(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】湿式エッチング湿式エッチング組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20240701BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240701BHJP
H01L 21/308 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H01L21/306 E
H01L21/304 647B
H01L21/304 647Z
H01L21/308 E
(21)【出願番号】P 2022520958
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 US2020054805
(87)【国際公開番号】W WO2021072091
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-06-08
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヨンミン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】クーパー, エマニュエル アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ビロドウ, スティーヴン エム.
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-150539(JP,A)
【文献】特開平06-069186(JP,A)
【文献】特開2012-099550(JP,A)
【文献】特開2014-103179(JP,A)
【文献】特開2002-338833(JP,A)
【文献】特開2018-062439(JP,A)
【文献】国際公開第2019/051053(WO,A1)
【文献】特開2018-207108(JP,A)
【文献】特表2010-515245(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0136090(US,A1)
【文献】特開2018-182312(JP,A)
【文献】特開2019-080049(JP,A)
【文献】特開2012-033561(JP,A)
【文献】特開2003-057850(JP,A)
【文献】特表2007-520064(JP,A)
【文献】特表2010-539288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
H01L 21/308
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ケイ素、ポリシリコン及び/又は金属ケイ化物の存在下で窒化ケイ素を選択的にエッチングする組成物であって、
(a)式(I)
[式中、Aは芳香族環又は芳香族複素環であり、各R
1は同一又は異なり、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、擬ハロ(pseudohalo)、C
1-C
20アルキル、C
1-C
20アルキルアミノ、フェニル、ベンジル、及びC
1-C
20アルコキシ、フェノキシ、及びC
3-C
8シクロアルキルから選ばれ;xは0又は1であり;各y及びy’は同一であり、ゼロであるか又は1~5の整数から選ばれ;zは1、2、又は3から選ばれる整数であり;mは1、2、又は3から選ばれる整数であり;wはゼロ又は1、2、3、若しくは4から選ばれる整数であり、m+z=4である。]
の化合物;
(b)
組成物の総重量に基づいて、少なくとも60重量パーセントの濃リン酸;及び
(c)水を含む溶媒
の反応生成物を含む組成物。
【請求項2】
酸化ケイ素、ポリシリコン及び/又は金属ケイ化物の存在下で窒化ケイ素を選択的にエッチングする組成物であって、
(a)以下の構造:
[式中、各R
1は同一又は異なり、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、擬ハロ、C
1-C
20アルキル、C
1-C
20アルキルアミノ、フェニル、ベンジル、及びC
1-C
20アルコキシ、フェノキシ、及びC
3-C
8シクロアルキルから選ばれ、各R
2は同一又は異なり、H及びC
1-C
20アルキルから選ばれる。]
の化合物;
(b)リン酸;及び
(c)水を含む溶媒
の反応生成物を含む組成物。
【請求項3】
酸化ケイ素、ポリシリコン及び/又は金属ケイ化物の存在下で窒化ケイ素を選択的にエッチングする組成物であって、
(a)トリフェニルシラノール、
(b)リン酸;及び
(c)水を含む溶媒
の反応生成物を含む組成物。
【請求項4】
酸化ケイ素、ポリシリコン及び/又は金属ケイ化物の存在下で窒化ケイ素を選択的にエッチングする組成物であって、
(a)p-アミノフェニルトリメトキシシラン、トリフェニルシラノール、及び2-(4-ピリジルエチル)トリエトキシシランから選ばれる化合物;
(b)リン酸;及び
(c)水を含む溶媒
の反応生成物を含む組成物。
【請求項5】
酸化ケイ素、ポリシリコン及び/又は金属ケイ化物の存在下で窒化ケイ素を選択的にエッチングする組成物であって、
(a)式(I)
[式中、Aは芳香族環又は芳香族複素環であり、各R
1が、同一又は異なり、ヒドロキシル、C
1-C
20アルコキシ、及びC
1-C
20アルキルアミノから選ばれ、y、y’、及びxがゼロであり;zは1、2、又は3から選ばれる整数であり;mは1、2、又は3から選ばれる整数であり;wはゼロ又は1、2、3、若しくは4から選ばれる整数であり、m+z=4である。]
の化合物;
(b)
組成物の総重量に基づいて、少なくとも60重量パーセントの濃リン酸;及び
(c)水を含む溶媒
の反応生成物を含む組成物。
【請求項6】
酸化ケイ素、ポリシリコン及び/又は金属ケイ化物の存在下で窒化ケイ素を選択的にエッチングする組成物であって、
(a)(i)式(I)
[式中、Aは芳香族環又は芳香族複素環であり、R
1はC
1-C
20アルキルであり;xは0又は1であり;各y及びy’は同一又は異なり得、ゼロであるか又は1~5の整数から選ばれ;zは1、2、又は3から選ばれる整数であり;mは1、2、又は3から選ばれる整数であり;wはゼロ又は1、2、3、若しくは4から選ばれる整数であり、m+z=4である。]
の化合物;および
(ii)式(II)
[式中、R
1は上に定義した通りであり、-M-は、-NH-又は-O-から選ばれる。]
の化合物;
(b)リン酸;及び
(c)水を含む溶媒
の反応生成物を含む組成物。
【請求項7】
フッ化物化合物を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
第一級、第二級、若しくは第三級アミン、C
1-C
6アルカノールアミン、若しくはそのリン酸二水素塩、又はC
1-C
20アルキル、C
1-C
20アルコキシ、-CN、-NO
2、C
1-C
20アルコキシカルボニル、C
1-C
20アルカノイルオキシ、C
1-C
20アルキルスルホニル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロ、フェニル、ベンジル、アミノ-C
1-C
20アルキル、--C
1-C
20アルキル-SO
3H、--C
1-C
20アルキル-PO
3H
2、及び式-N(R
1)
2の基から選ばれる1~3個の基で置換されていてもよい窒素含有複素環式環を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
酸化ケイ素、ポリシリコン及び/又は金属ケイ化物の存在下で窒化ケイ素を選択的にエッチングする組成物であって、
(a)(i)式(I)
[式中、Aは芳香族環又は芳香族複素環であり、各R
1は同一又は異なり、水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、擬ハロ、C
1-C
20アルキル、C
1-C
20アルキルアミノ、フェニル、ベンジル、及びC
1-C
20アルコキシ、フェノキシ、及びC
3-C
8シクロアルキルから選ばれ;xは0又は1であり;各y及びy’は同一又は異なり得、ゼロであるか又は1~5の整数から選ばれ;zは1、2、又は3から選ばれる整数であり;mは1、2、又は3から選ばれる整数であり;wはゼロ又は1、2、3、若しくは4から選ばれる整数であり、m+z=4である。]
の化合物;又は
(ii)式(II)
[式中、各R
1は同一又は異なり、上に定義した通りであり、-M-は、-NH-又は-O-から選ばれる。]
の化合物;
(b)
組成物の総重量に基づいて、少なくとも60重量パーセントの濃リン酸;及び
(c)水を含む溶媒
の反応生成物を含み、
3-アミノプロピルプロピルシラントリオール及び/又はテトラメチルアンモニウムシリケートを更に含む組成物。
【請求項10】
式(II)の化合物がヘキサメチルジシロキサンである、請求項
6又は9に記載の組成物。
【請求項11】
マイクロエレクトロニクスデバイスから窒化ケイ素を除去する方法であって、
マイクロエレクトロニクスデバイスを、
請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物と接触させること、及び
前記窒化ケイ素材料をマイクロエレクトロニクスデバイスから除去すること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化ケイ素、ポリシリコン及び/又は金属ケイ化物の存在下で窒化ケイ素を選択的にエッチングする組成物及び方法、より詳細には、高いエッチング速度で、かつ特に多層半導体ウエハ構造の酸化ケイ素、ポリシリコン及び/又は金属ケイ化物の露出された又は下にある層に関して高い選択性で、窒化ケイ素の層を効果的かつ効率的にエッチングする組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
改良されたマイクロエレクトロニクスデバイス性能に対する要望が継続しているので、デバイス性能を改良するばかりでなくデバイス密度を劇的に増大させるという二重の利点を提供するデバイス寸法の低下が注目され続けている。デバイス寸法が低下すると電荷担体、例えば電子が移動する必要がある経路が短くなるのでデバイス性能が改良される。
【0003】
例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)(MOSFET)ゲート電極は電気接点としてゲート表面並びにソース及びドレイン領域を有する。ソース領域とドレイン領域との間隔はゲート電極のチャネル長さを形成し、それ故、デバイス寸法を低下させることによりチャネル長さが付随して低下する。結果は、デバイスのスイッチング速度の増大である。
【0004】
デバイス寸法の低下の結果マイクロエレクトロニクスデバイスチップ上のデバイスの包装密度が増大することは自明である。この包装密度の増大はデバイス間の相互接続経路の長さの鋭い低減を伴い、これらの相互接続経路が全体としてのデバイス性能に及ぼす関連のある悪影響(例えば、抵抗電圧降下、クロストーク又はRC遅延)を低減する。
【0005】
しかしながらかかる要件は増大した寄生容量、デバイス接触抵抗(MOSFETデバイスにおけるゲート、ソース及びドレイン接触)、及びパターン定義の厳しい許容範囲の問題を引き起こす。極めて小さいサブミクロン若しくはサブハーフミクロン又はさらにはサブクォーターミクロンの最新のシリコンデバイスの場合、パターニング接触のための従来のフォトリソグラフィ技術は臨界寸法の所要の許容範囲を満たさない。分解能及びフィーチャーサイズを改良するために探求されている方法には、自己整合ポリシリコン(poly-Si)ゲート構造の形成が含まれ、これは臨界寸法許容範囲の問題を解決するのに役立つ。この方法を用いると、ゲート電極のソース及びドレインに形成される接触点はpoly-Siゲートと自己整合する。
【0006】
自己整合したゲート構造の形成中に出会う1つの問題はポリシリコン、酸化ケイ素及び/又は金属ケイ化物材料に関連のある窒化ケイ素材料の選択的な除去である。例えば、ゲート電極を覆う窒化ケイ素層の異方性エッチング中に、下にある酸化ケイ素層及びケイ素基板も損傷することが多く、半導体デバイスの信頼性を悪化させる。
【0007】
窒化ケイ素(Si3N4)を選択的に除去するための従来の湿式エッチング技術は熱い(およそ145~180℃)リン酸(H3PO4)水溶液、典型的には(容積で)85%のリン酸と15%の水を利用している。新鮮な熱いリン酸を使用して、典型的なSi3N4:SiO2選択性は約40:1である。有利なことに、窒化物層が除去されるにつれて、水和した酸化ケイ素が生成し、これはルシャトリエの原理と一致してデバイス表面からの酸化ケイ素の付加的な除去を抑制し、したがって選択性は使用と共に徐々に増大する。熱いリン酸エッチングの使用に関連する不利益には、金属ケイ化物材料、例えばゲート接触材料の腐食、酸化ケイ素のエッチング、及び処理溶液中の特定の量の水の維持に関連した困難性に起因するプロセス制御が含まれる。加えて、熱いリン酸は、多くの製造業者によりますます好まれるようになった単一のウエハツールへ適合させるのが困難な媒質である。
【0008】
窒化ケイ素を選択的に除去する別の方法はフッ化水素酸を含む組成物の使用を含むが、前記組成物は酸化ケイ素も除去する。約10:1のSi3N4:SiO2選択性を希釈により達成することができるが、窒化ケイ素のエッチング速度が損なわれるか、又は周囲圧力より高い圧力を使用しなければならない。窒化ケイ素を除去するためのさらに別のプロセスには、ハロゲン化されたガス種を用いるドライエッチング除去が含まれるが、Si3N4:SiO2選択性比は上述の湿式エッチングプロセスを用いて得られるものよりさらに悪い。
【0009】
今日あらゆる主要なメモリチップ製造業者で開発中の3D-NAND構造は、酸化物により定義される高アスペクト比「スリット」からの窒化ケイ素(SiN)の高選択性エッチングを必要とする(PETEOS)。通常の熱いリン酸「hot phos」プロセスにおいて選択性は、ある量の窒化物を予め溶解することにより制御される。溶解した窒化ケイ素はやや可溶型の酸化物に変換され、同じことがエッチング中に起こるが、酸化物はすぐにスリットの開口部近くに堆積し始め、最終的にそれをブロックする。米国特許出願公開第2017/0287725号、特に、コロイド状シリカの堆積がマイクロエレクトロニクスデバイスのギャップ又は溝を「ピンチオフする」傾向があることの実例を示す
図1Dも参照。結果として、酸化物濃度をプレエッチングするプロセスウインドウは極めて狭く、制御するのが困難であり、エッチング浴は頻繁に取り替える必要がある。したがって酸化物再堆積速度を最小化する必要がある。
【0010】
加えて、深いスリットはエッチングするのに長い時間がかかる(典型的には、1時間以上得)。小量のHFの添加はエッチング速度を増大させるが可溶型シリカ種の重合も増大させ、その結果として酸化物再堆積速度も増大させる。また、HF及び関連するフッ素化された種の揮発性はプロセス制御を困難にする。
【0011】
平面NAND技術において、拡大縮小は主にリソグラフィによって推進される。3D NANDの拡大縮小の際、とても高いアスペクト比(HAR)のフィーチャーを有する複雑な3D構造を作り出すために極度の精度及びプロセス再現性が必要とされる。したがって、3D NANDで成功を達成するにはばらつきを最小化する革新的なパターニング溶液が必要とされる。(Overcoming Challenges in 3D NAND Volume Manufacturing. Solid State Technology website: http://electroig.com/blog/2017/07/overcoming-challenges-in-3d-nand-volume-manufacturing/参照)
【0012】
極度のHARフィーチャーをエッチングする際の精度は、セルアクセス、並びにデータを読み取り、書き込み、消去するためにセルを周囲のCMOS電気回路に接続するその独特な階段構造アーキテクチャのためのチャネル穴及び溝を最適化するのに極めて重大である。メモリスタックの縦ピッチがおおよそ50nmであれば、96層のスタックは4.8μm程度の高さである。これは~100:1の挑戦的なアスペクト比に対応する。
【0013】
さらに、多層スタックの高さが増大するにつれて、メモリアレイの頂部及び底部における一貫したエッチング及び堆積プロフィールを達成する困難さも増大する。例えば、~100:1の比を考えると、メモリスタックのSi3N4の選択的な除去は湿式エッチングの課題となる。困難さは、スタックの頂部及び底部かつウエハ全体で一貫して、SiO2を少しもエッチングすることなくSi3N4を除去することである。96層未満だと、この仕事は熱いリン酸(~160℃)を用いて実行されるが、96層以上ではプロセスマージンを改良するために特別に考案された湿式エッチング化学が必要である。
【発明の概要】
【0014】
一般に、本発明は、酸化ケイ素エッチングを抑制する役目を果たし、それにより酸化物エッチングに対して窒化物エッチングの選択性を改良し、かつ従来のリン酸湿式エッチング組成物と共に使用することができる、ある特定のシラン添加剤を提供する。添加剤はまた、酸化ケイ素表面上でのSiの再成長(すなわち、再堆積)を抑制する役目も果たす。ある特定の実施形態において、本発明はトリアルコキシシランに結合されているある特定のアミノ置換アリール化合物を提供する。かかる化合物はリン酸湿式エッチング組成物の添加剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の組成物中のp-アミノフェニルトリメトキシシラン(「APS」と示す)のエッチング性能を例示するグラフである。
【
図2】様々な組成物に対する窒化ケイ素のエッチング速度対TEOSウエハエッチング速度の比較のグラフである。左から右に、組成物は(i)85%H
3PO
4(参照);(ii)H
3PO
4/HF(0.004重量パーセント)/N-(2アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール(1.5重量パーセント);(iii)H
3PO
4/HF(0.004重量%)/N-(2アミノエチル)-3-アミノプロピルシラントリオール(3.0重量%)、(iv)H
3PO
4/フェニルホスホン酸(0.5重量パーセント)/(0.6重量%)トリメトキシフェニルシラン;及び(v)H
3PO
4/p-アミノフェニルトリメトキシシラン(0.08重量%)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の態様において、本発明は、
(a)
(i)式(I)
[式中、Aは芳香族環又は芳香族複素環であり、各R
1は同一又は異なり、水素、ヒドロキシ又はヒドロキシル、C
1-C
20アルキル、C
1-C
20アルキルアミノ、フェニル、ベンジル、及びC
1-C
20アルコキシ、フェノキシ、並びにC
3-C
8シクロアルキルから選ばれ;xは0又は1であり;各y及びy’は同一又は異なり得、ゼロであるか又は1~5の整数から選ばれ;zは1、2、又は3から選ばれる整数であり;mは1、2、又は3から選ばれる整数であり;wはゼロ又は1、2、3、若しくは4から選ばれる整数であり、m+z=4である。]
の化合物;又は
(ii)式(II)
[式中、各R
1は同一又は異なり、上に定義した通りであり、-M-は-NH-又は-O-から選ばれる。]
の化合物;
(b)リン酸;及び
(c)水を含む溶媒
の反応生成物を含む組成物を提供する。
【0017】
上で使用されている句「・・・の反応生成物」は成分(a)に列挙されている出発化合物が水性リン酸の存在下で加水分解して他の種を生成するという状況を反映する。
【0018】
一実施形態において、本発明の組成物中、式(I)の化合物は以下の構造
[式中、R
1は上に定義した通りであり、各R
2は同一又は異なり、H及びC
1-C
20アルキルから選ばれる。]
を有する。さらなる実施形態において、式(I)の化合物はp-アミノフェニルトリメトキシシランである。
【0019】
別の実施形態において、成分(a)はトリフェニルシラノールである。
【0020】
別の実施形態において、各R1は同一又は異なり、ヒドロキシル、C1-C20アルコキシ、及びC1-C20アルキルアミノから選ばれ、y、y’、及びxはゼロである。
【0021】
本明細書で使用されるとき、用語「芳香族環」又は「アリール」はフェニル及びナフチル(napthyl)並びにC1-C20アルキル、C1-C20アルコキシ、-CN、-NO2、C1-C20アルコキシカルボニル、C1-C20アルカノイルオキシ、C1-C20アルキルスルホニル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロ、フェニル、ベンジル、アミノ-C1-C20アルキル、-C1-C20アルキル-SO3H、-C1-C20アルキル-PO3H2、及び式-N(R1)2の基から選ばれる1~3個の基で置換されているかかる基を含む。
【0022】
用語「芳香族複素環」又は「ヘテロアリール」は1個の酸素原子、及び/又は1個の硫黄原子、及び3個以下の窒素原子を含有する5又は6員の複素環式アリール環を含み、前記複素環式アリール環は場合により1個又は2個のフェニル環に縮合されていてもよい。かかる系の例にはチエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアトリアゾリル、オキサトリアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、チアジニル、オキサジニル、トリアジニル、チアジアジニル、オキサジアジニル、ジチアジニル、ジオキサジニル、オキサチアジニル、テトラジニル、チアトリアジニル、オキサトリアジニル、ジチアジアジニル、イミダゾリニル、ジヒドロピリミジル、テトラヒドロピリミジル、テトラゾロ-[1,5-b]ピリダジニル及びプリニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリルなどがあり;かかる基はC1-C20アルキル、C1-C20アルコキシ、-CN、-NO2、C1-C20アルコキシカルボニル、C1-C20アルカノイルオキシ、C1-C20アルキルスルホニル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロ、フェニル、ベンジル、アミノ-C1-C20アルキル、-C1-C20アルキル-SO3H、-C1-C20アルキル-PO3H2、及び式-N(R1)2の基から選ばれる1~3個の基で置換されていてもよい。
【0023】
本明細書で使用されるとき、用語「窒素含有複素環式環」はピリジン、ピペリジン、ピラジン、及びイミダゾールのような構造を含む。かかる環系は場合によりC1-C20アルキル、C1-C20アルコキシ、-CN、-NO2、C1-C20アルコキシカルボニル、C1-C20アルカノイルオキシ、C1-C20アルキルスルホニル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロ、フェニル、ベンジル、アミノ-C1-C20アルキル、-C1-C20アルキル-SO3H、-C1-C20アルキル-PO3H2、及び式-N(R1)2の基から選ばれる1~3個の基で置換されていることができる。
【0024】
本明細書で使用されるとき、用語「C1-C20アルキルアミノ」は1~20個の炭素原子及び少なくとも1つの第一級又は第二級アミノ機能性を有する基を指す。かかる化合物の例にはアミノエチル;アミノプロピル;アミノブチル;(2-アミノエチル)アミノプロピル;(2-アミノエチル)アミノエチル;(2-アミノエチル)アミノブチル;及び2-アミノエチル(2-アミノエチル)アミノプロピルがある。
【0025】
本発明の一態様は、酸化ケイ素前駆体源から堆積したポリシリコン(poly-Si)及び酸化ケイ素材料に対して窒化ケイ素の選択的な除去に有用であり、したがってマイクロエレクトロニクスデバイスからの窒化ケイ素材料の少なくとも部分的な除去のための湿式エッチング液として有用な組成物に関する。存在し得る金属ケイ化物材料は前記除去組成物により実質的に腐食されない。
【0026】
本発明はまた、湿式エッチング組成物を用いて、窒化ケイ素及び酸化ケイ素を含有する基板から窒化ケイ素を除去するための方法、プロセス、及びシステムも提供する。組成物は窒化ケイ素の有利に高いエッチング速度、酸化ケイ素に対する窒化ケイ素の有利に高い選択性、又はこれらの性能特性の有利なバランスを生じることができる。
【0027】
参照を容易にするため、「マイクロエレクトロニクスデバイス」はマイクロエレクトロニクスで使用するように製造された3D NAND構造、フラットパネルディスプレイ、及び微小電気機械システム(MEMS)、集積回路、又はコンピューターチップ用途を始めとする半導体基板に対応する。用語「マイクロエレクトロニクスデバイス」はいかなる意味でも限定的であることを意味せず、n型金属酸化物半導体(nMOS)及び/又はp型金属酸化物半導体(pMOS)トランジスタを含み、最終的にマイクロエレクトロニクスデバイス又はマイクロエレクトロニクスアセンブリになるあらゆる基板を含むと理解されたい。
【0028】
本明細書で使用されるとき、その上に窒化ケイ素のような窒化物材料を有するマイクロエレクトロニクスデバイスから窒化ケイ素材料を除去するのに「適している」とは、窒化ケイ素材料のマイクロエレクトロニクスデバイスからの少なくとも部分的な除去に対応する。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「窒化ケイ素」及び「Si3N4」は、純粋な窒化ケイ素(Si3N4)並びに結晶構造中に水素、炭素及び/又は酸素不純物を含む純粋でない窒化ケイ素に対応する。
【0030】
本明細書で使用されるとき、「酸化ケイ素」は酸化ケイ素、例えば、SiO2、「熱酸化物」(ThOx)、などでできた薄膜を指す。酸化ケイ素はTEOS若しくは別の起源からの化学蒸着による堆積、又は熱的堆積のようないずれかの方法によって基板上に設けることができる。酸化ケイ素は一般に商業的に有用な低レベルの他の材料又は不純物を含有する。酸化ケイ素はマイクロエレクトロニクスデバイスのフィーチャー、例えば絶縁層として、マイクロエレクトロニクスデバイス基板の一部として存在し得る。
【0031】
本明細書で使用されるとき、「窒化ケイ素材料の少なくとも部分的な除去」は露出された窒化ケイ素層の少なくとも一部の除去に対応する。例えば、窒化ケイ素材料の部分的な除去には、ゲート電極を覆って/保護してSi3N4側壁を形成する窒化ケイ素層の異方性の除去が含まれる。また、本明細書では、本発明の組成物はポリシリコン及び/又は酸化ケイ素層に対して窒化ケイ素材料を実質的に除去するためにより一般的に使用され得るとも考えられる。このような状況で、「実質的な除去」は本発明の組成物を用いて、一実施形態において少なくとも90%、別の実施形態においては少なくとも95%、さらに別の実施形態においては少なくとも99%の窒化ケイ素材料を、除去すると定義される。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「約」は述べられた値の+/-5%に対応することが意図されている。
【0033】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は文脈が明らかに他のことを指示しない限りその複数の指示対象を含む。用語「含有する」又は「包含する」は用語「含む」と同義であることが意図されており、少なくとも名づけられた化合物、要素、粒子、又は方法工程、等が組成物又は物品又は方法内に存在するが、他の化合物、材料、粒子、方法工程、等がその名づけられたものと同じ機能を有するとしても、特許請求の範囲で明示的に除外されない限り、他のかかる化合物、材料、粒子、方法工程、等の存在を除外しないことを意味する。
【0034】
本明細書で使用されるとき、「金属ケイ化物」は、限定されることはないがTiSi2、NiSi、CoSi2、NiPtSi、ケイ化タンタル、ケイ化モリブデン、及びケイ化タングステンを始めとして、種Ni、Pt、Co、Ta、Mo、W、及びTiを含むあらゆるケイ化物に対応する。
【0035】
「ケイ酸」は一般式[SiOx(OH)4-2x]nを有するケイ素、水素、及び酸素の化学化合物の族に対する一般名であり、化合物メタケイ酸((H2SiO3)n)、オルトケイ酸(H4SiO4)、二ケイ酸(H2Si2O5)、及びピロケイ酸(H6Si2O7)を包含する。ケイ酸は当業者に周知の多くの手法で、例えば微細なシリカ粉末(好ましくは直径1μm以下)、アルコキシシラン(例えば、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン)、アミノ基を有するアルコキシシラン(例えば、アミノトリエトキシシラン、ヘキサエトキシジシラザン)、1個若しくは複数のハロゲン又は擬ハロゲン(halogen pseudohalogen)基を有するアルコキシシラン(例えば、トリエトキシクロロシラン、トリエトキシフルオロシラン、トリエトキシ(イソシアナト)シラン、ジエトキシジクロロシラン)、又はこれらの組合せを水和させることによって得ることができる。参照を容易にするため、「アルコキシシラン」は以下、アルコキシシラン、アミノ基を有するアルコキシシラン及び1個又は複数のハロゲン又は擬ハロゲン基を有するアルコキシシランを含めて使用する。
【0036】
本明細書に記載されているように、酸化ケイ素層は酸化ケイ素前駆体源、例えばTEOSから堆積させてもよいし、又は熱的に堆積した酸化ケイ素でもよい。他の典型的な低κ材料「低k誘電材料」は層状マイクロエレクトロニクスデバイスに誘電材料として使用されるいずれかの材料に対応し、ここで材料は約3.5未満の誘電定数を有する。ある特定の実施形態において、低κ誘電材料には、ケイ素を含有する有機ポリマー、ケイ素を含有するハイブリッド有機/無機材料、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、TEOS、フッ素化ケイ酸塩ガラス(FSG)、二酸化ケイ素、オキシ炭化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、窒化ケイ素、炭素ドープ酸化物(CDO)又は炭素ドープガラスのような低極性材料、例えばNovellus Systems, Inc.のCORAL(登録商標)、Applied Materials, Inc.のBLACK DIAMOND(登録商標)(例えば、PECVDに対するBD1、BD2、及びBD3呼称)、DowのSiLK(登録商標)誘電性樹脂(多官能性シクロペンタジエノン及びアセチレン含有材料の反応による架橋ポリフェニレンベースのポリマー;例えば、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,965,679号参照)、及びNanopore, Inc,のNANOGLASS(登録商標)(シリカエーロゲル/キセロゲル(ナノ多孔性シリカとして知られる)、などが含まれる。低κ誘電材料は様々な密度及び様々な気孔率を有し得ることが了解されよう。
【0037】
以下により十分に記載されるように、本発明の組成物は広範な特定の配合物に具体化され得る。
【0038】
組成物の特定の成分が、ゼロ下限を含む重量百分率範囲に関して説明されているすべてのかかる組成物において、かかる成分は組成物の様々な特定の実施形態において存在しても存在しなくてもよく、かかる成分が存在する場合それらはかかる成分が使われる組成物の総重量に基づいて0.001重量パーセントの低い濃度で存在してもよいと理解される。
【0039】
組成物は窒化ケイ素の所望のエッチングを生じるのに有効な量の水性リン酸(例えば、濃リン酸)を含む。用語「水性リン酸」は、組成物を形成するために組成物の他の含有物と混合され、又は組み合わせられる組成物のある含有物を指す。用語「リン酸固形分」は、水性リン酸含有物、又は水性リン酸含有物から調製される組成物の非水性成分を指す。
【0040】
組成物に含有されるリン酸固形分の量は、エッチング組成物の他の材料と共同して、典型的には比較的高い量(濃度)のリン酸固形分を必要とする所望の窒化ケイ素エッチング速度及び選択性を含めて所望のエッチング性能を提供する量であることができる。例えば、エッチング組成物は、組成物の総重量に基づいて少なくとも約50重量パーセント、例えば、組成物の総重量に基づいて少なくとも70、又は少なくとも約80若しくは85重量パーセントのリン酸固形分である量のリン酸固形分を含有することができる。
【0041】
リン酸固形分の所望の量を提供するために、組成物は、他の含有物(1つの含有物は場合によりある形態の水である)と混合され、又は組み合わせられて組成物を生成する1つの含有物として「濃」リン酸を含有し得る。「濃」リン酸は、低い又は最小量の水及び実質的にゼロの他の含有物(例えば、0.5又は0.1重量パーセント未満の任意の非水又は非リン酸固形分材料)の存在下で高い又は最大量のリン酸固形分を含有する水性リン酸含有物を指す。濃リン酸は典型的には、約15又は20重量パーセントの水中に少なくとも約80又は85重量パーセントのリン酸固形分を有すると考えることができる。あるいは、組成物は水で希釈されたある量の濃リン酸、すなわち、例えばエッチング組成物の他の含有物と組み合わせられる前又はその後にある量の水で希釈されている濃リン酸、又は何らかのやり方で形成される等価物を含むと考えてもよい。もう1つ別の選択肢として、組成物の一含有物が濃リン酸又は希釈されたリン酸であることができ、エッチング組成物は異なる含有物の一成分として、又は別個の水含有物のどちらかとして組成物に供給される追加の量の水を含有することができる。
【0042】
一例として、濃リン酸が組成物を形成するのに使用されるのであれば、濃リン酸の量(85重量パーセント、水中)は、組成物の総重量に基づいて、組成物の少なくとも60、例えば、少なくとも80又は少なくとも90、93、95、又は少なくとも98重量パーセントである量であることができる。リン酸固形分の濃度が85%より高い実施形態において、これは一般に濃酸に含有されるアター(ater)のいくらかのエバポレーションにより、又は固体(99-100%)のリン酸又はリン酸オリゴマー、例えばピロリン酸を加えることにより得られる。
【0043】
成分(c)は水を含む溶媒である。場合により、溶媒はさらに1つ又は複数の水混和性溶媒、例えばピロリジノン、グリコール、アミン、及びグリコールエーテル、例えば、限定されることはないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、及び高級アルコール(例えばC2-C4ジオール及びC2-C4トリオール)、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)、ハロゲン化アルコール(例えば3-クロロ-1,2-プロパンジオール、3-クロロ-1-プロパンチオール、1-クロロ-2-プロパノール、2-クロロ-1-プロパノール、3-クロロ-1-プロパノール、3-ブロモ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモ-2-プロパノール、3-ブロモ-1-プロパノール、3-ヨード-1-プロパノール、4-クロロ-1-ブタノール、2-クロロエタノール)、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、テトラヒドロフラン N-メチルピロリジノン(NMP)、シクロヘキシルピロリジノン、N-オクチルピロリジノン、N-フェニルピロリジノン、メチルジエタノールアミン、ギ酸メチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、ジエチルエーテル、フェノキシ-2-プロパノール(PPh)、プロピオフェノン、乳酸エチル、酢酸エチル、エチルベンゾエート、アセトニトリル、アセトン、エチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、1,3-プロパンジオール、ジオキサン、ブチリルラクトン、炭酸ブチレン、エチレンカーボネート、炭酸プロピレン、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(すなわち、ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPGME)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPGME)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDE)、二塩基エステル、炭酸グリセリン、N-ホルミルモルホリン、トリエチルホスフェート、及びこれらの組合せを含んでもよい。アルコキシシランアルコキシ添加剤を使用するとき、その加水分解は小量のアルコール、例えばメタノール又はエタノールを生成し、これはアルコール自体又はそのリン酸モノエステルとして配合物中に組み込まれる。加えて、有機溶媒は他の両親媒性種、すなわち、界面活性剤と類似の親水性及び疎水性の両方の部分を含有する種を含み得る。
【0044】
組成物は列挙された含有物及び任意選択の含有物の何らかの組合せを含むことができ、これらからなることができ、又は本質的にこれらからなることができる。本記載を通じて一般的な慣習として、規定された含有物又は材料の一群「から本質的になる」といわれる記載されている組成物、又はその含有物若しくは成分は、規定された含有物又は材料を、低い又はささいな量以下の他の含有物又は材料、例えば5、2、1、0.5、0.1、又は0.05重量部以下の他の含有物又は材料と共に含有する組成物を指す。例えば、本質的に
(a)(i)式(I)
[式中、Aは芳香族環又は芳香族複素環であり、各R
1は同一又は異なり、水素、C
1-C
20アルキル、C
1-C
20アルキルアミノ、フェニル、ベンジル、及びC
1-C
20アルコキシ、フェノキシ、及びC
3-C
8シクロアルキルから選ばれ;xは0又は1であり;各y及びy’は同一又は異なり得、ゼロであるか又は1~5の整数から選ばれ;zは1、2、又は3から選ばれる整数であり;mは1、2、又は3から選ばれる整数であり;wはゼロ又は1、2、3、若しくは4から選ばれる整数であり、m+z=4である。]の化合物;又は
(ii)式(II)
[式中、各R
1は同一又は異なり、上に定義した通りであり、-M-は-NH-又は-O-から選ばれる。]の化合物;
(b)リン酸;及び
(c)水を含む溶媒
の反応生成物からなる組成物は、これらの含有物及び5、2、1、0.5、0.1、又は0.05重量部以下の、特定されている材料以外の任意の他の溶解又は未溶解材料を(個別に又は全体として)含有する組成物を意味する。
【0045】
本発明のある特定の実施形態において、組成物はフッ化物化合物をさらに含み得る。一実施形態において、フッ化物化合物はHF及びモノフルオロリン酸から選択される。他の実施形態において、フッ化物化合物はフルオロケイ酸、フッ化セシウム、及びフッ化カリウムから選択される。他の実施形態において、フッ化物化合物はフルオロホウ酸;テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート;フッ化アンモニウム;重フッ化アンモニウム;それぞれ式NR’4BF4及びPR’4BF4[式中、R’は互いに同一又は異なってもよく、水素、直鎖、分岐、又は環状のC1-C6アルキル、及び直鎖又は分岐のC6-C10アリールから選択される。]を有する第四級アンモニウムテトラフルオロボレート及び第四級ホスホニウムテトラフルオロボレート;テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TBA-BF4);及びこれらの組合せから選択される。
【0046】
本明細書で使用されるとき、「フッ化物化合物」はイオン性フッ化物イオン(F-)又は共有結合したフッ素を含む種に対応する。フッ化物種はフッ化物種として含まれ得るか、又はその場で生成し得ることが了解されたい。ある特定の実施形態において、イオン又はフッ化物イオンを生成することができるこの化合物は、HF又はモノフルオロリン酸から誘導される。濃リン酸組成物において、HFは主にモノフルオロリン酸(MFPA)の形態で存在する。ある特定の実施形態において、非揮発性MFPAは添加及びブレンドを簡単にするために直接組成物中に使用され得る。他の実施形態において、フッ化物化合物はCsF及びKFから選ばれ得る。他の実施形態において、フッ化物化合物はテトラメチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート;フッ化アンモニウム;重フッ化アンモニウム;それぞれ式NR’4BF4及びPR’4BF4[式中、各R’は同一又は互いに異なり得、水素、直鎖、分岐、又は環状のC1-C6アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル)、及び直鎖又は分岐のC6-C10アリール(例えば、ベンジル)から選ばれる。]を有する第四級アンモニウムテトラフルオロボレート及び第四級ホスホニウムテトラフルオロボレート;テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TBA-BF4);並びにこれらの組合せから選ばれ得る。ある特定の実施形態において、フッ化物化合物はフッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、第四級アンモニウムテトラフルオロボレート(例えば、テトラメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラプロピルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート)、第四級ホスホニウムテトラフルオロボレート、又はこれらの組合せから選択される。ある特定の実施形態において、フッ化物化合物は重フッ化アンモニウム、フッ化アンモニウム、又はこれらの組合せを含む。
【0047】
ある特定の実施形態において、本発明の組成物はさらに低分子量アミン及びアミンリン酸塩を含む。他の実施形態において、低分子量アミン及びアミンリン酸塩は第一級、第二級、又は第三級のC1-C6アルキルアミン又はそのリン酸塩である。例として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルアニリンなどを含む。かかるアミンを濃H3PO4組成物に加えると、アミンリン酸塩が形成されることが分かる。さらに、組成物はC1-C20アルキル、C1-C20アルコキシ、-CN、-NO2、C1-C20アルコキシカルボニル、C1-C20アルカノイルオキシ、C1-C20アルキルスルホニル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロ、フェニル、ベンジル、アミノ-C1-C20アルキル、-C1-C20アルキル-SO3H、-C1-C20アルキル-PO3H2、及び式-N(R1)2の基から選ばれる1~3個の基で置換されていてもよい窒素含有複素環式環をさらに含み得る。
【0048】
ある特定の実施形態において、組成物は1つ又は複数のポリマーをさらに含み得る。ポリマーは、存在するとき、限定されることはないが、メタクリル酸ホモポリマー並びに例えば、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸及びマレイン酸との共重合体;マレイン酸/ビニルエーテル共重合体;ポリ(ビニルピロリドン)/酢酸ビニル;ホモポリマー、例えばホスホン化ポリエチレングリコールオリゴマー、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリプロピレングリコール)(PPG)、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(ビニルホスホン酸)、ポリ(ビニルリン酸)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(プロピレンイミン)、ポリアリルアミン、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルピロリドン(PVP)、PPG-PEG-PPGブロック共重合体、PEG-PPG-PEGブロック共重合体、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ヒドロキシエチル)アクリレート、ポリ(ヒドロキシエチル)メタクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、アルギン酸カリウム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、グルコサミン、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロライド、PEG化(すなわち、ポリエチレングリコール化)メタクリレート/アクリレート共重合体、ポリMADQuat及びその共重合体、ジメチルアミノメタクリレートポリマー及びその共重合体、トリメチルアンモニウムメチルメタクリレートポリマー(すなわち、水混和性溶媒)及びその共重合体、並びにこれらの組合せを含む。上記共重合体はランダム又はブロック共重合体であり得る。存在するとき、組成物中のポリマーの量は組成物の総重量に基づいて約0.0001重量%~約5重量%の範囲である。別の実施形態において組成物中のポリマーの量は組成物の総重量に基づいて約0.0001重量%~約20重量%の範囲である。
【0049】
組成物は場合により界面活性剤を含んでもよい。本明細書で使用される用語「界面活性剤」は、2つの液体間又は液体と固体との間の表面張力(又は界面張力)を低下させる有機化合物、典型的には、疎水性の基(例えば、炭化水素(例えば、アルキル)「尾部」)及び親水性の基を含有する有機両親媒性化合物を指す。存在するとき、本明細書に記載されている組成物に使用される界面活性剤には、限定されることはないが、両性の塩、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、双性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの組合せがあり、限定されることはないが、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸(DDPA)、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、オクタデシルホスホン酸、ペルフルオロヘプタン酸、プレフルオロデカン酸(prefluorodecanoic acid)、トリフルオロメタンスルホン酸、ホスホノ酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、他のR*-ベンゼンスルホン酸又はその塩(ここで、R*は直鎖又は分岐のC8-C18アルキル基である)、ドデセニルコハク酸、リン酸水素ジオクタデシル、リン酸二水素オクタデシル、ドデシルアミン、ドデセニルコハク酸モノジエタノールアミド、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ビャクシン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オクタデシルホスホン酸(ODPA)、ドデシルホスフェートがある。考えられる非イオン性界面活性剤には、限定されることはないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ドデセニルコハク酸モノジエタノールアミド、エチレンジアミンテトラキス(エトキシレート-ブロック-プロポキシレート)テトロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン又はポリプロピレングリコールエーテル、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドをベースとするブロック共重合体、ポリオキシプロピレンスクロースエーテル、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、10-エトキシ-9,9-ジメチルデカン-1-アミン、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル、分岐した、ポリオキシエチレン(40)ノニルフェニルエーテル、分岐した、ジノニルフェニルポリオキシエチレン、ノニルフェノールアルコキシレート、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノオレエート、アルコールアルコキシレート、アルキル-ポリグルコシド、ペルフルオロ酪酸エチル、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ビス[2-(5-ノルボルネン-2-イル)エチル]トリシロキサン、モノマー性オクタデシルシラン誘導体、シロキサン変性ポリシラザン、シリコーン-ポリエーテル共重合体、及びエトキシル化フルオロ界面活性剤がある。考えられるカチオン性界面活性剤には、限定されることはないが、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ヘプタデカンフルオロオクタンスルホン酸のテトラエチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、4-(4-ジエチルアミノフェニルアゾ)-1-(4-ニトロベンジル)ピリジウムブロミド、セチルピリジニウムクロライド一水和物、ベンザルコニウムクロライド、ベンゼトニウムクロライドベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムp-トルエンスルホネート、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジ(水素化獣脂)ジメチルアンモニウムクロライド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラキス(デシル)アンモニウムブロミド、及び臭化オキシフェノニウム、グアニジン塩酸塩(C(NH2)3Cl)又はトリフレート塩、例えばテトラブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロライド、ジメチルジヘキサデシルアンモニウムブロミド、ジ(水素化獣脂)ジメチルアンモニウムクロライド、及びポリオキシエチレン(16)獣脂エチルモニウムエト硫酸塩がある。考えられるアニオン性界面活性剤には、限定されることはないが、ポリ(アクリル酸ナトリウム塩)、アンモニウムポリアクリレート、ナトリウムポリオキシエチレンラウリルエーテル、ナトリウムジヘキシルスルホスクシネート、ドデシル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホスクシネート塩、2-スルホスクシネート塩、2,3-ダイマーカプト-1-プロパンスルホン酸塩、ジシクロヘキシルスルホスクシネートナトリウム塩、ナトリウム7-エチル-2-メチル-4-ウンデシル硫酸塩、ホスフェートフルオロ界面活性剤、フルオロ界面活性剤、及びポリアクリレートがある。双性界面活性剤には、限定されることはないが、アセチレン性ジオール又は変性アセチレン性ジオール、エチレンオキシドアルキルアミン、N,N-ジメチルドデシルアミンN-オキシド、ナトリウムココアミノプロピネート、3-(N,N-ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、及び(3-(4-ヘプチル)フェニル-3-ヒドロキシプロピル)ジメチルアンモニオプロパンスルホネートがある。組成物中の界面活性剤の量は、エッチング組成物の他の材料と共同して所望の全体性能を提供する量であることができる。例えば、組成物は組成物の総重量に基づいて約0.001~約10重量パーセントの範囲であり得る量の界面活性剤、例えば、約0.01~約0.5、1、2、7、又は7重量パーセントの界面活性剤を含有することができる。
【0050】
場合により、組成物はさらに、ある量のカルボン酸化合物を含み得、少なくとも1つのカルボン酸基を含有する有機化合物を意味する。本発明によると、記載されている組成物中のカルボン酸化合物の存在は、酸化ケイ素の再堆積又はその粒子の形成を抑制することにより性能を改良することができる。ある特定の実施形態において、組成物中に使用されるカルボン酸化合物には、限定されることはないが、酢酸、マロン酸、シュウ酸、モノアルキル及び2,2-ジアルクリ(dialkly)マロン酸、コハク酸、2-メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、サリチル酸、1,2,3-プロパントリカルボン酸(トリカルバリル酸としても知られる)、2-ホスホノ酢酸、3-ホスホノプロパン酸、及び2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(PBTCA)が含まれ、これらはいずれも単独で、互いに共同して、又は異なるカルボン酸化合物、例えばエチドロン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、場合によりジエチレントリアミンペンタキス(メチレンホスホン酸)、オクチルホスホン酸及びフェニルホスホン酸と共同して使用し得る。
【0051】
組成物中に含有されるカルボン酸化合物(その誘導体を含む)の量は、組成物の他の材料と共同して、所望のエッチング性能を提供するが他にはエッチング組成物の性能又は化学安定性に影響を及ぼすことがない量であることができる。例えば、組成物は単一の種でも又は2種又はそれ以上の種の組合せでもよいカルボン酸化合物を、組成物の総重量に基づいて約0.01~約10重量パーセント、又は組成物の総重量に基づいて約0.1~約5又は8重量パーセントの範囲の量で含有することができる。
【0052】
組成物は1つ又は複数の起源からの水を含有し得る。例えば、水は水性リン酸含有物中に存在する。さらに、水はエッチング組成物の1つ又は複数の他の含有物に対する担体として使用され得、また水は単独でそれ自体含有物として加えられ得る。水の量は組成物が、有用な(十分に高い)窒化ケイ素エッチング速度を含む、所望の又は好ましい若しくは有利なエッチング性能特性を示すことができるほど十分に低くあるべきである。水の存在の増大は窒化ケイ素のエッチング速度を上昇させる傾向があるが、エッチング組成物の沸点を押し下げることもでき、これはエッチング組成物の作動温度の低下及び逆の効果を強いる。エッチング組成物中のすべての起源からの水の量の例は、組成物の総重量に基づいて約50、40、又は30重量パーセント未満、例えば約5重量パーセント~約25重量パーセントの範囲、又は組成物の総重量に基づいて約10~20重量パーセントの範囲の水であることができる。
【0053】
場合により、記載されているこれら及びその他の例の組成物は、リン酸、水を含む溶媒、成分(a)材料、及び特定されている任意選択の含有物のいずれか1つ又は任意の組合せを含有する、それらからなる、又はそれらから本質的になることができる。本発明の組成物のある特定の実施形態は、エッチング組成物に典型的には含まれない他の種類の含有物、例えばpH調整剤(本明細書で潜在的な含有物として述べられている酸以外)及び研磨粒子のような固体材料を必要としないし、排除し得る。
【0054】
本発明のある特定の実施形態において、記載されている組成物はマイクロエレクトロニクスデバイスから窒化ケイ素を除去する方法であって、マイクロエレクトロニクスデバイスから前記窒化ケイ素材料を少なくとも部分的に除去するのに十分な条件下で十分な時間マイクロエレクトロニクスデバイスを本発明の組成物と接触させることを含む、方法を提供する。
【0055】
例えば、窒化ケイ素材料は金属及び金属ケイ化物インターコネクト材料を実質的に損傷することなく除去され得る。したがって本発明は、本明細書に記載されている組成物を用いてポリシリコン及び/又は酸化ケイ素材料に対して窒化ケイ素材料を、同じ材料をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスの表面から選択的かつ実質的に除去する方法を提供する。存在する金属ケイ化物材料は前記方法を用いて前記除去組成物により実質的に腐食されない。
【0056】
エッチング用途において、組成物は窒化ケイ素材料をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスの表面にいずれかの適切なやり方で、例えば、デバイスの表面に除去組成物を噴霧することにより、窒化ケイ素材料を含むデバイスを(静的又は動的容積の除去組成物に)浸漬することにより、デバイスを別の材料、例えば、その上に除去組成物が吸収されているパッド、又は繊維質吸着剤塗布器要素と接触させることにより、窒化ケイ素材料を含むデバイスを循環する除去組成物と接触させることにより、又はその他除去組成物を窒化ケイ素材料と除去接触させるあらゆる適切な手段、やり方若しくは技術により塗布される。塗布は動的又は静的清浄化のためにバッチ式でも単一ウエハ装置でもよい。一実施形態において、マイクロエレクトロニクスデバイスの表面への除去組成物の塗布は、制御された掻き混ぜであり、それにより組成物は前記組成物を収容する容器を通って循環する。活発な掻き混ぜ、例えば、乱流、撹拌、等は、ケイ化物及び/又はpoly-Siのエッチング速度が好ましくは低いとき、推奨されない。しかしながら、高アスペクト比の構造体からの窒化ケイ素の除去には、構造体の内外からの速い液体交換のため、及び酸化物の再堆積を最小化するために、撹拌が望ましいであろう。
【0057】
本発明の組成物は、マイクロエレクトロニクスデバイス構造上に存在し得、組成物に曝露される他の材料、例えば金属化、ポリシリコン、酸化ケイ素、等と比較して窒化ケイ素材料に対するそれらの選択性のために、窒化ケイ素材料の少なくとも部分的な除去を非常に効率的かつ非常に選択的なやり方で達成する。
【0058】
その上に窒化ケイ素材料を有するマイクロエレクトロニクスデバイス構造から窒化ケイ素材料を除去するために本発明の組成物を使用する際には、典型的には、組成物を、単一のウエハツールに対して約1分~約200分、一実施形態において約15分~約100分、又は約1分~約5分の十分な時間、限定されることはないが、一実施形態において約60℃~約120℃、又は別の実施形態において約100℃~約250℃の範囲の温度を含む十分な条件でマイクロエレクトロニクスデバイス構造と接触させる。かかる接触時間及び温度は例示であり、本発明の実施の範囲内で、デバイス構造から窒化ケイ素材料を少なくとも部分的に除去するのに効果のある他のあらゆる適切な時間及び温度条件を使ってもよい。
【0059】
所望の除去動作を達成した後、除去組成物は、それが前に塗布されていたマイクロエレクトロニクスデバイスから、例えば、濯ぎ、洗浄、又はその他の除去工程により、本発明の組成物の所与の最終用途に望まれ、効果のあるように容易に除去される。例えば、デバイスを、脱イオン水を含む濯ぎ溶液で濯ぐ、及び/又は乾燥(例えば、遠心脱水、N2、蒸気乾燥、等)するとよい。
【0060】
本発明の組成物は、マイクロエレクトロニクスデバイスの表面からpoly-Si及び酸化ケイ素と比較して窒化ケイ素材料を選択的にエッチングする。例えば、本発明の除去組成物の存在下での窒化ケイ素の酸化ケイ素に対する選択性は、一実施形態において約10:1~約7,000:1、別の実施形態において約30:1~約3,000:1、別の実施形態において約100:1~約2000の範囲である。ケイ酸源がアルコキシシラン、例えばTEOSを含むとき、酸化ケイ素に対する窒化ケイ素の選択性は、一実施形態において約20:1から無限まで、別の実施形態において約20:1~約7,000:1の範囲で調整することができる。
【0061】
本記載のエッチング工程は、あらゆる種類の基板の表面から窒化ケイ素材料をエッチングするのに有用であることができる。特定の実施形態によると、基板は窒化ケイ素層と酸化ケイ素の交互薄膜層を含む基板の構造上の特徴として窒化ケイ素の交互薄膜層を含むことができる。酸化ケイ素層は酸化ケイ素の層間に配置された窒化ケイ素層を含有する高アスペクト比の構造体である。
【0062】
本発明のさらに別の態様はマイクロエレクトロニクスデバイスを含む物品を製造する方法に関し、前記方法は本発明の組成物とマイクロエレクトロニクスデバイスを、その上に窒化ケイ素材料を有するマイクロエレクトロニクスデバイスの表面から窒化ケイ素材料をエッチングにより除去するのに十分な時間接触させ、前記マイクロエレクトロニクスデバイスを前記物品に組み込むことを含む。
【0063】
本明細書に記載されている組成物は、それぞれの含有物の単なる添加及び均一条件下での混合によりたやすく調合される。また、組成物は単一包装の配合物又は使用時に混合される複数パーツの配合物として容易に調合され得る。複数パーツ配合物の個々のパーツはツールで、又はツールの上流の貯蔵タンク内で混合することができる。それぞれの含有物の濃度は特定の倍数の組成物で広く変化し得、すなわちより薄いか又はより濃く、本明細書に記載されている組成物は様々に、また代わりに、本明細書の開示と一致した含有物の任意の組合せを含むか、又はそれらからなるか、又はそれらから本質的になることが了解されよう。
【0064】
本発明の別の態様は、本明細書に記載されている組成物を形成するように適合させた1つ又は複数の成分を、1個又は複数の容器中に含むキットに関する。一実施形態において、キットは製造場所又は使用時点で、水と組み合わせるための上記成分(A)~(C)の少なくとも1つの組合せを1個又は複数の容器中に含む。キットの容器は前記清浄化組成物成分を貯蔵し輸送するのに適していなければならず、例えば、NOWPak(登録商標)容器(Entegris, Inc., Danbury、Conn.、USA)がある。第1の清浄化組成物の成分を含有する1個又は複数の容器は、好ましくは前記1個又は複数の容器中の成分をブレンド及び分配のために流体連通させる手段を含む。例えば、NOWPak(登録商標)容器に関して、ガス圧を前記1個又は複数の容器のライナーの外側にかけて、ライナーの含有量の少なくとも一部を排出させ、それ故ブレンド及び分配のための流体連通を可能にするとよい。代わりに、ガス圧を従来の加圧可能な容器のヘッドスペースにかけてもよいし、又はポンプを用いて流体連通を可能にしてもよい。加えて、システムは好ましくはブレンドした清浄化組成物をプロセスツールに分配するための分配口を含む。
【0065】
高密度ポリエチレンのような、実質的に、化学的に不活性で不純物を含まない可撓性及び弾力があるポリマー性フィルム材料を使用して、前記1個又は複数の容器のライナーを製作できる。望ましいライナー材料は、共押出又はバリアー層を必要とすることなく、またライナー内に配置される成分に対する純度要件に悪影響を及ぼし得る任意の顔料、UV抑制剤、若しくは加工剤なしで、加工処理される。望ましいライナー材料のリストには、バージン(添加剤を含まない)ポリエチレン、バージンポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリブチレン、などを含むフィルムを含む。かかるライナー材料の例示的な厚さは約5ミル(0.005インチ)~約30ミル(0.030インチ)の範囲、例としては20ミル(0.020インチ)厚さである。
【0066】
キットの容器に関しては、以下の特許及び特許出願の開示が参照によりそれぞれ全体として本明細書に組み込まれる:「APPARATUS AND METHOD FOR MINIMIZING THE GENERATION OF PARTICLES IN ULTRAPURE LIQUIDS」と題する米国特許第7,188,644号;「RETURNABLE AND REUSABLE, BAG-IN-DRUM FLUID STORAGE AND DISPENSING CONTAINER SYSTEM」と題する米国特許第6,698,619号;及び2007年5月9日John E. Q. Hughes名義で出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR MATERIAL BLENDING AND DISTRIBUTION」と題する米国特許出願第60/916,966号、並びに2008年5月9日Advanced Technology Materials, Inc.の名義で出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR MATERIAL BLENDING AND DISTRIBUTION」と題する国際出願PCT/US08/63276。
【0067】
したがって、さらなる態様において、本発明はマイクロエレクトロニクスデバイスから窒化ケイ素を除去するのに適した成分をその中に有する1個又は複数の容器を含むキットを提供し、ここで前記キットの1個又は複数の容器は本明細書中に記載した成分(a)、(b)、及び(c)を含有する。
【0068】
本発明はそのある特定の実施形態の以下の実施例によりさらに例示することができるが、これらの実施例は単に実例の目的で挙げられており、特に断らない限り本発明の範囲を限定する意図はないことを理解されたい。
【実施例】
【0069】
一般手順:
表1及び表2に示す実験では、組成物成分を混合し、約130~250℃の温度に加熱し撹拌した。150℃を超える温度のある特定の実施例では、水が沸騰し、方法は沸点又はその付近で行う。窒化ケイ素ウエハを薄いHF(100:1)で20秒間清浄化した。TEOSウエハはそのまま用いた。楕円偏光計を用いて両方のウエハのベースラインの膜厚を測定した。TEOSウエハを加熱された溶液に約30分~2時間の時間浸し、同様に窒化ケイ素ウエハを約10分浸した。次いでウエハを約90℃の温度を有する水で9分間濯いだ後、室温の水で約20秒間濯いだ。乾燥窒素でウエハを乾燥させた後、楕円偏光計を用いてウエハのエッチング効率を測定した。
表1
*1番目の値(例えば30)はTEOSエッチング時間を、2番目の値(例えば10)はSiNエッチング時間を指し、3番目の値は存在する場合ポリシリコンエッチング時間を指す
PPAはフェニルホスホン酸
TMPSはトリメトキシフェニルシラン
APSはp-アミノフェニルトリメトキシシラン
TEAはトリエチルアミン
SiN(A) LPCVD SiN
SiN(B) PECVD SiN
TMASはテトラメチルアンモニウムシリケート
BAEAPTMOSはN-(2-N-ベンジルアミノエチル)-3- アミノプロピルトリメトキシシラン
DMOPSPEDAは3-(ジメトキシ(フェニル)シリル)プロピル)エタン-1,2-ジアミン
塩基性溶液:H
3PO
4