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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】洗浄システム及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/02 20060101AFI20240702BHJP
   C23G 3/04 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
C01B33/02 Z
C23G3/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021110347
(22)【出願日】2021-07-01
(65)【公開番号】P2023007235
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敦
(72)【発明者】
【氏名】星野 成大
(72)【発明者】
【氏名】石田 昌彦
【審査官】廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-285811(JP,A)
【文献】国際公開第2018/230380(WO,A1)
【文献】特開2015-081215(JP,A)
【文献】特開2007-001791(JP,A)
【文献】特開2009-280457(JP,A)
【文献】特開2005-008430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00-33/193
C23G 1/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロシランを原料とするポリシリコンを製造するために用いられる反応容器(10)に連結された第一配管(20)と、
前記第一配管(20)に連結された熱交換器(30)と、
前記熱交換器(30)に連結され、かつ前記反応容器(10)と前記熱交換器(30)との間に位置する前記第一配管(20)に連結された第二配管(60)と、
前記第一配管(20)又は前記第二配管(60)に設けられた駆動部(50)と、
を備え、
洗浄液が、前記駆動部(50)からの力を受けて、前記第一配管(20)、前記熱交換器(30)及び前記第二配管(60)を循環する、洗浄システム。
【請求項2】
前記第二配管(60)は、上流側第二配管(60a)と、上流側第二配管(60a)に対して、洗浄液の循環方向の下流側に位置し、前記反応容器(10)と前記熱交換器(30)との間に位置する前記第一配管(20)に連結された下流側第二配管(60b)とを有し、
前記上流側第二配管(60a)と前記下流側第二配管(60b)の間に前記熱交換器(30)によって冷却されて生成されたクロロシランを貯留するクロロシランタンク(40)が設けられ、
前記クロロシランタンク(40)に貯留されたクロロシランが前記洗浄液として、前記第一配管(20)、前記熱交換器(30)、前記上流側第二配管(60a)、前記クロロシランタンク(40)及び前記下流側第二配管(60b)を循環する、請求項1に記載の洗浄システム。
【請求項3】
前記第一配管(20)、前記第二配管(60)又は前記熱交換器(30)第四配管(180)を介して連結された貯留部を備え、
前記貯留部から洗浄液としてクロロシランが供給される、請求項1に記載の洗浄システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の洗浄システムを用い、
クロロシランを原料とするポリシリコンを製造するために用いられる反応容器(10)に連結された第一配管(20)と、前記第一配管(20)に連結された熱交換器(30)を取り外すことなく洗浄する洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロロシランを原料とするポリシリコンを製造するために用いられる反応容器に直接又は間接的に連結された配管及び熱交換器を洗浄する洗浄システム及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クロロシランを原料としたポリシリコンロッドの製造は、シーメンス法で行われるCVD反応が主流である。原料のクロロシランは高純度のものが使用され、反応器内でCVD反応を終えた反応排出ガスは、熱交換器にて冷却され、水素と未反応物を含むクロロシランに分離される。
【0003】
反応器内より排出される反応排出ガスは、クロロシラン重合体(クロロシランオリゴマー類)が含まれ高沸点で高い粘性を持つ。
【0004】
反応器の開放時には反応器内や排出ガス管に付着したクロロシラン類に、空気が接触するため加水分解物も生成され固形物として存在する。
【0005】
反応器内が高温になると、反応器内気中でシリコン粉が発生し排出ガス管や熱交換器に堆積する。
【0006】
これら、高い粘性をもつ高沸点クロロシランと、前述した加水分解物とシリコン粉が混ざり合わさり、配管や熱交換器の壁面の汚れとなる。
【0007】
高沸点クロロシランは、大気中に放置すると加水分解熱が蓄熱し、自然着火を起こす。また、加水分解時に水素が発生するため、密閉空間では爆発の危険を有する。
【0008】
特許文献1では、管内に付着するポリマー(クロロシラン高沸点物)を高沸点のクロルシランの気体で洗浄する方法が記載されている。
【0009】
特許文献2では、機器内部に付着した個体を不活性化ガスのもと加水分解する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開平03-285811号公報
【文献】特開2016-13965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
クロロシランを使用したCVD反応の副生物の一つとして、クロロシランオリゴマー類があげられる。通常CVD排出ガスに含まれるものは、多種の重合体が混在しており、高沸点・高粘性を示す。この高沸点クロロシラン(クロロシランオリゴマー類)が反応排出ガス配管や、熱交表面に付着すると配管閉塞や熱交換効率の低下を起こす。このため、反応排出ガス配管や熱交換器は定期的に洗浄を行う必要がある。
【0012】
しかし、特許文献1では、管内に付着するポリマー(クロロシラン高沸点物)を気体のクロルシランで洗浄することが述べられているが、実際の管内には反応器開放時に混入する空気が高沸点クロロシランと加水分解反応を起こした固形物や、反応器内の気中で生成されるシリコン粉末が含まれている。このため、クロロシランを気化させ配管内部に結露させる方法では、これらの付着物を剥離するための物理的な力が弱く、十分な洗浄効果が得られない。
【0013】
また、特許文献2では、機器内部に付着した個体を不活性化ガスのもと加水分解する方法が記載されているが、実際には個体状態のものを管内で加水分解処理するのは時間がかかってしまう。
【0014】
反応排出ガス配管や熱交換器に付着している、高沸点クロロシランは、反応器内の気中で生成されており、これには、シリコン粉や反応器開放時に混入する空気からの加水分解物等の固形物が含まれている。つまり、高沸点クロロシランとこの固形物の混合物が、配管や熱交換器の付着物の主成分である。
【0015】
CVD排出ガスの危険性評価試験では、高沸点クロロシランの落つい試験が、8級(非常に低い)であるのに対し、加水分解物は、落つい試験2級(高い)となり、弾道臼砲試験においても13-28%(TNT)と大きい。また、高沸点クロロシランも大気中に放置すると加水分解熱が蓄熱し自然発火をおこす。最も注意すべき物質は高沸点クロロシランの加水分解物であり、開放を伴う製造工程でこの発生を防ぐことは困難である。
【0016】
以上のような内容を考慮し、本発明は、クロロシランを原料とするポリシリコンを製造するために用いられる反応容器に直接又は間接的に連結された配管及び熱交換器を、容易かつ安全に洗浄するための洗浄システム又は洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明による洗浄システムは、
クロロシランを原料とするポリシリコンを製造するために用いられる反応容器に連結された第一配管と、
前記第一配管に連結された熱交換器と、
前記熱交換器と前記第一配管との間に設けられた第二配管と、
前記第一配管又は前記第二配管に設けられた駆動部と、
を備え、
洗浄液が、前記駆動部からの力を受けて、前記第一配管、前記熱交換器及び前記第二配管を循環してもよい。
【0018】
本発明による洗浄システムにおいて、
前記第二配管には前記熱交換器によって冷却されて生成されたクロロシランを貯留するクロロシランタンクが設けられ、
前記クロロシランタンクに貯留されたクロロシランが前記洗浄液として、前記第一配管、前記熱交換器及び前記第二配管を循環してもよい。
【0019】
本発明による洗浄システムは、
前記第一配管、前記第二配管又は前記熱交換器に連結された貯留部を備え、
前記貯留部から洗浄液としてクロロシランが供給されてもよい。
【0020】
本発明による洗浄方法は、
前述した洗浄システムを用い、
クロロシランを原料とするポリシリコンを製造するために用いられる反応容器に連結された第一配管と、前記第一配管に連結された熱交換器を取り外すことなく洗浄してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、クロロシランを原料とするポリシリコンを製造するために用いられる反応容器に直接又は間接的に連結された配管及び熱交換器を、容易かつ安全に洗浄できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の実施の形態の一例による洗浄システムを含む反応システムの概略を示した図である。
図2図2は、本発明の実施の形態の変形例による洗浄システムを含む反応システムの概略を示した図である。
図3図3は、本発明の実施例を実施した際の構成を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本実施の形態の反応システムは、多結晶シリコンを製造するためのCVD反応装置等の反応装置を1つ又は複数有している。
【0024】
反応装置は、反応容器10と、反応容器10に設けられた電極220と、電極220に取り付けられたU字型の電極線210と、反応容器10への供給ガスを供給するための供給部260と、反応容器10から排出ガスを排出するための排出部270と、を有している。反応装置では、例えばCVD反応によってポリシリコンを成長させるシーメンス法を用いて、多結晶ポリシリコンが生成されることになる。
【0025】
排出部270には、CVD反応排出ガス配管といった排出管が連結されている。この排出管を本実施の形態では第一配管20と呼ぶ。第一配管20は、排出ガス冷却熱交換器30といった熱交換器30に連結されている。つまり、CVD反応装置等の反応容器10から排出ガスは第一配管20を介して熱交換器30へと排出される。本実施の形態の態様を採用しない場合には、この際に第一配管20や熱交換器30にクロロシランオリゴマー類(高沸点クロロシラン)と加水分解物、シリコン粉末が付着堆積することになる。
【0026】
熱交換器30内では排出ガスが冷却されてクロロシランを含む液体になる。反応を終了した凝集クロロシラン類から生成されるこのようなクロロシラン液体はクロロシランタンク40へと第二配管60を介して導かれる。他方、反応を終了した凝集クロロシラン類に含まれる水素ガス等は、再生用水素ガス配管70を介して、熱交換器30から排出され、所定の処理が施された後で反応容器10へと戻されて、再利用される。なお、第一配管20と熱交換器30の途中まではクロロシランは気体状態であるが、熱交換器30の下流側では冷却された結果、液体の状態になる。
【0027】
クロロシランタンク40内の液体からなるクロロシランは、ポンプ等の駆動部50からの駆動力を受けて、クロロシランタンク40から熱交換器側とは異なる側(図1及び図2では下方側)の第二配管60へと排出されることになる。図1に示すように、本実施の形態の第二配管60は第一配管20に連結されていることから、第二配管60に排出されたクロロシラン液体は第一配管20を介して熱交換器30に流入され、その後でクロロシランタンク40へと流入されることになる。本実施の形態では、「クロロシランタンク40→第二配管60→第一配管20→熱交換器30→第二配管60→クロロシランタンク40」の循環が繰り返されることになる。
【0028】
高沸点クロロシランはクロロシラン(モノマー)に溶解するため、洗浄液としてクロロシランを使用することにより洗浄が可能となる。しかしながら、第一配管20や熱交換器30には、主に高沸点クロロシラン、クロロシラン加水分解物及びシリコン粉末で構成される物質が付着している。この物質は、高沸点クロロシランの粘着性により管壁に付着しているため、浸透・溶解しにくく洗浄用クロロシランを積極的に流し、流体動力を管壁に作用させなければその効力は発揮されない。
【0029】
このため、本実施の形態では、反応容器10と熱交換器30との間に設けられた第一配管20にクロロシラン液体を供給し、第一配管20及び熱交換器30をクロロシラン液体で満たす態様を採用している。そして、ポンプ等の駆動部50を使い、できる限り早い流速で循環することにより、高沸点クロロシラン成分が溶解し、シリコン粉末や加水分解物を洗い流すことが可能となる。なお、従来では汚れの付着した第一配管20や熱交換器30を取り外して洗浄することが必要であったが、本実施の形態のような態様を採用することで、従来のように第一配管20や熱交換器30を取り外すことなく、これらを洗浄することができる。
【0030】
なお、反応容器10から排出されたクロロシランが第一配管20や熱交換器30の上流側で大量に付着することになるが、熱交換器30の下流側では、液体になったクロロシランによる自己洗浄効果により、そこまで多くのクロロシランが付着することはない。したがって、本実施の形態でも、より具体的には、第一配管20や熱交換器30の上流側に付着したクロロシランを洗浄することを得られる大きな効果としている。
【0031】
洗い流された高沸点クロロシランや固形物は、そののちの蒸留工程等で濃縮分離される。濃縮度は液体の粘性にもよるが、クロロシランモノマー類が溶媒として少なくとも50%以上存在する程度が望ましい。第一配管20及び第二配管60を含む配管を流れることが可能な粘性にとどめることにより、焼却処理や加水分解処理において速やかに無害化が可能となる。
【0032】
なお、洗浄用のクロロシランとしては、第一配管20を経て回収したクロロシラン(主にトリクロロシランと四塩化ケイ素の混合物)が品質的にも経済的にも望ましいが、これらに限定されない。
【0033】
クロロシランタンク40に一時保管された排出ガスから液化凝集により捕集したクロロシランを、洗浄用クロロシランポンプ等の駆動部50により排出ガスラインである第一配管20に供給・循環し、堆積物が除去可能となる。
【0034】
洗浄が終了した後にクロロシランタンク40に一時保管された洗浄液は、通常のCVD排出ガス凝集液と同様に処理可能で、最終的に加水分解又は焼却処理される。具体的には、第二配管60に連結された第三配管130が設けられており、この第三配管130を介して、洗浄に用いられたクロロシラン液体は排出され、加水分解又は焼却処理されることになる。
【0035】
第三配管130の第二配管60に対する連結箇所にはバルブや切替弁等の切替部110が設けられている。「クロロシランタンク40→第二配管60→第一配管20→熱交換器30→クロロシランタンク40」という洗浄液の循環が繰り返される間は、第三配管130には洗浄液が流入しないように切替部110によって制御されるようにしてもよい。他方、クロロシラン液体からなる洗浄液を排出する場合には、切替部110によって第三配管130だけに洗浄液が流入し、切替部110よりも下流側の第二配管60内にはクロロシラン液体からなる洗浄液が流れ込まないようにしてもよい。
【0036】
第一配管20と第二配管60との連結箇所と反応容器10との間又は反応容器10内には、クロロシランを循環させる際に、排出部270からクロロシランが反応容器10内に流入しないようにする閉止部が設けられてもよい。このような閉止部を設けることで、循環されるクロロシラン液体等の洗浄液が反応容器10内に誤って流入することを防止できる。閉止部は、循環洗浄用に用いられる閉止キャップ90(図1参照)であってもよい。また、閉止部として閉止バルブ150を設けることも考えられる(図2参照)。但し、反応容器10内及びその近傍では高温になる傾向にあることから、閉止部として閉止バルブ150を用いることが難しいこともある。この点、閉止キャップ90のような態様を採用することで、安価に熱の問題を気にすることなく、クロロシラン液体等の洗浄液が反応容器10内に誤って流入することを防止できる。
【0037】
洗浄効果に係る条件は、チューブ内線速・液温度・洗浄時間があげられる。
チューブ線速は速いほどよく、0.01m/s以上がよく0.1m/s以上が好ましい。洗浄温度は高いほどよく、10℃以上がよく25℃以上が好ましいが、循環液であるクロロシランの沸点を超えると、ポンプの吸入側でキャビテーションを起こしてしまうため、クロロシランの沸点を超えないことがよい。循環時間は内部に堆積した高沸点クロロシラン類の厚さによるが、充填し循環・排出までの時間は2~48時間で良好な状態となる。なお、この間は反応装置を用いた多結晶シリコンの製造を行えないことになるので、装置の稼働時間を確保するためには、迅速に効率よく洗浄を行えることが有益である。
【0038】
(変形例)
上記では、反応容器10から排出されたクロロシランを液化し、当該液化したクロロシランを循環させる態様を用いて説明したが、このような態様には限られない。例えば、図2に示すような、クロロシラン液体といった洗浄液を貯留した貯留部190から洗浄液が供給できるようにしてもよい。貯留部190は第四配管180を介して第二配管60に連結されてもよい。なお、このような態様に限られることはなく、第四配管180は第一配管20に連結されてもよいし、熱交換器30に連結されてもよい。
【0039】
第四配管180と第二配管60との間には切替部185が設けられ、この切替部185を制御することで、貯留部190からの洗浄液の流入と、第二配管60及び第一配管20での洗浄液の循環とを切り替えるようにしてもよい。また別の態様としては、洗浄液としては、クロロシランタンク40に貯留されたクロロシラン液体と外部の貯留部190から供給されるクロロシラン液体の両方を洗浄液として用いるようにしてもよい。
【0040】
外部の貯留部190から供給される洗浄液はクロロシランとは異なる液体であってもよい。クロロシランタンク40に貯留されたクロロシラン液体と貯留部190から供給される洗浄液とを混合して用いる場合には、貯留部190から供給される液体の種類や濃度等を適宜変更するようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、高い効果の洗浄液を適宜選択できる点で有益である。
【0041】
駆動部50の駆動のON/OFFや駆動力の選択(強弱の切り替え)、切替部110及び切替部185による洗浄液の流れの切り替えは、操作者がパソコン、スマートフォン、タブレット端末等からなる入力部370から入力を行うようにしてもよい。但し、このような態様に限られることはなく、記憶部360でレシピといった一連の手順が記憶されており、記憶部360からこのような手順を制御部350が読み出して、制御部350からの指令を受けて、駆動部50、切替部110、切替部185等が制御されるようにしてもよい。
【実施例
【0042】
図3に示すような態様を用いて、高沸点クロロシランや加水分解物が付着した熱交換器30を四塩化ケイ素で満たし循環洗浄をかけた後、洗浄液に含まれる高沸点物の組成を調べた。また、洗浄後の熱交換器30を開放し内部の付着物を調べた。
【0043】
確認できた内容について説明する。
洗浄用の熱交換器30としては、反応ガス通過量が約50、000tonであり、伝熱面積160m2であるものを用いた。
洗浄用クロロシランとして1.45m3の四塩化ケイ素を用いた。
チューブ内線速は0.1m/sであった。
【0044】
上記のような態様で、図3に示す態様で洗浄用クロロシランを循環させたところ、洗浄液の重量は約80kg増加した。洗浄液をNMR分析(29Si)したところ、
STC:Si2Cl6:Si2HCl5=92.6:0.2:0.2mol
となり、その重量は12.7kgであった。
【0045】
確認のため、熱交換器30を開放したが、付着物は見られずクロロシラン洗浄の有効性が確認できた。
【0046】
以上のことから、クロロシラン液体を循環させることで熱交換器30の洗浄が有効に行われていることを確認できた。
【符号の説明】
【0047】
10 反応容器
20 第一配管
30 熱交換器
40 クロロシランタンク
50 駆動部
60 第二配管
190 貯留部
図1
図2
図3