(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】プロセスカートリッジ、プロセスカートリッジの製造方法、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
G03G21/18 121
G03G21/18 110
(21)【出願番号】P 2020093476
(22)【出願日】2020-05-28
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(72)【発明者】
【氏名】田中 公浩
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-133541(JP,A)
【文献】実開平04-119458(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体と離間して配設される現像剤担持体と、前記像担持体を収容する第一筐体と、前記現像剤担持体を収容する第二筐体と、前記第一筐体及び前記第二筐体を固定する固定板部材と、を備え、
前記固定板部材は、締結部材を挿通可能な複数の開口部と、前記像担持体を回動自在に保持する像担持体保持部と、前記現像剤担持体回転中心軸を挿通する貫通孔と、を有し、
前記貫通孔の開口径は、前記像担持体の回転中心と前記現像剤担持体の回転中心とを結ぶ直線方向において、前記現像剤担持体回転中心軸の径よりも大きく、前記像担持体の回転中心と前記現像剤担持体の回転中心とを結ぶ直線と直交する方向において、前記現像剤担持体回転中心軸の径と略同一であり、
前記固定板部材が前記締結部材により前記第一筐体及び前記第二筐体に締結固定されたとき、前記現像剤担持体回転中心軸は前記像担持体の回転中心と前記現像剤担持体の回転中心とを結ぶ直線方向において前記貫通孔の内壁と当接しないことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項2】
前記貫通孔に挿通された前記現像剤担持体回転中心軸を、前記像担持体と最も近接する位置へ移動させたとき、前記像担持体と前記現像剤担持体とが当接しないことを特徴とする請求項
1に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項3】
前記像担持体は前記第一筐体及び前記固定板部材に回動可能に保持され、前記現像剤担持体は前記第二筐体に回転可能に保持され、
前記像担持体と前記現像剤担持体との離間距離は、前記固定板部材が前記第二筐体に締結固定されることにより規定されることを特徴とする請求項
1または2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記締結部材は、ロック剤が塗布されていることを特徴とする請求項
1または2に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項5】
前記締結部材は、座金付きねじであることを特徴とする請求項1から
4のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項6】
前記締結部材は、セレーション付きねじであることを特徴とする請求項1から
4のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記固定板部材と前記第二筐体とを締結する前記締結部材による締結位置の少なくとも一つは、
前記像担持体の回転中心と前記現像剤担持体の回転中心とを結ぶ直線に沿った方向において、挿通する前記現像剤担持体回転中心軸の中心よりも前記第二筐体側の端部に近い位置にあることを特徴とする請求項1から
6のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
前記固定板部材と前記第一筐体とを締結する前記締結部材による締結位置の少なくとも一つは、前記像担持体の回転中心と前記現像剤担持体の回転中心とを結ぶ直線に沿った方向において、前記像担持体の回転中心よりも前記第一筐体側の端部に近い位置にあることを特徴とする請求項1から
7のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項9】
前記固定板部材と、前記第一筐体及び前記第二筐体とを締結する前記締結部材による締結箇所が三つ以上であることを特徴とする請求項1から
8のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項10】
前記固定板部材と前記第一筐体とを締結する前記締結部材による締結位置が、前記像担持体の回転中心と前記現像剤担持体回転中心とを結ぶ直線により分割された二つの領域に、それぞれ一つ以上設けられたことを特徴とする請求項1から
9のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項11】
前記固定板部材と前記第二筐体とを締結する前記締結部材による締結位置が、前記像担持体の回転中心と前記現像剤担持体回転中心とを結ぶ直線により分割された二つの領域に、それぞれ一つ以上設けられたことを特徴とする請求項1から
9のいずれかに記載のプロセスカートリッジ。
【請求項12】
像担持体と、前記像担持体と離間して配設される現像剤担持体と、前記像担持体を収容する第一筐体と、前記現像剤担持体を収容する第二筐体と、前記第一筐体及び前記第二筐体を固定する固定板部材と、を備え、前記固定板部材が、締結部材を挿通可能な複数の開口部と、前記像担持体を回動自在に保持する像担持体保持部と、前記現像剤担持体回転中心軸を挿通する貫通孔と、を有するプロセスカートリッジの製造方法において、
前記第一筐体と前記固定板部材とを前記締結部材で締結する工程の後、
前記像担持体と前記現像剤担持体との離間距離を調整する治具を前記像担持体及び前記現像剤担持体回転中心軸に当接させた状態で、前記治具に形成された開口部を介して前記第二筐体と前記固定板部材とを締結する工程を行うことを特徴とするプロセスカートリッジの製造方法。
【請求項13】
請求項1から
11のいずれかに記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスカートリッジ、プロセスカートリッジの製造方法、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、感光体ドラム(以下、「像担持体」という)と現像ローラ(以下、「現像剤担持体」という)とを筐体内に収納し、これらの像担持体や現像剤担持体の交換を筐体ごと同時に行うようにしたプロセスカートリッジが普及している。このようなプロセスカートリッジでは、像担持体と現像剤担持体との間隔(以下、「現像ギャップ(PG)ともいう」)が変動しないように、正確に位置決めすることが必要となる。
【0003】
像担持体と現像剤担持体との位置決めは、例えば、それぞれの回転軸(回転中心軸)を保持する保持部材を設け、その保持部材を筐体の側板などに形成した取付部に取り付けることにより行う方法が知られている。
【0004】
しかしながら、位置決め部品である保持部材の寸法精度にはバラツキがあり、また、この保持部材を取り付けるために形成した取付部の位置精度にもバラツキがある。そして、このようなバラツキが積み上げられることにより、像担持体と現像剤担持体との取付位置精度が悪くなるという問題がある。
【0005】
これに対し、特許文献1では、部品点数を大幅に増やすことなく、装置強度向上のための部品重量アップを行わずに簡単な構成で、かつ容易な調整機構を設けることで、各作像プロセスカートリッジの位置決めが可能な構成にし、高精度な狭PGを確保できる画像形成装置として、本体側板に一体化された位置決めホルダーを備え、該位置決めホルダーが、感光体の位置決めする基準軸と、現像ローラの位置決めする現像ローラ軸受けと、を有し、かつ、現像ローラ軸受けの内径と外形に偏芯を持たせているものが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現像ギャップ(PG)は、画像濃度やキャリア付着画像等の画像品質及びトナー飛散等の機械品質を左右する重要な特性値であるため、厳しい公差が求められる。
特許文献1の画像形成装置では、面板(プレート状の部品)により位置決めと筐体の固定とを行うため、部品の寸法精度のバラツキの影響を回避することは困難であり、現像ギャップを安定させることが難しくなるおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、部品の寸法精度の影響を回避し、像担持体と現像剤担持体との間に形成される現像ギャップを安定化させることが可能なプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のプロセスカートリッジは、像担持体と、前記像担持体と離間して配設される現像剤担持体と、前記像担持体を収容する第一筐体と、前記現像剤担持体を収容する第二筐体と、前記第一筐体及び前記第二筐体を固定する固定板部材と、を備え、前記固定板部材は、締結部材を挿通可能な複数の開口部と、前記像担持体を回動自在に保持する像担持体保持部と、前記現像剤担持体回転中心軸を挿通する貫通孔と、を有し、前記貫通孔の開口径は、前記像担持体の回転中心と前記現像剤担持体の回転中心とを結ぶ直線方向において、前記現像剤担持体回転中心軸の径よりも大きく、前記像担持体の回転中心と前記現像剤担持体の回転中心とを結ぶ直線と直交する方向において、前記現像剤担持体回転中心軸の径と略同一であり、前記固定板部材が前記締結部材により前記第一筐体及び前記第二筐体に締結固定されたとき、前記現像剤担持体回転中心軸は前記像担持体の回転中心と前記現像剤担持体の回転中心とを結ぶ直線方向において前記貫通孔の内壁と当接しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、部品寸法精度の影響を回避し、像担持体と現像剤担持体との間に形成される現像ギャップを安定化させることが可能なプロセスカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】像担持体を収容する第一筐体と、現像剤担持体を収容する第二筐体の外観を模式的に示す側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るプロセスカートリッジの外観斜視図である。
【
図3】従来のプロセスカートリッジの外観斜視図である。
【
図4】(A)は本発明に係るプロセスカートリッジの固定板部材を模式的に示す説明図であり、(B)は従来のプロセスカートリッジの位置固定部材を模式的に示す説明図である。
【
図5】治具を用いた固定板部材の締結固定を示す説明図である。
【
図6】固定板部材における締結部材の配置の例を示す説明図である。
【
図7】固定板部材における締結部材の配置の例を示す説明図である。
【
図8】固定板部材における締結部材の配置の例を示す説明図である。
【
図9】固定板部材における締結部材の配置の例を示す説明図である。
【
図10】本発明の第二の実施形態に係るプロセスカートリッジの固定板部材を模式的に示す説明図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るプロセスカートリッジ、プロセスカートリッジの製造方法、及び画像形成装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0012】
[プロセスカートリッジ]
プロセスカートリッジを構成する筐体の側面図の一例を
図1に示す。
プロセスカートリッジは、像担持体(感光体ドラム)20を収容する第一筐体(感光体ユニット)61と、現像剤担持体(現像ローラ)41を収容する第二筐体(現像ユニット)62とを連結固定することにより形成される。各筐体内には各種のプロセス部材が収納されている。
【0013】
図3は、従来のプロセスカートリッジの一例を示す斜視図である。
図3に示す従来のプロセスカートリッジは、像担持体20を収容する第一筐体61と、現像剤担持体41を収容する第二筐体62とが、位置固定部材68により連結固定されている。
第一筐体61及び第二筐体62に取付けられた位置固定部材68の模式図を、
図4(B)に示す。
像担持体20と現像剤担持体回転中心軸41aは、位置固定部材68に形成された像担持体保持部67と貫通孔66により位置決めされる。位置固定部材68は、締結部材65が挿通される開口部64が形成されている。位置固定部材68を、締結部材65(65a~65c)を用いて第一筐体61及び第二筐体62に締結固定することによりプロセスカートリッジが形成される。
【0014】
図3に示す従来のプロセスカートリッジでは、位置固定部材68の一部品により位置決めと固定とを行うことにより公差積み上げを低減することができる。しかしながら、位置固定部材68自体の部品バラツキにより、現像ギャップの安定化が困難となるおそれがある。
【0015】
これに対し、本発明に係るプロセスカートリッジは、第一筐体61及び第二筐体62を固定する部材は、筐体間を固定する機能のみを有するものとし、像担持体20と現像剤担持体41との位置決めは別途治具等により実施するため、固定に用いる部品の寸法精度の影響を回避し、像担持体20と現像剤担持体41との取付位置精度が高められ、現像ギャップを安定化させることができる。
【0016】
(第一の実施形態)
本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジを
図2に示す。
図2に示す本実施形態のプロセスカートリッジは、像担持体20と、像担持体20と離間して配設される現像剤担持体41と、像担持体20を収容する第一筐体61と、現像剤担持体41を収容する第二筐体62と、第一筐体61及び第二筐体62を固定する固定板部材63と、を備えている。
【0017】
固定板部材63の模式図を
図4(A)に示す。
固定板部材63は、締結部材65を挿通可能な複数の開口部64と、像担持体20を回動自在に保持する像担持体保持部67と、現像剤担持体回転中心軸41aを挿通する貫通孔66と、を有し、貫通孔66の開口径は現像剤担持体回転中心軸41aの径より大きく、固定板部材63が締結部材65により第一筐体61及び第二筐体62に締結固定されたとき、現像剤担持体回転中心軸41aは貫通孔66の内壁と当接しない。
像担持体20と現像剤担持体41とは、所定の離間距離を有した状態で固定されている。
【0018】
像担持体20は第一筐体61及び固定板部材63に回動可能に保持され、現像剤担持体41は第二筐体62に回転可能に保持される。
像担持体20と現像剤担持体41との離間距離は、固定板部材63が第二筐体62に締結固定されることにより規定されるが、現像剤担持体41は固定板部材63によっては位置固定されず、固定板部材63の締結工程において別途治具により位置決めされる。
【0019】
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、まず、第一筐体61と固定板部材63とを締結部材65(65a及び65b)で締結した後、像担持体20と現像剤担持体41との離間距離が所定の距離となるように調整しながら第二筐体62と固定板部材63とを締結部材65(65c及び65d)を行うことにより組み立てることができる。
像担持体20と現像剤担持体41との離間距離が所定の距離となるように調整する方法としては、離間距離を測定可能な手段を用いる方法や、予め規定された距離となるように形成された治具等を用いる方法が挙げられる。
【0020】
図5は、像担持体20と現像剤担持体41との離間距離を調整可能な治具を80用いて固定板部材63を取付ける状態を示す説明図である。
図5に示すように、像担持体20と現像剤担持体41との離間距離を調整する治具80を像担持体20及び現像剤担持体回転中心軸41aに当接させた状態で、治具80に形成された開口部81を介して第二筐体62と固定板部材63とを締結する。
【0021】
像担持体20は固定板部材63に形成された像担持体保持部67により保持されているが、現像剤担持体回転中心軸41aは、
図2及び
図4(A)に示したように貫通孔66の内壁と当接せず、固定されていない。このため、固定板部材63の部品精度に影響されることなく、安定した現像ギャップが得られる。
【0022】
締結部材65としては、例えば、第一筐体及び第二筐体に形成されたねじ穴に螺合するねじが挙げられる。
締結部材65には、ロック剤が塗布されていることが好ましい。ロック剤としては特に限定されず、例えば接着剤、紫外線硬化型樹脂などの公知のものを使用することができる。
例えば、締結部材65に予めロック剤を塗布し、締結対象のねじ穴に挿通することができる。塗布したロック剤が硬化することにより締結部材65の回転が防止され、固定板部材63の第一筐体61及び第二筐体62に対する固定強度を向上させることができる。固定強度の向上により、現像ギャップの安定化を実現することができる。
【0023】
また、締結部材65としては、座金付きねじを適用することができる。
締結部材65として座金付きねじを用いることにより、緩み止め効果が得られ、他の部品や構造を用いることなく固定強度の向上を実現することができるため、現像ギャップの安定化と省スペースとを両立させることができる。
【0024】
また、締結部材65としては、セレーション付きねじを適用することができる。
締結部材65としてセレーション付きねじを用いることにより、緩み止め効果が得られ、他の部品や構造を用いることなく固定強度の向上を実現することができるため、現像ギャップの安定化と省スペースとを両立させることができる。
【0025】
(第二の実施形態)
本実施形態に係るプロセスカートリッジの固定板部材63の模式図を
図10に示す。
図10に示すように、本実施形態のプロセスカートリッジの固定板部材63の貫通孔66の開口径は、像担持体20の回転中心と現像剤担持体41の回転中心とを結ぶ直線方向において、現像剤担持体回転中心軸41aの径よりも大きく、像担持体20の回転中心と現像剤担持体41の回転中心とを結ぶ直線と直交する方向において、現像剤担持体回転中心軸41aの径と略同一である。
【0026】
図10(A)に示すように、固定板部材63が締結部材65により第一筐体61及び第二筐体62に締結固定されたとき、現像剤担持体回転中心軸41aは像担持体20の回転中心と現像剤担持体41の回転中心とを結ぶ直線方向において、貫通孔66の内壁と当接しない。像担持体20と現像剤担持体41とは、所定の離間距離を有した状態で固定されている。
本実施形態によれば、現像ギャップ方向を調整しながら組み付けつつも、現像剤担持体41の像担持体20に対する回転方向の位置は固定板部材63によって決まることとなる。また、組立時に一方向のみを調整すればよい為、プロセスカートリッジ組立に使う装置の構成を簡素化することができる。
【0027】
また、
図10(B)に示すように、固定板部材63を第一筐体61及び第二筐体62に当接させ、締結固定する前後において、貫通孔66に挿通された現像剤担持体回転中心軸41aを、像担持体20と最も近接する位置へ移動させたとき、像担持体20と現像剤担持体41とが当接しない。
現像剤担持体中心軸41aを最も像担持体20側に寄せたときに、像担持体20と現像剤担持体41との間に現像ギャップよりも小さい隙間ができるように貫通孔の内壁位置を設計することが好ましい。
これにより、固定板部材63の締結固定作業時においても像担持体20と現像剤担持体41との接触による損傷を防止しつつ、現像ギャップの固定が可能となる。
【0028】
固定板部材63における締結部材65による締着位置を適切に設定することにより、第一筐体61及び第二筐体62に対する固定強度と、固定精度を向上させることができる。
なお、固定板部材63と、第一筐体61及び第二筐体62とを締結する締結部材65による締結箇所は、三つ以上であることが好ましい。
以下、本実施形態のプロセスカートリッジの固定板部材63における締結部材65の配置の例を示す。
【0029】
(第一の配置例)
本実施形態を
図6に基づき説明する。
図6(A)は、固定板部材63が第一筐体61及び第二筐体62に締着固定された状態を模式的に示す図である。図中L1は像担持体20の回転中心と現像剤担持体41の回転中心とを結ぶ直線であり、L2は像担持体20の回転中心を通りL1と直交する直線であり、L3は、現像剤担持体回転中心軸41aの中心を通りL1と直交する直線である。
また、
図6(B)は本実施形態のプロセスカートリッジの斜視図である。
本実施形態のプロセスカートリッジは、締結部材65による締結箇所を四つ備え、固定板部材63と第二筐体62とを締結する締結部材65(65c、65d)による締結位置の少なくとも一つは、像担持体20の回転中心と現像剤担持体41の回転中心とを結ぶ直線に沿った方向において、挿通する現像剤担持体回転中心軸41aの中心よりも第二筐体側の端部に近い位置にある。
【0030】
図6(A)に示すように、締結部材65dの締結位置が、L3で示す現像剤担持体回転中心軸41aの中心を通る直線よりもL1に沿った方向において、矢印で示す第二筐体側の端部にある。
このような配置とすることで、固定板部材63による固定精度を向上させることができ、像担持体20と現像剤担持体41との取付位置精度が高められ、現像ギャップを安定化させることができる。
【0031】
(第二の配置例)
本実施形態を
図7に基づき説明する。
図7(A)は、固定板部材63が第一筐体61及び第二筐体62に締着固定された状態を模式的に示す図である。図中L1は像担持体20の回転中心と現像剤担持体41の回転中心とを結ぶ直線であり、L2は像担持体20の回転中心を通りL1と直交する直線であり、L3は、現像剤担持体回転中心軸41aの中心を通りL1と直交する直線である。
また、
図7(B)は本実施形態のプロセスカートリッジの斜視図である。
本実施形態のプロセスカートリッジは、締結部材65による締結箇所を四つ備え、固定板部材63と第一筐体61とを締結する締結部材65(65a、65b)による締結位置の少なくとも一つは、像担持体20の回転中心と現像剤担持体41の回転中心とを結ぶ直線に沿った方向において、像担持体20の回転中心よりも第一筐体側の端部に近い位置にある。
【0032】
図7(A)に示すように、締結部材65aの締結位置は、L2で示す像担持体20の回転中心を通る直線よりも、L1に沿った方向において、矢印で示す第一筐体側の端部にある。
このような配置とすることで、固定板部材63による固定精度を向上させることができ、像担持体20と現像剤担持体41との取付位置精度が高められ、現像ギャップを安定化させることができる。
【0033】
(第三の配置例)
本実施形態を
図8に基づき説明する。
図8(A)は、固定板部材63が第一筐体61及び第二筐体62に締着固定された状態を模式的に示す図である。図中L1は像担持体20の回転中心と現像剤担持体41の回転中心とを結ぶ直線であり、L2は像担持体20の回転中心を通りL1と直交する直線であり、L3は、現像剤担持体回転中心軸41aの中心を通りL1と直交する直線である。
また、
図8(B)は本実施形態のプロセスカートリッジの斜視図である。
本実施形態のプロセスカートリッジは、締結部材65による締結箇所を五つ備え、固定板部材63と第二筐体62とを締結する締結部材65(65c、65d、65e)による締結位置が、像担持体の回転中心と現像剤担持体の回転中心とを結ぶ直線L1により分割された二つの領域に、それぞれ一つ以上設けられている。
【0034】
図8(A)に示すように、締結部材65c及び65dの締結位置は、直線L1により分割された一方の領域に設けられ、締結部材65eの締結位置は、直線L1により分割された他方の領域に設けられている。
このような配置とすることで、固定板部材63による固定精度を向上させることができ、像担持体20と現像剤担持体41との取付位置精度が高められ、現像ギャップを安定化させることができる。
【0035】
(第四の配置例)
本実施形態を
図9に基づき説明する。
図9(A)は、固定板部材63が第一筐体61及び第二筐体62に締着固定された状態を模式的に示す図である。図中L1は像担持体20の回転中心と現像剤担持体41の回転中心とを結ぶ直線であり、L2は像担持体20の回転中心を通りL1と直交する直線であり、L3は、現像剤担持体回転中心軸41aの中心を通りL1と直交する直線である。
また、
図8(B)は本実施形態のプロセスカートリッジの斜視図である。
本実施形態のプロセスカートリッジは、締結部材65による締結箇所を五つ備え、固定板部材63と第一筐体61とを締結する締結部材65(65a、65b)による締結位置が、像担持体の回転中心と現像剤担持体の回転中心とを結ぶ直線L1により分割された二つの領域に、それぞれ一つ以上設けられている。
【0036】
図9(A)に示すように、締結部材65aの締結位置は、直線L1により分割された一方の領域に設けられ、締結部材65bの締結位置は、直線L1により分割された他方の領域に設けられている。
このような配置とすることで、固定板部材63による固定精度を向上させることができ、像担持体20と現像剤担持体41との取付位置精度が高められ、現像ギャップを安定化させることができる。
【0037】
上述のように、本発明に係るプロセスカートリッジによれば、部品寸法精度の影響を回避し、像担持体と現像剤担持体との間に形成される現像ギャップを安定化させることができるため、当該プロセスカートリッジを画像形成装置に適用することにより、高品質な画像を出力することができる。
【0038】
[プロセスカートリッジの製造方法]
本発明に係るプロセスカートリッジの製造方法は、像担持体20と、像担持体20と離間して配設される現像剤担持体41と、像担持体20を収容する第一筐体61と、現像剤担持体41を収容する第二筐体62と、第一筐体61及び第二筐体62を固定する固定板部材63と、を備え、固定板部材63が、締結部材65を挿通可能な複数の開口部64と、像担持体20を回動自在に保持する像担持体保持部67と、現像剤担持体回転中心軸41aを挿通する貫通孔66と、を有するプロセスカートリッジの製造方法において、第一筐体61と固定板部材63とを締結部材65で締結する工程の後、像担持体20と現像剤担持体41との離間距離が所定の距離となるように調整しながら第二筐体62と固定板部材63とを締結部材65で締結する工程を行う方法である。
像担持体20と現像剤担持体41との離間距離が所定の距離となるように調整する方法としては、離間距離を測定可能な手段を用いる方法や、予め規定された距離となるように形成された治具等を用いる方法が挙げられる。
【0039】
また、本発明に係るプロセスカートリッジの製造方法は、像担持体20と、像担持体20と離間して配設される現像剤担持体41と、像担持体20を収容する第一筐体61と、現像剤担持体41を収容する第二筐体62と、第一筐体61及び第二筐体62を固定する固定板部材63と、を備え、固定板部材63が、締結部材65を挿通可能な複数の開口部64と、像担持体20を回動自在に保持する像担持体保持部67と、現像剤担持体回転中心軸41aを挿通する貫通孔66と、を有するプロセスカートリッジの製造方法において、第一筐体61と固定板部材63とを締結部材65で締結する工程の後、像担持体20と現像剤担持体41との離間距離を調整する治具80を像担持体20及び現像剤担持体回転中心軸41aに当接させた状態で、治具80に形成された開口部81を介して第二筐体62と固定板部材63とを締結する工程を行う方法である。
【0040】
すなわち、本発明に係るプロセスカートリッジの製造方法は、固定板部材63を、現像剤担持体回転中心軸41aを位置決め固定しない状態で第一筐体61に対して締結固定した後、例えば
図5に示すような治具を用いて現像剤担持体回転中心軸41aの位置決めをした状態で第二筐体62に締結固定する工程を行う。
このような方法により、固定板部材63の部品精度に影響されることなく、現像ギャップの精度が確保されたプロセスカートリッジを製造することができる。
【0041】
[画像形成装置]
本発明に係る画像形成装置は、上述の本発明に係るプロセスカートリッジを備えている。
画像形成装置としては、例えば、表面に静電潜像が形成される像担持体20と、回転駆動される像担持体20の表面を帯電する帯電手段と、帯電後の像担持体20の表面に静電潜像を形成する情報書込み手段と、静電潜像を現像剤担持体41に担持させた現像剤によってトナー像として現像する現像手段と、現像部にトナーを供給する供給手段と、トナーが入っている容器と、像担持体20との間に電界を形成して該像担持体20上のトナー像を転写材に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着させる定着手段と、記録媒体を給紙する給紙手段と、記録媒体を搬送する搬送手段と、記録媒体の位置をそろえる位置揃え手段と、記録媒体にトナー像を定着させた後排紙する排紙手段と、記録媒体の両面にトナー像を潜像、定着させるため記録媒体を搬送する両面搬送手段と、手差しトレイから搬送する手段を備えた画像形成装置が挙げられる。
【0042】
図10は、本発明の実施形態にかかる画像形成装置の概略構成を説明する図である。
図10に示した画像形成装置100は、複数の色画像を形成する作像部がベルトの展張方向に沿って並置されたタンデム方式のカラープリンタある。
なお、本発明はこの方式に限られず、またプリンタだけではなく複写機やファクシミリ装置などを対象とすることも可能である。
【0043】
画像形成装置100は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体(感光体ドラム)20Y、20C、20M、20Bkを並設したタンデム構造が採用されている。
【0044】
画像形成装置100では、各像担持体20Y、20C、20M、20Bkに形成された可視像が、各像担持体に対峙しながら矢印A1方向に移動可能な無端ベルトである中間転写体(以下、転写ベルトという)11に対して1次転写される。この1次転写工程の実行によってそれぞれの色の画像が重畳転写され、その後、記録媒体(例えば、記録シート等)Sに対して2次転写工程を実行することで一括転写される。
【0045】
各像担持体20の周囲には、像担持体20の回転に従い画像形成処理するための装置が配置されている。
ブラック画像形成を行う像担持体20Bkを代表として説明すると、像担持体20Bkの回転方向に沿って画像形成処理を行う帯電装置30Bk、現像剤担持体41Bkを備えた現像装置40Bk、1次転写ローラ12Bkおよびクリーニング装置50Bkが配置されている。帯電後に行われる書き込み光Lbを用いた書き込みには、光書き込み装置8が用いられる。
【0046】
転写ベルト11に対する重畳転写では、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各像担持体20Y、20C、20M、20Bkに形成された可視像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写される。このために、転写は、転写ベルト11を挟んで各像担持体20Y、20C、20M、20Bkに対向して配設された1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
【0047】
各像担持体20Y、20C、20M、20Bkは、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各像担持体20Y、20C、20M、20Bkは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像をそれぞれ形成するための画像ステーションに備えられている。
【0048】
画像形成装置100は、色毎の画像形成処理を行う4つの画像ステーションと、各像担持体20Y、20C、20M、20Bkの上方に対向して配設され、転写ベルト11及び1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkを備えた転写ベルトユニット10と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11に従動し、連れ回りする2次転写ローラ5と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11をクリーニングするベルトクリーニング装置13と、これら4つの画像ステーションの下方に対向して配設された光書き込み装置8とを有している。
【0049】
光書き込み装置8は、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、折り返しミラーおよび偏向手段としての回転多面鏡などを装備している。光書き込み装置8は、各像担持体20Y、20C、20M、20Bkに対して色毎に対応した書き込み光Lbを出射して像担持体20Y、20C、20M、20Bkに静電潜像を形成するよう構成されている。書き込み光Lbは、
図10では、便宜上、ブラック画像の画像ステーションのみを対象として符号が付けてあるが、その他の画像ステーションも同様である。
【0050】
画像形成装置100には、像担持体20Y、20C、20M、20Bkと転写ベルト11との間に向けて搬送される記録媒体Sを積載した給紙カセットとしてのシート給送装置91が設けられている。また、シート給送装置91から搬送されてきた記録媒体Sを、画像ステーションによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、各像担持体と転写ベルト11との間の転写部に向けて繰り出すレジストローラ対4が設けられている。また、記録媒体Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知するセンサが設けられている。
【0051】
また、画像形成装置100には、トナー像が転写された記録媒体Sにトナー像を定着させるためのローラ定着方式の定着ユニットとしての定着装置200と、定着済みの記録媒体Sを画像形成装置100の本体外部に排出する排出ローラ7が備えられている。また、画像形成装置100の本体上部には、排出ローラ7により画像形成装置100の本体外部に排出された記録媒体Sを積載する排紙トレイ17が備えられている。また、排紙トレイ17の下側には、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9C、9M、9Bkが備えられている。
【0052】
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkの他に、転写ベルト11が掛け回されている駆動ローラ72及び従動ローラ73を有している。
【0053】
従動ローラ73は、転写ベルト11に対する張力付勢手段としての機能も備えており、このため、従動ローラ73には、バネなどを用いた付勢手段が設けられている。このような転写ベルトユニット10と、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkと、2次転写ローラ5と、クリーニング装置13とで転写装置71が構成されている。
【0054】
シート給送装置91は、画像形成装置100の本体下部に配設されており、最上位の記録媒体Sの上面に当接する給送ローラ3を有している。給送ローラ3が図中反時計回りに回転駆動されることにより、最上位の記録媒体Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
【0055】
転写装置71に装備されているクリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、転写ベルト11に対向、当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有している。クリーニング装置13は、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。
クリーニング装置13はまた、転写ベルト11から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための排出手段を有している。
【符号の説明】
【0056】
20 像担持体(感光体ドラム)
41 現像剤担持体(現像ローラ)
41a 回転軸
61 第一筐体
62 第二筐体
63 固定板部材
64 開口部
65 締結部材
66 貫通孔
67 像担持体保持部
68 位置固定部材
80 治具
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】