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  • 特許-画像形成方法及び画像形成装置 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】画像形成方法及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/08 20060101AFI20240702BHJP
   G03G 9/09 20060101ALI20240702BHJP
   G03G 9/087 20060101ALI20240702BHJP
   G03G 9/097 20060101ALI20240702BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20240702BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G03G9/08 391
G03G9/09
G03G9/087 331
G03G9/097 368
G03G15/20 510
G03G15/01 J
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020165973
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2021162839
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2020063999
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小枝 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 英樹
(72)【発明者】
【氏名】石川 正彦
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-001628(JP,A)
【文献】特開2014-016598(JP,A)
【文献】特開2016-001260(JP,A)
【文献】特開2014-228554(JP,A)
【文献】特開2020-144325(JP,A)
【文献】特開2006-215537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/08-9/097
G03G 15/20
G03G 15/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも白色トナーと、有色トナーとを用いて現像工程及び転写工程を終了後、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材と、を備えた定着装置によりトナー像を記録媒体上に定着する定着工程を含む画像形成方法において、
前記白色トナーが結着樹脂及び白色顔料を含有し、
前記白色トナーの1/2流出温度が115℃以上160℃以下であり、
前記白色トナーの1/2流出温度と前記有色トナーの全ての有色トナーの1/2流出温度との差が5℃以上30℃以下であり、
前記白色トナーの1/2流出温度が、前記有色トナーの全ての有色トナーの1/2流出温度より高く、
前記加熱体は面状ヒータであり、
前記記録媒体はOHPフィルムであり、
前記OHPフィルムの上に、フルカラー画像を作像し、更にその上に、前記白色トナーを用いて一面画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記定着工程が、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材に直接的に又は間接的に接して前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材と、を備えた定着装置によりトナー像を記録媒体上に定着する工程である、請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記白色トナーの流出開始温度Tfが90℃以上150℃以下であり、
前記白色トナーの流出開始温度Tfと、前記有色トナーの流出開始温度Tfとの差が5℃以上40℃以下である、請求項1から2のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記白色トナーが酸化チタンを含有し、
前記酸化チタンの含有量が前記白色トナー全量に対して30質量%以上50質量%以下である、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記酸化チタンの体積平均粒径が200nm以上300nm以下である、請求項4に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記結着樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含有する、請求項1から5のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記現像工程が4つ以上の現像色の異なる前記有色トナーを有する現像ユニットを直列に配置したタンデム型の現像方式である、請求項1から6のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記有色トナーが、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーの少なくともいずれかである、請求項1から7のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項9】
少なくとも白色トナーと、有色トナーとを用いて現像工程及び転写工程を終了後、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材と、を備えた定着装置によりトナー像を記録媒体上に定着する定着手段を有する画像形成装置において、
前記白色トナーが結着樹脂及び白色顔料を含有し、
前記白色トナーの1/2流出温度が115℃以上160℃以下であり、
前記白色トナーの1/2流出温度と前記有色トナーの全ての有色トナーの1/2流出温度との差が5℃以上30℃以下であり、
前記白色トナーの1/2流出温度が、前記有色トナーの全ての有色トナーの1/2流出温度より高く、
前記加熱体は面状ヒータであり、
前記記録媒体はOHPフィルムであり、
前記OHPフィルムの上に、フルカラー画像を作像し、更にその上に、前記白色トナーを用いて一面画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
潜像担持体と、少なくとも現像手段とを有し、
画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジを有する、請求項9に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真の複写画像は一般的に黒色であったが、近年においては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色を用いたフルカラー画像形成技術が汎用されている。フルカラー画像を形成する場合、所定の白い記録媒体に4色のトナー画像を形成する。しかし、記録媒体として色紙、黒紙又は透明フィルムなどを用いてフルカラー画像を形成すると、良好な発色の画像が得られない場合がある。そこで、5色目のトナーとして白色トナーを下地用のトナーに用い、白色背景画像を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、定着システムとしては、線状発熱面を有する発熱体と、該発熱体と摺動するシートと、線状発熱面へパルス通電する通電手段とを有し、前記発熱体によりシートを介して画像を加熱し、その後、冷却工程を経て画像を担持する記録媒体をシートから分離する像加熱装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、白色トナー及び有色トナーの低温定着性に優れ、白色トナーによる下地層が割れることや、有色トナーによる画像が白トナーによる下地層から剥がれることを抑制できるトナーを用いた画像形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段としての本発明の画像形成方法は、少なくとも白色トナーと、有色トナーとを用いて現像工程及び転写工程を終了後、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材と、を備えた定着装置によりトナー像を記録媒体上に定着する定着工程を含む画像形成方法において、
前記白色トナーが結着樹脂及び白色顔料を含有し、
前記白色トナーの1/2流出温度が115℃以上160℃以下であり、
前記白色トナーの1/2流出温度と前記有色トナーの全ての有色トナーの1/2流出温
度との差が5℃以上30℃以下であり、
前記白色トナーの1/2流出温度が、前記有色トナーの全ての有色トナーの1/2流出温度より高く、
前記加熱体は面状ヒータであり、
前記記録媒体はOHPフィルムであり、
前記OHPフィルムの上に、フルカラー画像を作像し、更にその上に、前記白色トナーを用いて一面画像を形成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、白色トナー及び有色トナーの低温定着性に優れ、白色トナーによる下地層が割れることや、有色トナーによる画像が白トナーによる下地層から剥がれることを抑制できるトナーを用いた画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A図1Aは、流出温度の測定に係る装置の一例を示す模式図である。
図1B図1Bは、流出温度の測定に係るグラフの一例を示す模式図である。
図2図2は、画像形成装置の一例を示す模式図である。
図3図3は、画像定着装置の一例を示す模式図である。
図4図4は、画像定着装置の他の一例を示す模式図である。
図5図5は、画像定着装置の他の一例を示す模式図である。
図6図6は、画像定着装置の他の一例を示す模式図である。
図7図7は、プロセスカートリッジの一例を示す模式図である。
図8A図8Aは、タンデム型カラー画像形成装置の一例を示す模式図である。
図8B図8Bは、タンデム型カラー画像形成装置の他の一例を示す模式図である。
図9A図9Aは、タンデム型カラー画像形成装置の他の一例を示す模式図である。
図9B図9Bは、タンデム型カラー画像形成装置の他の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成方法は、少なくとも白色トナーと、有色トナーとを用いて現像工程及び転写工程を終了後、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材と、を備えた定着装置によりトナー像を記録媒体上に定着する定着工程を含む画像形成方法において、
前記白色トナーが結着樹脂及び白色顔料を含有し、
前記白色トナーの1/2流出温度が115℃以上160℃以下であり、
前記白色トナーの1/2流出温度と前記有色トナーの全ての有色トナーの1/2流出温度との差が5℃以上30℃以下であり、
更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の画像形成装置は、少なくとも白色トナーと、有色トナーとを用いて現像工程及び転写工程を終了後、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材と、を備えた定着装置によりトナー像を記録媒体上に定着する定着手段を有する画像形成装置において、
前記白色トナーが結着樹脂及び白色顔料を含有し、
前記白色トナーの1/2流出温度が115℃以上160℃以下であり、
前記白色トナーの1/2流出温度と前記有色トナーの全ての有色トナーの1/2流出温度との差が5℃以上30℃以下であり、
更に必要に応じてその他の手段を含む。
【0009】
本発明者らが鋭意検討した結果、従来技術には以下に述べる問題点があることを見出した。
例えば、従来技術では、白色トナーを下地用トナーとして用いる場合に、隠蔽性を高めるためにカラー画像形成に用いる有色トナーよりも、白色トナー量をかなり多くして厚い層を形成する必要がある。しかしながら、白色トナーによる下地層を厚く形成した場合、白トナーによる下地層の割れや剥がれが生じやすくなる場合があるという問題がある。なお、以下、白トナーによる下地層を単に白トナー層と称することがある。
また、例えば、従来技術では、線状発熱面を有する発熱体を用いた定着システムを用いた場合に、低面圧かつ加熱体の熱容量が小さい等の理由により、定着温度ムラが大きく、白色トナーの層を厚く形成すると、白トナー層の割れや剥がれが生じやすくなる場合があるという問題がある。
また、例えば、定着エネルギーを低減するために、定着温度を下げ、かつ定着面圧を上げた場合に、定着温度ムラによる定着特性の変化が生じたり、形成した白トナー画像表面の割れや剥がれが生じる場合があるという問題があることを見出した。
【0010】
本発明者らが鋭意検討したところ、低面圧定着システムを用いた画像形成において、白色トナーの1/2流出温度が115℃以上160℃以下であり、かつ白色トナーと有色トナーの1/2流出温度の差が5℃以上30℃以下であると、低温定着性を有し、白色トナーによる下地層が割れることや、有色トナーによる画像が白トナーによる下地層から剥がれることを抑制できることを見出した。
【0011】
-トナーの1/2流出温度-
本発明における「1/2流出温度」とは、下記方法によって測定されるトナーの流出開始温度Tfのときのプランジャーの降下量の値と、下記流出終了温度Tendのときのプランジャーの降下量の値との差が1/2となるときの温度を意味する。
本発明において、「1/2流出温度」は、有色トナーと白色トナーのそれぞれが充分に定着しているときの温度を示しており、有色トナー層と白色トナー層の接着性を評価することができる。
流出温度は、フローテスター(装置名:CFT-500D、株式会社島津製作所製)を用いて、下記条件及び手順で測定する。
まず、錠剤化したトナー(トナー1gを円柱状に加圧成型したもの)を図1Aに示すシリンダー内に配し、シリンダーを40℃で保温(錠剤化したトナーの予熱、予熱(保温)時間:200秒間)し、3℃/minの速度で加熱しながら錠剤化したトナーをプランジャーにより加圧(2kg荷重を付加)し、溶融したトナーをシリンダー下部に設けた筒状のダイ穴(穴内径:0.5mm、ダイ長さ:1.0mm)から流出させる。
図1Bに、流出温度の測定方法によって測定されたプランジャーの降下量と、温度T(℃)との関係を示すグラフの一例を示す。図1B中、「Tw」は軟化指数を、「Tf」は流出開始温度を、「Tend」は流出終了温度、「T1/2」は1/2流出温度を示す。
軟化指数Twは、トナーが流出開始しない程度に軟化し始める温度である。軟化し始める温度は、流出温度の測定において、プランジャー降下量が測定開始後から初めて変化し、かつその変化量が「0」となった時点におけるシリンダー設定温度によって判断する。軟化指数Twは、面圧荷重下における、軟化性、光沢安定性、低温定着性に寄与する特性である。
流出開始温度Tfとは、ダイ穴からトナーが流出し始める(ダイの出口からトナーが出てきた)時点のシリンダーの設定温度を意味する。
流出終了温度Tendとは、ダイ穴からトナーが流出しなくなる(ダイの出口からトナーが出てこなくなる)時点のシリンダーの設定温度を意味する。
プランジャーの降下量を測定することにより、トナーの粘弾特性(温度依存性)を評価することができる。
本発明において、有色トナーはすべての色において1/2流出温度T1/2、流出開始温度Tfが同じ値であってもよいし、異なる値であってもよいし、一部の色が異なる値であってもよい。
【0012】
通常10kg~30kg程度の比較的大きな荷重でのフローテスター評価値をトナーの特性値として評価するが、本発明では、より低面圧の定着システムに対応するトナー特性を制御するため、低荷重である2kg荷重での評価とした。
なお、1/2流出温度の測定においては、フローテスター(装置名:CFT-500D、株式会社島津製作所製)はプランジャーの自重があるため、重りを設置せずに評価する評価手法が2kg荷重に相当する。
【0013】
前記白色トナーの1/2流出温度としては、115℃以上160℃以下であり、115℃以上145℃以下が好ましく、115℃以上130℃以下がより好ましい。前記白色トナーの1/2流出温度が115℃以上160℃以下であると、低温定着トナーに適した溶融特性とすることができる。また、前記白色トナーの1/2流出温度が115℃未満であると、低温定着性は有するが、白色トナーの上に有色トナーを載せた場合、白色トナー層と有色トナー層の接着界面に白色トナー中の白色顔料による凹凸ができやすくなり、白色トナー層の割れが生じてしまう。また、前記白色トナーの1/2流出温度が160℃超であると、低温定着性が充分でなく、白色トナー層の割れや剥がれが発生する。
また、前記白色トナーの1/2流出温度と前記有色トナーの1/2流出温度との差が5℃以上30℃以下であり、5℃以上15℃以下が好ましい。前記白色トナーの1/2流出温度と前記有色トナーの1/2流出温度との差が5℃以上30℃以下であると、定着する温度が白色トナーと有色トナーで近いため、白色トナーと有色トナーの接着性が向上し、白色トナーの割れや剥がれを抑制することができる。
【0014】
前記白色トナーの流出開始温度Tfとしては、90℃以上150℃以下が好ましく、90℃以上130℃以下がより好ましく、90℃以上110℃以下がさらに好ましい。前記白色トナーの流出開始温度Tfが90℃以上150℃以下であると、低温定着性を向上させることができる。前記白色トナーの流出開始温度Tfが90℃以上であると、トナーの軟化に優れ、トナー母体とトナー外添剤の付着強度が低下してトナー外添剤の遊離等が発生することを抑制し、現像安定性が低下することを抑制することができる。また、前記白色トナーの流出開始温度Tfが150℃以下であると、低温定着性が低下することを抑制することができる。
【0015】
また、前記白色トナーの流出開始温度Tfと、前記有色トナーの流出開始温度Tfとの差が、5℃以上40℃以下が好ましく、5℃以上20℃以下がより好ましい。前記白色トナーの流出開始温度Tfと、前記有色トナーの流出開始温度Tfとの差が、5℃以上40℃以下であると、有色トナーと白色トナーの定着し始める温度を近づけることができるため、白色トナーと有色トナーの相乗効果でより低温定着性を向上させることができる。
【0016】
次に、本発明の画像形成方法及び画像形成装置に用いる白色トナー及び有色トナーについて説明する。前記白色トナーと前記有色トナーの共通成分については、前記白色トナー及び前記有色トナーのみに含有する成分の説明の後に説明する。
【0017】
[白色トナー]
本発明の画像形成方法及び画像形成装置における白色トナーは、結着樹脂及び白色顔料を含有し、さらに必要に応じてその他の成分を含有する。
【0018】
[[白色顔料]]
前記白色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウムなどが挙げられる。これらの中でも酸化チタンが好ましい。
前記酸化チタンが、少なくともポリオールにて表面処理をされていることが好ましく、少なくともアルミニウムとトリメチロールプロパン及び/又はトリメチロールエタンで被覆されているものがより好ましい。前記酸化チタンがポリオールにて表面処理されていると、結着樹脂、離型剤の物性との関係も寄与するが、前記白色顔料が結着樹脂中に離型剤に被覆された状態で分散されている状態を得ることができる。
【0019】
前記白色顔料としては、適宜合成したものを使用してもよく、市販品を用いてもよい。前記市販品としては、例えば、タイペークPF-739(酸化チタン)、CR-50-2、タイペークCR-60-2(酸化チタン)(いずれも石原産業社製)などが挙げられる。これらの中でも、タイペークPF-739はジルコニア処理により吸湿水分量が抑制され、トナーに用いるには好適なものとなっている。
【0020】
前記白色顔料の体積平均粒径としては、例えば、200nm以上300nm以下が好ましく、220nm以上270nm以下がより好ましい。白色トナーを用いて得られる白色トナー層において十分な隠蔽力を得る為には、白色顔料をトナーの30質量%以上添加することが好ましいが、この場合、白色顔料の体積平均粒径が200nm以上であると白色顔料による結着樹脂の物性への影響が大きくなることを抑制し、現像安定性を向上させることができる。また、白色顔料の体積平均粒径が300nm以下であると隠蔽力自体が低下することを抑制することができる。
【0021】
前記白色顔料の含有量としては、白色トナー全量に対して30質量%以上50質量%以下であることが好ましく、35質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。前記白色顔料の含有量が白色トナー全量に対して30質量%以上50質量%以下であると、白色トナーを用いて得られる白色トナー層において十分な隠蔽力を得ることができる。
【0022】
[有色トナー]
前記有色トナーは、結着樹脂、着色剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明では、有色トナーとしては、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーに加えて、他の色(赤トナー、金トナー、銀トナー、蛍光トナー、インビジブルトナーなど)も用いることができる。これらのなかでも、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーが好ましい。
【0023】
[[着色剤]]
前記着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、アルミニウム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、及びそれらの混合物が使用できる。
【0024】
トナーにおける着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーに対して1質量%以上15質量%以下が好ましく、3質量%以上10質量%以下がより好ましい。
【0025】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。
マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、後述する変性、未変性ポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp-クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン-p-クロロスチレン共重合体、スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得ることができる。この際着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。またいわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練を行い、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
【0026】
<トナー>
前記トナーは、結着樹脂を含有し、ワックス、着色剤を含有し、コアシェル構造を有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0027】
<<結着樹脂>>
前記結着樹脂としては、例えば、結晶性樹脂、非晶性樹脂などが挙げられる。
【0028】
<<<結晶性樹脂>>>
結晶性とは、原子や分子が空間的に繰り返しパターンを持って配列しているような物質
と定義され、一般的なX線回折装置により回折パターンを示す物質と定義される。
【0029】
前記結晶性樹脂としては、結晶性を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、変性結晶性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂が好ましく、ウレタン骨格及びウレア骨格の少なくともいずれかを有する樹脂が好ましく、また、直鎖型ポリエステル樹脂、該直鎖型ポリエステル樹脂を含む複合樹脂がより好ましい。
【0030】
ここで、ウレタン骨格及びウレア骨格の少なくともいずれかを有する樹脂としては、例えば、前記ポリウレタン樹脂、前記ポリウレア樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレア変性ポリエステル樹脂などが好適に挙げられる。前記ウレタン変性ポリエステル樹脂は、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、ポリオールとを反応させてなる樹脂である。また、前記ウレア変性ポリエステル樹脂は、末端にイソシアネート基を有するポリエステル樹脂と、アミン類とを反応させてなる樹脂である。
【0031】
前記結晶性樹脂の融解熱の最大ピーク温度としては、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から、45℃以上70℃以下が好ましく、53℃以上65℃以下がより好ましく、58℃以上62℃以下が特に好ましい。前記最大ピーク温度が、45℃より低い場合は、低温定着性は良くなるが耐熱保存性が悪化し、70℃より高い場合は逆に耐熱保存性は良くなるが低温定着性が悪化する。
【0032】
前記結晶性樹脂の含有量としては、前記結着樹脂の全量に対して1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。
前記トナーにおける前記結晶性樹脂の含有量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記結着樹脂に対して30質量%以下である。
【0033】
-結晶性ポリエステル樹脂-
前記トナーは、結晶性ポリエステル樹脂を1質量%以上、好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上含有することが、より低温定着性に有利なため好ましい。
【0034】
結晶性ポリエステル樹脂の融点は45℃以上70℃以下の範囲にあることが好ましく、53℃以上65℃以下の範囲にあることがより好ましく、58℃以上62℃以下の範囲にあることが更に好ましい。なお、上記結晶性ポリエステル樹脂の融点は、示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として以下の方法により求めた。
自動接線処理システムを備えた株式会社島津製作所製の示差走査熱量計(装置名:DSC-60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温する。そのときの吸熱ピークを融点とする。
【0035】
前記結晶性ポリエステル樹脂は、その構成成分が100%ポリエステル構造であるポリマー以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマー(共重合体)も意味する。但し、後者の場合には、ポリマー(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50質量%以下である。
【0036】
前記結晶性ポリエステル樹脂は、例えば多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。
なお、本実施形態においては、前記結晶性ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
【0037】
--多価カルボン酸成分--
多価カルボン酸成分としては、例えば、ジカルボン酸成分、3価以上のカルボン酸成分
などが挙げられる。
【0038】
ジカルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸;などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,5-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、酸成分としては、前記脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていてもよい。さらに、前記脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有してもよい。
【0039】
--多価アルコール成分--
多価アルコール成分としては、ジオール、3価以上のアルコールなどが挙げられる。
前記ジオールとしては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7~20である直鎖型脂肪族ジオールがより望ましい。脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下してしまう場合がある。また、主鎖部分の炭素数が7未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融解温度が高くなり、低温定着が困難となることがある一方、主鎖部分の炭素数が20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。主鎖部分の炭素数としては14以下であることがより望ましい。
【0040】
---脂肪族ジオール---
前記脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが望ましい。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上であることが好ましく、より望ましくは90%以上である。脂肪族ジオールの含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融解温度が降下する為、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
【0041】
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上であること
が好ましく、より好ましくは90%以上である。脂肪族ジオールの含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融解温度が降下する為、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
【0044】
なお、必要に応じて酸価や水酸基価の調製等の目的で、多価カルボン酸や多価アルコールを合成の最終段階で添加してもよい。
前記多価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類等が挙げられる。
【0045】
[結晶性ポリエステル樹脂の調製]
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造は、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下として行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。
重合性単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助溶剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い重合性単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い重合性単量体とその重合性単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
【0046】
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造の際に使用可能な触媒としては、例えば、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;及びアミン化合物等が挙げられる。
【0047】
具体的には、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、炭酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニール、酢酸ジルコニール、ステアリン酸ジルコニール、オクチル酸ジルコニール、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
【0048】
結晶性ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、3.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、6.0mgKOH/g以上25.0mgKOH/g以下の範囲にあることがより好ましく、8.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下の範囲にあることが更に好ましい。酸価が3.0mgKOH/gよりも低いと水中への分散性が低下するため、湿式製法での粒子の作製が非常に困難となる場合がある。また凝集の際における重合粒子としての安定性が著しく低下するため、効率的なトナーの作製が困難になる場合がある。一方、酸価が30.0mgKOH/gを超えると、トナーとしての吸湿性が増してしまい、トナーとしての環境影響を受けやすくなることがある。
【0049】
また、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が、6,000未満であると、定着の際にトナーが紙等の記録媒体の表面へしみ込んで定着ムラを生じたり、定着画像の折り曲げ耐性に対する強度が低下する場合がある。また、重量平均分子量(Mw)が35,000を超えると、溶融時の粘度が高くなりすぎて定着に適当な粘度まで至るための温度が高くなることがあり、結果として低温定着性が損なわれる場合がある。
上記重量平均分子量の測定は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定することができる。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120を用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行った。重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出したものである。
【0050】
以上の結晶性ポリエステル樹脂を含む結晶性樹脂は、脂肪族重合性単量体を用いて合成された結晶性ポリエステル樹脂(以下、「結晶性脂肪族ポリエステル樹脂」という場合がある)を主成分(50質量%以上)とすることが好ましい。更にこの場合、前記結晶性脂肪族ポリエステル樹脂を構成する脂肪族重合性単量体の構成比は、60mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましい。なお、脂肪族重合性単量体としては、前述の脂肪族のジオール類やジカルボン酸類を好適に用いることができる。
【0051】
<<<非結晶性樹脂>>>
非結晶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
【0052】
-非結晶性ポリエステル樹脂-
非結晶性ポリエステル樹脂としては、変性ポリエステル樹脂と未変性ポリエステル樹脂があるが、その両方を含有することが更に好ましい。
【0053】
--変性ポリエステル樹脂--
変性ポリエステル樹脂として、以下に示す変性ポリエステル系樹脂が使用できる。例えばイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを用いることが出来る。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルを更にポリイソシアネート(3)と反応させた物などが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを、架橋剤及び/又は伸長剤と反
応させることで変性ポリエステル樹脂が得られる。
【0054】
ポリオール(1)としては、ジオール(1-1)及び3価以上のポリオール(1-2)が挙げられ、(1-1)単独、又は(1-1)と少量の(1-2)の混合物が好ましい。
【0055】
ジオール(1-1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2~12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2~12のアルキレングリコールとの併用である。
【0056】
3価以上のポリオール(1-2)としては、3~8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0057】
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2-1)及び3価以上のポリカルボン酸(2-2)が挙げられ、(2-1)単独、及び(2-1)と少量の(2-2)の混合物が好ましい。
【0058】
ジカルボン酸(2-1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4~20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸である。
【0059】
3価以上のポリカルボン酸(2-2)としては、炭素数9~20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
【0060】
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、例えば、通常2/1~1/1、好ましくは1.5/1~1/1、更に好ましくは1.3/1~1.02/1である。
【0061】
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0062】
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、例えば、通常5/1~1/1、好ましくは4/1~1.2/1、更に好ましくは2.5/1~1.5/1である。
【0063】
末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5質量%以上40質量%以下、好ましくは1質量%以上30質量%以下、更に好ましくは2質量%以上20質量%以下である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
【0064】
イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5~3個、更に好ましくは、平均1.8~2.5個である。1分子当たり1個未満では、架橋及び/又は伸長後の変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0065】
---架橋剤及び伸長剤---
架橋剤及び/又は伸長剤として、アミン類を用いることができる。
アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及びB1~B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
【0066】
ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’-ジアミノ-3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
B1~B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1~B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1及びB1と少量のB2の混合物である。
【0067】
更に、必要により架橋及び/又伸長は停止剤を用いて反応終了後の変性ポリエステルの分子量を調整することができる。
停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0068】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2~2/1、好ましくは1.5/1~1/1.5、更に好ましくは1.2/1~1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2より大きかったり1/2未満では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0069】
---未変性ポリエステル樹脂---
変性ポリエステル樹脂(A)の単独使用だけでなく、この(A)と共に、変性されていない未変性ポリエステル樹脂(C)をトナーバインダー成分として含有させることが重要である。変性されていない未変性ポリエステル樹脂(C)を併用することで、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性、光沢均一性が向上する。
【0070】
変性されていない未変性ポリエステル樹脂(C)としては、前記(A)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(A)と同様である。
また、変性されていない未変性ポリエステル樹脂(C)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。
(A)と(C)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(A)のポリエステル成分と(C)は類似の組成が好ましい。
(A)を含有させる場合の(A)と(C)の質量比は、通常5/95~75/25、好ましくは10/90~25/75、更に好ましくは12/88~25/75、特に好ましくは12/88~22/78である。(A)の重量比が5%以上であると、耐ホットオフセット性を向上させることができ、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で有利になる。
【0071】
(C)のピーク分子量は、例えば、通常1,000以上30,000以下、好ましくは1,500以上10,000以下、更に好ましくは2,000以上8,000以下である。1,000以上であると耐熱保存性を向上させることができ、10,000以下であると低温定着性を向上させることができる。
【0072】
(C)の水酸基価は5mgKOH/g以上であることが好ましく、さらに好ましくは10mgKOH/g以上120mgKOH/g以下、特に好ましくは20mgKOH/g以上80mgKOH/g以上である。5mgKOH/g以上であると耐熱保存性と低温定着性の両立の面で有利になる。
【0073】
(C)の酸価は、例えば、通常0.5mgKOH/g以上40mgKOH/g以下、好ましくは5mgKOH/g以上35mgKOH/g以下である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
また、酸価及び水酸基価がそれぞれこの範囲を越えるものは高温高湿度下、低温低湿度下の環境下において、環境の影響を受けやすく、画像の劣化を招きやすい。
【0074】
トナーのガラス転移点(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃以上70℃以下が好ましく、45℃以上55℃以下がより好ましい。トナーのガラス転移点(Tg)が、40℃未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、70℃を超えると低温定着性が不十分となる場合がある。
【0075】
架橋及び/又は伸長されたポリエステル樹脂の共存により、本発明の画像形成方法及び画像形成装置に用いるトナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても良好な保存性を示す。
前記トナーの貯蔵弾性率としては、測定周波数20Hzにおいて10000dyne/cmとなる温度(TG’)が、通常100℃以上、好ましくは110~200℃である。100℃未満では耐ホットオフセット性が悪化する。
前記トナーの粘性としては、測定周波数20Hzにおいて1000ポイズとなる温度(Tη)が、通常180℃以下、好ましくは90~160℃である。180℃を超えると低温定着性が悪化する。すなわち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、TG’はTηより高いことが好ましい。言い換えるとTG’とTηの差(TG’-Tη)は0℃以上が好ましい。さらに好ましくは10℃以上であり、特に好ましくは20℃以上である。差の上限は特に限定されない。また、耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、TηとTgの差は0~100℃が好ましい。さらに好ましくは10~90℃であり、特に好ましくは20~80℃である。
【0076】
<<離型剤>>
また、トナーには、結着樹脂、着色剤とともにワックス(離型剤)を含有させることもできる。
離型剤としては公知のものが使用でき、例えば、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。
【0077】
離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃以上160℃以下が好ましく、50℃以上120℃以下がより好ましく、60℃以上90℃以下が特に好ましい。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。
また、離型剤の溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5cps以上1000cps以下が好ましく、更に好ましくは10cps以上100cps以下である。1000cpsを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。
【0078】
トナー中の離型剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0質量%以上40質量%以下が好ましく、3質量%以上30以下がより好ましい。
【0079】
<<帯電制御剤>>
トナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。
帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。
具体的には、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンPー51、含金属アゾ染料のボントロンSー34、オキシナフトエ酸系金属錯体のEー82、サリチル酸系金属錯体のEー84、フェノール系縮合物のEー89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTPー302、TP一415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRAー901、ホウ素錯体であるLRー147(日本カ一リット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
【0080】
トナーにおける帯電制御剤の含有量としては、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下の範囲で用いられる。より好ましくは、0.2質量部以上5質量部以下の範囲がよい。10質量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させることもできるし、もちろん有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えてもよいし、トナー表面にトナー粒子作成後に固定化させてもよい。
【0081】
以上、トナーにおけるコア部について説明した。次に、トナーにおけるシェル層について説明する。
【0082】
[シェル層]
前記シェル層は、調整したトナーにおけるコア部に粒径制御剤で被覆することによって形成される。
粒径制御剤は、樹脂微粒子を含有する。
樹脂微粒子のガラス転移点(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択
することができるが、40℃以上100℃以下が好ましい。
樹脂微粒子の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3,000以上300,000以下が好ましい。ガラス転移点(Tg)が40℃未満、及び/又は重量平均分子量が3,000未満の場合、トナーの保存性が悪化してしまい、保管時および現像機内でブロッキングを発生してしまう。ガラス転移点(Tg)が100℃超、及び/又は重量平均分子量が300,000超の場合、樹脂微粒子が定着紙との接着性を阻害してしまい、定着下限温度が上がってしまう。
トナー粒子に対する残存率が0.5質量%以上5.0質量%にすることがさらに好ましい。残存率が、0.5質量%未満の時、トナーの保存性が悪化してしまい、保管時および現像機内でブロッキングの発生が見られ、また、残存量が5.0質量%超では、樹脂微粒子がワックスのしみ出しを阻害し、ワックスの離型性効果が得られず、オフセットの発生が見られる。
樹脂微粒子の残存率は、トナー粒子に起因せず樹脂微粒子に起因する物質を熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計で分析し、そのピーク面積から算出し測定することができる。検出器としては、質量分析計が好ましいが、特に制限はない。
【0083】
樹脂微粒子は、例えば、水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。例えば、ビニル系樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
【0084】
ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸-アクリル酸エステル重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0085】
<<外添剤>>
トナー母体粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、例えば、酸化物微粒子の他に、無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の平均粒径が好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは5nm以上70nm以下の無機微粒子を少なくとも1種類以上含むことがより好ましい。更に疎水化処理された一次粒子の平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも1種類以上含みかつ、30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類以上含むことがより好ましい。また、BET法による比表面積は、20m/g以上500m/g以下であることが好ましい。
それらは、条件を満たせば公知のものすべて使用可能である。例えば、シリカ微粒子、疎水性シリカ、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど)、金属酸化物(チタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)、フルオロポリマー等を含有してもよい。
【0086】
特に好適な添加剤としては、疎水化されたシリカ、チタニア、酸化チタン、アルミナ微粒子があげられる。
シリカ微粒子としては、HDK H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21、HDK H 1303(以上、ヘキスト)やR972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(以上、日本アエロジル社製)がある。
また、チタニア微粒子としては、P-25(日本アエロジル社製)やSTT-30、STT-65C-S(以上、チタン工業社製)、TAF-140(富士チタン工業社製)、MT-150W、MT-500B、MT-600B、MT-150A(以上、テイカ社製)などがある。
特に疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、T-805(日本アエロジル社製)やSTT-30A、STT-65S-S(以上、チタン工業社製)、TAF-500T、TAF-1500T(以上、富士チタン工業社製)、MT-100S、MT-100T(以上、テイカ社製)、IT-S(石原産業社製)などが挙げられる。
【0087】
疎水化処理された酸化物微粒子としての、シリカ微粒子、チタニア微粒子、アルミナ微粒子を得るためには、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシランやメチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤で処理して得ることができる。
【0088】
またシリコーンオイルを必要ならば熱を加えて無機微粒子に処理した、シリコーンオイル処理酸化物微粒子、無機微粒子も好適である。
【0089】
シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル、メタクリル変性シリコーンオイル、αメチルスチレン変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0090】
無機微粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。その中でも特にシリカと二酸化チタンが好ましい。
【0091】
無機微粒子の一次粒子の平均粒径は、100nm以下、好ましくは3nm以上70nm以下である。この範囲より小さいと、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくい。またこの範囲より大きいと、感光体表面を不均一に傷つけ好ましくない。
【0092】
外添剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーに対して0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.3質量%以上3質量%以下がより好ましい。
【0093】
この他高分子系微粒子、例えば、ソープフリー乳化重合、懸濁重合、及び分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0094】
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えば、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などが挙げられる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01μm以上1μm以下のものが好ましい。
【0095】
[トナーの製造方法]
トナーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、乾式であってもよいし、湿式であってもよい。以下に、トナーの製造方法の一例として、水系媒体中でのトナー製造方法の一例を説明する。ただし、本発明に用いられるトナーの製造方法はこの方法に限定されず、本発明に用いられるトナーは、いわゆる乳化凝集法、粉砕方法などの公知のトナー製造方法でも製造することができる。
【0096】
[[水系媒体中でのトナー製造方法]]
水性相には、予め樹脂微粒子を添加することにより使用することがより好ましい。樹脂微粒子が粒径制御剤として機能して、トナーの周囲に配置され、最終的にはトナー表面を覆いシェル層として機能することになる。十分なシェル層として機能を持たせるため、樹脂微粒子の粒径、組成、水相中の分散剤(界面活性剤)、溶媒等にも影響されるため詳細な制御が要求される。
【0097】
水性相に用いる水は、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
【0098】
トナー粒子は、例えば、水性相で有機溶媒に溶解、又は分散させたイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体を、アミン類(B)と反応させて形成することにより得られる。
水性相でポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水性相に有機溶媒に溶解、又は分散させたポリエステルプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。
有機溶媒に溶解、又は分散させたポリエステルプレポリマー(A)と他のトナー組成物である(以下トナー原料と呼ぶ)着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、帯電制御剤、変性されていないポリエステル樹脂などは、水性相で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合後、有機溶媒に溶解、又は分散させた後、水性相にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、着色剤、離型剤、帯電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水性相で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成した後、添加してもよい。例えば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
【0099】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2~20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000~30000rpm、好ましくは5000~20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1~5分である。分散時の温度としては、通常、0~150℃(加圧下)、好ましくは40~98℃である。高温なほうが、ポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
【0100】
ポリエステルプレポリマー(A)を含むトナー組成物100部に対する水性相の使用量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50質量部以上2000質量部以下、好ましくは100質量部以上1000質量部以下である。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
【0101】
トナー組成物が分散された油性相を水性相に乳化、分散するための分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性荊、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
またフルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2~10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3一[オメガ-フルオロアルキル(C6~C11)オキシ]-1-アルキル(C3~C4)スルホン酸ナトリウム、3-[オメガ-フルオロアルカノイル(C6~C8)-N-エチルアミノ]-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11~C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7~C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4~C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N-プロピル-N-(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6~C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6~C10)-N-エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6~C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる,
商品名としては、サーフロンS-111、S-112、S-113(旭硝子社製)、フロラードFC-93、FC-95、FC-98、FC-l29(住友3M社製)、ユニダインDS-101、DS-l02、(タイキン工莱社製)、メガファックF-ll0、F-l20、F-113、F-191、F-812、F-833(大日本インキ社製)、エクトップEF-102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタ-ジェントF-100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6~C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS-l21(旭硝子社製)、フロラードFC-135(住友3M社製)、ユニダインDS-202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF-150、F-824(大日本インキ社製)、エクトップEF-l32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF-300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0102】
また水に難溶の無機化合物分散剤としてリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いることができる。
【0103】
また高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させてもよい。
例えばアクリル酸、メタクリル酸、α-シアノアクリル酸、α-シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β-ヒドロキシエチル、メタクリル酸β-ヒドロキシエチル、アクリル酸β-ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β-ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ-ヒドロキシプロピル、アクリル酸3-クロロ2-ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ピニル、プロピオン酸ピニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0104】
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0105】
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長及び/又は架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
【0106】
伸長及び/又は架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分~40時間、好ましくは2~24時間である。反応温度は、通常、0~150℃、好ましくは40~98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0107】
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合わせて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分に目的とする品質が得られる。
【0108】
また有機溶媒を除去する方法として、ロータリーエバポレータ等でエアーを吹き込み除去させることが可能である。
その後、遠心分離により粗分離を行い、洗浄タンクにて乳化分散体を洗浄、温風乾燥機にて乾燥の工程を繰り返し、溶媒を除去、乾燥させてトナー母体を得ることができる。
その後、更に熟成工程を入れることがより好ましい。好ましくは30℃以上55℃以下(より好ましくは40℃以上50℃以下)で、5時間以上36時間以下(より好ましくは10時間以上24時間以下)で熟成させることがより好ましい。
【0109】
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよいが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、又は粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、又は粗粒子はウェットの状態でも構わない。
【0110】
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合を行ったり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
【0111】
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
最後に無機微粒子等の外添剤とトナーをヘンシェルミキサー等で混合し、超音波篩い等で粗大粒子を除去して、最終的なトナーを得る。
【0112】
[トナーの物性]
-シェル層の厚みd-
トナーのシェル層の厚みdは、以下の1)~3)のいずれかの方法で評価することができる。
1)TEM(透過型電子顕微鏡)による観察
まずトナーをスパチュラ一杯程度エポキシ系樹脂に包埋して硬化させる。四酸化ルテニウム、あるいは四酸化オスミウムで試料を5分間ガス暴露することでシェル層とコア内部を識別染色する。ナイフで断面出ししてウルトラミクロトーム(Leica社製 ULTRACUT UCT 、ダイヤナイフ使用)でトナーの超薄切片(200nm厚さ)を作成する。その後TEM(透過型電子顕微鏡;H7000;日立ハイテク社製)により加速電圧100kVで観察する。
2)FE-SEM(走査型電子顕微鏡)による観察
まずトナーをスパチュラ一杯程度エポキシ系樹脂に包埋して硬化させる。四酸化ルテニウム、あるいは四酸化オスミウムで試料を5分間ガス暴露することでシェル層とコア内部を識別染色する。ナイフで断面出ししてウルトラミクロトーム(Leica社製 ULTRACUT UCT 、ダイヤナイフ使用)でトナー断面を作成する。その後FE-SEM(走査型電子顕微鏡;Ultra55;Zeiss社製)により加速電圧0.8kV~2kVで反射電子像を観察する。
シェル構造の島状の観察は、トナーを断面化せずそのまま試料台に設置して二次電子像、あるいは反射電子像にて観察できる。その際電荷のチャージアップを防止するため加速電圧の調整実施、あるいは白金、カーボン蒸着等を実施しても良い。
3)SPMによる評価
まずトナーをスパチュラ一杯程度エポキシ系樹脂に包埋して硬化させる。ナイフで断面出ししてウルトラミクロトーム(Leica社製 ULTRACUT UCT 、ダイヤナイフ使用)でトナー断面を作成する。その後SPM(走査型プローブ顕微鏡;MMAFM型マルチモードSPMユニット;Veeco社製)によりタッピングモードで位相イメージにより粘弾性、付着性の違いによる層イメージを観察する。
シェル構造の島状の観察は、トナーを断面化せず、そのまま試料台に設置して、トナー1粒子表面をスキャンすることで凹凸情報、位相イメージや、粘弾性イメージにより可視化可能である。
【0113】
本発明のトナーのシェル層の厚みdは、50nm以上300nm以下が好ましく、100nm以上200nm以下がより好ましい。
【0114】
本発明のトナーは、その形状、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下のような、重量平均粒径D、D/Dn(重量平均粒径D/個数平均粒径Dnの比)、平均円形度を有していることが好ましい。
【0115】
-重量平均粒径D、D/Dn(重量平均粒径D/個数平均粒径Dnの比)-
トナーの重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(Dn)、その比(D4/Dn)は、以下の方法で測定できる。
トナーの平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA-II、コールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)等を用いて測定することができる。特に本発明ではコールターマルチサイザーIIを使用した。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100~150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性の界面活性剤))を0.1~5ml加える。
ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON-II(コールター社製)が使用できる。
ここで、更に測定試料を2~20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1~3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00~2.52μm未満;2.52~3.17μm未満;3.17~4.00μm未満;4.00~5.04μm未満;5.04~6.35μm未満;6.35~8.00μm未満;8.00~10.08μm未満;10.08~12.70μm未満;12.70~16.00μm未満;16.00~20.20μm未満;20.20~25.40μm未満;25.40~32.00μm未満;32.00~40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
【0116】
-平均円形度E-
前記平均円形度Eは、次式、円形度E=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長)×100%、で定義される。
前記平均円形度Eは、フロー式粒子像分析装置(「FPIA-2100」;シスメックス社製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA-2100 Data Processing Program for FPIA version00-10)を用いて解析を行うことができる。
具体的には、ガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC-A;第一工業製薬性)を0.1~0.5ml添加し、各トナー0.1~0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加する。得られた分散液を超音波分散器(本多電子社製)で3分間分散処理する。前記分散液を、前記FPIA-2100を用いて濃度を5000~15000個/μLが得られるまでトナーの形状及び分布を測定する。
本測定法は平均円形度の測定再現性の点から前記分散液濃度が5000~15000個/μLにすることが重要である。
前記分散液濃度を得るために前記分散液の条件、すなわち添加する界面活性剤量、トナー量を変更する必要がある。
界面活性剤量は前述したトナー粒径の測定と同様にトナーの疎水性により必要量が異なり、多く添加すると泡によるノイズが発生し、少ないとトナーを十分にぬらすことができないため、分散が不十分となる。
また、トナー添加量は粒径により異なり、小粒径の場合は少なく、また大粒径の場合は多くする必要があり、トナー粒径が3~7μmの場合、トナー量を0.1~0.5g添加することにより分散液濃度を5000~15000個/μLにあわせることが可能となる。
【0117】
また、前記平均円形度としては、形状指数を平均円形度の評価として用いることができる。
【0118】
--形状係数:SF-1,SF-2--
本発明に用いられる円形度である形状係数SF-1、SF-2は、日立製作所製FE-SEM(S-4200)により測定して得られたトナーのFE-SEM像を300個無作為にサンプリングし、その画像情報を、インターフェースを介してニレコ社製画像解析装置(Luzex AP)に導入し解析を行い、下式より算出し得られた値をSF-1、SF-2と定義した。SF-1、SF-2の値はLuzexにより求めた値が好ましいが、同様の解析結果が得られるのであれば特に上記FE-SEM装置、画像解析装置に限定されない。
SF-1=(L/A)×(π/4)×100
SF-2=(P/A)×(1/4π)×100
ここで、トナーの絶対最大長をL、トナーの投影面積をA、トナーの最大周長をP、とする。真球であればいずれも100となり、100より値が大きくなるにつれて球形から不定形になる。また特にSF-1はトナー全体の形状(楕円や球等)を表し、SF-2は表面の凹凸程度を示す形状係数となる。
【0119】
前記平均円形度は、前記トナーの形状と投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値であり、例えば、0.950~0.980が好ましく、0.960~0.975がより好ましい。
前記平均円形度が0.950以上であることにより、満足できる転写性やチリのない高画質画像を得られるようになる。また、前記平均円形度が0.980以下であることにより、クリーニング性を良好にすることができ、高画質の画像を得ることができる。即ち、ブレードクリーニング等を採用している画像形成システムにおいては、感光体上及び転写ベルト等のクリーニング性が向上する。そして、画像上の汚れ、例えば、写真画像等の画像面積率の高い画像形成の場合において、給紙不良等で未転写の画像を形成したトナーが感光体上に転写像となって蓄積した画像の地汚れが発生することを抑制できる。また、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等の汚染を抑制でき、本来の帯電能力を充分に発揮させることができる。
【0120】
次に、本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0121】
図2は、画像形成装置の一例の断面の模式図を示す。
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置の一例としてのプリンタは、給紙手段4と、レジストローラ対6と、像担持体としての感光体ドラム8と、転写手段10と、定着装置12等を有している。
給紙手段4は、記録媒体としての用紙Pが積載状態で収容される給紙トレイ14と、給紙トレイ14に収容された用紙Paを最上のものから順に1枚ずつ分離して送り出す給紙コロ16等を有している。給紙コロ16によって送り出された用紙Paはレジストローラ対6で一旦停止され、姿勢ずれを矯正された後、感光体ドラム8の回転に同期するタイミングで、すなわち、感光体ドラム8上に形成されたトナー像の先端と用紙Paの搬送方向先端部の所定位置とが一致するタイミングでレジストローラ対6により転写部位Nへ送られる。
感光体ドラム8の周りには、矢印で示す回転方向順に、帯電手段としての帯電ローラ18と、図示しない露光手段の一部を構成するミラー20と、現像ローラ22aを備えた現像手段22と、転写手段10と、クリーニングブレード24aを備えたクリーニング手段24等が配置されている。
帯電ローラ18と現像手段22の間において、ミラー20を介して感光体ドラム8上の露光部26に露光光Lbが照射され、走査されるようになっている。
プリンタにおける画像形成動作は従来と同様に行われる。すなわち、感光体ドラム8が回転を始めると、感光体ドラム8の表面が帯電ローラ18により均一に帯電され、画像情報に基づいて露光光Lbが露光部26に照射、走査されて作成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。この静電潜像は感光体ドラム8の回転により現像手段22へ移動し、ここでトナーが供給されて可視像化され、トナー像が形成される。
感光体ドラム8上に形成されたトナー像は、所定のタイミングで転写部位Nに進入してきた用紙Pa上に転写手段10による転写バイアス印加により転写される。
トナー像を担持した用紙Paは定着装置12へ向けて搬送され、定着装置12で定着された後、図示しない排紙トレイへ排出・スタックされる。
転写部位Nで転写されずに感光体ドラム8上に残った残留トナーは、感光体ドラム8の回転に伴ってクリーニング手段24に至り、このクリーニング手段24を通過する間にクリーニングブレード24aにより掻き落とされて清掃される。
その後、感光体ドラム8上の残留電位が図示しない除電手段により除去され、次の作像工程に備えられる。
【0122】
<定着工程及び定着手段>
本発明の画像形成方法は、少なくとも白色トナーと、有色トナーとを用いて現像工程及び転写工程を終了後、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材と、を備えた定着装置によりトナー像を記録媒体上に定着する工程を含む。
本発明の画像形成装置は、少なくとも白色トナーと、有色トナーとを用いて現像工程及び転写工程を終了後、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材と、を備えた定着装置によりトナー像を記録媒体上に定着する手段を有する。
なお、前記加圧部材は、前記加熱体に対向して圧接回転し、ベルト材を介して記録媒体を前記加熱体に圧着させる。
本発明を可能な記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、上質紙、アート紙、ラフ紙、コート紙等の塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用の樹脂フィルム、布、軟質透明フィルム、ユポ紙等の合成紙などが挙げられる。
なお、前記定着工程が、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材に直接的に又は間接的に接して前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材と、を備えた定着装置によりトナー像を記録媒体上に定着することが好ましい。
【0123】
本発明の画像形成方法及び画像形成装置における定着工程及び定着手段について、図面を参照して説明する。
【0124】
図3は、本発明の画像形成装置における定着装置の一例を示す概略図である。
定着ベルト38は、筒状であり、外径が25mmで厚みが40~120μmのポリイミド(PI)製の基体を有している。
また、定着ベルト38の最表層には、耐久性を高めて離型性を確保するために、PFAやPTFE等のフッ素系樹脂による厚みが5~50μmの離型層が形成される。
基体と離型層の間には厚さ50~500μmのゴム等からなる弾性層を有しても良い。
また、定着ベルト基体はポリイミドに限らず、PEEKなどの耐熱性樹脂やニッケル(Ni)、SUSなどの金属基体であってもよい。内面に摺動層としてポリイミドやPTFEなどをコートしてもよい。
【0125】
加圧部材としての加圧ローラ30は外径が25mmであり,中実の鉄製芯金30aと、この芯金30aの表面に形成された弾性層30bと離型層30cで形成されている。
弾性層30bはシリコ-ンゴムで形成されており厚みは3.5mmである。
弾性層30bの表面には、離型性を高めるために厚みが40μm程度のフッ素樹脂層30cを形成するのが望ましい。
加圧ローラ30と定着ベルト38は図示しない付勢手段により圧接している。
【0126】
ヒータ50は絶縁性の基材50aにスクリーン印刷で発熱パターンを形成している。形成された発熱パターンの上に絶縁層を印刷している。ヒータ50は耐熱性の材料からなるヒータホルダ53で保持されている。詳細は後述する。ヒータとしては面状ヒータであることが好ましい。ここで、加熱体としてのヒータ50はベルト部材としての定着ベルト38に直接的に内接している。
【0127】
ヒータ50の温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ34を有し、検知した検知温度に応じて、図示しない加熱制御手段によってヒータ50に供給する電力を制御することで定着ベルト38の温度を所望の温度に制御する。
加熱制御手段は、CPU,ROM,RAM,I/Oインターフェース等を包含するマイクロコンピュータを意味する。但し、通紙時などでは上記検知温度とは別に、通紙による抜熱分を考慮して、追加電力を適切に投入することで定着ベルト38の温度を所望の温度に制御する。
【0128】
定着装置は図3に示す構成に限定しない。図4から図6は画像定着装置の他の一例である。
図4に示すように、定着ニップ以外の部位を押圧ローラで押圧しながら加熱してもよい。
図5に示すように、定着ニップ以外の部位を加熱する場合はベルトの曲率に合わせてヒータに曲率を持たせてもよい。
図6のように定着ニップ部と加熱ニップ部を分けて構成してもよい。図6に示すように定着ニップ部と加熱ニップ部を分けたものを、間接的に内接して加熱する加熱体と称することがある。
【0129】
また、本発明の画像形成方法における現像工程としては、4つ以上の現像色の異なる前記有色トナーを有する現像ユニットを直列に配置したタンデム型の現像方式であることが好ましい。
【0130】
ここで、タンデム型の現像方式を有するタンデム型カラー画像形成装置について図面を参照して説明する。
タンデム型の電子写真装置には、図8Aに示すように、各感光体1上の画像を転写装置2により、シート搬送ベルト3で搬送するシートsに順次転写する直接転写方式のものと、図8Bに示すように、各感光体1上の画像を1次転写装置2によりいったん中間転写体4に順次転写して後、その中間転写体4上の画像を2次転写装置5によりシートsに一括転写する間接転写方式のものとがある。転写装置5は転写搬送ベルトであるが、ローラ形状も方式もある。
直接転写方式のものと、間接転写方式のものとを比較すると、前者は、感光体1を並べたタンデム型画像形成装置Tの上流側に給紙装置6を、下流側に定着装置7を配置しなければならず、シート搬送方向に大型化する欠点がある。これに対し、後者は、2次転写位置を比較的自由に設置することができる。
間接転写方式のものの場合、給紙装置6、及び定着装置7をタンデム型画像形成装置Tと重ねて配置することができ、小型化が可能となる利点がある。
また、直接転写方式のものは、シート搬送方向に大型化しないためには,定着装置7をタンデム型画像形成装置Tに接近して配置することとなる。そのため,シートsがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができず、シートsの先端が定着装置7に進入するときの衝撃(特に厚いシートで顕著となる)や、定着装置7を通過するときのシート搬送速度と,転写搬送ベルトによるシート搬送速度との速度差により、定着装置7が上流側の画像形成に影響を及ぼしやすい欠点がある。
これに対し、間接転写方式のものは、シートsがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができるから、定着装置7がほとんど画像形成に影響を及ぼさないようにすることができる。
以上のことから、最近は、タンデム型電子写真装置の中の、特に間接転写方式のものが注目されてきている。
そして、この種のカラー電子写真装置では、図8Bに示すように、1次転写後に感光体1上に残留する転写残トナーを、感光体クリーニング装置8で除去して感光体1表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えていた。また、2次転写後に中間転写体4上に残留する転写残トナーを、中間転写体クリーニング装置9で除去して中間転写体4表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えている。
【0131】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態につき説明する。
図9Aは、この発明の一実施の形態を示すもので、タンデム型間接転写方式の電子写真装置である。図中符号100は複写装置本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写装置本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。複写装置本体100には、中央に、無端ベルト状の中間転写体10を設ける。
そして、図9Aに示すとおり、図示例では3つの支持ローラ14・15・16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。
この図示例では、3つのなかで第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設ける。
また、3つのなかで第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、イエロー,シアン,マゼンタ,ブラックの4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム型画像形成装置20を構成する。
タンデム型画像形成装置20の上には、図9Aに示すように、さらに露光装置21を設ける。一方、中間転写体10を挟んでタンデム型画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写体10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写体10上の画像をシートに転写する。
2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
なお、図示例では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム型画像形成装置20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備える。
さて、いまこのカラー電子写真装置を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14・15・16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体40を回転して各感光体40上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
一方、画像転写後の中間転写体10は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム型画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが,シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0132】
フルカラー画像の背面に白色トナーを使用する場合には、5色の画像形成ユニットを保有した画像形成装置を使用したことが可能である。図9Bに5色画像形成ユニットを保有した画像形成装置の概略を示す。
画像形成ユニット35は白色トナー、画像形成ユニット36はブラックトナー、画像形成ユニット37はシアントナー、画像形成ユニット38はマゼンタトナー、画像形成ユニット39はイエロートナーにより、それぞれ作像を行い、中間転写ベルト40に転写し、作像を行う。
中間転写ベルト40に作像された画像は、転写装置41によりフィルム等に転写され、定着機43により定着される。
図9Bは、この発明の一実施の形態を示すものである。図9B中、符号35’、36’、37’、38’、39’はそれぞれ画像形成ユニットであり、40’は無端ベルト状の中間転写体であり、43’は定着装置である。そして、図9Bに示すとおり、図示例では3つの支持ローラに掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。
この図示例では、中間転写体の左端に画像転写後に中間転写体40’上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置42’を設ける。
二次転写装置41’の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置43’を設ける。定着装置43’は、無端ベルトである定着ベルトに加圧ローラを押し当てて構成する。
不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラの1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体40’を回転搬送する。同時に、個々の画像形成ユニットでその像担持体5’11’17’23’29’を回転して各像担持体上にそれぞれ、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン、ホワイトの単色画像を形成する。そして、中間転写体40’の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体40’上に合成カラー画像を形成する。
次に、それぞれの画像形成ユニット35’、36’、37’、38’、39’について説明する。
像担持体5’、11’、17’、23’、29’の周りには、矢印で示す回転方向順に、帯電手段としての帯電装置6’、12’、18’、24’、30’と、図示しない露光手段による書込光7’、13’、19’、25’、31’と、現像手段である現像装置8’14’、20’、26’、32’と、転写手段である一次転写装置10’、16’、22’、28’、34’と、クリーニング手段であるクリーニング装置9’、15’、21’、27’、33’が配置されている。
帯電装置6’、12’、18’、24’、30’と現像装置8’、14’、20’、26’、32’の間において、ミラーを介して像担持体5’、11’、17’、23’、29’上の露光部に露光光が照射され、走査されるようになっている。
プリンタにおける画像形成動作は従来と同様に行われる。すなわち、像担持体5’、11’、17’、23’、29’が回転を始めると、像担持体5’、11’、17’、23’、29’の表面が帯電装置6’、12’、18’、24’、30’により均一に帯電され、画像情報に基づいて露光光が露光部に照射、走査されて作成すべき画像に対応した静電潜像が形成される。この静電潜像は像担持体5’、11’、17’、23’、29’の回転により現像装置8’、14’、20’、26’、32’へ移動し、ここでトナーが供給されて可視像化され、トナー像が完成される。
像担持体5’、11’、17’、23’、29’上に形成されたトナー像は、所定のタイミングで転写部位に進入してきた記録媒体上に一次転写装置10’、16’、22’、28’、34’による転写バイアス印加により転写される。
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙トレイ1’の給紙ローラ2’を回転し、シートを繰り出し、レジストローラ3’、4’に突き当てて止める。
そして、中間転写体40’上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ3’、4’を回転し、中間転写体40’と二次転写装置41’との間にシートを送り込み、二次転写装置41’で転写してシート上にカラー画像を記録する。
画像転写後のシートは、二次次転写装置41’で搬送して定着装置43’へと送り込み、定着装置43’で熱と圧力とを加えて転写画像を定着する。
一方、画像転写後の中間転写体40’は、中間転写体クリーニング装置42’で、画像転写後に中間転写体40’上に残留する残留トナーを除去し、画像形成装置による再度の画像形成に備える。
図9Bの場合は、作像面の最上面に白色トナーの層が出来るので、作像されていないフィルム面から、フルカラー画像を見ることができる。
一方、黒紙や色紙等の場合には、ベースに白色トナーの層を設けたいので、画像形成ユニットの位置を変更する必要がある。白色の画像形成ユニット35を、イエローの画像形成ユニット39の場所に設置し、その他の画像形成ユニットは、白色の画像形成ユニット35があった場所方向へ移動する。
【0133】
本発明のフルカラー画像形成装置は、5色の画像形成ユニットを保有した画像形成装置の構成としてもよいが、フルカラー画像の作像と白色画像の作像を、それぞれ分けた機械で行ってもよい。
現在市販されているフルカラーMFP等によりカラー画像を作像し、現在市販されているモノクロMFPにより、本発明の白色トナーを作像することを、それぞれ別個の機械で行ってもよい。この場合は、既存の機種を改造するので、開発経費の面で有利となる。
また、白色トナーの作像を別の機械で実施するため、カラー画像の上に作像する場合は、定着した画像へ白色トナーを転写するので、トナーの混じりがない。また、逆の場合の白色画像上に作像する場合は、定着した白色トナー上に、カラートナーを転写するので、この場合もトナーの混じりが生じない。
一方、図9Bの場合では、未定着トナーを重ねて転写するため、トナーが混ざらないように、転写と定着で注意を要する。特に白色トナーは、隠蔽性が高いので、トナーが混ざった場合は発色に与える影響が大きい。
また、いわゆる特色トナー、例えば、金トナー、銀トナー、蛍光トナー、インビジブルトナーを使用するために、6色目、7色目の画像形成ユニットを追加してもよい。
【0134】
さらに、本発明の画像形成方法における定着工程としては、加圧部材の圧力が3N/cm以上40N/cm以下が好まし、5N/cm以上20N/cm以下がより好ましい。加圧部材の圧力が3N/cm以上40N/cm以下であると、適切な面圧でトナーを記録媒体上に定着させることができ、白トナーの割れや剥がれを抑制させることができる。
また、本発明における加圧部材の圧力は、一般的な圧力センサを用いて測定することができる。
【0135】
また、本発明の画像形成装置において、潜像担持体と、少なくとも現像手段とを有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジを有することが好ましい。前記プロセスカートリッジを有することにより、作像システムがより安定に機能し、定着時の定着(メディア付着)状態バラツキを低下させることができより好ましい。
【0136】
-プロセスカートリッジ-
例えば図1に示すようなプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において使用することができる。
本発明においては、感光体、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成する。
図7に示したプロセスカートリッジ71は、感光体72、帯電手段73、現像手段74、クリーニング手段75を備えている。以下でプロセスカートリッジの動作を説明する。
まず、感光体72が所定の周速度で回転駆動される。感光体72は回転過程において、帯電手段73によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の像露光手段からの画像露光光を受ける。こうして感光体の周面に静電潜像が順次形成される。
形成された静電潜像は、次いで現像手段74によりトナー現像される。現像されたトナー像は、給紙部から感光体と転写手段との間に感光体の回転と同期されて給送された転写材に、転写手段により順次転写されていく。像転写を受けた転写材は感光体面から分離されて像定着手段へ導入されて像定着され、複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体72の表面は、クリーニング手段75によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更除電された後、繰り返し画像形成に使用される。
【0137】
また、本発明の画像形成装置は、前記トナーと磁性を有するキャリアを少なくとも含む二成分現像システムとすることで、作像システムがより安定に機能し、その結果、定着時のトナーの付着量の均一性が向上し、定着時の定着(メディア付着)状態バラツキを低下させることができより好ましい。
【0138】
-二成分用キャリア-
本発明のトナーを二成分現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1~10重量部が好ましい。
磁性キャリアとしては、粒子径20~200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。
また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。
またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。
導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒径1μm以下のものが好ましい。平均粒径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
また、本発明のトナーはキャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
【0139】
本発明によれば、少なくとも複数の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、転写手段を有するタンデム型画像形成装置、画像形成方法が提供される。これによって、1ドラム型画像形成装置にくらべて、非常に高速で良好なフルカラー画像を得ることができる。
また、本発明によれば、電子写真感光体上に現像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写したのち、該中間転写体上のトナー画像を記録媒体上に二次転写する中間転写手段を有する画像形成装置であって、複数色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録媒体上に一括で二次転写することで、色ズレを抑えた良好な画像が提供される。さらに中間転写体を介するレイアウトによって、画像形成装置内のレイアウトの自由度が向上し、装置の小型化、メンテナンス性の向上などが達成される。
【実施例
【0140】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例中において「質量部」を「部」と表記する場合がある。
【0141】
(製造例A1)
-非晶性(低分子量)ポリエステル樹脂L1の合成-
冷却管、攪拌機、及び窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸25.3部、アジピン酸5.6部、ビスフェノールAのエチレンオキシド2.2モル付加物32.2部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2.2モル付加物35.7部、及びジブチルスズオキシド0.2部を投入した。常圧下、230℃で4時間反応させた。その後、10mmHg~15mmHgの減圧下、5時間反応させた。これにより、非晶性ポリエステル樹脂L1を得た。
【0142】
(製造例A2)
-非晶性(低分子量)ポリエステル樹脂H1の合成-
冷却管、攪拌機、及び窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸25.3部、アジピン酸5.6部、ビスフェノールAのエチレンオキシド2.2モル付加物30.9部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2.2モル付加物34.3部、及びジブチルスズオキシド0.2部を投入した。常圧下、230℃で3時間反応させた。その後、トリメリット酸4部を投入し、更に2時間反応させた。その後、10mmHg~15mmHgの減圧下、5時間反応させた。これにより、非晶性ポリエステル樹脂H1を得た。
【0143】
(製造例A3)
-非晶性ポリエステル樹脂分散液P1の調製-
非晶性ポリエステル樹脂L1 95部、及び非晶性ポリエステル樹脂H1 5部を、アセトン90部に溶解し、アセトン溶解液を得た。得られたアセトン溶解液180部及び水720部を混ぜ、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて、8,000rpmで1分間混合した。その後、分散液を減圧し、アセトンを揮発、除去し、非晶性ポリエステル樹脂分散液P1を得た。
【0144】
(製造例A4~A10)
-非晶性ポリエステル樹脂分散液P2~P8の調製-
非晶性ポリエステル樹脂分散液P1の調製において、非晶性ポリエステル樹脂L1と非晶性ポリエステル樹脂H1の配合比を以下に変更した以外は同様に調製し、非晶性ポリエステル樹脂分散液P2~P8を得た。
【0145】
【表1】
【0146】
(製造例B1)
-変性プレポリマー1の合成-
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部、及びジブチルスズオキサイド2部を仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。次いで、10mmHg~15mmHgの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステルを合成した。得られた中間体ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が9,600、ガラス転移温度(Tg)が55℃、酸価が0.5mgKOH/g、水酸基価が49mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記中間体ポリエステル411部、イソホロンジイソシアネート89部、及び酢酸エチル500部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、プレポリマー1を合成した。得られたプレポリマー1の遊離イソシアネート含有量は、1.60%であり、プレポリマー1の固形分濃度(150℃、45分間放置後)は50%であった。
【0147】
(製造例B2)
-結晶性ポリエステル樹脂C1の合成-
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5Lの四つ口フラスコに、セバシン酸63.1部、及び1,6-ヘキサンジオール36.9部を仕込んだ。次に、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、更に8.3kPaの圧力にて2時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂C1を得た。
【0148】
(製造例B3)
-結晶性ポリエステル樹脂分散液C1の調製-
撹拌棒及び温度計を備えた容器中に、結晶性ポリエステル樹脂C1 25部、及び酢酸エチル75部を入れた後、撹拌下、80℃まで昇温し、結晶性ポリエステル樹脂C1を溶解した。その後30℃まで冷却した後、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度を1kg/h、ディスクの周速度を6m/s、直径が0.5mmのジルコニアビーズを80体積%充填して、3パスの条件で、分散させ、結晶性ポリエステル樹脂分散液C1を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂分散液C1における結晶性ポリエステル樹脂C1の粒子径は、LA-920(株式会社堀場製作所製)で測定したところ250nmであった(結晶性ポリエステル樹脂分散液C1の固形分濃度25%)。
【0149】
(製造例B4~B12)
-結晶性ポリエステル樹脂分散液C2~C10の調製-
結晶性ポリエステル樹脂分散液C1において、ディスクの周速度、パス回数を以下に変更した以外は同様に調製し結晶性ポリエステル樹脂分散液C2~C10を得た。それぞれの分散液中の結晶性ポリエステル樹脂のLA-920(株式会社堀場製作所製)で測定した粒子径は以下に示した。
【0150】
【表2】
【0151】
(製造例C1)
-ワックス分散剤1の合成-
攪拌棒及び温度計を備えた反応槽中に、キシレン480部、及びパラフィンワックスHNP-9(日本精鑞株式会社製)100部を入れて溶解するまで加熱した後、窒素置換し、170℃まで昇温した。次に、スチレン740部、アクリロニトリル100部、アクリル酸ブチル60部、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート36部、及びキシレン100部の混合液を3時間で滴下した後、170℃で30分間保持した。さらに、脱溶剤し、ワックス分散剤1を得た。
【0152】
(製造例D1)
-有機変性層状無機化合物のマスターバッチ1の調製-
水200部、有機変性層状無機化合物(CLAYTONE APA、ビックケミー・ジャパン株式会社製)500部、及び非晶性ポリエステル樹脂L1の500部を加え、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)で混合した。混合物を、2本ロールを用いて120℃で30分間混練後、圧延冷却し、パルペライザーで粉砕し、[有機変性層状無機化合物のマスターバッチ1]を得た。
【0153】
(製造例D2)
-イエロー顔料のマスターバッチ1の調製-
水200部、C.I.Pigment Yellow 185(Paliotol Yellow D1155、BASF社製)500部、及び非晶性ポリエステル樹脂L1の500部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合した。混合物を、2本ロールを用いて120℃で30分間混練後、圧延冷却し、パルペライザーで粉砕し、[イエロー顔料のマスターバッチ1]を得た。
【0154】
(製造例D3)
-マゼンタ顔料のマスターバッチ1の調製-
水200部、C.I.Pigment Red 269(レッドF-218、大日精化工業株式会社製)500部、及び非晶性ポリエステル樹脂L1の500部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合した。混合物を、2本ロールを用いて120℃で30分間混練後、圧延冷却し、パルペライザーで粉砕し、[マゼンタ顔料のマスターバッチ1]を得た。
【0155】
(製造例D4)
-シアン顔料のマスターバッチ1の調製-
水200部、C.I.Pigment Bule 15-3(シアニンブルー4920、大日精化工業株式会社製)500部、及び非晶性ポリエステル樹脂L1の500部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合した。混合物を、2本ロールを用いて120℃で30分間混練後、圧延冷却し、パルペライザーで粉砕し、[シアン顔料のマスターバッチ1]を得た。
【0156】
(製造例D5)
-ブラック顔料のマスターバッチ1の調製-
水200部、カーボンブラック(Nipex60、デクサ社製)500部、及び非晶性ポリエステル樹脂L1の500部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)で混合した。混合物を、2本ロールを用いて120℃で30分間混練後、圧延冷却し、パルペライザーで粉砕し、[ブラック顔料のマスターバッチ1]を得た。
【0157】
(製造例E1)
-有機微粒子エマルション(微粒子分散液)の合成-
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS-30:三洋化成工業株式会社製)11部、スチレン138部、メタクリル酸138部、及び過硫酸アンモニウム1部を仕込んだ。400回転/分間で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し、5時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン-メタクリル酸-メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液微粒子分散液1を得た。
【0158】
(調製例1)
-水相の調製-
水2,240部、微粒子分散液1 80部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON-7:三洋化成工業株式会社製)80部、及び酢酸エチル200部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相]とした。
【0159】
次に、上述した材料を使用して実施例に係るトナーの製造を行った。
【0160】
(製造例G1)
<白トナーS1の製造>
-油相S1の調製-
非晶性ポリエステル樹脂分散液P1 100部、結晶性ポリエステル樹脂分散液C1 20部、ワックス分散液W1 25部、有機変性層状無機化合物のマスターバッチ1 2部、酸化チタン(タイペーク CR-50-2、体積平均粒径:250nm、石原産業社製)60部、及び酢酸エチル63部を混ぜ、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて、6,000rpmで、120分間、混合して油相S1(固形分50%)を得た。
【0161】
-コアシェルトナー母体粒子の製造-
撹拌機及び温度計を備えた容器中に、水相174部を入れた後、水浴上20℃で保持した。次に、20℃に保持されている111部の油相S1に変性プレポリマー1を5部加えたものを水相に投入した。20℃に保持しながら、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて、8,000rpmで2分間混合し、乳化スラリーを得た。光学顕微鏡による観察では得られた油滴はやや楕円形であった。撹拌機及び温度計を備えた容器中に、乳化スラリーを入れた後、40℃で減圧下脱溶剤して、油滴中の固形分換算で80%のスラリーを得た。
得られたスラリーを40℃に保持しながら、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて、8,000rpmで5分間混合し、スラリーにせん断応力をかけた。光学顕微鏡による観察では、得られた油滴はほぼ球形に近い形状を有していた。さらに40℃で減圧下脱溶剤して、有機溶剤揮発分が0%のスラリーを得た。
次に得られたスラリーを室温まで冷却後、減圧濾過した。濾過ケーキにイオン交換水200部を加え、スリーワンモーター(新東科学株式会社製)を用いて、800rpmで5分間混合しリスラリー後、濾過した。さらに、濾過ケーキに1質量%水酸化ナトリウム水溶液10部とイオン交換水190部を加え、同様にリスラリーした後、濾過した。次に、濾過ケーキに1質量%塩酸10部とイオン交換水190部を加え、同様にリスラリーした後、濾過した。さらに、濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、リスラリーした後、濾過する操作を2回繰り返した。
循風乾燥機を用いて、45℃で48時間濾過ケーキを乾燥させた後、目開きが75μmのメッシュを用いて篩い、コアシェルトナー母体粒子を得た。
【0162】
-外添剤の添加-
コアシェルトナー母体粒子100部、疎水化処理シリカHDK-2000(ワッカー・ケミー社製)1部、及び表面処理酸化チタンJMT-150IB(テイカ株式会社製)1部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速を30m/sとして30秒間混合した後、1分間休止する操作を5回繰り返した。次に、目開きが35μmのメッシュを用いて篩い、白トナーS1を得た。
【0163】
(製造例G2~G12)
<白トナーS2~S12の製造>
白トナーS1において、非晶性ポリエステル樹脂分散液と、結晶性ポリエステル樹脂分散液をそれぞれ以下に変更した以外は、白トナーS1と同様に製造して白トナーS2~S12を得た。
【0164】
【表3】
【0165】
(製造例G13)
<イエロートナーY1の製造>
-油相Y1の調製-
非晶性ポリエステル樹脂分散液P5 100部、結晶性ポリエステル樹脂分散液C3 20部、ワックス分散液W1 25部、有機変性層状無機化合物のマスターバッチ1 2部、イエロー顔料のマスターバッチ1 12部、及び酢酸エチル69部を混ぜ、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて、6,000rpmで、120分間、混合して油相Y1(固形分50%)を得た。
【0166】
-コアシェルトナー母体粒子の製造-
撹拌機及び温度計を備えた容器中に、水相160.5部を入れた後、水浴上20℃で保持した。次に、20℃に保持されている102部の油相Y1に変性プレポリマー1を5部加えたものを水相に投入した。20℃に保持しながら、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて、8,000rpmで2分間混合し、乳化スラリーを得た。40℃で減圧下脱溶剤して、有機溶剤揮発分が0%のスラリーを得た。
次に得られたスラリーを室温まで冷却後、減圧濾過した。濾過ケーキにイオン交換水200部を加え、スリーワンモーター(新東科学株式会社製)を用いて、800rpmで5分間混合しリスラリー後、濾過した。さらに、濾過ケーキに1質量%水酸化ナトリウム水溶液10部とイオン交換水190部を加え、同様にリスラリーした後、濾過した。次に、濾過ケーキに1質量%塩酸10部とイオン交換水190部を加え、同様にリスラリーした後、濾過した。さらに、濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、リスラリーした後、濾過する操作を2回繰り返した。
循風乾燥機を用いて、45℃で48時間濾過ケーキを乾燥させた後、目開きが75μmのメッシュを用いて篩い、コアシェルトナー母体粒子を得た。
【0167】
-外添剤の添加-
コアシェルトナー母体粒子100部、疎水化処理シリカHDK-2000(ワッカー・ケミー社製)1部、及び表面処理酸化チタンJMT-150IB(テイカ株式会社製)1部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速を30m/sとして30秒間混合した後、1分間休止する操作を5回繰り返した。次に、目開きが35μmのメッシュを用いて篩い、イエロートナーY1を得た。
【0168】
(製造例G14)
<マゼンタトナーM1の製造>
-油相M1の調製-
非晶性ポリエステル樹脂分散液P5 100部、結晶性ポリエステル樹脂分散液C3 20部、ワックス分散液W1 25部、有機変性層状無機化合物のマスターバッチ1 2部、マゼンタ顔料のマスターバッチ1 12部、及び酢酸エチル69部を混ぜ、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて、6,000rpmで、120分間、混合し油相M1(固形分50%)を得た。
【0169】
-コアシェルトナー母体粒子の製造-
撹拌機及び温度計を備えた容器中に、水相160.5部を入れた後、水浴上20℃で保持した。次に、20℃に保持されている102部の油相M1にプレポリマー1を5部加えたものを水相に投入した。20℃に保持しながら、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて、8,000rpmで2分間混合し、乳化スラリーを得た。40℃で減圧下脱溶剤して、有機溶剤揮発分が0%のスラリーを得た。
次に得られたスラリーを室温まで冷却後、減圧濾過した。濾過ケーキにイオン交換水200部を加え、スリーワンモーター(新東科学株式会社製)を用いて、800rpmで5分間混合しリスラリー後、濾過した。さらに、濾過ケーキに1質量%水酸化ナトリウム水溶液10部とイオン交換水190部を加え、同様にリスラリーした後、濾過した。次に、濾過ケーキに1質量%塩酸10部とイオン交換水190部を加え、同様にリスラリーした後、濾過した。さらに、濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、リスラリーした後、濾過する操作を2回繰り返した。
循風乾燥機を用いて、45℃で48時間濾過ケーキを乾燥させた後、目開きが75μmのメッシュを用いて篩い、コアシェルトナー母体粒子を得た。
【0170】
-外添剤の添加-
コアシェルトナー母体粒子100部、疎水化処理シリカHDK-2000(ワッカー・ケミー社製)1部、及び表面処理酸化チタンJMT-150IB(テイカ株式会社製)1部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速を30m/sとして30秒間混合した後、1分間休止する操作を5回繰り返した。次に、目開きが35μmのメッシュを用いて篩い、マゼンタトナーM1を得た。
【0171】
(製造例G15)
<シアントナーC1の製造>
-油相C1の調製-
非晶性ポリエステル樹脂分散液P5 100部、結晶性ポリエステル樹脂分散液C3 20部、ワックス分散液W1 25部、有機変性層状無機化合物のマスターバッチ1 2部、シアン顔料のマスターバッチ1 10部、及び酢酸エチル68部を混ぜ、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて、6,000rpmで、120分間、混合して油相C1(固形分50%)を得た。
【0172】
-コアシェルトナー母体粒子の製造-
撹拌機及び温度計を備えた容器中に、水相159部を入れた後、水浴上20℃で保持した。次に、20℃に保持されている101部の油相C1に変性プレポリマー1を5部加えたものを水相に投入した。20℃に保持しながら、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて、8,000rpmで2分間混合し、乳化スラリーを得た。40℃で減圧下脱溶剤して、有機溶剤揮発分が0%のスラリーを得た。
次に得られたスラリーを室温まで冷却後、減圧濾過した。濾過ケーキにイオン交換水200部を加え、スリーワンモーター(新東科学株式会社製)を用いて、800rpmで5分間混合しリスラリー後、濾過した。さらに、濾過ケーキに1質量%水酸化ナトリウム水溶液10部とイオン交換水190部を加え、同様にリスラリーした後、濾過した。次に、濾過ケーキに1質量%塩酸10部とイオン交換水190部を加え、同様にリスラリーした後、濾過した。さらに、濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、リスラリーした後、濾過する操作を2回繰り返した。
循風乾燥機を用いて、45℃で48時間濾過ケーキを乾燥させた後、目開きが75μmのメッシュを用いて篩い、コアシェルトナー母体粒子を得た。
【0173】
-外添剤の添加-
コアシェルトナー母体粒子100部、疎水化処理シリカHDK-2000(ワッカー・ケミー社製)1部、及び表面処理酸化チタンJMT-150IB(テイカ株式会社製)1部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速を30m/sとして30秒間混合した後、1分間休止する操作を5回繰り返した。次に、目開きが35μmのメッシュを用いて篩い、シアントナーC1を得た。
【0174】
(製造例G16)
<ブラックトナーK1の製造>
-油相K1の調製-
非晶性ポリエステル樹脂分散液P5 100部、結晶性ポリエステル樹脂分散液C3 20部、ワックス分散液W1 25部、有機変性層状無機化合物のマスターバッチ1 2部、ブラック顔料のマスターバッチ1 10部、及び酢酸エチル69部を混ぜ、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて、6,000rpmで、120分間、混合して油相K1(固形分50%)を得た。
【0175】
-コアシェルトナー母体粒子の製造-
撹拌機及び温度計を備えた容器中に、水相159部を入れた後、水浴上20℃で保持した。次に、20℃に保持されている102部の油相K1に変性プレポリマー1を5部加えたものを水相に投入した。20℃に保持しながら、TK式ホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて、8,000rpmで2分間混合し、乳化スラリーを得た。40℃で減圧下脱溶剤して、有機溶剤揮発分が0%のスラリーを得た。
次に得られたスラリーを室温まで冷却後、減圧濾過した。濾過ケーキにイオン交換水200部を加え、スリーワンモーター(新東科学株式会社製)を用いて、800rpmで5分間混合しリスラリー後、濾過した。さらに、濾過ケーキに1質量%水酸化ナトリウム水溶液10部とイオン交換水190部を加え、同様にリスラリーした後、濾過した。次に、濾過ケーキに1質量%塩酸10部とイオン交換水190部を加え、同様にリスラリーした後、濾過した。さらに、濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、リスラリーした後、濾過する操作を2回繰り返した。
循風乾燥機を用いて、45℃で48時間濾過ケーキを乾燥させた後、目開きが75μmのメッシュを用いて篩い、コアシェルトナー母体粒子を得た。
【0176】
-外添剤の添加-
コアシェルトナー母体粒子100部、疎水化処理シリカHDK-2000(ワッカー・ケミー社製)1部、及び表面処理酸化チタンJMT-150IB(テイカ株式会社製)1部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速を30m/sとして30秒間混合した後、1分間休止する操作を5回繰り返した。次に、目開きが35μmのメッシュを用いて篩い、ブラックトナーK1を得た。
【0177】
(製造例G17~G92)
<イエロートナーY2~Y20、マゼンタトナーM2~M20、シアントナーC2~C20、ブラックトナーK2~K20の製造>
イエロートナーY1、マゼンタトナーM1、シアントナーC1、ブラックトナーK1において、非晶性ポリエステル樹脂分散液と、結晶性ポリエステル樹脂分散液をそれぞれ以下に変更した以外は同様に製造してイエロートナーY2~Y20、マゼンタトナーM2~M20、シアントナーC2~C20、ブラックトナーK2~K20を得た。
【0178】
【表4】
【0179】
次に、得られた白色トナー及び有色(カラー)トナーについて、下記方法により「1/2流出温度」を測定した。
【0180】
<1/2流出温度の測定>
流出温度は、フローテスター(装置名:CFT-500D、株式会社島津製作所製)を用いて、下記条件及び手順で測定した。
まず、錠剤化したトナー(トナー1gを円柱状に加圧成型したもの)を図1Aに示すシリンダー内に配し、シリンダーを40℃で保温し(錠剤化したトナーの予熱、予熱(保温)時間:200秒間)し、3℃/minの速度で加熱しながら錠剤化したトナーをプランジャーにより加圧(2kg荷重を付加)し、溶融したトナーをシリンダー下部に設けた筒状のダイ穴(穴内径:0.5mm、ダイ長さ:1.0mm)から流出させた。
軟化温度Tw、流出開始温度Tf、流出終了温度Tendについて、下記基準に基づき測定を行った。
[測定基準]
軟化指数Twは、トナーが流出開始しない程度に軟化し始める温度を測定した。軟化し始める温度は、流出温度の測定において、プランジャー降下量が測定開始後から初めて変化し、かつその変化量が「0」となった時点におけるシリンダー設定温度によって判断した。
流出開始温度Tfは、ダイ穴からトナーが流出し始める(ダイの出口からトナーが出てきた)時点のシリンダーの設定温度を測定した。
流出終了温度Tendは、ダイ穴からトナーが流出しなくなる(ダイの出口からトナーが出てこなくなる)時点のシリンダーの設定温度を測定した。測定データはCFT-500D本体に付属のソフトウエアにより自動算出された。
なお、下表5に示すように、各有色トナー(Y、M、C、K)における「1/2流出温度T1/2」及び「流出開始温度Tf」は使用した組合せにおいて同じ温度であった。
【0181】
【表5】
【0182】
次に、得られた白色トナー及びカラー(有色)トナー(Y1、M1、C1、K1)を用いて、下記方法により形成した画像について、「画像強度」、「低温定着性」及び「現像安定性」を評価した。なお、画像形成に際して使用したキャリアの組成を以下に示す。
【0183】
(2成分現像剤の調製)
2成分現像剤で画像評価する場合は、以下のように、シリコーン樹脂により0.4μmの平均厚さでコーティングされた平均粒径30μmのフェライトキャリアを用い、キャリア100重量部に対し各色トナー7重量部を容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用いて均一混合し帯電させて、現像剤を作成した。
-キャリアの製造-
・芯材:Mnフェライト粒子(重量平均径:30μm) 5,000部
・コート材:
トルエン 450部
シリコーン樹脂SR2400(東レ・ダウコーニング・シリコーン製、不揮発分50%) 450部
アミノシランSH6020(東レ・ダウコーニング・シリコーン製) 10部
カーボンブラック 10部
上記コート材を10分間スターラーで分散してコート液を調整し、このコート液と芯材を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、当該コート液を芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で250℃、2時間焼成し上記キャリアを得た。
【0184】
-画像形成装置-
電子写真用白色トナーを評価するに当り、評価機として、RICOH Pro C7210の現像部、定着部を改造して用いた。白色トナーの作像は付着量が約1.0mg/cmとなるように調整した。定着ユニットは、定着面圧7N/cmと、定着ニップ幅10mmとした。定着媒体(OHPフィルム、3M社製、CG3700)表面はテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)を塗布、成形、表面調整して使用した。像担持体、現像装置及び転写装置部の実温度領域は30℃~45℃になるように制御した。加熱定着温度は150℃に設定した(定着装置:図4)。
デジタルフルカラー複写機とデジタルモノクロ複写機を連結した試作機を作製し、これを使用した。
デジタルフルカラー複写機はリコー製imagio MP C4500を適用し、デジタルノモクロ複写機はリコー製imagio Neo 453を改造して適用し、デジタルフルカラー複写機は、標準のフルカラートナーをそのまま使用し、定着から出てくる用紙やOHPが、デジタルモノクロ複写機に給紙されるようにした。
なお、リコー製imagio MP C4500のフルカラートナーは、重合法により製造された有色カラートナーである。
デジタルモノクロ複写機には、実施例と比較例の白色トナーを入れて、それぞれ評価を行った。
白色トナーの作像は、付着量が約1.0mg/cmとなるように調整し、ベタ画像を出すように、デジタルノモクロ複写機を設定した。
なお、実施例1および比較例1のトナーは離型剤を含有していないため、オイル塗布定着機構がついた改造定着機を用いた。
<作像サンプル>
OHPフィルムの上に、フルカラー画像を作像し、更にその上に、白色トナーを用いて一面画像を形成した。
これにより、白トナーによる画像形成面(フルカラー画像を形成した面)とは、反対側の面、すなわちフィルム面側からフルカラー画像を見るサンプルが得られた。
OHPフィルムは、3M社製CG3700を使用した。
フルカラー画像は、高精細カラーディジタル標準画像データ(ISO/JIS-SCIDサンプル N5 自転車)を印字した。
【0185】
<評価>
上記のようにして作製した画像の強度を、折り曲げ試験、及び擦り試験により評価した。
-折り曲げ試験-
折り曲げ試験としては、白色及び有色トナー定着面が外側になるようにOHPフィルムを折り曲げていき、目視により白色トナーがOHPフィルムから剥がれる時のOHPフィルムの曲率Rmmを測定し、評価した。曲率が4mm以上の場合、実使用で異常画像(画像がはがれてOHPフィルムの下地が見えて画像が抜けている状態)として認識されるレベルである。なお、折曲げ試験では下地層としての白色トナーが割れる度合いを評価している。
-擦り試験-
擦り試験としては、クロックメーター(Atras Electric Devices社製Model 1)を使用してJIS スミア布(JIS L 0849)で、トナー定着面を擦り、スミア布に付着したトナーの画像濃度をX-Rite938(X-Rite社製)で測定し、以下の評価基準で評価した。なお、擦り試験では有色トナーによる画像と白色トナー層との定着具合を評価している。
[評価基準]
◎:画像濃度が0.1未満
○:画像濃度が0.1以上0.3未満
△:画像濃度が0.3以上0.4未満
×:画像濃度が0.4以上
【0186】
<低温定着性>
得られた二成分現像剤と評価機を用いて、画像面積率3%チャートを30,000枚出力した後、定着温度を5℃ずつ変化させ、画像を出力して、低温定着性を測定した。転写紙はリコーフルカラーPPC用紙タイプ6200を用いた。
定着単体機の定着温度を変え、X-Rite 938による画像濃度が1.2となるようなプリント画像(全ベタ画像)を得た。各温度のコピー画像を消しゴム(ロイファー 消しゴム PLAST-0140(日本で一般的なTombow製 MONO消しゴムよりもトナーをメディア(紙)から引き離す剥離力が強い))が装着したクロックメーターにより50回擦り、その前後の画像濃度を測定し、下記式にて定着率を求めた。
定着率(%)=〔(消しゴム10回後の画像濃度)/(前の画像濃度)〕×100
定着率70%以上を達成する温度を、定着下限温度とした。低温定着性の判定基準は次の通りである。
低温定着性を有するトナーとしては、評価が「〇」以上であれば使用上問題ないレベルである。
[評価基準]
◎:定着下限温度が140℃未満
〇:定着下限温度が140℃以上150℃未満
△:定着下限温度が150℃以上160℃未満
×:定着下限温度が160℃以上
【0187】
<現像安定性>
得られた二成分現像剤と評価機を用いて、(1)画像面積率2%チャート10,000枚連続出力耐久試験を実施し、そのときの帯電量の変化を評価した。帯電量の変化は、現像剤1gを計量し、ブローオフ法により求めた。なお、ブローオフ法は「トナーの帯電量測定と帯電制御(小口寿彦著、色材協会誌、77巻(2004年)11号、p.499-506)」の「3.1 トナーの摩擦帯電量測定の1)ブローオフ法」に記載の方法に準じて行った。
同様に、(2)画像面積率60%チャート10,000枚連続出力耐久試験を実施し、そのときの帯電量の変化を評価した。帯電量変化は、現像剤1gを計量し、ブローオフ法により求めた。
上記(1)及び(2)の帯電量の差が大きい方の値を採用し、帯電量の変化を下記評価基準に基づき評価した。
[評価基準]
○:帯電量の変化が5μc/g以下
△:帯電量の変化が5μc/g超10μc/g以下
×:帯電量の変化が10μc/g超
【0188】
【表6】
【0189】
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 少なくとも白色トナーと、有色トナーとを用いて現像工程及び転写工程を終了後、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材と、を備えた定着装置によりトナー像を記録媒体上に定着する定着工程を含む画像形成方法において、
前記白色トナーが結着樹脂及び白色顔料を含有し、
前記白色トナーの1/2流出温度が115℃以上160℃以下であり、
前記白色トナーの1/2流出温度と前記有色トナーの全ての有色トナーの1/2流出温度との差が5℃以上30℃以下であることを特徴とする画像形成方法である。
<2> 前記定着工程が、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材に直接的に又は間接的に接して前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材と、を備えた定着装置によりトナー像を記録媒体上に定着する工程である、前記<1>に記載の画像形成方法である。
<3> 前記白色トナーの流出開始温度Tfが90℃以上150℃以下であり、
前記白色トナーの流出開始温度Tfと、前記有色トナーの流出開始温度Tfとの差が5℃以上40℃以下である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<4> 前記白色トナーが酸化チタンを含有し、
前記酸化チタンの含有量が前記白色トナー全量に対して30質量%以上50質量%以下である、前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<5> 前記酸化チタンの体積平均粒径が200nm以上300nm以下である、前記<4>に記載の画像形成方法である。
<6> 前記結着樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含有する、前記<1>から<5>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<7> 前記現像工程が4つ以上の現像色の異なる前記有色トナーを有する現像ユニットを直列に配置したタンデム型の現像方式である、前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<8> 前記有色トナーが、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーの少なくともいずれかである、前記<1>から<7>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<9> 少なくとも白色トナーと、有色トナーとを用いて現像工程及び転写工程を終了後、筒状のベルト部材と、前記ベルト部材を加熱する加熱体と、前記ベルト部材に接する加圧部材と、を備えた定着装置によりトナー像を記録媒体上に定着する定着手段を有する画像形成装置において、
前記白色トナーが結着樹脂及び白色顔料を含有し、
前記白色トナーの1/2流出温度が115℃以上160℃以下であり、
前記白色トナーの1/2流出温度と前記有色トナーの全ての有色トナーの1/2流出温度との差が5℃以上30℃以下であることを特徴とする画像形成装置である。
<10> 潜像担持体と、少なくとも現像手段とを有し、
画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジを有する、前記<9>に記載の画像形成装置である。
【0190】
前記<1>から<8>のいずれかに記載の画像形成方法、及び前記<9>から<10>のいずれかに記載の画像形成装置によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0191】
【文献】特開2015-026090号公報
【文献】特開平1-105962号公報
【符号の説明】
【0192】
35~39、61、74 現像装置
10 転写手段
50 加熱体
7 定着装置
1’ 給紙トレイ
2’ 給紙ローラ
3’、4’ レジストローラ
5’、11’17’23’29’ 像担持体
6’、12’、18’、24’、30’ 帯電装置
7’、13’、19’、25’、31’ 書込光
8’ 現像装置(ホワイト)
9’、15’、21’、27’、33’ クリーニング装置
10’、16’、22’、28’、34’ 一次転写装置
14’ 現像装置(ブラック)
20’ 現像装置(シアン)
26’ 現像装置(マゼンタ)
32’ 現像装置(イエロー)
35’、36’、37’、38’、39’ 画像形成ユニット
40’ 中間転写体
41’ 二次転写装置
42’ 中間転写体クリーニング装置
43’ 定着装置

図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B