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特許7512385アライメント調整装置、及び電子デバイスの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】アライメント調整装置、及び電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/10 20060101AFI20240701BHJP
   H01S 3/02 20060101ALI20240701BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20240701BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
H01S3/10 Z
H01S3/02
H01S3/00 A
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022528378
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(86)【国際出願番号】 JP2020022347
(87)【国際公開番号】W WO2021245918
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】300073919
【氏名又は名称】ギガフォトン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105212
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 延寿
(72)【発明者】
【氏名】大賀 仁
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-016544(JP,A)
【文献】特開2002-164592(JP,A)
【文献】国際公開第2004/095661(WO,A1)
【文献】特開2010-118518(JP,A)
【文献】特開2012-175006(JP,A)
【文献】特開2012-199512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00 - 5/50
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を支持する第1の材質の第1のホルダと、
前記第1の材質と異なる第2の材質の第1の伸縮部を含み、前記第1の伸縮部を前記第1のホルダに接触させて前記第1の伸縮部の長さを調整することで、前記第1のホルダ及び前記光学素子を第1の軸の周りに回転させる第1の調整装置と、
前記第1の調整装置を支持する前記第2の材質の第1の支持部材と、
前記第1のホルダを前記第1の軸において支持するとともに前記第1の支持部材を前記第1の支持部材の第1の端部及び第2の端部の両方において支持する前記第1の材質の第2のホルダと、
を備え、
前記第1の調整装置は、前記第1の端部と前記第1の軸とを含む第1の平面に、前記第1の伸縮部と前記第1のホルダとが接触する位置を調整可能に構成され
前記第2の端部と前記第1の軸とを含む第2の平面が、前記第1の平面に垂直である、
アライメント調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアライメント調整装置であって、
前記第2の材質は、前記第1の材質よりも熱膨張係数が小さい、
アライメント調整装置。
【請求項3】
請求項1に記載のアライメント調整装置であって、
前記第1の材質は、前記第2の材質よりも比重が小さい、
アライメント調整装置。
【請求項4】
光学素子を支持する第1の材質の第1のホルダと、
前記第1の材質と異なる第2の材質の第1の伸縮部を含み、前記第1の伸縮部を前記第1のホルダに接触させて前記第1の伸縮部の長さを調整することで、前記第1のホルダ及び前記光学素子を第1の軸の周りに回転させる第1の調整装置と、
前記第1の調整装置を支持する前記第2の材質の第1の支持部材と、
前記第1のホルダを前記第1の軸において支持するとともに前記第1の支持部材を前記第1の支持部材の第1の端部において支持する前記第1の材質の第2のホルダと、
前記第2の材質の第2の伸縮部を含み、前記第2の伸縮部を前記第2のホルダに接触させて前記第2の伸縮部の長さを調整することで、前記第2のホルダ、前記第1のホルダ及び前記光学素子を前記第1の軸と異なる第2の軸の周りに回転させる第2の調整装置と、
前記第2の調整装置を支持する前記第2の材質の第2の支持部材と、
備え
前記第1の調整装置は、前記第1の端部と前記第1の軸とを含む第1の平面に、前記第1の伸縮部と前記第1のホルダとが接触する位置を調整可能に構成された、
アライメント調整装置。
【請求項5】
請求項に記載のアライメント調整装置であって、
前記第2の調整装置は、前記第2の支持部材の第3の端部と前記第2の軸とを含む第3の平面に、前記第2の伸縮部と前記第2のホルダとが接触する位置を調整可能に構成された
アライメント調整装置。
【請求項6】
請求項に記載のアライメント調整装置であって、
前記第2のホルダを前記第2の軸において支持するとともに前記第2の支持部材を前記第3の端部において支持する前記第1の材質の第3のホルダをさらに含む
アライメント調整装置。
【請求項7】
請求項に記載のアライメント調整装置であって、
前記第2の支持部材の第4の端部と前記第2の軸とを含む第4の平面が、前記第3の平面に垂直である
アライメント調整装置。
【請求項8】
請求項に記載のアライメント調整装置であって、
前記第2のホルダを前記第2の軸において支持するとともに前記第2の支持部材を前記第3の端部及び前記第4の端部の両方において支持する前記第1の材質の第3のホルダをさらに含む
アライメント調整装置。
【請求項9】
請求項に記載のアライメント調整装置であって、
前記第2の支持部材の第2の端部と前記第1の軸とを含む第2の平面が、前記第1の軸と前記第2の軸とを含む第5の平面に垂直である
アライメント調整装置。
【請求項10】
光学素子を支持する第1の材質の第1のホルダと、
前記第1の材質と異なる第2の材質の第1の伸縮部を含み、前記第1の伸縮部を前記第1のホルダに接触させて前記第1の伸縮部の長さを調整することで、前記第1のホルダ及び前記光学素子を第1の軸の周りに回転させる第1の調整装置と、
前記第1の調整装置を支持する前記第2の材質の第1の支持部材と、
前記第1のホルダを前記第1の軸において支持するとともに前記第1の支持部材を前記第1の支持部材の第1の端部において支持する前記第1の材質の第2のホルダと、
前記第2の材質の第2の伸縮部を含み、前記第2の伸縮部を前記第2のホルダに接触させて前記第2の伸縮部の長さを調整することで、前記第2のホルダ、前記第1のホルダ及び前記光学素子を前記第1の軸と交差する第2の軸の周りに回転させる第2の調整装置と、
前記第2の調整装置を支持する前記第2の材質の第2の支持部材と、
を備え、
前記第1の軸と前記第2の軸とを含む第5の平面に、前記第1の端部が位置する
アライメント調整装置。
【請求項11】
請求項10に記載のアライメント調整装置であって、
前記第1の端部と前記第1の軸とを含む第1の平面が、前記第1の伸縮部が伸長する方向に垂直である
アライメント調整装置。
【請求項12】
請求項10に記載のアライメント調整装置であって、
前記第2のホルダを前記第2の軸において支持するとともに前記第2の支持部材を前記第2の支持部材の第3の端部において支持する前記第1の材質の第3のホルダをさらに含む
アライメント調整装置。
【請求項13】
請求項12に記載のアライメント調整装置であって、
前記第2の伸縮部は、前記第5の平面において前記第2のホルダに接触する
アライメント調整装置。
【請求項14】
請求項13に記載のアライメント調整装置であって、
前記第3の端部と前記第2の軸とを含む第3の平面が、前記第2の伸縮部が伸長する方向に垂直である
アライメント調整装置。
【請求項15】
請求項10に記載のアライメント調整装置であって、
前記第1の支持部材の第2の端部と前記第1の軸とを含む第2の平面が、前記第1の端部と前記第1の軸とを含む第1の平面に垂直である
アライメント調整装置。
【請求項16】
請求項10に記載のアライメント調整装置であって、
前記第2の支持部材の第4の端部と前記第2の軸とを含む第4の平面が、前記第2の支持部材の第3の端部と前記第2の軸とを含む第3の平面に垂直である
アライメント調整装置。
【請求項17】
電子デバイスの製造方法であって、
光学素子を支持する第1の材質の第1のホルダと、
前記第1の材質と異なる第2の材質の第1の伸縮部を含み、前記第1の伸縮部を前記第1のホルダに接触させて前記第1の伸縮部の長さを調整することで、前記第1のホルダ及び前記光学素子を第1の軸の周りに回転させる第1の調整装置と、
前記第1の調整装置を支持する前記第2の材質の第1の支持部材と、
前記第1のホルダを前記第1の軸において支持するとともに前記第1の支持部材を前記第1の支持部材の第1の端部において支持する前記第1の材質の第2のホルダと、
前記第2の材質の第2の伸縮部を含み、前記第2の伸縮部を前記第2のホルダに接触させて前記第2の伸縮部の長さを調整することで、前記第2のホルダ、前記第1のホルダ及び前記光学素子を前記第1の軸と異なる第2の軸の周りに回転させる第2の調整装置と、
前記第2の調整装置を支持する前記第2の材質の第2の支持部材と、
を備え、
前記第1の調整装置は、前記第1の端部と前記第1の軸とを含む第1の平面に、前記第1の伸縮部と前記第1のホルダとが接触する位置を調整可能に構成された
アライメント調整装置
を備えるレーザ装置によってパルスレーザ光を生成し、
前記パルスレーザ光を露光装置に出力し、
電子デバイスを製造するために、前記露光装置内で感光基板上に前記パルスレーザ光を露光する
ことを含む電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アライメント調整装置、及び電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体露光装置においては、半導体集積回路の微細化及び高集積化につれて、解像力の向上が要請されている。このため、露光用光源から放出される光の短波長化が進められている。たとえば、露光用のガスレーザ装置としては、波長約248nmのレーザ光を出力するKrFエキシマレーザ装置、ならびに波長約193nmのレーザ光を出力するArFエキシマレーザ装置が用いられる。
【0003】
KrFエキシマレーザ装置及びArFエキシマレーザ装置の自然発振光のスペクトル線幅は、350~400pmと広い。そのため、KrF及びArFレーザ光のような紫外線を透過する材料で投影レンズを構成すると、色収差が発生してしまう場合がある。その結果、解像力が低下し得る。そこで、ガスレーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル線幅を、色収差が無視できる程度となるまで狭帯域化する必要がある。そのため、ガスレーザ装置のレーザ共振器内には、スペクトル線幅を狭帯域化するために、狭帯域化素子(エタロンやグレーティング等)を含む狭帯域化モジュール(Line Narrow Module:LNM)が備えられる場合がある。以下では、スペクトル線幅が狭帯域化されるガスレーザ装置を狭帯域化ガスレーザ装置という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第6973111号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/015790号明細書
【概要】
【0005】
本開示の1つの観点に係るアライメント調整装置は、光学素子を支持する第1の材質の第1のホルダと、第1の材質と異なる第2の材質の第1の伸縮部を含み、第1の伸縮部を第1のホルダに接触させて第1の伸縮部の長さを調整することで、第1のホルダ及び光学素子を第1の軸の周りに回転させる第1の調整装置と、第1の調整装置を支持する第2の材質の第1の支持部材と、を備え、第1の調整装置は、第1の支持部材の第1の端部と第1の軸とを含む第1の平面に、第1の伸縮部と第1のホルダとが接触する位置を調整可能に構成される。
【0006】
本開示の他の1つの観点に係るアライメント調整装置は、光学素子を支持する第1の材質の第1のホルダと、第1の材質と異なる第2の材質の第1の伸縮部を含み、第1の伸縮部を第1のホルダに接触させて第1の伸縮部の長さを調整することで、第1のホルダ及び光学素子を第1の軸の周りに回転させる第1の調整装置と、第1の調整装置を支持する第2の材質の第1の支持部材と、第1のホルダを第1の軸において支持するとともに第1の支持部材を第1の支持部材の第1の端部において支持する第1の材質の第2のホルダと、第2の材質の第2の伸縮部を含み、第2の伸縮部を第2のホルダに接触させて第2の伸縮部の長さを調整することで、第2のホルダ、第1のホルダ及び光学素子を第1の軸と交差する第2の軸の周りに回転させる第2の調整装置と、第2の調整装置を支持する第2の材質の第2の支持部材と、を備え、第1の軸と第2の軸とを含む第5の平面に、第1の端部が位置する。
【0007】
本開示の1つの観点に係る電子デバイスの製造方法は、光学素子を支持する第1の材質の第1のホルダと、第1の材質と異なる第2の材質の第1の伸縮部を含み、第1の伸縮部を第1のホルダに接触させて第1の伸縮部の長さを調整することで、第1のホルダ及び光学素子を第1の軸の周りに回転させる第1の調整装置と、第1の調整装置を支持する第2の材質の第1の支持部材と、を備え、第1の調整装置は、第1の支持部材の第1の端部と第1の軸とを含む第1の平面に、第1の伸縮部と第1のホルダとが接触する位置を調整可能に構成されたアライメント調整装置を備えるレーザ装置によってパルスレーザ光を生成し、パルスレーザ光を露光装置に出力し、電子デバイスを製造するために、露光装置内で感光基板上にパルスレーザ光を露光することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
図1図1は、比較例に係るレーザ装置の構成を模式的に示す。
図2A図2Aは、比較例に係るアライメント調整装置を模式的に示す。
図2B図2Bは、図2AのIIB-IIB線における断面図である。
図2C図2Cは、図2AのIIC-IIC線における断面図である。
図2D図2Dは、図2AのIID-IID線における断面図である。
図2E図2Eは、比較例において第2のホルダを回転させた場合の図2Bに相当する部分を示す断面図である。
図2F図2Fは、比較例において第1のホルダを回転させた場合の図2Dに相当する部分を示す断面図である。
図3A図3Aは、第1の実施形態に係るアライメント調整装置を模式的に示す。
図3B図3Bは、図3AのIIIB-IIIB線における断面図である。
図3C図3Cは、図3AのIIIC-IIIC線における断面図である。
図3D図3Dは、図3AのIIID-IIID線における断面図である。
図4A図4Aは、第2の実施形態に係るアライメント調整装置を模式的に示す。
図4B図4Bは、図4AのIVB-IVB線における断面図である。
図4C図4Cは、図4AのIVC-IVC線における断面図である。
図4D図4Dは、図4AのIVD-IVD線における断面図である。
図4E図4Eは、第1の実施形態において調整状態であるときの第2の伸縮部と第2の軸との位置関係を示す図である。
図4F図4Fは、第2の実施形態において調整状態であるときの第2の伸縮部と第2の軸との位置関係を示す図である。
図5図5は、レーザ装置に接続された露光装置の構成を概略的に示す。
【実施形態】
【0009】
<内容>
1.比較例
1.1 レーザ装置1の構成
1.1.1 マスターオシレータMO
1.1.2 第1のビームステアリングユニット76
1.1.3 増幅器PO
1.1.4 第2のビームステアリングユニット86
1.1.5 光学パルスストレッチャー89
1.2 レーザ装置1の動作
1.2.1 マスターオシレータMOの動作
1.2.2 増幅器POの動作
1.2.3 光学パルスストレッチャー89の動作
1.3 アライメント調整装置の構成
1.3.1 第1のホルダ11
1.3.2 第2のホルダ22
1.3.3 第3のホルダ33
1.3.4 第1の調整装置41及び第2の調整装置52
1.4 アライメント調整装置の動作
1.4.1 第1のホルダ11の回転
1.4.2 第2のホルダ22の回転
1.5 作用
1.6 比較例の課題
1.6.1 第1の伸縮部411と第2のホルダ22との関係
1.6.2 第2の伸縮部522と第3のホルダ33との関係
1.6.3 解決方法の検討
2.伸縮部と同じ材質の支持部材を含むアライメント調整装置
2.1 構成及び動作
2.1.1 第2のホルダ22a及び第1の支持部材21a
2.1.2 第3のホルダ33a及び第2の支持部材32a
2.2 他の構成例
2.3 作用
3.第2の平面P2が第1の平面P1に垂直であるアライメント調整装置
3.1 構成及び動作
3.1.1 第2のホルダ22b及び第1の支持部材21b
3.1.2 第3のホルダ33b及び第2の支持部材32b
3.2 他の構成例
3.3 作用
4.その他
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示のいくつかの例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
1.比較例
1.1 レーザ装置1の構成
図1は、比較例に係るレーザ装置1の構成を模式的に示す。比較例に係るレーザ装置1は、マスターオシレータMOと、第1のビームステアリングユニット76と、増幅器POと、第2のビームステアリングユニット86と、光学パルスストレッチャー89と、を含む。
【0012】
1.1.1 マスターオシレータMO
マスターオシレータMOは、レーザチャンバ70と、狭帯域化モジュール74と、出力結合ミラー75と、を含む。
【0013】
レーザチャンバ70は、狭帯域化モジュール74と出力結合ミラー75とで構成されたレーザ共振器の光路に配置されている。レーザチャンバ70には、2つのウインドウ701及び702が設けられている。レーザチャンバ70は、放電電極711及び712を収容している。放電電極711及び712は図示しないパルス電源に接続されている。レーザチャンバ70は、レーザ媒質としてのレーザガスを収容する。レーザガスは、例えば、アルゴンガスと、フッ素ガスと、ネオンガスとを含む。あるいは、レーザガスは、例えば、クリプトンガスと、フッ素ガスと、ネオンガスとを含む。
【0014】
狭帯域化モジュール74は、プリズム741及びグレーティング742などの波長選択素子を含む。出力結合ミラー75は、部分反射ミラーで構成されている。
【0015】
1.1.2 第1のビームステアリングユニット76
第1のビームステアリングユニット76は、高反射ミラー761及び762を含む。高反射ミラー761及び762はそれぞれアライメント調整装置766及び767に支持されている。
【0016】
1.1.3 増幅器PO
増幅器POは、レーザチャンバ80と、リアミラー84と、出力結合ミラー85と、を含む。レーザチャンバ80、出力結合ミラー85、及びレーザチャンバ80に付随するウインドウ801及び802、放電電極811及び812については、マスターオシレータMOにおいて対応する構成要素と同様である。
リアミラー84は、第1のビームステアリングユニット76を通過したパルスレーザ光の光路に配置されている。リアミラー84は、部分反射ミラーで構成されている。リアミラー84と出力結合ミラー85とでレーザ共振器が構成される。
【0017】
1.1.4 第2のビームステアリングユニット86
第2のビームステアリングユニット86は、高反射ミラー861及び862を含む。高反射ミラー861及び862はそれぞれアライメント調整装置866及び867に支持されている。
【0018】
1.1.5 光学パルスストレッチャー89
光学パルスストレッチャー89は、第2のビームステアリングユニット86を通過したパルスレーザ光の光路に配置されている。光学パルスストレッチャー89は、ビームスプリッタ895及び第1~第4の凹面ミラー891~894を含む。第1~第4の凹面ミラー891~894はそれぞれアライメント調整装置896~899に支持されている。
【0019】
1.2 レーザ装置1の動作
1.2.1 マスターオシレータMOの動作
マスターオシレータMOにおいて、図示しないパルス電源がパルス状の高電圧を生成し、この高電圧を放電電極711及び712の間に印加する。
放電電極711及び712の間に高電圧が印加されると、放電電極711及び712の間に放電が起こる。この放電のエネルギーにより、レーザチャンバ70内のレーザガスが励起されて高エネルギー準位に移行する。励起されたレーザガスが、その後、低エネルギー準位に移行するとき、そのエネルギー準位差に応じた波長の光を放出する。
【0020】
レーザチャンバ70内で発生した光は、ウインドウ701及び702を介してレーザチャンバ70の外部に出射する。ウインドウ701から出射した光は、プリズム741によってビーム幅を拡大させられて、グレーティング742に入射する。プリズム741からグレーティング742に入射した光は、グレーティング742の複数の溝によって反射されるとともに、光の波長に応じた方向に回折させられる。グレーティング742は、プリズム741からグレーティング742に入射する光の入射角と、所望波長の回折光の回折角とが一致するようにリトロー配置とされている。これにより、所望波長付近の光がプリズム741を介してレーザチャンバ70に戻される。
【0021】
出力結合ミラー75は、ウインドウ702から出射した光のうちの一部を透過させて出力し、他の一部を反射してレーザチャンバ70に戻す。
【0022】
このようにして、レーザチャンバ70から出射した光は、狭帯域化モジュール74と出力結合ミラー75との間で往復する。この光は、放電電極711及び712の間の放電空間を通過する度に増幅される。また、この光は、狭帯域化モジュール74で折り返される度に狭帯域化される。こうしてレーザ発振し狭帯域化された光が、出力結合ミラー75からパルスレーザ光として出力される。
【0023】
1.2.2 増幅器POの動作
出力結合ミラー75から出力されたパルスレーザ光は、第1のビームステアリングユニット76及びリアミラー84を介してレーザチャンバ80に入射する。
パルスレーザ光がレーザチャンバ80に入射するのと同期して、増幅器POにおいて、図示しないパルス電源がパルス状の高電圧を生成し、この高電圧が放電電極811及び812の間に印加される。
放電電極811及び812の間に高電圧が印加されると、放電電極811及び812の間に放電が起こる。この放電のエネルギーにより、レーザチャンバ80に入射したパルスレーザ光が増幅される。
【0024】
レーザチャンバ80内で増幅された光は、リアミラー84と出力結合ミラー85との間で往復する。この光は、放電電極811及び812の間の放電空間を通過する度に増幅される。こうして増幅された光が、出力結合ミラー85からパルスレーザ光として出力される。
【0025】
1.2.3 光学パルスストレッチャー89の動作
出力結合ミラー85から出力されたパルスレーザ光は、第2のビームステアリングユニット86を介して光学パルスストレッチャー89のビームスプリッタ895に図1における右方向に入射する。ビームスプリッタ895は、図1における右方向に入射したパルスレーザ光の一部を透過させてパルスレーザ光B1として出射し、他の一部を図1における下方向に反射する。反射されたパルスレーザ光は、第1~第4の凹面ミラー891~894によって順次反射され、ビームスプリッタ895に図1における下方向に入射する。
【0026】
第2のビームステアリングユニット86から入射したパルスレーザ光のビームスプリッタ895におけるビーム断面は、第1~第4の凹面ミラー891~894により、1:1の大きさでビームスプリッタ895に結像する。ビームスプリッタ895は、第4の凹面ミラー894から図1における下方向に入射したパルスレーザ光の一部を図1における右方向に反射してパルスレーザ光B2として出射する。パルスレーザ光B1とパルスレーザ光B2とはほぼ同軸である。
【0027】
パルスレーザ光B1とパルスレーザ光B2との間には、第1~第4の凹面ミラー891~894によって構成される遅延光路の光路長に応じた時間差が存在する。パルスレーザ光B1とパルスレーザ光B2とを空間的に重ねることにより、パルス幅が伸長されたパルスレーザ光を出射することができる。
【0028】
1.3 アライメント調整装置の構成
図2Aは、比較例に係るアライメント調整装置を模式的に示す。図2Aにおいて、横方向の軸をH軸とし、縦方向の軸をV軸とし、紙面に垂直な軸をZ軸とする。H軸、V軸、及びZ軸は互いに直交している。
図2Bは、図2AのIIB-IIB線における断面図であり、図2Cは、図2AのIIC-IIC線における断面図であり、図2Dは、図2AのIID-IID線における断面図である。
【0029】
アライメント調整装置は、光学素子を支持し、光学素子の姿勢を調整する装置である。以下の説明においては、光学素子の例としてミラー10を用いる。ミラー10の例として、図1を参照しながら説明した高反射ミラー761、762、861、及び862、第1~第4の凹面ミラー891~894などが挙げられる。
アライメント調整装置は、第1のホルダ11と、第2のホルダ22と、第3のホルダ33と、第1の調整装置41と、第2の調整装置52と、を含む。
【0030】
1.3.1 第1のホルダ11
第1のホルダ11は、ミラー10を取り囲んで、ミラー10に接触してミラー10を支持している。但し、第1のホルダ11は、ミラー10の+Z側の面である反射表面101を覆わないようになっている。
【0031】
1.3.2 第2のホルダ22
第2のホルダ22は、第1のホルダ11を取り囲んで、第1のホルダ11と間隔をあけて第1のホルダ11を支持している。第2のホルダ22は、ピン16及び17によって第1のホルダ11を支持しており、第1のホルダ11は、ピン16及び17によって規定される第1の軸AX1の周りに回転可能となっている。第1の軸AX1は、ピン16及び17のそれぞれの中心を結ぶ直線である。
【0032】
第2のホルダ22は、ミラー10の反射表面101を覆わないようになっている。また、第2のホルダ22は開口25を有している。第2のホルダ22が開口25を有する理由は以下の通りである。ミラー10の反射表面101に入射する光のうちのほとんどの光はミラー10によって反射されるが、一部の光はミラー10を透過する。ミラー10を透過した光が第2のホルダ22に入射すると第2のホルダ22の温度が上昇し、第2のホルダ22が熱膨張することによりミラー10の姿勢が意図せずに変動することがある。ミラー10を透過した光を通過させるように開口25を設けることにより、第2のホルダ22の熱膨張を抑制し得る。また開口25を介して、ミラー10の反射表面101と反対側である裏面側にミラー10の熱を放熱させることもできる。第2のホルダ22だけでなく第1のホルダ11においても、ミラー10の裏面側の位置に、ミラー10の直径より小さい図示しない開口が設けられてもよい。
【0033】
1.3.3 第3のホルダ33
第3のホルダ33は、第2のホルダ22を取り囲んで、第2のホルダ22と間隔をあけて第2のホルダ22を支持している。第3のホルダ33は、ピン26及び27によって第2のホルダ22を支持しており、第2のホルダ22は、ピン26及び27によって規定される第2の軸AX2の周りに回転可能となっている。第2の軸AX2は、ピン26及び27のそれぞれの中心を結ぶ直線であり、第2の軸AX2はH軸と平行である。第1の軸AX1と第2の軸AX2とは、ミラー10の反射表面101のほぼ中心の位置で直交している。以下の説明において、第1の軸AX1と第2の軸AX2とを含む平面を第5の平面P5という。
【0034】
第3のホルダ33は、ミラー10の反射表面101を覆わないようになっている。また、第3のホルダ33は開口35を有している。第3のホルダ33が開口35を有する理由は開口25に関して説明したのと同様である。第1、第2、及び第3のホルダ11、22、及び33は、例えば、アルミニウムで構成される。アルミニウムは、本開示における第1の材質に相当する。
【0035】
1.3.4 第1の調整装置41及び第2の調整装置52
第1の調整装置41は、第2のホルダ22に支持されている。第1の調整装置41は、駆動部410と第1の伸縮部411とを含む。駆動部410は第2のホルダ22の-Z側の面228に固定されている。第1の伸縮部411は棒状の部材であり、第2のホルダ22を貫通している。第1の伸縮部411の端部419は駆動部410の外に位置し、第1の伸縮部411の図示しない反対側の端部は駆動部410に収容されている。駆動部410が第1の伸縮部411の一部を出し入れすることにより、第1の伸縮部411のうちの駆動部410の外に位置する部分の長さが伸縮するようになっている。以下の説明において、第1の伸縮部411のうちの駆動部410の外に位置する部分の長さが伸縮することを、「第1の伸縮部411が伸縮する」ということがある。伸縮とは伸長及び収縮を含む。第1の伸縮部411が伸長するX方向は、第5の平面P5に垂直である。
【0036】
第1の伸縮部411の端部419は、第1の軸AX1よりも+H側の位置で、第1のホルダ11に接触している。
第1のホルダ11と第2のホルダ22との間において、第1の伸縮部411の近傍に、バネ45が伸長された状態で配置されている。あるいは、第1のホルダ11と第2のホルダ22との間において、第1の軸AX1よりも-H側の位置に、図示しないバネが圧縮された状態で配置されていてもよい。あるいは、第1のホルダ11の+Z側の面に、図示しないバネが配置されていてもよい。
【0037】
第2の調整装置52は、第3のホルダ33に支持されている。第2の調整装置52は、駆動部520と第2の伸縮部522とを含む。駆動部520は第3のホルダ33の-Z側の面338に固定されている。第2の伸縮部522は棒状の部材であり、第3のホルダ33を貫通している。第2の伸縮部522の端部529は駆動部520の外に位置し、第2の伸縮部522の図示しない反対側の端部は駆動部520に収容されている。駆動部520が第2の伸縮部522の一部を出し入れすることにより、第2の伸縮部522のうちの駆動部520の外に位置する部分の長さが伸縮するようになっている。以下の説明において、第2の伸縮部522のうちの駆動部520の外に位置する部分の長さが伸縮することを、「第2の伸縮部522が伸縮する」ということがある。第2の伸縮部522が伸長する方向は+Z方向である。
【0038】
第2の伸縮部522の端部529は、第2の軸AX2よりも+V側の位置で、第2のホルダ22に接触している。第2の伸縮部522の端部529は、第5の平面P5に位置している。
第2のホルダ22と第3のホルダ33との間において、第2の伸縮部522の近傍に、バネ55が伸長された状態で配置されている。あるいは、第2のホルダ22と第3のホルダ33との間において、第2の軸AX2よりも-V側の位置に、図示しないバネが圧縮された状態で配置されていてもよい。あるいは、第2のホルダ22の+Z側の面に、図示しないバネが配置されていてもよい。
【0039】
第1の調整装置41及び第2の調整装置52の各々は、例えばマイクロメータで構成される。
第1の伸縮部411及び第2の伸縮部522は、例えば、ステンレス鋼(SUS)で構成される。ステンレス鋼は、本開示における第2の材質に相当する。ステンレス鋼などの第2の材質は、アルミニウムなどの第1の材質よりも熱膨張係数が小さい。アルミニウムなどの第1の材質は、ステンレス鋼などの第2の材質よりも比重が小さい。
【0040】
1.4 アライメント調整装置の動作
図2Eは、比較例において第2のホルダ22を回転させた場合の図2Bに相当する部分を示す断面図である。図2Fは、比較例において第1のホルダ11を回転させた場合の図2Dに相当する部分を示す断面図である。
1.4.1 第1のホルダ11の回転
駆動部410によって第1の伸縮部411が伸長すると、第1のホルダ11の一部が第1の伸縮部411によって押されることにより、第1のホルダ11が第2のホルダ22に対して第1の軸AX1の周りに回転する。
【0041】
駆動部410によって第1の伸縮部411が収縮すると、第1のホルダ11の一部がバネ45によって引っ張られることにより、第1のホルダ11が第2のホルダ22に対して第1の軸AX1の周りに回転する(図2F参照)。第1のホルダ11の回転は、第1の伸縮部411が伸長したときと収縮したときとで逆の回転となる。
【0042】
このように、第1の伸縮部411を第1のホルダ11に接触させて第1の伸縮部411の長さを調整することで、第1のホルダ11及びミラー10が第1の軸AX1の周りに回転する。
【0043】
図2Dに示されるように、第1の伸縮部411の端部419が第5の平面P5に位置している状態を、以下の説明において「未調整状態」ということがある。
図2Fに示されるように、第1の伸縮部411の伸縮によって、第1の伸縮部411の端部419が第5の平面P5以外に位置している状態を、以下の説明において「調整状態」ということがある。
【0044】
1.4.2 第2のホルダ22の回転
駆動部520によって第2の伸縮部522が伸長すると、第2のホルダ22の一部が第2の伸縮部522によって押されることにより、第2のホルダ22が第3のホルダ33に対して第2の軸AX2の周りに回転する。
【0045】
駆動部520によって第2の伸縮部522が収縮すると、第2のホルダ22の一部がバネ55によって引っ張られることにより、第2のホルダ22が第3のホルダ33に対して第2の軸AX2の周りに回転する(図2E参照)。第2のホルダ22の回転は、第2の伸縮部522が伸長したときと収縮したときとで逆の回転となる。第2のホルダ22が第2の軸AX2の周りに回転すると、第1の軸AX1も第2の軸AX2の周りに回転し、第5の平面P5も傾く。
【0046】
このように、第2の伸縮部522を第2のホルダ22に接触させて第2の伸縮部522の長さを調整することで、第2のホルダ22、第1の調整装置41、第1のホルダ11、及びミラー10が第2の軸AX2の周りに回転する。
【0047】
図2Cに示されるように、第2の伸縮部522が伸長する+Z方向に対して第5の平面P5が垂直である状態を、以下の説明において「未調整状態」ということがある。第2の伸縮部522が未調整状態であるときの第1の軸AX1は、V軸と平行である。
図2Eに示されるように、第2の伸縮部522の伸縮によって、第2の伸縮部522が伸長する+Z方向に対して第5の平面P5が傾いている状態を、以下の説明において「調整状態」ということがある。
【0048】
1.5 作用
以上のようにして第1のホルダ11が第2のホルダ22に対して第1の軸AX1の周りに回転し、第2のホルダ22が第3のホルダ33に対して第2の軸AX2の周りに回転できるようになっている。これにより、互いに直交する2つの軸の周りにミラー10を回転させてその姿勢を調整することができ、それらの軸の周りの回転角度を独立に調整することができる。
【0049】
第1の伸縮部411及び第2の伸縮部522は、それぞれ第1のホルダ11及び第2のホルダ22に接触するだけでなく、それぞれ第1のホルダ11及び第2のホルダ22に引っ掛けられるように構成されてもよい。その場合、第1の伸縮部411及び第2の伸縮部522が収縮するときに、それぞれに引っ張られることによって第1のホルダ11及び第2のホルダ22が回転してもよく、バネ45及び55は設けられなくてもよい。
【0050】
1.6 比較例の課題
1.6.1 第1の伸縮部411と第2のホルダ22との関係
上述のように、第1の調整装置41の駆動部410は第2のホルダ22に固定され、未調整状態において第1の伸縮部411の端部419と第1のホルダ11とが接触する位置は、第5の平面P5に一致している。
【0051】
ここで、第2のホルダ22及び第1の伸縮部411の熱膨張係数が異なる場合、以下の問題がある。駆動部410が固定された第2のホルダ22の-Z側の面228から第5の平面P5までのZ方向の距離は、第2のホルダ22の熱膨張係数及び温度に依存する。面228から第1の伸縮部411の端部419までのZ方向の距離は、第1の伸縮部411の熱膨張係数及び温度に依存する。第2のホルダ22と第1の伸縮部411とを含むアライメント調整装置の温度がパルスレーザ光のエネルギーにより変化すると、第5の平面P5と第1の伸縮部411の端部419との位置関係が、駆動部410による調節とは別に変化してしまう。従って、ミラー10の姿勢が変化してしまう。
【0052】
また、第2のホルダ22及び第1の伸縮部411の熱伝導率の違い、又は比熱の違いなどの要因で第2のホルダ22と第1の伸縮部411とに温度差が生じた場合も、第5の平面P5と第1の伸縮部411の端部419との位置関係が変化してしまう。
【0053】
1.6.2 第2の伸縮部522と第3のホルダ33との関係
上述のように、第2の調整装置52の駆動部520は第3のホルダ33に固定され、第2の伸縮部522の端部529は第5の平面P5において第2のホルダ22に接触している。未調整状態における第5の平面P5は、第2の伸縮部522が伸長する+Z方向に対して垂直となっている。
【0054】
ここで、第3のホルダ33及び第2の伸縮部522の熱膨張係数が異なる場合、上述と同様の問題がある。すなわち、アライメント調整装置の温度がパルスレーザ光のエネルギーにより変化すると、第2の伸縮部522が伸長する+Z方向に対する第5の平面P5の傾きが、駆動部520による調節とは別に変化してしまう。従って、ミラー10の姿勢が変化してしまう。
【0055】
また、第3のホルダ33と第2の伸縮部522の熱伝導率の違い、比熱の違いなどの要因で第3のホルダ33と第2の伸縮部522とに温度差が生じた場合も、第2の伸縮部522が伸長する+Z方向に対する第5の平面P5の傾きが変化してしまう。
【0056】
1.6.3 解決方法の検討
第2のホルダ22及び第3のホルダ33を第1の伸縮部411及び第2の伸縮部522と同じ第2の材質で構成すれば、これらの部材間で熱膨張係数、熱伝導率、及び比熱が同じになるので上記の問題は軽減される。しかし、第2の材質の比重が大きい場合には第2のホルダ22などが重くなり、高速な姿勢制御が困難になり得る。
【0057】
以下に説明する幾つかの実施形態においては、第1の調整装置41を支持する第1の支持部材21a又は21bを第2のホルダ22a又は22bに配置し、第1の支持部材21a又は21bと第1の伸縮部411とを同じ材質で構成している。さらに、第2の調整装置52を支持する第2の支持部材32a又は32bを第3のホルダ33a又は33bに配置し、第2の支持部材32a又は32bと第2の伸縮部522とを同じ材質で構成している。
【0058】
2.伸縮部と同じ材質の支持部材を含むアライメント調整装置
2.1 構成及び動作
図3Aは、第1の実施形態に係るアライメント調整装置を模式的に示す。図3Bは、図3AのIIIB-IIIB線における断面図であり、図3Cは、図3AのIIIC-IIIC線における断面図であり、図3Dは、図3AのIIID-IIID線における断面図である。
【0059】
2.1.1 第2のホルダ22a及び第1の支持部材21a
第1の実施形態に係るアライメント調整装置は、比較例における第2のホルダ22の代わりに、第2のホルダ22a及び第1の支持部材21aを含む。第2のホルダ22aと第1の支持部材21aとを組み合わせた形状が、比較例における第2のホルダ22の形状にほぼ相当する。
【0060】
第2のホルダ22aは、第1のホルダ11を第1の軸AX1において支持するほかに、第1の支持部材21aを第1の支持部材21aの+Z側の第1の端部211において支持している。第2のホルダ22aは、例えばアルミニウムなどの第1の材質で構成されている。第1の支持部材21aは、第1の端部211を貫通する図示しないボルトによって第2のホルダ22aに固定される。
【0061】
第1の支持部材21aは、第1の調整装置41を支持している。第1の調整装置41に含まれる駆動部410は、第1の支持部材21aの-Z側の面218に固定されている。
第1の支持部材21aの第1の端部211は、第5の平面P5に位置する。これにより、第1の端部211と第1の軸AX1とを含む第1の平面P1は、第5の平面P5と一致する。第1の平面P1は、第1の伸縮部411が伸長するX方向に垂直である。
【0062】
未調整状態における第1の伸縮部411の端部419は、第5の平面P5に位置するだけでなく、第1の平面P1にも位置する。従って、駆動部410が固定された第1の支持部材21aの-Z側の面218から未調整状態における第1の伸縮部411の端部419までのZ方向の距離と、面218から第1の支持部材21aの第1の端部211までのZ方向の距離とが、ほぼ等しくなっている。
【0063】
第1の支持部材21aは、第1の伸縮部411と同じ第2の材質で構成されており、例えばステンレス鋼で構成されている。これによれば、第1の支持部材21aと第1の伸縮部411とが温度変化しても、第1の支持部材21aのZ方向の長さと第1の伸縮部411のZ方向の長さとがほぼ同じだけ変化する。従って、未調整状態における第1の伸縮部411の端部419と、第5の平面P5との位置関係が安定化し得る。
【0064】
ここでは、未調整状態において第1の伸縮部411と第1のホルダ11とが接触する端部419の位置が、第1の平面P1に一致する場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。第1の伸縮部411と第1のホルダ11とが接触する端部419の位置が第1の平面P1に調整可能であればよい。調整可能であるとは、第1の伸縮部411と第1のホルダ11とが接触する端部419の位置の可動範囲内に、第1の平面P1の一部が含まれていることをいう。
【0065】
2.1.2 第3のホルダ33a及び第2の支持部材32a
第1の実施形態に係るアライメント調整装置は、比較例における第3のホルダ33の代わりに、第3のホルダ33a及び第2の支持部材32aを含む。第3のホルダ33aと第2の支持部材32aとを組み合わせた形状が、比較例における第3のホルダ33の形状にほぼ相当する。
【0066】
第3のホルダ33aは、第2のホルダ22aを第2の軸AX2において支持するほかに、第2の支持部材32aを第2の支持部材32aの+Z側の第3の端部323(図3C参照)において支持している。第3のホルダ33aは、例えばアルミニウムなどの第1の材質で構成されている。第2の支持部材32aは、第3の端部323を貫通するボルト326によって第3のホルダ33aに固定される。
【0067】
第2の支持部材32aは、第2の調整装置52を支持している。第2の調整装置52に含まれる駆動部520は、第2の支持部材32aの-Z側の面328に固定されている。第2の支持部材32aの第3の端部323と第2の軸AX2とを含む第3の平面P3は、第2の伸縮部522が伸長する+Z方向に垂直である。
第3の端部323は、未調整状態における第5の平面P5に位置する。すなわち、第3の平面P3は未調整状態における第5の平面P5と一致する。
【0068】
上述のように、第2の伸縮部522の端部529は、第5の平面P5に位置する。すなわち、第2の伸縮部522は、第5の平面P5において第2のホルダ22aに接触する。
また、未調整状態において第2の伸縮部522の端部529と第2のホルダ22aとが接触する位置は、第3の平面P3に一致している。従って、駆動部520を固定した第2の支持部材32aの-Z側の面328から未調整状態における第2の伸縮部522の端部529までのZ方向の距離と、面328から第2の支持部材32aの第3の端部323までのZ方向の距離とが、ほぼ等しくなっている。
【0069】
第2の支持部材32aは、第2の伸縮部522と同じ第2の材質で構成されており、例えばステンレス鋼で構成されている。これによれば、第2の伸縮部522と第2の支持部材32aとが温度変化しても、第2の伸縮部522のZ方向の長さと第2の支持部材32aのZ方向の長さとがほぼ同じだけ変化する。従って、第2の伸縮部522が伸長する+Z方向に対する第5の平面P5の傾きが安定化し得る。
【0070】
ここでは、未調整状態において第2の伸縮部522と第2のホルダ22aとが接触する端部529の位置が、第3の平面P3に一致する場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。第2の伸縮部522と第2のホルダ22aとが接触する端部529の位置が第3の平面P3に調整可能であればよい。調整可能であるとは、第2の伸縮部522と第2のホルダ22aとが接触する端部529の位置の可動範囲内に、第3の平面P3の一部が含まれていることをいう。
【0071】
2.2 他の構成例
第1の実施形態においては、互いに直交する2軸でミラー10の姿勢を調節しているが、本開示はこれに限定されない。回転軸は第1の軸AX1だけでもよく、第3のホルダ33a、第2の支持部材32a、及び第2の調整装置52は設けられなくてもよい。
【0072】
2.3 作用
第1の実施形態によれば、アライメント調整装置は、第1のホルダ11と、第1の調整装置41と、第1の支持部材21aと、を含む。第1のホルダ11は、アルミニウムなどの第1の材質で構成されており、ミラー10を支持する。第1の調整装置41は、第1の材質と異なるステンレス鋼などの第2の材質で構成された第1の伸縮部411を含む。第1の調整装置41は、第1の伸縮部411を第1のホルダ11に接触させて第1の伸縮部411の長さを調整することで、第1のホルダ11及びミラー10を第1の軸AX1の周りに回転させる。第1の支持部材21aは、第2の材質で構成されており、第1の調整装置41を支持する。
第1の調整装置41は、第1の支持部材21aの第1の端部211と第1の軸AX1とを含む第1の平面P1に、第1の伸縮部411と第1のホルダ11とが接触する位置を調整可能に構成されている。
【0073】
これによれば、第1の支持部材21aの-Z側の面218から第1の端部211までのZ方向の距離と、面218から第1の伸縮部411と第1のホルダ11とが接触する端部419までのZ方向の距離とが、等しくなるように調整することができる。第1の支持部材21aと第1の伸縮部411とはいずれも第2の材質で構成され、熱膨張係数が同じであるため、第1の支持部材21aと第1の伸縮部411とが温度変化しても、第1の支持部材21aのZ方向の長さと第1の伸縮部411のZ方向の長さとがほぼ同じだけ変化する。従って、第1の伸縮部411の端部419と第5の平面P5との位置関係が駆動部410による調節とは別に変化してしまうことが抑制される。また、第1の支持部材21aと第1の伸縮部411とは熱伝導率及び比熱が同じであるため、第1の支持部材21aと第1の伸縮部411との温度差が抑制される。従って、第1の伸縮部411の端部419と第5の平面P5との位置関係の変化が抑制される。
【0074】
第1の実施形態によれば、アライメント調整装置は、第1のホルダ11を第1の軸AX1において支持するとともに第1の支持部材21aを第1の端部211において支持する第1の材質の第2のホルダ22aをさらに含む。
これによれば、第1のホルダ11を第1の軸AX1において支持することと、第1の調整装置41を支持する第1の支持部材21aを第1の端部211において支持することとが、共通の第2のホルダ22aによってなされる。従って、ミラー10の姿勢がより安定化し得る。
【0075】
第1の実施形態によれば、第2の材質は、第1の材質よりも熱膨張係数が小さい。
これによれば、第1の伸縮部411及び第1の支持部材21aは、熱膨張係数が小さい材質で構成され、第1のホルダ11の姿勢がより安定化し得る。
【0076】
第1の実施形態によれば、第1の材質は、第2の材質よりも比重が小さい。
これによれば、第1のホルダ11が、あるいは第1のホルダ11及び第2のホルダ22aの両方が、比重が小さい材質で構成され、高速な姿勢制御が可能になり得る。
【0077】
第1の実施形態によれば、アライメント調整装置は、第2の調整装置52と、第2の支持部材32aと、をさらに含む。第2の調整装置52は、第2の材質の第2の伸縮部522を含み、第2の伸縮部522を第2のホルダ22aに接触させて第2の伸縮部522の長さを調整することで、第2のホルダ22a、第1のホルダ11及びミラー10を第1の軸AX1と異なる第2の軸AX2の周りに回転させる。第2の支持部材32aは、第2の材質で構成されており、第2の調整装置52を支持する。
これによれば、第1の軸AX1に加えて第2の軸AX2においてもミラー10の姿勢を調整可能となる。
【0078】
第1の実施形態によれば、第2の調整装置52は、第2の支持部材32aの第3の端部323と第2の軸AX2とを含む第3の平面P3に、第2の伸縮部522と第2のホルダ22aとが接触する位置を調整可能に構成されている。
これによれば、第2の支持部材32aの-Z側の面328から第3の端部323までのZ方向の距離と、面328から第2の伸縮部522と第2のホルダ22aとが接触する端部529までのZ方向の距離とが、等しくなるように調整することができる。第2の支持部材32aと第2の伸縮部522とはいずれも第2の材質で構成され、熱膨張係数が同じであるため、第2の支持部材32aと第2の伸縮部522とが温度変化しても、第2の支持部材32aのZ方向の長さと第2の伸縮部522のZ方向の長さとがほぼ同じだけ変化する。従って、第2の伸縮部522が伸長する+Z方向に対する第5の平面P5の傾きが駆動部520による調節とは別に変化してしまうことが抑制される。また、第2の支持部材32aと第2の伸縮部522とは熱伝導率及び比熱が同じであるため、第2の支持部材32aと第2の伸縮部522との温度差が抑制される。従って、第2の伸縮部522が伸長する+Z方向に対する第5の平面P5の傾きの変化が抑制される。
【0079】
第1の実施形態によれば、アライメント調整装置は、第2のホルダ22aを第2の軸AX2において支持するとともに第2の支持部材32aを第3の端部323において支持する第1の材質の第3のホルダ33aをさらに含む。
これによれば、第2のホルダ22aを第2の軸AX2において支持することと、第2の調整装置52を支持する第2の支持部材32aを第3の端部323において支持することとが、共通の第3のホルダ33aによってなされる。従って、ミラー10の姿勢がより安定化し得る。
【0080】
第1の実施形態によれば、第1の軸AX1と第2の軸AX2とは交差しており、第1の軸AX1と第2の軸AX2とを含む第5の平面P5に、第1の支持部材21aの第1の端部211が位置する。
これによれば、第1及び第2の軸AX1及びAX2で規定される第5の平面P5を基準として第1の支持部材21aを配置するので、ミラー10の姿勢が安定化し得る。
【0081】
第1の実施形態によれば、第1の端部211と第1の軸AX1とを含む第1の平面P1が、第1の伸縮部411が伸長するX方向に垂直である。
これによれば、第1の伸縮部411と第1のホルダ11とが接触する端部419が第1の平面P1に位置するときに、第1のホルダ11を回転させる力を効率的に作用させることができる。
【0082】
第1の実施形態によれば、第2の伸縮部522は、第5の平面P5において第2のホルダ22aに接触する。
これによれば、第1及び第2の軸AX1及びAX2で規定される第5の平面P5を基準として第2のホルダ22aの姿勢を調整するので、ミラー10の姿勢が安定化し得る。
【0083】
第1の実施形態によれば、第2の支持部材32aの第3の端部323と第2の軸AX2とを含む第3の平面P3が、第2の伸縮部522が伸長する+Z方向に垂直である。
これによれば、第2の伸縮部522と第2のホルダ22aとが接触する端部529が第3の平面P3に位置するときに、第2のホルダ22aを回転させる力を効率的に作用させることができる。
その他の点については、第1の実施形態は比較例と同様である。
【0084】
3.第2の平面P2が第1の平面P1に垂直であるアライメント調整装置
3.1 構成及び動作
図4Aは、第2の実施形態に係るアライメント調整装置を模式的に示す。図4Bは、図4AのIVB-IVB線における断面図であり、図4Cは、図4AのIVC-IVC線における断面図であり、図4Dは、図4AのIVD-IVD線における断面図である。
【0085】
3.1.1 第2のホルダ22b及び第1の支持部材21b
第2の実施形態に係るアライメント調整装置は、第1の実施形態における第2のホルダ22a及び第1の支持部材21aの代わりに、第2のホルダ22b及び第1の支持部材21bを含む。第2のホルダ22bと第1の支持部材21bとを組み合わせた形状が、第1の実施形態における第2のホルダ22a及び第1の支持部材21aを組み合わせた形状にほぼ相当する。
【0086】
第2のホルダ22bは、第1のホルダ11を第1の軸AX1において支持するほかに、第1の支持部材21bを第1の支持部材21bの+Z側の第1の端部211と第1の支持部材21bの-H側の第2の端部212とにおいて支持している。第1の支持部材21bは、第1の端部211を貫通する図示しないボルト及び第2の端部212を貫通する図示しないボルトによって第2のホルダ22bに固定される。
【0087】
第2の端部212と第1の軸AX1とを含む第2の平面P2は、第1の支持部材21bの第1の端部211と第1の軸AX1とを含む第1の平面P1に垂直である。第2の平面P2は、第1の軸AX1と第2の軸AX2とを含む第5の平面P5にも垂直である。
【0088】
3.1.2 第3のホルダ33b及び第2の支持部材32b
第2の実施形態に係るアライメント調整装置は、第1の実施形態における第3のホルダ33a及び第2の支持部材32aの代わりに、第3のホルダ33b及び第2の支持部材32bを含む。第3のホルダ33bと第2の支持部材32bとを組み合わせた形状が、第1の実施形態における第3のホルダ33a及び第2の支持部材32aを組み合わせた形状にほぼ相当する。
【0089】
第3のホルダ33bは、第2のホルダ22bを第2の軸AX2において支持するほかに、第2の支持部材32bを第2の支持部材32bの+Z側の第3の端部323と第2の支持部材32bの-V側の第4の端部324とにおいて支持している。第2の支持部材32bは、第3の端部323を貫通するボルト326及び第4の端部324を貫通するボルト327によって第3のホルダ33bに固定される。
【0090】
第4の端部324と第2の軸AX2とを含む第4の平面P4は、第2の支持部材32bの第3の端部323と第2の軸AX2とを含む第3の平面P3に垂直である。
【0091】
3.2 他の構成例
第2の実施形態においては、互いに直交する2軸でミラー10の姿勢を調節しているが、本開示はこれに限定されない。回転軸は第1の軸AX1だけでもよく、第3のホルダ33b、第2の支持部材32b、及び第2の調整装置52は設けられなくてもよい。
【0092】
3.3 作用
図4Eは、第1の実施形態において調整状態であるときの第2の伸縮部522と第2の軸AX2との位置関係を示す図である。
第2の伸縮部522の端部529が第3の平面P3に位置する未調整状態に対して、端部529が第3の平面P3から距離Z1ずれた調整状態におけるミラー10の傾斜をθ1とする。第2の軸AX2から第2の伸縮部522までのV方向の距離をL1とする。
【0093】
ここで、駆動部520による第2の伸縮部522の調整状態はそのままで、第3のホルダ33aと第2の支持部材32aと第2の伸縮部522とを含むアライメント調整装置の温度が上昇した場合を考える。第2の軸AX2から第2の伸縮部522までのV方向の距離L2は、距離L1に対し、第3のホルダ33aを構成する第1の材質の熱膨張係数αhに従って増加した値となる。一方、端部529と第3の平面P3との距離Z2は、距離Z1に対し、第2の支持部材32aと第2の伸縮部522とを構成する第2の材質の熱膨張係数αmに従って増加した値となる。第2の材質が第1の材質よりも熱膨張係数が小さい場合、ミラー10の傾斜はθ1よりもわずかに小さいθ2となる。
【0094】
第2の伸縮部522が未調整状態であれば、端部529が第3の平面P3に位置し、θ1もθ2も0であるので、第1の実施形態においてアライメント調整装置の温度が変化してもミラー10の傾斜はほとんど変化しない。しかし、図4Eに示される調整状態で温度が変化するとミラー10の傾斜が変化し得る。
【0095】
図4Fは、第2の実施形態において調整状態であるときの第2の伸縮部522と第2の軸AX2との位置関係を示す図である。
図4Eの場合と同様に、駆動部520による第2の伸縮部522の調整状態はそのままでアライメント調整装置の温度が上昇した場合を考える。第2の実施形態において、第2の軸AX2から第2の伸縮部522までのV方向の距離L3は、距離L1に対し、第2の支持部材32bを構成する第2の材質の熱膨張係数αmに従って増加した値となる。一方、端部529と第3の平面P3との距離Z2は、距離Z1に対し、第2の支持部材32bと第2の伸縮部522とを構成する第2の材質の熱膨張係数αmに従って増加した値となる。この場合、アライメント調整装置の温度が上昇しても、ミラー10の傾斜はほぼθ1のままとなる。
【0096】
ここでは第2の軸AX2及び第2の伸縮部522の位置関係について説明したが、第1の軸AX1及び第1の伸縮部411の位置関係についても同様である。
【0097】
第2の実施形態によれば、第1の支持部材21bの第2の端部212と第1の軸AX1とを含む第2の平面P2が、第1の支持部材21bの第1の端部211と第1の軸AX1とを含む第1の平面P1に垂直である。
これによれば、第1の伸縮部411の端部419が第5の平面P5以外に位置する調整状態において、第1の支持部材21bと第1の伸縮部411とを含むアライメント調整装置の温度が変化してもミラー10の姿勢の変化が抑制され得る。
【0098】
第2の実施形態によれば、アライメント調整装置は、第1のホルダ11を第1の軸AX1において支持するとともに第1の支持部材21bを第1の端部211及び第2の端部212の両方において支持する第1の材質の第2のホルダ22bをさらに含む。
これによれば、第1のホルダ11を第1の軸AX1において支持することと、第1の調整装置41を支持する第1の支持部材21bを第1の端部211及び第2の端部212の両方において支持することとが、共通の第2のホルダ22bによってなされる。従って、ミラー10の姿勢がより安定化し得る。
【0099】
第2の実施形態によれば、第2の支持部材32bの第4の端部324と第2の軸AX2とを含む第4の平面P4が、第2の支持部材32bの第3の端部323と第2の軸AX2とを含む第3の平面P3に垂直である。
これによれば、第2の伸縮部522の端部529が第3の平面P3以外に位置する調整状態において、第2の支持部材32bと第2の伸縮部522とを含むアライメント調整装置の温度が変化してもミラー10の姿勢の変化が抑制され得る。
【0100】
第2の実施形態によれば、アライメント調整装置は、第2のホルダ22bを第2の軸AX2において支持するとともに第2の支持部材32bを第3の端部323及び第4の端部324の両方において支持する第1の材質の第3のホルダ33bをさらに含む。
これによれば、第2のホルダ22bを第2の軸AX2において支持することと、第2の調整装置52を支持する第2の支持部材32bを第3の端部323及び第4の端部324の両方において支持することとが、共通の第3のホルダ33bによってなされる。従って、ミラー10の姿勢がより安定化し得る。
【0101】
第2の実施形態によれば、第1の支持部材21bの第2の端部212と第1の軸AX1とを含む第2の平面P2が、第1の軸AX1と第2の軸AX2とを含む第5の平面P5に垂直である。
これによれば、第1の伸縮部411の端部419が第5の平面P5以外に位置する調整状態において、第1の支持部材21bと第1の伸縮部411とを含むアライメント調整装置の温度が変化してもミラー10の姿勢の変化が抑制され得る。
その他の点については、第2の実施形態は第1の実施形態と同様である。
【0102】
4.その他
図5は、レーザ装置1に接続された露光装置600の構成を概略的に示す。レーザ装置1はパルスレーザ光を生成して露光装置600に出力する。
図5において、露光装置600は、照明光学系601と投影光学系602とを含む。照明光学系601は、レーザ装置1から入射したパルスレーザ光によって、レチクルステージRT上に配置された図示しないレチクルのレチクルパターンを照明する。投影光学系602は、レチクルを透過したパルスレーザ光を、縮小投影してワークピーステーブルWT上に配置された図示しないワークピースに結像させる。ワークピースはフォトレジストが塗布された半導体ウエハ等の感光基板である。露光装置600は、レチクルステージRTとワークピーステーブルWTとを同期して平行移動させることにより、レチクルパターンを反映したパルスレーザ光をワークピースに露光する。以上のような露光工程によって半導体ウエハにレチクルパターンを転写後、複数の工程を経ることで電子デバイスを製造することができる。
【0103】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図している。従って、特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかである。また、本開示の実施形態を組み合わせて使用することも当業者には明らかである。
【0104】
本明細書及び特許請求の範囲全体で使用される用語は、明記が無い限り「限定的でない」用語と解釈されるべきである。たとえば、「含む」、「有する」、「備える」、「具備する」などの用語は、「記載されたもの以外の構成要素の存在を除外しない」と解釈されるべきである。また、修飾語「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。また、「A、B及びCの少なくとも1つ」という用語は、「A」「B」「C」「A+B」「A+C」「B+C」又は「A+B+C」と解釈されるべきである。さらに、それらと「A」「B」「C」以外のものとの組み合わせも含むと解釈されるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5