(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/01 20060101AFI20240702BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240702BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240702BHJP
H04N 1/60 20060101ALI20240702BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G03G15/01 Y
G03G15/00 303
H04N1/12 Z
H04N1/60
G06T1/00 510
(21)【出願番号】P 2020098900
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2019129581
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松岡 平
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-242684(JP,A)
【文献】特開2018-157542(JP,A)
【文献】特開2010-164620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/01
G03G 15/00
H04N 1/12
H04N 1/60
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスカラー、又は、前記プロセスカラーとは異なる特殊色の補正を行う画像処理装置であって、
補正の対象となる補正対象色の指定を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記指定に基づいて、記録媒体上に形成する階調補正パターンを特定し、前記階調補正パターンを示す描画データを生成する描画データ生成部と、
前記補正対象色の基準値を取得する階調特性取得部と、
前記階調補正パターンを画像形成する画像形成部と、
前記階調補正パターンを測色した結果である測色結果と、前記基準値の差分に基づいて、前記補正対象色の補正を行う階調補正部と、
を備え
、
前記補正対象色の前記指定は、前記プロセスカラー、前記特殊色、又は、前記プロセスカラーと前記特殊色の両方、のいずれかであり、前記特殊色に蛍光の色が含まれる場合は、前記プロセスカラー、又は、前記プロセスカラーと前記特殊色の両方、のいずれかである
画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理装置は、さらに、表示部を備え、
前記受付部は、前記補正対象色の選択肢として、前記プロセスカラー、前記特殊色、又は、これらの組み合わせを前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
記録媒体種類を取得する記録媒体種類取得部を更に備え、
前記受付部は、前記記録媒体種類及び前記特殊色の組み合わせに基づいて、前記選択肢を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特殊色には、白色又は蛍光の色を含む
請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記特殊色に、蛍光の色が含まれる場合、
前記特殊色及び前記プロセスカラーのうちのいずれかを蛍光の色に代えた色の組み合わせを前記選択肢とする
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記特殊色に白色が含まれ、かつ、前記記録媒体種類が黒色の記録媒体である場合、
前記受付部は、前記特殊色を前記選択肢とし、かつ、前記プロセスカラーを選択不可能にする
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記特殊色に白色が含まれ、かつ、前記記録媒体種類が白色の記録媒体である場合、
前記受付部は、前記プロセスカラーを前記選択肢とし、かつ、前記特殊色を選択不可能にする
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記階調補正部が補正を行った後、前記画像形成部は、検証パターンを画像形成し、
前記階調補正部は、前記検証パターンを測色した結果に基づいて、補正を行う色を特定する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記階調補正部により補正されなかった色は、初期状態で画像形成が行われる
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記階調補正部による補正結果を記憶する記憶部と、
前記特殊色の入れ替えを検出する検出部とを更に備え、
前記検出部が前記特殊色の入れ替えを検出すると、検出結果に基づいて、前記補正結果又は前記特殊色に対する補正のリセットを行い、かつ、前記プロセスカラーの補正を維持する
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
プロセスカラー、又は、前記プロセスカラーとは異なる特殊色の補正を行う画像処理システムであって、
補正の対象となる補正対象色の指定を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記指定に基づいて、記録媒体上に形成する階調補正パターンを特定し、前記階調補正パターンを示す描画データを生成する描画データ生成部と、
前記補正対象色の基準値を取得する階調特性取得部と、
前記階調補正パターンを画像形成する画像形成部と、
前記階調補正パターンを測色した結果である測色結果と、前記基準値の差分に基づいて、前記補正対象色の補正を行う階調補正部と
を備え
、
前記補正対象色の前記指定は、前記プロセスカラー、前記特殊色、又は、前記プロセスカラーと前記特殊色の両方、のいずれかであり、前記特殊色に蛍光の色が含まれる場合は、前記プロセスカラー、又は、前記プロセスカラーと前記特殊色の両方、のいずれかである
画像処理システム。
【請求項12】
プロセスカラー、又は、前記プロセスカラーとは異なる特殊色の補正を行う画像処理装置に画像処理方法を実行させるためのプログラムであって、
画像処理装置が、補正の対象となる補正対象色の指定を受け付け
、前記補正対象色の前記指定は、前記プロセスカラー、前記特殊色、又は、前記プロセスカラーと前記特殊色の両方、のいずれかであり、前記特殊色に蛍光の色が含まれる場合は、前記プロセスカラー、又は、前記プロセスカラーと前記特殊色の両方、のいずれかである受付手順と、
画像処理装置が、前記受付手順で受け付けた前記指定に基づいて、記録媒体上に形成する階調補正パターンを特定し、前記階調補正パターンを示す描画データを生成する描画データ生成手順と、
画像処理装置が、前記補正対象色の基準値を取得する階調特性取得手順と、
画像処理装置が、前記階調補正パターンを画像形成する画像形成手順と、
画像処理装置が、前記階調補正パターンを測色した結果である測色結果と、前記基準値の差分に基づいて、前記補正対象色の補正を行う階調補正手順と
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成に用いる色の階調を補正する方法が知られている。
【0003】
例えば、CMYK及び白色のトナーを用いる画像形成において、まず、画像形成装置は、キャリブレーションモード等により、あらかじめ記憶するパッチデータに基づいて、記録媒体にキャリブレーション用の画像を形成する。このように、画像形成装置は、パッチデータに基づいて形成されるキャリブレーション用の画像を有する記録媒体である、キャリブレーションシートを製作する。そして、スキャナ等でキャリブレーションシートを光学的に読み取ることで、キャリブレーションシートに形成された領域の濃度が取得される。このようにして、階調補正等を行う方法が知られている(例えば、特許文献1等を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法において、補正の対象となる色等が指定できる方が望ましい場合がある。例えば、従来の方法では、補正が不要な色に対しても階調補正を行っていたため、補正を行う処理時間が長くなる場合がある。そこで、補正の対象を絞り込むことで、補正の処理時間を短くしたい場合がある。
【0005】
本発明の一態様は、補正の処理時間を短くできることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態による、画像処理装置は、プロセスカラー、又は、前記プロセスカラーとは異なる特殊色の補正を行う画像処理装置であって、
補正の対象となる補正対象色の指定を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記指定に基づいて、記録媒体上に形成する階調補正パターンを特定し、前記階調補正パターンを示す描画データを生成する描画データ生成部と、
前記補正対象色の基準値を取得する階調特性取得部と、
前記階調補正パターンを画像形成する画像形成部と、
前記階調補正パターンを測色した結果である測色結果と、前記基準値の差分に基づいて、前記補正対象色の補正を行う階調補正部とを備え、前記補正対象色の前記指定は、前記プロセスカラー、前記特殊色、又は、前記プロセスカラーと前記特殊色の両方、のいずれかであり、前記特殊色に蛍光の色が含まれる場合は、前記プロセスカラー、又は、前記プロセスカラーと前記特殊色の両方、のいずれかである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によって、補正の処理時間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】画像処理システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】画像形成部及び読取部のハードウェア構成例を示す図である。
【
図5】第1実施形態におけるDFEと、画像形成装置の機能構成例を示す図である。
【
図6】記憶部に格納されている、補正対象色情報と、階調補正パターンデータと、が対応付けられたテーブルT1の一例である。
【
図9】ブラック(K)を補正対象色に指定した場合に表示部が表示する画面の一例を示す図である。
【
図10】シアン(C)を補正対象色に指定した場合に表示部が表示する画面の一例を示す図である。
【
図13】補正前の状態及び理想の状態を示す例の図である。
【
図14】補正の処理例を示すフローチャートである。
【
図15】白色トナー面積率と濃度の期待値との関係の例、及び、白色トナー面積率と補正後の濃度(補正測定値)との関係の例を示す図である。
【
図18】第2実施形態における補正の処理例を示すフローチャートである。
【
図19】第3実施形態における階調補正パターンの例を示す図である。
【
図20】第3実施形態における補正の処理例を示すフローチャートである。
【
図21】第4実施形態における補正対象色の指定例である。
【
図22】第4実施形態における階調補正パターンの例を示す図である。
【
図23】第5実施形態における階調特性の例を示す図である。
【
図24】第5実施形態における全体処理を示すフローチャートである。
【
図25】記録媒体種類を取得するためのGUIの例を示す図である。
【
図26】第5実施形態における補正対象色の指定例である。
【
図27】白色層を形成する設定を行うGUIの例を示す図である。
【
図28】白色層を用いる階調補正パターンの例を示す図である。
【
図29】白色層を用いた場合の階調特性の例を示す図である。
【
図30】白色の記録媒体を用いた場合の階調特性の例を示す図である。
【
図31】記録媒体色が白色であると判断される場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための最適な形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
<第1実施形態>
<全体構成例>
図1は、画像処理システムの全体構成例を示す図である。例えば、画像処理システム100は、情報処理装置であるクライアントPC(Personal Computer)(以下「クライアントPC101」という。)、画像処理装置であるDFE(Degital Front End)(以下「DFE102」という。)、画像形成装置の例である画像形成装置103及び情報管理装置である管理サーバ104等を含む全体構成である。
【0011】
クライアントPC101は、ユーザが印刷ジョブを作成し、DFE102又は管理サーバ104へ印刷ジョブを送信する。例えば、クライアントPC101は、液晶ディスプレイ等の表示部、及び、マウス並びにキーボード等の入力装置を備えるハードウェア構成である。なお、ハードウェア構成の詳細は、後述する。
【0012】
DFE102は、クライアントPC101又は管理サーバ104等から、印刷ジョブを受け取る。そして、DFE102は、受け取った印刷ジョブに基づいて、RIPエンジン(Raster Image Processor エンジン)等によって、描画データを作成し、画像形成装置103へ描画データを送信する。なお、ハードウェア構成の詳細は、後述する。
【0013】
画像形成装置103は、DFE102から受け取った描画データに基づいて画像形成を行う。なお、ハードウェア構成の詳細は、後述する。
【0014】
管理サーバ104は、クライアントPC101から受け取った印刷ジョブを記憶部に保存し、管理する。また、管理サーバ104は、DFE102等の要求により、印刷ジョブをDFE102等へ送信する。なお、ハードウェア構成の詳細は、後述する。
【0015】
また、全体構成は、図示する構成に限られない。例えば、情報処理装置又は情報管理装置は、更にあってもよいし、省略又は他の情報処理装置と一体でもよい。
【0016】
DFE102は、具体的には、画像形成装置103と通信を行い、画像形成装置103における画像形成等を制御する。また、DFE102には、クライアントPC101等が接続される。なお、接続はネットワークを介した接続でもよい。
【0017】
クライアントPC101には、あらかじめインストールされたアプリケーションにより、PDL等の言語で記述された画像データを作成する。そして、クライアントPC101は、作成した画像情報をDFE102に送信する。
【0018】
次に、DFE102は、PDL等の言語で記述された画像データを画像形成装置103が印刷可能な形式である描画データに変換する。続いて、DFE102は、画像データを画像形成装置103へ送信する。
【0019】
画像形成装置103は、複数の色材を有しており、DFE102から受け取った描画データに基づいて、画像形成を行う。なお、本実施形態では、画像形成装置103が電子写真方式の画像形成装置であり、色材がトナーの場合について説明しているが、これに限らず、画像形成装置103は、インクジェット方式の画像形成装置であり、色材がインクでもよい。
【0020】
また、画像処理システム100には、管理サーバ104等があってもよい。そして、画像処理システム100では、管理サーバ104等が、クライアントPC101から受け取った印刷データを管理してもよい。また、管理サーバ104は、DFE102からの要求により、印刷データをDFE102へ送信してもよい。
【0021】
なお、DFE102の機能の一部または全てを、クライアントPC101が備えていてもよいし、画像形成装置103が備えていてもよいし、管理サーバ104が備えていてもよい。
【0022】
<ハードウェア構成例>
図2は、画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。なお、クライアントPC101、DFE102及び管理サーバ104は、同じハードウェア構成でもよい。以下、DFE102を例に説明し、他の装置の説明を省略する。ただし、情報処理装置の一例であるクライアントPC101は、PC、サーバ及びスマートフォン等であればよく、異なるハードウェア構成でもよい。
【0023】
図示するように、DFE102は、CPU(Central Processing Unit、以下「CPU201」という。)、ROM(Read-Only Memory、以下「ROM202」という。)、RAM(Random Access Memory、以下「RAM203」という。)、HDD(Hard Disk Drive)/SSD(Solid State Drive)(以下「HDD/SSD204」という。)I/F(interface、以下「I/F205」という。)及びLCD(Liquid Crystal Display、以下「LCD206」という。)等を含むハードウェア構成である。
【0024】
CPU201は、RAM203を作業領域として使用し、ROM202に格納されるプログラムを実行する。
【0025】
HDD/SSD204は、記憶部として使用され、あらかじめ設定された設定値を格納している。なお、HDD/SSD204に格納されている情報は、CPU201が読み出しプログラム実行時に使用することもある。
【0026】
I/F205は、DFE102と、クライアントPC101、画像形成装置103、管理サーバ104とを通信可能にするインタフェースである。
【0027】
LCD206は、処理結果等を表示する出力装置である。
【0028】
なお、図示するハードウェア構成は一例であり、画像処理装置は、CPU、HDD/SSD、キーボード若しくはマウス等の入力装置が更にあるハードウェア構成等でもよい。
【0029】
図3は、画像形成装置103のハードウェア構成例を示す図である。図示するように、画像形成装置103は、CPU301、ROM302、RAM303、HDD/SSD304、I/F305、画像形成部306及び読取部307等を有するハードウェア構成である。
【0030】
また、画像形成部306及び読取部307は、例えば、以下のようなハードウェア構成である。
【0031】
図4は、画像形成部及び読取部のハードウェア構成例を示す図である。例えば、画像形成部306は、中間転写ベルト、複数の感光体ドラム、給紙トレイ、搬送ローラ、転写ローラ及び定着ローラ等で構成される。
【0032】
具体的には、画像形成部306は、無端状移動手段である中間転写ベルト402に沿って各色の感光体ドラムである、403S、403Y、403M、403C、403K(以下総じて「感光体ドラム403」という。)が並べられた構成である。すなわち、図示する例は、いわゆる「タンデムタイプ」である。
【0033】
なお、感光体403Yは、イエロー色版(Y色)、感光体403Mは、マゼンタ色版(M色)、感光体403Cは、シアン色版(C色)、感光体403Kは、黒色版(K色)、感光体403Sは、プロセスカラーであるCMYK色とは異なる特殊色版(メタリック色、蛍光イエロー若しくは蛍光ピンク等の蛍光色、又は、白色等の特殊色)を形成する。なお、CMYK色をプロセスカラーとするが、CMY色をプロセスカラーとしてもよく、CMY色の代わりに赤(R色)、緑(G色)、青(B色)をプロセスカラーとしてもよい。
【0034】
まず、用紙等の記録媒体は、給紙トレイ400から給紙され、搬送ローラ401により搬送される。また、転写のため、中間転写画像が形成される中間転写ベルト402に沿って、搬送方向の上流側から順に、感光体ドラムが、例えば、403S、403Y、403M、403C、403Kの順で並べられる。なお、感光体ドラム403の並び順は、これに限らず、逆にして上流から403K、403C、403M、403Y、403Sという順等としてもよい。ただし、特殊色は、最も下流又は最も上流の位置に限られず、他の位置でもよい。
【0035】
感光体ドラム403ごとの表面において、トナーにより現像された各色の画像が形成される。そして、各色の画像は、中間転写ベルト402に重ね合わせられて転写される。このようにして、中間転写ベルト402上にフルカラーの画像が形成される。また、中間転写ベルト402上に形成されたフルカラー画像は、用紙(記録媒体)の搬送経路(図では、破線で示す。)において、転写ローラ404の機能により、用紙上に転写される。次に、紙面上に画像が形成された用紙は、更に搬送され、定着ローラ405によって画像が定着される(すなわち、画像が形成される)。
【0036】
また、用紙の両面に画像形成を行う場合には、用紙の表面に画像形成を行った後、用紙は、反転パス407に搬送されて、表裏が反転される。そして、用紙は、再度、転写ローラ404の位置まで搬送され、用紙の裏面に画像形成される。
【0037】
読取部307は、例えば、表面インラインセンサ406aと、裏面インラインセンサ406b(以下総じて「インラインセンサ406」という。)等により構成される。
【0038】
インラインセンサ406は、用紙の両面を読み取り、用紙上に定着された画像を示す読取画像データを生成する。
【0039】
なお、インラインセンサ406は、表面インラインセンサ406a及び裏面インラインセンサ406bのうち、いずれか一方でもよい。例えば、センサが表面インラインセンサ406aのみの構成は、用紙の表面に画像形成が完了すると、表面インラインセンサ406aによって、画像の読み取りを行う。その後、用紙の裏面に対して画像形成が行われた後に裏面を表面インラインセンサ406aによって、画像の読取を行う。
【0040】
<機能構成例>
図5は、第1実施形態におけるDFE102と、画像形成装置103の機能構成例を示す図である。
【0041】
DFE102は、表示部501、受付部502、描画データ生成部503、色材種類取得部504、階調特性取得部505、及び、階調補正部506を備える機能構成である。なお、機能構成は、図示する構成に限られず、実施の形態等により、更に機能等があってもよい。なお、各機能は、CPU201が、ROM202に格納されているプログラムを実行することで実現する。
【0042】
表示部501は、LCD206等に、階調補正の対象となる色を選択可能な画面(色指定画面)を表示させる。
【0043】
受付部502は、キーボード又はマウス等の入力装置を介してユーザによる階調補正の対象となる補正対象色の指定を受け付ける。受付部502は、受け付けた補正対象色に関する情報(補正対象色情報)を描画データ生成部503と、後述の階調特性取得部505へ出力する。なお、補正対象色の指定は1色でもよいし、複数色でもよい。
【0044】
描画データ生成部503は、受付部502から受け付けた補正対象色情報に基づいて、記憶部に格納されている階調補正パターンデータを取得し、取得した階調補正パターンデータに基づいて描画データを生成し、後述の画像形成制御部507へ出力する。
【0045】
図6は、記憶部に格納されている、補正対象色情報と、階調補正パターンデータと、が対応付けられたテーブルT1の一例である。
図6のテーブルT1を参照することで、描画データ生成部503は、受付部502から受け付けた補正対象色情報が示す補正対象色に対応する階調補正パターンデータを取得することができる。なお、テーブルT1はこれに限定されず、補正対象色としてC、M、及び、Specialのパターンデータを対応付けしたデータであればよい。
【0046】
色材種類取得部504は、後述の画像形成制御部507から、画像形成装置103が備える色材の種類に関する色材種類情報を取得する。色材種類取得部504は、取得した色材種類情報を階調特性取得部505へ出力する。
【0047】
階調特性取得部505は、受付部502から対象色情報を取得する。また、階調特性取得部505は、色材種類取得部504が取得した色材種類情報を取得する。
【0048】
さらに、階調特性取得部505は、記憶部から、対象色情報に基づいて、対象色の各階調値の基準値を取得する。また、階調特性取得部505は、対象色情報の他に、色材種類情報に基づいて、記憶部から対象色の各階調値の基準値を取得してもよい。
【0049】
階調特性取得部505は、取得した対象色情報と、色材種類情報と、基準値と、を階調補正部506へ出力する。
【0050】
階調補正部506は、階調特性取得部505から、対象色情報と、色材種類情報と、基準値とを受け取る。また、階調補正部506は、描画データ生成部503が階調補正パターンデータに基づいて生成した描画データに基づいて用紙上に形成した画像(階調補正パターン画像)をユーザが測色器を用いて測色した結果である測色データを取得する。
【0051】
なお、本実施形態では、画像形成装置が測色器を備えていない場合について説明するが、画像形成装置が測色器を備えていてもよい。その場合、画像形成装置が測色器により階調補正パターン画像を測色するため、ユーザは階調補正パターン画像を測色しなくてもよい。
【0052】
画像形成装置103は、画像形成制御部507と、画像形成部508の機能構成である。なお、機能構成は、図示する構成に限られず、実施の形態等により、更に機能等があってもよい。なお、画像形成制御部507は、CPU301がROM302に格納されているプログラムを実行することで実現する。また、画像形成部508は、画像形成部306により実現される。
【0053】
画像形成制御部507は、描画データ生成部503から受け取った描画データに基づいて、画像形成部508を制御し、用紙上に画像を形成させる。
【0054】
<全体処理例>
図7は、全体処理例を示すフローチャートである。
【0055】
(補正対象色の指定例)
ステップS1では、受付部502が、表示部が表示している画面において、ユーザから補正対象色の指定を受け付け、補正対象色の情報を503と、階調特性取得部505へ出力する。
【0056】
図8は、表示部が表示する画面の一例を示す図である。以下、画像形成装置が、図示するように、CMYKの4色及び特殊色の1色を合わせて合計して5色で画像形成できる場合の例で説明する。なお、これに限られず、CMYKの4色及び特殊色を2色以上用いて画像形成できる画像形成装置でもよい。
【0057】
例えば、表示部は、
図8(A)又は
図8(B)のいずれかのGUIを表示する。なお、補正対象色を指定するGUIが図示する以外のGUIであってもよい。
【0058】
図8(A)は、あらかじめ決定されている色材の組み合わせをユーザが選択可能に表示する画面である。ユーザが、色材の組み合わせを選択(
図8(A)中の斜線部が選択された色材である。)し、「OK」ボタンが押下されると、受付部は、選択された色材の組み合わせを補正対象色の指定として受け付ける。
【0059】
図8(B)は、任意の色材の組み合わせをユーザが選択可能に表示する画面である。ユーザが、色材を選択(
図8(B)中の「●」が、選択された色材である。)し、「OK」ボタンが押下されると、受付部は、選択された色材の組み合わせを補正対象色の指定として受け付ける。
【0060】
特殊色は、蛍光イエロー、蛍光ピンク、白色、クリア、メタリック又はこれらの組み合わせ等である。なお、特殊色は、2色以上あってもよい。また、各色は、トナーを交換することで他の色に変更できてもよい。以下、特殊色の例で説明する。
【0061】
図8(A)に示す例において、「CMYK」の4色、又は、4色のうちのいずれかの色を補正対象色に指定する場合には、「CMYK」という選択肢を選ぶと、CMYKを補正対象色に指定できる。
【0062】
同様に、「CMYK+Special」は、CMYKと特殊色の両方を補正対象色に指定するのに用いられる選択肢である。
【0063】
さらに、「Special only」は、特殊色を補正対象色に指定するのに用いられる選択肢である。
【0064】
このように、UI等で入力された色が補正対象色と指定され、後段で行われる補正等の処理で対象とされる。
【0065】
(補正対象色の基準値の取得例)
ステップS2では、階調特性取得部505は、指定された色(すなわち、補正対象色である。)の基準値を記憶部から取得する。例えば、ブラック(K)が指定された場合には、ブラック(K)の基準値が取得される。
【0066】
基準値は、例えば、階調パッチを示す画像データに基づいて記録媒体に画像形成された階調、いわゆるテストチャート等を測色器で測色した場合に得られる値の理想値である。基準値は、あらかじめ設定されていてもよいし、ユーザが、階調パッチを示す画像の測色結果から得られた測色値を基準値として登録していてもよい。
【0067】
基準値は、例えば、濃度、明度、色度、彩度、光沢度又はこれらの組み合わせ等である。なお、センサは、光学スキャナ等でもよい。この場合には、基準値は、例えば、RGB値等である。さらに、基準値は、RGB値を変換してLab値等でもよい。また、例えば、階調補正パターンは、例えば、以下のようにあらかじめ用意される。
【0068】
図9は、ブラック(K)を補正対象色に指定した場合に表示部が表示する画面の一例を示す図である。以下、図示するようなUIを用いる場合を例に説明する。この例では、画面に、階調補正パターンが画像形成された印刷物のサムネイル画像が表示される例である。そして、この画面等は、どの部分を測定するかをユーザに示す。例えば、「CMYK」又は「CMYK+Special」が指定されると、「K」が含まれるため、図示するような画面が表示される。また、この例は、ユーザに、矢印で取得する基準値を示す。
【0069】
また、例えば、シアン(C)が指定された場合には、以下のような画面となる。
【0070】
図10は、シアン(C)を補正対象色に指定した場合に表示部が表示する画面の一例を示す図である。
図9と比較すると、
図10では、矢印が「Cyan」を指す点が異なる。
【0071】
図11は、階調補正パターンの例を示す図である。例えば、図示するように、「K」、「C」、「M」、「Y」、「S」及び「T」のように、階調補正パターンは、色ごとに用意される。そして、図示するように、階調補正パターンは、例えば、「00」乃至「20」のように、21階調となるように生成される。この例は、「0%」乃至「100%」を「0%」、「5%」、「10%」、・・・、「95%」、「100%」のように、「5%」刻みで1階調とする例である。したがって、階調ごとに均等に変化させる場合には、8ビット、すなわち、「0」乃至「255」の範囲でデータが変化する場合であると、1階調で「255÷100」分、データの値が変化するように、階調補正パターンが生成される。なお、刻み及びビット数等は、設定等により、別の数値でもよい。
【0072】
このような階調補正パターンが画像形成されて、画像形成された階調補正パターンを分光測色器等で計測すると、画像処理装置は、測色結果である特性値等を取得できる。具体的には、CMYKの色では、特性値は、濃度等である。一方で、特殊色の場合には、特性値は、色によって異なってもよい。例えば、蛍光ピンクの場合には、特性値は、L*a*b*におけるa*である。蛍光イエローの場合には、特性値は、L*a*b*におけるb*である。さらに、白色の場合には、特性値は、L*a*b*におけるL*である。
【0073】
したがって、特性値の取得には、計測した値を変換する等の処理があってもよい。
【0074】
これらの値は、面積階調率が増加すると、大きく値が変動する値であって、ダイナミックレンジが広く保てる指標である。そのため、精度の良い階調補正が可能である。
【0075】
(全色が完了したか否かの判断例)
ステップS3では、階調特性取得部505は、指定された全色について、指定された色の特性値がすべて取得されたか否かを判断する。
【0076】
次に、画像処理装置は、全色が完了したと判断すると(ステップS3でYES)、ステップS4に進む。一方で、画像処理装置は、全色が完了していないと判断すると(ステップS3でNO)、ステップS2に進む。
【0077】
このようにして、指定された色の特性値が、すべて取得されるまで繰り返しステップS2等が行われる。
【0078】
(補正を行うか否かの判断例)
ステップS4では、階調補正部506は、補正を行うか否かを判断する。
【0079】
例えば、ステップS3及びステップS4等は、以下のような画面で行われてもよい。
【0080】
図12は、表示部が表示する画面例を示す図である。図示する画面例では、ユーザは、「Apply」のボタン(以下「第1ボタン1101」という。)、「Cancel」のボタン(以下「第2ボタン1102」という。)及び「Show graph」のボタン(以下「第3ボタン1103」という。)のボタンを押す操作ができるとする。
【0081】
例えば、第1ボタン1101又は第2ボタン1102のいずれかを押すことで、この後、補正を実行するか否かをユーザは選択できる。受付部502は、ユーザによりボタンが押されると、押されたボタンに対応する情報を階調補正部506へ出力する。例えば、第1ボタンが押された場合、受付部502は補正を行う旨を示す情報を階調補正部506へ出力する。また、第2ボタンが押された場合、受付部502は補正を行わない旨を示す情報を階調補正部506へ出力する。階調補正部506は、補正を行う旨の情報を受付部502から受け取ると階調補正を実行する(ステップS4でYES)。一方で、階調補正部506は、補正を行う旨の情報を受付部502から受け取ると階調補正を行わず、処理全体を終了と判断する(ステップS4でNO)。
【0082】
また、第3ボタン1103が押されると、表示部501は、例えば、以下のような画面を表示してもよい。
【0083】
図13は、補正前の状態及び理想の状態を示す例の図である。なお、図示する例は、第1色を「CMYK+Special」に指定した場合の例である。したがって、以下の例は、5色の場合を例とするが、表示する色は、指定された色によって選ばれてもよい。ゆえに、この例では、図示するような画面を表示するため、各色の階調補正パターンがあらかじめ画像形成され、補正前の状態として計測される場合である。さらに、この例では、各色の基準値が理想の状態として取得される。
【0084】
図において、「xx_meas」(「xx」部分には、「C」、「M」、「Y」、「K」及び「S」のいずれかが入る。以下同様に記載する。)は、補正前の状態、すなわち、現在の状態を示し、実際に階調補正パターンを画像形成して計測した結果を示す。
【0085】
一方で、「xx_tar」は、理想の状態、すなわち、補正を行った後に期待できる状態を示す。また、縦軸は、「CMYK」については濃度を指標で示す。さらに、縦軸は、「S」については「a*」の値を示す。
【0086】
したがって、図示するようなグラフ等の画面が表示されると、ユーザは、補正前の階調特性等と、期待値とを把握できるため、異常、補正を行うのが望ましい色、又は、補正で期待できる効果等を知ることができる。
【0087】
このように、どの色を補正の対象に指定するか等を補助するために、図示するような画面等が表示されてもよい。
【0088】
次に、階調補正部506は、補正を行うと判断すると(ステップS4でYES)、ステップS5に進む。一方で、階調補正部506は、補正を行わないと判断すると(ステップS4でNO)、全体処理を終了する。
【0089】
(補正例)
ステップS5では、階調補正部506は、階調補正を行う。例えば、補正は、
図13に示すように、画像形成された階調補正パターンから取得できる補正前の状態と、基準値が示す理想の状態の差分を少なくして、理想の状態にする処理である。具体的には、補正は、以下のような処理となる。
【0090】
図14は、補正の処理例を示すフローチャートである。なお、図示する各処理は、以前(
図7等)に行われた場合には、重複して実行しなくともよいため、省略されてもよい。
【0091】
(補正対象色の指定例)
ステップS51では、受付部502は、補正対象色を指定する。
【0092】
(階調補正パターンを示す画像データの生成例)
ステップS52では、描画データ生成部503は、階調補正パターンを示す画像データを生成する。
【0093】
(階調補正パターンの画像形成例)
ステップS53では、画像形成制御部507は、画像データに基づいて、階調補正パターンを記録媒体上に形成する。
【0094】
(補正対象色の階調特性等の取得例)
ステップS54では、取得部は、補正対象色の階調特性等を取得する。すなわち、取得部は、第1色を選別して、光学スキャナ等で特性値等を計測する。
【0095】
(階調特性等の表示例)
ステップS55では、表示部501は、階調特性等を表示する。
【0096】
(補正対象色の補正例)
ステップS56では、階調補正部506は、補正対象色を補正する。
【0097】
以下、補正対象色を特殊色の一例である、白色とする例で説明する。まず、以下のようなデータがあらかじめ画像処理装置において計算等によって生成される。
【0098】
図15は、白色トナー面積率と濃度の期待値との関係の例、及び、白色トナー面積率と補正後の濃度(補正測定値)との関係の例を示す図である。図示するような結果は、例えば、下記(1)式及び下記(2)式の計算結果を示す。
(補正量)=(W00の計測値)-(W00の期待値) (1)
上記(1)式における「W00の計測値」は、白色における「白色トナー面積率0%のパッチ」(
図11では、「S00」に相当する。)を使用し、かつ、「W00」のパッチを使用して画像形成された画像をスキャナ等で計測した結果である。一方で、「W00の期待値」は、理想の状態における白色の濃度である。したがって、上記(1)式に示すように計算される、「W00の計測値」と、「W00の期待値」との差分が、理想の状態から変化した値であり、補正によって戻すべき値、すなわち、補正量となる。
(補正計測値)=(Wiの計測値)-(補正量) (2)
上記(2)式における「補正量」は、上記(1)式で計算される「補正量」である。さらに、上記(2)式における「i」は、他の領域を示し、「Wi」は、「W01」等のようになる。したがって、補正計測値は、スキャナ等で計測した結果である「Wiの計測値」から補正量を減算して求める値である。そして、白色トナー面積率、期待値、計測値及び補正計測値の関係は、下記(表1)のような関係となる。
【0099】
【表1】
図16は、補正用パラメータの生成例である。図において、白丸を結んだ点線は、白色トナーの面積率に対する補正測定値の関係を示すグラフである。さらに、図において、黒丸を結んだ実線は、白色トナーの面積率に対する濃度の期待値の関係を示すグラフである。
【0100】
補正計測値が期待値とほぼ一致する場合には、補正部は、補正しなくてよい、すなわち、状態を維持する。そのため、補正用パラメータ等は、例えば、補正を行わないように設定される。
【0101】
一方で、図示する例では(より具体的には、白色トナー面積率が94%程度の場合である。以下、図において矢印で示す白色トナー面積率が94%の場合を例に説明する。)、濃度の期待値は、「0.31」である。これに対して、補正計測値は、「0.181」である。このような場合が、補正計測値と、期待値とが一致していない場合の例である。例えば、このような場合が補正の対象となる。
【0102】
このような現象は、例えば、画像形成装置が有する部品及び組み付け部分等における経時的変化のため、濃度が変動する等が原因である。そして、図示する例の状態は、期待する濃度を実現するのには、白色トナーの面積率が理想の値よりも小さい状態である。
【0103】
階調補正部506は、例えば、それぞれの濃度を実現する白色トナーの面積率を線形補間等で算出する。このようにして、演算部は、それぞれの濃度に対する補正用パラメータを算出する。具体的には、階調補正部506は、まず、隣接する補正計測値のうち、一方の値は、濃度の期待値よりも高い値を検出し、かつ、他方の値は、濃度の期待値よりも低い値を検出する。この例では、白色トナー面積率「87%」及び「94%」の2点が検出される。次に、演算部は、この2点間を線形補間し、濃度の期待値に対応する白色トナー面積率を算出する。具体的には、この例では、線形補間を行うと、「89.1%」が得られる。
【0104】
つまり、白色トナーとして「94%」の面積率データが求められる画像に対して、「89.1%」の白色トナーを割り当てると、経時的変化による濃度の変動を補正、すなわち、基準値を実現する階調特性にすることができる。
【0105】
なお、面積率には、「255/100」を乗算すると、8ビットの階調値データに変換できる。具体的には、「89.1%」に対応する階調値は「227」であり、かつ、「94%」に対応する階調値は「240」である。
【0106】
例えば、以上のような演算を行うと、基準値の濃度に対応して、離散的な16点の階調値に対応する変換テーブルが生成される。なお、演算部は、変換テーブルが示す16点のそれぞれの間をスプライン補間処理等を用いて補間する。例えば、このような補間等によって、階調値「0」乃至「255」において、1階調刻みで補正用パラメータを生成する。
【0107】
このようにして、例えば、補正が行われる。
【0108】
このように、補正は、補正対象色に指定された色を対象にして行う。常に全色を対象にすると、補正の処理等を行う時間は、画像形成等の処理ができない、いわゆるダウンタイム等となる場合が多い。したがって、補正の処理等を行う時間は、短い方が望ましい。特に、全色を対象に補正を実行しても、一部の色が失敗するような場合もある。例えば、画像形成しようとしている画像に、特殊色を用いる部分が含まれないような場合には、特殊色の補正等を行うのは、ダウンタイムを不要に長くする可能性がある。他にも、例えば、以下のような画像を画像形成するような場合もある。
【0109】
図17は、白色による画像形成の例である。すなわち、図示する例は、図示するような画像を黒い用紙に画像形成する場合であれば、CMYKの色が不要となる場合の例を示す図である。このような場合には、CMYKの補正等は、不要である。
【0110】
このように、画像形成の対象となる画像によっては、特定の色が限定して使用される場合がある。そこで、使用する色を補正対象色と指定し、補正対象色について補正を行うようにすると、補正の対象を少なくすることができる。そのため、補正の対象を少なくすることで、補正の処理時間を短くできる。ゆえに、ダウンタイム等を短くできる。
【0111】
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態で説明した処理に加え、新たに補正の処理を実行する。以下、異なる点を中心にして説明し、重複する説明を省略する。
【0112】
図18は、第2実施形態における補正の処理例を示すフローチャートである。第1実施形態と同一の処理は、同一の符号を付し、説明を省略する。図示するように、第2実施形態は、第1実施形態における補正の処理以降に、ステップS57以降の処理を更に行う点が異なる。
【0113】
(検証パターンの画像形成例)
ステップS57では、画像形成部508は、検証用に、検証パターン画像を記録媒体上に画像形成する。
【0114】
(検証パターンに基づく階調特性等の取得例)
ステップS58では、階調特性取得部505は、記録媒体上に形成された検証パターン画像を、測色器を用いて測色した結果から得られた検証パターンの階調特性等を取得する。
【0115】
(検証パターンに基づく階調特性等の表示例)
ステップS59では、表示部は、検証パターン画像を測色して得られた測色結果に基づいて取得した階調特性等を表示する。
【0116】
(補正が完了しているか否かの判断例)
ステップS510では、階調補正部506は、補正が完了しているか否かを判断する。例えば、判断部は、検証パターンが示す特性値が十分に期待値に近い場合等には、補正が完了していると判断する。例えば、基準値と特性値の差分が所定の値以下であるとき、補正が完了していると判断する。所定の値の一例として、濃度の差分が0.1以下であるとき、階調補正部506は、補正が完了していると判断してもよい。なお、これに限られず、基準値と特性値とを明度の値で比較してもよいし、所定の値が0.5でもよい。
【0117】
次に、補正が完了していると(ステップS510でYES)、全体処理を終了する。一方で、補正が完了していない場合には(ステップS510でNO)、ステップS511に進む。
【0118】
(補正ができていない色の特定例)
ステップS511では、階調補正部506は、補正ができていない色を特定する。例えば、この特定結果が次の補正対象色に指定され、再度、ステップS51等の対象となってもよい。すなわち、ステップS511で特定された色に対して、階調補正部506は、再度、補正を行ってもよい。
【0119】
補正が上手くいかない場合がある。例えば、階調等を補正しても、明らかにマゼンタが強い画像が作られるような場合がある。すなわち、マゼンタの色に対する補正が上手くいっていない場合である。
【0120】
補正が上手くいかない原因は、例えば、プリンタ等に面内ムラがあるため、同じパターンを画像形成しても同じような特性値が得られない、又は、センサにエラーが発生した等である。
【0121】
このように、補正を行った後、検証パターン等によって、補正が上手くいったか否かを判断する。そして、補正が上手くできなかった色を特定して、補正が上手くいっていない色を限定して補正の対象とするのが望ましい。このようにすると、補正が上手くいった色は維持され、かつ、補正が上手くいっていない色に限定して補正を行うため、補正の処理時間を短くできる。
【0122】
<第3実施形態>
第3実施形態は、第1実施形態と比較すると、例えば、以下のような階調補正パターンを用いる点が異なる。
【0123】
図19は、第3実施形態における階調補正パターンの例を示す図である。第3実施形態は、図示するように、第1実施形態における階調補正パターンと比較すると、「K」、「M」及び「Y」の3色を形成し、他の色については形成しない点が異なる。すなわち、図示する例は、「K」、「M」及び「Y」の3色が補正対象色に指定された例である。したがって、補正等は、例えば、以下のように行われる。
【0124】
図20は、第3実施形態における補正の処理例を示すフローチャートである。第2実施形態と比較すると、第3実施形態は、ステップS531及びステップS532が異なる。以下、異なる点を中心に説明する。
【0125】
(補正対象色の階調補正パターンを示す画像データの生成例)
ステップS531では、描画データ生成部503は、補正対象色の階調補正パターンを示す画像データを生成する。例えば、
図19に示すような階調補正パターンを示す画像データが生成される。
【0126】
(補正対象色の階調補正パターンの画像形成例)
ステップS532では、画像形成部508は、補正対象色の階調補正パターンを画像形成する。
【0127】
このように、階調補正パターンを示す画像データの生成及び画像形成も補正対象色に限定するようにしてもよい。このような構成であると、トナー消費量も節約することができる。
【0128】
<第4実施形態>
第4実施形態は、他の実施形態と、特殊色が複数となる点が異なる。例えば、画像処理装置は、CMYKの色に加えて、白色と、クリアと、メタリックと、蛍光の色の例である、蛍光イエロー又は蛍光ピンク等との色のうち、2色を用いる。以下、1つ目の特殊色を「S」、2つ目の特殊色を「T」と示す場合がある。
【0129】
このように、2色の特殊色を用いる場合には、例えば、
図11のような階調補正パターンを示す画像データ等が用いられる。
【0130】
以下、特殊色が蛍光イエロー及び蛍光ピンクの2色である場合の例で説明する。このような色を用いる場合には、例えば、CMYKにおけるマゼンタに置き換えて蛍光ピンクを用いる。さらに、このような場合には、CMYKにおけるイエローに置き換えて蛍光イエローを用いる。したがって、CMYK及び特殊色を合わせて合計で6色あっても、6色のうち、4色を用いて画像形成を行う場合が多い。したがって、この例では、補正対象色は、例えば、以下のように選択されるのが望ましい。
【0131】
図21は、第4実施形態における補正対象色の指定例である。すなわち、図示する例は、第1色として、「C」及び「K」に加えて、「Neon Pink」及び「Neon Yellow」が補正対象色に指定された例である。このような指定に基づいて、階調補正パターンを示す画像データ及び画像形成は、例えば、以下のように生成されるのが望ましい。
【0132】
図22は、第4実施形態における階調補正パターンの例を示す図である。このように、特殊色に蛍光の色が含まれる場合には、CMYKとの組み合わせは、図示するように、色の代替を考慮して、特殊色及びCMYKのうち、画像形成に用いる色の組み合わせが補正対象色に指定されるのが望ましい。このような補正対象色の指定であると、補正の対象が使用する色と一致する。ゆえに、無駄な補正等が少なくできる。
【0133】
<第5実施形態>
第5実施形態では、記録媒体の色(以下「記録媒体色」という。)と、特殊色との組み合わせを考慮する。以下、記録媒体色を黒色とし、かつ、特殊色に白色が含まれる場合の例で説明する。例えば、
図17に示すような画像等を画像形成する場合等に、このような黒色と白色の組み合わせ等が用いられる。
【0134】
また、黒色の記録媒体に対して、CMYKの色を使用しても、記録媒体からの反射が少ないため、発色が少ない場合が多い。そのため、階調特性は、例えば、以下のような結果となる。
【0135】
図23は、第5実施形態における階調特性の例を示す図である。図示するように、「S」、すなわち、白色以外の特性値は、濃度等が変化しづらい。そのため、記録媒体色が黒色の場合には、CMYKの色は、使用しない場合が多い。
【0136】
また、記録媒体色が黒色の場合には、「K」の色を用いると、パッチの間、すなわち、境界が分かりづらい場合が多い。そのため、計測を行う場合には、パッチごと、位置を慎重に確認しながら計測が行われるのが望ましい。
【0137】
以上のように、記録媒体色が黒色の場合には、白色、すなわち、特殊色の1色で画像形成を行う設定であるのが望ましい。例えば、このような設定は、以下のような全体処理等で実現する。
【0138】
図24は、第5実施形態における全体処理を示すフローチャートである。第1実施形態と比較すると、第5実施形態は、ステップS1001乃至ステップS1003となる点が異なる。以下、異なる点を中心に説明する。
【0139】
(色材種類の取得例)
ステップS1001では、色材種類取得部504は、色材種類を取得する。色材は、例えばトナーである。すなわち、色材種類取得部504は、画像形成装置に、何色のトナーが設定されているか等といったトナーの種類を特定する情報を取得する。
【0140】
(記録媒体種類の取得例)
ステップS1002では、記録媒体種類取得部は、記録媒体種類を取得する。すなわち、記録媒体種類取得部は、記録媒体の種類を特定する情報を取得する。例えば、記録媒体の種類は、以下のようなGUI等によって取得される。
【0141】
図25は、記録媒体種類を取得するためのGUIの例を示す図である。図示するように、GUI上に、普通紙、グロスコート紙、黒紙、色紙、メタリック用紙、及び、透明シート等の選択肢が選択できるように表示される。図示するように、黒紙が選択されると、記録媒体種類が黒紙であると分かり、画像処理装置は、記録媒体色が黒色であると分かる。
【0142】
(色材種類及び記録媒体種類に基づく補正対象色の指定例)
ステップS1003では、指定部は、色材種類及び記録媒体種類に基づいて、補正の対象となる色を指定する。例えば、補正対象色を指定するためのGUIは、以下のような表示であるのが望ましい。
【0143】
図26は、第5実施形態における補正対象色の指定例である。図示するように、補正対象色の選択肢として、「Special only」、すなわち、白色の特殊色を補正対象色に指定する選択肢を表示する。すなわち、図示する例は、
図8のように、「CMYK」等が選択肢に表示されない例である。このように、記録媒体色とトナーの色との組み合わせが有効な選択肢を選抜し、それ以外の選択肢を表示しない等が望ましい。このような表示であると、特殊色、すなわち、白色が補正対象色に選択され、かつ、CMYKの選択肢が選択不可能にできる。このように、無駄な補正を行うことになる選択肢を選択不可能にするGUIであるのが望ましい。
【0144】
なお、選択不可能にする表示は、「表示しない」に限られない。例えば、GUIは、グレーアウト、又は、選択しようとしても選択肢として反応しない等にする形式等で選択不可能にしてもよい。
【0145】
以上のように、記録媒体色が黒色の場合には、直接、CMYKの色を用いるのは、あまり有効でない。そこで、上記の例のように、黒色の記録媒体に対して、直接、CMYKの色を用いるデータ等がある場合には、エラー等にしてもよい。他にも、ページ番号、及び、プロファイル設定等といった印刷条件情報を画像形成する設定、又は、社外秘等を示すスタンプを画像形成する設定等であると、CMYKを補正等の対象にする場合がある。このような場合には、補正等を行わない、すなわち、補正が省略された色については、初期状態の閾値等で画像形成を行う等が望ましい。このようにして、補正の処理時間を短くしてもよい。
【0146】
一方で、例えば、記録媒体色が黒色の記録媒体であっても、画像処理装置は、記録媒体とトナーの間に、白色のトナーを塗布して層(以下「白色層」という。)を形成するようにしてもよい。例えば、以下のようなGUI等で設定が行われる。
【0147】
図27は、白色層を形成する設定を行うGUIの例を示す図である。例えば、図示するようなGUI、いわゆるチェックボックスが表示されると、チェックを「ON」にすることで、ユーザは、白色層を形成するように設定できるとする。そして、図示するように、白色層を形成する設定であると、例えば、階調補正パターンは、例えば、以下のようになる。
【0148】
図28は、白色層を用いる階調補正パターンの例を示す図である。図示する例では、「K」、「C」、「M」、及び、「Y」は、白色層、すなわち、白色のトナーが塗布された上に画像形成される。一方で、「S」、すなわち、白色のトナーは、記録媒体に対して直接塗布される。このように、白色層等を用いると、記録媒体色が黒色であっても、白色層により、白色のトナーがCMYKのトナーに混ざる場合が多いため、明度が高くなりやすい。そのため、例えば、以下のような階調特性が得られる。
【0149】
図29は、白色層を用いた場合の階調特性の例を示す図である。したがって、このように白色層を用いる設定であれば、記録媒体色が黒色であっても、CMYK等の色も有効である。
【0150】
図27に示すような設定、すなわち、白色層を用いる場合には、
図26に示すGUIでも、
図8等のように、「CMYK+Special」及び「CMYK」等が選択できてもよい。
【0151】
<第6実施形態>
第6実施形態は、記録媒体色が白色であり、かつ、特殊色に白色が含まれる組み合わせである点が他の実施形態と異なる。以下、異なる点を中心に説明する。
【0152】
まず、記録媒体色が白色であり、かつ、特殊色に白色が含まれる場合には、例えば、以下のような階調特性が得られる。
【0153】
図30は、白色の記録媒体を用いた場合の階調特性の例を示す図である。図示するように、記録媒体色が白色であると、「S」、すなわち、白色の特性値は、濃度等が変化しづらい。そのため、白色では階調が取りづらい。ゆえに、白色の記録媒体を用いる場合には、白色のトナーは有効ではない。
【0154】
また、記録媒体色が白色の場合には、「S」の色を用いると、パッチの間、すなわち、境界が分かりづらい場合が多い。そのため、計測を行う場合には、パッチごと、位置を慎重に確認しながら計測が行われるのが望ましい。
【0155】
図31は、記録媒体色が白色であると判断される場合の例を示す図である。例えば、
図24と同様のGUIを用いる場合を例にする。この例では、例えば、「plain paper」又は「gloss coated paper」等がGUI上で選ばれると、記録媒体色が白色と判断される。そして、記録媒体色が白色の場合には、補正対象色の選択肢は、「CMYK」が選択でき、かつ、「S」の色を用いる選択肢が選択不可能であるのが望ましい。このように、記録媒体色が白色の場合にも、記録媒体色とトナーの色との組み合わせが有効な選択肢を選抜し、それ以外の選択肢を表示しない等が望ましい。このような表示であると、CMYKが補正対象色に選択され、かつ、白色の選択肢が選択不可能にできる。このように、無駄な補正を行うことになる選択肢を選択不可能にするGUIであるのが望ましい。
【0156】
なお、選択不可能にする表示は、「表示しない」に限られない。例えば、GUIは、グレーアウト、又は、選択しようとしても選択肢として反応しない等にする形式等で選択不可能にしてもよい。
【0157】
また、記録媒体色が黒色であり、かつ、特殊色に黒色が含まれる組み合わせである場合も、GUIは、CMYKの選択肢を表示し、かつ、特殊色を用いる選択肢を選択不可能に表示するのが望ましい。
【0158】
<第7実施形態>
第7実施形態は、記録媒体色が白色であり、かつ、特殊色に蛍光の色が含まれる組み合わせである点が他の実施形態と異なる。以下、異なる点を中心に説明する。
【0159】
記録媒体色が白色であれば、蛍光の色は、例えば、
図13に示すような階調となる。したがって、記録媒体種類が、白色の用紙等である場合には、補正の対象となる色は、「CMYK」、「CMYK+Special」、又は、「Special only」のいずれでもよい。
【0160】
ただし、例えば、蛍光ピンクは、「M」の代わり使用される場合がある。このような場合は、例えば、「M」の部分を目立つようにするデザイン等の場合である。同様に、蛍光イエローは、「Y」の代わり使用される場合がある。このような場合は、例えば、「Y」の部分を目立つようにするデザイン等の場合である。
【0161】
このように、特殊色に蛍光の色が含まれる場合には、特殊色を単独で使用する可能性が低い場合である。そこで、補正対象色を指定する場合において、すなわち、
図8のようなGUIにおいて、「CMYK」及び「CMYK+Special」の2つを選択肢とするGUIであるのが望ましい。このような表示であると、CMYK、又は、CMYKと特殊色の組み合わせのいずれかが補正対象色に選択され、かつ、特殊色のみの選択肢が選択不可能にできる。このように、無駄な補正を行うことになる選択肢を選択不可能にするGUIであるのが望ましい。
【0162】
<第8実施形態>
特殊色を画像形成するための色材は、例えば、クリアートナー、UVトナー又は金属トナー等が更に用いられてもよい。このような特殊色は、濃度計又は色彩計等のセンサでは、特性値を計測するのが難しい場合が多い。又は、このような特殊色は、補正が不要な場合もある。
【0163】
したがって、このような特殊色を用いる設定では、補正対象色を指定する場合において、すなわち、
図8のようなGUIにおいて、「CMYK」を選択肢とするGUIであるのが望ましい。つまり、このような場合では、特殊色を補正の対象に選択不可能にするGUIであるのが望ましい。このように、補正が不要な色等を用いる設定では、無駄な補正を行うことになる選択肢を選択不可能にするGUIであるのが望ましい。
【0164】
また、記録媒体種類によっては、補正等が難しい場合がある。例えば、記録媒体種類がメタリックペーパーである場合には、記録媒体によって乱反射が起きやすい。そのため、濃度計又は色彩計等のセンサでは、特性値を計測するのが難しい場合が多い。したがって、このような場合には、補正を省略するため、例えば、
図8のようなGUIにおいて、補正の実行、又は、すべての色を選択不可能とするGUIであるのが望ましい。
【0165】
ただし、記録媒体種類がメタリックペーパーであっても、例えば、
図27のように、白色層を用いる等の場合には、補正を行うことができる場合が多い。
【0166】
したがって、例えば、第5実施形態と同様に、記録媒体種類がメタリックペーパーである場合であっても、
図27に示すような設定、すなわち、白色層を用いる場合には、「CMYK」等が選択できるGUIが望ましい。
【0167】
また、例えば、記録媒体種類が透明シートである場合(例えば、
図25に示すGUIにおいて、「transparent papar」の選択肢が選ばれた場合になる。)には、記録媒体色が透明となるため、記録媒体の下に何を敷くかによって特性値等の計測結果が異なりやすい。そのため、例えば、記録媒体色が白色の記録媒体等を記録媒体の下に敷くと、記録媒体色が白色の設定と同様の補正及び計測が可能になる。したがって、このような場合には、記録媒体色が白色の場合等と同様の指定が望ましいので、例えば、
図8のようなGUIにおいて、「CMYK」を選択肢とするGUIであるのが望ましい。
【0168】
このように、無駄な補正を行うことになる選択肢を選択不可能にする、又は、有効な補正を行う選択肢を表示するGUIであるのが望ましい。
【0169】
<第9実施形態>
第9実施形態は、特殊色の入れ替えが他の実施形態と異なる点である。以下、異なる点を中心に説明する。まず、最初に特殊色に蛍光ピンクが含まれる設定であるとする。したがって、CMYK及び蛍光ピンクの組み合わせに対して、例えば、第1実施形態のような補正が行われる。補正の後、CMYK及び蛍光ピンクの特殊色を用いて、画像形成が行われる。さらにこの後、CMYKのみを使用する画像形成、蛍光ピンクのみを使用する画像形成、又は、CMYK及び蛍光ピンクの両方を用いる画像形成を行うのであれば、この色の組み合わせを維持する。
【0170】
一方で、次の画像形成が蛍光イエローを用いる画像形成である場合には、特殊色の入れ替えを行う。このような入れ替えが行われると、色は、CMYK及び蛍光イエローの特殊色の組み合わせとなる。このような入れ替えは、検出部によって検出される。このような入れ替えが行われた後では、CMYKは、補正後であるため、補正が不要である。これに対して、蛍光イエローについては、補正が行われておらず、蛍光ピンクに対して補正が行われているため、特殊色についての補正は、リセットされ、初期状態に戻すといったリセットが行われるのが望ましい。
【0171】
ただし、蛍光ピンクに対する補正で得られた結果は、破棄せず、記憶されてもよい。例えば、蛍光イエローを用いる画像形成が終わった後、再度、特殊色を蛍光ピンクに戻すような場合もある。このように、蛍光ピンクに戻すような場合には、補正の結果をリセットするよりも、記憶部が記憶する以前に行われた補正結果を用いる方が望ましい場合が多い。
【0172】
このように、特殊色の入れ替えを検出すると、画像処理装置は、検出結果に基づいて、CMYKの補正結果は維持し、かつ、特殊色に対する補正は、リセット又は記憶部が記憶する補正結果を用いるように設定する。さらに、CMYKの方は、補正が適正に行われた状態である可能性が高いため、CMYKの補正は、維持されるのが望ましい。
【0173】
このように、検出結果に基づいて、特殊色に対する補正のリセット、又は、記憶部が記憶する以前の補正結果等を用いるようにすると、異常な画像形成がされるのを防ぎ、かつ、無駄な補正が行われるのを少なくできる。
【0174】
<まとめ>
具体的には、補正対象色の指定、表示、及び、補正等の処理は、例えば、下記(表2)のように行われるのが望ましい。
【0175】
【表2】
上記(表2)における「No.1」の状態は、「初期状態」である。そして、「特殊色」には、「蛍光ピンク」が設定されている場合である。このような状態は、まだ補正が1度も行われていないため、補正結果は、「プロセスカラー」及び「特殊色」のいずれも、「初期状態」である。
【0176】
次に、「No.2」に示すように、「記録媒体種類」に「plain paper」が選択されると、「GUIが表示する選択肢」は、「CMYK」及び「CMYK+Special」の2つである。このようなGUIによって、「補正対象色」に「CMYK」を指定する場合を例にする。このような指定であると、CMYKに対して補正が行われる。そのため、「プロセスカラー」の「補正結果」は、「No.2」で行われた補正による補正結果が適用され、「補正状態P_A」となる。一方で、「特殊色」は、「補正対象色」で指定されていないため、「No.1」の状態が維持され、「初期状態」である。
【0177】
一方で、「No.3」のように、「補正対象色」に「CMYK+Special」を指定すると、CMYK及び特殊色のいずれにも補正が行われる。そのため、「プロセスカラー」の「補正結果」は、「No.2」で行われた補正による補正結果が更新され、「補正状態P_B」となる。一方で、「特殊色」は、補正結果が「補正状態S_A」となる。
【0178】
次に、「No.3」の後、「No.4」に示すように、特殊色を「蛍光ピンク」から「蛍光イエロー」に入れ替える。このような入れ替えが検出されると、特殊色に対する補正は、リセットされ、補正結果が「初期状態」となる。一方で、「プロセスカラー」は、補正結果が維持され、「補正状態P_B」である。
【0179】
「No.4」の後、例えば、「No.5」に示すように、「記録媒体種類」を「gloss coated paper」とする。そして、「補正対象色」に「CMYK+Special」を指定する。このようにすると、CMYK及び特殊色のいずれに対しても補正が行われる。そのため、「プロセスカラー」の「補正結果」は、更新されて「補正状態P_C」となる。同様に、「特殊色」の「補正結果」は、「補正状態S_B」となる。
【0180】
さらに、「No.5」の後、例えば、「補正対象色」に「CMYK」を指定すると、「プロセスカラー」の「補正結果」は、更新されて「補正状態P_D」となる。一方で、「特殊色」の「補正結果」は、補正対象色に特殊色が指定されていないため、補正されず、補正結果は維持される。
【0181】
次に、「No.6」の後、「No.7」に示すように、特殊色を「蛍光イエロー」から「クリア」に入れ替える。このような入れ替えが検出されると、特殊色に対する補正は、リセットされ、補正結果が「初期状態」となる。一方で、「プロセスカラー」は、補正結果が維持され、「補正状態P_D」である。
【0182】
「No.7」の後、「No.8」に示すように、「クリア」の特殊色は、補正が不要な色の例である。したがって、「補正対象色」には、「CMYK」が選択肢となるGUIが望ましい。そして、「CMYK」について補正が行われると、「プロセスカラー」の「補正結果」は、更新されて「補正状態P_E」となる。一方で、「特殊色」の「補正結果」は、「初期状態」で維持される。
【0183】
次に、「No.8」の後、「No.9」に示すように、特殊色を「クリア」から「白色」に入れ替える。このような入れ替えが検出されると、特殊色に対する補正は、リセットされ、補正結果が「初期状態」となる。一方で、「プロセスカラー」は、補正結果が維持され、「補正状態P_E」である。
【0184】
さらに、「No.9」の後、「No.10」に示すように、「記録媒体種類」を「black paper」にする。このようにすると、記録媒体色が黒色であり、かつ、特殊色が白色であると判断される。そのため、「補正対象色」は、「Special only」の選択肢が選択でき、他の選択肢は選択不可能にGUIが表示される。そして、特殊色に対して補正が行われるため、「特殊色」の「補正結果」は、「補正状態S_C」となる。一方で、「プロセスカラー」の「補正結果」は、例えば、「初期状態」になる。
【0185】
次に、「No.11」に示すように、「記録媒体種類」を「plain paper」とする。すなわち、記録媒体色が白色であり、かつ、特殊色を「白色」とする。このような場合では、「補正対象色」には、「CMYK」が選択肢となるGUIが望ましい。そして、「CMYK」について補正が行われると、「プロセスカラー」の「補正結果」は、更新されて「補正状態P_F」となる。一方で、「特殊色」の「補正結果」は、リセットされ、「初期状態」となる。
【0186】
続いて、「No.11」の後、「No.12」に示すように、特殊色を「白色」から「蛍光イエロー」に入れ替える。このような入れ替えが検出されると、特殊色に対する補正は、「No.5」で記憶された補正結果である「補正状態S_B」となる。一方で、「プロセスカラー」は、補正結果が維持され、「補正状態P_F」である。
【0187】
なお、「No.12」の例では、記憶部が記憶する「補正状態S_B」という補正結果を用いたが、例えば、半日程度以上が経過しているような長時間前の補正結果となる場合等には、補正が再度行われてもよい。
【0188】
次に、「No.12」の後、「No.13」に示すように、「記録媒体種類」を「gloss coated paper」とする。このような場合には、「GUIが表示する選択肢」は、「CMYK」及び「CMYK+Special」の2つとする。そして、「CMYK+Special」という選択であると、CMYK及び特殊色の両方が補正される。ゆえに、「プロセスカラー」の「補正結果」は、更新されて「補正状態P_G」となる。同様に、「特殊色」の「補正結果」は、更新されて「補正状態S_D」となる。
【0189】
このように、記録媒体及び特殊色の組み合わせに基づいて、補正及び補正対象色の指定等が行われると、無駄な補正が少なくなり、補正の処理時間を短くできる。
【0190】
<その他の実施形態>
各装置は、1つの装置でなくともよい。すなわち、各装置は、複数の装置の組み合わせであってもよい。なお、図示する以外の装置が更に含まれる構成であってもよい。
【0191】
なお、情報処理装置は、通信機能を備えた装置であればよく例えば、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブルPC又はデスクトップPC等であってもよい。
【0192】
また、画像処理システムは、AI(Artificial Intelligence)等を利用してもよい。
【0193】
なお、本発明に係る各処理の全部又は一部は、低水準言語又は高水準言語で記述され、コンピュータに画像処理方法を実行させるためのプログラムによって実現されてもよい。すなわち、プログラムは、画像処理装置又は画像処理システム等といったコンピュータに各処理を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0194】
したがって、プログラムに基づいて画像処理方法が実行されると、コンピュータが有する演算装置及び制御装置は、各処理を実行するため、プログラムに基づいて演算及び制御を行う。また、コンピュータが有する記憶装置は、各処理を実行するため、プログラムに基づいて、処理に用いられるデータを記憶する。
【0195】
また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されて頒布することができる。なお、記録媒体は、磁気テープ、フラッシュメモリ、光ディスク、光磁気ディスク又は磁気ディスク等のメディアである。さらに、プログラムは、電気通信回線を通じて頒布することができる。
【0196】
なお、本発明に係る実施形態は、複数の情報処理装置を有する画像処理システムによって実現されてもよい。また、画像処理システムは、各処理及びデータの記憶を冗長、分散、並列、仮想化又はこれらを組み合わせて実行してもよい。
【0197】
以上、実施形態における一例について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。すなわち、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【符号の説明】
【0198】
100 画像処理システム
101 クライアントPC
102 DFE
103 画像形成装置
104 管理サーバ
1101 第1ボタン
1102 第2ボタン
1103 第3ボタン
SV 基準値
【先行技術文献】
【特許文献】
【0199】