(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】撮像装置および通信方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/65 20230101AFI20240702BHJP
H04N 23/66 20230101ALI20240702BHJP
H04N 23/661 20230101ALI20240702BHJP
【FI】
H04N23/65 100
H04N23/66
H04N23/661
(21)【出願番号】P 2020097727
(22)【出願日】2020-06-04
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】醍醐 謙二
【審査官】佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-161507(JP,A)
【文献】特開2019-012991(JP,A)
【文献】特開2019-106623(JP,A)
【文献】特開2017-011662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/65
H04N 23/66
H04N 23/661
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力消費の相対的に少ない低電力通信手段と、
前記低電力通信手段よりも高速通信可能な少なくとも1つの高速通信手段と、
装置本体または外部の端末に対する操作に応じて、前記低電力通信手段もしくは前記高速通信手段による通信処理を含む、操作内容に応じた処理を実行させる制御手段
と、を備え、
前記制御手段が、前記低電力通信手段による通信処理を許容できる操作の場合、操作前に確立された前記低電力通信手段による前記端末との接続状態に基づいて、前記低電力通信手段による通信処理を実行させ、前記高速通信手段による通信処理が要求される操作の場合、操作前に取得した接続情報に基づき、前記高速通信手段によって前記端末と接続させ、前記高速通信手段による通信処理を実行
させ、前記低電力通信手段および前記高速通信手段いずれによっても前記端末と接続させることができない場合、装置本体に対する操作を不能にすることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
電力消費の相対的に少ない低電力通信手段と、
前記低電力通信手段よりも高速通信可能な少なくとも1つの高速通信手段と、
装置本体または外部の端末に対する操作に応じて、前記低電力通信手段もしくは前記高速通信手段による通信処理を含む、操作内容に応じた処理を実行させる制御手段
と、
装置本体の位置情報を取得可能な位置情報通信手段と、を備え、
前記制御手段が、前記低電力通信手段による通信処理を許容できる操作の場合、操作前に確立された前記低電力通信手段による前記端末との接続状態に基づいて、前記低電力通信手段による通信処理を実行させ、前記高速通信手段による通信処理が要求される操作の場合、操作前に取得した接続情報に基づき、前記高速通信手段によって前記端末と接続させ、前記高速通信手段による通信処理を実行
させ、前記低電力通信手段および前記高速通信手段いずれによっても前記端末と接続させることができない場合、前記位置情報通信手段によって、公衆無線LANによって前記端末と接続させ、取得した位置情報を前記端末へ送信することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
装置電源OFFの間、前記低電力通信手段による前記端末との接続状態が維持され、
前記高速通信手段による通信処理の間、前記低電力通信手段による前記端末との接続状態が維持されることを特徴とする請求項1
又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段が、前記低電力通信手段による前記端末との接続が遮断された場合、あるいは再接続できない場合、前記高速通信手段によって前記端末と接続させ、前記低電力通信手段と前記端末との接続情報を取得し、前記低電力通信手段によって前記端末と再接続させることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段が、装置電源ON状態になると、メモリに記憶された再接続履歴情報に基づいて、前記低電力通信手段による前記端末との再接続を実行させることを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記高速通信手段が、2以上の通信方式に基づく通信処理を可能であり、
前記制御手段が、前記低電力通信
手段の通信方式および前記2以上の通信方式の中から選択された通信方式による通信処理において、前記選択された通信方式に基づく通信速度が所定の条件を満たさない場合、前記選択された通信方式とは異なる通信方式による通信処理に切り替えることを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記高速通信手段が、2以上の通信方式に基づく通信処理可能であり、
前記制御手段が、前記低電力通信
手段の通信方式および前記2以上の高速通信方式のいずれかによる前記端末との接続ができない場合、他の通信方式に順次切り替えて前記端末と接続させることを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
撮像装置本体または外部の端末に対する操作に応じて、電力消費の相対的に少ない低電力通信手段あるいは前記低電力通信手段よりも高速通信可能な少なくとも1つの高速通信手段による通信処理を含む、操作内容に応じた処理を実行させる撮像装置と端末との間の
通信方法であって、
前記低電力通信手段による通信処理を許容できる操作の場合、操作前に確立された前記低電力通信手段による前記端末との接続状態に基づいて、前記低電力通信手段による通信処理を実行させ、
前記高速通信手段による通信処理が要求される操作の場合、操作前に取得した接続情報に基づき、前記高速通信手段と前記端末とを接続させ、前記高速通信手段による通信処理を実行
させ、
前記低電力通信手段および前記高速通信手段いずれによっても前記端末と接続させることができない場合、装置本体に対する操作を不能にすることを特徴とする通信方法。
【請求項9】
撮像装置本体または外部の端末に対する操作に応じて、電力消費の相対的に少ない低電力通信手段あるいは前記低電力通信手段よりも高速通信可能な少なくとも1つの高速通信手段による通信処理を含む、操作内容に応じた処理を実行させる撮像装置と端末との間の
通信方法であって、
前記低電力通信手段による通信処理を許容できる操作の場合、操作前に確立された前記低電力通信手段による前記端末との接続状態に基づいて、前記低電力通信手段による通信処理を実行させ、
前記高速通信手段による通信処理が要求される操作の場合、操作前に取得した接続情報に基づき、前記高速通信手段と前記端末とを接続させ、前記高速通信手段による通信処理を実行
させ、
前記低電力通信手段および前記高速通信手段いずれによっても前記端末と接続させることができない場合、装置本体の位置情報を取得する位置情報通信手段によって、公衆無線LANによって前記端末と接続させ、取得した位置情報を前記端末へ送信することを特徴とする通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラなどの通信機能を備えた撮像装置、および撮像装置と端末間の通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどでは、スマートフォンなどの端末との間で無線通信が可能であり、専用のアプリケーションソフトを利用することによって、端末を通じたカメラ操作や画像データの転送などを行うことができる。無線通信方式としては、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標、以下省略)、WLAN(Wireless Local Area Network)などがある。
【0003】
通信方式の選択として、NFCを利用して無線接続を開始するときに、送信するデータのサイズに応じて、BluetoothもしくはWLANを選択する方式が知られている(特許文献1参照)。また、NFCを利用してカメラから端末へデータを転送するとき、そのデータが画像データの場合には高速通信のWLANを選択し、データ転送が完了するとWLANを切断してBluetoothに切り替える方法も知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-003379号公報
【文献】特開2015-180043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記NFCを利用した無線通信方式の選択では、ユーザにとって、カメラなどを端末にかざすという操作を必要とさせる。そのため、カメラと端末との間で通信を必要とする操作を行う度に、端末機器へカメラ接近、接触させるというユーザ自身の行為が要求され、ユーザにとって煩雑であり、不便となる。
【0006】
したがって、ユーザが意識することなく、通信処理を伴う操作に対してシームレスに適切な通信方式を選択し、通信処理を実行することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様である撮像装置は、電力消費の相対的に少ない低電力通信手段と、低電力通信手段よりも高速通信可能な少なくとも1つの高速通信手段と、装置本体または外部の端末に対する操作に応じて、低電力通信手段もしくは高速通信手段による通信処理を含む、操作内容に応じた処理を実行させる制御手段と、を備える。そして、制御手段は、低電力通信手段による通信処理を許容できる操作の場合、操作前に確立された低電力通信手段による端末との接続状態に基づいて、低電力通信手段による通信処理を実行させ、高速通信手段による通信処理が要求される操作の場合、操作前に取得した接続情報に基づき、高速通信手段によって端末と接続させ、高速通信手段による通信処理を実行させ、低電力通信手段および高速通信手段いずれによっても端末と接続させることができない場合、装置本体に対する操作を不能にする。
【0008】
本発明の通信方法は、撮像装置本体または外部の端末に対する操作に応じて、電力消費の相対的に少ない低電力通信手段あるいは低電力通信手段よりも高速通信可能な少なくとも1つの高速通信手段による通信処理を含む、操作内容に応じた処理を実行させる撮像装置と端末との間の通信方法であって、低電力通信手段による通信処理を許容できる操作の場合、操作前に確立された低電力通信手段による端末との接続状態に基づいて、低電力通信手段による通信処理を実行させ、高速通信手段による通信処理が要求される操作の場合、操作前に取得した接続情報に基づき、高速通信手段と端末とを接続させ、高速通信手段による通信処理を実行させる。このような通信方法は、プログラム、アプリケーションソフトウェアなどを組み込むことなどによって実現可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザが意識することなく、通信処理を伴う操作に対してシームレスに適切な通信方式を選択し、通信処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態であるデジタルカメラの機能ブロック図である。
【
図2】カメラ起動時の通信接続処理のフローチャートを示した図である。
【
図3】操作に伴う通信処理のフローチャートを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、図面を参照して本実施形態であるデジタルカメラ(以下、カメラという)について説明する。
図1は、本実施形態であるカメラおよびカメラと通信可能な端末の機能ブロック図である。
【0012】
カメラ10は通信機能を備えたカメラであり、スマートフォンなどの端末20と無線リンク30を介して通信可能である。無線リンク30は、ここでは、WLAN、Bluetooth、BLE(Bluetooth Low Energy)などがある。
【0013】
カメラ10は、記憶部110、撮影部120、入出力部130、制御部140とを備え、さらに、Bluetooth通信部150、WLAN通信部160、NFC通信部170、GPS通信部180とを備える。カメラ10の本体に設けられたレリーズボタンに対する操作に応じて、撮影部120による撮影シーケンス処理が実行され、画像データが記憶部110に記録される。また、カメラ10の本体に設けられた選択・実行ボタンに対する操作によって、記録された画像データをカメラ10から端末20へ転送することができる。
【0014】
端末20は、4G、5Gなどの通信規格に準拠した電話用の通信部210、表示部220、入出力部230、制御部240とを備え、さらに、Bluetooth通信部250、WLAN通信部260、NFC通信部270、GPS通信部280とを備える。専用のアプリケーションソフトをカメラ10に組み込むことによって、シャッターボタン、選択・実行ボタンなどの操作部材を用いたカメラ10側の各種操作を、端末20側から遠隔操作することができる。
【0015】
Bluetooth通信部150は、Bluetooth BR/EDR/HS(以下、Bluetoothと略して表記する)、BLEなどの通信規格に従って通信処理を実行可能である。BLEは、他の通信規格と比べて非常に電力消費が少なく、Bluetoothの通信規格よりも通信速度が低い。WLAN通信部160は、WLAN2.4GHz、WLAN5GHzなどの通信規格に従って通信処理可能であり、WLAN機能を備えた外部機器と通信する。WLAN通信部160は、Bluetooth通信部150による通信処理と比べ、高速通信可能である。
【0016】
NFC通信部170は、NFC規格に従って通信処理を実行し、リーダ・ライタ機能を備えた外部機器と通信可能である。GPS通信部(位置情報通信手段)180は、GPS衛星からGPS信号を受信可能であり、静止画像や動画像を記録するとき、位置情報、時刻情報を取得して画像データとともに記録することができる。また、カメラ外部へカメラ本体位置情報を送信することを可能にする。ここでは、GNSS(Global Navigation Satellite System)としてGPSが適用されているが、Galileo、BeiDou、みちびきなど他の測位衛星システムを適用してもよい。また、GPS機能を持たない場合でも、端末20のGPS機能によって位置情報を受信し、静止画像が動画ファイルに添付することができる。端末20のBluetooth通信部250、WLAN通信部260、NFC通信部270、GPS通信部280も、カメラ10のBluetooth通信部150、WLAN通信部160、NFC通信部170、GPS通信部180と、それぞれ同じ機能を有する。
【0017】
本実施形態のカメラ10は、通信接続に関して初期設定が行われると、最も電力消費の少ないBLEの通信規格による端末20と通信接続状態を、常時維持する。そして、カメラ10あるいは端末20に対し、機器間での通信処理が含まれる処理を実行するための操作が行われると、BLEによる通信速度が許容される範囲であれば、そのままBLEによる通信処理を行い、BLEによる通信よりも高速で通信を行う必要がある操作の場合、Bluetooth、WLANなど、より通信速度の高い通信規格によって通信処理を行う。これら通信制御は、制御部140によって行われる。以下、これについて説明する。
【0018】
図2は、制御部140によって実行されるカメラ起動時の通信接続処理を示したフローチャートである。
【0019】
まず、ユーザには、カメラ10と端末20との間でBLEによる通信接続を行うこと(初期設定)が求められる。BLEによる通信接続は、例えば、カメラ10のNFC通信部170、端末20のNFC通信部270との間の通信によって接続情報を取得すればよい。あるいは、QRコード(登録商標)や手動操作によってBLEによる通信接続することも可能である。一度BLEによる接続状態が確立されると、お互いの通信方式(WLAN、BLE、Bluetoothなど)と接続情報(SSID、暗号化キー、パスワードなど)が交換され、記憶部110に記憶される。
【0020】
カメラ電源がONになって処理が開始されると、BLEの再接続履歴情報があるか否か、すなわち初期設定が行われたか否かが確認される(S101)。BLEの再接続履歴情報がない場合、そのまま処理は終了する。BLEの再接続履歴情報がある場合、その情報に基づいて、BLE通信規格による端末20と再接続が行われる(S102、S103)。
【0021】
再接続が成功した場合、端末20との間で接続情報(通信方式、接続情報)が交換される(S104)。これによって、接続情報に関して設定変更があった場合、更新することができる。なお、一定時間間隔で接続情報の更新を行い、カメラ側、端末側での設定変更を確認してもよい。あるいは、設定変更されたことを検知すると、再接続を行って接続情報を取得するようにしてもよい。
【0022】
BLE通信規格による再接続ができない場合、以前取得した接続情報に基づき、Bluetooth通信規格による端末20との接続を試みる(S103、S105)。なお、BLEにおる再接続ができない場合、一定回数BLEによる通信接続をリトライするようにしてもよい。Bluetooth通信規格による接続が端末20との間で確立した場合、BLE通信規格に関する接続情報を端末20との間で交換する。そして、取得したBLEの接続情報に基づいて、BLEによる再接続を行う。(S106、S107)。このように他の通信方式の接続情報を再接続に利用することで、BLE通信規格に基づく端末20との接続を確実にすることができる。
【0023】
一方、Bluetooth通信規格による再接続ができなかった場合、WLAN通信規格による再接続を行う(S106、S108)。WLAN通信規格による再接続が実現できた場合、BLE接続情報を端末20との間で交換し、BLEによる再接続を行う(S107)。BLEによる再接続が実現できない場合(S109)、後述するように、カメラロックおよび/またはGPS通信処理をし(S112)、終了する。なお、Bluetooth通信規格あるいはWLAN通信規格による再接続については、一定回数リトライしてもよい。また、WLANに関して複数の種類の通信規格が利用可能なことから、適当な通信方式を選び、順次通信方式を切り替えて再接続を試みればよい。
【0024】
BLEによる再接続が実現されると、Bluetooth通信部150、あるいはWLAN通信部160による端末20との通信接続が遮断される(S110、S111)。これによって、BLE通信規格による通信接続状態のみが維持される。さらに、Bluetooth通信部150、あるいはWLAN通信部160ではその通信方式による消費電力が大きいため、通信接続を試みた通信部は、省エネモードに設定、あるいは電源OFF状態(電源供給停止)に切り替えられる。Bluetooth、WLANによる再接続ができなかった場合も、省エネモード、あるいは電源OFF設定するようにすればよい。
【0025】
図2では、電源ON状態になると、BLE通信規格による端末20との再接続を行う処理を示しているが、電源ON状態の間、何らかの理由でその通信接続が遮断される可能性もある。そのため、BLE通信規格による通信接続が途中で遮断された場合、Bluetooth、WLAN通信規格による端末20との通信接続を確立し、BLE通信規格による再接続を行ってもよい。
【0026】
一方、BLE通信規格による通信接続が遮断された後、Bluetooth、WLAN通信規格による通信接続も実現できない場合、端末20のバッテリー切れ、あるいは端末20が通信可能な範囲から外れたなどの事情が考えられる。そのため、いずれの通信方式によってもカメラ10と端末20との間で通信接続が行えない場合、制御部140は、Step112において、カメラ10本体に対する如何なる操作に対しても動作しないように、カメラ10をロックさせる。これにより、第三者が不当に撮影データなどを閲覧、取得することを防ぎ、盗難防止効果をもたせることができる。また、GPS通信部180によって公衆無線LANと自動的に通信接続し、カメラ位置情報を端末20へ送信するようにしてもよい。これによって、ユーザはカメラ10の所在をすぐに確認、把握することができ、盗難時にもカメラ位置情報を用いて追跡することができる。なお、カメラロック、GPS通信いずれか一方でもよい。
【0027】
図2に示す通信接続処理では、カメラ電源OFF状態では、端末20との通信接続が行われていないことを前提としているが、カメラ電源OFF状態においても、BLEによる通信接続状態を維持するように構成してもよい。この場合、端末20に対して所定の操作を行うことによって、カメラを自動起動し、ユーザの指定した動作や通信を行うことができる。また、電源ONに切り替わるときにも更新などの目的で再接続するようにしてもよい。
【0028】
図3は、操作に伴う通信処理のフローチャートを示した図である。
【0029】
ユーザによってカメラ10本体に対する操作、あるいは端末20に対する操作がなされると、処理が開始される。ここでの操作は、いずれかの通信方式に従った通信処理を伴う動作を実行させるための操作を表す。例えば、端末20への操作によってカメラ10による撮影(動画を含めて)を行う、端末20あるいはカメラ10に対する操作によって、画像データをカメラ10から端末20へ転送する場合の操作などが含まれる。ユーザによる直接的な操作だけでなく、タイマー設定機能によって通信処理を行ってもよく、あるいは、設定したエリアに端末20が移動したときに通信動作を自動開始するようにしてもよい。
【0030】
カメラ10あるいは端末20に対する操作が行われると、その操作内容に応じた通信処理が、BLE通信規格による通信で可能か否か、すなわち、その操作に伴って行われる通信処理が、BLE通信規格による低速通信、遅延などを受け入れられる(許容できる)か否かが判断される(S201)。例えば、BLEによる低速通信に起因するタイムラグなどが気にならないキー操作や、データ容量の比較的小さいデータ通信を行う操作の場合、BLE通信規格による通信が認められ、BLE通信規格によって通信処理が行われる(S202)。
【0031】
一方、BLE通信規格よりも高速通信の通信方式を必要とする操作が行われた場合、Bluetooth、あるいはWLAN通信規格による通信接続を端末20との間で行う。例えば、端末20を操作することによってカメラ撮影を行う場合、WLAN通信規格ほどの高速通信は必要ないが、BLE通信規格では、操作から露光開始までのタイムラグが記録写真に影響を与える場合がある。
【0032】
このような比較的高速処理が必要とされる操作の場合、BLE通信規格よりも高速のBluetooth通信規格によって相対的に高速な通信処理を行うのがよい。操作以前に取得した接続情報に基づいて端末20との通信接続を確立し、Bluetooth通信規格による通信処理を実行する(S203~S205)。接続状態になるまで所定回数リトライしてもよい。
【0033】
さらに、静止画像データあるいは動画ファイルなどを転送する操作が行われた場合、データ容量が大きいため、WLAN通信規格による通信処理を行うのが望ましい。したがって、WLAN通信規格による通信処理を必要とする操作が行われた場合、WLAN通信部160によって端末20との通信接続を確立し、WLAN通信規格による通信処理を実行する(S207、S208)。通信接続可能になるまで所定回数リトライしてもよい。
【0034】
操作内容に基づく通信方式の選択は、ユーザが事前に端末20あるいはカメラ10側で設定することができる。あるいはカメラ10においてあらかじめ自動的に設定してもよい。いずれにおいても、通信速度と遅延などを考慮して操作内容に応じた適切な通信方式を定めればよい。
【0035】
例えばWLAN2.4GHzによる通信処理の場合、家電製品、コードレス電話などで使用している周波数帯域と一部重複しているため、これが原因で接続できない可能性がある。このように高速通信方式によって端末20と接続ができない場合、WLAN5GHzの通信規格への接続、あるいはBluetooth通信規格による接続へ切り替える(S210、S211)。このように高速通信の間で他の通信方式へ順次切り替えることによって、いずれかの高速通信方式による通信処理を実現できる。
【0036】
Bluetooth、あるいはWLAN通信規格による通信処理が行われている間、BLE通信規格による端末20との通信接続状態は維持されている。これによって、BLE通信規格による端末20との再接続に失敗し、あるいは再接続に時間がかかるなどの問題が生じるのを防ぐことができる。なお、連続で通信処理を伴う操作を行わないようであれば、Bluetoothによる通信、WLAN通信規格による通信処理を行っている間、BLE通信規格による通信接続を遮断するようにしてもよい。
【0037】
Bluetooth、あるいはWLAN通信規格による通信処理が完了すると、BluetoothあるいはWLAN通信機規格による端末20との通信接続を遮断する。それとともに、省エネモードの設定、電源OFF設定が行われる(S206、S209)。
【0038】
BluetoothおよびWLAN通信規格の通信接続が実現できない場合、接続エラー表示を行う(S212)。なお、BLE通信規格による通信によって接続情報を端末20から再度取得し、Bluetooth、WLAN通信規格による通信接続を再度試みるようにしてもよい。
【0039】
Bluetoothなどの通信規格による通信処理途中で通信遮断が生じる、あるいは、通信速度が想定より大幅に遅くなって所定の条件を満たさない場合、それよりも通信速度の高い、あるいは低い別の通信方式を選択し、その選択した通信方式による通信処理へ切り替えるようにしてもよい。これは、WLAN2.4GHzなどの通信処理において通信遮断などが生じた場合、有効である。
【0040】
以上、本実施形態のカメラ10の構成およびカメラ10と端末20との通信処理によれば、ユーザにとって煩わしい作業を伴うことなく、撮影に関する操作や画像データ転送に関する操作などを端末側あるいはカメラ側から行えば、ユーザが意識することなくシームレスに適切な通信方式を選択して通信処理を行うことができ、また、低電力のBLE通信規格と、より高速なBluetooth、WLAN2.4GHz、WLAN5GHzの通信方式との間で、必要に応じて通信方式を切り替えることができる。
【0041】
上述した通信方式以外の通信方式によって通信処理を行う構成にしてもよい。相対的に電力消費の低い通信方式による通信(低電力通信手段)を維持し、より高速な通信方式が求められる操作が行われると、その高速な通信方式による通信(高速通信手段)へ切り替えるようにすればよい。上述したような、端末からのカメラ操作、カメラ側から端末側への撮影画像のデータ転送だけでなく、モニタ表示画像の転送、レリーズ操作あるいはレリーズ操作に準じる撮影関連の操作など、カメラにとって高速処理を必要または好ましく、あるいはユーザにとって要望される操作内容に対し、より高速通信方式で通信処理を行うのがよい。これらは、ユーザがオプションで設定することが可能であり、あるいはあらかじめデフォルトで設定しておいてもよい。カメラ10は、デジタルカメラに限定されず、撮像機能を備えた撮像措置であればよい。また、端末20についてもスマートフォンなどの携帯端末に限定されない。
【符号の説明】
【0042】
10 デジタルカメラ(撮像装置)
20 端末
140 制御部