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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】画像形成装置、及び、画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20240702BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240702BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240702BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240702BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20240702BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H04N1/04 106A
G03G15/00 303
G03G21/00 386
B41J29/38 302
B41J29/46 Z
G06T1/00 430J
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020047281
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021150750
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】加來 佑太郎
(72)【発明者】
【氏名】国見 敬二
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-028029(JP,A)
【文献】特開2008-275991(JP,A)
【文献】特開2002-288636(JP,A)
【文献】特開2004-320472(JP,A)
【文献】特開2003-149994(JP,A)
【文献】特開2004-349544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00-29/70
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00-21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
G06T 1/00
G06T 1/60
H04N 1/04- 1/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光が投光される条件下で視認できず赤外線を吸収可能な画像をシートの表面に形成可能な作像部と、
前記作像部によってオモテ面とウラ面とにそれぞれ画像が形成されたシートに前記オモテ面又は前記ウラ面の側から赤外線を照射して、前記オモテ面に形成された画像と前記ウラ面に形成された画像とを重ねて読み取る画像読取部と、
前記画像読取部で読み取った画像から、前記オモテ面に形成された画像と、前記ウラ面に形成された画像と、の位置ズレを検出する位置ズレ検出手段と、
を備え、
通常の印刷動作において前記位置ズレ検出手段によって前記位置ズレを検出して、その検出結果を次の印刷動作に反映することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記位置ズレ検出手段の検出結果から前記位置ズレが生じないように、前記作像部に向けてシートを搬送する搬送タイミングと、前記作像部において画像を形成する作像タイミングと、とのうち少なくとも一方を調整する調整手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記位置ズレ検出手段は、前記画像読取部で読み取った画像を、記憶部に予め記憶された前記位置ズレのない画像の基準データと比較することで前記位置ズレの量を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記位置ズレ検出手段によって前記位置ズレが検出されたときに、その旨を通知することを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記作像部は、赤外線を吸収可能なトナー又はインクを用いて画像を形成することを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記作像部は、IRトナーを用いて画像を形成することを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像読取部は、
搬送経路を搬送されるシートの表面に対向して、前記表面に向けて赤外線を照射する発光部と、
前記搬送経路を介して前記発光部に対向する位置に配置されて、前記搬送経路を搬送されるシートにおける非画像部を透過した赤外線を受光する受光部と、
を具備したことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像読取部は、
搬送経路を搬送されるシートの表面に対向して、前記表面に向けて赤外線を照射する発光部と、
前記搬送経路に対して前記発光部が設置された側に配置されて、前記搬送経路を搬送されるシートにおける非画像部で反射した赤外線を受光する受光部と、
を具備したことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記作像部によってシートの表面に形成された画像を当該表面に定着する定着装置と、
前記定着装置によって前記オモテ面に画像が定着された後のシートの表裏を反転させて前記作像部に導く両面搬送部と、
を備え、
前記画像読取部は、前記定着装置に対して搬送方向下流側に配置されたことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像読取部によって画像が読み取られるシートの厚さを検知する厚さ検知手段を備え、
前記画像読取部は、前記厚さ検知手段の検知結果に基づいて当該シートに照射する赤外線の光量を調整することを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
可視光が投光される条件下で視認できて赤外線を吸収可能な画像をシートの表面に形成可能な第1の前記作像部と、
可視光が投光される条件下で視認できず赤外線を吸収可能な画像をシートの表面に形成可能な第2の前記作像部と、
を備え、
前記画像読取部は、前記第1の作像部によって少なくとも一方の面に画像が形成されて前記第2の作像部によって少なくとも他方の面に画像が形成されたシートにいずれかの面の側から赤外線を照射して、両面にそれぞれ形成された画像を重ねて読み取ることを特徴とする請求項1~請求項10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
可視光が投光される条件下で視認できて赤外線を吸収可能な画像をシートの表面に形成可能な第1の作像部と、
可視光が投光される条件下で視認できず赤外線を吸収可能な画像をシートの表面に形成可能な第2の作像部と、
前記第2の作像部によってオモテ面とウラ面との余白にそれぞれ画像が形成されたシートに前記オモテ面又は前記ウラ面の側から赤外線を照射して、前記オモテ面に形成された画像と前記ウラ面に形成された画像とを重ねて読み取る画像読取部と、
前記画像読取部で読み取った画像から、前記オモテ面に形成された画像と、前記ウラ面に形成された画像と、の位置ズレを検出する位置ズレ検出手段と、
を備え、
前記第1の作像部を用いて通常の印刷動作を通常印刷用シートにおこなうときに、前記第2の作像部によって当該通常印刷用シートのオモテ面とウラ面との余白にそれぞれ形成した画像を前記画像読取部で重ねて読み取って、当該重ねて読み取った画像の位置ズレを前記位置ズレ検出手段で検出することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
通常の印刷動作中に、可視光が投光される条件下で視認できず赤外線を吸収可能な第1画像をシートのオモテ面に形成する工程と、
通常の印刷動作中に、可視光が投光される条件下で視認できず赤外線を吸収可能な第2画像を前記シートのウラ面に形成する工程と、
通常の印刷動作中に、前記シートに前記オモテ面又は前記ウラ面の側から赤外線を照射して、前記第1画像と前記第2画像とを重ねて読み取る工程と、
通常の印刷動作中に、前記第1画像と前記第2画像とを重ねて読み取る工程の後に、その読み取った情報に基づいて前記第1画像と前記第2画像との位置ズレを検出する工程と、
前記位置ズレを検出する工程の後であって、次の印刷動作がおこなわれるときに、その検出結果を反映して前記位置ズレを補正する工程と、
を備えたことを特徴とする画像形成方法。
【請求項14】
前記位置ズレを補正する工程は、前記検出結果に基づいて、作像部に向けてシートを搬送する搬送タイミングと、前記作像部において画像を形成する作像タイミングと、とのうち少なくとも一方を調整する工程であることを特徴とする請求項13に記載の画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙などのシートに画像を形成する画像形成装置と、その画像形成方法と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置において、シートのオモテ面とウラ面との両面にそれぞれ画像を形成することができるものが広く知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、特許文献1には、シートの両面の所望の位置にそれぞれ画像を位置ズレなく形成することを目的として、シートの両面にそれぞれ形成される画像の位置ズレ補正量を求める技術が開示されている。
具体的に、原稿の両面を読み取ることで得られる画像データを基にシートの両面に画像を形成して、原稿読取部の光源の光量を裏写り現象が発生する程度に調整した後に同じ原稿の片面を読み取ることで得られる画像データを基に原稿の片面画像と写り込んでいる裏面画像との位置関係を測定して、さらに先の工程でシートに形成した片面画像を読み取ることで得られる画像データを基にシートの片面画像と写り込んでいる裏面画像との位置関係を測定して、原稿及びシートの片面画像と裏面画像との位置関係の測定結果を基に、シートに形成される両面の画像の位置ズレ補正量を算出している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置は、シートのオモテ面とウラ面とにそれぞれ形成された画像の位置ズレを検出するのに、多くの工程が必要となっていて、処理時間が掛かっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、シートのオモテ面とウラ面とにそれぞれ形成された画像の位置ズレを短い時間で検出することができる、画像形成装置、及び、画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における画像形成装置は、可視光が投光される条件下で視認できず赤外線を吸収可能な画像をシートの表面に形成可能な作像部と、前記作像部によってオモテ面とウラ面とにそれぞれ画像が形成されたシートに前記オモテ面又は前記ウラ面の側から赤外線を照射して、前記オモテ面に形成された画像と前記ウラ面に形成された画像とを重ねて読み取る画像読取部と、前記画像読取部で読み取った画像から、前記オモテ面に形成された画像と、前記ウラ面に形成された画像と、の位置ズレを検出する位置ズレ検出手段と、を備え、通常の印刷動作において前記位置ズレ検出手段によって前記位置ズレを検出して、その検出結果を次の印刷動作に反映するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートのオモテ面とウラ面とにそれぞれ形成された画像の位置ズレを短い時間で検出することができる、画像形成装置、及び、画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】作像部を示す構成図である。
図3】赤外線センサを示す図である。
図4】画像形成装置における制御系の構成を示すブロック図である。
図5】(A)第1パターンが形成されたシートのオモテ面を示す図と、(B)第2パターンが形成されたシートのウラ面を示す図と、(C)赤外線センサにて第1パターンと第2パターンとを重ねて読み取った画像を示す図と、である。
図6】基準データと、赤外線線で読み取った第1、第2パターンと、を示す図である。
図7】変形例1としての、赤外線センサを示す図である。
図8】変形例2としての、画像形成装置を示す図である。
図9】変形例3としての、画像形成装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1及び図2にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としての電子写真方式のプリンタを示す構成図であり、図2はその作像部を示す拡大図である。
図1に示すように、画像形成装置本体1の上部には、書込み装置7が設置され、その下方に作像部6K(画像形成部)が設置されている。
作像部6Kは、赤外線(赤外光)を吸収可能な画像をシートPの表面に形成可能に構成されている。具体的に、作像部6Kは、赤外線を吸収可能な現像剤としてのトナーTを用いて画像を形成するものである。本実施の形態では、このようなトナーTとして、一般的に用いられる黒色トナーを用いている。したがって、作像部6Kによって形成される画像は、可視光が投光される条件下(通常の使用環境下である。)で視認できる画像であって、赤外線を吸収可能な画像となる。したがって、作像部6Kによって形成される画像は、モノクロ画像形成装置などで一般的に用いられるトナー(黒色トナー)によって形成される画像と同じ特性を有するものである。
【0011】
ここで、図2を参照して、作像部6Kは、像担持体としての感光体ドラム1と、感光体ドラム1の周囲に配設された帯電装置4、現像装置5、クリーニング装置2が一体化されたプロセスカートリッジである。そして、感光体ドラム1上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム1上に黒色の画像が形成されることになる。
【0012】
図2を参照して、像担持体としての感光体ドラム1は、メインモータによって時計方向に回転駆動される。そして、帯電装置4の位置で、感光体ドラム1の表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1の表面は、書込み装置7(露光装置)から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0013】
その後、感光体ドラム1の表面は、現像装置5(現像ローラ51)との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、トナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1の表面は、転写ローラ18との対向位置(転写ニップ)に達して、この位置で感光体ドラム1上のトナー像がシートP上に転写される(転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0014】
その後、感光体ドラム1の表面は、クリーニング装置2との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによって除去されてクリーニング装置2内に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム1の表面は、除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0015】
ここで、図1を参照して、転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体100の下方に配設された給紙ユニット26(給紙カセット)から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等が配設された搬送経路K1を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙ユニット26には、シートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図1の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPがレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0016】
レジストローラ対28(タイミングローラ対)に搬送されたシートPは、搬送モータ85(図4参照)による回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、感光体ドラム1上の画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、シートPが転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望の画像が転写される。
【0017】
その後、転写ニップの位置で画像が転写されたシートPは、定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ21及び加圧ローラ22による熱と圧力とにより、表面に転写された画像がシートP上に定着される(定着工程である。)。
その後、シートPは、排出経路K2を通過して、排紙ローラ対によって装置外へと排出される。排紙ローラ対によって装置外に排出されたシートPは、印刷物として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセス(印刷動作)が完了する。
なお、このようにして出力された印刷物は、可視光が投光される条件下(通常の使用環境下である。)で視認できる画像が形成されたものであるため、通常の印刷物として用いられることになる。
【0018】
ここで、本実施の形態における画像形成装置100には、定着装置20によってオモテ面に画像が定着された後のシートPの表裏を反転させて作像部6Kに導く両面搬送部30が設けられている。
そして、画像形成装置100でシートPの両面にそれぞれ画像を形成するモード(両面印刷モード)が選択されている場合には、オモテ面に画像が形成された定着工程後のシートPは、排出経路K2に導かれずに、両面搬送部30に導かれて、その後に転写ニップの位置に搬送されて、作像部6Kによってウラ面に所望の画像が形成されることになる。
詳しくは、両面印刷時において、オモテ面に画像が形成された定着工程後のシートPは、反転経路K3に搬送されて、搬送方向が逆転されて表裏が反転された後に、両面経路K4に搬送されて、再び搬送経路K1を経て転写ニップに搬送されることになる。そして、転写ニップで、作像部6Kによって、シートPのウラ面への画像の転写がおこなわれる。転写ニップの位置でウラ面への画像が転写されたシートPは、再び定着装置20の位置に搬送されて定着工程がおこなわれる。その後、シートPは、排出経路K2を通過して、排紙ローラ対によって装置外へと排出される。こうして、画像形成装置における、両面印刷動作が完了する。
【0019】
次に、図2を用いて、作像部6Kにおける現像装置5の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像装置5は、感光体ドラム1に当接する現像ローラ51(現像剤担持体)、現像ローラ51に当接するドクターブレード52(現像剤規制部材)、現像ローラ51に当接する供給ローラ53、装置内のトナーを撹拌する撹拌部材54、等で構成される。現像装置5内には、トナーT(1成分現像剤)が収容されている。このトナーTは、先に説明したように、赤外線を吸収可能なものである。
【0020】
このように構成された現像装置5は、次のように動作する。
現像装置5内で撹拌部材54によって撹拌・搬送されるトナーTの一部が、供給ローラ53に担持される。そして、供給ローラ53に担持されたトナーTは、現像ローラ51との摺接によって摩擦帯電して、その一部が現像ローラ51に担持される。そして、現像ローラ51に担持されたトナーは、ドクターブレード52によって適量化された後に、感光体ドラム1との対向位置(現像領域)に達する。このとき、現像ローラ51上のトナーは、ドクターブレード52との摺接によって摩擦帯電することになる。そして、現像領域で、適量化されたトナーが感光体ドラム1上の静電潜像に付着して、感光体ドラム1上にトナー像が形成されることになる。
また、上述した現像領域に形成される電界は、レーザ光Lの照射によって感光体ドラム1の表面に形成される露光電位(画像部電位)と、現像電源によって現像ローラ51に印加される現像バイアスと、の電位差によるものである。
【0021】
以下、本実施の形態において特徴的な、画像形成装置100の構成・動作について説明する。
先に図1等を用いて説明したように、画像形成装置100には、赤外線を吸収可能な画像をシートPの表面に形成可能な作像部6Kが設けられている。
ここで、本実施の形態における画像形成装置100には、図1に示すように、画像読取部としての赤外線センサ70が、作像部6KによってシートPの表面に形成された画像をその表面に定着する定着装置20に対して、搬送方向下流側(排出経路K2の位置である。)に配置されている。
この赤外線センサ70は、図3を参照して、作像部6Kによってオモテ面P1とウラ面P2とにそれぞれ画像が形成されたシートPにウラ面P2の側から赤外線R1~R3(図3参照)を照射して、図5(C)に示すように、オモテ面P1に形成された画像(図5(A)参照)とウラ面P2に形成された画像(図5(B)参照)とを重ねて読み取る画像読取部として機能するものである。
【0022】
詳しくは、図3に示すように、画像読取部としての赤外線センサ70は、主として、発光部71と受光部72とで構成されている。
発光部71は、搬送経路としての排出経路K2を実線矢印方向に搬送されるシートPの表面に対向して、その表面に向けて赤外線R1~R3を照射するものである。
受光部72は、排出経路K2(搬送経路)を介して発光部71に対向する位置に配置されている。具体的に、排出経路K2を通過するシートPを挟むように、上方に発光部71が配置され、下方に受光部72が配置されている。そして、受光部72は、排出経路K2(搬送経路)を搬送されるシートPにおける非画像部(画像G1、G2が形成されていない部分である。)を透過した赤外線を受光するものである。
【0023】
さらに、図3を用いて、赤外線センサ70が画像を読み取る原理について詳述する。
赤外線は、シートPなど比較的薄い媒体に照射されると、その一部は反射するものの、その多くは媒体(シートP)を透過する性質を有する。一方、本実施の形態において、作像部6KによってシートP上に形成される画像G1、G2(トナーT)は、赤外線を吸収する性質を有するものである。
そのため、シートPのウラ面P2に形成された画像G2に直接的に照射された赤外線R1は、そのまま画像G1に吸収されて、受光部72で受光されることはない。また、シートPのオモテ面P1に形成された画像G1の部分に照射された赤外線R2は、一旦シートPを透過するものの、その後に画像G2に吸収されて、受光部72で受光されることはない。これに対して、非画像部(オモテ面P1にもウラ面P2にも画像が形成されていない部分である。)に照射された赤外線R3は、そのままシートPを透過して、受光部72で受光されることになる。そして、受光部72が赤外線を受光すると、その受光した領域における電荷が変化して、受光しない領域と異なる出力がなされる。これにより、オモテ面P1に形成された画像G1(図5(A)参照)と、ウラ面P2に形成された画像G2(図5(B)参照)と、が重ねられた画像G1、G1が読取画像G(図5(C)参照)として赤外線センサ70(受光部72)によって読み取られることになる。
【0024】
なお、本実施の形態では、図3に示すように、作像部6Kによってオモテ面P1とウラ面P2とにそれぞれ画像が形成されたシートPに、ウラ面P2の側から赤外線R1~R3を照射するように赤外線センサ70を構成したが、オモテ面P1の側から赤外線R1~R3を照射するように赤外線センサ70を構成することもできる。すなわち、排出経路K2を通過するシートPを挟むように、下方に発光部71を配置して、上方に受光部72を配置することもできる。
そして、そのような場合であっても、オモテ面P1に形成された画像G1と、ウラ面P2に形成された画像G2と、が重ねられた画像G1、G1が読取画像Gとして赤外線センサ70(受光部72)によって読み取られることになる。
【0025】
ここで、図4に示すように、画像形成装置100には、赤外線センサ70の出力(画像を読み取った結果)が入力されて処理される演算部81が制御部80に設けられている。
そして、この演算部81は、赤外線センサ70(画像読取部)で読み取った画像Gから、オモテ面P1に形成された画像G1と、ウラ面P2に形成された画像G2と、の位置ズレを検出する位置ズレ検出手段として機能する。
詳しくは、図6を参照して、位置ズレ検出手段としての演算部81は、赤外線センサ70(画像読取部)で読み取った画像G(図5(C)参照)を、制御部80の記憶部82(図4参照)に予め記憶された位置ズレのない画像の基準データGKと比較することで、その位置ズレの量を検出するものである。
【0026】
さらに具体的に、このような赤外線センサ70を用いた両面画像の読み取り(及び、位置ズレ検出)は、通常の印刷動作がおこなわれないタイミングで、両面印刷モードにて検出用の画像を印刷することによっておこなう。以降、このような制御を適宜に「位置ズレ検出モード」と呼ぶ。
位置ズレ検出モードをおこなうタイミングとしては、例えば、通常の印刷が開始される前のウォーミングアップ時のタイミングであっても良いし、ユーザーが操作表示パネル90(図1図4参照)の調整ボタンを操作しておこなう任意のタイミングであっても良い。
そして、位置ズレ検出モードが実行されると、通常の両面印刷時と同様に、給紙ユニット26から給送されたシートPの両面にそれぞれ検出用の画像G1、G2が形成される。
【0027】
具体的に、まず、シートPのオモテ面P1に図5(A)に示すような第1画像G1(第1パターン)が形成されて、次に、ウラ面P2に図5(B)に示すような第2画像G2(第2パターン)が形成される。第1、第2画像G1、G2は、いずれも、シートPの四隅にそれぞれ形成された略L字状のパターン(主走査方向に延在する線分と、副走査方向に延在する線分と、で直角な角部を形成したパターンである。)である。また、四隅の第1画像G1は、いずれも、その角部が外側を向いていて、四隅の第2画像G2は、いずれも、その角部が内側を向いている。
そして、両面P1、P2にそれぞれ上述したような画像G1、G2が形成されたシートPは、赤外線センサ70によって、図5(C)に示すように、第1、第2画像G1、G2が重なった画像Gとして読み取られることになる。
【0028】
このとき、オモテ面P1の第1画像G1と、ウラ面P2の第2画像G2と、に位置ズレが生じていないときには、図5(C)、図6(B1)に示すように、第1画像G1と第2画像G2とを重ねた画像がきれいな長方形になる。この画像は、位置ズレのない狙いの状態であるものとして、図6(A)に示すように基本データGKとして記憶部82に記憶されている。したがって、演算部81(制御部80)で、赤外線センサ70で読み取った画像Gと、基準データGKと、が比較されて、それらがほぼ一致するものと判別された場合には、両面の画像G1、G2に位置ズレが生じていないものと判断する。このような状態のときには、通常の両面印刷モードをおこなっても、両面の画像がそれぞれ所望の位置に位置ズレなく形成されることになる。
【0029】
これに対して、オモテ面P1の第1画像G1と、ウラ面P2の第2画像G2と、に副走査方向(シートPの搬送方向に一致する方向である。)の位置ズレが生じているときには、図6(B2)、図6(B3)に示すように、第1画像G1と第2画像G2とを重ねた画像が、きれいな長方形から副走査方向にずれた形になる。したがって、演算部81(制御部80)で、赤外線センサ70で読み取った画像Gと、基準データGKと、が比較されて、それらが一致しないものと判別された場合には、両面の画像G1、G2に位置ズレが生じているものと判断する。このような状態のときには、通常の両面印刷モードをおこなっても、両面の画像が位置ズレして形成されることになる。
【0030】
そして、本実施の形態では、調整手段としての制御部80によって、演算部81(位置ズレ検出手段)の検出結果から両面画像の位置ズレが生じないように、作像部6Kに向けてシートPを搬送する搬送タイミングと、作像部6Kにおいて画像を形成する作像タイミングと、とのうち少なくとも一方を調整している。
これは、上述したような位置ズレが生じるのが、オモテ面P1に画像を形成するときのシートPの搬送タイミングや作像タイミングに対して、ウラ面P2に画像を形成するときのものがズレてしまうことが主たる原因となっているためである。
【0031】
具体的に、本実施の形態では、レジストローラ対28(又は、搬送経路K1~K4に配置された搬送ローラ対)を回転駆動する搬送モータ85(図4参照)が設置されている。
そして、図6(B2)に示すように、第1画像G1に対して第2画像G2が搬送方向(矢印方向)の下流側に所定量X1の位置ズレしている状態が検出された場合には、第1画像G1に対して第2画像G2が遅れて形成されているものとして、ウラ面P2に画像を形成するときの搬送タイミングを早めて位置ズレ量X1が相殺されるように、制御部80(調整手段)によって搬送モータ85の駆動開始タイミング(又は駆動速度)を調整制御する。
これに対して、図6(B3)に示すように、第1画像G1に対して第2画像G2が搬送方向(矢印方向)の上流側に所定量X2の位置ズレしている状態が検出された場合には、第1画像G1に対して第2画像G2が早目に形成されているものとして、ウラ面P2に画像を形成するときの搬送タイミングを遅くして位置ズレ量X2が相殺されるように、制御部80(調整手段)によって搬送モータ85の駆動開始タイミング(又は駆動速度)を調整制御する。
【0032】
また、本実施の形態において、書込み装置7は、感光体ドラム1上に画像を形成する作像タイミング(副走査方向の書込みを開始する書込みタイミングである。)を調整可能に構成されている。
そして、図6(B2)に示すように、第1画像G1に対して第2画像G2が搬送方向(矢印方向)の下流側に所定量X1の位置ズレしている状態が検出された場合には、第1画像G1に対して第2画像G2が遅れて形成されているものとして、ウラ面P2に画像を形成するときの作像タイミングを早めて位置ズレ量X1が相殺されるように、制御部80(調整手段)によって書込み装置7の書込みタイミングを調整制御する。
これに対して、図6(B3)に示すように、第1画像G1に対して第2画像G2が搬送方向(矢印方向)の上流側に所定量X2の位置ズレしている状態が検出された場合には、第1画像G1に対して第2画像G2が早目に形成されているものとして、ウラ面P2に画像を形成するときの作像タイミングを遅くして位置ズレ量X2が相殺されるように、制御部80(調整手段)によって書込み装置7の書込みタイミングを調整制御する。
【0033】
このような調整制御をおこなうことで、次におこなわれる両面印刷動作において、両面画像の位置ズレが生じないようにすることができる。
なお、上述した制御部80(調整手段)による調整制御は、作像部6Kに向けてシートPを搬送する搬送タイミングのみの調整としても良いし、作像部6Kにおいて画像を形成する作像タイミングのみの調整としても良い。
【0034】
このように、本実施の形態における画像形成装置100における位置ズレ検出モード時の画像形成方法は、赤外線を吸収可能な第1画像G1をシートPのオモテ面P1に形成する工程と、赤外線を吸収可能な第2画像G2をシートPのウラ面P2に形成する工程と、シートPにオモテ面P1又はウラ面P2の側から赤外線を照射して第1画像G1と第2画像G2とを重ねて読み取る工程と、がおこなわれるものである。
そして、第1画像G1と第2画像G2とを重ねて読み取る工程の後に、その読み取った情報に基づいて第1画像G1と第2画像G2との位置ズレを検出する工程がおこなわれるものである。
さらには、第1画像G1と第2画像G2との位置ズレを検出する工程の後に、その検出結果に基づいて、作像部6Kに向けてシートPを搬送する搬送タイミングと、作像部6Kにおいて画像を形成する作像タイミングと、とのうち少なくとも一方を調整する工程がおこなわれるものである。
【0035】
本実施の形態では、シートPのオモテ面とウラ面とにそれぞれ形成された画像を重ねて読み取ることができる赤外線センサ70を用いているため、比較的少ない工程で、短い処理時間で、両面画像の位置ズレを簡単に検出することが可能になる。
そのため、長い待ち時間が生じることなく、位置ズレのない両面印刷をおこなうことができる。
【0036】
ここで、本実施の形態において、上述したように演算部81(位置ズレ検出手段)によって両面画像G1、G2の位置ズレが検出されたときに、その旨を操作表示パネル90(表示部)に通知するように制御することもできる。
そのような操作表示パネル90への通知(表示)としては、例えば、「両面印刷時に画像がズレる可能性があるため、次の手順にしたがって調整作業を進めてください」などである。
このような制御をおこなうことで、ユーザーは、必要に応じて良好なタイミングで、両面印刷の位置ズレを補正することが可能になる。
【0037】
また、本実施の形態において、赤外線センサ70(画像読取部)によって画像が読み取られるシートPの厚さを検知する厚さ検知手段を設けて、その厚さ検知手段の検知結果に基づいてシートPに照射する赤外線の光量を調整するように赤外線センサ70を構成することもできる。
これは、シートPの厚さ(シート厚)が厚い場合には、薄い場合に比べて、赤外線が透過されにくくなり、両面画像の位置ズレを正常に検出できなくなる可能性があるためである。したがって、シートPの厚さが厚い場合には、薄い場合に比べて、赤外線の光量が大きくなるように制御部80によって赤外線センサ70の発光部71を調整することで、そのような不具合を生じにくくすることができる。
なお、厚さ検知手段としては、搬送経路K1においてシートPの厚さを直接的に検知する測距センサなどのシート厚センサ95(図1図4参照)を用いることもできるし、ユーザーによって操作表示パネル90に入力されたシートPの情報に基づいてシートPの厚さを検知する制御部80を用いることもできる。
【0038】
<変形例1>
図7に示すように、変形例1における赤外線センサ70は、受光部72が、排出経路K2(搬送経路)に対して発光部71が設置された側(図7において、シートPに対して、下方ではなく、上方である。)に配置されている。そして、受光部72は、排出経路K2を搬送されるシートPにおける非画像部で反射した赤外線を受光する。
このように構成された赤外線センサ70では、シートPのウラ面P2に形成された画像G2に直接的に照射された赤外線R1は、そのまま画像G1に吸収されて、受光部72で受光されることはない。また、シートPのオモテ面P1に形成された画像G1の部分に照射された赤外線R2は、一旦シートPを透過するものの、その後に画像G2に吸収されて、受光部72で受光されることはない。これに対して、非画像部(オモテ面P1にもウラ面P2にも画像が形成されていない部分である。)に照射された赤外線は、ウラ面P2で直接的に反射して反射光R4として受光されたり、シートPを透過した後にオモテ面P1の内側で反射してウラ面P2側から射出される反射光R5として受光されたりする。そして、受光部72が赤外線を受光すると、その受光した領域における電荷が変化して、受光しない領域と異なる出力がなされる。これにより、オモテ面P1に形成された画像G1(図5(A)参照)と、ウラ面P2に形成された画像G2(図5(B)参照)と、が重ねられた画像G1、G1が読取画像G(図5(C)参照)として赤外線センサ70(受光部72)によって読み取られることになる。
このように構成された赤外線センサ70を用いた場合であっても、シートPのオモテ面とウラ面とにそれぞれ形成された画像G1、G2の位置ズレを短い時間で検出することができる。
【0039】
<変形例2>
図8に示すように、変形例2における画像形成装置200には、2つの作像部6K、6Sが設置されている。
第1の作像部6Kは、可視光が投光される条件下で視認できて赤外線を吸収可能な画像をシートPの表面に形成可能な作像部であって、図1等を用いて説明したものと同様のものである。
これに対して、第2の作像部6Sは、可視光が投光される条件下で視認できず赤外線を吸収可能な画像をシートPの表面に形成可能な作像部である。したがって、第2の作像部6Sによって両面画像G1、G2を形成した場合には、第1の作像部6Kによって両面画像G1、G2を形成した場合と同様に、赤外線センサ70によって両面画像G1、G2を重ねて読み取ることができる。しかし、第2の作像部6Sによって形成した画像は、第1の作像部6Kによって形成した画像とは異なり、通常の使用環境下で肉眼では透明なものとして視認できない。
したがって、赤外線センサ70(画像読取部)によって、第1の作像部6Kによって少なくとも一方の面(例えば、オモテ面P1である。)に画像が形成されて第2の作像部6Sによって少なくとも他方の面(例えば、ウラ面である。)に画像が形成されたシートPにいずれかの面の側から赤外線を照射して、両面にそれぞれ形成された画像G1、G2を重ねて読み取るようにすることで、少なくとも他方の面は画像がないように肉眼で視認されることになる。
特に、第1の作像部6Kを用いて通常の印刷動作(片面印刷でも両面印刷でも両面搬送部30を用いることになる。)をおこなうときに、第2の作像部6Sによって先に図5を用いて説明したような検出用の両面画像G1、G2(パターン)を余白(通常画像が形成されない領域である。)に形成して、その両面画像G1、G2の位置ズレを赤外線センサ70を用いて検出する。すなわち、両面搬送部30を通過した通常の印刷物が装置から排出される直前に、透明な両面画像G1、G2の位置ズレが検出される。この印刷物は、検出用の両面画像G1、G2が透明で視認できないものであるため、通常の印刷物として使用することが可能である。そして、そのように位置ズレを検出して、位置ズレがある場合には、次の印刷動作において、その検出結果が反映されるように、検出結果に基づいた搬送タイミングや作像タイミングの調整がおこなわれる。
このようにすることにより、通常の印刷動作において両面画像の位置ズレを検出することが可能になるため、位置ズレ検出から通常の印刷が終了するまでの時間を減ずることができる。
なお、このような動作を可能にするため、変形例2における画像形成装置200は、第1の作像部6Kで形成した画像と、第2の作像部6Sで形成した画像と、を同時にシートPに転写することができるように、中間転写ベルト8(中間転写体)が設けられている。具体的に、第1の作像部6Kで形成した画像と、第2の作像部6Sで形成した画像と、が中間転写ベルト8の表面に1次転写される。そして、そのように中間転写ベルト8の表面に1次転写された画像が、2次転写ローラ19(2次転写ニップ)の位置でシートP上に2次転写されることになる。
また、第2の作像部6Sは、現像装置5に収容されたトナーの種類が異なる以外は、第1の作像部6Kとほぼ同等に構成されている。第2の作像部6Sで用いられるトナーは、可視光が投光される条件下で視認できず赤外線を吸収可能なものであって、「IRトナー」と呼ばれるものである。このような「IRトナー」としては、例えば、特開2019-117352号公報に開示されているものを用いることができる。
【0040】
<変形例3>
図9は、変形例3における画像形成装置300はインクジェット方式のカラープリンタであって、作像部3K、3Y,3M、3Cは、赤外線を吸収可能な現像剤としてのインクを用いて画像を形成するものとなっている。
また、変形例3における画像形成装置300には、4色(黒色、イエロー、マゼンタ、シアン)に対応した作像部3K、3Y,3M、3Cが設置されている。4つの作像部3K、3Y,3M、3Cは、インクの色(種類)が異なる以外はほぼ同一構造である。作像部3K、3Y,3M、3Cは、その主部が圧電アクチュエータで構成されていて、インクを吐出するノズルや、インクが充填されたインクタンクや、制御基板などが設けられている。そして、搬送経路を搬送されるシートP上に、各色の作像部3K、3Y,3M、3Cから書込み情報に基づいてインクが順次吹き付けられて、シートP上に所望の画像が形成されることになる。
ここで、変形例3においても、赤外線センサ70によって両面画像G1、G2の位置ズレを検出して、位置ズレ量に応じて搬送タイミングや作像タイミング(インクを吐出するタイミングである。)を調整している。このような位置ズレ補正は各色についておこなうことができる。
なお、変形例3における画像形成装置300はインクジェット方式のカラープリンタとしたが、電子写真方式のカラープリンタに対しても同じように各色について両面画像の位置ズレ補正をおこなうことができる。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態における画像形成装置100は、赤外線を吸収可能な画像をシートPの表面に形成可能な作像部6Kが設けられている。また、作像部6Kによってオモテ面P1とウラ面P2とにそれぞれ画像G1、G2が形成されたシートPにオモテ面P1又はウラ面P2の側から赤外線を照射して、オモテ面P1に形成された画像G1とウラ面P2に形成された画像G2とを重ねて読み取る赤外線センサ70(画像読取部)が設けられている。
これにより、シートPのオモテ面とウラ面とにそれぞれ形成された画像G1、G2の位置ズレを短い時間で検出することができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、作像部6Kをそれぞれプロセスカートリッジとして構成して、作像部6Kのメンテナンス性を高めているが、作像部6Kをプロセスカートリッジとして構成しなくてもよい。
なお、本願明細書等において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、像担持体上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも1つと、像担持体とが、一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるユニットと定義する。
【0043】
また、本実施の形態では、作像部6Kにおける現像装置5として1成分現像方式のものを用いたが、現像装置として2成分現像方式のものを用いることもできる。その場合、現像装置には、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤が収容されて、現像装置内のトナー消費に合わせてトナー容器から現像装置に適宜にトナーが補給されることになる。また、そのような場合に、第1作像部6Kの現像装置5に補給されるトナーは赤外線を吸収可能なものとなる。
また、本実施の形態では、両面画像G1、G2の副走査方向(搬送方向)の位置ズレを検出して、副走査方向の位置ズレを補正するように構成している。これに対して、両面画像G1、G2の主走査方向(搬送方向に直交する方向である。)の位置ズレを検出して、主走査方向の位置ズレを補正するように構成することもできる。その場合、赤外線センサで読み取った画像の基準データに対する主走査方向の位置ズレ量が位置ズレ検出手段によって検出されて、その検出結果に基づいて書込み装置の主走査方向の書込みタイミングなどが調整制御されることになる。
また、本実施の形態では、両面印刷をおこなうための両面搬送部30が設けられた画像形成装置100に対して本発明を適用したが、両面搬送部が設けられておらず、シートのオモテ面に画像を形成する作像部と、ウラ面に画像を形成する作像部と、が搬送経路を挟んで配置されて、オモテ面側への画像形成とウラ面側への画像形成とをワンパスでおこなうような画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0044】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0045】
なお、本願明細書等において、「シート」とは、用紙(紙)に限定されることなく、シート状の記録媒体(媒体)のすべて、例えば、コート紙、ラベル紙、OHPシート、等も含むものと定義する。
【符号の説明】
【0046】
6K 作像部(第1の作像部)、
6S 第2の作像部、
7 書込み装置、
20 定着装置、
30 両面搬送部、
70 赤外線センサ(画像読取部)、
71 発光部、
72 受光部、
80 制御部(調整手段)、
81 演算部(位置ズレ検出手段)、
82 記憶部、
90 操作表示パネル、
95 シート厚センサ(厚さ検知手段)、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)、
P シート(記録媒体)、
P1 オモテ面、 P2 ウラ面、
G1 第1画像(第1パターン)、 G2 第2画像(第2パターン)、
R1~R5 赤外線(赤外光)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【文献】特許第4994271号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9