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  • 特許-設計支援装置及び設計支援方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】設計支援装置及び設計支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240702BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20240702BHJP
【FI】
G06Q50/06
C02F1/00 V
C02F1/00 S
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019067397
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020166643
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-12-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 寿和
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-188344(JP,A)
【文献】特開2018-142105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計対象となる水処理システムで原水を処理することによって得られる処理水の用途情報を含む顧客情報を取得する入力部と、
前記用途情報に基づいて、要求される水質を推定する推定部と、
予め登録された複数の水処理システムの候補であるシステム候補の中から、前記推定部の推定結果に基づいて、設計対象となる水処理システムとして動作できるシステム候補を判定する判定部と、
を備え、
前記推定部は、前記用途情報に基づいて、要求される水量を推定するものであり、
前記用途情報は、業種、品目及び工程を含み、
前記原水は、天然水、市水及び工水のいずれかであり、
前記システム候補は、複数の水処理ユニットを組み合わせることによって構築される、設計支援装置。
【請求項2】
前記顧客情報は、原水の水質を推定したい場所を特定するための情報を含み、
前記推定部は、前記顧客情報に基づいて、原水の水質を推定するものである
請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項3】
コンピューターが、設計対象となる水処理システムで原水を処理することによって得られる処理水の用途情報を含む顧客情報を取得する入力ステップと、
コンピューターが、前記用途情報に基づいて、要求される水質を推定する推定ステップと、
コンピューターが、予め登録された複数の水処理システムの候補であるシステム候補の中から、前記推定ステップにおける推定結果に基づいて、設計対象となる水処理システムとして動作できるシステム候補を判定する判定ステップと、
を有し、
前記推定ステップにおいて、前記コンピュータは、前記用途情報に基づいて、要求される水量を推定し、
前記用途情報は、業種、品目及び工程を含み、
前記原水は、天然水、市水及び工水のいずれかであり、
前記システム候補は、複数の水処理ユニットを組み合わせることによって構築される、設計支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援装置及び設計支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水処理システムとして様々な種類のシステムが提案されている。その用途や被処理水に含まれる物質の種類などに応じて、各水処理システムにおいて必要となる構成が異なる。そのため、新たに水処理システムを設計する際には、処理ユニットに関する専門知識が必要となる。そのため、水処理システムの設計は、処理ユニットに関する専門知識を有している特定の者しか行うことができず、時間や労力が多く必要となっていた。
このような問題を解決するための技術として、コンピューターを用いて水処理システムの設計を支援する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-196007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の支援装置では、水処理システムを設計できるものの、設計対象となる水処理システムに必要となる設計条件に関する知識や水に関する知識など、依然として多くの知識が必要となっていた。設計条件として与えられる被処理水について、定められた水質の水を出力することが可能な水処理システムを設計できるものの、設計される水処理システムの構築に要するコストを抑えることは実現できていなかった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、より少ない専門知識で、設計条件を満たす水処理システムの情報を取得することができる設計支援装置及び設計支援方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、設計対象となる水処理システムから得られる処理水の用途情報を含む顧客情報を取得する入力部と、予め登録された複数の水処理システムの候補であるシステム候補の中から、前記用途情報に基づいて、設計対象となる水処理システムとして動作できるシステム候補を判定する判定部と、を備える設計支援装置である。
【0007】
本発明の一態様は、設計対象となる水処理システムから得られる処理水の用途情報を含む顧客情報を取得する入力部と、前記用途情報に基づいて、要求される水質を推定する推定部と、予め登録された複数の水処理システムの候補であるシステム候補の中から、前記推定部の推定結果に基づいて、設計対象となる水処理システムとして動作できるシステム候補を判定する判定部と、を備える設計支援装置である。
【0008】
本発明の一態様は、上記の設計支援装置であって、前記推定部は、前記用途情報に基づいて、要求される水量を推定するものである。
【0009】
本発明の一態様は、上記の設計支援装置であって、前記顧客情報は、原水の水質を推定したい場所を特定するための情報を含み、前記推定部は、前記顧客情報に基づいて、原水の水質を推定するものである。
【0010】
本発明の一態様は、設計対象となる水処理システムから得られる処理水の用途情報を含む顧客情報を取得する入力ステップと、予め登録された複数の水処理システムの候補であるシステム候補の中から、前記用途情報に基づいて、設計対象となる水処理システムとして動作できるシステム候補を判定する判定ステップと、を有する設計支援方法である。
【0011】
本発明の一態様は、設計対象となる水処理システムから得られる処理水の用途情報を含む顧客情報を取得する入力ステップと、前記用途情報に基づいて、要求される水質を推定する推定ステップと、予め登録された複数の水処理システムの候補であるシステム候補の中から、前記推定ステップにおける推定結果に基づいて、設計対象となる水処理システムとして動作できるシステム候補を判定する判定ステップと、を有する設計支援方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、より少ない専門知識で、設計条件を満たす水処理システムの情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の設計支援装置10の構成を示す概略ブロック図である。
図2】水質テーブル131の具体例を示す図である。
図3】要求テーブル132の具体例を示す図である。
図4】システム候補テーブル133の具体例を示す図である。
図5】設計支援装置10の処理の流れの具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の設計支援装置10の構成を示す概略ブロック図である。設計支援装置10は、入力部11、出力部12、記憶部13及び制御部14を備える。設計支援装置10は、入力される設計条件に基づいて提案する水処理システムをシステム候補の中から選択し、選択された水処理システムのシステム情報を出力する。設計支援装置10は、予め設定されている複数のシステム候補の中から1又は複数の水処理システムを選択する。各システム候補は、1又は複数の水処理ユニットを組み合わせることによって構築される。水処理ユニットは、被処理水に含まれる1又は複数の物質を処理する機構である。水処理ユニットとしては、例えば、層ろ過装置、活性炭塔、UF膜装置、MF膜装置、凝集装置、沈殿槽、RO膜装置、UV殺菌装置、UV酸化装置、イオン交換樹脂塔、電気再生式脱イオン装置、好気性生物処理装置、嫌気性生物処理装置、汚泥脱水装置、など水処理を行うものが挙げられるが、水処理の付帯処理を行うpH調整槽、熱交換器、なども挙げることができる。被処理水は、原水と呼ばれてもよい。原水(被処理水)は、例えば表流水、井水、海水などの天然水の他、市水や工水も含めるものとする。
【0015】
なお、図1に示される各部は、同一の筐体に実装されてもよいし、異なる筐体に実装されてもよいし、重複して複数の筐体に実装されてもよい。設計支援装置10は、1台の情報処理装置を用いて構成されてもよいし、複数第の情報処理装置を用いて構成されてもよい。複数の情報処理装置を用いて構成される場合には、各情報処理装置がネットワークを介して互いに通信し合うことによって動作するように構成されてもよい。
【0016】
入力部11は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部11は、ユーザーの指示を設計支援装置10に入力する際にユーザーによって操作される。入力部11は、入力装置を設計支援装置10に接続するためのインタフェースであっても良い。この場合、入力部11は、入力装置においてユーザーの入力に応じ生成された入力信号を設計支援装置10に入力する。入力部11は、マイク及び音声認識装置を用いて構成されてもよい。この場合、入力部11はユーザーによって発話された文言を音声認識し、認識結果の文字列情報を設計支援装置10に入力する。入力部11は、ユーザーの指示を設計支援装置10に入力可能な構成であればどのように構成されてもよい。
【0017】
出力部12は、設計支援装置10のユーザーに対してデータの出力を行う。出力部12は、例えば画像や文字を画面に出力する装置を用いて構成されても良い。例えば、出力部12は、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescent)ディスプレイ等を用いて構成されてもよい。また、出力部12は、画像や文字をシートに印刷(印字)する装置を用いて構成されてもよい。このような装置の具体例として、インクジェットプリンタやレーザープリンタ等のプリンターがある。出力部12は、文字を音声に変換して出力する装置を用いて構成されてもよい。この場合、出力部12は例えば音声合成装置及び音声出力装置(スピーカー)を用いて構成される。出力部12は、通信装置を介して他の情報処理装置に対し出力データを送信するように構成されてもよい。
【0018】
記憶部13は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部13は、設計支援装置10において処理に用いられるデータを記憶する。記憶部13は、例えば、水質テーブル131、要求テーブル132及びシステム候補テーブル133を記憶する。
【0019】
図2は、水質テーブル131の具体例を示す図である。水質テーブル131は、公表されている原水の水質に関する情報を表すレコードを複数有する。レコードは、地区区分、自治体、公表水質分析データ有無、原水種別、水質項目及び計測日の各値を有する。地区区分は、原水の水質が公表されている地区エリアを表す。自治体は、原水の水質のデータを公表している自治体を表す。公表水質分析データ有無は、公表されている原水の水質の分析データの有無を表す。原水種別は、分析がなされた原水の種類を表す。水質項目は、分析がなされた原水の水質の項目を表す。計測日は、水質項目の値が計測された日時を表す。なお、図2において“-”は、“-”が入力されている項目に関するデータが無いことを表す。このような水質テーブル131は、例えば各自治体によって計測されて公表されたデータを用いて構成されてもよい。図2の例でも、公表水質分析データ有無の値が“あり”となっている場合には、そのレコードの値は自治体によって計測されて公表されたデータが用いられている。公表水質分析データ有無の値が“なし”となっている場合であっても、他の機関によって測定された値を用いてレコードが構成されてもよい。
【0020】
図2に示される例では、水質テーブル131には複数の地区区分が登録されている。これらの地区区分は、“△△エリア”、“□□エリア”、“☆☆エリア”である。図2において、水質テーブル131の最上段に登録されているレコードは、地区区分の値が“△△エリア”、自治体の値が“○○県”、公表水質分析データ有無の値が“あり”、原水種別の値が“水道水”、水質項目の値が“pH、Ca、Mg、…”、計測日の値が“yy1.mm1.dd1”である。すなわち、地区区分“△△エリア”の水道水としての原水の水質のデータは“○○県”の自治体によってyy1年mm1月dd1日に計測された過去のデータがあり、水質分析がなされた水質の項目が“pH、Ca、Mg、…”であることが表されている。
【0021】
図3は、要求テーブル132の具体例を示す図である。要求テーブル132は、業種、品目、工程毎に必要となる水質に関する情報を表すレコードを複数有する。レコードは、業種、品目、工程及び要求水質情報の各値を有する。業種は、設計対象の水処理システムが用いられるプラントの業種を表す。品目は前記プラントの業種において製造される品目を表す。工程は前記品目の製造プロセスにおける関連する工程を表す。要求水質情報は、設計対象の水処理システムが用いられるプラントにおいて使用される水に要求されている水質を表す。要求水質情報は、例えばTotal Organic Carbon(TOC:全有機炭素)濃度、比抵抗値、水温、pH、ORP、各種金属イオン濃度などの値を用いて表されてもよい。要求水質情報は、1つの基準値に基づいて表されてもよいし、複数の基準値の組み合わせで表されてもよい。例えば、処理水が複数の品目や工程にわたって使用される場合は各水質項目において最も要求水質の高い値を採用する。要求水量情報は設計対象の水処理システムの処理水が供給される製造プラントにおいて使用される水に要求されている水量(流量)を表す。要求水量情報は、1つの基準値に基づいて表されてもよいし、複数の基準値の組合せで表されてもよい。例えば、処理水が複数の品目や工程にわたって使用される場合は各要求水量を加算した総量を採用してもよいし、各工程が同時に行われることがなく順次行われるものであれば各水量の中で最大の流量値を採用してもよい。
【0022】
図3に示される例では、要求テーブル132には複数の業種、品目工程が登録されている。これらの業種は、例えば“電子デバイス製造”、“食品加工”、“金属加工”であり、電子デバイス製造で製造する品目は、例えば“半導体基板”、“太陽電池”、“液晶基板”であり、半導体基板の製造の工程は、例えば“SC1洗浄”、“SC2洗浄”、“表面処理”である。また、品目や工程が不特定の場合はそれぞれ“全品目共通”、“全工程共通”と示している。“全品目共通”や“全工程共通”の場合には、各要求項目の代表値が登録されていてもよい。
【0023】
図3において、要求テーブル132の最上段に登録されているレコードは、業種の値が“電子デバイス製造”、品目の値が“全品目共通”、工程の値が“全工程共通”、要求水質情報の値が“A100、B100、C100、・・・”、要求水量情報の値が“Q100”である。すなわち、この場合の電子デバイス製造プラントでは、“A100、B100、C100、・・・”に示される水質、好ましくは“Q100”に示される水量の処理水が必要となることが表されている。
【0024】
図4は、システム候補テーブル133の具体例を示す図である。システム候補テーブル133は、予め構築された水処理システムの候補(以下「システム候補」という。)に関する情報を表すレコードを複数有する。レコードは、システムID、システム情報、原水条件、処理水条件、業種条件、品目条件、工程条件、システム主従関係の各値を有する。システムIDは、レコードが示すシステム候補の識別情報を表す。システム情報は、システム候補に関する情報を表す。システム情報は、例えば、候補となっている水処理システムを構築するために必要となる情報(以下「設計情報」という。)と、候補となっている水処理システムの水処理能力を表す情報(以下「処理能力情報」という。)と、を含む。原水条件は、候補となっている水処理システムが処理可能な原水の条件を表す。処理水条件は、候補となっている水処理システムが製造可能な処理水の水質、水量の条件を表す。処理水条件は、例えばTOC濃度、比抵抗値、水温、pH、ORP、各種金属イオン濃度、流量などの値を用いて表されてもよい。システム主従関係は、システム候補の中で、同等の処理コンセプトであり、かつ一方が他方より処理水の到達水質が高い、得られる水量が多い、といったハイスペックである場合、ハイスペックなシステムに対して他方のシステムは従属すると捉える。システム主従関係は、従属元のハイスペックなシステムのシステムIDに枝番を付与した値を用いてもよい。
【0025】
図4に示される例では、システム候補テーブル133には複数のシステム候補が登録されている。図4において、システム候補テーブル133の最上段に登録されているレコードは、システムIDの値が“Sys1”、システム情報の値が“x1→y1→z1”、原水条件の値が“S1”、処理水条件の値が“L1”、業種条件の値が“電子デバイス製造”、品目条件の値が“半導体基板”、工程条件の値が“SC1洗浄、SC2洗浄”、システム主従関係の値が“-”である。すなわち、システムID“Sys1”のシステム候補の水処理システムのシステム情報は“x1→y1→z1”であり、原水を水処理ユニットx1、y1、z1に順次通水して水処理することで処理水を得るものであり、原水条件“S1”を満たす範囲の原水を処理することが可能であり、処理水条件“L1”を満たす範囲の処理水を製造することが可能であり、業種条件が“電子デバイス製造”、品目条件が“半導体基板”、工程条件が“SC1洗浄、SC2洗浄”を満たす範囲の用途に使用する処理水の製造が可能であることが表されている。
【0026】
図1に戻って説明を続ける。制御部14は、CPU等のプロセッサーとメモリとを用いて構成される。制御部14は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、推定部141及び判定部142として機能する。なお、制御部14の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。プログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0027】
推定部141は、入力部11を介してユーザーから入力された顧客情報を取得する。顧客情報とは、設計対象の水処理システムが設置される予定の顧客に関する情報である。顧客情報は、例えば設計支援装置10のユーザーとして登録されているユーザーアカウント、企業名、事業所名、水処理システムが設置される予定の場所、設計対象の水処理システムから出力される処理水の用途を示す情報(業種、品目、工程)であってもよい。
【0028】
推定部141は、顧客情報と水質テーブル131とに基づいて、設計対象の水処理システムにおける原水の水質を推定する。例えば、推定部141は以下のような処理によって原水の水質を推定してもよい。まず、推定部141は、顧客情報に基づいて、設計対象の水処理システムが設置される予定の場所の地区区分や自治体を推定する。そして、推定部141は、推定結果に基づいて水質テーブル131を参照することによって原水種別及び水質項目の値を原水の水質の推定結果として取得する。
【0029】
推定部141は、顧客情報と要求テーブル132とに基づいて、設計対象の水処理システムにおける処理水に対して要求される水質(以下「要求水質」という。)や要求される水量(以下「要求水量」という。)を推定する。例えば、推定部141は以下のような処理によって要求水質や要求水量を推定してもよい。まず、推定部141は、顧客情報に基づいて、設計対象の水処理システムによる処理水の用途(業種、品目、工程)を推定する。そして、推定部141は、推定結果に基づいて要求テーブル132を参照することによって要求水質情報の値を要求水質の推定結果として取得し、要求水量情報の値を要求水量の推定結果として取得する。
【0030】
判定部142は、推定部141によって推定された原水の水質の推定結果と、推定部141によって推定された要求水質及び要求水量の推定結果と、システム候補テーブル133と、に基づいて複数のシステム候補の中から1又は複数の水処理システムを判定する。例えば、判定部142は以下の様に処理を行ってもよい。
【0031】
まず、判定部142は、システム候補テーブル133に登録されているレコードの中から、原水の水質の推定結果が原水条件を全て満たすレコードを選択する。次に、判定部142は、選択されたレコードの中から、要求水質及び要求水量が処理水条件を全て満たすレコードを選択する。判定部142は、このようにして選択されたシステム候補のシステム情報を、提案する水処理システムの判定結果として取得してもよい。
【0032】
図5は、設計支援装置10の処理の流れの具体例を示すフローチャートである。まず、ユーザーは入力部11を操作することによって顧客情報を入力する。推定部141は、入力された顧客情報を取得する(ステップS101)。推定部141は、入力された顧客情報と水質テーブル131とに基づいて、原水情報を推定する(ステップS102)。また、推定部141は、入力された顧客情報と要求テーブル132とに基づいて、要求水質及び要求水量を推定する(ステップS103)。判定部142は、ステップS102及びステップS103における推定結果とシステム候補テーブル133とに基づいて提案する水処理システムを判定する(ステップS104)。判定部142は、提案する水処理システムのシステム情報をシステム候補テーブル133から取得し、システム情報を示す出力データを生成する。そして、判定部142は、生成された出力データを出力部12に出力する(ステップS105)。出力部12は、出力データに基づいてシステム情報をユーザーに出力する。出力部12は、例えばシステム情報を示す画面のデータを表示してもよい。
【0033】
このように構成された設計支援装置10では、より少ない専門知識で、設計条件を満たす水処理システムの情報を取得することができる。詳細は以下の通りである。
【0034】
設計支援装置10では、水処理システムの選択や構築に際して、要求される情報は水そのものに関する情報ではなく、顧客に関する情報である。例えば、顧客の業種や、顧客が位置する地区や自治体に関する情報である。このような顧客に関する情報は、顧客が十分に知得可能な情報であり、水そのものに関する専門知識を要する情報に比べてより容易に取得可能な情報である。設計支援装置10では、このような顧客情報に基づいて、適切な水処理システムを選択するために必要となる情報が推定される。例えば、原水の水質に関する情報や、要求水質に関する情報が推定される。そして、推定結果に基づいて、顧客に適した1又は複数のシステム候補が提案する水処理システムとして顧客(ユーザー)に出力される。そのため、顧客において水処理システムの提案を受けるために必要となる情報は顧客情報であり、水に関する専門知識が要求されにくい。そのため、設計支援装置10では、より少ない専門知識で、設計条件を満たす水処理システムの情報を取得することが可能となる。
【0035】
(変形例)
上述した推定部141の推定処理は、一つの具体例にすぎない。推定部141には、入力部11を介して入力された顧客情報に基づいて原水の水質に関する情報と要求水質情報、要求水量情報とを推定可能であれば、どのような推定技術が用いられてもよい。
【0036】
また上述した判定部142の判定処理は、一つの具体例にすぎない。例えば、以下のように、要求水質情報や要求水量情報を介さずにシステム候補テーブル133を参照して適合する水処理システム候補を選定することも可能である。
【0037】
例えば、判定部142は、要求水質や要求水量ではなく、用途情報が、システム候補テーブル133の受入適性用途(業種条件、品目条件、工程条件)を全て満たすレコードを、選択されたレコードの中から選択する。ただし用途が複数の品目や工程にわたる場合は、まず用途ごとにシステム候補テーブル133を参照して適合するレコードを選定した後に、各レコードのシステム主従関係を確認して、主従関係があればハイスペックな方のレコード(枝番がない、または若い方)を採用して統合されたシステム候補とし、主従関係がなければ並列のシステム候補として提案する水処理システムの判定結果とすることができる。
【0038】
なお、原水水質が既知の場合は原水水質を推定する必要はなく既知の情報を登録してもよい。また要求水量は必ずしも必要ではなく、原水水質と要求水質のみ、あるいは原水水質と用途情報のみから判定部142によるレコード選定を行ってもよい。
【0039】
また処理水を複数の用途に使用する場合、全ての用途について水処理システムの最終処理水を用いてもよいが、用途によっては要求水質が低い場合もあるので、この場合は水処理システムの中間処理水を用いることもできる。
【0040】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0041】
10…設計支援装置, 11…入力部, 12…出力部, 13…記憶部, 131…水質テーブル, 132…要求テーブル, 133…システム候補テーブル, 14…制御部, 141…推定部, 142…判定部
図1
図2
図3
図4
図5