IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リコーの特許一覧

特許7512719伝送システム、伝送端末およびプログラム
<>
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図1
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図2
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図3
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図4
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図5
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図6
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図7
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図8
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図9
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図10
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図11
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図12
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図13
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図14
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図15
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図16
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図17
  • 特許-伝送システム、伝送端末およびプログラム 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】伝送システム、伝送端末およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/15 20060101AFI20240702BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20240702BHJP
   H04M 3/56 20060101ALI20240702BHJP
   H04L 12/18 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H04N7/15
H04N21/442
H04M3/56 C
H04L12/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020116095
(22)【出願日】2020-07-06
(65)【公開番号】P2021153284
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2020049867
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】永峯 翔
【審査官】醍醐 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-072632(JP,A)
【文献】特開2015-222900(JP,A)
【文献】特開2017-011489(JP,A)
【文献】特開2016-067003(JP,A)
【文献】特開2009-164977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/18
H04L 67/00
H04L 69/00
H04M 3/56
H04N 21/00-21/858
H04N 7/14-7/173
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の伝送端末がネットワークを介したコミュニケーションを行うための伝送システムであって、
前記コミュニケーションに利用される通信に関する情報を保持する送受信部と、
前記コミュニケーションに使用されている映像データ、音声データまたはコンテンツデータの品質に関する情報を保持する映像符号化部と、
前記コミュニケーションに対応するデータ伝送が切断された場合に、前記送受信部が保持する情報または前記映像符号化部が保持する情報に基づいて、改善案の必要性を解析する解析部と、
を有することを特徴とする伝送システム。
【請求項2】
前記解析部は、前記解析により前記改善案が必要であると判断される場合には、前記送受信部が保持する情報または前記映像符号化部が保持する情報が所定の条件情報を満たすか否かに基づいて、前記改善案を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の伝送システム。
【請求項3】
前記解析部は、データ伝送が切断されたことによる再接続操作がユーザから受け付けられた場合には、生成した前記改善案が前記ユーザに対して提示されるよう制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の伝送システム。
【請求項4】
前記解析部は、提示された前記改善案が前記ユーザにより選択された場合には、選択された改善案が実施されるよう制御する、
請求項3に記載の伝送システム。
【請求項5】
前記解析部は、
前記送受信部が保持する改善前の情報または前記映像符号化部が保持する情報を記憶部に保存し、
前記解析により前記改善案が必要であると判断される場合には、前記送受信部が保持する情報または前記映像符号化部が保持する情報が所定の条件情報を満たすか否かに基づいて、前記改善案を生成し、
作成した改善案を実施し、
実施した改善策の内容を提示する、
請求項1に記載の伝送システム。
【請求項6】
前記解析部は、
改善前の設定に戻すか否かの通知を提示し、
改善前の設定に戻すという選択がなされた場合に、前記記憶部に保存している前記送受信部が保持する情報または前記映像符号化部が保持する情報を基に、改善前の設定に戻す、
請求項5に記載の伝送システム。
【請求項7】
複数の伝送端末がネットワークを介したコミュニケーションを行うための伝送システムでの前記伝送端末であって、
前記コミュニケーションに利用される通信に関する情報を保持する送受信部と、
前記コミュニケーションに使用されている映像データ、音声データまたはコンテンツデータの品質に関する情報を保持する映像符号化部と、
前記コミュニケーションに対応するデータ伝送が切断された場合に、前記送受信部が保持する情報または前記映像符号化部が保持する情報に基づいて、改善案の必要性を解析する解析部と、
を有することを特徴とする伝送端末。
【請求項8】
複数の伝送端末がネットワークを介したコミュニケーションを行うための伝送システムでの前記伝送端末を、
前記コミュニケーションに利用される通信に関する情報を保持する送受信部と、
前記コミュニケーションに使用されている映像データ、音声データまたはコンテンツデータの品質に関する情報を保持する映像符号化部と、
前記コミュニケーションに対応するデータ伝送が切断された場合に、前記送受信部が保持する情報または前記映像符号化部が保持する情報に基づいて、改善案の必要性を解析する解析部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送システム、伝送端末およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネット等の通信ネットワークを介して遠隔地との間で、遠隔会議を行う会議システムが知られている。ところで、ネットワーク環境は常に安定しているわけではなく、不安定になる場合もあるため、ネットワーク要因によってコミュニケーションが途切れたり、コミュニケーションが切断(中断)したりする場合がある。コミュニケーションが切断された場合、すぐにネットワーク環境の不安定さが解消される保証がないため、切断前と同じようにコミュニケーションを再開すると、ネットワーク要因により再度切断が発生する可能性がある。このため、利用者は再開前に適切な通信品質や通信方式等を設定してコミュニケーションを再開させることが望ましい。
【0003】
そこで、コミュニケーションが中断した場合に、適切なネットワーク帯域を設定して再接続を行うことを容易化する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、例えば、無線環境のようなネットワーク帯域が乱高下しやすい通信手段を用いている状況や、TCP(Transmission Control Protocol)環境のようにネットワーク帯域が狭くなると輻輳が発生しやすく輻輳によってネットワーク帯域に影響を与えやすい通信方式を利用している環境では、ネットワーク帯域の予測や推定が難しく、適切にネットワーク帯域を設定したつもりでも、その帯域値を下回るような状況が発生する可能性がある。また、上記の従来技術では、ネットワーク帯域の設定変更をユーザが知らないままに再接続されるため、ネットワーク帯域を下げられた場合に、ユーザが意図しないコミュニケーションの品質低下となる可能性がある。
【0005】
このため、上記の従来技術では、コミュニケーションが中断した場合に、適切なネットワーク帯域を設定して再接続を行ったとしても、ネットワーク帯域の予測や推定が難しい通信手段や通信方式の環境下では再度切断が発生してしまう可能性があり、さらにはユーザが意図しないコミュニケーション品質の低下となるためにコミュニケーション自体に対する不快感につながる可能性があるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コミュニケーションの品質に関する不快感を軽減する伝送システム、伝送端末およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の伝送端末がネットワークを介したコミュニケーションを行うための伝送システムであって、前記コミュニケーションに利用される通信に関する情報を保持する送受信部と、前記コミュニケーションに使用されている映像データ、音声データまたはコンテンツデータの品質に関する情報を保持する映像符号化部と、ユーザから所定の操作に応じた入力を受け付ける操作入力受付部と、前記ユーザに対する情報の表示を制御する表示制御部と、前記コミュニケーションに対応するデータ伝送が切断された場合に、前記送受信部と前記映像符号化部が保持する情報に基づいて、改善案の必要性を解析する解析部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コミュニケーションの品質に関する不快感を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る伝送端末のハードウェア構成例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る伝送管理システムのハードウェア構成図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る伝送システムにおける通信の概要を示す概念図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る伝送端末の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る会議解析部25の機能構成図である。
図7図7は、データ転送が切断されてから切断に対する改善案が作成されるまでの処理を示すシーケンス図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る通信情報の一例を示す図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る会議品質情報の一例を示す図である。
図10図10は、第1の実施形態に係る解析処理の流れを示すフローチャートである。
図11図11は、第1の実施形態に係る改善案作成処理の流れを示すフローチャートである。
図12図12は、改善案が作成されてから改善案が実施されるまでの処理を示すシーケンス図である。
図13図13は、第1の実施形態に係る改善案リストの一例を示す図である。
図14図14は、第2の実施形態に係る改善案作成処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
図15図15は、改善案の作成後、改善案の実施から改善に関する通知までの処理を示すシーケンス図である。
図16図16は、実施した改善策の内容の表示例を示す図である。
図17図17は、改善案の実施後、改善前の設定に戻す処理を示すシーケンス図である。
図18図18は、改善前の設定に戻すか否かの通知例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
<システム構成>
図1は、第1の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。伝送システムには、伝送管理システムを介して一方の伝送端末から他方の伝送端末に一方向でコンテンツデータを伝送するデータ提供システムや、伝送管理システムを介して複数の伝送端末間で情報や感情等を相互に伝達するコミュニケーションシステムが含まれる。このコミュニケーションシステムは、コミュニケーション管理システム(「伝送管理システム」に相当)を介して複数のコミュニケーション端末(「伝送端末」に相当)間で情報や感情等を相互に伝達するためのシステムである。このコミュニケーションシステムの例として、テレビ会議システム、テレビ電話システム、音声会議システム、音声電話システム、画面共有システム等が挙げられる。
【0012】
本実施形態では、コミュニケーションシステムの一例としてのテレビ会議システム、コミュニケーション管理システムの一例としてのテレビ会議管理システムおよびコミュニケーション端末の一例としてのテレビ会議端末を想定した上で、伝送システム、伝送管理システム、および伝送端末について説明する。すなわち、本発明の伝送端末および伝送管理システムは、テレビ会議システムに適用されるだけでなく、コミュニケーションシステム、または伝送システムにも適用される。
【0013】
図1に示す伝送システム1は、複数の伝送端末(10aa,10ab,…,10dc)、各伝送端末(10aa,10ab,…,10dc)用のディスプレイ(120aa,120ab,…,120dc)、複数の中継装置(30a,30b,30c,30d)、および伝送管理システム50、プログラム提供システム90およびメンテナンスシステム100等によって構築されている。
【0014】
なお、本実施形態では、伝送端末(10aa,10ab,…,10dc)のうち任意の伝送端末を示す場合には「伝送端末10」を用いる。また、ディスプレイ(120aa,120ab,…,120dc)のうち任意のディスプレイを示す場合には「ディスプレイ120」を用い、中継装置(30a,30b,30c,30d)のうち任意の中継装置を示す場合には「中継装置30」を用いる。
【0015】
また、図1に示す伝送端末10がディスプレイ120を有する構成は、あくまで一例である。
【0016】
中継装置30は、複数の伝送端末10の間で、映像データおよび音声データ等の中継を行う。伝送管理システム50は、伝送端末10からのログイン認証、他の伝送端末10の通信状況の管理、宛先リストの管理等、および中継装置30の通信状況等を一元的に管理する。
【0017】
複数のルータ(70a,70b,70c,70d,70ab,70cd)は、コンテンツデータの最適な経路の選択を行う。なお、本実施形態では、ルータ(70a,70b,70c,70d,70ab,70cd)のうち任意のルータを示す場合には「ルータ70」を用いる。
【0018】
プログラム提供システム90は、伝送端末10に各種機能または各種手段を実現させるための伝送端末用のプログラムが記憶された、後述のHD(Hard Disk)を備えており、伝送端末10に、伝送端末用のプログラムを送信することができる。また、プログラム提供システム90のHDには、中継装置30に各種機能または各種手段を実現させるための中継装置用プログラムも記憶されており、中継装置30に、中継装置用プログラムを送信することができる。更に、プログラム提供システム90のHDには、伝送管理システム50に各種機能または各種手段を実現させるための伝送管理用プログラムも記憶されており、伝送管理システム50に、伝送管理用プログラムを送信することができる。
【0019】
メンテナンスシステム100は、伝送端末10、中継装置30、伝送管理システム50およびプログラム提供システム90のうちの少なくとも1つの維持、管理または保守を行うためのコンピュータである。例えば、メンテナンスシステム100が国内に設置され、伝送端末10、中継装置30、伝送管理システム50またはプログラム提供システム90が国外に設置されている場合、メンテナンスシステム100は、通信ネットワーク2を介して遠隔的に、伝送端末10、中継装置30、伝送管理システム50およびプログラム提供システム90のうちの少なくとも1つの維持、管理、保守等のメンテナンスを行う。また、メンテナンスシステム100は、通信ネットワーク2を介さずに、伝送端末10、中継装置30、伝送管理システム50およびプログラム提供システム90のうちの少なくとも1つにおける機種番号、製造番号、販売先、保守点検、または故障履歴の管理等のメンテナンスを行う。
【0020】
ところで、伝送端末(10aa,10ab,10ac,・・・)、中継装置30aおよびルータ70aは、LAN2aによって通信可能に接続されている。伝送端末(10ba,10bb,10bc,・・・)、中継装置30bおよびルータ70bは、LAN2bによって通信可能に接続されている。また、LAN2aおよびLAN2bは、ルータ70abが含まれた専用線2abによって通信可能に接続されており、所定の地域A内で構築されている。例えば、地域Aは日本であり、LAN2aは東京の事業所内で構築されており、LAN2bは大阪の事業所内で構築されている。
【0021】
一方、伝送端末(10ca,10cb,10cc,・・・)、中継装置30cおよびルータ70cは、LAN2cによって通信可能に接続されている。伝送端末10d(a,10db,10dc,・・・)、中継装置30dおよびルータ70dは、LAN2dによって通信可能に接続されている。また、LAN2cおよびLAN2dは、ルータ70cdが含まれた専用線2cdによって通信可能に接続されており、所定の地域B内で構築されている。例えば、地域Bはアメリカ合衆国であり、LAN2cはニューヨークの事業所内で構築されており、LAN2dはワシントンD.C.の事業所内で構築されている。地域Aおよび地域Bは、それぞれルータ(70ab,70cd)からインターネット2iを介して通信可能に接続されている。
【0022】
また、伝送管理システム50およびプログラム提供システム90は、インターネット2iを介して、伝送端末10および中継装置30と通信可能に接続されている。伝送管理システム50およびプログラム提供システム90は、地域Aまたは地域Bに設置されていてもよいし、これら以外の地域に設置されていてもよい。
【0023】
なお、本実施形態では、LAN2a、LAN2b、専用線2ab、インターネット2i、専用線2cd、LAN2cおよびLAN2dによって、本実施形態の通信ネットワーク2が構築されている。この通信ネットワーク2には、有線だけでなく、無線LAN、短距離無線通信等の無線通信により通信が行われる箇所があってもよい。
【0024】
また、図1において、各伝送端末10、各中継装置30、伝送管理システム50、各ルータ70およびプログラム提供システム90の下に示されている4組の数字は、一般的なIPv4におけるIP(Internet Protocol)アドレスを簡易的に示している。例えば、伝送端末10aaのIPアドレスは「1.2.1.3」である。また、IPv4ではなく、IPv6を用いてもよいが、説明を簡略化するため、IPv4を用いて説明する。
【0025】
なお、各伝送端末10は、複数の事業所間での通信や、同じ事業所内の異なる部屋間での通信だけでなく、同じ部屋内での通話や、屋外と屋内または屋外と屋外での通信で使われてもよい。各伝送端末10が屋外で使われる場合には、移動体通信網等による通信が行われる。
【0026】
<伝送端末のハードウェア構成>
図2は、第1の実施形態に係る伝送端末10のハードウェア構成例を示す図である。尚、伝送端末10は、本発明に係る端末装置の一例である。図2に示されているように、伝送端末10は、一般的なコンピュータの構成を有しており、例えば、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、フラッシュメモリ104、SSD(Solid State Drive)105、メディアドライブ107、操作ボタン108、電源スイッチ109、ネットワークI/F111、カメラ112、撮像素子I/F113、マイク114、スピーカ115、音声入出力I/F116、ディスプレイI/F117、外部機器接続I/F118、および上記各構成要素を図2に示されているように電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等のバスライン110等を備えている。
【0027】
なお、図2に示す伝送端末10のハードウェア構成は、あくまで一例である。例えば、伝送端末10は、マイク114、スピーカ115、カメラ112等を必ずしも内蔵している必要はなく、マイク、スピーカ、カメラ等は、外付けであってもよい。また、伝送端末10は、ディスプレイ120を内蔵していてもよい。
【0028】
CPU101は、ROM102等からプログラムやデータを読出し、処理を実行することで、伝送端末10が備える各機能を実現する演算装置である。ROM102は、伝送端末10のプログラム等を記憶する不揮発性のメモリで、例えば、フラッシュROM等で構成される。RAM103は、CPU101のワークエリアとして利用される揮発性のメモリである。フラッシュメモリ104は、映像データ、音声データ等の各種データを記憶する不揮発性のメモリである。SSD105は、CPU101の制御に従って、フラッシュメモリ104に対する各種データの読出しまたは書込みを制御する。
【0029】
メディアドライブ107は、メモリカード等の記録メディア106に対するデータの読出しまたは書込み(記憶)を制御する。操作ボタン108は、伝送端末10の各種操作を行うための入力部であり、例えば、タッチパネル等、ボタン以外の入力手段であってもよい。電源スイッチ109は、伝送端末10の電源のオン/オフを切替えるためのスイッチである。ネットワークI/F111は、ネットワークを利用してデータの送受信を行う有線/無線LAN等のインタフェースである。
【0030】
カメラ112は、CPU101の制御に従って被写体を撮像するデバイスであり、レンズや、光を電荷に変換して被写体の画像(映像)を電子化する固体撮像素子を含む。なお、固体撮像素子としては、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)や、CCD(Charge Coupled Device)等が用いられる。撮像素子I/F113は、撮像用のカメラ112から出力される画像信号を所定の画像データとして取り込むインタフェースである。マイク114は、音声を入力し音声信号に変換する。スピーカ115は、入力された音声信号を音声に変換する。音声入出力I/Fは、CPU101の制御に従って、マイク114から入力された音声信号を所定の音声データとして取り込む。また、出力する音声データをスピーカ115で再生可能な音声信号に変換する。
【0031】
ディスプレイI/F117は、ディスプレイ120に、例えば、通信先の画像、メニュー画面、設定画面等の各種画像を出力するインタフェースである。ディスプレイ120は、被写体の画像や操作用アイコン等を表示する液晶や有機ELによって構成された表示部である。また、ディスプレイ120は、ケーブル120cによってディスプレイI/F117に接続される。このケーブル120cは、アナログRGB(VGA)信号用のケーブルであってもよいし、コンポーネントビデオ用のケーブルであってもよい。または、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)やDVI(Digital Video Interactive)信号用のケーブルであってもよい。
【0032】
外部機器接続I/F118は、外部の装置と各種データを送受信するインタフェースで、例えばUSB(Universal Serial Bus)等を含む。外部機器接続I/F118には、USBケーブル等によって、外付けカメラ、外付けマイク、および外付けスピーカ等の外部機器がそれぞれ電気的に接続可能である。外付けカメラが接続された場合には、CPU101の制御に従って、内蔵型のカメラ112に優先して、外付けカメラが駆動する。同じく、外付けマイクが接続された場合や、外付けスピーカが接続された場合には、CPU101の制御に従って、それぞれが内蔵型のマイク114や内蔵型のスピーカ115に優先して、外付けマイクや外付けスピーカが駆動する。
【0033】
なお、記録メディア106は、伝送端末10に対して着脱自在な構成となっている。また、フラッシュメモリ104は、CPU101の制御にしたがってデータの読み出しまたは書き込みを行う不揮発性メモリであれば、フラッシュメモリに限らず、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)等であってもよい。
【0034】
また、上記伝送端末用のプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、上記記録メディア106等の、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
【0035】
<伝送管理システムのハードウェア構成>
図3は、第1の実施形態に係る伝送管理システムのハードウェア構成図である。伝送管理システム50は、一般的なコンピュータ(サーバ)の構成を有しており、例えば、CPU201、ROM202、RAM203、HD204、HDD(Hard Disk Drive)205、メディアドライブ207、ディスプレイ208、ネットワークI/F209、キーボード211、マウス212、光学ドライブ214、バスライン210等を有している。
【0036】
CPU201は、ROM202やHD204等からプログラムやデータを読み出し、処理を実行することで、伝送管理システム50が備える各機能を実現する演算装置である。ROM202は、外部入力装置40のプログラム等を記憶する不揮発性のメモリで、例えば、フラッシュROM等で構成される。RAM203は、CPU201のワークエリアとして利用される揮発性のメモリである。
【0037】
HD204は、CPU201により実行される様々な処理に必要とされる各種ソフトウェア、データ、画像データ、音声データ等を格納する。HDD205は、CPU201の制御に従って、HD204に対する各種データの読出しまたは書込みを制御する。メディアドライブ207は、例えば、メモリカード等の記録メディアであるメディア206に対するデータの読出しまたは書込みを制御する。ディスプレイ208は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、画像、映像等の各種情報を表示する。なお、ディスプレイ208は、外部入力装置の外部に設けられていてもよい。
【0038】
ネットワークI/F209は、ネットワークを介してデータの送受信を行うインタフェースで、例えば、有線LAおよび/または無線LAN等を含む。キーボード211は、文字等のキー入力を行う。マウス212は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動等を行う手段であり、例えば、タッチパネルやタッチパッド等の他のポインティングデバイスであってもよい。光学ドライブ214は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD、ブルーレイ等の光ディスク213に対するデータの読出しまたは書き込みを制御する。
【0039】
外部装置I/F215は、外部の装置と各種データの入出力を行うためのインタフェースで、例えば、USBインタフェース等を含む。バスライン210は、アドレスバス、データバスおよび各種制御信号等を伝達する。
【0040】
なお、ROM202および/またはHD204には、外部入力装置40を制御するための伝送管理システム50のプログラムが記録されている。この外部入力装置用プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、メディア206、光ディスク213等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
【0041】
<その他の装置のハードウェア構成>
中継装置30は、図3の伝送管理システム50と同様のハードウェア構成を有しているため、その説明を省略する。但し、HD204および/またはROM202には、中継装置30を制御するための中継装置用プログラムが記録されている。この場合も、中継装置用プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、上記メディア206や光ディスク213等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。
【0042】
また、プログラム提供システム9およびメンテナンスシステム100についても、図3の伝送管理システム50と同様のハードウェア構成を有しているため、その説明を省略する。但し、HD204および/またはROM202には、プログラム提供システム90を制御するためのプログラム提供用プログラムまたはメンテナンスシステム100を制御するためのメンテナンス用プログラムが記録されている。この場合も、プログラム提供用プログラム、メンテナンス用プログラム等は、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、上記メディア206や光ディスク213等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしても良い。
【0043】
<通信の概要>
図4は、第1の実施形態に係る伝送システム1における通信の概要を示す概念図である。第1の実施形態に係る伝送システム1では、複数の伝送端末10間で中継装置30を介したコンテンツデータの送受信を行う。この際、図4に示すように、複数の伝送端末10間には、伝送管理システム50を介して、各種の管理情報を送受信するための管理情報用セッションSeiが確立される。また、複数の伝送端末10間には、中継装置30を介して、コンテンツデータの送受信を行うためのデータ用セッションSedが確立される。ここで、特に、データ用セッションSedで送受信される映像データは、スケーラブルに符号化された符号化データであり、例えば、高品質映像の符号化データ、中品質映像の符号化データ、低品質映像の符号化データが、それぞれ別々のチャンネルで送受信される。
【0044】
映像データをスケーラブルに符号化する標準の符号化フォーマットとして、H.264/SVC(H.264/AVC Annex G)符号化フォーマットが知られている。H.264/SVC符号化フォーマットでは、映像データを階層構造のデータに変換し、品質が異なる複数の映像データの集合として符号化して、それぞれの品質の映像データに対応する符号化データを複数のチャンネルで送受信することができる。本実施形態では、このH.264/SVC符号化フォーマットを利用して映像データを符号化した符号化データを、複数の伝送端末10間で送受信するものとする。
【0045】
[実施形態]
<機能構成>
次に、第1の実施形態に係る伝送端末10の機能構成について説明する。図5は、第1の実施形態に係る伝送端末10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。伝送端末10は、図5に示すように、送受信部12、操作入力受付部13、ログイン要求部14、撮像部15、音声入力部16、音声出力部17、記憶・読出処理部18、揮発性記憶部19、不揮発性記憶部20、表示制御部21、映像複合化部22、映像符号化部23、帯域制御部24、会議解析部25を備える。
【0046】
送受信部12は、通信ネットワーク2を介して、他の伝送端末10、中継装置30、伝送管理システム50等との間で各種データ(または情報)の送受信を行う。送受信部12は、例えば、図2に示されているCPU101で動作するプログラムおよび図2に示されているネットワークI/F111等によって実現される。一例を示すと、送受信部12は、セッション情報、会議の映像(画像・音声・会議資料等)データのやり取りを可能にする。また、送受信部12は、コミュニケーションに利用される通信に関する情報(通信情報)を保持する。
【0047】
操作入力受付部13は、図2に示されているCPU101からの命令ならびに図2に示されている操作ボタン108および電源スイッチ109によって実現され、利用者による各種入力を受け付ける。例えば、利用者が、図2に示されている電源スイッチ109をオンにすると、操作入力受付部13が電源オンを受け付けて、電源をオンする。
【0048】
ログイン要求部14は、図2に示されているCPU101からの命令によって実現され、上記電源オンの受け付けを契機として、送受信部12から通信ネットワーク2を介して伝送管理システム50に、ログインを要求する旨を示すログイン要求情報および要求元端末の現時点のIPアドレスを自動的に送信する。また、利用者が電源スイッチ109をオンの状態からオフにすると、送受信部12が伝送管理システム50へ電源をオフする旨の状態情報を送信した後に、操作入力受付部13が電源を完全にオフにする。これにより、伝送管理システム50側では、伝送端末10が電源オンから電源オフになったことを把握することができる。
【0049】
撮像部15は、図2に示されているCPU101からの命令ならびに図2に示されているカメラ112および撮像素子I/F113によって実現され、カメラ112等により被写体を撮像した画像を、撮像素子I/Fで所定の画像データに変換して出力する。
【0050】
音声入力部16は、図2に示されているCPU101からの命令および図2に示されている音声入出力I/F116によって実現され、マイク114によって取得した利用者等の音声信号等を、音声入出力I/F116で所定の音声データに変換する。音声出力部17は、図2に示されているCPU101からの命令および図2に示されている音声入出力I/F116によって実現され、出力する音声データを音声入出力I/F116によって音声信号に変換し、変換した音声信号をスピーカ115から音声として出力する。
【0051】
記憶・読出処理部18は、図2に示されているCPU101からの命令および図2に示すSSD105等によって実現される。あるいは、記憶・読出処理部18は、CPU101からの命令によって実現される。記憶・読出処理部18は、揮発性記憶部19や不揮発性記憶部20に対して各種データを記憶したり、読み出したりする処理を行う。揮発性記憶部19は、例えば、図2に示したRAM102によって実現される。例えば、揮発性記憶部19は、電源がONになっている状態でのみ情報を保持することができる。不揮発性記憶部20は、例えば、図2に示したフラッシュメモリ104によって実現される。例えば、不揮発性記憶部20は、電源がOFFになっている状態でも情報を保持することができる。
【0052】
表示制御部21は、図2に示されているCPU101からの命令および図2に示されているディスプレイI/F117によって実現される。また、表示制御部21は、伝送管理システム50から受信した宛先リストの情報をディスプレイ120に送信して、ディスプレイ120に宛先リストを表示させることができる。また、表示制御部21は、伝送端末10に接続されている画像出力デバイスを用いて画像を出力させることができる。また、例えば、表示制御部21は、データ伝送が切断されたことによる再接続操作が受け付けられた場合には、会議解析部25により生成された改善案を表示させる。例えば、表示制御部21は、会議解析部25による制御に応じて、改善案を表示させる。
【0053】
映像複合化部22は、他の伝送端末10から中継装置30を介して送信された符号化データを復号し、符号化前の映像データ、音声データ、コンテンツデータを出力する。映像複合化部22は、例えば、図2に示したCPU101が上述した伝送端末用のプログラムに含まれる符号化/復号化プログラム(映像・音声コーデック)を実行することにより実現される。例えば、映像複合化部22は、受信した映像データ、音声データ、コンテンツデータを複合化することができる。
【0054】
映像符号化部23は、撮像部15から出力される映像データや、音声出力部17から出力される音声データを符号化して、符号化データを生成する。映像符号化部23は、特に映像データの符号化については、H.264/SVC符号化フォーマットに従って映像データをスケーラブルに符号化する。映像符号化部23は、例えば、図2に示したCPU101が、上述した伝送端末用のプログラムに含まれる符号化/復号化プログラム(映像・音声コーデック)を実行することにより実現される。例えば、映像符号化部23は、送信する映像データ、音声データ、コンテンツデータを符号化することができる。また、映像符号化部23は、コミュニケーションに使用されている映像データ、音声データ、コンテンツデータの品質に関する情報を保持する。
【0055】
帯域制御部24は、映像データ、音声データ、コンテンツデータ送受信に対するネットワークに関する制御を行う。帯域制御部24は、例えば、図2に示したCPU101が上述した伝送端末用のプログラムを実行することにより実現される。
【0056】
会議解析部25は、遠隔会議(例えば、テレビ会議や音声会議)といったコミュニケーションに対応するデータ伝送(セッション)が切断された場合に、送受信部12が保持する情報または映像符号化部23が保持する情報に基づいて、改善案の必要性を解析する。
【0057】
また、会議解析部25は、解析により改善案が必要であると判断される場合には、送受信部12が保持する情報または映像符号化部23が保持する情報が所定の条件情報を満たすか否かに基づいて、改善案を生成する。また、会議解析部25は、データ伝送が切断されたことによる再接続操作がユーザから受け付けられた場合には、生成した改善案がユーザに対して提示(表示)されるよう表示制御部21を制御する。また、会議解析部25は、提示された改善案がユーザにより選択された場合には、選択された改善案が実施されるよう制御する。例えば、会議解析部25は、送受信部12や映像符号化部23を制御する。
【0058】
図6は、第1の実施形態に係る会議解析部25の機能構成図である。会議解析部25は、通信情報取得部25a、会議品質情報取得部25b、解析部25c、受付部25d、出力部25eを有する。
【0059】
通信情報取得部25aは、送受信部12から、コミュニケーション(会議)に利用される通信に関する情報を取得する。
【0060】
会議品質情報取得部25bは、映像符号化部23から、コミュニケーション(会議)に使用されている映像データ、音声データまたはコンテンツデータの品質に関する情報を取得する。
【0061】
解析部25cは、コミュニケーション(会議)に対応するデータ伝送が切断(中断)されることにより係るコミュニケーションが切断(中断)された場合には、会議品質情報取得部25bにより取得された情報に基づいて、この切断されたコミュニケーションに対する改善案の必要性を解析する。また、解析部25cは、解析により改善案が必要であると判断される場合には、会議品質情報取得部25bにより取得された情報に基づいて、改善案を生成する。
【0062】
受付部25dは、会議解析部25宛の通知や入力を受け付ける。例えば、提示された改善案をユーザが選択した場合には、受付部25dは、選択された改善案(選択結果)の入力を受け付ける。
【0063】
出力部25eは、解析部25cにより生成された改善案が表示されるよう表示制御部21を制御する。例えば、出力部25eは、解析部25cにより生成された改善案が表示されるよう、係る改善案を表示制御部21に出力する。また、出力部25eは、ユーザにより選択された改善案が実施されるよう送受信部12や映像符号化部23を制御する。
【0064】
次に、図7を用いて、第1の実施形態に係る伝送システム1において、コミュニケーションに対応するデータ転送が切断されてから切断に対する改善案が作成されるまでの処理について説明する。図7は、データ転送が切断されてから切断に対する改善案が作成されるまでの処理を示すシーケンス図である。なお、図7では、コミュニケーションは会議(例えば、テレビ会議でのコミュニケーション)であるものとする。したがって、図7の例では、データ転送の切断とは、会議の切断を意味し、切断された会議は切断会議といったように言い換えられるものとする。
【0065】
また、図7の例では、伝送端末aaと伝送端末dbとの間でのデータ転送を例示する。すなわち、図7の例では、伝送端末aaと伝送端末dbとの間で会議(以下、「会議MT1」とする)が行われている。また、図7に示すユーザU1は、伝送端末aaの所有者である。
【0066】
このような状態において、伝送端末aaの送受信部12は、データ伝送が切断されたか否かを判定している(ステップS701)。例えば、送受信部12は、データ伝送が切断されたことを検知できた場合には、データ伝送が切断されたと判定し、データ伝送が切断された旨を会議解析部25に通知する。
【0067】
係る場合、会議解析部25の受付部25dは、送受信部12から切断通知を受け付ける(ステップS702)。
【0068】
また、通信情報取得部25aは、受付部25dにより切断通知が受け付けられた場合には、会議MT1に利用されている通信に関する情報(通信情報)を送受信部12から取得する(ステップS703)。
【0069】
ここで、図8を用いて、第1の実施形態に係る通信情報について説明する。図8は、第1の実施形態に係る通信情報の一例を示す図である。図8に示すように、送受信部12が保持する通信情報には、「通信手段」、「通信方式」、「プロキシ」、「通信能否」、「切断理由」といった各項目を示す情報が含まれる。
【0070】
「通信手段」は、データ伝送のための通信に用いられている手段を示す情報であり、例えば通信手段には「有線通信」および「無線通信」がある。図8の例では、通信手段「無線」が示されている。係る例は、会議MT1では、通信手段「無線通信」によりデータ伝送が行われていることを示す。「通信方式」は、データ伝送のための通信に用いられているプロトコルを示す情報であり、例えば通信方式には「UDP」および「TCP」がある。図8の例では、通信方式「TCP」が示されている。係る例は、会議MT1では、通信方式「UDP」によりデータ伝送が行われていることを示す。
【0071】
「プロキシ」は、プロキシ利用の有無を示す情報である。図8の例では、プロキシ「無し」が示されている。係る例は、会議MT1では、プロキシ「無し」の状態でデータ伝送が行われている例を示す。
【0072】
「通信能否」は、データ伝送のための通信が可能であるか否かを示す情報であり、例えば係る情報には「リンクアップ」および「リンクダウン」がある。図8の例では、通信能否「可能」が示されている。係る例は、会議MT1では、データ伝送のための通信が「可能」である例を示す。
【0073】
「切断理由」は、データ伝送が切断された理由を示す情報であり、係る理由の一例としては「伝送管理システム50あるいは中継装置30との通信不良による切断」、「ユーザ操作による切断」が挙げられる。図8の例では、切断理由「中継装置とのコネクションロスト」が示されている。係る例は、会議MT1においてデータ伝送が切断された理由が「中継装置とのコネクションロスト」であることを示す。
【0074】
図7の説明に戻る。会議品質情報取得部25bは、受付部25dにより切断通知が受け付けられた場合には、会議MT1に使用されている映像データ、音声データまたはコンテンツデータの品質に関する情報(会議品質情報)を映像符号化部23から取得する(ステップS704)。
【0075】
ここで、図9を用いて、第1の実施形態に係る会議品質情報について説明する。図9は、第1の実施形態に係る会議品質情報の一例を示す図である。図9の例では、会議品質情報には、会議に使用されている「映像」データの品質を示す情報、会議に使用されている「音声」データの品質を示す情報、会議に使用されている「コンテンツデータ」の品質を示す情報、が含まれる。
【0076】
また、品質を示す情報としては、例えば、「解像度」、「フレームレート」、「サンプリング周波数」、「使用帯域」といった項目が挙げられる。「解像度」は、会議で送信したデータの解像度を示す。「フレームレート」は、会議で送信したデータのフレームレートを示す。「サンプリング周波数」は、会議で送信したデータのサンプリング周波数を示す。「使用帯域」は、データ伝送に使用された帯域を示す。
【0077】
そして、図9の例では、「映像」および「解像度」の組合せに対して「1920×1080」が対応付けられている。係る例は、会議MT1で送信された「映像データ」の解像度が「1920×1080」である例を示す。また、図9の例では、「映像」および「フレームレート」の組合せに対して「30fps」が対応付けられている。係る例は、会議MT1で送信された「映像データ」のフレームレートが「30fps」である例を示す。また、図9の例では、「映像」および「使用帯域」の組合せに対して「4000Kbps」が対応付けられている。係る例は、会議MT1でのデータ伝送に使用された帯域が「4000Kbps」である例を示す。
【0078】
また、図9の例では、「音声」および「サンプリング周波数」の組合せに対して「32KHz」が対応付けられている。係る例は、会議MT1で送信された「音声データ」のサンプリング周波数が「32KHz」である例を示す。また、図9の例では、「音声」および「使用帯域」の組合せに対して「72Kbps」が対応付けられている。係る例は、会議MT1でのデータ伝送に使用された帯域が「72Kbps」である例を示す。
【0079】
また、図9の例では、「コンテンツデータ」および「解像度」の組合せに対して「1920×1080」が対応付けられている。係る例は、会議MT1で送信された「コンテンツデータ」の解像度が「1920×1080」である例を示す。また、図9の例では、「コンテンツデータ」および「フレームレート」の組合せに対して「10fps」が対応付けられている。係る例は、会議MT1で送信された「コンテンツデータ」のフレームレートが「10fps」である例を示す。また、図9の例では、「コンテンツデータ」および「使用帯域」の組合せに対して「2000Kbps」が対応付けられている。係る例は、会議MT1でのデータ伝送に使用された帯域が「2000Kbps」である例を示す。
【0080】
図7の説明に戻る。解析部25cは、ステップS703にて通信情報取得部25aにより取得された通信情報(送受信部12が保持する通信情報)、または、ステップS704にて会議品質情報取得部25bにより取得された会議品質情報(映像符号化部23が保持する会議品質情報)に基づいて、切断会議MT1に関する解析を行う(ステップS705)。例えば、解析部25cは、通信情報または会議品質情報に基づいて、会議MT1に対する改善策の必要性を解析する。より詳細には、解析部25cは、通信情報または会議品質情報に基づいて、会議MT1に対応するデータ通信の切断を復旧させるための改善策の必要性を解析する。
【0081】
ここで、図10を用いて、改善策の必要性を解析処理について説明する。図10は、第1の実施形態に係る解析処理の流れを示すフローチャートである。また、図10は、ステップS705での解析処理をより詳細に説明するものである。
【0082】
まず、解析部25cは、取得された通信情報に含まれる「切断理由」に基づいて、会議MT1が切断された理由が「ユーザ操作による切断」であるか否かを判定する(ステップS1001)。そして、解析部25cは、会議MT1が切断された理由が「ユーザ操作による切断」であると判定した場合には(ステップS1001;Yes)、切断理由「ユーザ操作による切断」に基づき、改善案の必要性を解析する(ステップS1003)。
【0083】
ここで、「ユーザ操作による切断」とは、ユーザ(図7の例では、ユーザU1)操作による意図的な切断を意味し、このような切断は例えば通信環境に何らかの問題があることによる切断ではない。したがって、解析部25cは、会議MT1が切断された理由が「ユーザ操作による切断」であると判定した場合には、「改善案を作成する必要なし」との解析結果を得る。
【0084】
一方、解析部25cは、会議MT1が切断された理由が「ユーザ操作による切断」でないと判定した場合には(ステップS1001;No)、取得された通信情報に含まれる「切断理由」に基づいて、会議MT1が切断された理由が「会議相手が切断したことによる切断」であるか否かを判定する(ステップS1002)。
【0085】
そして、解析部25cは、会議MT1が切断された理由が「会議相手が切断したことによる切断」であると判定した場合には(ステップS1002;Yes)、切断理由「会議相手が切断したことによる切断」に基づき、改善案の必要性を解析する(ステップS1003)。
【0086】
ここで、「会議相手が切断したことによる切断」とは、相手ユーザ(図7の例では、伝送端末dbのユーザb)による意図的な切断を意味し、このような切断は例えば通信環境に何らかの問題があることによる切断ではない。したがって、解析部25cは、会議MT1が切断された理由が「会議相手が切断したことによる切断」であると判定した場合についても、「改善案を作成する必要なし」との解析結果を得る。
【0087】
一方、解析部25cは、会議MT1が切断された理由が「会議相手が切断したことによる切断」でないと判定した場合には(ステップS1002;No)、切断理由「会議に参加するユーザのユーザ操作によらない切断」に基づき、改善案の必要性を解析する(ステップS1003)。例えば、「会議に参加するユーザのユーザ操作によらない切断」は、通信環境に何らかの問題があったことによる切断である可能性が高い。そして、このような切断は意図的な切断ではなく、実質切断の理由が明らかではないため、再接続されるよう対策を試みる必要がある切断といえる。このようなことから、解析部25cは、会議MT1が切断された理由が「会議相手が切断したことによる切断」でないと判定した場合には、「改善案を作成する必要あり」との解析結果を得る。
【0088】
図7の説明に戻る。解析部25cは、ステップS705での解析処理による解析結果に基づいて、会議MT1に対する改善策を作成する(ステップS706)。具体的には、解析部25cは、ステップS705での解析処理により「改善案を作成する必要あり」との解析結果を得た場合には、会議MT1に対する改善策を作成する改善案作成処理を行う。
【0089】
ここで、図11を用いて、改善策作成処理について説明する。図11は、第1の実施形態に係る改善案作成処理の流れを示すフローチャートである。また、図11は、ステップS706の改善案作成処理をより詳細に説明するものである。
【0090】
まず、解析部25cは、通信情報に含まれる「通信能否」が示す情報に基づいて、データ伝送のための通信が可能であるか否かを判定する(ステップS1101)。
【0091】
解析部25cは、データ伝送のための通信が可能であると判定した場合には(ステップS1101;Yes)、通信情報に含まれる「通信手段」が示す情報に基づいて、データ伝送のための通信に用いられている通信手段が有線であるか否かを判定する(ステップS1103)。このような判定を行う場合、解析部25cは、「有線>無線」とする判定基準を内部に有することになる。
【0092】
一方、解析部25cは、データ伝送のための通信が可能でないと判定した場合には(ステップS1101;No)、通信能否の確認に関する改善案(「改善案A1」とする)を改善案のリスト(「改善案リストLT」とする)に対して追加し(ステップS1102)、ステップS1103の処理へと移行する。
【0093】
また、解析部25cは、データ伝送のための通信に用いられている通信手段が有線であると判定した場合には(ステップS1103;Yes)、通信情報に含まれる「通信方式」が示す情報に基づいて、データ伝送のための通信に用いられている通信方式がUDPであるか否かを判定する(ステップS1105)。このような判定を行う場合、解析部25cは、「UDP>TCP」とする判定基準を内部に有することになる。
【0094】
一方、解析部25cは、データ伝送のための通信に用いられている通信手段が有線でないと判定した場合には(ステップS1103;No)、通信手段の変更に関する改善案(「改善案A2」とする)を改善案リストLTに対して追加し(ステップS1104)、ステップS1105の処理へと移行する。
【0095】
また、解析部25cは、データ伝送のための通信に用いられている通信方式がUDPであると判定した場合には(ステップS1105;Yes)、会議品質情報に含まれる「使用帯域」に基づいて、使用帯域に関する情報(例えば、使用帯域の合計)が所定の閾値(例えば、「2000Kbps」)以内であるか否かを判定する(ステップS1107)。このような判定を行う場合、解析部25cは、閾値「2000Kbps」を内部に有することになる。
【0096】
一方、解析部25cは、データ伝送のための通信に用いられている通信方式がUDPでないと判定した場合には(ステップS1105;No)、通信方式の変更に関する改善案(「改善案A3」とする)を改善案リストLTに対して追加し(ステップS1106)、ステップS1107の処理へと移行する。
【0097】
また、解析部25cは、使用帯域に関する情報(例えば、使用帯域の合計)が所定の閾値(例えば、「2000Kbps」)以内であると判定した場合には(ステップS1107;Yes)、これまでに追加した改善案に基づいて、最終的な改善案を作成する(ステップS1109)。
【0098】
一方、解析部25cは、使用帯域に関する情報(例えば、使用帯域の合計)が所定の閾値(例えば、「2000Kbps」)以内でないと判定した場合には(ステップS1107;No)、会議品質の変更に関する改善案(「改善案A4」とする)を改善案リストLTに対して追加し(ステップS1108)、ステップS1109の処理へと移行する。
【0099】
なお、解析部25cは、改善案の候補の中から上記各ステップでの判定結果に応じた改善案を抽出し、抽出した改善案を改善案リストLTに追加することができる。
【0100】
ここで、ステップS1109の一例について説明する。解析部25cは、これまでに追加した各改善案に優先順位を付与し、付与した優先順位に応じて改善案が表示されるよう改善案リストLTを制御する。例えば、解析部25cは、改善案リストLTに追加した順に応じてこれまでに追加した各改善案に優先順位を付与する。例えば、解析部25cは、改善案リストLTに追加した順が早い改善案ほど高い優先順位を付与する。そして、解析部25cは、例えば、優先順位が高い順に改善案が上から一覧表示されるような改善案リストLTを生成する。あるいは、解析部25cは、優先順位が高い上位所定数の改善案のみ表示されるような改善案リストを生成してもよい。また、例えば、解析部25cは、優先順位が高い順に改善案が上から一覧表示されるような改善案リストLTを生成する場合、優先順位を視認可能なように各改善案が一覧表示されるような改善案リストLTを生成してもよい。なお、ここでいう優先順位とは、実行されるべき優先度の高さを示すものである。
【0101】
改善案リストLTで表示される改善案は、ユーザにより選択可能な状態に制御される。例えば、改善案リストLTで表示される改善案は、当該改善案のうち実施を希望する改善案をチェックボックスを用いて選択できるように制御される。
【0102】
次に、図12を用いて、第1の実施形態に係る伝送システム1において、改善案が作成されてから改善案が実施されるまでの処理について説明する。図12は、改善案が作成されてから改善案が実施されるまでの処理を示すシーケンス図である。なお、図12に示される処理は、図7のステップS706に引き続き伝送端末aaによって行われる処理である。
【0103】
例えば、伝送端末aaの操作入力受付部13は、再接続操作の入力をユーザU1から受け付けたか否かを判定している(ステップS1201)。例えば、操作入力受付部13は、再接続操作の入力をユーザU1から受け付けた場合には、再接続操作が行われた旨を会議解析部25に通知する。
【0104】
係る場合、会議解析部25の受付部25dは、操作入力受付部13から再接続通知を受け付け、そして、出力部25eは、再接続通知を受け付けられたことに応じて、ステップS706において解析部25cにより生成された改善案(改善案リストLT)を表示するよう表示制御部21を制御する(ステップS1202)。例えば、出力部25eは、解析部25cにより生成された改善案を表示するよう係る改善案を表示制御部21に出力する。
【0105】
そして、表示制御部21は、出力部25eにより出力された改善案(改善案リストLT)をディスプレイ120に表示させる(ステップS1203)。すなわち、表示制御部21は、ディスプレイ120を介して、出力部25eにより出力された改善案(改善案リストLT)をユーザU1に提示する。
【0106】
ここで、図13を用いて、第1の実施形態に係る改善案リストLTについて説明する。図13は、第1の実施形態に係る改善案リストLTの一例を示す図である。例えば、改善案リストLTは、図13(a)~図13(c)のいずれかの態様で表示される。
【0107】
図13(a)では、追加された改善案が優先順位に応じて上から一覧表示される様子が示される。上記の通り、解析部25cは、改善案リストLTに追加した順が早い改善案ほど高い優先順位を付与し、付与した優先順位が高い順に改善案が上から一覧表示されるような改善案リストLTを生成してもよい。したがって、図13(a)はこの例に対応する。図11の例に倣って、例えば、解析部25cは、改善案A1に対して優先順位「1」、改善案A2に対して優先順位「2」、改善案A3に対して優先順位「3」、改善案A4に対して優先順位「4」を付与したとする。係る場合、解析部25cは、図13(a)に示すように、改善案A1~A4が上から一覧表示されるような改善案リストLTを生成しこれを表示させる。
【0108】
また、図13(b)では、追加された改善案のうち優先順位が高い上位所定数の改善案のみが表示される様子が示される。図13(b)では、単純な例として、追加された改善案のうち優先順位が最も高い改善案のみが表示されている。上記の通り、解析部25cは、優先順位が高い上位所定数の改善案のみ表示されるような改善案リストを生成してもよい。したがって、図13(b)はこの例に対応する。図11の例に倣って、例えば、解析部25cは、改善案A1に対して優先順位「1」、改善案A2に対して優先順位「2」、改善案A3に対して優先順位「3」、改善案A4に対して優先順位「4」を付与したとする。係る場合、解析部25cは、図13(b)に示すように、改善案A1のみが表示されるような改善案リストLTを生成しこれを表示させる。
【0109】
また、図13(c)では、優先順位を視認可能なように各改善案を一覧表示される様子が示される。上記の通り、解析部25cは、優先順位を視認可能なように各改善案が一覧表示されるような改善案リストLTを生成してもよい。したがって、図13(c)はこの例に対応する。図11の例に倣って、例えば、解析部25cは、改善案A1に対して優先順位「1」、改善案A2に対して優先順位「2」、改善案A3に対して優先順位「3」、改善案A4に対して優先順位「4」を付与したとする。
【0110】
係る場合、解析部25cは、テキスト「おすすめ度大」の文字色と、改善案A1の内容を示すテキスト「ネットワークへの・・・」の文字色とを、文字色Rで統一させた状態で表示させることで、改善案A1の優先順位が最も高いことを視認させる。また、解析部25cは、テキスト「おすすめ度中」の文字色と、改善案A2の内容を示すテキスト「有線接続に・・・」の文字色とを、文字色Yで統一させた状態で表示させることで、改善案A2の優先順位が中程度であることを視認させる。
【0111】
また、解析部25cは、テキスト「おすすめ度中」の文字色と、改善案A3の内容を示すテキスト「TCP方式から・・・」の文字色とを、文字色Yで統一させた状態で表示させることで、改善案A3の優先順位が中程度であることを視認させる。また、解析部25cは、テキスト「おすすめ度小」の文字色と、改善案A4の内容を示すテキスト「コミュニケーションに・・・」の文字色とを、文字色Gで統一させた状態で表示させることで、改善案A4の優先順位が中程度であることを視認させる。
【0112】
図12の説明に戻る。操作入力受付部13は、図13のように改善案が表示されている状態において、改善案のうちいずれかの改善案を選択する選択操作の入力をユーザU1から受け付けたか否かを判定している(ステップS1204)。例えば、操作入力受付部13は、選択操作の入力をユーザU1から受け付けた場合には、選択操作に対応する選択結果(改善案のうち選択された改善案を示す情報)を会議解析部25に通知する。
【0113】
係る場合、会議解析部25の受付部25dは、操作入力受付部13から選択結果(改善案のうち選択された改善案を示す情報)を受け付け、そして、出力部25eは、選択された改善案が実施されるよう送受信部12や映像符号化部23を制御する(ステップS1205)。例えば、出力部25eは、選択された改善案を実施するよう係る改善案を示す情報を送受信部12や映像符号化部23に出力する。
【0114】
また、このような制御に応じて、例えば、送受信部12は、通信設定を変更し、映像符号化部23は、会議品質を変更する(ステップS1206)。
【0115】
例えば、図13(a)の態様で改善案リストLTが表示された状態で、ユーザU1が、改善案A1~A4のうち、改善案A2を選択したとする。具体的には、ユーザU1が、「有線接続に切り替える」に対応付けられるチェックボックスに対してチェック入力することにより、「有線接続に切り替える」という改善案A2を選択したとする。係る場合、送受信部12は、出力部25eからの制御に応じて、「有線接続に切り替える」という改善案A2を実施する。すなわち、送受信部12は、通信設定を変更する。
【0116】
また、例えば、図13(a)の態様で改善案リストLTが表示された状態で、ユーザU1が、改善案A1~A4のうち、改善案A4を選択したとする。具体的には、ユーザU1が、「コミュニケーションに利用するデータ量を削除する」に対応付けられるチェックボックスに対してチェック入力することにより、「コミュニケーションに利用するデータ量を削除する」という改善案A4を選択したとする。係る場合、映像符号化部23は、出力部25eからの制御に応じて、「コミュニケーションに利用するデータ量を削除する」という改善案A4を実施する。すなわち、映像符号化部23は、会議品質を変更する。
【0117】
<まとめ>
このような第1の実施形態に係る伝送システム1(伝送端末10)によれば、コミュニケーションに対応するデータ伝送が切断された場合に、送受信部12が保持する情報または映像符号化部23が保持する情報に基づいて、改善案の必要性を解析する。そして、伝送システム1は、改善案が必要であると判断される場合には、送受信部12が保持する情報または映像符号化部23が保持する情報が所定の条件情報を満たすか否かに基づいて、改善案を生成(作成)する。
【0118】
また、伝送システム1は、データ伝送が切断されたことによる再接続操作がユーザから受け付けられた場合には、生成した改善案がユーザに対して提示されるよう制御する。さらに、伝送システム1は、提示された改善案がユーザにより選択された場合には、選択された改善案が実施されるよう制御する。
【0119】
このようなことから第1の実施形態に係る伝送システム1は、ネットワーク帯域の予測や推定が難しい通信手段や通信方式の環境下でも再度切断が発生することを防ぎ、なおかつユーザ自身が再接続時の改善方法を選択できるようにすることができる。この結果、伝送システム1は、コミュニケーションの品質に関する不快感を軽減することができる。
【0120】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0121】
第1の実施形態においては、「改善案作成」→「ユーザに改善案提示」→「ユーザが改善案選択」→「改善案実施」という流れであった。第2の実施形態においては、「改善案作成」→「自動で改善案実施」→「ユーザに実施項目提示」→(会議終了時に)「改善案実施前の設定に戻すか提示」→(戻す場合)「設定を改善前に戻す」という流れにした点が、第1の実施形態と異なる。以下、第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施形態と異なる箇所について説明する。
【0122】
ここで、図14は第2の実施形態に係る改善案作成処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図14は、第1の実施形態の図7で示したステップS706での改善案作成処理をより詳細に説明するものである。概略的には、会議解析部25の解析部25cは、通信情報や会議品質情報から、実施する改善案を作成する。
【0123】
会議解析部25の解析部25cは、改善案の作成を開始する(ステップS1401)。
【0124】
まず、会議解析部25の解析部25cは、通信情報に基づいて通信能否について確認する(ステップS1402)。会議解析部25の解析部25cは、通信が“不可”の場合には(ステップS1402のNo)、まず通信可能な状態にする必要があるため、通信能否の改善を追加し(ステップS1403)、ステップS1404に進む。なお、実際の改善に関しては、後述する通信手段の確認結果と組み合わせて考える。
【0125】
一方、会議解析部25の解析部25cは、通信が“可能”な場合には(ステップS1402のYes)、ステップS1404以降の確認項目からの改善を実施することとなる。
【0126】
次に、会議解析部25の解析部25cは、通信情報に基づいて他の通信手段を利用かどうかについて確認する(ステップS1404)。会議解析部25の解析部25cは、例えば、通信情報から現在の通信手段が“有線”である場合、他の通信手段として無線通信の利用可否を確認する。会議解析部25の解析部25cは、無線接続のためのSSIDやセキュリティ情報の設定値の有無、IPアドレスの取得の能否などから、他の通信手段を利用かどうかについて判断する。
【0127】
会議解析部25の解析部25cは、他の通信手段を利用“可能”の場合(ステップS1404のYes)、改善案に通信手段の変更を追加し(ステップS1405)、ステップS1406に進む。
【0128】
一方、会議解析部25の解析部25cは、他の通信手段を利用“不可能”の場合(ステップS1404のNo)、そのままステップS1406に進む。
【0129】
なお、会議解析部25の解析部25cは、上述した通信能否の確認で“不可”の場合(ステップS1402のNo)、かつ、通信手段の確認で“他の手段が利用不可”の場合(ステップS1404のNo)は、それ以降の確認結果がどうあれ、本実施形態の流れで言うところの「自動で改善案実施」が出来ない。そのため、自動で改善案を実施することはなく、ユーザに改善案を提示することになる。
【0130】
例1:有線で通信能否の確認で“不可”の場合(ステップS1402のNo)、かつ、通信手段の確認で“他の手段が利用不可”の場合(ステップS1404のNo)には、会議解析部25の解析部25cは、下記の提示を行う。
・「端末の有線LANケーブルの接続を確認してほしい」旨を提示する。
・「無線接続できるように端末に設定を変更してほしい」旨を提示する。
【0131】
例2:無線で通信能否の確認で“不可”の場合(ステップS1402のNo)、かつ、通信手段の確認で“他の手段が利用不可”の場合(ステップS1404のNo)には、会議解析部25の解析部25cは、下記の提示を行う。
・「端末に有線LANケーブルを接続して試して欲しい」旨を提示する。
・「無線接続のアクセスポイントを変更して試して欲しい」旨を提示する。
【0132】
次に、会議解析部25の解析部25cは、通信情報の通信方式を確認し、他の通信方式が利用かどうかを確認する(ステップS1406)。例えば、会議解析部25の解析部25cは、現在UDPで通信していた場合は、TCPで利用したいポートが開放されているか、逆にTCPで通信していた場合は、UDPで利用したいポートの開放がされているか、などから判断する。
【0133】
会議解析部25の解析部25cは、他の通信方式を利用“可能”の場合(ステップS1406のYes)、改善案に通信方式の変更を追加し(ステップS1407)、ステップS1408に進む。
【0134】
一方、会議解析部25の解析部25cは、他の通信方式を利用“不可能”の場合(ステップS1406のNo)、そのままステップS1408に進む。
【0135】
次に、会議解析部25の解析部25cは、会議品質情報に基づいて会議品質を確認し、会議品質を低下させることが出来そうかを確認する(ステップS1408)。例えば、会議映像の使用帯域の設定に対して、利用できる帯域が低い場合に会議の切断が起きる可能性が高くなるため、会議解析部25の解析部25cは、利用できる帯域以下に会議品質を低下できそうかで判断する。
【0136】
基本的には、会議解析部25の解析部25cは、以下のような形で会議品質について確認する。
1.使用帯域>利用帯域の場合
・基本的には“会議品質の低下可”となる。
・ただし、下記に示すように、現在の会議品質が十分に低下している場合は、“会議品質の低下不可“となる。
・解像度が320×180など、映像としての視認性が落ちる位まで低下している場合。
・フレームレートが5fpsなど、映像としての認識が出来なくなるくらいに低下している場合。
2.使用帯域≦利用帯域の場合
・基本的には“会議品質の低下不可”となる。
【0137】
会議解析部25の解析部25cは、“会議品質の低下可”の場合(ステップS1408のYes)、改善案に会議品質の変更を追加し(ステップS1409)、ステップS1410に進む。
【0138】
一方、会議解析部25の解析部25cは、“会議品質の低下不可”の場合(ステップS1408のNo)、そのままステップS1410に進む。
【0139】
最後に、会議解析部25の解析部25cは、最終的な改善案を作成する(ステップS1410)。
【0140】
なお、会議解析部25の解析部25cは、図14に示したような処理の流れで最終的に改善案を作成する際には、事前に決めておいた方針・ポリシーに従う。例えば、「通信手段」「通信方式」「会議品質」の改善案が追加されている場合、会議解析部25の解析部25cは、以下に示すようにして改善案を作成する。
1.再接続に成功する可能性を高めるために、実施可能な改善案は全て実施する。
・「通信手段」「通信方式」「会議品質」の改善を実施する改善案として作成する。
2.変更箇所を少なく抑えるために、事前に決めた優先度に従って一番高いものを実施する(優先度が「通信手段の改善」>「通信方式の改善」>「会議品質の改善」の場合)。
・優先度が一番高い、「通信手段」の改善のみを実施する改善案として作成する。
【0141】
以上のようにして会議解析部25の解析部25cが改善案を作成すると、その改善案に従って改善を実施する。
【0142】
次に、伝送システム1において、上述のような改善案の作成後、改善案の実施から改善に関する通知までの処理について説明する。ここで、図15は改善案の作成後、改善案の実施から改善に関する通知までの処理を示すシーケンス図である。
【0143】
図15に示すように、図7で示した改善策の作成後(ステップS706)、伝送端末10aaの会議解析部25の解析部25cは、改善案を作成する(ステップS707)。
【0144】
次いで、伝送端末10aaの会議解析部25の解析部25cは、改善前の通信情報、会議品質情報を揮発性記憶部19に保存する(ステップS708)。
【0145】
次いで、伝送端末10aaの会議解析部25の解析部25cは、作成した改善案を基に改善策を実施する(ステップS709)。より詳細には、伝送端末10aaの会議解析部25は、作成した改善案を基に、伝送端末10aaの送受信部12の通信設定を変更する。また、伝送端末10aaの会議解析部25は、作成した改善案を基に、伝送端末10aaの映像符号化部23の会議品質を変更する。
【0146】
その後、伝送端末10aaの送受信部12は、会議を開始する(ステップS710)。
【0147】
次いで、伝送端末10aaの会議解析部25の解析部25cは、実施した改善策の内容を提示する(ステップS711)。より詳細には、伝送端末10aaの会議解析部25は、伝送端末10aaの表示制御部21に、実施した改善策の内容をユーザに向けて通知(表示)させる。
【0148】
ここで、図16は実施した改善策の内容の表示例を示す図である。図16に示すように、表示制御部21は、改善案として実施した内容を示す改善案リストLTを作成し、会議を開始した後の会議映像に重ねてディスプレイ120に表示する。なお、表示制御部21は、改善案として実施した内容を示す改善案リストLTを、会議中常に表示してもよいし、数秒経ったら改善案リストLTを消してもよい。
【0149】
次に、伝送システム1において、上述のような改善案の実施後、会議終了時に改善前の設定に戻すかどうかをユーザに対して通知し、改善前の設定に戻す場合の処理について説明する。ここで、図17は改善案の実施後、改善前の設定に戻す処理を示すシーケンス図である。
【0150】
図17に示すように、伝送端末10aaの送受信部12は、図15で説明した会議を終了させる信号を伝送管理システム50から受信すると、会議を終了する(ステップS712)。
【0151】
次いで、伝送端末10aaの会議解析部25の解析部25cは、改善前の設定に戻すか否かの通知を提示する(ステップS713)。より詳細には、伝送端末10aaの会議解析部25は、伝送端末10aaの表示制御部21に、改善前の設定に戻すか否かの通知をディスプレイ120に通知(表示)させる。ユーザは、表示された通知に対し、改善案前の設定に戻すか否かを入力する。
【0152】
ここで、図18は改善前の設定に戻すか否かの通知例を示す図である。図18に示す通知例では、表示制御部21は、変更した改善案を示す改善案リストLTをディスプレイ120に表示し、再接続前(改善前)の設定に戻すかどうかをボタンB1,B2の選択によってユーザに選択させるようにしている。
【0153】
伝送端末10aaの会議解析部25の受付部25dは、操作入力受付部13を介して、入力された選択を受け付ける(ステップS714)。
【0154】
改善前の設定に戻す場合、伝送端末10aaの会議解析部25の解析部25cは、揮発性記憶部19に保存した改善前の通信情報、会議品質情報を基に、設定を変更する(ステップS715)。より詳細には、伝送端末10aaの会議解析部25は、改善前の設定に基づき、伝送端末10aaの送受信部12の通信設定を変更する。また、伝送端末10aaの会議解析部25は、改善前の設定に基づき、伝送端末10aaの映像符号化部23の会議品質を変更する。
【0155】
このように本実施形態によれば、第2の実施形態に係る伝送システム1は、ネットワーク帯域の予測や推定が難しい通信手段や通信方式の環境下でも再度切断が発生することを防ぎ、なおかつユーザ自身が再接続時の改善方法を選択できるようにすることができる。この結果、伝送システム1は、コミュニケーションの品質に関する不快感を軽減することができる。
【0156】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、上記各実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図するものではない。上記新規な実施形態はその他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記各実施形態およびその変形は発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0157】
1 伝送システム
10 伝送端末
12 送受信部
13 操作入力受付部
14 ログイン要求部
15 撮像部
16 音声入力部
17 音声出力部
18 記憶・読出処理部
19 揮発性記憶部
20 不揮発性記憶部
21 表示制御部
22 映像複合化部
23 映像符号化部
24 帯域制御部
25 会議解析部
25a 通信情報取得部
25b 会議品質情報取得部
25c 解析部
25d 受付部
25e 出力部
30 中継装置
50 伝送管理システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0158】
【文献】特許第6515436号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18