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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】半導体発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/14 20100101AFI20240703BHJP
   H01L 33/32 20100101ALI20240703BHJP
   H01L 33/38 20100101ALI20240703BHJP
   H01L 33/22 20100101ALI20240703BHJP
【FI】
H01L33/14
H01L33/32
H01L33/38
H01L33/22
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023044471
(22)【出願日】2023-03-20
(65)【公開番号】P2023164305
(43)【公開日】2023-11-10
【審査請求日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2022075313
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022174708
(32)【優先日】2022-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100187584
【弁理士】
【氏名又は名称】村石 桂一
(72)【発明者】
【氏名】細川 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】大塚 匠
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-092477(JP,A)
【文献】特許第5985782(JP,B1)
【文献】国際公開第2020/234112(WO,A1)
【文献】特開2020-113657(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111653654(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0066549(US,A1)
【文献】特開2018-049958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において、第1領域と、前記第1領域の外周に位置する第2領域と、前記第1領域に囲まれた複数の第3領域とを有するn側半導体層と、前記第1領域上に配置された発光層と、前記発光層上に配置されたp側半導体層と、を有する半導体構造体と、
前記半導体構造体上に配置され、前記第3領域上に配置された複数の第1開口部と、前記p側半導体層上に配置された複数の第2開口部と、を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に配置され、前記複数の第1開口部にて前記n側半導体層と電気的に接続されたn側電極と、
前記第2領域に配置され、前記n側電極と電気的に接続されたnパッド電極と、
前記第1絶縁膜上に配置され、前記複数の第2開口部と重なる位置に配置された複数の第3開口部を有する第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜上に配置され、前記複数の第3開口部にて前記p側半導体層と電気的に接続されたpパッド電極と、を備え、
平面視において、前記pパッド電極は、前記第1領域及び前記第3領域を覆い、
平面視において、前記複数の第1開口部は、前記複数の第3開口部のそれぞれの周囲に配置されている、半導体発光素子。
【請求項2】
平面視において、第1領域と、前記第1領域の外周に位置する第2領域と、前記第1領域に囲まれた複数の第3領域とを有するn側半導体層と、前記第1領域上に配置された発光層と、前記発光層上に配置されたp側半導体層と、を有する半導体構造体と、
前記半導体構造体上に配置され、前記第3領域上に配置された複数の第1開口部と、前記p側半導体層上に配置された複数の第2開口部と、を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に配置され、前記複数の第1開口部にて前記n側半導体層と電気的に接続されたn側電極と、
前記第2領域に配置され、前記n側電極と電気的に接続されたnパッド電極と、
前記第1絶縁膜上に配置され、前記複数の第2開口部と重なる位置に配置された複数の第3開口部を有する第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜上に配置され、前記複数の第3開口部にて前記p側半導体層と電気的に接続されたpパッド電極と、を備え、
平面視において、前記pパッド電極は、前記第1領域及び前記第3領域を覆い、
平面視において、前記複数の第1開口部は、前記第3開口部の周囲に配置されており、
前記第1開口部と、前記第3開口部とが、平面視で千鳥状に配置されている半導体発光素子。
【請求項3】
前記発光層は、Al組成比が40%以上60%以下であるAlGaN層を含む、請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
平面視において、前記nパッド電極は、前記pパッド電極の外縁よりも外側に複数配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
平面視において、前記半導体構造体は、矩形状であり、
前記nパッド電極は、前記第2領域のうち前記半導体構造体の角部に位置する前記第2領域に配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項6】
前記pパッド電極は、平面視で八角形形状である、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項7】
平面視において、前記pパッド電極の面積は、前記発光層の面積よりも大きい、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項8】
前記第3開口部の上方に位置する前記pパッド電極に接合部材が配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項9】
前記n側電極は、複数のn側導通部と、n側配線部と、を有し、
前記n側導通部は、前記第1開口部にて前記n側半導体層と接触し、
前記n側配線部は、前記n側導通部と前記nパッド電極とを電気的に接続する、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項10】
前記第2絶縁膜は、平面視において、前記複数の第1開口部のうち最も前記nパッド電極の近くに位置する前記第1開口部と前記nパッド電極との間に位置する第4開口部を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
【請求項11】
前記n側電極は、平面視において、前記nパッド電極と重ならない前記第2領域にて前記n側半導体層と接触するn側外周導通部を有し、
前記n側外周導通部は、平面視において、前記pパッド電極の外縁よりも外側に配置されており、
前記第2絶縁膜は、平面視において、前記複数の第1開口部のうち最も前記n側外周導通部の近くに位置する前記第1開口部と前記n側外周導通部との間に位置する第5開口部を有する、請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項12】
前記第1絶縁膜は、平面視において、1つの前記第1開口部の面積よりも大きい第6開口部を有し、
前記第6開口部は、平面視で楕円形状であり、
平面視において、前記第5開口部は、前記第6開口部と前記n側外周導通部との間に配置されている、請求項11に記載の半導体発光素子。
【請求項13】
平面視において、前記第5開口部の面積は、1つの前記第3開口部の面積よりも大きく、
前記第5開口部は、平面視で楕円形状である、請求項11又は12に記載の半導体発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に係る発明は、半導体発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1半導体層と、活性層と、第2半導体層とが積層された半導体積層部と、第1半導体層に電気的に接続されたn電極と、第2半導体層に電気的に接続されたp電極と、n電極を有する発光素子が開示されている。このような発光素子において、p電極上に形成される第1メッキ電極を、第1半導体層とn電極との導通部を被覆するように形成することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5985782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の半導体発光素子において、更なる発光効率および放熱性の向上が求められている。
【0005】
本開示は、高い発光効率および高い放熱性を有する半導体発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するために、本開示に係る半導体発光素子は、
平面視において、第1領域と、前記第1領域の外周に位置する第2領域と、前記第1領域に囲まれた複数の第3領域とを有するn側半導体層と、前記第1領域上に配置された発光層と、前記発光層上に配置されたp側半導体層と、を有する半導体構造体と、
前記半導体構造体上に配置され、前記第3領域上に配置された複数の第1開口部と、前記p側半導体層上に配置された複数の第2開口部と、を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に配置され、前記複数の第1開口部にて前記n側半導体層と電気的に接続されたn側電極と、
前記第2領域に配置され、前記n側電極と電気的に接続されたnパッド電極と、
前記第1絶縁膜上に配置され、前記複数の第2開口部と重なる位置に配置された複数の第3開口部を有する第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜上に配置され、前記複数の第3開口部にて前記p側半導体層と電気的に接続されたpパッド電極と、を備え、
平面視において、前記pパッド電極は、前記第1領域及び前記第3領域を覆い、
平面視において、前記複数の第1開口部は、前記第3開口部の周囲に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
以上のように構成された本開示に係る半導体発光素子によれば、発光効率および放熱性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に係る実施形態の半導体発光素子の平面図である。
図2】本開示に係る実施形態の半導体発光素子の断面図である。
図3】半導体発光素子のp側電極の平面図である。
図4】半導体発光素子のn側コンタクト電極の平面図である。
図5】半導体発光素子のn側配線部の平面図である。
図6】半導体発光素子の第1絶縁膜の平面図である。
図7】半導体発光素子の第2絶縁膜の平面図である。
図8A】一実施形態の変形例1Aに係る半導体発光素子の平面図である。
図8B】一実施形態の変形例1Bに係る半導体発光素子の平面図である。
図9】一実施形態の変形例2に係る半導体発光素子の平面図である。
図10】一実施形態の変形例3に係る半導体発光素子の平面図である。
図11】一実施形態の変形例4に係る半導体発光素子の平面図である。
図12】一実施形態の変形例5に係る半導体発光素子の平面図である。
図13】本開示に係る実施形態の半導体発光素子の製造フローを示すフロー図である。
図14A】第1実証試験および第2実証試験に用いた実施例1に係る半導体発光素子の平面図である。
図14B】第1実証試験および第2実証試験に用いた実施例2に係る半導体発光素子の平面図である。
図14C】第1実証試験および第2実証試験に用いた実施例3に係る半導体発光素子の平面図である。
図14D】第1実証試験および第2実証試験に用いた実施例4に係る半導体発光素子の平面図である。
図14E】第1実証試験に用いた実施例5に係る半導体発光素子の平面図である。
図14F】第1実証試験に用いた実施例6に係る半導体発光素子の平面図である。
図14G】第1実証試験に用いた実施例7に係る半導体発光素子の平面図である。
図14H】第1実証試験に用いた比較例に係る半導体発光素子の平面図である。
図15】第1実証試験として、実施例および比較例に係るn側導通部の個数と半導体発光素子の相対出力との関係を示すグラフである。
図16】第1実証試験として、実施例および比較例に係るn側導通部の個数と半導体発光素子の順方向電圧Vfとの関係を示すグラフである。
図17】第2実証試験として、実施例に係るn側導通部の個数と半導体発光素子の出力との関係を示すグラフである。
図18】第2実証試験として、実施例に係るn側導通部の個数と半導体発光素子の順方向電圧Vfとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1、2に示すように、本開示の半導体発光素子1は、半導体構造体10と、第1絶縁膜20および第2絶縁膜30と、n側電極40およびnパッド電極60と、pパッド電極70と、を備えている。
半導体構造体10は、n側半導体層11と、発光層12と、p側半導体層13を有している。
n側半導体層11は、第1領域R1と、第1領域R1の外周に位置する第2領域R2と、第1領域R1に囲まれた複数の第3領域R3とを有している。
第1絶縁膜20は、第3領域R3上に配置された複数の第1開口部h1と、p側半導体層13上に配置された複数の第2開口部h2とを備えている。
第2絶縁膜30には、複数の第2開口部h2と重なる位置に配置された複数の第3開口部h3を備えている。
n側電極40は、複数の第1開口部h1にてn側半導体層11と電気的に接続されている。n側電極40は、nパッド電極60と電気的に接続されている。n側半導体層11とnパッド電極60とは、n側電極40を介して電気的に接続されている。
pパッド電極70は、第2絶縁膜30上に配置され、複数の第3開口部h3にてp側半導体層13と電気的に接続されている。
平面視において、pパッド電極70は、第1領域R1及び第3領域R3を覆っており、複数の第1開口部h1は、第3開口部h3の周囲に配置されている。
【0010】
上記構成によれば、平面視において、pパッド電極70が第1領域R1及び第3領域R3を覆っているため、半導体発光素子1に生じた熱をpパッド電極70によって放熱することができる。さらに、平面視において、複数の第1開口部h1は、第3開口部h3の周囲に配置されている。そのため、半導体発光素子1に電流を流す際、n側電極40から第1開口部h1を介して供給された電子が、周囲に配置された第3開口部h3側(p側半導体層側)に向けて移動しやすい。これにより、半導体発光素子1の発光効率を向上させることができる。
【0011】
上記の通り、本開示の半導体発光素子は、発光効率を向上させるとともに、半導体発光素子の発光に伴って生じる熱を適切に放熱することができる。
【0012】
以下、より具体的な形態について、詳細に説明する。図1は、本開示に係る実施形態の半導体発光素子の平面図である。図2は、本開示に係る実施形態の半導体発光素子の断面図である。図3は、半導体発光素子のp側電極の平面図である。図4は、半導体発光素子のn側コンタクト電極の平面図である。図5は、半導体発光素子のn側配線部の平面図である。図6は、半導体発光素子の第1絶縁膜の平面図である。図7は、半導体発光素子の第2絶縁膜の平面図である。まず、本開示に係る一実施形態の半導体発光素子について、図1~7を参照しながら説明する。
【0013】
<<半導体発光素子の実施形態>>
本開示の第1実施形態に係る半導体発光素子1は、半導体構造体10と、n側電極40と、nパッド電極60と、第1絶縁膜20、第2絶縁膜30と、p側電極50と、pパッド電極70と、を備えている。
【0014】
1.半導体構造体
半導体構造体10は、基板14上に、n側半導体層11と、発光層12と、p側半導体層13と、を有している。平面視において、半導体構造体10は、例えば、矩形状である。半導体構造体10は、InAlGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化物半導体を用いることが一例として挙げられる。なお、窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、AlGaN、AlInGaN等が挙げられる。発光層12は、例えば、複数の井戸層と、複数の障壁層を含む量子井戸構造とすることができる。半導体構造体10は、一例として紫外光(例えば、ピーク波長が280nm以上315nm以下のB波またはピーク波長が100nm以上280nm以下のC波)の光を発光する。特に、上述のB波またはC波の波長を有する光を発光させる場合、発光層12は、Al組成比が40%以上60%以下であるAlGaN層を含むことが好ましい。発光層12は、例えば、Al組成比が40%以上60%以下であるAlGaN層からなる井戸層および障壁層を含む。
【0015】
n側半導体層11は、発光層12およびp側半導体層13が配置されている第1領域R1と、発光層12およびp側半導体層13が配置されていない第2領域R2および第3領域R3とを有している(図1および2参照)。
【0016】
図1に示すように、平面視において、第1領域R1は、半導体構造体10の中央に位置し、連続した平面を有している。第1領域R1の外形は、例えば略八角形形状である。第1領域R1の外形を略八角形形状とすることで、第1領域R1の外形が略四角形である場合に比べて、後述する基板14を割断する工程でレーザー光が照射される位置の近傍に位置する発光層12を少なくすることができる。これにより、レーザー光による発光層12の劣化を低減することができる。
【0017】
第2領域R2は、第1領域R1の外周に位置しており、nパッド電極60が配置される領域を含む。図1、4に示すように、第2領域R2は、半導体構造体10の外周に沿うように配置されている。また、第2領域R2は、第1領域R1を囲んでいる。なお、第2領域R2はこのような態様に限定されない。第2領域R2は、例えば、第1領域R1を囲むように配置せずに、半導体構造体10の4つの角部のみにそれぞれ配置してもよいし、少なくとも1つの角部に配置してもよい。ここで図2に示すように、第2領域R2には、発光層12およびp側半導体層13が配置されていない。そのため、第2領域R2に発光層12およびp側半導体層13が配置されている場合よりも、第2領域R2における発光層12およびp側半導体層13による光吸収を低減できる。
【0018】
第3領域R3は、n側電極40とn側半導体層11との電気的な接続を図るための領域である。第3領域R3は、n側半導体層11の露出位置に対応している。第3領域R3は、半導体構造体10に複数配置されている。複数の第3領域R3は、第1領域R1に囲まれている。半導体構造体10の平面視において、複数の第3領域R3は、連続する第1領域の中に配置されている。複数の第3領域R3は、島状に配置されている。なお、本明細書でいう「島状」とは、平面視で、それぞれ個々に分離されて不連続な状態である。
【0019】
2.p側電極
p側電極50は、第1領域R1に位置するp側半導体層13と電気的に接続されている。p側電極50には、発光層12からの光をn側半導体層11側に反射させる金属を用いることが好ましい。p側電極50は、例えば、発光層12からの光のピーク波長に対して、50%以上、好ましくは60%以上の反射率を有する金属を用いることが好ましく、例えば、Rh、Ru等の金属を用いることが好ましい。p側電極50は、複数の金属層が積層された積層構造としてもよい。p側電極50は、例えば、半導体構造体10側からRu層、Ni層、及びAu層が順に積層された積層構造としてもよい。また、p側電極50は、例えば、半導体構造体10側からTi層、Rh層、及びTi層が順に積層された積層構造としてもよい。p側電極50の厚さは、例えば300nm以上1500nm以下としてよい。p側電極50のp側電極50は、p側半導体層13の上面の略全面に形成されている。p側電極50の外形は、平面視で、略八角形形状である。p側電極50は、第2領域R2および第3領域R3に、配置されていない。
【0020】
3.n側電極
図2に示すように、n側電極40は、n側コンタクト電極41と、n側配線部42と、を備えている。n側コンタクト電極41は、n側半導体層11と接触し、n側半導体層11と電気的に接続されている。n側配線部42は、n側コンタクト電極41と接触し、n側コンタクト電極41を介してn側半導体層11と電気的に接続されている。半導体発光素子1の平面視において、n側コンタクト電極41とp側電極50とは、離隔している。半導体発光素子1の平面視において、n側配線部42の一部は、p側電極50の一部と重なっている。
【0021】
n側コンタクト電極41は、例えば、Ti、Al、Ni、Ta、Rh、Ru、Si、Pt等の金属、又はこれらの金属を主成分とする合金を用いることができる。n側コンタクト電極41は、一例として、n側半導体層11側から、Ti層、Al合金層、Ta層、Ru層、およびTi層が順に積層された積層構造とすることができる。n側コンタクト電極41の厚さは、例えば、500nm以上800nm以下としてよい。図4に示すように、n側コンタクト電極41は、第2領域R2および第3領域R3に配置される。n側コンタクト電極41は、コンタクト部41pと、n側外周導通部41gと、複数のn側導通部41dと、を備えている。コンタクト部41pは、半導体構造体10の角部に位置する第2領域R2に配置され、n側半導体層11と接触している。コンタクト部41pは、後述するnパッド電極60と対応する位置に配置されている。n側外周導通部41gは、第2領域R2のうちnパッド電極60と平面視で重ならない第2領域R2にてn側半導体層11と接触している。複数のn側導通部41dは、第3領域R3に配置され、n側半導体層11と接触している。複数のn側導通部41dは、平面視において、島状に配置されている。複数のn側導通部41dは、後述する第1開口部h1にてn側半導体層11と接触している。平面視において、隣り合う2つのn側導通部41dの中心点間の距離は、45μm以上100μm以下であることが好ましく、45μm以上80μm以下であることがより好ましい。ここで、n側導通部41dの中心点は、n側導通部41dを平面視した形状の中心点である。例えば、図4に示す平面視における形状が円形のn側導通部41dにおいては、円の中心がn側導通部41dの中心点である。また、n側外周導通部41gは、平面視において、後述するpパッド電極70の外縁よりも外側に配置されてよい。
【0022】
n側配線部42は、上述したn側コンタクト電極41と同様の金属を用いることができる。n側配線部42は、一例として、半導体構造体10側から、Ti層、Al合金層、およびTi層が順に積層された積層構造とすることができる。n側配線部42の厚さは、例えば、400nm以上600nm以下としてよい。図4、5に示すように、n側配線部42は、上述の第2領域R2に配置されたn側外周導通部41g、複数のコンタクト部41pと、第3領域R3に配置された複数のn側導通部41dと、を電気的に接続している。
【0023】
平面視において、n側配線部42は、半導体構造体10を連続して覆っている。言い換えると、n側配線部42は、半導体構造体10の全体を覆っている。図5に示すように、n側配線部42は、複数の開口を含む。n側配線部42の複数の開口のそれぞれは、後述する第1絶縁膜20の第2開口部h2と重なる位置に配置されている。また、断面視において、n側配線部42は、半導体構造体10の側面と、半導体構造体10の上面の一部と、を覆っている。このように、平面視で、n側配線部42が半導体構造体10を覆っていることで、発光層12からの光のうちn側配線部42に向かう光を基板14側に反射させることができる。
【0024】
4.第1絶縁膜
図2に示すように、第1絶縁膜20は、半導体構造体10上に配置されている。断面視において、第1絶縁膜20は、n側コンタクト電極41とp側電極50との間に配置され、n側コンタクト電極41とp側電極50とを電気的に絶縁している。また、第1絶縁膜20は、n側配線部42とp側電極50との間に配置され、n側配線部42とp側電極50とを電気的に絶縁している。第1絶縁膜20は、n側配線部42とn側コンタクト電極41とを電気的に接続するための複数の第1開口部h1と、p側電極50とpパッド電極70とを電気的に接続するための複数の第2開口部h2と、を備えている。第1絶縁膜20は、第3領域R3上に配置された複数の第1開口部h1と、第1領域R1上に配置された複数の第2開口部h2とを備えている。
【0025】
図1に示すように、本開示の第1実施形態に係る半導体発光素子1では、複数の第1開口部h1は、第2開口部h2の周囲に配置されている。例えば、第1開口部h1は、1つの第2開口部h2に対して、4つ配置されている。基板14の対角線に平行な方向において、第1開口部h1は、例えば、隣り合う2つの第2開口部h2の間に配置されている。平面視において、第1開口部h1と第2開口部h2とは、千鳥状に配置されている。なお、本明細書において「千鳥状」とは、複数の第1開口部h1と複数の第2開口部h2とが互い違いに配置されている状態を意図している。なお、基板14の1辺に平行な方向において、第1開口部h1は、隣り合う2つの第2開口部h2の間に配置されていてもよい。複数の第2開口部h2は、第1開口部h1の周囲に配置されていてもよい。平面視において、複数の第1開口部h1と複数の第2開口部h2とは、略等間隔に配置されていることが好ましい。これにより、発光強度の分布の均一性を向上させることができる。
【0026】
図2および図6に示すように、第1絶縁膜20は、n側コンタクト電極41とn側配線部42とを電気的に接続するための複数の開口A1を備えている。第1絶縁膜20は、SiOまたはSiNを用いることができる。第1絶縁膜20の厚さは、例えば、500nm以上であり、500nm以上1000nm以下であることが好ましい。第1絶縁膜20の厚さは、部分的に異なっていてよい。例えば、p側電極50上に配置される第1絶縁膜20の厚さは、n側コンタクト電極41上に配置される第1絶縁膜20の厚さと、異なっていてもよい。
【0027】
5.第2絶縁膜
図2に示すように、第2絶縁膜30は、半導体構造体10上に配置されている。第2絶縁膜30は、n側配線部42とpパッド電極70との間に配置され、n側配線部42とpパッド電極70とを電気的に絶縁している。また、第2絶縁膜30は、nパッド電極60とpパッド電極70との間に配置され、nパッド電極60とpパッド電極70とを電気的に絶縁している。第2絶縁膜30は、第1絶縁膜20の複数の第2開口部h2と重なるそれぞれの位置に対応して配置された第3開口部h3を備えている。
【0028】
平面視において、複数の第1開口部h1は、第3開口部h3の周囲に配置されているため、n側配線部42とn側コンタクト電極41とが電気的に接続される部分と、p側電極50とpパッド電極70とが電気的に接続される部分とをより近くに配置することができる。そのため、n側半導体層11とp側半導体層13との間の電流経路を短くし、電流が集中しやすく高い発光強度を有する領域を増やすことができるので、より効率的に半導体構造体10を発光させることができる。半導体構造体10において、n側半導体層11の露出を多くすると、発光層12の面積が小さくなる。例えば、n側半導体層11が露出した領域は、平面視において、複数配置されている第3領域R3の数を増やすことで大きくなる。第1開口部h1と第3開口部h3との間の距離を小さくすることで、発光層12の面積を小さくした場合でも半導体構造体10の発光効率を維持することができる。また、紫外光を発する発光層12を有する半導体構造体10は、Alを含む半導体層を用いる場合があり、電流が半導体構造体10の平面方向に拡散しづらい傾向がある。そのため、本開示は、紫外光を発する発光層12を有する半導体構造体10を用いる場合により効果的である。
【0029】
第2開口部h2の数と、第3開口部h3の数と、は同じであることが好ましい。第2開口部h2の数は、第3開口部h3の数と異なっていてもよい。半導体構造体10において、第2絶縁膜30が第3開口部h3を有している場合、第1絶縁膜20は、第3開口部h3と対応する第2開口部h2を備えている。p側電極50とpパッド電極70とは、第3開口部h3で電気的に接続されている。平面視において、第3開口部h3及び第2開口部h2の形状を円形とする場合、第3開口部h3の直径を、第2開口部h2の直径よりも大きくしてよい。当該構成によれば、pパッド電極70とp側電極50とを電気的に接続する際に、第2開口部h2と第3開口部h3とが連続した開口部にpパッド電極70を適切に配置することができる。
【0030】
図2および図7に示すように、第2絶縁膜30は、nパッド電極60とn側配線部42とを電気的に接続するための複数の開口A2を備えている。第2絶縁膜30は、SiOまたはSiNを用いることができる。第2絶縁膜30の厚さは、例えば、500nm以上であり、500nm以上1000nm以下とすることが好ましい。第2絶縁膜30の厚さは、部分的に異なっていてよい。例えば、第1絶縁膜20上に配置される第2絶縁膜30の厚さは、n側配線部42上に配置される第2絶縁膜30の厚さと、異なっていてもよい。
【0031】
6.pパッド電極70
図2に示すように、pパッド電極70は、第2絶縁膜30の第3開口部h3および第1絶縁膜20の第2開口部h2でp側電極50と電気的に接続されている。pパッド電極70は、上述したn側コンタクト電極41と同様の金属を用いることができる。pパッド電極70は、一例として、半導体構造体10側からTi層、Pt層、Au層が順に積層された積層構造とすることができる。pパッド電極70の厚さは、例えば、800nm以上1000nm以下である。
【0032】
pパッド電極70は、平面視において、第1領域R1および第3領域R3を覆っている。pパッド電極70は、少なくとも第1領域R1上に配置された発光層12を覆っている。したがって、半導体構造体10の発光に起因する熱を、発光層12を覆っているpパッド電極70によって放熱することができる。
【0033】
pパッド電極70の面積は、発光層12に生じる熱を放熱する観点から、平面視において、発光層12の面積よりも大きいことが好ましい。これにより、発光層12に生じる熱をpパッド電極70を介して効率よく放熱することができる。
【0034】
pパッド電極70の外縁は、断面視において、p側電極50の外縁と一致、もしくは、p側電極50の外縁より外側に位置していることが好ましい。これにより、発光層12で生じる熱をp側電極50およびpパッド電極70を介して効率よく放熱することができる。
【0035】
pパッド電極70は、平面視で略八角形形状とすることが好ましい。これにより、第1領域R1に配置されたp側電極50に対し、適切に電気的に接続することができる。また、平面視において、p側電極50の形状は、pパッド電極70の形状と対応した略八角形形状とすることが好ましい。
【0036】
半導体発光素子1は、接合部材80をさらに備えていてもよい。接合部材80は、nパッド電極60とpパッド電極70上に配置されている。図2に示すように、接合部材80は、第1領域R1上に配置されていてもよい。第1開口部h1の上方に位置するpパッド電極70に接合部材80を配置すると、接合時に第2絶縁膜30に対して負荷が加わり、第2絶縁膜30に亀裂等が生じることにより、pパッド電極70とn側電極40とが短絡する可能性がある。このような短絡を避けるため、接合部材80は、第3開口部h3の上方に位置するpパッド電極70に配置されることが好ましい。
【0037】
7.nパッド電極60
平面視において、nパッド電極60は、pパッド電極70の外縁よりも外側に配置されており、n側電極40と電気的に接続されている。nパッド電極60は、第2領域R2に配置され、コンタクト部41p、n側配線部42、n側導通部41dを介してn側半導体層11と電気的に接続されている。nパッド電極60は、製造工程を簡略化する観点から、pパッド電極70と同じ金属を用いることが好ましい。なお、nパッド電極60とpパッド電極70とは、異なる金属を用いてもよい。
【0038】
また、図1の態様によれば、平面視において、nパッド電極60は、pパッド電極70の外縁よりも外側に複数配置されている。nパッド電極60が複数配置されているため、n側配線部42への電流密度を分散させることができる。そのため、半導体発光素子1の発光強度分布の偏りを低減できる。nパッド電極60は、第2領域R2のうち半導体構造体10の角部に位置する第2領域R2に配置されている。nパッド電極60を半導体構造体10の角部に配置することで、発光層12の面積の減少を低減することができる。
【0039】
以上説明した、本開示の第1実施形態に係る半導体発光素子は、平面視において、第3開口部h3の周囲に、複数の第1開口部h1を備えている。そして、平面視において、n側半導体層11と、n側コンタクト電極41およびn側配線部42とを第1開口部h1を介して電気的に接続している部分と、p側半導体層13と、p側電極50とを第3開口部h3を介して電気的に接続している部分と、の間の距離が小さくなるような配置としている。これにより、n側半導体層11と、p側半導体層13と、の間の電流経路を短くし、第3開口部h3の周囲に高い発光強度の領域を有する半導体発光素子1とすることができる。これにより、高い発光効率の半導体発光素子1とすることができる。本開示の第1実施形態に係る半導体発光素子は、第1領域R1および第3領域R3を覆うpパッド電極70を備えている。pパッド電極70は、第1領域R1に配置された発光層12上を覆っている。これにより、発光層12の発光に起因する発熱を、pパッド電極70によって効率よく放熱することができる高い放熱性を有する半導体発光素子1とすることができる。
【0040】
<<第1絶縁膜20および/または第2絶縁膜30における開口部の変形例>>
次に、本開示の第1実施形態に係る半導体発光素子の変形例について、図8~11を参照して以下に説明する。本開示の変形例は、第1絶縁膜20および/または第2絶縁膜30における開口部の位置および/または形状が上述した第1実施形態に係る半導体発光素子と相違する。その他の構成については、上述した本開示の第1実施形態に係る半導体発光素子と基本的に同じである。以下、この相違する構成を説明する。
【0041】
-変形例1Aおよび変形例1B-
変形例1Aおよび変形例1Bに係る半導体発光素子1は、図8Aおよび図8Bに示すとおり、第2絶縁膜30が複数の第3開口部h3に加えて、複数の第4開口部h4を有している点で上述の第1実施形態に係る半導体発光素子と異なっている。第4開口部h4は、第3開口部h3と同様に、第1絶縁膜20の第2開口部h2と重なる位置に配置されている。図8Aに示す変形例1Aにおいて、第4開口部h4は、平面視において、複数の第3開口部h3のうち、最もnパッド電極60の近くに位置する第3開口部h3と、nパッド電極60との間に位置している。変形例1Aでは、平面視において、合計8つの第4開口部h4が配置されている。なお、第4開口部h4の数は特に限定されない。また、図8Bに示す変形例1Bにおいて、第4開口部h4は、平面視において、複数の第1開口部h1のうち最もnパッド電極60の近くに位置する第1開口部h1と、nパッド電極60との間に位置している。図8Bでは、平面視において、第4開口部h4は、合計12個配置されている。第4開口部h4は、複数の第1開口部h1のうち最もnパッド電極60の近くに位置する第1開口部h1と、nパッド電極60との間にそれぞれ3つ配置されている。第4開口部h4の数は特に限定されない。変形例1Aおよび変形例1Bによれば、nパッド電極60から最も近くに位置する第1開口部h1とnパッド電極60との間に、pパッド電極70とp側半導体層13とが電気的に接続される第4開口部h4が配置されることになる。そのため、p側半導体層13からn側半導体層11までの電流経路を短くすることができ、電流の集中した発光強度の高い領域を増やすことができる。また、図8A図8Bにおいて、第4開口部h4は、すべてのnパッド電極60と、複数の第1開口部h1のうち、それぞれのnパッド電極60の最も近くに位置する第3開口部h3または第1開口部h1と、の間に配置されているが、このような形態に特に限定されない。第4開口部h4は、少なくとも1つのnパッド電極60と、その1つのnパッド電極60の最も近くに位置する第3開口部h3または第1開口部h1と、の間に配置されていればよい。平面視において、第4開口部h4の大きさは、第3開口部h3の大きさ及び第2開口部h2の大きさよりも小さい。第4開口部h4の大きさは、第3開口部h3の大きさおよび/または第2開口部h2の大きさと同じとしてもよいし、大きくてしてもよい。なお、図8Aに示す第4開口部h4と、図8Bに示す第4開口部h4とを組み合わせて配置してよい。
【0042】
-変形例2-
変形例2に係る半導体発光素子1は、図9に示すとおり、第2絶縁膜30が複数の第3開口部h3に加えて、複数の第5開口部h5を有している点で上述の第1実施形態に係る半導体発光素子と異なっている。第5開口部h5は、第3開口部h3と同様に、第1絶縁膜20の第2開口部h2と重なる位置に配置されている。第5開口部h5は、平面視において、複数の第1開口部h1のうち最もn側外周導通部41gの近くに位置する第1開口部h1と、n側外周導通部41gと、の間に位置している。これにより、n側外周導通部41gから最も近くに位置する第1開口部h1とn側外周導通部41gとの間に、pパッド電極70とp側半導体層13とが電気的に接続される第5開口部h5が配置されることになる。そのため、p側半導体層13からn側半導体層11までの電流経路を短くすることができ、電流の集中した発光強度の高い領域を増やすことができる。図9に示すように、平面視において、第5開口部h5の大きさは、第3開口部h3の大きさ、もしくは第2開口部h2の大きさよりも小さい。なお、第5開口部h5の大きさは、第3開口部h3の大きさ、もしくは第2開口部h2の大きさと同じでもよいし、大きくてもよい。図9では、平面視において、第5開口部h5は、複数の第1開口部h1のうち最もn側外周導通部41gの近くに位置する第1開口部h1と、n側外周導通部41gとの間に、それぞれ3つ配置されている。第5開口部h5の数は特に限定されない。また、図9において、第5開口部h5は、すべてのn側外周導通部41gと、複数の第1開口部h1のうち、それぞれのn側外周導通部41gの最も近くに位置する第1開口部h1と、の間に配置されているが、このような形態に特に限定されない。第5開口部h5は、少なくとも1つのn側外周導通部41gと、その1つのn側外周導通部41gの近くに位置する第1開口部h1と、の間に配置されていればよい。
【0043】
-変形例3-
変形例3に係る半導体発光素子1は、図10に示すとおり、第1絶縁膜20が複数の第1開口部h1に加えて、平面視において、1つの第1開口部h1の面積よりも大きい第6開口部h6を有している点で、上述の変形例2に係る半導体発光素子と異なっている。第6開口部h6は、平面視で楕円形状である。これにより、n側半導体層11とn側電極40との接触面積を増やすことができるので、順方向電圧の上昇を低減することができる。平面視において、第5開口部h5は、第6開口部h6とn側外周導通部41gとの間に配置されている。これにより、p側半導体層13からn側半導体層11までの電流経路を短くすることができ、発光強度の高い領域を増やすことができる。
【0044】
さらに、変形例3に係る半導体発光素子1において、平面視において、第5開口部h5の面積は、1つの第3開口部h3の面積よりも大きく、第5開口部h5は、平面視で楕円形状である。これにより、p側半導体層13とp側電極50との接触面積を増やすことができるので、順方向電圧の上昇を低減することができる。平面視において、楕円形状の第5開口部h5と第6開口部h6とが交互に配置されている。図10では、平面視で楕円形状の2つの第5開口部h5と、平面視で楕円形状の2つの第6開口部h6と、が交互に配置されている。第5開口部h5は、複数の第3開口部h3が配列する方向に長い楕円形状を有している。第6開口部h6は、複数の第1開口部h1が配列する方向に長い楕円形状を有している。
【0045】
-変形例4-
変形例4に係る半導体発光素子1は、図11に示すとおり、(1)複数の第1開口部h1の形状、(2)複数の第1開口部h1と複数の第3開口部h3との位置関係が、上述の第1実施形態に係る半導体発光素子1と異なっている。
【0046】
第1開口部h1の形状は、例えば平面視で平行四辺形である。第1開口部h1の形状を平行四辺形とする場合、平面視において、平行四辺形の角部と第3開口部h3との間の距離が短くなるように配置されることが好ましい。このような形状および配置とすることにより、隣り合う第3開口部h3同士の間の間隙を埋めるように第1開口部h1を高密度に配置することができる。なお、平面視における第1開口部h1の形状は、矩形状であってもよい。
【0047】
第1開口部h1の外形を成す少なくとも一つの辺は、隣接する第1開口部h1の外形を成す少なくとも一つの辺と平行になるように配置されている。これによって、隣り合う第3開口部h3同士の間の間隙を埋めるように、第1開口部h1を高密度に配置することができる。平面視において、第1開口部h1の外形の面積は、第3開口部h3の外形の面積よりも大きい。これにより、n側電極40の面積を増やし、n側半導体層11とp側半導体層13との間の距離が小さい箇所を増やすことができる。
【0048】
図11に示すように、基板14の1辺に平行な線において、複数の第1開口部h1と複数の第3開口部h3とは交互に配置されている。
【0049】
平面視において、1つの第3開口部h3の周囲に、6つの第1開口部h1が配置されている。これにより、n側電極40から第1開口部h1を介して供給された電子を周囲に配置された第2開口部h2側に向けて放射状に移動させることができるため、発光効率をより向上させることができる。また、第3開口部h3の周囲における電流密度分布の偏りを低減する観点から、第3開口部h3の中心と、1つの第3開口部h3の周囲に配置された6つの第1開口部h1の中心との間の距離は、それぞれ等しくすることが好ましい。
【0050】
なお、第2絶縁膜30の複数の第3開口部h3および第1絶縁膜20の複数の第2開口部h2に加えて、第2絶縁膜30が変形例2で説明した第5開口部h5を有していてよい。
【0051】
<<パッド電極に関する構成の変形例>>
本開示の第1実施形態に係る半導体発光素子の更なる変形例について、図12を参照して以下に説明する。本開示の変形例は、nパッド電極60およびpパッド電極70に関する構成が上述した第1実施形態に係る半導体発光素子と相違する。その他の構成については、上述した本開示の第1実施形態に係る半導体発光素子と基本的に同じである。以下、この相違する構成を説明する。
【0052】
-変形例5-
変形例5に係る半導体発光素子1は、図12に示すとおり、平面視で半導体発光素子1の4つの角部のうち1つの角部にnパッド電極60を配置している。また、平面視でnパッド電極60の配置された半導体発光素子1の角部を除く角部を覆うようにpパッド電極70を配置している。なお、図12より把握できるとおり、平面視においてpパッド電極70の面積は、nパッド電極60の面積よりも大きくなっている。
【0053】
また、nパッド電極60が配置されている第2領域R2は、半導体発光素子1の角部に位置している。第1領域R1は、第2領域R2及び第3領域R3を除いた領域に位置している。変形例5に係る半導体発光素子1であっても、第2領域R2は、第1領域R1の外周(または外側)に位置している。そして、pパッド電極70は、第1領域R1に配置された発光層12上を覆っている。これにより、発光層12の発光に起因する発熱を、pパッド電極70によって効率よく放熱することができる高い放熱性を有する半導体発光素子1とすることができる。
【0054】
また、図12に示す変形例5に係る半導体発光素子1では、nパッド電極60を半導体構造体10の角部に配置しているが、nパッド電極60は平面視で半導体発光素子1の外縁を構成する辺の中央に配置してもよい。この場合、pパッド電極70の外形は、平面視でnパッド電極60を囲うようなC字状(またはU字状)としてもよい。
【0055】
次に、本開示の半導体発光素子の製造方法について、図13の製造フロー等を参照しながら説明する。
【0056】
1.半導体構造体準備工程
半導体構造体準備工程は、半導体構造体10を準備する工程である。例えば、基板14上にn側半導体層11と、発光層12と、p側半導体層13と、をこの順に形成することで半導体構造体10を準備する。半導体構造体10を形成する方法としては、例えば、MOCVD法等の公知の方法により形成する。その後、半導体構造体10に対し、上述の「第1実施形態の半導体発光素子」で説明した、第3領域R3において、n側半導体層11の一部を発光層12およびp側半導体層13から露出させる。n側半導体層11を露出する方法は、例えば、公知のエッチング技術を採用することが可能である。
【0057】
2.n側コンタクト電極形成工程
n側コンタクト電極形成工程は、n側半導体層11が露出する位置にn側コンタクト電極41を形成する工程である。n側コンタクト電極41の形成には、公知の電極形成技術を採用することが可能である。n側コンタクト電極41を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法などがあげられる。n側コンタクト電極形成工程において、コンタクト部41pと、n側外周導通部41gと、n側導通部41dと、を有するn側コンタクト電極41を形成する。n側コンタクト電極形成工程において、n側コンタクト電極41の最表面に絶縁膜を形成してよい。n側コンタクト電極41の最表面に形成された絶縁膜は、後述する第1絶縁膜形成工程において、第1絶縁膜20に第1開口部h1および第2開口部h2を形成する工程において、除去することができる。
【0058】
3.p側電極形成工程
p側電極形成工程は、半導体構造体10のp側半導体層13上にp側電極50を形成する工程である。p側電極50の形成には、公知の電極形成技術を採用することが可能である。p側電極50を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法などがあげられる。p側電極形成工程において、第1領域R1のp側半導体層13上にp側電極50を形成することができる。図3に示すように、p側電極50は、平面視において、円形状の開口を複数有している。p側電極50の開口において、n側コンタクト電極41のコンタクト部41pが露出している。
【0059】
4.第1絶縁膜形成工程
第1絶縁膜形成工程は、上述したn側コンタクト電極41およびp側電極50上に、第1開口部h1および第2開口部h2を備える第1絶縁膜20を形成する工程である。第1絶縁膜20の形成は、公知の絶縁膜形成技術を採用することが可能である。第1絶縁膜20を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法、化学気相成膜法などがあげられる。
【0060】
第1絶縁膜形成工程は、n側コンタクト電極41およびp側電極50上に第1絶縁膜20を形成する工程と、第1絶縁膜20に、n側配線部42と電気的に接続するための第1開口部h1、開口A1およびpパッド電極70と電気的に接続するための第2開口部h2を形成する工程と、を含む。第1開口部h1および第2開口部h2は、第1絶縁膜20上にレジストマスクを形成した後、レジストマスクを介して第1絶縁膜20の一部を除去することで形成することができる。例えば、第1絶縁膜20上の第1開口部h1および第2開口部h2に対応する位置にレジストマスクを形成してもよい。第1絶縁膜20の除去には、公知のエッチング技術を採用することが可能である。第1絶縁膜20を除去する方法としては、例えば、ウエットエッチングやドライエッチングなどがあげられる。
【0061】
5.n側配線部形成工程
n側配線部形成工程は、上述した第1絶縁膜20上にn側配線部42を形成する工程である。n側配線部42の形成には、公知の電極形成技術を採用することが可能である。n側配線部42を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法などがあげられる。図5に示すように、n側配線部42は、平面視において円形状の開口を複数有している。n側配線部42の開口において、p側電極50が露出している。n側配線部形成工程において、n側配線部42の最表面に絶縁膜を形成してよい。n側配線部42の最表面に形成された絶縁膜は、後述する第2絶縁膜形成工程において、第2絶縁膜30に第3開口部h3を形成する工程において、除去することができる。
【0062】
6.第2絶縁膜形成工程
第2絶縁膜形成工程は、上述したn側配線部42上に第3開口部h3を備える第2絶縁膜30を形成する工程である。第3開口部h3は、平面視で第2開口部h2と重複する位置に形成されてよい。第2絶縁膜30の形成は、公知の絶縁膜形成技術を採用することが可能である。例えば、スパッタリング法、蒸着法、化学気相成膜法などがあげられる。また、第2絶縁膜30は、第1絶縁膜と同種の材料としてもよいし、異種の材料としてもよい。
【0063】
第2絶縁膜形成工程は、n側配線部42上に第2絶縁膜30を形成する工程と、第2絶縁膜30に、pパッド電極70と電気的に接続するための第3開口部h3を形成する工程と、を含む。第3開口部h3は、第2絶縁膜30上にレジストマスクを形成した後、レジストマスクを介して第2絶縁膜30の一部を除去することで形成することができる。例えば、第2絶縁膜30上の第2開口部h2に対応する位置にレジストマスクを形成してもよい。第2絶縁膜30の除去は、公知のエッチング技術を採用することが可能である。第2絶縁膜30を除去する方法としては、例えば、ウエットエッチングとドライエッチングなどがあげられる。
【0064】
なお、第2絶縁膜形成工程を行う前に、半導体発光素子1の外縁において、半導体構造体10から基板14を露出させる工程を含んでいてもよい。半導体発光素子1の外縁は、平面視において、開口A1よりも外側に位置している。半導体構造体10から基板14を露出させる工程を行うことで、n側半導体層11の側面の一部と、第1絶縁膜20の側面の一部と、n側配線部42の側面の一部と、が露出する。第2絶縁膜形成工程において、露出させた基板14上に、第2絶縁膜30を形成してもよい。図2に示すように、露出したn側半導体層11の側面の一部と、第1絶縁膜20の側面の一部と、n側配線部42の側面の一部と、を第2絶縁膜30によって覆うことができる。
【0065】
7.nパッド電極およびpパッド電極形成工程
nパッド電極およびpパッド電極形成工程は、n側配線部42と電気的に接続されるnパッド電極60と、p側電極50と電気的に接続されるpパッド電極70とを形成する工程である。nパッド電極60およびpパッド電極70の形成には、公知の電極形成技術を採用することが可能である。nパッド電極60およびpパッド電極70を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法などがあげられる。同じ金属材料からなるnパッド電極60およびpパッド電極70を同時に形成することができる。なお、nパッド電極60およびpパッド電極70をそれぞれ別工程で異なる金属材料を用いて形成してもよい。
【0066】
nパッド電極およびpパッド電極形成工程の後に、基板14を割断する工程を備えていてもよい。基板14を割断する工程は、基板14上に形成された複数の半導体発光素子1をそれぞれが基板14を含む複数の半導体発光素子1に個片化する工程である。基板14を割断する方法としては、例えば、レーザー光の照射、ブレードによるダイシング等があげられる。
【0067】
本開示の半導体発光素子の製造方法によれば、上述の<<第1実施形態の半導体発光素子>>で説明したとおり、発光効率および放熱性が向上した半導体発光素子を製造することができる。
【0068】
<<第1実証試験の説明>>
本開示の半導体発光素子に関して第1実証試験を行った。具体的には、以下に示す比較例および実施例の半導体発光素子を製造した。
【0069】
<実施例>
まず、実施例1~7の半導体発光素子の基本構造について共通する構造を説明する。
【0070】
(実施例1~7の半導体発光素子の共通する構造)
図14A~Gに示す実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gは、前述した図1~7に示す第1実施形態と基本的に同じ基本構造を有する。実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gは、基板14上に、半導体構造体10と、n側電極40と、nパッド電極60と、第1絶縁膜20、第2絶縁膜30と、p側電極50と、pパッド電極70と、を備えている。以下、実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gに共通する構造について詳述する。基板14として、サファイア基板を用いた。基板14は、平面視において、1辺が1mmである正方形である。半導体構造体10として、Al組成比が60%であるAlGaN層を含むn型半導体層と、Al組成比が20%のAlGaN層を含むp型半導体層と、を積層した窒化物半導体を用いた。n側電極40のn側コンタクト電極41として、厚さ25nmのTi層、厚さ100nmのAl合金層、厚さ500nmのTa層、厚さ120nmのRu層、厚さ120nmのTi層が順に積層された積層構造を用いた。n側配線部42として、厚さ1.5nmのTi層、厚さ500nmのRh層、厚さ10nmのTi層が順に積層された積層構造を用いた。第1絶縁膜20として、厚さ800nmのSiO層を用いた。p側電極50として、厚さ100nmのRh層、厚さ6nmのNi層、厚さ7nmのAu層が順に積層された積層構造を用いた。第2絶縁膜30として、厚さ800nmのSiO層を用いた。nパッド電極60、pパッド電極70として、厚さ200nmのTi層、厚さ200nmのPt層、厚さ500nmのAu層が順に積層された積層構造を用いた。
【0071】
実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gにおいて、第1領域R1の外形を平面視で八角形形状とした。第1領域R1の外形の面積は、670,957μmである。また、pパッド電極70の外形を、平面視で八角形形状とした。nパッド電極60は、pパッド電極70の外縁よりも外側に位置する、基板14の4つの角部それぞれに配置した。実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gは、共通する大きさであるコンタクト部41pと、n側外周導通部41gと、を有している。実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gにおいて、コンタクト部41pとn側外周導通部41gと、を合わせた面積は、210,024μmである。実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gにおいて、n側導通部41dの外形を平面視で円形状とした。1つのn側導通部41dの直径の大きさは20μmであって面積が314μmである。
【0072】
次に、実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gの異なる点をそれぞれ詳述する。実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gは、それぞれ異なるn側コンタクト電極41の総面積と、発光層12の総面積と、を有している。n側コンタクト電極41の総面積が増加するほど、発光層12の総面積は減少する。実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gは、それぞれ異なるn側導通部41dの総面積を有する。
【0073】
(実施例1の半導体発光素子1A:図14A参照)
実施例1の半導体発光素子1Aにおいて、n側導通部41dの数を156個とした。n側導通部41dを配置するための第1開口部h1の数を156個とした。
【0074】
実施例1の半導体発光素子1Aにおいて、p側電極50の導通を図るための第2開口部h2及び第3開口部h3の数を145個とした。半導体発光素子1Aの第3開口部h3の直径は、12μmである。
【0075】
実施例1の半導体発光素子1Aにおいて、n側コンタクト電極41の面積は、259,008μmとした。なお、本明細書でいう「n側コンタクト電極の面積」とは、図4に示すように、コンタクト部41p、n側外周導通部41g、およびn側導通部41dの平面視における面積を合計した面積である。
【0076】
実施例1の半導体発光素子1Aにおいて、発光層12の面積は、529,465μmとした。なお、本明細書でいう「発光層の面積」とは、図2および図14Aに示すように、発光層12の平面視における面積である。
【0077】
(実施例2の半導体発光素子1B:図14B参照)
実施例2の半導体発光素子1Bにおいて、n側導通部41dの数を120個とした。n側導通部41dを配置するための第1開口部h1の数を120個とした。
【0078】
実施例2の半導体発光素子1Bにおいて、p側電極50の導通を図るための第2開口部h2(または第3開口部h3)の数を109個とした。平面視において、半導体発光素子1Bの第3開口部h3の直径は、12μmである。
【0079】
実施例2の半導体発光素子1Bにおいて、n側コンタクト電極41の面積は、247,704μmとした。また、実施例2の半導体発光素子1Bにおいて、発光層12の面積は、562,117μmとした。
【0080】
(実施例3の半導体発光素子1C:図14C参照)
実施例3の半導体発光素子1Cにおいて、n側導通部41dの数を76個とした。n側導通部41dを配置するための第1開口部h1の数を76個とした。
【0081】
実施例3の半導体発光素子1Cにおいて、p側電極50の導通を図るための第2開口部h2及び第3開口部h3の数を69個とした。平面視において、半導体発光素子1Cの第3開口部h3の直径は、32μmである。
【0082】
実施例3の半導体発光素子1Cにおいて、n側コンタクト電極41の面積は、233,888μmとした。また、実施例3の半導体発光素子1Cにおいて、発光層12の面積は、602,025μmとした。
【0083】
(実施例4の半導体発光素子1D:図14D参照)
実施例4の半導体発光素子1Dにおいて、n側導通部41dの数を69個とした。n側導通部41dを配置するための第1開口部h1の数を69個とした。
【0084】
実施例4の半導体発光素子1Dにおいて、p側電極50の導通を図るための第2開口部h2及び第3開口部h3の数を60個とした。平面視において、半導体発光素子1Dの第3開口部h3の直径は、32μmである。
【0085】
実施例4の半導体発光素子1Dにおいて、n側コンタクト電極41の面積は、231,690μmとした。また、実施例4の半導体発光素子1Dにおいて、発光層12の面積は、608,374μmとした。
【0086】
(実施例5の半導体発光素子1E:図14E参照)
実施例5の半導体発光素子1Eにおいて、n側導通部41dの数を52個とした。n側導通部41dを配置するための第1開口部h1の数を52個とした。
【0087】
実施例5の半導体発光素子1Eにおいて、p側電極50の導通を図るための第2開口部h2及び第3開口部h3の数を45個とした。平面視において、半導体発光素子1Eの第3開口部h3の直径は、32μmである。
【0088】
実施例5の半導体発光素子1Eにおいて、n側コンタクト電極41の面積は、226,352μmとした。また、実施例5の半導体発光素子1Eにおいて、発光層12の面積は、623,793μmとした。
【0089】
(実施例6の半導体発光素子1F:図14F参照)
実施例6の半導体発光素子1Fにおいて、n側導通部41dの数を37個とした。n側導通部41dを配置するための第1開口部h1の数を37個とした。
【0090】
実施例6の半導体発光素子1Fにおいて、p側電極50の導通を図るための第2開口部h2及び第3開口部h3の数を32個とした。平面視において、半導体発光素子1Fの第3開口部h3の直径は、32μmである。
【0091】
実施例6の半導体発光素子1Fにおいて、n側コンタクト電極41の面積は、221,642μmとした。また、実施例6の半導体発光素子1Fにおいて、発光層12の面積は、637,398μmとした。
【0092】
(実施例7の半導体発光素子1G:図14G照)
実施例7の半導体発光素子1Gにおいて、n側導通部41dの数を24個とした。n側導通部41dを配置するための第1開口部h1の数を24個とした。
【0093】
実施例7の半導体発光素子1Gにおいて、p側電極50の導通を図るための第2開口部h2及び第3開口部h3の数を21個とした。平面視において、半導体発光素子1Gの第3開口部h3の直径は、32μmである。
【0094】
実施例7の半導体発光素子1Gにおいて、n側コンタクト電極41の面積は、217,560μmとした。また、実施例7の半導体発光素子1Gにおいて、発光層12の面積は、649,189μmとした。
【0095】
<比較例>
次に、比較例の半導体発光素子の構造を説明する。
【0096】
(比較例の半導体発光素子の構造:図14H参照)
図14Hに示す比較例の半導体発光素子は、実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gと同様に、基板114上に、半導体構造体110と、n側電極400と、nパッド電極600と、第1絶縁膜120、第2絶縁膜130と、p側電極500と、pパッド電極700と、を備えている。基板114として、サファイア基板を用いた。基板114は、平面視において、1辺が1mmである正方形である。半導体構造体110は、n側半導体層と、発光層と、p側半導体層を有している。n側半導体層は、第1領域R1’と、第1領域R1’の外周に位置する第2領域と、第1領域R1’に囲まれた複数の第3領域R3’と、を有している。第1絶縁膜は、第3領域R3’上に配置された複数の第1開口部h1’と、p側半導体層上に配置された複数の第2開口部h2’とを備えている。第2絶縁膜には、複数の第2開口部h2’と重なる位置に配置された複数の第3開口部h3’を備えている。n側電極400は、複数の第1開口部h1’にてn側半導体層と電気的に接続されている。n側電極400は、nパッド電極600と電気的に接続されている。n側半導体層とnパッド電極600とは、n側電極400を介して電気的に接続されている。pパッド電極700は、第2絶縁膜上に配置され、複数の第3開口部h3’にてp側半導体層と電気的に接続されている。平面視において、pパッド電極700は、第1領域R1’及び第3領域R3’を覆っており、複数の第1開口部h1’は、第3開口部h3’の周囲に配置されている。比較例の半導体発光素子100において、第1開口部h1’は、nパッド電極600下にも配置されている点で、実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gと異なる。比較例の半導体発光素子100において、nパッド電極600下に発光層が配置されている点で、実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gと異なる。比較例の半導体発光素子100は、実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gと同様の材料、厚さを用いている。
【0097】
比較例の半導体発光素子100において、第1領域R1’の外形を、平面視で四角形形状とした。第1領域R1’の外形の面積は、809,657μmである。また、比較例の半導体発光素子100は、pパッド電極700の外形を、平面視で四角形形状とした。比較例の半導体発光素子100は、nパッド電極600を、基板の辺のうち平面視で対向する二辺と隣接する位置にそれぞれ配置した。nパッド電極600の外形を、平面視で四角形形状とした。
【0098】
比較例の半導体発光素子100において、n側導通部410dの数を81個とした。1つのn側導通部410dの面積は20μmである。n側導通部410dを配置するための第1開口部h1’の数を81個とした。
【0099】
比較例の半導体発光素子100において、p側電極500の導通を図るための第2開口部h2’及び第3開口部h3’の数を48個とした。比較例の半導体発光素子100の第3開口部h3’の直径は、32μmである。
【0100】
比較例の半導体発光素子100において、n側コンタクト電極の面積は、91,426μmとした。また、比較例の半導体発光素子100において、発光層の面積は、736,190μmとした。
【0101】
上記実施例1~7および比較例について、n側導通部の数、n側コンタクト電極の面積、及び発光層の面積をそれぞれ表1に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
表1に示すように、n側コンタクト電極の面積は、n側導通部の数が増えるにしたがって増加する。また、発光層の面積は、n側導通部の数が増えるにしたがって減少する。実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gのn側コンタクト電極41の面積は、比較例の半導体発光素子100のn側コンタクト電極の面積よりも大きい。また、実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gの発光層12の面積は、比較例の半導体発光素子100の発光層の面積よりも小さい。
【0104】
比較例の半導体発光素子100においては、nパッド電極600下に発光層が配置されている。そのため、比較例の半導体発光素子100のn側コンタクト電極の面積は、実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gのn側コンタクト電極41の面積よりも小さい。また、比較例の半導体発光素子100のn側導通部の数410dは、実施例3~7よりも多いが、比較例の半導体発光素子100の発光層の面積は、実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gの発光層12の面積よりも大きい。
【0105】
次に、本実施例1~7および比較例について、半導体発光素子に350mAの順方向電流を流したときにおける、明るさの指標である相対出力と、順方向電圧Vfとを測定した。相対出力は、ウェハ状態の半導体発光素子のp側半導体層とn側半導体層との間に電流を流すことにより発光させ、放射された光をフォトダイオードで受光することにより、測定した値である。相対出力の値が大きければ明るいことを、小さければ暗いことを意味する。なお、表2の順方向電圧Vf(V)の値は、測定された順方向電圧Vf(V)の値の小数点第3位を四捨五入した値である。実施例1~7および比較例について、n側導通部の数、相対出力[a.u.]、及び順方向電圧Vf(V)の関係を表2に示す。また、n側導通部の個数と相対出力の関係を示すグラフを図15に示す。図15において、縦軸は相対出力、横軸はn側導通部数である。また、n側導通部の個数と順方向電圧Vfの関係を示すグラフを図16に示す。図16において、縦軸は順方向電圧Vf、横軸はn側導通部数である。なお、図15図16において、実施例1~7の結果を黒丸で示し、比較例の結果を白抜きの丸で示す。
【0106】
【表2】
【0107】
図15のグラフおよび表2の結果によれば、比較例の半導体発光素子100よりも実施例1~7の半導体発光素子1A~1Gの方が、高い相対出力が得られた。また、実施例1~7において、n側導通部41dの数が多いほど、高い相対出力が得られた。n側導通部41dの数が多くなり、発光層12の面積が小さくなる場合であっても、高い相対出力が得られることが確認された。これは、同じ第1領域R1に対して、n側導通部41dを多く配置することで、n側配線部42とn側コンタクト電極41とが電気的に接続される部分と、p側電極50とpパッド電極70とが電気的に接続される部分との間の距離が、より小さくなったことが要因であると推測される。
【0108】
図16のグラフおよび表2の結果によれば、実施例1~7において、n側導通部41dの個数が多いほど、低い順方向電圧Vfが得られた。実施例1~5は、比較例の半導体発光素子100と同等、あるいは比較例の半導体発光素子100よりも低い順方向電圧Vfが得られた。
【0109】
以上の結果から、n側配線部42とn側コンタクト電極41とが電気的に接続される部分と、p側電極50とpパッド電極70とが電気的に接続される部分との間の距離を小さくすることで、高い相対出力と、低い順方向電圧Vfとを有する半導体発光素子を得ることができることが確認された。
【0110】
<<第2実証試験の説明>>
本開示の半導体発光素子に関して第2実証試験を行った。第2実証試験は、以下に示す実施例1~4,実施例8~9の半導体発光素子を製造した。
【0111】
なお、第2実証試験の対象となる実施例1~4,実施例8~9は、第1実証試験の対象となる半導体構造体10および電極の厚さが異なっている。なお、第2実証試験の対象となる実施例1~4,実施例8~9の半導体発光素子は、後述する構成以外は、第1実証試験と実質的に同様の構造とした。以下、具体的に詳述する。
【0112】
半導体構造体10として、Al組成比が60%であるAlGaN層を含むn型半導体層と、Al組成比が40%のAlGaN層と、AlGaN層上に配置されたGaN層とを含むp型半導体層と、を積層した窒化物半導体を用いた。n側電極40のn側配線部42として、厚さ1.6nmのTi層、厚さ500nmのRu層、厚さ10nmのTi層が順に積層された積層構造を用いた。p側電極50として、厚さ340nmのRu層、厚さ9nmのNi層、厚さ7nmのAu層が順に積層された積層構造を用いた。
【0113】
なお、第2実証試験の対象となる実施例1~4の半導体発光素子のn側導通部の数、n側コンタクト電極の面積(μm)および発光層の面積(μm)は、上述の第1実証試験で説明した実施例1~4の半導体発光素子と同じである。
【0114】
また、実施例8および9は、主として実施例1~4とn側導通部41dの数と、第3開口部h3の数とが異なる。例えば、実施例8は、図14Aに示す実施例1のn側導通部41dと第3開口部h3との間隔を狭くして、実施例1よりもn側導通部41dを60個、第3開口部h3を84個、多く配置している。実施例9も同様に、図14Aに示す実施例1のn側導通部41dと第3開口部h3との間隔を狭くして、実施例1よりもn側導通部41dを29個、第3開口部h3を27個多く配置している。そのため、実施例8および9は、実施例1~7よりも、n側コンタクト電極41の総面積が増加し、発光層12の総面積が減少する。
【0115】
実施例8は、n側導通部41dの数を216個とし、n側導通部41dを配置するための第1開口部h1の数を216個とした。また、実施例8は、p側電極50の導通を図るための第2開口部h2及び第3開口部h3の数を229個とした。実施例8の第3開口部h3の直径は、6μmである。実施例9は、n側導通部41dの数を185個とし、n側導通部41dを配置するための第1開口部h1の数を185個とした。また、実施例9は、p側電極50の導通を図るための第2開口部h2及び第3開口部h3の数を172個とした。実施例9の第3開口部h3の直径は、6μmである。実施例8および9は、以下の表3に示すn側コンタクト電極の面積および発光層の面積を備えている。
【0116】
【表3】
【0117】
次に、本実施例1~4および8~9について、半導体発光素子に350mAの順方向電流を流したときの出力(mW)と、順方向電圧Vfとを測定した。実施例1~4および8~9について、n側導通部の数と、出力(mW)及び順方向電圧Vf(V)の関係を表4に示す。また、n側導通部の個数と出力の関係を示すグラフ(縦軸:出力(mW),横軸:n側導通部数)を図17に示し、n側導通部の個数と順方向電圧(V)の関係を示すグラフ(縦軸:順方向電圧(V),横軸:n側導通部数)を図18に示す。
【0118】
【表4】
【0119】
図17のグラフおよび表4の結果によれば、実施例1~4および8~9の半導体発光素子は、高い出力が得られた。また、実施例1~4および8~9において、n側導通部41dの数が多いほど、高い出力が得られた。第1実証試験の結果と同様に、第2実証試験においても、n側導通部41dの数が多くなり、発光層12の面積が小さくなる場合であっても、高い出力が得られることが確認された。これは、同じ面積の第1領域R1に対して、n側導通部41dの数を多く配置することで、n側配線部42とn側コンタクト電極41とが電気的に接続される部分と、p側電極50とpパッド電極70とが電気的に接続される部分との間の距離がより小さくなったことが要因であると推測される。
【0120】
図18のグラフおよび表4の結果によれば、実施例1~4および8~9において、n側導通部41dの個数が多いほど、低い順方向電圧Vfが得られた。第2実証試験の結果から、n側配線部42とn側コンタクト電極41とが電気的に接続される部分と、p側電極50とpパッド電極70とが電気的に接続される部分との間の距離を小さくすることで、高い出力と、低い順方向電圧Vfとを有する半導体発光素子を得ることができることが確認された。
【0121】
なお、今回開示した実施態様は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施態様のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本開示の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0122】
本開示は、以下の実施形態を含む。
[項1]
平面視において、第1領域と、前記第1領域の外周に位置する第2領域と、前記第1領域に囲まれた複数の第3領域とを有するn側半導体層と、前記第1領域上に配置された発光層と、前記発光層上に配置されたp側半導体層と、を有する半導体構造体と、
前記半導体構造体上に配置され、前記第3領域上に配置された複数の第1開口部と、前記p側半導体層上に配置された複数の第2開口部と、を有する第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に配置され、前記複数の第1開口部にて前記n側半導体層と電気的に接続されたn側電極と、
前記第2領域に配置され、前記n側電極と電気的に接続されたnパッド電極と、
前記第1絶縁膜上に配置され、前記複数の第2開口部と重なる位置に配置された複数の第3開口部を有する第2絶縁膜と、
前記第2絶縁膜上に配置され、前記複数の第3開口部にて前記p側半導体層と電気的に接続されたpパッド電極と、を備え、
平面視において、前記pパッド電極は、前記第1領域及び前記第3領域を覆い、
平面視において、前記複数の第1開口部は、前記第3開口部の周囲に配置されている、半導体発光素子。
[項2]
前記第1開口部と、前記第3開口部とが、平面視で千鳥状に配置されている、項1に記載の半導体発光素子。
[項3]
前記発光層は、Al組成比が40%以上60%以下であるAlGaN層を含む、項1に記載の半導体発光素子。
[項4]
平面視において、前記nパッド電極は、前記pパッド電極の外縁よりも外側に複数配置されている、項1~3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[項5]
平面視において、前記半導体構造体は、矩形状であり、
前記nパッド電極は、前記第2領域のうち前記半導体構造体の角部に位置する前記第2領域に配置されている、項1~4のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[項6]
前記pパッド電極は、平面視で八角形形状である、項1~5のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[項7]
平面視において、前記pパッド電極の面積は、前記発光層の面積よりも大きい、項1~6のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[項8]
前記第3開口部の上方に位置する前記pパッド電極に接合部材が配置されている、項1~7のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[項9]
前記n側電極は、複数のn側導通部と、n側配線部と、を有し、
前記n側導通部は、前記第1開口部にて前記n側半導体層と接触し、
前記n側配線部は、前記n側導通部と前記nパッド電極とを電気的に接続する、項1~8のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[項10]
前記第2絶縁膜は、平面視において、前記複数の第1開口部のうち最も前記nパッド電極の近くに位置する前記第1開口部と前記nパッド電極との間に位置する第4開口部を有する、項1~9のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[項11]
前記n側電極は、平面視において、前記nパッド電極と重ならない前記第2領域にて前記n側半導体層と接触するn側外周導通部を有し、
前記n側外周導通部は、平面視において、前記pパッド電極の外縁よりも外側に配置されており、
前記第2絶縁膜は、平面視において、前記複数の第1開口部のうち最も前記n側外周導通部の近くに位置する前記第1開口部と前記n側外周導通部との間に位置する第5開口部を有する、項1~10のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[項12]
前記第1絶縁膜は、平面視において、1つの前記第1開口部の面積よりも大きい第6開口部を有し、
前記第6開口部は、平面視で楕円形状であり、
平面視において、前記第5開口部は、前記第6開口部と前記n側外周導通部との間に配置されている、項11に記載の半導体発光素子。
[項13]
平面視において、前記第5開口部の面積は、1つの前記第3開口部の面積よりも大きく、
前記第5開口部は、平面視で楕円形状である、項11又は12に記載の半導体発光素子。
【符号の説明】
【0123】
1 半導体発光素子
10 半導体構造体
11 n側半導体層
12 発光層
13 p側半導体層
14 基板
20 第1絶縁膜
30 第2絶縁膜
40 n側電極
41 n側コンタクト電極
41p コンタクト部
41g n側外周導通部
41d n側導通部
42 n側配線部
50 p側電極
60 nパッド電極
70 pパッド電極
80 接合部材
R1 第1領域
R2 第2領域
R3 第3領域
h1 第1開口部
h2 第2開口部
h3 第3開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
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図14D
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