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特許7513626高光沢用途のためのポリアミド成形組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】高光沢用途のためのポリアミド成形組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/06 20060101AFI20240702BHJP
   C08L 77/02 20060101ALI20240702BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20240702BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
C08L77/06
C08L77/02
C08K3/04
C08J5/18
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021552864
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2020055702
(87)【国際公開番号】W WO2020178342
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】19161124.3
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(72)【発明者】
【氏名】クサルター,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】エルトマン,トルシュテン
(72)【発明者】
【氏名】ホプフェンシュピルガー,クサファー
(72)【発明者】
【氏名】ミリモンカ,シュテファン
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-140308(JP,A)
【文献】特表2013-523930(JP,A)
【文献】特開2011-032469(JP,A)
【文献】特開2007-197691(JP,A)
【文献】特表2013-505314(JP,A)
【文献】特開2016-172447(JP,A)
【文献】国際公開第2012/070598(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08J 5/00-5/24
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)成分A)として、100質量部の、脂肪族非分岐C10~12-基礎単位を含むポリアミドと、5~100質量部のポリアミド6及び/又はポリアミド6/6,6との混合物、 b)成分B)として、成分A)に基づいて0~10質量%のさらなる添加剤であって、成分A)に基づいて0質量%のガラス繊維を含む、さらなる添加剤
から構成される熱可塑性成形材料であって、
成分A)の脂肪族非分岐C10~12-基礎単位を含む前記ポリアミドがポリアミド6,10であ
成分B)が、成分A)に基づいて0.1~3質量%のカーボンブラックを含む、熱可塑性成形材料。
【請求項2】
成分A)が、10~80質量部のポリアミド6及び/又はポリアミド6/6,6を含む、請求項1に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項3】
成分B)が、成分A)に基づいて0.01~1質量%の潤滑剤を含む、請求項1または2に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項4】
成分A)に基づいて0質量%の無機フィラー及び強化材料を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項5】
DBL 5416,7.3に従って試験した後にISO 105 A02に従って決定した、4以上のグレースケールを有する、請求項1からのいずれか一項に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の成形材料を製造する方法であって、成分A)及びB)が互いに混合される、方法。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の成形材料を、フィルム又は成形品の製造に使用する方法。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載の成形材料で作られたフィルム又は成形品。
【請求項9】
成分A)として、100質量部の、脂肪族非分岐C10~12-基礎単位を含むポリアミドと、5~100質量部のポリアミド6及び/又はポリアミド6/6,6との混合物と、
成分B)として、成分A)に基づいて0.1~3質量%のカーボンブラックと、
から構成される熱可塑性成形材料を、成形品を道路用塩及び/又は自動洗車機に曝す際に光沢特性を向上するために、成形品に使用する方法。
【請求項10】
成分A)の脂肪族非分岐C10~12-基礎単位を含むポリアミドが、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド12,12、ポリアミド11、ポリアミド12、及びそれらの混合物から選択される、請求項に記載の使用方法。
【請求項11】
前記成形品が、DBL 5416,7.3に従って試験した後にISO 105 A02に従って決定した、少なくとも4のグレースケールを有する、請求項又は10に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車外装分野における高光沢用途のためのポリアミド成形材料に関する。この成形材料は、特に良好な光沢特性、良好な靭性、及び道路用塩及び自動洗車機に対する高い耐性を有する未塗装の高光沢部品を製造するのに適していなければならない。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドは、世界的に大規模に生産されているポリマーの1つであり、フィルム、繊維及び成形品(材料)における主な用途以外にも、他の多くの最終用途がある。ポリアミドの中で、ポリアミド6(ポリカプロラクタム)及びポリアミド66(ナイロン、ポリヘキサメチレンアジパミド)は最も大量に生産されているポリマーである。工業的に重要なほとんどのポリアミドは、高い熱安定性を特徴とする半結晶又は非結晶の熱可塑性ポリマーである。長鎖ポリアミドとのブレンドにより、表面特性及び本質的な道路用塩耐性を向上させることができる。
【0003】
JPS57212252は、ポリアミド6と5~35質量%のポリアミド6,10との混合物に関するもので、塩化カルシウムに対する耐性が向上すると言われている。
【0004】
CA 2 256 100 A1は、向上した表面特性及び耐候性を有するポリアミド組成物に関する。使用されているポリアミドは、抽出率が低く、特定のカーボンブラック顔料、無機安定剤及び強化剤と組み合わされている。
【0005】
JP2016124992は、良好な機械的特性及び成形品の良好な外観を提供すると言われているポリアミド樹脂組成物に関する。このポリアミド樹脂は、30質量%~70質量%のガラス繊維を含んでいる。成形用化合物の推定された結晶化開始点は175℃~200℃である。
【0006】
JPH1029221は、良好な表面特性を有する自動車用ドアハンドルを射出成形するための方法に関するものである。射出成形は、熱的に絶縁された鋳型で行われる。投入材料には、特にナイロンが含まれている。
【0007】
US 2004/0102559 A1は、30~70質量部の無機フィラー、及びまたカーボンブラックを含有するポリアミド樹脂組成物に関する。無機フィラーは、ガラス繊維、及びウォラストナイト、タルク、カオリン及びマイカから選択される少なくとも1種を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】JPS57212252
【文献】CA 2 256 100 A1
【文献】JP2016124992
【文献】JPH1029221
【文献】US 2004/0102559 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、良好な光沢特性、良好な靭性、及び道路用塩及び自動洗車機に対する高い耐性を有する、自動車外装分野の未塗装の高光沢部品を製造するのに特に適した熱可塑性成形材料を提供することである。光沢特性は、道路用塩又は自動洗車機に曝されても、ほとんど変化しないであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に従って、この目的は、
a)成分A)として、100質量部の、脂肪族非分岐C10~12-基礎単位(foundational units)を含むポリアミドと、5~100質量部のポリアミド6及び/又はポリアミド6/6,6との混合物、
b)成分B)として、成分A)に基づいて0~30質量%のさらなる添加剤であって、成分A)に基づいて0~20質量%の無機フィラー及び強化材料を含む、さらなる添加剤
を含む熱可塑性成形材料によって達成される。
【0011】
さらに、この目的は、そのような成形材料の製造方法によって達成され、ここで、成分A)、B)及び任意にさらなる成分が互いに混合される。
【0012】
さらに、この目的は、この成形材料をフィルム又は成形品の製造に使用する方法によって、及び対応するフィルム又は成形品によって達成される。
【0013】
さらに、この目的は、100質量部の、脂肪族非分岐C10~12-基礎単位を含むポリアミドと、5~100質量部のポリアミド6及び/又はポリアミド6/6,6との混合物を、成形品を道路用塩及び/又は自動洗車機に曝した後に向上した光沢特性を有する、特に高光沢の成形品を製造するための成形材料に使用する方法によって達成される。
【0014】
さらに、この目的は、100質量部の、脂肪族非分岐C10~12-基礎単位を含むポリアミドと、5~100質量部のポリアミド6及び/又はポリアミド6/6,6との混合物を、成形品を道路用塩及び/又は自動洗車機に曝す際に光沢特性を向上するために、成形品に使用する方法によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好ましくは、フィルム又は成形品は、DBL 5416,7.3に従って試験した後にISO 105 A02に従ったグレースケール評価において、試験後、少なくとも4、好ましくは4.4~5又は5のグレースケールを有する。
【0016】
本発明の熱可塑性成形材料は、成分A)として、100質量部の、脂肪族非分岐C10~12-基礎単位を含むポリアミドと、5~100質量部のポリアミド6及び/又はポリアミド6/6,6との混合物を含有する。
【0017】
ポリアミド6/6,6は、ポリアミド6及びポリアミド6,6のモノマーの任意の所望の割合を含むコポリアミド、又は両方のポリアミドの混合物である。両方の成分は、過剰又は不足で、同一のモル分率で使用することができる。また、ポリアミド6とポリアミド6,6との混合物を使用してもよい。しかしながら、ポリアミド6に加えて、コポリアミド6/6,6を使用することが特に好ましい。
【0018】
ポリアミド6及び/又はポリアミド6/6,6に加えて、成分A)は、脂肪族非分岐C10~12-基礎単位を含む少なくとも1種のポリアミドを含む。これは、ホモポリアミド又はコポリアミドであり得る。例えば、ジカルボン酸及び/又はジアミンの一部または全部が、脂肪族非分岐C10~12-ジカルボン酸又は脂肪族非分岐C10~12-ジアミンであり得る。これらは、特に脂肪族非分岐末端C10~12-ジカルボン酸又は脂肪族非分岐末端C10~12-ジアミンである。また、これらは対応するC10~12-ラクタム又はアミノニトリルであり得、これによりポリアミド中の対応する基礎単位が得られる。ジアミン又はジカルボン酸の総量が、脂肪族非分岐末端C10~12-ジアミン又は脂肪族非分岐末端C10~12-ジカルボン酸である場合が好ましい。好ましくは、ポリアミドは、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド12,12、ポリアミド11、ポリアミド12、及びそれらの混合物から選択される。ポリアミド6,10が特に好ましい。
【0019】
ポリアミドが非分岐C10~12-基礎単位だけでなく、他の基礎単位も含む場合、好ましくは、他の基礎単位は、好ましくは同様に脂肪族で分岐状で、特に末端であるC4~12-基礎単位、特にC6~12-基礎単位である。
【0020】
好ましくは、ポリアミド6,10は以下の特性を有する:
DIN ISO 307(2007/2008)に従って決定されたVN=120~250mL/g。
【0021】
本発明によれば、特に、ポリアミド6、又はそれとポリアミド66のコポリマー又は混合物が使用される。ポリアミド6又はポリアミド66は、好ましくは、ISO 307に従って25℃で96質量%の硫酸の0.5質量%の溶液で決定された、80~200ml/g、特に100~180ml/g、特に120~170ml/gの範囲の粘度数を有する。
【0022】
成分A)において、ポリアミド6及び/又はポリアミド6/6,6の割合は、好ましくは10~80質量部、特に好ましくは10~70質量部である。この量は、ポリアミド6及びポリアミド6/6,6の合計、又は個々の物質を使用する場合は個々の物質に関するものである。
【0023】
成分B)又はその一部として、本発明による組成物は、0~30質量%、好ましくは0~20質量%、特に0~10質量%のさらなる添加剤を含んでもよい。このような添加剤を併用する場合、その最小量は、熱可塑性成形材料に基づいて、0.1質量%、好ましくは0.2質量%、特に0.5質量%である。
【0024】
考えられるさらなる添加剤には、成分A)とは異なる熱可塑性ポリマー、ガラス繊維、ガラス繊維とは異なるフィラー及び強化剤、又はさらなる添加剤が含まれる。
【0025】
成分B)として好適な以下の添加剤において、それぞれの質量パーセンテージは、成分A)に基づくものである。複数の添加剤が存在する場合、本明細書に記載されている上限値は、すべての添加剤の量の合計に適用される。
【0026】
成分B)又はその一部として、本発明の熱可塑性成形材料は、0~30質量%、好ましくは0~25質量%、好ましくは0~20質量%の、成分A)のポリアミドとは異なる少なくとも1種の熱可塑性ポリアミドを含んでもよい。しかしながら、さらなるポリアミドが存在しない場合が好ましい。
【0027】
これらのポリアミドは、ISO 307に従って25℃で96.0質量%の硫酸の0.5質量%の溶液で決定された、80~100ml/g、好ましくは100~160ml/gの粘度数を有する。
【0028】
例えば、米国特許明細書2,071,250、2,071,251、2,130,523、2,130,948、2,241,322、2,312,966、2,512,606及び3,393,210に記載されているように、少なくとも5000の分子量(質量平均)を有する半結晶又は非結晶の樹脂が好ましい。
【0029】
その例は、8~13員環を有するラクタムに由来するポリアミド、例えばポリカプリロラクタム及びポリラウロラクタム、及びまたジカルボン酸とジアミンとの反応により得られるポリアミドである。
【0030】
使用可能なジカルボン酸には、6~12個の炭素原子、特に6~10個の炭素原子を有するアルカンジカルボン酸、及び芳香族ジカルボン酸が含まれる。これらには、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及びテレフタル酸及び/又はイソフタル酸のみが含まれる。
【0031】
特に好適なジアミンには、6~12個、特に6~9個の炭素原子を有するアルカンジアミン、及びm-キシリレンジアミン、ジ(4-アミノフェニル)メタン、ジ(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ジ(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ジ(4-アミノシクロヘキシル)プロパン又は1,5-ジアミノ-2-メチルペンタンが含まれる。
【0032】
また、例えば、1,4-ジアミノブタンとアジピン酸を高温で縮合することにより得ることができるポリアミド(ポリアミド4,6)又はポリアミド4Tも好適である。この構造を有するポリアミドの製造方法は、例えば、EP-A-38 094、EP-A-38 582及びEP-A-039 524に記載されている。
【0033】
また、2種以上の上述したモノマーの共重合により得ることができるポリアミド、又は任意の所望の混合比での複数のポリアミドの混合物も好適である。
【0034】
好適なポリアミドは、好ましくは265℃未満の融点を有するか、又は非晶質の特性を有する。
【0035】
以下の非網羅的なリストには、記載されているポリアミド、及び本発明の意味の範囲内のさらなるポリアミド(成分A)を含む)、及び存在するモノマーが含まれる。
【0036】
ABポリマー:
PA 4 ピロリドン
PA 6 ε-カプロラクタム
PA 7 エタノールラクタム
PA 8 カプリロラクタム
PA 9 9-アミノペラルゴン酸
PA 11 11-アミノウンデカン酸
PA 12 ラウロラクタム
AA/BBポリマー:
PA 46 テトラメチレンジアミン、アジピン酸
PA 66 ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸
PA 69 ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸
PA 610 ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸
PA 612 ヘキサメチレンジアミン、デカンジカルボン酸
PA 613 ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンジカルボン酸
PA 1212 1,12-ドデカンジアミン、デカンジカルボン酸
PA 1313 1,13-ジアミノトリデカン、ウンデカンジカルボン酸
PA 6T ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PA MXD6 m-キシリレンジアミン、アジピン酸
PA 9T ノナメチレンジアミン、テレフタル酸
AA/BBポリマー:
PA 6I ヘキサメチレンジアミン、イソフタル酸
PA 6-3-T トリメチルヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PA 6/6T (PA 6及びPA 6Tを参照)
PA 6/66 (PA 6及びPA 66を参照)
PA 6/12 (PA 6及びPA 12を参照)
PA 66/6/610 (PA 66、PA 6及びPA 610を参照)
PA 6I/6T (PA 6I及びPA 6Tを参照)
PAPACM 12 ジアミノジシクロヘキシルメタン、ラウロラクタム
PA 6I/6T/PACMT PA 6I/6T+ジアミノジシクロヘキシルメタン、テレフタル酸
PA 6T/6I/MACMT PA 6I/6T+ジメチルジアミノシクロヘキシルメタン、テレフタル酸
PA 6T/6I/MXDT PA 6I/6T+m-キシリレンジアミン、テレフタル酸
PA 12/MACMI ラウロラクタム、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、イソフタル酸
PA 12/MACMT ラウロラクタム、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、テレフタル酸
PA PDA-T フェニレンジアミン、テレフタル酸
PA 6T/6I (PA 6T及びPA 6Iを参照)
PA 6T/66 (PA 6T及びPA 66を参照)。
【0037】
成分B)は、少なくとも1種の脂肪族ポリアミドと、少なくとも1種の半芳香族又は芳香族ポリアミドとのブレンドであってもよい。
【0038】
ポリアミド6I/6Tの代わりに、又はそれに加えて、ポリアミド6I、又はメチルペンタメチレンジアミン及びイソフタル酸/テレフタル酸をベースとするポリアミド1.5I/1.5T、又はそれらの混合物、及びまたポリアミドをベースとする熱可塑性エラストマーも使用可能である。
【0039】
また、例えば、以下の成分、
A’)15~84質量%の少なくとも1種のラクタム、
B’)16~85質量%の、以下の成分
B1’)少なくとも1種のC32~C40-ダイマー酸、及び
B2’)少なくとも1種のC~C12-ジアミン
を含むモノマー混合物(M)
を重合することにより製造したコポリアミドを併用することも可能であり、
ここで、成分A’)及びB’)の質量%は、いずれの場合も、成分A’)及びB’)の質量%の合計に基づくものである。PA6/6,36は、このような成分として特に好ましい。
【0040】
上述したポリアミド/成分A)に加えて、さらなるポリマーの併用も可能である。
【0041】
好ましくは、成分A)とは異なる熱可塑性ポリマーは、
- C~C10-モノオレフィン、例えばエチレン又はプロピレン、1,3-ブタジエン、2-クロロ-1,3-ブタジエン、ビニルアルコール及びそのC~C10-アルキルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、分岐及び非分岐C~C10-アルコールのアルコール成分を有するアクリレート及びメタクリレート、ビニル芳香族のもの、例えばスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸、及び無水マレイン酸から選択される少なくとも1種のモノマーを共重合の形態で含むホモポリマー又はコポリマー、
- ビニルアセタールのホモポリマー及びコポリマー、
- ポリビニルエステル、
- ポリエステル、例えばポリアルキレンテレフタレート、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、
- ポリエーテル、
- ポリエーテルケトン、
- ポリスルフィド、
- ポリスルホン、
- ポリエーテルスルホン、
- セルロースアルキルエステル、
及びそれらの混合物から選択される。
【0042】
例には、C~Cアルコール、特にブタノール、ヘキサノール、オクタノール及び2-エチルヘキサノールの群からの同一又は異なるアルコール基を有するポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート-ブチルアクリレートのコポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンのコポリマー(ABS)、エチレン-プロピレンのコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンのコポリマー(EPDM)、ポリスチレン(PS)、スチレン-アクリロニトリルのコポリマー(SAN)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)、スチレン-ブタジエン-メチルメタクリレートのコポリマー(SBMMA)、スチレン-無水マレイン酸のコポリマー、スチレン-メタクリル酸のコポリマー(SMA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリビニルアセテート(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシ酪酸(PHB)、ポリヒドロキシ吉草酸(PHV)、ポリ乳酸(PLA)、エチルセルロース(EC)、セルロースアセテート(CA)、セルロースプロピオネート(CP)、又はセルロースアセテート/ブチレート(CAB)が含まれる。
【0043】
本発明の文脈において、「フィラー及び強化剤」(=使用可能な成分B))という用語は、広く解釈され、粒子状フィラー、繊維状の物質及び任意の中間形態を含む。粒子状フィラーは、粉塵の形態の粒子から大きな粒まで、幅広い粒径を有してもよい。考えられるフィラー材には、有機又は無機のフィラー及び強化剤が含まれる。ここでは、例えば、無機フィラー、例えばカオリン、チョーク、ワラストナイト、タルク、炭酸カルシウム、シリケート、二酸化チタン、酸化亜鉛、グラファイト、ガラス粒子、例えばガラス球、ナノスケールのフィラー、例えばカーボンナノチューブ、ナノスケールのフィロシリケート、ナノスケールの酸化アルミニウム(Al)又は硫酸バリウム、ナノスケールの二酸化チタン(TiO)、グラフェン、永久磁性又は磁化可能な金属化合物及び/又は合金、フィロシリケート及びナノスケールの二酸化ケイ素(SiO)が使用可能である。また、フィラーは表面処理されていてもよい。
【0044】
本発明による成形材料に使用可能なフィロシリケートの例には、カオリン、蛇紋岩、タルク、マイカ、バーミキュライト、イライト、スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、複水酸化物又はそれらの混合物が含まれる。フィロシリケートは、表面処理されていても、処理されていなくてもよい。
【0045】
好ましくはないが、1種以上の繊維状物質を使用してもよい。これらは好ましくは、既知の無機強化繊維、例えばホウ素繊維、炭素繊維、シリカ繊維、セラミック繊維及びバサルト繊維;有機強化繊維、例えばアラミド繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維、及び天然繊維、例えば木繊維、亜麻繊維、麻繊維及びサイザル繊維から選択される。
【0046】
本発明の熱可塑性成形材料は、成分B)又はその一部として、0~20質量%、好ましくは0~10質量%のガラス繊維を含んでもよい。
【0047】
本発明による成形組成物は、成分B)又はその一部として、例えば1~10質量%又は1~5質量%のガラス繊維を含む。しかしながら、ガラス繊維が存在しない場合が好ましい。
【0048】
特に切断されたガラス繊維を使用してもよい。成分B)は特にガラス繊維を含み、短い繊維を使用することが好ましい。これらは、好ましくは、2~50mmの範囲の長さ及び5~40μmの直径を有する。あるいは、連続繊維(ロービング)を使用することも可能である。好適な繊維には、円形及び/又は非円形の断面積を有するものが含まれ、ここで、後者の場合、主断面軸の副断面軸に対する寸法比は、特に2を超え、好ましくは2~8の範囲、特に好ましくは3~5の範囲である。
【0049】
特定の実施態様において、成分B)は、いわゆる「フラットガラス繊維」を含む。これらは、具体的には、長円形又は楕円形の断面積、又は首のある(necked)楕円形の断面積(いわゆる「コクーン(繭)」繊維)、又は長方形又は実質的に長方形の断面積を有する。ここでは、非円形の断面積を有し、主断面軸の副断面軸に対する寸法比が2を超え、好ましくは2~8、特に3~5であるガラス繊維を使用することが好ましい。
【0050】
本発明による成形材料の強化は、円形及び非円形の断面を有するガラス繊維の混合物を使用して行われてもよい。特定の実施態様において、上記で定義したように、フラットガラス繊維の割合が優勢であり、すなわち、それは繊維の総質量の50質量%超を占めている。
【0051】
ガラス繊維のロービングを成分B)として使用する場合、前記繊維は、好ましくは10~20μm、好ましくは12~18μmの直径を有する。これらのガラス繊維の断面は、円形、長円形、楕円形、実質的に長方形又は長方形であってもよい。2~5の断面軸の比を有するいわゆるフラットガラス繊維が特に好ましい。特に、Eガラス繊維を使用する。しかしながら、他の任意のタイプのガラス繊維、例えばA、C、D、M、S又はRのガラス繊維、又はそれらの任意の所望の混合物、又はEガラス繊維との混合物を使用することも可能である。
【0052】
好適な好ましい添加剤B)としては、離型助剤及び熱安定剤に加えて、難燃剤、光安定剤(UV安定剤、UV吸収剤又はUV遮断剤)、染料、カーボンブラック、核剤、有機又は無機顔料又は金属顔料、金属フレーク、金属被覆粒子、帯電防止剤、導電性添加剤、離型剤、蛍光増白剤、消泡剤などが挙げられる。本発明によれば、着色剤は、成形材料全体に基づいて、0.05~10質量%、好ましくは0.1~5質量%の量で使用される。
【0053】
成分B)としてカーボンブラックの併用も可能である。本発明による組成物は、例えば0.01~5質量%、好ましくは0.05~3質量%、好ましくは0.01~2.5質量%のカーボンブラックを含む。工業用カーボンブラックとしても知られるカーボンブラックは、高い表面積対体積比を有する炭素の改質物であり、80~99.5質量%の炭素からなる。工業用カーボンブラックの比表面積は、約10~1500m/g(BET)である。カーボンブラックは、チャネルブラック、ファーネスブラック、フレームブラック、クラッキングブラック又はアセチレンブラックの形態で製造することができる。粒径は、8~500nm、典型的に8~110nmの範囲である。カーボンブラックは、pigment black 7又はlamp black 6とも呼ばれている。カラーブラックは、ナノ粒子状のカーボンブラックであり、その微細さゆえに、従来のカーボンブラックの茶色のベース色相がますます失われていく。
【0054】
成分B)として、効果顔料、例えば金属顔料、真珠光沢顔料、カーボンブラック、染料、潤滑剤、及び任意に熱安定剤及びUV安定剤を含む顔料を使用することが好ましい。好ましくは、難燃剤を使用しない。無機フィラーを併用することも可能である。ガラス繊維の使用は、部品の表面の光沢を損なう可能性があるため、あまり好ましくない。
【0055】
成分B)は、0.1~2質量%、好ましくは0.1~1質量%の離型剤を含んでもよい。
【0056】
本発明による成形材料は、成分B)として、組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.01~3質量%、特に好ましくは0.02~2質量%、特に0.05~1.0質量%の少なくとも1種の熱安定剤を含んでもよい。
【0057】
好ましくは、熱安定剤は、銅化合物、2級芳香族アミン、立体障害フェノール、ホスファイト、ホスホナイト、及びそれらの混合物から選択される。
【0058】
銅化合物を使用する場合、銅の量は、組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.003~0.5質量%、特に0.005~0.3質量%、特に好ましくは0.01~0.2質量%である。
【0059】
2級芳香族アミンをベースとする安定剤を使用する場合、これらの安定剤の量は、組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.2~2質量%、特に好ましくは0.2~1.5質量%である。
【0060】
立体障害フェノールをベースとする安定剤を使用する場合、これらの安定剤の量は、組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.1~1.5質量%、特に好ましくは0.2~1質量%である。
【0061】
ホスファイト及び/又はホスホナイトをベースとする安定剤を使用する場合、これらの安定剤の量は、組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.1~1.5質量%、特に好ましくは0.1~1質量%である。
【0062】
1価又は2価の銅の好適な化合物B)は、例えば、1価又は2価の銅と無機酸又は有機酸又は1価又は2価のフェノールとの塩、1価又は2価の銅の酸化物、又は銅塩とアンモニア、アミン、アミド、ラクタム、シアニド又はホスフィンとの錯体、好ましくはハロゲン化水素酸又はシアン化水素酸のCu(I)又はCu(II)塩、又は脂肪族カルボン酸の銅塩である。1価の銅化合物であるCuCl、CuBr、CuI、CuCN及びCuO、及び2価の銅化合物であるCuCl、CuSO、CuO、酢酸銅(II)又はステアリン酸銅(II)又はピロリン酸銅(II)が特に好ましい。
【0063】
銅化合物は、市販されており、及び/又はその製造方法は当業者に知られている。銅化合物は、そのまま、又は濃縮物の形態で使用されてもよい。濃縮物とは、高濃度の銅塩を含む、好ましくは成分B)と同じ化学的性質のポリマーを意味すると理解されたい。濃縮物の使用は、慣例的なプロセスであり、特に非常に少量の投入材料を添加する場合によく使用される。銅化合物を、さらなる金属ハロゲン化物、特にアルカリ金属ハロゲン化物、例えばNaI、KI、NaBr又はKBrと組み合わせて使用することが有利であり、ここで、金属ハロゲン化物の銅ハロゲン化物に対するモル比は、0.5~20、好ましくは1~10、特に好ましくは3~7である。
【0064】
本発明に従って使用可能な、2級芳香族アミンをベースとする安定剤の特に好ましい例には、フェニレンジアミンとアセトンとの付加物(Naugard(登録商標)A)、フェニレンジアミンとリノレン酸との付加物、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(Naugard(登録商標)445)、N,N’-ジナフチル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-シクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、又はそれらの2種以上の混合物が含まれる。
【0065】
本発明に従って使用可能な、立体障害フェノールをベースとする安定剤の好ましい例には、N,N’-ヘキサメチレンビス-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド、ビス(3,3-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)ブタン酸)グリコールエステル、2,1’-チオエチルビス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル))プロピオネート、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、又はこれらの安定剤の2種以上の混合物が含まれる。
【0066】
好ましいホスファイト及びホスホナイトとしては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリチルジホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリチルジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリチルジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリチルジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリチルジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリチルジホスファイト、ビス(2,4,6-トリス(tert-ブチルフェニル))ペンタエリスリチルジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、6-イソオクチルオキシ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12H-ジベンゾ-[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、6-フルオロ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12-メチルジベンゾ-[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)メチルホスファイト及びビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイトが挙げられる。特に、トリス[2-tert-ブチル-4-チオ(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチル)フェニル-5-メチル]フェニルホスファイト及びトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト(Irganox(登録商標)168:BASF SE社から市販されている)が好ましい。
【0067】
ガラス繊維、フィラー、強化剤は、成形材料の光学的特性を損なうため、使用しないことが特に好ましい。
【0068】
ポリアミド成形材料は、それ自体既知の方法で製造される。これらの方法には、各成分を適切な質量割合で混合することが含まれる。
【0069】
また、各成分又はそれらの混合物のリサイクレートを使用することも可能である。
【0070】
成分の混合は、好ましくは、混合、ブレンド、混練、押出又は圧延によって高温で行われる。混合時の温度は、好ましくは220℃~360℃、特に好ましくは240℃~350℃、特に250℃~340℃の範囲である。好適な方法は当業者に知られている。
【0071】
成形品
本発明はさらに、本発明によるポリアミド成形材料を使用して製造される成形品に関する。
【0072】
本発明のポリアミド成形材料は、任意の所望の好適な加工技術によって成型物を製造するために使用することができる。好適な加工技術は、特に、射出成形、押出成形、共押出成形、熱成形、又は任意の他の既知のポリマー成形方法である。
【0073】
好ましい熱可塑性成形材料、及びそれで製造されたフィルム又は成形品は、DBL 5416,7.3に従って試験した後にISO 105 A02に従ったグレースケール評価において、少なくとも4、好ましくは4.4~5又は5のグレースケールを有する。
【0074】
さらに有利には、本発明のポリアミド成形材料は、自動車用成形物、電気及び電子装置用の成形物の製造、及び消費財分野の成形物に使用することに適している。
【0075】
自動車部門の構成要素の形態又はその一部としての成形品は、特定の実施態様である。
【0076】
自動車内装の可能な用途としては、ダッシュボード、ステアリングコラムスイッチ、シート部品、ヘッドレスト、センターコンソール、ドアモジュールが挙げられ、自動車外装可能な用途としては、A、B、C又はDピラーカバー、スポイラー、ドアハンドルカバー、車外ミラー部品、ワイパー部品、ワイパー保護ハウジング、装飾グリル、カバーストリップ、ルーフレール、窓フレーム、サンルーフフレーム、アンテナトリムカバー、フロントライト及びテールライト、ラジエーターグリル及び車体外装部品が挙げられる。
【0077】
さらに特定の実施態様は、電気又は電子の受動部品又は能動部品それ自体又はそれらの部品として、ハウジング構成要素、フィルム、導管、特にスイッチの形態又はその部品としての成形品を形成する。
【0078】
成形物には、好ましくは、機械的靭性を必要とする機能要素が含まれる。このような機能要素の例としては、フィルムヒンジ、スナップインフック及びばね舌片(spring tongues)が挙げられる。
【0079】
本発明によるポリアミドのキッチン及び家庭分野での可能な用途は、ドアハンドル、又はキッチン機器の部品、例えばフライヤー、アイロン、及びまた庭園分野での用途、例えば灌漑システム又は園芸機器の部品の製造である。
【0080】
成形物を製造するためのポリアミド成形材料は、それ自体既知の方法によって製造される。ここでは、ポリアミド組成物を製造するための上述したプロセスが参照される。これらには、適切な質量割合の成分を混合することが含まれる。成分の混合は、好ましくは、混合、ブレンド、混練、押出又は圧延によって高温で行われる。混合時の温度は、好ましくは220℃~360℃、特に好ましくは240℃~350℃、特に250℃~340℃の範囲である。個々の成分を事前に混合することが有利である。さらに、ポリアミドの融点よりもかなり低い温度で製造された、事前に混合された成分及び/又は個々の成分の物理的な混合物(乾燥ブレンド)から直接成形物を製造することも可能である。その場合、混合時の温度は、好ましくは0℃~100℃、特に好ましくは10℃~50℃、特に室温(25℃)である。成形材料は、慣用的なプロセスによって、例えば射出成形又は押出成形によって成形物に加工されてもよい。
【0081】
本発明は、以下の実施例によって、より詳細に説明される。すべての実施例は、黒色の化合物に関するものであり、さらに可能なすべての色についての例となる。黒色の成形品において表面変化は最も明確に認識することができるので、黒色は、特に道路用塩及び自動洗車機に対する耐性の点で最も重要な色合いである。
【実施例
【0082】
材料:
PA 6,10:DuPont社のZytel(登録商標)RS LC3060 NC010
PA 6:BAS社のUltramid(登録商標)B27、VN=150mL/g
PA 66/6:85質量%のPA 66、15質量%のPA 6を含むコポリマー、VN=145mL/g
PA 66:BAS社のUltramid(登録商標)A27、VN=150mL/g
SAN:Styrolution社のLuran(登録商標)HH 120 SPF50
カーボンブラック:Cabot社のBlack Pearls(登録商標)880
ステアリン酸カルシウム:Baerlocher社のCeasit(登録商標)。
【0083】
特性評価方法:
ISO 179/1eU(2018年版)に準拠した、ノッチ付き衝撃強度;
DIN EN ISO 2813 (2015年)に準拠した、光沢決定;
ダイムラー規格DBL5416,7.3(2011-02)に準拠した、道路用塩耐性
DIN EN ISO 20566 (2013-06)に準拠した、自動洗車機耐性:
- 洗浄ブラシ:直径1000mm、幅400mm、材質ポリエチレン、X字型スプライス、毛の厚さ0.8mm、毛の長さ440mm、浸漬深さ100mm、ブラシ速度120rpm
- スプレーノズル:ステンレス製、開口部角度60°、300kPasでの水流量2.2L/分
- サンプルテーブルの前進速度:(5±0.2)m/分
- 洗浄液:飲料水1リットル当たり1.5gの石英粉(平均粒径24μm)の懸濁液
- 室内環境:温度(23±2)℃及び大気湿度(50±5)%の空調設備のある部屋
- 試験の実施:サンプルを、標準的な温度及び湿度の条件下で16時間調整した。その後、光沢のゼロ値を決定した。その後、サンプルプレートをサンプルテーブルに置き、10回のダブルストロークを行った。続いて、サンプルプレートを冷水で洗浄した後、好適な溶媒(例えばエタノール)及び布で洗浄し、10分間フラッシュオフした。その後、試験したサンプルの光沢値を測定した
ISO 105 A02(1993-09)に準拠した、グレースケールの決定。
【0084】
化合物の製造
参考例2~8、実施例1~6
Coperion社のZSK 26 MC二軸押出機を用いて、25kg/hの処理量及び260℃のハウジング温度で各成分を溶融混合することにより、比較例及び本発明の実施例に記載のプラスチック成形材料を製造した。溶融物を、4mmのダイを通してストランドとして排出し、水浴中でペレット化可能になるまで冷却し、ペレット化した。
【0085】
試験試料の製造
参考例1:
ISO 179-2/1 eAに従って、Arburg 420C射出成形機を用いて、約240℃の溶融物温度及び約80℃の鋳型温度で、ノッチ付き衝撃強度を試験するための試料を製造した。同じ射出成形機、同じ温度で、高度に研磨したカウンタープレートを使用して、光沢評価、及び道路用塩及び自動洗車機に対する耐性試験のための、60×60×2mmの寸法を有するプレートを製造した。
【0086】
参考例2~8、実施例1~6:
ISO 179-2/1 eAに従って、Arburg 420C射出成形機を用いて、約280℃の溶融物温度及び約100℃の鋳型温度で、ノッチ付き衝撃強度を試験するための試料を製造した。同じ射出成形機で、約270℃の溶融物温度及び約30℃の鋳型温度で、高度に研磨したカウンタープレートを使用して、光沢評価、及び道路用塩及び自動洗車機に対する耐性試験のための、60×60×2mmの寸法を有するプレートを製造した。
【0087】
結果を表1にまとめている。
【0088】
結果の評価
参考例1:SAN(Luran(登録商標)HH 120 SPF50)は、ピアノラッカーのような高光沢の外観を有する自動車外装部品用の市販製品である。この材料は非常に高い光沢値を有する;しかしながら、非常に脆いため、例えばスナップフックのような機能性を統合した部品、又は衝突に関連する部品にはあまり適していない。また、洗車試験での光沢保持率が非常に低い。
【0089】
参考例2~4:標準的なポリアミド、例えばPA6、PA6,6、PA6,6/6は、許容可能な光沢値で著しく高い靭性を持ち、自動洗車機に対する耐性も著しく向上しているが、これらの材料では道路用塩耐性が低い。
【0090】
参考例5:PA6,10(Zytel(登録商標)RX LC3060)は、道路用塩に対して非常に優れた耐性を持っている。しかしながら、純PA6,10を使用した場合、標準的なポリアミド(参考例2~4)と比較して初期光沢が低く、光沢維持率が低下する。
【0091】
参考例6:100部のPA6,10と25部のPA6,6との混合物は、道路用塩に対する耐性があり、純PA6,10と比較して自動洗車機に対する耐性が優れているが、初期光沢値はさらに低下する。
【0092】
DIN EN ISO 2813(2015年)に準拠した少なくとも88の光沢単位を有する表面は、高光沢とみなされる。
【0093】
参考例7及び8:100部のPA6,10と120部以上のPA6及び/又はPA6,6/6との混合物は、道路用塩に対する耐性が著しく低下する。
【0094】
実施例1~6:100部のPA6,10と5~90部のPA6及び/又はPA6,6/6との混合物は、純PA6,10と比較して、自動洗車機でのテストにおいて向上した光沢及び光沢維持率、同等の靭性及び高い道路用塩耐性を示している(テストによればグレースケールが少なくとも4)。
【0095】
【表1】