(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】発電システム
(51)【国際特許分類】
H02K 55/00 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
H02K55/00
(21)【出願番号】P 2024517502
(86)(22)【出願日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 JP2023033204
【審査請求日】2024-03-19
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2022年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム/液体水素冷却高温超電導発電機の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】324003956
【氏名又は名称】三菱ジェネレーター株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503092180
【氏名又は名称】学校法人関西学院
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北川 祐太朗
(72)【発明者】
【氏名】殿岡 俊
(72)【発明者】
【氏名】三浦 英明
(72)【発明者】
【氏名】小畑 慶人
(72)【発明者】
【氏名】大屋 正義
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-152953(JP,A)
【文献】特開平01-161809(JP,A)
【文献】特開昭59-117457(JP,A)
【文献】米国特許第4739200(US,A)
【文献】白井康之,塩津正博,液体水素冷却超電導応用エネルギー機器の開発,低温工学,55巻,1号,日本,公益社団法人低温工学・超電導学会,2020年,p.44-45,Fig.1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電システムであって、
タービンと、
前記タービンによって駆動されて発電する発電機と、
タンクから冷却用の冷媒を前記発電機に供給する供給用配管と、
前記発電機に供給された冷媒の少なくとも一部を回収して前記発電機に再び供給する循環用配管と、
前記発電機に供給された冷媒の少なくとも一部を前記タービンの駆動用の燃料として前記タービンに供給する駆動用配管と、
前記循環用配管
と前記駆動用配管との連結部に設けられ、前記発電機に再び供給される冷媒の量を調整する第1バルブと、
前記発電機の状態に関する第1状態値を検出する第1センサと、
前記タービンの状態に関する第2状態値を検出する第2センサと、
前記第1センサによって検出された前記第1状態値
および前記第2センサによって検出された前記第2状態値に基づき、前記第1バルブの開閉を制御する制御装置とを備える、発電システム。
【請求項2】
前記循環用配管は、前記供給用配管に連結され、
前記循環用配管によって回収された冷媒は、前記供給用配管を介して前記発電機に再び供給される、請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記循環用配管によって回収された冷媒の温度を下げる冷却部をさらに備える、請求項
1に記載の発電システム。
【請求項4】
前記供給用配管に設けられ、前記発電機に供給される冷媒の量を調整する第2バルブをさらに備え、
前記制御装置は、前記第1センサによって検出された前記第1状態値に基づき、前記第2バルブの開閉をさらに制御する、請求項
1に記載の発電システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1センサによって検出された前記第1状態値と閾値との差分に応じて、前記第1バルブの開閉および前記第2バルブの開閉のうちの少なくとも1つを制御する、請求項4に記載の発電システム。
【請求項6】
前記第1センサは、前記第1状態値として、前記発電機の内部の温度、前記発電機の内部の圧力、および前記発電機の内部に滞留する冷媒の量のうち、少なくとも1つを検出する、請求項
1に記載の発電システム。
【請求項7】
前記駆動用配管によって回収された冷媒を気化させる気化部をさらに備える、請求項
1に記載の発電システム。
【請求項8】
前記第2センサは、前記第2状態値として、前記タービンの回転状態および前記タービンの駆動による前記発電機の発電量のうち、少なくとも1つを検出する、請求項
1に記載の発電システム。
【請求項9】
前記発電機は、固定子と、超電導線材を巻回した超電導コイルを含む回転子とを備える超電導発電機である、請求項1~請求項
8のいずれか1項に記載の発電システム。
【請求項10】
前記タンクに貯蔵された冷媒は、液化水素である、請求項
1に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タービンによって駆動されて発電する発電機を備える発電システムにおいては、タンクから供給される冷媒によって発電機を冷却することが行われている。たとえば、非特許文献1には、固定子と、超電導線材を巻回した超電導コイルを含む回転子とによって構成される発電機にタンクから液化水素を供給して発電機を冷却することが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】白井康之、塩津正博、「液体水素冷却超電導応用エネルギー機器の開発」、低温工学、2020年、Vol.55、No.1、p.44-52.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に開示された発電システムは、タンクから供給される冷媒によって発電機の内部を冷却するとともに、発電機の内部の冷却に用いられた冷媒の一部を回収して発電機に再び供給するように構成されており、これにより、タンクから供給される冷媒によって発電機を冷却することが可能である。しかしながら、非特許文献1に開示された発電システムは、単に発電機の内部の冷却に用いられた冷媒を再利用して発電機に再び供給することが可能であるだけに過ぎず、循環する冷媒量を調整して発電機を効率よく冷却するようには構成されていない。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するためのものであり、循環する冷媒量を調整して発電機を効率よく冷却する発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る発電システムは、タービンと、タービンによって駆動されて発電する発電機と、タンクから冷却用の冷媒を発電機に供給する供給用配管と、発電機に供給された冷媒の少なくとも一部を回収して発電機に再び供給する循環用配管と、循環用配管に設けられ、発電機に再び供給される冷媒の量を調整する第1バルブと、発電機の状態に関する第1状態値を検出する第1センサと、第1センサによって検出された第1状態値に基づき、第1バルブの開閉を制御する制御装置とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、発電システムは、タンクから供給される冷媒によって発電機を冷却するとともに、発電機に供給された冷媒の少なくとも一部を回収して発電機に再び供給することで冷却用の冷媒を再利用することができ、さらに、循環する冷媒量を発電機の状態に基づき制御することで、発電機を効率よく冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る発電システムの概略図である。
【
図2】実施の形態1に係る制御装置が実行するバルブ制御処理のフローチャートである。
【
図3】実施の形態2に係る発電システムの概略図である。
【
図4】実施の形態3に係る発電システムの概略図である。
【
図5】実施の形態3に係る制御装置が実行するバルブ制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、複数の実施の形態について説明するが、各実施の形態で説明された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0010】
実施の形態1.
図1および
図2を参照しながら、実施の形態1に係る発電システム1について説明する。
【0011】
[発電システムの構成]
図1は、実施の形態1に係る発電システム1の概略図である。
図1に示すように、発電システム1は、タービン30と、発電機10と、配管81~83と、ポンプ51とを備える。
【0012】
タービン30は、たとえば、液化水素が気化した水素ガスによって駆動されるガスタービンである。具体的には、タービン30は、外部から供給される水素ガスが燃焼することで回転する。タービン30の回転力は、図示しない回転軸を介して発電機10に伝送される。
【0013】
発電機10は、タービン30の回転力によって駆動されて発電する。発電機10は、固定子12と、回転子13と、回転子13を内包する容器14とを備える。
【0014】
固定子12は、鉄心またはコイルなどで形成され、回転子13を配置するための図示しない中央穴部を有する。回転子13は、図示しない回転軸を介して発電機10に接続され、固定子に形成された中央穴部において、タービン30の回転力によって回転可能である。回転子13は、コイル13aと、コイル13aを支持する中空の支持材13bとを含む。コイル13aは、たとえば、液体水素温度(約20K)で超電導化する超電導線材を巻回した超電導コイルである。コイル13aが超電導コイルである場合の発電機10は、超電導発電機であり、銅損および鉄損を低減することができる。コイル13aに用いられる超電導線材は、液体水素温度で超電導化する材料であればよく、超電導線材としては、たとえば、二ホウ化マグネシウム(MgB2)などが挙げられる。なお、コイル13aは、超電導コイルに限らず、超電導コイル以外の通常のコイルであってもよい。コイル13aが通常のコイルであっても、コイル13aを冷却することで、多少でも銅損および鉄損を低減することができる。なお、コイル13aが銅線で構成される場合、コイル13aを支持する支持材13bとして、鉄心(いわゆる積層鋼板)が採用されてもよい。
【0015】
発電機10においては、回転子13のコイル13aを低温で維持することが好ましい。特に、コイル13aが超電導コイルである場合、コイル13aを超伝導状態で維持するために、コイル13aの温度を液体水素温度以下まで冷却する必要がある。そこで、発電システム1は、タンク20に貯蔵された冷却用の冷媒を発電機10に供給することで、発電機10の内部(特に回転子13のコイル13a)を冷却するように構成されている。なお、タンク20に貯蔵された冷却用の冷媒は、発電機10の内部の温度を冷却することが可能な液体であればよく、冷媒としては、たとえば、液体水素または液体ヘリウムなどが挙げられる。
【0016】
配管81~83は、「供給用配管」の一例であり、タンク20と発電機10の供給口15とを接続する。配管81~83は、タンク20に貯蔵された冷却用の冷媒を発電機10の供給口15に供給する。たとえば、配管81は、タンク20とバルブ42とを接続する。配管82は、バルブ42とポンプ51とを接続する。配管83は、ポンプ51と発電機10の供給口15とを接続する。
【0017】
ポンプ51は、配管81~83のいずれかの位置に設けられている。たとえば、ポンプ51は、配管82と配管83との間に設けられている。ポンプ51は、制御装置100の制御に基づき、タンク20に貯蔵された冷媒を吸い上げ、配管81~83を介して発電機10の供給口15に供給する。タンク20から発電機10の供給口15に供給された冷媒は、容器14内に流れ込み、回転子13を冷却する。容器14は、冷媒によって冷却される回転子13を真空層で取り囲み、外気との熱接触を遮断することで回転子13を低温で維持する。これにより、コイル13aが超電導コイルであっても、発電システム1は、コイル13aを超伝導状態で維持することができ、発電機10の発電を安定化させることができる。
【0018】
なお、発電機10は、回転子13を冷却した冷媒を固定子12側に流すことで、固定子12をさらに冷却するように構成されてもよい。これにより、発電システム1は、発電機10の内部全体の発熱を抑え、発電機10の発電をより安定化させることができる。
【0019】
上述のように構成された発電システム1によれば、タンク20から供給される冷媒によって発電機10を冷却することが可能である。ここで、発電機10を冷却した冷媒を外部で回収する場合、冷媒を回収するための回収装置、および回収した冷媒を貯蔵するためのタンクを別途設ける必要があり、発電システム全体が複雑かつ大規模になる。そこで、発電システム1は、発電機10に供給されて発電機10の内部を冷却した冷媒の少なくとも一部を回収して発電機10に再び供給することで、発電機10の内部を再び冷却するように構成されている。さらに、発電システム1は、上述したように循環する冷媒の循環量を調整して発電機10を効率よく冷却するように構成されている。
【0020】
具体的には、発電システム1は、配管84~87と、ポンプ52と、冷却部60と、バルブ41と、バルブ42と、センサ71と、制御装置100とをさらに備える。
【0021】
配管84~87は、「循環用配管」の一例であり、発電機10の排出口16と発電機10の供給口15とを接続する。配管84~87は、発電機10を冷却した冷媒の少なくとも一部を排出口16から回収して発電機10の供給口15に再び供給する。たとえば、配管84は、発電機10の排出口16とバルブ41とを接続する。配管85は、バルブ41と冷却部60とを接続する。配管86は、冷却部60とポンプ52とを接続する。配管87は、ポンプ52と発電機10の供給口15とを接続する。
【0022】
ポンプ52は、配管84~87のいずれかの位置に設けられている。たとえば、ポンプ52は、配管86と配管87との間に設けられている。ポンプ52は、制御装置100の制御に基づき、発電機10の排出口16から排出された冷媒を吸い上げ、配管84~87を介して発電機10の供給口15に供給する。
【0023】
冷却部60は、配管84~87のいずれかの位置に設けられている。たとえば、冷却部60は、配管85と配管86との間に設けられている。冷却部60は、ポンプ52および配管84~87によって回収された冷媒の温度を下げる熱交換器である。たとえば、タンク20に貯蔵された冷却用の冷媒が液体水素である場合、発電機10を冷却したときの熱交換によって、冷媒(液化水素)が気化して水素ガスに状態変化する。気化した冷媒(水素ガス)は、発電機10の排出口16から排出されて冷却部60に流れ込み、冷却部60における熱交換器によって冷やされて、発電機10の供給口15に再び供給される。このようにして発電機10の供給口15に再び供給された冷媒は、容器14内に流れ込み、回転子13を再び冷却する。なお、冷却部60は、発電機10の排出口16から排出された冷媒の温度を下げる機能を有していればよく、公知のいずれの構成を備えていてもよい。冷却部60によって熱交換された後の冷媒は、気体(水素ガス)または液体(液化水素)のいずれであってもよいし、気液二相状態であってもよいが、発電機10の内部を効率よく冷却するためには液体(液化水素)が好ましい。
【0024】
なお、発電システム1は、必ずしも冷却部60を備えなくてもよく、発電機10の排出口16から排出された冷媒は、配管84~87を通る間に外気と熱交換することで冷やされて、発電機10の供給口15に再び供給されてもよい。
【0025】
バルブ41は、「第1バルブ」の一例であり、配管84~87のいずれかの位置に設けられている。たとえば、バルブ41は、配管84と配管85との間に設けられている。バルブ41は、制御装置100の制御(制御信号C1)に基づき、開閉可能である。バルブ41が開いた状態では、発電機10の排出口16から排出された冷媒が配管84~87を通って供給口15へと流れ込み、バルブ41が閉じた状態では、発電機10の排出口16から排出された冷媒が供給口15へと流れ込むことなく発電機10の内部で滞留する。これにより、発電システム1は、発電機10の排出口16と供給口15との間を配管84~87を通って循環する冷媒量を調整することができる。なお、バルブ41は、制御装置100の制御に基づき、開度を段階的に調整可能であってもよい。これにより、発電システム1は、発電機10の排出口16と供給口15との間を配管84~87を通って循環する冷媒量を段階的により細かく調整することができる。
【0026】
バルブ42は、「第2バルブ」の一例であり、配管81~83のいずれかの位置に設けられている。たとえば、バルブ42は、配管81と配管82との間に設けられている。バルブ42は、制御装置100の制御(制御信号C2)に基づき、開閉可能である。バルブ42が開いた状態では、タンク20に貯蔵された冷媒が配管81~83を通って発電機10の供給口15へと流れ込み、バルブ42が閉じた状態では、タンク20に貯蔵された冷媒が発電機10の供給口15へと流れ込まない。これにより、発電システム1は、タンク20から発電機10に供給される冷媒量を調整することができる。なお、バルブ42は、制御装置100の制御に基づき、開度を段階的に調整可能であってもよい。これにより、発電システム1は、タンク20から発電機10に供給される冷媒量を段階的により細かく調整することができる。
【0027】
センサ71は、「第1センサ」の一例であり、発電機10の状態に関する状態値V1を検出する。状態値V1は、「第1状態値」の一例である。センサ71は、発電機10の内部の温度を検出する温度センサであり、状態値V1として、検出した発電機10の内部の温度を示す信号を制御装置100に出力する。なお、センサ71は、発電機10の内部の温度として、回転子13および固定子12を含む発電機10の内部の全体の温度を検出してもよいし、回転子13を含む容器14内の温度を検出してもよい。
【0028】
また、センサ71は、発電機10の内部の圧力を検出する圧力センサであってもよく、状態値V1として、検出した発電機10の内部の圧力を示す信号を制御装置100に出力してもよい。さらに、センサ71は、発電機10の内部に滞留する冷媒量を検出するセンサであってもよい。たとえば、センサ71は、容器14内の冷媒量(冷媒の液面の高さ)を検出する液面センサであってもよく、状態値V1として、検出した容器14内の冷媒量を示す信号を制御装置100に出力してもよい。なお、センサ71は、液面センサに限らず、発電機10の内部に滞留する冷媒量を検出する他のセンサであってもよい。
【0029】
このように、センサ71は、温度センサ、圧力センサ、および液面センサのうちのいずれか、または、これらのセンサの複数を含んでいてもよい。すなわち、センサ71は、状態値V1として、発電機10の内部の温度、発電機10の内部の圧力、および発電機10の内部に滞留する冷媒量のうち、少なくとも1つを検出する。
【0030】
制御装置100は、汎用コンピュータであってもよいし、発電システム1全体を制御するための専用コンピュータであってもよい。また、制御装置100は、発電機10に併設されてもよいし、発電システム1を管理する別の場所に設置されていてもよい。制御装置100は、演算装置101と、メモリ102と、記憶装置103と、通信装置104とを備える。
【0031】
演算装置101は、各種のプログラムを実行することで、各種の処理を実行する演算主体(コンピュータ)である。演算装置101は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、またはGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサで構成されている。なお、演算装置101の一例であるプロセッサは、プログラムを実行することによって各種の処理を実行する機能を有するが、これらの機能の一部または全部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)などの専用のハードウェア回路を用いて実装してもよい。「プロセッサ」は、CPU、MPU、またはGPUのようにストアードプログラム方式で処理を実行する狭義のプロセッサに限らず、ASICまたはFPGAなどのハードワイヤード回路を含み得る。このため、演算装置101の一例である「プロセッサ」は、コンピュータ読み取り可能なコードおよび/またはハードワイヤード回路によって予め処理が定義されている、処理回路(processing circuitry)と読み替えることもできる。なお、演算装置101は、1チップで構成されてもよいし、複数のチップで構成されてもよい。さらに、プロセッサおよび関連する処理回路は、ローカルエリアネットワークまたは無線ネットワークなどを介して、有線または無線で相互接続された複数のコンピュータで構成されてもよい。プロセッサおよび関連する処理回路は、入力データに基づきリモートで演算し、その演算結果を離れた位置にある他のデバイスへと出力するような、クラウドコンピュータで構成されてもよい。
【0032】
メモリ102は、演算装置101が各種のプログラムを実行するにあたって、プログラムコードやワークメモリなどを一時的に格納する揮発性の記憶領域(たとえば、ワーキングエリア)を含む。記憶部の一例としては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)およびSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性メモリ、または、ROM(Read Only Memory)およびフラッシュメモリなどの不揮発性メモリが挙げられる。
【0033】
記憶装置103は、演算装置101が実行する各種のプログラムまたは各種のデータなどを記憶する。記憶装置103は、1または複数の非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)であってもよいし、1または複数のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(computer readable storage medium)であってもよい。記憶装置103の一例としては、HDD(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)などが挙げられる。実施の形態に係る記憶装置103は、演算装置101がセンサ71から取得した状態値V1に基づき、バルブ41の開閉およびバルブ42の開閉を制御するバルブ制御処理を実行するための制御プログラム130を記憶する。
【0034】
通信装置104は、有線通信または無線通信を介して、センサ71、バルブ41、およびバルブ42の各々との間でデータを送受信する。たとえば、通信装置104は、センサ71と通信することで、センサ71から出力された状態値V1を取得する。通信装置104は、バルブ41と通信することで、バルブ41の開閉を制御するための制御信号C1をバルブ41に出力する。通信装置104は、バルブ42と通信することで、バルブ42の開閉を制御するための制御信号C2をバルブ42に出力する。
【0035】
制御装置100は、バルブ42を制御して配管81~83を開放するとともに、ポンプ51を制御してタンク20に貯蔵された冷媒を吸い上げる。これにより、タンク20に貯蔵された冷媒は、配管81~83を介して発電機10の供給口15に供給される。発電機10においては、容器14内に流れ込んだ冷媒によって回転子13が冷却され、さらに、固定子12も冷却される。発電機10の内部を冷却した冷媒は、回転子13および固定子12との間の熱交換によって気化する。
【0036】
一方、センサ71は、定期的に、発電機10の状態に関する状態値V1(温度、圧力、または冷媒量)を検出し、制御装置100に出力する。制御装置100は、センサ71から取得した状態値V1に基づき、バルブ41を制御して配管84~87を開放するとともに、ポンプ52を制御して発電機10の排出口16から気化した冷媒の少なくとも一部を吸い上げる。具体的には、制御装置100は、予めユーザによって設定された状態値V1に対応する閾値を記憶装置103に記憶する。制御装置100は、センサ71から取得した状態値V1と、記憶装置103に記憶された閾値とを比較し、状態値V1と閾値との差分に応じて、制御信号C1を用いてバルブ41を制御して配管84~87を開放する。
【0037】
たとえば、制御装置100は、発電機10の内部の温度が閾値よりも高い場合、冷媒を循環させて発電機10の内部の温度を下げるために、バルブ41を開放したり、バルブ41の開度を現在値よりも大きくしたりする。なお、この場合の閾値は、コイル13aが超電導コイルである発電機10において、コイル13aが超電導化することを保証する温度となる値に設定すればよく、たとえば、閾値は、コイル13aが超電導化する液体水素温度以下のいずれかの値に設定されればよい。より好ましくは、閾値は、コイル13aが安定して超電導状態を保持できる液体水素温度以下のいずれかの値に設定されればよい。
【0038】
また、発電機10の内部の圧力は、発電機10の内部に滞留する冷媒の気化量と相関するため、容器10内の温度を推定する指標として使用することもできる。このため、制御装置100は、発電機10の内部の圧力が閾値よりも高い場合、冷媒を循環させて発電機10の内部の温度を下げるために、バルブ41を開放したり、バルブ41の開度を現在値よりも大きくしたりする。なお、この場合の閾値は、コイル13aが超電導コイルである発電機10において、コイル13aが超電導化することを保証する圧力となる値に設定すればよく、たとえば、閾値は、コイル13aが超電導化する圧力以下のいずれかの値に設定されればよい。より好ましくは、閾値は、コイル13aが安定して超電導状態を保持できる圧力以下のいずれかの値に設定されればよい。
【0039】
また、制御装置100は、発電機10の内部に滞留する冷媒量が閾値よりも高い場合、冷媒を循環させて発電機10の内部に滞留する冷媒量を適切にするために、バルブ41を開放したり、バルブ41の開度を現在値よりも大きくしたりする。なお、この場合の閾値は、コイル13aが超電導コイルである発電機10において、コイル13aが超電導化することを保証する冷媒量となる値に設定すればよく、たとえば、閾値は、コイル13aが超電導化する冷媒量以上のいずれかの値に設定されればよい。より好ましくは、閾値は、コイル13aが安定して超電導状態を保持できる冷媒量以上のいずれかの値に設定されればよい。
【0040】
また、制御装置100は、センサ71から取得した状態値V1と、記憶装置103に記憶された閾値とを比較し、状態値V1と閾値との差分に応じて、制御信号C2を用いてバルブ42を制御して配管81~83を開放してもよい。
【0041】
たとえば、制御装置100は、発電機10の内部の温度が閾値よりも高い場合、タンク20からの冷媒を供給して発電機10の内部の温度を下げるために、バルブ42を開放したり、バルブ42の開度を現在値よりも大きくしたりする。また、制御装置100は、発電機10の内部の圧力が閾値よりも高い場合、タンク20からの冷媒を供給して発電機10の内部の温度を下げるために、バルブ42を開放したり、バルブ42の開度を現在値よりも大きくしたりする。また、制御装置100は、発電機10の内部に滞留する冷媒量が閾値よりも低い場合、タンク20からの冷媒を供給して発電機10の内部の温度を下げるために、バルブ42を開放したり、バルブ42の開度を現在値よりも大きくしたりする。
【0042】
[制御装置の処理]
図2は、実施の形態1に係る制御装置100が実行するバルブ制御処理のフローチャートである。なお、
図2に示される各処理ステップ(以下、これらを「S1」、「S2」、「S3」と略す。)は、演算装置101が制御プログラム130を実行することによって実現される。制御装置100は、
図2に示すバルブ制御処理を定期的に繰り返し実行する。
【0043】
図2に示すように、制御装置100は、センサ71から取得した状態値V1を取得する(S1)。制御装置100は、センサ71から取得した状態値V1と、記憶装置103に記憶された閾値とを比較する(S2)。制御装置100は、状態値V1と閾値との差分に応じて、バルブ41およびバルブ42のいずれかを制御したり、バルブ41およびバルブ42の両方を制御したりする(S3)。その後、制御装置100は、本処理を終了する。
【0044】
このように、実施の形態1に係る発電システム1は、制御装置100によるバルブ42の制御によって、タンク20から供給される冷媒によって発電機10を冷却するとともに、制御装置100によるバルブ41の制御によって、発電機10に供給された冷媒の少なくとも一部を回収して発電機10に再び供給することで冷却用の冷媒を再利用することができる。さらに、発電システム1は、制御装置100によるバルブ41の制御によって、循環する冷媒量を発電機10の状態に基づき制御することで、発電機10の内部の温度または発電機10の内部に滞留する冷媒量を適切に調整し、さらに、タンク20に滞留する冷媒量も適切に調整しながら、発電機10を効率よく冷却することができる。
【0045】
実施の形態2.
図3を参照しながら、実施の形態2に係る発電システム1について説明する。以下では、実施の形態2に係る発電システム1について、実施の形態1に係る発電システム1と異なる構成および機能のみを説明し、その他の共通する構成および機能については説明を省略する。
【0046】
図3は、実施の形態2に係る発電システム1の概略図である。
図3に示すように、実施の形態2に係る発電システム1は、発電機10に供給された冷媒の少なくとも一部を回収して発電機10に再び供給する循環用配管を、タンク20から冷媒を発電機10に供給する供給用配管に連結させることで、循環用配管によって回収された冷媒を供給用配管を介して発電機10に再び供給するように構成されている。
【0047】
具体的には、発電システム1は、「供給用配管」の一例である配管81~83と、「循環用配管」の一例である配管84,85,88とを備える。配管81は、タンク20とバルブ42とを接続する。配管82は、バルブ42とポンプ51とを接続する。配管83は、ポンプ51と発電機10の供給口15とを接続する。配管84は、発電機10の排出口16とバルブ41とを接続する。配管85は、バルブ41と冷却部60とを接続する。配管88は、冷却部60とバルブ42とを接続する。このように、発電システム1においては、供給用配管と循環用配管とが、バルブ42によって連結されている。
【0048】
制御装置100は、バルブ42を制御して配管81~83を開放するとともに、ポンプ51を制御してタンク20に貯蔵された冷媒を吸い上げる。これにより、タンク20に貯蔵された冷媒は、配管81~83を介して発電機10の供給口15に供給される。また、制御装置100は、センサ71から取得した状態値V1と、記憶装置103に記憶された閾値とを比較し、状態値V1と閾値との差分に応じて、バルブ41を制御して配管84,85,88を開放するとともに、バルブ42を制御して配管81~83を開放する。さらに、制御装置100は、ポンプ51を制御して、発電機10の排出口16から気化した冷媒の少なくとも一部を吸い上げ、配管82~85,88を介して発電機10の供給口15に再び供給する。
【0049】
たとえば、制御装置100は、発電機10の内部の温度が閾値よりも高い場合、タンク20からの冷媒を供給し、かつ冷媒を循環させて発電機10の内部の温度を下げるために、バルブ41およびバルブ42を開放したり、バルブ41およびバルブ42の開度を現在値よりも大きくしたりする。また、制御装置100は、発電機10の内部の圧力が閾値よりも高い場合、タンク20からの冷媒を供給し、かつ冷媒を循環させて発電機10の内部の温度を下げるために、バルブ41およびバルブ42を開放したり、バルブ41およびバルブ42の開度を現在値よりも大きくしたりする。また、制御装置100は、発電機10の内部に滞留する冷媒量が閾値よりも高い場合、冷媒を循環させて発電機10の内部に滞留する冷媒量を適切にするために、バルブ41およびバルブ42を開放したり、バルブ41およびバルブ42の開度を現在値よりも大きくしたりする。
【0050】
このように、実施の形態2に係る発電システム1は、制御装置100によるバルブ41およびバルブ42の制御によって、タンク20から供給される冷媒によって発電機10を冷却するとともに、発電機10に供給された冷媒の少なくとも一部を回収して発電機10に再び供給することで冷却用の冷媒を再利用することができる。さらに、発電システム1は、制御装置100によるバルブ41およびバルブ42の制御によって、循環する冷媒量を発電機10の状態に基づき制御することで、発電機10の内部の温度または発電機10の内部に滞留する冷媒量を適切に調整し、さらに、タンク20に滞留する冷媒量も適切に調整しながら、発電機10を効率よく冷却することができる。
【0051】
実施の形態3.
図4および
図5を参照しながら、実施の形態3に係る発電システム1について説明する。以下では、実施の形態3に係る発電システム1について、実施の形態1および実施の形態2の各々に係る発電システム1と異なる構成および機能のみを説明し、その他の共通する構成および機能については説明を省略する。
【0052】
図4は、実施の形態3に係る発電システム1の概略図である。実施の形態3に係る発電システム1においては、タンク20から発電機10に供給される冷却用の冷媒が、液化水素など、タービン30の駆動用の燃料にもなり得る。さらに、
図4に示すように、実施の形態3に係る発電システム1は、発電機10に供給された冷媒の少なくとも一部をタービン30に供給するように構成されている。
【0053】
具体的には、発電システム1は、配管89~91と、ポンプ53と、気化部80と、センサ72とをさらに備える。配管89~91は、「駆動用配管」の一例であり、発電機10の排出口16とタービン30とを接続する。さらに、「循環用配管」の一例である配管84,85,88は、「駆動用配管」の一例である配管89~91に連結されている。たとえば、バルブ41は、循環用配管と駆動用配管との連結部に設けられている。配管89は、バルブ41とポンプ53とを接続する。配管90は、ポンプ53と気化部80とを接続する。配管91は、気化部80とタービン30とを接続する。
【0054】
ポンプ53は、配管89~91のいずれかの位置に設けられている。たとえば、ポンプ53は、配管89と配管90との間に設けられている。ポンプ53は、制御装置100の制御に基づき、発電機10の排出口16から排出された冷媒を吸い上げ、配管89~90を介してタービン30に供給する。
【0055】
気化部80は、配管89~91のいずれかの位置に設けられている。たとえば、気化部80は、配管90と配管91との間に設けられている。気化部80は、ポンプ53および配管89~91によって回収された冷媒の温度を上げて、発電機10の内部の冷却によってある程度気化した冷媒を完全に気化させる。気化部80によって気化した冷媒(水素ガス)は、タービン30に供給される。タービン30は、供給された冷媒を用いて回転し、図示しない回転軸を介して発電機10に回転力を伝送する。なお、気化部80は、発電機10の排出口16から排出された冷媒を気化させる機能を有していればよい。冷却部60によって熱交換された後の冷媒は、気体(水素ガス)または液体(液化水素)のいずれであってもよく、公知のいずれの構成を備えていてもよい。
【0056】
センサ72は、「第2センサ」の一例であり、タービンの状態に関する状態値V2を検出する。状態値V2は、「第2状態値」の一例である。センサ72は、タービン30の回転状態(たとえば、回転数または回転速度)を検出し、状態値V2として、検出したタービン30の回転状態を示す信号を制御装置100に出力する。また、センサ72は、タービン30の駆動による発電機10の発電量を検出し、状態値V2として、検出した発電機10の発電量を示す信号を制御装置100に出力してもよい。
【0057】
このように、センサ72は、状態値V2として、タービン30の回転状態、およびタービン30の駆動による発電機10の発電量のうち、少なくとも1つを検出する。
【0058】
制御装置100は、センサ71から取得した状態値V1と、センサ72から取得した状態値V2とに基づき、バルブ41を制御して配管84,85,88および配管89~91を開放するとともに、バルブ42を制御して配管81~83を開放する。さらに、制御装置100は、ポンプ51を制御して、発電機10の排出口16から気化した冷媒の少なくとも一部を吸い上げ、配管82~85,88を介して発電機10の供給口15に冷媒を再び供給する。さらに、制御装置100は、ポンプ53を制御して、発電機10の排出口16から気化した冷媒の少なくとも一部を吸い上げ、配管89~91を介してタービン30に供給する。
【0059】
たとえば、制御装置100は、タービン30の回転数または回転速度が閾値よりも低い場合、タービン30の回転力を上げるために、バルブ41を開放したり、バルブ41の開度を現在値よりも大きくしたりする。なお、この場合の閾値は、発電機10に求める発電量を保証する回転数または回転速度となる値に設定すればよい。より好ましくは、閾値は、発電機10が安定して所定の発電量となる電力を生成できる回転数または回転速度となる値に設定されればよい。
【0060】
また、制御装置100は、発電機10の発電量が閾値よりも低い場合、タービン30の回転力を上げるために、バルブ41を開放したり、バルブ41の開度を現在値よりも大きくしたりする。なお、この場合の閾値は、発電機10に求める発電量を保証する値に設定すればよい。
【0061】
図5は、実施の形態3に係る制御装置100が実行するバルブ制御処理のフローチャートである。なお、
図5に示される各処理ステップ(以下、これらを「S11」、「S12」、「S13」、「S14」、「S15」と略す。)は、演算装置101が制御プログラム130を実行することによって実現される。制御装置100は、
図5に示すバルブ制御処理を定期的に繰り返し実行する。
【0062】
図5に示すように、制御装置100は、センサ71から取得した状態値V1を取得する(S11)。制御装置100は、センサ71から取得した状態値V1と、記憶装置103に記憶された閾値とを比較する(S12)。また、制御装置100は、センサ72から取得した状態値V2を取得する(S13)。制御装置100は、センサ72から取得した状態値V2と、記憶装置103に記憶された閾値とを比較する(S14)。なお、S12で状態値V1との比較に用いられる閾値と、S13で状態値V2との比較に用いられる閾値とは、比較対象が異なるため、ユーザは、これらの閾値を個別に設定すればよい。
【0063】
制御装置100は、S12で算出した状態値V1と閾値との差分と、S14で算出した状態値V2と閾値との差分とに応じて、バルブ41およびバルブ42のいずれかを制御したり、バルブ41およびバルブ42の両方を制御したりする(S15)。その後、制御装置100は、本処理を終了する。
【0064】
このように、実施の形態3に係る発電システム1は、制御装置100によるバルブ41およびバルブ42の制御によって、タンク20から供給される冷媒によって発電機10を冷却するとともに、発電機10に供給された冷媒の少なくとも一部を回収して発電機10に再び供給することで冷却用の冷媒を再利用することができる。また、発電システム1は、制御装置100によるバルブ41の制御によって、発電機10に供給された冷媒の少なくとも一部を回収してタービン30の駆動に用いることができる。さらに、発電システム1は、制御装置100によるバルブ41およびバルブ42の制御によって、循環する冷媒量を発電機10およびタービン30の状態に基づき制御することで、発電機10の内部の温度または発電機10の内部に滞留する冷媒量を適切に調整し、さらに、タンク20に滞留する冷媒量も適切に調整しながら、発電機10を効率よく冷却するとともに、効率よく発電することができる。
【0065】
以上、実施の形態に係る発電システム1について説明したが、発電システム1は、液化水素を気化させた水素ガスを燃焼させてタービン30(ガスタービン)の回転力を得て、発電機10を駆動させる水素ガスタービン発電の発電システムであってもよいし、水素ガスをボイラで燃焼させ、発生した蒸気によりタービン30(蒸気タービン)の回転力を得て、発電機10を駆動させる汽力発電の発電システムであってもよい。さらに、発電システム1は、同一の回転軸にガスタービンと蒸気タービンとタンデムに接続した発電システムであってもよい。
【0066】
発電システム1は、水素ガスのみでなく、水素ガスに他の燃料を加えて燃焼させてタービン30(ガスタービン)の回転力を得て、発電機10を駆動させる水素ガスタービン発電の発電システムであってもよい。さらに、発電システム1は、水素ガスに他の燃料を加えてボイラで燃焼させ、発生した蒸気によりタービン30(蒸気タービン)の回転力を得て、発電機10を駆動させる汽力発電の発電システムであってもよい。
【0067】
上述した実施の形態および変形例は、組み合わせに制限がない限り、自由に組み合わせることができる。たとえば、実施の形態3に係る発電システム1が備える配管89~91、ポンプ53、気化部80、およびセンサ72と、これらを用いた処理とを、実施の形態1に係る発電システム1に組み合わせてもよい。
【0068】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
1 発電システム、10 発電機、12 固定子、13 回転子、13a コイル、13b 支持材、14 容器、15 供給口、16 排出口、20 タンク、30 タービン、41,42 バルブ、51,52,53 ポンプ、60 冷却部、71,72 センサ、80 気化部、81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91 配管、100 制御装置、101 演算装置、102 メモリ、103 記憶装置、104 通信装置、130 制御プログラム。
【要約】
発電システム(1)は、タービン(30)と、タービン(30)によって駆動されて発電する発電機(10)と、タンク(20)から冷却用の冷媒を発電機(10)に供給する供給用配管(81~83)と、発電機(10)に供給された冷媒の少なくとも一部を回収して発電機(10)に再び供給する循環用配管(84~86)と、循環用配管(84~86)に設けられ、発電機(10)に再び供給される冷媒の量を調整する第1バルブ(41)と、発電機(10)の状態に関する第1状態値を検出する第1センサ(71)と、第1センサ(71)によって検出された第1状態値に基づき、第1バルブ(41)の開閉を制御する制御装置(100)とを備える。