(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】膜形成用組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 183/06 20060101AFI20240703BHJP
C09D 183/08 20060101ALI20240703BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20240703BHJP
C08G 77/14 20060101ALI20240703BHJP
C08G 77/28 20060101ALI20240703BHJP
G03F 7/11 20060101ALI20240703BHJP
G03F 7/26 20060101ALI20240703BHJP
G03F 7/40 20060101ALI20240703BHJP
【FI】
C09D183/06
C09D183/08
C09D5/00 D
C08G77/14
C08G77/28
G03F7/11 503
G03F7/11 502
G03F7/26 511
G03F7/40 521
(21)【出願番号】P 2020563356
(86)(22)【出願日】2019-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2019050871
(87)【国際公開番号】W WO2020138189
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2018246260
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴山 亘
(72)【発明者】
【氏名】倉本 悠太郎
(72)【発明者】
【氏名】武田 諭
(72)【発明者】
【氏名】志垣 修平
(72)【発明者】
【氏名】石橋 謙
(72)【発明者】
【氏名】中島 誠
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-308541(JP,A)
【文献】国際公開第2018/230382(WO,A1)
【文献】特開2016-074772(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145809(WO,A1)
【文献】特開2013-224279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
G03F 7/00- 7/42
C08G77/00- 77/62
C07F 7/00- 7/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水分解性シラン、その加水分解物及びその加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種と、溶媒とを含む
レジスト下層膜形成用組成物であって、
上記加水分解性シランが、式(1)
【化1】
[式(1)中、R
1は、
式(K)で表される基を表し、
【化2】
{式中、n
L
は、0~10の整数を表し、
n
A
は、0~5の整数を表し、
R
Y
は、互いに独立して、水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシ基、チオール基、フラン環含有基又はチオフェン環含有基を表し、n
L
×2個のR
Y
は、互いに同一であっても異なってもよく、
R
E
は、水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシ基、チオール基、フラン環含有基又はチオフェン環含有基を表し、
L
A
は、互いに独立して、式(L1)、(L2)、(L4)、(L6a)、(L6b)、(L7)、(L8)、(L9a)、(L9b)及び(L10)のいずれかで表される2価の基を表し、
【化3】
(
各R
L
は、互いに独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。)
n
L
が0である場合は、n
A
は0であり、且つ、R
E
はフラン環含有基又はチオフェン環含有基であり、n
L
が1以上である場合は、n
L
×2個のR
Y
及びR
E
の少なくとも1つは、フラン環含有基又はチオフェン環含有基であり、-L
A
-基が複数存在する場合は、-L
A
-基同士が結合することはない。}
R
2は、ケイ素原子に結合する基であり、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基
、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基
若しくはアミノ
基を含む有機基を表し、
R
3は、ケイ素原子に結合する基又は原子であり、互いに独立して、アルコキシ基、アラルキルオキシ基
又はアシルオキシ
基を表し、
R
1の
式(K)で表される基とR
3のアルコキシ基、アラルキルオキシ基又はアシルオキシ基とは、互いに結合して環を形成していてもよく、
aは、0~2の整数である。]
で表されるヘテロ環含有シランを含むことを特徴とするレジスト下層膜形成用組成物。
【請求項2】
上記加水分解性シランの加水分解縮合物を含む請求項1
に記載の
レジスト下層膜形成用組成物。
【請求項3】
上記加水分解性シランが、上記式(1)で表されるヘテロ環含有シランと、下記式(2)で表されるその他のシラン及び下記式(3)で表されるその他のシランから選ばれる少なくとも1種とを含む請求項1
又は請求項2に記載の
レジスト下層膜形成用組成物。
【化4】
(式(2)中、R
11は、ケイ素原子に結合する基であり、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアル
コキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を含む有機基を表し、
R
12は、ケイ素原子に結合する基又は原子であり、互いに独立して、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子を表し、
bは、0~3の整数を表し、
式(3)中、R
21は、ケイ素原子に結合する基であり、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を含む有機基を表し、
R
22は、ケイ素原子に結合する基又は原子であり、互いに独立して、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子を表し、
Yは、ケイ素原子に結合する基であり、互いに独立して、アルキレン基又はアリーレン基を表し、
cは、互いに独立して、0~2の整数を表す。)
【請求項4】
上記加水分解性シランが、上記式(1)で表されるヘテロ環含有シランと、上記式(2)で表されるその他のシランとを含む請求項
3記載の
レジスト下層膜形成用組成物。
【請求項5】
上記加水分解性シランが、オニウム基を分子内に有する加水分解性オルガノシランを更に含む請求項1~
4のいずれか1項記載の
レジスト下層膜形成用組成物。
【請求項6】
上記溶媒が、水を含む請求項1~
5のいずれか1項記載の
レジスト下層膜形成用組成物。
【請求項7】
pH調整剤を更に含む請求項1~
6のいずれか1項記載の
レジスト下層膜形成用組成物。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項記載の
レジスト下層膜形成用組成物から得られるSi含有レジスト下層膜。
【請求項9】
半導体基板と、請求項8記載のSi含有レジスト下層膜とを備える半導体加工用基板。
【請求項10】
半導体基板上に、請求項1~
7のいずれか1項記載の
レジスト下層膜形成用組成物を用いてSi含有レジスト下層膜を形成する工程と、
上記Si含有レジスト下層膜の上に、レジスト膜を形成する工程と、
上記レジスト膜を露光する工程と、
露光後に、当該レジスト膜を現像し、レジストパターンを得る工程と、
上記レジストパターンにより、Si含有レジスト下層膜をエッチングする工程と、
パターン化されたレジスト膜とSi含有レジスト下層膜により半導体基板を加工する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項11】
半導体基板上に、有機下層膜を形成する工程と、
上記有機下層膜の上に、請求項1~
7のいずれか1項記載の
レジスト下層膜形成用組成
物を用いてSi含有レジスト下層膜を形成する工程と、
上記Si含有レジスト下層膜の上に、レジスト膜を形成する工程と、
上記レジスト膜を露光する工程と、
露光後に、当該レジスト膜を現像し、レジストパターンを得る工程と、
上記レジストパターンにより、Si含有レジスト下層膜をエッチングする工程と、
パターン化されたレジスト膜とSi含有レジスト下層膜により有機下層膜をエッチングする工程と、
パターン化されたレジスト膜、Si含有レジスト下層膜及び有機下層膜により半導体基板を加工する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項12】
式(1)で表されるヘテロ環含有シラン。
【化5】
[式(1)中、R
1は、
式(K)で表される基を表し、
【化6】
{式中、n
L
は、0~10の整数を表し、
n
A
は、0~5の整数を表し、
R
Y
は、互いに独立して、水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシ基、チオール基、フラン環含有基又はチオフェン環含有基を表し、n
L
×2個のR
Y
は、互いに同一であっても異なってもよく、
R
E
は、水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシ基、チオール基、フラン環含有基又はチオフェン環含有基を表し、
L
A
は、互いに独立して、式(L1)、(L2)、(L4)、(L6a)、(L6b)、(L7)、(L8)、(L9a)、(L9b)及び(L10)のいずれかで表される2価の基を表し、
【化7】
(各R
L
は、互いに独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。)
n
L
が0である場合は、n
A
は0であり、且つ、R
E
はフラン環含有基又はチオフェン環含有基であり、n
L
が1以上である場合は、n
L
×2個のR
Y
及びR
E
の少なくとも1つは、フラン環含有基又はチオフェン環含有基であり、-L
A
-基が複数存在する場合は、-L
A
-基同士が結合することはない。}
R
2は、ケイ素原子に結合する基であり、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基
、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基
若しくはアミノ
基を含む有機基を表し、
R
3は、ケイ素原子に結合する基又は原子であり、互いに独立して、アルコキシ基、アラルキルオキシ基
又はアシルオキシ
基を表し、
R
1の
式(K)で表される基とR
3のアルコキシ基、アラルキルオキシ基又はアシルオキシ基とは、互いに結合して環を形成していてもよく、
aは、0~2の整数である。]
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜形成用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体装置の製造において、フォトレジストを用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。上記微細加工はシリコンウエハー等の半導体基板上にフォトレジストの薄膜を形成し、その上に半導体デバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性光線を照射し、現像し、得られたフォトレジストパターンを保護膜として基板をエッチング処理することにより、基板表面に、上記パターンに対応する微細凹凸を形成する加工法である。
【0003】
近年、最先端半導体デバイスにおいて、レジストの薄膜化は顕著である。とりわけ、レジスト層、Si含有レジスト下層膜、有機下層膜からなる3層プロセスにおいては、Si含有レジスト下層膜上におけるレジストのリソグラフィー特性だけでなく、高いエッチング速度が必須となってきている。特に、EUV(ExtremeUltraviolet)リソグラフィーでは、リソグラフィー特性の向上のためにレジストと密着性の高い官能基の大量導入や、解像性を向上させる光酸発生剤の大量添加が必要不可欠である一方、それに伴う有機成分の増大によるエッチング速度の低下が大きな問題となっている。
【0004】
このような事情の下、オニウム基を有するシラン化合物を含むレジスト下層膜形成用組成物やアニオン基を有するシラン化合物を含むレジスト下層膜が報告されている(特許文献1、2)。
しかし、近年、最先端半導体デバイスについてはレジストの微細化が顕著である。その中でも、上述の3層プロセスにおいては、レジスト下層膜のシリコン系ハードマスクには、優れたリソグラフィー特性だけでなく、高エッチレート化が求められおり、特にEUV世代においては、リソグラフィー特性の向上(特にパターン倒れ防止)のためにレジストと密着性の高い官能基の大量導入が必須となってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開2010-021290
【文献】国際公開2010-071155
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、EUVレジストへの良好な密着性と、フッ素系エッチレートも高いため良好なエッチング加工性とを併せ持つレジスト下層膜を形成できるレジスト下層膜形成用組成物として好適な、膜形成用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、フラン環及び/又はチオフェン環を含む所定の有機基を持つ加水分解性シラン、その加水分解物及びその加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種と、溶媒とを含む膜形成用組成物から、EUVレジストへの良好な密着性と、フッ素系エッチレートも高いため良好なエッチング加工性とを併せ持つ薄膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、
1.加水分解性シラン、その加水分解物及びその加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種と、溶媒とを含む膜形成用組成物であって、
上記加水分解性シランが、式(1)で表されるヘテロ環含有シランを含むことを特徴とする膜形成用組成物、
【化1】
(式(1)中、R
1は、フラン環及び/又はチオフェン環を含む有機基を表し、
R
2は、ケイ素原子に結合する基であり、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を含む有機基を表し、
R
3は、ケイ素原子に結合する基又は原子であり、互いに独立して、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基又はハロゲン原子を表し、
R
1のフラン環及び/又はチオフェン環を含む有機基とR
3のアルコキシ基、アラルキルオキシ基又はアシルオキシ基とは、互いに結合して環を形成していてもよく、
aは、0~2の整数である。)
2.上記フラン環及び/又はチオフェン環を含む有機基が、式(K)で表される1の膜形成用組成物、
【化2】
[式中、n
Lは、0~10の整数を表し、
n
Aは、0~5の整数を表し、
R
Yは、互いに独立して、水素原子、メチル基、エチル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、フラン環含有基又はチオフェン環含有基を表し、n
L×2個のR
Yは、互いに同一であっても異なってもよく、
R
Eは、水素原子、メチル基、エチル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、フラン環含有基又はチオフェン環含有基を表し、
L
Aは、互いに独立して、式(L1)、(L2)、(L3)、(L4)、(L5)、(L6a)、(L6b)、(L7)、(L8)、(L9a)、(L9b)及び(L10)のいずれかで表される2価の基を表し、
【化3】
(各R
Lは、互いに独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。)
n
Lが0である場合は、n
Aは0であり、且つ、R
Eはフラン環含有基又はチオフェン環含有基であり、n
Lが1以上である場合は、n
L×2個のR
Y及びR
Eの少なくとも1つは、フラン環含有基又はチオフェン環含有基であり、-L
A-基が複数存在する場合は、-L
A-基同士が結合することはない。]
3.上記加水分解性シランの加水分解縮合物を含む1又は2の膜形成用組成物、
4.上記加水分解性シランが、上記式(1)で表されるヘテロ環含有シランと、下記式(2)で表されるその他のシラン及び下記式(3)で表されるその他のシランから選ばれる少なくとも1種とを含む1~3のいずれかの膜形成用組成物、
【化4】
(式(2)中、R
11は、ケイ素原子に結合する基であり、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を含む有機基を表し、
R
12は、ケイ素原子に結合する基又は原子であり、互いに独立して、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子を表し、
bは、0~3の整数を表し、
式(3)中、R
21は、ケイ素原子に結合する基であり、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を含む有機基を表し、
R
22は、ケイ素原子に結合する基又は原子であり、互いに独立して、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子を表し、
Yは、ケイ素原子に結合する基であり、互いに独立して、アルキレン基又はアリーレン基を表し、
cは、互いに独立して、0~2の整数を表す。)
5.上記加水分解性シランが、上記式(1)で表されるヘテロ環含有シランと、上記式(2)で表されるその他のシランとを含む4の膜形成用組成物、
6.上記加水分解性シランが、オニウム基を分子内に有する加水分解性オルガノシランを更に含む1~5のいずれか1の膜形成用組成物、
7.上記溶媒が、水を含む1~6のいずれかの膜形成用組成物、
8.pH調整剤を更に含む1~7のいずれかの膜形成用組成物、
9.レジスト下層膜形成用である1~8のいずれかの膜形成用組成物、
10.1~9のいずれかの膜形成用組成物から得られるSi含有レジスト下層膜、
11.半導体基板と、10のSi含有レジスト下層膜とを備える半導体加工用基板、
12.半導体基板上に、1~9のいずれかの膜形成用組成物を用いてSi含有レジスト下層膜を形成する工程と、
上記Si含有レジスト下層膜の上に、レジスト膜を形成する工程と、
上記レジスト膜を露光する工程と、
露光後に、当該レジスト膜を現像し、レジストパターンを得る工程と、
上記レジストパターンにより、Si含有レジスト下層膜をエッチングする工程と、
パターン化されたレジスト膜とSi含有レジスト下層膜により半導体基板を加工する工程と、
を含む半導体装置の製造方法、
13.半導体基板上に、有機下層膜を形成する工程と、
上記有機下層膜の上に、1~9のいずれかの膜形成用組成物を用いてSi含有レジスト下層膜を形成する工程と、
上記Si含有レジスト下層膜の上に、レジスト膜を形成する工程と、
上記レジスト膜を露光する工程と、
露光後に、当該レジスト膜を現像し、レジストパターンを得る工程と、
上記レジストパターンにより、Si含有レジスト下層膜をエッチングする工程と、
パターン化されたレジスト膜とSi含有レジスト下層膜により有機下層膜をエッチングする工程と、
パターン化されたレジスト膜、Si含有レジスト下層膜及び有機下層膜により半導体基板を加工する工程と、
を含む半導体装置の製造方法、
14.式(1)で表されるヘテロ環含有シラン、
【化5】
(式(1)中、R
1は、フラン環及び/又はチオフェン環を含む有機基を表し、
R
2は、ケイ素原子に結合する基であり、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を含む有機基を表し、
R
3は、ケイ素原子に結合する基又は原子であり、互いに独立して、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基又はハロゲン原子を表し、
R
1のフラン環及び/又はチオフェン環を含む有機基とR
3のアルコキシ基、アラルキルオキシ基又はアシルオキシ基とは、互いに結合して環を形成していてもよく、
aは、0~2の整数である。)
15.上記フラン環及び/又はチオフェン環を含む有機基が、式(K)で表される14のヘテロ環含有シラン
【化6】
[式中、n
Lは、0~10の整数を表し、
n
Aは、0~5の整数を表し、
R
Yは、互いに独立して、水素原子、メチル基、エチル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、フラン環含有基又はチオフェン環含有基を表し、n
L×2個のR
Yは、互いに同一であっても異なってもよく、
R
Eは、水素原子、メチル基、エチル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、フラン環含有基又はチオフェン環含有基を表し、
L
Aは、互いに独立して、式(L1)、(L2)、(L3)、(L4)、(L5)、(L6a)、(L6b)、(L7)、(L8)、(L9a)、(L9b)及び(L10)のいずれかで表される2価の基を表し、
【化7】
(各R
Lは、互いに独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。)
n
Lが0である場合は、n
Aは0であり、且つ、R
Eはフラン環含有基又はチオフェン環含有基であり、n
Lが1以上である場合は、n
L×2個のR
Y及びR
Eの少なくとも1つは、フラン環含有基又はチオフェン環含有基であり、-L
A-基が複数存在する場合は、-L
A-基同士が結合することはない。]
を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の組成物は、フラン環及び/又はチオフェン環を含む所定の有機基を持つ加水分解性シラン、その加水分解物及びその加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種を含み、当該有機基が高い極性を有する官能基であるため、当該組成物から得られる薄膜は、EUVレジストへの良好な密着性を有する。また、当該有機基は酸素や硫黄を高濃度で含むことから、当該組成物から得られる薄膜は、フッ素系エッチレートも高く、良好なエッチング加工性も有する。従って、本発明の組成物を用いることで、微細なレジストの形成と、下地基板への高い転写性の発現が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
なお、本発明の膜形成用組成物に関し固形分とは、当該組成物に含まれる溶媒以外の成分を意味する。
また、後述の通り、本発明の膜形成用組成物は、特定の加水分解性シラン、その加水分解物及びその加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種を、すなわち、これらのうちの1、2又は3種を含むが、この加水分解物や加水分解縮合物には、加水分解が完全に完了しない部分加水分解物や部分加水分解縮合物が包含される。
【0011】
本発明の膜形成用組成物は、加水分解性シラン、その加水分解物及びその加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種と、溶媒とを含み、当該加水分解性シランが、式(1)で表されるヘテロ環含有シランを含むものである。
【0012】
【0013】
R1は、フラン環及び/又はチオフェン環を含む有機基を表す。
このような基としては、分子内にフラン環及びチオフェン環の少なくとも一方を含む有機基である限り特に限定されるものではないが、フラン環含有基自体やチオフェン環含有基自体の他、スペーサー基と当該スペーサー基に結合する1つ以上のフラン環含有基及び/又は1つ以上のチオフェン環含有基とから構成される基が挙げられる。
【0014】
フラン環含有基とは、フラン環を含む基であり、1つ以上のフラン環を含む基である限り特に限定されるものではないが、置換又は無置換の2-フラニル基や置換又は無置換の3-フラニル基の他、置換又は無置換のフラン環含有縮合環が挙げられる。以下、フラン環含有基の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
【0015】
【化9】
(式(F1)~(F11)中、各R
Fは、互いに独立して、単結合、水素原子、水素原子以外の任意の原子又は任意の置換基を表すが、各式それぞれにおいて、1つのR
Fが、単結合を表し、直接又は後述のスペーサー基を介して式(1)におけるケイ素原子と結合している。)
【0016】
チオフェン環含有基とは、チオフェン環を含む基であり、1つ以上のチオフェン環を含む基である限り特に限定されるものではないが、置換又は無置換の2-チエニル基や置換又は無置換の3-チエニル基の他、置換又は無置換のチオフェン環含有縮合環が挙げられる。以下、チオフェン環含有基の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
【0017】
【化10】
(式(T1)~(T11)中、各R
Sは、互いに独立して、単結合、水素原子、水素原子以外の任意の原子又は任意の置換基を表すが、各式それぞれにおいて、1つのR
Sが、単結合を表し、直接又は後述のスペーサー基を介して式(1)におけるケイ素原子と結合している。)
【0018】
スペーサー基とは、式(1)におけるケイ素原子とフラン環含有基及び/又はチオフェン環含有基との間に介在する基であり、2価以上の基である。スペーサー基の価数は、フラン環含有基及びチオフェン環含有基の数に応じて定まる。例えば、フラン環含有基及びチオフェン環含有基の合計数が1である場合、スペーサー基は2価であり、1つの結合手は、式(1)におけるケイ素原子との結合に使われ、もう1つの結合手は、フラン環含有基又はチオフェン環含有基との結合に使われる。
スペーサー基は、2価以上の基である限り特に限定されるものではないが、典型的には、2価以上の脂肪族炭化水素基や2価以上の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0019】
2価以上の脂肪族炭化水素基は、脂肪族炭化水素化合物から2つ以上の水素原子を取り除いて誘導される基であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、アルカンから誘導される基、アルケンから誘導される基、アルキンから誘導される基のいずれからでもよく、その炭素数は、特に限定されるものではないが、通常40以下、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、より一層好ましくは10以下である。
【0020】
アルカンから誘導される基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状アルキレン基、1-メチルトリメチレン基、2-メチルトリメチレン基、1,1-ジメチルエチレン基、1-メチルテトラメチレン基、2-メチルテトラメチレン基、1,1-ジメチルトリメチレン基、1,2-ジメチルトリメチレン基、2,2-ジメチルトリメチレン基、1-エチルトリメチレン基等の分岐鎖状アルキレン基等のアルキレン基、メタントリイル基、エタン-1,1,2-トリイル基、エタン-1,2,2-トリイル基、エタン-2,2,2-トリイル基、プロパン-1,1,1-トリイル基、プロパン-1,1,2-トリイル基、プロパン-1,2,3-トリイル基、プロパン-1,2,2-トリイル基、プロパン-1,1,3-トリイル基、ブタン-1,1,1-トリイル基、ブタン-1,1,2-トリイル基、ブタン-1,1,3-トリイル基、ブタン-1,2,3-トリイル基、ブタン-1,2,4-トリイル基、ブタン-1,2,2-トリイル基、ブタン-2,2,3-トリイル基、2-メチルプロパン-1,1,1-トリイル基、2-メチルプロパン-1,1,2-トリイル基、2-メチルプロパン-1,1,3-トリイル基、2-メチルプロパン-1,1,1-トリイル基のアルカントリイル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
アルケンから誘導される基の具体例としては、エチレン-1,1-ジイル基、エチレン-1,2-ジイル基、プロペン-1,1-ジイル基、プロペン-1,2-ジイル基、プロペン-1,3-ジイル基、1-ブテン-1,1-ジイル基、1-ブテン-1,2-ジイル基、1-ブテン-1,3-ジイル基、1-ブテン-1,4-ジイル基、1-ペンテン-1,1-ジイル基、1-ペンテン-1,2-ジイル基、1-ペンテン-1,3-ジイル基、1-ペンテン-1,4-ジイル基、1-ペンテン-1,5-ジイル基等のアルケンジイル基、エチレン-1,1,2-トリイル基、エチレン-1,2,2-トリイル基、プロペン-1,1,2-トリイル基、プロペン-1,1,3-トリイル基、プロペン-1,2,2-トリイル基、プロペン-1,3,3-トリイル基、プロペン-1,2,3-トリイル基、1-ブテン-1,1,2-トリイル基、1-ブテン-1,1,3-トリイル基、1-ブテン-1,1,4-トリイル基、1-ブテン-1,2,3-トリイル基、1-ブテン-1,2,4-トリイル基、1-ブテン-1,3,4-トリイル基、1-ブテン-1,2,2-トリイル基、1-ブテン-1,3,3-トリイル基、1-ブテン-1,4,4-トリイル基等のアルケントリイル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
アルキンから誘導される基、アセチレンジイル基、プロピン-1,2-ジイル基、プロピン-1,3-ジイル基、1-ブチン-1,2-ジイル基、1-ブチン-1,3-ジイル基、1-ブチン-1,4-ジイル基、1-ペンチン-1,2-ジイル基、1-ペンチン-1,3-ジイル基、1-ペンチン-1,4-ジイル基、1-ペンチン-1,5-ジイル基等のアルキンジイル基、プロピン-1,2,2-トリイル基、プロピン-1,3,3-トリイル基、プロピン-1,2,3-トリイル基、1-ブチン-1,2,2-トリイル基、1-ブチン-1,3,3-トリイル基、1-ブチン-1,4,4-トリイル基、1-ブチン-1,2,3-トリイル基、1-ブチン-1,2,4-トリイル基、1-ブチン-1,3,4-トリイル基、1-ペンチン-1,2,2-トリイル基、1-ペンチン-1,3,3-トリイル基、1-ペンチン-1,4,4-トリイル基、1-ペンチン-1,5,5-トリイル基、1-ペンチン-1,2,3-トリイル基、1-ペンチン-1,2,4-トリイル基、1-ペンチン-1,2,5-トリイル基、1-ペンチン-1,3,4-トリイル基、1-ペンチン-1,3,5-トリイル基、1-ペンチン-1,4,5-トリイル基、1-ペンチン-1,2,2-トリイル基、1-ペンチン-1,3,3-トリイル基、1-ペンチン-1,4,4-トリイル基、1-ペンチン-1,5,5-トリイル基等のアルキントリイル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
スペーサー基である2価以上の脂肪族炭化水素基は、その末端及び/又はその途中に、エーテル基(-O-)、チオエーテル基(-S-)、カルボニル基(-CO-)、エステル基(-CO-O-)、アミノ基(-NRAM-(RAMは、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基等である。))、アミド基(-CO-NRAD-(RADは、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基等である。))等を含んでいてもよい。
【0024】
スペーサー基である2価以上の脂肪族炭化水素基は、置換基Z又は置換基Zで置換されていてもよい、アリール基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アルキルアリール基若しくはカルボニルアリール基で置換されていてもよい。
置換基Zは、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基等のハロゲン原子又は水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から構成される分子量100以下のヘテロ原子含有置換基である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0025】
2価以上の芳香族炭化水素基は、芳香族炭化水素化合物から2つ以上の水素原子を取り除いて誘導される基であり、このような芳香族炭化水素化合物は、ベンゼン、環縮合芳香族炭化水素化合物、環連結芳香族炭化水素化合物のいずれでもよく、その炭素数は、特に限定されるものではないが、通常40以下、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
【0026】
ベンゼンから誘導される基の具体例としては、ベンゼン-1,2-ジイル基、ベンゼン-1,3-ジイル基、ベンゼン-1,4-ジイル基、ベンゼン-1,2,3-トリイル基、ベンゼン-1,2,4-トリイル基、ベンゼン-1,3,5-トリイル基が挙げられる。
【0027】
環縮合芳香族炭化水素化合物から誘導される基の具体例としては、ナフタレン-1,2-ジイル基、ナフタレン-1,3-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、ナフタレン-1,5-ジイル基、ナフタレン-1,6-ジイル基、ナフタレン-1,7-ジイル基、ナフタレン-1,8-ジイル基、ナフタレン-2,3-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-2,7-ジイル基、アントラセン-1,2-ジイル基、アントラセン-1,3-ジイル基、アントラセン-1,4-ジイル基、アントラセン-1,5-ジイル基、アントラセン-1,6-ジイル基、アントラセン-1,7-ジイル基、アントラセン-1,8-ジイル基、アントラセン-1,9-ジイル基、アントラセン-1,10-ジイル基、アントラセン-2,3-ジイル基、アントラセン-2,6-ジイル基、アントラセン-2,7-ジイル基、アントラセン-2,9-ジイル基、アントラセン-2,10-ジイル基、アントラセン-9,10-ジイル基等の環縮合芳香族炭化水素化合物から誘導される2価の基、ナフタレン-1,2,3-トリイル基、ナフタレン-1,2,4-トリイル基、ナフタレン-1,2,5-トリイル基、ナフタレン-1,2,6-トリイル基、ナフタレン-1,2,7-トリイル基、ナフタレン-1,2,8-トリイル基、ナフタレン-1,3,5-トリイル基、ナフタレン-1,3,6-トリイル基、ナフタレン-1,3,7-トリイル基、ナフタレン-1,3,8-トリイル基、ナフタレン-1,4,5-トリイル基、ナフタレン-1,4,6-トリイル基、ナフタレン-1,4,7-トリイル基、ナフタレン-1,4,8-トリイル基、ナフタレン-2,3,5-トリイル基、ナフタレン-2,3,6-トリイル基、ナフタレン-2,3,7-トリイル基、ナフタレン-2,3,8-トリイル基等の環縮合芳香族炭化水素化合物から誘導される3価の基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
環連結芳香族炭化水素化合物から誘導される基の具体例としては、ビフェニル-2,2’-ジイル基、ビフェニル-2,3’-ジイル基、ビフェニル-2,4’-ジイル基、ビフェニル-3,3’-ジイル基、ビフェニル-3,4’-ジイル基、ビフェニル-4,4’-ジイル基、p-テルフェニル-2、2’-ジイル基、p-テルフェニル-2、3’-ジイル基、p-テルフェニル-2、2”-ジイル基、p-テルフェニル-2、3”-ジイル基、p-テルフェニル-2、4”-ジイル基、p-テルフェニル-3、2’-ジイル基、p-テルフェニル-3、3’-ジイル基、p-テルフェニル-3、3”-ジイル基、p-テルフェニル-3、4”-ジイル基、p-テルフェニル-4、4”-ジイル基、p-テルフェニル-2’、3’-ジイル基、p-テルフェニル-2’、5’-ジイル基、p-テルフェニル-2’、6’-ジイル基等の環連結芳香族炭化水素化合物から誘導される2価の基、
ビフェニル-2,3,2’-トリイル基、ビフェニル-2,3,3’-トリイル基、ビフェニル-2,3,4’-トリイル基、ビフェニル-2,4,2’-トリイル基、ビフェニル-2,4,3’-トリイル基、ビフェニル-2,4,4’-トリイル基、ビフェニル-2,5,2’-トリイル基、ビフェニル-2,5,3’-トリイル基、ビフェニル-2,5,4’-トリイル基、ビフェニル-2,6,2’-トリイル基、ビフェニル-2,6,3’-トリイル基、ビフェニル-2,6,4’-トリイル基、ビフェニル-3,4,2’-トリイル基、ビフェニル-3,4,3’-トリイル基、ビフェニル-3,4,4’-トリイル基、ビフェニル-3,5,2’-トリイル基、ビフェニル-3,5,3’-トリイル基、ビフェニル-3,5,4’-トリイル基等の環連結芳香族炭化水素化合物から誘導される3価の基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明の好ましい一態様においては、フラン環含有基は、式(F1-1a)、(F1-1b)、(F2-2)、(F3-3)、(F4-4)、(F5-1)、(F6-1)、(F7-1)、(F8-1)、(F9-1)、(F10-1)及び(F11-1)のいずれかで表される1価の基であるが、中でも、式(F1-1a)又は式(F1-1b)で表される基が好ましい。
【化11】
【0030】
本発明の好ましい一態様においては、チオフェン環含有基は、式(T1-1a)、(T1-1b)、(T2-2)、(T3-3)、(T4-4)、(T5-1)、(T6-1)、(T7-1)、(T8-1)、(T9-1)、(T10-1)及び(T11-1)のいずれかで表される1価の基であるが、中でも、式(T1-1a)又は式(T1-1b)で表される基が好ましい。
【化12】
【0031】
本発明の好ましい一態様においては、フラン環及び/又はチオフェン環を含む有機基は、式(K)で表される。
【化13】
【0032】
nLは、0~10の整数を表すが、好ましくは8以下、より好ましくは6以下である。
nAは、0~5の整数を表すが、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、より一層好ましくは2以下、更に好ましくは1又は0である。
【0033】
RYは、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、フラン環含有基又はチオフェン環含有基を表し、nL×2個のRYは、互いに同一であっても異なってもよく、REは、水素原子、メチル基、エチル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、フラン環含有基又はチオフェン環含有基を表す。但し、nLが0である場合は、nAは0であり、且つ、RYはフラン環含有基又はチオフェン環含有基である。また、nLが1以上である場合は、nL×2個のRY及びREの少なくとも1つ、好ましくは1~5つ、より好ましくは1~3つ、より一層好ましくは1~2つがフラン環含有基又はチオフェン環含有基である。
また、式(K)で表されるフラン環及び/又はチオフェン環を含む有機基がnL×2個のRY及びREとして含むハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基及びチオール基の数は、これらの合計で、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、より一層好ましくは3以下、更に好ましくは2以下であり、その余を水素原子、メチル基、エチル基、フラン環含有基又はチオフェン環含有基とすることができる。
【0034】
L
Aは、互いに独立して、式(L1)、(L2)、(L3)、(L4)、(L5)、(L6a)、(L6b)、(L7)、(L8)、(L9a)、(L9b)及び(L10)のいずれかで表される2価の基を表すが、好ましくは式(L1)、(L2)、(L4)で表される基である。
【化14】
【0035】
各RLは、互いに独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表すが、水素原子が好ましい。
【0036】
アルキル基は、特に限定されるものではなく、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、その炭素数は、通常40以下、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、より一層好ましくは10以下、更に好ましくは5以下である。
【0037】
直鎖状又は分岐鎖状アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、n-ヘキシル、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基、1-エチル-2-メチル-n-プロピル基等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、直鎖状低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
【0038】
環状アルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基、シクロペンチル基、1-メチル-シクロブチル基、2-メチル-シクロブチル基、3-メチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロプロピル基、2,3-ジメチル-シクロプロピル基、1-エチル-シクロプロピル基、2-エチル-シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1-メチル-シクロペンチル基、2-メチル-シクロペンチル基、3-メチル-シクロペンチル基、1-エチル-シクロブチル基、2-エチル-シクロブチル基、3-エチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロブチル基、1,3-ジメチル-シクロブチル基、2,2-ジメチル-シクロブチル基、2,3-ジメチル-シクロブチル基、2,4-ジメチル-シクロブチル基、3,3-ジメチル-シクロブチル基、1-n-プロピル-シクロプロピル基、2-n-プロピル-シクロプロピル基、1-イソプロピル-シクロプロピル基、2-イソプロピル-シクロプロピル基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピル基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピル、2-エチル-3-メチル-シクロプロピル基等のシクロアルキル基、ビシクロブチル基、ビシクロペンチル基、ビシクロヘキシル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロオクチル基、ビシクロノニル基、ビシクロデシル基等のビシクロアルキル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
アリール基は、フェニル基、縮合環芳香族炭化水素化合物の水素原子を一つ取り除いて誘導される1価の基、環連結芳香族炭化水素化合物の水素原子を一つ取り除いて誘導される1価の基のいずれでもよく、その炭素数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下である、更に好ましくは10以下である。
【0040】
その具体例としては、フェニル基;1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントリル基、2-アントリル基、9-アントリル基、1-フェナントリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、4-フェナントリル基、9-フェナントリル基、1-ナフタセニル基、2-ナフタセニル基、5-ナフタセニル基、2-クリセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、ペンタセニル基、ベンゾピレニル基、トリフェニレニル基;ビフェニル-2-イル基、ビフェニル-3-イル基、ビフェニル-4-イル基、パラテルフェニル-4-イル基、メタテルフェニル-4-イル基、オルトテルフェニル-4-イル基、1,1’-ビナフチル-2-イル基、2,2’-ビナフチル-1-イル基等が挙げられるが、これらに限定されない。中でも、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基が好ましい。
【0041】
式(K)で表される基は、nL個の-C(RY)2-基とnA個の-LA-基とからなる鎖状基の末端にRE基を有するものであるが、当該鎖状基中のnL個の-C(RY)2-基とnA個の-LA-基の結合順序は、-LA-基が式(1)におけるケイ素原子に結合しないこと及び-LA-基が2つ以上存在する場合においては-LA-基同士が結合しないことを条件に、特に限定されるものではない。すなわち、-LA-基は、-C(RY)2-基とRE基との間に存在してもよく、複数の-C(RY)2-基が存在する場合には、2つの-C(RY)2-基の間に存在してもよい。
【0042】
例えば、n
Lが2であり、全てのR
Yがメチル基であり、n
Aが1であり、L
Aが
式(L1)で表される基であり、R
Eが、3-チエニル基である場合は、式(K)は、式(K1)と(K2)を包含するが、式(K3)は包含しない。
【化15】
【0043】
R2は、ケイ素原子に結合する基であり、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を含む有機基を表し、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アルコキシアラルキル基及びアルケニル基の置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アルコキシアラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基等が挙げられ、これらの具体例及びそれらの好適な炭素数としては、上述又は後述のものと同じものが挙げられる。また、置換基が2以上存在する場合、置換基同士が結合して環を形成してもよい。
【0044】
アラルキル基は、アリール基が置換したアルキル基であり、このようなアリール基及びアルキル基の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
アラルキル基の炭素数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下である。
【0045】
アラルキル基の具体例としては、フェニルメチル基(ベンジル基)、2-フェニルエチレン基、3-フェニル-n-プロピル基、4-フェニル-n-ブチル基、5-フェニル-n-ペンチル基、6-フェニル-n-ヘキシル基、7-フェニル-n-ヘプチル基、8-フェニル-n-オクチル基、9-フェニル-n-ノニル基、10-フェニル-n-デシル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
ハロゲン化アルキル基としては、ハロゲン原子が置換したアルキル基であり、このようなアルキル基及びハロゲン原子の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
ハロゲン化アルキル基の炭素数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。
【0047】
ハロゲン化アルキル基の具体例としては、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、1,1-ジフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、1,1,2,2-テトラフルオロエチル基、2-クロロ-1,1,2-トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3-ブロモプロピル基、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル基、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル基、3-ブロモ-2-メチルプロピル基、4-ブロモブチル基、パーフルオロペンチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
ハロゲン化アリール基は、ハロゲン原子が置換したアリール基であり、このようなアリール基及びハロゲン原子の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
ハロゲン化アリール基の炭素数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下である。
【0049】
ハロゲン化アリール基の具体例としては、2-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2,3-ジフルオロフェニル基、2,4-ジフルオロフェニル基、2,5-ジフルオロフェニル基、2,6-ジフルオロフェニル基、3,4-ジフルオロフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、2,3,4-トリフルオロフェニル基、2,3,5-トリフルオロフェニル基、2,3,6-トリフルオロフェニル基、2,4,5-トリフルオロフェニル基、2,4,6-トリフルオロフェニル基、3,4,5-トリフルオロフェニル基、2,3,4,5-テトラフルオロフェニル基、2,3,4,6-テトラフルオロフェニル基、2,3,5,6-テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-フルオロ-1-ナフチル基、3-フルオロ-1-ナフチル基、4-フルオロ-1-ナフチル基、6-フルオロ-1-ナフチル基、7-フルオロ-1-ナフチル基、8-フルオロ-1-ナフチル基、4,5-ジフルオロ-1-ナフチル基、5,7-ジフルオロ-1-ナフチル基、5,8-ジフルオロ-1-ナフチル基、5,6,7,8-テトラフルオロ-1-ナフチル基、ヘプタフルオロ-1-ナフチル基、1-フルオロ-2-ナフチル基、5-フルオロ-2-ナフチル基、6-フルオロ-2-ナフチル基、7-フルオロ-2-ナフチル基、5,7-ジフルオロ-2-ナフチル基、ヘプタフルオロ-2-ナフチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
ハロゲン化アラルキル基は、ハロゲン原子が置換したアラルキル基であり、このようなアラルキル基及びハロゲン原子の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
ハロゲン化アラルキル基の炭素数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下である。
【0051】
ハロゲン化アラルキル基の具体例としては、2-フルオロベンジル基、3-フルオロベンジル基、4-フルオロベンジル基、2,3-ジフルオロベンジル基、2,4-ジフルオロベンジル基、2,5-ジフルオロベンジル基、2,6-ジフルオロベンジル基、3,4-ジフルオロベンジル基、3,5-ジフルオロベンジル基、2,3,4-トリフルオロベンジル基、2,3,5-トリフルオロベンジル基、2,3,6-トリフルオロベンジル基、2,4,5-トリフルオロベンジル基、2,4,6-トリフルオロベンジル基、2,3,4,5-テトラフルオロベンジル基、2,3,4,6-テトラフルオロベンジル基、2,3,5,6-テトラフルオロベンジル基、2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンジル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
アルコキシアルキル基は、アルコキシ基が置換したアルキル基であり、アルコキシアルキル基におけるアルコキシ基が置換するアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、このようなアルキル基の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
アルコキシアルキル基の炭素数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。
【0053】
アルキル基に置換するアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチロキシ基、1-メチル-n-ブトキシ基、2-メチル-n-ブトキシ基、3-メチル-n-ブトキシ基、1,1-ジメチル-n-プロポキシ基、1,2-ジメチル-n-プロポキシ基、2,2-ジメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-n-プロポキシ基、n-ヘキシロキシ基、1-メチル-n-ペンチロキシ基、2-メチル-n-ペンチロキシ基、3-メチル-n-ペンチロキシ基、4-メチル-n-ペンチロキシ基、1,1-ジメチル-n-ブトキシ基、1,2-ジメチル-n-ブトキシ基、1,3-ジメチル-n-ブトキシ基、2,2-ジメチル-n-ブトキシ基、2,3-ジメチル-n-ブトキシ基、3,3-ジメチル-n-ブトキシ基、1-エチル-n-ブトキシ基、2-エチル-n-ブトキシ基、1,1,2-トリメチル-n-プロポキシ基、1,2,2-トリメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-1-メチル-n-プロポキシ基、1-エチル-2-メチル-n-プロポキシ基等の鎖状又は分岐状のアルコキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、1-メチル-シクロプロポキシ基、2-メチル-シクロプロポキシ基、シクロペンチロキシ基、1-メチル-シクロブトキシ基、2-メチル-シクロブトキシ基、3-メチル-シクロブトキシ基、1,2-ジメチル-シクロプロポキシ基、2,3-ジメチル-シクロプロポキシ基、1-エチル-シクロプロポキシ基、2-エチル-シクロプロポキシ基、シクロヘキシロキシ基、1-メチル-シクロペンチロキシ基、2-メチル-シクロペンチロキシ基、3-メチル-シクロペンチロキシ基、1-エチル-シクロブトキシ基、2-エチル-シクロブトキシ基、3-エチル-シクロブトキシ基、1,2-ジメチル-シクロブトキシ基、1,3-ジメチル-シクロブトキシ基、2,2-ジメチル-シクロブトキシ基、2,3-ジメチル-シクロブトキシ基、2,4-ジメチル-シクロブトキシ基、3,3-ジメチル-シクロブトキシ基、1-n-プロピル-シクロプロポキシ基、2-n-プロピル-シクロプロポキシ基、1-イソプロピル-シクロプロポキシ基、2-イソプロピル-シクロプロポキシ基、1,2,2-トリメチル-シクロプロポキシ基、1,2,3-トリメチル-シクロプロポキシ基、2,2,3-トリメチル-シクロプロポキシ基、1-エチル-2-メチル-シクロプロポキシ基、2-エチル-1-メチル-シクロプロポキシ基、2-エチル-2-メチル-シクロプロポキシ基、2-エチル-3-メチル-シクロプロポキシ基等の環状アルコキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの中でも、アルコキシアルキル基におけるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基等の低級アルキルオキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
【0054】
アルコキシアルキル基の具体例としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1-エトキシエチル基、2-エトキシエチル基、エトキシメチル基等の低級アルキルオキシ低級アルキル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
アルコキシアリール基は、アルコキシ基が置換したアリール基であり、このようなアルコキシ基及びアリール基の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
【0056】
アルコキシアリール基の具体例としては、2-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、2-(1-エトキシ)フェニル基、3-(1-エトキシ)フェニル基、4-(1-エトキシ)フェニル基、2-(2-エトキシ)フェニル基、3-(2-エトキシ)フェニル基、4-(2-エトキシ)フェニル基、2-メトキシナフタレン-1-イル基、3-メトキシナフタレン-1-イル基、4-メトキシナフタレン-1-イル基、5-メトキシナフタレン-1-イル基、6-メトキシナフタレン-1-イル基、7-メトキシナフタレン-1-イル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
アルコキシアラルキル基は、アルコキシ基が置換したアラルキル基であり、このようなアルコキシ基及びアラルキル基の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
アルコキシアラルキル基の炭素数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下である。
【0058】
アルコキシアラルキル基の具体例としては、3-(メトキシフェニル)ベンジル基、4-(メトキシフェニル)ベンジル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
アルケニル基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、その炭素数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。
【0060】
アルケニル基の具体例としては、エテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチル-1-エテニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-エチルエテニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-n-プロピルエテニル基、1-メチル-1-ブテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、1-メチル-3-ブテニル基、2-エチル-2-プロペニル基、2-メチル-1-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-3-ブテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-3-ブテニル基、1,1-ジメチル-2-プロペニル基、1-イソプロピルエテニル基、1,2-ジメチル-1-プロペニル基、1,2-ジメチル-2-プロペニル基、1-シクロペンテニル基、2-シクロペンテニル基、3-シクロペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、1-メチル-1-ペンテニル基、1-メチル-2-ペンテニル基、1-メチル-3-ペンテニル基、1-メチル-4-ペンテニル基、1-n-ブチルエテニル基、2-メチル-1-ペンテニル基、2-メチル-2-ペンテニル基、2-メチル-3-ペンテニル基、2-メチル-4-ペンテニル基、2-n-プロピル-2-プロペニル基、3-メチル-1-ペンテニル基、3-メチル-2-ペンテニル基、3-メチル-3-ペンテニル基、3-メチル-4-ペンテニル基、3-エチル-3-ブテニル基、4-メチル-1-ペンテニル基、4-メチル-2-ペンテニル基、4-メチル-3-ペンテニル基、4-メチル-4-ペンテニル基、1,1-ジメチル-2-ブテニル基、1,1-ジメチル-3-ブテニル基、1,2-ジメチル-1-ブテニル基、1,2-ジメチル-2-ブテニル基、1,2-ジメチル-3-ブテニル基、1-メチル-2-エチル-2-プロペニル基、1-s-ブチルエテニル基、1,3-ジメチル-1-ブテニル基、1,3-ジメチル-2-ブテニル基、1,3-ジメチル-3-ブテニル基、1-イソブチルエテニル基、2,2-ジメチル-3-ブテニル基、2,3-ジメチル-1-ブテニル基、2,3-ジメチル-2-ブテニル基、2,3-ジメチル-3-ブテニル基、2-イソプロピル-2-プロペニル基、3,3-ジメチル-1-ブテニル基、1-エチル-1-ブテニル基、1-エチル-2-ブテニル基、1-エチル-3-ブテニル基、1-n-プロピル-1-プロペニル基、1-n-プロピル-2-プロペニル基、2-エチル-1-ブテニル基、2-エチル-2-ブテニル基、2-エチル-3-ブテニル基、1,1,2-トリメチル-2-プロペニル基、1-t-ブチルエテニル基、1-メチル-1-エチル-2-プロペニル基、1-エチル-2-メチル-1-プロペニル基、1-エチル-2-メチル-2-プロペニル基、1-イソプロピル-1-プロペニル基、1-イソプロピル-2-プロペニル基、1-メチル-2-シクロペンテニル基、1-メチル-3-シクロペンテニル基、2-メチル-1-シクロペンテニル基、2-メチル-2-シクロペンテニル基、2-メチル-3-シクロペンテニル基、2-メチル-4-シクロペンテニル基、2-メチル-5-シクロペンテニル基、2-メチレン-シクロペンチル基、3-メチル-1-シクロペンテニル基、3-メチル-2-シクロペンテニル基、3-メチル-3-シクロペンテニル基、3-メチル-4-シクロペンテニル基、3-メチル-5-シクロペンテニル基、3-メチレン-シクロペンチル基、1-シクロヘキセニル基、2-シクロヘキセニル基、3-シクロヘキセニル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
エポキシ基を含む有機基としては、グリシドキシメチル基、グリシドキシエチル基、グリシドキシプロピル基、グリシドキシブチル基、エポキシシクロヘキシル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
アクリロイル基を含む有機基としては、アクリロイルメチル基、アクリロイルエチル基、アクリロイルプロピル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
メタクリロイル基を含む有機基としては、メタクリロイルメチル基、メタクリロイルエチル基、メタクリロイルプロピル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
メルカプト基を含む有機基としては、エチルメルカプト基、ブチルメルカプト基、ヘキシルメルカプト基、オクチルメルカプト基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
アミノ基を含む有機基としては、アミノ基、アミノメチル基、アミノエチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
シアノ基を含む有機基としては、シアノエチル基、シアノプロピル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
R3は、ケイ素に結合する基又は原子であり、互いに独立して、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基又はハロゲン原子を表し、アルコキシ基及びハロゲン原子の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
【0068】
アラルキルオキシ基は、アラルキルアルコールのヒドロキシ基から水素原子を取り除いて誘導される基であり、このようなアラルキル基の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
アラルキルオキシ基の炭素数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下である。
【0069】
アラルキルオキシ基の具体例としては、フェニルメチルオキシ基(ベンジルオキシ基)、2-フェニルエチレンオキシ基、3-フェニル-n-プロピルオキシ基、4-フェニル-n-ブチルオキシ基、5-フェニル-n-ペンチルオキシ基、6-フェニル-n-ヘキシルオキシ基、7-フェニル-n-ヘプチルオキシ基、8-フェニル-n-オクチルオキシ基、9-フェニル-n-ノニルオキシ基、10-フェニル-n-デシルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
アシルオキシ基は、カルボン酸化合物のカルボン酸基から水素原子を取り除いて誘導される基であり、典型的には、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸又はアラルキルカルボン酸のカルボン酸基から水素原子を取り除いて誘導されるアルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基又はアラルキルカルボニルオキシ基が挙げられるが、これらに限定されない。このようなアルキルカルボン酸、アリールカルボン酸及びアラルキルカルボン酸におけるアルキル基、アリール基及びアラルキル基の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。
【0071】
アシルオキシ基の具体例としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基、イソブチルカルボニルオキシ基、s-ブチルカルボニルオキシ基、t-ブチルカルボニルオキシ基、n-ペンチルカルボニルオキシ基、1-メチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2-メチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、3-メチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1,1-ジメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、2,2-ジメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1-エチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、n-ヘキシルカルボニルオキシ基、1-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、2-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、3-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、4-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、1,1-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1,3-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2,2-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2,3-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、3,3-ジメチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1-エチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2-エチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1,1,2-トリメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1,2,2-トリメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1-エチル-1-メチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1-エチル-2-メチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基、トシルカルボニルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
aは、0~2の整数であるが、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。
【0073】
式(1)において、R1のフラン環及び/又はチオフェン環を含む有機基とR3のアルコキシ基、アラルキルオキシ基又はアシルオキシ基とは、互いに結合して環を形成していてもよい。
すなわち、式(1)で表されるヘテロ環含有シランは、例えば、式(1’)で表されるヘテロ環含有シランを包含する。
【0074】
【0075】
Tは、互いに独立して、ヒドロキシ基又は炭素数1~3のアルコキシ基を表すが、エトキシ基、メトキシ基、ヒドロキシ基が好ましい。
【0076】
R’は、式(K’)で表される2価の基を表す。
【化17】
【0077】
nL’は、1~10の整数を表すが、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、より一層好ましくは4以下であり、好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。
nA’は、0~5の整数を表すが、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、より一層好ましくは2以下、更に好ましくは1又は0である。
RY’は、互いに独立して、単結合、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、フラン環含有基又はチオフェン環含有基を表し、nL’×2個のRY’は、互いに同一であっても異なってもよく、RE’は、単結合、水素原子、メチル基、エチル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、チオール基、フラン環含有基又はチオフェン環含有基を表すが、nL’×2個のRY’及びRE’のうちの1つのみが単結合で式(K’)におけるケイ素原子に結合する酸素原子と結合しており、残りは単結合以外であり、当該残りの少なくとも1つ、好ましくは1~5つ、より好ましくは1~3つ、より一層好ましくは1~2つがフラン環含有基又はチオフェン環含有基である。
また、式(K’)において、-LA’-基が2つ以上存在する場合は-LA’-基同士が結合することはなく、-LA’-基は、-C(RY’)2-基とRE’基との間に存在してもよく、複数の-C(RY’)2-基が存在する場合には-C(RY’)2-基の間に存在してもよいが、いずれの-LA’-基も、式(K’)におけるケイ素原子と直接結合することはない。
【0078】
式(K’)で表されるフラン環及び/又はチオフェン環を含む有機基がnL’×2個のRY’及びRE’として含むハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基及びチオール基の数は、これらの合計で、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、より一層好ましくは3以下、更に好ましくは2以下であり、その余を水素原子、メチル基、エチル基、フラン環含有基又はチオフェン環含有基とすることができる。
【0079】
以下、式(1)で表されるヘテロ環含有シランの具体例を挙げるが、これらに限定されない。なお、各式中、Tは、互いに独立して、ヒドロキシ基又は炭素数1~3のアルコキシ基を表すが、エトキシ基、メトキシ基、ヒドロキシ基が好ましい。
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
本発明の膜形成用組成物は、溶媒を含む。
このような溶媒は、上記及び下記加水分解性シラン、その加水分解物又はその加水分解縮合物やその他の成分を溶解する限り制限されるものではない。
【0100】
その具体例としては、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルイソブチルカルビノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、N、N-ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、4-メチル-2-ペンタノール、γ-ブチロラクトン等を挙げることができ、溶媒は1種単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0101】
本発明の膜形成用組成物は、溶媒として水を含んでいても良く、その含有量は、当該組成物が含む溶媒に対して、好ましく30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、より一層好ましくは15質量%以下である。
【0102】
本発明においては、膜密度等の膜物性の調整等を目的として、上記加水分解性シランは、式(1)で表されるヘテロ環含有シランとともに、式(2)で表されるその他のシラン及び式(3)で表されるその他のシランから選ばれる少なくとも1種を含んでいても良い。これらの中でも、式(2)で表されるその他のシランが好ましい。
【0103】
【0104】
R11は、ケイ素原子に結合する基であり、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を含む有機基を表し、R12は、ケイ素に結合する基又は原子であり、互いに独立して、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子を表し、R21は、ケイ素原子に結合する基であり、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を含む有機基を表し、R22は、ケイ素に結合する基又は原子であり、互いに独立して、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子を表し、Yは、アルキレン基又はアリーレン基を表し、これらアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アルコキシアラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子及びエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基又はシアノ基を含む有機基及びアルキレン基並びにアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アルコキシアラルキル基及びアルケニル基の置換基の具体例及びそれらの好適な炭素数としては、上述したものと同じものが挙げられる。
【0105】
アリーレン基の具体例としては、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基;1,5-ナフタレンジイル基、1,8-ナフタレンジイル基、2,6-ナフタレンジイル基、2,7-ナフタレンジイル基、1,2-アントラセンジイル基、1,3-アントラセンジイル基、1,4-アントラセンジイル基、1,5-アントラセンジイル基、1,6-アントラセンジイル基、1,7-アントラセンジイル基、1,8-アントラセンジイル基、2,3-アントラセンジイル基、2,6-アントラセンジイル基、2,7-アントラセンジイル基、2,9-アントラセンジイル基、2,10-アントラセンジイル基、9,10-アントラセンジイル基等の縮合環芳香族炭化水素化合物の芳香環上の水素原子を二つ取り除いて誘導される基;4,4’-ビフェニルジイル基、4,4”-パラテルフェニルジイル基の環連結芳香族炭化水素化合物の芳香環上の水素原子を二つ取り除いて誘導される基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
bは、0~3の整数を表すが、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。
cは、互いに独立して、0~2の整数を表すが、好ましくは0又は1、より好ましくは0である。
【0107】
式(2)で表されるその他のシランの具体例は、テトラメトキシシラン、テトラクロルシラン、テトラアセトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn-プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn-ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリアミロキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラン、メチルトリフェネチルオキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、αーグリシドキシエチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシエチルエチルジメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メトキシフェニルトリメトキシシラン、メトキシフェニルトリエトキシシラン、メトキシフェニルトリアセトキシシラン、メトキシフェニルトリクロロシラン、メトキシベンジルトリメトキシシラン、メトキシベンジルトリエトキシシラン、メトキシベンジルトリアセトキシシラン、メトキシベンジルトリクロロシラン、メトキシフェネチルトリメトキシシラン、メトキシフェネチルトリエトキシシラン、メトキシフェネチルトリアセトキシシラン、メトキシフェネチルトリクロロシラン、エトキシフェニルトリメトキシシラン、エトキシフェニルトリエトキシシラン、エトキシフェニルトリアセトキシシラン、エトキシフェニルトリクロロシラン、エトキシベンジルトリメトキシシラン、エトキシベンジルトリエトキシシラン、エトキシベンジルトリアセトキシシラン、エトキシベンジルトリクロロシラン、イソプロポキシフェニルトリメトキシシラン、イソプロポキシフェニルトリエトキシシラン、イソプロポキシフェニルトリアセトキシシラン、イソプロポキシフェニルトリクロロシラン、イソプロポキシベンジルトリメトキシシラン、イソプロポキシベンジルトリエトキシシラン、イソプロポキシベンジルトリアセトキシシラン、イソプロポキシベンジルトリクロロシラン、t-ブトキシフェニルトリメトキシシラン、t-ブトキシフェニルトリエトキシシラン、t-ブトキシフェニルトリアセトキシシラン、t-ブトキシフェニルトリクロロシラン、t-ブトキシベンジルトリメトキシシラン、t-ブトキシベンジルトリエトキシシラン、t-ブトキシベンジルトリアセトキシシラン、t-ブトキシベンジルトリクロロシラン、メトキシナフチルトリメトキシシラン、メトキシナフチルトリエトキシシラン、メトキシナフチルトリアセトキシシラン、メトキシナフチルトリクロロシラン、エトキシナフチルトリメトキシシラン、エトキシナフチルトリエトキシシラン、エトキシナフチルトリアセトキシシラン、エトキシナフチルトリクロロシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリエトキシシラン、γ-クロロプロピルトリアセトキシシラン、3、3、3-トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β-シアノエチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシランや、式(A-1)~(A-41)で表されるシラン等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの中でも、本発明の組成物から得られる膜の架橋密度を向上させて、レジスト膜の成分の当該得られる膜への拡散等を抑制し、当該レジスト膜のレジスト特性の維持・改善する観点等から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の4官能性のシランが好ましい。
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
式(3)で表されるその他のシランの具体例としては、メチレンビストリメトキシシラン、メチレンビストリクロロシラン、メチレンビストリアセトキシシラン、エチレンビストリエトキシシラン、エチレンビストリクロロシラン、エチレンビストリアセトキシシラン、プロピレンビストリエトキシシラン、ブチレンビストリメトキシシラン、フェニレンビストリメトキシシラン、フェニレンビストリエトキシシラン、フェニレンビスメチルジエトキシシラン、フェニレンビスメチルジメトキシシラン、ナフチレンビストリメトキシシラン、ビストリメトキシジシラン、ビストリエトキシジシラン、ビスエチルジエトキシジシラン、ビスメチルジメトキシジシラン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
本発明においては、上記加水分解性シランは、オニウム基を分子内に有する加水分解性オルガノシランを含んでいてもよい。オニウム基を分子内に有する加水分解性オルガノシランを用いることで、加水分解性シランの架橋反応を効果的に且つ効率的に促進できる。
【0113】
このようなオニウム基を分子内に有する加水分解性オルガノシランな好適な一例は、式(4)で表される。
【0114】
【0115】
R31は、ケイ素原子に結合する基であり、オニウム基又はそれを含む有機基であり、R32は、ケイ素原子に結合する基であり、互いに独立して、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アルキル基、置換されていてもよいハロゲン化アリール基、置換されていてもよいハロゲン化アラルキル基、置換されていてもよいアルコキシアルキル基、置換されていてもよいアルコキシアリール基、置換されていてもよいアルコキシアラルキル基、若しくは置換されていてもよいアルケニル基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を含む有機基であり、R33は、ケイ素原子に結合する基又は原子であり、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン原子であり、eは、1又は2を表し、fは、0又は1を表し、1≦e+f≦2を満たす。
このようなアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アルコキシアラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基及びエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基又はシアノ基を含む有機基並びにアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アルコキシアラルキル基及びアルケニル基の置換基の具体例及びそれらの好適な炭素数としては、上述したものと同じものが挙げられる。
【0116】
より詳述すれば、オニウム基の具体例としては、環状アンモニウム基又は鎖状アンモニウム基が挙げられ、第3級アンモニウム基又は第4級アンモニウム基が好ましい。
すなわち、オニウム基又はそれを含む有機基の好適な具体例としては、環状アンモニウム基若しくは鎖状アンモニウム基又はこれらの少なくとも一方を含む有機基が挙げられ、第3級アンモニウム基若しくは第4級アンモニウム基又はこれらの少なくとも一方を含む有機基が好ましい。
なお、オニウム基が環状アンモニウム基である場合、アンモニウム基を構成する窒素原子が環を構成する原子を兼ねる。この際、環を構成する窒素原子とシリコン原子とが直接又は2価の連結基を介して結合している場合と、環を構成する炭素原子とシリコン原子が直接に又は2価の連結基を介して結合している場合とがある。
【0117】
本発明の好適な態様の一例においては、R
31は、式(S1)で表されるヘテロ芳香族環状アンモニウム基である。
【化42】
【0118】
A1、A2、A3及びA4は、互いに独立して、式(J1)~(J3)のいずれかで表される基を表すが、A1~A4のうち少なくとも1つは、式(J2)で表される基であり、式(4)におけるケイ素原子が、A1~A4のいずれと結合するかに応じて、A1~A4それぞれと、それら各々に隣接し共に環を構成する原子との間の結合が、単結合であるか、二重結合であるかが、構成される環が芳香族性を示すように定まる。
【0119】
【0120】
R30は、互いに独立して、単結合、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基又はアルケニル基を表し、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基及びアルケニル基の具体例及びそれらの好適な炭素数としては、上述と同じものが挙げられる。
【0121】
R34は、互いに独立して、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基又はヒドロキシ基を表し、R34が2つ以上存在する場合、2つのR34は、互いに結合して環を形成していてもよく、2つのR34が形成する環は架橋環構造であってもよく、このような場合においては、環状アンモニウム基は、アダマンタン環、ノルボルネン環、スピロ環等を有することとなる。
このようなアルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基及びアルケニル基の具体例及びそれらの好適な炭素数としては、上述と同じものが挙げられる。
【0122】
n1は、1~8の整数であり、m1は、0又は1であり、m2は、0又は1から単環若しくは多環に置換可能な最大数までの正の整数である。
m1が0である場合、A1~A4を含む(4+n1)員環が構成される。すなわち、n1が1であるときは5員環、n1が2であるときは6員環、n1が3であるときは7員環、n1が4であるときは8員環、n1が5であるときは9員環、n1が6であるときは10員環、n1が7であるときは11員環、n1が8であるときは12員環が、それぞれ構成される。
m1が1である場合、A1~A3を含む(4+n1)員環とA4を含む6員環とが縮合した縮合環が形成される。
A1~A4は、式(J1)~(J3)のいずれであるか次第で、環を構成する原子上に水素原子を有する場合と、水素原子を有さない場合があるが、A1~A4が、環を構成する原子上に水素原子を有する場合、その水素原子は、R34に置き換わっていてもよい。また、A1~A4中の環構成原子以外の環構成原子に、R34が置換していてもよい。このような事情から、上述の通り、m2は、0又は1から単環若しくは多環に置換可能な最大数までの整数から選択される。
【0123】
式(S1)で表されるヘテロ芳香族環状アンモニウム基の結合手は、このような単環又は縮合環に存在する任意の炭素原子又は窒素原子に存在し、ケイ素原子と直接結合するか、又は連結基が結合して環状アンモニウムを含む有機基が構成され、これがケイ素原子と結合する。
このような連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基等が挙げられるが、これらに限定されない。
アルキレン基及びアリーレン基の具体例及びそれらの好適な炭素数としては、上述したものと同じものが挙げられる。
【0124】
アルケニレン基は、アルケニル基の水素原子を更に一つ取り除いて誘導される2価の基であり、このようなアルケニル基の具体例としては、上述したものと同じものが挙げられる。 アルケニレン基の炭素数は、特に限定されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは30以下、より一層好ましくは20以下である。
その具体例としては、ビニレン、1-メチルビニレン、プロペニレン、1-ブテニレン、2-ブテニレン、1-ペンテニレン、2-ペンテニレン基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
式(S1)で表されるヘテロ芳香族環状アンモニウム基を有する式(4)で表される加水分解性オルガノシランの具体例を挙げるが、これらに限定されない。
【化44】
【0126】
【0127】
【0128】
本発明の好適な態様のその他の一例においては、R
31は、式(S2)で表されるヘテロ脂肪族環状アンモニウム基である。
【化47】
【0129】
A5、A6、A7及びA8は、互いに独立して、式(J4)~(J6)のいずれかで表される基を表すが、A5~A8のうち少なくとも1つは、式(J5)で表される基であり、式(4)におけるシリコン原子が、A5~A8のいずれと結合するかに応じて、A5~A8それぞれと、それら各々に隣接し共に環を構成する原子との結合が、単結合であるか、二重結合であるかが、構成される環が非芳香族性を示すように定まる。
【0130】
【0131】
R30は、互いに独立して、単結合、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基又はアルケニル基を表し、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基及びアルケニル基の具体例及びそれらの好適な炭素数としては、上述したものと同じものが挙げられる。
R35は、互いに独立して、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基又はヒドロキシ基を表し、R35が2つ以上存在する場合、2つのR35は、互いに結合して環を形成していてもよく、2つのR35が形成する環は架橋環構造であってもよく、このような場合においては、環状アンモニウム基は、アダマンタン環、ノルボルネン環、スピロ環等を有することとなる。
アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基及びアルケニル基の具体例及びそれらの好適な炭素数としては、上述したものと同じものが挙げられる。
【0132】
n2は、1~8の整数であり、m3は、0又は1であり、m4は、0又は1から単環若しくは多環に置換可能な最大数までの正の整数である。
m3が0である場合、A5~A8を含む(4+n2)員環が構成される。すなわち、n2が1であるときは5員環、n2が2であるときは6員環、n2が3であるときは7員環、n2が4であるときは8員環、n2が5であるときは9員環、n2が6であるときは10員環、n2が7であるときは11員環、n2が8であるときは12員環が、それぞれ構成される。
m3が1である場合、A5~A7を含む(4+n2)員環とA8を含む6員環とが縮合した縮合環が形成される。
A5~A8は、式(J4)~(J6)のいずれであるか次第で、環を構成する原子上に水素原子を有することと、水素原子を有さないことがあるが、A5~A8が、環を構成する原子上に水素原子を有する場合、その水素原子は、R35に置き換わっていてもよい。また、A5~A8中の環構成原子以外の環構成原子に、R35が置換していてもよい。
このような事情から、上述の通り、m4は、0又は1から単環若しくは多環に置換可能な最大数までの整数から選択される。
【0133】
式(S2)で表されるヘテロ脂肪族環状アンモニウム基の結合手は、このような単環又は縮合環に存在する任意の炭素原子又は窒素原子に存在し、ケイ素原子と直接結合するか、又は連結基が結合して環状アンモニウムを含む有機基が構成され、これがケイ素原子と結合する。
このような連結基としては、アルキレン基、アリーレン基又はアルケニレン基が挙げられ、アルキレン基、アリーレン基及びアルケニレン基の具体例及びそれらの好適な炭素数としては、上述と同じものが挙げられる。
【0134】
式(S2)で表されるヘテロ脂肪族環状アンモニウム基を有する式(4)で表される加水分解性オルガノシランの具体例を挙げるが、これらに限定されない。
【化49】
【0135】
【0136】
本発明の好適な態様のその他の一例においては、R
31は、式(S3)で表され鎖状アンモニウム基である。
【化51】
【0137】
R30は、互いに独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基又はアルケニル基を表し、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基及びアルケニル基の具体例及びそれらの好適な炭素数としては、上述と同じものが挙げられる。
【0138】
式(S3)で表される鎖状アンモニウム基は、ケイ素原子と直接結合するか、又は連結基が結合して鎖状アンモニウム基を含む有機基が構成され、これがケイ素原子と結合する。
このような連結基としては、アルキレン基、アリーレン基又はアルケニレン基が挙げられ、アルキレン基、アリーレン基及びアルケニレン基の具体例としては、上述と同じものが挙げられる。
【0139】
式(S3)で表される鎖状アンモニウム基を有する式(4)で表される加水分解性オルガノシランの具体例を挙げるが、これらに限定されない。
【化52】
【0140】
【0141】
本発明の膜形成用組成物は、加水分解性シランとして、スルホン基を有するシランや、スルホンアミド基を有するシランを更に含んでいてもよい。
以下、その具体例を挙げるが、これらに限定されない。
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
本発明の好ましい一態様においては、本発明の膜形成用組成物は、少なくとも上記加水分解性シランの加水分解縮合物を含む。
本発明の好ましい一態様においては、本発明の膜形成用組成物が含む加水分解縮合物は、式(1)で表されるヘテロ環含有シラン及び式(2)で表されるその他のシランを少なくとも用いて得られる加水分解縮合物(ポリオルガノシロキサン)を含み、本発明のより好ましい一態様においては、本発明の膜形成用組成物が含む加水分解縮合物は、式(1)で表されるヘテロ環含有シラン及び式(2)で表されるその他のシランを少なくとも用いて得られる加水分解縮合物(ポリオルガノシロキサン)である。
【0146】
本発明における加水分解縮合物(ポリオルガノシロキサン)の重量平均分子量は、通常500~1,000,000であるが、組成物中での加水分解縮合物の析出等を抑制する観点等から、好ましくは500,000以下、より好ましくは250,000以下、より一層好ましくは100,000以下であり、保存安定性と塗布性の両立の観点等から、好ましくは700以上、より好ましくは1,000以上である。
なお、重量平均分子量は、GPC分析によるポリスチレン換算で得られる分子量である。GPC分析は、例えばGPC装置(商品名HLC-8220GPC、東ソー(株)製)、GPCカラム(商品名ShodexKF803L、KF802、KF801、昭和電工(株)製)を用い、カラム温度を40℃とし、溶離液(溶出溶媒)としてテトラヒドロフランを用い、流量(流速)を1.0ml/分とし、標準試料としてポリスチレン(昭和電工(株)製)を用いて、行うことができる。
【0147】
本発明の膜形成用組成物は、その加水分解縮合物の安定化等の目的のため、有機酸、水、アルコール等を含んでいてもよい。
【0148】
本発明の膜形成用組成物が上記目的のために含み得る有機酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、フタル酸、クエン酸、グルタル酸、クエン酸、乳酸、サリチル酸等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、シュウ酸、マレイン酸が好ましい。
本発明の膜形成用組成物が有機酸を含む場合、その含有量は、加水分解性シラン、その加水分解物及びその加水分解縮合物の合計質量に対して、0.1~5.0質量%である。
【0149】
本発明の膜形成用組成物が上記目的のために含み得るアルコールは、塗布後の加熱により蒸発しやすいものが好ましい。その具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級脂肪族アルコールが挙げられる。
本発明の膜形成用組成物がアルコールを含む場合、その含有量は、組成物100質量部に対して、1~20質量部である。
【0150】
本発明の膜形成用組成物は、必要に応じて有機ポリマー化合物、光酸発生剤、界面活性剤等を更に含んでいてもよい。
【0151】
本発明の膜形成用組成物が含み得る有機ポリマー化合物は、その添加目的に応じて、種々の有機ポリマー(縮重合ポリマー及び付加重合ポリマー)の中から適宜選択されるものである。
その具体例としては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、ポリビニルエーテル、フェノールノボラック、ナフトールノボラック、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート等の付加重合ポリマー及び縮重合ポリマーが挙げられる。
本発明においては、吸光部位として機能するベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、トリアジン環、キノリン環、キノキサリン環等の芳香環や複素芳香環を含む有機ポリマーも、そのような機能が必要な場合には、好適に用い得る。そのような有機ポリマー化合物の具体例としては、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、スチレン、ヒドロキシスチレン、ベンジルビニルエーテル及びN-フェニルマレイミド等の付加重合性モノマーをその構造単位として含む付加重合ポリマーや、フェノールノボラック及びナフトールノボラック等の縮重合ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
有機ポリマー化合物として付加重合ポリマーが使用される場合、そのポリマー化合物は、単独重合体、共重合体のいずれであってもよい。
付加重合ポリマーの製造には付加重合性モノマーが使用されるが、そのような付加重合性モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、アクリルアミド化合物、メタクリルアミド化合物、ビニル化合物、スチレン化合物、マレイミド化合物、マレイン酸無水物、アクリロニトリル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0153】
アクリル酸エステル化合物の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ノルマルヘキシルアクリレート、イソプロピルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2-トリクロロエチルアクリレート、2-ブロモエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、5-アクリロイルオキシ-6-ヒドロキシノルボルネン-2-カルボキシリック-6-ラクトン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、グリシジルアクリレート等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
メタクリル酸エステル化合物の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ノルマルヘキシルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,2-トリクロロエチルメタクリレート、2-ブロモエチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、5-メタクリロイルオキシ-6-ヒドロキシノルボルネン-2-カルボキシリック-6-ラクトン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、グリシジルメタクリレート、2-フェニルエチルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、ブロモフェニルメタクリレート等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
アクリルアミド化合物の具体例としては、アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N-フェニルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-アントリルアクリルアミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
メタクリルアミド化合物の具体例としては、メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-ベンジルメタクリルアミド、N-フェニルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-アントリルアクリルアミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
ビニル化合物の具体例としては、ビニルアルコール、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ビニル酢酸、ビニルトリメトキシシラン、2-クロロエチルビニルエーテル、2-メトキシエチルビニルエーテル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
スチレン化合物の具体例としては、スチレン、ヒドロキシスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メトキシスチレン、シアノスチレン、アセチルスチレン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】
マレイミド化合物としては、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ヒドロキシエチルマレイミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
ポリマーとして縮重合ポリマーが使用される場合、そのようなポリマーとしては、例えば、グリコール化合物とジカルボン酸化合物との縮重合ポリマーが挙げられる。グリコール化合物としてはジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ブチレングリコール等が挙げられる。ジカルボン酸化合物としては、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、無水マレイン酸等が挙げられる。また、例えば、ポリピロメリットイミド、ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミドが挙げられるが、これらに限定されない。
有機ポリマー化合物がヒドロキシ基を含む場合は、このヒドロキシ基は、加水分解縮合物等と架橋反応をし得る。
【0161】
本発明の膜形成用組成物が含み得る有機ポリマー化合物の重量平均分子量は、通常1,000~1,000,000であるが、組成物中での析出を抑制する観点等から、好ましくは300,000以下、より好ましくは200,000以下、より一層好ましくは100,000であり、ポリマーとしての機能の効果を十分に得る観点等から、好ましくは3,000以上、より好ましくは5,000以上、より一層好ましくは10,000以上である。
このような有機ポリマー化合物は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0162】
本発明の膜形成用組成物が有機ポリマー化合物を含む場合、その含有量は、その有機ポリマー化合物の機能等を考慮して適宜定まるため一概に規定できないが、通常、加水分解性シラン、その加水分解物及びその加水分解縮合物の合計質量に対して、1~200質量%の範囲であり、組成物中での析出を抑制する観点等から、好ましくは100質量%以下、より好ましくは50質量%以下、より一層好ましくは30質量%以下であり、その効果を十分に得る観点等から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、より一層好ましくは30質量%以上である。
【0163】
酸発生剤としては、熱酸発生剤や光酸発生剤が挙げられる。
光酸発生剤としては、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ジスルホニルジアゾメタン化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
オニウム塩化合物の具体例としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフエート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロノルマルブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロノルマルオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート等のヨードニウム塩化合物、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロノルマルブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のスルホニウム塩化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
スルホンイミド化合物の具体例としては、N-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(ノナフルオロノルマルブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ナフタルイミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0166】
ジスルホニルジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4-ジメチルベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル-p-トルエンスルホニルジアゾメタン等が挙げられるが、これらに限定されない。
酸発生剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0167】
本発明の膜形成用組成物が酸発生剤を含む場合、その含有量は、酸発生剤の種類等を考慮して適宜定まるため一概に規定できないが、通常、加水分解性シラン、その加水分解物及びその加水分解縮合物の合計質量に対して、0.01~5質量%の範囲であり、組成物中での酸発生剤の析出を抑制する観点等から、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下であり、その効果を十分に得る観点等から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。
【0168】
界面活性剤は、特に本発明の膜形成用組成物をリソグラフィー用レジスト下層膜形成用組成物として基板に塗布した際に、ピンホール、ストレーション等の発生を抑制するのに有効である。
このような界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロツクコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、商品名エフトップEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製)、商品名メガファックF171、F173、R-08、R-30、R-30N、R-40LM(DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製)、商品名アサヒガードAG710,サーフロンS-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(AGC(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマ-KP341(信越化学工業(株)製)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
界面活性剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0169】
本発明の膜形成用組成物が界面活性剤を含む場合、その含有量は縮合物(ポリオルガノシロキサン)100質量部に対して、通常0.0001~5質量部の範囲内であるが、組成物中での析出を抑制する観点等から、好ましくは1質量部以下であり、その効果を十分に得る観点等から、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上である。
【0170】
更に、本発明の膜形成用組成物には、レオロジー調整剤、接着補助剤、硬化触媒等を含んでいてもよい。レオロジー調整剤は、膜形成用組成物の流動性を向上させるのに有効である。接着補助剤は、本発明の組成物から得られるSi含有レジスト下層膜と半導体基板やレジストとの密着性を向上させるのに有効である。硬化触媒は膜を硬化させるために有効である。具体例としてはトリフェニルスルホニウム硝酸塩、トリフェニルスルホニウムマレイン酸塩、トリフェニルスルホニウムトリフルオロ酢酸塩、トリフェニルスルホニウム塩酸塩、トリフェニルスルホニウム酢酸塩等のスルホニウム塩化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0171】
本発明で用いる加水分解物や加水分解縮合物は、上述の加水分解性シランを加水分解することで得ることができる。
加水分解は、完全な加水分解であっても、部分的な加水分解であってもよい。上述の通り、本発明の膜形成用組成物が含む加水分解縮合物中には、完全加分解物とともに、部分加水分解物が含まれていてもよい。また、組成物中では、単量体(モノマー)である加水分解性シランが残存していても良い。
【0172】
本発明で用いる加水分解性シランは、ケイ素原子に直接結合するアルコキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基又はハロゲン原子を有し、アルコキシシリル基、アラルキルオキシシリル基、アシロキシシリル基又はハロゲン化シリル基である加水分解性基を含むものであるが、その加水分解には、加水分解性基の1モル当たり、通常0.5~100モル、好ましくは1~10モルの水を用いる。
【0173】
加水分解の際、加水分解を促進する目的等で、加水分解触媒を用いてもよい。
その具体例としては、金属キレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基等を挙げることができるが、これらに限定されない。
加水分解触媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、加水分解性基の1モル当たり、通常0.001~10モル、好ましくは0.001~1モルである。
【0174】
金属キレート化合物の具体例としては、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ-n-プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ-イソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ-n-ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ-s-ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ-t-ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ-n-プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ-イソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ-n-ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ-s-ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ-t-ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ-n-プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ-イソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ-n-ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ-s-ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ-t-ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ-n-プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ-イソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ-n-ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ-s-ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ-t-ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ-n-プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ-イソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ-n-ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ-s-ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ-t-ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ-n-プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ-イソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ-n-ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ-s-ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ-t-ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン等のチタンキレート化合物;トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ-n-プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ-イソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ-n-ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ-s-ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ-t-ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ-n-プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ-イソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ-n-ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ-s-ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ-t-ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ-n-プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ-イソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ-n-ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ-s-ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ-t-ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ-n-プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ-イソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ-n-ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ-s-ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ-t-ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ-n-プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ-イソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ-n-ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ-s-ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ-t-ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ-n-プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ-イソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ-n-ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ-s-ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ-t-ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、等のジルコニウムキレート化合物;トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等を挙げることをできるが、これらに限定されない。
【0175】
有機酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、2-エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p-アミノ安息香酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0176】
無機酸の具体例としては、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0177】
有機塩基の具体例としては、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0178】
無機塩基の具体例としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0179】
これらの中でも、加水分解触媒としては、金属キレート化合物、有機酸、無機酸が好ましい。
【0180】
加水分解をする際、溶媒として有機溶媒を用いてもよく、その具体例としては、例えばn-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、イソヘプタン、2,2,4-トリメチルペンタン、n-オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n-プロピルベンセン、イソプロピルベンセン、ジエチルベンゼン、イソブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ-イソプロピルベンセン、n-アミルナフタレン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、s-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、イソペンタノール、2-メチルブタノール、s-ペンタノール、t-ペンタノール、3-メトキシブタノール、n-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、s-ヘキサノール、2-エチルブタノール、s-ヘプタノール、3-ヘプタノール、n-オクタノール、2-エチルヘキサノール、s-オクタノール、n-ノニルアルコール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノール、n-デカノール、s-ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、s-テトラデシルアルコール、s-ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール等のモノアルコール系溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-イソブチルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-イソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶媒;エチルエーテル、イソプロピルエーテル、n-ブチルエーテル、n-ヘキシルエーテル、2-エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸s-ブチル、酢酸n-ペンチル、酢酸s-ペンチル、酢酸3-メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2-エチルブチル、酢酸2-エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n-ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n-ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ-n-ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-ブチル、乳酸n-アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のエステル系溶媒;N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロピオンアミド、N-メチルピロリドン等の含窒素系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3-プロパンスルトン等の含硫黄系溶媒等を挙げることができるが、これらに限定されない。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-イソブチルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-イソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等のケトン系溶媒が溶液の保存安定性の点で好ましい。
【0181】
また、pH調整剤として、ビスフェノールS、又はビスフェノールS誘導体を添加することができる。ビスフェノールS、又はビスフェノールS誘導体はポリオルガノシロキサン100質量部に対して、0.01~20質量部、又は0.01~10質量部、又は0.01~5質量部である。
【0182】
以下、ビスフェノールSやビスフェノールS誘導体の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
【化57】
【0183】
加水分解や縮合の反応温度は、通常20~100℃又はある態様においては20~80である。
【0184】
加水分解性シランとして、式(1)で表されるヘテロ環含有シラン以外のシランを用いる場合、式(1)で表されるヘテロ環含有シランの仕込み量は、全ての加水分解性シラン中、通常0.1モル%以上であるが、本発明の上記効果を再現性よく得る観点から、好ましくは0.5モル%以上、より好ましくは1モル%以上、より一層好ましくは5モル%以上である。
加水分解性シランとして、式(2)で表されるその他のシラン又は式(3)で表されるその他のシランを用いる場合、これらのその他のシランの仕込み量は、全ての加水分解性シラン中、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上であり、より好ましくは5モル%以上であり、通常99.9モル%以下、好ましくは99モル%以下、より好ましくは95モル%以下である。
加水分解性シランとして、式(4)で表される加水分解性オルガノシランを用いる場合、当該オルガノシランの仕込み量は、全ての加水分解性シラン中、通常0.01モル%以上、好ましくは0.1モル%以上であり、通常30モル%以下、好ましくは10モル%以下である。
【0185】
以上説明した条件の下、加水分解性シランを加水分解することで、加水分解物や加水分解縮合物を製造することができる。
反応終了後、反応溶液をそのまま又は希釈若しくは濃縮し、それを中和することで、或いはイオン交換樹脂を用いて処理することで、加水分解に用いた酸や塩基触媒を取り除くことができる。また、このような処理の前又は後に、減圧蒸留等によって、反応溶液から副生成物のアルコールや水、触媒等を除去することもできる。
必要であれば、このような精製をした後に、加水分解縮合物が含まれる溶液から溶媒を全部又は一部を留去することで、加水分解縮合物を固体として又は加水分解縮合物を含む溶液として得ることができる。
【0186】
本発明の膜形成用組成物は、上記加水分解性シラン、その加水分解物及び/又はその加水分解縮合物と、溶媒と、その他の成分が含まれる場合には当該その他の成分とを混合することで製造できる。この際、加水分解縮合物等を含む溶液を予め準備し、この溶液を、溶媒やその他の成分と混合してもよい。
混合順序は特に限定されるものではない。例えば、加水分解縮合物等を含む溶液に、溶媒を加えて混合し、その混合物にその他の成分を加えてもよく、加水分解縮合物等を含む溶液と、溶媒と、その他の成分を同時に混合しても良い。
必要であれば、最後に更に溶媒を追加で加えたり、溶媒に比較的溶けやすい一部の成分を混合物中に含めないでそれを最後に加えたりしてもよいが、構成成分の凝集や分離を抑制し、均一性に優れる組成物を再現性よく調製する観点から、加水分解縮合物等が良好に溶解した溶液を予め準備し、これを用いて組成物を調製することが好ましい。なお、加水分解縮合物等は、共に混ぜられる溶媒の種類や量、その他の成分の量や性質等によっては、これらが混ぜられた際に凝集又は沈殿する可能性がある点に留意する。また、加水分解縮合物等が溶解した溶液を用いて組成物を調製する場合、最終的に得られる組成物中の加水分解縮合物等が所望の量となるように、加水分解縮合物等の溶液の濃度やその使用量を決める必要がある点も留意する。
組成物を調製では、成分が分解したり変質したりしない範囲で、適宜加熱してもよい。
【0187】
本発明においては、膜形成用組成物は、組成物を製造する途中段階で又は全ての成分を混合した後に、サブマイクロメートルオーダーのフィルター等を用いてろ過してもよい。
【0188】
本発明の膜形成用組成物における固形分の濃度は、当該組成物の質量に対し、通常0.1~50質量%であるが、固形分の析出を抑制する観点等から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
固形分中の加水分解性シラン、その加水分解物及びその加水分解縮合物の合計割合は、上述した本発明の効果を再現性よく得る観点から、通常50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、より一層好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。
【0189】
本発明では膜形成用組成物を、リソグラフィー工程に使用されるレジスト下層膜形成用組成物として用いることができる。
【0190】
本発明の一態様においては、半導体装置の製造に使用される基板(例えば、シリコンウエハー基板、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、ガラス基板、ITO基板、ポリイミド基板、及び低誘電率材料(low-k材料)被覆基板等)の上に、スピナー、コーター等の適当な塗布方法により、本発明の膜形成用組成物からなるレジスト下層膜形成用組成物が塗布され、その後、焼成されることにより、本発明のSi含有レジスト下層膜が形成される。
焼成条件は、通常、焼成温度80℃~250℃、焼成時間0.3~60分間の中から適宜選択されるが、好ましくは、焼成温度150℃~250℃、焼成時間0.5~2分間である。
【0191】
本発明のSi含有レジスト下層膜の膜厚としては、例えば、10~1,000nmであり、又は20~500nmであり、又は50~300nmであり、又は100~200nmである。
【0192】
次いで、本発明のSi含有レジスト下層膜の上に、例えばフォトレジスト層が形成される。フォトレジストの層の形成は、周知の方法、すなわち、本発明のSi含有レジスト下層膜の上に、フォトレジスト組成物を塗布し焼成することによって行なうことができる。フォトレジストの膜厚は、例えば50~10,000nmであり、又は100~2,000nmであり、又は200~1,000nmである。
【0193】
本発明のその他の態様においては、基板上に有機下層膜を形成した後、この上に本発明のSi含有レジスト下層膜を形成し、更にその上にフォトレジスト層を形成することができる。これにより、フォトレジストのパターン幅が狭くなり、パターン倒れを防ぐ為にフォトレジストを薄く被覆した場合でも、適切なエッチングガスを選択することにより基板の加工が可能になる。例えば、フォトレジストに対して十分に早いエッチング速度となるフッ素系ガスをエッチングガスとして本発明のSi含有レジスト下層膜に加工が可能であり、また本発明のSi含有レジスト下層膜に対して十分に早いエッチング速度となる酸素系ガスをエッチングガスとして有機下層膜の加工が可能であり、更に有機下層膜に対して十分に早いエッチング速度となるフッ素系ガスをエッチングガスとして基板の加工を行うことができる。
【0194】
本発明のSi含有レジスト下層膜の上に形成されるフォトレジストとしては、露光に使用される光に感光するものであれば特に限定はない。ネガ型フォトレジスト及びポジ型フォトレジストのいずれも使用でき、その具体例としては、ノボラック樹脂と1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物とアルカリ可溶性バインダーと光酸発生剤とからなる化学増幅型フォトレジスト、及び酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト等が挙げられるが、これらに限定されない。
商品として入手可能な具体例としては、シプレー社製商品名APEX-E、住友化学(株)製商品名PAR710、信越化学工業(株)製商品名SEPR430等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、例えば、Proc.SPIE,Vol.3999,330-334(2000)、Proc.SPIE,Vol.3999,357-364(2000)、やProc.SPIE,Vol.3999,365-374(2000)に記載されているような、含フッ素原子ポリマー系フォトレジストも好適に用いることができる。
【0195】
次に、所定のマスクを通して露光が行なわれる。露光には、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、F2エキシマレーザー(波長157nm)等を使用することができる。
露光後、必要に応じて露光後加熱(postexposurebake)を行なうこともできる。露光後加熱は、加熱温度70℃~150℃、加熱時間0.3~10分間から適宜選択された条件で行われる。
【0196】
本発明においては、レジストとしてフォトレジストに代えて、電子線リソグラフィー用レジストやEUVリソグラフィー用レジストを用いることができる。
電子線リソグラフィー用レジストとしては、ネガ型、ポジ型いずれも使用でき、その具体例としては、酸発生剤と酸により分解してアルカリ溶解速度を変化させる基を有するバインダーからなる化学増幅型レジスト、アルカリ可溶性バインダーと酸発生剤と酸により分解してレジストのアルカリ溶解速度を変化させる低分子化合物からなる化学増幅型レジスト、酸発生剤と酸により分解してアルカリ溶解速度を変化させる基を有するバインダーと酸により分解してレジストのアルカリ溶解速度を変化させる低分子化合物からなる化学増幅型レジスト、電子線によって分解してアルカリ溶解速度を変化させる基を有するバインダーからなる非化学増幅型レジスト、電子線によって切断されアルカリ溶解速度を変化させる部位を有するバインダーからなる非化学増幅型レジスト等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの電子線リソグラフィー用レジストを用いた場合も、照射源を電子線としてフォトレジストを用いた場合と同様に、レジストパターンを形成することができる。
EUVリソグラフィー用レジストとしては、メタクリレート樹脂系レジストを用いることができる。
【0197】
次いで、現像液(例えばアルカリ現像液)によって現像が行なわれる。これにより、例えばポジ型フォトレジストが使用された場合は、露光された部分のフォトレジストが除去され、フォトレジストのパターンが形成される。
現像液の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリンなどの水酸化四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミン等のアミン水溶液等のアルカリ性水溶液等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0198】
本発明においては、現像液として有機溶媒を用いることができる。すなわち、露光後に現像液(有機溶媒)によって現像が行なわれる。これにより、例えばポジ型フォトレジストが使用された場合は、露光されない部分のフォトレジストが除去され、フォトレジストのパターンが形成される。
そのような現像液として用い得る有機溶媒の具体例としては、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセテート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペンチルアセテート、2-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、4-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピル-3-メトキシプロピオネート等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0199】
必要に応じて、現像液は、界面活性剤等を含んでいてもよい。
【0200】
現像は、温度5~50℃、時間10~600秒から適宜選択された条件で行われる。
【0201】
そして、このようにして形成されたフォトレジスト(上層)のパターンを保護膜として本発明のSi含有レジスト下層膜(中間層)の除去が行われ、次いでパターン化されたフォトレジスト及び本発明のSi含有レジスト下層膜(中間層)からなる膜を保護膜として、有機下層膜(下層)の除去が行われる。最後に、パターン化された本発明のSi含有レジスト下層膜(中間層)及び有機下層膜(下層)を保護膜として、半導体基板の加工が行なわれる。
【0202】
まず、フォトレジストが除去された部分の本発明のSi含有レジスト下層膜(中間層)をドライエッチングによって取り除き、半導体基板を露出させる。
本発明のSi含有レジスト下層膜のドライエッチングにはテトラフルオロメタン(CF4)、パーフルオロシクロブタン(C4F8)、パーフルオロプロパン(C3F8)、トリフルオロメタン、一酸化炭素、アルゴン、酸素、窒素、六フッ化硫黄、ジフルオロメタン、三フッ化窒素、三フッ化塩素、塩素、トリクロロボラン、ジクロロボラン等のガスを使用することができる。
Si含有レジスト下層膜のドライエッチングには、ハロゲン系ガスを使用することが好ましい。ハロゲン系ガスによるドライエッチングでは、基本的に有機物質からなるフォトレジストは除去されにくい。それに対し、ケイ素原子を多く含む本発明のSi含有レジスト下層膜はハロゲン系ガスによって速やかに除去される。そのため、Si含有レジスト下層膜のドライエッチングに伴うフォトレジストの膜厚の減少を抑えることができる。そして、その結果、フォトレジストを薄膜で使用することが可能となる。Si含有レジスト下層膜のドライエッチングはフッ素系ガスによることが好ましく、フッ素系ガスとしては、例えば、テトラフルオロメタン(CF4)、パーフルオロシクロブタン(C4F8)、パーフルオロプロパン(C3F8)、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン(CH2F2)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0203】
その後、パターン化されたフォトレジスト及び本発明のSi含有レジスト下層膜からなる膜を保護膜として有機下層膜の除去が行われる。有機下層膜(下層)は酸素系ガスによるドライエッチングによって行なわれることが好ましい。ケイ素原子を多く含む本発明のSi含有レジスト下層膜は、酸素系ガスによるドライエッチングでは除去されにくいからである。
【0204】
最後に、半導体基板の加工が行なわれる。半導体基板の加工はフッ素系ガスによるドライエッチングによって行なわれることが好ましい。
フッ素系ガスとしては、例えば、テトラフルオロメタン(CF4)、パーフルオロシクロブタン(C4F8)、パーフルオロプロパン(C3F8)、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン(CH2F2)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0205】
本発明のSi含有レジスト下層膜の上層には、フォトレジストの形成前に有機系の反射防止膜を形成することができる。そこで使用される反射防止膜組成物としては特に制限はなく、例えば、これまでリソグラフィープロセスにおいて慣用されているものの中から任意に選択して使用することができ、また、慣用されている方法、例えば、スピナー、コーターによる塗布及び焼成によって反射防止膜の形成を行なうことができる。
【0206】
本発明の膜形成用組成物からなるレジスト下層膜形成用組成物が塗布される基板は、その表面にCVD法などで形成された有機系又は無機系の反射防止膜を有するものであってもよく、その上に本発明のSi含有レジスト下層膜を形成することもできる。
【0207】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物より形成されるSi含有レジスト下層膜は、また、リソグラフィープロセスにおいて使用される光の波長によっては、その光に対する吸収を有することがある。そして、そのような場合には、基板からの反射光を防止する効果を有する反射防止膜として機能することができる。さらに、本発明のSi含有レジスト下層膜は、基板とフォトレジストとの相互作用の防止するための層、フォトレジストに用いられる材料又はフォトレジストへの露光時に生成する物質の基板への悪作用を防ぐ機能を有する層、加熱焼成時に基板から生成する物質の上層フォトレジストへの拡散を防ぐ機能を有する層、及び半導体基板誘電体層によるフォトレジスト層のポイズニング効果を減少させるためのバリア層等として使用することも可能である。
【0208】
本発明のレジスト下層膜形成用組成物より形成されるSi含有レジスト下層膜は、デュアルダマシンプロセスで用いられるビアホールが形成された基板に適用され、ホールを隙間なく充填することができる穴埋め材(埋め込み材)として使用できる。また、凹凸のある半導体基板の表面を平坦化するための平坦化材として使用することもできる。
EUVレジストの下層膜としてはハードマスクとしての機能以外に以下の目的にも使用できる。EUVレジストとインターミキシングすることなく、EUV露光に際して好ましくない露光光、例えば上述の深紫外(DUV)光の基板又は界面からの反射を防止することができるEUVレジストの下層反射防止膜として、上記レジスト下層膜形成用組成物を用いることができる。EUVレジストの下層で効率的に反射を防止することができる。EUVレジスト下層膜として用いた場合は、プロセスはフォトレジスト用下層膜と同様に行うことができる。
【実施例】
【0209】
以下、合成例および実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記に限定されるものではない。
【0210】
下記の純度は、ガスクロマトグラフィー(GC)による測定結果である。測定には(株)島津製作所製GC装置(GC-2010PLUSシリーズ)を用い、測定条件等は次のとおりとした。
・カラム:DB-1,0.25μm,30m×0.250mm(Agilent Technologies)
・キャリアガス:He 32.0cm/sec (117.5kPa) ※)線速度制御
・カラム温度:100 ℃(15分保持)→昇温(15 ℃/min)→250 ℃(5分保持)→昇温(15 ℃/min)→300 ℃(5分保持)
・インジェクター:Split (30), 250℃
・検出器:FID(300℃)
・分析時間:38.3min
・注入量:1.0 μL
・希釈溶媒:アセトニトリル
・サンプル濃度:1.0wt% (不溶物をフィルターPTFE, 0.45μmでろ過)
【0211】
[1]シラン化合物の合成
[合成例1-1]
【化58】
【0212】
温度計及び攪拌機を備えた300mLフラスコに、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(東京化成工業(株)製)15.0g(0.0651mol)、トリエチルアミン(東京化成工業(株)製)7.99g(0.0781mol)及びトルエン(関東化学(株)製)90.0g(6部)を入れて5℃に冷却し、次いで2-フロイルクロライド(東京化成工業(株)製)8.65g(0.0651mol)と、トルエン(関東化学(株)製)30.0g(2部)を加えた後、23℃に昇温して1時間撹拌した。
その後、減圧下、40℃で反応溶液から溶媒を留去し、得られた濃縮液を酢酸エチル(関東化学(株)製)150g(10部)及び純水150g(10部)と混ぜて分液処理を行い、有機層を回収し、水層を取り除いた。その後、回収した有機層と純水150g(10部)を混ぜて分液処理を行い、有機層を回収して水層を取り除くという操作を2回行った。そして、得られた有機層に硫酸ナトリウム(関東化学(株)製)60.1gを加えて水分を取り除いた後、ろ過をしてろ液を回収した。
減圧下、40℃で、回収したろ液から溶媒を留去して、式(1-5-3E)で表されるN-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)フラン-2-カルボキシアミド17.0gを白色固体として得た。(収率:82.7%、純度:99.1%)
得られたN-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)フラン-2-カルボキシアミドの1H-NMRスペクトル(DMSO-d6)におけるδ値は下記のとおりであった。
8.34(s,1H),7.80(d,1H),7.06(d,1H),6.60(d,1H),3.74(q,6H),3.17(t,2H),1.54(d,2H),1.14(t,9H),0.56(t,2H)
【0213】
【0214】
温度計及び攪拌機を備えた500mLフラスコに、水素化ナトリウム(関東化学(株)製)14.4g(0.330mol)及びテトラヒドロフラン(脱水)(関東化学(株)製)180g(6部)を入れて5℃に冷却し、次いでフルフリルアルコール(東京化成工業(株)製)30.1g(0.300mol)を含むテトラヒドロフラン(脱水)(関東化学(株)製)90.0g(3部)の溶液を加えた後、23℃に昇温して4時間撹拌した。
その後、フラスコ内の反応溶液と酢酸エチル(関東化学(株)製)300g(10部)及び純水300g(10部)を混ぜて分液処理を行い、有機層を回収し、水層を取り除いた。その後、回収した有機層と300g(10部)を混ぜて分液処理を行い、有機層を回収して水層を取り除くという操作を2回行った。
最後に、減圧下、30℃で、得られた有機層から溶媒を留去して、式(Z1)で表される2-((アリルオキシ)メチル)フラン32.7gを無色オイルとして得た。(収率:79.0%、純度:97.8%)
2-((アリルオキシ)メチル)フランの1H-NMRスペクトル(DMSO-d6)におけるδ値は下記のとおりであった。
7.64(d,1H),6.42(m,2H),5.88(td,1H),5.25(d,1H),5.15(d,1H),4.40(s,2H),3.94(d,2H)
【0215】
【0216】
温度計及び攪拌機を備えた500mLフラスコに、2-((アリルオキシ)メチル)フラン29.9g(0.2128mol)、トルエン(関東化学(株)製)150g(5部)及び白金(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンコンプレックス溶液(Sigma-Aldrich Co.製)8.13g(コンプレックス0.000426mol相当)を入れ、次いでトリメトキシシラン(東京化成工業(株)製)33.6g(0.234mol)を加えた後、室温で2時間撹拌した。
その後、減圧下、40℃で、反応溶液から溶媒を留去し、蒸留によって、得られた濃縮物から目的物を分離することで、式(1-3-6E)で表される(3-(フラン-2-イルメトキシ)プロピル)トリメトキシシラン11.2gを無色オイルとして得た。(収率:20.1%、純度:94.2%)
得られた(3-(フラン-2-イルメトキシ)プロピル)トリメトキシシランの1H-NMRスペクトル(DMSO-d6)におけるδ値は下記のとおりであった。
7.62(d,1H),6.42(d,1H),6.39(d,1H),4.37(d,2H),3.45(s,9H),3.34(t,2H),1.53(tt,2H),0.57(t,2H)
【0217】
【0218】
温度計及び攪拌機を備えた50mLフラスコに、水素化ナトリウム(関東化学(株)製)7.23g(0.168mol)及びテトラヒドロフラン(脱水)(関東化学(株)製)180g(6部)を入れて5℃に冷却し、次いでフロイン(東京化成工業(株)製)30.0g(0.153mol)を含むテトラヒドロフラン(脱水)(関東化学(株)製)90.0g(3部)の溶液を加え、23℃に昇温して5時間撹拌した。
その後、反応溶液と酢酸エチル(関東化学(株)製)300g(10部)及び純水300g(10部)を混ぜて分液処理を行い、有機層を回収し、水層を取り除いた。その後、回収した有機層と300g(10部)を混ぜて分液処理を行い、有機層を回収して水層を取り除くという操作を2回行った。
減圧下、30℃で、得られた有機層から溶媒を留去して、式(Z2)で表される2-(アリルオキシ)-1,2-ジ(フラン-2-イル)エタン-1-オン36.4gを無色オイルとして得た。(収率:99.0%、純度:91.1%)
得られた2-(アリルオキシ)-1,2-ジ(フラン-2-イル)エタン-1-オンの1H-NMRスペクトル(DMSO-d6)におけるδ値は下記のとおりであった。
7.95(d,1H),7.57(d,1H),7.44(d,1H),6.64(dd,1H),6.50(d,1H),6.42(d,1H),6.29(s,1H),5.71(dd,1H),5.00(m,2H),2.92(m,2H)
【0219】
【0220】
温度計及び攪拌機を備えた500mLフラスコに、2-(アリルオキシ)-1,2-ジ(フラン-2-イル)エタン-1-オン35.0g(0.136mol)、トルエン(関東化学(株)製)175g(5部)及び白金(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンコンプレックス溶液(Sigma-Aldrich Co.製)5.17g(コンプレックス0.000271mol相当)を入れ、次いでトリメトキシシラン(東京化成工業(株)製)21.4g(0.149mol)を加えた後、24時間撹拌した。
その後、減圧下、40℃で、反応溶液から溶媒を留去し、蒸留によって、得られた濃縮物から目的物を分離することで、式(1-19-1M)で表されるフラン-2-イル(6-(フラン-2-イル)-2,2-ジメトキシ-1,2-オキサシラン-6-イル)メタノン11.1gを無色オイルとして得た。(収率:33.3%、純度:94.6%)
フラン-2-イル(6-(フラン-2-イル)-2,2-ジメトキシ-1,2-オキサシラン-6-イル)メタノンの1H-NMRスペクトル(DMSO-d6)におけるδ値は下記のとおりであった。
7.95(s,1H),7.58(s,1H),7.43(d,1H),6.64(d,1H),6.54(d,1H),6.43(d,1H),3.42(s,6H),2.19(t,2H),1.65(tt,2H),0.699(t,2H)
【0221】
[2]ポリマーの合成
[合成例2-1]
テトラエトキシシラン21.1g、メチルトリエトキシシラン5.2g、トリエトキシ(フラン-3-イル)シラン3.3g、アセトン44.4gを300mLのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01M硝酸水溶液26.1gを滴下した。
滴下後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、240分間、還流させた。その後、プロピレングリコールモノエチルエーテルを60g加え、アセトン、メタノール、エタノールおよび水を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)溶液を得た。
さらにプロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノエチルエーテル100%の溶媒比率として140℃における固形残物換算で13重量パーセントとなるように調整した。
得られたポリマーは式(E1)に相当し、その分子量は、GPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1800であった。
【0222】
【0223】
[合成例2-2]
テトラエトキシシラン20.3g、トリエトキシ(フラン-3-イル)シラン9.6g、アセトン44.9gを300mLのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01M硝酸水溶液25.1gを滴下した。
滴下後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、240分間、還流させた。その後、プロピレングリコールモノエチルエーテルを60g加え、アセトン、メタノール、エタノールおよび水を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)溶液を得た。
さらにプロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノエチルエーテル100%の溶媒比率として140℃における固形残物換算で13重量パーセントとなるように調整した。
得られたポリマーは式(E2)に相当し、その分子量は、GPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1600であった。
【0224】
【0225】
[合成例2-3]
テトラエトキシシラン22.9g、メチルトリエトキシシラン5.3g、トリエトキシ(フラン-3-イル)シラン3.6g、アセトン48.2gを300mLのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.2M硝酸水溶液19.6g、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン0.33gの混合溶液を滴下した。
滴下後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、240分間、還流させた。その後、プロピレングリコールモノエチルエーテルを64g加え、アセトン、メタノール、エタノールおよび水を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)溶液を得た。 さらにプロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノエチルエーテル100%の溶媒比率として140℃における固形残物換算で13重量パーセントとなるように調整した。
得られたポリマーは式(E3)に相当し、その分子量は、GPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw2200であった。
【0226】
【0227】
[合成例2-4]
テトラエトキシシラン20.5g、メチルトリエトキシシラン5.0g、N-(3-(トリエトキシシリル)プロピル)フラン-2-カルボキサミド4.4g、アセトン44.8gを300mLのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01M硝酸水溶液25.3gを滴下した。
滴下後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、240分間、還流させた。その後、プロピレングリコールモノエチルエーテルを60g加え、アセトン、メタノール、エタノールおよび水を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)溶液を得た。
さらにプロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノエチルエーテル100%の溶媒比率として140℃における固形残物換算で13重量パーセントとなるように調整した。
得られたポリマーは式(E4)に相当し、その分子量は、GPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw2000であった。
【0228】
【0229】
[合成例2-5]
テトラエトキシシラン20.9g、メチルトリエトキシシラン5.1g、(3-(フラン-2-イルメトキシ)プロピル)トリメトキシシラン3.7g、アセトン44.5gを300mLのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01M硝酸水溶液25.8gを滴下した。
滴下後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、240分間、還流させた。その後、プロピレングリコールモノエチルエーテルを60g加え、アセトン、メタノール、エタノールおよび水を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)溶液を得た。
さらにプロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノエチルエーテル100%の溶媒比率として140℃における固形残物換算で13重量パーセントとなるように調整した。
得られたポリマーは式(E5)に相当し、GPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw2100であった。
【0230】
【0231】
[合成例2-6]
テトラエトキシシラン20.5g、メチルトリエトキシシラン5.0g、フラン-2-イル(6-(フラン-2-イル)-2,2-ジメトキシ-1,2-オキサシラン-6-イル)メタノン4.4g、アセトン44.8gを300mLのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01M硝酸水溶液25.3gを滴下した。
滴下後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、240分間、還流させた。その後、プロピレングリコールモノエチルエーテルを60g加え、アセトン、メタノール、エタノールおよび水を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)溶液を得た。
さらにプロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノエチルエーテル100%の溶媒比率として140℃における固形残物換算で13重量パーセントとなるように調整した。
得られたポリマーは式(E6)に相当し、その分子量は、GPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw2000であった。
【0232】
【0233】
[合成例2-7]
テトラエトキシシラン21.0g、トリエトキシ(チオフェン-2-イル)シラン3.5g、アセトン44.5gを300mLのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01M硝酸水溶液25.9gを滴下した。
滴下後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、240分間、還流させた。その後、プロピレングリコールモノエチルエーテルを60g加え、アセトン、メタノール、エタノールおよび水を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)溶液を得た。
さらにプロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノエチルエーテル100%の溶媒比率として140℃における固形残物換算で13重量パーセントとなるように調整した。
得られたポリマーは式(E7)に相当し、その分子量は、GPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1900であった。
【0234】
【0235】
[合成例2-8]
テトラエトキシシラン20.7g、メチルトリエトキシシラン5.1g、トリメトキシ(3-(チオフェン-2-イルチオ)プロピル)シラン4.0g、アセトン44.6gを300mLのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01M硝酸水溶液25.6gを滴下した。
滴下後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、240分間、還流させた。その後、プロピレングリコールモノエチルエーテルを60g加え、アセトン、メタノール、エタノールおよび水を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)溶液を得た。
さらにプロピレングリコールモノエチルエーテルを加え、プロピレングリコールモノエチルエーテル100%の溶媒比率として140℃における固形残物換算で13重量パーセントとなるように調整した。
得られたポリマーは式(E8)に相当し、その分子量は、GPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw2300であった。
【0236】
【0237】
[比較合成例1]
テトラエトキシシラン24.1g、フェニルトリメトキシシラン1.8g、トリエトキシメチルシラン9.5g、アセトン53.0gを300mLのフラスコに入れ、混合溶液をマグネチックスターラーにて撹拌しながら0.01M塩酸水溶液11.7gを混合溶液に滴下した。
滴下後、85℃に調整されたオイルバスにフラスコを移し、240分間、還流させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルを70g加え、アセトン、メタノール、エタノールおよび水を減圧留去し、濃縮して加水分解縮合物(ポリマー)溶液を得た。さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルを加え、140℃における固形残物換算で13重量パーセントとなるように調整した。
得られたポリマーは式(C1)に相当し、その分子量は、GPCによる重量平均分子量はポリスチレン換算でMw1400であった。
【0238】
【0239】
[3]レジストパターンに塗布される組成物の調製
合成例2-1~2-8および比較合成例1で得られたポリシロキサン(ポリマー)、酸および溶媒を表1に示す割合で混合し、得られた混合物を0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、レジストパターンに塗布される組成物をそれぞれ調製した。
なお、表1中のポリマーの添加割合は、ポリマー溶液の添加量ではなく、ポリマー自体の添加量を示した。また、PGEEは、プロピレングリコールモノエチルエーテルを、PGMEAは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、PGMEは、プロピレングリコールモノメチルエーテルを、DIWは、超純水を、MAは、マレイン酸を、TPSNO3は、トリフェニルスルホニウム硝酸塩を、TPSMLは、トリフェニルスルホニウムマレイン酸塩を、TPSTFAは、トリフェニルスルホニウムトリフルオロ酢酸塩を、TPSClは、トリフェニルスルホニウム塩酸塩を、TPSAcは、トリフェニルスルホニウム酢酸塩を、それぞれ意味する。
【0240】
【0241】
[4]有機下層膜形成用組成物の調整
窒素下、100mLの四口フラスコにカルバゾール(6.69g、0.040mol、東京化成工業(株)製)、9-フルオレノン(7.28g、0.040mol、東京化成工業(株)製)、パラトルエンスルホン酸一水和物(0.76g、0.0040mol、東京化成工業(株)製)を入れた後、そこへ1,4-ジオキサン(6.69g、関東化学(株)製)を加えて撹拌し、100℃まで昇温して固体を溶解させ、重合を開始させた。そして、24時間後、反応混合物を60℃まで放冷した。
冷却した反応混合物にクロロホルム(34g、関東化学(株)製)を加えて希釈し、希釈した混合物をメタノール(168g、関東化学(株)製)に滴下した。
得られた沈殿物をろ過し、ろ物を80℃で24時間乾燥し、目的とする式(3-1)で表されるポリマー(以下PCzFLと略す)9.37gを得た。
なお、PCzFLの1H-NMRの測定結果は次の通りであった。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d6):δ7.03-7.55(br,12H),δ7.61-8.10(br,4H),δ11.18(br,1H)
また、PCzFLのGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2800であり、多分散度Mw/Mnは1.77であった。
【0242】
【0243】
PCzFL20gと、架橋剤としてテトラメトキシメチルグリコールウリル(三井サイテック(株)製、商品名パウダーリンク1174)3.0gと、触媒としてピリジニウムパラトルエンスルホネート0.30gと、界面活性剤としてメガファックR-30(大日本インキ化学(株)製、商品名)0.06gとを混合し、混合物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート88gに溶解させた。得られた溶液を孔径0.10μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過し、更に、孔径0.05μmのポリエチレン製ミクロフィルターを用いて濾過して、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いる有機下層膜形成用組成物を得た。
【0244】
[5]溶剤耐性および現像液溶解性試験
実施例1~8および比較例1~2で得られた組成物を、スピナーを用いてシリコンウエハー上にそれぞれ塗布し、ホットプレート上で215℃1分間加熱し、Si含有レジスト下層膜(膜厚20nm)をそれぞれ形成した。
そして、各Si含有レジスト下層膜上に、プロピレングリコールモノメチルエーテル/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの混合溶媒(7/3(V/V))を塗布してスピン乾燥し、塗布した後の膜厚の変化の有無を評価した。評価の結果を表2に示す。なお、表2中において塗布前の膜厚を基準として、塗布後の膜厚変化が1%未満のものを「良好」、1%以上の場合を「不良」とした。
また、同様の方法で形成した各Si含有レジスト下層膜上に、アルカリ現像液(TMAH2.38%水溶液)を塗布してスピン乾燥し、塗布した後の膜厚の変化の有無を評価した。塗布前の膜厚を基準として、塗布後の膜厚変化が1%未満のものを「良好」、1%以上の場合を「不良」とした。
【0245】
【0246】
[6]ドライエッチング速度の測定
ドライエッチング速度の測定では、次のエッチャー及びエッチングガスを用いた。
Lam2300(ラムリサーチ製):CF4/CHF3/N2 (フッ素系ガス)
RIE-10NR(サムコ製):O2 (酸素系ガス)
実施例1~8および比較例2で得られた組成物を、スピナーを用いてシリコンウエハー上にそれぞれ塗布し、ホットプレート上で215℃1分間加熱し、Si含有塗布膜(膜厚0.02μm)をそれぞれ形成した。
得られた各Si含有塗布膜付きシリコンウエハーを用い、エッチングガスとしてCF4/CHF3/N2ガス、O2ガスを使用してドライエッチング速度を測定した。
なお、表3中Si含有レジスト下層膜O2ガスを使用したドライエッチング速度は、有機下層膜についてのO2ガスを使用したドライエッチング速度に対する比で表した。有機下層膜は、次の方法で準備した。有機下層膜形成用組成物組成物を、スピナーを用いてシリコンウエハー上に塗布し、ホットプレート上で215℃1分間加熱し、有機下層膜を形成した(膜厚0.20μm)。
【0247】
【0248】
[7]EUV露光によるレジストパターンの形成:ポジ型アルカリ現像
上記有機下層膜形成用組成物を、スピナーを用いてシリコンウエハー上に塗布し、ホットプレート上で215℃1分間加熱し、膜厚90nmの有機下層膜を得た
その上に、実施例1で得られたレジスト下層膜形成用組成物を、スピンコートし、ホットプレート上で215℃1分間加熱することにより、Si含有レジスト下層膜(B)層(20nm)が形成される。
更にその上に、EUV用レジスト溶液(メタクリレート樹脂系・ポリヒドロキシスチレン樹脂系ハイブリッドレジスト)をスピンコートし、ホットプレート上で130℃1分間加熱することにより、EUVレジスト層(C)層を形成し、これを、ASML製EUV露光装置(NXE3300B)を用い、NA=0.33、σ=0.67/0.90、Dipoleの条件で露光した。
露光後、PEBを行い、クーリングプレート上で室温まで冷却し、アルカリ現像液(2.38%TMAH水溶液)を用いて60秒現像し、リンス処理をし、レジストパターンを形成した。
また、実施例2~8及び比較例2で得られたレジスト下層膜形成用組成物を用いて、同様の手順で、レジストパターンを形成した。
そして、得られた各パターンについて、32nmピッチ、16nmのラインアンドスペースの形成可否を、パターン断面観察によるパターン形状を確認することで評価した。
表4で良好とはフッティングからアンダーカットの間の形状であり、かつスペース部に著しい残渣がないという状態を示し、倒れとはレジストパターンが剥がれ倒壊しているという好ましくない状態を示し、ブリッジとはレジストパターンの上部もしくは下部同士が接触しているという好ましくない状態を示す。
【0249】