)少なくとも1種のジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のジエポキシドを含むエポキシド組成物
を反応させることにより熱可塑性ポリマーを製造する方法によって達成され、ここで、
a)最初に第1の温度範囲(T)の温度で、エポキシド組成物(ii)及び触媒組成物(iii)を混合物として入れ、
b)第1の温度範囲Tの温度を維持しながらポリイソシアネート組成物(i)を少なくとも部分的に添加し、
c)温度を最終温度範囲(T)の温度に上昇し、
d)最終温度範囲で残りのポリイソシアネート組成物(i)を添加する。
【0007】
得られたポリマー(ポリオキサゾリドン)は、MとMの両方に関して比較的高い分子量、及びまた比較的低い多分散度を有する。特に、数平均モル質量Mは10000g/molを超え、多分散度は4未満である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
温度範囲
(c)によれば、温度を最終温度範囲(T)の温度に上昇する。最終温度範囲Tは、好ましくは、第2の温度範囲T及び第3の温度範囲Tを含み、ここで、第3の温度範囲Tが第2の温度範囲Tより高く、第2の温度範囲Tが第1の温度範囲Tより高い。優先的には、最終温度範囲Tは、180℃超~250℃、好ましくは170℃超~250℃、さらに好ましくは165℃超~250℃であり、ここで、優先的に、第2の温度範囲Tが、180℃超~200℃、好ましくは170℃超~200℃、さらに好ましくは165℃超~200℃であり、第3の温度範囲Tが、200℃超~250℃、好ましくは200℃超~230℃である。
【0009】
(a)によれば、最初に第1の温度範囲(T)の温度で、エポキシド組成物(ii)及び触媒組成物(iii)を混合物として入れる。優先的には、第1の温度範囲Tは、140~180℃、好ましくは150~170℃、さらに好ましくは155~165℃である。
【0010】
(b)によれば、第1の温度範囲Tの温度を維持しながらポリイソシアネート組成物(i)を少なくとも部分的に添加する。(b)による第1の温度範囲Tにおいて、ポリイソシアネート組成物(i)の総量に基づいて、好ましくは80質量%~95質量%のポリイソシアネート組成物(i)を添加する。
【0011】
「第1の温度範囲T1の温度を維持しながら」とは、温度が、(a)で設定された温度から、最大+/-10℃、好ましくは+/-5℃、さらに好ましくは+/-3℃ずれることができ、それにもかかわらず温度範囲T1を達成することを意味する、すなわち、工程(b)において温度が、優先的に140~180℃、好ましくは150~170℃の範囲、さらに好ましくは155~165℃の範囲の温度範囲Tに留まる。
【0012】
(d)によれば、最終温度範囲で残りのポリイソシアネート組成物(i)を添加する。最終温度範囲Tにおいて、ポリイソシアネート組成物(i)の総量に基づいて、好ましくは5質量%~20質量%のポリイソシアネート組成物(i)を添加し、ここで、好ましくは、いずれの場合もポリイソシアネート組成物(i)の総量に基づいて、第2の温度範囲Tにおいて5質量%~20質量%のポリイソシアネート組成物(i)、第3の温度範囲Tにおいて任意に0質量%~10質量%、好ましくは0質量%のポリイソシアネート組成物(i)を添加する。
【0013】
(b)及び(d)におけるポリイソシアネート組成物(i)の添加は、いかなる制限も受けず、一定期間ごとに同じ量で連続的に、一定期間ごとに異なる量で連続的に、又は不連続的に実施することができる。好ましくは、(b)及び(d)におけるポリイソシアネート組成物(i)の添加を、一定期間ごとに同じ量で連続的に実施する。
【0014】
ポリイソシアネート組成物
(i)によれば、ポリイソシアネート組成物は少なくとも1種のジイソシアネートを含む。
【0015】
本発明の場合、「少なくとも1種のジイソシアネート」は、好ましくは以下のリストから選択される、単一の物質及び物質の混合物の両方を意味すると理解される。ジイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び芳香族イソシアネートからなる群から選択され、さらに好ましくは、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニル3,3’-ジイソシアネート、ジフェニルエタン1,2-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジイソシアネート(H12 MDI)、パラフェニレン2,4-ジイソシアネート(PPDI)、テトラメチレンキシレン2,4-ジイソシアネート(TMXDI)の群から選択される。上記のリストから選択される芳香族ジイソシアネートが好ましい。さらに好ましくは、イソシアネートは、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)の群から選択される。トリレンジイソシアネート(TDI)又はジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が非常に特に好ましい。
【0016】
一実施態様によれば、ポリイソシアネート組成物(i)は、2.0超の官能価を有するイソシアネートを含まない。これは、ポリイソシアネート組成物(i)が、2.0の官能価を有するジイソシアネートのみを含み、好ましくは1.95~2.05の範囲の官能価を有するジイソシアネートを含むことを意味する。さらに好ましくは、ポリイソシアネート組成物(i)は、それぞれポリイソシアネート組成物(i)の総質量に基づいて、少なくとも98質量%の少なくとも1種のジイソシアネートから構成される。
【0017】
イソシアネート基の含有量は、DIN EN ISO 14896に従って決定される。
【0018】
エポキシド組成物
(ii)によれば、エポキシド組成物は少なくとも1種のジエポキシドを含む。
【0019】
本発明の場合、「少なくとも1種のジエポキシド」は、単一の物質及び物質の混合物の両方を意味すると理解される。好ましくは、エポキシド組成物(ii)は、2.0超の官能価を有するエポキシドを含まない。これは、エポキシド組成物(ii)が、2.0の官能価を有するジエポキシドのみを含み、好ましくは1.95~2.05の範囲の官能価を有するジエポキシドを含むことを意味する。1つの好ましい実施態様において、エポキシド組成物(ii)は、それぞれエポキシド組成物(ii)の総質量に基づいて、少なくとも98質量%の少なくとも1種のジエポキシドから構成される。
【0020】
この場合、これらのジエポキシドは、飽和又は不飽和の、脂肪族、脂環式、芳香族又はヘテロ環のものである。それらはさらに、反応条件下で干渉副反応を引き起こさない置換基、例えばアルキル又はアリール置換基、エーテル基などを含み得る。
【0021】
好ましくは、ジエポキシドは、二価アルコール、フェノール、これらのフェノールの水素化生成物、及び/又はノボラックをベースとするポリグリシジルエーテルである。ノボラックは、酸性触媒の存在下でフェノールとアルデヒド、特にホルムアルデヒドとの反応の生成物であり、この場合、ジグリシジルエーテルが特に好ましい。しかしながら、エーテル基を含まない他の構造をベースとするジエポキシドも可能である。
【0022】
他の好ましいジエポキシドは、天然原料のジグリシジルエーテル、好ましくはカルダノールをベースとするものである。このような製品の1つの典型的な例は、Cardolite NC 514(Cardolite)である。このエポキシドの利点は、芳香族システム間の比較的長いアルキル鎖であり、それによって製造されるポリマーがより高い柔軟性を有する。脂肪族構造要素の利点は、芳香族ジグリシジルエーテルと組み合わせて特に効果的である。したがって、芳香族ジグリシジルエーテルと組み合わせた脂肪族ジグリシジルエーテルをベースとするジエポキシドが特に好ましい。
【0023】
これらのエポキシド化合物のエポキシド当量は、好ましくは100~5000、特に150~500である。ここでは、物質のエポキシド当量は、1モルのオキシラン環を含む物質の量(グラムで表示する)として定義される。化合物中のオキシラン基(「エポキシド基」)の含有量を特徴づけるために、エポキシド滴定は通常、氷酢酸中の過塩素酸の0.1Nの溶液で行われる(DIN EN ISO 3001を参照)。ここで得られたエポキシド数(%EpO)は、100グラムのサンプル中に何グラムのオキシラン酸素が存在するかを示す。クリスタルバイオレットは指示薬(indicator)として使用される。測定には、水、塩基及びアミンが含まれていないことが必要である。エポキシド含有量%EpOは、以下のように:%EpO=[(x-y)+0.160]/E、滴定中の0.1Nのmlでの過塩素酸の消費量(x)、ブランクサンプル中の0.1Nのmlでの過塩素酸の消費量(y)、及び対象となるサンプルのグラムでの初期質量(E)から計算される。次に、エポキシド当量(EEW)は、以下の式:EEW=1600/%EpOに従って計算され、ここで、EEWの単位はg/eqである。
【0024】
好ましくは、以下の化合物は、多価フェノールと見なすことができる:レゾルシノール、ヒドロキノン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ジヒドロキシジフェニルメタン(ビスフェノールF)の異性体混合物、テトラブロモビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルジフェニルプロパン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノール、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1-エタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1-イソブタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、及びまた上記の化合物の塩素化及び臭素化生成物;ここで、ビスフェノールAが非常に特に好ましい。ビスフェノールAジグリシジルエーテルの市販製品の例には、DOW U.S.A.からのDER 332、DER 331又はDER 330、又はLeuna Harze,ドイツからのEpilox A18-00が挙げられる。
【0025】
触媒
(i)によるポリイソシアネート組成物、及び(ii)によるエポキシド組成物は、触媒組成物(iii)の存在下で反応される。
【0026】
好ましくは、熱可塑性ポリマーの製造に使用される触媒はイオン性液体である。イオン性液体は、そのイオンが電荷の非局在化及び立体効果によって安定な結晶格子の形成を妨げる有機塩である。したがって、ほんの少量の熱エネルギーは、格子エネルギーを克服し、固体結晶構造を破壊することには十分である。
【0027】
イオン性液体のカチオンは、好ましくはアルキル化され、さらに好ましくは以下の群から選択される:イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、グアニジニウム、ウロニウム、チオウロニウム、ピペリジニウム、モルホリニウム、アンモニウム及びホスホニウム。イオン性液体中のアニオンは、好ましくはハロゲン化物、又は好ましくは以下の群から選択される錯イオンである:テトラフルオロボレート、トリフルオロアセテート、トリフラート、ヘキサフルオロホスフェート、ホスフィナート及びトシレート。他の好ましい実施態様において、アニオンは、有機イオン、好ましくはイミド又はアミドである。
【0028】
本発明の意味の範囲内のイオン性液体は、好ましくは、以下の一般式の塩である:
(A)一般式(I)の塩
【化1】
(式中、nは1、2、3又は4であり、[A]は四級アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン又はホスホニウムカチオンであり、[Y]n-は一価、二価、三価又は四価のアニオンである)、又は
(B)一般式(II)の混合塩
[A1]+[A2]+ [Y]n- (IIa) (式中、n=2である)、
[A1]+[A2]+[A3]+ [Y]n- (IIb) (式中、n=3である)、又は
[A1]+[A2]+[A3]+[A4]+ [Y]n- (IIc) (式中、n=4である)
ここで、[A、[A、[A及び[Aは、互いに独立して、[A]に記載されている群から選択され、[Y]n-は(A)に記載されている意味を有し、又は
(C)一般式(III)の混合塩
[A1]+[A2]+[A3]+[M1]+ [Y]n- (IIIa) (式中、n=4である)、
[A1]+[A2]+[M1]+[M2]+ [Y]n- (IIIb) (式中、n=4である)、
[A1]+[M1]+[M2]+[M3]+ [Y]n- (IIIc) (式中、n=4である)、
[A1]+[A2]+[M1]+ [Y]n- (IIId) (式中、n=3である)、
[A1]+[M1]+[M2]+ [Y]n- (IIIe) (式中、n=3である)、
[A1]+[M1]+ [Y]n- (IIIf) (式中、n=2である)、
[A1]+[A2]+[M4]2+ [Y]n- (IIIg) (式中、n=4である)、
[A1]+[M1]+[M4]2+ [Y]n- (IIIh) (式中、n=4である)、
[A1]+[M5]3+ [Y]n- (IIIi) (式中、n=4である)、又は
[A1]+[M4]2+ [Y]n- (IIIj) (式中、n=3である)、
ここで、[A、[A及び[Aは、互いに独立して、[A]に記載されている群から選択され、[Y]n-は(A)に記載されている意味を有し、[M、[M、[Mは一価の金属カチオンであり、[M2+は二価の金属カチオンであり、[M3+は三価の金属カチオンである。
【0029】
イオン性液体のカチオン[A]の形成に適する化合物は、例えばDE 102 02 838 A1から知られている。したがって、このような化合物は、酸素、リン、硫黄、又は特に窒素原子、例えば少なくとも1個の窒素原子、好ましくは1~10個の窒素原子、特に好ましくは1~5個、非常に特に好ましくは1~3個、特に1~2個の窒素原子を含む。任意に、さらなるヘテロ原子、例えば酸素、硫黄又はリン原子も存在することができる。窒素原子は、イオン液体のカチオン中の正電荷の好適な担体であり、そこからプロトン又はアルキル基が平衡状態でアニオンに移動して、電気的に中性の分子を生成する。
【0030】
窒素原子がイオン性液体のカチオン中の正電荷の担体である場合、カチオンは、最初に、イオン性液体の合成における例えばアミン又は窒素ヘテロ環の窒素原子の四級化によって製造することができる。四級化は、窒素原子のアルキル化によって行うことができる。使用されるアルキル化試薬に応じて、異なるアニオンを有する塩が得られる。四級化だけで所望のアニオンを形成することができない場合、これはさらなる合成工程で行うことができる。例えば、ハロゲン化アンモニウムから出発して、ハロゲン化物をルイス酸と反応させて、ハロゲン化物及びルイス酸から錯アニオンを形成することができる。代替の態様として、ハロゲン化物イオンを所望のアニオンで置き換えることが可能である。これは、形成された金属ハロゲン化物の沈殿を伴う金属塩の添加により、イオン交換体により、又は強酸によるハロゲン化物イオンの置換(ハロゲン化水素酸の遊離を伴う)により行うことができる。好適な方法は、例えばAngew.Chem.2000,112,3926~3945頁及びそこに引用されている文献に記載されている。
【0031】
例えばアミン又は窒素ヘテロ環の窒素原子を四級化することができる好適なアルキル基は、C~C18-アルキル、好ましくはC~C10-アルキル、特に好ましくはC~C-アルキル、非常に特に好ましくはメチルである。アルキル基は、非置換であり得るか、又は1個以上の同一又は異なる置換基を有することができる。
【0032】
少なくとも1個の窒素原子及び任意に酸素又は硫黄原子を有する5員~6員ヘテロ環、特に5員ヘテロ環を少なくとも1つ含む化合物が好ましい。1個、2個又は3個の窒素原子及び硫黄又は酸素原子を有する少なくとも1つの5員~6員ヘテロ環を含むものが特に好ましい。2個の窒素原子を有するものが非常に特に好ましい。芳香族ヘテロ環がさらに好ましい。
【0033】
特に好ましい化合物は、1000g/mol未満、非常に特に好ましくは500g/mol未満のモル質量を有するものである。
【0034】
さらに、式(IVa)~(IVx3)の化合物及びこれらの構造を含むオリゴマーから選択されるカチオンが好ましい。
【0035】
【化2】




【0036】
さらに好適なカチオンは、一般式(IVy)及び(IVz)の化合物、及びこれらの構造を含むオリゴマーである。
【0037】
【化3】
【0038】
上記の式(IVa)~(IVz)において、
- 基Rは、水素、1~20個の炭素原子を有し、かつ、非置換、又は1~5個のヘテロ原子又は好適な官能基によって中断又は置換されている、炭素含有の有機の、飽和又は不飽和の、非環状又は環状の、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族基であり;
- 基R~Rは、互いに独立して、水素、スルホ基、又は1~20個の炭素原子を有し、かつ、非置換、又は1~5個のヘテロ原子又は好適な官能基によって中断又は置換されている、炭素含有の有機の、飽和又は不飽和の、非環状又は環状の、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族基であり、ここで、上記の式(IV)において炭素原子(ヘテロ原子ではなく)に結合している基R~Rは、さらにハロゲン又は官能基であってもよく;又は
- R~R中の2つの隣接する基も、1~30個の炭素原子を有し、かつ、非置換、又は1~5個のヘテロ原子又は好適な官能基によって中断又は置換されている、二価の炭素含有の有機の、飽和又は不飽和の、非環状又は環状の、脂肪族、芳香族又は芳香脂肪族基である。
【0039】
基R及びR~Rの定義において使用可能なヘテロ原子は、原則として、CH-、-CH=、-C又は=C=基を正式な意味で置き換えることができるすべてのヘテロ原子である。炭素含有基がヘテロ原子を含む場合、酸素、窒素、硫黄、リン及びケイ素が好ましい。特に、好ましい基には、-O-、-S-、-SO-、-SO-、-NR’-、-N=、-PR’-、-PR’及び-SiR’-(式中、基R’は、炭素含有基の残りの部分である)が含まれる。上記の式(IV)における基R~Rが炭素原子(ヘテロ原子ではなく)に結合する場合、それらはヘテロ原子を介して直接結合することもできる。
【0040】
使用可能な官能基は、原則として、炭素原子又はヘテロ原子と結合することができるすべての官能基である。好適な例は、-NR’及び-CN(シアノ)である。官能基及びヘテロ原子も直接隣接している可能性があるため、複数の隣接する原子の組み合わせ、例えば-O-(エーテル)、-S-(チオエーテル)、-COO-(エステル)又は-CONR’-(三級アミド)も含まれ、例えばジ(C~C-アルキル)アミノ、C~C-アルキルオキシカルボニル又はC~C-アルキルオキシである。基R’は、炭素含有基の残りの部分である。
【0041】
好ましいハロゲンは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素である。
【0042】
好ましくは、基Rは、以下のものである、
- 合計で1~20個の炭素原子を有し、非置換、又はハロゲン、フェニル、シアノで一置換から多置換されている非分岐又は分岐のC~C18-アルキル、例えばメチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチル-1-プロピル(イソブチル)、2-メチル-2-プロピル(tert-ブチル)、1-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-2-ブチル、3-メチル-2-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、2,3-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、2,3-ジメチル-2-ブチル、3,3-ジメチル-2-ブチル、1-ヘプチル、1-オクチル、1-ノニル、1-デシル、1-ウンデシル、1-ドデシル、1-テトラデシル、1-ヘキサデシル、1-オクタデシル、ベンジル、3-フェニルプロピル、2-シアノエチル、2-(メトキシカルボニル)エチル、2-(エトキシカルボニル)エチル、2-(n-ブトキシカルボニル)エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、ノナフルオロブチル、ノナフルオロイソブチル、ウンデシルフルオロペンチル及びウンデシルフルオロイソペンチル;
- グリコール、ブチレングリコール、及び1~100個の単位及び末端基としてのC~C-アルキルを有するそれらのオリゴマー、例えばRO-(CHR-CH-O)-CHR-CH-又はRO-(CHCHCHCHO)-CHCHCHCHO-(式中、R及びRは、好ましくはメチル又はエチルであり、nは、好ましくは0~3である)、特に3-オキサブチル、3-オキサペンチル、3,6-ジオキサヘプチル、3,6-ジオキサオクチル、3,6,9-トリオキサデシル、3,6,9-トリオキサウンデシル、3,6,9,12-テトラオキサトリデシル及び3,6,9,12-テトラオキサテトラデシル;
- ビニル;
- 1-プロペン-1-イル、1-プロペン-2-イル及び1-プロペン-3-イル;並びに
- N,N-ジ-C~C-アルキルアミノ、例えばN,N-ジメチルアミノ及びN,N-ジエチルアミノ。
【0043】
特に好ましくは、基Rは、非分岐、かつ非置換のC~C18-アルキル、例えばメチル、エチル、1-プロピル、1-ブチル、1-ペンチル、1-ヘキシル、1-ヘプチル、1-オクチル、1-デシル、1-ドデシル、1-テトラデシル、1-ヘキサデシル、1-オクタデシル、特にメチル、エチル、1-ブチル及び1-オクチル、並びにまた、CHO-(CHCHO)-CHCH-及びCHCHO-(CHCHO)-CHCH-(式中、nは0~3である)である。
【0044】
好ましくは、基R~Rは、互いに独立して、以下のものである、
- 水素;
- ハロゲン;
- 好適な官能基;
- 任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環に置換されている、及び/又は1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換されている又は置換されていないイミノ基によって中断されている、C~C18-アルキル;
- 任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環に置換されている、及び/又は1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換されている又は置換されていないイミノ基によって中断されている、C~C18-アルケニル;
- 任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環に置換されている、C~C12-アリール;
- 任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環に置換されている、C~C12-シクロアルキル;
- 任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環に置換されている、C~C12-シクロアルケニル;又は
- 酸素、窒素及び/又は硫黄原子を有し、任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環に置換されている、5員~6員ヘテロ環;又は結合している原子と一緒に2つの隣接する基
- 任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環に置換されており、任意に1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換されている又は置換されていないイミノ基によって中断されている、不飽和、飽和又は芳香族の環。
【0045】
好ましくは、任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環に置換されているC~C18-アルキルは、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチル-1-プロピル(イソブチル)、2-メチル-2-プロピル(tert-ブチル)、1-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-2-ブチル、3-メチル-2-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、2,3-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、2,3-ジメチル-2-ブチル、3,3-ジメチル-2-ブチル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、2,4,4-トリメチルペンチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、1-ノニル、1-デシル、1-ウンデシル、1-ドデシル、1-トリデシル、1-テトラデシル、1-ペンタデシル、1-ヘキサデシル、1-ヘプタデシル、1-オクタデシル、シクロペンチルメチル、2-シクロペンチルエチル、3-シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、2-シクロヘキシルエチル、3-シクロヘキシルプロピル、ベンジル(フェニルメチル)、ジフェニルメチル(ベンズヒドリル)、トリフェニルメチル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、3-フェニルプロピル、α,α-ジメチルベンジル、p-トリルメチル、1-(p-ブチルフェニル)エチル、p-クロロベンジル、2,4-ジクロロベンジル、p-メトキシベンジル、m-エトキシベンジル、2-シアノエチル、2-シアノプロピル、2-メトキシカルボニルエチル、2-エトキシカルボニルエチル、2-ブトキシカルボニルプロピル、1,2-ジ(メトキシカルボニル)エチル、メトキシ、エトキシ、1,3-ジオキソラン-2-イル、1,3-ジオキサン-2-イル、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、2-ジメチルアミノエチル、2-ジメチルアミノプロピル、3-ジメチルアミノプロピル、4-ジメチルアミノブチル、6-ジメチルアミノヘキシル、2-フェノキシエチル、2-フェノキシプロピル、3-フェノキシプロピル、4-フェノキシブチル、6-フェノキシヘキシル、2-メトキシエチル、2-メトキシプロピル、3-メトキシプロピル、4-メトキシブチル、6-メトキシヘキシル、2-エトキシエチル、2-エトキシプロピル、3-エトキシプロピル、4-エトキシブチル、6-エトキシヘキシル、C2(n-a)+(1-b)2a+b(式中、nは1~30であり、0≦a≦nであり、b=0又は1である)(例えば、CF、C、CHCH-C(n-2)2(n-2)+1、C13、C17、C1021、C1225)、クロロメチル、2-クロロエチル、トリクロロメチル、1,1-ジメチル-2-クロロエチル、メトキシメチル、2-ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、2-イソプロポキシエチル、2-ブトキシプロピル、2-オクチルオキシエチル、2-メトキシイソプロピル、2-(メトキシカルボニル)メチル、2-(エトキシカルボニル)メチル、2-(n-ブトキシカルボニル)メチル、ブチルチオメチル、2-ドデシルチオエチル、2-フェニルチオエチル、5-メトキシ-3-オキサペンチル、8-メトキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-メトキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-メトキシ-4-オキサヘプチル、11-メトキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-メトキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-メトキシ-5-オキサノニル、14-メトキシ-5,10-ジオキサテトラデシル、5-エトキシ-3-オキサペンチル、8-エトキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-エトキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-エトキシ-4-オキサヘプチル、11-エトキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-エトキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-エトキシ-5-オキサノニル又は14-エトキシ-5,10-オキサテトラデシルである。
【0046】
好ましくは、任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環に置換されている、及び/又は1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換されている又は置換されていないイミノ基によって中断されている、C~C18-アルケニルは、ビニル、2-プロペニル、3-ブテニル、シス-2-ブテニル、トランス-2-ブテニル、又はC2(n-a)-(1-b)2a-b(式中、n≦30であり、0≦a≦nであり、b=0又は1である)である。
【0047】
好ましくは、任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環に置換されている、C~C12-アリールは、フェニル、トリル、キシリル、α-ナフチル、β-ナフチル、4-ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert-ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6-ジメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジメトキシフェニル、2,6-ジクロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル、2,4-ジニトロフェニル、2,6-ジニトロフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、4-アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル、エトキシメチルフェニル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル又はtert-ブチルチオフェニル、又はC(5-a)(式中、0≦a≦5である)である。
【0048】
好ましくは、任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環に置換されている、C~C12-シクロアルキルは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、C2(n-a)-(1-b)2a-b(式中、n≦30であり、0≦a≦nであり、b=0又は1である)、及びまた、飽和又は不飽和の二環システム、例えばノルボルニル又はノルボルネニルである。
【0049】
好ましくは、任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環に置換されている、C~C12-シクロアルケニルは、3-シクロペンテニル、2-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、2,5-シクロヘキサジエニル、又はC2(n-a)-3(1-b)2a-3b(式中、n≦30であり、0≦a≦nであり、b=0又は1である)である。
【0050】
好ましくは、酸素、窒素及び/又は硫黄原子を有し、任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環に置換されている、5員~6員ヘテロ環は、フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル又はジフルオロピリジルである。
【0051】
2つの隣接する基が一緒に、任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環に置換されており、任意に1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換されている又は置換されていないイミノ基によって中断されている、不飽和、飽和又は芳香族の環を形成する場合、好ましくは、これは、1,3-プロピレン、1,4-ブチレン、1,5-ペンチレン、2-オキサ-1,3-プロピレン、1-オキサ-1,3-プロピレン、2-オキサ-1,3-プロピレン、1-オキサ-1,3-プロペニレン(propenylene)、3-オキサ-1,5-ペンチレン、1-アザ-1,3-プロペニレン、1-C~C-アルキル-1-アザ-1,3-プロペニレン、1,4-ブタ-1,3-ジエニレン(dienylene)、1-アザ-1,4-ブタ-1,3-ジエニレン又は2-アザ-1,4-ブタ-1,3-ジエニレンである。
【0052】
上記の基が酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は置換されている又は置換されていないイミノ基を含む場合、酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又はイミノ基の数はいかなる制限も受けない。一般的には、この基において、その量は、5以下、好ましくは4以下、非常に特に好ましくは3以下である。
【0053】
上記の基がヘテロ原子を含む場合、2つのヘテロ原子の間に、一般に少なくとも1個の炭素原子、好ましくは少なくとも2個の炭素原子が存在している。
【0054】
特に好ましくは、基R~Rは、互いに独立して、以下のものである、
- 水素;
- 合計で1~20個の炭素原子を有し、非置換、又はハロゲン、フェニル、シアノで一置換から多置換されている非分岐又は分岐のC~C18-アルキル、C~C-アルコキシカルボニル、及び/又は、例えば、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチル-1-プロピル(イソブチル)、2-メチル-2-プロピル(tert-ブチル)、1-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-2-ブチル、3-メチル-2-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、2,3-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、2,3-ジメチル-2-ブチル、3,3-ジメチル-2-ブチル、1-ヘプチル、1-オクチル、1-ノニル、1-デシル、1-ウンデシル、1-ドデシル、1-テトラデシル、1-ヘキサデシル、1-オクタデシル、ベンジル、3-フェニルプロピル、2-シアノエチル、2-(メトキシカルボニル)エチル、2-(エトキシカルボニル)エチル、2-(n-ブトキシカルボニル)エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、ノナフルオロブチル、ノナフルオロイソブチル、ウンデシルフルオロペンチル及びウンデシルフルオロイソペンチル;
- グリコール、ブチレングリコール、及び1~100個の単位及び末端基としてのC~C-アルキルを有するそれらのオリゴマー、例えばRO-(CHR-CH-O)-CHR-CH-又はRO-(CHCHCHCHO)-CHCHCHCHO-(式中、R及びRは、好ましくはメチル又はエチルであり、nは、好ましくは0~3である)、特に3-オキサブチル、3-オキサペンチル、3,6-ジオキサヘプチル、3,6-ジオキサオクチル、3,6,9-トリオキサデシル、3,6,9-トリオキサウンデシル、3,6,9,12-テトラオキサトリデシル及び3,6,9,12-テトラオキサテトラデシル;
- ビニル;
- 1-プロペン-1-イル、1-プロペン-2-イル及び1-プロペン-3-イル;並びに
- N,N-ジ-C~C-アルキルアミノ、例えばN,N-ジメチルアミノ及びN,N-ジエチルアミノ、
ここで、IIIwがIIIである場合、Rは水素ではない。
【0055】
非常に特に好ましくは、基R~Rは、互いに独立して、水素、又はC~C18-アルキル、例えばメチル、エチル、1-ブチル、1-ペンチル、1-ヘキシル、1-ヘプチル、1-オクチルであるか、又はフェニル、2-シアノエチル、2-(メトキシカルボニル)エチル、2-(エトキシカルボニル)エチル、2-(n-ブトキシカルボニル)エチル、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノ、塩素、及びまたCHO-(CHCHO)-CHCH-及びCHCHO-(CHCHO)-CHCH-(式中、nは0~3である)であり、ここで、IIIwがIIIである場合、Rは水素ではない。
【0056】
非常に特に好ましくは、使用されるピリジニウムイオン(IVa)は、以下のものであり、
- 基R~Rの1つは、メチル、エチル又は塩素であり、残りの基R~Rは水素であるもの;
- Rはジメチルアミノであり、残りの基R、R、R及びRは水素であるもの;
- すべての基R~Rは水素であるもの;
- R及びR又はR及びRは1,4-ブタ-1,3-ジエニレンであり、残りの基R、R、R及びRは水素であるもの;
特に以下のものである、
- R~Rは水素であるもの;又は
- 基R~Rの1つはメチル又はエチルであり、残りの基R~Rは水素であるもの。
【0057】
非常に特に好ましいピリジニウムイオン(IVa)には、1-メチルピリジニウム、1-エチルピリジニウム、1-(1-ブチル)ピリジニウム、1-(1-ヘキシル)ピリジニウム、1-(1-オクチル)ピリジニウム、1-(1-ヘキシル)ピリジニウム、1-(1-オクチル)ピリジニウム、1-(1-ドデシル)ピリジニウム、1-(1-テトラデシル)ピリジニウム、1-(1-ヘキサデシル)ピリジニウム、1,2-ジメチルピリジニウム、1-エチル-2-メチルピリジニウム、1-(1-ブチル)-2-メチルピリジニウム、1-(1-ヘキシル)-2-メチルピリジニウム、1-(1-オクチル)-2-メチルピリジニウム、1-(1-ドデシル)-2-メチルピリジニウム、1-(1-テトラデシル)-2-メチルピリジニウム、1-(1-ヘキサデシル)-2-メチルピリジニウム、1-メチル-2-エチルピリジニウム、1,2-ジエチルピリジニウム、1-(1-ブチル)-2-エチルピリジニウム、1-(1-ヘキシル)-2-エチルピリジニウム、1-(1-オクチル)-2-エチルピリジニウム、1-(1-ドデシル)-2-エチルピリジニウム、1-(1-テトラデシル)-2-エチルピリジニウム、1-(1-ヘキサデシル)-2-エチルピリジニウム、1,2-ジメチル-5-エチルピリジニウム、1,5-ジエチル-2-メチルピリジニウム、1-(1-ブチル)-2-メチル-3-エチルピリジニウム、1-(1-ヘキシル)-2-メチル-3-エチルピリジニウム及び1-(1-オクチル)-2-メチル-3-エチルピリジニウム、1-(1-ドデシル)-2-メチル-3-エチルピリジニウム、1-(1-テトラデシル)-2-メチル-3-エチルピリジニウム及び1-(1-ヘキサデシル)-2-メチル-3-エチルピリジニウムが含まれる。
【0058】
非常に特に好ましくは、使用されるピリダジニウムイオン(IVb)は、以下のものである、
- R~Rは水素であるもの;又は
- 基R~Rの1つはメチル又はエチルであり、残りの基R~Rは水素であるもの。
【0059】
非常に特に好ましくは、使用されるピリミジニウムイオン(IVc)は、以下のものである、
- Rは、水素、メチル又はエチルであり、R~Rは、互いに独立して、水素又はメチルであるもの;又は
- Rは、水素、メチル又はエチルであり、R及びRはメチルであり、Rは水素であるもの。
【0060】
非常に特に好ましくは、使用されるピラジニウムイオン(IVd)は、以下のものである、
- Rは、水素、メチル又はエチルであり、R~Rは、互いに独立して、水素又はメチルであるもの;
- Rは、水素、メチル又はエチルであり、R及びRはメチルであり、Rは水素であるもの;
- R~Rはメチルであるもの;又は
- R~Rは水素であるもの。
【0061】
非常に特に好ましくは、使用されるイミダゾリウムイオン(IVe)は、以下のものである、
- Rは、水素、メチル、エチル、1-プロピル、1-ブチル、1-ペンチル、1-ヘキシル、1-オクチル又は2-シアノエチルであり、R~Rは、互いに独立して、水素、メチル又はエチルであるもの。
【0062】
非常に特に好ましいイミダゾリウムイオン(IVe)には、1-メチルイミダゾリウム、1-エチルイミダゾリウム、1-(1-ブチル)イミダゾリウム、1-(1-オクチル)イミダゾリウム、1-(1-ドデシル)イミダゾリウム、1-(1-テトラデシル)イミダゾリウム、1-(1-ヘキサデシル)イミダゾリウム、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-(1-ブチル)-3-メチルイミダゾリウム、1-(1-ブチル)-3-エチルイミダゾリウム、1-(1-ヘキシル)-3-メチルイミダゾリウム、1-(1-ヘキシル)-3-エチルイミダゾリウム、1-(1-ヘキシル)-3-ブチルイミダゾリウム、1-(1-オクチル)-3-メチルイミダゾリウム、1-(1-オクチル)-3-エチルイミダゾリウム、1-(1-オクチル)-3-ブチルイミダゾリウム、1-(1-ドデシル)-3-メチルイミダゾリウム、1-(1-ドデシル)-3-エチルイミダゾリウム、1-(1-ドデシル)-3-ブチルイミダゾリウム、1-(1-ドデシル)-3-オクチルイミダゾリウム、1-(1-テトラデシル)-3-メチルイミダゾリウム、1-(1-テトラデシル)-3-エチルイミダゾリウム、1-(1-テトラデシル)-3-ブチルイミダゾリウム、1-(1-テトラデシル)-3-オクチルイミダゾリウム、1-(1-ヘキサデシル)-3-メチルイミダゾリウム、1-(1-ヘキサデシル)-3-エチルイミダゾリウム、1-(1-ヘキサデシル)-3-ブチルイミダゾリウム、1-(1-ヘキサデシル)-3-オクチルイミダゾリウム、1,2-ジメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-(1-ブチル)-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-(1-ヘキシル)-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-(1-オクチル)-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1,4-ジメチルイミダゾリウム、1,3,4-トリメチルイミダゾリウム、1,4-ジメチル-3-エチルイミダゾリウム、3-ブチルイミダゾリウム、1,4-ジメチル-3-オクチルイミダゾリウム、1,4,5-トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5-テトラメチルイミダゾリウム、1,4,5-トリメチル-3-エチルイミダゾリウム、1,4,5-トリメチル-3-ブチルイミダゾリウム、1,4,5-トリメチル-3-オクチルイミダゾリウム及び1-(プロプ-1-エン-3-イル)-3-メチルイミダゾリウムが含まれる。
【0063】
最も好ましい1,3-ジアルキルイミダゾリウムイオンは、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムイオン及び1-エチル-3-メチルイミダゾリウムイオンである。
【0064】
非常に特に好ましくは、使用されるピラゾリウムイオン(IVf)、(IVg)又は(IVg’)は、以下のものである、
- Rは、水素、メチル又はエチルであり、R~Rは、互いに独立して、水素又はメチルであるもの。
【0065】
非常に特に好ましくは、使用されるピラゾリウムイオン(IVh)は、以下のものである、
- R~Rは、互いに独立して、水素又はメチルであるもの。
【0066】
非常に特に好ましくは、使用される1-ピラゾリニウムイオン(IVi)は、以下のものである、
- R~Rは、互いに独立して、水素又はメチルであるもの。
【0067】
非常に特に好ましくは、使用される2-ピラゾリニウムイオン(IVj)又は(IVj’)は、以下のものである、
- Rは、水素、メチル、エチル又はフェニルであり、R~Rは、互いに独立して、水素又はメチルであるもの。
【0068】
非常に特に好ましくは、使用される3-ピラゾリニウムイオン(IVk)又は(IVk’)は、以下のものである、
- R及びRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル又はフェニルであり、R~Rは、互いに独立して、水素又はメチルであるもの。
【0069】
非常に特に好ましくは、使用されるイミダゾリニウムイオン(IVl)は、以下のものである、
- R及びRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、1-ブチル又はフェニルであり、R及びRは、互いに独立して、水素、メチル又はエチルであり、R及びRは、互いに独立して、水素又はメチルであるもの。
【0070】
非常に特に好ましくは、使用されるイミダゾリニウムイオン(IVm)又は(IVm’)は、以下のものである、
- R及びRは、互いに独立して、水素、メチル又はエチルであり、R~Rは、互いに独立して、水素又はメチルであるもの。
【0071】
非常に特に好ましくは、使用されるイミダゾリニウムイオン(IVn)又は(IVn’)は、以下のものである、
- R~Rは、互いに独立して、水素、メチル又はエチルであり、R~Rは、互いに独立して、水素又はメチルであるもの。
【0072】
非常に特に好ましくは、使用されるチアゾリウムイオン(IVo)又は(IVo’)及びオキサゾリウムイオン(IVp)は、以下のものである、
- Rは、水素、メチル、エチル又はフェニルであり、R及びRは、互いに独立して、水素又はメチルであるもの。
【0073】
非常に特に好ましくは、使用される1,2,4-トリアゾリウムイオン(IVq)、(IVq’)又は(IVq’’)は、以下のものである、
- R及びRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル又はフェニルであり、Rは、水素、メチル又はフェニルであるもの。
【0074】
非常に特に好ましくは、使用される1,2,3-トリアゾリウムイオン(IVr)、(IVr’)又は(IVr’’)は、以下のものである、
- Rは、水素、メチル又はエチルであり、R及びRは、互いに独立して、水素又はメチルであるか、又はR及びRは一緒に1,4-ブタ-1,3-ジエニレンであるもの。
【0075】
非常に特に好ましくは、使用されるピロリジニウムイオン(IVs)は、以下のものである、
- Rは、水素、メチル、エチル又はフェニルであり、R~Rは、互いに独立して、水素又はメチルであるもの。
【0076】
非常に特に好ましくは、使用されるイミダゾリジニウムイオン(IVt)は、以下のものである、
- R及びRは、互いに独立して、水素、メチル、エチル又はフェニルであり、R及びR及びR~Rは、互いに独立して、水素又はメチルであるもの。
【0077】
非常に特に好ましくは、使用されるアンモニウムイオン(IVu)は、以下のものである、
- R~Rは、互いに独立して、C~C18-アルキルであるもの;又は
- R及びRは一緒に1,5-ペンチレン又は3-オキサ-1,5-ペンチレンであり、RはC~C18-アルキル又は2-シアノエチルであるもの。
【0078】
群(IVu)からの非常に特に好ましいアンモニウムイオンにはメチルトリ(1-ブチル)アンモニウム及びテトラ(1-ブチル)アンモニウムが含まれ;群(IVx1)からのものにはN,N-ジメチルピペリジニウム及び1-ブチル-1-メチルピペリジニウムが含まれ;群(IVx2)からのものには1-エチル-3-メチルイミダゾリニウムが含まれ;群(IVx3)からのものにはN,N-ジメチルモルホリニウムが含まれる。
【0079】
一般式(IVu)の四級アンモニウムイオンが記載されている基Rでの四級化によって誘導される三級アミンの例には、ジエチル-n-ブチルアミン、ジエチル-tert-ブチルアミン、ジエチル-n-ペンチルアミン、ジエチルヘキシルアミン、ジエチルオクチルアミン、ジエチル(2-エチルヘキシル)アミン、ジ-n-プロピルブチルアミン、ジ-n-プロピル-n-ペンチルアミン、ジ-n-プロピルヘキシルアミン、ジ-n-プロピルオクチルアミン、ジ-n-プロピル(2-エチルヘキシル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピル-n-プロピルアミン、ジイソプロピルブチルアミン、ジイソプロピルペンチルアミン、ジイソプロピルヘキシルアミン、ジイソプロピルオクチルアミン、ジイソプロピル(2-エチルヘキシル)アミン、ジ-n-ブチルエチルアミン、ジ-n-ブチル-n-プロピルアミン、ジ-n-ブチル-n-ペンチルアミン、ジ-n-ブチルヘキシルアミン、ジ-n-ブチルオクチルアミン、ジ-n-ブチル(2-エチルヘキシル)アミン、N-n-ブチルピロリジン、N-sec-ブチルピロリジン、N-tert-ブチルピロリジン、N-n-ペンチルピロリジン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジ-n-ブチルシクロヘキシルアミン、N-n-プロピルピペリジン、N-イソプロピルピペリジン、N-n-ブチルピペリジン、N-sec-ブチルピペリジン、N-tert-ブチルピペリジン、N-n-ペンチルピペリジン、N-n-ブチルモルホリン、N-sec-ブチルモルホリン、N-tert-ブチルモルホリン、N-n-ペンチルモルホリン、N-ベンジル-N-エチルアニリン、N-ベンジル-N-n-プロピルアニリン、N-ベンジル-N-イソプロピルアニリン、N-ベンジル-N-n-ブチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N,N-ジ-n-ブチル-p-トルイジン、ジエチルベンジルアミン、ジ-n-プロピルベンジルアミン、ジ-n-ブチルベンジルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジ-n-プロピルフェニルアミン及びジ-n-ブチルフェニルアミンが挙げられる。
【0080】
一般式(IVu)の好ましい四級アンモニウム塩は、記載されている基Rでの四級化によって以下の三級アミン、例えばジイソプロピルエチルアミン、ジエチル-tert-ブチルアミン、ジイソプロピルブチルアミン、ジ-n-ブチル-n-ペンチルアミン、N,N-ジ-n-ブチルシクロヘキシルアミン、及びまた、ペンチル異性体から誘導される三級アミンから誘導することができるものである。
【0081】
特に好ましい三級アミンは、ジ-n-ブチル-n-ペンチルアミン及びペンチル異性体から誘導される三級アミンである。さらに好ましい3個の同一の基を有する三級アミンは、トリアリルアミンである。
【0082】
非常に特に好ましくは、使用されるグアニジニウムイオン(IVv)は、以下のものである、
- 窒素は、環構造に存在するもの;又は
- R~Rはメチルであるもの。
非常に特に好ましいグアニジニウムイオン(IVv)は、N,N,N’,N’,N’’,N’’-ヘキサメチルグアニジニウムである。
【0083】
非常に特に好ましくは、使用されるコリニウムイオン(IVw)は、以下のものである、
- R及びRは、互いに独立して、メチル、エチル、1-ブチル又は1-オクチルであり、Rはメチル又はエチルであるもの;
- Rはメチル、エチル、1-ブチル又は1-オクチルであり、Rは-CH-CH-OR基であり、R及びRは、互いに独立して、メチル又はエチルであるもの;又は
- Rは-CH-CH-OR基であり、Rは-CH-CH-OR基であり、R~Rは、互いに独立して、メチル又はエチルであるもの。
【0084】
特に好ましいコリニウムイオン(IVw)は、Rが、メチル、エチル、5-メトキシ-3-オキサペンチル、8-メトキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-メトキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-メトキシ-4-オキサヘプチル、11-メトキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-メトキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-メトキシ-5-オキサノニル、14-メトキシ-5,10-オキサテトラデシル、5-エトキシ-3-オキサペンチル、8-エトキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-エトキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-エトキシ-4-オキサヘプチル、11-エトキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-エトキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-エトキシ-5-オキサノニル又は14-エトキシ-5,10-オキサテトラデシルから選択されるものである。
【0085】
非常に特に好ましくは、使用されるアミジニウムイオン(IVx)は、窒素原子が環構造に存在するものである。
【0086】
非常に特に好ましいアミジニウムイオン(IVx)には、モノプロトン化形態の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)又は1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エンが含まれる。
【0087】
非常に特に好ましくは、使用されるホスホニウムイオン(IVy)は、以下のものである、
- R~Rは、互いに独立して、C~C18-アルキル、特にブチル、イソブチル、1-ヘキシル又は1-オクチルであるもの。
【0088】
上記のヘテロ環カチオンの中で、ピリジニウムイオン、ピラゾリニウムイオン、ピラゾリウムイオン、及びイミダゾリニウム及びイミダゾリウムイオンが好ましい。さらに好ましくはアンモニウムイオンである。
【0089】
特に好ましいものには、1-メチルピリジニウム、1-エチルピリジニウム、1-(1-ブチル)ピリジニウム、1-(1-ヘキシル)ピリジニウム、1-(1-オクチル)ピリジニウム、1-(1-ヘキシル)ピリジニウム、1-(1-オクチル)ピリジニウム、1-(1-ドデシル)ピリジニウム、1-(1-テトラデシル)ピリジニウム、1-(1-ヘキサデシル)ピリジニウム、1,2-ジメチルピリジニウム、1-エチル-2-メチルピリジニウム、1-(1-ブチル)-2-メチルピリジニウム、1-(1-ヘキシル)-2-メチルピリジニウム、1-(1-オクチル)-2-メチルピリジニウム、1-(1-ドデシル)-2-メチルピリジニウム、1-(1-テトラデシル)-2-メチルピリジニウム、1-(1-ヘキサデシル)-2-メチルピリジニウム、1-メチル-2-エチルピリジニウム、1,2-ジエチルピリジニウム、1-(1-ブチル)-2-エチルピリジニウム、1-(1-ヘキシル)-2-エチルピリジニウム、1-(1-オクチル)-2-エチルピリジニウム、1-(1-ドデシル)-2-エチルピリジニウム、1-(1-テトラデシル)-2-エチルピリジニウム、1-(1-ヘキサデシル)-2-エチルピリジニウム、1,2-ジメチル-5-エチルピリジニウム、1,5-ジエチル-2-メチルピリジニウム、1-(1-ブチル)-2-メチル-3-エチルピリジニウム、1-(1-ヘキシル)-2-メチル-3-エチルピリジニウム、1-(1-オクチル)-2-メチル-3-エチルピリジニウム、1-(1-ドデシル)-2-メチル-3-エチルピリジニウム、1-(1-テトラデシル)-2-メチル-3-エチルピリジニウム、1-(1-ヘキサデシル)-2-メチル-3-エチルピリジニウム、1-メチルイミダゾリウム、1-エチルイミダゾリウム、1-(1-ブチル)-イミダゾリウム、1-(1-オクチル)イミダゾリウム、1-(1-ドデシル)イミダゾリウム、1-(1-テトラデシル)イミダゾリウム、1-(1-ヘキサデシル)イミダゾリウム、1,3-ジメチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-(1-ブチル)-3-メチルイミダゾリウム、1-(1-ヘキシル)-3-メチルイミダゾリウム、1-(1-オクチル)-3-メチルイミダゾリウム、1-(1-ドデシル)-3-メチルイミダゾリウム、1-(1-テトラデシル)-3-メチルイミダゾリウム、1-(1-ヘキサデシル)-3-メチルイミダゾリウム、1,2-ジメチルイミダゾリウム、1,2,3-トリメチルイミダゾリウム、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-(1-ブチル)-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-(1-ヘキシル)-2,3-ジメチルイミダゾリウム及び1-(1-オクチル)-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1,4-ジメチルイミダゾリウム、1,3,4-トリメチルイミダゾリウム、1,4-ジメチル-3-エチルイミダゾリウム、3-ブチルイミダゾリウム、1,4-ジメチル-3-オクチルイミダゾリウム、1,4,5-トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5-テトラメチルイミダゾリウム、1,4,5-トリメチル-3-エチルイミダゾリウム、1,4,5-トリメチル-3-ブチルイミダゾリウム、1,4,5-トリメチル-3-オクチルイミダゾリウム及び1-(プロプ-1-エン-3-イル)-3-メチルイミダゾリウムが挙げられる。
【0090】
アニオンについて、原則としてすべてのアニオンを使用することが可能である。
【0091】
好ましくは、イオン性液体のアニオン[Y]n-は、以下のものから選択される、
- ハロゲン化物の群、
- 一般式RCOO1--のカルボン酸の群、
- 一般式HCO 1-、CO 2-、RCO 1-の炭酸塩及び炭酸エステルの群、
- 一般式R(COOH)(COO(式中、n≧0であり、m>0である)の多塩基カルボン酸の群、
- 一般式R(OH)(O(式中、m+n+p+q=6であり、q>0である)の芳香族ヒドロキシル化合物の群。
【0092】
その中で、Rは、C~C30-アルキル、任意に1個以上の隣接していない酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換されているイミノ基によって中断されているC~C18-アルキル、C~C14-アリール、C~C12-シクロアルキル、又は酸素、窒素及び/又は硫黄原子を有する5員~6員ヘテロ環を意味し、ここで、それらの2つが一緒に、任意に1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換されていない又は置換されているイミノ基によって中断されている不飽和、飽和又は芳香族の環を形成し、記載されている基は、それぞれの場合において、好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環にさらに置換されてもよい。
【0093】
その中で、任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環に置換されているC~C18-アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、2,4,4-トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、ベンジル、1-フェニルエチル、α,α-ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p-トリルメチル、1-(p-ブチルフェニル)エチル、p-クロロベンジル、2,4-ジクロロベンジル、p-メトキシベンジル、m-エトキシベンジル、2-シアノエチル、2-シアノプロピル、2-メトキシカルボニルエチル、2-エトキシカルボニルエチル、2-ブトキシカルボニルプロピル、1,2-ジ(メトキシカルボニル)エチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、2-ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3-ジオキソラン-2-イル、1,3-ジオキサン-2-イル、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、2-イソプロポキシエチル、2-ブトキシプロピル、2-オクチルオキシエチル、クロロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1-ジメチル-2-クロロエチル、2-メトキシイソプロピル、2-エトキシエチル、ブチルチオメチル、2-ドデシルチオエチル、2-フェニルチオエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-ジメチルアミノエチル、2-ジメチルアミノプロピル、3-ジメチルアミノプロピル、4-ジメチルアミノブチル、6-ジメチルアミノヘキシル、2-フェノキシエチル、2-フェノキシプロピル、3-フェノキシプロピル、4-フェノキシブチル、6-フェノキシヘキシル、2-メトキシエチル、2-メトキシプロピル、3-メトキシプロピル、4-メトキシブチル、6-メトキシヘキシル、2-エトキシエチル、2-エトキシプロピル、3-エトキシプロピル、4-エトキシブチル又は6-エトキシヘキシルである。
【0094】
任意に1個以上の隣接していない酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換されている又は置換されていないイミノ基によって中断されているC~C18-アルキルは、例えば、5-メトキシ-3-オキサペンチル、8-メトキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-メトキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-メトキシ-4-オキサヘプチル、11-メトキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-メトキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-メトキシ-5-オキサノニル、14-メトキシ-5,10-オキサテトラデシル、5-エトキシ-3-オキサペンチル、8-エトキシ-3,6-ジオキサオクチル、11-エトキシ-3,6,9-トリオキサウンデシル、7-エトキシ-4-オキサヘプチル、11-エトキシ-4,8-ジオキサウンデシル、15-エトキシ-4,8,12-トリオキサペンタデシル、9-エトキシ-5-オキサノニル又は14-エトキシ-5,10-オキサテトラデシルである。
【0095】
隣接していない酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又はイミノ基の数は、原則として制限されないか、又は基又は環のビルディングブロックのサイズによって自動的に制限される。一般的には、その量は、それぞれの基において、5以下、好ましくは4以下、又は非常に特に好ましくは3以下である。さらに、2つのヘテロ原子の間に、一般に少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個の炭素原子が存在している。
【0096】
置換されている及び置換されていないイミノ基は、例えばイミノ、メチルイミノ、イソプロピルイミノ、n―ブチルイミノ又はtert-ブチルイミノであり得る。
【0097】
「官能基」という用語は、例えば、ジ(C~C-アルキル)アミノ、C~C-アルキルオキシカルボニル、シアノ又はC~C-アルコキシを意味すると理解されるべきである。ここでは、C~C-アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルである。
【0098】
任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環に置換されているC~C14-アリールは、例えば、フェニル、トリル、キシリル、α-ナフチル、β-ナフチル、4-ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert-ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6-ジメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジメトキシフェニル、2,6-ジクロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-又は4-ニトロフェニル、2,4-又は2,6-ジニトロフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、4-アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル又はエトキシメチルフェニルである。
【0099】
任意に好適な官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環にさらに置換されているC~C12-シクロアルキルは、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、及びまた、飽和又は不飽和の二環系、例えばノルボルニル又はノルボルネニルである。
【0100】
酸素、窒素及び/又は硫黄原子を有する5員~6員ヘテロ環は、例えば、フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾオキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル又はtert-ブチルチオフェニルである。
【0101】
イオン性液体中の特に好ましいアニオンは、ハロゲン化物、さらに好ましくは塩化物、臭化物及びヨウ化物、非常に特に好ましくは塩化物である。
【0102】
1つのさらに好ましい実施態様において、イオン性液体はルイス酸とルイス塩基の組み合わせであり、ここで、好ましくは、これらは上記の選択物の1つから選択される。
【0103】
1つの好ましい実施態様において、触媒組成物(iii)は少なくとも1種のイオン性液体を含み、ここで、イオン性液体が、好ましくはヘテロ環カチオン又はアンモニウムカチオン、さらに好ましくはピリジニウムイオン、ピラゾリニウムイオン、ピラゾリウムイオン、イミダゾリニウム、イミダゾリウム及びアンモニウムからなる群から選択されるカチオン、及び好ましくはハロゲン化物の群から選択され、さらに好ましくは塩化物、臭化物及びヨウ化物、さらに好ましくは塩化物からなる群から選択される対応するアニオンを含む。
【0104】
特に好ましくは、少なくとも1種のイオン性液体は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド(EMIM-Br)、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(BEMIM-Cl)、1-ブチル-1-メチルピペリジニウムクロリド(BMPM-Cl)、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムブロミド(EDMIM-Br)及び1-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチルイミダゾリウムクロリド(HEMIM-Cl)からなる群から選択される。1つのさらに好ましい実施態様では、少なくとも2種のこれらの触媒を使用する。
【0105】
1つの好ましい実施態様によれば、ポリイソシアネート組成物(i)、エポキシド組成物(ii)及び触媒組成物(iii)の量は、存在するすべての物質の総反応量の95質量%、好ましくは98質量%を構成する。
【0106】
この実施態様において、好ましくは、溶媒を使用しない。結果として、溶融粘度が非常に高くなり得るので、特に適切なミキサーを使用する必要がある。このようなミキサーの好ましい例には、押出機、例えばXploreが提供するマイクロコンパウンダ、又は例えばBrabenderが提供するプラスチックコーダが挙げられる。
【0107】
助触媒
他の好ましい実施態様において、前述した触媒組成物に加えて、尿素誘導体を助触媒として使用する。
【0108】
助触媒としての尿素の使用は、イソシアネートとエポキシドの反応を促進する。反応混合物中のイソシアネートのより長い滞留時間がイソシアネートの三量体化の可能性を増加させ、従ってオキサゾリドン形成に関する化学選択性を損なうので、イソシアネートのより迅速な反応が有利である。分解時に、例えば熱の導入の際に、一級アミンを分解しない尿素が好ましい。
【0109】
したがって、好適な助触媒は、以下の式の尿素誘導体である、
【化4】
(式中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立して、1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、又は
R1及びR2は、互いに独立して、1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、R3はアリール基であると同時に、R4は水素原子であるか、又はR3はアリール基であり、R4は水素原子である)。
【0110】
1つの好ましい実施態様において、アリール基は、好ましくはさらなる尿素基に置換される。他の好ましい実施態様において、アリール基は複数の尿素基に置換される。対応する構造は、ポリ尿素とも呼ばれる。
【0111】
他の好ましい実施態様において、アルキル置換基は、互いに結合し、環構造を示す。これらの好ましい例には、1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンが挙げられる。
【0112】
3,3’-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(1,1-ジメチル尿素)及び1,1-ジメチル-3-フェニル尿素の群から選択される助触媒が特に好ましい。このカテゴリーで市販されている製品は、例えば、商品名DyhardのAlzChemからのジメチル尿素である。
【0113】
1つの好ましい実施態様によれば、ポリイソシアネート組成物(i)、エポキシド組成物(ii)、触媒組成物(iii)及び助触媒の量は、存在するすべての物質の総反応量の95質量%、好ましくは98質量%を構成する。
【0114】
1つの好ましい実施態様において、助触媒を反応物の溶媒として使用し、1つの好ましい実施態様において、助触媒は1,3-ジメチル-2-イミダゾリドンである。
【0115】
助触媒/溶媒は、好ましくは、その使用前に乾燥される。1つの好ましい実施態様において、分子ふるいにより乾燥を行う。
【0116】
一実施態様において、助触媒に加えて又はその代わりに、少なくとも1種の溶媒を使用する。イソシアネートと反応しないために、好適な溶媒は、非プロトン性及び極性の、好ましくはジクロロベンゼン、好ましくは1,2-ジクロロベンゼン、1,2,3-、1,2,4-及び1,3,5-トリクロロベンゼン、スルホラン、メシチレン又はN-メチルピロリドンである。1つの特に好ましい溶媒は、スルホラン(テトラヒドロチオフェン1,1-ジオキシド)である。
【0117】
1つの好ましい実施態様において、反応混合物の含水量は0.1質量%未満である。尿素を添加するイソシアネートの副反応は、このようにして特に妨げられる。
【0118】
ジエポキシドのジイソシアネートに対するモル比は、工程(a)、(b)、(c)及び(d)の全体で見た場合、1.0:0.5~0.5:1.0、好ましくは1.0:0.9~0.9:1.0の範囲であり、特に好ましいくは1.0:1.0である。触媒濃度は、ジエポキシドのエポキシド基に基づいて、0.05モル%~5モル%、好ましくは0.05モル%~2モル%、特に好ましくは0.05モル%~0.5モル%である。任意の助触媒の濃度は、ジエポキシドのエポキシド基に基づいて、0.01モル%~1000モル%、好ましくは0.05モル%~100モル%、特に好ましくは0.05モル%~10モル%、特に0.05モル%~1モル%である。
【0119】
本発明によれば、工程(b)、(c)及び(d)、好ましくは工程(a)、(b)、(c)及び(d)は、酸素不在で、さらに好ましくは不活性ガスの存在下で行われる。本発明の文脈において、不活性ガスとは、現在選択されているプロセス条件下でガス状であり、段階(b)、(c)及び(d)、好ましくは段階(a)、(b)、(c)及び(d)で不活性であるすべての物質を意味する。この文脈における「不活性」は、ガス状物質が5モル%未満の程度、好ましくは2モル%未満の程度、特に好ましくは1モル%未満の程度まで変換されることを意味する。この場合、本発明のこの文脈で使用される「不活性ガス」という用語は、単一のガス及び2種以上のガスの混合物の両方を指す。例えば、有用な不活性ガスには、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、ラドン、キセノン、窒素、及びこれらの2種以上のガス混合物が含まれる。
【0120】
本発明はさらに、上記の方法により得られる又は得ることができる熱可塑性ポリマーに関する。
【0121】
熱可塑性ポリマー
本発明はさらに、触媒組成物(iii)の存在下で、少なくとも成分(i)~(ii)、
i)少なくとも1種のジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のジエポキシドを含むエポキシド組成物
を反応させることにより得られる又は得ることができる熱可塑性ポリマーに関し、ここで、
a)最初に第1の温度範囲(T)の温度で、エポキシド組成物(ii)及び触媒組成物(iii)を混合物として入れ、
b)第1の温度を維持しながらポリイソシアネート組成物(i)を少なくとも部分的に添加し、
c)温度を最終温度範囲(T)の温度に上昇し、
d)最終温度範囲で残りのポリイソシアネート組成物(i)を添加して、熱可塑性ポリマーを得る。
【0122】
温度範囲
(c)によれば、温度を最終温度範囲(T)の温度に上昇する。好ましくは、最終温度範囲Tは第2の温度範囲T及び第3の温度範囲Tを含み、ここで、第3の温度範囲Tが第2の温度範囲Tより高く、第2の温度範囲Tが第1の温度範囲Tより高い。優先的には、最終温度範囲Tは、180℃超~250℃、好ましくは170℃超~250℃、さらに好ましくは165℃超~250℃であり、ここで、優先的に、第2の温度範囲Tが、180℃超~200℃、好ましくは170℃超~200℃、さらに好ましくは165℃超~200℃であり、第3の温度範囲Tが、200℃超~250℃、好ましくは200℃超~230℃である。
【0123】
(a)によれば、最初に第1の温度範囲(T)の温度で、エポキシド組成物(ii)及び触媒組成物(iii)を混合物として入れる。優先的には、第1の温度範囲Tは、140~180℃、好ましくは150~170℃、さらに好ましくは155~165℃である。
【0124】
(b)によれば、第1の温度範囲Tの温度を維持しながらポリイソシアネート組成物(i)を少なくとも部分的に添加する。(b)による第1の温度範囲Tにおいて、ポリイソシアネート組成物(i)の総量に基づいて、好ましくは80質量%~95質量%のポリイソシアネート組成物(i)を添加する。
【0125】
「第1の温度範囲T1の温度を維持しながら」とは、温度が、(a)で設定された温度から、最大+/-10℃、好ましくは+/-5℃、さらに好ましくは+/-3℃ずれることができ、それにもかかわらず温度範囲T1を達成することを意味する、すなわち、工程(b)において温度が、優先的に140~180℃、好ましくは150~170℃の範囲、さらに好ましくは155~165℃の範囲の温度範囲Tに留まる。
【0126】
(d)によれば、最終温度範囲で残りのポリイソシアネート組成物(i)を添加する。最終温度範囲Tにおいて、ポリイソシアネート組成物(i)の総量に基づいて、好ましくは5質量%~20質量%のポリイソシアネート組成物(i)を添加し、ここで、好ましくは、いずれの場合もポリイソシアネート組成物(i)の総量に基づいて、第2の温度範囲Tにおいて5質量%~20質量%のポリイソシアネート組成物(i)、第3の温度範囲Tにおいて任意に0質量%~10質量%、好ましくは0質量%のポリイソシアネート組成物(i)を添加する。
【0127】
(b)及び(d)におけるポリイソシアネート組成物(i)の添加は、いかなる制限も受けず、一定期間ごとに同じ量で連続的に、一定期間ごとに異なる量で連続的に、又は不連続に実施することができる。好ましくは、(b)及び(d)におけるポリイソシアネート組成物(i)の添加を、一定期間ごとに同じ量で連続的に実施する。
【0128】
ポリイソシアネート組成物
(i)によれば、ポリイソシアネート組成物は少なくとも1種のジイソシアネートを含む。
【0129】
本発明の場合、「少なくとも1種のジイソシアネート」は、好ましくは以下のリストから選択される、単一の物質及び物質の混合物の両方を意味すると理解される。ジイソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び/又は芳香族イソシアネートの群から選択され、さらに好ましくは、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジイソシアネート(MDI)、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニル3,3’-ジイソシアネート、ジフェニルエタン1,2-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジイソシアネート(H12 MDI)、パラフェニレン2,4-ジイソシアネート(PPDI)、テトラメチレンキシレン2,4-ジイソシアネート(TMXDI)の群から選択される。上記のリストから選択される芳香族ジイソシアネートが好ましい。さらに好ましくは、イソシアネートは、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)の群から選択される。トリレンジイソシアネート(TDI)又はジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が非常に特に好ましい。
【0130】
一実施態様によれば、ポリイソシアネート組成物(i)は、2.0超の官能価を有するイソシアネートを含まない。これは、ポリイソシアネート組成物(i)が、2.0の官能価を有するジイソシアネートのみを含み、好ましくは1.95~2.05の範囲の官能価を有するジイソシアネートを含むことを意味する。さらに好ましくは、ポリイソシアネート組成物(i)は、それぞれポリイソシアネート組成物(i)の総質量に基づいて、少なくとも98質量%の少なくとも1種のジイソシアネートから構成される。
【0131】
イソシアネートの官能価、すなわち、イソシアネート基の含有量は、DIN EN ISO 14896に従って決定される。
【0132】
エポキシド組成物
(ii)によれば、エポキシド組成物は少なくとも1種のジエポキシドを含む。
【0133】
本発明の場合、「少なくとも1種のジエポキシド」は、単一の物質及び物質の混合物の両方を意味すると理解される。好ましくは、エポキシド組成物(ii)は、2.0超の官能価を有するエポキシドを含まない。これは、エポキシド組成物(ii)が、2.0の官能価を有するジエポキシドのみを含み、好ましくは1.95~2.05の範囲の官能価を有するジエポキシドを含むことを意味する。1つの好ましい実施態様において、エポキシド組成物(ii)は、それぞれエポキシド組成物(ii)の総質量に基づいて、少なくとも98質量%の少なくとも1種のジエポキシドから構成される。
【0134】
この場合、これらのジエポキシドは、飽和又は不飽和の、脂肪族、脂環式、芳香族又はヘテロ環のものである。それらはさらに、反応条件下で干渉副反応を引き起こさない置換基、例えばアルキル又はアリール置換基、エーテル基などを含み得る。
【0135】
好ましくは、ジエポキシドは、二価アルコール、フェノール、これらのフェノールの水素化生成物、及び/又はノボラックをベースとするポリグリシジルエーテルである。ノボラックは、酸性触媒の存在下でフェノールとアルデヒド、特にホルムアルデヒドとの反応の生成物であり、この場合、ジグリシジルエーテルが特に好ましい。しかしながら、エーテル基を含まない他の構造をベースとするジエポキシドも可能である。
【0136】
他の好ましいジエポキシドは、天然原料のジグリシジルエーテル、好ましくはカルダノールをベースとするものである。このような製品の1つの典型的な例は、Cardolite NC 514(Cardolite)である。このエポキシドの利点は、芳香族システム間の比較的長いアルキル鎖であり、それによって製造されるポリマーがより高い柔軟性を有する。脂肪族構造要素の利点は、芳香族ジグリシジルエーテルと組み合わせて特に効果的である。したがって、芳香族ジグリシジルエーテルと組み合わせた脂肪族ジグリシジルエーテルをベースとするジエポキシドが特に好ましい。
【0137】
これらのエポキシド化合物のエポキシド当量は、好ましくは100~5000、特に150~500である。ここでは、物質のエポキシド当量は、1モルのオキシラン環を含む物質の量(グラムで表示する)として定義される。化合物中のオキシラン基(「エポキシド基」)の含有量を特徴づけるために、エポキシド滴定は通常、氷酢酸中の過塩素酸の0.1Nの溶液で行われる(DIN EN ISO 3001を参照)。ここで得られたエポキシド数(%EpO)は、100グラムのサンプル中に何グラムのオキシラン酸素が存在するかを示す。クリスタルバイオレットは指示薬として使用される。測定には、水、塩基及びアミンが含まれていないことが必要である。エポキシド含有量%EpOは、以下のように:%EpO=[(x-y)+0.160]/E、滴定中の0.1Nのmlでの過塩素酸の消費量(x)、ブランクサンプル中の0.1Nのmlでの過塩素酸の消費量(y)、及び対象となるサンプルのグラムでの初期質量(E)から計算される。次に、エポキシド当量(EEW)は、次の式:EEW=1600/%EpOに従って計算され、ここで、EEWの単位はg/eqである。
【0138】
好ましくは、以下の化合物は、多価フェノールと見なすことができる:レゾルシノール、ヒドロキノン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ジヒドロキシジフェニルメタン(ビスフェノールF)の異性体混合物、テトラブロモビスフェノールA、4,4’-ジヒドロキシジフェニルシクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルジフェニルプロパン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノール、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1-エタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1-イソブタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、及びまた上記の化合物の塩素化及び臭素化生成物;ここで、ビスフェノールAが非常に特に好ましい。ビスフェノールAジグリシジルエーテルの市販製品の例には、DOW U.S.A.からのDER 332、DER 331又はDER 330、又はLeuna Harze,ドイツからのEpilox A18-00が挙げられる。
【0139】
触媒
熱可塑性ポリマーの一実施態様において、(i)によるポリイソシアネート組成物及び(ii)によるエポキシド組成物は、触媒組成物(iii)の存在下で反応される。
【0140】
熱可塑性ポリマーの製造に使用される触媒は、「触媒」セクションにおいて少なくとも成分(i)~(ii)を反応させることによる熱可塑性ポリマーの製造方法に関して最初に説明したように、イオン性液体である。
【0141】
熱可塑性ポリマーの1つの好ましい実施態様において、触媒組成物(iii)はここにも少なくとも1種のイオン性液体を含み、ここで、イオン性液体が、さらに好ましくはヘテロ環カチオン又はアンモニウムカチオン、さらに好ましくはピリジニウムイオン、ピラゾリニウムイオン、ピラゾリウムイオン、イミダゾリニウム、イミダゾリウム及びアンモニウムからなる群から選択されるカチオン、及び好ましくはハロゲン化物の群から選択され、さらに好ましくは塩化物、臭化物及びヨウ化物、さらに好ましくは塩化物からなる群から選択される対応するアニオンを含む。
【0142】
熱可塑性ポリマーの1つの特に好ましい実施態様において、少なくとも1種のイオン性液体はここにも、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド(EMIM-Br)、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(BEMIM-Cl)、1-ブチル-1-メチルピペリジニウムクロリド(BMPM-Cl)、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムブロミド(EDMIM-Br)及び1-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチルイミダゾリウムクロリド(HEMIM-Cl)からなる群から選択される。
【0143】
熱可塑性ポリマーについて、「助触媒」のセクションにおいて熱可塑性ポリマーの製造方法に関して最初に説明したように、助触媒/溶媒/水分含有量に関して同じことが適用される。
【0144】
熱可塑性ポリマーの一実施態様において、ポリイソシアネート組成物(i)、エポキシド組成物(ii)及び触媒組成物(iii)の量は、存在するすべての物質の総反応量の95質量%、好ましくは98質量%を構成する。
【0145】
好ましくは、熱可塑性ポリマーは、10000g/mol超、好ましくは15000g/mol超、さらに好ましくは18000g/mol超の数平均モル質量Mを有する。
【0146】
熱可塑性ポリマーの多分散度は、好ましくは4未満、さらに好ましくは3.5未満であり、ここで、多分散度PIが熱可塑性ポリマーの質量平均モル質量Mと数平均モル質量Mの商である。
【0147】
本発明はさらに、上記の方法により得られる又は得ることができる熱可塑性ポリマー、又は上記の熱可塑性ポリマーを、射出成形、カレンダ加工、粉末焼結、レーザー焼結、溶融プレス又は押出しによって繊維又は成形体を製造することに、又は熱可塑性材料の改質剤として使用する方法に関する。
【0148】
本発明は、対応する従属性参照及び他の参照から明らかである以下の実施態様及び実施態様の組み合わせによってより詳細に説明される。特に、実施態様の範囲が言及されるすべての場合において、例えば、「実施態様1から4のいずれか一項に記載の方法」などの表現の文脈において、この範囲の各実施態様は、当業者にとって明示的に開示されているとみなされる、すなわち、この表現は「実施態様1、2、3及び4のいずれか一項に記載の方法」と同義であるとして当業者によって理解されるべきであることに留意されたい。
【0149】
1.触媒組成物(iii)の存在下で、少なくとも成分(i)~(ii)、
i)少なくとも1種のジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のジエポキシドを含むエポキシド組成物
を反応させることにより熱可塑性ポリマーを製造する方法であって、
a)最初に第1の温度範囲(T)の温度で、エポキシド組成物(ii)及び触媒組成物(iii)を混合物として入れ、
b)前記第1の温度範囲Tの温度を維持しながら前記ポリイソシアネート組成物(i)を少なくとも部分的に添加し、
c)温度を最終温度範囲(T)の温度に上昇し、
d)前記最終温度範囲で残りの前記ポリイソシアネート組成物(i)を添加する、方法。
【0150】
2.前記最終温度範囲Tが第2の温度範囲T及び第3の温度範囲Tを含み、前記第3の温度範囲Tが前記第2の温度範囲Tより高く、前記第2の温度範囲Tが前記第1の温度範囲Tより高い、実施態様1に記載の方法。
【0151】
3.前記第1の温度範囲Tが、140~180℃、好ましくは150~170℃、さらに好ましくは155~165℃である、実施態様1又は2に記載の方法。
【0152】
4.前記最終温度範囲Tが、180℃超~250℃、好ましくは170℃超~250℃、さらに好ましくは165℃超~250℃であり、優先的に、前記第2の温度範囲Tが、180℃超~200℃、好ましくは170℃超~200℃、さらに好ましくは165℃超~200℃であり、前記第3の温度範囲Tが、200℃超~250℃、好ましくは200℃超~230℃である、実施態様1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0153】
5.(b)による前記第1の温度範囲Tにおいて、前記ポリイソシアネート組成物(i)の総量に基づいて、80質量%~95質量%の前記ポリイソシアネート組成物(i)を添加する、実施態様1から4のいずれか一項に記載の方法。
【0154】
6.前記最終温度範囲Tにおいて、前記ポリイソシアネート組成物(i)の総量に基づいて、5質量%~20質量%の前記ポリイソシアネート組成物(i)を添加し、好ましくは、いずれの場合も前記ポリイソシアネート組成物(i)の総量に基づいて、前記第2の温度範囲Tにおいて5質量%~20質量%の前記ポリイソシアネート組成物(i)、前記第3の温度範囲Tにおいて任意に0質量%~10質量%、好ましくは0質量%の前記ポリイソシアネート組成物(i)を添加する、実施態様1から5のいずれか一項に記載の方法。
【0155】
7.(b)及び(d)における前記ポリイソシアネート組成物(i)の添加が、一定期間ごとに同じ量で連続的に実施される、実施態様1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0156】
8.前記ポリイソシアネート組成物(i)が2.0超の官能価を有するイソシアネートを含まず、さらに好ましくは、前記ポリイソシアネート組成物(i)が、それぞれ前記ポリイソシアネート組成物(i)の総質量に基づいて、少なくとも98質量%の前記少なくとも1種のジイソシアネートから構成される、実施態様1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0157】
9.前記エポキシド組成物(ii)が2.0超の官能価を有するエポキシドを含まない、実施態様1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0158】
10.前記エポキシド組成物(ii)が、それぞれ前記エポキシド組成物(ii)の総質量に基づいて、少なくとも98質量%の前記少なくとも1種のジエポキシドから構成される、実施態様1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0159】
11.前記触媒組成物(iii)が少なくとも1種のイオン性液体を含み、前記イオン性液体が、好ましくはヘテロ環カチオン又はアンモニウムカチオン、さらに好ましくはピリジニウムイオン、ピラゾリニウムイオン、ピラゾリウムイオン、イミダゾリニウム、イミダゾリウム及びアンモニウムからなる群から選択されるカチオン、及び好ましくはハロゲン化物の群から選択され、さらに好ましくは塩化物、臭化物及びヨウ化物、さらに好ましくは塩化物からなる群から選択される対応するアニオンを含む、実施態様1から10のいずれか一項に記載の方法。
【0160】
12.前記少なくとも1種のイオン性液体が、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド(EMIM-Br)、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(BEMIM-Cl)、1-ブチル-1-メチルピペリジニウムクロリド(BMPM-Cl)、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムブロミド(EDMIM-Br)及び1-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチルイミダゾリウムクロリド(HEMIM-Cl)からなる群から選択される、実施態様11に記載の方法。
【0161】
13.ポリイソシアネート組成物(i)、エポキシド組成物(ii)及び触媒組成物(iii)の量が、存在するすべての物質の総反応量の95質量%、好ましくは98質量%を構成する、実施態様1から12のいずれか一項に記載の方法。
【0162】
14.実施態様1から13のいずれか一項に記載の方法により得られる又は得ることができる熱可塑性ポリマー。
【0163】
15.触媒組成物(iii)の存在下で、少なくとも成分(i)~(ii)、
i)少なくとも1種のジイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物、
ii)少なくとも1種のジエポキシドを含むエポキシド組成物
を反応させることにより得られる又は得ることができる熱可塑性ポリマーであって、
a)最初に第1の温度範囲(T)の温度で、エポキシド組成物(ii)及び触媒組成物(iii)を混合物として入れ、
b)第1の温度を維持しながら前記ポリイソシアネート組成物(i)を少なくとも部分的に添加し、
c)温度を最終温度範囲(T)の温度に上昇し、
d)前記最終温度範囲で残りの前記ポリイソシアネート組成物(i)を添加して、熱可塑性ポリマーを得る、熱可塑性ポリマー。
【0164】
16.前記最終温度範囲Tが第2の温度範囲T及び第3の温度範囲Tを含み、前記第3の温度範囲Tが前記第2の温度範囲Tより高く、前記第2の温度範囲Tが前記第1の温度範囲Tより高い、実施態様15に記載の熱可塑性ポリマー。
【0165】
17.前記第1の温度範囲Tが、140~180℃、好ましくは150~170℃、さらに好ましくは155~165℃である、実施態様15又は16に記載の熱可塑性ポリマー。
【0166】
18.前記最終温度範囲Tが、180℃超~250℃、好ましくは170℃超~250℃、さらに好ましくは165℃超~250℃であり、優先的に、前記第2の温度範囲Tが、180℃超~200℃、好ましくは170℃超~200℃、さらに好ましくは165℃超~200℃であり、前記第3の温度範囲Tが、200℃超~250℃、好ましくは200℃超~230℃である、実施態様15から17のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリマー。
【0167】
19.(b)による前記第1の温度範囲Tにおいて、前記ポリイソシアネート組成物(i)の総量に基づいて、80質量%~95質量%の前記ポリイソシアネート組成物(i)を添加する、実施態様15から18のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリマー。
【0168】
20.前記最終温度範囲Tにおいて、前記ポリイソシアネート組成物(i)の総量に基づいて、5質量%~20質量%の前記ポリイソシアネート組成物(i)を添加し、好ましくは、いずれの場合も前記ポリイソシアネート組成物(i)の総量に基づいて、前記第2の温度範囲Tにおいて5質量%~20質量%の前記ポリイソシアネート組成物(i)、前記第3の温度範囲Tにおいて任意に0質量%~10質量%、好ましくは0質量%の前記ポリイソシアネート組成物(i)を添加する、実施態様15から19のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリマー。
【0169】
21.(b)及び(d)における前記ポリイソシアネート組成物(i)の添加が、一定期間ごとに同じ量で連続的に実施される、実施態様15から20のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリマー。
【0170】
22.前記ポリイソシアネート組成物(i)が2.0超の官能価を有するイソシアネートを含まず、さらに好ましくは、前記ポリイソシアネート組成物(i)が、それぞれ前記ポリイソシアネート組成物(i)の総質量に基づいて、少なくとも98質量%の前記少なくとも1種のジイソシアネートから構成される、実施態様15から21のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリマー。
【0171】
23.前記エポキシド組成物(ii)が2.0超の官能価を有するエポキシドを含まない、実施態様15から22のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリマー。
【0172】
24.前記エポキシド組成物(ii)が、それぞれ前記エポキシド組成物(ii)の総質量に基づいて、少なくとも98質量%の前記少なくとも1種のジエポキシドから構成される、実施態様15から23のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリマー。
【0173】
25.前記触媒組成物(iii)が少なくとも1種のイオン性液体を含み、前記イオン性液体が、好ましくはヘテロ環カチオン又はアンモニウムカチオン、さらに好ましくはピリジニウムイオン、ピラゾリニウムイオン、ピラゾリウムイオン、イミダゾリニウム、イミダゾリウム及びアンモニウムからなる群から選択されるカチオン、及び好ましくはハロゲン化物の群から選択され、さらに好ましくは塩化物、臭化物及びヨウ化物、さらに好ましくは塩化物からなる群から選択される対応するアニオンを含む、実施態様15から24のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリマー。
【0174】
26.前記少なくとも1種のイオン性液体が、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド(EMIM-Br)、1-ベンジル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(BEMIM-Cl)、1-ブチル-1-メチルピペリジニウムクロリド(BMPM-Cl)、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムブロミド(EDMIM-Br)及び1-(2-ヒドロキシエチル)-3-メチルイミダゾリウムクロリド(HEMIM-Cl)からなる群から選択される、実施態様25に記載の熱可塑性ポリマー。
【0175】
27.ポリイソシアネート組成物(i)、エポキシド組成物(ii)及び触媒組成物(iii)の量が、存在するすべての物質の総反応量の95質量%、好ましくは98質量%を構成する、実施態様15から26のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリマー。
【0176】
28.前記熱可塑性ポリマーが、10000g/mol超、好ましくは15000g/mol超、さらに好ましくは18000g/mol超の数平均モル質量Mを有する、実施態様15から27のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリマー。
【0177】
29.多分散度が、4未満、好ましくは3.5未満であり、前記多分散度PIが前記熱可塑性ポリマーの質量平均モル質量Mと数平均モル質量Mの商である、実施態様15から28のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリマー。
【0178】
30.実施態様1から14のいずれか一項に記載の方法により得られる又は得ることができる熱可塑性ポリマー、又は実施態様15から29のいずれか一項に記載の熱可塑性ポリマーを、射出成形、カレンダ加工、粉末焼結、レーザー焼結、溶融プレス又は押出しによって繊維又は成形体を製造することに、又は熱可塑性材料の改質剤として使用する方法。
【0179】
以下の実施例は、本発明を説明するのに役立つが、本発明の主題に関して決して制限していない。
【実施例
【0180】
1.化学物質
【0181】
【表1】
【0182】
2.実施例
2.1 実施例1:MDIの添加中の温度勾配での、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとMDIとの反応
窒素ボックス中で、60gのジエポキシド1及び0.084gの触媒1を秤量して、マグネチックスターラーバーを備える密封した100mlのガラス容器に入れた。混合物を窒素ボックスから取り出し、マグネチックスターラーで80℃で3時間混合した。
【0183】
両方の押出機スクリューをXploreからの15mlの二軸MC15 High Torque及びHigh Forceマイクロコンパウンダー中に挿入し、トルクレンチで(50Nm)しっかりと閉じた。次に、外部温度を100℃に加熱した。2つの閉塞プレートを押出機にねじ込んだ。後部のプレートには、アルゴン不活性化のための接続を有した。前部のプレートには、イソシアネートを計量するための注入口を有した。
【0184】
ジイソシアネート1を含有する50mlのボトルを、70℃の乾燥オーブンで1時間溶融した。
【0185】
前部の閉塞プレートを一時的に取り外すことにより、ジエポキシド1と触媒1との温かい混合物12.2gを押出機に導入し、100℃に加熱した。導入後、断熱プレートを再度取り付け、100rpmで攪拌機を始動した。不活性化のために、試験サンプルをガスボンベからの20l/hのアルゴン4.6でブランクした(blanketed)。外部温度を100℃から160℃に上昇した。内部温度を合わせて155℃になるまで5分かかった。これらの5分後、LA-100注射器ポンプ(Landgraf Laborsysteme HLL GmbH製)を使用して、6.91mlのジイソシアネート1の計量を、前部の閉塞プレートの注入口を介して排管を備える10mlの注射器によって開始した。この目的のために、加熱ジャケットを注射器の周りに配置し、ジイソシアネート1が液体のままであるように70℃に加熱した。量を正確に1時間にわたって継続的に計量し、時間測定は計量の開始から始まった。37分後、押出機中の粘度はゆっくりと上昇し始めた。これは、押出機が測定した力(最初は95N)によって認識できた。55分後、外部温度を190℃に上昇した。この時点で、押出機は2900Nの力を示した。力は、温度の上昇の結果として最初は低下したが、その後再び上昇した。5分後、外部温度を220℃に上昇した。この時点での力は4500Nであった。60分後、ジイソシアネート1の計量を終了した。計量終了後、押出機内の粘度がさらに上昇したため、2分後に温度を235℃に上昇した。力は10500Nになった。20分の反応後時間以内に、粘度はさらに上昇し、したがって力は14000Nになった。80分後、排出バルブを介して、得られた熱可塑性ポリマー(ポリオキサゾリドン)のポリマー溶融物をポリマー押出物として取り出した。
【0186】
2.2 比較例1:MDIの添加中の温度勾配のないビスフェノールAジグリシジルエーテルとMDIとの反応
窒素ボックス中で、60gのジエポキシド1及び0.084gの触媒1を秤量して、マグネチックスターラーバーを備える密封した100mlのガラス容器に入れた。混合物を窒素ボックスから取り出し、マグネチックスターラーで80℃で3時間混合した。
【0187】
両方の押出機スクリューをXploreからの15mlの二軸MC15 High Torque及びHigh Forceマイクロコンパウンダー中に挿入し、トルクレンチで(50Nm)しっかりと閉じた。次に、外部温度を100℃に加熱した。2つの閉塞プレートを押出機にねじ込んだ。後部のプレートには、アルゴン不活性化のための接続を有した。前部のプレートには、イソシアネートを計量するための注入口を有した。
【0188】
ジイソシアネート1を含有する50mlのボトルを、70℃の乾燥オーブンで1時間溶融した。
【0189】
前部の閉塞プレートを一時的に取り外すことにより、ジエポキシド1と触媒1との温かい混合物12.2gを押出機に導入し、100℃に加熱した。導入後、断熱プレートを再度取り付け、100rpmで攪拌機を始動した。不活性化のために、試験サンプルをガスボンベからの20l/hのアルゴン4.6でブランクした。外部温度を100℃から180℃に上昇した。内部温度を合わせて175℃になるまで5分かかった。これらの5分後、LA-100注射器ポンプ(Landgraf Laborsysteme HLL GmbH製)を使用して、6.91mlのジイソシアネート1の計量を、前部の閉塞プレートの注入口を介して排管を備える10mlの注射器によって開始した。この目的のために、加熱ジャケットを注射器の周りに配置し、ジイソシアネート1が液体のままであるように70℃に加熱した。量を正確に1時間にわたって継続的に計量し、時間測定は計量の開始から始まった。
【0190】
42分後、押出機中の粘度は非常にゆっくりと上昇し始めた。これは、押出機が測定した力(最初は88N)によって認識できた。60分後、ジイソシアネート1の計量を終了した。この時点で、粘度はわずか425Nであった。計量終了後、押出機内の粘度がさらに上昇したため、15分後に温度は200℃に上昇した。力は4100Nになった。さらに5分後、力は7200Nになった。80分の実行時間後、排出バルブを介して、得られた熱可塑性ポリマー(ポリオキサゾリドン)のポリマー溶融物をポリマー押出物として取り出した。
【0191】
2.3 実施例2:TDIの添加中の温度勾配での、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとTDIとの反応
窒素ボックス中で、60gのジエポキシド1及び0.084gの触媒1を秤量して、マグネチックスターラーバーを備える密封した100mlのガラス容器に入れた。混合物を窒素ボックスから取り出し、マグネチックスターラーで80℃で3時間混合した。
【0192】
両方の押出機スクリューをXploreからの15mlの二軸MC15 High Torque及びHigh Forceマイクロコンパウンダー中に挿入し、トルクレンチで(50Nm)しっかりと閉じた。次に、外部温度を100℃に加熱した。2つの閉塞プレートを押出機にねじ込んだ。後部のプレートには、アルゴン不活性化のための接続を有した。前部のプレートには、イソシアネートを計量するための注入口を有した。
【0193】
前部の閉塞プレートを一時的に取り外すことにより、正確に13.9gのジエポキシド1と触媒1との温かい混合物を押出機に導入し、100℃に加熱した。断熱プレートを再度取り付け、100rpmで攪拌機を始動した。不活性化のために、試験サンプルをガスボンベからの20l/hのアルゴン4.6でブランクした。外部温度を100℃から160℃に上昇した。内部温度を合わせて155℃になるまで5分かかった。これらの5分後、LA-100注射器ポンプ(Landgraf Laborsysteme HLL GmbH製)を使用して、5.77mlのジイソシアネート2の計量を、前部の閉塞プレートの注入口を介して排管を備える10mlの注射器によって開始した。量を正確に1時間にわたって継続的に計量し、時間測定は計量の開始から始まった。35分後、押出機中の粘度はゆっくりと上昇し始めた。これは、押出機が測定した力(最初は88N)によって認識できた。50分後、外部温度を190℃に上昇した。この時点で、押出機は3300Nの力を示した。力は、温度の上昇の結果として最初は低下したが、その後再び上昇した。5分後、外部温度を210℃に上昇し、押出機は5900N力を示した。さらに3分後、外部温度を230℃に上昇した。この時点で、押出機は7800Nの力を示した。60分後、ジイソシアネート2の計量を終了した。押出機の粘度は非常に高くなり、10700Nの力で認識できた。20分の反応後時間以内に、粘度はさらに上昇し、したがって力は13000Nになった。80分後、排出バルブを介して、得られた熱可塑性ポリマー(ポリオキサゾリドン)のポリマー溶融物をポリマー押出物として取り出した。
【0194】
2.4 比較例2:(等温)TDIの添加中の温度勾配のないビスフェノールAジグリシジルエーテルとTDIとの反応
窒素ボックス中で、60gのジエポキシド1及び0.084gの触媒1を秤量して、マグネチックスターラーバーを備える密封した100mlのガラス容器に入れた。混合物を窒素ボックスから取り出し、マグネチックスターラーで80℃で3時間混合した。
【0195】
両方の押出機スクリューをXploreからの15mlの二軸MC15 High Torque及びHigh Forceマイクロコンパウンダー中に挿入し、トルクレンチで(50Nm)しっかりと閉じた。次に、外部温度を100℃に加熱した。2つの閉塞プレートを押出機にねじ込んだ。後部のプレートには、アルゴン不活性化のための接続を有した。前部のプレートには、イソシアネートを計量するための注入口を有した。
【0196】
前部の閉塞プレートを一時的に取り外すことにより、正確に14.0gのジエポキシド1と触媒1との温かい混合物を押出機に導入し、100℃に加熱した。断熱の閉塞プレートを再度取り付け、100rpmで攪拌機を始動した。不活性化のために、試験サンプルをガスボンベからの20l/hのアルゴン4.6でブランクした。外部温度を100℃から160℃に上昇した。内部温度を合わせて155℃になるまで5分かかった。これらの5分後、LA-100注射器ポンプ(Landgraf Laborsysteme HLL GmbH製)を使用して、5.77mlのジイソシアネート2の計量を、前部の閉塞プレートの注入口を介して排管を備える10mlの注射器によって開始した。量を正確に1時間にわたって継続的に計量し、時間測定は計量の開始から始まった。35分後、押出機中の粘度はゆっくりと上昇し始めた。これは、押出機が測定した力(最初は60N)によって認識できた。60分後、ジイソシアネート2の計量を終了した。押出機中の粘度は非常に高くなり、14742Nの力で認識できた。排出バルブを介して生成物を排出し、粗い表面を有し、完全に透明ではなかったポリマー押出物として取り出した。
【0197】
2.5 分析
実施例1及び2、並びに比較例1、2及び3の得られたポリマーに、以下に記載されている様々な分析を実施した。
【0198】
溶解度
溶媒1への溶解度試験を実施した:0.25gのポリマーを4.75gの溶媒1に溶解した。混合物をマグネチックスターラー上で80℃で2時間撹拌した。
【0199】
モル質量分布/GPC
GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して、各ポリマーのモル質量分布を決定した。室温で、0.2gのポリマーを8mlのN,N-ジメチルアセトアミド(99.8%)に一晩溶解させた。翌日、Sartoriusからの45μmのフィルターを介して、100μlをGPCに注入した。0.7ml/分でのDuratecからのHPLCポンプ0202を使用し、溶離液としてN,N-ジメチルアセトアミドを使用して、DuratecからのRI2000示差屈折率検出器で、Phenomenexからの4つの60cmのPhenogel(商標)5μmのカラム(10-10-10-10Å)で検出を行った。測定は130分持続した。ポリメチルメタクリレートを比較物質として使った。
【0200】
それぞれの場合に、得られた値から、各ポリマーの質量平均モル質量M及び数平均モル質量Mを決定した。さらに、それぞれの熱可塑性ポリマーの質量平均モル質量M及び数平均モル質量Mの商を形成することによって、多分散度PIを決定した:PI=M/M
【0201】
結果を表1に示しており、ここで、100gのジエポキシドに基づく、反応物ジエポキシド1及びそれぞれのジイソシアネート1又は2の量を示しいる。
【0202】
【表2】
【0203】
【表3】
【0204】
【表4】
【0205】
実施例と比較例の比較は、高分子量(MとMの両方)を有し、多分散度も低いポリマーが、温度勾配を使用して選択した方法で製造することができることを明確に証明している。
【0206】
引用文献
- DE 10 2014 226 838 A1
- WO 2015/173111 A1
- WO 2015/173110 A1、US 2014/0121299
- WO 2014/076024 A1
- PCT/EP2018/053612
- DE 102 02 838 A1
- Angew.Chem.2000年,112,3926~3945頁