(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-02
(45)【発行日】2024-07-10
(54)【発明の名称】ゲートウェイ装置、受信装置、データ通信システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 49/201 20220101AFI20240703BHJP
【FI】
H04L49/201
(21)【出願番号】P 2020094878
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】山上 悠喜
(72)【発明者】
【氏名】河村 侑輝
(72)【発明者】
【氏名】永田 裕靖
(72)【発明者】
【氏名】楠 知也
(72)【発明者】
【氏名】今村 浩一郎
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-270590(JP,A)
【文献】特開2004-363897(JP,A)
【文献】特開2006-237828(JP,A)
【文献】特開2018-207268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチキャスト方式で伝送されたデータを、ネットワークを介して接続された受信装置に中継するゲートウェイ装置であって、
前記受信装置が参加するマルチキャストグループのアドレスと、前記マルチキャストグループのアドレスを宛先とするデータを受信するための第1のポートのポート番号である第1のポート番号と、前記第1のポートの代替となる第2のポートのポート番号である第2のポート番号とを対応付けて記憶する制御部と、
前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号とを含む、前記マルチキャスト方式で伝送されたデータを受信すると、前記受信したデータに含まれる、前記マルチキャストグループのアドレスを前記受信装置のアドレスに付け替え、前記第1のポート番号を、前記第1のポート番号に対応付けられた前記第2のポート番号に付け替えたユニキャスト方式のデータに変換し、前記ネットワークを介して前記受信装置に送信する付替部と、を備え
、
前記制御部は、
前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号とを含む、前記マルチキャストグループへの参加を要求する参加要求メッセージを、前記ネットワークを介して前記受信装置から受信すると、前記第2のポート番号の通知を要求する通知要求メッセージを、前記ネットワークを介して前記受信装置に送信し、
前記通知要求メッセージに応じて前記受信装置から送信されてきた、前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号と、前記第2のポート番号とを含む返答メッセージを受信すると、前記返答メッセージに含まれる前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号と、前記第2のポート番号とを対応付けて記憶するゲートウェイ装置。
【請求項2】
マルチキャスト方式で伝送されたデータを受信するゲートウェイ装置とネットワークを介して接続された受信装置であって、
前記受信装置が参加するマルチキャストグループのアドレスと、前記マルチキャストグループのアドレスを宛先とするデータを受信するための第1のポートのポート番号である第1のポート番号とを含む、前記マルチキャストグループへの参加を要求する参加要求メッセージを、前記ネットワークを介して前記ゲートウェイ装置に送信する制御部を備え、
前記制御部は、前記第1のポートの代替となる第2のポートのポート番号である第2のポート番号の通知を要求する通知要求メッセージを、前記ネットワークを介して前記ゲートウェイ装置から受信すると、前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号と、前記第2のポート番号とを含む返答メッセージを、前記ネットワークを介して前記ゲートウェイ装置に送信する、受信装置。
【請求項3】
マルチキャスト方式で伝送されたデータを受信するゲートウェイ装置と、前記ゲートウ
ェイ装置とネットワークを介して接続された受信装置とを備え、
前記ゲートウェイ装置は、
前記受信装置が参加するマルチキャストグループのアドレスと、前記マルチキャストグループのアドレスを宛先とするデータを受信するための第1のポートのポート番号である第1のポート番号と、前記第1のポートの代替となる第2のポートのポート番号である第2のポート番号とを対応付けて記憶し、
前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号とを含む、前記マルチキャスト方式で伝送されたデータを受信すると、前記受信したデータに含まれる、前記マルチキャストグループのアドレスを前記受信装置のアドレスに付け替え、前記第1のポート番号を、前記第1のポート番号に対応付けられた前記第2のポート番号に付け替えたユニキャスト方式のデータに変換し、前記ネットワークを介して前記受信装置に送信
し、
前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号とを含む、前記マルチキャストグループへの参加を要求する参加要求メッセージを、前記ネットワークを介して前記受信装置から受信すると、前記第2のポート番号の通知を要求する通知要求メッセージを、前記ネットワークを介して前記受信装置に送信し、
前記通知要求メッセージに応じて前記受信装置から送信されてきた、前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号と、前記第2のポート番号とを含む返答メッセージを受信すると、前記返答メッセージに含まれる前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号と、前記第2のポート番号とを対応付けて記憶する、データ通信システム。
【請求項4】
請求項
3に記載のデータ通信システムにおいて、
前記受信装置は、前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号とを含む、前記マルチキャストグループへの参加を要求する参加要求メッセージを、前記ネットワークを介して前記ゲートウェイ装置に送信し、
前記ゲートウェイ装置は、前記参加要求メッセージを前記受信装置から受信すると、前記第2のポート番号の通知を要求する通知要求メッセージを、前記ネットワークを介して前記受信装置に送信し、
前記受信装置は、前記通知要求メッセージを受信すると、前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号と、前記第2のポート番号とを含む返答メッセージを、前記ネットワークを介して前記ゲートウェイ装置に送信し、
前記ゲートウェイ装置は、前記返答メッセージを受信すると、前記返答メッセージに含まれる前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号と、前記第2のポート番号とを対応付けて記憶する、データ通信システム。
【請求項5】
コンピュータを、請求項
1に記載のゲートウェイ装置として機能させるための
プログラム。
【請求項6】
コンピュータを、請求項
2に記載の受信装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲートウェイ装置、受信装置、データ通信システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
4K映像および8K映像の衛星放送では、従来のデジタル放送で用いられてきたMPEG-2TSに代わり、MMT(MPEG Media Transport)方式が用いられている(非特許文献1参照)。MMT方式は、現在の地上デジタルテレビジョン方式に代わる新しい放送方式においても導入に向けた検討が進められている。MMT方式は、IP(Internet Protocol)ベースであるため、コンテンツは、放送波に限らず、CATVなどのクローズドネットワークを経由して各家庭に配信されることも検討されている。いずれの伝送路においても、コンテンツは、UDP(User Datagram Protocol)/IPマルチキャスト方式で伝送される。
【0003】
一方、受信装置がマルチキャスト方式の信号を受信する、すなわち、マルチキャストグループに参加する操作を制御するプロトコルとして、IGMP(Internet Group Management Protocol)がある。IGMPでは、受信装置は、マルチキャストグループに参加する場合には、「IGMP Joinメッセージ」を上位ノード(送信サーバあるいはスイッチなど)に送信する。また、受信装置は、マルチキャストグループから離脱する場合には、「IGMP Leaveメッセージ」を上位ノードに送信する。こうすることで、マルチキャスト方式によるパケット(マルチキャストパケット)の受信装置への伝送およびマルチキャストパケットの伝送の停止といった制御が可能となる。なお、特許文献1には、サーバ装置から送信されたパケットを、中継ノードを介して、LAN(Local Area Network)上のクライアントに送信するデータ通信システムにおいて、中継ノードは、ユニキャスト方式によりパケットを送信し、LAN上のゲートウェイ装置が、マルチキャスト方式のパケットに変換して、LAN上のクライアントに送信する技術が記載されている。すなわち、特許文献1には、ユニキャスト方式のデータをマルチキャスト形式のデータに変換する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】ARIB STD-B60、「デジタル放送におけるMMTによるメディアトランスポート方式」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
放送波あるいはクローズドネットワークを介して受信したコンテンツのデータを宅内ネットワークに流し、宅内ネットワーク上のテレビあるいはスマートフォンなどの受信装置(以下、「視聴デバイス」と称する)でコンテンツを視聴するという視聴形態が検討されている。宅内ネットワークでは、無線LANが用いられることが多い。無線LANは、有線LANと比べてパケットロスが頻繁に発生する。ユニキャスト方式では、無線レイヤでの誤り訂正およびパケットの再送などの処理により、コンテンツのデータの伝送が可能となる。一方、マルチキャスト方式では、これらの処理が行われないため、上述した視聴形態において、各家庭に届いたマルチキャスト方式のデータをそのまま宅内ネットワークに流しても、視聴デバイスにおいて受信できないことがある。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を解決し、マルチキャスト方式で伝送されたデータのより確実な受信を図ることができるゲートウェイ装置、受信装置、データ通信システムおよびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係るゲートウェイ装置は、マルチキャスト方式で伝送されたデータを、ネットワークを介して接続された受信装置に中継するゲートウェイ装置であって、前記受信装置が参加するマルチキャストグループのアドレスと、前記マルチキャストグループのアドレスを宛先とするデータを受信するための第1のポートのポート番号である第1のポート番号と、前記第1のポートの代替となる第2のポートのポート番号である第2のポート番号とを対応付けて記憶する制御部と、前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号とを含む、前記マルチキャスト方式で伝送されたデータを受信すると、前記受信したデータに含まれる、前記マルチキャストグループのアドレスを前記受信装置のアドレスに付け替え、前記第1のポート番号を、前記第1のポート番号に対応付けられた前記第2のポート番号に付け替えたユニキャスト方式のデータに変換し、前記ネットワークを介して前記受信装置に送信する付替部と、を備える。
【0009】
また、本発明に係るゲートウェイ装置において、記制御部は、前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号とを含む、前記マルチキャストグループへの参加を要求する参加要求メッセージを、前記ネットワークを介して前記受信装置から受信すると、前記第2のポート番号の通知を要求する通知要求メッセージを、前記ネットワークを介して前記受信装置に送信し、前記通知要求メッセージに応じて前記受信装置から送信されてきた、前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号と、前記第2のポート番号とを含む返答メッセージを受信すると、前記返答メッセージに含まれる前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号と、前記第2のポート番号とを対応付けて記憶することが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る受信装置は、マルチキャスト方式で伝送されたデータを受信するゲートウェイ装置とネットワークを介して接続された受信装置であって、前記受信装置が参加するマルチキャストグループのアドレスと、前記マルチキャストグループのアドレスを宛先とするデータを受信するための第1のポートのポート番号である第1のポート番号とを含む、前記マルチキャストグループへの参加を要求する参加要求メッセージを、前記ネットワークを介して前記ゲートウェイ装置に送信する制御部を備え、前記制御部は、前記第1のポートの代替となる第2のポートのポート番号である第2のポート番号の通知を要求する通知要求メッセージを、前記ネットワークを介して前記ゲートウェイ装置から受信すると、前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号と、前記第2のポート番号とを含む返答メッセージを、前記ネットワークを介して前記ゲートウェイ装置に送信する。
【0011】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るデータ通信システムは、マルチキャスト方式で伝送されたデータを受信するゲートウェイ装置と、前記ゲートウェイ装置とネットワークを介して接続された受信装置とを備え、前記ゲートウェイ装置は、前記受信装置が参加するマルチキャストグループのアドレスと、前記マルチキャストグループのアドレスを宛先とするデータを受信するための第1のポートのポート番号である第1のポート番号と、前記第1のポートの代替となる第2のポートのポート番号である第2のポート番号とを対応付けて記憶し、前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号とを含む、前記マルチキャスト方式で伝送されたデータを受信すると、前記受信したデータに含まれる、前記マルチキャストグループのアドレスを前記受信装置のアドレスに付け替え、前記第1のポート番号を、前記第1のポート番号に対応付けられた前記第2のポート番号に付け替えたユニキャスト方式のデータに変換し、前記ネットワークを介して前記受信装置に送信する。
【0012】
また、本発明に係るデータ通信システムにおいて、前記受信装置は、前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号とを含む、前記マルチキャストグループへの参加を要求する参加要求メッセージを、前記ネットワークを介して前記ゲートウェイ装置に送信し、前記ゲートウェイ装置は、前記参加要求メッセージを前記受信装置から受信すると、前記第2のポート番号の通知を要求する通知要求メッセージを、前記ネットワークを介して前記受信装置に送信し、前記受信装置は、前記通知要求メッセージを受信すると、前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号と、前記第2のポート番号とを含む返答メッセージを、前記ネットワークを介して前記ゲートウェイ装置に送信し、前記ゲートウェイ装置は、前記返答メッセージを受信すると、前記返答メッセージに含まれる前記マルチキャストグループのアドレスと、前記第1のポート番号と、前記第2のポート番号とを対応付けて記憶することが好ましい。
【0013】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、上述したゲートウェイ装置として機能させる。
【0014】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、上述した受信装置として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るゲートウェイ装置、受信装置、データ通信システムおよびプログラムによれば、マルチキャスト方式で伝送されたデータのより確実な受信を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るデータ通信システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図1に示すデータ通信システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図3】
図1に示すデータ通信システムにおけるマルチキャスト・ユニキャスト変換の一例を示す図である。
【
図4】
図1に示す視聴デバイスが送信する代替ポート返答メッセージの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るデータ通信システム1の構成例を示す図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係るデータ通信システム1は、ゲートウェイ装置10と、受信装置としての視聴デバイス20とを備える。視聴デバイス20は、ユーザの宅内に設置されたテレビ、スマートフォン、タブレット端末などの、コンテンツを視聴するための装置である。ゲートウェイ装置10と視聴デバイス20とは、無線LANなどの宅内ネットワークを介して接続される。
【0020】
ゲートウェイ装置10は、視聴デバイス20が接続する宅内ネットワークの入り口に設けられる。ゲートウェイ装置10は、放送波あるいはCATVなどのクローズドネットワークを経由して、UDP/IPマルチキャスト方式で伝送されてきたコンテンツのデータ(以下、「UDP/IPマルチキャストパケット」と称する)を受信し、宅内ネットワークを介して接続された視聴デバイス20に中継する。具体的には、ゲートウェイ装置10は、受信したUDP/IPマルチキャストパケットをユニキャスト方式のパケット(以下、「UDP/IPユニキャストパケット」と称する)に変換(マルチキャスト・ユニキャスト変換)して、宅内ネットワークを介して視聴デバイス20に送信する。
【0021】
視聴デバイス20は、ゲートウェイ装置10から宅内ネットワークを介して送信されてきたUDP/IPユニキャストパケットを受信し、コンテンツをユーザに提示する。
【0022】
次に、ゲートウェイ装置10および視聴デバイス20の構成について、
図1を参照して説明する。まず、ゲートウェイ装置10の構成について説明する。
【0023】
図1に示すように、ゲートウェイ装置10は、制御部11と、付替部12とを備える。
【0024】
制御部11は、詳細は後述するが、視聴デバイス20が参加するマルチキャストグループのIPアドレスIPd(以下では、「マルチキャストグループアドレス」ということもある)と、IPアドレスIPdを宛先とするデータを視聴デバイス20において受信するためのポートである宛先ポート(第1のポート)のポート番号である宛先ポート番号Pd(第1のポート番号)と、宛先ポートの代替となるポートである代替宛先ポート(第2のポート)のポート番号である代替宛先ポート番号Pa(第2のポート番号)とを対応付けて記憶する。制御部11は、後述する視聴デバイス20の制御部21と制御信号をやり取りすることで、マルチキャストグループのIPアドレスIPdと、宛先ポート番号Pdと、代替宛先ポート番号Paとの対応関係を取得する。制御部11は、記憶している対応関係に基づき、UDP/IPマルチキャストパケットに含まれる、マルチキャストグループのIPアドレスIPdおよび宛先ポート番号Pdの付け替えを指示する付替指示を付替部12に出力する。
【0025】
付替部12は、視聴デバイス20が接続された宅内ネットワークの外部(放送波あるいはCATVなどのクローズドネットワーク)から送信されてきたUDP/IPマルチキャストパケットを受信する。UDP/IPマルチキャストパケットには、宛先アドレスとして、視聴デバイス20が参加するマルチキャストグループのIPアドレスIPdが含まれ、また、IPアドレスIPdを宛先とするデータを受信するための宛先ポートの宛先ポート番号Pdが含まれる。
【0026】
付替部12は、制御部11から出力された付替指示に従い、UDP/IPマルチキャストパケットに含まれる、IPアドレスIPdを視聴デバイス20のIPアドレスに付け替え、宛先ポート番号Pdを、宛先ポート番号Pdに対応付けられた代替宛先ポート番号Paに付け替える。こうすることで、付替部12は、受信したUDP/IPマルチキャストパケットを、ユニキャスト形式のデータ(UDP/IPユニキャストパケット)に変換する。付替部12は、UDP/IPマルチキャストパケットを変換して生成したUDP/IPユニキャストパケットを、ユニキャスト方式により、宅内ネットワークを介して視聴デバイス20に送信する。
【0027】
次に、視聴デバイス20の構成について説明する。
【0028】
図1に示すように、視聴デバイス20は、制御部21と、デコーダ22と、提示部23とを備える。
【0029】
制御部21は、ゲートウェイ装置10の制御部11と制御信号のやり取りを行い、視聴デバイス20が参加を希望するマルチキャストグループのIPアドレスIPd、宛先ポート番号Pdおよび代替宛先ポート番号Paをゲートウェイ装置10に通知する。マルチキャストグループのIPアドレスIPdと、宛先ポート番号Pdと、代替宛先ポート番号Paとが対応付けてゲートウェイ装置10で記憶されると、制御部21は、ゲートウェイ装置10から送信されるUDP/IPユニキャストパケットの受信および受信したUDP/IPユニキャストパケットに基づくコンテンツの提示を指示する受信・提示指示をデコーダ22に出力する。
【0030】
デコーダ22は、制御部21から受信・提示指示が出力されると、ゲートウェイ装置10から宅内ネットワークを介して送信されてきたUDP/IPユニキャストパケットを受信する。デコーダ22は、受信したUDP/IPユニキャストパケットを復号し、コンテンツの映像・音声信号を取得して、提示部23に出力する。
【0031】
提示部23は、デコーダ22から出力された映像・音声信号を再生し、コンテンツを提示する。
【0032】
次に、ゲートウェイ装置10および視聴デバイス20の動作を、
図2に示すシーケンス図を参照して説明する。以下では、放送局30からコンテンツのUDP/IPマルチキャストパケットが伝送され、そのコンテンツを視聴デバイス20で提示する例を用いて説明する。また、以下では、IPアドレスのプロトコルとしてIPv4を用いる場合を例として説明する。なお、IPv6を用いる場合には、MLD(Multicast Listener Discovery)というプロトコルを用いることができる。この場合、視聴デバイス20は、IGMP Joinメッセージの代わりにMLD Joinメッセージを送信し、IGMP Leaveメッセージの代わりにMLD Leaveメッセージを送信する点が異なるが、他の手順は、IPv4を用いる場合と同様である。
【0033】
マルチキャストグループに参加する場合、視聴デバイス20の制御部21は、マルチキャストグループへの参加を要求する参加要求メッセージであるIGMP Joinメッセージをゲートウェイ装置10に送信する(ステップS101)。IGMP Joinメッセージには、参加を希望するマルチキャストグループのIPアドレスIPdと、IPアドレスIPdを宛先とするデータを受信する宛先ポートの宛先ポート番号Pdとが含まれる。宛先ポート番号Pdは伝送されるコンテンツに関連付けられたポート番号であり、コンテンツが配信されるマルチキャストグループのIPアドレスIPdとともに、コンテンツの配信開始前あるいは配信開始時などに、放送局30から通知される。視聴デバイス20は、IGMP Joinメッセージをゲートウェイ装置10に送信すると、宛先ポートを開いて、UDPパケットを待ち受ける。なお、視聴デバイス20は、IGMP Joinメッセージを一定時間ごとに繰り返し送信する。
【0034】
ゲートウェイ装置10の制御部11は、視聴デバイス20から送信されてきたIGMP Joinメッセージを受信する。視聴デバイス20が接続する宅内ネットワークがマルチキャスト方式に対応している場合、IGMPで定められた通常のシーケンスに従い、UDP/IPマルチキャストパケットが視聴デバイス20に中継され、視聴デバイス20において受信される。
【0035】
宅内ネットワークがマルチキャスト方式に対応していない場合、制御部11は、IGMP Joinメッセージを受信すると、視聴デバイス20の宛先ポートに宛てて、UDP/IPユニキャストパケットで代替ポート要求メッセージを送信する(ステップS102)。代替ポート要求メッセージは、宛先ポートの代替となる代替宛先ポートのポート番号である代替宛先ポート番号Paの通知を要求するメッセージ(通知要求メッセージ)である。なお、制御部11は、視聴デバイス20が接続する宅内ネットワークがマルチキャスト方式に対応しているか否かを予め把握することができる。
【0036】
視聴デバイス20の制御部21は、ゲートウェイ装置10から送信されてきた代替ポート要求メッセージを受信すると、空きポートの中から代替宛先ポートとするポートを選択し、代替ポート返答メッセージ(返答メッセージ)を、ゲートウェイ装置10に送信する(ステップS103)。代替ポート返答メッセージには、視聴デバイス20が参加を希望するマルチキャストグループのIPアドレスIPdと、宛先ポート番号Pdと、代替宛先ポートのポート番号である代替宛先ポート番号Paとを含む。代替ポート返答メッセージを送信すると、視聴デバイス20は、代替宛先ポートを開いて、UDP/IPユニキャストパケットを待ち受ける。
【0037】
ゲートウェイ装置10の制御部11は、通知要求メッセージに応じて視聴デバイス20から送信されてきた代替ポート返答メッセージを受信すると、代替ポート返答メッセージに含まれる、マルチキャストグループのIPアドレスIPdと、宛先ポート番号Pdと、代替宛先ポート番号Paとを対応付けて記憶する(ステップS104)。制御部11は、マルチキャストグループのIPアドレスIPdと、宛先ポート番号Pdと、代替宛先ポート番号Paとの対応付けを記憶すると、付替指示を付替部12に出力する。
【0038】
付替指示が制御部11から出力されると、付替部12は、放送局から送信されてきたUDP/IPマルチキャストパケットを受信する(ステップS105)。UDP/IPマルチキャストパケットは、マルチキャストグループのIPアドレスIPdと、宛先ポート番号Pdとを含む。
【0039】
付替部12は、受信したUDP/IPマルチキャストパケットを、UDP/IPユニキャストパケットに変換する(ステップS106)。具体的には、UDP/IPマルチキャストパケットに含まれる、マルチキャストグループのIPアドレスIPdを視聴デバイス20のIPアドレスに付け替え、宛先ポート番号Pdを、受信したUDP/IPユニキャストパケットに含まれるマルチキャストグループのIPアドレスIPdおよび宛先ポート番号Pdに対応付けられた代替宛先ポート番号Paに付け替える。こうすることで、付替部12は、UDP/IPマルチキャストパケットを、UDP/IPユニキャストパケットに変換する。付替部12は、UDP/IPマルチキャストパケットを変換して生成したUDP/IPユニキャストパケットを、宅内ネットワークを介して視聴デバイス20に送信する(ステップS107)。上述したように、視聴デバイス20はIGMP Joinメッセージを一定時間ごとに繰り返し送信するが、ゲートウェイ装置10は、UDP/IPマルチキャストパケットをUDP/IPユニキャストパケットに変換して視聴デバイス20に送信する中継動作を開始すると、視聴デバイス20からIGMP Joinメッセージを受信しても、代替ポート要求メッセージを送信しない。
【0040】
ゲートウェイ装置10は、マルチキャストグループからの離脱を要求するIGMP Leaveメッセージを視聴デバイス20から受信すると(ステップS108)、パケットの中継動作を終了する。すなわち、ゲートウェイ装置10は、IGMP Leaveメッセージを視聴デバイス20から受信するまで、上述したステップS105からステップS107の処理を繰り返し、UDP/IPマルチキャストパケットをUDP/IPユニキャストパケットに変換して、視聴デバイス20に送信する。
【0041】
視聴デバイス20におけるコンテンツの視聴形態として、マルチキャストグループのIPアドレスIPd(マルチキャストグループアドレス)だけが異なり、宛先ポート番号が同一である、複数のUDP/IPマルチキャストコンテンツ(IPフロー)を同時に視聴するという視聴形態がある。このような視聴形態としては、例えば、スポーツ中継において、放送波経由でカメラの映像が伝送され、ネットワーク(例えば、CATVなどのクローズドネットワーク)を介した通信経由で別のカメラの映像が伝送され、これらの映像を視聴デバイス20で同時に視聴するという視聴形態がある。
【0042】
UDP/IPマルチキャストパケットを視聴デバイス20に中継する場合、UDP/IPマルチキャストパケットに含まれるマルチキャストグループのIPアドレスIPdを、ユニキャストアドレス(視聴デバイス20のIPアドレス)に単純に書き換える方法もある。しかしながら、この方法では、上述した視聴形態において、マルチキャストグループアドレスだけが異なり、宛先ポート番号が同一であるIPフローを区別することができない。一方、本実施形態においては、IPフローごとに、宛先ポート番号を代替宛先ポート番号Paに付け替えることができるので、上述したような視聴形態でも、各IPフローを区別することができる。
【0043】
以下では、代替ポート返答メッセージの具体例について、
図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態に係るデータ通信システム1におけるマルチキャスト・ユニキャスト変換の例を示す図である。
図3においては、放送局30から2種類のコンテンツ(コンテンツAおよびコンテンツB)が伝送され、視聴デバイス20において、コンテンツAとコンテンツBとをピクチャ・イン・ピクチャ(PinP)で提示する例を示している。コンテンツAは、放送波を経由して伝送されるコンテンツ(放送コンテンツ)であり、コンテンツBは、例えば、CATVなどのクローズドネットワークを経由して伝送される、コンテンツAに関連するコンテンツ(通信経由の関連コンテンツ)である。また、
図3においては、視聴デバイス20のIPアドレスは、「192.168.0.2」であるとする。
【0044】
図3に示すように、放送局30は、コンテンツAのデータとして、宛先アドレス「224.0.0.1」および宛先ポート番号「51216」を含むUDP/IPマルチキャストパケットを放送波経由で伝送する。また、放送局30は、コンテンツBのデータとして、宛先アドレス「224.0.0.2」および宛先ポート番号「51216」を含むUDP/IPマルチキャストパケットを通信経由で伝送する。宛先アドレス「224.0.0.1」は、コンテンツAを伝送するマルチキャストグループのIPアドレスIP
d(マルチキャストグループアドレス)であり、宛先アドレス「224.0.0.2」は、コンテンツBを伝送するマルチキャストグループのIPアドレスIP
dである。また、宛先ポート番号「51216」は、コンテンツAおよびコンテンツBに関連付けられたポート番号である。これらのマルチキャストグループのIPアドレスIP
dおよび宛先ポート番号は、コンテンツAおよびコンテンツBの配信開始時などに視聴デバイス20に通知される。
【0045】
コンテンツAおよびコンテンツBを視聴する場合、すなわち、コンテンツAおよびコンテンツBが配信されるマルチキャストグループに参加する場合、視聴デバイス20は、参加するマルチキャストグループのIPアドレスI
dと、そのマルチキャストグループに送信されるUDP/IPマルチキャストパケットを受信するための宛先ポートの宛先ポート番号P
dとを含むIGMP Joinメッセージをゲートウェイ装置10に送信する。
図3の例では、視聴デバイス20は、コンテンツAのデータが配信されるマルチキャストグループのIPアドレスIP
d「224.0.0.1」と、コンテンツAに関連付けられた宛先ポートのポート番号「51216」とを含むIGMP Joinメッセージゲートウェイ装置10に送信する。また、視聴デバイス20は、コンテンツBのデータが配信されるマルチキャストグループのIPアドレスIP
d「224.0.0.2」と、コンテンツBに関連付けられた宛先ポートのポート番号「51216」とを含むIGMP Joinメッセージをゲートウェイ装置10に送信する。
【0046】
ゲートウェイ装置10は、視聴デバイス20から送信されてきたIGMP Joinメッセージを受信すると、視聴デバイス20が接続する宅内ネットワークがマルチキャスト方式に対応していない場合、通知要求メッセージを視聴デバイス20に送信する。
【0047】
視聴デバイス20は、通知要求メッセージを受信すると、空きポートの中から、コンテンツAのデータを受信するための代替宛先ポートおよびコンテンツBのデータを受信するため代替宛先ポートとを選択する。以下では、コンテンツAのデータを受信するための代替宛先ポートの代替宛先ポート番号Paは「50000」であり、コンテンツBのデータを受信するための代替宛先ポートの代替宛先ポート番号Paは「50001」であるとする。代替宛先ポートを選択すると、視聴デバイス20は、代替宛先ポート番号Paを通知する代替ポート返答メッセージをゲートウェイ装置10に送信する。
【0048】
図3の例では、視聴デバイス20は、
図4に示すように、コンテンツBのデータが配信されるマルチキャストグループのIPアドレスであるマルチキャストグループアドレス「224.0.0.1」と、コンテンツAに関連付けられた宛先ポート番号「51216」と、コンテンツAのデータを受信するための代替宛先ポートの代替宛先ポート番号「50000」とを含む、代替ポート返答メッセージをゲートウェイ装置10に送信する。また、視聴デバイス20は、
図4に示すように、コンテンツBのデータが配信されるマルチキャストグループのIPアドレスであるマルチキャストグループアドレス「224.0.0.2」と、コンテンツBに関連付けられた宛先ポート番号「51216」と、コンテンツBのデータを受信するための代替宛先ポートの代替宛先ポート番号「50001」とを含む、代替ポート返答メッセージをゲートウェイ装置10に送信する。
【0049】
ゲートウェイ装置10は、視聴デバイス20から送信されてきた代替ポート返答メッセージに含まれる、マルチキャストグループアドレスと、宛先ポート番号と、代替宛先ポート番号とを対応付けて記憶する。そして、ゲートウェイ装置10は、記憶している対応付けに基づき、コンテンツAのデータに含まれる、マルチキャストグループアドレス「224.0.0.1」を視聴デバイス20のIPアドレス「192.168.0.2」に付け替え、宛先ポート番号「51216」を代替宛先ポート番号「50000」に付け替えて、視聴デバイス20に送信する。なお、ゲートウェイ装置10は、視聴デバイス20からのJGMP Joinメッセージに含まれるソースアドレスを、視聴デバイス20のIPアドレスとして取得する。また、ゲートウェイ装置10は、コンテンツBのデータに含まれる、マルチキャストグループアドレス「224.0.0.2」を視聴デバイス20のIPアドレス「192.168.0.2」に付け替え、宛先ポート番号「51216」を代替宛先ポート番号「50001」に付け替えて、視聴デバイス20に送信する。
【0050】
このように本実施形態においては、ゲートウェイ装置10は、マルチキャストグループのIPアドレスIPdと、宛先ポート番号Pd(第1のポート番号)とを含む、マルチキャスト方式で伝送されたデータ(UDP/IPマルチキャストパケット)を受信すると、受信したデータに含まれる、マルチキャストグループのIPアドレスIPdを受信装置である視聴デバイス20のIPアドレスに付け替え、宛先ポート番号Pdを代替宛先ポート番号Pa(第2のポート番号)に付け替えたユニキャスト方式のデータ(UDP/IPユニキャストパケット)に変換し、受信装置に送信する。
【0051】
マルチキャストグループのIPアドレスIPdを視聴デバイス20のIPアドレスに付け替え、宛先ポート番号を代替宛先ポート番号Paに付け替えて生成したユニキャスト方式のデータを受信装置に送信することで、誤り訂正あるいは再送などの処理が可能となり、マルチキャスト方式で伝送されたデータの、受信装置である視聴デバイス20におけるより確実な受信を図ることができる。特に、マルチキャストグループが異なり、宛先ポート番号が同じである複数のIPフローについても、各フローを区別して、受信装置において受信することができる。
【0052】
なお、上述した実施形態においては、宅内ネットワークに接続する視聴デバイス20が1つである例を示しているが、本発明はこれに限られるものではなく、宅内ネットワークに複数の視聴デバイス20が接続されていてもよい。この場合、ゲートウェイ装置10は、それぞれの視聴デバイス20からの要求に応じて、マルチキャスト方式で伝送されたデータの中継を行う。
【0053】
なお、実施形態では特に触れていないが、コンピュータを、ゲートウェイ装置10または視聴デバイス20として機能させるプログラムが提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROM、DVD-ROMなどの記録媒体であってもよい。
【0054】
あるいは、ゲートウェイ装置10および視聴デバイス20が行う各処理を実行するためのプログラムを記憶するメモリ、および、メモリに記憶されたプログラムを実行するプロセッサによって構成され、ゲートウェイ装置10または視聴デバイス20に搭載されるチップが提供されてもよい。
【0055】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換が可能であることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 データ通信システム
10 ゲートウェイ装置
11 制御部
12 付替部
20 視聴デバイス(受信装置)
21 制御部
22 デコーダ
23 提示部
30 放送局