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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-28
(45)【発行日】2024-07-08
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
G01N35/00 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022550060
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(86)【国際出願番号】 JP2020034851
(87)【国際公開番号】W WO2022059057
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】牧野 瑶子
(72)【発明者】
【氏名】柴原 匡
(72)【発明者】
【氏名】山形 俊樹
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-006140(JP,A)
【文献】特開2016-206113(JP,A)
【文献】特開2018-040578(JP,A)
【文献】特開2011-191117(JP,A)
【文献】中国実用新案第205263104(CN,U)
【文献】特開平09-072915(JP,A)
【文献】特開2009-139269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00~35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試薬容器を保管する試薬保管庫を備え、
前記試薬保管庫は、前記試薬容器を保持しつつ回転する試薬ジャケットと、前記試薬ジャケットを収納する筐体と、前記筐体の上方を覆い前記試薬容器内の試薬を分注する分注孔が形成された蓋部と、を有する自動分析装置において、
前記試薬ジャケットには、前記筐体の内壁面に接触した状態と、前記筐体の内壁面から離間した状態と、を切替可能な摺接機構が設けられ
複数の前記試薬容器を搭載する試薬ラックが、前記試薬ジャケットに懸架されると、前記摺接機構が、前記筐体の内壁面から離間した状態となり、
前記試薬ラックが、前記試薬ジャケットから取り外されると、前記摺接機構が、前記筐体の内壁面に接触した状態となる自動分析装置。
【請求項2】
複数の試薬容器を保管する試薬保管庫を備え、
前記試薬保管庫は、前記試薬容器を保持しつつ回転する試薬ジャケットと、前記試薬ジャケットを収納する筐体と、前記筐体の上方を覆い前記試薬容器内の試薬を分注する分注孔が形成された蓋部と、を有する自動分析装置において、
前記試薬ジャケットは、複数の試薬ラックが架設される場所を区切る衝立を有し、
前記筐体の内壁面に接触した状態と、前記筐体の内壁面から離間した状態と、を切替可能な摺接機構が、前記衝立の内部に設けられる自動分析装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の自動分析装置において、
前記摺接機構の摺接部が、前記筐体のうち、前記試薬ジャケットの外径側に面する側壁に接触することを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の自動分析装置において、
前記摺接機構の摺接部が、前記筐体のうち、前記試薬ジャケットの下側に面する底壁に接触することを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項に記載の自動分析装置において、
前記筐体の前記底壁には、結露水を排出するドレイン孔が形成されており、
前記摺接機構の摺接部は、前記試薬ジャケットの回転に伴い前記結露水を前記ドレイン孔へ集める凹面を有することを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項に記載の自動分析装置において、
前記筐体の前記底壁の下方には、試薬保管庫内の温度を調整する温調部を備え、
前記筐体の前記底壁の内面には、凹部が形成されており、
前記温調部と前記凹部の鉛直投影の少なくとも一部が重なる位置にあることを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
複数の試薬容器を保管する試薬保管庫を備え、
前記試薬保管庫は、前記試薬容器を保持しつつ回転する試薬ジャケットと、前記試薬ジャケットを収納する筐体と、前記筐体の上方を覆い前記試薬容器内の試薬を分注する分注孔が形成された蓋部と、を有する自動分析装置において、
前記試薬ジャケットは、前記分注孔を塞ぐ孔閉塞部を有し、
前記筐体の内壁面に接触した状態と、前記筐体の内壁面から離間した状態と、を切替可能な摺接機構が、前記孔閉塞部に設けられる自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検体(血液や尿など)を分析する自動分析装置は、検体を検査するための試薬を保管するための試薬保管庫を有している。この試薬保管庫は、その内壁を冷却することで、伝熱効果により内部の空気を冷却し、試薬の冷却を行うが、このとき、内部の空気と内壁との温度差により結露が発生する。試薬保管庫の内壁が結露した状態で時間が経過するとカビ等が発生し、それらが試薬に混入すると分析の精度が劣化する場合があるため、従来では、手作業による結露水を拭き取りを行うなど時間と工数を要していた。そこで、特許文献1には、試薬保管庫の内壁と接触する弾性部材を設け、この弾性部材により結露水を除去する自動分析装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5953140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の自動分析装置では、試薬保管庫の内壁に対して弾性部材が常時接触しているため、弾性部材の摩耗が早く、弾性部材を交換する作業が頻繁に発生する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、試薬保管庫の内壁に発生する結露水を除去しつつ、作業性の優れた自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、複数の試薬容器を保管する試薬保管庫を備え、前記試薬保管庫は、前記試薬容器を保持しつつ回転する試薬ジャケットと、前記試薬ジャケットを収納する筐体と、前記筐体の上方を覆い前記試薬容器内の試薬を分注する分注孔が形成された蓋部と、を有する自動分析装置において、前記試薬ジャケットに、前記筐体の内壁面に接触した状態と、前記筐体の内壁面から離間した状態と、を切替可能な摺接機構を設けた。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、試薬保管庫の内壁に発生する結露水を除去しつつ、作業性の優れた自動分析装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る自動分析装置の構成の概略を示す図。
図2】本発明の実施形態に係る試薬保管庫の断面図。
図3】実施例1に係る摺接機構のスイッチがONの状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図。
図4】実施例1に係る摺接機構のスイッチがOFFの状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図。
図5】実施例2に係る摺接機構のスイッチがONの状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図。
図6】実施例2に係る摺接機構のスイッチがOFFの状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図。
図7】実施例3に係る摺接機構のスイッチがONの状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図。
図8】実施例3に係る摺接機構のスイッチがOFFの状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図。
図9】実施例4に係る摺接機構のスイッチがONの状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図。
図10】実施例4に係る摺接機構のスイッチがOFFの状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図。
図11】実施例5に係る摺接機構のスイッチがONの状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図、(c)は摺接機構付近を外径側から見た断面図。
図12】実施例5に係る摺接機構のスイッチがOFFの状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図、(c)は摺接機構付近を外径側から見た断面図。
図13】実施例6に係る摺接機構のスイッチがONの状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図、(c)は摺接機構付近を外径側から見た断面図。
図14】実施例6に係る摺接機構のスイッチがOFFの状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図、(c)は摺接機構付近を外径側から見た断面図。
図15】実施例7に係る摺接機構のスイッチがONの状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図、(c)は摺接機構付近を外径側から見た断面図。
図16】実施例7に係る摺接機構のスイッチがOFFの状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図、(c)は摺接機構付近を外径側から見た断面図。
図17】実施例8に係る摺接機構のスイッチがOFFの状態を示す鉛直方向要部断面図。
図18】実施例8に係る摺接機構のスクレイパを上方から見た図。
図19】実施例9に係る摺接機構のスイッチがOFFの状態を示す鉛直方向要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る自動分析装置の構成の概略を示す図である。本実施形態に係る自動分析装置1は、図1に示すように、試薬を保冷する試薬保管庫2と、検体を設置する検体設置部3と、試薬や検体を分注する分注機構4と、試薬と検体を混和して光学的または熱力学的なエネルギーを与えることで反応を促進させる反応部5と、混和物から得られる変化として蛍光などを検出する検出部6と、これらを制御する制御部7と、ユーザが設定等を行う操作部8と、を備えている。
【0010】
次に、本実施形態の試薬保管庫2について説明する。図2は、試薬保管庫2の断面図である。図2に示すように、試薬保管庫2は、試薬保管庫の外郭を構成する釜状の筐体9と、複数の試薬容器21を搭載する試薬ラック12と、筐体9内に収納され複数の試薬ラック12を保持する試薬ジャケット11と、筐体9の上方を覆う蓋部19と、試薬保管庫を支える台座20と、を備えている。筐体9の外側には、筐体9を保温するための断熱材17が設けられており、筐体9の下方には、試薬保管庫内の温度を調整する温調部10が設けられている。さらに、本実施形態の試薬保管庫2は、図示していないものの、試薬保管庫内の温度を測定するセンサや、温調部10を制御する温調制御部なども有している。なお、試薬保管庫2には、試薬以外に検体が保管されることもある。
【0011】
ここで、試薬ジャケット11は、ジャケット受部16によって回転軸13と連結されているため、回転軸13がプーリおよびベルト14を介してモータ15の駆動力によって回転すると、回転軸13と一体となって回転する。また、蓋部19には、複数の分注孔18が形成されている。そして、制御部7がモータ15を制御することで、任意の試薬容器21を分注孔18と鉛直方向に並ぶように、試薬ジャケット11を回転させた後、分注機構4が、分注孔18を介して、試薬容器21内の試薬を分注する。
【0012】
以下、試薬ジャケット11に設けられ、筐体9の内壁面に接触した状態と、筐体9の内壁面から離間した状態と、を切り替え可能な摺接機構22について、各実施例に基づき説明する。
【実施例1】
【0013】
実施例1に係る摺接機構22に関し、図3および図4を用いて説明する。本実施例の摺接機構22は、筐体9の側壁の水滴を除去するものであり、試薬ジャケット11に設けられ、摺接機構22のスイッチ28が手動でONとOFFを切り替えられるようになっている。
【0014】
摺接機構22は、スクレイパ24(摺接部)と、ヒンジ25と、スクレイパ板26と、可動部27と、スイッチ28と、バネ29と、で構成される。弾性を有する材料で形成されたスクレイパ24は、ヒンジ25によってスクレイパ板26と接続され、スクレイパ板26は、可動部27の一端と連結されている。また、可動部27の他端は、スイッチ28と接続されており、可動部27の屈曲部が、試薬ジャケット11の底壁に形成された移動部31内を、スイッチ28の状態に応じて移動する。さらに、試薬ジャケット11の側壁にはスリット30が形成されており、スクレイパ24、ヒンジ25およびスクレイパ板26が、このスリット30を介して径方向に出入する。
【0015】
図3は、摺接機構22のスイッチ28がONとなって、摺接機構22が筐体9の内壁面から離間した状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図である。本実施例のスイッチ28は、手動で押されると作動し、ONとなる。このとき、図3に示すように、可動部27の屈曲部が移動部31内を外径側へ移動するため、スクレイパ板26がスリット30から外径側へ突き出る。スクレイパ板26が突き出ると、ヒンジ25によってスクレイパ24が内径側へ折り畳まれるように動作し、試薬ジャケット11のうち外径側の側壁の外周面にスクレイパ24が接触する。すなわち、スイッチ28を作動させた場合、スクレイパ24は、筐体9の側壁とは接触しない。
【0016】
図4は、摺接機構22のスイッチ28がOFFとなって、筐体9のうち、試薬ジャケット11の外径側に面する側壁に摺接機構22が接触した状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図である。スイッチ28が手動で開放されOFFになると、図4に示すように、バネ29の弾性力によって可動部27の他端が上方へ移動するため、可動部27の屈曲部が移動部31内を内径側へ移動し、スクレイパ板26がスリット30内に引き込まれる。スクレイパ板26が引き込まれると、ヒンジ25によってスクレイパ24が外径側へ突っ張るように動作し、スクレイパ24が筐体9の側壁に接触する。
【0017】
結露水の除去は、スイッチ28がOFFとなり、スクレイパ24が筐体9の側壁と接触する状態になった後に行われる。このとき、試薬保管庫2は、回転軸13の回転により、ジャケット受部16と連動して試薬ジャケット11を回転させることで、スクレイパ24を筐体9の側壁と接触させながら回転させ、側壁に付着した結露水を除去する。また、スイッチ28が開放された場合のみスクレイパ24を筐体9の内壁面に接触させるので、スクレイパ24の摩耗が抑制され、スクレイパ24の長寿命化により交換作業などを減らすことが可能となる。さらに、スクレイパ24を回転させる動力は、試薬ジャケット11の回転を利用してるため、新たな回転機構を設けなくても結露水を除去できる利点がある。
【0018】
なお、摺接機構22は、筐体9の内径側の側壁に対して接触できるように構成しても良く、筐体9の外径側の側壁に対して接触できる構成と併用しても良い。併用する場合、1つのスイッチ28で両方の摺接機構22の動作を切り替え可能としても良いし、個別のスイッチ28で動作を切替可能としても良い。ただし、筐体9の外径側の側壁に対して接触できるように構成した方が、摺接機構22が接触する側壁の面積が広いため、多くの結露水を除去できて効率的である。
【0019】
また、スクレイパ24が側壁と接触する高さ領域としては、少なくとも回転軸13の上端よりも上方まで延びるようにするのが望ましい。これにより、結露水が発生し易い分注孔18の近傍にスクレイパ24を接触させることができ、しかも、側壁の高い位置でスクレイパ24によって集められた結露水が重力で落下する際に、側壁の低い位置の結露水を一緒に流下させる効果も期待できる。
【実施例2】
【0020】
実施例2に係る摺接機構22に関し、図5および図6を用いて説明する。本実施例の摺接機構22は、筐体9の側壁の水滴を除去するものであり、試薬ジャケット11の衝立23に設けられ、摺接機構22のスイッチ28は、試薬ラック12が試薬ジャケット11に架設されるとONに切り替わるようになっている。なお、本実施例の摺接機構22の基本的な構成は実施例1と同様であるため、以下では実施例1と異なる点に絞って説明する。
【0021】
試薬ジャケット11には、複数の試薬ラック12が架設される場所を区切る衝立23が、放射状に複数形成されており、本実施例では、この衝立23の内部に、摺接機構22が設けられる。そして、試薬保管庫2の蓋部19に形成された開口部(図示せず)を介して、衝立23で挟まれた所定位置に試薬ラック12を架設したり、試薬ラック12を試薬保管庫2の外へ取り出したりできるようになっている。
【0022】
図5は、摺接機構22のスイッチ28がONとなって、摺接機構22が筐体9の内壁面から離間した状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図である。図5に示すように、本実施例では、試薬ジャケット11に試薬ラック12が架設されると、スイッチ28が作動してONとなり、試薬ジャケット11のうち外径側の側壁の外周面にスクレイパ24が接触する。
【0023】
図6は、摺接機構22のスイッチ28がOFFとなって、筐体9のうち、試薬ジャケット11の外径側に面する側壁に摺接機構22が接触した状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図である。図6に示すように、試薬ラック12が取り出されると、スイッチ28が開放されてOFFとなり、スクレイパ24が筐体9の側壁に接触する。この状態で、スクレイパ24が試薬ジャケット11とともに回転すると、筐体9の側壁に付着した結露水が除去される。
【0024】
本実施例によれば、試薬ラック12の架設により自動的にスイッチ28を切り替えられるので、作業性がより向上する。また、摺接機構22が衝立23の内部に配置されているので、試薬ジャケット11上において、試薬ラック12を架設するスペースが確保し易くなっており、架設できる試薬ラック12の個数を増やすことも可能となる。
【実施例3】
【0025】
実施例3に係る摺接機構22に関し、図7および図8を用いて説明する。本実施例の摺接機構22は、筐体9の側壁の水滴を除去するものであり、試薬ジャケット11の孔閉塞部32に設けられ、摺接機構22のスイッチ28は、手動でONとOFFを切り替えられるようになっている。なお、本実施例の摺接機構22の基本的な構成は実施例1と同様であるため、以下では実施例1と異なる点に絞って説明する。
【0026】
試薬ジャケット11には、孔閉塞部32が設けられており、この孔閉塞部32に形成された複数の突起36が、蓋部19の分注孔18に対し鉛直方向の下方に位置にして、分注孔18を塞ぐように構成されている。そして、本実施例では、この孔閉塞部32の内部の空間を利用して、摺接機構22が試薬ジャケット11に取付けられる。
【0027】
図7は、摺接機構22のスイッチ28がONとなって、摺接機構22が筐体9の内壁面から離間した状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図である。図7に示すように、本実施例では、手動によりスイッチ28が作動してONになると、試薬ジャケット11のうち外径側の側壁の外周面にスクレイパ24が接触する。
【0028】
図8は、摺接機構22のスイッチ28がOFFとなって、筐体9のうち、試薬ジャケット11の外径側に面する側壁に摺接機構が接触した状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図である。図8に示すように、スイッチ28が手動で開放されOFFになると、スクレイパ24が筐体9の側壁に接触する。この状態で、スクレイパ24が試薬ジャケット11とともに回転すると、筐体9の側壁に付着した結露水が除去される。
【0029】
本実施例では、摺接機構22を孔閉塞部32に設けることにより、衝立23の幅寸法を薄くできるため、隣接する衝立23同士の間隔が大きくなり、試薬ラック12を架設できるスペースが広がる利点がある。
【実施例4】
【0030】
実施例4に係る摺接機構22に関し、図9および図10を用いて説明する。本実施例の摺接機構22は、実施例3と同様に、試薬ジャケット11の孔閉塞部32に設けられ、摺接機構22のスイッチ28は、実施例2と同様に、試薬ラック12が試薬ジャケット11に架設されるとONに切り替わるようになっている。
【0031】
図9は、摺接機構22のスイッチ28がONとなって、摺接機構22が筐体9の内壁面から離間した状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図である。図9に示すように、試薬ジャケット11に試薬ラック12が架設されると、スイッチ28が作動してONとなり、試薬ジャケット11のうち外径側の側壁の外周面にスクレイパ24が接触する。
【0032】
図10は、摺接機構22のスイッチ28がOFFとなって、筐体9のうち、試薬ジャケット11の外径側に面する側壁に摺接機構22が接触した状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図である。図10に示すように、試薬ラック12が取り出されると、スイッチ28が開放されてOFFとなり、スクレイパ24が筐体9の側壁に接触する。この状態で、スクレイパ24が試薬ジャケット11とともに回転すると、筐体9の側壁に付着した結露水が除去される。
【実施例5】
【0033】
実施例5に係る摺接機構22に関し、図11および図12を用いて説明する。本実施例の摺接機構22は、筐体9の底壁の水滴を除去するものであり、試薬ジャケット11に設けられ、摺接機構22のスイッチ28は、手動でONとOFFを切り替えられるようになっている。
【0034】
本実施例の摺接機構22は、スクレイパ24(摺接部)と、スクレイパ板26と、可動部27と、スイッチ28と、バネ29と、で構成される。スクレイパ24は、スクレイパ板26と接続され、スクレイパ板26は、可動部27の一端と連結されている。また、可動部27の他端は、スイッチ28と接続されており、可動部27の屈曲部が、試薬ジャケット11の底壁に形成された移動部31内を、スイッチ28の状態に応じて移動する。さらに、試薬ジャケット11の底壁にはスリット30が形成されており、スクレイパ24およびスクレイパ板26が、このスリット30を介して鉛直方向に出入する。
【0035】
図11は、摺接機構22のスイッチ28がONとなって、摺接機構22が筐体9の内壁面から離間した状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図、(c)は摺接機構付近を外径側から見た断面図である。本実施例のスイッチ28は、手動で押されると作動し、ONとなる。このとき、図11に示すように、可動部27の屈曲部が移動部31内の径方向両端へ移動するため、スクレイパ板26がスリット30内で上方へ引き込まれる。スクレイパ板26が引き込まれると、ヒンジ25によってスクレイパ24が上方へ折り畳まれるように動作し、試薬ジャケット11の底壁の外周面にスクレイパ24が接触する。すなわち、スイッチ28を作動させた場合、スクレイパ24は、筐体9の底壁とは接触しない。
【0036】
図12は、摺接機構22のスイッチ28がOFFとなって、筐体9の底壁に摺接機構22が接触した状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図、(c)は摺接機構付近を外径側から見た断面図である。スイッチ28が手動で開放されOFFになると、図12に示すように、バネ29の弾性力によって可動部27の他端が上方へ移動するため、可動部27の屈曲部が移動部31内を中間側へ移動し、スクレイパ板26がスリット30内で下方へ突き出る。スクレイパ板26が突き出ると、スクレイパ24が下方へ突き出るように動作し、スクレイパ24が筐体9の底壁に接触する。この状態で、スクレイパ24が試薬ジャケット11とともに回転すると、試薬ジャケット11の下側に面する筐体9の底壁に付着した結露水が除去される。
【実施例6】
【0037】
実施例6に係る摺接機構22に関し、図13および図14を用いて説明する。本実施例の摺接機構22は、筐体9の底壁の水滴を除去するものであり、試薬ジャケット11の衝立23に設けられ、摺接機構22のスイッチ28は、試薬ラック12が試薬ジャケット11に架設されるとONに切り替わるようになっている。なお、本実施例の摺接機構22の基本的な構成は実施例5と同様であるため、以下では実施例5と異なる点に絞って説明する。
【0038】
図13は、摺接機構22のスイッチ28がONとなって、摺接機構22が筐体9の内壁面から離間した状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図、(c)は摺接機構付近を外径側から見た断面図である。図13に示すように、試薬ジャケット11に試薬ラック12が架設されると、スイッチ28が作動してONとなり、試薬ジャケット11の底壁の外周面にスクレイパ24が接触する。
【0039】
図14は、摺接機構22のスイッチ28がOFFとなって、筐体9の底壁に摺接機構22が接触した状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図、(c)は摺接機構付近を外径側から見た断面図である。図14に示すように、試薬ラック12が取り出されると、スイッチ28が開放されてOFFとなり、スクレイパ24が筐体9の底壁に接触する。この状態で、スクレイパ24が試薬ジャケット11とともに回転すると、筐体9の底壁に付着した結露水が除去される。
【実施例7】
【0040】
実施例7に係る摺接機構22に関し、図15および図16を用いて説明する。本実施例の摺接機構22は、筐体9の底壁の水滴を除去するものであり、試薬ジャケット11の孔閉塞部32に設けられ、摺接機構22のスイッチ28は、試薬ラック12が試薬ジャケット11に架設されるとONに切り替わるようになっている。
【0041】
図15は、摺接機構22のスイッチ28がONとなって、摺接機構22が筐体9の内壁面から離間した状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図、(c)は摺接機構付近を外径側から見た断面図である。図15に示すように、試薬ジャケット11に試薬ラック12が架設されると、スイッチ28が作動してONとなり、試薬ジャケット11の底壁の外周面にスクレイパ24が接触する。
【0042】
図16は、摺接機構22のスイッチ28がOFFとなり、筐体9の底壁に摺接機構22が接触した状態を示す図であり、(a)は水平断面図、(b)は鉛直方向要部断面図、(c)は摺接機構付近を外径側から見た断面図である。図16に示すように、試薬ラック12が取り出されると、スイッチ28が開放されてOFFとなり、スクレイパ24が筐体9の底壁に接触する。この状態で、スクレイパ24が試薬ジャケット11とともに回転すると、筐体9の底壁に付着した結露水が除去される。
【0043】
なお、本実施例における摺接機構22のスイッチ28について、実施例1、実施例3および実施例5と同様に、手動でONとOFFを切り替えられるものとしても良い。
【実施例8】
【0044】
実施例8に係る摺接機構22に関し、図17および図18を用いて説明する。本実施例の摺接機構22は、筐体9の底壁の水滴を除去するものであり、筐体9の底壁には、結露水を排出するドレイン孔33が形成されている。
【0045】
図17は、摺接機構22のスイッチ28がOFFとなって、筐体9の底壁に摺接機構22が接触した状態を示す図であり、図18は、摺接機構22のスクレイパ24を上方から見た図である。本実施例のスクレイパ24は、図18に示す通り、筐体9の底壁のドレイン孔33に対応した径方向位置に、凹面34が形成されている。したがって、スクレイパ24が凹面34の形成された向きへ回転すると、結露水がドレイン孔33のある位置へ次第に集まり、結露水を効率よく試薬保管庫外へ排出できる。
【実施例9】
【0046】
実施例9に係る摺接機構22に関し、図19を用いて説明する。本実施例の摺接機構22は、筐体9の底壁の水滴を除去するものであり、筐体9の底壁の内面には、凹部35が形成されている。
【0047】
図19は、摺接機構22のスイッチ28がOFFとなって、筐体9の底壁に摺接機構22が接触した状態を示す図である。図19に示す通り、筐体9の底壁に形成された凹部35の鉛直方向下方に、温調部10が位置している。このため、スクレイパ24の回転によって結露水が凹部35に集められ、集められた結露水が下方にある温調部10によって効率的に加熱される。結露水は、加熱されると蒸発し、分注孔18等を介して試薬保管庫2外の自動分析装置1内へ拡散する。
【0048】
また、温調部10は、筐体9の底壁の下方にあって、周方向に複数個が設けられているため、筐体9の凹部35は、各温調部10に対応する位置に複数形成されるのが望ましい。さらに、筐体9の凹部35が、分注孔18の鉛直投影の下方近傍に位置していると、温調部10で蒸発した水分を、分注孔18から試薬保管庫2外へ流出させ易い利点もある。なお、凹部35の大きさや形状は、図19に示すものに限定されず、温調部10と凹部35の鉛直投影の少なくとも一部が重なっていれば良い。
【0049】
以上述べた各実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。さらに、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 自動分析装置
2 試薬保管庫
3 検体設置部
4 分注機構
5 反応部
6 検出部
7 制御部
8 操作部
9 筐体
10 温調部
11 試薬ジャケット
12 試薬ラック
13 回転軸
14 ベルト
15 モータ
16 ジャケット受部
17 断熱材
18 分注孔
19 蓋部
20 台座
21 試薬容器
22 摺接機構
23 衝立
24 スクレイパ
25 ヒンジ
26 スクレイパ板
27 可動部
28 スイッチ
29 バネ
30 スリット
31 移動部
32 孔閉塞部
33 ドレイン孔
34 凹面
35 凹部
36 突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19