(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】操作パネル、画像形成装置及びモード制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240702BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20240702BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240702BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H04N1/00 350
G06F3/0488
B41J29/38 104
B41J29/42 F
(21)【出願番号】P 2020096483
(22)【出願日】2020-06-02
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】小原 亮
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-175305(JP,A)
【文献】特開2005-115714(JP,A)
【文献】特開2004-355078(JP,A)
【文献】特開2019-207468(JP,A)
【文献】特開2015-195548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
B41J 29/42
G06F 3/033- 3/039
G06F 3/048- 3/04895
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に設けられた操作パネルであって、
操作者からの操作を受け付ける操作画面を非表示状態にして前記機器の省電力化を図る省エネルギーモード時に、前記操作画面に対してされた接触操作が、前記省エネルギーモードから
前記機器
が稼
働する通常モード
へ復帰
させるための接触操
作、又は、前記操作画面を清掃する
ための接触操
作を検出する接触操作検出部と、
前記接触操作検出部で
前記通常モード
へ復帰
させるための接触操作が検出された場合、前記操作画面を
前記非表示状態から表示状態とすると共に
前記機器を稼働状態に復帰させ、前記接触操作検出部で前記操作画
面を清掃する
ための接触操作が検出された場合、前記操作画面
を前記非表示状態
に維持する復帰制御部と、
前記非表示状態に維持された前記操作画面に、前記操作画面を清掃する画面清掃モードであるメッセージを表示する表示制御部と、
を有
し、
前記表示制御部は、
前記画面清掃モードにおいて前記操作画面を清掃するための接触操作が検知されない場合、前記操作画面の清掃完了の確認を促すメッセージを前記操作画面に表示する、
ことを特徴とする
操作パネル。
【請求項2】
前記表示制御部は、
前記画面清掃モードであるメッセージを、前記操作画面の端部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の操作パネル。
【請求項3】
前記接触操作検出部は、前記操作画面に対する1点の接触操作を、前記通常モード
へ復帰
させるための接触操作として検出し、
前記操作画面に対する前記1点の接触操作に伴う面積よりも広
い面積
となる複数点の接触操作を
、前記操作画面を清掃する
ための接触操作として検出する
、
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の
操作パネル。
【請求項4】
前記操作画面の清
掃完了を示す操作が検出された際に、
前記画面清掃モードから前記省エネルギーモードに移行させる省エネモード移行制御部を、さらに備える
、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうち、いずれか一項に記載の
操作パネル。
【請求項5】
前記接触操作検出部は、前記省エネルギーモード時に、人感センサにより、
前記機器に対するユーザの接近が検知された際に、
前記省エネルギーモードから
前記通常モードへの復帰を指示する接触操作、及び、前記操作画面を清掃する接触操作の検出を行う
、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうち、いずれか一項に記載の
操作パネル。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうち、いずれか一項に記載の
操作パネルと、
所定の画像を形成する画像形成部と、
を有する画像形成装置。
【請求項7】
機器に設けられた操作パネルを、
操作者からの操作を受け付ける操作画面を非表示状態にして前記機器の省電力化を図る省エネルギーモード時に、前記操作画面に対してされた接触操作が、前記省エネルギーモードから
前記機器
が稼
働する通常モード
へ復帰
させるための接触操
作、又は、前記操作画面を清掃する
ための接触操
作を検出する接触操作検出部と、
前記接触操作検出部で
前記通常モード
へ復帰
させるための接触操作が検出された場合、前記操作画面を
前記非表示状態から表示状態とすると共に
前記機器を稼働状態に復帰させ、前記接触操作検出部で前記操作画
面を清掃する
ための接触操作が検出された場合、前記操作画面
を前記非表示状態
に維持する復帰制御部
と、
前記非表示状態に維持された前記操作画面に、前記操作画面を清掃する画面清掃モードであるメッセージを表示する表示制御部、
として機能させ
、
前記表示制御部は、
前記画面清掃モードにおいて前記操作画面を清掃するための接触操作が検知されない場合、前記操作画面の清掃完了の確認を促すメッセージを前記操作画面に表示する、
こ
とを特徴とするモード制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作パネル、画像形成装置及びモード制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日において、複合機等の画像形成装置が知られている。この画像形成装置の操作パネルは、ユーザの指等で接触操作されるため、指紋、皮脂汚れ等が付着する。このような操作パネルの汚れは、操作パネルが非表示(黒画面)とされる、例えば省エネルギーモード時等に気付くことが多い。
【0003】
特許文献1(特開2010-033222号公報)には、電子機器の画面上の汚れを自動的に検知し、ユーザに知らせる電子機器が開示されている。この電子機器は、光センサ内蔵LCD、光センサ内蔵LCDの画面上の汚れ(例えば、指紋、埃など)を検知する入力検知部、及び、光センサ内蔵LCDへの表示を制御する表示制御部を有している。表示制御部は、入力検知部で汚れが検知された際に、汚れの付着を示すメッセージを光センサ内蔵LCDに表示させる。また、表示制御部は、光センサ内蔵LCD上の汚れが付着している領域を示す画像を光センサ内蔵LCD30に表示させる。これにより、ユーザは、光センサ内蔵LCDの汚れを認識し、清掃を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の画像形成装置の多くは、省エネルギーモード時において、操作パネルに対する接触を検出すると、通常モードに復帰する構成となっている。このため、省エネルギーモード時に指紋又は汚れを認識したユーザが、清掃を行うために操作パネルに接触したタイミングで、画像形成装置は通常モードに復帰する。そして、操作パネルに初期画面等が表示されて明るくなる。これにより、操作パネルに付着している指紋及び汚れの視認し難くなり、操作パネルの清掃が困難となる問題があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、清掃時には省エネルギーモードから通常モードへの復帰を抑制することで、汚れを視認可能な状態で操作パネルの清掃を可能とした操作パネル、画像形成装置及びモード制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、機器に設けられた操作パネルであって、操作者からの操作を受け付ける操作画面を非表示状態にして機器の省電力化を図る省エネルギーモード時に、操作画面に対してされた接触操作が、省エネルギーモードから機器が稼働する通常モードへ復帰させるための接触操作、又は、操作画面を清掃するための接触操作を検出する接触操作検出部と、接触操作検出部で通常モードへ復帰させるための接触操作が検出された場合、操作画面を非表示状態から表示状態とすると共に機器を稼働状態に復帰させ、接触操作検出部で操作画面を清掃するための接触操作が検出された場合、操作画面を非表示状態に維持する復帰制御部と、非表示状態に維持された操作画面に、操作画面を清掃する画面清掃モードであるメッセージを表示する表示制御部と、を有し、表示制御部は、画面清掃モードにおいて操作画面を清掃するための接触操作が検知されない場合、操作画面の清掃完了の確認を促すメッセージを操作画面に表示する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、清掃時には省エネルギーモードから通常モードへの復帰を抑制することで、汚れを視認可能な状態で操作パネルを清掃できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、
図1は、実施の形態のMFPの外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態のMFPのハードウェア構成を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態のMFPに設けられているタッチパネル装置の断面図である。
【
図4】
図4は、タッチパネル装置の接触操作の検出原理を説明するための図である。
【
図5】
図5は、操作部の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、操作部の第2制御部の機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、第1の実施の形態の操作部の第2制御部のモード制御動作の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、MFPを省エネモードから通常モードに復帰させる場合における、MFPの操作形態を示す図である。
【
図9】
図9は、省エネモードから通常モードに復帰した際の操作画面を示す図である。
【
図10】
図10は、省エネモード中において、MFPの操作部の操作画面の清掃を行う場合における、MFPの操作形態を示す図である。
【
図11】
図11は、MFPを省エネモードから通常モードに復帰させる際の接触操作を示す図である。
【
図12】
図12は、MFPの操作部を清掃している際の接触形態を示す図である。
【
図13】
図13は、第1の実施の形態のMFPの清掃モード時における表示画面の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、第2の実施の形態のMFPの操作部の構成を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、第2の実施の形態のMFPの操作部の第2制御部の機能ブロック図である。
【
図16】
図16は、第2の実施の形態の操作部の第2制御部のモード制御動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、画像形成装置の一例となる実施の形態の複合機(MFP:Multifunction Peripheral)の説明をする。
【0010】
[第1の実施の形態]
(MFPの外観構成)
図1は、第1の実施の形態のMFPの外観を示す斜視図である。この
図1に示すように、第1の実施の形態のMFPは、原稿をスキャナ部に自動搬送する自動搬送装置(ADF)1、入力操作を行うための操作パネル2、コピーする原稿の読み取りを行うスキャナ3及びコピーした画像を印刷して出力するプリンタ5を有している。また、このMFPは、用紙を収納する用紙トレイ6、MFP全体の動作を制御する第1の制御部7、及び、ユーザが一定以上MFPに接近した際に感知する人感センサ8を有している。
【0011】
(MFPのハードウェア構成)
図2は、MFPのハードウェア構成を示す図である。この
図2に示すように、MFP9は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作部940、ネットワークI/F950を備えている。
【0012】
コントローラ910は、CPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、ローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、及び、HDD909を有している。NB903とASIC906との間は、AGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続されている。
【0013】
CPU901は、MFP9の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、及びAGPバス921とを接続するためのブリッジである。NB903は、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0014】
MEM-P902は、メモリコントローラの各機能を実現させるプログラム又はデータの格納用メモリであるROM902a、プログラム又はデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリ等に用いられるRAM902bを有する。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。
【0015】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス922、HDDコントローラ908及びMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。
【0016】
このASIC906は、PCIターゲット及びAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)及びMEM-C907を制御するメモリコントローラを有する。また、ASIC906は、ハードウェアロジック等により画像の回転等を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931及びプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットを有する。なお、ASIC906には、USBインタフェース又はIEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインタフェースを接続してもよい。
【0017】
MEM-C907は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HDD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HDD909は、CPU901の制御にしたがってHDD909に対するデータの書き込み及び読み出しを制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースである。AGPバス921は、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることで。グラフィックスアクセラレータカードを高速化できる。
【0018】
近距離通信回路920には、近距離通信回路920を有している。近距離通信回路920は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。更に、エンジン制御部930は、画像形成部の一例となるスキャナ部931及びプリンタ部932を有している。
【0019】
操作部940は、現在の設定値又は選択画面等を表示し、操作者からの接触入力を受け付ける抵抗膜方式の操作画面を備えたタッチパネル装置940aを有している。また、操作部940は、濃度の設定条件等の画像形成に関する条件の設定値の入力を行うためのテンキー及びコピー開始を指示するためのスタートキー等のハードウェアキー940bを有している。
【0020】
コントローラ910は、MFP9全体の制御を行い、例えば描画制御、通信制御、操作部940からの入力処理等を行う。スキャナ部931又はプリンタ部932は、誤差拡散処理及びガンマ変換処理等の画像処理機能を有している。
【0021】
また、記憶部の一例であるROM902aには、MFP9の稼働待機時に不必要な箇所に対する給電を停止して省電力化を図る省エネルギーモードへの移行及び復帰を制御する省エネルギーモードプログラム(省エネモードプログラム:モード制御プログラムの一例)が記憶されている。
【0022】
後述するが、操作パネル2には、MFP9の本体のCPU901とは異なる制御部(
図5:第2制御部701)が設けられており、操作パネル2は、MFP9の本体に対して独立した制御が可能となっている。操作パネル2の制御部は、CPU901を介してROM902aから読み出された省エネモードプログラムに基づいて、省エネモード時におけるタッチパネル装置940aの接触操作を、清掃のための接触操作か、通常モードに復帰を指示する接触操作かを判別する。そして、この判別結果に応じて、省エネモードを維持し、又は、通常モードに復帰させる。これにより、清掃のための接触操作と判別した場合、通常モードに復帰することなく省エネモードを維持することで、タッチパネル装置940aに付着している汚れを視認し易くし、清掃を補助する。
【0023】
なお、MFP9は、操作部940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、及びファクシミリ機能を順次に切り替えて実行可能となっている。MFP9は、ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなる。また、MFP9は、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0024】
ネットワークI/F950は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインタフェースである。近距離通信回路920及びネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0025】
(タッチパネル装置の構成)
図3は、タッチパネル装置940aの断面図である。この
図3に示すように、タッチパネル装置940aは、透明フィルム500、ITO膜(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)501、ITO膜501及びガラス板502が順に積層されて形成されている。ITO膜501は、一様に形成された抵抗分を有している。
【0026】
相対向するITO膜501の間には、ドットスペーサ503が設けられている。また、相対向するITO膜501は、張り合わせ材504により相互に接着されている。また、上面側のITO膜501からは、コネクタテール505が引き出されている。
【0027】
このようなタッチパネル940aは、専用ペン又は指550等で透明フィルム500を接触操作すると、透明フィルム500が撓み、上下のITO膜501が接触して導通する。これにより、入力操作が検知される。
【0028】
なお、軽荷重タイプのタッチパネル装置の場合、透明フィルム500の薄型化、及び、ドットスペーサ503の形状を工夫することで、軽い力でも接触操作の検出が可能となっている。
【0029】
(接触操作の検出原理)
図4は、タッチパネル装置940aの接触操作の検出原理を説明するための図である。この
図4は、それぞれ二次元上で直交するX座標及びY座標のうち、Y座標の接触操作の検出原理を示している。この
図4において、透明フィルム500の電極間に例えば1.5Vの電圧を印加すると、透明フィルム500のフィルム面は、0V~1.5Vの電圧分布となる。この状態で、透明フィルム500のフィルム面が接触操作されると、接触操作された点の電圧がガラス板502に伝達される。
【0030】
接触操作された点の電圧(0V~1.5V)は、ガラス板502の電極を介して、タッチパネル制御機能を備えたASIC906に伝達される。ASIC906は、接触操作された点の電圧を、A/D変換部601により、例えば12ビットのデジタル値(0~4095)に変換する。また、ASIC906は、座標変換部602により、接触操作された点の電圧のデジタル値を、タッチパネル装置940aの表示画面の座標(LCD座標、Liquid Crystal Display)に変換する。
【0031】
なお、X座標の接触操作された点の検出は、ガラス板502の電極間に例えば1.5Vの電圧を印加し、透明フィルム500上における接触操作された点の電圧を読み出すことで行う。
【0032】
このように、接触操作された位置に応じたX軸方向及びY軸方向の電圧値を、ASIC906へ供給し、A/D変換処理を行い、座標に変換することで、タッチパネル装置940a上の接触操作された位置(座標)の検出を行う。
【0033】
(操作部の構成)
図5は、操作パネル2の構成を示すブロック図である。この
図5に示すように、操作パネル2は第2制御部701、記憶装置702、音源制御部703、スピーカ部704、LED(発光部)705、LCD(表示部)706、タッチパネル制御部707、タッチパネル装置940a、ハードウェアキー940bを有している。
【0034】
また、MFP9は、本体内に記憶装置902に接続された第1制御部901を有しており、この第1制御部901に、操作パネル2の第2制御部701が接続されている。
【0035】
すなわち、一例ではあるが、第1の実施の形態のMFP9の場合、MFP9の本体側の第1制御部901(
図2のCPU901に相当)とは異なる第2制御部701で、操作パネル2を制御している。このため、第1の実施の形態のMFP9の場合、MFP9の本体側のコピー機能、プリンタ機能及びファクシミリ機能等には直接影響を与えることなく、例えばLCD706に豊かな表現の描画を行い、また、タッチパネル装置940aも、操作パネル2内のタッチパネル制御部707及び第2制御部701で制御することで、操作パネル2側で制御可能となっている。なお、第1制御部901で操作パネル2を制御してもよい。
【0036】
また、待機時にMFP9の不必要な箇所に対する給電を停止して省電力化を図る省エネモード時には、第1の制御部901に対する給電を停止し、第2の制御部701だけ起動状態とされる。なお、省エネモード時に、第2の制御部701だけ起動状態とされている場合でも、LED705及びLCD(表示部)706は停止状態とされ、タッチパネル装置940aのみが、ユーザの接触操作を検出可能なように起動状態とされる。このため、省エネモード時には、LCD(表示部)706の画面は暗い状態(何も表示されていない状態:オフ状態)であるが、ユーザの接触操作は、検出可能となっている。
【0037】
(第2制御部の機能構成)
操作パネル2の第2の制御部701は、MFP9の本体側の第1制御部901で記憶装置902(
図2のROM902aに相当)から読み出された省エネモードプログラムに基づいて動作することで、
図6に示す各機能を実現する。なお、省エネモードプログラムを操作パネル2側の記憶装置702に記憶しておき、第2の制御部701は、記憶装置702に記憶されている省エネモードプログラムを実行することで、以下に説明する各機能を実現してもよい。
【0038】
すなわち、第2制御部701は、省エネモードプログラムを実行することで、省エネモード移行制御部801、接触操作検出部802、復帰制御部803及び表示制御部804として機能する。第2制御部701は、省エネモード移行制御部801~表示制御部804として機能することで、以下に説明するモード制御を行う。
【0039】
(モード制御動作)
図7は、主に第2制御部701のモード制御動作の流れを示すフローチャートである。このフローチャートにおいて、スキャナ機能又はプリンタ機能等に基づく通常の画像形成動作が一定時間以上行われない場合、省エネモード移行制御部801が、不要な箇所への通電を停止して省エネモードに移行する(ステップS1~ステップS3)。
【0040】
この省エネモードにおいては、第2制御部701もスリープ状態とされるため、タッチパネル装置940aは、接触操作の有無のみを検出可能となっている。このため、ステップS4では、第2制御部701がスリープ状態となっているときに、接触操作検出部802が、タッチパネル装置940aに対する接触操作を検出したか否かを判別する。第2制御部701がスリープ状態となっているときにタッチパネル装置940aに対する接触操作を検出すると(ステップS4:Yes)、復帰制御部803が、操作パネル2のタッチパネル制御部707のみを動作状態に復帰させる(ステップS5)。
【0041】
ここで、MFP9を省エネモードから通常モードに復帰させる場合、ユーザは、
図8(a)に示すようにMFP9の前に移動し、
図8(b)に示すように、オフ状態となっている操作パネル2を指等で接触操作する。また、省エネモード中において、操作パネル2の操作画面の清掃を行う場合、ユーザは、
図10(a)に示すようにMFP9の前に移動し、
図10(b)に示すように、オフ状態となっている操作パネル2を布等で拭いて清掃を行う。
【0042】
すなわち、MFP9を省エネモードから通常モードに復帰させる際の接触操作と、清掃を行う際の接触操作とでは、接触操作形態が異なる。具体的には、
図11は、MFP9を省エネモードから通常モードに復帰させる際の接触操作を示す図である。
【0043】
MFP9を省エネモードから通常モードに復帰させる場合、ユーザは、
図11(a)に示すように、タッチパネル装置940aの操作画面を1本の指で接触操作するのが通常である。タッチパネル装置940aの操作画面を1本の指で接触操作すると、操作画面の狭い領域が押圧操作されるため、
図11(c)に示すように、その押圧操作された領域の感度が上昇する。この場合1点の狭い領域の感度が上昇しているため、接触操作検出部802は、
図11(b)に「A」として示すように、「点」としての接触操作を検出する。
【0044】
これに対して、タッチパネル装置940aの操作画面を清掃する場合、ユーザの動作は、
図12(a)に示すように、複数の指で布等を操作画面に押し付けながら上下左右に移動させて汚れを拭き取る動作となる。この場合、接触操作検出部802は、
図12(b)に点「B」~点「E」として示すように、それぞれ人差し指、中指、薬指及び小指の各指先に対応する接触操作を検出する。また、これと共に、接触操作検出部802は、4本の指の第1関節から第2関節の間が、操作画面に接触することで、
図12(b)に四角の領域として示す、広域の接触領域「F」を検出する。
【0045】
各指の指先の接触操作によるタッチパネル装置940aの感度は、
図12(c)に示すように高い感度として検出され、各指の第1関節から第2関節の間の接触操作によるタッチパネル装置940aの感度は、
図12(d)に示すように中程度の感度として検出される。
【0046】
このようなことから、ステップS5で操作パネル2のタッチパネル制御部707のみを動作状態に復帰させると、接触操作検出部802は、タッチパネル装置940aの操作された「点」が1点で、狭い面積の接触操作であるか否かを判別する(ステップS6)。
図11(a)~
図11(c)を用いて説明したように、1点の狭い面積の接触操作は、ユーザが1本の指でタッチパネル装置940aを接触操作したことを示している。そして、この場合、ユーザは、省エネモードから通常モードへの復帰を指示している可能性が高い。このため、ステップS6からステップS8に処理が進み、復帰制御部803が、省エネモード時に電力の供給を停止していた各部に電力の供給を再開する。これにより、省エネモードから通常モードに復帰する。
【0047】
省エネモードから通常モードに復帰すると、表示制御部804は、省エネモード時には
図9(a)に示すようにオフ状態としていたタッチパネル装置940aに対して、
図9(b)に示すように各部の操作を指示するためのソフトウェアキーを表示制御する。ユーザは、タッチパネル装置940aに表示されたソフトウェアキーを操作して、MFP9の所望の動作を指示する。
【0048】
これに対して、タッチパネル装置940aの接触操作が、1点の狭い面積の接触操作ではないということは(ステップS6:No)、複数の点及び広い面積での接触操作が検出されているということであり、ユーザが布等を用いて操作画面の清掃を行っている可能性が高い。
【0049】
この場合、復帰制御部803は、操作パネル2の第2制御部701を動作状態に復帰させる(ステップS7)。そして、表示制御部804が、
図13(a)に示すようにオフ状態であったタッチパネル装置940aに対して、
図13(b)に示すように、例えば「画面清掃モード *清掃が完了しましたら画面から手をはなしてください」等の画面清掃モードに移行した旨のメッセージを表示制御する。このようなメッセージの表示制御は、ステップS9で、複数の点及び広い面積での接触操作が検知されている間(ステップS9:Yes)、継続して実行される。
【0050】
また、表示制御部804は、タッチパネル装置940aにメッセージを表示する場合、例えば低輝度で上述のメッセージを表示し、又は、操作画面の右端等の端部に上述のメッセージを表示することで、操作画面の汚れの視認を妨げない表示形態で表示を行う。これにより、メッセージにより、操作画面の汚れが視認し難くなる不都合を防止できる。
【0051】
タッチパネル装置940aの清掃時に、操作画面を明るくすると、操作画面に付着している汚れの視認が困難となる。しかし、第1の実施の形態のMFP9の場合、操作画面全体がオフ状態と同様の状態を維持したまま、一部に上述のメッセージが表示されるだけのため、汚れの視認が困難となる不都合を防止して、タッチパネル装置940aの清掃を可能とすることができる。
【0052】
なお、このようなメッセージの表示は、実行しなくてもよい。この場合、
図12を用いて説明した清掃に対応する接触操作形態が検出されている間は、タッチパネル装置940aはオフ状態とされるため、汚れの視認が困難となる不都合を防止して、タッチパネル装置940aの清掃を可能とすることができる。
【0053】
次に、ステップS9で、複数の点及び広い面積での接触操作が検知されないと判別された場合(ステップS9:No)、表示制御部804は、
図13(c)に示すように「画面清掃モード *清掃完了しましたか? はい いいえ」等の清掃の完了を確認するメッセージをタッチパネル装置940aに表示制御する(ステップS10)。
【0054】
清掃を完了していない場合、ユーザは、「いいえ」の文字の表示領域を接触操作する。また、清掃を完了した場合、ユーザは、「はい」の文字の表示領域を接触操作する。ステップS11では、表示制御部804が、清掃が完了したか否か(ユーザにより「はい」の文字の表示領域の接触操作がされたか否か)を判別している。なお、この例では、清掃の完了を、ソフトウェアキーを操作して指定することとしたが、ハードウェアキーで指定してもよい。
【0055】
「いいえ」の文字の表示領域の接触操作を検出すると(ステップS11:No)、この場合、清掃が完了していないことを意味するため、表示制御部804は、
図13(b)に示したメッセージを、再度、タッチパネル装置940aに表示する。そして、ステップS9で、再度、複数の点及び広い面積での接触操作が検知されなくなった際に、
図13(c)に示す清掃完了を問うメッセージをタッチパネル装置940aに表示する。
【0056】
これに対して、「はい」の文字の表示領域の接触操作を検出すると(ステップS11:Yes)、清掃完了を意味しているため、処理がステップS3に戻り、省エネ移行制御部801が、再度、不要な各部への電力供給を停止制御して、MFP9を省エネモードに移行させる。
【0057】
(第1の実施の形態の効果)
以上の説明から明らかなように、第1の実施の形態のMFP9は、省エネモード時にタッチパネル装置940aが接触操作された際に、その接触操作が、タッチパネル装置940aの清掃による接触操作であるのか、又は、MFP9の稼働(通常モードへの復帰)を指示する接触操作であるのかを判別する。そして、通常モードへの復帰を指示する接触操作であると判別した場合は、MFP9を通常モードに復帰させる。また、清掃による接触操作であると判別した場合は、通常モードに復帰することなく省エネモードを維持することで、タッチパネル装置940aに付着している汚れを視認し易くし、清掃を補助する。
【0058】
これにより、省エネルギーモードにおけるタッチパネル装置940aの汚れが視認し易い状態で、タッチパネル装置940aの清掃を可能とすることができる。
【0059】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態のMFPの説明をする。上述の第1の実施の形態は、省エネモード時において、タッチパネル装置940aが接触操作された際に、操作パネル2のタッチパネル制御部707を動作状態とした。これに対して、以下に説明する第2の実施の形態は、人感センサ8によりMFPに対するユーザの接近が検知された際に、操作パネル2のタッチパネル制御部707を動作状態とする例である。
【0060】
なお、上述の第1の実施の形態と、以下に説明する第2の実施の形態とでは、この点のみが異なる。このため、以下、差異の説明のみ行い、重複説明は省略する。
【0061】
まず、
図14は、第2の実施の形態のMFPに設けられている操作パネル2のブロック図である。この
図14に示すように、MFP9に設けられている人感センサ8は、その検出出力をMFP9の本体側の第1制御部901に供給する。第1制御部901は、操作パネル2のタッチパネル制御部707に、人感センサ8の検出出力を転送する。タッチパネル制御部707は、省エネモード時には、人感センサ8からの検出出力をトリガとして、動作状態に復帰する。
【0062】
図15は、第2の実施の形態の操作パネル2の第2制御部701の機能ブロック図である。この
図15に示すように、第2の実施の形態の場合、第2制御部701は、上述の省エネモード移行制御部801~表示制御部804と共に、人感センサ取得部805を有している。
【0063】
図16は、第2の実施の形態のMFP9における、主に第2制御部701のモード制御動作の流れを示すフローチャートである。
図7に示した第1の実施の形態のフローチャートに対して、ステップS4及びステップS5の代りに、人感センサに基づくステップS21~ステップS23の処理を実行している点が異なる。
【0064】
すなわち、
図16のフローチャートのステップS3で省エネモード移行制御部801がMFP9全体を省エネモードに移行させると、人感センサ8からの検出出力を取得している
図15に示す人感センサ取得部805が、ステップS21で、MFP9に対するユーザの接近を示す検出出力の有無を判別する。
【0065】
MFP9に対するユーザの接近を示す検出出力は、
図14に点線で示すようにタッチパネル制御部707に供給される。タッチパネル制御部707は、ユーザの接近を示す検出出力が供給されると動作状態に復帰する(ステップS22)。
【0066】
動作状態に復帰したタッチパネル制御部707は、
図7のフローチャートを用いて説明したように、ユーザによるタッチパネル装置940aの接触操作の操作形態を判別する。すなわち、ユーザの接触操作が、通常モードへの復帰を指示する接触操作であるのか(1点の接触操作)、又は、タッチパネル装置940aの操作画面の清掃を行っているときの接触操作であるのかを判別する。
【0067】
ユーザの接触操作が、通常モードへの復帰を指示する接触操作である場合、復帰制御部803が、MFP9の各部に対する通電を再開して通常モードに復帰させる(ステップS6、ステップS8)。
【0068】
これに対して、ユーザの接触操作が、タッチパネル装置940aの清掃を示す接触操作である場合、表示制御部804が、省エネモードを維持した状態で、汚れの視認を妨げない程度に、現在、画面清掃モード中であることを示すメッセージをタッチパネル装置940aに表示制御する。これにより、省エネルギーモードの汚れが視認し易い状態でタッチパネル装置940aの清掃を可能とすることができる等、上述の第1の実施の形態と同じ効果を得ることができる。
【0069】
最後に、上述の各実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な各実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。このような各実施の形態及び各実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0070】
1 自動搬送装置(ADF)
2 操作パネル2
7 第1制御部
8 人感センサ
9 複合器(MFP)
701 第2制御部
706 LCD(表示部)
707 タッチパネル制御部
801 省エネモード移行制御部
802 接触操作検出部
803 復帰制御部
804 表示制御部
805 人感センサ取得部
901 CPU(第1制御部)
902a ROM
940a タッチパネル装置
940b ハードウェアキー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】