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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】発光装置及び光源装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/54 20100101AFI20240703BHJP
【FI】
H01L33/54
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021023734
(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公開番号】P2022125901
(43)【公開日】2022-08-29
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大田 泰三
【審査官】皆藤 彰吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-154766(JP,A)
【文献】特開2004-104077(JP,A)
【文献】特開2005-184033(JP,A)
【文献】特開平11-003051(JP,A)
【文献】実開昭63-009165(JP,U)
【文献】特表2012-532349(JP,A)
【文献】特開2012-069589(JP,A)
【文献】特開2007-157911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、前記基台に載置された発光素子と、前記基台の一部及び前記発光素子を直接的又は間接的に覆う被覆部材と、を備え、
前記被覆部材は、下部と、上部と、前記下部と前記上部との間に画定される中間部と、が連続して形成されており、
前記発光素子は、前記上部又は前記中間部に配置され、
平面視で、前記下部は、楕円形又は楕円の一部が欠けた欠楕円形であり、前記上部は、円形又はの一部が欠けた欠円形であり、前記上部の円形又は欠円形の直径は、前記下部の楕円形又は欠楕円形の長径よりも小さい発光装置。
【請求項2】
前記被覆部材は、前記上部から前記下部の方向へ切断した断面視で前記上部が円弧状に湾曲している請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記被覆部材は、前記下部の長径に沿って、かつ、前記上部から前記下部の方向へ切断した断面視で、前記中間部が台形であり、前記台形の上辺が下辺よりも短い請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記中間部は、前記台形の左辺及び右辺が直線又は内側に向かって凸となる湾曲状の曲線である請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記曲線は、曲率半径が1.5mm以上2.0mm以下である請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記基台は、一方向に沿って配置された第1リードと第2リードと、を備え、前記第2リードは、上向きの面と内側面とを少なくとも有する凹部を持つカップ部を有し、前記発光素子は、前記凹部を画定する前記上向きの面に載置される請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記下部は、楕円形又は欠楕円形の長径が前記一方向と平行である請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記凹部に前記発光素子を覆う透光性部材が配置され、前記被覆部材は前記透光性部材を介して前記発光素子を覆う請求項6又は請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記上部の円形又は欠円形の直径と前記下部の楕円形又は欠楕円形の長径の比率は、前記上部の円形又は欠円形の直径を1としたときに、前記下部の楕円形又は欠楕円形の長径が1.001以上1.34未満である請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記上部の円形又は欠円形の直径と前記下部の楕円形又は欠楕円形の短径の比率は、前記上部の円形又は欠円形の直径を1としたときに、前記下部の楕円形又は欠楕円形の短径が1以上1.1以下である請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記下部の楕円形又は欠楕円形の長径が略3.9mm、前記下部の楕円形又は欠楕円形の短径が略3.1mmであり、前記上部の円形又は欠円形の直径が略3mmである請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項12】
前記下部の欠楕円形は、平面視で、楕円の短径方向の一端が欠けた欠楕円形、又は、楕円の長径方向の一端が欠けた欠楕円形である請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項13】
前記被覆部材は、着色剤を含有する請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の複数の発光装置と、
前記被覆部材の前記下部が対向するように前記発光装置が載置された実装基板と、を備え、
複数の前記発光装置は、平面視で、前記下部の楕円形又は欠楕円形の長径が平行になるように複数行配置されると共に、前記複数行の隣り合う行に亘る前記発光装置の3つを1組として、各組の3つの前記発光装置の中心を仮想的に結んだ直線が三角形となる位置に載置される光源装置。
【請求項15】
請求項14に記載の複数の前記発光装置を備え、
前記各組の3つの発光装置は、それぞれ、青色光を発光する第1発光装置、緑色光を発光する第2発光装置、赤色光を発光する第3発光装置である請求項14に記載の光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置及び光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置として、砲弾型の発光装置が知られている。例えば特許文献1には、平面視形状が楕円形の半導体発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2809951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発光装置では、高輝度かつ高密度での実装を可能とすることについて、更なる改善の余地がある。
本開示に係る実施形態は、高輝度かつ高密度での実装が可能な発光装置及び光源装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態に係る発光装置は、基台と、前記基台に載置された発光素子と、前記基台の一部及び前記発光素子を直接的又は間接的に覆う被覆部材と、を備え、前記被覆部材は、下部と、上部と、前記下部と前記上部との間に画定される中間部と、が連続して形成されており、前記発光素子は、前記上部又は前記中間部に配置され、平面視で、前記下部は、略楕円形又は略楕円の一部が欠けた略欠楕円形であり、前記上部は、略円形又は略円の一部が欠けた略欠円形であり、前記上部の略円形又は略欠円形の直径は、前記下部の略楕円形又は略欠楕円形の長径よりも小さい。
【0006】
本開示の実施形態に係る光源装置は、前記記載の複数の発光装置と、前記被覆部材の前記下部が対向するように前記発光装置が載置された実装基板と、を備え、複数の前記発光装置は、平面視で、前記下部の略楕円形又は略欠楕円形の長径が平行になるように複数行配置されると共に、前記複数行の隣り合う行に亘る前記発光装置の3つを1組として、各組の3つの前記発光装置の中心を仮想的に結んだ直線が三角形となる位置に載置される。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る実施形態の発光装置及び光源装置は、高輝度かつ高密度での実装が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】実施形態に係る発光装置の一例を模式的に示す斜視図である。
図1B】実施形態に係る発光装置の一例を模式的に示す平面図である。
図1C図1BのIC-IC線における模式断面図である。
図1D】実施形態に係る発光装置の一例を模式的に示す側面図である。
図2】実施形態に係る発光装置のカップ部の一例を模式的に示す断面図である。
図3A】実施形態に係る光源装置の一例を模式的に示す平面図である。
図3B図3AのIIIB-IIIB線における模式断面図である。
図4A】第1変形例に係る発光装置の一例を模式的に示す平面図である。
図4B】第1変形例に係る発光装置の一例を模式的に示す側面図である。
図4C】第2変形例に係る発光装置の一例を模式的に示す平面図である。
図4D】第3変形例に係る発光装置の一例を模式的に示す平面図である。
図4E】第4変形例に係る発光装置の一例を模式的に示す断面図であり、図1BのIC-IC線における模式断面図に対応する。
図5A】参考例1に係る発光装置の正面図である。
図5B】参考例1に係る発光装置の背面図である。
図5C】参考例1に係る発光装置の平面図である。
図5D】参考例1に係る発光装置の底面図である。
図5E】参考例1に係る発光装置の右側面図である。
図5F】参考例1に係る発光装置の左側面図である。
図5G図5CのVG-VG断面図である。
図5H】透明部分を表す参考断面図である。
図6A】参考例2に係る発光装置の正面図である。
図6B】参考例2に係る発光装置の背面図である。
図6C】参考例2に係る発光装置の平面図である。
図6D】参考例2に係る発光装置の底面図である。
図6E】参考例2に係る発光装置の右側面図である。
図6F】参考例2に係る発光装置の左側面図である。
図6G図6CのVIG-VIG断面図である。
図6H】透明部分を表す参考断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態を、以下に図面を参照しながら説明する。但し、以下に示す形態は、本実施形態の技術思想を具現化するための発光装置及び光源装置、並びに、発光装置の製造方法及び光源装置の製造方法を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる例示に過ぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張又は簡略化していることがある。また、実施形態について、「覆う」とは直接接する場合に限らず、間接的に、例えば他の部材を介して覆うする場合も含む。
【0010】
《実施形態》
図1Aは、実施形態に係る発光装置の一例を模式的に示す斜視図である。図1Bは、実施形態に係る発光装置の一例を模式的に示す平面図である。図1Cは、図1BのIC-IC線における模式断面図である。図1Dは、実施形態に係る発光装置の一例を模式的に示す側面図である。図2は、実施形態に係る発光装置のカップ部の一例を模式的に示す断面図である。
【0011】
[発光装置]
はじめに、発光装置100について説明する。
発光装置100は、基台10と、基台10に載置された発光素子20と、基台10の一部及び発光素子20を直接的又は間接的に覆う被覆部材40と、を備えている。
被覆部材40は、下部41と、上部43と、下部41と上部43との間に画定される中間部42と、が連続して形成されており、発光素子20は、上部43に配置されている。
平面視で、下部41は、略楕円形であり、上部43は、略円形であり、上部43の略円形の直径Dは、下部41の略楕円形の長径MAよりも小さく形成されている。
【0012】
発光装置100は、少なくとも基台10と、発光素子20と、被覆部材40と、を備えている。発光装置100は、透光性部材30を備えていてもよい。
【0013】
基台10は、一方向Xに沿って配置された第1リード11と第2リード12と、を備える。第1リード11は、例えばアノード電極であり、第2リード12は、例えばカソード電極である。銀のマイグレーションを抑制する観点から、後述するカップ部121を有するリードをカソード電極として用いることが好ましい。第1リード11及び第2リード12は、上部43の上下方向における中央付近から下部41の上下方向における下方向に延びている。そして、下部41の下面から突き出て所定長さに形成されている。
【0014】
第1リード11は、第1ボトム部112と、第1ボトム部112に連続する第1接合部113と、第1接合部113に連続する第1基板挿入部114と、を有する。第1ボトム部112は、長尺状に細長く形成されている。また、被覆部材40に覆われている第1ボトム部112の上方部分は、第2リード12に近づく方向へ凹む凹状の部分を有している。第1ボトム部112の上端は、発光素子20の導電部材21が接続できるように平坦に形成されている。発光装置100の実装基板60の上面からの取付高さは、発光装置100を実装基板60に載置した際に、第1接合部113と第1基板挿入部114の界面が実装基板60の上面と接合することで設定される。第1接合部113は、一方向Xに幅広になるように形成されていてもよい。第1基板挿入部114は、発光装置100を実装基板60に載置した際に、実装基板60に挿入される部位である。第1基板挿入部114は、実装基板60に挿入されて外部電極と接続される。
【0015】
第2リード12は、カップ部121と、カップ部121に連続する第2ボトム部122と、第2ボトム部122に連続する第2接合部123と、第2接合部123に連続する第2基板挿入部124と、を有する。第2ボトム部122の上端は、発光素子20の導電部材22が接続できるように平坦に形成されている。また、カップ部121は、第2リード12の上端に設けられ、第2ボトム部122の平坦面と隣接している。カップ部121は、上向きの面である底面151と内側面152とを少なくとも有する凹部15を有している。凹部15は、被覆部材40の上部43に向かって広がる開口を有している。凹部15の開口は、底面151と内側面152とによって画定されている。凹部15の内側面152が凹部15の底面151から凹部15の開口方向に向かって広がるように傾斜して形成されている。凹部15の開口は、例えば、平面視において略円形や略楕円形に形成されている。本実施形態の平面視とは、第1リード11と第2リード12が伸びる方向において発光装置100を被覆部材40の上部43側から見下ろした状態の視野を示している。
【0016】
凹部15は、凹部15の底面151からカップ部121の上面までの、凹部15の底面151に対して垂直方向の高さh1が0.2mm以上0.4mm以下であることが好ましい。高さh1が0.2mm以上であれば、凹部15の内側面152によって発光素子20の側方から出る光を反射するため、発光素子20上への光取出しをよくすることができる。一方、高さh1が0.4mm以下であれば、発光素子20から出る光を凹部15の内側面152による複数回の反射を抑えることができ、発光素子20上への光取出しをよくすることができる。前記の効果をより発揮させる観点から、より好ましくは0.25mm以上0.35mm以下である。
【0017】
第2ボトム部122は、長尺状に細長く形成されている。また、被覆部材40に覆われている第2ボトム部122の上方部分は、第1リード11に近づく方向へ凹む凹状の部分を有している。第2接合部123及び第2基板挿入部124は、それぞれ第1接合部113及び第1基板挿入部114と同様の構成を有し、第1接合部113及び第1基板挿入部114に並列して配置されている。なお、第1基板挿入部114及び第2基板挿入部124は長尺状に形成されているが、ここでは図示を簡略化している。
基台10の材料としては、例えば、鉄、銅、鉄入り銅、錫入り銅や、銅めっき、金めっき、若しくは、銀めっきをした、アルミニウム、鉄、銅等、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0018】
発光素子20は、凹部15の底面151に載置されている。発光素子20の形状や大きさ等は任意のものを選択できる。発光素子20の平面視形状は、例えば正方形や長方形、六角形である。発光素子20の発光色としては、用途に応じて任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色系(波長430~500nmの光)、緑色系(波長500~570nmの光)の発光素子20としては、窒化物系半導体(InAlGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaP等を用いたものを使用することができる。赤色系(波長610~700nmの光)の発光素子20としては、窒化物系半導体素子の他にもGaAlAs、AlInGaP等を用いることができる。
【0019】
発光素子20は、上面に一対の電極を備え、第2リード12の凹部15の底面151にフェイスアップ実装されている。ここでは、発光素子20の一方の電極がワイヤ等の導電部材21を介して第1リード11に接合され、他方の電極がワイヤ等の導電部材22を介して第2リード12に接合されている。
【0020】
発光素子20は、ここでは被覆部材40の上部43に配置されている。具体的には、発光素子20は、平面視で上部43の円の略中心の位置に配置されている。略中心とは、厳密な意味での中心に限られず、中心に近いと視認される程度の位置を含むものである。例えば、中心から直径の10%ずれた位置でもよい。また発光素子20は、下部41の長径MAに沿って、かつ、上部43から下部41の方向へ切断した断面視で、凹部15の底面151に対して垂直方向の上部43における高さの1/4程度の位置に配置されている。なお、発光素子20は、中間部42に配置されていてもよい。発光素子20が上部43又は中間部42に配置されることで、発光素子20からの光が上部43の先端から出射し易くなり、高輝度化を図ることができる。
【0021】
透光性部材30は、凹部15に配置されて発光素子20を覆う部材である。発光装置100は、凹部15に透光性部材30を備えることで、被覆部材40が発光素子20に直接接触せず、また、被覆部材40が発光素子20の近傍に配置されないため、発光素子20の熱による被覆部材40の劣化を抑制することができる。これにより、発光装置100をより長寿命とすることができる。
【0022】
透光性部材30の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の透光性樹脂やガラス等が挙げられる。透光性部材30は透光性を有する部材又は透明体である。また、透光性部材30は、拡散材等のフィラー50を含有してもよい。透光性部材30がフィラー50を含有することで、配光変化を小さくすることができる。フィラー50としては、例えば、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。
【0023】
また、透光性部材30は、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、例えば、顔料及び染料のいずれか1つを含むものが挙げられる。顔料としては特に限定されるものではないが、例えば、無機系材料や有機系材料を用いたものがあり、以下の材料を用いたものが挙げられる。
無機系材料として、例えば、べんがら(Fe)、鉛丹(Pb)、チタンニッケルアンチモン系酸化物、チタンニッケルバリウム系酸化物、チタンクロムアンチモン系酸化物、チタンクロムニオブ系酸化物等が挙げられる。
有機系材料として、例えば、アントラキノン系、アゾ系、キナクリドン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、モノアゾ系、ジスアゾ系、ピラゾロン系、ベンツイミダゾロン系、キノキサリン系、アゾメチン系、イソイソドリノン系、イソイソドリン系等が挙げられる。
【0024】
染料としては特に限定されるものではないが、例えば、アントラキノン系染料、メチン系染料、アゾメチン系染料、オキサジン系染料、アゾ系染料、スチリル系染料、クマリン系染料、ポルフィリン系染料、ジベンゾフラノン系染料、ジケトピロロピロール系染料、ロダミン系染料、キサンテン系染料、ピロメテン系染料等が挙げられる。
なお、顔料及び染料は、基本的に発光素子20からの光を異なる波長に変換しないものがよい。後述するように、波長変換部材を含有させた場合に、波長変換部材に影響を及ぼさないためである。
【0025】
また、透光性部材30は、光安定剤を含有してもよい。光安定剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系、ヒンダードアミン系等が挙げられる。
【0026】
また、透光性部材30は、波長変換部材を含有してもよい。波長変換部材としては蛍光体が挙げられる。蛍光体としては、例えば、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット、セリウムで賦活されたテルビウム・アルミニウム・ガーネット、ユウロピウム及びクロムのうちのいずれか1つ又は2つで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム、ユウロピウムで賦活されたサイアロン、ユウロピウムで賦活されたシリケート、マンガンで賦活されたフッ化珪酸カリウム、ユウロピウムで賦活された窒化物蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I))、又は、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS又はAgInSe)等が挙げられる。
【0027】
被覆部材40は、基台10の一部及び発光素子20を覆う部材である。本実施形態では、被覆部材40は透光性部材30を介して発光素子20を間接的に覆っている。被覆部材40は、発光素子20、ワイヤ等の導電部材21,22、透光性部材30等を外部環境から保護するために設けられる。また、被覆部材40は、所望の指向特性、即ち所望の半値角を有する発光装置100とするために設けられる。
【0028】
被覆部材40は、下部41と、下部41に連続する中間部42と、中間部42に連続する上部43と、を有する。下部41と中間部42と上部43とは連続して一体に形成されている。
下部41は、被覆部材40の下側部位に位置し、実装基板60に下部41の下面が対向するように載置される。下部41は、平面視で略楕円形である。
【0029】
本実施形態の略楕円形とは、一平面上の二定点からの距離の和が一定である点の軌跡である厳密な意味での楕円形の場合に限られず、楕円形に近いと視認される程度の形状を含むものである。例えば、一方向に円を伸長させた長円形状、小判形状又は陸上競技用のトラック形状等であってもよい。すなわち、略楕円形とは、長手方向又は短手方向に沿って延びる一対の直線又は曲線と、この一対の直線又は曲線に接続されると共に外側に向けて凸状に湾曲する一対の曲線と、によって囲まれる形状も含むものである。例えば、互いに対向する平行な2辺又は互いに対向する曲線状の2辺の同一側の端部同士をそれぞれ同一径の円弧(例えば半円の円弧)で結んだ形状が挙げられる。この場合、略楕円形の長径は、長手方向の最も長い部位の長さを指す。例えば、半円の円弧の最外端から半円の円弧の最外端までの長さである。ここでいう半円は、略楕円形の長手方向に対して垂直に通る直線によって略円形を半円にしている。また、略楕円形の短径は、長径に直交する方向の最も長い部位の長さを指す。例えば、略楕円形における長径の中央を直交する直線の長さである。
【0030】
発光装置100は、下部41が平面視で略楕円形であると、実装基板60に対向する面が略楕円形となる。そのため、高密度での実装が可能となる。一例として、後述するように、3つの発光装置100を1組として実装基板60に載置する際に、1つの発光装置100を略楕円形の短径方向に近づけて実装することができる。
下部41は、平面視で、略楕円形の長径MAが一方向Xと平行である。このような構成によれば、第1リード11及び第2リード12が一方向Xに沿って配置されているため、複数の発光装置100を実装基板60に載置する際に、略楕円形の長径MAが実装する方向と平行になるように載置し易くなる。本実施形態の平行とは、厳密な意味での平行に限らず、製造による公差や誤差の範囲内のずれを超えない程度を含むものである。
また、下部41の長径MAに沿って、かつ、上部43から下部41の方向へ切断した断面視で、被覆部材40と向き合っている第1リード11の側面から被覆部材40の内側面までの垂直方向の長さを長くすることができる。ここでいう垂直方向とは、凹部15の底面151に対して平行な方向を指す。長さを長くすることで、熱応力によるクラックが被覆部材40の内側面まで至ることを防ぐことができる。発光装置100の信頼性の観点から長さLは、0.3mm以上が好ましく、発光装置100を小型化する観点から、長さLは、0.5mm以下であることが好ましい。同様の理由で、第2リード12の側面から被覆部材40の内側面までの垂直方向の長さは、0.3mm以上であることが好ましく、0.5mm以下であることが好ましい。
【0031】
下部41は、下部41の長径MAに沿って、かつ、上部43から下部41の方向へ切断した断面視で、略台形であり、略台形の上辺(上底)が下辺(下底)よりも短く形成されている。また下部41は、断面形状である略台形の左辺(左脚)及び右辺(右脚)となる直線の傾斜が同程度である。ここでは、下部41は略楕円錐台状に形成されている。上辺が下辺よりも短い下部41にすることで、発光装置100を製造する際に、被覆部材40を成形するためのキャスティングケースから被覆部材40を引き抜き易くなる。
【0032】
ここで本実施形態の略台形とは、四角形のうちで一組の対辺が平行である厳密な意味での台形に限られず、台形に近いと視認される程度の形状を含むものである。例えば、上辺と下辺とが完全に平行ではない非平行の形態や、上辺と下辺の一方又は両方が直線状ではなく曲線状である形態も含むものである。更に、台形の左辺及び右辺の一方又は両方が直線状ではなく曲線状である形態も含むものである。例えば、上辺と下辺とが平行又は非平行であり、台形の左辺及び右辺のうち、一方又は両方が直線又は曲線である形態が挙げられる。他の部位における略台形についても同様である。
【0033】
また、本実施形態の略楕円錐台とは、厳密な意味での楕円錐台に限られず、楕円錐台に近いと視認される程度の形状を含むものである。例えば、凹部15の底面151に平行に切断した断面形状が、前記した略楕円形であればよい。また、下部41の長径MAに沿って、かつ、上部43から下部41の方向へ切断した断面視で、略台形であればよい。また、下部41の短径MIに沿って、かつ、上部43から下部41の方向へ切断した断面視で、略台形であればよい。
凹部15の底面151に対して垂直な方向における下部41の高さH1は、特に限定はされず、被覆部材40の下面から第1接合部113の上面までの高さを変えない範囲で適宜設定することができる。例えば2.3mm以上4.0mm以下である。下部41の高さH1を長くすることで、後述する防水部材70から第1リード11の第1ボトム部112及び第2リード12の第2ボトム部122を伝って発光装置100の内部に侵入する水分の侵入経路を長くすることができる。
【0034】
中間部42は、下部41と上部43との間に、画定される部位である。中間部42によって、大きさの異なる部位が接続されている。中間部42は、例えば、下部41の長径MAに沿って、かつ、上部43から下部41の方向へ切断した断面視で、上部43から出る光の配光に影響のない位置(例えば、上部43の下部分)から少なくとも凹部15の底面151の位置までを覆う位置に設けられている。中間部42は、第1リード11の凹状の部分及び第2リード12の凹状の部分をほぼ覆うように設けられていてもよい。
【0035】
中間部42は、下部41から上部43方向に向けて、平面視で略楕円形から略円形に連続して変わる形状をしている。中間部42は、下部41の長径MAに沿って、かつ、上部43から下部41の方向へ切断した断面視で、上辺が下辺よりも短い略台形である。また中間部42は、略台形の左辺及び右辺が直線であり、直線である左辺及び右辺の傾斜が同程度である。中間部42は、上部43と中間部42との境界面が略円形で、中間部42と下部41との境界面が略楕円形の略楕円錐台状に形成されている。前文の境界面とは、凹部15の底面151に対して平行方向に切断した場合を指す。発光装置100は、被覆部材40が中間部42を有することで、実装基板60に実装した場合に上部43と中間部42との接続部位、及び、中間部42と下部41との接続部位に水が溜まることを防止することができる。
【0036】
被覆部材40が中間部42を有することで、中間部42に付着した雨水等が流れやすい。下部41の長径MAに沿って、かつ、上部43から下部41の方向へ切断した断面視で上部43と中間部42との接続部位の外角が鈍角となっているからである。接続部位の外角が鈍角となっていることで、表面張力の影響を受けにくい。
凹部15の底面151に対して垂直方向における中間部42の高さH2は、特に限定はされず、被覆部材40の下面から第1接合部113の上面までの高さを変えない範囲で適宜設定することができる。例えば0.75mm以上2.7mm以下である。
【0037】
上部43は、平面視で略円形である。本実施形態の略円形とは、真円のような厳密な意味での円形の場合に限られず、円形に近いと視認される程度の形状を含むものである。例えば、公差や誤差の範囲内で歪んだり変形したりした円であってもよい。具体的には、直径の長さに対して5%以内の値を含むものとする。直径の長さに対して5%を超える値である場合は、略楕円形とする。配光特性への影響を考慮した場合、寸法公差0.05mmであることが好ましい。より好ましくは寸法公差0.02mmである。また、例えば、外形が円形となる八角以上の多角形、円周に凹凸を有する形状、円形の一部に直線が形成されたもの、多角形の角部分を曲率の小さい円弧状又は曲線状に面取りした形状、角のない丸みのある形状等であってもよい。
【0038】
上部43は、胴部431と、胴部431上に連続して設けられた上部湾曲部432と、を有する。胴部431と上部湾曲部432とは一体に形成されている。
胴部431は、上部43の下側部位に位置し、中間部42と連続して一体に形成されている。胴部431は、平面視で略円形である。胴部431は、略円形の直径Dに沿って、かつ、上部43から下部41の方向へ切断した断面視で略長方形である。なお、本実施形態の略長方形とは、厳密な意味での長方形の場合に限られず、長方形に近いと視認される程度の形状を含むものである。例えば、上辺と下辺とが完全に平行ではない非平行の形態や、上辺と下辺の一方又は両方が直線状ではなく曲線状である形態も含むものである。更に、左辺と右辺とが完全に平行ではない非平行の形態や、左辺及び右辺の一方又は両方が直線状ではなく曲線状である形態も含むものである。例えば、被覆部材40をテーパー形状とするため、上辺が下辺よりもわずかに短く左辺と右辺とがわずかに非平行となる、長方形に近い略台形であってもよい。
【0039】
胴部431は略円柱状に形成されている。ここで本実施形態の略円柱とは、例えば、凹部15の底面151を平行に切断した断面が、前記した略円形を有する形状であればよい。
凹部15の底面151に対して垂直な方向において、胴部431の高さH4は、特に限定はされず、被覆部材40の下面から第1接合部113の上面までの高さを変えない範囲で適宜設定することができる。例えば1.3mm以上3.2mm以下である。
【0040】
上部湾曲部432は、上部43から下部41の方向へ切断した断面視で上方に凸となるように弧状に形成されている。例えば、被覆部材40は、断面視で上部43の先端が円弧状に湾曲した形状とすることができる。
本実施形態の発光装置100は、上部43の形状を平面視で略円形とすることで、発光素子20が発光した光の配光の広がりを抑制することができ、高輝度化を図ることができる。
上部湾曲部432の曲線の曲率半径は、例えば1.4mm以上1.6mm以下である。凹部15の底面151に対して垂直な方向における上部43の高さH3は、特に限定はされず、被覆部材40の下面から第1接合部113の上面までの高さを変えない範囲で適宜設定することができる。例えば2.5mm以上5.0mm以下である。
【0041】
上部43の略円形の直径Dは、下部41の略楕円形の長径MAよりも小さい。上部43の略円形の直径Dと下部41の略楕円形の長径MAの比率は、上部43の略円形の直径Dを1としたときに、下部41の略楕円形の長径MAが1.001以上1.34未満であることが好ましい。より好ましくは、1.2以上1.3以下である。このような比率であれば、発光装置100をより高輝度とすると共に、より高密度での実装が可能となる。
【0042】
上部43の略円形の直径Dと下部41の略楕円形の短径MIの比率は、一例として、上部43の円形の直径Dを1としたときに、下部41の略楕円形の短径MIが1以上1.1以下であることが好ましい。このような比率であれば、発光装置100を製造する際に、被覆部材40を成形するためのキャスティングケースから被覆部材40を引き抜き易くなる。
【0043】
被覆部材40は、一例として、下部41の略楕円形の長径MAが略3.9mm、下部41の略楕円形の短径MIが略3.1mmであり、上部43の略円形の直径Dが略3mmであることが好ましい。このような構成であれば、発光装置100をより高輝度とすると共に、より高密度での実装が可能となる。また、発光装置100を製造する際に、被覆部材40を成形するためのキャスティングケースから被覆部材40を引き抜き易くなる。
ここで、例えば略3.9mmとは、3.9mmに寸法公差0.3mmをプラスマイナスした数値を意味する。具体的には、略3.9mmは、3.9mm±0.3mmである。同様に、略3.1mmは、3.1mm±0.3mmであり、略3mmは、3mm±0.3mmである。
【0044】
図1Dに示すように、被覆部材40は、前後方向の側面が下方から上方に向けて先細りするテーパー状に形成してもよい。この場合、上部43が平面視で略円形となるように、テーパー状に形成する。被覆部材40をこのような形状とすることで、発光装置100を製造する際に、被覆部材40を成形するためのキャスティングケースから被覆部材40を引き抜き易くなる。傾斜の角度αは、0.2°以上2.0°以下であることが好ましい。角度αが0.2°以上であれば、配光特性を変更しやすい。傾斜角度が小さいことで、設計できる上部43の上部湾曲部432の曲率半径が多くなるからである。一方、角度αが2.0°以下であれば、発光装置100の小型化を図ることができる。
【0045】
被覆部材40の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、シリコーン等の耐候性に優れた透光性樹脂やガラス等が挙げられる。被覆部材40は透光性を有する部材又は透明体である。
【0046】
被覆部材40は、着色剤を含有してもよい。例えば、青色の着色剤、緑色の着色剤、又は、赤色の着色剤を含有することで、青色光を発光する発光装置100、緑色光を発光する発光装置100、及び、赤色光を発光する発光装置100とすることができる。これらの発光装置100を用いることで、フルカラー表示が可能な光源装置200を製造することができる。また、被覆部材40は、拡散材等のフィラーや、光安定剤、蛍光体等を含有させてもよい。着色剤、フィラー、光安定剤、及び蛍光体については、透光性部材30で説明したものを用いることができる。
【0047】
発光装置100は、駆動した際に半値角が27°以上30°以下であることが好ましい。これにより、発光装置100の輝度をより向上させることができる。そのため、被覆部材40は、半値角がこの範囲となるように設計することが好ましい。
発光装置100は、凹部15の底面151に対して垂直な方向における、第1接合部113及び第2接合部123の上面から上部43の先端までの高さH5が、例えば9.0mm以上10.5mm以下である。
【0048】
[発光装置の動作]
発光装置100を駆動すると、第1リード11及び第2リード12を介して外部電源から発光素子20に電流が供給され、発光素子20が発光する。発光素子20が発光した光は、上方へ進む光が、被覆部材40の上部43を介して発光装置100の上方の外部に取り出される。また、下方へ進む光は、凹部15の底面151で反射され、凹部15の開口方向に放出されて被覆部材40の上部43を介して発光装置100の外部に取り出される。また、横方向へ進む光は、凹部15の内側面152で反射され、凹部15の開口方向に放出されて被覆部材40の上部43を介して発光装置100の外部に取り出される。この際、本実施形態では被覆部材40の上部43が平面視で略円形のため、発光素子20が発光した光の配光の広がりが抑制され、発光装置100の輝度が高くなる。
【0049】
[発光装置の製造方法]
次に、発光装置100の製造方法の一例について説明する。
発光装置100の製造方法は、基台準備工程と、発光素子載置工程と、導電部材接合工程と、透光性部材形成工程と、被覆部材形成工程と、を含む。
なお、各部材の材質や配置等については、前記した発光装置100の説明で述べた通りであるので、ここでは適宜、説明を省略する。
【0050】
基台準備工程は、基台10となる第1リード11及び第2リード12を準備する工程である。この工程では、例えば、基礎フレーム上に、所望の形状に成形した第1リード11及び第2リード12を形成する。
発光素子載置工程は、基台10に発光素子20を載置する工程である。この工程では、第2リード12の凹部15の底面151に、接着部材を介して発光素子20を載置する。
導電部材接合工程は、発光素子20と第1リード11及び第2リード12とを、ワイヤ等の導電部材21,22により接合する工程である。この工程では、導電部材21を介して発光素子20の一方の電極を第1リード11に接合し、導電部材22を介して他方の電極を第2リード12に接合する。
【0051】
透光性部材形成工程は、第2リード12の凹部15に透光性部材30を形成する工程である。この工程では、第2リード12の凹部15に透光性部材用の樹脂等を注入した後、樹脂等を硬化させて透光性部材30とする。
被覆部材形成工程は、基台10の一部及び発光素子20を直接的又は間接的に覆う被覆部材40を形成する工程である。この工程では、まず、被覆部材40の形状に合わせて成形した金型等のキャスティングケースを準備する。次に、キャスティングケースに被覆部材用の樹脂等を注入し、キャスティングケースに第1リード11及び第2リード12を浸漬する。その後、被覆部材用の樹脂等を硬化させて被覆部材40とする。
その後、キャスティングケースから被覆部材40を引き抜き、基礎フレームから第1リード11及び第2リード12を切り離して発光装置100とする。
【0052】
[光源装置]
次に、光源装置200について説明する。
図3Aは、実施形態に係る光源装置の一例を模式的に示す平面図である。図3Bは、図3AのIIIB-IIIB線における模式断面図である。
【0053】
光源装置200は、既に説明した構成の複数の発光装置100と、被覆部材40の下部41が対向するように発光装置100を載置した実装基板60と、を備えている。そして、複数の発光装置100は、平面視で、下部41の略楕円形の長径MAが平行になるように実装基板60に複数行配置されている。
複数の発光装置100は、左右方向に平行となるよう下部41の略楕円形の長径MAを配置することが好ましい。複数の発光装置100は、実装基板60に複数行配置された行のうち隣り合う行に亘る3つの発光装置100を1組として、各組の3つの発光装置100の中心を仮想的に結んだ直線が三角形となる位置に載置されている。仮想線が三角形となるよう配置することで、各組の3つの発光装置100を近づけて載置することができる。よって、高密度での実装が可能となる。
【0054】
光源装置200は、少なくとも発光装置100と、実装基板60と、防水部材70と、を備えている。
発光装置100は前記説明した通りである。
【0055】
実装基板60は、発光装置100を載置する部材であり、発光装置100と外部とを電気的に接続する。実装基板60は、絶縁性の基板に予め配線が形成されている。
実装基板60の絶縁性の基板は、絶縁性材料を用いることが好ましく、かつ、発光素子20から出射される光や外光等を透過しにくい材料を用いることが好ましい。例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライト等のセラミックス、PA(ポリアミド)、PPA(ポリフタルアミド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、又は、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、又は、フェノール樹脂等の樹脂を用いることができる。
【0056】
光源装置200は、複数の発光装置100が実装基板60に載置されている。発光装置100は第1リード11の第1基板挿入部114及び第2リード12の第2基板挿入部124が実装基板60に挿入されることで実装基板60に載置されている。発光装置100としては、青色光を発光する第1発光装置100a、緑色光を発光する第2発光装置100b、及び、赤色光を発光する第3発光装置100cの3種類を用いている。ここでは、第1発光装置100a、第2発光装置100b、及び、第3発光装置100cは、それぞれ、青色の着色剤、緑色の着色剤、及び、赤色の着色剤を被覆部材40に含有させたものである。複数の発光装置100は、第1発光装置100a、第2発光装置100b、及び、第3発光装置100cの3つを1組として、各組の3つの中心を仮想的に結んだ直線が三角形となっている。第1発光装置100a、第2発光装置100b、及び、第3発光装置100cは、1組すべてが消灯している際に、それぞれの発光装置の色の減法混色によって着色された色よりも暗い色、すなわち明度の低い色に見える。そのため、光源装置200のコントラストを向上させることができる。また、仮想的に結んだ直線が三角形となることで各発光装置100間の距離を短くすることができる。そのため、発光装置100から出る光の混色がよくなり光源装置200の混色性をよくすることができる。
【0057】
光源装置200は、第1発光装置100a、第2発光装置100b、及び、第3発光装置100cの3つの各組が、1ピクセルを構成している。図3Aでは、左側に第1発光装置100a、右側に第2発光装置100b、前側に第3発光装置100cが配置されており、各組の第1発光装置100a、第2発光装置100b、及び、第3発光装置100cが同じ配置で実装基板60に載置されている。
発光装置100は、実装基板60に対向する面が略楕円形のため、略楕円形の長径と同じ直径の略円形の場合に比べて、第3発光装置100cと、第1発光装置100a及び第2発光装置100bとの距離を短くすることができる。そのため、高密度での実装が可能となる。
【0058】
防水部材70は、光源装置200を水等から保護する部材であり、実装基板60の上面に設けられている。実装基板60の上面とは、発光装置100が載置される側の面である。防水部材70の上面の位置は、下部41の下面を覆う位置以上、上部43と中間部42との境界付近以下が好ましく、下部41と中間部42との境界付近以下が更に好ましい。防水部材70が下部41の下面から所定の高さまでを覆っていることで、防水性を確保することができる。防水部材70が下部41及び中間部42を覆うことで防水性をより高めることができる。また、下部41の下面から中間部42までの所定の高さに防水部材70を配置することで発光装置100の配光特性へ影響させずに防水部材70の使用量を削減することができる。例えば、防水部材70の上面の位置が下部41の下面から上方向に0.5mm以上であり、好ましくは1.5mm以上であり、さらに好ましくは、3.0mm以上である。
凹部15の底面151に対して垂直な方向における防水部材70の高さh2は、実装基板60の上面からの高さを指す。つまり、防水部材70の高さh2は、第1接合部113と第1基板挿入部114の界面から被覆部材40の下部41の下面までと、被覆部材40の下部41の下面から防水部材70の上面までと、を合わせた高さに相当する。
【0059】
防水部材70の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂等が挙げられる。特に、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂を用いることが好ましい。また、防水部材70は、黒色樹脂であることが好ましい。黒色樹脂を用いることで、防水部材70と発光光とのコントラストがより高くなり、光源装置200による表示がより鮮明となる。
黒色樹脂としては、例えば、アセチレンブラック、活性炭、黒鉛等のカーボンや、酸化鉄、二酸化マンガン、酸化コバルト、酸化モリブデン等の遷移金属酸化物、若しくは有色有機顔料等の充填剤を含有させた樹脂が挙げられる。黒色の色の濃度は、充填剤の添加量等により調整すればよい。
【0060】
[光源装置の製造方法]
次に、光源装置200の製造方法の一例について説明する。
光源装置200の製造方法は、発光装置準備工程と、発光装置載置工程と、防水部材形成工程と、を含む。
なお、各部材の材質や配置等については、前記した光源装置200の説明で述べた通りであるので、ここでは適宜、説明を省略する。
【0061】
発光装置準備工程は、前記した発光装置100を準備する工程である。この工程では、例えば、前記した発光装置100の製造方法で発光装置100を製造する。
【0062】
発光装置載置工程は、被覆部材40の下部41が対向するように発光装置100を実装基板60に載置する工程である。この工程では、第1リード11の第1基板挿入部114及び第2リード12の第2基板挿入部124を実装基板60に挿入する。そして、第1接合部113及び第2接合部123の下面と実装基板60の上面とを、はんだめっき等を用いて接合する。
【0063】
防水部材形成工程は、実装基板60の上面に防水部材70を設ける工程である。この工程では、発光装置100の下部41の一部又は全部が埋設するように、防水部材用の樹脂を配置する。その後、樹脂を硬化させて防水部材70を形成する。
【0064】
以上説明した通り、実施形態に係る発光装置100及び光源装置200は、先端側が凸状に湾曲した略円柱形状であるので、高輝度であり、かつ、基部側が平面視で略楕円形状であるので、発光装置100を実装基板60に高密度で実装したものとすることができる。これにより、より高精細な光源装置200とすることができる。
【0065】
以上、発光装置100及び光源装置200について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれる。
【0066】
《変形例》
図4Aから図4Eは、それぞれ、第1変形例から第4変形例に係る発光装置の一例を模式的に示す平面図である。なお、図4Eは、図1BのIC-IC線における模式断面図に対応する。
【0067】
発光装置100Aは、被覆部材40Aの下部41Aが、平面視で略楕円の短径MI方向の一端が欠けた略欠楕円形であり、被覆部材40Aの上部43Aが、平面視で略円の一部が欠けた略欠円形である。また、発光装置100Aは、下部41Aの長径MAと平行であり、かつ、上部43Aから下部41Aまで一連に垂直に切断した形状で欠けている。そのため、平面視で、略欠円の切断箇所と略欠楕円の切断箇所とが、重複している。ここでは、発光装置100Aは、後側に下部41Aの長径MAの位置と平行な平面である切欠き部47を有する。発光装置100Aは、平面視で見た場合に、後側の一部が下部41Aの長径MAと平行に切断された形状をしている。
その他の事項については、発光装置100と同様である。
【0068】
発光装置100Aは、切欠き部47を有することで、アノード側とカソード側を見分けることができる。切欠き部47は、被覆部材40Aを成形するためのキャスティングケースの形状を被覆部材40Aの形状に合わせることで設けることができる。また、発光装置100Aの光取出しは切欠き部47において全反射光が増えるため発光装置100Aの下方向から強く光を取り出すことができる。
なお、略欠楕円は、発光装置100で説明したように、厳密な意味での楕円の一端が欠けた欠楕円形に限られず、楕円形状に近いと視認される程度の形状の一端が欠けたものを含む。すなわち、略楕円の一端が欠けたものである。なお、形状によっては、略欠楕円形は略楕円形に含まれる場合もある。
また、略欠円形は、発光装置100で説明したように、厳密な意味での円形の場合に限られず、円形に近いと視認される程度の形状の一端が欠けたものを含む。すなわち、略円の一端が欠けたものである。なお、形状によっては、略欠円形は略円形に含まれる場合もある。
【0069】
下部41Aが平面視で略欠楕円形の場合、略欠楕円形の短径MIは、一部が欠けていない部分の短径MIを測ったものである。すなわち、略欠楕円形の短径MIとは、図1Bに示すような一端が欠けていない状態の略楕円形の短径MIから、欠けた一部分を除いた長さを指している。例えば、略欠楕円形の長手方向に対して垂直な方向において、最も長さが長くなる2点を結んだ長さを指す。また、上部43Aが平面視で略欠円形の場合、略欠円形の直径Dは、一部が欠けていない方向の直径Dを測ったものである。すなわち、略欠円形の直径Dとは、一端が欠けていない状態の略円形の直径Dを指している。
【0070】
切欠き部47の大きさは特に限定されず、目視で確認できる程度であればよい。略欠円形は、例えば、一端が欠けていない状態の略円形の直径Dの1/10以上1/5以下の部位で、下部41Aの長径MAと平行に切断した形状であることが好ましい。略欠楕円形は、例えば、一端が欠けていない状態の略楕円形の短径MIの1/10以上1/5以下の部位で、下部41Aの長径MAと平行に切断した形状であることが好ましい。
【0071】
発光装置100Bは、被覆部材40Bの下部41Bが、平面視で略楕円の短径MI方向の一端が欠けた略欠楕円形であり、被覆部材40Bの上部43が、平面視で略円形である。
その他の事項については、発光装置100と同様である。
発光装置100Bは、被覆部材40Bの上部43の一端は欠けていないため、発光装置100の配光を変えずにアノード側とカソード側を見分ける部分を設けることができる。
発光装置100Cは、被覆部材40Cの下部41が、平面視で略楕円形であり、被覆部材40Cの上部43Bが、平面視で略円の一部が欠けた略欠円形である。
その他の事項については、発光装置100と同様である。
【0072】
以上のように、下部41Bのみに切欠き部47を有してもよいし、上部43Bのみに切欠き部47を有してもよい。更には、下部が、平面視で略楕円の長径MA方向の一端が欠けた略欠楕円形であってもよい。また、切欠き部47の位置や形状は、発光装置の機能を損なわない位置や形状であればよく、例えば、平面視で、内側に凸となる凸状、内側に湾曲した湾曲状、V字状等であってもよい。
なお、下部が平面視で略欠楕円形の場合、略欠楕円形の長径MAは、一部が欠けていない部分の長径MAを測ったものである。すなわち、略欠楕円形の長径MAとは、図1Bに示すような一端が欠けていない状態の略楕円形の長径MAから、欠けた一部分を除いた長さを指している。例えば、略欠楕円形の短手方向に対して垂直な直線において、最も長さが長くなる2点を結んだ長さを指す。
【0073】
発光装置100Dは、断面視において、中間部42Aの略台形の左辺及び右辺が外側に向かって湾曲している。発光装置100Dは、中間部42Aがこのような形状であっても、実装基板60に実装した場合に被覆部材40Dの側面に水が溜まることを防止することができる。
略台形の左辺及び右辺の曲線は、曲率半径が1.5mm以上2.0mm以下であることが好ましい。曲率半径が1.5mm以上であれば、被覆部材40Dの側面に水がより溜まりにくくなる。発光装置100の信頼性を向上させる観点から1.86mm以上がより好ましい。一方、曲率半径が2.0mm以下であれば、キャスティングケースから引き抜きやすい。
【0074】
その他、発光装置は、下部の略台形の左辺及び右辺が外側に向かって凸となる湾曲状であってもよい。また、発光装置は、透光性部材を備えないものであってもよく、被覆部材が直接的に発光素子を覆うものであってもよい。
【0075】
また、発光装置は、着色剤を被覆部材に含有させることで、青色光を発光する第1発光装置、緑色光を発光する第2発光装置、及び、赤色光を発光する第3発光装置とした。しかしながら、発光装置は、発光素子と波長変換部材との組み合わせにより、各種の色を発光する発光装置としてもよい。
発光装置は、例えば発光ダイオード、一例として砲弾型のLED(Light Emitting Diode)の一種として使用することができる。
【0076】
[参考例]
(参考例1)
図5Aは、参考例1に係る発光装置の正面図である。図5Bは、参考例1に係る発光装置の背面図である。図5Cは、参考例1に係る発光装置の平面図である。図5Dは、参考例1に係る発光装置の底面図である。図5Eは、参考例1に係る発光装置の右側面図である。図5Fは、参考例1に係る発光装置の左側面図である。図5Gは、図5CのVG-VG断面図である。図5Hは、透明部分を表す参考断面図である。なお、透明部分を表す参考断面図において、薄墨を施した部分は透明体である。また、正面図、背面図、右側面図、左側面図に表した不連続な水平細線は、いずれも立体表面の形状を特定するためのものである。また、平面図、底面図に表した不連続な細い円弧線は、いずれも立体表面の形状を特定するためのものである。
【0077】
発光装置101Aは、基台10と、基台10に載置された発光素子20と、基台10の一部及び発光素子20を直接的又は間接的に覆う被覆部材400Aと、を備えている。更に、発光素子20を覆う透光性部材30を備えていてもよい。
被覆部材400Aは、下部410Aと、上部430Aと、下部410Aと上部430Aとの間に画定される中間部420Aと、が連続して形成されており、発光素子20は、上部430Aに配置されている。
平面視で、下部410Aは、略円形であり、上部430Aは、略楕円形であり、上部430Aの略楕円形の長径は、下部410Aの略円形の直径よりも小さく形成されている。
その他の事項については、発光装置100に準じたものである。
【0078】
(参考例2)
図6Aは、参考例2に係る発光装置の正面図である。図6Bは、参考例2に係る発光装置の背面図である。図6Cは、参考例2に係る発光装置の平面図である。図6Dは、参考例2に係る発光装置の底面図である。図6Eは、参考例2に係る発光装置の右側面図である。図6Fは、参考例2に係る発光装置の左側面図である。図6Gは、図6CのVIG-VIG断面図である。図6Hは、透明部分を表す参考断面図である。なお、透明部分を表す参考断面図において、薄墨を施した部分は透明体である。また、正面図、背面図、右側面図、左側面図に表した不連続な水平細線は、いずれも立体表面の形状を特定するためのものである。また、平面図、底面図に表した不連続な細い円弧線は、いずれも立体表面の形状を特定するためのものである。
【0079】
発光装置101Bは、基台10と、基台10に載置された発光素子20と、基台10の一部及び発光素子20を直接的又は間接的に覆う被覆部材400Bと、を備えている。更に、発光素子20を覆う透光性部材30を備えていてもよい。
被覆部材400Bは、下部410Bと、上部430Bと、下部410Bと上部430Bとの間に画定される中間部420Bと、が連続して形成されており、発光素子20は、上部430Bに配置されている。
平面視で、下部410Bは、略楕円形であり、上部430Bは、略楕円形であり、上部430Bの略楕円形の長径は、下部410Bの略楕円形の長径よりも小さく形成されている。
その他の事項については、発光装置100に準じたものである。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本開示の実施形態に係る発光装置及び光源装置は、屋外用ディスプレイに好適に利用することができる。その他、本開示の実施形態に係る発光装置及び光源装置は、液晶ディスプレイのバックライト光源、各種照明器具、大型ディスプレイ、広告や行き先案内等の各種表示装置、更には、デジタルビデオカメラ、ファクシミリ、コピー機、スキャナ等における画像読取装置、プロジェクタ装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0081】
10 基台
11 第1リード
112 第1ボトム部
113 第1接合部
114 第1基板挿入部
12 第2リード
121 カップ部
122 第2ボトム部
123 第2接合部
124 第2基板挿入部
15 凹部
151 凹部の底面(上向きの面)
152 凹部の内側面
20 発光素子
21 導電部材
22 導電部材
30 透光性部材
40、40B、40C、40D 被覆部材
41、41A、41B 下部
42、42A 中間部
43、43A、43B 上部
431 胴部
432 上部湾曲部
47 切欠き部
50 フィラー
60 実装基板
70 防水部材
100、100A、100B、100C、100D 発光装置
100a 第1発光装置
100b 第2発光装置
100c 第3発光装置
200 光源装置
D 直径
MA 長径
MI 短径
H1 下部の高さ
H2 中間部の高さ
H3 上部の高さ
H4 胴部の高さ
H5 第1接合部及び第2接合部の上面から上部の先端までの高さ
h1 凹部の高さ
h2 防水部材の高さ
L 第1リードの側面から被覆部材の内側面までの長さ
X 一方向
α 被覆部材の傾斜の角度
101A、101B 発光装置
400A、400B 被覆部材
410A、410B 下部
420A、420B 中間部
430A、430B 上部
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H